説明

シュー間隙自動調整装置

【課題】シュー間隙自動調整装置を構成する部品点数の削減を図ることと、組み付け性を改善すること。
【解決手段】駆動部材50の基部51をストラット30に止着すると共に、腕部54を一体に形成した駆動部材50の作動部53をブレーキシュー11とストラット30の間に介挿し、駆動部材50の弾性力を利用してブレーキシュー11の拡開に追従するように駆動部材50の作動部53と共に腕部54を揺動させ、腕部54の先端の爪部54aがストラット30の調整歯33aを回転させてストラット30の全長を伸長させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はドラムブレーキ装置に適用可能なシュー間隙自動調整装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ブレーキシューのライニングの摩耗によってシュー間隙が増大したとき、一対のブレーキシューの間に掛け渡したストラットと、前記ストラットと一体の調整歯にラチェット係合して回動させる駆動部材との協働によりストラットの全長を伸長させてシュー間隙を自動的に調整するシュー間隙自動調整装置が、特許文献1により開示されている。
【0003】
特許文献1に開示されたストラットは、図19及び図20に示すように、調整歯62aを形成したナット部材62にボルト部材61を螺合したねじ係合体と、ボルト部材61のねじ軸部に滑嵌合し、その嵌合部の端面に後で詳説するレバー装置73を介してナット部材62を当接させたソケット部材63とから構成され、ボルト部材61およびソケット部材63の一端部が図示しないブレーキシューに夫々係合している。
そして、ソケット部材63にリベット64で基端を固着した弾性ブレード71と、弾性ブレード71の自由端にオフセットして支持され、先端が前記したナット部材62に一体形成した調整歯62aに係合した爪部材72と、ボルト部材61にワッシャ部73bを外装し、ワッシャ部73bから一体に延出させた腕部73aが弾性ブレード71の裏面を支持するレバー装置73とから構成される駆動部材70がストラット60に組み付けられ、シュー間隙自動調整装置を構成している。
【0004】
上記したシュー間隙自動調整装置の作動について説明すると、レバー装置73により弾性ブレード71がナット部材62の調整歯62aから離隔する方向に支持されていて、一対のブレーキシューの拡開に伴いレバー装置73のワッシャ部73bがナット部材62とソケット部材63の端面間で傾倒すると共に腕部73aの先端がソケット部材63に接近する。弾性ブレード71は腕部73aの動きに伴って調整歯62aに接近し、シュー間隙が所定の値よりも大きい状態(ライニングが摩耗した状態)でブレーキシューが拡開したときに弾性ブレード71の弾性力によって弾性ブレード71の自由端に設けた爪部材72が調整歯62aを送ってナット部材62をボルト部材61に対して回動させる。シューリターンスプリングのばね力によりブレーキシューを介してストラット60が縮められると爪部材72が調整歯62aを乗り越え、全体としてストラット60の全長を伸長してシュー間隙の自動調整を行う。
【0005】
上記した従来のシュー間隙自動調整装置においては、駆動部材70を構成する部品点数が4点(64,71,72,73)と多いうえに、複雑な形状をした部品が多いため、部品コストだけでなく組み付けコストも嵩んだ。
また、シュー間隙調整作動時に、レバー装置73のワッシャ部73bが傾倒し、特にナット部材62にこじり力が作用してナットの回転抵抗が増加する。そのためにシュー間隙の調整作動が不安定であった。
【特許文献1】特開昭58−77931号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする問題点は、シュー間隙自動調整装置を構成する部品点数が多くて複雑な形状であることから高コストであることと、ナット(回転)部材にこじり力が作用するためにシュー間隙の調整作動が不安定である点である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、低コストの構成で安定したシュー間隙の調整作動を可能とするため、駆動部材の基部をストラットに止着し、その基部から延長して形成した作動部をブレーキシューとストラットの間でブレーキシューに弾性的に当接させ、作動部からストラットの調整歯に向かって延長した腕部の先端の爪部を調整歯に係合させたことを最も主要な特徴とする。
【0008】
本願の第1発明に係るシュー間隙自動調整装置は、ナット部材とボルト部材とを螺合したねじ係合体と、このねじ係合体に相対回転可能に嵌合する嵌合部材とから構成され、第一ブレーキシューと第二ブレーキシュー間に配置されるストラットと、このストラットの前記ねじ係合体と一体の調整歯に係合する駆動部材とを具備し、前記ブレーキシューの拡開量が設定値より大きいと、前記駆動部材が前記調整歯を一方向に回転させて前記ストラットの全長を伸長してシュー間隙を自動調整するシュー間隙自動調整装置であって、前記駆動部材が、前記ストラットの第一ブレーキシュー側に止着した基部と、この基部を延長して形成し、前記ストラットの長手方向における前記第一ブレーキシューとストラット間で前記第一ブレーキシューに弾性的に当接した作動部と、この作動部から前記調整歯に向かって延長して形成し、前記調整歯に係合した爪部を付設する腕部とからなることを特徴とするものである。
【0009】
本願の第2発明に係るシュー間隙自動調整装置は、前記第1発明において、前記駆動部材の基部を前記ストラットの軸線上で止着すると共に、前記作動部を前記第一ブレーキシューと前記基部間における前記ストラットの軸線上で第一ブレーキシューに当接させたことを特徴とするものである。
