説明

シリアルデータ通信方式およびシリアルデータ通信装置

【課題】マスター装置がスレーブ装置側の状態を示すデータを確認するための通信を、必要なときのみに限定して行うことにより、通信負荷を軽減する。
【解決手段】データ転送を制御可能なマスター装置1からクロック伝送線5を介してスレーブ装置2aへ伝送されるクロック信号に同期して、マスター装置とスレーブ装置との間でデータ伝送線4を介してデータの授受を行う。マスター装置とスレーブ装置との間を接続する第三のライン6にスレーブ装置の状態変化の有無を示す信号を送出し、マスター装置は、第三のラインの信号がスレーブ装置側に状態変化が有ったことを示しているときに、スレーブ装置側の状態変化に関するデータを取得するための通信を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御を行う半導体装置(マスター装置)と制御される半導体装置(スレーブ装置)間のシリアルデータ通信に関するものである。
【背景技術】
【0002】
3線式バス結合を介してデータ通信を行う従来の方法としては、特許文献1に開示されたディジタル式通信方法がある。図6は、この従来の3線式ディジタルデータ通信方法を示すものである。以下、図6を参照しながら、特許文献1に示されているデータ通信方式についてその動作を説明する。
【0003】
図6において、1つのディジタル信号処理装置であるマスター装置101と、周辺装置である2つのスレーブ装置102との間には、3線式バス結合システムが構成されている。クロック線103は、通常、マスター装置101から発せられるシステムクロック信号を伝送する。データ線104では、2つのスレーブ装置102によって書込まれた連続するディジタルデータが、マスター装置101に伝送される。この場合、スレーブ装置102にはデータを出力するデータ出力部ASDが、また、マスター装置101にはデータ入力部ESDが設けられる。
【0004】
また、マスター装置101からは、いわゆる「ワード選択線(Word Select Leitung)」と呼ばれるオーソライズ線(WS)105により、それぞれが2進法に設定された2値オーソライズ信号が送られ、これにより2つのスレーブ装置102のいずれがマスター装置101に対するデータを共通のデータ線104に書込むか、又その時期はいつかを決定する。
【0005】
さらに、マスター装置101は、オーソライズ線(WS)105の出力部に接続されたエンコーダ(ENC)を有し、かつ、スレーブ装置102はそれぞれ、オーソライズ線(WS)105の入力部に接続されたデコーダ(DEC)を有している。オーソライズ信号の特定期間に重畳されたデータ信号は、マスター装置101のエンコーダからスレーブ装置102に伝えられ、それぞれのデコーダにより復号化される。
【0006】
設けられたスレーブ装置102の1つ、又は、それ以上のスレーブ装置102に目的的に、かつ、選択的にマスター装置101から呼かけを行うため、オーソライズ信号に重畳されたデータ信号は、必要に応じて、対応するスレーブ装置102の呼出しアドレスを有する。
【0007】
以上のようにして、スレーブ装置102とマスター装置101との間に、3線式バス結合を介して、一方ではデータ線104を介してスレーブ装置102からマスター装置101へ、他方ではオーソライズ線WS105を介してマスター装置101からスレーブ装置102への、二方向通信の実施が可能となる。
【特許文献1】特表2002−539646号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のようなデータ通信方式では、データ線104を介してスレーブ装置102からマスター装置101へ通信を行う際も、オーソライズ線(WS)105を介してマスター装置101からスレーブ装置102へ通信を行う際も、常にマスター装置101がオーソライズ線(WS)105を用いて通信を行うタイミングの制御を行うことになる。
【0009】
また、スレーブ装置102側の状態を示すデータを確認する場合、マスター装置101側はスレーブ装置102側の状態変化の有無にかかわらず、任意のタイミングにデータ通信を行う必要がある。したがって、1つのマスター装置101に対して、多くのスレーブ装置102が接続されている場合、マスター装置101がそれぞれのスレーブ装置102の状態を把握するための通信負荷が大きくなっていた。
【0010】
