説明

シリカ配合ゴム組成物とその架橋物、及びその製造方法。

【課題】
シリカとシランカップリング剤の反応を促進させることにより加工性の優れたシリカ配合ゴム組成物とその架橋物、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】
ジエン系ゴム100重量部に対し、シリカ10〜120重量部、シランカップリング剤1〜18重量部、カルボン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アルミニウム塩0.3〜6重量部を配合した組成物、そして前記の組成物を架橋してなる架橋物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリカを配合したゴム組成物、その架橋物、及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、省燃費、制動性に優れたシリカ配合タイヤが急速に普及しつつある。しかし、シリカを配合すると、ゴム組成物としての粘度が非常に上昇するために、a)シランカップリング剤を添加することにより粘度の上昇を緩和する、b)シランカップリング剤は、シリカ表面のシラノールと反応することによりシリカ同士の相互作用を低減し、ゴムの損失正接や動的弾性率を下げることが知られている。しかし、シリカとシランカップリング剤の反応速度は非常に遅く、これらを十分に反応させるためには、高温での練り工程、又は複数回の練り工程が必要となる。高温での練り工程はゴムのゲル化が起こり、加工が不可能になるため好ましくなく、複数回の練り工程を行う場合には、ゴムのゲル化の問題は起こらないが、工程が煩雑となる。
【0003】
上記の問題を解決すべく、シリカとカップリング剤の反応性が高く、また加工性が良いとされるカップリング剤なども提案されているが、実用的には経済性などの観点から問題が多い。
【0004】
また、シリカとシランカップリング剤の反応を促進させる技術としては有機シラン、ホウ酸などを用いるなどの様々な手法が試みられている。ただ、これらの添加物は高価な原料シランが必要となる、また毒性の強いホウ酸を使用するなどという問題があった。(特許文献1、2参照)
特許文献3には、耐摩耗性、成型安定性等に優れたゴム組成物を得るために、脂肪酸金属塩を添加することが記載されているが、実施例に用いられた脂肪酸の亜鉛塩は、シリカとカップリング剤を十分に反応させることができず、またカリウム塩の効果については、明らかにされていない。
【0005】
一般的に架橋特性からはモジュラス300%/モジュラス100%の比が大きいとシリカに対するカップリング効果は大きいとされている(非特許文献1参照)。従って、本発明ではモジュラス300%/モジュラス100%の比をシリカに対するカップリング効果の指標とした。
【特許文献1】公開特許公報、2005−2065
【特許文献2】公開特許公報、2007−77322
【特許文献3】公開特許公報、2001−233997
【非特許文献1】Compositers Science and Tech.Vol.63 1165 (2003)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記の点に鑑み、練り工程においてコンパウンド粘度を低下することができる組成物であり、また該組成物の架橋物は優れた物性を示す、シリカ配合ゴム組成物、その架橋物、及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記問題点を解決すべく鋭意検討の結果、シリカとシランカップリング剤の反応において、特定のカルボン酸の金属塩が特に反応を促進させることを見出し、ジエン系ゴム、シリカ、シランカップリング剤、カルボン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アルミニウム塩から選択される少なくとも1種を含む組成物及びその架橋物により、上記課題を解決できることを見出した。
【0008】
すなわち、本発明は
(a)ジエン系ゴム100重量部に対して、
(b)シリカ10〜120重量部、
(c)シランカップリング剤1〜18重量部、
(d)カルボン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アルミニウム塩から選択される少なくとも1種を0.3〜6重量部を含有することを特徴とするシリカ配合ゴム組成物である。
【0009】
本発明のシリカ配合ゴム組成物において、(b)シリカはBET比表面積が20〜250g/mであることが好ましい。
【0010】
本発明のシリカ配合ゴム組成物において、(c)シランカップリング剤は下記式[I]で表されるポリスルフィド系シランカップリング剤であることが好ましい。
【化1】

