説明

シンナー再生剤

【課題】 使用済みシンナーの再生処理において、処理後、シンナーから樹脂除去剤を取り除くための処理や脱水処理を別途行う必要のない、極めて効率よく、簡単に処理でき、且つ複数回利用することもできるシンナー再生剤の提供。
【解決手段】 タルク、との粉の少なくともいずれかと、酸性白土、合成ゼオライトの少なくともいずれかと、硫酸バンド、カリ明礬の少なくともいずれかを混合してなることを特徴とするシンナー再生剤である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔料を使用する業界において、塗料を洗浄用シンナーで処理した後に発生する使用済みシンナーを再生するための再生剤に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車車体整備業界等において、塗装工程終了後に、塗料が付着したスプレーガンやカップ等を洗浄用シンナーを用いて洗浄するため、大量の使用済みシンナーが廃液として発生する。近年、揮発性有機化合物(VOC)の削減等の観点から、使用済みシンナーを再生利用することが重要視されている。
【0003】
このような現状から、使用済みシンナーの再生方法は様々報告されているが、現在実用化されているのは、ほとんどが蒸留方式である。この現状は、自動車車体整備業界においても同様で、10L程度の蒸留式再生装置を使用するのが主流である。
しかしながら、蒸留式再生装置は高価であるため、小規模業者が大部分を占める自動車車体整備業界では、当該装置を導入している業者がほとんど見られない。また、当該装置は大量の電気を消費するため、電気代の負担が大きいという問題も抱えている。
そのため、当該装置を所有していない業者は、処理業者に有料で引き取ってもらわなければならない。しかし当該引き取りのための費用は、地域によって16L缶一缶あたり2000円以上のところもあり、大きな負担となっている。
【0004】
一方、下記特許文献1及び2において、塗料に対して凝縮性を示す無機化合物を添加して、シンナーを分離する方法が示されており、加えて、樹脂成分を取り除くために樹脂除去剤を併用することも示されている。該樹脂除去剤としては、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ金属のアルコキシド化合物、アルコール溶剤などが挙げられている。
【0005】
しかしながら、該方法によると、シンナー本来の組成に該樹脂除去剤が溶解物として生じる可能性があり、それによりシンナーの変化、変質が懸念される。そのため、該樹脂除去剤をシンナーから取り出す方法が別途必要になる。また、被処理シンナー中に比較的多量の水が混入している場合、別途脱水工程も必要となる。
【0006】
【特許文献1】特開2001−179006号公報
【特許文献2】特開2002−45611号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、以下のようなシンナー再生剤を提供することを解決課題とする。まず、使用済みシンナーの再生処理において、処理後、シンナーから樹脂除去剤を取り除くための処理や脱水処理を別途行う必要のない、極めて効率よく、簡単に処理できるものとする。また、一度使用したシンナー再生剤の再利用が可能であり、且つ効果の持続、促進も図ることができるものとする。
さらに、材料や混合比率の選択性にも優れたものとする。また、安全で、安価な物質を用いることで、実用化を容易にし、且つ環境への影響も少なくする。加えて、顔料を使う全ての業界に対して効果をもたらすものとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、タルク、との粉の少なくともいずれかと、酸性白土、合成ゼオライトの少なくともいずれかと、硫酸バンド、カリ明礬の少なくともいずれかを混合してなることを特徴とするシンナー再生剤に関する。
【0009】
請求項2に係る発明は、少なくともタルクと、酸性白土と、硫酸バンドとを混合してなることを特徴とする請求項1記載のシンナー再生剤に関する。
【0010】
請求項3に係る発明は、タルク、酸性白土、硫酸バンドからなり、各成分の再生剤全体に占める配合比率が、タルク10〜90体積%、酸性白土5〜45体積%、硫酸バンド5〜45体積%であることを特徴とする請求項2記載のシンナー再生剤に関する。
【0011】
