説明

シュレッダ

【課題】転倒検知センサによる駆動部の誤作動を防止し、確実に転倒状態を検知することができるようにしたシュレッダを提供する。
【解決手段】ケース本体2内の上部に、投入口6から投入された紙・書類等の被細断物Aを駆動部14により細断駆動する細断部13、13を設け、前記ケース本体内の下部に、前記細断部で細断した細断屑を収容するゴミ箱Bが装填収納される収納部2bを設けたシュレッダにおいて、前記ケース本体に、当該ケース本体が所定の角度傾倒したことを検知する検知手段17a、17bを設け、該検知手段の作動により、前記駆動部を停止させるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば紙・書類等の不用紙を細断処理するシュレッダに係り、特に、細断時における転倒状態を検出可能にしたシュレッダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のシュレッダにおいては、紙・書類等の不用紙(以下、これを被細断物という)の細断中に、地震等の衝撃で転倒する可能性があり、転倒した場合には、直ちに、モータを停止させて、細断を中止する必要がある。
【0003】
そこで、このようなシュレッダの転倒状態を検知するには、例えば、内部にフォトセンサを内蔵してボールの転動でON/OFFする非接触型の振子スイッチからなる高精度で信頼性の高い転倒検知センサをケース本体内に組み込み、その作動でモータを停止させるように制御することが考えられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記したような転倒検知センサを用いた場合、高精度であるが故に、ケース本体が転倒しなくても、僅かな振動や衝撃で作動して、モータを停止させてしまい、誤作動を招き易いという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、転倒検知センサによる駆動部の誤作動を防止し、確実に転倒状態を検知することができるようにしたシュレッダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
【0007】
(1)ケース本体内の上部に、投入口から投入された紙・書類等の被細断物を駆動部により細断駆動する細断部を設け、前記ケース本体内の下部に、前記細断部で細断した細断屑を収容するゴミ箱が装填収納される収納部を設けたシュレッダにおいて、前記ケース本体に、ケース本体が所定の角度傾倒したことを検知する検知手段を設け、該検知手段の作動により、前記駆動部を停止させる。
【0008】
(2)上記(1)項において、前記検知手段は、前記ケース本体の初期傾倒検知時から一定の時間経過中における連続検知後に、前記駆動部を停止させ、警報を発しさせるようにする。
【0009】
(3)上記(1)項または(2)項において、前記検知手段は、前記ケース本体の初期傾倒状態を検知する第1の転倒検知センサと、前記ケース本体の傾倒角度を検知する第2の転倒検知センサとの組合せからなり、前記第2の転倒検知ンサで前記ケース本体の傾倒角度が所定の角度以上を検知するまで作動させないようにする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によると、検知手段の作動により、ケース本体の転倒を、誤作動をなくして、確実に検知することができる。
【0011】
請求項2記載の発明によると、ケース本体の初期傾倒検知時から一定の時間経過中における連続検知後に検知手段を作動させて、駆動部を停止させることから、駆動部の誤作動を確実に防止することができる。
【0012】
請求項3記載の発明によると、第1の転倒検知センサで僅かな振動や衝撃によるケース本体の初期傾倒状態を検知しても、第2の転倒検知センサが、ケース本体の傾倒角度が所定の角度以上を検知するまで作動させないようになっているため、駆動部の誤作動を確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を図面に基づいて詳細に説明すると、図1は、本発明のシュレッダの一実施形態における斜視図、図2は、縦断側面図、図3は、投入口における挿入通路を形成する上下ガイド板による作動状態を概略的に示す要部拡大縦断側面図、図4は、各検知手段による駆動系及び警報系の制御ブロック図、図5は、ケース本体の転倒検知手段による駆動部の制御状態を示すフローチャートである。
【0014】
本実施形態のシュレッダ(1)は、図1及び図2に示すように、ケース本体(2)が、平面視前後が短辺で、左右が長辺の縦長の有底筒状体からなり、上方が開放し、上下に収納空間(2a)(2b)が区画形成されているとともに、その外周面の前面が開口するように開放されている。
【0015】
前記ケース本体(2)内の上部収納空間(2a)には、細断ユニット(3)が取外し可能に組付け配置されている。前記細断ユニット(3)は、前部に操作パネル(4)を備えた上面カバー(5)を有し、この上面カバー(5)の上面略中央部には、紙・書類等の被細断物(A)が投入される投入口(6)が形成されている。この投入口(6)は、ケース本体(2)の後方に向けて所定の角度で下降傾斜する上下一対のガイド板(7)(8)で形成されている。上側ガイド板(7)は、先端部(7a)を下方に屈曲させて上面カバー(5)に固定されており、下側ガイド(8)は、その先端部(8a)を上側ガイド板(7)の先端部(7a)より前方内側に位置させて垂下状態で屈曲させてなるとともに、その後端部(8b)が軸(9)によりカバー(5)に枢着されて、先端部(8a)側が下方に傾動自在に取り付けられている。
