シークイン供給装置を備える多針ミシン
【課題】複数の針棒の夫々の下部に付される針先の孔に通してある色糸の色替え作業に先立ち、多針ミシンの針落ち位置の手前にあったシークイン供給装置を目障りにならない側方位置に退避させて、作業者に対して作業空間を広く感じさせるようにする。
【解決手段】シークイン供給装置Eの支持機構36は、多針ミシンBの側方において多針ミシンBに向けて長く形成してある軌条38と、軌条38に対して、軌条の長手方向に向けて往復移動を自在にしてある基台機構40と、多針ミシンBの前面B1から離した位置に配設してある横持出アーム45とを備え、横持出アーム45の先部は、シークイン供給装置Eの主要枠54に連結すると共に横持出アーム45の元部は基台機構40に連結して、基台機構40を軌条38に沿って進退させることによって、シークイン供給装置Eを供給位置79と、多針ミシンBの手前側を開放させる退避位置80とに移動を可能に構成した。
【解決手段】シークイン供給装置Eの支持機構36は、多針ミシンBの側方において多針ミシンBに向けて長く形成してある軌条38と、軌条38に対して、軌条の長手方向に向けて往復移動を自在にしてある基台機構40と、多針ミシンBの前面B1から離した位置に配設してある横持出アーム45とを備え、横持出アーム45の先部は、シークイン供給装置Eの主要枠54に連結すると共に横持出アーム45の元部は基台機構40に連結して、基台機構40を軌条38に沿って進退させることによって、シークイン供給装置Eを供給位置79と、多針ミシンBの手前側を開放させる退避位置80とに移動を可能に構成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
刺繍縫製を可能にする多針ミシンと、上記多針ミシンにおける針落孔に対してシークインを次々と供給できるシークイン供給装置とを備え、シークインを上記多針ミシンでもって次々と縫付けることができるシークイン供給装置を備える多針ミシンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、夫々は刺繍縫製を可能にする多針ミシンと、上記多針ミシンにおける針落孔に対して夫々シークインを次々と供給できるシークイン供給装置を備え、シークインを上記多針ミシンでもって次々と縫付けることができるシークイン供給装置を備える多針ミシンは広く知られている。例えば特許文献1においては夫々シークイン供給装置を備える刺繍用多針ミシン等が、特許文献2においては刺繍縫製を可能にする刺繍用の多針ミシンが知られている。
【0003】
上記特許文献1において、シークイン供給装置を備える多針ミシンの構成は、基枠(機枠)に対して多針ミシン(刺繍ミシン)が備えられていて、多針ミシンにあっては、ヘッドの横動枠に対して複数の針棒が上下動自在に並設され、各針棒は横動枠を左右に横動させることにより針落ち位置に対して選択移動を自在に構成されている。さらに多針ミシンにあっては、その内の側方の1本の針棒の手前に、シークイン供給装置を備えさせ、シークイン供給装置を利用する場合には、多針ミシンの上記側方の1本の針棒と、シークイン供給装置とを針落ち位置に対して移動させ、対応する多針ミシンの針落ち位置に対してシークインを次々と供給して、布にシークインを縫付けできるようにしてある。そして、
シークイン供給装置は、自体のガイドレールを支える為に多針ミシンの横動枠に連なる側方の枠部から手前側に向けて持ち出し状に形成されたアーム(フレーム)と、アームに対して傾斜状態を維持する状態で連結されていて斜め上方に向けて延びている主枠支持用のガイドレール(レール)と、ガイドレールによって上方の手前寄りの上昇位置と、下方の針落ち位置寄りの供給位置との間を上下方向に摺動を自在に支持されている主枠(昇降板)と、主枠の上部において、回動自在に備えさせてあるリールと、主枠の下部において、リールから延出させた帯状のシークイン(シークインを連ねたテープ)を次々と上記多針ミシンの針落ち位置に供給するようにしてあるシークイン供給機構(供給機構)とを備え、シークイン供給機構から繰り出す帯状のシークインの先端の1つずつを切り離して、上記刺繍ミシンで布に縫い付けるようにしてある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−342369号公報
【特許文献2】特開平2004−242972号公報
【特許文献3】特開平7−328273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この特許文献1に開示されている従来の「シークイン供給装置を備える多針ミシン」では、多針ミシンを作動させて側方の1本の針棒に付されている糸を用いて、シークイン供給装置から供給されるシークインを布に対して縫い付けできる利点がある。
【0006】