【0010】
本願の第3発明に係るシュー間隙自動調整装置は、前記第1または第2発明において、前記駆動部材の基部をストラットに嵌合させて止着したことを特徴とするものである。
【0011】
本願の第4発明に係るシュー間隙自動調整装置は、前記第1乃至第3発明の何れかにおいて、前記ストラットの調整歯がねじ係合体のボルト部材に一体に形成され、ストラットの嵌合部材とナット部材が一対のブレーキシューに夫々係合していることを特徴とするものである。
【0012】
本願の第5発明に係るシュー間隙自動調整装置は、前記第1乃至第3発明の何れかにおいて、前記ストラットの調整歯がねじ係合体のナット部材に一体に形成され、ストラットの嵌合部材とボルト部材が一対のブレーキシューに夫々係合していることを特徴とするものである。
【0013】
本願の第6発明に係るシュー間隙自動調整装置は、前記第1乃至第5発明の何れかにおいて、ブレーキ内が所定の温度に達したときに、腕部がストラットの調整歯の係合を解除する方向に変形してシュー間隙の自動調整作用を停止させる過調整防止手段を前記駆動部材の腕部に付設したことを特徴とするものである。
【0014】
本願の第7発明に係るシュー間隙自動調整装置は、前記第1乃至第5発明の何れかにおいて、ブレーキ内が所定の温度に達した状態でのブレーキ作動時に、前記駆動部材に付与された弾性力により前記作動部が第一ブレーキシューに追従するのを阻止する方向に変形してシュー間隙の自動調整作用を停止させる過調整防止手段を作動部と第一ブレーキシューとの間に介挿したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明のシュー間隙自動調整装置は、つぎの特有の効果を得ることができる。
<1>駆動部材を一枚ものの板ばね材から製作できるので駆動部材を構成する部品点数を大幅に削減でき、しかも加工コストが安く部品コストを低減できる。
<2>駆動部材をストラットに嵌合手段により止着できるので、組み付けコストも低減できる。
<3>駆動部材をストラットの軸線上に安定した姿勢で止着できるので、駆動部材の作動が円滑になり、シュー間隙の調整作動が安定する。
<4>種々のタイプのストラットに適応できるので汎用性に富む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0017】
図1〜図4を基に本発明の実施例1に係るシュー間隙自動調整装置について説明する。
(1)ドラムブレーキ装置の概要
図1は本発明の実施例1に係るシュー間隙自動調整装置を具備したドラムブレーキ装置である。
本例ではリーディング・トレーリング形(LT形)のドラムブレーキ装置にインクリメンタル形のシュー間隙自動調整装置を適用した場合を一例として示す。
【0018】
図1において、シューウェブ11a,12aにシューリム11b,12bを断面T字状に接合し、シューリム11b,12bの外周面にライニング11c,12cを貼着して形成された一対のブレーキシュー(第一ブレーキシュー11及び第二ブレーキシュー12)が、公知のシューホールド機構13,13により、車両の不動部にボルトなどで固定されるバックプレート10上に摺動自在に保持されている。
一対のブレーキシュー11,12は、その一方端(図1の上方端)がサービスブレーキ用のシュー拡張装置であるホイールシリンダ20に夫々係合し、その他方端(図1の下方端)がバックプレート10に固着したアンカー14に夫々支承されている。そして、一対のブレーキシュー11,12の一方側(図1の上方側)及びの他方側(図1の下方側)の間に夫々張設したシューリターンスプリング15,16のばね力により一対のブレーキシュー11,12をホイールシリンダ20とアンカー14に夫々当接させている。
【0019】
パーキングブレーキ用のシュー拡張装置であるブレーキレバー17は、第二ブレーキシュー12のシューウェブ12aに重合して配設され、その基端がシューウェブ12aの一方端部にピン18で以って回転可能に軸支されている。また、ブレーキレバー17の自由端には図外の遠隔力伝達用ブレーキケーブルが接続される。
【0020】
(2)シュー間隙自動調整装置の概要
シュー間隙自動調整装置は、ホイールシリンダ20に隣接して一対のブレーキシュー11,12間に横架されてブレーキシュー11,12の戻り位置を規制するストラット30と、ストラット30の全長を伸長する駆動部材50とから構成される。以下にその構造について詳説する。
【0021】
(3)ストラット
図2及び図3を基にストラット30の構造について説明する。ストラット30は、ねじの結合構造体で、ナット部材32とボルト部材33とを螺合したねじ係合体31と、このねじ係合体31に相対的に回転可能に嵌合する嵌合部材34とから構成されている。
【0022】
ボルト部材33の中間部には外周に細かい歯を有する調整歯33aが一体に形成されている。ボルト部材33の右方のねじ軸部33bはナット部材32と螺合し、ボルト部材33の左方の嵌合軸部33cは嵌合部材34の有底穴に回転を許容する状態で滑嵌合している。
【0023】
ナット部材32の右端の偏平部には切欠部32aと、この切欠部32aに連続する段差部32bとが形成されていて、切欠部32aにブレーキレバー17が嵌入し、段差部32bとブレーキレバー17の間に形成された空間に第二ブレーキシュー12のシューウェブ12aが嵌入してナット部材32を回転不能としている。
【0024】
嵌合部材34の左端の偏平部には切欠部34aが形成されていて、この切欠部34aに第一ブレーキシュー11のシューウェブ11aが嵌入して嵌合部材34を回転不能としている。
