説明

シャンプー

【課題】 操作性および泡質が良好であり、かつ洗浄後の毛髪の感触を良好にし得るシャンプーを提供する。
【解決手段】 アシルアミノ酸またはその塩、ポリオキシエチレンジオレイン酸メチルグルコシド、分岐型脂肪酸アミドプロピルベタイン、カチオン化ポリマーおよび水が配合されていることを特徴とするシャンプーにより、上記課題を解決する。上記アシルアミノ酸またはその塩には、アシルアスパラギン酸またはその塩と、アシルグルタミン酸またはその塩とが併用されていることが好ましく、また、本発明のシャンプーには、直鎖型脂肪酸アミドプロピルベタインが更に配合されていることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作性および泡質が良好であり、かつ洗浄後の毛髪の感触を良好にし得るシャンプーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
シャンプーには、一般に、両性界面活性剤やアニオン性界面活性剤などが主剤として配合されている。シャンプーに使用されるアニオン性界面活性剤としては、従来から、アルキル硫酸塩やポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩が汎用されているが、近年、比較的低刺激で安全性が高く、また、洗浄後の毛髪の感触を良好にし得る成分として知られるアシルアミノ酸やその塩の使用が検討されている(例えば、特許文献1〜4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平1−294798号公報
【特許文献2】特開2001−140000号公報
【特許文献3】特表2003−521570号公報
【特許文献4】特開2010−138075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、シャンプーは手にとって毛髪に塗布することが一般的であるが、シャンプーの粘度が低すぎると、手からこぼれて良好に塗布できない。そのため、シャンプーには、適度な粘度として操作性を高めることが求められる。例えば、アニオン性界面活性剤としてアルキル硫酸塩やポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩を用いたシャンプーは増粘させやすいため、操作性が良好となる程度の粘度とすることが容易である。
【0005】
しかしながら、アシルアミノ酸またはその塩を用いたシャンプーは粘度が低く、また、これを高めるために別途増粘剤を適用すると、シャンプーの泡質や、洗浄後の毛髪の感触が低下してしまう。
【0006】
よって、アシルアミノ酸またはその塩を使用したシャンプーにおいては、泡質や洗浄後の毛髪の感触を損なわずに操作性を高めることが求められる。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、操作性および泡質が良好であり、かつ洗浄後の毛髪の感触を良好にし得るシャンプーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成し得た本発明のシャンプーは、アシルアミノ酸またはその塩、ポリオキシエチレンジオレイン酸メチルグルコシド、分岐型脂肪酸アミドプロピルベタイン、カチオン化ポリマーおよび水が配合されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、操作性および泡質が良好であり、かつ洗浄後の毛髪の感触を良好にし得るシャンプーを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のシャンプーに係るアシルアミノ酸またはその塩は、洗浄後の毛髪の感触を高める作用を有しており、特に後述する分岐型脂肪酸アミドプロピルベタインおよびカチオン化セルロースと組み合わせることで、この作用がより良好に発揮される。アシルアミノ酸またはその塩の具体例としては、例えば、ラウロイル−L−アスパラギン酸、ヤシ油脂肪酸−L−グルタミン酸、ラウロイル−L−グルタミン酸、ミリストイル−L−グルタミン酸、ステアロイル−L−グルタミン酸、ヤシ油脂肪酸メチルアラニン、ラウロイルメチルアラニン、ミリストイルメチルアラニン、ヤシ油脂肪酸アシルグリシン、ヤシ油脂肪酸メチルタウリン、ラウロイルメチルタウリン、ヤシ油脂肪酸サルコシン、ラウロイルサルコシン、および、これらの塩(ナトリウム塩、カリウム塩、トリエタノールアミン塩など)などが挙げられ、これらのうちの1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0011】
上記のアシルアミノ酸またはその塩の中でも、洗浄後の毛髪の感触を高める作用がより強いことから、アシル酸性アミノ酸(ラウロイル−L−アスパラギン酸などのアシルアスパラギン酸;ヤシ油脂肪酸−L−グルタミン酸、ラウロイル−L−グルタミン酸、ミリストイル−L−グルタミン酸、ステアロイル−L−グルタミン酸などのアシルグルタミン酸;)やその塩がより好ましい。
【0012】