しかしながら、上記の特許文献1記載の「シークイン供給装置を備える多針ミシン」は、多針ミシンの横動枠に連なる側方の枠部に対して元部が固着されているアームを手前側に向けて持ち出し状に形成し、そのアームの先に主枠支持用のガイドレールが付され、そのガイドレールにシークイン供給機構を有する主枠が装着されているので、シークイーンの縫付け作業は、多針ミシンの複数の針棒の内、シークイン供給機構に対向する「端部の1本の針棒」しか利用できない問題点があった。
また、上記「端部の1本の針棒」の下部に付される針先の孔に糸を通す糸替え作業をする場合、シークイン供給装置の上方に存在する帯状のシークイン用の「大きなリール」が糸替え作業者の顔面に近づくことになり、これが目障りとなって、糸替え作業の能率を低下させる問題点があった。
【0007】
本件出願の目的は、多針ミシンにおける複数の針棒を針落ち位置に選択移動させて夫々異なる多色の色糸を変更しながらシークイン供給装置から供給されるシークインを、多色の色糸で縫い付けできるようにしたシークイン供給装置を備える多針ミシンを提供しようとするものである。
他の目的は、複数の針棒の夫々の下部に付される針先の孔に通してある色糸の色替え作業に先立ち、多針ミシンの針落ち位置の手前にあったシークイン供給装置を目障りにならない側方位置に退避させて、作業者に対して作業空間を広く感じさせるようになるシークイン供給装置を備える多針ミシンを提供しようとするものである。
他の目的及び利点は図面及びそれに関連した以下の説明により容易に明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明におけるシークイン供給装置を備える多針ミシンは、
基枠Aに備えさせた多針ミシンBにおける横動枠4に対して複数の針棒7が上下動自在に並設され、各針棒7は横動枠4を横動させることにより針落ち位置1aに対して選択移動を自在に構成されており、
さらに夫々の多針ミシンBの手前には、多針ミシンBの針落ち位置1aに対してシークインを次々と供給できるようにしてあるシークイン供給装置Eを備えさせており、
上記のシークイン供給装置Eは、自体の主要枠54を多針ミシンBの基枠Aで支える為に多針ミシンBの基枠Aから手前側77に向けて持ち出し状に構成された支持機構36と、
主要枠54の上部において回動自在に備えさせてあるリール66と、主要枠54の下部においてリール66から延出させた帯状のシークインS1を次々と上記多針ミシンBの針落ち位置1aに供給するようにしてあるシークイン供給機構70とを備えているシークイン供給装置Eを備える多針ミシンBにおいて、
上記支持機構36は、多針ミシンBの側方において機枠Aに固着された状態で配置され、多針ミシンBに向けて長く形成してある軌条38と、
軌条38に対して、軌条の長手方向に向けて往復移動を自在に構成されている基台機構40と、
多針ミシンBの横動枠4により支持する針棒列の全域W1を直線的に大きく往復動させて全ての針棒7を針落ち位置1aに選択移動可能にさせるために、多針ミシンBの手前側に横動枠挿入空間46を形成するように多針ミシンBの前面B1から離した位置に配設してある横持出アーム45とを備え、
上記横持出アーム45の先部は、上記シークイン供給装置Eの主要枠54に対して連結すると共に横持出アーム45の元部は上記基台機構40に連結して、上記基台機構40を軌条38に沿って進退させることによって、上記シークイン供給装置Eを供給位置79と、多針ミシンBの手前側を開放させる退避位置80とに移動を可能に構成したものである。
【0009】
また好ましくは、本発明におけるシークイン供給装置を備える多針ミシンは、基枠Aに備えさせた多針ミシンBにおける横動枠4に対して複数の針棒7が上下動自在に並設され、各針棒7は横動枠4を横動させることにより針落ち位置1aに対して選択移動を自在に構成されており、
さらに夫々の多針ミシンBの手前には、多針ミシンBの針落ち位置1aに対してシークインを次々と供給できるようにしてあるシークイン供給装置Eを備えさせており、
上記のシークイン供給装置Eは、自体の主要枠54を多針ミシンBの基枠Aで支える為に多針ミシンBの基枠Aから手前側77に向けて持ち出し状に構成された支持機構36と、主要枠54の上部において回動自在に備えさせてあるリール66と、主要枠54の下部においてリール66から延出させた帯状のシークインS1を次々と上記多針ミシンBの針落ち位置1aに供給するようにしてあるシークイン供給機構70とを備えているシークイン供給装置Eを備える多針ミシンBにおいて、
上記支持機構36は、多針ミシンBの側方において機枠Aに固着された状態で配置され、多針ミシンBに向けて長く形成してある軌条38と、
軌条38に対して、軌条の長手方向に向けて往復移動を自在に構成されている基台機構40であって、その基台機構40における移動部材41の軌条38の側には、軌条の長手方向の前後複数個所において夫々軌条38の上下両面に夫々当接する状態で往復移動を自在に構成されている複数の当接部材42、42を有する基台機構40と、
多針ミシンBの横動枠4により支持する針棒列の全域W1を直線的に大きく往復動させて全ての針棒7を針落ち位置1aに選択移動可能にさせるために、多針ミシンBの手前側に横動枠挿入空間46を形成するように多針ミシンBの前面B1から離した位置に配設してある横持出アーム45とを備え、
