説明

ショ糖脂肪酸エステルの精製方法

【課題】ショ糖脂肪酸エステルの合成の際に生じた副生成物、溶媒等の夾雑物質を効率よく除去し、少ない水量で、効率よく、ショ糖脂肪酸エステルを精製できる精製方法を提供することを課題とする。
【解決手段】重液と軽液とを混合する複数の混合室と該混合物を重液と軽液とに分離する複数の分離室とは、上位に混合室、下位に分離室が配されるように互いに連接された混合室と分離室との組が上下方向に複数段配列するように配され、供給された軽液は、最下段の混合室にて重液と混合され、下位の分離室にて分離され、管を介して、上方次段の混合室及び分離室に順次供給されて最上段の分離室にて分離された後に排出され、供給された重液は、最上段の混合室にて軽液と混合され、下位の分離室にて分離された後、下方次段の混合室及び分離室に順次供給され、最下段の分離室にて分離された後に排出されるように構成された抽出装置に重液としてショ糖脂肪酸エステル含有混合物、軽液として水を供してショ糖脂肪酸エステルを精製する精製方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ショ糖脂肪酸エステルの精製方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、ショ糖脂肪酸エステル含有混合物、例えば、ショ糖脂肪酸エステルの合成に際して生じた混合物等からのショ糖脂肪酸エステルの精製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ショ糖脂肪酸エステルは、化学反応における助剤、食品、化粧品、医薬品、洗剤等への添加剤、包装容器等への帯電防止剤等に代表される用途に用いられている化合物であり、優れた生分解性及び界面活性能を示す。前記ショ糖脂肪酸エステルは、例えば、ショ糖と脂肪酸アルキルエステルとを反応させること等により得られる。
【0003】
ショ糖と脂肪酸エステルとを反応溶媒中、触媒存在下に反応させた場合、ショ糖脂肪酸エステル含有混合物が生成する。
【0004】
かかるショ糖脂肪酸エステル含有混合物からのショ糖脂肪酸エステルの精製方法として、例えば、有機溶媒と水とを用いた液−液抽出(溶媒抽出)、共沸蒸留及び薄膜蒸発器により、ショ糖脂肪酸エステル含有混合物に含まれる有機溶媒を除去する方法(特許文献1)、有機溶媒と水とを用いた酸性条件下(pH3〜7.5)での液−液抽出及び水を用いた連続向流式抽出により、ショ糖脂肪酸エステル含有混合物に含まれるジメチルスルホキシドを除去する方法(特許文献2)等が知られている。
【0005】
しかしながら、前記特許文献1の方法及び特許文献2の方法では、有機溶媒が用いられているため、これらの方法は、設備を強固なものにする必要があり、かつ多量の有機溶媒を必要とするという欠点がある。
【0006】
一方、有機溶媒を実質的に用いることなく、ショ糖脂肪酸エステル含有混合物からショ糖脂肪酸エステルを精製する方法としては、精製に際して、中和、水と中性塩とショ糖との存在下での加熱混合により水層を除去し、特定の抽出手段を用いて、酸性条件下でショ糖脂肪酸エステルスラリーと酸性水とを向流接触させることにより、ジメチルスルホキシドを除去する方法(特許文献3)が知られている。
【0007】
しかしながら、前記特許文献3の方法では、多数の抽出手段が必要となり、かつ多量の水が必要となるという欠点がある。
【特許文献1】特開平7−206889号公報
【特許文献2】特開平7−228590号公報
【特許文献3】特開2004−269369号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記従来の欠点に鑑みてなされたものであり、ショ糖脂肪酸エステルの合成の際に生じた副生成物、溶媒等の夾雑物質、具体的には、例えば、ジメチルスルホキシド等を効率よく除去すること、少ない水量で、効率よく、ショ糖脂肪酸エステルを精製すること等の少なくとも1つを達成する、ショ糖脂肪酸エステルの精製方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであり、本発明の要旨は、(A)重液として、ショ糖脂肪酸エステル含有混合物と、
(B)軽液として、水と
を、
(C)重液と軽液とを混合して混合物とする複数の混合室と、該混合物を重液と軽液とに分離する複数の分離室とを有してなり、供給された重液及び軽液を混合し分離することによって一方の液中に含まれる所定成分を他方の液中に抽出させるように構成されてなる抽出塔を備えてなる抽出装置であって、
前記混合室及び分離室は、上位に混合室が配され、下位に分離室が配されるように互いに連接された混合室と分離室との組が上下方向に複数段配列するように配されてなり、
供給された軽液は、最下段の混合室にて重液と混合され、下位の分離室にて分離された後、管を介して、上方次段の混合室及び分離室に順次供給されて最上段の分離室にて分離された後に排出されるように構成され、
供給された重液は、最上段の混合室にて軽液と混合され、下位の分離室にて分離された後、下方次段の混合室及び分離室に順次供給され、最下段の分離室にて分離された後に排出されるように構成された、抽出装置
に供して、該ショ糖脂肪酸エステル含有混合物からショ糖脂肪酸エステルを精製することを特徴とする、ショ糖脂肪酸エステルの精製方法に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明のショ糖脂肪酸エステルの精製方法によれば、ショ糖脂肪酸エステルの合成の際に生じた副生成物、溶媒等の夾雑物質、具体的には、例えば、ジメチルスルホキシド等を効率よく除去することができ、少ない水量で、効率よく、ショ糖脂肪酸エステルを精製することができるという優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、1つの側面では、(A)重液として、ショ糖脂肪酸エステル含有混合物と、
(B)軽液として、水と
を、
(C)重液と軽液とを混合して混合物とする複数の混合室と、該混合物を重液と軽液とに分離する複数の分離室とを有してなり、供給された重液及び軽液を混合し分離することによって一方の液中に含まれる所定成分を他方の液中に抽出させるように構成されてなる抽出塔を備えてなる抽出装置であって、
前記混合室及び分離室は、上位に混合室が配され、下位に分離室が配されるように互いに連接された混合室と分離室との組が上下方向に複数段配列するように配されてなり、
供給された軽液は、最下段の混合室にて重液と混合され、下位の分離室にて分離された後、管を介して、上方次段の混合室及び分離室に順次供給されて最上段の分離室にて分離された後に排出されるように構成され、
供給された重液は、最上段の混合室にて軽液と混合され、下位の分離室にて分離された後、下方次段の混合室及び分離室に順次供給され、最下段の分離室にて分離された後に排出されるように構成された、抽出装置
に供して、該ショ糖脂肪酸エステル含有混合物からショ糖脂肪酸エステルを精製することを特徴とする、ショ糖脂肪酸エステルの精製方法に関する。
【0012】
本発明の精製方法は、前記(C)の抽出装置が用いられていることに1つの大きな特徴がある。したがって、本発明の精製方法によれば、ショ糖脂肪酸エステルの合成の際に生じた副生成物、溶媒等の夾雑物質、具体的には、例えば、ジメチルスルホキシド等を効率よく除去することができるという優れた効果を発揮する。また、本発明の精製方法では、前記(C)の抽出装置が用いられているため、少ない水量で、効率よく、ショ糖脂肪酸エステルを精製することができる。
【0013】
前記(C)の抽出装置の実施態様の一例としては、例えば、図1に示される抽出装置等が挙げられる。
【0014】
図1の抽出装置は、抽出塔1において、混合室6と分離室7との組が、混合室6aと分離室7aとの組、混合室6bと分離室7bとの組、及び混合室6cと分離室7cとの組の3段設けられている、いわゆる「3段抽出装置」の例である。本発明においては、前記混合室6と分離室7との組を、さらに複数段設けられた多段抽出装置であってもよい。以下、図1に示される実施態様の抽出装置を一例として挙げ、説明するが、本発明の精製方法に用いられる抽出装置は、かかる実施態様に限定されるものではない。また、以下、重液として、ショ糖脂肪酸エステル含有混合物、軽液として、抽出用水を用いた場合についての例により説明する。
【0015】
図1の抽出装置は、具体的には、例えば、供給された重液と軽液とを混合して混合物とするための複数の混合室6と、混合室6で得られた混合物を重液と軽液とに分離するための複数の分離室7とを有し、供給された重液及び軽液を混合し分離することによって一方の液中に含まれる所定成分を他方の液中に抽出させるように構成された抽出塔1を備え、
抽出塔1が、重液を排出するための重液排出口2と、重液を供給するための重液供給口3と、軽液を排出するための軽液排出口4と、軽液を供給するための軽液供給口5とを有したものであり、
混合室6a、6b、6cと分離室7a、7b、7cとが、それぞれ対応して隔壁によって仕切られたものであり、
抽出塔1内において、重液供給口3から供給された重液を最上段の混合室6aに供給するための重液供給室8が、最上段の混合室6aの上位に連接して設けられ、
重液供給口3が、抽出塔1の外部から重液供給室8に設けられ、
重液排出口2が、抽出塔1の底部に設けられ、
軽液排出口4が、抽出塔1の上部に設けられ、
抽出塔1の外部から最下段の混合室6cに、軽液供給口5が設けられ、
最上段の混合室6cの下方に分離室7cが位置せしめられ、
一の分離室7と、上方次段の混合室6(すなわち、分離室7の上位に配されている混合室6と他の分離室7との1組を隔てて位置する他の混合室6)とが、該一の分離室7で分離された軽液を移送するための軽液移送管9を介して互いに接続せしめられ、
最上段の分離室7aと、重液供給室8とが、分離室7aで分離された軽液を移送するための軽液移送管9aを介して互いに接続せしめられ、
混合室6の上部の隔壁13及び下部の隔壁14のそれぞれの中央に設けられた開口16(図2、図3)に、重液と軽液とを攪拌して混合するための攪拌翼11を装着するための攪拌軸10が挿通され、
混合室6とその上位に連接する分離室7とが、上位に連接する分離室7で分離された重液を移送するための重液移送部(例えば、図2における重液移送孔15)を介して配設され、
混合室6の下部の隔壁14の中央に設けられた開口16の周縁部に、該混合室6で得られた混合物を下位の分離室7に移送するための混合物移送孔17(図3)が穿設され、かつ
攪拌翼11が攪拌軸10に装着されて混合室6内に設けられたものであり、
ここで、軽液供給口5から供給された軽液は、最下段の混合室6cにて攪拌翼11により重液と混合され、下位の分離室7cにて分離され、軽液移送管9cを介して上方次段の混合室6bに移送され、混合室6bにて攪拌翼11により重液と混合され、その下位の分離室7bにて分離され、ついで、軽液移送管9bを介してさらに上方次段の混合室6aに移送され、混合室6aにて攪拌翼11により重液と混合され、その下位の分離室7aにて分離され、その後、軽液移送管9aを介して重液供給室8に供給され、軽液排出口4から排出されるように構成されており、
重液供給口3から供給された重液は、重液供給室8から最上段の混合室6aに供給され、混合室6aにて攪拌翼11により軽液と混合され、重液移送部(例えば、重液移送孔15)を介して下位の分離室7aに供給され、分離室7aにて分離され、下方次段の混合室6bに供給され、混合室6bにて攪拌翼11により軽液と混合され、重液移送部(例えば、重液移送孔15)を介して下位の分離室7bに供給され、分離室7bにて分離され、下方次段の混合室6cに供給され、混合室6cにて攪拌翼11により軽液と混合され、重液移送部(例えば、重液移送孔15)を介して下位の分離室7cに供給され、分離室7cにて分離され、重液排出口2から排出されるように構成されている。
【0016】
前記抽出塔1としては、ショ糖脂肪酸エステル含有混合物と抽出用水との混合及び所望の物質の抽出を良好に行なうことができる形状を有するものであればよく、例えば、中空体等が挙げられる。前記抽出塔1の水平面形状としては、例えば、真円、楕円等の円等が挙げられる。なお、本明細書において、前記水平面形状は、抽出塔1の長軸線を水平面に対して垂直になるように設置した場合に、水平面と平行になる断面の形状を意味する。
【0017】
前記抽出塔1の材質は、ショ糖脂肪酸エステル含有混合物(又は精製ショ糖脂肪酸エステル含有混合物)と抽出用水との混合及びショ糖脂肪酸エステルの抽出に適した材質であればよく、特に限定されないが、例えば、ステンレス等が挙げられる。なお、前記抽出塔1は、その内部及び/又は外部が、適切な被覆材により被覆されたものであってもよい。
【0018】
前記抽出塔1は、ショ糖脂肪酸エステル含有混合物(又は精製ショ糖脂肪酸エステル含有混合物)と抽出用水とを混合して混合物とする複数の混合室6と、該混合物を、精製ショ糖脂肪酸エステル含有混合物と、反応溶媒、夾雑物質等を含む水とに分離する複数の分離室7とを有する。また、前記抽出塔1は、重液排出口2と、重液供給口3と、軽液排出口4と、軽液供給口5とを備えたものである。
【0019】
なお、本発明の精製方法では、混合室6と分離室7との組を経るごとに、最初に抽出装置に供されたショ糖脂肪酸エステル含有混合物の精製度が高まる。したがって、本明細書においては、精製度が向上したショ糖脂肪酸エステル含有混合物を「精製ショ糖脂肪酸エステル含有混合物」ともいう。また、本発明の精製方法で得られるショ糖脂肪酸エステルを含有した溶液を、「精製ショ糖脂肪酸エステル含有溶液」ともいう。
【0020】
前記抽出塔1は、当該抽出塔1の長軸線に直交した隔壁によって仕切られた複数の室、すなわち、隔壁によって仕切られた複数の混合室6及び複数の分離室7と、最上段の混合室6aの上位に配した重液供給室8とから実質的に構成される。より具体的には、抽出塔1内には、上位から順に、重液供給室8と、混合室6aと、分離室7aと、混合室6bと、分離室7bと、混合室6cと、分離室7cとが設けられている。なお、本明細書において、混合室6の下部の障壁、すなわち、混合室6とその下方に連接する分離室7とを仕切る隔壁を、「下部隔壁」(下部隔壁14)と称し、混合室の上部の障壁、すなわち、混合室6とその上位に連接する分離室7とを仕切る隔壁を「上部隔壁」(上部隔壁13)と称する場合がある。
【0021】
重液供給室8と混合室6aとは、上部隔壁13aにより仕切られ、混合室6aと分離室7bとは、下部隔壁14により仕切られている。また、分離室7bと混合室6cとは、上部隔壁13bにより仕切られ、混合室6cと分離室7cとは、下部隔壁14により仕切られている。
【0022】
前記混合室6では、ショ糖脂肪酸エステル含有混合物と抽出用水とが混合される。
【0023】
また、前記分離室7では、前記混合室6で得られた混合物が、精製ショ糖脂肪酸エステル含有混合物と、反応溶媒、夾雑物質等を含む抽出用水とに分離される。
【0024】
本明細書においては、説明の便宜上、混合室6とその下方の連接する分離室7とを1組として表す。
【0025】
混合室6と分離室7とからなる組の数は、少なくとも1組であり、図1の抽出装置の使用形態に応じて、適宜設定されうる。
【0026】
分離室7aと重液供給室8とは、軽液移送管9aで互いに接続されている。また、分離室7bと混合室6aとは、軽液移送管9bで、分離室7cと混合室6bとは、軽液移送管9cで互いに接続されている。
【0027】
混合室6a、6b及び6cそれぞれには、攪拌軸10に装着された状態で、攪拌翼11が設けられている。
【0028】
前記攪拌軸10は、抽出塔1の水平面の中央から、重液供給室8の中央と、混合室6aの中央と、分離室7aの中央と、混合室6bの中央と、分離室7bの中央と、混合室6cの中央とに貫設されている。ここで、攪拌軸10と、各隔壁とは、接触していてもよく、接触していなくてもよい。攪拌軸10が各隔壁に接触している場合、磨耗により生じた物質が混入しないように構成され、攪拌軸10が各隔壁に接触しない場合には、攪拌軸10と各隔壁との隙間が適度に保たれるように構成されることが望ましい。
【0029】
また、軽液排出口4の下方に位置するように軽液移送管9aが設けられ、重液供給室8に分離室7aからの抽出用水の供給が可能な構造となっている。
【0030】
さらに、抽出塔1の外部から重液供給室8に、軽液排出口4の下方、かつ軽液移送管9aが設けられた位置より下方に位置するように重液供給口3が貫設され、抽出塔1の外部から重液供給室8に、ショ糖脂肪酸エステル含有混合物を供給できる構造になっている。
【0031】
混合室6b及び混合室6cそれぞれの上部隔壁13bでは、重液移送部として、分離室7a及び分離室7bで混合物を精製ショ糖脂肪酸エステル含有混合物と、反応溶媒、夾雑物質等を含む水とに分離するに十分な滞留時間を維持できるような構造となる孔径及び数の重液移送孔15(図2)が設けられている。重液移送部15は、中央開口16の周囲に設けられている。なお、混合室6aの上部隔壁13aでは、重液移送部として、上部隔壁13bと同様に重液移送孔15が設けられている。
【0032】
混合室6a、混合室6b及び混合室6cそれぞれの下部隔壁14では、図3に示されるように、混合物移送孔17が、中央開口16の周囲に設けられている。
【0033】
混合室6cには、抽出塔1の外部から、軽液供給口5が貫設されている。これにより、抽出用水は、混合室6cにおいて、上位の分離室7b等から流下してきた重液と混合される。その後、下方の分離層7cでは、再度、精製ショ糖脂肪酸エステル含有混合物と、反応溶媒、夾雑物質等を含む水とが分離されることとなる。
【0034】
分離室7a、7b及び7cそれぞれの上位には、分離帯12が設けられうる。
【0035】
分離室7cでは、重液排出口2の方向に向かって、途中までの部分は、他の分離室と同一の内径となるようにし、途中より、徐々に内径を小さくし、底部に重液排出口2を設けている。これにより、重液(精製ショ糖脂肪酸エステル含有混合物)を効率よく排出させることができる。
【0036】
前記重液排出口2では、抽出塔1内から精製ショ糖脂肪酸エステル含有溶液が排出される。かかる重液排出口2は、前記抽出塔1の底部に設けられる。
【0037】
また、重液供給口3からは、抽出塔1内の重液供給室8にショ糖脂肪酸エステル含有混合物が供給される。前記重液供給口は、抽出塔1の外部から重液供給室8に貫設される。
【0038】
前記軽液排出口4では、抽出塔1から抽出用水が排出される。軽液排出口4は、前記抽出塔の上部に設けられる。なお、前記軽液排出口4は、好ましくは、前記重液供給口3よりも上方に設けられていることが望ましい。かかる配置を採用することにより、軽液を効率よく排出することができる点で有利である。また、軽液供給口5では、抽出塔1に抽出用水が供給される。軽液供給口は、抽出塔の外部から最下段の混合室に貫設される。
【0039】
図1の抽出装置は、上位に混合室が配され、下位に分離室が配されるように互いに連接された混合室と分離室との組が上下方向に複数段配列するように配されていることに1つの大きな特徴がある。すなわち、図1の抽出装置において、混合室6と分離室7とからなる組が複数段配列されている場合、前記抽出塔内において、上方から順に、混合室6a、分離室7a、混合室6b、分離室7b、混合室6c、分離室7cのように配置されることとなる。
【0040】
したがって、図1の抽出装置においては、例えば、ショ糖脂肪酸エステル含有混合物と、抽出用水との混合物は、下向きの流れで混合室6から分離室7に移送される。
【0041】
前記混合室6とその上位に連接する分離室7とは、該混合室6にショ糖脂肪酸エステル含有混合物(又は精製ショ糖脂肪酸エステル含有混合物)を送るための重液移送部を介して配設される。
【0042】
前記重液移送部としては、前記混合室の上部の隔壁の攪拌軸挿通部の周縁部に穿設された重液移送孔15、又は該混合室とその上位に連接する分離室とに接続された重液移送管が挙げられる。
【0043】
前記重液移送孔15の数は、少なくとも1つであり、図1の抽出装置による処理量、所望の抽出速度等に応じて適宜設定されうる。また、前記重液移送孔15の大きさも、図1の抽出装置による処理量、所望の抽出速度等に応じて適宜設定されうる。
【0044】
重液移送管の材質としては、特に限定されないが、例えば、ステンレス等が挙げられる。また、前記重液移送管には、逆流を防止すべく、移送方向を定められた方向に実質的に維持するための逆支弁を備えていてもよい。
【0045】
前記分離室7の上部には、分離帯12が設けられうる。前記分離帯12は、混合物からの精製ショ糖脂肪酸エステル含有混合物(又はショ糖脂肪酸エステル含有溶液)と抽出用水との分離を良好に維持するためのものである。かかる分離帯12を設けることにより、精製ショ糖脂肪酸エステル含有混合物(又はショ糖脂肪酸エステル含有溶液)及び抽出用水それぞれの流れをより一層良好に維持することができる点で有利である。前記分離帯12は、精製ショ糖脂肪酸エステル含有混合物(又はショ糖脂肪酸エステル含有溶液)が後述する軽液移送管9に流入することを抑制できる観点から、軽液移送管9の配置に対して、好ましくは、前記軽液移送管9よりも下方になるように配され、該軽液移送管9の内径分程度の距離を移送管接続部から離すように配されることが望ましい。前記分離帯12は、前記分離室7の上部に設けられた隔壁に設けられうる。
【0046】
前記攪拌翼11としては、ショ糖脂肪酸エステル含有混合物(又は精製ショ糖脂肪酸エステル含有混合物)と抽出用水との混合を十分に行なえるものであればよい。また、前記攪拌翼11は、より高い抽出効率を得る観点から、好ましくは、上昇流を実質的に生じない攪拌翼である。前記攪拌翼と11しては、具体的には、例えば、平羽、ディスクタービン等が挙げられる。前記攪拌翼11の大きさは、回転径として、混合室6の内径(直径)に対して、攪拌翼の直径が2/3〜4/5程度であることが望ましい。また、混合室6内において、攪拌翼11の設置高さは、当該攪拌翼11の回転中心の位置が、抽出塔の水平面の中心と同じであり、攪拌翼11の上部が軽液移送管の接続部よりも下方に位置する高さであることが望ましい。
【0047】
前記隔壁は、抽出塔の長軸線に直交した水平面形状と実質的に同じである。
【0048】
かかる隔壁の周縁部と、前記抽出塔1の周縁部とは、例えば、溶接等により、液体等の物質が漏出しないように封じられる。
【0049】
前記上部隔壁13及び下部隔壁14のそれぞれの中央には、中央開口16が設けられる。前記中央開口16には、攪拌軸10が挿通される。前記攪拌軸10は、例えば、抽出塔1の上位に配置されうる動力源からの回転力を伝達する。なお、本発明においては、前記中央開口16に中空筒体を設け、かかる中空筒体の内部に、攪拌軸10を挿通させればよい。前記中央開口16の形状及び中空筒体の水平面形状は、同一であり互いに対応していればよく、その形状の種類は、攪拌軸の回転に適したものであればよい。
【0050】
前記下部隔壁14には、該下部隔壁14の中央に設けられた中央開口16の周縁部に混合物移送孔17が穿設される。
【0051】
前記混合物移送孔17は、混合室6で得られた混合物を、その下位に連接された分離室7に移送するための孔である。前記混合物移送孔17の大きさは、図1の抽出装置による処理量、所望の抽出速度等に応じて適宜設定されうる。
【0052】
図1の抽出装置において、一の分離室と、該分離室の上位の混合室と他の分離室とからなる少なくとも1組を隔てて位置する他の混合室とは、軽液移送管を介して互いに接続せしめられる。
【0053】
また、図1の抽出装置は、一の分離室と、該分離室の上位の混合室と他の分離室とからなる少なくとも1組を隔てて位置する他の混合室とが、軽液移送管を介して互いに接続されていることにも1つの大きな特徴がある。
【0054】
したがって、図1の抽出装置においては、分離室で分離された抽出用水が、当該軽液移送管を通して上部の混合室に供給される。
