説明

シンク付きキッチンカウンタ及びシンク

【課題】シンクとカウンタとの境界部近傍において汚れや水垢が発生するのを防止しつつキッチンカウンタの外観品質を向上する。
【解決手段】シンク104は、傾斜した周縁部108から下方に延びるフランジ302を有し、フランジ302の下端は補強材120に当接している。フランジ302の基端と、その上位に位置するカウンタ102との間の隙間には化粧シーリング樹脂130が充填され、化粧シーリング樹脂130の上面130aは傾斜面で構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシンク付きキッチンカウンタ及びシンクに関する。
【背景技術】
【0002】
図5は従来例を示す。図5を参照して、シンク付きキッチンカウンタ1は、人工大理石等からなるカウンタ2のシンク取付用開口部3にシンク4が取り付けられる。カウンタ2のシンク取付用開口部3には、これに隣接してカウンタ2の裏面に木材からなる補強材5が設置されている。シンク4は、その上端に水平フランジ6を有し、この水平フランジ6を下方から支持するL形のシンク固定具7によって水平フランジ6は、カウンタ2の裏面に密着した状態で固定されていた。そして、カウンタ2のシンク取付用開口部3の端面とシンク4との境界はシリコンコーキング剤8によって水密処理が行われていた。図中、参照符号9は、L形のシンク固定具7が補強材5に固定するためのネジを示す。
【0003】
図6は従来の変形例としてのシンク付きキッチンカウンタを示す。図6のシンク付きキッチンカウンタ10は、補強材5に段部11が形成されている。そして、この段部11の下面にシンク4の水平フランジ6を当接した状態でシンク4がL形のシンク固定具7により固定され、水平フランジ6とカウンタ2の裏面との間の隙間には化粧シーリング樹脂12が充填され、この化粧シーリング樹脂12の外部に露出する側面12aは後加工が施されて、カウンタ2のシンク取付用開口部3の傾斜した端面と面一の傾斜面で構成され、これにより化粧シーリング樹脂3の露出した側面12aに水分が付着したまま滞留して汚れや水垢等が生じてしまうのを防止する工夫が施されていた。
【0004】
シンク付きキッチンカウンタに関し、特許文献1には、上記L形のシンク固定具を使った様々なシンク取付構造が開示されている。また、特許文献1には、上述した化粧シーリング樹脂に関する詳しい説明が記載されており、また、シンクを固定するためにウレタン樹脂などのシンク固定用樹脂の説明が記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開2001−241080号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図5に示した従来のシンク付きキッチンカウンタ1では、シンク4の水平フランジ6とキッチンカウンタ2との境界に段差15(図5)が形成されるため、この段差15の部分に汚れや水垢が発生し易いという問題がある。
【0007】
図6に示した従来のシンク付きキッチンカウンタ10は、化粧シーリング樹脂12の側面12aを傾斜面にしたことから、図5のキッチンカウンタ1よりも低減されるものの、化粧シーリング樹脂12の側面12aと水平フランジ6との間の段差16の部分に汚れや水垢が発生するという問題が残っている。
【0008】
また、図6に示した従来のキッチンカウンタ10では、シンク4のフランジ6が平板の水平フランジで構成されているため、水平フランジ6に反りや歪みが生じやすく、そのため化粧シーリング樹脂12が充填される空隙部つまり水平フランジ6とカウンタ2との間の空隙部に寸法誤差が発生し易く、化粧シーリング樹脂12の高さ寸法を一定に維持するのが事実上難しく、このことによりキッチンカウンタ10の外観に関する品質を保つのが難しいという問題がある。また、化粧シーリング樹脂の側面12aに隣接して位置する段差16によってこの側面12aを傾斜面にする加工が厄介であるという問題がある。
【0009】
本発明の目的は、シンクとカウンタとの境界部近傍において汚れや水垢が発生するのを防止しつつキッチンカウンタの外観品質を向上することのできるシンク付きキッチンカウンタ及びシンクを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の技術的課題は、本発明にあっては、
キッチンカウンタとは別体のシンクを前記キッチンカウンタのシンク取付用開口部に設置したシンク付きキッチンカウンタであって、