上記横持出アーム45の先部は、上記シークイン供給装置Eの主要枠54に対して連結すると共に横持出アーム45の元部は上記基台機構40に連結して、上記基台機構40を軌条38に沿って進退させることによって、上記シークイン供給装置Eを供給位置79と、多針ミシンBの手前側を開放させる退避位置80とに移動を可能に構成したものである。
【0010】
また好ましくは、本発明におけるシークイン供給装置を備える多針ミシンは、
基枠Aに備えさせた多針ミシンBにおける横動枠4に対して複数の針棒7が上下動自在に並設され、各針棒7は横動枠4を横動させることにより針落ち位置1aに対して選択移動を自在に構成されており、
さらに夫々の多針ミシンBの手前には、多針ミシンBの針落ち位置1aに対してシークインを次々と供給できるようにしてあるシークイン供給装置Eを備えさせており、
上記のシークイン供給装置Eは、自体の主要枠54を多針ミシンBの基枠Aで支える為に多針ミシンBの基枠Aから手前側77に向けて持ち出し状に構成された支持機構36と、主要枠54の上部において回動自在に備えさせてあるリール66と、主要枠54の下部においてリール66から延出させた帯状のシークインS1を次々と上記多針ミシンBの針落ち位置1aに供給するようにしてあるシークイン供給機構70とを備えているシークイン供給装置Eを備える多針ミシンBにおいて、
上記支持機構36は、多針ミシンBの側方において機枠Aに固着された状態で配置され、多針ミシンBに向けて長く形成してある軌条38であって、その軌条38に対しては、軌条の長手方向に向けての長く形成した案内溝39cが備えさせてある軌条38と、
軌条38に対して、軌条の長手方向に向けて往復移動を自在に装着してある基台機構40であって、その装着状態は、基台機構40における移動部材41の軌条対向面に、上記軌条38に備えさせてある案内溝39cに遊嵌状に係合させる係合突起47が備えさせてある基台機構40と、
多針ミシンBの横動枠4により支持する針棒列の全域W1を直線的に大きく往復動させて全ての針棒7を針落ち位置1aに選択移動可能にさせるために、多針ミシンBの手前側に横動枠挿入空間46を形成するように多針ミシンBの前面B1から離した位置に配設してある横持出アーム45とを備え、
上記横持出アーム45の先部は、上記シークイン供給装置Eの主要枠54に対して連結すると共に横持出アーム45の元部は上記基台機構40における移動部材41に連結して、上記基台機構40を軌条38に沿って進退させることによって、上記シークイン供給装置Eを供給位置79と、多針ミシンBの手前側を開放させる退避位置80とに移動を可能にしたものであればよい。
【0011】
また好ましくは、本発明におけるシークイン供給装置を備える多針ミシンは、
基枠Aに備えさせた多針ミシンBにおける回動枠4に対して複数の針棒7が上下動自在に並設され、各針棒7は回動枠4を回動させることにより針落ち位置1aに対して選択移動を自在に構成されており、
さらに夫々の多針ミシンBの手前には、多針ミシンBの針落ち位置1aに対してシークインを次々と供給できるようにしてあるシークイン供給装置Eを備えさせており、
上記のシークイン供給装置Eは、自体の主要枠54を多針ミシンBの基枠Aで支える為に多針ミシンBの基枠Aから手前側77に向けて持ち出し状に構成された支持機構36と、
主要枠54の上部において回動自在に備えさせてあるリール66と、主要枠54の下部においてリール66から延出させた帯状のシークインを次々と上記多針ミシンBの針落ち位置1aに供給するようにしてあるシークイン供給機構70とを備えているシークイン供給装置Eを備える多針ミシンBにおいて、
上記支持機構36は、多針ミシンBの側方において機枠Aに固着された状態で配置され、多針ミシンBに向けて長く形成してある軌条38と、軌条38に対して、軌条の長手方向に向けて往復移動を自在に構成されている基台機構40と、元部は上記基台機構40に連結し、先部は、上記シークイン供給装置Eの主要枠54に対して連結する横持出アーム45とを備え、
上記基台機構40を軌条38に沿って進退させることによって、上記シークイン供給装置Eを供給位置79と、多針ミシンBの手前側を開放させる退避位置80とに移動を可能に構成したものである。
【発明の効果】
【0012】
以上のように本発明にあっては、
多針ミシンBにおける横動枠4に対して複数の針棒7が上下動自在に並設され、各針棒7は横動枠4を横動させることにより針落ち位置1aに対して選択移動を自在に構成されており、一方、シークインを次々と多針ミシンBの針落ち位置1aに供給するようにしてあるシークイン供給装置Eは、自体の主要枠54を多針ミシンBの基枠Aと同じ基枠Aで支えて、実質的に不動の状態で支え、シークインを安定した状態で供給できる特長があり、多針ミシンBにおいては針落ち位置1aに複数の針棒7を選択移動させて異なる多色の色糸を変更しながら、上記シークイン供給装置Eから安定した状態で供給されるシークインを、多色の色糸で縫い付け、カラフルな製品を提供できる効果がある。