また、例えば、アシルグルタミン酸またはその塩は、特に洗浄後の毛髪をやわらかにする作用が良好である。その一方で、アシルアスパラギン酸またはその塩は、洗浄後の毛髪をやわらかにする作用は、アシルグルタミン酸またはその塩に比べて劣っているが、洗浄後の毛髪のおさまりをよくする作用が、アシルグルタミン酸またはその塩よりも良好である。よって、本発明のシャンプーには、アシルアスパラギン酸またはその塩と、アシルグルタミン酸またはその塩とを組み合わせて使用することが更に好ましく、これにより、洗浄後の毛髪をよりやわらかにし、かつおさまりを良好とすることが可能となる。
【0013】
アシルアスパラギン酸またはその塩と、アシルグルタミン酸またはその塩とを併用する場合には、洗浄後の毛髪において、洗浄後の毛髪の感触をより高め、かつおさまりをより良好にする観点から、シャンプーにおけるアシルアスパラギン酸またはその塩とアシルグルタミン酸またはその塩との配合比率を、1:5〜1:1とすることが好ましい。
【0014】
シャンプーにおけるアシルアミノ酸またはその塩の配合量は、その使用による上記の作用を良好に発揮させる観点から、1質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましい。
【0015】
なお、アシルアミノ酸またはその塩は、アニオン性界面活性剤の一種であるが、本発明のシャンプーにはアニオン性界面活性剤としてアシルアミノ酸またはその塩のみを使用してもよく、必要に応じて、アシルアミノ酸またはその塩と、それ以外のアニオン性界面活性剤を併用してもよい。ただし、シャンプーにおけるアニオン界面活性剤の量が多すぎると、強い脱脂力によって毛髪にきしみを感じる傾向が強くなることから、シャンプーにおけるアニオン性界面活性剤の配合量(シャンプーに配合されるアニオン性界面活性剤がアシルアミノ酸またはその塩のみである場合には、その配合量)は、30%質量以下であることが好ましく、15%質量以下であることがより好ましい。
【0016】
本発明のシャンプーに係るポリオキシエチレンジオレイン酸メチルグルコシドは、後述する分岐型脂肪酸アミドプロピルベタインと組み合わせることで、アシルアミノ酸またはその塩を用いたシャンプーの泡質や洗浄後の毛髪の感触を良好にする効果を損なうことなく、その粘度を高めて操作性を良好にする作用を有している。そのため、本発明のシャンプーでは、高い増粘作用を有する成分として知られているアルキル硫酸塩やポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩のようなアニオン性界面活性剤を配合することなく、高い操作性を確保することができる。
【0017】
ポリオキシエチレンジオレイン酸メチルグルコシドにおけるオキシエチレンユニットの平均付加モル数は、80〜150であることが好ましい。
【0018】
シャンプーにおけるポリオキシエチレンジオレイン酸メチルグルコシドの配合量は、その使用による上記の作用を良好に発揮させる観点から、0.5質量%以上であり、1質量%以上であることが好ましい。ただし、シャンプーにおけるポリオキシエチレンジオレイン酸メチルグルコシドの量が多すぎると、洗浄後や乾燥後の毛髪にごわつきを与える傾向がある。よって、シャンプーにおけるポリオキシエチレンジオレイン酸メチルグルコシドの配合量は、5質量%以下であることが好ましく、4質量%以下であることがより好ましい。
【0019】
本発明のシャンプーに係る分岐型脂肪酸アミドプロピルベタインは、両性界面活性剤の一種である。種々の両性界面活性剤の中でも分岐型脂肪酸アミドプロピルベタインは、ポリオキシエチレンジオレイン酸メチルグルコシドと組み合わせることによるシャンプーの増粘作用が最も優れており、また、シャンプーの泡質を高める作用も有している。しかも、分岐型脂肪酸アミドプロピルベタインは、洗浄後の毛髪の感触を高める作用も有しており、アシルアミノ酸またはその塩およびカチオン化ポリマーと組み合わせることで、その作用が良好に発揮される。
【0020】
分岐型脂肪酸アミドプロピルベタインの具体例としては、例えば、イソステアリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタインなどが挙げられ、これらのうちの1種のみを用いてもよく、複数種を用いてもよい。
【0021】
シャンプーにおける分岐型脂肪酸アミドプロピルベタインの配合量は、その使用による上記の作用を良好に発揮させることができ、また、シャンプーの粘度を経時的に良好に維持でき、泡の持続性も良好となり、更に、シャンプーの透明性も良好に維持できるようになることから、0.1質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましい。ただし、シャンプーにおける分岐型脂肪酸アミドプロピルベタインの量が多すぎると、毛髪に過度に残存して仕上がり時に硬さがでやすくなって、毛髪の感触向上効果が小さくなる虞があり、また、泡立ちが低下する虞がある。よって、シャンプーにおける分岐型脂肪酸アミドプロピルベタインの配合量は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
【0022】