【0055】
これにより、本発明の精製方法では、図1の抽出装置が用いられているので、抽出操作に際して、精製ショ糖脂肪酸エステル含有混合物(又はショ糖脂肪酸エステル含有溶液)及び抽出用水それぞれの流れが良好に維持される。そのため、本発明の精製方法では、抽出プロセスが実質的に滞ることなく実施できるという優れた効果を発揮する。
【0056】
前記軽液移送管9では、前記一の分離室7から、上方次段の混合室6、すなわち、一の分離室7の上位に連接された混合室6と他の分離室7とからなる少なくとも1組を隔てて位置する他の混合室6へ、抽出用水が移送される。前記軽液移送管9は、逆流を防止する観点から、移送方向を定められた方向に実質的に維持するための逆支弁を備えたものが好ましい。また、前記軽液移送管9は、耐圧性の観点から、内径が、内圧を適切に維持し、かつ重液(ショ糖脂肪酸エステル含有混合物)の流れを良好に維持できるように十分に大きいものであることが望ましい。
【0057】
最上段の混合室6aの上位には、重液供給室8が設けられる。かかる重液供給室8には、抽出塔1の外部から、重液供給口3が貫設される。また、前記重液供給室8と最上段の分離室7aとは、軽液移送管9aを介して互いに接続せしめられる。
【0058】
図1の抽出装置は、抽出塔の内部の温度を制御するための温度制御用ジャケットを抽出塔1の外周面に備えていることが好ましい。かかる温度制御用ジャケットを備えることにより、混合室6における精製ショ糖脂肪酸エステル含有混合物(又はショ糖脂肪酸エステル含有溶液)及び抽出用水との混合時の温度を制御することができる。なお、本明細書において、「温度を制御する」とは、加熱及び冷却のいずれをも含む概念を意味する。前記温度制御用ジャケットは、抽出塔の外周面全体を覆うものであってもよく、部分的に覆うものであってもよい。
【0059】
本発明においては、前記(C)の抽出装置は、複数個連結させて用いてもよい。この場合、一の抽出装置の重液排出口2と他の抽出装置の重液供給口3とが互いに接続され、一の抽出装置の軽液排出口4と他の抽出装置の軽液供給口5とが互いに接続される。なお、本明細書においては、抽出装置を複数個連結させたものを、「多段抽出塔型抽出装置」と総称する場合がある。この場合、各抽出装置を、単に「塔」ということもある。図4に、本発明の精製方法で用いられうる多段抽出塔型抽出装置の一実施態様を示す概略説明図である。
【0060】
図4において、多段抽出塔型抽出装置は、塔18aと塔18bと塔18cとから構成される。塔18aの重液排出口は、塔18bの重液供給口3bに接続され、さらに、塔18bの重液排出口は、塔18cの重液供給口3cに接続される。これにより、塔18aで精製されたショ糖脂肪酸エステル溶液は、塔18bに送られ、さらに精製され、塔18cに送られ、さらに精製されて、塔18cの重液排出口から回収される。一方、塔18cの軽液排出口4cは、塔18bの軽液供給口5に接続され、さらに、塔18bの軽液排出口4bは、塔18aの軽液供給口5に接続される。これにより、塔18cの軽液排出口4cから排出された水成分〔例えば、反応溶媒(ジメチルスルホキシド等)を含有した抽出用水〕は、塔18bに送られ、さらに、塔18aに送られ、塔18aの軽液排出口4aから排出される。なお、図4の多段抽出塔型抽出装置における塔18は、さらに連結されていてもよい。
【0061】
本発明の精製方法では、ショ糖脂肪酸エステル含有混合物(A)を、前記(C)の抽出装置の重液供給口から供給し、抽出用水を、前記(C)の抽出装置の軽液供給口から供給する。
【0062】
前記ショ糖脂肪酸エステル含有混合物(A)としては、特に限定されないが、例えば、ショ糖と、脂肪酸エステルとを、反応溶媒中、触媒存在下に反応させることにより得られた反応産物等が挙げられる。前記反応産物は、より反応溶媒を効率よく除去する観点から、好ましくは、反応溶媒の少なくとも一部をさらに留去し、得られた産物に水と中性塩とを添加して、加熱混合し、静置して水層を除去することで得られた産物である。
【0063】
前記反応溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
【0064】
抽出用水は、ショ糖脂肪酸エステルの溶解度の観点から、好ましくは、酸性水である。かかる酸性水のpHは、分離性とショ糖脂肪酸エステルの品質の観点から、pH3〜5であり、好ましくは、pH4前後であり、特に好ましくは、pH4であることが望ましい。前記抽出用水としては、具体的には、塩酸水溶液、硫酸水溶液等が挙げられる。
【0065】
ショ糖脂肪酸エステル含有混合物(A)の供給量に対する抽出用水の供給量の重量比は、1〜3であることが好ましく、1〜2であることがより好ましい。かかる範囲よりショ糖脂肪酸エステル含有混合物(A)の比率が高くなると精製効率が低下し、抽出用水の比率が高くなると、ショ糖脂肪酸エステルの収率の低下及び使用水量の増大を招き工業的に不適な場合がある。