【0013】
さらに、シークイン供給装置Eを支持する為の支持機構36における支持状態は、多針ミシンの横動枠4により支持する針棒列の全域W1を直線的に大きく往復動させて全ての針棒7を針落ち位置1aに移動させうるように、多針ミシンBの手前側に横動枠挿入空間46が形成されるように、即ち、横持出アーム45を、多針ミシンBの前面B1から離して配設してあるから、多針ミシンBの横動枠4により支持する針棒列の数を大幅に増やして色糸の数を増やして、多色の色糸を変更利用してシークインのカラフルな縫い付けを可能にする効果がある。
【0014】
さらに本発明にあっては、多針ミシンBの手前側に横持出アーム45を配設するものであっても、横持出アーム45は、機枠Aに固着されている軌条38に対して、軌条の長手方向に移動を可能に連結されているものであるから、糸替えのときなど、多針ミシンBの手前側を開放させたいときには、シークイン供給装置Eと一緒に、側方の退避位置80に移動させることができ、糸替え作業などの多針ミシンBの手前側での作業空間の確保に便利な効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】シークイン供給装置を省略したスライド式多針ミシンの正面図。
【図2】スライド式多針ミシンについて、内部の動作を説明するための破断図。
【図3】多針ミシンを支持する為の機枠に対して支持機構を介して装着されているシークイン供給装置の右側面図で、機枠と、多針ミシンの一部と、支持機構の一部は省略した図。
【図4】多針ミシンを支持する為の機枠に対して支持機構を介して装着されているシークイン供給装置の左側面図で、機枠と、多針ミシンの一部と、支持機構の一部は省略した図。
【図5】図3のV−V線端面図。
【図6】多針ミシンを支持する為の機枠に対して支持機構を介して装着されているシークイン供給装置の右側面図で、機枠と、多針ミシンの一部と、支持機構の一部は省略した図であって、主要枠における主枠を上昇位置にした図。
【図7】スライド式多針ミシンと、多針ミシンの手前側に配置したシークイン供給装置の位置関係を説明する為の略示正面図。
【図8】スライド式多針ミシンと、多針ミシンの手前側に配置したシークイン供給装置の位置関係を説明する為の略示平面図。
【図9】機枠と、アーム部材と、軌条と、基台機構との関係を示す為の図8のIX−IX位置の略示断面図。
【図10】スライド式多針ミシンと、多針ミシンの手前側に配置したシークイン供給装置を2セット備えさせた場合の図で、(A)は略示正面図、(B)は略示平面図。
【図11】図8とは支持機構の異なる例を説明する為の略示平面図。
【図12】(A)図は軌条、(B)図は基台機構、(C)図は横持出アームの各部分正面図。
【図13】機枠と、アーム部材と、軌条と、基台機構と、横持出アームとの関係を示す為の図11の右側面図(一部において、2本のロック溝39d、39dと、一本の案内溝39eと、突起47、係合突起48との関係を表わす為に破断してある)。
【図14】シークイン供給装置の一部を省略した多頭のロータリー式多針ミシンの正面図。
【図15】ロータリー式多針ミシンについて、内部の動作を説明するための破断図。
【図16】ロータリー式多針ミシンと、多針ミシンの手前側に配置したシークイン供給装置の位置関係を説明する為の略示平面図。
【図17】(A)図は軌条、(B)図は基台機構、(C)図は横持出アームの部分正面図。
【図18】機枠と、アーム部材と、軌条と、基台機構と、横持出アームとの関係を示す為の図16の右側面図(一部において、2本のロック溝39d、39dと、一本の案内溝39eと、突起47、係合突起48との関係を表わす為に破断してある)。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
図1、図2は、基枠Aに多針ミシン(刺繍ミシン)Bを備えさせた例を示す。多針ミシン(スライド式多針の刺繍ミシン)Bにあっては、複数の針棒7が並列され、各針棒7は針落ち位置1aに対して選択移動を自在に構成されている点の技術的事項を説明する為のものであり、特許文献2によって開示されている刺繍縫製を可能にする多針ミシンと同様の機能を発揮できる構成を示すものである。
【0017】
図1、図2において、符号1〜32は多針ミシンBにおける周知の構成(例えば特許文献2参照)を示すもので、
1はベッドの存在を示し、図では針板を示す。2はミシンのヘッドを示す。3はヘッドの固定フレームである。図1の多針ミシンBは、複数の針棒7を、一定の場所で直線的に往復動する横動枠4に対して夫々上下動自在に並設する構成である。
符号4〜17は針棒機構(針棒7及びそれと関連をもって作動する部材から成る機構を本件明細書中では針棒機構と呼ぶ)を構成する部材を示す。4は正面から見て四角な枠状に形成されている針棒保持枠(横動枠)で、フレーム3の前部において横動を自在にしてある。横動枠4の支持の構成は、フレーム3の前部寄りの部分に図示のように横設されているレール3bに対して、横動枠4の中間枠4bの下側に備えさせた摺動部材4cを乗載して横動を自在にしてある。横動枠4の下枠4dの一部は、図2のようにフレーム3の下部に備えさせた押さえ部材3fとローラ3eとで挟まれて前後方向の振動止めが行われている。