本発明のシャンプーに係るカチオン化ポリマーは、洗浄後の毛髪の感触を高める成分であり、アシルアミノ酸またはその塩、および分岐型脂肪酸アミドプロピルベタインと組み合わせることで、その作用がより良好に発揮される。カチオン化ポリマーとしては、例えば、カチオン化セルロース(塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロースなど)、カチオン化デンプン、カチオン化キサンタンガム、ジアリル四級アンモニウム塩/アクリルアミド共重合体、ビニルイミダゾリウムトリクロライド/ビニルピロリドン共重合体、ヒドロキシエチルセルロース/ジメチルジアリルアンモニウムクロライド共重合体、ビニルピロリドン/四級化ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体、ビニルピロリドン/アルキルアミノアクリレート共重合体、ビニルピロリドン/アルキルアミノアクリレート/ビニルカプロラクタム共重合体、ビニルピロリドン/メタクリルアミドプロピル塩化トリメチルアンモニウム共重合体、アルキルアクリルアミド/アクリレート/アルキルアミノアルキルアクリルアミド/ポリエチレングリコールメタクリレート共重合体、アジピン酸/ジメチルアミノヒドロキシプロピルエチレントリアミン共重合体、カチオン化フェヌグリークガム、カチオン化グアーガム、カチオン化タラガム、カチオン化ローカストビーンガムなどが挙げられる。
【0023】
シャンプーにおけるカチオン化ポリマーの配合量は、その使用による上記の効果を良好に確保する観点から、0.05質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることがより好ましい。ただし、シャンプーにおけるカチオン化ポリマーの量が多すぎると、シャンプーによる洗浄時にカチオン化ポリマーが毛髪に残留し、これがシャンプーの連続使用によって蓄積し、毛髪がごわつく傾向がある。よって、シャンプーにおけるカチオン化ポリマーの配合量は、0.5質量%以下であることが好ましく、0.4質量%以下であることがより好ましい。
【0024】
本発明のシャンプーは、通常のシャンプーと同様に水を溶媒として使用する。シャンプーにおける水の配合量は、例えば、50〜90質量%であることが好ましい。
【0025】
また、本発明のシャンプーには、分岐型脂肪酸アミドプロピルベタイン以外の両性界面活性剤を更に配合することが好ましい。分岐型脂肪酸アミドプロピルベタインと、それ以外の両性界面活性剤とを組み合わせることで、シャンプーの粘度向上効果と、泡質(起泡力、増泡力)や洗浄後の毛髪の感触の向上効果とのバランスが、特に良好となる。
【0026】
分岐型脂肪酸アミドプロピルベタイン以外の両性界面活性剤としては、例えば、直鎖型脂肪酸アミドプロピルベタイン[ラウリン酸アミドプロピルベタイン(ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン)、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、リシノレイン酸アミドプロピルベタイン、パーム油脂酸アミドプロピルベタインなど]、ウンデシル−N−ヒドロキシエチル−N−カルボキシメチルイミダゾリニウムベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、N−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウム−N−プロピルスルホン酸ナトリウム、N−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウム−N−(2−ヒドロキシプロピル)スルホン酸ナトリウム、N−脂肪酸アミドプロピル−N,N−ジメチルアンモニウム−N−(2−ヒドロキシプロピル)スルホン酸ナトリウム、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム、ヤシ油アルキルベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタインなどが挙げられる。
【0027】
これらの両性界面活性剤の中でも、分岐型脂肪酸アミドプロピルベタインとの組み合わせによる上記の効果が特に良好である点で、直鎖型脂肪酸アミドプロピルベタインがより好ましく、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタインが更に好ましい。
【0028】
分岐型脂肪酸アミドプロピルベタインと、それ以外の両性界面活性剤とを併用する場合、シャンプーにおける分岐型脂肪酸アミドプロピルベタインと、それ以外の両性界面活性剤との配合比率は、上記のバランスをより良好にする観点から、1:2〜3:1とすることが好ましい。
【0029】
なお、アシルアミノ酸またはその塩と、両性界面活性剤との配合比率が2:1〜10:1である場合、シャンプーの泡質(起泡力、増泡力)や洗浄後の毛髪の感触は良好になる一方で、シャンプーの粘度を高めることが特に困難である。しかし、本発明によれば、上記の各成分を配合することで、例えば、アシルアミノ酸またはその塩と、分岐型脂肪酸アミドプロピルベタインを含む両性界面活性剤との配合比率を上記の範囲としても比較的高い粘度とすることが可能であるため、操作性の向上効果と、泡質および洗浄後の毛髪の感触の向上効果とのバランスに優れたシャンプーとすることができる。
【0030】