これにより、調整歯33aを介してボルト部材33を回転作動することで、ボルト部材33に対するナット部材32の螺出入が可能となる。
嵌合部材34の偏平部と円筒部の境界付近の外周には駆動部材50と当接可能な突部34bが形成されていて、後述する駆動部材50の基部51に設けた差込口51aを嵌合部材34の偏平部に嵌装させたとき突部34bに基部51の板面を当接させてその嵌装深さを制限できるようになっている。
【0025】
(4)駆動部材
図3に駆動部材50及びそれに関連する周辺部材の斜視図を示し、図2及び図4にストラット30と第一ブレーキシュー11との間に駆動部材50を組み付けた状態を示す。
駆動部材50は、第一ブレーキシュー11側でストラット30を構成する嵌合部材34に止着する基部51と、この基部51を延長して湾曲させて折り返した湾曲部52と、ストラット30の長手方向における第一ブレーキシュー11とストラット30間で第一ブレーキシュー11に弾性的に当接するように湾曲部52から延長した作動部53と、この作動部53からストラット30の調整歯33aに向かって延長して形成し、先端に調整歯33aを一方向に回転可能にラチェット係合する爪部54aを形成した腕部54とから構成される。
【0026】
基部51と湾曲部52と作動部53からなる帯状部は、自由状態では略V字形を呈していて、基部51には嵌合部材34の偏平部に嵌装可能で、かつ基部51の板面が嵌合部材34の突部34bに当接可能な差込口51aが開設されている。
【0027】
湾曲部52を延長して作動部53を形成するときに、作動部53が基部51に対して角度を有するようにする。これにより、作動部53を基部51に対して平行になる方向に弾性変形すれば弾性力が付与される。湾曲部52から作動部53に亘って導入溝52aが形成され、シューウェブ11aが嵌入できるようになっている。作動部53には嵌合部材34の偏平部に嵌装可能で、かつ、第一ブレーキシュー11のシューウェブ11aに嵌装可能な導入口53aが導入溝52aの中途に開設されている。
【0028】
作動部53はシューウェブ11aに弾性的に当接する部位で、その端部に突部53cを形成し、この突部53cが直接シューウェブ11aの内周端面に当接している。
【0029】
作動部53の一方の側面から延出した腕部54は、途中で作動部53に対して略直角に折り曲げられ、先端の爪部54aが基部51を越えてストラット30の調整歯33aに到達するまで延出していると共に、爪部54aが調整歯33aに押し付けられるように腕部54に弾性を持たせている。
尚、本例では駆動部材50の基部51や作動部53の側端部を短冊状に折り返して延出して補強リブ51b,53dを一体形成しているが、これらは必須ではない。
上記した駆動部材50は、例えばその展開形状に打ち抜いたばね鋼板を曲げ加工することで容易に製作することができる。
【0030】
(5)駆動部材の組み付け方法
駆動部材50の組み付け方法について説明する。
基部51の差込口51aをストラット30の嵌合部材34の偏平部に嵌め込んで装着する。
ストラット30に装着した駆動部材50の湾曲部52の導入溝52a及び作動部53の導入口53aを第一ブレーキシュー11のシューウェブ11aに嵌装するようにストラット30を押し込むと、ストラット30側では基部51が嵌合部材34の突部34bに当接して位置決めされ、また作動部53の突部53cがシューウェブ11aの内周端面に当接して位置決めされる。
【0031】
嵌合部材34の切欠部34aの底面が第一ブレーキシュー11のシューウェブ11aに当接するまでストラット30を押し込むことで、駆動部材50が弾性変形して図4で示すようにU字形となり、駆動部材50に弾性力が蓄えられる。
【0032】
なお、作動部53から延出した腕部54は、自身の弾性力により、先端の爪部54aがストラット30の調整歯33aに弾性的に係合している。
【0033】
(6)シュー間隙の自動調整作用
次にシュー間隙の自動調整作用について説明する。
図1に示すドラムブレーキ装置において、サービスブレーキによりホイールシリンダ20を加圧すると、一対のブレーキシュー11,12がアンカー14との当接点を支点に拡開し、図示しないブレーキドラムに摩擦係合して制動力が発生する。
【0034】
このとき、駆動部材50は湾曲部52の弾性力により、基部51に対向する作動部53が基部51から離間するように拡開しながら、第一ブレーキシュー11の拡開に追従する。
駆動部材50の作動部53が基部51に対して拡開すると、作動部53と一体の腕部54が時計回転方向に揺動して、先端の爪部54aがストラット30の調整歯33aを一方向に回転させる。
【0035】
上記したサービスブレーキの作動時において、ライニング11c,12cの摩耗に伴いシュー間隙(ライニング11c,12cと図示しないブレーキドラムとの間隙)が大きくなって両ブレーキシュー11,12の拡開量が増大すると、腕部54の変位量が調整歯33aの歯間ピッチを越え、先端の爪部54aが調整歯33aを回転させてボルト部材33をナット部材32から螺出させる。その結果、ストラット30の全長が調整歯33aの一歯相当分だけ伸長し、一対のブレーキシュー11,12の戻り位置を変位させることで、シュー間隙を自動的に一定に保つ。
【0036】
尚、パーキングブレーキ時には、ストラット30が押圧されて第一ブレーキシュー11と一体的に図1における左方へ移動し、駆動部材50もこれと一体に移動するから、シュー間隙の自動調整作用は行なわれない。
【0037】
以降に他の実施例について説明する。その説明に際し前述した実施例1と同一の部位は同一の符号を付してその詳しい説明を省略する。