4fは図示外の糸替え機構に連なるロッドを示し、これの進退により、横動枠4の進退を制御する。
【0018】
7は針棒で、保持枠4の下枠部材4dに対して多数本が直線的に並べて配設してあり(図2では針落ち位置(針孔1aの位置)の上方に到来しているもののみを示した)、各々は保持枠4に対して上下動自在となっている。9は縫製用の針である。11は布押えを支えるための部材で、14は部材11と一体形成した布押えで、下端に押え部15を備える。16は針棒7及び布押えを上昇させるためのばね、17は針棒上昇用のばねである。
【0019】
次に20は針棒7を上下動させるための駆動機構を示し、符号21〜28で示される部材によって構成してある。
21は案内棒を示し、フレーム3に対して取付けてある。23は案内棒21に上下動自在に装着した昇降体で、針棒7を押えるための針棒押え23aを有する。
24はミシン主軸を示す。もし同時に複数の多針ミシンBを作動させて能率よく縫製する場合には、他の主軸と一体化したものを用いる。
25は主軸24の回転運動を上下運動に変換して昇降体23を上下動させる為の機構で、梃子クランク機構を例示し、26は主軸24に取付けた偏心輪(円盤状のクランク)、26aはクランクロッド、27はレバーで、一端をフレーム3に枢着してあり、中間部にクランクロッド26aが連結してある。28はレバー27と昇降体23とを連結するリンクである。
【0020】
次に4eは天秤保持枠で、枠体4の側壁4eを利用し、この側壁4eに対して、図示外の複数の糸立てから夫々複数の針9に至る糸を上げ下げする為の上下動自在の天秤を装着してある。天秤30の数量は各針9の数に対応させて設けてある。31は針落ち位置1aの上方に到来した針9に対応する天秤を選択的に駆動する天秤駆動機構を示し、周知のように主軸24の回動によりその回動を天秤の上下動に伝達する為のものである。33は周知のように構成されている天秤掛止板を示す。尚天秤30から針9に至る間には、周知のように適数個所に糸ガイドが配設されている(図示省略)。
【0021】
上記構成のものにあっては、主軸24の回動により昇降体23が上下動されると、針落位置上方に選択移動せられて位置している針棒7が上下動され、それと連動して布押え14が上下動される。又対応天秤30が上下動され、ベッド下では釜が作動される。
これらの作動により、周知の如く縫製が行われる。色糸を変更する場合は、多針ミシンBにおける横動枠4に対して複数の針棒7が上下動自在に並設されているので、周知のように糸替え機構に連なるロッド4fを作動させ、横動枠4を横動させることにより針落ち位置1aに対して任意の針棒7は選択移動され、周知の如く相互に異色の糸で夫々縫製が行われる。
【0022】
次に、図1、図2に示される多針ミシンBの前(手前側)の針落位置1aに対してシークインを供給できるように配置されるシークイン供給装置Eは、図3以降の図に表れており、夫々の多針ミシンBの手前にあって、対応する多針ミシンBの針落ち位置1aに対してシークインを次々と供給できるようにしてある。
各シークイン供給装置Eの構成は、周知の構成(例えば特許文献1参照)と同様に、主要枠54を安定的に支持する為の支持機構36と、支持機構36によって支持される主要枠54におけるガイドレール55と、ガイドレールに支えられた状態で上下動する主枠60と、主要枠54における主枠60の上部に装着されるリール66と、主枠60の下部に装着されるシークイン供給機構70等の機能、構成を備える。
【0023】
上記支持機構36は、硬質材(例えば金属材料)で形成されており主要枠54を支える為に多針ミシンBの側方に位置する基枠Aから手前側77に向けて持ち出し状に形成されている。
上記支持機構36において、37は元部を多針ミシンBの機枠Aに固着し、手前側自由端では軌条38を固着状態で支持しているアーム部材を示す。
上記支持機構36における軌条38は、多針ミシンBの側方において、図7、図8のように多針ミシンBに向けて長く形成する態様でもって、機枠Aに固着された状態で配置されている。軌条38の横幅寸法は、図7、図8の実線で描かれた供給機構70が、一点鎖線で描かれた供給機構70の退避位置80に向けて往復動作可能な長さに設定してある。
言葉を換えると、多針ミシンBの横動枠4により支持する針棒列の全域W1を直線的に大きく往復動させて全ての針棒7を針落ち位置1aに選択移動可能にさせるために、多針ミシンのカバーB2の右端が、一点鎖線で描かれた位置に向けて往復動作することを妨げない長さに設定してある。
なお上記の動作を可能にする為には、多針ミシンのレール3bの手前側と、横持出アーム45との間に図8に示すような多針ミシンのカバーB2の右端が進入する為に必要な横動枠挿入空間46を形成する必要がある。そのため横持出アーム45は多針ミシンBの前面B1の移動軌跡から僅かに離れて位置するように配設してある。
