説明

シングルレバー混合水栓

【課題】止水時には確実にレバーハンドルを水のみ吐水する回動操作位置に位置させることで、使用者が無意識にレバーハンドルを開操作したときに、使用者の意に反して湯が吐水されてしまうことを確実に防止でき、節湯を図ることのできるシングルレバー混合水栓を提供する。
【解決手段】シングルレバー混合水栓において、水栓本体部12の上部の化粧キャップ44に湯側から水側に向って高さが徐々に低くなるガイド面60を設けるとともに、レバーハンドルの基部にガイド面60に下向きに当接する当接部を設けて、それらによりガイド機構を構成する。そしてレバーハンドルの閉方向の操作でレバーハンドルを水のみ吐水する左右方向位置に且つ止水位置にガイド機構によって移動ガイドする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はシングルレバー混合水栓に関し、詳しくは節湯のための技術手段に特徴を有するものに関する。
【背景技術】
【0002】
混合弁を内蔵した水栓本体部とレバーハンドルとを備え、水栓本体部の軸線方向においてレバーハンドルを水栓本体部の基端から離れる方向の開方向に操作することにより吐水開始及び吐水流量の増大を、水栓本体部の基端に向う方向の閉方向に操作することにより吐水流量の減少及び止水を行い、また上記の軸線回りに回動操作することにより吐水の温度調節を行うシングルレバー混合水栓が従来から広く用いられている。
【0003】
一般にこの種のシングルレバー混合水栓は、水栓本体部が、詳しくは水栓本体部の軸線方向が上下向きとなるように設置され、レバーハンドルを上方向(水栓本体部の基端から離れる方向)の開方向に操作することで吐水開始及び吐水流量の増大を行い、下方向(水栓本体部の基端に向う方向)の閉方向に操作することで吐水流量の減少及び止水を行う。
また上記の軸線回りの左右方向に回動操作することで吐水の温度調節を行う(以下では水栓本体部が上下向きに設置されたシングルレバー混合水栓を代表として述べる)。
【0004】
この種の従来のシングルレバー混合水栓では、レバーハンドル(詳しくはレバーハンドルにおけるレバー部)が使用者にとって最も使い易い正面位置にある状態、即ち使用者に対してレバーハンドルが正対する位置が、左右方向の回動範囲の丁度中央位置となる。
従ってこの状態で使用者がレバーハンドルを止水位置から無意識に開操作すると(通常使用者は水栓の使い始めのときにそのままレバーハンドルを開操作する)、先ず混合水が吐水される。
使用者が本来水を使用したいと思っていたときには、その状態からレバーハンドルを使用者から見て右方向に回動操作し、レバーハンドルを水のみ吐水する位置に持ち来すこととなる。
この場合、実際には使用者が水を出したいと思っていたにも拘らず、使用者の意思とは無関係に先ず混合水、つまり水に加えて湯が吐水されてしまい、湯が無駄に使用されてしまう。
【0005】
下記特許文献1には、このような問題の解決を狙いとして、可動弁体の開口部の形状を平面視略く字状とすることで、レバーハンドルが正面位置、即ち使用者に正対した位置で開操作したときに水のみ吐水されるようになしたシングルレバー混合水栓が開示されている。
【0006】
また下記特許文献2にも、同様の目的の下で、固定弁体の水流入弁孔の口部を湯流入弁孔側に拡大し、湯流入弁孔の口部を小さくして、レバーハンドルが正面位置にある状態でこれを開操作したときに水のみ吐水するようになしたシングルレバー混合水栓が開示されている。
【0007】
しかしながらこれら特許文献1,特許文献2に開示のシングルレバー混合水栓では、レバーハンドルが左右方向の全回動範囲のどの位置にあっても、そのままこれを止水操作可能、例えば高温の湯のみを吐水する状態でもそのままレバーハンドルを止水操作可能であり、次に使用者がそのまま止水位置のレバーハンドルを開操作すると、湯(湯のみ)或いは混合水が吐水されてしまい、節湯の点で未だ不十分である。
【0008】
