説明

シュリンクラベルおよびシュリンクラベル装着プラスチック容器

【課題】スチームトンネルの水蒸気によるシュリンク加工後の水滴の排出を容易にできるシュリンクラベルを提供する。
【解決手段】プラスチック容器の胴部外周面に装着して用いられるシュリンクラベルであって、少なくとも基材フィルム層10と流路形成層20とから構成され、前記流路形成層は、前記シュリンクラベルの最内層を構成し、深さ4μm以上の凹部を有し、前記凹部面積が前記基材フィルム層の5〜90%であることを特徴とする、シュリンクラベルである。プラスチック容器とシュリンクラベルとの間の水滴などの液体の排出を容易に行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチック容器の胴部外周面に装着して用いられるシュリンクラベルおよびシュリンクラベル装着プラスチック容器に関し、より詳細には、スチームトンネルによるスチーム加工の際に、ラベルとプラスチック容器との間に閉じ込められた水滴が抜け出しやすい、シュリンクラベルおよび該シュリンクラベルを装着したプラスチック容器に関する。
【背景技術】
【0002】
清涼飲料水、乳飲料、栄養ドリンク、調味料、化粧品などのプラスチック容器の外装としてシュリンクラベルが多用されているが、プラスチック容器にシュリンクラベルを装着し、スチームトンネルでスチームによってシュリンク加工する場合には、ボトルとラベル間に水が入り込み、液滴が溜まる場合があり、製品の黒ずみの原因となり、またはその液滴が残存する場合には、カビが発生するおそれもある。また、容器に収納した内容物を冷却する場合に、ラベル付容器ごと水に浸漬する場合があり、このような場合にも、容器とラベル間に水などの液体が侵入する。
【0003】
従来から、各種のシュリンクラベルが開発され、シュリンクラベルに緩衝性を付加したものがある(特許文献1)。特許文献1に開示されるラベルは、容器の胴部外周面に装着して用いられるラベルであって、当該ラベルが、少なくとも、基材フィルム層と触感付与層とから構成され、前記の触感付与層が、凸部を形成するように樹脂をパターン状にコーティングするというものである。前記の触感付与層が、凸部を形成するように樹脂をパターン状にコーティングされるため、ラベルの表面に触感性を付与すると共に、断熱性を感覚的に持たせることができ、持ち運びやすく、優れた緩衝性、意匠性も付与できる、という。
【0004】
また、シュリンクラベルに付加する他の機能として、断熱性を付加したものがある(特許文献2)。特許文献2に開示されるラベルは、容器の胴部外周面に装着して用いられるラベルであって、当該ラベルが、少なくとも、基材フィルム層と断熱層とから構成され、前記の断熱層が、樹脂ビーズを含有するスウェード調インキまたは隆起インキから選ばれるコーティング材料を、基材フィルムの内面、即ち、容器側の面にパターン状に塗布して凸部を形成することを特徴とする断熱性ラベルである。樹脂ビーズを含有するスウェード調インキまたは隆起インキから選ばれるコーティング材料を、基材フィルムの内面、即ち容器側の面にパターン状に塗布して凸部を形成し、容器の胴部外周面に装着したところ、断熱性を付与することができた、という。
【特許文献1】特開2004−205768号公報
【特許文献2】特開2004−226468号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載のラベルによれば、緩衝性の付与によって耐衝撃性に優れるものの、スチームトンネルを通過した後の水滴の弊害を目的とするものではなく、水滴の滞留を解決するには十分でない。特許文献2も同様である。すなわち、特許文献1、特許文献2記載のラベルは、隆起インキ、発泡インキ、または樹脂ビーズを含有するスウェード調インキなどによる特殊印刷層をラベルのいずれかに有するが、いずれもラベル最内層に接着剤層を有するため、容器とラベルとの間が密着し、内容物の容器外への遺漏が防止されるからである。
【0006】
このような状況下、スチームトンネルによるシュリンク加工や、冷却のための水浸などによって水滴が付着した場合など、容器とラベル間に水滴が閉じ込められた際に、その水滴の流出を容易にし得るラベルの開発が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、プラスチック容器装着シュリンクラベルについて詳細に検討した結果、シュリンクラベルの最内層に流路形成層を形成すれば、従来のプラスチック容器に装着した場合にも、容器とラベルとの間に閉じ込められた水滴などの液体を容易に流れ出せること、このような流路は、隆起インキ、発泡インキ、または樹脂ビーズを含有するスウェード調インキなどを基材フィルム層の内側に印刷することで容易に形成できることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち本発明は、プラスチック容器の胴部外周面に装着して用いられるシュリンクラベルであって、少なくとも基材フィルム層と流路形成層とから構成され、前記流路形成層は、前記シュリンクラベルの最内層を構成し、深さ4μm以上の凹部を有し、前記凹部面積が前記基材フィルム層の5〜90%であることを特徴とする、シュリンクラベルを提供するものである。
【0009】
また、本発明は、前記シュリンクラベルをプラスチック容器に装着したシュリンクラベル装着プラスチック容器を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明のシュリンクラベルは、印刷技術によって基材フィルム層の内側に所定深さの凹部を形成することで調製することができるため、従来の印刷装置を使用して製造することができる。
【0011】
本発明のシュリンクラベルは、基材フィルム層に流路形成層を設けたものであり、外部から滞留液の存在を容易に肉眼で検出することができる。
本発明のシュリンクラベルにおいて、ラベルの上下方向の全長に亘って内容物の流路が連通して形成される場合には、ラベル端部から液体が遺漏することで、黒ずみ、カビなどを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の第一は、プラスチック容器の胴部外周面に装着して用いられるシュリンクラベルであって、少なくとも基材フィルム層と流路形成層とから構成され、前記流路形成層は、前記シュリンクラベルの最内層を構成し、深さ4μm以上の凹部を有し、前記凹部面積が前記基材フィルム層の5〜90%であることを特徴とする、シュリンクラベルである。
【0013】
前記流路形成層は、前記凹部を前記ラベルの上下方向に縞状に構成したものや、前記凹部を不定形に構成したもので構成することができ、前記凹部は、ラベルの上下方向の全長に亘って連通していてもよく、前記凹部には、シュリンクラベルを貫通する貫通孔が形成されていてもよい。
【0014】
また、前記流路形成層は、隆起インキ、発泡インキ、または樹脂ビーズを含有するスウェード調インキを、基材フィルム層の内側にパターン状に印刷して凹部を形成することができる。
【0015】
本発明のシュリンクラベルは、基材フィルム層のラベル内側にデザイン印刷層が形成されていてもよく、更に基材フィルム層のラベル表面側に外層が積層されていてもよい。
以下、本発明のシュリンクラベルおよびシュリンクラベル装着プラスチック容器について説明する。
【0016】
(1)シュリンクラベルの構成