【0024】
図7、図8に示す軌条38において、39aは、軌条38の上下方向の振動を防止する為の補強板を示し、39bはこれに一体的に合着させ(合着手段は任意であり、例えば図示のようにねじ材を多数用いて一体化させ)た軌条本体で、断面形状を図9のように台形(鳩尾状)とし、相手の当接部材42における図9のような蟻溝(底広溝)に対応させる断面形状にしてある。
【0025】
次に、図7、図8、図9に示す支持機構36において40は、上記軌条38に対応させる基台機構を示し、軌条38に対して、軌条の長手方向に向けて往復移動を自在に構成されている。
基台機構40における移動部材41の軌条38の側には、軌条の長手方向の前後複数個所において夫々軌条38の上下両面に夫々当接する状態で往復移動を自在に構成されている複数の当接部材42、42が形成されている。
図面において、基台機構40における41は、2つの当接部材42を着脱自在に一体化させるように固着した(例えばボルトを用いて一体化させた)状態で備える移動部材で、これには図8,図9のように連結部材44を介して連結離脱を自在に横持出アーム45が連結されている。なおそれらの連結状態はボルトなどを用いて周知の手段により連結すればよい。
当接部材42には前述したように蟻溝(底広溝)が形成されており、蟻溝の一方の側壁(例えば上側)には軌条本体39bの一方の側壁が当接して当接点43を構成し、また蟻溝の他方の側壁(例えば上側)には軌条本体39bの他方の側壁に当接させる当接点43が構成されていることになる。さらに、軌条38の長手方向の前後複数個所に設けた当接部材42の相互の部材は、予め一体化させたものであってもよい。
従って、移動部材41においては、軌条38の長手方向の前後複数個所(2個所以上)において、夫々軌条本体39bの上側の部分と、下側の部分に夫々圧接状態で接する当接点43、43、43、43が設けられていることになるので、図7、図8の状態において横持出アーム45が長く延出してあっても、シークイン供給装置Eの供給機構70が、実質的に上下方向に大きく振動するような事態は避けることが出来る。なお上記移動部材41に付設する上下2つの当接部材42、42は図示のように別体にしたものでもよいし、また、前後別体のものとして例示した当接部材42、42は、離れた位置のまま一体化したものでもよい。さらに4つの当接点43を構成する為には当接部材42は、4つの車輪で夫々構成してあってもよい。
【0026】
次に、シークイン供給装置Eの主要枠54に関して説明する。上記横持出アーム45の先部は、上記シークイン供給装置Eの主要枠54に対して連結すると共に横持出アーム45の元部は上記基台機構40に連結して、上記基台機構40を軌条38に沿って進退させることによって、上記シークイン供給装置Eを供給位置79(図8に実線で示す位置)と、多針ミシンBの手前側を大きく開放させる退避位置80(図8に一点鎖線で示す位置)とに移動を可能に構成してある。
【0027】
主要枠54において主枠支持用のガイドレール55は、支持機構36に対して傾斜状態を維持する状態で連結されていて斜め上方に向けて延びている(図3参照)。
ガイドレール55において、56aは、図示のように斜めに配設されている主部材で、元部57は横持出アーム45に固着してある。この主部材56aには、主枠60の摺動部材62を斜め上方に向けて往復動自在に案内できるように、レールのように形成した案内部材56bが一体的に添え付けられている。
【0028】
主枠60は、ガイドレール55によって上方の手前寄りの上昇位置78(図6参照)と、下方の針落ち位置1a寄りの供給位置79(図3、図4参照)との間を上下方向に摺動を自在に支持されている。
主枠60におけるガイドレール55に対向する側には、補助材61を介して摺動部材62が固着してあり、この摺動部材62を案内部材56bに沿って上下動させることにより、主枠60は上下方向に往復動作する。63は、主枠60を駆動する為の昇降機構として例示する流体シリンダーで、ガイドレール55には筒体63aが、主枠60にはロッド63bが固着され、ロッド63bの相対的な伸縮により主枠60は図3と、図6の位置に上下動する。
【0029】
帯状のシークインS1が大量に巻かれているリール66は、多針ミシンBにおける天秤の上下往復動作に伴う糸の振幅動作を妨げないように多針ミシンBの天秤30の位置よりも手前側77に位置させるように(図4参照)、斜めに上昇する主枠60の上部において回動自在に備えさせてある。67はリール66の枢支軸を示し、 68は帯状のシークインS1を案内するためのガイドローラーを示す。
【0030】
夫々のリール66から延出させた帯状のシークインS1を次々と夫々の多針ミシンBの針落ち位置1aに供給するようにしてある各シークイン供給機構70は、図3〜図6に表れているように夫々の主枠60の下部に備えさせてある。