一方下記特許文献3には、シングルレバー混合水栓ではレバーハンドルが自由に回転できるために、中温度の湯を中吐水量で吐水させるためのレバーハンドルの位置が分からないことを解決課題として、レバーハンドルの基部の半円形の内周面に円弧状且つリブ状の第1のライン(突条)、及びこれと直交する短めの第2のラインを設ける一方、水栓本体部側の上部に、上記半円形の内周面に向って先端部が突出するストッパ装置を設け、使用者が第1のラインをストッパ装置の先端に当てがうようにレバーハンドルを上側に持ち上げながら湯側に回動操作することで、レバーハンドルを、中温度の湯を中吐水する位置に誘導するようになした点が開示されている。
【0009】
この特許文献3に開示のものではまた、高温度の湯を吐水した後そのままレバーハンドルを下げて止水すると、次の使用時にレバーハンドルを上げて吐水した際に高温の湯が吐水されて火傷することを解決課題とし、高温度の湯を大吐水量で吐出する状態から、使用者が第1ラインをストッパ装置の先端に当てがうようにレバーハンドルを上側に持ち上げながら低温側に回動操作することで、レバーハンドルを止水位置に誘導するようになした点が併せて開示されている。
【0010】
しかしながらこの特許文献3に開示のシングルレバー混合水栓では、使用者がレバーハンドルを意識して上向きに持ち上げながら、即ち第1のラインをストッパ装置の先端に上向きに当てがいながら左右方向に回動操作し同時に上下に回動操作しない限り、レバーハンドルが自由に回動してしまい、レバーハンドルが高温の湯を吐水する左右方向位置(回動操作位置)の下でそのまま止水位置まで閉操作されてしまい、節湯を図ることができない(そもそもこの特許文献3に開示のものは節湯を目的としたものではない)。
【0011】
以上水栓本体部が縦向き即ち上下向きで設置されるシングルレバー混合水栓について述べたが、シングルレバー混合水栓には、水栓本体部が横向き即ち水平ないしほぼ水平向きで設置されるものがあり、この横向きのシングルレバー混合水栓においても同様の問題が内在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2010−185569号公報
【特許文献2】特許第3200540号公報
【特許文献3】特開2007−51757号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は以上のような事情を背景とし、止水時には確実にレバーハンドルを水のみ吐水する回動操作位置に位置させることで、使用者が無意識にレバーハンドルを開操作したときに使用者の意に反して湯が吐水されてしまうことを確実に防止でき、節湯を図ることのできるシングルレバー混合水栓を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
而して請求項1のものは、混合弁を内蔵した水栓本体部とレバーハンドルとを備え、該水栓本体部の軸線方向において該レバーハンドルを該水栓本体部の基端から離れる方向の開方向に操作することにより吐水開始及び吐水流量の増大を、前記水栓本体部の基端に向う方向の閉方向に操作することにより吐水流量の減少及び止水を行い、また前記軸線回りに回動操作することにより吐水の温度調節を行うシングルレバー混合水栓において、(a)前記水栓本体部と前記レバーハンドルの基部との一方に設けられ、湯側から水側に前記軸線方向の高さを徐々に低くして、前記レバーハンドルを湯のみ吐水する回動操作位置から水のみ吐水する回動操作位置に向けて且つ閉方向にガイドするガイド面と、(b)他方に設けられ、該ガイド面に対して前記軸線方向に当接する当接部と、を有し、前記レバーハンドルの閉方向の操作で、該レバーハンドル側の当接部又はガイド面を、前記水栓本体部側のガイド面又は当接部に対して該レバーハンドルの閉方向に当て、引き続く該レバーハンドルの閉方向の操作で該当接部を該ガイド面に沿って相対移動させることで、該レバーハンドルを前記水のみ吐水する回動操作位置に且つ止水位置に到らしめるガイド機構を設けたことを特徴とする。
【0015】
請求項2のものは、請求項1において、前記当接部には転動体が設けてあり、該転動体を転動させながら前記当接部が前記ガイド面に沿って移動するようになしてあることを特徴とする。
【0016】
請求項3のものは、請求項1,2の何れかにおいて、前記当接部が前記レバーハンドルにおける前記基部の内側に、前記ガイド面が、湯側から水側に向けて高さが徐々に低くなり、前記レバーハンドルにおける前記水のみ吐水する回動操作位置に対応する位置で最も低くなる形状で前記水栓本体部の上部の位置に設けてあることを特徴とする。
【0017】
請求項4のものは、請求項1〜3の何れかにおいて、前記水栓本体部側のガイド面又は当接部が、該水栓本体部の本体ボデーに組み付けられた化粧カバーに設けられており、該化粧カバーが、該本体ボデーに対して位置決め機構により前記軸線回りに位置決めされていることを特徴とする。
【発明の作用・効果】
【0018】
以上のように本発明のシングルレバー混合水栓は、水栓本体とレバーハンドルの基部との一方に設けたガイド面と、他方に設けた当接部とを有するガイド機構を設け、そのガイド機構により、レバーハンドルの閉方向の操作でレバーハンドルを水のみ吐水する回動操作位置に移動ガイドし、且つ水のみ吐水する回動操作位置でレバーハンドルを止水位置に到らしめるようになしたものである。
【0019】
かかる本発明のシングルレバー混合水栓では、使用者が混合水や高温の湯のみを吐水する状態、つまり湯吐水状態で水栓(シングルレバー混合水栓)を使用し、その後レバーハンドルを閉操作したとき、ガイド機構のガイド作用でレバーハンドルが自然に水のみ吐水する回動操作位置に移動せしめられ、そしてその水のみ吐水する回動操作位置で止水位置に到らしめられる。
【0020】
従って本発明のシングルレバー混合水栓では、その後において次の使用者が水栓を使うべく、止水位置にあるレバーハンドルをそのまま開操作すると水のみが吐水され、使用者の意思に拘り無く湯が吐水されてしまって、湯が無駄に消費されてしまうのを確実に防ぐことができ、節湯を図ることができる。
【0021】
本発明のシングルレバー混合水栓では、当接部をガイド面に当てるように使用者が意識してレバーハンドルを操作しなくても、開操作位置にあるレバーハンドルを閉方向に操作すれば、自動的に当接部がガイド面に当ってガイド機構が働き、レバーハンドルが水のみ吐水する回動操作位置且つ止水位置に到る。従って水栓使用に際して最後にレバーハンドルを止水位置まで閉操作すれば、レバーハンドルは確実に水のみ吐水する回動操作位置に位置せしめられる。
【0022】
尚本発明では、レバーハンドルが湯吐水する回動操作位置にある状態の下では、同位置を維持したままレバーハンドルを止水位置まで移動させることはできない。
ここで湯吐水する回動操作位置とは、湯のみ吐水する回動操作位置及び混合水吐水する回動操作位置を含む。
【0023】
従って湯吐水状態でレバーハンドルを一杯まで(当接部がガイド面に当るまで)閉方向に操作したとしても、吐水口からの吐水は停止しない。
そのことによって、使用者に対しレバーハンドルを止水位置である水のみ吐水する回動操作位置まで回動させるべく誘導することができる。
【0024】
本発明では、上記当接部に転動体を設け、その転動体を転動させながら当接部をガイド面に沿って移動させるようになしておくことができる(請求項2)。
このようにしておけば、レバーハンドルを閉操作したときに当接部をガイド面に沿って抵抗無く円滑に移動させることができ、レバーハンドルの閉操作時に、より確実にレバーハンドルを水のみ吐水する回動操作位置且つ止水位置に戻すことができる。
【0025】
本発明では、レバーハンドルにおける基部の内側に上記のガイド面を、また水栓本体の上部の位置に当接部を設けておくといったことも可能であるが、請求項3に従って当接部をレバーハンドルにおける基部の内側に、ガイド面を水栓本体の上部の位置に設けておくことが望ましい。
【0026】
前者の場合即ちレバーハンドルの基部の内側にガイド面を設けるようになした場合、基部の周壁部の肉厚が必然的に厚くなり、そのことによって基部即ちレバーハンドルが大型化してしまう。
しかるにレバーハンドルの基部の側に当接部を、水栓本体の上部の側にガイド面を設けておけば、基部が大型化し、ひいてはレバーハンドルが大型化してしまうのを防ぐことができる。
【0027】
本発明では、水栓本体側のガイド面又は当接部を、水栓本体の本体ボデーに組み付けられた化粧カバーに設けておくことができる。
この場合において、その化粧カバーは本体ボデーに対して位置決め機構により水栓本体部の軸線回りに位置決めしておく(請求項4)。
【0028】
このようにすることで、化粧カバーにガイド面又は当接部を設けた場合において、レバーハンドルとともに化粧カバーが水栓本体部の本体ボデーに対し回転してしまい、ガイド機構がレバーハンドルを水のみ吐水する回動操作位置且つ止水位置に良好に移動ガイドできなくなってしまうといったことを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施形態のシングルレバー混合水栓を示した図である。
【図2】図1のシングルレバー混合水栓の分解斜視図である。
【図3】同実施形態におけるレバーハンドルの図である。
【図4】同実施形態の作用説明図である。
【図5】本発明の他の実施形態を示した図である。
【図6】本発明の更に他の実施形態の要部を模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1において、10は本実施形態のシングルレバー混合水栓(以下単に水栓とする)で、取付面14上に起立状態に即ち上下方向に向けて縦向きに設けられた水栓本体部12、及び水栓本体部12の上側に配置されたレバーハンドル16を有している。
ここでレバーハンドル16は基部18と、これから延び出したレバー部20とを一体に有している。
【0031】
22は、水栓本体部12における本体ボデーで、この本体ボデー22は、ハウジングを形成する円筒状の外部材22-1と、その内側の内部材22-2とを有している。
24は外部材22-1の一部をなす回転部で、この回転部24から吐水管26が延び出しており、吐水管26が回転部24と一体に回転するようになっている。
内部材22-2は、底部28と、上部をなす円筒状のカートリッジ保持部30を一体に有しており、そのカートリッジ保持部30の内部に、固定ディスクと可動ディスクから成る混合弁をカートリッジケース32の内側に内蔵した弁カートリッジ34が組み付けられ、保持されている。
【0032】
内部材22-2の底部28には水,湯を弁カートリッジ34の水流入口,湯流入口にそれぞれ流入させる流入通路36が設けられている。
流入通路36を通じて弁カートリッジ34内部に流入した水と湯とは混合弁にて混合され、図示を省略する流出口から水室38へと流出する。
水室38に流出した混合水(又は水,湯)は、回転部24に設けられた通孔40を通じて吐水管26内部に流入し、更にその先端の吐水口から外部に吐水される。
【0033】
42は、本体ボデー22における内部材22-2の円筒状のカートリッジ保持部30にねじ込まれて、カートリッジケース34を下向きに固定し抜止めする固定ナットで、44は本体ボデー22に組み付けられて固定ナット42を外側から覆う化粧カバーとしての化粧キャップである。
この化粧キャップ44は水栓本体部12の上部を構成している。
46はレバー軸で、このレバー軸46は、レバーハンドル16における基部18の内側に設けられた固定部48に固定ビス50にてレバーハンドル16と一体移動する状態に固定されている。
【0034】
この例の水栓10では、レバーハンドル16を開方向の上向き(水栓本体部12の軸線方向において水栓本体部12の基端から離れる方向)に操作すると、レバー軸46を介して混合弁が開動作せしめられ、吐水口から吐水開始される。
また開方向の操作量を多くすると吐水口からの吐水流量が増大する。
【0035】
逆にレバーハンドル16を図1中閉方向の下向き(水栓本体部12の基端に向う方向)に操作すると、吐水流量が減少し、そしてレバーハンドル16を閉方向の下向きに一杯まで操作すると、吐水口からの吐水が停止する。即ち止水する。
但しこの実施形態では、レバーハンドル16を水のみ吐水する左右方向位置(水栓本体部12の軸線回りの回動操作位置)に位置させたときに初めて止水が可能となる。この点については後に詳しく説明する。
【0036】
一方レバーハンドル16を、使用者から見て水栓本体部12の軸線回りの左右方向(図1中紙面と直角方向)に回動操作すると、吐水の温度が高温側に又は低温側に調節される。
具体的にはここではレバーハンドル16を使用者から見て左方向に回動操作すると吐水が高温側に調節され、逆にレバーハンドル16を右方向に回動操作すると吐水の温度が低温側に調節される。
【0037】
図2において、52は化粧キャップ44を水栓本体部12の本体ボデー22、具体的にはここでは内部材22-2におけるカートリッジ保持部30に対して左右方向(水栓本体部12の軸線回り即ちレバーハンドル基部18の左右回動方向)に位置決めするための位置決め部材で、この位置決め部材52は、カートリッジ保持部30に設けられた縦の係合溝54内に上方から下向きに挿入されて、係合溝54に対し左右の回転方向に係合せしめられている。
尚位置決め部材52は、カートリッジ保持部30の外周面のねじ部よりも下側位置まで係合溝54内に下向きに挿入されている。
【0038】
一方化粧キャップ44には、内周面に係合凹部56が設けられており、この係合凹部56に対して、位置決め部材52の突出形状の係合凸部58が左右方向に係合せしめられている。
そしてこの位置決め部材52を介して、化粧キャップ44がカートリッジ保持部30に対して即ち本体ボデー22に対して、左右の回転方向に位置決めされている。
この実施形態では、これら位置決め部材52,係合溝54,係合凹部56等にて位置決め機構が構成されている。
【0039】
図2に示しているように化粧キャップ44の外周面には、湯側から水側に向って図中右方向に(使用者から見て右方向)に高さが徐々に低くなり、レバーハンドル16における水のみ吐水する左右方向位置(回動操作位置)に対応した位置で高さが最も低くなるガイド面60が設けられている。
ここでガイド面60は上向きの面をなしており、その左端が化粧キャップ44の上端に位置している。
またこのガイド面60は、図4に示しているように正面視において右下りとなる傾斜面をなしている。
そしてこのガイド面60に続いてレバーハンドル16の右方向の回動端を規定する縦向きのストッパ面62が化粧キャップ44に設けられている。
ここでガイド面60は、レバーハンドル16の左右方向の全回動範囲に亘って設けられている。
【0040】
一方、図3に示しているようにレバーハンドル16の円形の基部18の内面には、上記のガイド面60に対応する位置において、縦のリブ状の突条64が一体に設けられており、この突条64の下端部がガイド面60に当接する当接部66とされている。
ここで当接部66とガイド面60とは、当接部66が常にガイド面60よりも上側に、詳しくは左右方向の同一位置において当接部66がガイド面60よりも上側に位置するように設けられている。
【0041】
本実施形態において、レバーハンドル16に設けられた突条64及びその下端の当接部66,化粧キャップ44に設けられたガイド面60は、レバーハンドル16を移動ガイドするガイド機構68(図1参照)を構成している。
本実施形態の水栓10では、レバーハンドル16が開操作位置にあるとき、図4(A)に示しているようにレバーハンドル16の当接部66は、化粧キャップ44のガイド面60から離隔した上方に位置している。
この状態でレバーハンドル16を閉方向の下向きに操作すると、あるところで当接部66がガイド面60に対し下向きに当接するに到る。
【0042】
引き続いてレバーハンドル16に対し閉方向の力、即ち下向きの力を加えると、当接部66がガイド面60に沿って図中右方向に相対移動し、これとともにレバーハンドル16が湯側から水側へと図中右方向に回動せしめられ、同時に閉方向の下向きに移動せしめられる。
【0043】
そしてレバーハンドル16側の突条64が化粧キャップ44のストッパ面62に当る位置までレバーハンドル16が右方向に回動したところで、当接部66がガイド面60の図中右端の位置即ち最も高さの低い位置に到り、ここにおいてレバーハンドル16が止水位置に到らしめられる。