更に、本発明のシャンプーには、本発明の効果を損なわない範囲で、通常の化粧料で用いられている各種成分を配合することができる。このような成分としては、例えば、アシルアミノ酸またはその塩以外のアニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン化ポリマー以外のポリマー、1価のアルコール、油脂、エステル、ロウ、炭化水素、脂肪酸、キレート剤、防腐剤、酸化防止剤、pH調整剤などが挙げられる。
【0031】
アシルアミノ酸またはその塩以外のアニオン性界面活性剤としては、例えば、ヤシ油脂肪酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸カリウム、ココイルイセチオン酸およびその塩(ナトリウム塩、カリウム塩など)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸およびその塩(ナトリウム塩、カリウム塩など)、アルキルスルホコハク酸二ナトリウム、ポリオキシエチレンスルホコハク酸ラウリル2ナトリウム、ラウロイル加水分解シルクナトリウム、イソステアリン酸加水分解シルクAMP(イソステアリン酸と加水分解シルクとの縮合物の、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール塩)、ココイル加水分解ダイズタンパクカリウム、ココイル加水分解コラーゲンの塩(ナトリウム塩、カリウム塩など)、テトラデセンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸およびその塩(ナトリウム塩、カリウム塩など)などが挙げられる。
【0032】
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ヤシ油脂肪酸N−メチルエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、パーム核油脂肪酸ジエタノールアミド、ステアリン酸モノエタノールアミド、ラウリン酸モノイソプロパノールアミドなどのアルキルアルカノール型非イオン性界面活性剤が好ましい。
【0033】
カチオン化ポリマー以外のポリマーとしては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、セルロースエーテル、アルギン酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン、カラギーナン、グアーガム、ヒアルロン酸、キトサン、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。1価のアルコールとしては、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ベンジルアルコールなどの低級アルコール;ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコールなどの高級アルコールが挙げられる。
【0034】
油脂としては、例えば、シア脂、小麦胚芽油、コメヌカ油、マカデミアナッツ油、メドウホーム油、卵黄油などが挙げられる。エステルとしては、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチル、ステアリン酸ステアリル、ラウリン酸イソステアリル、オレイン酸オクチルドデシル、2−エチルヘキサン酸ヘキシル、コハク酸ジ2−エチルヘキシル、コハク酸ジオクチル、イソステアリン酸フィトステリルなどが挙げられる。
【0035】
ロウとしては、例えば、キャンデリラロウ、ホホバ油、ミツロウ、カルナウバロウなどが挙げられる。炭化水素としては、例えば、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、スクワラン、セレシン、パラフィン、流動パラフィン、流動イソパラフィン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックスなどが挙げられる。脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ウンデシレン酸などが挙げられる。
【0036】
キレート剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸またはその塩、ジエチレントリアミン五酢酸またはその塩、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸またはその塩、ヒドロキシエタンジホスホン酸またはその塩などが挙げられる。防腐剤としては、例えば、安息香酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、フェノキシエタノール、メチルクロロイソチアゾリノン・メチルイソチアゾリノン液、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンなどが挙げられる。酸化防止剤としては、例えば、dl−α−トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン、エリソルビン酸、無水亜硫酸ナトリウムなどが挙げられる。pH調整剤としては、例えば、クエン酸、リン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸などの酸;アンモニア、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン、アルギニンなどのアルカリ剤;が挙げられる。