前記シンクの上端部を外方に折り曲げて形成された周縁部の外端部を下方に折り曲げることにより形成されたフランジを有し、
該フランジの基端と前記キッチンカウンタのシンク取付用開口部の端面との間に隙間を有すると共に、前記フランジの基端と前記キッチンカウンタの上面との間に高低差を有し、
前記キッチンカウンタの上面よりも低位の前記フランジの基端と前記キッチンカウンタのシンク取付用開口部の端面との間の前記隙間に化粧シーリング樹脂が充填され、
該化粧シーリング樹脂の表面が前記キッチンカウンタの上面から前記フランジの基端に向かって斜め下方に傾斜した傾斜面で構成されていることを特徴とするシンク付きキッチンカウンタを提供することにより達成される。
【0011】
すなわち、本発明によれば、化粧シーリング樹脂を充填する隙間を、シンクのフランジの基端という精度を維持し易い部位とシンク取付用開口部の端面との間に形成し、この隙間に化粧シーリング樹脂を充填するようにしたため、化粧シーリングの幅を一定に維持するのが容易である。したがって、シンク付きキッチンカウンタの外観品質を向上することができる。また、化粧シーリング樹脂の表面を傾斜面で構成したため当該化粧シーリング樹脂の表面が汚れたり水垢が発生したりするのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に添付の図面に基づいて本発明の好ましい実施例を説明する。図1はシンク付きキッチンカウンタ100の主要部品であるカウンタ102とシンク104の分解斜視図である。カウンタ102は人工大理石等からなり、シンク104はステンレス鋼板等からなる。カウンタ102には、従来と同様にシンク取付用開口部106が形成され、このシンク取付用開口部106にシンク104が設置される。
【0013】
図2は第1の実施例に関するシンク取付構造を示す。図2を参照して、シンク104は、その上端部を外方に折り曲げて形成された周縁部108を有し、周縁部108は、傾斜部110と、その外方に位置する水平部112とで構成されている。シンク104は、また、水平部112の外端から鉛直方向に直角に下方に屈曲した鉛直フランジ114を有する。
【0014】
カウンタ102のシンク取付用開口部106の周縁部の裏面には、従来と同様に、木材からなる補強材120が配設されており、この補強材120の外側面は、シンク取付用開口部106の端面106aと実質的に面一又は端面106aよりも若干外方に位置するように位置決めされている。補強材120には、シンク固定具122がネジ124によって固定されている。
【0015】
シンク固定具122は、補強材120の外側面の外方に位置する本体126を有し、固定具本体126には、上方に開放した溝126aが形成されており、この溝126aにシンク104の鉛直フランジ114の下端が着座することにより、シンク104がシンク取付用開口部106に位置決めされる。
【0016】
図2から分かるように、シンク104をシンク取付用開口部106に設置した状態では、シンク104の周縁部108の一部を構成する水平部112がカウンタ102の上面102aよりも低位に位置し、カウンタ上面102aとシンク104の水平部112との間に高低差が形成されると共にシンク取付用開口部106の端面106aとシンク104の鉛直フランジ114の基端との間に隙間が形成されており、この隙間に化粧シーリング樹脂130が充填されている。そして、この化粧シーリング樹脂130の露出した上面130aは平らな傾斜面で構成されている。
【0017】
すなわち、カウンタ102の上面102aと、これによりも低位に位置し且つカウンタ102のシンク取付用開口部106の端面106aから離間して位置する鉛直フランジ114の基端との間の隙間に充填された化粧シーリング樹脂130は、その上面130aが、カウンタ102の上面102aから鉛直フランジ114の基端に向けて斜め下方に傾斜した傾斜面で構成されている。
【0018】
図2の参照符号134はシンク固定用樹脂を示し、シンク固定用樹脂134は、補強材120の外側面とシンク104の傾斜面110、水平面112とで囲まれた空間に充填され、シンク固定具122の本体126の大部分がシンク固定用樹脂134に埋没した状態で樹脂134が硬化される。
【0019】
上記の第1の実施例(図2)によれば、化粧シーリング樹脂130の上面130aが傾斜面で構成されているため、化粧シーリング樹脂130の上面130aが汚れにくく、また水垢が発生し難いだけでなく、誤差が発生し難い鉛直フランジ114の基端と、シンク取付用開口部106の端面106aとの間に隙間を作り、この隙間に化粧シーリング樹脂130を充填するようにしたことから、化粧シーリング樹脂130の幅を一定に保つことができる。そして、このことによりシンク付きキッチンカウンタ100の外観品質を向上することができる。