ガイド面60及び当接部66の形状及び位置が予めそのように定められている。
このときレバーハンドル16は、水のみ吐水する左右方向位置に位置した状態となり、従ってその後水栓使用するために使用者がレバーハンドル16を止水位置即ち閉位置から上向きに開操作すると、湯を含まない水のみが吐水口から吐水される。
【0044】
尚本実施形態において、当接部66がガイド面60の図中右端の位置即ち最も高さの低い位置に当接した状態で、レバーハンドル16が水のみ吐水する左右方向位置且つ止水位置に到るが、当接部66がガイド面60の他の部位に当接した状態の下では、レバーハンドル16は止水位置には到っておらず、従ってこのときには吐水口から僅かな量で水が流出する。
【0045】
通常使用者は水栓使用後においては水を完全に止めようとするため、当接部66がガイド面60に当ってそこで急激に抵抗が大きくなることで、一旦レバーハンドル16の閉操作を止めたとしても、吐水口から水が僅かに流出していると、そのことに気付いて使用者は水の流出を完全に止めようとしてレバーハンドル16を更に下向きに操作しようとする。
その結果レバーハンドル16はガイド機構68のガイド作用で、完全止水位置である水のみ吐水する左右方向位置まで図中右方向に回動せしめられることとなる。
【0046】
以上のように本実施形態の水栓10では、使用者が混合水や高温の湯のみを吐水する状態、つまり湯吐水状態で水栓10を使用し、その後レバーハンドル16を閉操作したとき、ガイド機構68のガイド作用でレバーハンドル16が自然に水のみ吐水する左右方向位置に移動せしめられるとともに止水位置に到らしめられる。
【0047】
従って本実施形態の水栓10では、その後において次の使用者が水栓10を使うべく、止水位置にあるレバーハンドル16をそのまま上方に開操作すると水のみが吐水され、使用者の意思に拘り無く湯が吐水されてしまって、湯が無駄に消費されてしまうのを防ぐことができ、節湯を図ることができる。
【0048】
また本実施形態の水栓10では、当接部66をガイド面60に当てるように使用者が意識してレバーハンドル16を操作しなくても、開操作位置にあるレバーハンドル16を下向きに閉操作すれば、自動的に当接部66がガイド面60に当ってガイド機構68が働き、レバーハンドル16が水のみ吐水する左右方向位置且つ止水位置に到る。従って水栓使用に際して最後にレバーハンドル16を止水位置まで閉操作すれば、レバーハンドル16は確実に水のみ吐水する左右方向位置に位置せしめられる。
【0049】
本実施形態はまた、レバーハンドル16の基部18に当接部66を、水栓本体部12の上部の化粧キャップ44にガイド面60を設けているため、基部18が大型化し、ひいてはレバーハンドル16が大型化してしまうのを防ぐことができる。
また化粧キャップ44は本体ボデー22に対して位置決め機構により左右方向に位置決めしてあるため、レバーハンドル16とともに化粧キャップ44が水栓本体部12の本体ボデー22に対し回転してしまい、ガイド機構68によってレバーハンドル16を水のみ吐水する左右方向位置且つ止水方向位置に良好に移動ガイドできなくなってしまうといったことを防ぐことができる。
【0050】
図5は本発明の他の実施形態を示している。
この例は、レバーハンドル16側の当接部66にローラ(転動体)70を設けたもので、この実施形態によれば、ローラ70の転動によって当接部66をガイド面60に沿って僅かな力で円滑に抵抗少なく移動させることができる。
これによりレバーハンドル16の閉操作時に、より確実にレバーハンドル16を水のみ吐水する左右方向位置且つ止水位置に戻すことができる。
【0051】
図6は本発明の更に他の実施形態を示している。
この例は、レバーハンドル16側にガイド面60を、また化粧キャップ44の側に、ガイド面60に対して上向きに当接する当接部66を設けた例である。