(式中、Rは炭素数1〜5の一価の炭化水素基、Rは炭素数1〜9の二価の炭化水素基、xは2〜6、Yは0または1の整数である。)
本発明のシリカ配合ゴム組成物において、(d)カルボン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アルミニウム塩は下記[II]で表される化合物であることが好ましい。
【化2】

【0011】
(式中、Rは炭素原子8〜18を有する炭化水素基、Meはアルカリ金属、アルカリ土類金属あるいはアルミニウム、nは1−3の整数である。)
また本発明は、上記シリカ配合ゴム組成物に架橋剤を含有させた架橋用ゴム組成物、および、これを架橋させた架橋物である。
【0012】
さらに本発明は
(a)ジエン系ゴム100重量部に対して、
(b)シリカを10〜120重量部、
(c)シランカップリング剤を1〜18重量部、
(d)カルボン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アルミニウム塩から選択される少なくとも1種を0.3〜6重量部を含有する混合物を、100〜160℃で混練し、得られたシリカ配合ゴム組成物に架橋剤を添加し、100℃以下で混練し、得られたシリカ配合ゴム組成物を140〜200℃で架橋することを特徴とする架橋物の製造方法である。
【発明の効果】
【0013】
ジエン系ゴム、シリカ、シランカップリング剤及びカルボン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アルミニウム塩から選択される少なくとも1種を含む組成物を混練りすることにより、ジエン系ゴム混合物中のシリカとシランカップリング剤が効率的に反応し、一度の混練り工程のみで十分なカップリング効果が得られるので、得られるコンパウンドは非常に加工性に優れ、また該組成物の架橋物は低転がり抵抗性ゴム架橋物として得られる。
【0014】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0015】
本発明で用いる(a)ジエン系ゴムとしては天然ゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、エチレンプロピレンターポリマー、ブチルゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、クロロプレンゴムなどが挙げられる。これらは単独でまたは2種以上をブレンドして使用することができる。
【0016】
本発明で用いる(b)シリカとしては、BET比表面積が20〜250m/gの湿式シリカが好ましく、BET比表面積が50〜200m/gの湿式シリカがより好ましい。比表面積が20m/g以下ではゴムに対する補強性が少なく、250m/g以上ではシランカップリング剤との反応が著しく遅くなるため好ましくない。このようなシリカとしては、東ソーシリカ社製、ニプシルVN−3、AQ、ER、ER743、トクヤマ社製、トクシル255、UR、GU、U−13、HOA、233、デグサ社製、ウルトラジルVN3,VN2など市販のシリカが用いられる。
【0017】
上記シリカの配合量は、ジエン系ゴム100重量部に対して、10〜120重量部含有することが好ましく、20〜100重量部であることがより好ましい。10重量部未満では、充分な補強性を示さず、120重量部を越えると、分散性が非常に悪いために、シランカップリング剤との反応性が悪くなる。
【0018】
本発明で用いられる(c)シランカップリング剤としては、一般式[I]で表されるポリスルフィド系シランカップリング剤が好ましい。
【化3】

(式中、Rは炭素数1〜5の一価の炭化水素基、Rは炭素数1〜9の二価の炭化水素基、xは2〜6、Yは0または1の整数である。)
具体的には、ダイソー社製、カブラス2A、カブラス2B、カブラス4、デグサ社製、Si−75,Si−69、GEシリコーン社製、A−1289、信越化学社製、KBE−846などを例示することができるが、これらに限定されるものではない。これらは単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。特にビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(略称TESPD)、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(略称TESPT)が好ましい。
【0019】
上記シランカップリング剤の配合量は、ジエン系ゴム100重量部に対して、1〜18重量部であり、2〜13重量部であることが好ましい。1重量部未満では、シリカとの反応が十分ではなく、18重量部越えると、圧縮永久歪み性などの特性が悪化するため好ましくない。
【0020】
本発明で用いられる(d)カルボン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アルミニウム塩は一般式[II]で表されるものがこのましい。
【化4】