本発明のシュリンクラベルは、図1(a)に示すように、少なくとも基材フィルム層(10)と流路形成層(20)とを有するが、図1(b)に示すように、基材フィルム層(10)のラベル内側にデザイン印刷層(30)を有していてもよく、更に図1(c)に示すように、基材フィルム層(10)のラベル外側に外層(40)を有していてもよい。なお、本発明における「流路形成層」とは、プラスチック容器とシュリンクラベルとの間に存在する水滴などの液体がラベル端部から排出しうる凹部を有する、シュリンクラベルの最内層である。なお本願明細書で記載するサイズは、熱収縮した後のシュリンクラベルのサイズである。
【0017】
本発明において、前記流路形成層(20)は、図2に示すように、深さ(d)4μm以上、好ましく6〜150μm、特に好ましくは6〜60μmの凹部を有することを特徴とする。深さが4μm未満であると、プラスチック容器とシュリンクラベルとの間にある水滴などの液体を円滑にラベル端部に排出することが困難となる場合がある。また、前記凹部の面積は、前記基材フィルム層の5〜90%、特に好ましくは40〜70%である。5%を下回ると、シュリンク加工のためにプラスチック容器をスチームトンネルに通過させた後に、プラスチック容器とシュリンクラベル間との間の密着が強く、水滴などの液体を十分にラベル端部から排出することができない場合がある。一方、90%を超えても、凹部がプラスチック容器と接触して実質的に流路を形成することができない場合がある。
【0018】
前記流路形成層の形状は特に限定されるものではないが、前記凹部を前記ラベルの上下方向に縞状に構成したものや、前記凹部を不定形に構成したもの、ラベルの上下方向および左右方向に対称に構成したものなど、いずれでもよい。
【0019】
図3(a)は、シュリンクラベルの流路形成層の平面図を示し、図3(b)はその横断面図である。図3に示すシュリンクラベルは、凹部がラベルの上下方向に縞状に構成されているため、流路形成層(20)の凹部に液体が保持され、次いで流路(R)を経て、ラベル下端部から内容物を遺漏させることができる。なお、図3は、基材フィルム層(10)と流路形成層(20)とからなるシュリンクラベルであるが、図1に示すように、基材フィルム層と流路形成層との間にデザイン印刷層やその他の層を積層してもよく、基材フィルム層のラベル外側に外層やその他の層を有するものであってもよい。
【0020】
なお、縦縞状の流路(R)は、上下方向に直線状に形成される場合に限定されず、例えば、図4に示すように、液体が隣接する流路に相互に流れ込んで保持され、かつ、複数の流路(R)を経てラベル下端から液体を流出させるものであってもよい。
【0021】
また、図5(a)に示すように凹部が不定形に形成されていても、流路(R)がラベル上下方向に連通するものであれば、図3、図4で示すシュリンクラベルと同様にラベル端部から液体が遺漏するため、容器とラベルとの間の液体を排出でき、これによって黒ずみやカビを防止することができる。なお、図5(b)は、図5(a)のA−A’線の断面図を示す。
【0022】
一方、図6に示すように、流路形成層(20)の凹部が、ラベル上下方向に連通しない場合であってもよい。例えば、図6(a)の点PやP’に液体が存在する場合でも、流路(R)を経てラベル端部から液体を排出させることができるからである。なお、図6(b)は、図6(a)のA−A’線の断面図を示す。
【0023】
更に、本発明のシュリンクラベルは、図7に示すように、凹部は、シュリンクラベルを貫通する貫通孔を有していてもよい。図7(a)、(b)に示すように凹部に貫通孔を有すれば、本発明のシュリンクラベルを装着したプラスチック容器が直立している場合にも、ラベルの上下端以外から液体を排出させることができ、プラスチック容器が縦置き、横置きなどの保管時の状態に係わらず、カビや黒ずみを防止することができる。なお、図7(b)は、図7(a)のA−A’線の断面図を示す。
【0024】
このような貫通孔は、凹部に存在すれば、例えば図8に示すように、ラベル上端部と下端部にそれぞれプラスチック容器の横断面に沿って直線状に形成してもよい。なお、図8(b)は、図8(a)のA−A’線の断面図を示す。
【0025】
なお、本発明のシュリンクラベルは、図示しないが、上記した貫通孔以外に、ラベルの上端から下端に向かうミシン目などの貫通孔を有していてもよい。このミシン目によってラベル離脱を容易に行うことができる。
【0026】
本発明のシュリンクラベルは、上記した流路形成層を有するものであれば、他は従来のシュリンクラベルと同様に構成することができる。従って、上記シュリンクラベルを筒状に接着した後にプラスチック容器に外嵌して使用する場合には、シュリンクラベルの両端は、接着層を形成するものであってもよい。また、ラベルの上端部には、切り込みを施して形成されたラベルの開封用の摘み片やノッチ(切離開始部)を設けることができる。そして、当該摘み片を起点として、前記したミシン目が刻設される場合には、上方から下方に向けて破断することができる。また、下端部にも、上端部と同様に摘み片またはノッチを設けてもよい。
【0027】
なお、接着層は、基材フィルム層のラベル内側に形成され、接着層と基材フィルム層との間には、前記デザイン印刷層や流路形成層などが形成される必要はない。
本発明のシュリンクラベルは、被着体を問わない。ただし、シュリンクラベルは、スチームトンネルでスチームによってシュリンク加工されるため、シュリンク加工が一般に行われるプラスチック容器に装着されると、その効果に優れる。このようなプラスチック容器としては、清涼飲料水・調味料・酒(日本酒、麦酒、発泡酒・ワイン・焼酎・蒸留酒など)・料理用油・化粧品容器・トイレタリー・除湿剤容器・洗剤容器・アンプル瓶・栄養ドリンク・点眼薬容器・薬容器などのプラスチック容器を例示することができる。
【0028】
(2)基材フィルム層
シュリンクラベルを構成する基材フィルム層を構成するフィルムとしては、熱処理によって収縮できるものを広く使用することができ、更には、機械的、物理的、化学的強度、印刷適性を有するフィルムを使用することが好ましい。このようなフィルムは、シュリンクラベルの用途によって適宜選択することができる。例えば、ポリ乳酸系フィルム、ポリスチレン系フィルム、ポリエステル系フィルム、低密度ポリエチレンフィルム、中密度ポリエチレンフィルム、高密度ポリエチレンフィルム、低密度直鎖状ポリエチレンフィルム、環状ポリオレフィンフィルム、ポリプロピレンフィルム、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体等の樹脂から製膜された等の延伸ポリオレフィンフィルム、ポリエステル−ポリスチレン多層フィルム、不織布と収縮フィルムとのラミネートフィルム、ポリエステル−ポリスチレン共押出フィルム、6ナイロンフィルム、6,6ナイロンフィルム等のポリアミドフィルム、塩素化ポリエチレン,塩素化ポリプロピレンなどの樹脂から製膜された変性ポリオレフィンフィルム、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体の樹脂から製膜されたフィルム、アクリル系樹脂フィルム等が使用できる。
【0029】
上記フィルムは、それを構成する樹脂の1種または2種以上を使用し、押し出し法、キャスト成形法、Tダイ法、切削法、インフレーション法、その他等の製膜化法を用いて単層で製膜化したもの、または2種以上の樹脂を使用して共押し出しなどで多層製膜したもの、または2種以上の樹脂を混合使用して製膜し、テンター方式やチューブラー方式等で1軸ないし2軸方向に延伸してなる各種の樹脂フィルムを使用することができるが、シュリンクフィルムとして好適なものは、延伸フィルムであって流れ方向の一軸延伸フィルムである。また、これらフィルムは、発泡フィルムであってもよい。
【0030】