シークイン供給機構70の構成は周知のように、モーター72を回動させることによって、リンク(往復動作機構)73を作動させ、往復動作送り爪74を進退作動させる。この場合、送り爪74の前進により、シークインの孔に爪先を入れてシークインを前進させ、送り爪74の後退時はシークインの上を滑らせて後退させる。このようにして帯状のシークインS1を次々と針落ち位置1aに供給する。針落ち位置1aに供給された帯状シークインS1の先頭は、針棒7の下降によって作動される切断刃物75により切断され、単独の「シークイン」となって、布の上に位置し、下降してくる針9に付されている糸により布に対して縫い付けられる。なお当然のことながら上記リンク73、送り爪74、切断刃物75、針9等の動作はタイミングよく同期させてある。
【0031】
なお、上記シークイン供給装置Eの構成に関してはアームによって支持されているガイドレール55、ガイドレールに支えられた状態で上下動する主枠60、主枠60の上部に装着されるリール66、主枠60の下部に装着されるシークイン供給機構70等の構成は特許文献1に開示されている構成と同じ構成を用いて説明したが、シークイン供給装置Eの構成に関しては、他の周知の構成、例えば複数系列のシークイン送りユニットを選択的に切り替えて使用をする技術的事項が開示されている特開2008−114049号公報の技術的事項、或いは特開2009−39538号公報開示の技術的事項を利用してもよい。
【0032】
次に、前出の図7、図8、図9における多針ミシンBと、シークイン供給装置Eとの位置関係において異なる例を示す図10(A)(B)について以下説明する。
なお、本件の発明を実施するための形態の項における図面の説明に当たっては、前出の図に対する後出の図面の説明において、前出の図と同符号を用いた構成、部材等の機能、性質、手段又は特徴等は、以下の説明に於て加える新規な部材の構成、組合せ等の説明に係わる事項を除き、前出の図の同符号のものについての説明と同旨である。よって、前出の図に対する後出の図面の説明においては重複する説明は一部省略する。
【0033】
図10(A)(B)に示される多針ミシンB、Bは、一つの基枠Aに対して2台を並設した例を示すものである。この場合、2台の多針ミシンB、Bを近づけて並設すると、夫々の多針ミシンBに付設するシークイン供給装置Eの支持機構36は図示のように多針ミシンBの外側に位置することになる。なお2台の多針ミシンB、Bは、相互の横動枠4、4が干渉しない範囲で近づけることが出来る。また、一般的には2台の多針ミシンB、Bは、連動させ、相互の横動枠4、4は同期して左右動作するので、横動枠4、4の相互間の間隙は僅かなもので良い。
【0034】
次に、図7、図8における支持機構36とは異なる支持機構36の例を示す図11、図12、図13について説明する。
上記図11、図12、図13の支持機構36において、37は元部を多針ミシンBの機枠Aに固着し、手前側自由端では軌条38の元部38bを固着状態で支持しているアーム部材を示す。
上記支持機構36における軌条38は、多針ミシンBの側方において、図11のように多針ミシンBに向けて長く形成する態様でもって、機枠Aに固着された状態で配置されている。図11の軌条38の横幅寸法は、実線で描かれた供給機構70が、一点鎖線で描かれた供給機構70の退避位置80に向けて往復動作可能な長さに設定してある。そして、多針ミシンBの手前側の空間を広くして、そこでの布の取り扱いを容易化してある。
言葉を換えると、多針ミシンBの横動枠4により支持する針棒列の全域W1を直線的に大きく往復動させて全ての針棒7を針落ち位置1aに選択移動可能にさせるために、多針ミシンのカバーB2の右端が、破線で描かれた位置に向けて往復動作する場合にも対応できるようにしてある。
なお上記の動作を可能にする為には、図11のように多針ミシンのレール3bの手前側と、横持出アーム45との間に図11に示すような多針ミシンのカバーB2の右端が進入する為に必要な横動枠挿入空間46を形成する必要がある。そのため横持出アーム45は多針ミシンBの前面B1の往復移動軌跡から僅かに離れて位置するように配設してある。
【0035】
次に、軌条38において、図12に表れている39cは、平坦な硬質材である板状材で形成した軌条本体で、これには軌条38の長手方向に長い2本のロック溝39d、39dと、一本の案内溝39eが平行状態で形成してある。
【0036】
次に、上記支持機構36において、軌条38に対しては、軌条の長手方向に向けて往復移動を自在に基台機構40が装着してある。その装着状態は、基台機構40における移動部材41の軌条対向面に、上記軌条38に備えさせてあるロック溝39dに遊嵌状に係合させる係合突起48(例えばボルト)と、案内溝39eに対応させて挿入してある突起47(例えば元部を図示のように移動部材41に螺合させてある突起)とを備えさせることにより基台機構40を軌条38に沿って往復移動させるようにしてある。移動部材41は平坦な硬質材である板状材で形成し、上記軌条38の一面(手前側の面)38cに対向密着摺動させる状態でもって軌条38の長手方向に向けて往復移動を自在に構成するものである。
【0037】