【0037】
本発明のシャンプーは、上記の各成分を、媒体である水に溶解または分散させることで調製することができる。本発明のシャンプーは、液状、ジェル状、乳液状のいずれであっても構わない。
【0038】
なお、本発明のシャンプーは、後述する実施例で採用する方法により測定される粘度が200mPa・s以上であることが好ましく、これにより、より良好な操作性を確保することができる。なお、これまで説明してきた組成にすることで、シャンプーの粘度をこのような値に調整することができる。
【実施例】
【0039】
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は本発明を制限するものではない。なお、以下の表1〜表3ではシャンプー全体で100%となるように各成分の配合量を%で示すが、その%はいずれも質量%であり、また、表1〜表3中ではその%の表示を省略し、配合量を表す数値のみで表示する。更に、本実施例で表1〜表3以外で用いる%も、特に断らない限り、質量%を意味している。
【0040】
実施例1〜8および比較例1〜6
実施例1〜8および比較例1〜6のシャンプー組成物を、表1〜表3に示す組成で調製した。
【0041】
【表1】

【0042】
【表2】

【0043】
【表3】

【0044】
なお、実施例および比較例のシャンプーの調製に使用した原材料の一部は、表に記載の成分以外の成分(溶媒など)を含んでいるもののあるが、表1〜表3では、このような原材料に含まれる表に記載の成分のみの量を配合量として示している。そして、表1〜表3において、水の欄の「計100とする」とは、シャンプーを構成する水以外の各成分の合計量(表に記載の成分以外の成分も含む原材料における「表に記載の成分以外の成分」の量も含めた合計量)に、水の量を加えて100%となるようにしたことを意味している。
【0045】
また、表1〜表3の「比率A」は、分岐型脂肪酸アミドプロピルベタイン(イソステアリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン)の配合量と、直鎖型脂肪酸アミドプロピルベタイン(ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン)の配合量との比率(質量基準)を示しており、「比率B」は、アシルアミノ酸またはその塩(ヤシ油脂肪酸−L−グルタミン酸ナトリウムおよびラウロイル−L−アスパラギン酸ナトリウム)の配合量と、両性界面活性剤[分岐型脂肪酸アミドプロピルベタイン(イソステアリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン)および直鎖型脂肪酸アミドプロピルベタイン(ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン)]の配合量との比率(質量基準)を意味している。
【0046】
更に、表1〜表3の「POE(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム」、「POE(120)ジオレイン酸メチルグルコシド」および「トリイソステアリン酸POE(120)メチルグルコシド」における「POE」は「ポリオキシエチレン」の略であり、POEの後の括弧内の数値は、オキシエチレンユニットの平均付加モル数である。また、表1〜表3の「アルキル(8〜16)グルコシド水溶液」は、アルキル(8〜16)グルコシドの濃度が40%であり、上記水溶液中のアルキル(8〜16)グルコシドは、アルキル部分の炭素数が8〜16のものを含んでいる。更に、表1〜表3におけるクエン酸の欄の「適量」は、シャンプーのpHが6となる量で使用したことを意味している。
【0047】
また、表1〜表3に記載の原材料は、以下の通りである。
カチオン化セルロース:塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチオアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース、Amerchol社製「UCARE Polymer JR−30M(商品名)」。
イソステアリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン:東邦化学工業社製「オバゾリン ISAB(商品名)」(イソステアリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン:31%、ジプロピレングリコール:33%、水:32%などを含有)。
防腐剤:ローム・アンド・ハース・ジャパン社製「ケーソンCG(商品名)」、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンとの混合物。
キレート剤:エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム二水和塩。
【0048】
実施例および比較例のシャンプーの粘度測定、操作性の評価、泡質の評価、および、これらのシャンプーによる洗浄後の毛髪の感触の評価を行った。