本発明は上記従来の問題点を解決するものであり、マスター装置がスレーブ装置側の状態を示すデータを確認するための通信を、必要なときのみに限定して行うことにより、通信負荷を軽減することのできるシリアルデータ通信方式を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明のシリアルデータ通信方式は、データ転送を制御可能なマスター装置からクロック伝送線を介してスレーブ装置へ伝送されるクロック信号に同期して、前記マスター装置と前記スレーブ装置との間でデータ伝送線を介してデータの授受を行い、前記マスター装置と前記スレーブ装置との間を接続する第三のラインに前記スレーブ装置の状態変化の有無を示す信号を送出し、前記マスター装置は、前記第三のラインの信号が前記スレーブ装置側に状態変化が有ったことを示しているときに、前記スレーブ装置側の状態変化に関するデータを取得するための通信を行うことを特徴とする。
【0012】
本発明のシリアルデータ通信装置は、データ転送を制御可能なマスター装置と、前記マスター装置との間でデータの送受信を行うスレーブ装置と、前記マスター装置から前記スレーブ装置へクロック信号を伝送するためのクロック伝送線と、前記マスター装置と前記スレーブ装置との間でデータの伝送を行うためのデータ伝送線とを備え、前記クロック信号に同期して前記マスター装置と前記スレーブ装置との間でシリアルデータ通信を行い、前記マスター装置は前記スレーブ装置側の状態変化に関するデータを取得するための通信を行うように構成される。さらに、前記スレーブ装置側の状態変化の有無を示す信号を前記マスター装置に供給する第三のラインを備え、前記マスター装置は、前記第三のラインの信号が前記スレーブ装置側に状態変化が有ったことを示しているときに、前記スレーブ装置側の状態変化に関するデータを取得するための通信を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明のシリアルデータ通信方式を用いれば、第三のラインを用いてマスター装置側にスレーブ装置側の状態変化があったことを知らせることにより、マスター装置側がスレーブ装置側の状態を示すデータの確認を必要なときのみ行うことができ、通信負荷を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明のシリアルデータ通信方式において、前記スレーブ装置は前記スレーブ装置側の状態を検出してステータスのデータを出力し、前記第三のラインは、前記ステータスのデータの変化前と変化後で状態が変化するように制御されることが好ましい。
【0015】
また、前記第三のラインの状態が変化した場合、前記マスター装置が前記ステータスのデータを確認したときに、前記第三のラインの状態が変化前の状態に戻るように制御することが好ましい。
【0016】
また、前記第三のラインの状態が変化した後、前記ステータスのデータが再度変化して元の状態に戻った場合でも、また、それらの動作を繰り返した場合でも、前記マスター装置が前記ステータスのデータを確認するまで、前記第三のラインの状態が変化前の状態に戻らないように制御することが好ましい。それにより、状態に変化があった場合は確実にスレーブ装置側の状態を確認することができる。
【0017】
本発明のシリアルデータ通信装置において、前記スレーブ装置は、前記スレーブ装置側の状態を検出してステータスのデータを出力するステータス出力部と、前記ステータス出力部が出力する前記ステータスのデータの変化を検出する比較部とを有し、前記第三のラインは、前記比較部により検出された前記ステータスのデータの変化に応じて状態が変化することが好ましい。
【0018】
また、前記スレーブ装置は、前記マスター装置が前記ステータスのデータを確認したことを検知してリード検知データを供給するリード検知部を有し、前記第三のラインは、その状態が変化した場合、前記リード検知部からのリード検知データに応じて変化前の状態に戻ることが好ましい。
【0019】
また、前記スレーブ装置は、前記比較部により検出された前記ステータスのデータの変化を保持する出力保持部を有し、前記第三のラインは、その状態が変化した後、前記比較部による検出結果が再度変化して元の状態に戻った場合でも、また、それらの動作を繰り返した場合でも、前記リード検知部から前記リード検知データが出力されるまで、その状態が変化前の状態に戻らないことが好ましい。
【0020】
以下、本発明のシリアルデータ通信方式の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0021】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるシリアルデータ通信方式に用いられるシリアルデータ通信装置を示すブロック図である。
【0022】
