説明

シリンダ・ピストンアセンブリ駆動用の多路バルブの移動制御器

【課題】油圧回路に配置された従来型の多路バルブに関係して、そのバルブを複数の所定選択位置に、そのバルブをロックできる軸方向制御器を提供する。
【解決手段】シリンダ・ピストンアセンブリ駆動用に使用される多路バルブ(4)の動きを制御する制御器が、切換器(7)と回転切換ノブ(8)とを具備する。該切換器(7)は調整ステム(105)を有し、該調整ステムは、車両運転者により作動される該多路バルブのバルブステム(5)に連結され、該調整ステム(105)は筒体(24)に連結され、該筒体はスプリング(22)により付勢され、該筒体は該回転切換ノブ(8)に作動的に連結されている。該筒体は複数の縦溝(33)と複数の環状溝(25、26、27)を有し、該縦及び環状溝に嵌るボール(28)が設けられ、該ボール(28)は、径方向外側にある別の筒体(29)の環状チャンバ(30)に部分的に収容されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、シリンダ・ピストンアセンブリ駆動用の多路バルブの位置を制御するための制御器に関する。
【背景技術】
【0002】
良く知られているように、ブルトーザ、及び、トラクタ等の農業機械は、液体ピストンを作動する従来型バルブを有し、それは、例えば、トラクタの後部に支持されたブラケット又は作動アセンブリを駆動するように設計されていて、その作動アセンブリは、例えば、掘起機、鋤機、草刈機である。
【0003】
その作動アセンブリを車両の運転台から制御するために、液体ピストンが使用されて、その送給及び戻り管は、駆動又は制御バルブ、例えば4路バルブに連結され、それらのバルブはバルブメーカーにより提供される。
【0004】
車両運転台に、制御レバーが設けられて、それにより、その多方向バルブは適切な位置に移動されて、関係する作動アセンブリを例えば上昇位置に動かし、更にそのレバーは別の位置に動かされて、その作動アセンブリを下降位置にする。そのバルブのある位置では、その作動アセンブリ、遊動するように構成されている。
【0005】
この従来のシステムでは、その動きは運転者の技術に依存していて、運転者は車両の正確な運転だけでなく、非常に高感度・高精度で、その他方向バルブを正確な意図する位置に移動する必要があり、誤操作の惧れがある。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
それ故、本発明の目的は、補助制御器を提供することであり、その制御器は、液圧回路に配置された従来型の多路バルブに関係して、車両運転者によるそのバルブの制御レバーの操作を制限して、その制御レバーの動きを制御して、そのバルブを複数の所定選択位置にロックすることができる。
【0007】
この目的は、シリンダ・ピストンアセンブリ駆動用に使用される多路バルブの動きを制御する制御器により達成され、その制御器は、切換器と回転切換ノブとを具備する。その切換器は制御ステムを有し、その調整ステムは、車両運転者により作動されるその多路バルブのバルブステムに連結され、その調整ステムは筒体に連結され、その筒体はスプリングにより付勢され、その筒体はその回転切換ノブに作動的に連結されている。その筒体は複数の縦溝と複数の環状溝を有し、それら縦及び環状溝に嵌るボールが設けられ、そのボールは、径方向外側にある別の筒体の環状チャンバに部分的に収容されている。
【0008】
この発明の前述の特徴及び更に別の特徴が、実施例において、以下に詳細に開示されていて、その実施例は添付図に図示されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1に示すように、流体圧アセンブリが駆動ピストン1を有し、そのピストンに、液体用に、管2と管3が連結される。管2と管3は多路バルブ4に作動的に連結される。多路バルブ4はバルブステム5を有し、バルブステム5は車両運転台に配置された制御ロッド6により駆動される。制御ロッド6は、その3個の異なった位置が示されている。
【0010】
多路バルブ4のバルブステム5は、切換器7の制御ステム105に作動的に連結され、それは以下に詳細に記載されている。切換器7は回転切換ノブ8を有し、回転切換ノブ8も又以下により詳細に説明されている。
【0011】
駆動ピストン1のチャンバ9は、切換器7の方に延びる別の管10に連結される。その別の管10は圧力計11等の最大運転圧を設定する計器を有する。
【0012】
図2は、斜視図で、切換器7と、回転ノブの形態である回転切換ノブ8とを図示し、そのノブはバルブステム5により決められる正確な位置を示すように設計されている。回転ノブ8は、符号A、B、Cで示す異なった位置に移動され得る。
【0013】
図3は、斜視図で、切換器7とその回転切換ノブ8を示す。切換器7の正面側から、多路バルブ4のボディと連結可能な連結部材108が突出している。更に、調整ステム105の正面部が図示されていて、それは以下により詳細に記載されている。
【0014】
切換器7の正面側には、ポート15と、別のポート16が設けられ、それは以下により詳細に記載されている。ポート15は多路バルブ4からの圧力流体(X)用の入口として機能する。ポート16は、そのバルブ内の圧力流体(Y)用の出口として機能し、圧力計11に連通される。
【0015】
切換器7の内側に、調整ステム105が収容され、その調整ステムの後端部に、弾性リング20を受け入れ、弾性リング20はそこに当接するブラケット21の戻り止又は停止手段として機能する、弾性リング20はスプリング22に当接し、スプリング22はブラケット23に当接し、ブラケット23は円筒体24に当接する。
【0016】
円筒体24は調整ステム105を囲み、ブラケット23を介して、予め圧縮したスプリング22により付勢される。円筒体24は複数の環状溝25、26、27を有し、ボール28と接触し得て、ボール28は径方向外側にある別の円筒体29内に部分的に収容される。円筒体24は、円筒体24は、スプリング22の付勢力に抗して、液圧ポンプの流体圧によりスプリング22を圧縮する方向に動かされる。
【0017】
円筒体29は更に別の円筒体100により囲まれる。その円筒体100は、そのボール28に面する側で、斜面31により区画される環状チャンバ30を有する。
【0018】
円筒体100は予め圧縮されたスプリング32とリング57(図4)とにより、予め付勢される。円筒体100は流体圧により付勢される。その流体は、切換器7に形成されたポート16を介して、このシステムの油圧ポンプに連結された多路バルブ4から直接供給される。
【0019】
較正されたスプリング32により、及び、図5に示す溝に傾斜があるので、ポート15を通って伝達される流体圧が0(零)MPaに降下した時に、全体システムを図6に示す中立位置にスナップ移動し、それは図7〜9に示す調整ステム105の位置とは独立に戻る。
【0020】
図5に明瞭に示すように、円筒体24は、環状溝25、26、27に加えて、複数の縦溝33を有して、円筒体24が軸方向に駆動され得る。
【0021】
図6〜9は、切換器7と回転切換ノブ8の異なった作動位置を示す。図6では、スプリング22が最大に延びた状態を示していて、そのスプリングは、ブラケット23を介して、調整ステム105のボディを押す。この位置で、円筒体24は、縦溝33が設けられているので、自由に動くことができる。
【0022】
図7では、ステム調整ステム105は矢印(f)で示される方向に駆動されて、それによりスプリング22を押して、溝25内にボール28が嵌る。
【0023】
図8では、調整ステム105は矢印(g)に示す方向に駆動されていて、それによりボール28が溝26に入り、弾性リング20がスプリング22と接触している。
【0024】
図9では、調整ステム105は、切換器7から外側に更に移動されていて、ボール28は溝27内に嵌っている。この状態で、スプリング22が最大に圧縮されている。
【0025】
その制御器の作動は、図6〜9から明瞭に理解される。図6では、ボール28は縦溝33内に位置し、従って、バルブシャフト又はステム5は、軸方向の遊動ができ、それにより、調整ステム105が、例えば距離(a)だけ、切換器7から突出可能である。
【0026】
図7では、調整ステム105は切換器7のボディ内に引き込まれていて、ボール28は環状溝25と係合して、バルブステム5をその位置にロックする。
【0027】
図8に示す位置では、ボール28は円筒体24の環状溝26に係合していて、切換器7の調整ステム105は距離(b)だけそのデバイスから突出している。
【0028】
最終的に、図9に示すように、調整ステム105は更に距離(c)だけ切換器7のボディから突出する。
【0029】
調整ステム105の端部は、多路バルブに作動的に連結しているので、図7に示すように、多路バルブ4が必要な位置に正確に移動・調整できるようにする。
【0030】
回転切換ノブ8が位置(A)にある場合、図4に示すように、円筒体24は、部材51が設けられているので、45°の角度を過ぎて、その軸周りに枢動されると、ボール28を側壁50に対して当接させて、調整ステム105が、図7〜9に示す3個の位置の一つにロックされる。
【0031】
図2に示す位置(B)に回転切換ノブ8が位置した場合、円筒体24は、ねじ52により回転切換ノブ8に連結された部材51により、枢軸の周りに45°の角度を過ぎて枢動されると、ボール28を縦溝33に合い、その後、ボール28が環状スロット又は溝(図9)に落ちて、調整ステム105は、その位置に維持される。
【0032】
図2に示す位置(C)に回転切換ノブ8が位置した場合、円筒体24は、45°の角度を過ぎて枢動されると、ボール28が斜面54に当接して、調整ステム105が図7、8、9に示す三個の何れかの位置に保持され得る。
【0033】
ある最大圧がライン10(図1)を介して伝達されると、スプリング56により付勢されたバルブ55が、ポート16(図3)を介して伝達された圧力により軸方向に移動される(図10)。その圧力はチャンバ53(図4)内に開放され(部材51の角度位置により、チャンバ53をチャンバ58に通じる)、円筒体100を左方に移動して、ボール28を円筒体100から開放する。その結果、調整ステム105は、ボール28に拘束されずに、図6に示すその中立位置に戻る。
【0034】
尚、円筒体24は、ポート15から供給される流体の圧力により、スプリング22の付勢力に抗して、図7〜9に示す位置に動かされる。ボール28が縦溝33と心が合った場合に、円筒体24は流体圧力が開放され得て、円筒体24は図6に示す中立位置に戻る。図9に示すように、ボール28は環状溝27に移動できる。何故ならば、円筒体100がロック流体圧から開放されるか、又は、別の縦溝33(非図示)が環状溝26、27間に設けられるからである。図7において、環状溝25の深さは環状溝25内にボール28を停めるように決められる。円筒体24は制御ロッド6又は回転切換ノブ8により回転される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明による、流体圧ピストンとその駆動回路と、切換器7を含む多路バルブ4とを図示している。
【図2】その切換器の斜視図である。
【図3】その切換器の前面側の斜視図である。
【図4】その切換器の部分破断斜視図である。
【図5】その切換器の内部に配置された調整円筒体の斜視図である。
【図6】ある作動位置におけるその切換器の軸方向断面図である。
【図7】別の作動位置におけるその切換器の軸方向断面図である。
【図8】更に別の作動位置におけるその切換器の軸方向断面図である。
【図9】更に別の作動位置におけるその切換器の軸方向断面図である。
【図10】そのバルブ斜視図であり、部分的に断面を示す。
【符号の説明】
【0036】
1 駆動ピストン
2 管
3 管
4 多路バルブ
5 バルブステム
6 制御ロッド
7 切換器
8 回転切換ノブ
9 チャンバ
10 管
11 圧力計
15 ポート
16 ポート
20 弾性リング
21 ブラケット
22 スプリング
23 ブラケット
24 円筒体
25、26、27 環状溝
28 ボール
29 円筒体
30 環状チャンバ
31 斜面
32 スプリング
33 縦溝
50 側壁
51 部材
52 ねじ
53 チャンバ
54 斜面
55 バルブ
56 スプリング
57 リング
58 チャンバ
100 円筒体
105 調整ステム
108 連結部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダ・ピストンアセンブリ駆動用に使用される多路バルブの動きを制御する制御器であって、
該制御器は切換器(7)と回転切換ノブ(8)とを具備し、
該切換器(7)は調整ステム(105)を有し、該調整ステムは、車両運転者(6)により作動されるように構成された該多路バルブ(4)のバルブステム(5)に連結され、該調整ステム(105)は筒体(24)に連結され、該筒体はスプリング(22)により付勢され、該筒体は該回転切換ノブ(8)に作動的に連結され、該筒体は複数の縦溝(33)と複数の環状溝(25、26、27)を有し、該縦溝及び該環状溝に嵌るボール(28)が設けられ、該ボール(28)は、径方向外側に配置された別の筒体(29)の環状チャンバ(30)に部分的に収容された、ことを特徴とする上記制御器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−189154(P2006−189154A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−364367(P2005−364367)
【出願日】平成17年12月19日(2005.12.19)
【出願人】(504438990)
【氏名又は名称原語表記】Faster S.p.A.
【Fターム(参考)】