説明

シリコーンエマルジョン

【課題】
毛髪用化粧品原料として、高粘度のポリオルガノシロキサンをノニオン性の界面活性剤を用いて乳化し、安定な水性エマルジョンを提供する。
【解決手段】
(A)25℃の粘度が1×10〜5.0×10mPa・sであるポリオルガノシロキサン 1〜90重量%、(B)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及び/またはポリオキシエチレンヒマシ油であって、エチレンオキシド付加モル数が150〜300である界面活性剤 0.1〜20重量%、(C)水 5〜98.9重量%、からなる水性エマルジョン組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般化粧品原料、特に毛髪化粧料の原料として使用されるポリオルガノシロキサン水性エマルジョン組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリオルガノシロキサン、いわゆるシリコーンは、滑らかな感触、櫛通り性等を付与することを目的に毛髪用化粧料の原料として使用されており、毛髪への付着性、効果の持続性の観点から、高粘度であることが好ましいとされる。ポリオルガノシロキサンを、シャンプーやコンデイショナー、リンスのような毛髪化粧料に使用する場合には、これを水中油型の水性エマルジョンとしてから、化粧料組成物に配合使用することが一般に行われている。これは、予め、ポリオルガノシロキサンを特定の粒子径を有するエマルジョンとすることで、ポリオルガノシロキサンの特性を発揮することができ、化粧料組成物の製造も容易となるためである。
【0003】
このようなエマルジョンの粒子径については各種の提案がされている。例えば、特許文献1では、平均粒子径が、0.2μ以下のポリオルガノシロキサン水性エマルジョンの処方が示されているが、このようなエマルジョンは安定性に優れるものの、平均粒子径が、0.2μ以下では、エマルジョンが洗い流されやすいため、ポリオルガノシロキサンの毛髪への付着性が劣るという問題がある。
【0004】
一方、特許文献2では、エマルジョンの平均粒子径が2μ以上では、シャンプーなどに配合した場合に起泡性が低下するとして、平均粒子径が2μ以下のエマルジョンをシャンプーに配合する提案がされている。しかしながら、平均粒子径で0.3μを超えるようなエマルジョンの貯蔵安定性は必ずしも十分なものではなかった。
【0005】
特許文献3では、毛髪への付着性と起泡性の改良を目的に、起泡性に優れるアニオン性界面活性剤を使用し、平均粒子径が3〜100μmという比較的大きな粒子径を有するオルガノポリシロキサンの水性エマルジョン組成物が提案されており、特許文献4及び5では、カチオン性界面活性剤を使用し、大粒子径を有しながら安定性良好なオルガノポリシロキサン水性エマルジョン組成物が提案されている。しかし、これらのイオン性を有する界面活性剤を用いるエマルジョンは、毛髪用の組成物に配合する場合に、同一のイオン性を有する処方に用途が限られるという問題があった。
【0006】
【特許文献1】特開平5−163122号公報
【特許文献2】特開平4−036226号公報
【特許文献3】特開平7−188557号公報
【特許文献4】特開平9−316331号公報
【特許文献5】特開平11−148010号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような事情に鑑み、本発明の課題は、高粘度のポリオルガノシロキサンをノニオン性の界面活性剤を用いて乳化した水性エマルジョンであって、シャンプーやコンデイショナー、リンス等の毛髪用化粧品原料に配合して、滑らかな感触、櫛通り性等を付与するに適当なエマルジョン粒子径を有し、安定なポリオルガノシロキサンの水性エマルジョン組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、従来技術の欠点、問題点を解決するため鋭意検討した結果、特定の粘度範囲のオルガノポリシロキサンを特定のエチレンオキシド付加モル数のポリオキシエチレンヒマシ油、もしくはポリオキシエチレン硬化ヒマシ油によって乳化することにより、平均粒子径が0.3μ以上でありながら、保存安定性に優れたオルガノポリシロキサン水性エマルジョン組成物が得られることを見出し、本発明をなすに至った。
【0009】
即ち、本発明は、
[1](A)構成単位の平均が一般式(1)で表され、25℃の粘度が1×10〜5×10mPa・sであるポリオルガノシロキサン 1〜90重量%