請求項4に係る発明は、前記配合比率が、タルク50〜70体積%、酸性白土20〜30体積%、硫酸バンド10〜20体積%であることを特徴とする請求項3記載のシンナー再生剤に関する。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明によれば、タルク、との粉の少なくともいずれかと、酸性白土、合成ゼオライトの少なくともいずれかと、硫酸バンド、カリ明礬の少なくともいずれかを混合してシンナー再生剤とすることで、シンナー再生剤が塗料成分を吸着して下部に沈澱するため、上部のシンナーを簡単に回収でき、効率的にシンナーの再生処理を行える。
また、タルク及びとの粉が樹脂を吸着し沈殿するため、別途樹脂除去剤を取り除く処理をする必要がない。さらに、酸性白土及び合成ゼオライトが水分を吸着するため、別途脱水処理を行わなくてもよい。
また、シンナー再生処理後、再生されたシンナーを取り除くことで、複数回シンナー再生剤として使用でき、さらに2回目以降は初回よりも短い時間で再生処理が行える。加えて、複数回使用したシンナー再生剤に新たに少量のシンナー再生剤を加えることで、再生効果を持続させ、さらにシンナー再生効果を促進させることができる。そのため、低コスト化を実現でき、環境への影響も少なくすることができる。
また、材料の価格等によってシンナー再生剤の構成物質及びその比率を選択することができる。さらに、これらの物質は安全で、安価な物質であるので、実用化がより容易で、且つ環境への影響も少ないものとなる。加えて、洗浄用シンナーだけでなく、洗浄用の有機溶剤の再生にも効果があるため、塗料・インクなどの顔料を使う全ての業界に対して効果をもたらすことができる。また、硬化剤を含んでいても、充分に再生可能である。
【0013】
請求項2に係る発明によれば、少なくともタルクと、酸性白土と、硫酸バンドとを混合してシンナー再生剤とすることで、より短時間で、効率よくシンナーを再生することができる。
請求項3に係る発明によれば、シンナー再生剤の混合比率を、タルク10〜90体積%、酸性白土5〜45体積%、硫酸バンド5〜45体積%とすることで、より高い効果を奏することができる。
請求項4に係る発明によれば、シンナー再生剤の混合比率をタルク50〜70体積%、酸性白土20〜30体積%、硫酸バンド10〜20体積%とすることで、さらに短時間で、透明度の高い再生シンナーが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係るシンナー再生剤の好適な実施形態について説明する。
本発明に係るシンナー再生剤は、主として自動車車体整備業界で、スプレーガンやカップ等に付着した塗料を取り除くために用いた洗浄シンナーを再生利用するために好適に用いられる。
対象となる塗料としては、アクリルラッカー塗料、アクリルエナメル塗料、メラニン塗料等が例示できる。なお、本発明に係るシンナー再生剤は洗浄用有機溶剤の再生にも用いることができ、且つ、例示した塗料以外の塗料やインクの顔料に対しても効果を奏する。従って、自動車車体整備業界以外でも顔料を使用する業界であれば利用することができる。
【0015】
本発明に係るシンナー再生剤は、タルク、との粉の少なくともいずれかと、酸性白土、合成ゼオライトの少なくともいずれかと、硫酸バンド、カリ明礬の少なくともいずれかが混合されたシンナー再生剤である。本発明に係るシンナー再生剤のうち、3種類の物質で構成されるものの組み合わせを下記(ア)乃至(ク)に示す。
(ア) タルク、酸性白土、硫酸バンド
(イ) との粉、合成ゼオライト、カリ明礬
(ウ) タルク、酸性白土、カリ明礬
(エ) との粉、合成ゼオライト、硫酸バンド
(オ) タルク、合成ゼオライト、硫酸バンド
(カ) との粉、酸性白土、カリ明礬
(キ) タルク、合成ゼオライト、カリ明礬
(ク) との粉、酸性白土、硫酸バンド
最も効率の良い組合せとしては、(ア)のタルク、酸性白土、硫酸バンドが挙げられる。また、本発明に係るシンナー再生剤は3種類を混合したものに限られるわけではなく、例えば、タルク、酸性白土、硫酸バンド、との粉、合成ゼオライト、カリ明礬の6種類を混合したものなど、他の組み合わせでもよい。
なお、これらの物質は以下のものを示す。
タルク・・・・・Mg3Si4O10(OH)2を主成分としたもの
酸性白土・・・・SiO2xAl2O3nH2Oを主成分としたもの
硫酸バンド・・・Al2(SO4)3を主成分としたもの
との粉・・・・・黄土を焼いて粉末にしたもの
合成ゼオライト・アルミノケイ酸塩の一群
カリ明礬・・・・KAl(SO4)212H2Oを主成分としたもの
【0016】
タルクは顔料・樹脂成分を吸着し、本発明のシンナー再生剤の主成分となる。顔料だけでなく樹脂成分も吸着し沈殿するため、別途樹脂除去剤を取り除く処理を必要としない。
酸性白土は、タルクの吸着を促進する助剤としての効果と、脱水効果を奏する。脱水効果を有するので、回収したシンナーに水分が含まれず、別途脱水処理を必要としない。
硫酸バンドは、タルク及び酸性白土が吸着した顔料・樹脂成分を凝縮し沈殿させる効果を奏する。
また、との粉、合成ゼオライト、カリ明礬は夫々、タルク、酸性白土、硫酸バンドと同様の効果が得られる。
【0017】
しかし、これらの物質は、単体で使用済みシンナー(以下、廃液とする)に投入しても効果がない。ところが様々な物質を試した中で、タルクと酸性白土を各々50体積%混合し、廃液に投入すると、着色したシンナーの上部が多少ではあるが脱色される。そして、境界は明確ではないものの、上部から前記多少脱色された層、元の廃液と変化のない層、タルク及び酸性白土が沈殿した層の三層になる。
三層となった廃液に硫酸アルミニウムを加え攪拌すると、時間の経過とともに透明な層が現れ、徐々に透明な部分が多くなる。そして、3種類の物質は、顔料、樹脂成分を吸着して底に沈殿し、上部が透明な再生されたシンナーである二層の状態となる。このように、単独では効果が期待できないものを混合することで、シンナー再生剤の効果を奏することとなる。
【0018】
タルク、酸性白土、硫酸バンドの3種類をシンナー再生剤として利用する場合、混合比率はタルク10〜90体積%、酸性白土5〜45体積%、硫酸バンド5〜45体積%とし、より好ましくは、タルク50〜70体積%、酸性白土20〜30体積%、硫酸バンド20〜30体積%とするのがよい。なかでもタルク60体積%、酸性白土25体積%、硫酸バンド15体積%が最適値として挙げられる。
タルクが10体積%未満である場合、顔料や樹脂の吸着が充分行えない。また、酸性白土が5%未満の場合、水分が充分に除去できなかったり、タルクの効果が充分に促進されなかったりする。硫酸バンドが5体積%未満の場合、凝集沈殿効果が充分に得られず、シンナーの回収が困難となる。上記したように、混合比率がタルク10〜90体積%、酸性白土5〜45体積%、硫酸バンド5〜45体積%の範囲外のものはいずれも好ましくない。
【0019】
以下、具体的な再生方法をタルク、酸性白土、硫酸バンドからなるシンナー再生剤を用いて説明する。
まず、3種類の粉末を攪拌し、完全に混ぜ合わせる。このとき、充分に混ぜ合わせないと効果が半減する可能性がある。
容器に入れた廃液100に対し、20〜40体積%程度のシンナー再生剤を加え、攪拌する。粉末が完全にシンナーを含んだ状態で数時間放置する。
放置することで、顔料及び樹脂成分を取り込んだシンナー再生剤が沈殿し、透明なシンナーが上澄みとなって上部に現れるので、再生シンナーとして回収することができる。
【0020】
再生シンナー回収後、さらに別の廃液を入れると、初回同様、或いはそれ以上の速さでシンナーを再生することができる。このように、本発明のシンナー再生剤は複数回使用可能なものである。
これは、最初にシンナー再生剤に吸着した顔料・樹脂成分が、次に廃液を入れ攪拌した際に、吸着を促進する性質が生じるからだと考えられる。
【0021】
また、複数回使用したシンナー再生剤に新たに少量のシンナー再生剤を加えることで、効果を持続させ、且つ促進させることができる。
【0022】
加えて、タルクは食品添加物として用いられ、酸性白土及び硫酸バンドは水処理に用いられるなど、これらの物質は人体への影響がなく、安価な物質であることが知られている。このようなことからも、本発明のシンナー再生剤は極めて安全で安価なものであり、且つ環境にも優しいリサイクル剤であるといえる。
【0023】
また本発明は、1種類の塗料しか含有しない廃液に対して特に顕著な効果を示す。そのため、塗料の製造プラント等に使用される洗浄シンナーに極めて効率よく作用する。加えて塗装用洗浄シンナーだけでなく、印刷の際に版を洗浄する時等に用いられる有機溶剤にも効果がある。そのため、塗料・インクなどの顔料を使う全ての業界に対して効果をもたらすものと考えられる。
【0024】
本再生方法はタルク、酸性白土、硫酸バンドに、との粉、合成ゼオライト、カリ明礬を混合させて3種類以上の物質を用いたシンナー再生剤としてもよい。また、最も効率の良い組合せとして、タルク、酸性白土、硫酸バンドを例示したが、本発明には他の組み合わせも当然含まれる。
このように、本発明は、材料の価格等により適宜、材料及び配合比率を変えることが可能である。
【実施例】
【0025】