【0021】
(式中、Rは炭素原子8〜18を有する炭化水素基、Meはアルカリ金属、アルカリ土類金属あるいはアルミニウム、nは1−3の整数である。)
式(II)においてMeで表されるアルカリ金属としてはナトリウム、カリウム、リチウム、ルビジュウム、セシウムなどを例示することができ、アルカリ土類金属としては、マグネシウム、カルシウム、バリウムなどを例示することができる。
【0022】
具体的には、カプリル酸、ラウリル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸などの飽和脂肪族カルボン酸又は不飽和脂肪族カルボン酸、アジピン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸、アビエチン酸などロジン由来の樹脂酸など脂環族カルボン酸、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、トリメリト酸などの芳香族カルボン酸などのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アルミニウム塩が挙げられる。ゴムに対する分散性が優れたステアリン酸とアビエチン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アルミニウム塩がより好ましい。
【0023】
本発明で用いられる(d)カルボン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アルミニウム塩においては、カルボン酸のアルカリ金属塩が好ましく、カルボン酸のナトリウム塩とカルボン酸のカリウム塩がより好ましい。
【0024】
本発明に用いられる一般式[II]で表されるカルボン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アルミニウム塩は、ジエン系ゴム100重量部に対して、0.3〜6重量部であり、好ましくは0.5〜4重量部である。0.3重量部未満では、コンパウンドの粘度低下が充分ではなく、6重量部を越えると、圧縮永久歪み性などの特性が悪化する。
【0025】
本発明に用いられる架橋剤としては、硫黄、パーオキサイド等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
【0026】
本発明のゴム組成物は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、上記の他に、通常ゴム工業で用いられる配合剤を使用できる。例えば、加硫促進剤、加工助剤、老化防止剤、充填剤、補強剤、軟化剤、可塑剤等を使用できる。
【0027】
つぎに、本発明のシリカ配合組成物の製造方法について説明をする。
【0028】
(a)ジエン系ゴム100重量部に対して、
(b)シリカを10〜120重量部、
(c)シランカップリング剤を1〜18重量部、
(d)カルボン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アルミニウム塩から選択される少なくとも1種を0.3〜6重量部を含有する混合物を、好ましくは100〜160℃、より好ましくは120〜150℃で混練する。混練時間は特に制限はないが、例えば1分〜1時間である。
【0029】
本発明の架橋用ゴム組成物の製造方法では、前述のシリカ配合組成物に架橋剤を加え、100℃以下で混練することが好ましい。
【0030】
本発明のゴム組成物の混練は、通常ゴム工業にて使用されるロール、加圧ニーダー、インターミキサー、バンバリーミキサーなどの各種混合機械を用いて行うことが可能であり、これらはタイヤのトレッド、防振ゴム、靴底などの動的に使用されるゴム部品の製造に好適である。
【0031】
このように調製された架橋用ゴム組成物は押出成形機、カレンダーロール、またはプレスにより所望の形状に成形し、好ましくは140〜200℃で、1分〜3時間加熱して架橋物を得る。また、架橋の際には金型を用いても良い。
【実施例】
【0032】
以下、本発明を実施例および比較例により具体的に説明する。但し、本発明はその要旨を逸脱しない限り以下の実施例に限定されるものではない。
【0033】
ゴム組成物の製造
表1の配合(I)に示される配合物を40〜50℃の12インチロールにて各重量部の30倍(ゴム分として3kg)を30分間で混練し、マスターバッチを作成した。このマスターバッチを各重量部合計の3倍量(ゴム分として300g)となる重量(546g)に分割し、各分割物に40〜50℃の7インチロールにて表1の配合(II)に示されるカルボン酸金属塩成分を表中の重量部の3倍量添加した。次いで145℃の8インチ電熱ロールにて4分間混練後、表1の配合(III)に示されるカップリング剤を表中の重量部の3倍量添加し、更に6分間混練を続け、その直後、水冷した6インチロールに混練物を移し、表1の配合(IV)に示される架橋剤成分を表中の重量部の3倍量添加して、混合物を10分間混練し、次いでこれから約2mmの厚みのシートを得た。これを160℃で20分間あるいは30分間、熱プレス架橋し、各種試験用サンプルを得た。表2に示される配合についても表1と同様の操作を行い各種試験用サンプルを得た。
【0034】
以下に実施例及び比較例で用いた配合剤を示す。
【0035】
1 JSR社製 「SL552」
2 JSR社製 「BR01」
3 東ソーシリカ社製 「ニプシルVN3」
4 日本サンオイル社製 サーコライトオイル
5 花王社製 半硬化牛脂・脂肪酸ナトリウム 「NSソープ」
6 花王社製 半硬化牛脂・脂肪酸カリウム 「KSソープ」
7 荒川化学製 「ロンヂスK-80」
8 ダイソー社製 「カブラス4」
9 ダイソー社製 「カブラス2A」
10 大内新興社製 ジフェニルグアニジン
11 大内新興社製 N−シクロヘキシル−2−ベンジルスルフェンアミド
12 キングインダストリ社製 ジノニルナフタレンスルホン酸ナトリウム・
ミネラルオイル各50%品
【表1】

