説明

シリコン−成形助剤複合粉の製造方法および多結晶シリコン焼結体の製造方法

【課題】 不純物濃度が低く、かつ成形性が良好であるシリコン−成形助剤複合粉の製造方法、およびその複合粉を原料とした多結晶シリコン焼結体の製造方法を提供すること。
【解決手段】 非酸化性ガス雰囲気の第1の炉内にシリコン生成ガスを導入してシリコンを析出する工程、及び第2の炉内に前記析出したシリコンを導入するとともに、成形助剤の蒸気を固化することにより、シリコン粉末と成形助剤の複合粉を生成する工程を具備することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコン−成形助剤複合粉の製造方法および多結晶シリコン焼結体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化、環境破壊、及び石油資源の枯渇などの環境問題が深刻化している。そのため、火力発電や原子力発電などに代わる発電手段として、太陽電池を用いた太陽光発電が注目されている。
【0003】
太陽光発電は、上記環境問題の解決に相応しい特性を有している。しかしながら、この発電手段は、発電コストが高い。それゆえ、太陽光発電は、広く一般的に普及するには到っていない。太陽光発電の発電コストの高さは、主に、太陽電池用のシリコンウエハの製造コストが高いことに起因している。
【0004】
太陽電池用のシリコンウエハとしては、単結晶のシリコンウエハと多結晶のシリコンウエハとが知られている。これらは、一般的に、インゴットからの切り出しにより製造される。具体的には、単結晶のシリコンウエハは、例えば、溶融シリコンからチョクラルスキー法により得られた単結晶シリコンのインゴットを用いて製造される。また、多結晶のシリコンウエハは、例えば、溶融シリコンからキャスト法により得られた多結晶シリコンのインゴットを用いて製造される。そして、これらインゴットは、例えば、ダイヤモンド砥粒を用いたワイヤーソーにより、薄板状に切り出される。
【0005】
しかしながら、これらの方法は、以下の欠点を有している。第1に、溶融シリコンの製造のために、莫大な熱エネルギーが必要である。第2に、インゴットの作製に多大な時間を要する。第3に、インゴットの切削工程において、シリコンの屑が不可避的に発生する。即ち、上記の方法は、エネルギーコスト、生産性、及び製品歩留まりの各面で、不利益を有している。
【0006】
そこで、これら問題点を解消すべく、粉末冶金法による多結晶シリコン焼結体の製造方法が提案されている(例えば、特許文献1もしくは2)。これらの方法によると、エネルギーコスト、生産性、及び製品歩留まりを、ある程度改善することが可能となる。
【0007】
粉末冶金法により焼結体を作製するための該シリコン粉末の平均粒子径は、1μm前後乃至数μm程度である。シリコン粉末の製造方法としては機械粉砕法が挙げられる。しかし機械粉砕法では、粉砕工程中で粉砕メディア・容器の摩耗等による機械材のコンタミが発生し、シリコン粉末の純度低減を引き起こす。
【0008】
機械粉砕法は更に、水や溶剤などを分散媒として用いた湿式粉砕法と、空気等の雰囲気中で粉砕する乾式粉砕法とに分別できる。しかし湿式粉砕法では、分散媒および分散媒に含まれる水分などの不純成分とシリコン微粉末表面との接触による酸化被膜の発生等、また乾式粉砕法では、粉砕雰囲気との接触によるシリコン粉末表面の酸化等により、シリコン粉末の純度低減を引き起こす。これらは優れた性能を有する多結晶シリコン焼結体を製造するにあたり、大きな障害となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平08−109012号公報
【特許文献2】国際公開第2004/055909号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、不純物濃度が低く、かつ成形性が良好であるシリコン−成形助剤複合粉の製造方法、およびその複合粉を原料とした多結晶シリコン焼結体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の態様は、非酸化性ガス雰囲気の第1の炉内にシリコン生成ガスを導入してシリコンを析出する工程、及び第2の炉内に前記析出したシリコンを導入するとともに、成形助剤の蒸気を固化することを特徴とするシリコン粉末と成形助剤との複合粉を生成する工程であって、更に前記成形助剤は、シリコンの焼成温度における蒸気圧が10−1atm以上である金属、合金、酸素及び炭素原子を実質的に含有していない金属化合物、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選ばれた1種であることを特徴とする、シリコン−成形助剤複合粉の製造方法を提供する。
【0012】