図1において、1はデータ転送の制御を行うマスター装置、2aはマスター装置1からアドレス指定され、マスター装置1によりデータ転送を制御されるスレーブ装置である。スレーブ装置2aには、外部機器3を接続可能であり、図のように外部機器3が接続された状態と、接続されていない状態とを取り得る。
【0023】
マスター装置1とスレーブ装置2aとの間は、データ伝送線であるシリアル・データ・ライン(以下SDAと略称する)4、クロック伝送線であるシリアル・クロック・ライン(SCL)5、および第三のライン6により接続されている。SDA4は、マスター装置1とスレーブ装置2aとの間のデータを伝送する線であり、SCL5はマスター装置1からスレーブ装置2aへクロック信号を伝送する線であり、第三のライン6はスレーブ装置2aの状態変化の有無を示す信号を伝送する線である。
【0024】
スレーブ装置2aの内部には、シリアルデータ通信部7が設けられ、SDA4およびSCL5によりマスター装置1と接続されている。シリアルデータ通信部7は、外部機器3とも接続可能であり、また、マスター装置1との間の本来のシリアルデータ通信を行う。
【0025】
本実施の形態におけるスレーブ装置2aの内部には、さらに、ステータス出力部8が設けられ、SDA4およびSCL5によりマスター装置1と接続され、また、外部機器3とも接続可能である。ステータス出力部8は、外部機器3などの接続の有無により出力が変化して、ステータスのデータを出力する。ステータス保持部9は、ステータス出力部8のデータを保持する。比較部10は、ステータス保持部9のデータと、ある時刻のステータス出力部8のデータを比較する。比較結果出力部11は、比較部10の比較結果に応じて出力を制御する。
【0026】
スレーブ装置2aの内部にはさらに、リード検知部12が設けられ、SDA4およびSCL5によりマスター装置1と接続されている。リード検知部12は、SDA4を介して行われる、マスター装置1がスレーブ装置2aの状態を確認するタイミング(以降、「マスターのリード」と呼ぶ。)を検出して、その検出結果をステータス保持部9に供給する。
【0027】
以上の構成に基づいて、マスター装置1は、スレーブ装置2a側の状態変化、すなわちスレーブ装置2aに対する外部機器3の接続接続の有無に関するデータを取得するための通信を行う。
【0028】
以上のように構成されたシリアルデータ通信方式について、図2のタイミングチャートを参照しながら、以下その動作を説明する。
【0029】
図2において、(a)はステータス出力部8のデータの波形を示し、外部機器3の接続の有無の状態に応じて、ハイ(以降、「H」と記す。)とロウ(以降、「L」と記す。)の間で出力が変化する。(b)はステータス保持部9のデータの波形を示す。(c)の波形はマスターのリードのタイミングを示し、マスターのリードがあったタイミングがHで示される。(d)は、第三のライン6のデータ(比較結果出力部11の出力と同じ)の波形を示す。マスターのリードは、第三のライン6のデータがHになったときにのみ行われる。但し、マスターのリードのタイミングは、他のスレーブ装置との通信状態に応じた順番で発生する。
【0030】
(b)のステータス保持部9の波形は、マスターのリードがあった場合、すなわち、(c)の波形がHになったときの、(a)のステータス出力部8のHまたはLの状態を保持する。また、比較部10により、ステータス保持部9のデータとステータス出力部8のデータが異なることが検出された場合には、比較結果出力部11のデータはHになり、したがって、(d)の第三のライン6のデータはHになる。ステータス保持部9のデータとステータス出力部8のデータが同一の場合には、(d)の第三のライン6のデータはLになる。
【0031】
図2の波形例で示される動作は、以下のとおりである。まず、(c)の波形は、破線で示す時刻t0以前のある時間に、マスターのリードが一度あったことを示す。そのとき、リード検知部12がマスターのリードを検出してステータス保持部9を動作させ、ステータス出力部8の状態を保持させるが、(a)のステータス出力部8の出力はLであるため、時刻t0では、ステータス保持部9はLになっている。また、ステータス出力部8とステータス保持部9のデータはともにLで同じであるため、比較部10の出力はLであり、(d)の第三のライン6(比較結果出力部11)のデータはLである。
【0032】
その後、時刻t1で外部機器3の接続状態が変化し、ステータス出力部8がHになる。そのとき、ステータス出力部8とステータス保持部9のデータは、HとLで違いが発生するので、比較部10によりHが出力され、(d)の第三のライン6のデータはLからHになる。その後、時刻t2のときステータス出力部8がLになり、ステータス保持部9と同じ状態になるので、第三のライン6はHからLになる。このように、第三のライン6のデータがHになっても、マスターのリードが行われる前にLに戻ってしまう場合もある。マスターのリードのタイミングは、他のスレーブ装置との通信状態に応じた順番で発生するため、マスターのリードが遅くなる場合もあるからである。