【表2】

【0036】
加工性試験
JSR社製キュラストメータIII型を用いて、160℃における混練当日及び混練翌日の組成物の最低粘度を測定した。尚、シリカとカップリング剤の反応は混練後、コンパウンド放置状態でも進むので、加工性の評価は混練直後の最低粘度が適用される。最低粘度が低ければ、加工性が優れていることを示す。
【0037】
引張試験
得られた加硫シートから3号形ダンベル試験片を打ち抜き、ORIENTEC製TENSILON RTA-500を用いて、JIS K6301に準拠して行った。
【0038】
圧縮永久歪み試験
JIS K6301に準拠して、70℃で72時間、圧縮永久歪試験を行った。
【0039】
粘弾性特性試験
加硫シートから幅4×長さ40×厚み2mmの試験片を打ち抜き、セイコーインスツル株式会社製DMS6100にて、初期荷重1000mN、引張歪10μm、10Hzの加振条件下で測定した。なお測定温度範囲は−20℃〜80℃とし、2℃/分の速度で昇温した。
【0040】
反応性評価
シリカとシランカップリング剤の反応性については、混練当日測定の160℃の最低粘度と混練翌日測定の160℃の最低粘度との差、モジュラス300%/モジュラス100%の比、60℃の損失正接tanδ値で評価を行った。
【0041】
混練当日測定の160℃の最低粘度と混練翌日測定の160℃の最低粘度との差においては、混練当日測定の最低粘度より混練翌日測定の最低粘度が低い場合には、さらにカップリング反応が進んでいることを示す。
【0042】
モジュラス300%/モジュラス100%の比は、高ければ高いほど、カップリング反応が進んでいることを示す。
【0043】
またカップリング反応が進むと、60℃の損失正接tanδ値は低くなる。またタイヤの転がり抵抗は60℃の損失正接tanδ値に依存するので、低燃費化の指標にもなる。
【0044】
各試験方法より得られた実施例及び比較例の試験結果を表3、表4に示す。
【表3】