本発明では、延伸ポリエステル系フィルム、延伸ポリスチレン系フィルム、延伸ポリオレフィン系フィルム、ポリ乳酸系フィルム、発泡ポリオレフィン系フィルム、延伸ポリエステル−ポリスチレン共押出しフィルムまたは発泡ポリスチレン系フィルム、ポリエステル−ポリスチレン多層フィルムなどを好適に使用することができ、または不織布と前記フィルムとの積層フィルムであってもよい。これらの中でも、延伸ポリエステル系フィルム、延伸ポリスチレン系フィルム、延伸ポリオレフィン系フィルム、ポリ乳酸系フィルム、発泡ポリオレフィン系フィルム、発泡ポリスチレン系フィルム、ポリエステル−ポリスチレン多層フィルム、不織布と収縮フィルムとのラミネートフィルム、延伸ポリエステル−ポリスチレン共押出しフィルムからなる群から選択される1種以上のフィルムが好ましい。なお、延伸フィルムは、一軸延伸であっても二軸延伸であってもよく、一軸延伸フィルムの場合は縦一軸延伸であっても横一軸延伸であってもよい。ただし、予めシュリンクラベルを筒状にして容器に装着し、次いで熱収縮処理を行うシュリンクラベルでは、横一軸延伸フィルムが好適であるのに対し、本願発明のシュリンクラベルは、シュリンクラベルとして使用する場合であっても、横一軸延伸フィルムの限定されるものでなく、横一軸延伸、縦一軸延伸、二軸延伸フィルムのいずれをも好適に使用することができる。
【0031】
一方、本発明のラベルが、シュリンクラベルとしての効果を奏するには、延伸方向に対する熱収縮率が5〜60%であることが好ましい。なお、本発明における熱収縮率とは、テンター方式で基材フィルムの流れに対して一軸延伸した場合、その直角方向(幅方向)の熱収縮率が、100℃の沸騰水による熱収縮率とし、その算出は下記式に従うものとする。
【0032】
【数1】

なお、基材フィルム層の厚みは、特に限定されないが、耐熱性、剛性、機械適性、外観等を損なわない範囲で適宜選択され、10〜250μm程度が好ましい。
【0033】
更に、上記の基材フィルム層には、必要に応じて、滑剤、充填剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤、着色剤等の各種添加剤を添加してもよい。また、基材フィルム層の表面には、印刷性を向上させるため、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理、酸処理などの慣用の表面処理を施してもよい。
【0034】
(3)流路形成層
本発明のシュリンクラベルにおいて、流路形成層の素材や凹部の形成方法に制限はない。しかしながら、シュリンクラベルとしての特性を発揮するためには、流路形成層が隆起インキ、発泡インキ、または樹脂ビーズを含有するスウェード調インキなどのコーティング材料によって形成されることが好ましい。このようなコーティング材料によって凹部を形成する場合には、印刷技術によって流路を形成することができ、かつ既存の印刷装置を使用することができるからである。
【0035】
本発明に係る流路形成層としては、前記コーティング材料を、基材フィルム層の内面、即ち、容器側の面に、パターン状に塗布して凸部を形成することができる。
流路形成層をラベルの内側にコーティングするパターンとしては、前記図3〜8に例示した態様に限定されず、深さ4μm以上の凹部からなり、前記凹部面積が前記基材フィルム層の5〜90%であれば、特に限定はない。従って、上記以外に、流路形成層の全範囲に均等に形成される網状や格子状のパターンや、ランダムなドットのパターン等であってもよい。更に、凹部によってラベル全域に亘る文字や絵などの図柄を形成してもよい。この図柄は、例えばドットの集合によって形成したものであってもよい。このパターンを形成する格子のピッチ等は、適宜変更することができ、例えば、前記ドットの大きさは、等価円に換算して150〜250μmで絵柄を構成することができる。なお、凹部は深さ4μm以上であり、より好ましくは4〜150μm、特に好ましくは5〜60μmである。
【0036】
本発明で好適に使用できる隆起インキとしては、ポリ塩化ビニルゾル、アミノアルキッド樹脂等よりなるインキ、ウレタンアクリレート等による紫外線、または、電子線硬化性のインキ、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂よりなり、必要に応じて硬化剤、重合促進剤等を添加したものを用いることができる。かかるコーティング方法は、また、グラビア印刷、シルクスクリーン印刷等のインキ転移量が多い印刷方式が好ましく、版深35〜80μm以上のグラビア版で印刷することが好ましい。
【0037】
また、本発明のシュリンクラベルにおける流路形成層を構成する発泡インキの材料としては、一般のグラビアインキ、シルクスクリーン用インキに用いられる、天然樹脂、合成樹脂類のいずれからも選択が可能であり、例えば、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ゴム、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ニトロセルロース等のバインダーを使用することができる。
【0038】
バインダーを溶解する溶剤は、バインダーの種類と、印刷方法とによって選択されるが、例えば、グラビア印刷の場合は速乾性の溶剤を、シルクスクリーン印刷等の枚葉印刷の場合は、遅乾性の溶剤を主として配合される。
【0039】
例えば、速乾性の溶剤としては、トルオール、メチルエチルケトン、酢酸エチル、エタノール、イソプロピルアルコール等があり、遅乾性の溶剤としては、キシロール、酢酸ブチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルイソブチルケトン、ブチルアルコール等のなかから、バインダーの種類による溶解性や、印刷手段とにより適宜選択して使用することができる。
【0040】
また、発泡インキのバインダーとしては、合成樹脂ディスパージョン、メチルセルロース、ヒドロキシセルロース、澱粉等の水溶性の場合は、溶媒を水にすることができる。
上記の発泡インキに含有させる発泡剤は、低沸点炭化水素をインサイト重合法により、塩化ビニリデン、アクリロニトリルなどの共重合体の殻壁でマイクロカプセル化した熱膨張性微小球である。
【0041】
そして、その膨張倍率は、20〜70倍のものである。これを含むインキは、発泡剤の膨張倍率が20〜70倍(厚さに換算すれば、2.7〜4.1倍)の高倍率である。なお、発泡インキのバインダー溶液に、例えば、熱分解型発泡剤を分散させて作製することができる。
【0042】
なお、本発明では基材フィルム層はプラスチック容器に装着した後に熱収縮工程を経るものである。このため、前記発泡インキは、シュリンクラベルを熱収縮させる際の加熱条件で発泡できることが好ましく、シュリンクラベルに使用する基材フィルムの材質により、その熱収縮温度が異なるため一律ではないが、発泡温度、50〜120℃の範囲が好ましく、70〜100℃の範囲がより好ましい。
【0043】
シュリンクラベルを熱収縮させる場合、熱収縮の加熱条件での発泡性を実現するため、発泡剤には低沸点炭化水素を芯物質とし、ポリ塩化ビニリデン系共重合体、または、ポリアクリロニトリル系共重合体を壁物質としてマイクロカプセル化した球状粒子を用いることが好ましく、その粒径、5〜40μmが好ましく、10〜30μmがより好ましい。
【0044】
前記芯物質の低沸点炭化水素としては、例えば、n−ブタン、イソブタン、シクロペンタン、n−ペンタン、プロパンなどを使用することができる。このようなマイクロカプセルによる発泡剤は、例えば、粒径10〜30μmのもので最高膨張倍率を20〜70倍とすることができる。
【0045】