また以降の他の実施例に係るシュー間隙自動調整装置は、図1のLT形のドラムブレーキ装置に組み付けられるものであるが、シュー間隙自動調整装置の構造をわかり易くするために要部のみを図示する。
【実施例2】
【0038】
図5〜図7に示した実施例2に係るシュー間隙自動調整装置は、外周面に調整歯32cを形成したナット部材32を構成要素とする、本願の背景技術に記載したタイプのストラット30と、ストラット30のねじ係合体31にリベット55で止着した駆動部材50とから構成される。以下にその構造について詳説する。
【0039】
(1)ストラット
図5に示したストラット30は、前述した実施例1と同様にねじの結合構造体で、ナット部材32とボルト部材33とを螺合したねじ係合体31と、このねじ係合体31に相対的に回転可能に嵌合する嵌合部材34とから構成される。本例では、ねじ係合体31のボルト部材33が第一ブレーキシュー11のシューウェブ11aに係合し、嵌合部材34がブレーキレバー17及び第二ブレーキシュー12のシューウェブ12aに係合している。
【0040】
ボルト部材33の右方のねじ軸部33bは、嵌合部材34の有底穴に回転を許容する状態で滑嵌合して収容され、嵌合部材34の端面にナット部材32が当接することで位置決めされる。ボルト部材33の左方の断面が矩形状の頭部33dには切欠部33eが形成されていて、この切欠部33eに第一ブレーキシュー11のシューウェブ11aが嵌入してボルト部材33を回転不能としている。また、ボルト部材33の左方の頭部33dには、後述する駆動部材50の基部51をリベット55で止着するための貫通孔33fが穿設されている。
【0041】
嵌合部材34の右端の偏平部には切欠部34cと、この切欠部34cに連続する段差部34dとが形成されていて、切欠部34cにブレーキレバー17が嵌入し、段差部34dとブレーキレバー17の間に形成された空間に第二ブレーキシュー12のシューウェブ12aが嵌入して嵌合部材34を回転不能としている。
これにより、調整歯32cを介してナット部材32を回転作動することで、ナット部材32に対するボルト部材33の螺出入が可能となる。
【0042】
(2)駆動部材
図6に駆動部材50の全体斜視図を示し、図5及び図7にストラット30と第一ブレーキシュー11との間に組み付けた状態を示す。
駆動部材50は、第一ブレーキシュー11側でストラット30を構成するねじ係合体31に止着する基部51と、ストラット30の長手方向におけるブレーキシュー11とストラット30間でブレーキシュー11に弾性的に当接するように基部51から延長した作動部53と、この作動部53からストラット30の調整歯32cに向かって延長して形成し、先端に調整歯32cを一方向に回転可能にラチェット係合する爪部54aを形成した腕部54とから構成される。
【0043】
図6及び図7を基に駆動部材50について詳説する。
平板状を呈している基部51には、ボルト部材33の頭部33dに嵌装可能な矩形の差込口51aが開設されていて、その一辺を略直角に板状に切り起こした止着片51cが形成されている。
止着片51cの中間部には、リベット55及び貫通孔33fと協働して駆動部材50をボルト部材33に止着するための取付孔51dを穿設している。
【0044】
基部51を延長して形成する作動部53はシューウェブ11aの内周端面に弾性的に当接する部位で、略S字形に突出部53eを形成している。
【0045】
腕部54は、作動部53の先端の一側面からストラット30のナット部材32の調整歯32cに到達するまで延出していると共に、爪部54aが調整歯32cへ押し付けられるように腕部54に弾性を持たせている。
【0046】
(3)駆動部材の組み付け方法
図7を基に駆動部材50の組み付け方法について説明する。
基部51をボルト部材33の頭部33dに嵌装し、基部51の止着片51cに穿設した取付孔51dとボルト部材33の貫通孔33fに挿通させたリベット55の先端部をかしめて、駆動部材50をボルト部材33に止着する。
次に、ボルト部材33とナット部材32を螺合してねじ係合体31を組み立て、更に嵌合部材34をボルト部材33のねじ軸部33bに嵌装してストラット30に組み立てる。
【0047】
続いて、ストラット30のボルト部材33の頭部33dを、第一ブレーキシュー11のシューウェブ11aに嵌装するように押し込むだけの操作で以って、駆動部材50を第一ブレーキシュー11とストラット30の間に組み付けることができる。
【0048】
ボルト部材33の切欠部33eの底面が第一ブレーキシュー11のシューウェブ11aに当接するまでストラット30を押し込むことで、シューウェブ11aの内周端面に当接した作動部53の突出部53eが押され、駆動部材50が弾性変形して駆動部材50に弾性力が蓄えられる。
【0049】
なお、作動部53から延出した腕部54は、自身の弾性力により先端の爪部54aがナット部材32の調整歯32cに弾性的に係合している。
【0050】
(4)シュー間隙の自動調整作用
本実施例2におけるシュー間隙の自動調整作用は、前述した実施例1と基本的に同じであるので詳しい説明を省略する。
【実施例3】
【0051】
図8〜図11に示した実施例3に係るシュー間隙自動調整装置は、前述した実施例1と同様のストラット30に、実施例1とはレイアウト及び作用の異なる駆動部材50を付設した構成である。
本実施例3におけるストラット30の構成と機能については前述した実施例1と同様なので本例では詳しい説明を省略する。
【0052】
(1)駆動部材
図9に駆動部材50の全体斜視図を示し、図8及び図10にストラット30と第一ブレーキシュー11との間に組み付けた状態を示す。
【0053】
駆動部材50は、円弧状に形成した湾曲部52と、この湾曲部52の一方端部の一方側面側から延出して直線状に形成し、ストラット30の嵌合部材34に止着した基部51と、ストラット30の長手方向における第一ブレーキシュー11とストラット30間で第一ブレーキシュー11に弾性的に当接するように湾曲部52の他方端部の他方側面側から延出して直線状に形成した作動部53と、この作動部53の一部をストラット30の調整歯33aに向かって直線状に延長して形成し、先端に調整歯33aを一方向に回転可能にラチェット係合する爪部54aを形成した腕部54とから構成される。
【0054】
図8〜図10を基に駆動部材50について詳説する。
基部51は湾曲部52の一方端部の一方側面から湾曲部52の板面に対して直角に折り曲げられて形成され、作動部53は湾曲部52の他方端部の他方側面から湾曲部52の板面に対して直角に折り曲げられて形成されている。基部51および作動部53は、第一ブレーキシュー11側でストラット30を構成する嵌合部材34の偏平部の両平面を弾性力で以って弾性的に挟持するような形状に形成されている。
【0055】
基部51の端部は、嵌合部材34の断面矩形の偏平部を挟持するように腕部54へ向けて曲げた挟持片51eが形成されていて、この挟持片51eと基部51と湾曲部52の基部51側の部位とで形成されるコ字状部を嵌合部材34の断面矩形の偏平部に嵌め込んで偏平部の両側面を挟持すると共に、コ字状部の側面が嵌合部材34の偏平部の終端に形成した壁面34eに当接して位置決めできるようになっている。
【0056】
腕部54を一体に延設した作動部53の揺動運動を円滑に行わせるため、嵌合部材34の偏平部の一側面に当接する作動部53の板面に、嵌合部材34の偏平部の板面へ向けて突出した単数または複数の隆起53bを形成している。隆起53bは接触面の摩擦抵抗を小さくするための手段であるが、本発明の必須要件ではない。
【0057】
作動部53の一部を延長した腕部54は、作動部53に対して一旦直角に折り曲げてから、更に先端の爪部54aが基部51を越えてストラット30の調整歯33aに到達するように折り曲げて延出していると共に、爪部54aが調整歯33aへ押し付けられるように腕部54に弾性を持たせている。
【0058】
(2)駆動部材の組み付け方法
駆動部材50の組み付け方法について説明する。
基部51と作動部53を相互に離隔する方向に開き、この間にストラット30の嵌合部材34を差し込んだ後、その基部51に形成した挟持片51eと湾曲部52との間に嵌合部材34を嵌め込む操作で以って、駆動部材50をストラット30に止着する。
【0059】
駆動部材50は基部51に形成した挟持片51eと湾曲部52の挟持力によってストラット30の嵌合部材34に取り付けられるが、作動部53を嵌合部材34の偏平面に押し当てようとする弾性力が、基部51のより安定した止着に貢献する。
なお、上述した駆動部材50をストラット30に止着して位置決めした状態において、図11に示すように作動部53の左端面が嵌合部材34の切欠部34aの溝底より外側に位置するようになっている。
【0060】
続いて、ストラット30の嵌合部材34を、第一ブレーキシュー11のシューウェブ11aに嵌装するように押し込むだけの操作で以って、駆動部材50をブレーキシュー11とストラット30の間に組み付けることができる。
嵌合部材34の切欠部34aの溝底がシューウェブ11aに当接するまでストラット30を押し込んでいくと、この操作の途中で、作動部53の左端面がシューウェブ11aに最初に当接して押され、腕部54と共に作動部53が反時計回転方向に揺動して図11から図8の状態に至る。この時、駆動部材50に弾性力が蓄えられる。
【0061】
なお、作動部53から延出した腕部54は、自身の弾性力により先端の爪部54aがストラット30の調整歯33aに弾性的に係合している。
【0062】
(3)シュー間隙の自動調整作用
本実施例3におけるシュー間隙の自動調整作用は、前述した実施例1と基本的に同じであるので詳しい説明を省略する。
【0063】
本実施例3では、駆動部材50の腕部54をストラット30に接近して配置できると共に、基部51と作動部53がストラット30の外方に大きくはみ出ないので、ストラット30の周辺空間が広くなってシューリターンスプリング15の組付け作業が楽になるという利点がある。
さらに駆動部材50が小形で単純な形状であるため、製造も容易で加工コストを低廉に抑えられ、またストラット30への組付け操作も簡単に行えるといった利点もある。
【実施例4】
【0064】
図12〜図14に示した実施例4に係るシュー間隙自動調整装置は、外周面に調整歯32cを形成した円筒状のナット部材32を構成要素とするストラット30と、ストラット30の嵌合部材34に取着して、湾曲部52の収縮方向へ向けた弾性力によりストラット30の全長を自動的に伸長する駆動部材50とから構成される。以下にその構造について詳説する。
【0065】
(1)ストラット
図12に示したねじの結合構造体としてのストラット30は、ナット部材32とボルト部材33とを螺合したねじ係合体31と、このねじ係合体31に相対的に回転可能に嵌合する嵌合部材34とから構成される。
本例では、嵌合部材34が第一ブレーキシュー11のシューウェブ11aに係合し、ねじ係合体31のボルト部材33が第二ブレーキシュー12のシューウェブ12aに係合している。
【0066】
(2)駆動部材
図13に駆動部材50の全体斜視図を示し、図12及び図14にストラット30と第一ブレーキシュー11との間に組み付けた状態を示す。
【0067】