本発明の第2の態様は、非酸化性ガス雰囲気の炉内に、シリコン生成ガス及び気化した成形助剤蒸気を導入して、シリコンを析出するとともに成形助剤蒸気を固化することにより、シリコン粉末と成形助剤との複合粉を生成する工程であって、更に前記成形助剤は、シリコンの焼成温度における蒸気圧が10−1atm以上である金属、合金、酸素及び炭素原子を実質的に含有していない金属化合物、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選ばれた1種であることを特徴とする、シリコン−成形助剤複合粉の製造方法を提供する。
【0013】
本発明の第3の態様は、気化した成形助剤蒸気で満たした炉内に、シリコン生成ガスを吹き込んでシリコンを析出し、更に冷却して成形助剤蒸気を固化することにより、シリコン粉末と成形助剤との複合粉を生成する方法であって、更に前記成形助剤は、シリコンの焼成温度における蒸気圧が10−1atm以上である金属、合金、酸素及び炭素原子を実質的に含有していない金属化合物、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選ばれた1種であることを特徴とする、シリコン−成形助剤複合粉の製造方法を提供する。
【0014】
これらの本発明の第1乃至第3態様において、前記シリコン生成ガスにプラズマ照射することにより前記シリコンを析出することができる。
【0015】
以上の本発明の第1乃至第3の態様において、前記シリコン生成ガスとして、モノシラン、モノクロロシラン、ジクロロシラン、トリクロロシラン、四塩化ケイ素、ジシラン、トリシラン、及びテトラシランからなる群から選ばれた1種または2種以上を用いることができる。
【0016】
本発明の第4の態様は、以上の本発明の第1乃至第3の態様により得たシリコン−成形助剤複合粉を、所定の形状に成形する工程、及び成形して得た成形体を焼成処理する工程を具備することを特徴とする、多結晶シリコン焼結体の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によると、不純物濃度が低く、かつ成形性が良好であるシリコン−成形助剤複合粉、およびそれを原料とした多結晶シリコン焼結体を製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るシリコン−成形助剤複合粉の製造方法を実施する装置を示す断面図。
【図2】本発明の第2の実施形態に係るシリコン−成形助剤複合粉の製造方法を実施する装置を示す断面図。
【図3】本発明の第3の実施形態に係るシリコン−成形助剤複合粉の製造方法を実施する装置を示す断面図。
【図4】実施例5により製造されたシリコン−成形助剤複合粉の走査型電子顕微鏡(SEM)写真。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の種々の実施形態について詳細に説明する。
【0020】
本発明者らは、シリコン粉末を得る上で避けられない諸問題の解決方法について深く考察し、試行錯誤を繰り返した結果、以下の知見を得るに到った。
【0021】
すなわち、高温減圧下でのシリコン生成ガス、例えばシランガスの熱分解もしくは還元により高純度のシリコン粉末を形成し、このシリコン粉末の存在下で成形助剤蒸気を固化することにより、不純物濃度が低く、かつ成形性が良好なシリコン−成形助剤複合粉を得ることが出来る。また、高純度のシリコン粉末の形成と成形助剤蒸気の固化とを同時に行うことによっても、同様に不純物濃度が低く、かつ成形性が良好なシリコン−成形助剤複合粉を得ることが出来る。
【0022】
本発明は、このような知見に基づきなされたものである。以下、本発明の一態様に係るシリコン−成形助剤複合粉の製造方法について具体的に説明する。
【0023】
本発明の一態様に係るシリコン−成形助剤複合粉の製造方法は、シリコン生成ガスの熱またはプラズマによる分解もしくは還元によりシリコン粉末を作製する第1工程、および成形助剤蒸気を固化することでシリコン粉末と成形助剤粉末の複合粉を得る第2工程を具備することを特徴とする。また、本発明の他の態様に係るシリコン−成形助剤複合粉の製造方法は、シリコン粉末の作製および成形助剤蒸気の固化の2つの工程を同時に行うことを特徴とする。これらのシリコン−成形助剤複合粉の製造方法により作製されたシリコン−成形助剤複合粉は、不純物が少なく、成形性が良好であるという優れた利点を有している。
【0024】
このようなシリコン−成形助剤複合粉の製造方法において、真空炉内に導入するシリコン生成ガスとしては、熱又はプラズマによる分解又は還元によりシリコンを生成し得るものであればどのようなガスでもよいが、モノシラン、モノクロロシラン、ジクロロシラン、トリクロロシラン、四塩化ケイ素、ジシラン、トリシラン等のシランガスを好ましく用いることができる。
【0025】
例えば、シリコン生成ガスとしてモノシランを使用した場合、高温減圧下で熱分解反応が生じ、下記の反応式に従ってシリコンと水素に分解される。
【0026】
SiH(g) → Si(s) + 2H(g)