SiO(4−a)/2 …(1)
[式中、Rは炭素数1〜20の置換または非置換の1価の炭化水素基、もしくは水酸基、aは1.8〜2.2]
(B)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及び/またはポリオキシエチレンヒマシ油であって、エチレンオキシド付加モル数が150〜300である界面活性剤 0.1〜20重量%
(C)水 5〜98.9重量%からなる水性エマルジョン組成物。
[2](A)が、(A)の100重量部中で、25℃の粘度が2〜100mPa・sのポリオルガノシロキサンの1種または2種以上5〜95重量部と、25℃の粘度が1×10〜10mPa・sのポリオルガノシロキサン5〜95重量部との混合物である、[1]記載の水性エマルジョン組成物。
[3]一般式(1)のRがメチル基である[1]または[2]に記載の水性エマルジョン。
[4]コールターカウンター法によるエマルジョンの体積平均粒子径が0.3μ以上であることを特徴とする[1]〜[3]に記載の水性エマルジョン組成物。
[5](C)の水が、水溶性の1価アルコールを50重量%以下含む水である[1]〜[4]に記載の水性エマルジョン組成物。
[6][1]〜[5]に記載の毛髪化粧料用水性エマルジョン組成物である。
【発明の効果】
【0010】
本発明のポリオルガノシロキサンの水性エマルジョンは、使用する界面活性剤がノニオン性であり、毛髪化粧料への配合が容易であり、粒子径が0.3μ以上と比較的大きい粒子径であるにかかわらず、貯蔵安定性に優れている。ポリオルガノシロキサンの水性エマルジョンでは、エマルジョンの安定性を保つために、ポリビニルアルコールや、ポリアクリルアミドのような増粘剤を乳化工程中あるいは乳化後に加えることが行われるが、本発明ではこのような増粘剤の添加がなくても安定である。増粘剤等の安定化成分は、エマルジョン粘度の増加により、取り扱いを困難とし、有効成分であるポリオルガノシロキサンの毛髪への付着を阻害するため、好ましくなく、増粘剤なしに安定であることは、本発明の有用な効果の一つである。なお、本発明の水性エマルジョン組成物の粘度は低く、たとえば、エマルジョン組成物中の固形分50%の処方の場合、100mPa・s近辺の低粘度であり、毛髪化粧料の原料として、取り扱い上の利便性がある。また、本発明の水性エマルジョンは水溶性アルコールに対して安定性があり、毛髪用化粧料で一般に広く使用されるエタノールや、プロパノール、イソプロパノールなどのアルコール類の存在下でも、安定性を損なわない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明について具体的に説明する。本発明における(A)成分のオルガノポリシロキサンは、水性エマルジョンの中で、毛髪に対して滑らかな感触、櫛通り性等を付与する成分であって、シロキサンの構成単位の平均は一般式(1)であらわされる。一般式(1)におけるRは、炭素数1〜20の置換または非置換の1価の炭化水素基、もしくは水酸基から選択される。非置換の1価の炭化水素基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基等のアリール基;2−フェニルエチル、2−フェニルプロピル等のアラルキル基をあげることができる。置換の1価の炭化水素基は、前記炭化水素基を官能基で置換したものであり、置換する官能基の例としては、ハロゲン原子、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、脂肪酸エステル基、カルボキシル基、水酸基、アルコキシ基、ポリオキシアルキレン基をあげることができる。これらの中ではメチル基及び/またはフェニル基が好ましく、50モル%以上がメチル基であることが特に好ましい。
【0012】
一般式(1)における、aは、シロキサンのケイ素原子に結合するRの平均数を示すもので、1.8〜2.2である。シロキサンの分子構造は直鎖のみならず、分岐する構造を有していても良いが、好ましくは、直鎖型の構造を有するものである。本発明のオルガノポリシロキサンは、当業者にとって公知の方法で製造することができる。好ましいポリオルガノシロキサン、すなわちシリコーンの具体例として、ジメチルシリコーン、フェニルメチルシリコーン、メチルハイドロジェンシロキサン、アルキルアラルキル変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、アミノ変性ポリエーテル変性シリコーン、アミド変性シリコーン、をあげることができる。
【0013】
本発明における(A)成分の25℃における粘度は、1×10〜5×10mPa・sである。(A)成分の25℃における粘度が、1×10mPa・s以下の場合、オルガノポリシロキサンの毛髪への付着性、感触が十分に得られず、5×10mPa・s以上の場合、乳化が困難となり、安定なエマルジョンが得られない。好ましくは、25℃における粘度が5×10〜5×10mPa・sであり、より好ましくは、1×10〜3×10mPa・sである。
【0014】
本発明の(A)成分は、粘度が前記の範囲にある限り、粘度が異なる2種以上のポリオルガノシロキサンの混合物であってもよい。むしろ、混合物とすることにより、単一の分子量分布を有するポリオルガノシロキサンを用いる場合よりも、高重合度で高粘度のポリオルガノシロキサン成分を多量に含むこととなるために、毛髪に対する付着性が向上し、好ましい。ポリオルガノシロキサンの混合物において、ポリオルガノシロキサンの低粘度成分は、粘度が25℃で2〜100mPa・sの範囲にあり、(A)成分の100重量部中で、5〜95重量部用いられる。高粘度成分の粘度によっては、低粘度成分が2種以上のポリオルガノシロキサンの混合物であってもよい。一方、ポリオルガノシロキサンの高粘度成分は、25℃の粘度が1×10〜10mPa・sの範囲にあり、(A)成分の100重量部中で、5〜95重量部用いられる。これらの混合物からなる(A)成分は、混合物としての粘度が、1×10〜5×10mPa・sの範囲にあるべきことは前記したとおりである。
【0015】
(A)成分が、混合物である場合の低粘度成分のポリオルガノシロキサンは、直鎖状または環状のポリオルガノシロキサンから選択されることが好ましい。環状シリコーンの例としては、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサンがあげられる。
【0016】
(A)成分が、混合物である場合の高粘度成分のポリオルガノシロキサンは、直鎖状または分岐構造を有するポリオルガノシロキサンから選択することが好ましい。また、このような高粘度のポリオルガノシロキサンとして、末端に水酸基を有するポリオルガノシロキサンは、毛髪への付着性の点で好適に使用される。
【0017】
本発明の(B)成分は、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及び/またはポリオキシエチレンヒマシ油であって、(A)成分の乳化で、界面活性剤として機能する成分である。本発明において、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油またはポリオキシエチレンヒマシ油のエチレンオキシド付加モル数は、150〜300であることを要する。エチレンオキシド付加モル数が150未満であると、エマルジョンの安定性の点で好ましくなく、エチレンオキシド付加モル数が300を超えると、粘度上昇のため、乳化分散が十分に行えない。シリコーン類の乳化に用いるノニオン系界面活性剤のHLB値としては、各種のものが提案されているが、実際に好適に使用できるのは、HLBが12〜15程度であるに対して、本発明の(B)成分のHLB値は、17.5〜19であり、このような高HLB値のノニオン界面活性剤がシリコーンの乳化に好適に用いられることは知られていなかった。
【0018】
本発明における(B)成分の含有量は0.1〜20重量%である。0.1重量%未満では乳化が困難であり、20重量%を超えると、水性エマルジョン組成物の粘度が高くなり取り扱い性が悪くなる。より好ましくは3〜10重量%である。
【0019】
本発明における(C)水は、特に限定されないが、イオン交換水を用いることが好ましく、好ましくはpH2〜12、特に好ましくはpH4〜10である。鉱水を用いることは推奨されないが、用いる時は金属不活性化剤等と合わせて用いることが望ましい。好ましい水の添加量は特に限定されないが、水性エマルションとして5〜98.9重量%、好ましくは10〜95重量%、さらに好ましくは50〜90重量%用いられる。
【0020】
本発明のエマルジョン組成物の製造方法は特に限定されないが公知の方法で作製することができ、エマルジョンの製造のために適当な常用の混合機、例えばホモジナイザー、コロイドミル、ホモミキサー、高速ステーターローター攪拌装置等を用いて上記成分を混合、乳化することにより製造することが出来る。乳化は、(A)〜(C)成分すべてを混合、攪拌して水中油型エマルジョンを調製する方法、または、(A)成分と少量の(C)水、及び(B)界面活性剤の全部または一部を攪拌して、油中水型エマルジョンを調製し、更に残部の水を添加して攪拌し、水中油型エマルジョンとする方法のいずれでも採用することができる。いったん、油中水型エマルジョンとしてから、水中油型エマルジョンとする方法が、エマルジョン粒子径の調整が容易である点、及びエマルジョンの安定性の点で好ましい。
【0021】
本発明における(A)、(B)、(C)各成分の比率は1〜90/0.1〜20/5〜98.9(重量比)が好ましい。(A)成分は90重量%を超えると水性エマルジョン組成物が得難くなる。(C)成分は少ないほど有効成分が増えるが、5重量%未満では水中油型の水性エマルジョン組成物を得るのが困難となる。好ましい(A)、(B)、(C)各成分の比率は40〜70/3〜10/20〜57(重量比)である。
【0022】
本発明におけるオルガノポリシロキサン水性エマルジョン組成物の平均粒子径は、体積平均粒子径とし0.3μ以上である。このような粒子径は、コールターカウンター法として当業者に知られる方法で測定することができる。体積平均粒子径が0.3μ未満では、毛髪への付着性が悪くなる。また、水性エマルジョン組成物の粘度が高くなり、取り扱い性も悪くなる。体積平均粒子径が大きくなると毛髪への付着は良好になるが、水性エマルジョン組成物の安定性が悪くなり、最大で10μ程度である。本発明のエマルジョンの体積平均粒子径は、好ましくは0.4〜10μであり、より好ましくは、0.5〜5μである。
【0023】
本発明の水性エマルジョンは、水溶性のアルコール類に対して安定であるという効果を奏する。一般に、水溶性アルコール類は水相/油相への両親媒性の効果を有するために、エマルジョンが水溶性アルコール類を含む場合に、エマルジョン粒子同士の合一が促進され、エマルジョンの安定性が低下することが知られている。このような水溶性のアルコール類は、炭素数1〜3の1価アルコールである。本発明の水性エマルジョンは、これら水溶性アルコール類を添加しても安定であるために、各種の用途に広く用いることができ、特に、水溶性アルコール類を含有する毛髪用化粧料配合物に用いることができる。毛髪用化粧料では、他の配合成分の溶解補助や粘度調整などを目的に、エタノールや、プロパノール、イソプロパノールのような水溶性アルコール類を含有させることが望ましい場合があり、このような配合系でも、本発明の水性エマルジョンを好適に用いることができるのである。
【0024】
本発明の水性エマルジョンは、水溶性アルコール類を添加した系でも安定であること利用して、前記した水溶性の1価アルコールを予め含有する組成物として用いることができる。この場合の水溶性アルコール類の添加量は、(C)成分の水相中の水溶性アルコール含有量として、50重量%以下、好ましくは35重量%以下となるような量である。
【0025】
本発明の水性エマルジョンは、本発明の目的を損なわない範囲で、毛髪用化粧料の配合成分として許容できる他の成分を含んでいて良い。このような他の成分としては、4級アンモニウム含有化合物、フェノキシエタノールのような防腐剤、各種界面活性剤、増粘剤、香料等をあげることができる。
【0026】
本発明の水性エマルジョンは、シリコーンを水性エマルジョンとして配合する毛髪用化粧料に好適に用いられるが、比較的大きな粒子径のエマルジョンでありながら、安定性を有することから各種の用途に用いることができる。このような用途として、ポリッシュ用途、離型用途、繊維用途、消泡剤用途、塗料用途をあげることができる。また、これら各種の用途の配合組成物は必要に応じて、1価の水溶性アルコール類を含有していても良い。
【実施例】
【0027】
以下、本発明の実施例を詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。実施例中の貯蔵安定性試験法、粒子径測定法、並びに粘度測定法は以下のとおりである。また、すべての粘度の数値は、25℃の温度のものである。
【0028】
<貯蔵安定性試験法>
調製したオルガノポリシロキサン水性エマルジョンを50mlガラス瓶に入れ、40℃にて静置し、1ヶ月後にクリーミング、分離、液面へのオイル浮きの有無を目視にて確認した。評価基準は、以下のとおりである。
合格; クリーミング、分離、液面へのオイル浮きなし。
クリーミング;エマルジョンの濃度分布が目視で認められる。
分離;クリーミングが進んで、水相が分離しているが、振れば元のエマルジョンに戻る。
液面へのオイル浮き;エマルジョンが破壊され、オイル分が浮いた状態。
<粒子径の測定法>
エマルジョンの粒子径測定は、コールター LS 230 (ベックマン・コールター社製)を用いて行った。得られる粒子径は、体積平均粒子径である。
<粘度測定法>
温度25℃の条件下、オイル、またはエマルジョンサンプル0.5mlの粘度をコーン・プレート型粘度計 BROOKFIELD DV−II Pro VISCOMETER CPE 52(ブルックフィールド社製)で、測定した。
<アルコール添加系での安定性試験>
調整したオルガノポリシロキサン水性エマルジョン10重量部を、エタノールと水の重量比が25/65または35/55のエタノール水溶液90重量部で希釈し、アルコール添加系組成物を調製した。このアルコール添加系組成物を50mlガラス瓶に入れ、40℃にて静置し、1ヶ月後にクリーミング、分離、液面へのオイル浮きの有無を目視にて確認した。評価基準は、以下のとおりである。
合格; クリーミング、分離、液面へのオイル浮きなし。
クリーミング;エマルジョンの濃度分布が目視で認められる。
分離;クリーミングが進んで、水相が分離しているが、振れば元のエマルジョンに戻る。
液面へのオイル浮き;エマルジョンが破壊され、オイル分が浮いた状態。
【0029】
<実施例1>
粘度3.0×10mPa・sで両末端がジメチルヒドロキシシリル基であるジメチルポリシロキサン6.2重量部と、粘度5.0mPa・sのジメチルポリシロキサン19.4重量部と、粘度10.0mPa・sのジメチルポリシロキサン19.4重量部を混合し、粘度7×10mPa・sに調製したオルガノポリシロキサン混合物45重量部、さらに、エチレンオキシド付加数が200モルであるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油5重量部と、精製水50重量部を、IKA製、ウルトラタラックスT50ベーシック シャフトジェネレーターG45G 3000rpmにて、20分攪拌することにより、実施例1の水性エマルジョンを調製した。調製したエマルジョンの粒子径を上記の粒子径測定法に従い測定し、貯蔵安定性を上記の貯蔵安定性試験法に従い評価した。評価結果を表1に示す。
【0030】
<実施例2>
粘度3.0×10mPa・sのジメチルポリシロキサン22.5重量部と、粘度10mPa・sのジメチルポリシロキサン22.5重量部を混合し、粘度1.7×10mPa・sに調製したオルガノポリシロキサン混合物45重量部、エチレンオキシド付加数が200モルであるポリオキシエチレンヒマシ油5重量部とした以外は、実施例1と同様にして、実施例2の水性エマルジョンを調製した。調製したエマルジョンの粒子径を上記の粒子径測定法に従い測定し、貯蔵安定性を上記の貯蔵安定性試験法に従い評価した。評価結果を表1に示す。
【0031】
<実施例3>
粘度3.0×10mPa・sのジメチルポリシロキサン22.5重量部と、粘度10mPa・sのジメチルポリシロキサン22.5重量部を混合し、粘度1.7×10mPa・sに調製したオルガノポリシロキサン混合物45重量部とした以外は、実施例1と同様にして、実施例3の水性エマルジョンを調製した。調製したエマルジョンの粒子径を上記の粒子径測定法に従い測定し、貯蔵安定性を上記の貯蔵安定性試験法に従い評価した。評価結果を表1に示す。更に、調製したエマルジョンのアルコール添加系での安定性試験を行った。評価結果を表3に示す。
【0032】
<実施例4>
粘度3.0×10mPa・sのジメチルポリシロキサン22.5重量部と、粘度10mPa・sのジメチルポリシロキサン22.5重量部を混合し、粘度1.7×10mPa・sに調製したオルガノポリシロキサン混合物45重量部とし、攪拌機の剪断速度を1/2とした以外は、実施例1と同様にして、実施例4の水性エマルジョンを調製した。調製したエマルジョンの粒子径を上記の粒子径測定法に従い測定し、貯蔵安定性を上記の貯蔵安定性試験法に従い評価した。評価結果を表1に示す。
【0033】
<実施例5>
粘度6.0×10mPa・sのジメチルポリシロキサン33.8重量部と、粘度10mPa・sのジメチルポリシロキサン11.2重量部を混合し、粘度1.7×10mPa・sに調製したオルガノポリシロキサン混合物45重量部とした以外は、実施例1と同様にして、実施例5の水性エマルジョンを調製した。調製したエマルジョンの粒子径を上記の粒子径測定法に従い測定し、貯蔵安定性を上記の貯蔵安定性試験法に従い評価した。評価結果を表1に示す。