この図6に示す例においても、開操作位置にあるレバーハンドル16を閉方向の下向きに操作することで、ガイド機構68のガイド作用により、レバーハンドル16を水のみ吐水する左右方向位置且つ止水位置に到らしめることができる。
【0052】
以上本発明の実施形態を詳述したがこれはあくまで一例示である。
例えば本発明では上記ガイド面を連続した面をなす傾斜面となしているが、湯側から水側に向って漸次高さを低くする傾斜面以外の面となすこともできるし、場合によってこれを階段状の面となすことも可能である。
更に当接部をガイド面と同様に連続的に傾斜した面として構成することも可能である。
また本発明は水栓本体部の全体を覆うように化粧カバーが設けられているシングルレバー混合水栓、或いは水栓本体部をその軸線方向が横向き即ち水平ないし略水平向きとなるように設置するシングルレバー混合水栓に適用することも可能である等、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【符号の説明】
【0053】
10 シングルレバー混合水栓
12 水栓本体部
16 レバーハンドル
18 基部
22 本体ボデー
44 化粧キャップ
60 ガイド面
66 当接部
68 ガイド機構
70 ローラ(転動体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
混合弁を内蔵した水栓本体部とレバーハンドルとを備え、該水栓本体部の軸線方向において該レバーハンドルを該水栓本体部の基端から離れる方向の開方向に操作することにより吐水開始及び吐水流量の増大を、前記水栓本体部の基端に向う方向の閉方向に操作することにより吐水流量の減少及び止水を行い、また前記軸線回りに回動操作することにより吐水の温度調節を行うシングルレバー混合水栓において、
(a)前記水栓本体部と前記レバーハンドルの基部との一方に設けられ、湯側から水側に前記軸線方向の高さを徐々に低くして、前記レバーハンドルを湯のみ吐水する回動操作位置から水のみ吐水する回動操作位置に向けて且つ閉方向にガイドするガイド面と、
(b)他方に設けられ、該ガイド面に対して前記軸線方向に当接する当接部と、
を有し、前記レバーハンドルの閉方向の操作で、該レバーハンドル側の当接部又はガイド面を、前記水栓本体部側のガイド面又は当接部に対して該レバーハンドルの閉方向に当て、引き続く該レバーハンドルの閉方向の操作で該当接部を該ガイド面に沿って相対移動させることで、該レバーハンドルを前記水のみ吐水する回動操作位置に且つ止水位置に到らしめるガイド機構を設けたことを特徴とするシングルレバー混合水栓。
【請求項2】
請求項1において、前記当接部には転動体が設けてあり、該転動体を転動させながら前記当接部が前記ガイド面に沿って移動するようになしてあることを特徴とするシングルレバー混合水栓。
【請求項3】
請求項1,2の何れかにおいて、前記当接部が前記レバーハンドルにおける前記基部の内側に、前記ガイド面が、湯側から水側に向けて高さが徐々に低くなり、前記レバーハンドルにおける前記水のみ吐水する回動操作位置に対応する位置で最も低くなる形状で前記水栓本体部の上部の位置に設けてあることを特徴とするシングルレバー混合水栓。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかにおいて、前記水栓本体部側のガイド面又は当接部が、該水栓本体部の本体ボデーに組み付けられた化粧カバーに設けられており、該化粧カバーが、該本体ボデーに対して位置決め機構により前記軸線回りに位置決めされていることを特徴とするシングルレバー混合水栓。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−7247(P2013−7247A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−142380(P2011−142380)
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【出願人】(302045705)株式会社LIXIL (949)
【Fターム(参考)】