【0066】
本発明の精製方法では、ショ糖脂肪酸エステル含有混合物(A)は、前記重液供給室3に供給され、次に、該重液供給室から、最上段の混合室6aに供給される。かかる最上段の混合室6aでは、ショ糖脂肪酸エステル含有混合物(A)と、下方次段の分離室7bから軽液移送管9bで供給される抽出用水とが混合されて、反応溶媒、例えば、ジメチルスルホキシドを抽出用水側に抽出する。
【0067】
ここで、混合室6における攪拌翼11の回転速度は、20〜40rpmであることが好ましく、25〜30rpmであることがより好ましい。20rpm未満では、ジメチルスルホキシドの抽出効率が低下し、40rpmを超えると、ショ糖脂肪酸エステル含有混合物(A)の沈降性が低下する場合がある。
【0068】
最上段の混合室6aでの混合後、得られた混合液は、当該混合室6aの下位の最上段の分離室7aに流れる。かかる分離室7aにおいて、混合物から、水成分(例えば、反応溶媒等を含有した抽出用水)が分離される。ここで、分離室7aで分離された水成分は、軽液移送管9aを通って上部へ流れ、重液供給室8に供給される。なお、水成分は、さらに下方の分離室7からの軽液移送管9の場合は、上方次段の混合室6に供給される。前記重液供給室8に入った水成分は、ショ糖脂肪酸エステル含有混合物を含む場合でも、ショ糖脂肪酸エステル含有混合物が分離された後、軽液排出口4から排出される。
【0069】
その後、反応溶媒含有量が低減したショ糖脂肪酸エステル含有混合物は、前記分離室7の下部に配され、ついで、下位の混合室6に順次供給される。
【0070】
以下、混合室6及び分離室7において、同様のプロセスにより、反応溶媒(例えば、ジメチルスルホキシド等)が除去される。
【0071】
精製されたショ糖脂肪酸エステル溶液は、最下部の分離室7cに設けられた重液排出口2から回収される。
【0072】
なお、前記抽出装置の抽出塔1内の温度は、55℃〜80℃であることが好ましく、57℃〜63℃であることがより好ましい。55℃未満では、ショ糖脂肪酸エステル含有混合物が固形化し、80℃を超えるとショ糖脂肪酸エステル含有混合物が分解する場合がある。
【0073】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は、かかる実施例により限定されるものではない。
【実施例】
【0074】
(製造例)
ショ糖脂肪酸エステル含有反応産物〔脂肪酸メチル(ステアリン酸:パルミチン酸=7:3)〕を乳酸で中和し、ついで、ジメチルスルホキシドの留去を行なった。これにより、下記表1に示される組成の反応混合物を得た。
【0075】
【表1】

【0076】
また、前記反応混合物のエステル組成を、商品名:クロマトパックC−R5A(株式会社 島津製作所製)を用いたゲル浸透クロマトグラフィーにより測定した。その結果、エステル組成は、モノエステル 77.4重量%、ジエステル 19.8重量%、トリエステル等 2.8重量%であった。
【0077】
前記反応混合物 100重量部に、水 500重量部を添加し、溶解させ、ついで、無水硫酸ナトリウム 40重量部を添加した。得られた混合物を60℃に加熱し、混合し、その後、静置した。その後、得られた産物から、水層を除去して、ショ糖脂肪酸エステル含有混合物(固形分23重量%)を得た。前記ショ糖脂肪酸エステル含有混合物中におけるジメチルスルホキシド含有率は、23104ppmであった。
【0078】
(試験例)
図4に示される多段抽出塔型抽出装置を用い、前記製造例1で得られたショ糖脂肪酸エステル含有混合物の精製を行なった。なお、図4に示される多段抽出塔型抽出装置において、塔18a、塔18b及び塔18cそれぞれは、図1に示される抽出装置の抽出塔内の混合室と分離室との組を4組備えたものである。
【0079】
塔内温度を60℃とし、重液供給口から、ショ糖脂肪酸エステル含有混合物を、100kg/時間で供給し、軽液供給口から、抽出用水〔硫酸水溶液(pH3.5)〕を、250kg/時間で供給し、混合物を35rpmで攪拌した。10時間後、重液排出口から得られたショ糖脂肪酸エステル含有溶液中におけるジメチルスルホキシドの濃度を測定した。かかる精製例を、実施例1とする。
【0080】
また、図4に示される多段抽出塔型抽出装置において、5塔からなるものを用い、抽出用水を、150kg/時間で供給したことを除き、前記実施例1と同様に、前記製造例で得られたショ糖脂肪酸エステル含有混合物を精製した。かかる精製例を、実施例2とする。
【0081】
塔内温度を70℃としたことを除き、前記実施例1と同様に、前記製造例で得られたショ糖脂肪酸エステル含有混合物を精製した。かかる精製例を、実施例3とする。