【0016】
前記上側ガイド板(7)と下側ガイド(8)とは、図3に示すように、数枚の紙類が重ね状態で挿入可能な挿入通路(10)を形成するような間隔(a)で平行に配置され、この間隔(a)を維持するように、下側ガイド(8)が板バネ(11)により上方に付勢されており、前記投入口(6)から挿入通路(10)の間隔(a)以上の予測される異物や厚紙等が挿入されたとき、下側ガイド(8)が板バネ(11)の付勢力に抗して下方に傾動し、この傾動による下側ガイド(8)の移動をリミットスイッチからなる厚物センサ(12)で検知するようになっている。
【0017】
また、上側ガイド板(7)の先端部(7a)は、下側ガイド(8)の先端部(8a)と対面するように屈曲し、挿入通路(10)から細断能力以上の硬物類、例えばプラスチックや金属板等が挿入されたとき、その挿入を抑止するとともに、更なる挿入に伴って硬物類の先端を下方に向け移動させて、下側ガイド(8)を板バネ(11)の付勢力に抗して下方に傾動させ、この傾動による下側ガイド(8)の移動を、リミットスイッチからなる厚物センサ(12)で検知するようになっている。
【0018】
前記上面カバー(5)における投入口(6)の下部には、細断部となる前後一対の細断ローラ(13)(13)が噛合せ配置され、これら細断ローラ(13)(13)間の上部には、前記投入口(6)から挿入通路(10)を経て、被細断物(A)が投入されるようになっている。前記細断ローラ(13)(13)は、上面カバー(5)の下部に隣接させて配置された正逆転可能なモータ(14)に連動し、このモータ(14)の正転駆動により、被細断物(A)の細断駆動が行われるようになっている。
【0019】
前記ケース本体(2)内の下部収納空間(2b)には、前面の開口部(15)から前記細断部で細断した細断屑を収容するゴミ箱(B)が出し入れ可能に装填収納されるようになっている。そして、前記下部収納空間(2b)の内底面には、リミットスイッチからなるゴミ箱検知センサ(16)が設置されており、このゴミ箱検知センサ(16)は、前記ゴミ箱(B)の有無による装填状態を検知している。
【0020】
前記ケース本体(2)には、第1の転倒検知センサ(17a)が後方上部に、第2の転倒検知センサ(17b)が底面中央部にそれぞれ設置され、前記第1の転倒検知センサ(17a)は、例えば、内部にフォトセンサを内蔵してボールの転動でON/OFFする非接触型の振子型スイッチのような僅かな振動や衝撃で作動する高精度で信頼性の高いセンサからなり、ケース本体(2)の初期転倒状態を検知する一方、前記第2の転倒検知センサ(17b)は、例えばロッドセンサからなり、ケース本体(2)の約20度の傾倒角度以上を検知するように作動し、これらの組合せによりケース本体(2)の転倒を検知する検知手段を構成している。
【0021】
また、前記ケース本体(2)の前面には、扉(18)が開閉自在に設けられており、この扉(18)の開閉状態は、ケース本体(2)の扉ヒンジ部(18a)近傍に設けたリミットスイッチからなる扉開検知センサ(19)により検知されるもので、この扉開検知センサ(19)は、扉(18)の開状態で、駆動部のモータ(14)を停止し、扉(18)の閉状態では、モータ(14)の駆動を許容するように制御している。
【0022】
さらに、前記上面カバー(5)の投入口(6)には、図1に示すように、左右一対の用紙センサ(20)(20)が設置されており、これらの用紙センサ(20)は、図2及び図3に示すように、前記投入口(6)を上側ガイド板(7)と下側ガイド(8)とで形成する挿入通路(10)を間に存して設けた投光素子(20a)と受光素子(20b)とからなり、被細断物(A)の挿入及び幅を検知するようになっている。
【0023】
ところで、前記操作パネル(4)上には、図1に示すように、スタート/リスタート釦(リセット釦)(21a)、リバース釦(21b)、ストップ釦(21c)等のボタンスイッチ類(21)や、電源、運転停止中、厚物有り、ゴミ箱満杯、扉開・ゴミ箱なし、モータ過熱等を表示するLED表示ランプ群(22)が設けられている。これらのボタンスイッチ類(21)や、上述したゴミ箱検知センサ(16)、第1及び第2の転倒検知センサ(17a)(17b)、用紙センサ(20)は、図4に示すように、その他のセンサ(23)等と共にマイコンからなるコントローラ(24)に接続され、このコントローラ(24)により、第1及び第2の転倒検知センサ(17a)(17b)によるケース本体(2)の転倒状態の検知時に、モータドライバ(25)を介してモータ(14)を停止させるように制御するとともに、ブザードライバー(26)を介してブザー(27)により警報を発しさせるように制御している。
【0024】
次に、前記ケース本体(2)の転倒検知手段による駆動部の制御状態を図5に基づいて説明する。なお、スタートモードとしては、オートモードと手動モードとに選択的に切換え可能になっており、本実施形態においては、オートモードを例に説明する。
【0025】