このようなマイクロカプセルによる発泡剤を用いて、例えば、グラビア印刷用の低温加熱で発泡するインキを作製する場合、溶剤に酢酸エチルやメチルエチルケトンなどを大量に使用すると、マイクロカプセルが壊れる恐れがあり、このようなエステル系およびケトン系溶剤は、できるだけ使用しないことが好ましい。そのためには、発泡性インキのバインダ−に関しても、例えば、トルエンとイソプロピルアルコール(以下、「IPA」という。)の混合系などの溶剤で溶液化でき、且つ、比較的広範囲の樹脂フィルムに接着性のよいアクリル樹脂などを用いて、その溶液に前記のマイクロカプセルを分散させて、グラビア印刷用の低温加熱発泡性インキを作製することができる。なお、発泡性インキの厚みは、4〜40μm程度が好ましい。
【0046】
本発明で使用できるスウェード調インキとしては、バインダーに樹脂ビーズを練り込み、基材フィルム層のラベル内側に凹凸形状を形成するものである。
バインダーとしては、一般的に包装材料において使用されている樹脂を使用でき、例えば、ニトロセルロース樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、ケトン樹脂等を使用することができる。
【0047】
スウェード調インキに含有させる樹脂ビーズ(マット剤)としては、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の微粒子や、バインダーの溶剤に溶解しない樹脂の微粒子等を使用することができる。
【0048】
かかる樹脂ビーズの平均粒子径としては、5〜50μmのものを使用することが好ましく、30μm程度がより好ましい。樹脂ビーズの平均粒子径が、上記の範囲内にあると、容易に上記深さの凹部を形成することができ、流路を形成することができる。なお、樹脂ビーズの平均粒子径が、5μm未満の場合には、凹部の深さが5μmとなる場合があり、凹部の形成が困難となる場合がある。
【0049】
また、前記の樹脂ビーズをバインダー中に分散させたマット剤の添加量としては、10〜20質量%程度が好ましく、17質量%程度がより好ましい。マット剤の添加量が、上記の範囲内にあると、コーティングを容易に行うことができる。
【0050】
また、かかるスウェード調インキのコーティング方法としては、グラビア印刷、シルクスクリーン印刷等のインキ転移量が多い印刷方式が好ましい。グラビア版の版深、5〜60μm程度のものを使用して印刷することにより、インキ膜厚10〜30μm程度にコーティングして流路形成層を調製することができる。
【0051】
なお、上記流路形成層は、前記インキを用いて通常の印刷法でできるが、多色(9〜11色)のグラビア印刷機等を使用することにより、色彩による絵柄を形成することもできる。
【0052】
本発明のシュリンクラベルは、流路形成層の凹部に貫通孔を有していてもよい。図7に示すように前記凹部に貫通孔を有すれば、プラスチック容器とシュリンクラベルとの間に保持された水滴などの液体を該貫通孔から外部に遺漏することができる。従って、前記貫通孔のサイズは、水滴などの液体がラベル外部に流出できることを目的として適宜選択することができる。
【0053】
また、貫通孔は、シュリンクラベルの少なくとも1の前記凹部に設けられていればよく、全ての凹部に貫通孔が設けられている必要は無い。また、凹部の数も特に制限されるものではなく、凹部以外の場所に貫通孔が設けられていてよい。従って、図8に示すように、ラベルの上端近傍や下端近傍、その他にミシン目状に貫通孔を形成してもよく、更に、ミシン目などのように貫通孔を線状に設けた場合に限定されず、任意の箇所に貫通孔を形成してもよい。なお、操作性の点から、ミシン目によって貫通孔を形成することが簡便である。
【0054】
(4)デザイン印刷層
本発明のシュリンクラベルは、基材フィルム層と前記流路形成層との間にデザイン印刷層が積層されていてもよい。また、本発明では、シュリンクラベルの全長に亘って印刷層を形成してもよいが、ラベル両端に接着部にはデザイン印刷層を設けず接着剤層のみを形成してもよい。
【0055】
印刷方法に限定はなく、例えばグラビア印刷で印刷層を形成することができる。印刷層としては、樹脂と溶媒から通常のインキビヒクルの1種ないし2種以上を調製し、これに、必要ならば、可塑剤、安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、硬化剤、架橋剤、滑剤、帯電防止剤、充填剤、その他等の助剤の1種ないし2種以上を任意に添加し、更に、染料・顔料等の着色剤を添加し、溶媒、希釈剤等で充分に混練してインキ組成物を調整して得たインキ組成物を使用することができる。
【0056】
このようなインキビヒクルとしては、公知のもの、例えば、あまに油、きり油、大豆油、炭化水素油、ロジン、ロジンエステル、ロジン変性樹脂、シェラック、アルキッド樹脂、フェノール系樹脂、マレイン酸樹脂、天然樹脂、炭化水素樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アクリルまたはメタクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アミノアルキッド系樹脂、ニトロセルロース、エチルセルロース、塩化ゴム、環化ゴム、その他などの1種または2種以上を併用することができる。インクビヒクルは、版から被印刷物に着色剤を運び、被膜として固着させる働きをする。
【0057】
また、溶剤によってインキの乾燥性が異なる。印刷インキに使用される主な溶剤は、トルエン、MEK、酢酸エチル、IPAであり、速く乾燥させるために沸点の低い溶剤を用いるが、乾燥が速すぎると印刷物がかすれたり、うまく印刷できない場合があり、沸点の高い溶剤を適宜混合することができる。これによって、細かい文字もきれいに印刷できるようになる。着色剤には、溶剤に溶ける染料と、溶剤には溶けない顔料とがあり、グラビアインキでは顔料を使用する。顔料は無機顔料と有機顔料に分けられ、無機顔料としては酸化チタン(白色)、カーボンブラック(黒色)、アルミ粉末(金銀色)などがあり、有機顔料としてはアゾ系のものを好適に使用することができる。
【0058】
上記は、グラビア印刷で説明したが、凸版印刷、スクリーン印刷、転写印刷、フレキソ印刷、その他等の印刷方式であってもよい。また、印刷は、裏印刷でも、表印刷でもよい。
【0059】
(5)外層
本発明のシュリンクラベルは、前記基材フィルム層の表面側に更に外層を設けてもよい。このような外層としては、シュリンクラベルの用途や意匠性などによって適宜選択することができ、ラベル表面の滑り性を付与する場合にはOPニスを、ラベルを触ったときの触感を付与する場合にはスエードインキによる印刷層を、マット感を付与する場合にはマットOPなどを使用することが好ましい。
【0060】
(6)表面処理
本発明には、上記シュリンクラベルのいずれかの層の形成に先立ち、予め表面処理を行った後に他の層を形成し、または積層してもよい。このような表面処理としては、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガス若しくは窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理、化学薬品等を用いて処理する酸化処理、その他等の前処理などがある。また、このような表面処理として、プライマーコート剤、アンダーコート剤、アンカーコート剤、接着剤、あるいは、蒸着アンカーコート剤等を任意に塗布し、表面処理としてもよい。
【0061】
(7)接着層
本発明において、ラベル両端に接着層を形成することができる。接着層としては、従来、シュリンクラベルに使用される溶剤や接着剤、その他を使用することができる。
【0062】