【0082】
塔内温度を80℃としたことを除き、前記実施例1と同様に、前記製造例で得られたショ糖脂肪酸エステル含有混合物を精製した。かかる精製例を、実施例4とする。
【0083】
攪拌速度を15rpmとしたことを除き、前記実施例1と同様に、前記製造例で得られたショ糖脂肪酸エステル含有混合物を精製した。かかる精製例を、実施例5とする。
【0084】
攪拌速度を20rpmとしたことを除き、前記実施例1と同様に、前記製造例で得られたショ糖脂肪酸エステル含有混合物を精製した。かかる精製例を、実施例6とする。
【0085】
攪拌速度を25rpmとしたことを除き、前記実施例1と同様に、前記製造例で得られたショ糖脂肪酸エステル含有混合物を精製した。かかる精製例を、実施例7とする。
【0086】
一方、3塔からなる向流式連続抽出塔を用い、前記製造例1で得られたショ糖脂肪酸エステル含有混合物の精製を行なった。なお、重液供給口から、ショ糖脂肪酸エステル含有混合物を、100kg/時間で供給し、軽液供給口から、抽出用水〔硫酸水溶液(pH3.5)〕を、250kg/時間で供給した。かかる精製例を、比較例1とする。
【0087】
また、前記比較例1において、5塔からなる向流式連続抽出塔を用い、抽出用水を、150kg/時間で供給したことを除き、前記比較例1と同様に、前記製造例で得られたショ糖脂肪酸エステル含有混合物を精製した。かかる精製例を、比較例2とする。
【0088】
これらの結果を、表2に示す。
【0089】
【表2】

【0090】
表2に示されるように、実施例1〜7によれば、比較例1及び2に比べ、効率よく、ジメチルスルホキシドを除去できることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明によれば、高い効率かつ高い収率でのショ糖脂肪酸エステルの精製が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】図1は、抽出装置の一実施態様を示す概略説明図である。
【図2】図2は、上部隔壁の一例を示す概略説明図である。
【図3】図3は、下部隔壁の一例を示す概略説明図である。
【図4】図4は、多段抽出塔型抽出装置の一実施態様を示す概略説明図である。
【符号の説明】
【0093】
1 抽出塔
2 重液排出口
3 重液供給口
4 軽液排出口
5 軽液供給口
6 混合室
7 分離室
8 重液供給室
9 軽液移送管
10 攪拌軸
11 攪拌翼
12 分離帯
13 上部隔壁
14 下部隔壁
15 重液供給孔
16 中央開口
17 混合溶液供給孔
18 塔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)重液として、ショ糖脂肪酸エステル含有混合物と、
(B)軽液として、水と
を、
(C)重液と軽液とを混合して混合物とする複数の混合室と、該混合物を重液と軽液とに分離する複数の分離室とを有してなり、供給された重液及び軽液を混合し分離することによって一方の液中に含まれる所定成分を他方の液中に抽出させるように構成されてなる抽出塔を備えてなる抽出装置であって、
前記混合室及び分離室は、上位に混合室が配され、下位に分離室が配されるように互いに連接された混合室と分離室との組が上下方向に複数段配列するように配されてなり、
供給された軽液は、最下段の混合室にて重液と混合され、下位の分離室にて分離された後、管を介して、上方次段の混合室及び分離室に順次供給されて最上段の分離室にて分離された後に排出されるように構成され、
供給された重液は、最上段の混合室にて軽液と混合され、下位の分離室にて分離された後、下方次段の混合室及び分離室に順次供給され、最下段の分離室にて分離された後に排出されるように構成されてなる、抽出装置
に供して、該ショ糖脂肪酸エステル含有混合物からショ糖脂肪酸エステルを精製することを特徴とする、ショ糖脂肪酸エステルの精製方法。
【請求項2】
該ショ糖脂肪酸エステル含有混合物の供給量に対する抽出用水の供給量の重量比が、1〜3である、請求項1記載の精製方法。
【請求項3】
該混合室における攪拌翼の回転速度が、20〜40rpmである、請求項1又は2記載の精製方法。
【請求項4】
該抽出塔内の温度が、55℃〜80℃である、請求項1〜3いずれか1項に記載の精製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−153784(P2007−153784A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−349385(P2005−349385)
【出願日】平成17年12月2日(2005.12.2)
【出願人】(000003506)第一工業製薬株式会社 (491)
【Fターム(参考)】