【0020】
図3は第2の実施例に関するシンク付きキッチンカウンタ200を示す。図3を参照して、この第2実施例では、シンク104の周縁部108が傾斜部110で構成され、第1実施例のように水平部112を有していない。そして、この傾斜部110からなる周縁部108の外端部を下方に折り曲げることにより形成された鉛直フランジ114との間の角度θは鋭角である。
【0021】
鉛直フランジ114の基端つまり傾斜した周縁部108の外端と、カウンタ102の上面102aとの間には高低差が形成されると共に、上位に位置するカウンタ102と、鉛直フランジ114の基端との間の隙間に充填された化粧シーリング樹脂130の上面130aは、傾斜した周縁部108の傾斜角度と実質的に同じ傾斜角度で傾斜した傾斜面となるように後加工されている。
【0022】
この第2実施例によれば、化粧シーリング樹脂130からシンク102の周縁部108に亘って連続した傾斜面で構成されるため汚れや水垢の発生を防止することができる。また、化粧シーリング樹脂130の上面130aを傾斜面にするための加工も容易となる。
【0023】
図4は、第3実施例のシンク付きキッチンカウンタ300を示す。この第3実施例のキッチンカウンタ300では、シンク104の周縁部108が第2実施例と同様に傾斜部110で構成されているが、傾斜部110からなる周縁部108の外端部を下方に折り曲げることにより形成されたフランジ302と周縁部108との間の角度θは直角であるが、鈍角であってもよい。このような構成により、シンク周縁部108の外端から下方に延びるフランジ302は斜め外方に向けて延びており、フランジ302の自由端つまり下端は、補強材120の外側面に当接又は隣接して位置している。
【0024】
補強材120には、第1、第2実施例に含まれるシンク固定具122とは異なるシンク固定具310がネジ124によって固定されている。このシンク固定具310は、シンク104の傾斜した周縁部108の上端部及びフランジ302に沿って断面逆V字状のシンク載置部を有し、このシンク載置部は、フランジ302に沿って延びる第1部分310aと、周縁部108に沿って延びる第2部分310bとで構成されている。
【0025】
シンク104の傾斜した周縁部108の外端から直角に折れ曲がって下方に延びるフランジ302の基端と、カウンタ102の上面102aとの間には高低差が形成されると共に、上位に位置するカウンタ102と、フランジ302の基端との間の隙間に充填された化粧シーリング樹脂130の上面130aは、傾斜した周縁部108の傾斜角度と実質的に同じ傾斜角度で傾斜した傾斜面となるように後加工されている。
【0026】
この第3実施例によっても、第2実施例と同様に化粧シーリング樹脂130からシンク102の周縁部108に亘って連続した傾斜面で構成されるため汚れや水垢の発生を防止することができる。また、化粧シーリング樹脂130の上面130aを傾斜面にするための加工も容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】シンク付きキッチンカウンタの概略構成を示す分解斜視図である。
【図2】第1実施例のシンク付きキッチンカウンタのシンク取付構造の断面図である。
【図3】第2実施例のシンク付きキッチンカウンタのシンク取付構造の断面図である。
【図4】第3実施例のシンク付きキッチンカウンタのシンク取付構造の断面図である。
【図5】従来技術にかかるシンク取付構造の断面図である。
【図6】他の従来技術にかかるシンク取付構造の断面図である。
【符号の説明】
【0028】
100 第1実施例のシンク付きキッチンカウンタ
200 第2実施例のシンク付きキッチンカウンタ
300 第3実施例のシンク付きキッチンカウンタ
102 カウンタ
102a カウンタ上面
104 シンク
106 カウンタのシンク取付用開口部
106a シンク取付用開口部の端面
108 シンクの周縁部
114 シンクの鉛直フランジ
302 シンクのフランジ
120 補強材
122 シンク固定具
126 シンク固定具の本体
126a シンク本体の溝
130 化粧シーリング樹脂
130a 化粧シーリング樹脂の上面(傾斜面)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キッチンカウンタとは別体のシンクを前記キッチンカウンタのシンク取付用開口部に設置したシンク付きキッチンカウンタであって、