【0033】
その後、時刻t3のときマスターのリードがあるが、ステータス出力部8がLであるので、ステータス保持部9はLのままである。その後、時刻t4のときは、時刻t1のときと同様で、第三のライン6はLからHになる。その後、時刻t5のときマスターのリードがあり、ステータス出力部8がHであるので、(b)のステータス保持部9はHになる。その結果、ステータス出力部8とステータス保持部9のデータがHで同じになるので、(d)の第三のライン6はHからLになる。
【0034】
その後、時刻t6のときステータス出力部8がLになり、ステータス保持部9のデータがHであり、違いがあるので、第三のライン6はLからHになる。その後、時刻t7、時刻t8のときのようにステータス出力部8の状態が連続して変わったときも、比較部10により、ステータス出力部8とステータス保持部9のデータが比較され、データに違いがあるときは第三のライン6はH、違いがないときはLとなる。その後、時刻t9のときマスターのリードがあり、ステータス出力部8がLであるのでステータス保持部9はLになり、データが同じであるので、第三のライン6はHからLになる。
【0035】
以上のように本実施形態によれば、マスター装置1がスレーブ装置2aの状態を一度確認した後、ステータス出力部8とステータス保持部9のデータに違いがあれば、第三のライン6の状態が変化するので、そのときのみマスター装置1はスレーブ装置2aの状態を確認すればよい。つまり、第三のライン6の状態に変化がなければ、マスター装置1はスレーブ装置2aの状態を確認しなくてもよい。したがって、通信回数を少なくすることができ、通信経路全体の通信負荷を軽減することができる。
【0036】
(実施の形態2)
実施の形態1では単にステータス出力部8とステータス保持部9のデータを比較し、違いがあれば第三のライン6の状態を変化させているので、ステータス出力部8のデータが元の状態に戻ったときに第三のライン6の状態も元に戻る。
【0037】
これに対し、マスターのリードがあるまで第三のライン6の状態を変化させないようにしたのが以下に示す、実施の形態2の構成である。
【0038】
図3は、本発明の実施の形態2におけるシリアルデータ通信方式に用いられるシリアルデータ通信装置を示すブロック図である。図3において、図1に示した実施の形態1における装置の要素と同一の要素には、同一の参照符号を付して、説明の重複を省略する。
【0039】
本実施の形態の構成が実施の形態1の構成と異なるのは、比較結果出力部11の状態を保持する出力保持部13が設けられた点である。出力保持部13には、リード検知部12の出力が供給され、マスターのリードのタイミングに基づく後述のような制御が行われる。
【0040】
以上のように構成されたシリアルデータ通信方式について、図4のタイミングチャートを参照しながら、以下その動作を説明する。
【0041】
図4において、(a)〜(d)の波形は、実施の形態1に関する図2の波形と同様である。すなわち、(a)はステータス出力部8のデータの波形、(b)はステータス保持部9のデータの波形、(c)はマスターのリードの波形、(d)は比較結果出力部11の出力の波形を示す。(e)は本実施の形態により追加された波形であり、第三のライン6のデータである出力保持部13の波形を示す。出力保持部13の出力は、マスターのリードがあるまでLにならない。したがって、出力保持部13に保持されている第三のライン6の状態も、マスターのリードがあるまでLにならない。
【0042】
図4に示される時刻t6までの波形変化は、図2の場合と同様である。すなわち、破線で示す時刻t0以前のある時間に、(c)のマスターのリードが一度あったことを示す。そのとき、リード検知部12がマスターのリードを検出しステータス保持部9を動作させて、ステータス出力部8の状態を保持させるが、(a)のステータス出力部8の出力はLであるため、時刻t0では、ステータス保持部9はLになっている。ステータス出力部8とステータス保持部9のデータがともにLで同じであるため、比較部10の出力はLであり、(d)の比較結果出力部11のデータはLである。また、リード検知部12の出力に応じて出力保持部13も動作するが、比較結果出力部11のデータはLであるため、(e)の第三のライン6(出力保持部13)のデータはLである。
【0043】