駆動部材50は、第一ブレーキシュー11側でストラット30を構成する嵌合部材34に止着する基部51と、この基部51を延長して基部51から離間する位置で湾曲させて折り返した湾曲部52と、ストラット30の長手方向におけるブレーキシュー11とストラット30間でブレーキシュー11に弾性的に当接するように湾曲部52を延長した作動部53と、この作動部53からストラット30の調整歯32cに向かって延び、先端に調整歯32cを一方向に回転可能にラチェット係合する爪部54aを形成した腕部54とから構成される。
【0068】
図13及び図14を基に駆動部材50について詳説する。
基部51と湾曲部52と作動部53からなる帯状体は、第一ブレーキシュー11のシューウェブ11aが嵌入できるように、基部51の末端から作動部53に亘って導入溝52aが開設され、作動部53には、ストラット30の嵌合部材34の偏平部が嵌入できるように差込口53bが開設されている。
【0069】
一対の基部51は略コ字形に屈曲した挟持片51e,51fと、基部51の最外側に屈曲形成した係止片51gとを有し、嵌合部材34の偏平部の先端部に嵌合可能に形成されている。
【0070】
作動部53には前述した実施例1と同様にシューウェブ11aの内周端面と当接可能な突部53cが形成されている。
【0071】
駆動部材50はその基部51をストラット30の嵌合部材34に止着して位置決めした状態において、作動部53が相対向する基部51に接近して位置するように、湾曲部52の湾曲をきつく形成している。
【0072】
(3)駆動部材の組み付け方法
駆動部材50の組み付け方法について説明する。
作動部53に開設した差込口53bにストラット30の嵌合部材34の偏平部を貫挿すると共に、その先端部を基部51の挟持片51e,51f及び係止片51gに保持させて駆動部材50の基部51をストラット30に止着する。
【0073】
続いて、ストラット30の嵌合部材34を、第一ブレーキシュー11のシューウェブ11aに嵌装するように押し込むだけの操作で以って、駆動部材50を第一ブレーキシュー11とストラット30の間に組み付けることができる。この操作の途中で、作動部53の突部53cがシューウェブ11aに当接する。
更に、嵌合部材34の切欠部34aの溝底がシューウェブ11aに当接するまでストラット30を押し込むことで、シューウェブ11aの内周端面に当接した作動部53が押され、腕部54と共に作動部53が反時計方向に揺動して図14の状態に至る。この時、駆動部材50に弾性力が蓄えられる。
【0074】
なお、作動部53から延出した腕部54は、自身の弾性力により先端の爪部54aがストラット30の調整歯32cに弾性的に係合している。
【0075】
(4)シュー間隙の自動調整作用
次にシュー間隙の自動調整作用について説明する。
サービスブレーキ作動時に前記ストラット30に作用する軸力を開放しつつブレーキシュー11,12が拡開すると、作動部53及び腕部54が湾曲部52の略中間部を中心として揺動する。両ブレーキシュー11,12の拡開量が増大し、駆動部材50の腕部54の揺動量が調整歯32cの歯間ピッチを越えると、先端の爪部54aが鋸歯状の調整歯32cを回転させてナット部材32をボルト部材33から螺出させる。その結果、ストラット30の全長が伸長することでシュー間隙を自動的に調整する。
【0076】
本実施例4は基部51を嵌合部材34の偏平部の先端部に当接可能であればよいから、これらの挟持片51e,51fや係止片51gは必須ではなく省略する場合もある。また基部51の係止位置は嵌合部材34の切欠部34aの溝底であってもよい。
【0077】
本実施例4においては、駆動部材50の一方の基部51をストラット30の嵌合部材の先端部に保持させ、他方の作動部53をシューウェブ11aの内周端面に当接させて位置決めすることとしたので、前述した実施例1,3のようなストラット30側に駆動部材50を位置決めするための段差加工(突部、壁面)を省略できる利点がある。
【実施例5】
【0078】
図15〜図17に示した実施例4に係るシュー間隙自動調整装置は、前述した実施例1と同様のストラット30と、ストラット30の嵌合部材34に溶接して取着した駆動部材50とから構成される。
本実施例5におけるストラット30の構成と機能については前述した実施例1と同様なので本例では詳しい説明を省略する。
【0079】
(1)駆動部材
図16に駆動部材50の全体斜視図を示し、図15及び図17にストラット30と第一ブレーキシュー11との間に組み付けた状態を示す。
【0080】
駆動部材50は、第一ブレーキシュー11側でストラット30を構成する嵌合部材34に溶接により止着する基部51と、この基部51を延長して基部51から離間する位置で略円環状に形成した湾曲部52と、基部51と向かい合うように湾曲部52を延長し、ストラット30の長手方向における第一ブレーキシュー11とストラット30の嵌合部材34間に弾性変形させて介挿する作動部53と、この作動部53からストラット30の調整歯33aに向かって延び、先端に調整歯33aを一方向に回転可能にラチェット係合する爪部54aを形成した腕部54とから構成される。
【0081】
図15〜図17を基に駆動部材50について詳説する。
基部51および作動部53は嵌合部材34の切欠部34aの溝内に収容可能な寸法に形成されている。
基部51の端部付近は嵌合部材34の偏平部に当接させてスポット溶接等で止着し得るように、L字形に屈曲して止着片51kが形成されている。
作動部53の側面から延出した腕部54は、作動部53に対して略直角に折り曲げられ、先端の爪部54aがストラット30の調整歯33aに到達するまで延長していると共に、爪部54aが調整歯33aへ押し付けられるように腕部54に弾性を持たせている。