以下、本発明に係るシンナー再生剤についての実施例を示すことにより、本発明の効果をより明確なものとする。但し、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。
【0026】
一、シンナー再生剤の成分による再生状況の確認のための試験
先ず、シンナー再生剤の成分の違いにより、シンナーの再生状況を確認するために以下の実験1乃至4を行った。
【0027】
<実験1>
1.シンナー再生剤
下記表1の(イ)、(ロ)、(ハ)を夫々タルク、酸性白土、硫酸バンドとして配合比率の異なるシンナー再生剤を用意した。
【0028】
【表1】

【0029】
2.廃液
塗料を含有した廃液(使用済みシンナー)として、下記の3種類を用意した。
(a)ラッカーシンナー10Lに対し、ウレタ88ブラック150mLを混合、攪拌したもの
(b)ラッカーシンナー10Lに対し、ウレタ88メタリックベース150mLを混合、攪拌したもの
(c)車体整備工場が保管していた廃液10L
なお、前記ラッカーシンナーは和信化学工業株式会社製の3000シンナーを使用し、成分表示には「トルエン50〜60%、メタノール10〜20%、酢酸イソブチル10〜20%」と記載されている。前記ウレタ88はイサム塗料製の二液性ウレタン塗料である。
また、(c)の廃液については、シンナー・塗料の成分は不明であり、各種塗料・硬化剤・クリヤーなど、トルエン・キシレンなどの溶剤が混入したものと思われる。
3.実験方法
前記(a)乃至(c)の3種類の廃液に対し、前記配合No.1乃至7の配合比率で混同したシンナー再生剤を2.5L混合し、攪拌して、再生状況を確認した。
【0030】
4.実験結果
下記表2に実験1の結果を示した。表2には再生後の透明度及び再生に要する時間を表している。なお、本実験において、透明度に対してA乃至Dの評価基準を定めており、各々の状態は以下の通りである。
A:完全な透明で元のシンナーと殆ど変わらない。
B:透明で、光を当てると少し色が残るが、殆ど分からない。
C:透明で、少し色が残る。
D:上側表面2〜3cm位に透明の層ができる。
Aはもちろん、B、C及びDの上側表面の状態でも、洗浄用シンナーとして充分に使用可能である。
表2に示すとおり、配合No.1及び7を含むすべてのシンナー再生剤において効果が確認できた。
【0031】
【表2】

【0032】
実験1より、一種類では再生効果が期待できなかったタルク、酸性白土、硫酸バンドを混合することによって、配合比率に関わらず効果を奏することが確認できた。なかでも、配合No.3乃至5の再生剤の効果が最も高いことが分かった。
廃液(a)及び(b)についてはシンナーに溶け込んでいる塗料が一種類であるため、極めて明確な効果が得られた。特に配合No.4については廃液と混ぜ合わせ、攪拌した直後から表面が徐々に透明となり、短時間で効果が現れた。そのため、塗料の製造プラント等に使用される洗浄シンナーに極めて効率よく作用するといえる。
この後、硬化剤を塗料に対して10%加えたもので、同様の実験を行ったが、同様の効果が得られ、塗料と硬化剤の洗浄後の廃液にも同様の効果が確認できた。
廃液(c)については、シンナー・塗料の種類や配合等が明確でなく、年月が2年ほど経過していることもあって、かすかに色の成分が残った。この色を分析すると、シンナー中に、油脂成分が若干混入していることが判明した。このような場合、油脂成分を吸着でき、且つシンナー等の溶剤に溶解しない物質、例えば活性炭等を、再生シンナーに投入することで、残存する成分を除去することができる。
【0033】
<実験2>
1.シンナー再生剤
実験1における表1の(イ)、(ロ)、(ハ)を夫々、体積比でタルク100に対してとの粉20を混合したもの、酸性白土100に対して合成ゼオライト20を混合したもの、硫酸バンド100に対してカリ明礬20を混合したものとして、シンナー再生剤を用意した。
2.廃液
実験1と同様の廃液(a)乃至(c)を用いた。
3.実験方法
実験1と同様に、再生状況を確認した。
4.実験結果
実験1(表2)と同様に再生後の透明度及び再生に要する時間を確認した。下記表3は実験2の結果を示した表である。表3で示すとおり実験2の結果は、実験1の結果と多少の違いはあるものの、ほぼ同様の結果が得られた。
【0034】
【表3】

【0035】
実験2より、タルク、酸性白土、硫酸バンドの組み合わせに、他の物質を混合させてもほぼ同様の効果が得られるということが分かった。従って、材料の価格等によって適宜混合することができ、安価なシンナー再生剤となる。
【0036】
<実験3>