まず、ステップ(以下、STと略記する)1において、用紙センサ(20)により被細断物(A)の検知が行われる。被細断物(A)が上面カバー(5)の投入口(6)に投入され、用紙センサ(20)がON(検出)になると、ST2でモータ(14)が正転駆動し、ST3に移行する。ST1において、用紙センサ(20)がOFF(非検出)の場合には、元に戻る。
【0026】
ST3では、全ての安全検知センサ条件が正常、すなわち、全ての安全検知センサがOFF(非検出)の場合には、モータ(14)の正転駆動による細断ローラ(13)(13)の駆動で、被細断物(A)の細断が行われる(ST4)。この状態で、用紙センサ(20)がOFFになり、被細断物(A)の投入終了が判断されると(ST5)、5秒後にモータ(14)の運転が停止され(ST6)、細断を終了し、オートスタートの待機状態に戻る。また、ST5において、用紙センサ(20)がON状態を続行している場合には、ST2に戻り、用紙センサ(20)がOFFになるまで、被細断物(A)の細断が行われる。
【0027】
ST3において、全てのセンサ条件に異常がある場合、すなわち、本実施形態でのケース本体(2)の転倒検知手段に異常がある場合には、ST7に移行し、ケース本体(2)の転倒状況が判断される。
【0028】
ST7において、第1の転倒検知センサ(17a)がON(傾きあり)で、第2の転倒検知センサ(17b)がOFF(傾きなし)の場合には、僅かな振動もしくは衝撃で作動したと判断して、1秒間以上の定周期サンプルを行い、その間、モータ(14)の運転を続行する。これにより、モータ(14)が誤停止しないようにする。
【0029】
そして、ST7において、第1の転倒検知センサ(17a)で所定回数連続して信号が検知され、かつ、第2の転倒検知センサ(17b)がON(傾きあり)となって、ケース本体(2)が約20度以上の角度に傾動したとき、「転倒」と認識し、モータ(14)の運転を停止させるとともに(ST8)、ブザー(27)を呼応させる(ST9)。これにより、ケース本体(2)の転倒状態を確実に検知することができる。このとき、ケース本体(2)の転倒を戻して、電源を一度OFFにしない限り、モータ(14)の運転は起動可能に復旧しないようになっている。
【0030】
ST7において、モータ(14)の運転が起動可能に復旧し、第1及び第2の転倒検知センサ(17a)(17b)がOFFなると、その他のルーチンへ移行し(ST10)、他のセンサ条件が正常であると判断された場合に、スタート/リスタート釦(21a)をONにして(ST11)、オートスタートの待機状態に戻る。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明のシュレッダの一実施形態における斜視図である。
【図2】縦断側面図である。
【図3】投入口における挿入通路を形成する上下ガイド板による作動状態を概略的に示す要部拡大縦断側面図である。
【図4】各検知手段による駆動系及び警報系の制御ブロック図である。
【図5】ケース本体の転倒検知手段による駆動部の制御状態を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0032】
(1) シュレッダ
(2) ケース本体
(2a) 上部収納空間
(2b) 下部収納空間(収納部)
(3) 細断ユニット
(4) 操作パネル
(5) 上面カバー
(6) 投入口
(7) 上側ガイド板
(7a) 先端部
(8) 下側ガイド板
(8a) 先端部
(8b) 後端部
(9) 軸
(10) 挿入通路
(11) 板バネ
(12) 厚物センサ
(13) 細断ローラ(細断部)
(14) モータ(駆動部)
(15) 開口部
(16) ゴミ箱検知センサ
(17a) 第1の転倒検知センサ
(17b) 第2の転倒検知センサ
(18) 扉
(18a) 扉ヒンジ部
(19) 扉開検知センサ
(20) 用紙センサ
(20a) 投光素子
(20b) 受光素子
(21) ボタンスイッチ類
(21a) スタート/リスタート釦
(21b) リバース釦
(21c) ストップ釦
(22) LED表示ランプ群
(23) その他のセンサ
(24) コントローラ
(25) モータドライバ
(26) ブザードライバ
(27) ブザー
(A) 被細断物
(B) ゴミ箱
(a) 間隔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース本体内の上部に、投入口から投入された紙・書類等の被細断物を駆動部により細断駆動する細断部を設け、前記ケース本体内の下部に、前記細断部で細断した細断屑を収容するゴミ箱が装填収納される収納部を設けたシュレッダにおいて、
前記ケース本体に、ケース本体が所定の角度傾倒したことを検知する検知手段を設け、該検知手段の作動により、前記駆動部を停止させることを特徴とするシュレッダ。
【請求項2】
前記検知手段は、前記ケース本体の初期傾倒検知時から一定の時間経過経過中における連続検知後に、前記駆動部を停止させ、警報を発しさせるようにした請求項1記載のシュレッダ。
【請求項3】
前記検知手段は、前記ケース本体の初期傾倒状態を検知する第1の転倒検知センサと、前記ケース本体の傾倒角度を検知する第2の転倒検知センサとの組合せからなり、前記第2の転倒検知センサで前記ケース本体の傾倒角度が所定の角度以上を検知するまで作動させないようにした請求項1または2に記載のシュレッダ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate