ショットキー型太陽電池及び製造方法
【課題】ショットキー型太陽電池の電極に微細な開口を有することにより変換効率を向上させる。
【解決手段】本発明のショットキー型太陽電池は、受光面の金属電極を、サブミクロンの開口を有するナノメッシュ金属電極にすることを特徴とする。ナノメッシュ金属にすることで開口部に発生する強い局在電場により、ナノメッシュ金属電極と半導体界面近傍に通常よりも多くのキャリアが励起され、変換効率を向上することが可能となることを特徴とする太陽電池である。
【解決手段】本発明のショットキー型太陽電池は、受光面の金属電極を、サブミクロンの開口を有するナノメッシュ金属電極にすることを特徴とする。ナノメッシュ金属にすることで開口部に発生する強い局在電場により、ナノメッシュ金属電極と半導体界面近傍に通常よりも多くのキャリアが励起され、変換効率を向上することが可能となることを特徴とする太陽電池である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ショットキー型太陽電池の効率向上に関するものであり、ショットキー型金属電極にサブミクロンの開口を有するナノメッシュ金属電極を有するものである。また、その製造方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
ショットキー型太陽電池は光照射面の金属電極と半導体界面近傍での光吸収を利用するため、大出力電流をとることが可能となる。また、金属電極と半導体界面近傍での光吸収を利用するためアモルファスや多結晶の薄膜太陽電池に適用することができる。しかし、光照射面が金属で覆われるため、その吸収や反射を小さくするため、金属膜は非常に薄く(〜10nm)しなければならない。また、界面近傍での光吸収のため吸収係数が大きくない材料では十分な太陽電池の変換効率が得られない。
【0003】
ショットキー型太陽電池の効率向上法として、光照射面は透明電極を用い、裏面電極がショットキー金属電極で凹凸構造を有するものがある(特許文献1参照)。透明電極から取り込んだ光の吸収をプラズモン増強効果によってアシストし、変換効率良くする方法である。ただしこの方法では、取り込む光の量は透明電極から受けるものであるため、従来と効率は少し向上するかほとんど変わらない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−53165号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のショットキー型太陽電池は、光照射面に金属電極を用いるため、金属膜は非常に薄く(〜10nm)しなければならない。また、金属電極と半導体界面近傍での光吸収のため吸収係数が大きくない材料では十分な太陽電池の変換効率が得られない。本発明では、ショットキー型太陽電池の電極に微細な開口を有することにより変換効率を向上するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施態様である太陽電池は、第一の電極層と半導体層と第二の電極とが積層されて構成された太陽電池であって、前記第一の電極層は光照射面側に存在し、前記半導体層とショットキー壁を有する電極であって、前記第二の電極層は光照射面とは反対側に存在し、前記半導体層とオーミック接触を有する電極であって、前記電極層を貫通する複数の開口部を有しており、開口部1つあたりの面積が80nm2以上0.25μm2以下の範囲にあり、開口率が10%以上66%以下の範囲にあり、膜厚が5nm以上50nm以下の範囲にあることを特徴とする。
【0007】
本発明の別の実施態様である太陽電池の製造方法は、上記太陽電池の製造方法であって、半導体層を形成する工程と、前記半導体層の第二の電極層を形成する工程と、前記半導体層の第一の電極層を形成する工程を含み、開口に対応した微細凹凸パターンを表面に有するスタンパーを準備する工程と、前記第一の電極の少なくとも一部に前記スタンパーを利用してレジストパターンを転写する工程と、前記レジストパターンをエッチングマスクとして前記第一の電極層にパターンを形成する工程とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ショットキー型太陽電池の受光面の金属電極をサブミクロンの開口を有するナノメッシュ金属電極を用いることにより、変換効率の良い太陽電池が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】開口部の開口径と電場強度の関係を示すグラフ。
【図2】従来例のショットキー型太陽電池と本実施の形態に係るショットキー型太陽電池の違いを説明するための概念図。
【図3】実施例1に係る太陽電池の製造方法を説明するための概念図。
【図4】実施例2に係る太陽電池の製造方法を説明するための概念図。
【図5】実施例3に係る太陽電池の製造方法を説明するための概念図。
【図6】実施例4に係る太陽電池の製造方法を説明するための概念図。
【図7】実施例5に係る太陽電池の製造方法を説明するための概念図。
【図8】実施例6に係る太陽電池の製造方法を説明するための概念図。
【図9】実施例7に係る太陽電池の製造方法を説明するための概念図。
【図10】実施例8に係る太陽電池の製造方法を説明するための概念図。
【図11】実施例9に係る太陽電池の製造方法を説明するための概念図。
【図12】実施例10に係る太陽電池の製造方法を説明するための概念図。
【図13】実施例11に係る太陽電池の製造方法を説明するための概念図。
【図14】実施例12に係る太陽電池の製造方法を説明するための概念図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明はショットキー型太陽電池の受光面の金属電極を、サブミクロンの開口を有するナノメッシュ金属電極にすることを特徴とする。ナノメッシュ金属にすることで開口部に発生する強い局在電場により、ナノメッシュ金属電極と半導体界面近傍に通常よりも多くのキャリアが励起され太陽電池の変換効率を向上することが可能となる。また、ナノメッシュ金属と半導体界面近傍で通常よりも多くのキャリアを励起するため、吸収係数の大きくない材料でも使用できる。更に、金属膜厚を10nm未満にする必要も無く信頼性の向上にも寄与する。
【0011】
特許文献1で示したものとは大きく異なる点は取り込む光のエネルギーが大きくなる点である。特許文献1ではあくまでも光吸収層で吸収できない光をプラズモン増強効果によってアシストして効率を向上させるものであって、我々の発明では取り込む光のエネルギー量を多くするものである。我々の発明では、太陽電池の効率が大きく向上する。その他に、開口をもつ金属電極に関連して、入射光と表面上の表面プラズモンとの共鳴相互作用による強化特性をもつアパーチャー配列を有する金属電極を有する太陽電池が考案されている(特開2002−76410号参照)。プラズモン共鳴作用を利用するため、金属電極におけるある特定の波長の透過率が向上する現象を利用することにより変換効率を向上するものである。この方法ではある特定の波長の透過率が上がるのみでそれほど太陽電池の効率向上には寄与しないと見られる。我々の発明とは金属電極の透過率を上げる原理ではないため大きく異なる。
【0012】
以下、本発明の詳細を図示の実施形態によって説明する。最初に、本発明の原理について詳細に説明する。
【0013】
サブミクロンの開口を有するナノメッシュ金属電極にすることにより開口部に発生する強い局在電場の様子を調べるため、Finite Diffrence Time Domain(FDTD)法によるシミュレーションを行った。シミュレーションはSi/Al(50nm)/空気の構造で、Alに単一開口を用意した。そのAlの開口径を10nmから500nmの範囲で変化させて空気側から光(波長500nm)を入射し、その時のSiとAlの界面に生じた電場強度の依存性を調べた。その結果を図1(a)に示す。まず、シミュレーションの結果から電場増強はAlの開口部のエッジで起こることがわかった。そして、開口径が200nm以上では電場強度はほぼ一定であったが、100nm以下では徐々に電場強度が大きくなっていった。電場強度は40〜60nm付近で最大となり、それ以下の開口径では電場強度は減少していった。また、上記の構造で入射する光の波長を1000nmに変更してAlの開口径を10nmから1000nmの範囲で変化させて電場強度の依存性を調べた。その結果を図1(b)に示す。開口径が400nm以上では電場強度はほぼ一定であったが、200nm以下では徐々に電場強度が大きくなり電場強度は80〜120nm付近で最大となり、それ以下の開口径では電場強度は減少していった。入射波長が500から1000nmに変わると電場増強の開口径のピーク値は波長が2倍になった分の2倍になることが分かった。以上のシミュレーション結果から判断すると、AM1.5の光においては10nm以上200nm以下の開口が存在するとSiとAlの界面で電場が充分に増強されることが分かった。
【0014】
上記のシミュレーションの結果はAlの単一開口の結果を示しているだけで、多数の開口が存在した場合の数の効果を考慮に入れていない。実際に開口が細密充填の形で存在する場合の電場増強の依存性を調べた。電場増強はエッジに存在するので開口形を円と仮定すると図1(a)の結果に4*π/√3/開口径をかけたものとなる。その結果を図1(c)に示す。結果は図1(a)と同様の結果となったが1/開口径のため短波長側へシフトした。ただし、AM1.5の光においては10nm以上200nm以下の開口が存在すると電場が充分に増強されることには変わりは無かった。以上の結果から、ナノメッシュ金属電極にすることにより開口部に発生する強い局在電場が発生し、それによりショットキー型太陽電池の変換効率が向上することが分かった。ただし、ここでは金属をAl、開口部を円形で計算したが、実際はAl以外の金属でも同様のことが起こり、また、円形以外の形でも問題は無い。
【0015】
次に、ナノメッシュ電極の開口部に発生する強い局在電場が、太陽電池の効率向上にどのように寄与するか説明する。上述のシミュレーションの結果より。電極構造をナノメッシュ金属にすることで開口部に強い局在電場が発生する。図2(a)に示すように、通常のショットキー型太陽電池においては入射した光が金属電極と半導体界面近傍でキャリアが励起されて光電流を発生し電力を発生する。ショットキー型太陽電池においてナノメッシュ電極を有する場合は、図2(b)に示すようにナノメッシュ電極の開口部に発生する強い局在電場のため、ナノメッシュ金属電極と半導体界面近傍に通常よりも多くのキャリアが励起されより多くの光電流が発生し、つまりより多くの電力を発生することになる。それによって太陽電池の変換効率を向上することが可能となる。
【0016】
次に、ショットキー型太陽電池で発生する光電流に関して説明し、有効な構造について述べる。ショットキー型太陽電池では3種の光電流が発生する。一つ目はショットキー障壁を超えるエネルギーの光は金属に吸収され電子を励起し半導体に注入される。2つ目は半導体のバンドギャップを超えるエネルギーの光は表面近く、つまり空乏層で吸収される。3つ目は長波長の光は半導体の中性域で吸収される。3つの中で、2つ目の空乏層領域での光吸収が大きく、空乏層幅Wは以下の式で表される。
W=(2*εs*Vbi/q/ND)0.5 (1)
ここで、εsは半導体の誘電率、Vbiは内臓電位、NDは半導体のドーピング濃度である(この場合はn型を仮定している)。半導体がSiの場合ではVbiはだいたい0.5eV程度であり、NDは太陽電池では1016cm−3前後で使用され、(1)式から空乏層幅Wを計算すると0.3μm程度になる。金属電極にナノメッシュ構造が無い場合には、空乏層は金属−半導体界面から全領域に0.3μm程度空乏層が形成される。金属電極にナノメッシュ構造がある場合には、空乏層はナノメッシュ金属電極直下−半導体界面から電極直下領域に0.3μm程度の空乏層が形成され、ナノメッシュ金属電極端から開口部部分へ0.3μm程度空乏層が形成される。そのため、ナノメッシュ電極の開口部径が0.6μmよりも大きい場合は開口部中心近傍に空乏層が形成されなくなり光吸収が十分でなくなる。そのため、ナノメッシュ電極の開口部径は0.6μmより小さいのが好ましく、より十分な光吸収が起こるには0.5μm以下が好ましい。また、ショットキー型太陽電池において上記で述べたように、ショットキー障壁を超えるエネルギーの光は金属に吸収され電子を励起し半導体に注入される光電流と半導体の中性域で吸収される光電流も発生するため、ナノメッシュ電極の厚みは大きすぎないほうが良く、50nm以下の膜厚が好ましい。
【0017】
その他に、ショットキー型太陽電池で金属と半導体に絶縁膜を挟んだMetal Insulator Semiconductor(MIS)太陽電池が存在し、それについて簡単に説明する。MIS構造の太陽電池の基本的な動作原理はショットキー型太陽電池と同様であるが、絶縁膜が存在するため、絶縁膜を介してのトンネル電流が発生する。そのため、ショットキー型太陽電池よりも開放電圧が大きくなり、開放電圧は絶縁膜の膜厚を増すと増大する。しかし、膜厚が大きくなるとトンネル電流が小さくなることに起因して短絡電流は低下していくため、太陽電池の変換効率を考慮に入れると数nmあたりが最適膜厚となる。MIS構造の太陽電池においても金属電極をナノメッシュ電極にすることにより変換効率を向上することが可能となる。
【0018】
次に、上記の太陽電池の作製方法について述べる。
200nm以下の開口を有する金属電極パターンを形成するには、半導体集積回路で用いられている最新の露光装置や、EB描画装置を用いる必要が去る。しかし、最新の露光装置やEB描画装置を用いると大面積でかつ低コストで形成することは不可能であると思われる。大面積でかつ低コストで形成可能な方法の一つとしてナノインプリントを用いる方法がある。以下、ナノインプリントによるナノメッシュ電極の形成方法について記述する。
【0019】
基板として、1016cm−3のドーピング濃度を有するn型Si基板を用意する。そのn型Si基板の裏面にPを熱拡散によりドーピングし裏面濃度を1020cm−3にする。次いで、基板裏面にAlを蒸着法により形成し、裏面はオーミック接触を有する電極を形成する。次いで、基板表面にAlを蒸着法により20nm形成する。この場合、基板表面はAlとショットキー接合を有する。
【0020】
次に、基板表面に形成したAl上へレジストを形成する。そして、200nmの大きさを持つ凸形状が形成された石英のモールド(形状は9cm2内に形成されている)を用意し、レジスト付き基板を加熱した状態で石英のモールドの凸形状がある方をレジストに押し付けてインプリントを行う。インプリント後、基板を冷却し石英モールドをリリースする。ナノインプリント後、レジスト上へ200nmの大きさの凹形状が形成される。
【0021】
次に、凹パターンが形成されたレジストを、酸素のリアクティブイオンエッチング(RIE)によりエッチングし底だしを行う。底だし後、塩素系ガスのRIEによりAlのエッチングを行う。Alエッチング後、残留したレジストを酸素アッシングにより取り除くことによりAl中へ開口を持つ形状を形成した。以上のプロセスによりナノメッシュ電極を有するショットキー型太陽電池が完成する。
【0022】
また、化合物半導体においても上記と同様のプロセスで、ナノメッシュ電極を有するショットキー型太陽電池を形成できる。尚、化合物半導体としてGaAs、CdTeなどがあげられる。
【実施例】
【0023】
本発明を実施例によって更に詳細に説明する。太陽電池は9cm2の大きさで作製し、ナノメッシュ金属電極と薄膜金属の太陽電池の変換効率の比較を行った。
【0024】
(実施例1)
1016cm−3のドーピング濃度を有するn型Si基板1を準備した。そのn型Si基板1の裏面にPを熱拡散によりドーピングし1020cm−3にした。次いで、基板裏面にAl層2を蒸着法により100nm形成し、裏面はオーミック接触を有する電極を形成した。次いで、基板表面にAl層3を蒸着法により20nm形成した。この場合、基板表面はAl層3とショットキー接合を有していた(図3(a))。
【0025】
次に、基板表面に形成したAl層3上へレジスト4(THMR IP3250、(株)東京応化工業)を乳酸エチル(EL)で1:2に希釈した溶液を2000rpm、30秒でスピンコートを行ったのち、ホットプレート上において110℃で90秒間加熱して溶媒を蒸発させた(図3(b))。レジスト4の膜厚は150nmであった。次いで、200nmの大きさ、高さ150nmの高さを持つ凸形状が形成された石英のモールド5(形状は9cm2内に形成されている)を用意し、レジスト4付き基板1を120℃に加熱した状態で石英のモールド5の凸形状がある方をレジスト4に10MPaの圧力で押し付けてインプリントを行った(図3(c))。インプリント後、基板1を室温まで冷却し石英モールド5をリリースした(図3(d))。インプリント後、レジスト4上へ200nmの大きさ、深さ100nmの凹形状が形成された。
【0026】
次に、凹パターンが形成されたレジストパターンを、O2:30sccm、10mTorr、RFパワー100Wの条件で30秒間エッチングを行った。O2RIE後、レジスト4の底だしが行われAl層3が露出した(図3(e))。次いで、Cl2:15sccm、Ar:15sccm、RFパワー100Wの条件でRIEを60秒間行った。塩素系ガスのRIEによりAl層3に200nmの開口を有するパターンが形成された。残留したレジスト4を酸素アッシングにより取り除きナノメッシュ電極付きショットキー太陽電池を完成させた(図3(f))。
【0027】
比較のため、1016cm−3のドーピング濃度を有するn型Si基板を準備し、そのn型Si基板の裏面にPを熱拡散によりドーピングし1020cm−3用意した。次いで、基板裏面にAl層を蒸着法により100nm形成し、裏面はオーミック接触を有する電極を形成した。次いで、基板表面にAl層を蒸着法により10nm形成し、通常のショットキー型太陽電池を完成させた。
【0028】
通常のショットキー型太陽電池とナノメッシュ電極を有するショットキー型太陽電池の変換効率を比較すると、50%の効率向上が確認された。
【0029】
(実施例2)
1016cm−3のドーピング濃度を有するn型Si基板11を準備した。そのn型Si基板11の裏面にPを熱拡散によりドーピングし1020cm−3にした。次いで、基板裏面にAl層12を蒸着法により100nm形成し、裏面はオーミック接触を有する電極を形成した。次いで、基板表面にAl層13を蒸着法により20nm形成した。この場合、基板表面はAl層13とショットキー接合を有していた(図4(a))。
【0030】
次に、基板11の表面に形成したAl層13上へレジスト14(THMR IP3250、(株)東京応化工業)を乳酸エチル(EL)で1:1に希釈した溶液を2000rpm、30秒でスピンコートを行ったのち、ホットプレート上において110℃で90秒間加熱して溶媒を蒸発させた。次いでレジスト14を窒素雰囲気下において250℃でアニール行い熱硬化させた。レジスト14の膜厚は300nmであった。
【0031】
次いで、乳酸エチル中に、直径200nmのシリカ粒子を分散させた。シリカ粒子の濃度は8重量%に調整した。その分散液に体積比率でシリカ:アクリルモノマー=1:3の比率になるようにアクリルモノマーを加えて分散液を作成した。アクリルモノマーはEthoxylated (6) trimethylolpropane triacrylate(以下、E6TPTAという)を用いた。その分散液を上記のレジスト14付きシリコン基板11へ滴下し、2000rpm、60秒間の条件でスピンコートした。スピンコート後、溶媒を完全に除去するため、110℃で60秒間ベークした。その後、窒素雰囲気下において150℃で1時間硬化アニールを行った。アニール後、規則配列したシリカ粒子層15が形成された(図4(b))。
【0032】
次いで、配列されたシリカ粒子層15をリアクティブエッチング(RIE)装置によって、CF4流量30sccm、圧力1.33Pa(10mTorr)、パワー100Wで2分間エッチングしシリカ粒子の粒径を150nmに縮小化した(図4(c))。
【0033】
次いで、そのシリカ粒子層15をマスクとして、O2流量30sccm、圧力1.33Pa(10mTorr)、パワー100Wで5分間レジスト14をエッチングし、レジストピラーパターン16を形成した(図4(d))。
【0034】
次に、有機SOG組成物17(OCD−T7 T−14000(商品名)、東京応化工業株式会社)をレジストピラーパターン16付きシリコン基板へ滴下し、2000rpm、60秒間の条件でスピンコートした。スピンコート後、溶媒を完全に除去するため、110℃で60秒間ベークした。その後、窒素雰囲気下において250℃で1時間硬化アニールを行った。硬化後、レジストピラーパターン16は完全にSOG17によって埋め込まれ、また平坦化された(図4(e))。
【0035】
次いで、SOG17によって平坦化されたシリコン基板をCF4流量30sccm、圧力1.33Pa(10mTorr)、パワー100Wで10分間エッチバックした。エッチバック後、レジストピラーパターン16の頂部が露出された(図4(f))。
【0036】
次いで、O2流量30sccm、圧力1.33Pa(10mTorr)、パワー100Wで3分間エッチングし、レジストピラー16を完全に除去した。除去後、SOG17のホールパターンが形成された(図4(g))。
【0037】
次いで、SOGホールパターンをマスクとして、Cl2:15sccm、Ar:15sccm、RFパワー100Wの条件でRIEを60秒間行った。塩素系ガスのRIEによりAl層13に150nmの開口を有するパターンが形成された。残留したSOGマスクをCF4のエッチングにより取り除き、ナノメッシュ電極付きショットキー太陽電池を完成させた(図4(h))。
【0038】
比較のため、1016cm−3のドーピング濃度を有するn型Si基板を準備し、そのn型Si基板の裏面にPを熱拡散によりドーピングし1020cm−3用意した。次いで、基板裏面にAl層を蒸着法により100nm形成し、裏面はオーミック接触を有する電極を形成した。次いで、基板表面にAl層を蒸着法により10nm形成し、通常のショットキー型太陽電池を完成させた。
【0039】
通常のショットキー型太陽電池とナノメッシュ電極を有するショットキー型太陽電池の変換効率を比較すると、50%の効率向上が確認された。
【0040】
(実施例3)
1016cm−3のドーピング濃度を有するn型Si基板21を準備した。そのn型Si基板21の裏面にPを熱拡散によりドーピングし1020cm−3にした。次いで、基板裏面にAl層22を蒸着法により100nm形成し、裏面はオーミック接触を有する電極を形成した。次いで、基板表面にAl層23を蒸着法により20nm形成した。この場合、基板表面はAl層23とショットキー接合を有していた(図5(a))。
【0041】
次に、実施例2と同様にして基板表面に形成したAl層23上へレジスト24をELで1:1に希釈した溶液を2000rpm、30秒でスピンコートを行ったのち、ホットプレート上において110℃で90秒間加熱して溶媒を蒸発させた。次いでレジスト24を窒素雰囲気下において250℃でアニール行い熱硬化させた。レジスト24の膜厚は300nmであった。次いで、有機SOG組成物25(OCD−T7 5500−T(商品名)、東京応化工業株式会社製)をELで1:9に希釈した溶液を2000rpm、30秒でスピンコートを行ったのち、ホットプレート上において110℃で90秒間加熱して溶媒を蒸発させた。次いでレジスト24を窒素雰囲気下において250℃でアニール行い熱硬化させた。硬化後の膜厚は30nmであった(図5(b))。
【0042】
次いで、PS(Mw78000):PMMA(Mw:170000)のブロックポリマーに、PMMA(Mw:1500)を重量比6:4で混合したポリマーをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)に3wt%で溶かした液をスピンコート法で2000rpm、30秒で塗布した後、110℃,90秒でプリベークして溶剤を気化し120nmの膜厚を得た。
【0043】
次いで、窒素雰囲気中で210℃,4時間のアニールを行い、PSとPMMAの相分離を行い、直径90nm程度のポリスチレンのドットパターンを形成した。その後、O2=30sccm、圧力13.3Pa(100mTorr)、パワー=100Wの条件下で20秒間RIEすることにより、相分離したPS−PMMAのうちPMMA26を選択的にエッチングしPSドットパターン27を形成した(図5(c))。
【0044】
次いで、PSドットパターン27をマスクとして、CF4流量30sccm、圧力1.33Pa(10mTorr)、パワー100Wで90秒間エッチングしSOGドットパターン28を形成した。
【0045】
次いで、そのSOGドットパターン28をマスクとして、O2流量30sccm、圧力1.33Pa(10mTorr)、パワー100Wで5分間レジスト24をエッチングし、レジストピラーパターン29を形成した(図5(d))。
【0046】
次に、実施例2と同様にして有機SOG組成物30(OCD−T7 T−14000(商品名)、東京応化工業株式会社)をレジストピラーパターン29付きシリコン基板へ滴下し、2000rpm、60秒間の条件でスピンコートした。スピンコート後、溶媒を完全に除去するため、110℃で60秒間ベークした。その後、窒素雰囲気下において250℃で1時間硬化アニールを行った。硬化後、レジストピラーパターン29は完全にSOG30によって埋め込まれ、また平坦化された(図5(e))。
【0047】
次いで、SOG30によって平坦化されたシリコン基板をCF4流量30sccm、圧力1.33Pa(10mTorr)、パワー100Wで10分間エッチバックした。エッチバック後、レジストピラーパターン29の頂部が露出された(図5(f))。
【0048】
次いで、O2流量30sccm、圧力1.33Pa(10mTorr)、パワー100Wで3分間エッチングし、レジストピラー29を完全に除去した。除去後、SOG30のホールパターンが形成された(図5(g))。
【0049】
次いで、SOG30のホールパターンをマスクとして、Cl2:15sccm、Ar:15sccm、RFパワー100Wの条件でRIEを60秒間行った。塩素系ガスのRIEによりAl層23に100nmの開口を有するパターンが形成された。残留したSOG30のマスクをCF4のエッチングにより取り除き、ナノメッシュ電極付きショットキー太陽電池を完成させた(図5(h))。
【0050】
比較のため、1016cm−3のドーピング濃度を有するn型Si基板を準備し、そのn型Si基板の裏面にPを熱拡散によりドーピングし1020cm−3用意した。次いで、基板裏面にAl層を蒸着法により100nm形成し、裏面はオーミック接触を有する電極を形成した。次いで、基板表面にAl層を蒸着法により10nm形成し、通常のショットキー型太陽電池を完成させた。
【0051】
通常のショットキー型太陽電池とナノメッシュ電極を有するショットキー型太陽電池の変換効率を比較すると、60%の効率向上が確認された。
【0052】
(実施例4)
1016cm−3のドーピング濃度を有するn型Si基板31を準備した。そのn型Si基板31の裏面にPを熱拡散によりドーピングし1020cm−3にした。次いで、基板裏面にAl層32を蒸着法により100nm形成し、裏面はオーミック接触を有する電極を形成した。次いで、基板表面にAl層33を蒸着法により10nm形成した。この場合、基板表面はAl層33とショットキー接合を有していた(図6(a))。
【0053】
次に、基板表面に形成したAl層33上へレジスト34をELで1:3に希釈した溶液を2000rpm、30秒でスピンコートを行ったのち、ホットプレート上において110℃で90秒間加熱して溶媒を蒸発させた(図6(b))。レジスト34の膜厚は100nmであった。次いで、50nmの大きさ、高さ100nmの高さを持つ凸形状が形成された石英のモールド35(形状は9cm2内に形成されている)を用意し、レジスト34付き基板を120℃に加熱した状態で石英のモールド35の凸形状がある方をレジスト34に10MPaの圧力で押し付けてインプリントを行った(図6(c))。インプリント後、基板を室温まで冷却し石英モールド35をリリースした(図6(d))。インプリント後、レジスト34上へ200nmの大きさ、深さ100nmの凹形状が形成された。
【0054】
次に、凹パターンが形成されたレジストパターンを、O2:30sccm、10mTorr、RFパワー100Wの条件で20秒間エッチングを行った。O2RIE後、レジスト34の底だしが行われAl層33が露出した(図6(e))。次いで、Cl2:15sccm、Ar:15sccm、RFパワー100Wの条件でRIEを45秒間行った。塩素系ガスのRIEによりAl層33に50nmの開口を有するパターンが形成された。残留したレジスト34を酸素アッシングにより取り除きナノメッシュ電極付きショットキー太陽電池を完成させた(図6(f))。
【0055】
比較のため、1016cm−3のドーピング濃度を有するn型Si基板を準備し、そのn型Si基板の裏面にPを熱拡散によりドーピングし1020cm−3用意した。次いで、基板裏面にAl層を蒸着法により100nm形成し、裏面はオーミック接触を有する電極を形成した。次いで、基板表面にAl層を蒸着法により10nm形成し、通常のショットキー型太陽電池を完成させた。
【0056】
通常のショットキー型太陽電池とナノメッシュ電極を有するショットキー型太陽電池の変換効率を比較すると、100%の効率向上が確認された。
【0057】
実施例1と比較して開口径が微細化になったことにより電場増強効果が大きくなり効率向上が大きくなった。
【0058】
(実施例5)
1016cm−3のドーピング濃度を有するn型Si基板41を準備した。そのn型Si基板41の裏面にPを熱拡散によりドーピングし1020cm−3にした。次いで、基板裏面にAl層42を蒸着法により100nm形成し、裏面はオーミック接触を有する電極を形成した。次いで、基板表面にAu層43を蒸着法により30nm形成した。この場合、基板表面はAu層43とショットキー接合を有していた(図7(a))。
【0059】
次に、実施例1と同様にして基板表面に形成したAu層43上へレジスト44をELで1:2に希釈した溶液を2000rpm、30秒でスピンコートを行ったのち、ホットプレート上において110℃で90秒間加熱して溶媒を蒸発させた(図7(b))。レジスト44の膜厚は150nmであった。次いで、200nmの大きさ、高さ150nmの高さを持つ凸形状が形成された石英のモールド45(形状は9cm2内に形成されている)を用意し、レジスト44付き基板を120℃に加熱した状態で石英のモールド45の凸形状がある方をレジストに10MPaの圧力で押し付けてインプリントを行った(図7(c))。インプリント後、基板を室温まで冷却し石英モールド45をリリースした(図7(d))。インプリント後、レジスト44上へ200nmの大きさ、深さ100nmの凹形状が形成された。
【0060】
次に、凹パターンが形成されたレジストパターンを、O2:30sccm、10mTorr、RFパワー100Wの条件で30秒間エッチングを行った。O2RIE後、レジスト44の底だしが行われAu層43が露出した(図7(e))。
【0061】
次いで、Ar:30sccm、パワー500W、電流40mAの条件でイオンミリングを60秒間行った。イオンミリングによりAu層43に200nmの開口を有するパターンが形成された。残留したレジスト44を酸素アッシングにより取り除きナノメッシュ電極付きショットキー太陽電池を完成させた(図7(f))。
【0062】
比較のため、1016cm−3のドーピング濃度を有するn型Si基板を準備し、そのn型Si基板の裏面にPを熱拡散によりドーピングし1020cm−3用意した。次いで、基板裏面にAl層を蒸着法により100nm形成し、裏面はオーミック接触を有する電極を形成した。次いで、基板表面にAu層を蒸着法により10nm形成し、通常のショットキー型太陽電池を完成させた。
【0063】
通常のショットキー型太陽電池とナノメッシュ電極を有するショットキー型太陽電池の変換効率を比較すると、60%の効率向上が確認された。
【0064】
(実施例6)
1016cm−3のドーピング濃度を有するn型Si基板を準備した。そのn型Si基板51の裏面にPを熱拡散によりドーピングし1020cm−3にした。次いで、基板裏面にAl層52を蒸着法により100nm形成し、裏面はオーミック接触を有する電極を形成した。次いで、基板表面にAg層53を蒸着法により30nm形成した。この場合、基板表面はAg層53とショットキー接合を有していた(図8(a))。
【0065】
次に、実施例1と同様にして基板表面に形成したAg層53上へレジスト54をELで1:2に希釈した溶液を2000rpm、30秒でスピンコートを行ったのち、ホットプレート上において110℃で90秒間加熱して溶媒を蒸発させた(図8(b))。レジスト54の膜厚は150nmであった。次いで、200nmの大きさ、高さ150nmの高さを持つ凸形状が形成された石英のモールド55(形状は9cm2内に形成されている)を用意し、レジスト54付き基板を120℃に加熱した状態で石英のモールド55の凸形状がある方をレジスト54に10MPaの圧力で押し付けてインプリントを行った(図8(c))。インプリント後、基板を室温まで冷却し石英モールド55をリリースした(図8(d))。インプリント後、レジスト54上へ200nmの大きさ、深さ100nmの凹形状が形成された。
【0066】
次に、凹パターンが形成されたレジストパターンを、O2:30sccm、10mTorr、RFパワー100Wの条件で30秒間エッチングを行った。O2RIE後、レジスト54の底だしが行われAg層53が露出した(図8(e))。
【0067】
次いで、Ar:30sccm、パワー500W、電流40mAの条件でイオンミリングを90秒間行った。イオンミリングによりAg層53に200nmの開口を有するパターンが形成された。残留したレジスト54を酸素アッシングにより取り除きナノメッシュ電極付きショットキー太陽電池を完成させた(図8(f))。
【0068】
比較のため、1016cm−3のドーピング濃度を有するn型Si基板を準備し、そのn型Si基板の裏面にPを熱拡散によりドーピングし1020cm−3用意した。次いで、基板裏面にAl層を蒸着法により100nm形成し、裏面はオーミック接触を有する電極を形成した。次いで、基板表面にAg層を蒸着法により20nm形成し、通常のショットキー型太陽電池を完成させた。
【0069】
通常のショットキー型太陽電池とナノメッシュ電極を有するショットキー型太陽電池の変換効率を比較すると、55%の効率向上が確認された。
【0070】
以上の結果から、Al、Au、Agと金属が変わっても効率向上の効果が確認された。また、その他の金属でも同様に効果が発現される。
【0071】
(実施例7)
1016cm−3のドーピング濃度を有するn型GaAs基板61を準備した。そのn型GaAs基板61の裏面にAu−Ge(1%)層62を蒸着法により100nm形成した。形成後、窒素雰囲気下によって450℃、30分間アニールを行った。アニール後、裏面にオーミック接触を有する電極が形成された。
【0072】
次いで、基板表面にAu層63を蒸着法により30nm形成した。この場合、基板表面はAu層63とショットキー接合を有していた(図9(a))。
【0073】
次に、実施例1と同様にして基板表面に形成したAu層63上へレジスト64をELで1:2に希釈した溶液を2000rpm、30秒でスピンコートを行ったのち、ホットプレート上において110℃で90秒間加熱して溶媒を蒸発させた(図9(b))。レジスト64の膜厚は150nmであった。次いで、200nmの大きさ、高さ150nmの高さを持つ凸形状が形成された石英のモールド65(形状は9cm2内に形成されている)を用意し、レジスト64付き基板を120℃に加熱した状態で石英のモールド65の凸形状がある方をレジスト64に10MPaの圧力で押し付けてインプリントを行った(図9(c))。インプリント後、基板を室温まで冷却し石英モールド65をリリースした(図9(d))。インプリント後、レジスト64上へ200nmの大きさ、深さ100nmの凹形状が形成された。
【0074】
次に、凹パターンが形成されたレジストパターンを、O2:30sccm、10mTorr、RFパワー100Wの条件で30秒間エッチングを行った。O2RIE後、レジスト64の底だしが行われAu層63が露出した(図9(e))。
【0075】
次いで、Ar:30sccm、パワー500W、電流40mAの条件でイオンミリングを60秒間行った。イオンミリングによりAu層63に200nmの開口を有するパターンが形成された。残留したレジスト64を酸素アッシングにより取り除きナノメッシュ電極付きショットキー太陽電池を完成させた(図9(f))。
【0076】
比較のため、1016cm−3のドーピング濃度を有するn型GaAs基板を準備し、そのn型GaAs基板の裏面にAu−Ge(1%)を蒸着法により100nm形成した。形成後、窒素雰囲気下によって450℃、30分間アニールを行った。アニール後、裏面にオーミック接触を有する電極が形成された。次いで、基板表面にAuを蒸着法により10nm形成し、通常のショットキー型太陽電池を完成させた。
【0077】
通常のショットキー型太陽電池とナノメッシュ電極を有するショットキー型太陽電池の変換効率を比較すると、50%の効率向上が確認された。
【0078】
(実施例8)
SiH4とPH3の混合ガスでプラズマCVD法により電極72付きガラス基板71へn型ポリシリコン層を1μm形成した。次いで、基板表面にAl層73を蒸着法により20nm形成した。この場合、基板表面はAl層73とショットキー接合を有していた(図10(a))。
【0079】
次に、基板表面に形成したAl層73上へレジスト74(THMR IP3250、(株)東京応化工業)を乳酸エチル(EL)で1:2に希釈した溶液を2000rpm、30秒でスピンコートを行ったのち、ホットプレート上において110℃で90秒間加熱して溶媒を蒸発させた(図10(b))。レジスト74の膜厚は150nmであった。次いで、200nmの大きさ、高さ150nmの高さを持つ凸形状が形成された石英のモールド75(形状は9cm2内に形成されている)を用意し、レジスト74付き基板を120℃に加熱した状態で石英のモールド75の凸形状がある方をレジスト74に10MPaの圧力で押し付けてインプリントを行った(図10(c))。インプリント後、基板を室温まで冷却し石英モールド75をリリースした(図10(d))。インプリント後、レジスト74上へ200nmの大きさ、深さ100nmの凹形状が形成された。
【0080】
次に、凹パターンが形成されたレジストパターンを、O2:30sccm、10mTorr、RFパワー100Wの条件で30秒間エッチングを行った。O2RIE後、レジスト74の底だしが行われAl層73が露出した(図12(e))。次いで、Cl2:15sccm、Ar:15sccm、RFパワー100Wの条件でRIEを60秒間行った。塩素系ガスのRIEによりAl層73に200nmの開口を有するパターンが形成された。残留したレジスト74を酸素アッシングにより取り除きナノメッシュ電極付きショットキー太陽電池を完成させた(図10(f))。
【0081】
比較のため、SiH4とPH3の混合ガスでプラズマCVD法により電極付きガラス基板へn型アモルファスシリコン層を1μm形成した。次いで、基板表面にAl層を蒸着法により10nm形成し、通常のショットキー型太陽電池を完成させた。
【0082】
比較のため、SiH4とPH3の混合ガスでプラズマCVD法により電極付きガラス基板へn型ポリシリコン層を1μm形成した。次いで、基板表面にAlを蒸着法により10nm形成し、通常のショットキー型太陽電池を完成させた。
【0083】
通常のショットキー型太陽電池とナノメッシュ電極を有するショットキー型太陽電池の変換効率を比較すると、50%の効率向上が確認された。
【0084】
(実施例9)
SiH4とPH3の混合ガスでプラズマCVD法により電極82付きガラス基板81へn型アモルファスシリコン層を1μm形成した。次いで、基板表面にAl層83を蒸着法により20nm形成した。この場合、基板表面はAl層83とショットキー接合を有していた(図11(a))。
【0085】
次に、基板表面に形成したAl層83上へレジスト84(THMR IP3250、(株)東京応化工業)を乳酸エチル(EL)で1:2に希釈した溶液を2000rpm、30秒でスピンコートを行ったのち、ホットプレート上において110℃で90秒間加熱して溶媒を蒸発させた(図11(b))。レジスト84の膜厚は150nmであった。次いで、200nmの大きさ、高さ150nmの高さを持つ凸形状が形成された石英のモールド85(形状は9cm2内に形成されている)を用意し、レジスト84付き基板を120℃に加熱した状態で石英のモールド85の凸形状がある方をレジスト84に10MPaの圧力で押し付けてインプリントを行った(図11(c))。インプリント後、基板を室温まで冷却し石英モールド85をリリースした(図11(d))。インプリント後、レジスト84上へ200nmの大きさ、深さ100nmの凹形状が形成された。
【0086】
次に、凹パターンが形成されたレジストパターンを、O2:30sccm、10mTorr、RFパワー100Wの条件で30秒間エッチングを行った。O2RIE後、レジスト84の底だしが行われAl層83が露出した(図10(e))。次いで、Cl2:15sccm、Ar:15sccm、RFパワー100Wの条件でRIEを60秒間行った。塩素系ガスのRIEによりAl層83に200nmの開口を有するパターンが形成された。残留したレジスト84を酸素アッシングにより取り除きナノメッシュ電極付きショットキー太陽電池を完成させた(図11(f))。
【0087】
比較のため、SiH4とPH3の混合ガスでプラズマCVD法により電極付きガラス基板へn型アモルファスシリコン層を1μm形成した。次いで、基板表面にAl層を蒸着法により10nm形成し、通常のショットキー型太陽電池を完成させた。
【0088】
通常のショットキー型太陽電池とナノメッシュ電極を有するショットキー型太陽電池の変換効率を比較すると、55%の効率向上が確認された。
【0089】
(実施例10)
1016cm−3のドーピング濃度を有するp型GaAs基板91を準備した。そのp型GaAs基板91の裏面にAu/Au−Zn(5%)層92を蒸着法により100nm形成した。形成後、窒素雰囲気下によって450℃、30分間アニールを行った。アニール後、裏面にオーミック接触を有する電極が形成された。
【0090】
次いで、基板の表面にAu層93を蒸着法により30nm形成した。この場合、基板表面はAu層93とショットキー接合を有していた(図12(a))。
【0091】
次に、実施例1と同様にして基板表面に形成したAu層93上へレジスト94をELで1:2に希釈した溶液を2000rpm、30秒でスピンコートを行ったのち、ホットプレート上において110℃で90秒間加熱して溶媒を蒸発させた(図12(b))。レジスト94の膜厚は150nmであった。次いで、200nmの大きさ、高さ150nmの高さを持つ凸形状が形成された石英のモールド95(形状は9cm2内に形成されている)を用意し、レジスト94付き基板を120℃に加熱した状態で石英のモールド95の凸形状がある方をレジスト94に10MPaの圧力で押し付けてインプリントを行った(図12(c))。インプリント後、基板を室温まで冷却し石英モールド95をリリースした(図12(d))。インプリント後、レジスト94上へ200nmの大きさ、深さ100nmの凹形状が形成された。
【0092】
次に、凹パターンが形成されたレジストパターンを、O2:30sccm、10mTorr、RFパワー100Wの条件で30秒間エッチングを行った。O2RIE後、レジスト94の底だしが行われAu層93が露出した(図11(e))。
【0093】
次いで、Ar:30sccm、パワー500W、電流40mAの条件でイオンミリングを60秒間行った。イオンミリングによりAu層93に200nmの開口を有するパターンが形成された。残留したレジスト94を酸素アッシングにより取り除きナノメッシュ電極付きショットキー太陽電池を完成させた(図12(f))。
【0094】
比較のため、1016cm−3のドーピング濃度を有するn型GaAs基板を準備し、そのp型GaAs基板の裏面にAu/Au−Zn(5%)層を蒸着法により100nm形成した。形成後、窒素雰囲気下によって450℃、30分間アニールを行った。アニール後、裏面にオーミック接触を有する電極が形成された。
【0095】
次いで、基板表面にAu層を蒸着法により10nm形成し、通常のショットキー型太陽電池を完成させた。
【0096】
通常のショットキー型太陽電池とナノメッシュ電極を有するショットキー型太陽電池の変換効率を比較すると、60%の効率向上が確認された。
【0097】
(実施例11)
1016cm−3のドーピング濃度を有するp型Si基板101を準備した。そのp型Si基板101の裏面にBを熱拡散によりドーピングし1020cm−3にした。次いで、基板裏面にAl層102を蒸着法により100nm形成し、裏面はオーミック接触を有する電極を形成した。次いで、基板表面にNi層をスパッタリング法により堆積し、900℃でアニールしてNiSi2層103を30nm形成した。この場合、基板表面はNiSi2層103とショットキー接合を有していた(図13(a))。
【0098】
次に、実施例1と同様にして基板表面に形成したNiSi2層103上へレジスト104をELで1:2に希釈した溶液を2000rpm、30秒でスピンコートを行ったのち、ホットプレート上において110℃で90秒間加熱して溶媒を蒸発させた(図13(b))。レジスト104の膜厚は150nmであった。次いで、200nmの大きさ、高さ150nmの高さを持つ凸形状が形成された石英のモールド105(形状は9cm2内に形成されている)を用意し、レジスト104付き基板を120℃に加熱した状態で石英のモールド105の凸形状がある方をレジスト104に10MPaの圧力で押し付けてインプリントを行った(図13(c))。インプリント後、基板を室温まで冷却し石英モールド105をリリースした(図13(d))。インプリント後、レジスト104上へ200nmの大きさ、深さ100nmの凹形状が形成された。
【0099】
次に、凹パターンが形成されたレジストパターンを、O2:30sccm、10mTorr、RFパワー100Wの条件で30秒間エッチングを行った。O2RIE後、レジスト104の底だしが行われNiSi2層103が露出した(図13(e))。
【0100】
次いで、Ar:30sccm、パワー500W、電流40mAの条件でイオンミリングを70秒間行った。イオンミリングによりNiSi2層103に200nmの開口を有するパターンが形成された。残留したレジスト104を酸素アッシングにより取り除きナノメッシュ電極付きショットキー太陽電池を完成させた(図13(f))。
【0101】
比較のため、1016cm−3のドーピング濃度を有するp型Si基板を準備し、そのp型Si基板の裏面にBを熱拡散によりドーピングし1020cm−3用意した。次いで、基板裏面にAl層を蒸着法により100nm形成し、裏面はオーミック接触を有する電極を形成した。次いで、基板表面にNi層をスパッタリング法により堆積し、900℃でアニールしてNiSi2層を10nm形成し、通常のショットキー型太陽電池を完成させた。
【0102】
通常のショットキー型太陽電池とナノメッシュ電極を有するショットキー型太陽電池の変換効率を比較すると、25%の効率向上が確認された。
【0103】
シリコン太陽電池においては電極としてシリサイドを使用することも可能である。
【0104】
(実施例12)
1016cm−3のドーピング濃度を有するn型Si基板111を準備した。そのn型Si基板111の裏面にPを熱拡散によりドーピングし1020cm−3にした。
【0105】
次いで、n型Si基板111の表面に熱酸化膜112を2nm形成した。次いで、基板裏面にAl層113を蒸着法により100nm形成し、裏面はオーミック接触を有する電極を形成した。次いで、基板表面にAl層114を蒸着法により20nm形成した。この場合、基板表面はAl/SiO2/SiのMIS構造の太陽電池構造を有していた(図14(a))。
【0106】
次に、基板表面に形成したAl層114上へレジスト115(THMR IP3250、(株)東京応化工業)を乳酸エチル(EL)で1:2に希釈した溶液を2000rpm、30秒でスピンコートを行ったのち、ホットプレート上において110℃で90秒間加熱して溶媒を蒸発させた(図14(b))。レジスト115の膜厚は150nmであった。次いで、200nmの大きさ、高さ150nmの高さを持つ凸形状が形成された石英のモールド116(形状は9cm2内に形成されている)を用意し、レジスト115付き基板を120℃に加熱した状態で石英のモールド115の凸形状がある方をレジスト114に10MPaの圧力で押し付けてインプリントを行った(図14(c))。インプリント後、基板を室温まで冷却し石英モールド116をリリースした(図14(d))。インプリント後、レジスト115上へ200nmの大きさ、深さ100nmの凹形状が形成された。
【0107】
次に、凹パターンが形成されたレジストパターンを、O2:30sccm、10mTorr、RFパワー100Wの条件で30秒間エッチングを行った。O2RIE後、レジスト115の底だしが行われAl層114が露出した(図14(e))。次いで、Cl2:15sccm、Ar:15sccm、RFパワー100Wの条件でRIEを60秒間行った。塩素系ガスのRIEによりAl層114に200nmの開口を有するパターンが形成された。残留したレジスト115を酸素アッシングにより取り除きナノメッシュ電極付きショットキー太陽電池を完成させた(図14(f))。
【0108】
比較のため、1016cm−3のドーピング濃度を有するn型Si基板を準備し、そのn型Si基板の裏面にPを熱拡散によりドーピングし1020cm−3用意した。次いで、n型Si表面に熱酸化膜を2nm形成した。次いで、基板裏面にAl層を蒸着法により100nm形成し、裏面はオーミック接触を有する電極を形成した。次いで、基板表面にAl層を蒸着法により10nm形成し、MIS太陽電池を完成させた。
【0109】
金属/絶縁膜/半導体の太陽電池とナノメッシュ電極を有する金属/絶縁膜/半導体の太陽電池の変換効率を比較すると、65%の効率向上が確認された。
【符号の説明】
【0110】
1,11,21,31,41,51,111…n型Si基板、61…n型GaAs基板、71,81…ガラス基板、91…p型GaAs基板、101…p型Si基板、2,3,12,13,22,23,32,33,42,52,73,83,102,113,114…Al層。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ショットキー型太陽電池の効率向上に関するものであり、ショットキー型金属電極にサブミクロンの開口を有するナノメッシュ金属電極を有するものである。また、その製造方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
ショットキー型太陽電池は光照射面の金属電極と半導体界面近傍での光吸収を利用するため、大出力電流をとることが可能となる。また、金属電極と半導体界面近傍での光吸収を利用するためアモルファスや多結晶の薄膜太陽電池に適用することができる。しかし、光照射面が金属で覆われるため、その吸収や反射を小さくするため、金属膜は非常に薄く(〜10nm)しなければならない。また、界面近傍での光吸収のため吸収係数が大きくない材料では十分な太陽電池の変換効率が得られない。
【0003】
ショットキー型太陽電池の効率向上法として、光照射面は透明電極を用い、裏面電極がショットキー金属電極で凹凸構造を有するものがある(特許文献1参照)。透明電極から取り込んだ光の吸収をプラズモン増強効果によってアシストし、変換効率良くする方法である。ただしこの方法では、取り込む光の量は透明電極から受けるものであるため、従来と効率は少し向上するかほとんど変わらない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−53165号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のショットキー型太陽電池は、光照射面に金属電極を用いるため、金属膜は非常に薄く(〜10nm)しなければならない。また、金属電極と半導体界面近傍での光吸収のため吸収係数が大きくない材料では十分な太陽電池の変換効率が得られない。本発明では、ショットキー型太陽電池の電極に微細な開口を有することにより変換効率を向上するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施態様である太陽電池は、第一の電極層と半導体層と第二の電極とが積層されて構成された太陽電池であって、前記第一の電極層は光照射面側に存在し、前記半導体層とショットキー壁を有する電極であって、前記第二の電極層は光照射面とは反対側に存在し、前記半導体層とオーミック接触を有する電極であって、前記電極層を貫通する複数の開口部を有しており、開口部1つあたりの面積が80nm2以上0.25μm2以下の範囲にあり、開口率が10%以上66%以下の範囲にあり、膜厚が5nm以上50nm以下の範囲にあることを特徴とする。
【0007】
本発明の別の実施態様である太陽電池の製造方法は、上記太陽電池の製造方法であって、半導体層を形成する工程と、前記半導体層の第二の電極層を形成する工程と、前記半導体層の第一の電極層を形成する工程を含み、開口に対応した微細凹凸パターンを表面に有するスタンパーを準備する工程と、前記第一の電極の少なくとも一部に前記スタンパーを利用してレジストパターンを転写する工程と、前記レジストパターンをエッチングマスクとして前記第一の電極層にパターンを形成する工程とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ショットキー型太陽電池の受光面の金属電極をサブミクロンの開口を有するナノメッシュ金属電極を用いることにより、変換効率の良い太陽電池が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】開口部の開口径と電場強度の関係を示すグラフ。
【図2】従来例のショットキー型太陽電池と本実施の形態に係るショットキー型太陽電池の違いを説明するための概念図。
【図3】実施例1に係る太陽電池の製造方法を説明するための概念図。
【図4】実施例2に係る太陽電池の製造方法を説明するための概念図。
【図5】実施例3に係る太陽電池の製造方法を説明するための概念図。
【図6】実施例4に係る太陽電池の製造方法を説明するための概念図。
【図7】実施例5に係る太陽電池の製造方法を説明するための概念図。
【図8】実施例6に係る太陽電池の製造方法を説明するための概念図。
【図9】実施例7に係る太陽電池の製造方法を説明するための概念図。
【図10】実施例8に係る太陽電池の製造方法を説明するための概念図。
【図11】実施例9に係る太陽電池の製造方法を説明するための概念図。
【図12】実施例10に係る太陽電池の製造方法を説明するための概念図。
【図13】実施例11に係る太陽電池の製造方法を説明するための概念図。
【図14】実施例12に係る太陽電池の製造方法を説明するための概念図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明はショットキー型太陽電池の受光面の金属電極を、サブミクロンの開口を有するナノメッシュ金属電極にすることを特徴とする。ナノメッシュ金属にすることで開口部に発生する強い局在電場により、ナノメッシュ金属電極と半導体界面近傍に通常よりも多くのキャリアが励起され太陽電池の変換効率を向上することが可能となる。また、ナノメッシュ金属と半導体界面近傍で通常よりも多くのキャリアを励起するため、吸収係数の大きくない材料でも使用できる。更に、金属膜厚を10nm未満にする必要も無く信頼性の向上にも寄与する。
【0011】
特許文献1で示したものとは大きく異なる点は取り込む光のエネルギーが大きくなる点である。特許文献1ではあくまでも光吸収層で吸収できない光をプラズモン増強効果によってアシストして効率を向上させるものであって、我々の発明では取り込む光のエネルギー量を多くするものである。我々の発明では、太陽電池の効率が大きく向上する。その他に、開口をもつ金属電極に関連して、入射光と表面上の表面プラズモンとの共鳴相互作用による強化特性をもつアパーチャー配列を有する金属電極を有する太陽電池が考案されている(特開2002−76410号参照)。プラズモン共鳴作用を利用するため、金属電極におけるある特定の波長の透過率が向上する現象を利用することにより変換効率を向上するものである。この方法ではある特定の波長の透過率が上がるのみでそれほど太陽電池の効率向上には寄与しないと見られる。我々の発明とは金属電極の透過率を上げる原理ではないため大きく異なる。
【0012】
以下、本発明の詳細を図示の実施形態によって説明する。最初に、本発明の原理について詳細に説明する。
【0013】
サブミクロンの開口を有するナノメッシュ金属電極にすることにより開口部に発生する強い局在電場の様子を調べるため、Finite Diffrence Time Domain(FDTD)法によるシミュレーションを行った。シミュレーションはSi/Al(50nm)/空気の構造で、Alに単一開口を用意した。そのAlの開口径を10nmから500nmの範囲で変化させて空気側から光(波長500nm)を入射し、その時のSiとAlの界面に生じた電場強度の依存性を調べた。その結果を図1(a)に示す。まず、シミュレーションの結果から電場増強はAlの開口部のエッジで起こることがわかった。そして、開口径が200nm以上では電場強度はほぼ一定であったが、100nm以下では徐々に電場強度が大きくなっていった。電場強度は40〜60nm付近で最大となり、それ以下の開口径では電場強度は減少していった。また、上記の構造で入射する光の波長を1000nmに変更してAlの開口径を10nmから1000nmの範囲で変化させて電場強度の依存性を調べた。その結果を図1(b)に示す。開口径が400nm以上では電場強度はほぼ一定であったが、200nm以下では徐々に電場強度が大きくなり電場強度は80〜120nm付近で最大となり、それ以下の開口径では電場強度は減少していった。入射波長が500から1000nmに変わると電場増強の開口径のピーク値は波長が2倍になった分の2倍になることが分かった。以上のシミュレーション結果から判断すると、AM1.5の光においては10nm以上200nm以下の開口が存在するとSiとAlの界面で電場が充分に増強されることが分かった。
【0014】
上記のシミュレーションの結果はAlの単一開口の結果を示しているだけで、多数の開口が存在した場合の数の効果を考慮に入れていない。実際に開口が細密充填の形で存在する場合の電場増強の依存性を調べた。電場増強はエッジに存在するので開口形を円と仮定すると図1(a)の結果に4*π/√3/開口径をかけたものとなる。その結果を図1(c)に示す。結果は図1(a)と同様の結果となったが1/開口径のため短波長側へシフトした。ただし、AM1.5の光においては10nm以上200nm以下の開口が存在すると電場が充分に増強されることには変わりは無かった。以上の結果から、ナノメッシュ金属電極にすることにより開口部に発生する強い局在電場が発生し、それによりショットキー型太陽電池の変換効率が向上することが分かった。ただし、ここでは金属をAl、開口部を円形で計算したが、実際はAl以外の金属でも同様のことが起こり、また、円形以外の形でも問題は無い。
【0015】
次に、ナノメッシュ電極の開口部に発生する強い局在電場が、太陽電池の効率向上にどのように寄与するか説明する。上述のシミュレーションの結果より。電極構造をナノメッシュ金属にすることで開口部に強い局在電場が発生する。図2(a)に示すように、通常のショットキー型太陽電池においては入射した光が金属電極と半導体界面近傍でキャリアが励起されて光電流を発生し電力を発生する。ショットキー型太陽電池においてナノメッシュ電極を有する場合は、図2(b)に示すようにナノメッシュ電極の開口部に発生する強い局在電場のため、ナノメッシュ金属電極と半導体界面近傍に通常よりも多くのキャリアが励起されより多くの光電流が発生し、つまりより多くの電力を発生することになる。それによって太陽電池の変換効率を向上することが可能となる。
【0016】
次に、ショットキー型太陽電池で発生する光電流に関して説明し、有効な構造について述べる。ショットキー型太陽電池では3種の光電流が発生する。一つ目はショットキー障壁を超えるエネルギーの光は金属に吸収され電子を励起し半導体に注入される。2つ目は半導体のバンドギャップを超えるエネルギーの光は表面近く、つまり空乏層で吸収される。3つ目は長波長の光は半導体の中性域で吸収される。3つの中で、2つ目の空乏層領域での光吸収が大きく、空乏層幅Wは以下の式で表される。
W=(2*εs*Vbi/q/ND)0.5 (1)
ここで、εsは半導体の誘電率、Vbiは内臓電位、NDは半導体のドーピング濃度である(この場合はn型を仮定している)。半導体がSiの場合ではVbiはだいたい0.5eV程度であり、NDは太陽電池では1016cm−3前後で使用され、(1)式から空乏層幅Wを計算すると0.3μm程度になる。金属電極にナノメッシュ構造が無い場合には、空乏層は金属−半導体界面から全領域に0.3μm程度空乏層が形成される。金属電極にナノメッシュ構造がある場合には、空乏層はナノメッシュ金属電極直下−半導体界面から電極直下領域に0.3μm程度の空乏層が形成され、ナノメッシュ金属電極端から開口部部分へ0.3μm程度空乏層が形成される。そのため、ナノメッシュ電極の開口部径が0.6μmよりも大きい場合は開口部中心近傍に空乏層が形成されなくなり光吸収が十分でなくなる。そのため、ナノメッシュ電極の開口部径は0.6μmより小さいのが好ましく、より十分な光吸収が起こるには0.5μm以下が好ましい。また、ショットキー型太陽電池において上記で述べたように、ショットキー障壁を超えるエネルギーの光は金属に吸収され電子を励起し半導体に注入される光電流と半導体の中性域で吸収される光電流も発生するため、ナノメッシュ電極の厚みは大きすぎないほうが良く、50nm以下の膜厚が好ましい。
【0017】
その他に、ショットキー型太陽電池で金属と半導体に絶縁膜を挟んだMetal Insulator Semiconductor(MIS)太陽電池が存在し、それについて簡単に説明する。MIS構造の太陽電池の基本的な動作原理はショットキー型太陽電池と同様であるが、絶縁膜が存在するため、絶縁膜を介してのトンネル電流が発生する。そのため、ショットキー型太陽電池よりも開放電圧が大きくなり、開放電圧は絶縁膜の膜厚を増すと増大する。しかし、膜厚が大きくなるとトンネル電流が小さくなることに起因して短絡電流は低下していくため、太陽電池の変換効率を考慮に入れると数nmあたりが最適膜厚となる。MIS構造の太陽電池においても金属電極をナノメッシュ電極にすることにより変換効率を向上することが可能となる。
【0018】
次に、上記の太陽電池の作製方法について述べる。
200nm以下の開口を有する金属電極パターンを形成するには、半導体集積回路で用いられている最新の露光装置や、EB描画装置を用いる必要が去る。しかし、最新の露光装置やEB描画装置を用いると大面積でかつ低コストで形成することは不可能であると思われる。大面積でかつ低コストで形成可能な方法の一つとしてナノインプリントを用いる方法がある。以下、ナノインプリントによるナノメッシュ電極の形成方法について記述する。
【0019】
基板として、1016cm−3のドーピング濃度を有するn型Si基板を用意する。そのn型Si基板の裏面にPを熱拡散によりドーピングし裏面濃度を1020cm−3にする。次いで、基板裏面にAlを蒸着法により形成し、裏面はオーミック接触を有する電極を形成する。次いで、基板表面にAlを蒸着法により20nm形成する。この場合、基板表面はAlとショットキー接合を有する。
【0020】
次に、基板表面に形成したAl上へレジストを形成する。そして、200nmの大きさを持つ凸形状が形成された石英のモールド(形状は9cm2内に形成されている)を用意し、レジスト付き基板を加熱した状態で石英のモールドの凸形状がある方をレジストに押し付けてインプリントを行う。インプリント後、基板を冷却し石英モールドをリリースする。ナノインプリント後、レジスト上へ200nmの大きさの凹形状が形成される。
【0021】
次に、凹パターンが形成されたレジストを、酸素のリアクティブイオンエッチング(RIE)によりエッチングし底だしを行う。底だし後、塩素系ガスのRIEによりAlのエッチングを行う。Alエッチング後、残留したレジストを酸素アッシングにより取り除くことによりAl中へ開口を持つ形状を形成した。以上のプロセスによりナノメッシュ電極を有するショットキー型太陽電池が完成する。
【0022】
また、化合物半導体においても上記と同様のプロセスで、ナノメッシュ電極を有するショットキー型太陽電池を形成できる。尚、化合物半導体としてGaAs、CdTeなどがあげられる。
【実施例】
【0023】
本発明を実施例によって更に詳細に説明する。太陽電池は9cm2の大きさで作製し、ナノメッシュ金属電極と薄膜金属の太陽電池の変換効率の比較を行った。
【0024】
(実施例1)
1016cm−3のドーピング濃度を有するn型Si基板1を準備した。そのn型Si基板1の裏面にPを熱拡散によりドーピングし1020cm−3にした。次いで、基板裏面にAl層2を蒸着法により100nm形成し、裏面はオーミック接触を有する電極を形成した。次いで、基板表面にAl層3を蒸着法により20nm形成した。この場合、基板表面はAl層3とショットキー接合を有していた(図3(a))。
【0025】
次に、基板表面に形成したAl層3上へレジスト4(THMR IP3250、(株)東京応化工業)を乳酸エチル(EL)で1:2に希釈した溶液を2000rpm、30秒でスピンコートを行ったのち、ホットプレート上において110℃で90秒間加熱して溶媒を蒸発させた(図3(b))。レジスト4の膜厚は150nmであった。次いで、200nmの大きさ、高さ150nmの高さを持つ凸形状が形成された石英のモールド5(形状は9cm2内に形成されている)を用意し、レジスト4付き基板1を120℃に加熱した状態で石英のモールド5の凸形状がある方をレジスト4に10MPaの圧力で押し付けてインプリントを行った(図3(c))。インプリント後、基板1を室温まで冷却し石英モールド5をリリースした(図3(d))。インプリント後、レジスト4上へ200nmの大きさ、深さ100nmの凹形状が形成された。
【0026】
次に、凹パターンが形成されたレジストパターンを、O2:30sccm、10mTorr、RFパワー100Wの条件で30秒間エッチングを行った。O2RIE後、レジスト4の底だしが行われAl層3が露出した(図3(e))。次いで、Cl2:15sccm、Ar:15sccm、RFパワー100Wの条件でRIEを60秒間行った。塩素系ガスのRIEによりAl層3に200nmの開口を有するパターンが形成された。残留したレジスト4を酸素アッシングにより取り除きナノメッシュ電極付きショットキー太陽電池を完成させた(図3(f))。
【0027】
比較のため、1016cm−3のドーピング濃度を有するn型Si基板を準備し、そのn型Si基板の裏面にPを熱拡散によりドーピングし1020cm−3用意した。次いで、基板裏面にAl層を蒸着法により100nm形成し、裏面はオーミック接触を有する電極を形成した。次いで、基板表面にAl層を蒸着法により10nm形成し、通常のショットキー型太陽電池を完成させた。
【0028】
通常のショットキー型太陽電池とナノメッシュ電極を有するショットキー型太陽電池の変換効率を比較すると、50%の効率向上が確認された。
【0029】
(実施例2)
1016cm−3のドーピング濃度を有するn型Si基板11を準備した。そのn型Si基板11の裏面にPを熱拡散によりドーピングし1020cm−3にした。次いで、基板裏面にAl層12を蒸着法により100nm形成し、裏面はオーミック接触を有する電極を形成した。次いで、基板表面にAl層13を蒸着法により20nm形成した。この場合、基板表面はAl層13とショットキー接合を有していた(図4(a))。
【0030】
次に、基板11の表面に形成したAl層13上へレジスト14(THMR IP3250、(株)東京応化工業)を乳酸エチル(EL)で1:1に希釈した溶液を2000rpm、30秒でスピンコートを行ったのち、ホットプレート上において110℃で90秒間加熱して溶媒を蒸発させた。次いでレジスト14を窒素雰囲気下において250℃でアニール行い熱硬化させた。レジスト14の膜厚は300nmであった。
【0031】
次いで、乳酸エチル中に、直径200nmのシリカ粒子を分散させた。シリカ粒子の濃度は8重量%に調整した。その分散液に体積比率でシリカ:アクリルモノマー=1:3の比率になるようにアクリルモノマーを加えて分散液を作成した。アクリルモノマーはEthoxylated (6) trimethylolpropane triacrylate(以下、E6TPTAという)を用いた。その分散液を上記のレジスト14付きシリコン基板11へ滴下し、2000rpm、60秒間の条件でスピンコートした。スピンコート後、溶媒を完全に除去するため、110℃で60秒間ベークした。その後、窒素雰囲気下において150℃で1時間硬化アニールを行った。アニール後、規則配列したシリカ粒子層15が形成された(図4(b))。
【0032】
次いで、配列されたシリカ粒子層15をリアクティブエッチング(RIE)装置によって、CF4流量30sccm、圧力1.33Pa(10mTorr)、パワー100Wで2分間エッチングしシリカ粒子の粒径を150nmに縮小化した(図4(c))。
【0033】
次いで、そのシリカ粒子層15をマスクとして、O2流量30sccm、圧力1.33Pa(10mTorr)、パワー100Wで5分間レジスト14をエッチングし、レジストピラーパターン16を形成した(図4(d))。
【0034】
次に、有機SOG組成物17(OCD−T7 T−14000(商品名)、東京応化工業株式会社)をレジストピラーパターン16付きシリコン基板へ滴下し、2000rpm、60秒間の条件でスピンコートした。スピンコート後、溶媒を完全に除去するため、110℃で60秒間ベークした。その後、窒素雰囲気下において250℃で1時間硬化アニールを行った。硬化後、レジストピラーパターン16は完全にSOG17によって埋め込まれ、また平坦化された(図4(e))。
【0035】
次いで、SOG17によって平坦化されたシリコン基板をCF4流量30sccm、圧力1.33Pa(10mTorr)、パワー100Wで10分間エッチバックした。エッチバック後、レジストピラーパターン16の頂部が露出された(図4(f))。
【0036】
次いで、O2流量30sccm、圧力1.33Pa(10mTorr)、パワー100Wで3分間エッチングし、レジストピラー16を完全に除去した。除去後、SOG17のホールパターンが形成された(図4(g))。
【0037】
次いで、SOGホールパターンをマスクとして、Cl2:15sccm、Ar:15sccm、RFパワー100Wの条件でRIEを60秒間行った。塩素系ガスのRIEによりAl層13に150nmの開口を有するパターンが形成された。残留したSOGマスクをCF4のエッチングにより取り除き、ナノメッシュ電極付きショットキー太陽電池を完成させた(図4(h))。
【0038】
比較のため、1016cm−3のドーピング濃度を有するn型Si基板を準備し、そのn型Si基板の裏面にPを熱拡散によりドーピングし1020cm−3用意した。次いで、基板裏面にAl層を蒸着法により100nm形成し、裏面はオーミック接触を有する電極を形成した。次いで、基板表面にAl層を蒸着法により10nm形成し、通常のショットキー型太陽電池を完成させた。
【0039】
通常のショットキー型太陽電池とナノメッシュ電極を有するショットキー型太陽電池の変換効率を比較すると、50%の効率向上が確認された。
【0040】
(実施例3)
1016cm−3のドーピング濃度を有するn型Si基板21を準備した。そのn型Si基板21の裏面にPを熱拡散によりドーピングし1020cm−3にした。次いで、基板裏面にAl層22を蒸着法により100nm形成し、裏面はオーミック接触を有する電極を形成した。次いで、基板表面にAl層23を蒸着法により20nm形成した。この場合、基板表面はAl層23とショットキー接合を有していた(図5(a))。
【0041】
次に、実施例2と同様にして基板表面に形成したAl層23上へレジスト24をELで1:1に希釈した溶液を2000rpm、30秒でスピンコートを行ったのち、ホットプレート上において110℃で90秒間加熱して溶媒を蒸発させた。次いでレジスト24を窒素雰囲気下において250℃でアニール行い熱硬化させた。レジスト24の膜厚は300nmであった。次いで、有機SOG組成物25(OCD−T7 5500−T(商品名)、東京応化工業株式会社製)をELで1:9に希釈した溶液を2000rpm、30秒でスピンコートを行ったのち、ホットプレート上において110℃で90秒間加熱して溶媒を蒸発させた。次いでレジスト24を窒素雰囲気下において250℃でアニール行い熱硬化させた。硬化後の膜厚は30nmであった(図5(b))。
【0042】
次いで、PS(Mw78000):PMMA(Mw:170000)のブロックポリマーに、PMMA(Mw:1500)を重量比6:4で混合したポリマーをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)に3wt%で溶かした液をスピンコート法で2000rpm、30秒で塗布した後、110℃,90秒でプリベークして溶剤を気化し120nmの膜厚を得た。
【0043】
次いで、窒素雰囲気中で210℃,4時間のアニールを行い、PSとPMMAの相分離を行い、直径90nm程度のポリスチレンのドットパターンを形成した。その後、O2=30sccm、圧力13.3Pa(100mTorr)、パワー=100Wの条件下で20秒間RIEすることにより、相分離したPS−PMMAのうちPMMA26を選択的にエッチングしPSドットパターン27を形成した(図5(c))。
【0044】
次いで、PSドットパターン27をマスクとして、CF4流量30sccm、圧力1.33Pa(10mTorr)、パワー100Wで90秒間エッチングしSOGドットパターン28を形成した。
【0045】
次いで、そのSOGドットパターン28をマスクとして、O2流量30sccm、圧力1.33Pa(10mTorr)、パワー100Wで5分間レジスト24をエッチングし、レジストピラーパターン29を形成した(図5(d))。
【0046】
次に、実施例2と同様にして有機SOG組成物30(OCD−T7 T−14000(商品名)、東京応化工業株式会社)をレジストピラーパターン29付きシリコン基板へ滴下し、2000rpm、60秒間の条件でスピンコートした。スピンコート後、溶媒を完全に除去するため、110℃で60秒間ベークした。その後、窒素雰囲気下において250℃で1時間硬化アニールを行った。硬化後、レジストピラーパターン29は完全にSOG30によって埋め込まれ、また平坦化された(図5(e))。
【0047】
次いで、SOG30によって平坦化されたシリコン基板をCF4流量30sccm、圧力1.33Pa(10mTorr)、パワー100Wで10分間エッチバックした。エッチバック後、レジストピラーパターン29の頂部が露出された(図5(f))。
【0048】
次いで、O2流量30sccm、圧力1.33Pa(10mTorr)、パワー100Wで3分間エッチングし、レジストピラー29を完全に除去した。除去後、SOG30のホールパターンが形成された(図5(g))。
【0049】
次いで、SOG30のホールパターンをマスクとして、Cl2:15sccm、Ar:15sccm、RFパワー100Wの条件でRIEを60秒間行った。塩素系ガスのRIEによりAl層23に100nmの開口を有するパターンが形成された。残留したSOG30のマスクをCF4のエッチングにより取り除き、ナノメッシュ電極付きショットキー太陽電池を完成させた(図5(h))。
【0050】
比較のため、1016cm−3のドーピング濃度を有するn型Si基板を準備し、そのn型Si基板の裏面にPを熱拡散によりドーピングし1020cm−3用意した。次いで、基板裏面にAl層を蒸着法により100nm形成し、裏面はオーミック接触を有する電極を形成した。次いで、基板表面にAl層を蒸着法により10nm形成し、通常のショットキー型太陽電池を完成させた。
【0051】
通常のショットキー型太陽電池とナノメッシュ電極を有するショットキー型太陽電池の変換効率を比較すると、60%の効率向上が確認された。
【0052】
(実施例4)
1016cm−3のドーピング濃度を有するn型Si基板31を準備した。そのn型Si基板31の裏面にPを熱拡散によりドーピングし1020cm−3にした。次いで、基板裏面にAl層32を蒸着法により100nm形成し、裏面はオーミック接触を有する電極を形成した。次いで、基板表面にAl層33を蒸着法により10nm形成した。この場合、基板表面はAl層33とショットキー接合を有していた(図6(a))。
【0053】
次に、基板表面に形成したAl層33上へレジスト34をELで1:3に希釈した溶液を2000rpm、30秒でスピンコートを行ったのち、ホットプレート上において110℃で90秒間加熱して溶媒を蒸発させた(図6(b))。レジスト34の膜厚は100nmであった。次いで、50nmの大きさ、高さ100nmの高さを持つ凸形状が形成された石英のモールド35(形状は9cm2内に形成されている)を用意し、レジスト34付き基板を120℃に加熱した状態で石英のモールド35の凸形状がある方をレジスト34に10MPaの圧力で押し付けてインプリントを行った(図6(c))。インプリント後、基板を室温まで冷却し石英モールド35をリリースした(図6(d))。インプリント後、レジスト34上へ200nmの大きさ、深さ100nmの凹形状が形成された。
【0054】
次に、凹パターンが形成されたレジストパターンを、O2:30sccm、10mTorr、RFパワー100Wの条件で20秒間エッチングを行った。O2RIE後、レジスト34の底だしが行われAl層33が露出した(図6(e))。次いで、Cl2:15sccm、Ar:15sccm、RFパワー100Wの条件でRIEを45秒間行った。塩素系ガスのRIEによりAl層33に50nmの開口を有するパターンが形成された。残留したレジスト34を酸素アッシングにより取り除きナノメッシュ電極付きショットキー太陽電池を完成させた(図6(f))。
【0055】
比較のため、1016cm−3のドーピング濃度を有するn型Si基板を準備し、そのn型Si基板の裏面にPを熱拡散によりドーピングし1020cm−3用意した。次いで、基板裏面にAl層を蒸着法により100nm形成し、裏面はオーミック接触を有する電極を形成した。次いで、基板表面にAl層を蒸着法により10nm形成し、通常のショットキー型太陽電池を完成させた。
【0056】
通常のショットキー型太陽電池とナノメッシュ電極を有するショットキー型太陽電池の変換効率を比較すると、100%の効率向上が確認された。
【0057】
実施例1と比較して開口径が微細化になったことにより電場増強効果が大きくなり効率向上が大きくなった。
【0058】
(実施例5)
1016cm−3のドーピング濃度を有するn型Si基板41を準備した。そのn型Si基板41の裏面にPを熱拡散によりドーピングし1020cm−3にした。次いで、基板裏面にAl層42を蒸着法により100nm形成し、裏面はオーミック接触を有する電極を形成した。次いで、基板表面にAu層43を蒸着法により30nm形成した。この場合、基板表面はAu層43とショットキー接合を有していた(図7(a))。
【0059】
次に、実施例1と同様にして基板表面に形成したAu層43上へレジスト44をELで1:2に希釈した溶液を2000rpm、30秒でスピンコートを行ったのち、ホットプレート上において110℃で90秒間加熱して溶媒を蒸発させた(図7(b))。レジスト44の膜厚は150nmであった。次いで、200nmの大きさ、高さ150nmの高さを持つ凸形状が形成された石英のモールド45(形状は9cm2内に形成されている)を用意し、レジスト44付き基板を120℃に加熱した状態で石英のモールド45の凸形状がある方をレジストに10MPaの圧力で押し付けてインプリントを行った(図7(c))。インプリント後、基板を室温まで冷却し石英モールド45をリリースした(図7(d))。インプリント後、レジスト44上へ200nmの大きさ、深さ100nmの凹形状が形成された。
【0060】
次に、凹パターンが形成されたレジストパターンを、O2:30sccm、10mTorr、RFパワー100Wの条件で30秒間エッチングを行った。O2RIE後、レジスト44の底だしが行われAu層43が露出した(図7(e))。
【0061】
次いで、Ar:30sccm、パワー500W、電流40mAの条件でイオンミリングを60秒間行った。イオンミリングによりAu層43に200nmの開口を有するパターンが形成された。残留したレジスト44を酸素アッシングにより取り除きナノメッシュ電極付きショットキー太陽電池を完成させた(図7(f))。
【0062】
比較のため、1016cm−3のドーピング濃度を有するn型Si基板を準備し、そのn型Si基板の裏面にPを熱拡散によりドーピングし1020cm−3用意した。次いで、基板裏面にAl層を蒸着法により100nm形成し、裏面はオーミック接触を有する電極を形成した。次いで、基板表面にAu層を蒸着法により10nm形成し、通常のショットキー型太陽電池を完成させた。
【0063】
通常のショットキー型太陽電池とナノメッシュ電極を有するショットキー型太陽電池の変換効率を比較すると、60%の効率向上が確認された。
【0064】
(実施例6)
1016cm−3のドーピング濃度を有するn型Si基板を準備した。そのn型Si基板51の裏面にPを熱拡散によりドーピングし1020cm−3にした。次いで、基板裏面にAl層52を蒸着法により100nm形成し、裏面はオーミック接触を有する電極を形成した。次いで、基板表面にAg層53を蒸着法により30nm形成した。この場合、基板表面はAg層53とショットキー接合を有していた(図8(a))。
【0065】
次に、実施例1と同様にして基板表面に形成したAg層53上へレジスト54をELで1:2に希釈した溶液を2000rpm、30秒でスピンコートを行ったのち、ホットプレート上において110℃で90秒間加熱して溶媒を蒸発させた(図8(b))。レジスト54の膜厚は150nmであった。次いで、200nmの大きさ、高さ150nmの高さを持つ凸形状が形成された石英のモールド55(形状は9cm2内に形成されている)を用意し、レジスト54付き基板を120℃に加熱した状態で石英のモールド55の凸形状がある方をレジスト54に10MPaの圧力で押し付けてインプリントを行った(図8(c))。インプリント後、基板を室温まで冷却し石英モールド55をリリースした(図8(d))。インプリント後、レジスト54上へ200nmの大きさ、深さ100nmの凹形状が形成された。
【0066】
次に、凹パターンが形成されたレジストパターンを、O2:30sccm、10mTorr、RFパワー100Wの条件で30秒間エッチングを行った。O2RIE後、レジスト54の底だしが行われAg層53が露出した(図8(e))。
【0067】
次いで、Ar:30sccm、パワー500W、電流40mAの条件でイオンミリングを90秒間行った。イオンミリングによりAg層53に200nmの開口を有するパターンが形成された。残留したレジスト54を酸素アッシングにより取り除きナノメッシュ電極付きショットキー太陽電池を完成させた(図8(f))。
【0068】
比較のため、1016cm−3のドーピング濃度を有するn型Si基板を準備し、そのn型Si基板の裏面にPを熱拡散によりドーピングし1020cm−3用意した。次いで、基板裏面にAl層を蒸着法により100nm形成し、裏面はオーミック接触を有する電極を形成した。次いで、基板表面にAg層を蒸着法により20nm形成し、通常のショットキー型太陽電池を完成させた。
【0069】
通常のショットキー型太陽電池とナノメッシュ電極を有するショットキー型太陽電池の変換効率を比較すると、55%の効率向上が確認された。
【0070】
以上の結果から、Al、Au、Agと金属が変わっても効率向上の効果が確認された。また、その他の金属でも同様に効果が発現される。
【0071】
(実施例7)
1016cm−3のドーピング濃度を有するn型GaAs基板61を準備した。そのn型GaAs基板61の裏面にAu−Ge(1%)層62を蒸着法により100nm形成した。形成後、窒素雰囲気下によって450℃、30分間アニールを行った。アニール後、裏面にオーミック接触を有する電極が形成された。
【0072】
次いで、基板表面にAu層63を蒸着法により30nm形成した。この場合、基板表面はAu層63とショットキー接合を有していた(図9(a))。
【0073】
次に、実施例1と同様にして基板表面に形成したAu層63上へレジスト64をELで1:2に希釈した溶液を2000rpm、30秒でスピンコートを行ったのち、ホットプレート上において110℃で90秒間加熱して溶媒を蒸発させた(図9(b))。レジスト64の膜厚は150nmであった。次いで、200nmの大きさ、高さ150nmの高さを持つ凸形状が形成された石英のモールド65(形状は9cm2内に形成されている)を用意し、レジスト64付き基板を120℃に加熱した状態で石英のモールド65の凸形状がある方をレジスト64に10MPaの圧力で押し付けてインプリントを行った(図9(c))。インプリント後、基板を室温まで冷却し石英モールド65をリリースした(図9(d))。インプリント後、レジスト64上へ200nmの大きさ、深さ100nmの凹形状が形成された。
【0074】
次に、凹パターンが形成されたレジストパターンを、O2:30sccm、10mTorr、RFパワー100Wの条件で30秒間エッチングを行った。O2RIE後、レジスト64の底だしが行われAu層63が露出した(図9(e))。
【0075】
次いで、Ar:30sccm、パワー500W、電流40mAの条件でイオンミリングを60秒間行った。イオンミリングによりAu層63に200nmの開口を有するパターンが形成された。残留したレジスト64を酸素アッシングにより取り除きナノメッシュ電極付きショットキー太陽電池を完成させた(図9(f))。
【0076】
比較のため、1016cm−3のドーピング濃度を有するn型GaAs基板を準備し、そのn型GaAs基板の裏面にAu−Ge(1%)を蒸着法により100nm形成した。形成後、窒素雰囲気下によって450℃、30分間アニールを行った。アニール後、裏面にオーミック接触を有する電極が形成された。次いで、基板表面にAuを蒸着法により10nm形成し、通常のショットキー型太陽電池を完成させた。
【0077】
通常のショットキー型太陽電池とナノメッシュ電極を有するショットキー型太陽電池の変換効率を比較すると、50%の効率向上が確認された。
【0078】
(実施例8)
SiH4とPH3の混合ガスでプラズマCVD法により電極72付きガラス基板71へn型ポリシリコン層を1μm形成した。次いで、基板表面にAl層73を蒸着法により20nm形成した。この場合、基板表面はAl層73とショットキー接合を有していた(図10(a))。
【0079】
次に、基板表面に形成したAl層73上へレジスト74(THMR IP3250、(株)東京応化工業)を乳酸エチル(EL)で1:2に希釈した溶液を2000rpm、30秒でスピンコートを行ったのち、ホットプレート上において110℃で90秒間加熱して溶媒を蒸発させた(図10(b))。レジスト74の膜厚は150nmであった。次いで、200nmの大きさ、高さ150nmの高さを持つ凸形状が形成された石英のモールド75(形状は9cm2内に形成されている)を用意し、レジスト74付き基板を120℃に加熱した状態で石英のモールド75の凸形状がある方をレジスト74に10MPaの圧力で押し付けてインプリントを行った(図10(c))。インプリント後、基板を室温まで冷却し石英モールド75をリリースした(図10(d))。インプリント後、レジスト74上へ200nmの大きさ、深さ100nmの凹形状が形成された。
【0080】
次に、凹パターンが形成されたレジストパターンを、O2:30sccm、10mTorr、RFパワー100Wの条件で30秒間エッチングを行った。O2RIE後、レジスト74の底だしが行われAl層73が露出した(図12(e))。次いで、Cl2:15sccm、Ar:15sccm、RFパワー100Wの条件でRIEを60秒間行った。塩素系ガスのRIEによりAl層73に200nmの開口を有するパターンが形成された。残留したレジスト74を酸素アッシングにより取り除きナノメッシュ電極付きショットキー太陽電池を完成させた(図10(f))。
【0081】
比較のため、SiH4とPH3の混合ガスでプラズマCVD法により電極付きガラス基板へn型アモルファスシリコン層を1μm形成した。次いで、基板表面にAl層を蒸着法により10nm形成し、通常のショットキー型太陽電池を完成させた。
【0082】
比較のため、SiH4とPH3の混合ガスでプラズマCVD法により電極付きガラス基板へn型ポリシリコン層を1μm形成した。次いで、基板表面にAlを蒸着法により10nm形成し、通常のショットキー型太陽電池を完成させた。
【0083】
通常のショットキー型太陽電池とナノメッシュ電極を有するショットキー型太陽電池の変換効率を比較すると、50%の効率向上が確認された。
【0084】
(実施例9)
SiH4とPH3の混合ガスでプラズマCVD法により電極82付きガラス基板81へn型アモルファスシリコン層を1μm形成した。次いで、基板表面にAl層83を蒸着法により20nm形成した。この場合、基板表面はAl層83とショットキー接合を有していた(図11(a))。
【0085】
次に、基板表面に形成したAl層83上へレジスト84(THMR IP3250、(株)東京応化工業)を乳酸エチル(EL)で1:2に希釈した溶液を2000rpm、30秒でスピンコートを行ったのち、ホットプレート上において110℃で90秒間加熱して溶媒を蒸発させた(図11(b))。レジスト84の膜厚は150nmであった。次いで、200nmの大きさ、高さ150nmの高さを持つ凸形状が形成された石英のモールド85(形状は9cm2内に形成されている)を用意し、レジスト84付き基板を120℃に加熱した状態で石英のモールド85の凸形状がある方をレジスト84に10MPaの圧力で押し付けてインプリントを行った(図11(c))。インプリント後、基板を室温まで冷却し石英モールド85をリリースした(図11(d))。インプリント後、レジスト84上へ200nmの大きさ、深さ100nmの凹形状が形成された。
【0086】
次に、凹パターンが形成されたレジストパターンを、O2:30sccm、10mTorr、RFパワー100Wの条件で30秒間エッチングを行った。O2RIE後、レジスト84の底だしが行われAl層83が露出した(図10(e))。次いで、Cl2:15sccm、Ar:15sccm、RFパワー100Wの条件でRIEを60秒間行った。塩素系ガスのRIEによりAl層83に200nmの開口を有するパターンが形成された。残留したレジスト84を酸素アッシングにより取り除きナノメッシュ電極付きショットキー太陽電池を完成させた(図11(f))。
【0087】
比較のため、SiH4とPH3の混合ガスでプラズマCVD法により電極付きガラス基板へn型アモルファスシリコン層を1μm形成した。次いで、基板表面にAl層を蒸着法により10nm形成し、通常のショットキー型太陽電池を完成させた。
【0088】
通常のショットキー型太陽電池とナノメッシュ電極を有するショットキー型太陽電池の変換効率を比較すると、55%の効率向上が確認された。
【0089】
(実施例10)
1016cm−3のドーピング濃度を有するp型GaAs基板91を準備した。そのp型GaAs基板91の裏面にAu/Au−Zn(5%)層92を蒸着法により100nm形成した。形成後、窒素雰囲気下によって450℃、30分間アニールを行った。アニール後、裏面にオーミック接触を有する電極が形成された。
【0090】
次いで、基板の表面にAu層93を蒸着法により30nm形成した。この場合、基板表面はAu層93とショットキー接合を有していた(図12(a))。
【0091】
次に、実施例1と同様にして基板表面に形成したAu層93上へレジスト94をELで1:2に希釈した溶液を2000rpm、30秒でスピンコートを行ったのち、ホットプレート上において110℃で90秒間加熱して溶媒を蒸発させた(図12(b))。レジスト94の膜厚は150nmであった。次いで、200nmの大きさ、高さ150nmの高さを持つ凸形状が形成された石英のモールド95(形状は9cm2内に形成されている)を用意し、レジスト94付き基板を120℃に加熱した状態で石英のモールド95の凸形状がある方をレジスト94に10MPaの圧力で押し付けてインプリントを行った(図12(c))。インプリント後、基板を室温まで冷却し石英モールド95をリリースした(図12(d))。インプリント後、レジスト94上へ200nmの大きさ、深さ100nmの凹形状が形成された。
【0092】
次に、凹パターンが形成されたレジストパターンを、O2:30sccm、10mTorr、RFパワー100Wの条件で30秒間エッチングを行った。O2RIE後、レジスト94の底だしが行われAu層93が露出した(図11(e))。
【0093】
次いで、Ar:30sccm、パワー500W、電流40mAの条件でイオンミリングを60秒間行った。イオンミリングによりAu層93に200nmの開口を有するパターンが形成された。残留したレジスト94を酸素アッシングにより取り除きナノメッシュ電極付きショットキー太陽電池を完成させた(図12(f))。
【0094】
比較のため、1016cm−3のドーピング濃度を有するn型GaAs基板を準備し、そのp型GaAs基板の裏面にAu/Au−Zn(5%)層を蒸着法により100nm形成した。形成後、窒素雰囲気下によって450℃、30分間アニールを行った。アニール後、裏面にオーミック接触を有する電極が形成された。
【0095】
次いで、基板表面にAu層を蒸着法により10nm形成し、通常のショットキー型太陽電池を完成させた。
【0096】
通常のショットキー型太陽電池とナノメッシュ電極を有するショットキー型太陽電池の変換効率を比較すると、60%の効率向上が確認された。
【0097】
(実施例11)
1016cm−3のドーピング濃度を有するp型Si基板101を準備した。そのp型Si基板101の裏面にBを熱拡散によりドーピングし1020cm−3にした。次いで、基板裏面にAl層102を蒸着法により100nm形成し、裏面はオーミック接触を有する電極を形成した。次いで、基板表面にNi層をスパッタリング法により堆積し、900℃でアニールしてNiSi2層103を30nm形成した。この場合、基板表面はNiSi2層103とショットキー接合を有していた(図13(a))。
【0098】
次に、実施例1と同様にして基板表面に形成したNiSi2層103上へレジスト104をELで1:2に希釈した溶液を2000rpm、30秒でスピンコートを行ったのち、ホットプレート上において110℃で90秒間加熱して溶媒を蒸発させた(図13(b))。レジスト104の膜厚は150nmであった。次いで、200nmの大きさ、高さ150nmの高さを持つ凸形状が形成された石英のモールド105(形状は9cm2内に形成されている)を用意し、レジスト104付き基板を120℃に加熱した状態で石英のモールド105の凸形状がある方をレジスト104に10MPaの圧力で押し付けてインプリントを行った(図13(c))。インプリント後、基板を室温まで冷却し石英モールド105をリリースした(図13(d))。インプリント後、レジスト104上へ200nmの大きさ、深さ100nmの凹形状が形成された。
【0099】
次に、凹パターンが形成されたレジストパターンを、O2:30sccm、10mTorr、RFパワー100Wの条件で30秒間エッチングを行った。O2RIE後、レジスト104の底だしが行われNiSi2層103が露出した(図13(e))。
【0100】
次いで、Ar:30sccm、パワー500W、電流40mAの条件でイオンミリングを70秒間行った。イオンミリングによりNiSi2層103に200nmの開口を有するパターンが形成された。残留したレジスト104を酸素アッシングにより取り除きナノメッシュ電極付きショットキー太陽電池を完成させた(図13(f))。
【0101】
比較のため、1016cm−3のドーピング濃度を有するp型Si基板を準備し、そのp型Si基板の裏面にBを熱拡散によりドーピングし1020cm−3用意した。次いで、基板裏面にAl層を蒸着法により100nm形成し、裏面はオーミック接触を有する電極を形成した。次いで、基板表面にNi層をスパッタリング法により堆積し、900℃でアニールしてNiSi2層を10nm形成し、通常のショットキー型太陽電池を完成させた。
【0102】
通常のショットキー型太陽電池とナノメッシュ電極を有するショットキー型太陽電池の変換効率を比較すると、25%の効率向上が確認された。
【0103】
シリコン太陽電池においては電極としてシリサイドを使用することも可能である。
【0104】
(実施例12)
1016cm−3のドーピング濃度を有するn型Si基板111を準備した。そのn型Si基板111の裏面にPを熱拡散によりドーピングし1020cm−3にした。
【0105】
次いで、n型Si基板111の表面に熱酸化膜112を2nm形成した。次いで、基板裏面にAl層113を蒸着法により100nm形成し、裏面はオーミック接触を有する電極を形成した。次いで、基板表面にAl層114を蒸着法により20nm形成した。この場合、基板表面はAl/SiO2/SiのMIS構造の太陽電池構造を有していた(図14(a))。
【0106】
次に、基板表面に形成したAl層114上へレジスト115(THMR IP3250、(株)東京応化工業)を乳酸エチル(EL)で1:2に希釈した溶液を2000rpm、30秒でスピンコートを行ったのち、ホットプレート上において110℃で90秒間加熱して溶媒を蒸発させた(図14(b))。レジスト115の膜厚は150nmであった。次いで、200nmの大きさ、高さ150nmの高さを持つ凸形状が形成された石英のモールド116(形状は9cm2内に形成されている)を用意し、レジスト115付き基板を120℃に加熱した状態で石英のモールド115の凸形状がある方をレジスト114に10MPaの圧力で押し付けてインプリントを行った(図14(c))。インプリント後、基板を室温まで冷却し石英モールド116をリリースした(図14(d))。インプリント後、レジスト115上へ200nmの大きさ、深さ100nmの凹形状が形成された。
【0107】
次に、凹パターンが形成されたレジストパターンを、O2:30sccm、10mTorr、RFパワー100Wの条件で30秒間エッチングを行った。O2RIE後、レジスト115の底だしが行われAl層114が露出した(図14(e))。次いで、Cl2:15sccm、Ar:15sccm、RFパワー100Wの条件でRIEを60秒間行った。塩素系ガスのRIEによりAl層114に200nmの開口を有するパターンが形成された。残留したレジスト115を酸素アッシングにより取り除きナノメッシュ電極付きショットキー太陽電池を完成させた(図14(f))。
【0108】
比較のため、1016cm−3のドーピング濃度を有するn型Si基板を準備し、そのn型Si基板の裏面にPを熱拡散によりドーピングし1020cm−3用意した。次いで、n型Si表面に熱酸化膜を2nm形成した。次いで、基板裏面にAl層を蒸着法により100nm形成し、裏面はオーミック接触を有する電極を形成した。次いで、基板表面にAl層を蒸着法により10nm形成し、MIS太陽電池を完成させた。
【0109】
金属/絶縁膜/半導体の太陽電池とナノメッシュ電極を有する金属/絶縁膜/半導体の太陽電池の変換効率を比較すると、65%の効率向上が確認された。
【符号の説明】
【0110】
1,11,21,31,41,51,111…n型Si基板、61…n型GaAs基板、71,81…ガラス基板、91…p型GaAs基板、101…p型Si基板、2,3,12,13,22,23,32,33,42,52,73,83,102,113,114…Al層。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の電極層と半導体層と第二の電極とが積層されて構成された太陽電池であって、
前記第一の電極層は光照射面側に存在し、前記半導体層とショットキー壁を有する電極であって、
前記第二の電極層は光照射面とは反対側に存在し、前記半導体層とオーミック接触を有する電極であって、
前記電極層を貫通する複数の開口部を有しており、
開口部1つあたりの面積が80nm2以上0.25μm2以下の範囲にあり、
開口率が10%以上66%以下の範囲にあり、
膜厚が5nm以上50nm以下の範囲にあることを特徴とする太陽電池。
【請求項2】
第一の電極層と半導体層と第二の電極とが積層されて構成された太陽電池であって、
第一の電極層と半導体層の間には光透過性の絶縁膜が形成されてあって、
前記第一の電極層は光照射面側に存在し、前記半導体層とショットキー壁を有する電極であって、
前記第二の電極層は光照射面とは反対側に存在し、前記半導体層とオーミック接触を有する電極であって、
前記電極層を貫通する複数の開口部を有しており、
開口部1つあたりの面積が80nm2以上0.25μm2以下の範囲にあり、
開口率が10%以上66%以下の範囲にあり、
膜厚が5nm以上50nm以下の範囲にあることを特徴とする太陽電池。
【請求項3】
前記開口部間に存在する金属の最小部分の距離の平均値が10nm以上200nm未満であることを特徴とする請求項1または2記載の太陽電池。
【請求項4】
前記第一の電極層の材料が、Al、Ag、Au、Cu、Pt、Ni、Co、Cr、Ti、そしてPtSi、NiSi2、CoSi2、MoSi2、TiSi2、TaSi2、WSi2、ZrSi2、Pd2Si、HfSi2からなる群であり、前記光電変換層とショットキー接合となるよう選択される材料となることを特徴とする請求項1または2記載の太陽電池。
【請求項5】
前記開口が円形かつ開口部径が10nm以上0.5μm以下の範囲にあることを特徴とする請求項1または2記載の太陽電池。
【請求項6】
前記半導体層が、p型またはn型のいずれかの層を有し、前記半導体層は単結晶シリコン、あるいは多結晶シリコン、あるいはアモルファスシリコンからなることを特徴とする請求項1または2記載の太陽電池。
【請求項7】
前記半導体層が、p型またはn型のいずれかの層を有し、前記半導体層は化合物半導体であることを特徴とする請求項1または2記載の太陽電池。
【請求項8】
請求項1または2記載の太陽電池の製造方法であって、
半導体層を形成する工程と、
前記半導体層の第二の電極層を形成する工程と、
前記半導体層の第一の電極層を形成する工程を含み、
開口に対応した微細凹凸パターンを表面に有するスタンパーを準備する工程と、
前記第一の電極の少なくとも一部に前記スタンパーを利用してレジストパターンを転写する工程と、
前記レジストパターンをエッチングマスクとして前記第一の電極層にパターンを形成する工程と
を備えた請求項1または2記載の太陽電池の製造方法。
【請求項9】
請求項1または2記載の太陽電池の製造方法であって、
半導体層を形成する工程と、
前記半導体層の第二の電極層を形成する工程と、
前記半導体層の第一の電極層を形成する工程を含み、
前記第一の電極層の少なくとも一部にレジストを塗布してレジスト塗布層を形成する工程と、
前記レジスト塗布層の表面にナノ粒子の単粒子層を形成する工程と、
前記単粒子層をエッチングマスクとして微細凹凸パターンを有するレジストパターンを形成する工程と、
前記レジストパターンを鋳型として無機物質層に逆鋳型を形成する工程と、
前記無機物質層をエッチングマスクとして前記第一の電極層にパターンを形成する工程と
を備えた請求項1または2記載の太陽電池の製造方法。
【請求項10】
請求項1または2記載の太陽電池の製造方法であって、
半導体層を形成する工程と、
前記半導体層の第二の電極層を形成する工程と、
前記半導体層の第一の電極層を形成する工程を含み、
前記第一の電極層の少なくとも一部の表面にブロックコポリマー膜のドット状のミクロドメインを生成させる工程と、
前記ブロックコポリマー膜の前記ミクロドメインのパターンをエッチングマスクとして前記第一の電極層にパターンを形成する工程と
を備えた請求項1または2記載の太陽電池の製造方法。
【請求項1】
第一の電極層と半導体層と第二の電極とが積層されて構成された太陽電池であって、
前記第一の電極層は光照射面側に存在し、前記半導体層とショットキー壁を有する電極であって、
前記第二の電極層は光照射面とは反対側に存在し、前記半導体層とオーミック接触を有する電極であって、
前記電極層を貫通する複数の開口部を有しており、
開口部1つあたりの面積が80nm2以上0.25μm2以下の範囲にあり、
開口率が10%以上66%以下の範囲にあり、
膜厚が5nm以上50nm以下の範囲にあることを特徴とする太陽電池。
【請求項2】
第一の電極層と半導体層と第二の電極とが積層されて構成された太陽電池であって、
第一の電極層と半導体層の間には光透過性の絶縁膜が形成されてあって、
前記第一の電極層は光照射面側に存在し、前記半導体層とショットキー壁を有する電極であって、
前記第二の電極層は光照射面とは反対側に存在し、前記半導体層とオーミック接触を有する電極であって、
前記電極層を貫通する複数の開口部を有しており、
開口部1つあたりの面積が80nm2以上0.25μm2以下の範囲にあり、
開口率が10%以上66%以下の範囲にあり、
膜厚が5nm以上50nm以下の範囲にあることを特徴とする太陽電池。
【請求項3】
前記開口部間に存在する金属の最小部分の距離の平均値が10nm以上200nm未満であることを特徴とする請求項1または2記載の太陽電池。
【請求項4】
前記第一の電極層の材料が、Al、Ag、Au、Cu、Pt、Ni、Co、Cr、Ti、そしてPtSi、NiSi2、CoSi2、MoSi2、TiSi2、TaSi2、WSi2、ZrSi2、Pd2Si、HfSi2からなる群であり、前記光電変換層とショットキー接合となるよう選択される材料となることを特徴とする請求項1または2記載の太陽電池。
【請求項5】
前記開口が円形かつ開口部径が10nm以上0.5μm以下の範囲にあることを特徴とする請求項1または2記載の太陽電池。
【請求項6】
前記半導体層が、p型またはn型のいずれかの層を有し、前記半導体層は単結晶シリコン、あるいは多結晶シリコン、あるいはアモルファスシリコンからなることを特徴とする請求項1または2記載の太陽電池。
【請求項7】
前記半導体層が、p型またはn型のいずれかの層を有し、前記半導体層は化合物半導体であることを特徴とする請求項1または2記載の太陽電池。
【請求項8】
請求項1または2記載の太陽電池の製造方法であって、
半導体層を形成する工程と、
前記半導体層の第二の電極層を形成する工程と、
前記半導体層の第一の電極層を形成する工程を含み、
開口に対応した微細凹凸パターンを表面に有するスタンパーを準備する工程と、
前記第一の電極の少なくとも一部に前記スタンパーを利用してレジストパターンを転写する工程と、
前記レジストパターンをエッチングマスクとして前記第一の電極層にパターンを形成する工程と
を備えた請求項1または2記載の太陽電池の製造方法。
【請求項9】
請求項1または2記載の太陽電池の製造方法であって、
半導体層を形成する工程と、
前記半導体層の第二の電極層を形成する工程と、
前記半導体層の第一の電極層を形成する工程を含み、
前記第一の電極層の少なくとも一部にレジストを塗布してレジスト塗布層を形成する工程と、
前記レジスト塗布層の表面にナノ粒子の単粒子層を形成する工程と、
前記単粒子層をエッチングマスクとして微細凹凸パターンを有するレジストパターンを形成する工程と、
前記レジストパターンを鋳型として無機物質層に逆鋳型を形成する工程と、
前記無機物質層をエッチングマスクとして前記第一の電極層にパターンを形成する工程と
を備えた請求項1または2記載の太陽電池の製造方法。
【請求項10】
請求項1または2記載の太陽電池の製造方法であって、
半導体層を形成する工程と、
前記半導体層の第二の電極層を形成する工程と、
前記半導体層の第一の電極層を形成する工程を含み、
前記第一の電極層の少なくとも一部の表面にブロックコポリマー膜のドット状のミクロドメインを生成させる工程と、
前記ブロックコポリマー膜の前記ミクロドメインのパターンをエッチングマスクとして前記第一の電極層にパターンを形成する工程と
を備えた請求項1または2記載の太陽電池の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
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【図11】
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【図14】
【公開番号】特開2010−219399(P2010−219399A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−66061(P2009−66061)
【出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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