上記の溶剤としては、特に制限されないが、例えば、シクロヘキサン、ペンタン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキソラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等のエーテル系、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系等の有機溶剤を使用することができる。ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、非晶性ポリオレフィン系樹脂を積層したフィルムなどの場合には、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソランなどのエーテル系溶剤、塩化メチレンなどのハロゲン化炭化水素系溶剤、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂環族炭化水素系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸メチルなどのエステル系溶剤、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素系溶剤、トルエンなどの芳香族炭化水素系溶剤などの1種、又は2種以上の混合溶剤などの有機溶剤が例示される。溶剤によって接着することで、接着部の厚みを薄くでき、しかも熱収縮を阻害しないこため好ましい。
【0063】
一方、ホットメルト接着剤を使用して接着することもできる。本発明において、ホットメルト接着剤の熱可塑性樹脂としては、粘着剤のベースとなるものであり、可塑剤との相溶性があり、これにより使用時の凝集力が得られる。例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−イソプロピレン、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル類と、アクリル酸、マイレン酸等の不飽和カルボン酸よりなる共重合樹脂等のアクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル、スチレン−ブタジエン等が挙げられる。この中でも、自己架橋型アクリル酸エステル共重合体は、加熱時に耐水性が向上する性質を有するため、本発明のシュリンクラベルに適している。
【0064】
本発明において、ホットメルト接着剤の固形可塑剤としては、融点以下では樹脂に可塑性を与えず、結晶状態であり、加熱により溶融して樹脂中に相溶して樹脂を膨潤あるいは軟化させるので、常温では非粘着性のブロッキング防止剤となり、加熱により粘着性となる機能を有する。例えば、フタル酸ジフェニル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸ジヒドロアビエチル、イソフタル酸ジメチル、安息香酸スクロ−ス、ジ安息香酸エチレングリコ−ル、トリ安息香酸トリメチロ−ルエタン、トリ安息香酸グリセリド、テトラ安息香酸ペンタエリトリット、八酢酸スクロ−ス、クエン酸トリシクロヘキシル、N−シクロヘキシル−p−トルエンスルホンアミド等が挙げられる。融点が50〜100℃程度のものが好ましく使用できる。融点が50℃以下の場合、ラベルの保管時に接着剤を活性化する恐れがあり、使用前の保管や運搬がシビアになり、好ましくない。一方、融点が100℃以上の場合、ラベルの接着層を活性化するための効率が悪くなり、好ましくない。
【0065】
本発明において、ホットメルト接着剤の粘着付与剤は、粘着剤の粘着性能を向上させるものである。例えばテルペン樹脂、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、クマロン−インデン樹脂、スチレン系樹脂、フェノール樹脂、テルペン−フェノール樹脂、ロジン誘導体(ロジン、重合ロジン、水添ロジンおよびそれらのグリセリン、ペンタエリスリト−ル等とのエステル、樹脂酸ダイマー等)が挙げられる。
【0066】
上記固形可塑剤、熱可塑性樹脂および粘着性付与剤は、熱可塑性樹脂の粒子(固体粒子または液滴)が水中に乳化分散されているエマルション、または、熱可塑性樹脂が有機溶剤に溶解または分散して、単独あるいは2種類以上の混合物で使用することができる。また、必要に応じて分散剤や消泡剤、増粘剤等を使用することもできる。
【0067】
(8)シュリンクラベルの製造方法
本発明のシュリンクラベルが、図1(b)に示すように、基材フィルム層のラベル内側にデザイン印刷層を有する場合には、デザイン印刷層と共に、前記流路形成層をインラインで印刷してもよい。これにより生産効率よく生産できる。なお、図1(c)に示すように、基材フィルム層のラベル外側に外層を有する場合には、予め基材フィルム層にデザイン印刷層、流路形成層を形成した後に反転させて、例えば硝化綿、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、これらの2種類以上を混合した樹脂などの透明ニスなどによる印刷を行うことで形成することができる。このような外層は、0.5〜5μmで十分である。
【0068】
なお、凹部に貫通孔を設けるため、またはラベルの開封用にミシン目を刻設する場合には、例えば、レーザー光を用いてシュリンクラベルの厚さ方向に所定深さまで切り込みをいれて形成させる方法、周囲に切断部と非切断部とが繰り返し形成された円板状の刃物を押し当てて形成させる方法等により行うことができる。該貫通孔やミシン目の形成は、ラベルを製造する工程で、適宜の段階で施すことができる。なお、ラベル開封用に刻設する場合には、切離開始部を起点として、2条の縦ミシン目を設けてもよく、該ミシン目によりラベルを容易に破断することが可能である。なお、該ミシン目は、2条に限らず、1条、あるいは、3条以上の複数条を設けることも可能である。
【0069】
ラベル両端に接着層を形成するには、ダイレクトロールやグラビアロールなどを用いたロールコーター方式やエクストルージョンコーター方式やスリットオリフィスコーター方式などがあり、本発明ではどのような塗工方法でも差し支えなく、溶剤に溶解し塗工した後溶剤を取り除いても構わない。例えば、シュリンクラベルのラベル両端に接着剤層を形成するには、予め基材フィルム層にデザイン印刷層、流路形成層や外層を形成した積層フィルムに接着剤コーターや接着剤アプリケーターを用いて接着剤を塗工する方法を採用することができる。
【0070】
なお、本発明において接着剤層の形成は、シュリンクラベル原反ロールを所定サイズに切断した後に接着剤層を形成してもよく、接着剤層を形成した後に所定サイズに切断してもよい。
【0071】
(9)プラスチック容器
本発明のシュリンクラベルを添付しうる容器としては特に制限はなく、上記接着剤によって接着しうる樹脂であればよい。例えば、該容器を構成する熱可塑性樹脂層としては、ポリエステル樹脂を使用することが、軽量で、機械的強度、耐熱性、ガス遮断性、耐薬品性、保香性、衛生性等に優れるため好ましい。容器は、ポリエステル樹脂を射出成形、真空成形、圧空成形等することにより製造することができる。
【0072】