【0049】
<粘度測定>
実施例および比較例の各シャンプーを容器に入れ、それらの容器を25℃の恒温槽に1時間浸漬した後に、B型粘度計を用いて各シャンプーの粘度を測定した。なお、最も高粘度であった比較例1のシャンプーの測定には2号ローターを使用し、他のシャンプーの測定には1号ローターを使用した。
【0050】
<操作性の評価>
専門のパネラー5名が、実施例および比較例の各シャンプーを充填した各ポンプ容器から、それぞれのシャンプー2プッシュ分(約6g)取り出して手に取ったときの、手からのこぼれ難さを、下記基準に従って点数付けした。
よい 2点、
ややよい 1点、
普通 0点、
やや悪い −1点、
悪い −2点。
【0051】
そして、全パネラーの点数を合計して、実施例および比較例のシャンプーの操作性を評価した。
【0052】
<泡質の評価、および洗浄後の毛髪の感触の評価>
上記専門のパネラー5名が、操作性の評価で手に取った各シャンプーで自身の頭髪を洗浄し、その際の各シャンプーの泡質(起泡力および泡の持続性)および洗浄後の毛髪の感触を、操作性の評価の場合と同じ基準に従ってそれぞれ点数付けした。そして、全パネラーの点数を合計して、実施例および比較例のシャンプーにおける泡質および洗浄後の毛髪の感触を評価した。
【0053】
上記の各測定および評価の結果を表4に示す。
【0054】
【表4】

【0055】
表4に示す通り、アシルアミノ酸またはその塩、ポリオキシエチレンジオレイン酸メチルグルコシド、分岐型脂肪酸アミドプロピルベタイン、カチオン化ポリマーおよび水を配合した実施例1〜8のシャンプーは、粘度が高く操作性が良好で、泡質が優れており、更に、これらのシャンプーで洗浄した毛髪は、その感触が良好である。
【0056】
これに対し、アシルアミノ酸またはその塩に代えて、他のアニオン性界面活性剤(シャンプー用のアニオン性界面活性剤として汎用されているポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩)を使用した比較例1のシャンプーは、粘度が高く操作性が優れているものの、洗浄後の毛髪の感触を高める作用が特に劣っている。また、ポリオキシエチレンジオレイン酸メチルグルコシドに代えて他の増粘剤を使用した比較例2および比較例3のシャンプーのうち、比較例2のシャンプーは、比較例1のシャンプーと同様に粘度が高く操作性が優れているものの、洗浄後の毛髪の感触を高める作用が特に劣っており、更に、泡質も劣っている。そして、比較例3のシャンプーは、粘度が低く操作性が劣っており、更に、洗浄後の毛髪の感触を高める作用も劣っている。
【0057】
また、ポリオキシエチレンジオレイン酸メチルグルコシドを配合せず、分岐型脂肪酸アミドプロピルベタインに代えて直鎖型脂肪酸アミドプロピルベタインを配合した比較例4のシャンプー、および分岐型脂肪酸アミドプロピルベタインを配合しなかった比較例5のシャンプーは、粘度が低く操作性が劣っており、更に、泡質および洗浄後の毛髪の感触を高める作用も劣っている。そして、分岐型脂肪酸アミドプロピルベタインを配合せずに直鎖型脂肪酸アミドプロピルベタインを配合した比較例6のシャンプーは、操作性および泡質は良好であるが、洗浄後の毛髪の感触を高める作用が小さく、これらのバランスが劣っている。
【0058】
なお、実施例1および実施例2のシャンプーと実施例6のシャンプーとは、両性界面活性剤以外の組成および両性界面活性剤の総量が同じで、前者は両性界面活性剤に分岐型脂肪酸アミドプロピルベタインと直鎖型脂肪酸アミドプロピルベタインとを併用しているのに対し、後者は両性界面活性剤が分岐型脂肪酸アミドプロピルベタインのみである点のみ異なっている。これらのシャンプーを比較すると、実施例1および実施例2のシャンプーは、実施例6のシャンプーよりも操作性がやや劣っているものの問題となるような差ではなく、寧ろ、泡質や洗浄後の毛髪の感触を高める作用が優れている。すなわち、実施例1および実施例2のシャンプーは、操作性と、泡質や洗浄後の毛髪の感触を高める作用とのバランスが、実施例6のシャンプーよりも優れている。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
アシルアミノ酸またはその塩、ポリオキシエチレンジオレイン酸メチルグルコシド、分岐型脂肪酸アミドプロピルベタイン、カチオン化ポリマーおよび水が配合されていることを特徴とするシャンプー。
【請求項2】
アシルアミノ酸またはその塩が、アシル酸性アミノ酸またはその塩である請求項1に記載のシャンプー。
【請求項3】
アシル酸性アミノ酸またはその塩として、アシルアスパラギン酸またはその塩と、アシルグルタミン酸またはその塩とが配合されている請求項2に記載のシャンプー。
【請求項4】
直鎖型脂肪酸アミドプロピルベタインが更に配合されている請求項1〜3のいずれかに記載のシャンプー。

【公開番号】特開2012−97016(P2012−97016A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−245014(P2010−245014)
【出願日】平成22年11月1日(2010.11.1)
【出願人】(592255176)株式会社ミルボン (138)
【Fターム(参考)】