また、シリコン生成ガスとして四塩化ケイ素を使用した場合、高温減圧下に含まれる水素と還元反応が生じ、下記の反応式に従ってシリコンと塩化水素に分解される。
【0027】
SiCl(g) + 2H(g)→ Si(s) + 4HCl(g)
発生したシリコンは、そのままでは真空炉内の壁面および床面等に堆積し、シリコン薄膜として析出してしまう。そこで、例えばダイヤフラムポンプで引くことにより、真空炉内および真空炉と接続する配管内を常に気流が流れている状態にして、発生したシリコンを気流に乗せて配管を通して搬送することで、真空炉の下流に接続された粉末捕集室内にシリコン粉末として得ることができる。こうして得られたシリコン粉末の純度は5N(99.999%)〜6N(99.9999%)程度と、太陽電池用シリコンウエハに要求されるシリコンの純度を満たすことができる。
【0028】
従来の方法では、得られた高純度シリコン粉末は、成形助剤を添加混合し、この混合物を用いて成形体を作製する。成形助剤として従来では、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリビニルアルコール(PVA)などといった有機バインダを用いる方法が知られている。しかしながら、この方法を採用すると、多結晶シリコン焼結体における酸素及び炭素の残存濃度が高くなる。本発明者らは、これは、有機バインダが多量の酸素および炭素原子を含んでいることに起因していると考えている。
【0029】
成形助剤として、ベントナイト及び水ガラスなどといった無機バインダを用いる方法も知られている。しかしながら、前者には、ケイ酸塩鉱物に由来する酸素が多量に含まれている。後者には、ケイ酸ナトリウムに由来する酸素が多量に含まれている。よって、この方法を採用した場合であっても、多結晶シリコン焼結体における酸素の残存濃度を低減することはできない。
【0030】
そこで、シリコン粉末に添加する成形助剤を種々検討した結果、本発明者らは先に、成形助剤として、シリコンの焼結温度における蒸気圧が10−1atm以上である、金属、合金、酸素及び炭素原子を実質的に含有していない金属化合物、又はこれらの混合物を用いることを提案した。蒸気圧が10−1atm以上である金属、合金、金属化合物、又はこれらの混合物を成形助剤として用いることにより、これらの成形助剤は焼成処理において揮散するため、多結晶シリコン焼結体中には金属成分は残存しないという利点がある。また、金属、合金、酸素及び炭素原子を実質的に含有していない金属化合物、又はこれらの混合物を成形助剤として用いることにより、多結晶シリコン焼結体における酸素及び炭素の残存濃度を大幅に低減できるという利点も得られる。
【0031】
なお、ここで「シリコンの焼結温度」とは、1270℃以上であり且つシリコンの融点(1410℃)未満である特定の温度を意味している。「シリコンの焼結温度」とは、例えば、1360℃である。
【0032】
成形助剤としては、例えば、カドミウム、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、ビスマス、バリウム、サマリウム及び鉛からなる群より選択される金属原子からなる単体を用いることができる。或いは、成形助剤として、金属原子を含有した合金又は金属化合物を用いてもよい。このような合金としては、例えば、CaZn、CaCu、MgPb、及びCaPbが挙げられる。また、このような金属化合物としては、例えば、塩化亜鉛、塩化鉛、塩化銅、硫化銅、及び硫化鉄が挙げられる。
【0033】
従来、シリコン粉末と成形助剤の混合方法としては、水あるいは溶剤を分散媒として用いた湿式混合が挙げられるが、これでは分散媒によるコンタミが懸念される。これを防止するため撹拌機を用いた乾式混合等による機械混合も行われるが、混合ムラ等を引き起こす。更に混合時の雰囲気もしくは使用する成形助剤等が原因で、シリコン粉末表面に酸化及び炭化が進行する。この混合粉から作製した成形体は、焼成処理を行っても成形体に含有する不純物の低減が不完全であり、焼結体内に不純物として酸素および炭素が残存し、多結晶シリコン焼結体の純度が低くなってしまう。
【0034】
そこで、本発明者らは、シリコン粉末と成形助剤とで混合物を作製する工程で生じる酸化及び炭化を防止するため、シリコン粉末に成形助剤を添加混合する従来の方法とは異なり、シリコン生成ガスの熱又はプラズマによる分解もしくは還元によりシリコン粉末を作製するとともに、成形助剤蒸気を固化することで、シリコン粉末と成形助剤の複合粉を直接作製する方法を見出した。これにより従来の混合工程におけるコンタミ発生や酸化、混合ムラ等が起こらず、不純物がほとんど含まれていない複合粉が得られる。
【0035】
なお、以上のように作製したシリコン−成形助剤複合粉を用いて、多結晶シリコン焼結体を製造する方法は、次の通りである。
【0036】
まず、作製したシリコン−成形助剤複合粉は、所望の形状に成形される。従来の機械混合した粉末と比較して、シリコン−成形助剤の混合均一性が高いことから、成形時の割れやひびなどが生じる割合が小さくなり、成形性は良好である。また、成形工程に着目すると、成形助剤粉末が成形時に塑性変形することにより、複合粉の粒子同士が相互に絡み合うため、成形体の強度およびハンドリング特性が高くなることが分かった。
【0037】
その後、成形体は非酸化性ガス雰囲気下、例えば水素ガス中で焼成処理される。焼成温度は1270℃以上シリコンの融点(1410℃)未満とすることが望ましい。焼成温度がこれらの範囲から外れると成形体の焼結が進行しなかったり、融解してしまう場合があるからである。成形助剤粉末はシリコンの焼成温度に到達する前に、もしくはシリコンの焼結中に揮散されるため、成形助剤成分が焼結体内に残存することはない。以上の工程により、より高純度の多結晶シリコン焼結体を作製することができる。
【0038】
以下、図1を参照して、本発明の第1の実施形態に係るシリコン−成形助剤複合粉の製造方法を具体的に説明する。
【0039】
本実施形態で使用する装置は、図1に示すように、真空炉1および真空炉2を配管11で接続し、更に、真空炉2を、配管12により粉末捕集室3と接続することにより構成されている。
【0040】
図1に示す装置において、真空炉1内を非酸化性ガスで置換した後、減圧し、更に加熱する。真空炉2内に成形助剤源、例えば金属塊22を収容し、あらかじめ非酸化性ガスで置換し、場合によっては減圧する。この状態でシリコン生成ガス、例えばシランガス21を真空炉1内に吹き込むことで、シランガス21を熱分解もしくは還元し、粉末状のシリコンとして析出させる。析出したシリコン粉末は気流によって配管11を通り、真空炉2に運ばれる。
【0041】
真空炉2では、底面を加熱することにより、金属塊22を揮散させて成形助剤蒸気にする。揮散した成形助剤蒸気は真空炉1から運ばれてきたシリコン粉末粒子表面に付着し、その後冷却されることで、シリコン粉末粒子表面が金属によりコーティングされた状態になる。なお、シリコン粉末粒子表面が完全に金属でコーティングされている必要はなく、一部がコーティングされていたり、金属粒子としてシリコン粉末粒子に付着もしくはシリコン粉末から遊離して存在している状態でも構わない。このような粒子表面が金属によりコーティングされたシリコン粉末、粒子表面に金属粉末が付着したシリコン粉末、及び遊離した金属粉末を含めて、シリコン−成形助剤複合粉を構成する。
【0042】
このシリコン−成形助剤複合粉は、気流によって配管12を通り、シリコン−成形助剤複合粉23として粉末捕集室3内に捕集される。
【0043】
本実施形態において真空炉内の雰囲気は、非酸化性ガスであることが望ましい。非酸化性ガス中でシランガスの熱分解もしくは還元によるシリコン粉末の作製および成形助剤蒸気の固化を行うことで、得られたシリコン−成形助剤複合粉の表面酸化を防止できる。非酸化性ガスとしては、具体的には水素、アルゴン、一酸化炭素、二酸化炭素、窒素等が挙げられるが、シランガスの還元の点から水素ガスを使用するのが望ましい。特に、シランガスとして水素還元性のトリクロロシラン、四塩化ケイ素などを吹き込む場合には、水素ガスを使用することが望ましい。
【0044】
シランガスが吹き込まれる真空炉1の温度および圧力の条件としては、工業上および生産性の観点から、温度は500℃以上1250℃以下であることが望ましく、圧力は1Pa以上大気圧以下であることが望ましい。温度が500℃よりも低い場合には、シランガスの熱分解もしくは還元が起こりにくく、また1250℃よりも高い場合には、シランガスの熱分解もしくは還元により作製されたシリコン粉末同士が互いに接触した際に焼結し、粒子が肥大化し易くなる。また、圧力が1Pa未満であると、作製されたシリコン粉末の粒径が小さすぎて粒子の表面活性が強くなり、酸化および炭化が進行しやすくなる。なお、真空炉2の温度および圧力は、成形助剤として使用する金属の蒸気圧曲線にて気体になる条件に当てはめて設定する。
【0045】
次に、図2を参照して、本発明の第2の実施形態に係るシリコン−成形助剤複合粉の作製造方法を具体的に説明する。
【0046】
本実施形態に使用する装置は、図2に示すように、真空炉4、粉末捕集室5およびそれらを接続する配管13から構成されている。
【0047】
真空炉4内を非酸化性ガスで置換した後、減圧し、更に加熱する。また、成形助剤例えば金属を別の真空炉(図示せず)内に収容して加熱し、あらかじめ気化させておき、金属蒸気32として真空炉4内に導入する。この場合、シリコン生成ガス、例えばシランガス31と金属蒸気32を真空炉4内に同時に吹き込むと、真空炉4内ではシランガス31は熱分解もしくは還元により粉末状のシリコンとして析出される。一方、金属蒸気32は金属の凝固点によって、真空炉4内で粉末状に固化する場合と、真空炉4内では気化したままの場合に分かれる。
【0048】
真空炉4内のシリコン粉末、および金属蒸気あるいは金属粉末は、気流によって配管13を通って粉末捕集室5に運ばれる。金属蒸気は配管13を通過する間に冷却され、粉末状に固化する。これら粉末が粉末捕集室5においてシリコン−成形助剤複合粉33として捕集される。このシリコン−成形助剤複合粉33が、粒子表面が金属によりコーティングされたシリコン粉末、粒子表面に金属粉末が付着したシリコン粉末、及び遊離した金属粉末を含み得ることは、第1の実施形態と同様である。
【0049】
本実施形態に係る真空炉4の温度および圧力の条件としては、工業上および生産性の観点から、上述した本発明の第1の実施形態における条件と同様の理由で、温度は500℃以上1250℃以下であることが望ましく、圧力は1Pa以上大気圧以下であることが望ましい。
【0050】
真空炉4においては、炉全体を均一に加熱するのではなく、炉の下部のみを加熱し、かつ上部は冷却するといった温度分布を持たせても構わない。この場合、シランガス31は、真空炉4の底面で熱分解もしくは還元されてシリコン粉末として析出し、また、金属蒸気32は、真空炉4の上部の低温部で固化されて金属粉末となる。これら粉末が真空炉4内の温度分布から生じる対流によって混合され、配管13を通過する過程で冷却され、粉末捕集室5においてシリコン−成形助剤複合粉33として捕集されるのである。
【0051】
次に、本発明の第3の実施形態にかかる複合粉の製造方法について、図3を参照して具体的に説明する。
【0052】
本実施形態において使用する装置は、図3に示すように、真空炉6、粉末捕集室7およびそれらを接続する配管14から構成されている。
【0053】
真空炉6にはあらかじめ成形助剤源例えば金属塊42を収容し、非酸化性ガスで置換し、減圧する。次いで、真空炉6の下部を加熱し、金属蒸気を発生させる。この時、真空炉6の上部はできるだけ冷却させた方が望ましい。その後、真空炉6内にシリコン生成ガス例えばシランガス41を吹き込むと、真空炉6の下部の加熱部においてシランガスの熱分解もしくは還元が生じ、シリコン粉末が発生する。
【0054】
一方、真空炉6の下部から発生した金属蒸気は真空炉6の上部で冷却されて金属粉末として析出されるか、もしくはシリコン粉末の表面に付着する。これらの粉末は気流によって配管14を通り、粉末捕集室7内にシリコン−成形助剤複合粉43として捕集される。このシリコン−成形助剤複合粉43が、粒子表面が金属によりコーティングされたシリコン粉末、粒子表面に金属粉末が付着したシリコン粉末、及び遊離した金属粉末を含み得ることは、第1の実施形態と同様である。
【0055】
本発明の第4の実施形態にかかる複合粉の製造方法では、上述した第1乃至第3の実施形態において、真空炉1、真空炉4、もしくは真空炉6内にシランガスを吹き込む際、真空炉1、真空炉4、もしくは真空炉6内にプラズマを照射することで、シランガスを分解することを特徴とする。このように、プラズマ照射することにより、第1乃至第3の実施形態におけるよりも低温で、より多量のシリコン粉末を、短時間で作製することができるので、製造効率が良好である。
【0056】
本実施形態における真空炉1および真空炉4の温度および圧力の条件としては、温度は室温以上1250℃以下であることが望ましく、圧力は1Pa以上大気圧以下であることが望ましい。熱分解では不可能であった500℃未満でも、プラズマ照射によりシランガスを分解もしくは還元することができるので、真空炉1および真空炉4内の温度を低温に設定しても構わない。また本実施形態における真空炉6の温度および圧力の条件としては、成形助剤として使用する金属の蒸気圧曲線にて気体になる条件に当てはめて設定する。
【0057】
以上説明した本発明の第1〜第4の実施形態によると、シリコン粉末と成形助剤との混合工程を経ることなく、高温減圧下でのシリコン生成ガスの熱又はプラズマによる分解もしくは還元により高純度のシリコン粉末を得る第1工程と、成形助剤(金属)蒸気の固化によるシリコン−成形助剤複合粉を得る第2工程により、もしくは上記2つの工程を同時に行うことにより、直接、シリコン−成形助剤複合粉が得られることから、混合工程によるシリコン粉末の酸化および炭化はほとんど起こらない。
【実施例】
【0058】
次に、本発明の実施形態に係る実施例を示し、本発明について具体的に説明する。
【0059】
(第1の実施形態:実施例1及び2)
<シリコン−成形助剤複合粉の作製>
図1に示す装置において、真空炉1内を水素で置換した後、100Paに減圧し、更に1000℃まで加熱した。一方、真空炉1と配管11で接続されている真空炉2には、成形助剤として金属亜鉛を収容し、アルゴンガスで置換した後、炉の下部を加熱し、亜鉛の蒸気をつくりだした。
【0060】
実施例1のシリコン生成ガスとしてモノシラン(SiH)を用意した。減圧下で加熱してある真空炉1内にモノシランガスを吹き込み、真空炉1内にシリコン粉末を析出させた。このシリコン粉末は気流によって配管11を通って真空炉2に運ばれると、その中に存在する亜鉛蒸気がシリコン粉末表面に付着した。これが気流によって運ばれ、配管12を通過する過程で冷却されることで、シリコン粉末表面に亜鉛が薄くコーティングされたシリコン−亜鉛複合粉として、粉末捕集室3内で捕集された。
【0061】
実施例2のシリコン生成ガスとして四塩化ケイ素(SiCl)を用意し、実施例1と同様の操作によりシリコン−亜鉛複合粉を得た。なお、四塩化ケイ素は真空炉1内で水素還元されることで粉末状のシリコンとなった。
【0062】
(比較例1)
比較例1としてシリコン−亜鉛混合粉を以下のように作製した。
【0063】
水素置換した後、100Paまで減圧し、1000℃まで加熱した真空炉内にモノシランガスを吹き込んで熱分解することで作製したシリコン粉末に、別工程で作製した亜鉛粉末(平均粒径0.5μm)を10体積%添加し、機械混合することでシリコン−亜鉛混合粉を得た。
【0064】
<成形・焼成処理>
実施例1、2で得たシリコン−亜鉛複合粉および比較例1で得たシリコン−亜鉛混合粉の平均粒径を、粒度分布測定装置(LA−920:堀場製作所)を用い、レーザー回折散乱方式にて求めた。
【0065】
それぞれのシリコン−亜鉛複合粉又は混合粉を成形圧1トン/cmで加圧成形し、50mmφ×厚さ0.5mmの3種のプレス成形体を得た。これらの成形性の評価を外観の目視確認にて行い、50枚同一形状の成形体を成形して大きなクラックが無く、きれいな成形体である割合を、成形歩留りとして評価した。
【0066】
3種の成形体を真空管状炉で1L/minの水素ガスフロー、熱処理温度1360度で3時間焼成処理し、多結晶シリコン焼結体を得た。
【0067】
これらの多結晶シリコン焼結体の残存成分を測定した。酸素濃度は不活性ガス融解赤外線吸収法による酸素分析装置(LECO TC−436)で測定した。炭素濃度は高周波誘導加熱炉方式による炭素分析装置(堀場製作所 EMIA−520)で測定した。また残存成形助剤成分である亜鉛の濃度は二次イオン質量分析計(SIMS)で測定した。
【0068】
更に、これらの多結晶シリコン焼結体の焼結密度については、浮力法(JIS A1225に準拠)により密度を測定し、これをシリコンの理論密度2.33g/cmで割った相対密度として求めた。
【0069】
以上の結果を下記表1に示す。
【表1】

【0070】
上記表1から、成形助剤としての亜鉛粉末がシリコン粉末とともに含まれているため、比較例1、実施例1、2ともに成形によるクラック等はほとんど生じず、高い成形歩留りで成形することができたことがわかる。また、実施例1、2におけるシリコン粉末の表面に亜鉛粉末をコーティングしたシリコン−亜鉛複合粉は、比較例1の機械混合により得たシリコン−亜鉛混合粉よりも成形歩留りが格段に向上した。
【0071】
更に、比較例1では機械混合によるため、粉末表面の酸化および炭化が生じやすいが、実施例1,2ではシリコン生成ガスおよび亜鉛蒸気から直接シリコン−亜鉛複合粉を作製するため、粉末表面の酸化および炭化は抑制され、多結晶シリコン焼結体に残存する酸素および炭素量を低減することが可能となった。なお、実施例1と2とを比較した場合、シランガスの種類による複合粉および多結晶シリコン焼結体の特性に違いはほとんど見られなかった。
【0072】
(第2の実施形態:実施例3〜5)
シリコン−成形助剤複合粉の別の作製方法として、図2に示す装置を用いる、次の方法をとった。
【0073】
あらかじめ別の真空炉(図示せず)に金属亜鉛を収容し、1000℃まで加熱して、亜鉛の蒸気とした。
【0074】
実施例3のシリコン生成ガスとしてモノシラン(SiH)を用意した。真空炉4内を水素置換した後、100Paに減圧し、更に真空炉4を800℃まで加熱した。真空炉4にモノシランガス31と亜鉛蒸気32を同時に吹き込んだ。その結果、真空炉4内でモノシランは熱分解され、粉末状のシリコンとなった。亜鉛蒸気32は真空炉4内では気体のままであり、粉末状のシリコンとともに気流に乗って配管13を通って粉末捕集室5に運ばれた。この時、亜鉛蒸気は冷却されて粉末状に固化するか、もしくはシリコン粉末の表面に付着し、シリコン−亜鉛複合粉として粉末捕集室5内に捕集された。
【0075】
また、実施例4のシリコン生成ガスとして四塩化ケイ素(SiCl)を用意し、実施例1と同様の操作によりシリコン−亜鉛複合粉を作製した。なお、四塩化ケイ素は真空炉4内で水素還元され、粉末状のシリコンとなった。
【0076】
更に、実施例5として、真空炉4を水素置換した後、100Paに減圧し、下部を800℃に加熱し、上部は外壁面を冷却することで温度を200℃以下に保持した真空炉4を用意した。その他は実施例3と同様の操作を実施し、シリコン−亜鉛複合粉を作製した。
【0077】
得られたシリコン−亜鉛複合粉の形状を電子顕微鏡にて拡大観察したところ、図4に示すように、粒径1μm前後のほぼ球状のシリコン粉末およびそれを取り囲むように亜鉛粉末が付着又は遊離した状態で複合していることが確認できた。また、得られたシリコン−亜鉛複合粉中の亜鉛の含有率をX線回折装置の簡易定量にて確認したところ、10vol%であった。
【0078】
以上のように作製した実施例3から5の複合粉を、第1の実施形態と同様に平均粒径を求めた。そしてこの複合粉を第1の実施形態と同様に成形し、成形歩留りを評価した。更に成形体は焼成処理を行い、多結晶シリコン焼結体を得た。これらの多結晶シリコン焼結体について第1の実施形態と同様に残存成分及び焼結密度を求めた。これらの結果を下記表2に示す。
【表2】

【0079】
上記表2から、高純度のシリコン粉末を得る工程と、金属蒸気の固化によるシリコン粉末との複合粉を得る工程を同時に行っても、第1の実施形態と同様に、機械混合と比較して成形歩留りの向上と、多結晶シリコン焼結体内に残存する酸素および炭素の低減が確認できた。
【0080】
(第3の実施の形態:実施例6)
実施例6では、図3に示す装置を用い、以下のようにシリコン−成形助剤複合粉を作製した。
【0081】
真空炉6内にあらかじめ金属亜鉛を入れておき、水素置換した後100Paに減圧し、1000℃の高温に加熱して、金属亜鉛を気化させ、真空炉6内を水素含有の亜鉛蒸気雰囲気とした。
【0082】
シリコン生成ガスとしてモノシラン(SiH)のガスボンベを用意し、亜鉛蒸気雰囲気で満たした真空炉6内にモノシラン41を吹き込み、亜鉛蒸気とモノシランの気体混合を行った。モノシランは真空炉6内で熱分解されてシリコン粉末になった。亜鉛蒸気は真空炉6内では気体のままであるが、シリコン粉末とともに気流によって配管14を通る際に冷却され、シリコン−亜鉛複合粉として、粉末捕集室7で回収された。
【0083】
以上のように作製した実施例6の複合粉を、第1の実施形態と同様に平均粒径を求めた。そしてこの複合粉を第1の実施形態と同様に成形し、成形歩留りを評価した。更に成形体は焼成処理を行い、多結晶シリコン焼結体を得た。この多結晶シリコン焼結体について第1の実施形態と同様に残存成分及び焼結密度を求めた。この結果を下記表3に示す。
【表3】

【0084】
上記表3から、第2の実施形態で示した、真空炉内にシランガスと金属蒸気を同時に吹き込む方法と異なり、金属蒸気で満たした真空炉内にシランガスを吹き込み、その後冷却する方法によっても、シランガスの減圧高温下における金属蒸気内での分解と、金属蒸気の固化により、複合粉を作製することが可能であることがわかる。また、実施例6の方法で作製した複合粉を使用した成形体および多結晶シリコン焼結体は、第1および第2の実施の形態とほぼ同じ特性を持つことが確認できた。
【0085】
(第4の実施の形態:実施例7〜9)
実施例7から8では、それぞれ図1、図2に示す装置を用い、真空炉1もしくは真空炉4を水素置換した後、100Paまで減圧した。ただし、炉内の加熱は200℃と低温に設定した。
【0086】
実施例7では、真空炉1内にシリコン生成ガスとしてモノシラン(SiH)を吹き込む際に、真空炉1内でプラズマ照射を行うことでシリコン粉末を析出させた。その後は実施例1と同様の操作にてシリコン−亜鉛複合粉を作製した。
【0087】
実施例8では、図2に示す装置を用い、真空炉4内にシリコン生成ガスとしてモノシラン(SiH)を吹き込む際に、真空炉4内でプラズマ照射を行うことでシリコン粉末を析出させた。その後は実施例3と同様の操作にてシリコン−亜鉛複合粉を作製した。
【0088】
更に、実施例9では、図3に示す装置を用い、真空炉6内にあらかじめ金属亜鉛を入れておき、水素置換した後100Paに減圧し、1000度の高温に加熱して、金属亜鉛を気化させ、真空炉6内を水素含有の亜鉛蒸気雰囲気とした。真空炉6内にシリコン生成ガスとしてモノシラン(SiH)を吹き込む際に、真空炉6内でプラズマ照射を行うことでシリコン粉末を析出させた。その後は実施例6と同様の操作にてシリコン−亜鉛複合粉を作製した。
【0089】
このように作製した実施例7乃至9の複合粉を用い、第1の実施形態と同様に平均粒径を求めた。そしてこの複合粉を第1の実施形態と同様に成形し、成形歩留りを評価した。更に成形体は焼成処理を行い、多結晶シリコン焼結体を得た。この多結晶シリコン焼結体について第1の実施形態と同様に残存成分及び焼結密度を求めた。これらの結果を下記表4に示す。
【表4】

【0090】
上記表4から、真空炉内にシランガスを吹き込む際にプラズマ照射を行うことで、真空炉内の温度がシランガスの熱分解ができないような低温でもシランガスの分解もしくは還元が起こり、シリコン粉末を作製することができることがわかる。よって実施例7乃至9の手法にてより低エネルギーでシリコン−成形助剤複合粉を作製することができた。なお、実施例7乃至9の手法によると、第1乃至3の実施形態で示したものと比較して作製できる複合粉の量は多く、生産効率の向上が期待できる。
【0091】
(第5の実施の形態:実施例10、11)
図1に示す装置を用い、真空炉1内を水素置換した後、100Paに減圧し、更に1000℃まで加熱した。また、真空炉2では金属塊を入れてアルゴンガスで置換した後、炉の下部を加熱し、金属蒸気を生成した。金属塊を蒸気にするため真空炉2内の圧力は、実施例9のカルシウムでは100Pa、実施例10のPbClでは大気圧と設定した。なお、比較例2として、成形助剤をマンガンとし、真空炉2内の圧力を10Paと設定した。その他は第1の実施形態と同様の操作により、シリコン−成形助剤複合粉を粉末捕集室3内に捕集した。