上記のポリエステル樹脂としては、具体的に、飽和ジカルボン酸と飽和二価アルコールとからなる熱可塑性樹脂が使用できる。飽和ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレン−1,4−又は2,6−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4´−ジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸類、ジフェノキシエタンジエタンジカルボン酸類等の芳香族ジカルボン酸類、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、デカン−1.10−ジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸等を使用することができる。また飽和二価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ドデカメチレングリコール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族グリコール類、シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール、2,2−ビス(4´−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、その他の芳香族ジオール類等を使用することができる。好ましいポリエステルは、テレフタル酸とエチレングリコールとからなるポリエチレンテレフタレートである。
【0073】
上記のポリエステル樹脂は、固有粘度が0.5〜1.5の範囲のものを使用でき、0.55〜0.85の範囲のものを使用することが好ましい。また、このようなポリエステルは、溶融重合で製造され、180〜250℃の温度下で減圧処理または不活性ガス雰囲気で熱処理されたもの、または固相重合して低分子量重合物であるオリゴマーやアセトアルデヒドの含有量を低減させたものが好ましい。
【0074】
また、本発明に係る容器は、上記熱可塑性樹脂層の単層からなるものであってもよいが、ガスバリア性や遮光性を確保するために、多層構造としてもよい。
ガスバリア性樹脂層としては、酸素、炭酸ガス等のガスバリア性に優れるものとして、共重合ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エチレンビニルアルコール共重合樹脂(以下「EVOH」ともいう。)、ポリグリコール酸(以下「PGA」ともいう。)、ハイニトリル樹脂、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリルとメチルアクリレートとブタジエンとのコポリマー(商品名:バレックス)、ポリ塩化ビニル、メタキシリレンジアミンとアジピン酸とからなるナイロンMXD6、ポリエチレンイソフタレート系コポリマー、及び各種の液晶ポリエステル等使用できる。より具体的には、B010(三井ペット樹脂(株)製共重合ポリエステル樹脂)、MXナイロン(三菱ガス化学(株)製ポリアミド樹脂)、XYDAR(ダートコ製)、VECTRA(セラニーズポリプラスチック製)、エコノール(住友化学製)、ロッドラン(ユニチカ製)、EPE(三菱化成製)、X7G(イーストマン製)、ULTRAX(BASF製)等がある。
【0075】
またガスバリア性と水分バリア性の両方に優れたものとしては、テレフタル酸、エチレングリコール及びシクロヘキサンジメタノールからなるポリエチレンコポリマー(PETG)と、エチレンビニルアルコール共重合体とのブレンドポリマーや、上記PETGとポリビニルアルコールとのブレンドポリマー等を使用することができる。
中でも、ナイロンMXD−6は、遷移金属化合物を触媒量添加して使用することにより、酸素を遮断し、かつ酸素を捕捉することができるので、ボトル容器内の酸素を実質的にゼロにできるので内容物の酸化防止性に優れる点で好ましい。
【0076】
上記のナイロンMXD−6に添加する遷移金属系触媒は、酸素との反応性高めるために必要であり、具体的に、例えば、コバルト、マンガン、ニッケル、銅、ロジウム、ルテニウム等を使用でき、中でもコバルトを使用することが好ましい。
上記の遷移金属は、通常、炭酸塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、第三リン酸塩、第二リン酸塩、有機酸塩、ハロゲン化物等と組み合わせて使用され、中でも、2−エチルへキサン酸コバルト、ネオデカン酸コバルト、ステアリン酸コバルト等のような遷移金属塩を使用することが好ましい。
【0077】
当該金属塩の添加量としては、当該樹脂組成物に対して0.001%〜1%程度で使用することが好ましい。
なお、酸素を捕捉する機能を付与した容器とするには、例えば、上記のMXD−6ナイロン以外に、ポリブタジエン、ポリイソプレンのポリオレフィン系樹脂、グリコール、ポリブタジエンジオール等のジオール系樹脂等と遷移金属を添加した樹脂組成物、及び還元性で水に不溶なもの、例えば、アルカリ土類金属の水酸化物、亜硫酸塩、炭酸塩、アスコルビン酸等の有機酸塩を使用することができ、更に、必要に応じて上記の増感材を使用することができる。増感剤としては、具体的に、例えば、ベンゾフェノン、o−メトキシベンゾフェノン、アセトフェノン、o−メトキシアセトフェノン、アセナフテンキノン、メチルエチルケトン、バレロフェノン、ヘキサノフェノン、α−フェニルブチロフェノン、p−モルホリノプロピオフェノン、ジベンゾスベロン、4−モルホリノベンゾフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等を使用できる。
【0078】
また、上記のガスバリア性樹脂層は、上記の熱可塑性樹脂層を構成する樹脂を含有できる。このことによって、熱可塑性樹脂層とガスバリア性樹脂層との層間密着性を向上させることができるという利点を有する。
【0079】
更に、本発明において、前記の容器を構成する熱可塑性樹脂層やガスバリア性樹脂層の樹脂中には、紫外光を吸収する光吸収剤を含有してもよい。更に、容器を形成する樹脂中に、本発明の目的を損なわない範囲で滑剤、安定剤、酸化防止剤、熱劣化防止剤、帯電防止剤、抗菌剤等の添加剤やその他の樹脂を適量加えることができる。なお、上記ガスバリア層は、熱可塑性樹脂の重量に対して5質量%以下であることが好ましい。5質量%を超えると、容器の再生PET樹脂の用途が限定されてしまうため好ましくない。
【0080】
本発明で使用する容器の内側には、更に遮光性、ガスバリア性を確保するため無機酸化物蒸着層を積層してもよい。酸素ガスバリア性、水蒸気バリア性に優れると共に、容器を構成する樹脂からの溶出物を抑制することができ、保香性に優れ、充填物を長期間にわたって品質維持できるため好ましい。上記薄膜は、化学気相成長法により形成することができる。
【0081】
本発明において、口部に装着されるキャップ本体は、耐熱性、耐圧性、耐水性、遮光性を有することが必要である。前記のキャップ本体は、具体的には、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合体(ABS樹脂)、ポリアセタ−ル系樹脂、その他等の耐熱性等に富む樹脂を使用し、射出成形法等を利用して製造することができる。上記において、ピルファープループ性機能を有する環状体を設けたキャップ等であってもよい。この場合も、上記のような樹脂を使用し、その形状に合致した成形金型等を使用し、射出成形法等を利用して製造することができる。また、上記のキャップには、酸素ガスバリア性を付与するために、アルミニウム等の金属製、あるいは上記の耐熱性等に富む樹脂層の内面側に酸素ガスバリア性樹脂層を設けた構造からなるプラスティック製キャップを使用することができる。また、プラスチックキャップの仕様としては、酸素ガス吸収性樹脂層をインシェルモールドによりキャップ内面側に形成する1ピース仕様のものでも良く、あるいは、同機能を有するシート、いわゆるライナーを内面側に貼り合わせる2ピース仕様のものでも良い。
【0082】