【表4】

【0045】
表3、表4において、混練当日の160℃の最低粘度と翌日の最低粘度を比較すると、実施例1〜13は実施例1〜13は混練当日の160℃の最低粘度は十分低下しており、翌日に最低粘度が低下することは無かった。一方、比較例1は最低粘度が低下することはなかったが、シランカップリング剤を配合していないため、諸物性に劣り、また粘度自体も高いままであった。比較例2〜4は混練によって、シリカとシランカップリング剤の反応が十分ではなかったために、混練当日の160℃の最低粘度に対して翌日の最低粘度が低下した。
【0046】
モジュラス300%/モジュラス100%の比については、シランカップリング剤を添加していない比較例1と比べシランカップリング剤を添加した比較例2においては改善されているが、実施例1〜13は同等からそれ以上のモジュラス比を示しており、シリカとシランカップリング剤の反応がより促進されている事が示唆される。また比較例3、4では、比較例2に比べても小さく、これらの反応が不十分であると言える。
【0047】
60℃のTanδについてもモジュラス比と同様に比較例1、2より実施例1〜13は同等からそれ以下の値を示しており、シリカとカップリング剤の反応がより促進されている事が示唆される。比較例3においてTanδは小さいが、キュラストメーターによる最低粘度が翌日には低下しており、またモジュラス比も小さく、カップリング剤の促進効果は実施例と比較してより小さいものであると言える。比較例4では比較例2よりも値が大きく、また粘度やモジュラス比の点からも効果が不十分である。
【0048】
実施例のカルボン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アルミニウム塩を添加したゴム組成物及び架橋物は、表3、表4の結果によりシリカとシランカップリング剤が十分に反応しているものであるといえる。比較例3、4のカルボン酸(ステアリン酸)の亜鉛塩およびスルホン酸ナトリウムを添加したゴム組成物及び架橋物は、表3、表4の結果によりシリカとカップリング剤の反応を促進する効果が薄いものであると言える。
【0049】
混練当日測定の160℃の最低粘度が混練翌日測定の160℃の最低粘度との差、モジュラス300%/モジュラス100%の比、60℃の損失正接tanδ値の評価により、比較例2〜4は、シリカとカップリング剤の反応が混練直後に十分に反応をしていないので、反応を進めるためには更に混練工程を設けるか、または反応が進むまで、配合物を保管する必要がある。一方、実施例1〜13はシリカとカップリング剤の反応が十分に反応をしているので、これらの工程及び保管する必要が無い。従って、本発明は、工程の簡略化及び生産性の向上において、非常に好ましい。
【産業上の利用の可能性】
【0050】
本発明により、シリカ配合ゴム組成物は充分にカップリング剤効果が発揮できるため、従来の混練方法が簡素化することができる。従って、タイヤのトレッド、防振ゴム、靴底などの動的に使用されるゴム部品の製造には好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ジエン系ゴム100重量部に対して、
(b)シリカを10〜120重量部、
(c)シランカップリング剤を1〜18重量部、
(d)カルボン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アルミニウム塩から選択される少なくとも1種を0.3〜6重量部を含有することを特徴とするシリカ配合ゴム組成物。
【請求項2】
(b)シリカはBET比表面積が20〜250g/mであることを特徴とする請求項1記載のシリカ配合ゴム組成物。
【請求項3】
(c)シランカップリング剤は下記式[I]で表されるポリスルフィド系シランカップリング剤であることを特徴とする請求項1又は2記載のシリカ配合ゴム組成物。
【化1】

(式中、Rは炭素数1〜5の一価の炭化水素基、Rは炭素数1〜9の二価の炭化水素基、xは2〜6、Yは0または1の整数である。)
【請求項4】
(d)カルボン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アルミニウム塩は下記[II]で表されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載のシリカ配合ゴム組成物。
【化2】

(式中、Rは炭素原子8〜18を有する炭化水素基、Meはアルカリ金属、アルカリ土類金属あるいはアルミニウム、nは1〜3の整数である。)
【請求項5】
請求項1〜4記載のシリカ配合ゴム組成物と架橋剤を含む架橋用ゴム組成物
【請求項6】
請求項5記載のシリカ配合ゴム組成物を架橋してなる架橋物
【請求項7】
(a)ジエン系ゴム100重量部に対して、
(b)シリカを10〜120重量部、
(c)シランカップリング剤を1〜18重量部、
(d)カルボン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アルミニウム塩から選択される少なくとも1種を0.3〜6重量部を含有する混合物を、100〜160℃で混練し、得られたシリカ配合ゴム組成物に架橋剤を添加し、100℃以下で混練し、得られたシリカ配合ゴム組成物を140〜200℃で架橋することを特徴とする請求項6記載の架橋物の製造方法。

【公開番号】特開2009−215338(P2009−215338A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−57233(P2008−57233)
【出願日】平成20年3月7日(2008.3.7)
【出願人】(000108993)ダイソー株式会社 (229)
【Fターム(参考)】