その後、時刻t1で外部機器3の接続状態が変化し、ステータス出力部8がHになる。そのとき、ステータス出力部8とステータス保持部9のデータは、HとLで違いが発生するので、比較部10によりHが出力され、(d)の比較結果出力部11のデータはLからHになる。それにより、(e)の第三のライン6(出力保持部13)のデータもLからHになる。
【0044】
その後、時刻t2のときステータス出力部8がLになり、ステータス保持部9と同じ状態になるが、出力保持部13はマスターのリードがあるまでLにならないので、出力保持部13に保持されている第三のライン6の状態はHのままである。この点が実施の形態1との違いである。その後、時刻t3のときマスターのリードがあるので、第三のライン6はHからLになる。
【0045】
その後、時刻t4のときは、時刻t1のときと同様で、第三のライン6はLからHになる。その後、時刻t5のときマスターのリードがあり、ステータス出力部8がHであるので、(b)のステータス保持部9はHになる。したがって、ステータス出力部8とステータス保持部9のデータがHで同じになるので、比較結果出力部11のデータはLになる。また、マスターのリードがあるので、第三のライン6もHからLになる。
【0046】
その後、時刻t6のときステータス出力部8がLになり、ステータス保持部9のデータがHであり、違いがあるので、比較結果出力部11のデータはHになり、第三のライン6もLからHになる。その後、時刻t7、時刻t8のときのようにステータス出力部8の状態が連続して変わったときでも、第三のライン6の状態は出力保持部13に保持されており、マスターのリードがあるまでLにならないので、第三のライン6の状態はHのままである。その後、時刻t9のときマスターのリードがあり、ステータス出力部8がLであるので、ステータス保持部9はLになり、データが同じであるので、第三のライン6はHからLになる。
【0047】
以上のように本実施形態によれば、マスター装置1がスレーブ装置2bの状態を一度確認した後、ステータス出力部8とステータス保持部9のデータに違いがあれば、第三のライン6の状態が変化するので、そのときのみマスター装置1はスレーブ装置2bの状態を確認すればよい。つまり、スレーブ装置2bの状態に変化がなければ、マスター装置1はスレーブ装置2bの状態を確認しなくてもよい。したがって、通信回数を少なくすることができ、通信経路全体の通信負荷を軽減することができる。
【0048】
また、マスター装置1からスレーブ装置2bの状態を示すデータを確認されるまで、第三のライン6の状態が変化前の状態に戻らないので、状態に変化があった場合は確実にスレーブ装置2bの状態を確認することができる。
【0049】
なお、以上の実施の形態1および2においては、スレーブ装置2a、2b側の状態変化が外部機器の接続状態の有無である場合を例として説明したが、スレーブ装置2a、2b側の他の状態変化についてマスター装置1から確認する動作を行う場合にも、本発明は適用可能である。
【0050】
また、図1および図3に示した構成においては、マスター装置1にスレーブ装置2aあるいは2bが1つ接続されている状態が図示されているが、図5に示すようにマスター装置1に複数のスレーブ装置2が接続されているシステムにも、本発明は適用可能であり、そのようなシステムにおいて特に有効である。
【0051】
すなわち、図5に示すように多くのスレーブ装置2がマスター装置1に接続されている場合、それぞれのスレーブ装置2の状態の確認を任意のタイミングに行う場合では通信の負荷が多くなっていたが、本発明の実施形態によれば、スレーブ装置2の状態を示すデータに変化があったスレーブ装置1のみに対しデータ通信を行えばいいので、通信負荷を軽減する効果は大きい。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明のシリアルデータ通信方式によれば、データ通信を必要なときのみ行い、通信負荷を軽減することが可能になるので、IC,LSI等の半導体装置間のシリアルデータ通信に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施の形態1におけるシリアルデータ通信方式に用いられるシリアルデータ通信装置を示すブロック図
【図2】同シリアルデータ通信方式における各出力のタイミングチャート
【図3】本発明の実施の形態2におけるシリアルデータ通信方式に用いられるシリアルデータ通信装置を示すブロック図
【図4】同シリアルデータ通信方式における各出力のタイミングチャート
【図5】シリアルデータ通信装置の他の構成例を示すブロック図
【図6】従来の3線式ディジタルデータ通信方法に用いられるシリアルデータ通信装置を示すブロック図
【符号の説明】
【0054】
1 マスター装置