プラスチック容器の形状としては、四角、八角などの多角型であってもよい。また、胴部の全長に亘って同一径である場合に限定されず、容器の胴部縦断面が四角である以外に、たとえばひょうたん型などであってもよい。より好ましくは、図9や図10に示すような、容器の中央部に窪みを有するプラスチック容器である。このような中央部の窪みは、日本茶、中国茶などに代表される加熱殺菌工程を含む容器であり、加熱時の温度変化を吸収できるように中央部に窪みが形成されている。このような窪みが存在すると、ラベルとプラスチック容器との間の密着部が少ないため、その間に存在する水滴などがラベル端部から排出することが容易となる。これに対し、例えば炭酸含有飲料などは、加熱処理を行わないためプラスチック容器の中央部に窪みを形成することが少ない。このため、シュリンクラベルとプラスチック容器との密着面積が多い。しかしながら、本発明のシュリンクラベルは前記した流路形成層を有するため、炭酸含有飲料などのようにラベルと容器との間の間隙が少ない形状の容器であっても、スチームトンネルを通過した後に付着した水滴を、効率的に排出することができる。
【0083】
(10)シュリンクラベル装着プラスチック容器
本発明では、例えば、前記シュリンクラベルの両端の接着剤層を介して筒状に張り合わせ、これをプラスチック容器に装着し、その後、ラベルを熱収縮させることでシュリンクラベル装着プラスチック容器を製造することができる。本発明のシュリンクラベルは、流路形成層を有する点に特徴があり、他は従来のシュリンクラベルと共通するため、従来のラベル貼着装置を使用して、シュリンクラベル装着プラスチック容器を製造することができる。
【0084】
本発明のシュリンクラベル装着プラスチック容器は、従来のシュリンクラベルと比べて流路形成層の凹凸部によって構成される厚みがあるため、水滴などの液体をラベル外に排出しうると共にプラスチック容器の保護作用がある。水滴などの付着は目視によって確認することができる。
【実施例】
【0085】
次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は何ら本発明を制限するものではない。
実施例1
基材フィルムとして、厚さ45μmの1軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム(東洋紡株式会社製、製品名「S7542」)を準備した。前記の1軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムの裏面に、両端の接着層以外の箇所にグラビア印刷インキを使用し、グラビア印刷方式にて、文字、記号、図形、絵柄等からなる所定の印刷を裏刷り印刷してデザイン印刷層を形成した。
【0086】
次に、平均粒径約20μmのアクリル樹脂ビーズをアクリル樹脂からなるバインダーに分散させたスウェード調インキ(大日精化株式会社製、製品名「OS−MスエードOPニス」、添加剤:VYS、スウェードDP添加剤)を、前記デザイン印刷層の上に、版深60μmのグラビアコーティングにて凹部の深さ12μm、凹部面積がデザイン印刷層の30%となるように塗工して流路形成層を形成した。
【0087】
次いで、フィルムを反転し、前記基材フィルム層のラベル外側に、厚さ3μmのOPニス層を形成した。
得られた広巾印刷フィルムを4列にスリットし、同時にミシン刃を使用して貼り合わせ部を挟んで12mm間隔で2本、1mmの孔と1mmのつなぎのピッチでミシン目を入れた。その後、ジオキソランを塗布してラベル両端を筒状に貼り合わせており径114mmのラベルを作成した。
【0088】
得られたロール状ラベルをラベル貼着機に装着し、ロータリー式カッターで160mmピッチでカットし、同時に上から20mm、下から20mmの位置に1mm孔と1mmつなぎのピッチで孔を入れた。次いで、このラベルを、図9に示す、容量500ml、容器中央部に長楕円形の窪みを6箇所形成した円筒状プラスチック容器に外嵌し、および熱収縮処理を行ってシュリンクラベル付プラスチック容器を調製した。
【0089】
このプラスチック容器に装着されるラベルの流路形成層には、深さ12μm、デザイン印刷層の30%の面積の凹部が形成されていた。

実施例2
流路形成層として、凹部面積がデザイン印刷層の60%となるように塗工する以外は実施例1と同様に操作してシュリンクラベル付プラスチック容器を調製した。
【0090】
このプラスチック容器に装着されるラベルの流路形成層には、深さ9μm、デザイン印刷層の60%の面積の凹部が形成されていた。

実施例3
流路形成層として、凹部面積がデザイン印刷層の90%となるように塗工する以外は実施例1と同様に操作してシュリンクラベル付プラスチック容器を調製した。
【0091】
このプラスチック容器に装着されるラベルの流路形成層には、深さ4μm、デザイン印刷層の90%の面積の凹部が形成されていた。

実施例4
基材フィルムとして、厚さ40μmのフィルム(三菱樹脂株式会社製、製品名「DL301s」、ポリエチレンテレフタレート樹脂・ポリスチレン樹脂共押出し多層フィルム)の熱収縮フィルムを準備した。
【0092】
前記の積層フィルムの裏面に、両端の接着層以外の箇所にグラビア印刷インキを使用し、グラビア印刷方式にて、文字、記号、図形、絵柄等からなる所定の印刷を裏刷り印刷してデザイン印刷層を形成した。
【0093】
次に、ウレタン樹脂系の盛り上げインキ(製品名「KKBキュアUマットメジウム」、大日精化株式会社製)を、前記デザイン印刷層の上に、グラビアコーティングにて凹部の深さ12μm、凹部面積がデザイン印刷層の30%となるように塗工して流路形成層を形成した。
【0094】
得られた広巾印刷フィルムを4列にスリットし、同時にミシン刃を使用して貼り合わせ部を挟んで12mm間隔で2本、1mmの孔と1mmのつなぎのピッチでミシン目を入れた。その後、テトラヒドロフラン(THF)を塗布してラベル両端を筒状に貼り合わせており径114mmのラベルを作成した。
【0095】
得られたロール状ラベルをラベル貼着機に装着し、ロータリー式カッターで160mmピッチでカットし、同時に上から20mm、下から20mmの位置に1mm孔と1mmつなぎのピッチで孔を入れた。次いで、このラベルを、図9に示す、容量500ml、容器中央部に長楕円形の窪みを6箇所形成した円筒状プラスチック容器に外嵌し、および熱収縮処理を行ってシュリンクラベル付プラスチック容器を調製した。
【0096】
このプラスチック容器に装着されるラベルの流路形成層には、深さ12μm、デザイン印刷層の30%の面積の凹部が形成されていた。

実施例5
流路形成層として、凹部面積がデザイン印刷層の60%となるように塗工する以外は実施例4と同様に操作してシュリンクラベル付プラスチック容器を調製した。
【0097】
このプラスチック容器に装着されるラベルの流路形成層には、深さ9μm、デザイン印刷層の60%の面積の凹部が形成されていた。

実施例6
流路形成層として、凹部面積がデザイン印刷層の90%となるように塗工する以外は実施例4と同様に操作してシュリンクラベル付プラスチック容器を調製した。
【0098】
このプラスチック容器に装着されるラベルの流路形成層には、深さ4μm、デザイン印刷層の60%の面積の凹部が形成されていた。

比較例1
基材フィルムとして、厚さ45μmの1軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム(東洋紡株式会社製、製品名「S7542」)を準備した。前記の1軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムの裏面に、両端の接着層以外の箇所にグラビア印刷インキを使用し、グラビア印刷方式にて、文字、記号、図形、絵柄等からなる所定の印刷を裏刷り印刷してデザイン印刷層を形成した。