【0082】
駆動部材50はその基部51をストラット30の嵌合部材34に止着した状態において、作動部53が基部51から離間して位置するように、先開き形状に形成している。
【0083】
(2)駆動部材の組み付け方法
駆動部材50の組み付け方法について説明する。
基部51および作動部53を嵌合部材34の切欠部34aの溝内に収容し、溝底に当接させた基部51から延びる止着片51kを嵌合部材34の側面に溶接して止着する。
【0084】
続いて、ストラット30の嵌合部材34を、第一ブレーキシュー11のシューウェブ11aに嵌装するように押し込むだけの操作で以って、駆動部材50をブレーキシュー11とストラット30の間に組み付けることができる。この操作の途中で、作動部53がシューウェブ11aに当接する。
更に、作動部53が基部51に重合するまで、ストラット30の押し込むことで、駆動部材50に弾性力が蓄えられる。
【0085】
(3)シュー間隙の自動調整作用
次にシュー間隙の自動調整作用について説明する。
駆動部材50の作動部53が両ブレーキシュー11,12の拡開に追従して変位し、両ブレーキシュー11,12の拡開量が増大し、駆動部材50の腕部54の揺動量が調整歯33aの歯間ピッチを越えると、先端の爪部54aが調整歯33aを回転させてボルト部材33をナット部材32から螺出させる。その結果、ストラット30の全長が調整歯33aの一歯相当分だけ伸長することで、シュー間隙を自動的に調整する。
【0086】
本実施例5においては、駆動部材50にストラットに止着するための挟持片を形成する必要がなく加工の簡略化を図れるうえに、駆動部材50の基部51をストラット30に溶接により強固に止着するので取り付けが確実となり、運搬時や取り扱い時に駆動部材50が脱落する心配がなくなる。
【実施例6】
【0087】
図18はブレーキ内が所定の温度に達したときに、シュー間隙の自動調整作用を停止させる過調整防止手段を駆動部材50に具備させた実施例を示す。
このシュー間隙の過調整防止手段は、駆動部材50の周りの雰囲気温度が所定値に達するまでは、腕部54が図18(A)に示す如く爪部54aが調整歯32cに係合した形態をしていて、ブレーキ内が所定温度に達すると、図18(B)に示す如く腕部54の先端の爪部54aが調整歯32cから離間する方向へ拡開変形してラチェット係合を解除する公知の温度感応部材により形成される。
上記したように爪部54aを調整歯32cから離間するように変形させるには、腕部54の全体をバイメタルや形状記憶合金で形成してもよいし、或いは少なくとも腕部54の途中までをバイメタルや形状記憶合金で形成し、この先に非温度感応部材を例えばリベット等で結合して形成してもよい。
図18では実施例2で説明した駆動部材50にシュー間隙の過調整防止手段を適用した形態を示すが、既述した何れの実施例1,3〜5の駆動部材50にも適用可能である。
【0088】
また他のシュー間隙の過調整防止手段として、重合するように折り返して形成した板状の温度感応部材を、ストラット30と第一ブレーキシュー11のシューウェブ11aとの間に介挿し、ブレーキ内が所定温度に達したとき、ストラット30をシュー間隙の自動調整作用が停止する第二ブレーキシュー12側に押動して追従させる構成であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の実施例1に係るシュー間隙自動調整装置を適用したドラムブレーキ装置の平面図
【図2】図1のII−II断面図
【図3】一部を破断したシュー間隙自動調整装置の組立図
【図4】ブレーキシューとストラットの間に介挿した駆動部材の平面図
【図5】実施例2に係るシュー間隙自動調整装置の説明図
【図6】実施例2に係るシュー間隙自動調整装置の駆動部材の斜視図
【図7】実施例2に係るブレーキシューとストラットの間に介挿した駆動部材の平面図
【図8】実施例3に係るシュー間隙自動調整装置の説明図
【図9】実施例3に係るシュー間隙自動調整装置の駆動部材の斜視図
【図10】実施例3に係るブレーキシューとストラットの間に介挿した駆動部材の平面図
【図11】実施例3に係るブレーキシューとストラットの間に介挿した駆動部材の側面図
【図12】実施例4に係るシュー間隙自動調整装置の説明図
【図13】実施例4に係るシュー間隙自動調整装置の駆動部材の斜視図
【図14】実施例4に係るブレーキシューとストラットの間に介挿した駆動部材の平面図
【図15】実施例5に係るシュー間隙自動調整装置の説明図
【図16】実施例5に係るシュー間隙自動調整装置の駆動部材の斜視図
【図17】実施例5に係るブレーキシューとストラットの間に介挿した駆動部材の平面図
【図18】過調整防止手段を駆動部材50に具備させた実施例6に係るシュー間隙自動調整装置の説明図で、(A)は腕部が温度変形する前の説明図、(Bは腕部が温度変形したたきの説明図
【図19】従来のシュー間隙自動調整装置の平面図
【図20】従来のシュー間隙自動調整装置の断面図
【符号の説明】
【0090】
10・・・・・・・・・・・・・バックプレート
11,12・・・・・・・・・・ブレーキシュー
11a,12a・・・・・・・・シューウェブ
11b,12b・・・・・・・・シューリム
11c,12c・・・・・・・・ライニング
13・・・・・・・・・・・・・シューホールド機構
14・・・・・・・・・・・・・アンカー
15,16・・・・・・・・・・シューリターンスプリング
17・・・・・・・・・・・・・ブレーキレバー
18・・・・・・・・・・・・・ピン
20・・・・・・・・・・・・・ホイールシリンダ
30・・・・・・・・・・・・・ストラット