【0034】
<実施例6>
オルガノポリシロキサン混合物に代えて、粘度1.0×10mPa・sのジメチルポリシロキサン45重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例6の水性エマルジョンを調製した。調製したエマルジョンの粒子径を上記の粒子径測定法に従い測定し、貯蔵安定性を上記の貯蔵安定性試験法に従い評価した。評価結果を表1に示す。
【0035】
<比較例1>
エチレンオキシド付加数が100モルであるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油5重量部とした以外は、実施例2と同様にして、比較例1の水性エマルジョンを調製した。調製したエマルジョンの粒子径を上記の粒子径測定法に従い測定し、貯蔵安定性を上記の貯蔵安定性試験法に従い評価した。評価結果を表2に示す。更に、調製したエマルジョンのアルコール添加系での安定性試験を行った。評価結果を表3に示す。
【0036】
<比較例2>
エチレンオキシド付加数が10モルであるポリオキシエチレントリデシルエーテル5重量部とした以外は、実施例2と同様にして、比較例2の水性エマルジョンを調製した。調製したエマルジョンの粒子径を上記の粒子径測定法に従い測定し、貯蔵安定性を上記の貯蔵安定性試験法に従い評価した。評価結果を表2に示す。更に、調製したエマルジョンのアルコール添加系での安定性試験を行った。評価結果を表3に示す。
【0037】
<比較例3>
攪拌機の剪断速度を1/3とした以外は、実施例1と同様にして、比較例3の水性エマルジョンを調製した。調製したエマルジョンの粒子径を上記の粒子径測定法に従い測定し、貯蔵安定性を上記の貯蔵安定性試験法に従い評価した。評価結果を表2に示す。
【0038】
【表1】

【0039】
【表2】

【0040】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明の水性エマルションは、高粘度のポリオルガノシロキサンをノニオン性の界面活性剤を用いて乳化した水性エマルジョンであって、毛髪に滑らかかな感触、櫛通り性等を付与するに適当なエマルジョン粒子径を有し、増粘剤等の安定化剤を用いることなしに安定であって、水溶性アルコールを添加しても安定であり、毛髪用化粧品原料として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)構成単位の平均が一般式(1)で表され、25℃の粘度が1×10〜5×10mPa・sであるポリオルガノシロキサン 1〜90重量%
aSiO(4−a)/2 …(1)
[式中、Rは炭素数1〜20の置換または非置換の1価の炭化水素基、もしくは水酸基、aは1.8〜2.2]
(B)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及び/またはポリオキシエチレンヒマシ油であって、エチレンオキシド付加モル数が150〜300である界面活性剤 0.1〜20重量%
(C)水 5〜98.9重量%からなる水性エマルジョン組成物。
【請求項2】
(A)が、(A)の100重量部中で、25℃の粘度が2〜100mPa・sのポリオルガノシロキサンの1種または2種以上5〜95重量部と、25℃の粘度が1×10〜10mPa・sのポリオルガノシロキサン5〜95重量部との混合物である、請求項1記載の水性エマルジョン組成物。
【請求項3】
一般式(1)のRがメチル基である請求項1または2に記載の水性エマルジョン組成物。
【請求項4】
コールターカウンター法によるエマルジョンの体積平均粒子径が0.3μ以上であることを特徴とする請求項1〜3に記載の水性エマルジョン組成物。
【請求項5】
(C)の水が、水溶性の1価アルコールを50重量%以下含む水である請求項1〜4に記載の水性エマルジョン組成物。
【請求項6】
請求項1〜5に記載の毛髪化粧料用水性エマルジョン組成物。


【公開番号】特開2012−77282(P2012−77282A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−106858(P2011−106858)
【出願日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(500004955)旭化成ワッカーシリコーン株式会社 (17)
【Fターム(参考)】