【0099】
次いで、フィルムを反転し、前記基材フィルム層のラベル外側に、厚さ3μmのOPニス層を形成した。
得られた広巾印刷フィルムを4列にスリットし、同時にミシン刃を使用して貼り合わせ部を挟んで12mm間隔で2本、1mmの孔と1mmのつなぎのピッチでミシン目を入れた。その後、シロキサンを塗布してラベル両端を筒状に貼り合わせており径114mmのラベルを作成した。
【0100】
得られたロール状ラベルをラベル貼着機に装着し、ロータリー式カッターで160mmピッチでカットし、同時に上から20mm、下から20mmの位置に1mm孔と1mmつなぎのピッチで孔を入れた。次いで、このラベルを、図9に示す、容量500ml、容器中央部に長楕円形の窪みを6箇所形成した円筒状プラスチック容器に外嵌し、および熱収縮処理を行ってシュリンクラベル付プラスチック容器を調製した。

比較例2
基材フィルムとして、厚さ45μmのフィルム(三菱樹脂株式会社製、製品名「DL301s」、ポリエチレンテレフタレート樹脂・ポリスチレン樹脂共押出し多層フィルム)の熱収縮フィルムを準備した。
【0101】
前記の積層フィルムの裏面に、両端の接着層以外の箇所にグラビア印刷インキを使用し、グラビア印刷方式にて、文字、記号、図形、絵柄等からなる所定の印刷を裏刷り印刷してデザイン印刷層を形成した。
【0102】
得られた広巾印刷フィルムを4列にスリットし、同時にミシン刃を使用して貼り合わせ部を挟んで12mm間隔で2本、1mmの孔と1mmのつなぎのピッチでミシン目を入れた。その後、ジオキソランを塗布してラベル両端を筒状に貼り合わせており径114mmのラベルを作成した。
【0103】
得られたロール状ラベルをラベル貼着機に装着し、ロータリー式カッターで160mmピッチでカットし、同時に上から20mm、下から20mmの位置に1mm孔と1mmつなぎのピッチで孔を入れた。次いで、このラベルを、図9に示す、容量500ml、容器中央部に長楕円形の窪みを6箇所形成した円筒状プラスチック容器に外嵌し、および熱収縮処理を行ってシュリンクラベル付プラスチック容器を調製した。

実験
上記実施例1〜6、および比較例1、2で得たシュリンクラベル付プラスチック容器をそれぞれ24本づつ、スチームトンネルでシュリンクした後に表面の水滴は拭き取り、5分後に各実施例または比較例のシュリンクラベル付プラスチック容器24本をそれぞれ段ボールへ入れフタを閉め15℃・60%の環境下に保管し経時でラベルと容器の間の水滴が無くなるまでの日数及び容器の外観を確認した。結果を表1に示す。
【0104】
なお、表中◎は水滴なし、○は薄っすら水跡が残る、△は、水跡が残る、を示す。
【0105】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明に係るシュリンクラベルは、従来のシュリンクラベル製造装置を使用して製造することができ、該ラベルを装着したプラスチック容器は、スチームトンネルのスチームによるシュリンク加工の後の水滴の排出が容易で、黒ずみなどを防止することができ、有用である。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】図1(a)〜(c)は、本発明で使用するシュリンクラベルの層構成を説明する横断面図である。
【図2】本発明のシュリンクラベルの流路成型層における凹部を説明する図である。
【図3】本発明のシュリンクラベルの流路成型層において、凹部が縦縞状に形成されることを説明する図である。
【図4】本発明のシュリンクラベルの流路成型層において、凹部が縦縞状に形成される他の態様を示す図である。
【図5】本発明のシュリンクラベルの流路成型層において、凹部が不定形に形成されることを説明する図である。
【図6】本発明のシュリンクラベルの流路成型層において、凹部がラベル上下に亘って連通しない状態を説明する図である。
【図7】図6のシュリンクラベルにおいて、流路成型層の凹部に貫通孔が設けられている状態を説明する図である。
【図8】図5のシュリンクラベルにおいて、流路成型層の凹部に貫通孔が設けられている状態を説明する図であって、かつラベル上端および下端にミシン目が形成されている状態を示す図である。
【図9】本発明のシュリンクラベルを装着するに好適なプラスチック容器の側面図である。
【図10】本発明のシュリンクラベルを装着するに好適なプラスチック容器の側面図である。
【符号の説明】
【0108】
10・・・基材フィルム層、
20・・・流路形成層、
30・・・デザイン印刷層、
40・・・外層、
R・・・流路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック容器の胴部外周面に装着して用いられるシュリンクラベルであって、
少なくとも基材フィルム層と流路形成層とから構成され、
前記流路形成層は、前記シュリンクラベルの最内層を構成し、深さ4μm以上の凹部を有し、前記凹部面積が前記基材フィルム層の5〜90%であることを特徴とする、シュリンクラベル。
【請求項2】
前記流路形成層は、前記凹部を前記ラベルの上下方向に縞状に構成したものである、請求項1に記載のシュリンクラベル。
【請求項3】
前記流路形成層は、前記凹部を不定形に構成したものである、請求項1に記載のシュリンクラベル。
【請求項4】
前記凹部は、ラベルの上下方向の全長に亘って連通することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のシュリンクラベル。
【請求項5】
前記凹部は、シュリンクラベルを貫通する貫通孔を有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のシュリンクラベル。
【請求項6】
前記流路形成層は、隆起インキ、発泡インキ、または樹脂ビーズを含有するスウェード調インキを、基材フィルム層の内側にパターン状に印刷して凹部を形成したものである、請求項1〜5のいずれかに記載のシュリンクラベル。
【請求項7】
前記基材フィルム層は、延伸ポリエステル系フィルム、延伸ポリスチレン系フィルム、延伸ポリオレフィン系フィルム、ポリ乳酸系フィルム、発泡ポリオレフィン系フィルム、発泡ポリスチレン系フィルム、ポリエステル−ポリスチレン多層フィルム、不織布と収縮フィルムとのラミネートフィルムおよび延伸ポリエステル−ポリスチレン共押出しフィルムからなる群から選択される1種以上のフィルムである、請求項1〜6のいずれかに記載のシュリンクラベル。
【請求項8】
更に、基材フィルム層のラベル内側にデザイン印刷層が形成されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載のシュリンクラベル。
【請求項9】
前記基材フィルム層は、基材フィルム層のラベル表面側に更に外層が積層されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載のシュリンクラベル。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載のシュリンクラベルがプラスチック容器に装着されたシュリンクラベル装着プラスチック容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−241472(P2010−241472A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−93556(P2009−93556)
【出願日】平成21年4月8日(2009.4.8)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】