前記シンクの上端部を外方に折り曲げて形成された周縁部の外端部を下方に折り曲げることにより形成されたフランジを有し、
該フランジの基端と前記キッチンカウンタのシンク取付用開口部の端面との間に隙間を有すると共に、前記フランジの基端と前記キッチンカウンタの上面との間に高低差を有し、
前記キッチンカウンタの上面よりも低位の前記フランジの基端と前記キッチンカウンタのシンク取付用開口部の端面との間の前記隙間に化粧シーリング樹脂が充填され、
該化粧シーリング樹脂の表面が前記キッチンカウンタの上面から前記フランジの基端に向かって斜め下方に傾斜した傾斜面で構成されていることを特徴とするシンク付きキッチンカウンタ。
【請求項2】
前記シンクの前記周縁部が、前記化粧シーリング樹脂の傾斜した表面の延長線に沿った傾斜面で構成され、該傾斜した周縁部と、該周縁部の上端から下方に延びる前記フランジとの間の角度が鋭角であり、前記フランジが鉛直線上に沿って延びている、請求項1に記載のシンク付きキッチンカウンタ。
【請求項3】
前記鉛直線上に沿って下方に延びるフランジの下端部を受け入れる溝を備え且つ前記キッチンカウンタの裏面に沿って配設された補強材に固定されたシンク固定具と、
該シンク固定具が位置する前記補強材と前記シンクとの間の空間に充填されたシンク固定用樹脂とを有する、請求項2に記載のシンク付きキッチンカウンタ。
【請求項4】
キッチンカウンタとは別体のシンクを前記キッチンカウンタのシンク取付用開口部に設置したシンク付きキッチンカウンタであって、
前記シンクの上端部を外方に折り曲げて形成された周縁部の外端部を下方に折り曲げることにより形成されたフランジを有し、
該フランジの下端縁が、前記キッチンカウンタの裏面に沿って配設された補強材の側面に当接又は隣接して位置して、フランジと前記キッチンカウンタのシンク取付用開口部の端面との間に隙間を形成すると共に、前記フランジの基端と前記キッチンカウンタの上面との間に、前記キッチンカウンタの上面を上位とし前記フランジの基端を下位にした高低差を形成し、
前記フランジと前記キッチンカウンタのシンク取付用開口部の端面との間の前記隙間に化粧シーリング樹脂が充填されると共に、該化粧シーリング樹脂の表面が前記キッチンカウンタの上面から前記フランジの基端に向かって斜め下方に傾斜した傾斜面で構成され、
前記シンクの前記周縁部が、前記化粧シーリング樹脂の傾斜した表面の延長線に沿った傾斜面で構成され、
該傾斜した周縁部の少なくとも上端部と前記フランジの裏面とに当接してこれを支持するシンク設置部を備えたシンク固定具が前記補強材に固定され、
該シンク固定具が位置する前記補強材と前記シンクとの間の空間にシンク固定用樹脂が充填されていることを特徴とするシンク付きキッチンカウンタ。
【請求項5】
キッチンカウンタのシンク取付用開口部に設置されてシンク付きキッチンカウンタを作るためのシンクであって、前記キッチンカウンタの裏面に沿って配設された補強材に固定され且つシンク設置部を有するシンク固定具によって前記キッチンカウンタに取り付けられるシンクにおいて、
該シンクの周縁部の外端部を下方に折り曲げることにより形成され且つ前記キッチンカウンタに設置されたときに前記補強材の側面に当接又は近接して位置するフランジを有し、
該フランジと前記シンク周縁部とでシンク取付部が形成されて、該シンク取付部が前記シンク固定具の前記シンク設置部で支持されると共に、前記シンク周縁部が前記フランジの基端から斜め下方に傾斜した傾斜面で構成され、
前記シンクを前記キッチンカウンタに設置したときに、前記シンクのフランジと前記キッチンカウンタのシンク取付用開口部の端面との間に隙間に化粧シーリング樹脂が充填されると共に該化粧シーリング樹脂の表面が前記キッチンカウンタの上面から前記シンクの傾斜した周縁部とを結ぶラインに沿った傾斜面に作られることを特徴とするキッチンカウンタ用のシンク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−235692(P2009−235692A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−80772(P2008−80772)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(597010400)株式会社トヨウラ (8)
【Fターム(参考)】