実験1における表1の(イ)乃至(ハ)を夫々、以下(i)乃至(vii)の組合せとしてシンナー再生剤を作成し、廃液(a)乃至(c)に対して同様の実験を行った。
(i) (イ)との粉(ロ)合成ゼオライト(ハ)カリ明礬
(ii) (イ)タルク(ロ)酸性白土 (ハ)カリ明礬
(iii) (イ)との粉(ロ)合成ゼオライト(ハ)硫酸バンド
(iv) (イ)タルク(ロ)合成ゼオライト(ハ)硫酸バンド
(v) (イ)との粉(ロ)酸性白土 (ハ)カリ明礬
(vi) (イ)タルク(ロ)合成ゼオライト(ハ)カリ明礬
(vii) (イ)との粉(ロ)酸性白土 (ハ)硫酸バンド
(i)乃至(vii)のすべてにおいて、時間と透明度に差はあるものの、どの組み合わせにおいても透明度D以上の結果が得られた。
【0037】
実験3より、タルク、酸性白土、硫酸バンドの組み合わせでなくても、充分に効果が得られるということが分かった。従って、材料の選択の幅が広がり、価格などによって適宜シンナー再生剤の構成を変えることも可能であるといえる。
【0038】
<実験4>
前記廃液(c)に対し、実験1の配合No.4のシンナー再生剤を実験1の2倍の5Lを加えて透明度と再生時間を確認した。その結果、6時間で、透明度Bとなった。
【0039】
実験4より、シンナー再生剤の量を増やすことで、時間を短縮して、同等の効果を得ることができるといえる。
【0040】
二、シンナー再生剤を再利用したときの効果を確認するための試験
次に、再生剤の再利用の効果について確認するために、実験5及び6を行った。
【0041】
<実験5>
1.シンナー再生剤
実験1で用いた、配合No.4のシンナー再生剤を用意した。
2.廃液
実験1で使用した廃液(a)を用いた。
3.実験方法
シンナー再生剤で廃液(a)を処理し、再生シンナーを取り除いたものに、再度、廃液(a)を同量入れ攪拌し、再生状況を確認した。
4.実験結果
3.5時間で透明度Aという結果が得られた。さらに、3度目の使用も可能であった。
また、廃液(c)についても、同様の実験を行ったが、ほぼ同様の結果が得られた。
【0042】
<実験6>
実験5に示す如く、配合No.4のシンナー再生剤で廃液(a)を3回再生処理したものに、新たに配合No.4のシンナー再生剤200mlを加え、廃液(a)を入れ、攪拌した。その結果、4時間で透明度Aとなった。
【0043】
実験5より、本発明のシンナー再生剤は複数回の使用が可能であることが分かった。この効果はシンナー再生剤の吸着成分が飽和状態になるまで続くと考えられる。さらに初回以上の効果が2回目以降に得られることが分かった。
また、実験6より、複数回使用したシンナー再生剤に新たに少量のシンナー再生剤を加えることで、効果の持続、促進が図られることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、自動車車体整備業界だけでなく、塗料・顔料を使うありとあらゆる業界において、塗料・顔料と交じり合ったシンナーを再生するために、好適に利用できる。加えて、有機溶剤の再生にも用いることが可能である。
特に近年の原油高騰を考えれば、本発明がもたらす効果は絶大なものであると考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タルク、との粉の少なくともいずれかと、酸性白土、合成ゼオライトの少なくともいずれかと、硫酸バンド、カリ明礬の少なくともいずれかを混合してなることを特徴とするシンナー再生剤。
【請求項2】
少なくともタルクと、酸性白土と、硫酸バンドとを混合してなることを特徴とする請求項1記載のシンナー再生剤。
【請求項3】
タルク、酸性白土、硫酸バンドからなり、各成分の再生剤全体に占める配合比率が、タルク10〜90体積%、酸性白土5〜45体積%、硫酸バンド5〜45体積%であることを特徴とする請求項2記載のシンナー再生剤。
【請求項4】
前記配合比率が、タルク50〜70体積%、酸性白土20〜30体積%、硫酸バンド10〜20体積%であることを特徴とする請求項3記載のシンナー再生剤。


【公開番号】特開2007−160198(P2007−160198A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−359050(P2005−359050)
【出願日】平成17年12月13日(2005.12.13)
【特許番号】特許第3831401号(P3831401)
【特許公報発行日】平成18年10月11日(2006.10.11)
【出願人】(591128305)株式会社ビック.ツール (13)
【Fターム(参考)】