2a、2b スレーブ装置
3 外部機器
4 シリアル・データ・ライン(SDA)
5 シリアル・クロック・ライン(SCL)
6 第三のライン
7 シリアルデータ通信部
8 ステータス出力部
9 ステータス保持部
10 比較部
11 比較結果出力部
12 リード検知部
13 出力保持部
101 マスター装置
102 スレーブ装置
103 SCL
104 SDA
105 オーソライズ線(WS)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ転送を制御可能なマスター装置からクロック伝送線を介してスレーブ装置へ伝送されるクロック信号に同期して、前記マスター装置と前記スレーブ装置との間でデータ伝送線を介してデータの授受を行うシリアルデータ通信方式において、
前記マスター装置と前記スレーブ装置との間を接続する第三のラインに前記スレーブ装置の状態変化の有無を示す信号を送出し、
前記マスター装置は、前記第三のラインの信号が前記スレーブ装置側に状態変化が有ったことを示しているときに、前記スレーブ装置側の状態変化に関するデータを取得するための通信を行うことを特徴とするシリアルデータ通信方式。
【請求項2】
前記スレーブ装置は前記スレーブ装置側の状態を検出してステータスのデータを出力し、
前記第三のラインは、前記ステータスのデータの変化前と変化後で状態が変化するように制御される請求項1記載のシリアルデータ通信方式。
【請求項3】
前記第三のラインの状態が変化した場合、前記マスター装置が前記ステータスのデータを確認したときに、前記第三のラインの状態が変化前の状態に戻るように制御する請求項2記載のシリアルデータ通信方式。
【請求項4】
前記第三のラインの状態が変化した後、前記ステータスのデータが再度変化して元の状態に戻った場合でも、また、それらの動作を繰り返した場合でも、前記マスター装置が前記ステータスのデータを確認するまで、前記第三のラインの状態が変化前の状態に戻らないように制御する請求項3記載のシリアルデータ通信方式。
【請求項5】
データ転送を制御可能なマスター装置と、
前記マスター装置との間でデータの送受信を行うスレーブ装置と、
前記マスター装置から前記スレーブ装置へクロック信号を伝送するためのクロック伝送線と、
前記マスター装置と前記スレーブ装置との間でデータの伝送を行うためのデータ伝送線とを備え、
前記クロック信号に同期して前記マスター装置と前記スレーブ装置との間でシリアルデータ通信を行い、前記マスター装置は前記スレーブ装置側の状態変化に関するデータを取得するための通信を行うように構成されたシリアルデータ通信装置において、
前記スレーブ装置側の状態変化の有無を示す信号を前記マスター装置に供給する第三のラインを備え、
前記マスター装置は、前記第三のラインの信号が前記スレーブ装置側に状態変化が有ったことを示しているときに、前記スレーブ装置側の状態変化に関するデータを取得するための通信を行うことを特徴とするシリアルデータ通信装置。
【請求項6】
前記スレーブ装置は、前記スレーブ装置側の状態を検出してステータスのデータを出力するステータス出力部と、前記ステータス出力部が出力する前記ステータスのデータの変化を検出する比較部とを有し、
前記第三のラインは、前記比較部により検出された前記ステータスのデータの変化に応じて状態が変化する請求項5記載のシリアルデータ通信装置。
【請求項7】
前記スレーブ装置は、前記マスター装置が前記ステータスのデータを確認したことを検知してリード検知データを供給するリード検知部を有し、
前記第三のラインは、その状態が変化した場合、前記リード検知部からのリード検知データに応じて変化前の状態に戻る請求項6記載のシリアルデータ通信装置。
【請求項8】
前記スレーブ装置は、前記比較部により検出された前記ステータスのデータの変化を保持する出力保持部を有し、
前記第三のラインは、その状態が変化した後、前記比較部による検出結果が再度変化して元の状態に戻った場合でも、また、それらの動作を繰り返した場合でも、前記リード検知部から前記リード検知データが出力されるまで、その状態が変化前の状態に戻らない請求項7記載のシリアルデータ通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−124809(P2008−124809A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−306756(P2006−306756)
【出願日】平成18年11月13日(2006.11.13)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】