【0092】
以上のように作製した実施例10、11および比較例2の複合粉を第1の実施形態と同様に平均粒径を求めた。そしてこの複合粉を第1の実施形態と同様に成形し、成形歩留りを評価した。更に成形体は焼成処理を行い、多結晶シリコン焼結体を得た。これらの多結晶シリコン焼結体について第1の実施形態と同様に残存成分及び焼結密度を求めた。これらの結果を下記表5に示す。
【表5】

【0093】
*1 焼成温度1360℃での蒸気圧
*2 1atm以上(沸点超)
*3 金属成分が混在しているため、相対密度として測定できず
上記表5から、焼成温度での蒸気圧が10−1atm以上である成形助剤を用いた実施例10および11では、実施例1と同様に焼成温度にて金属又は金属化合物成分を揮散させることができるため、高純度の多結晶シリコン焼結体を得ることができ、各特性は第1乃至第4の実施の形態と遜色ないものであることがわかる。しかし、比較例2では成形助剤としてのマンガンの焼成温度での蒸気圧が低く、焼成処理にて金属成分の揮散が進行しないため、出来上がった多結晶シリコン焼結体中に金属成分が残存した。そのため、高純度の多結晶シリコン焼結体を作製することができなかった。
【符号の説明】
【0094】
1,2,4,6…真空炉、
3,5,7…粉末捕集室、
11,12,13,14…配管
21,31,41…シランガス、
22,42…金属塊、
32…金属蒸気、
23,33,43…シリコン−成形助剤複合粉。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非酸化性ガス雰囲気の第1の炉内にシリコン生成ガスを導入してシリコンを析出する工程、及び第2の炉内に前記析出したシリコンを導入するとともに、成形助剤の蒸気を固化することを特徴とするシリコン粉末と成形助剤との複合粉を生成する工程であって、
更に前記成形助剤は、シリコンの焼成温度における蒸気圧が10−1atm以上である金属、合金、酸素及び炭素原子を実質的に含有していない金属化合物、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選ばれた1種であることを特徴とする、シリコン−成形助剤複合粉の製造方法。
【請求項2】
非酸化性ガス雰囲気の炉内に、シリコン生成ガス及び気化した成形助剤蒸気を導入して、シリコンを析出するとともに成形助剤蒸気を固化することにより、シリコン粉末と成形助剤との複合粉を生成する工程であって、
更に前記成形助剤は、シリコンの焼成温度における蒸気圧が10−1atm以上である金属、合金、酸素及び炭素原子を実質的に含有していない金属化合物、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選ばれた1種であることを特徴とする、シリコン−成形助剤複合粉の製造方法。
【請求項3】
気化した成形助剤蒸気で満たした炉内に、シリコン生成ガスを吹き込んでシリコンを析出し、更に冷却して成形助剤蒸気を固化することにより、シリコン粉末と成形助剤との複合粉を生成する方法であって、
更に前記成形助剤は、シリコンの焼成温度における蒸気圧が10−1atm以上である金属、合金、酸素及び炭素原子を実質的に含有していない金属化合物、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選ばれた1種であることを特徴とする、シリコン−成形助剤複合粉の製造方法。
【請求項4】
前記シリコン生成ガスにプラズマ照射することにより前記シリコンを析出することを特徴とする請求項1乃至3に記載のシリコン−成形助剤複合粉の製造方法。
【請求項5】
前記シリコン生成ガスは、モノシラン、モノクロロシラン、ジクロロシラン、トリクロロシラン、四塩化ケイ素、ジシラン、トリシラン、及びテトラシランからなる群から選ばれた1種または2種以上であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のシリコン−成形助剤複合粉の製造方法。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載のシリコン−成形助剤複合粉を、所定の形状に成形する工程、及び成形して得た成形体を焼成処理する工程を具備することを特徴とする多結晶シリコン焼結体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−232869(P2012−232869A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−101923(P2011−101923)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000221786)東邦亜鉛株式会社 (14)
【Fターム(参考)】