31・・・・・・・・・・・・・ストラットのねじ係合体
32・・・・・・・・・・・・・ねじ係合体のナット部材
32a・・・・・・・・・・・・ナット部材の切欠部
32b・・・・・・・・・・・・ナット部材の段差部
32c・・・・・・・・・・・・ナット部材の調整歯
33・・・・・・・・・・・・・ねじ係合体のボルト部材
33a・・・・・・・・・・・・ボルト部材の調整歯
33b・・・・・・・・・・・・ボルト部材のねじ軸部
33c・・・・・・・・・・・・ボルト部材の嵌合軸部
33d・・・・・・・・・・・・ボルト部材の頭部
33e・・・・・・・・・・・・ボルト部材の切欠部
33f・・・・・・・・・・・・ボルト部材の貫通孔
34・・・・・・・・・・・・・ストラットの嵌合部材
34a・・・・・・・・・・・・嵌合部材の切欠部
34b・・・・・・・・・・・・嵌合部材の突部
34c・・・・・・・・・・・・嵌合部材の切欠部
34d・・・・・・・・・・・・嵌合部材の段差部
34e・・・・・・・・・・・・嵌合部材の壁面
50・・・・・・・・・・・・・駆動部材
51・・・・・・・・・・・・・駆動部材の基部
51a・・・・・・・・・・・・基部の差込口
51a・・・・・・・・・・・・基部の補強リブ
51c・・・・・・・・・・・・基部の止着片
51d・・・・・・・・・・・・基部の取付孔
51e・・・・・・・・・・・・基部の挟持片
51f・・・・・・・・・・・・基部の挟持片
51g・・・・・・・・・・・・基部の係止片
51k・・・・・・・・・・・・基部の止着片
52・・・・・・・・・・・・・駆動部材の弾性部
52a・・・・・・・・・・・・弾性部の導入溝
53・・・・・・・・・・・・・駆動部材の作動部
53a・・・・・・・・・・・・作動部の導入口
53b・・・・・・・・・・・・作動部の差込口
53c・・・・・・・・・・・・作動部の突部
53d・・・・・・・・・・・・作動部の補強リブ
53e・・・・・・・・・・・・作動部の突出部
54・・・・・・・・・・・・・駆動部材の腕部
54a・・・・・・・・・・・・腕部の爪部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナット部材とボルト部材とを螺合したねじ係合体と、このねじ係合体に相対回転可能に嵌合する嵌合部材とから構成され、第一ブレーキシューと第二ブレーキシュー間に配置されるストラットと、このストラットの前記ねじ係合体と一体の調整歯に係合する駆動部材とを具備し、前記ブレーキシューの拡開量が設定値より大きいと、前記駆動部材が前記調整歯を一方向に回転させて前記ストラットの全長を伸長してシュー間隙を自動調整するシュー間隙自動調整装置であって、
前記駆動部材が、前記ストラットの第一ブレーキシュー側に止着した基部と、
この基部を延長して形成し、前記ストラットの長手方向における前記第一ブレーキシューとストラット間で前記第一ブレーキシューに弾性的に当接した作動部と、
この作動部から前記調整歯に向かって延長して形成し、前記調整歯に係合した爪部を付設する腕部とからなることを特徴とする、
シュー間隙自動調整装置。
【請求項2】
請求項1において、前記駆動部材の基部を前記ストラットの軸線上で止着すると共に、前記作動部を前記第一ブレーキシューと前記基部間における前記ストラットの軸線上で第一ブレーキシューに当接させたことを特徴とする、シュー間隙自動調整装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、前記駆動部材の基部をストラットに嵌合させて止着したことを特徴とする、シュー間隙自動調整装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れかにおいて、前記ストラットの調整歯がねじ係合体のボルト部材に一体に形成され、ストラットの嵌合部材とナット部材が一対のブレーキシューに夫々係合していることを特徴とする、シュー間隙自動調整装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項3の何れかにおいて、前記ストラットの調整歯がねじ係合体のナット部材に一体に形成され、ストラットの嵌合部材とボルト部材が一対のブレーキシューに夫々係合していることを特徴とする、シュー間隙自動調整装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5の何れかにおいて、ブレーキ内が所定の温度に達したときに、腕部がストラットの調整歯の係合を解除する方向に変形してシュー間隙の自動調整作用を停止させる過調整防止手段を前記駆動部材の腕部に付設したことを特徴とする、シュー間隙自動調整装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項5の何れかにおいて、ブレーキ内が所定の温度に達した状態でのブレーキ作動時に、前記駆動部材に付与された弾性力により前記作動部が第一ブレーキシューに追従するのを阻止する方向に変形してシュー間隙の自動調整作用を停止させる過調整防止手段を作動部と第一ブレーキシューとの間に介挿したことを特徴とする、シュー間隙自動調整装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2006−283841(P2006−283841A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−102958(P2005−102958)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(000004374)日清紡績株式会社 (370)
【Fターム(参考)】