基台機構40の移動部材41における軌条38の一面38cに対向させる部分には、 上記2本のロック溝39d、39dと、一本の案内溝39eの位置に対応させ、それらの各溝39d、39d、39eに対して夫々挿入可能に、 図13に表れているように締付用のねじ棒48、48及び係合突起47を備えさせる。移動部材41に対する係合突起47の装着手段は任意であるが、例えば図示のように移動部材41に雌ねじ孔を設け、軌条38の他面から移動部材41の往復動を阻害しない程度にボルトを植え込み状に止めてもよい。また、締付用のねじ棒48は図13に表れているように軌条38の他面に、上下に雌ねじ孔を備えるプレート38aを当て付け、これらの雌ねじ孔に対して図13のように手前側から奥に向けて溝39d、39dを貫通する状態で締付ボルト48、48を差し込み、軽く螺合させることにより移動部材41は軌条38の一面38cに対して往復動自在に装着される。
【0038】
上記構成にあっては、軌条38と基台機構40の移動部材41とを一体化させてあった締付用のねじ棒48を僅かに弛めることにより、この締付用のねじ棒48を係合用の突起として利用し、軌条38に対して一定の軌跡で、移動部材41を、シークイーン供給装置Eの供給機構70と共に、図11の左端でも、右端でも自由に移動させることが出来る。
特にねじ棒48をロック溝39dの左端の移動先39gに移動させた場合においては、ここが停止位置になって、シークイーン供給装置Eの供給機構70が、正しく供給位置79に位置する。そしてそこでは上下方向に不動状態(振動しない状態)になる事が好ましいので、上下二本の突起の役割をしていた締付用のねじ棒48を強く締め付け、軌条38と移動部材41を固着一体化させる事により供給機構70の上下の振動を実質的になくするように操作すると良い。
なお、供給機構70を長い時間退避操作しない場合には、軌条38と移動部材41とを図示外の任意の連結用部材を加えて図11の状態を一次的に固定するようにしてもよい。
なお、図面において、基台機構40における41は、移動部材で、これには図11のように連結部材44を介して連結離脱を自在に横持出アーム45が連結されている。それらの連結状態はボルトなどを用いてもよいが、かしめ付け手段、熔接等、周知の手段により連結すればよい。
【0039】
次に多針ミシンのタイプが異なる例について説明する。図1、図2に示される多針ミシンとは、横動する枠4の構成が異なるロータリー式多針ミシンについて説明する。即ち、図1、図2に示される多針ミシンの複数の針棒群を支持する枠4は直線的な往復動を行う構成であったのに対し、図14〜図19に表れる多針ミシンはロータリー式であって、針棒群を支持する枠4が回動するタイプの多針ミシンの例(特許文献3参照)に関するものである。
【0040】
以下ロータリ式多針ミシンの実施の形態を図面を用いて説明する。
図14、図15は、基枠Aに複数の多針ミシン(刺繍ミシン)Bを連動可能に並列させて多頭ミシンを構成した例を示す。これらの図面は、夫々の多針ミシン(ロータリー式多針の刺繍ミシン)Bにあっては、複数の針棒7が並列され、各針棒7は針落ち位置1aに対して選択移動を自在に構成されている点の技術的事項を説明する為の図面で、特許文献3によって開示されている刺繍縫製を可能にする多針ミシンと同様の機能を発揮できる構成を示すものである。
【0041】
図において、符号1〜32は多針ミシンBにおける周知の構成(例えば特許文献3参照)を示すもので、
1はベッドの存在を示し、図では針板を示す。2はミシンのヘッドを示す。3はヘッドのフレームである。図1の多針ミシンBは、複数の針棒7を、一定の場所で回動軌跡を描く回動枠4に対して夫々上下動自在に並設する構成であるから、複数の多針ミシンを狭い間隔で配設することができる。例えば、周知の多針ミシンBにおいて240mmの間隔で配設されている場合、相互間の距離を60mm位に狭くすることができる。
符号4〜17は針棒機構(針棒7及びそれと関連をもって作動する部材から成る機構を本件明細書中では針棒機構と呼ぶ)を構成する部材を示す。4は針棒保持枠(回動枠)で、フレーム3に対しベアリング5,6でもって水平回動自在に取付けてある。4aは糸ガイドである。7は針棒で、保持枠4に対して多数本が保持枠4の回動中心を中心とする一つの円弧上に並べて配設してあり(図1、2では針落ち位置(針孔1aの位置)の上方に到来しているもののみを示した)、各々は保持枠4に対して上下動自在となっている。9は縫製用の針である。11は布押えを支えるための部材で、上下のガイド部12,13を針棒7に対して上下動自在に装着してある。14は部材11と一体形成した布押えで、下端に押え部15を備える。16は針棒7及び布押えを上昇させるためのばね、17は針棒上昇用のばねである。
【0042】
次に20は針棒7を上下動させるための駆動機構を示し、符号21〜28で示される部材によって構成してある。
21は案内棒を示し、保持枠4の回動中心に設けられている。該案内棒21は針棒保持枠4の回動を後述の天秤保持枠に伝達するための部材でもあり、フレーム3に対し回動自在に取付けてある。21aは針棒保持枠4から案内棒21に回動を伝達するための伝達部材である。22はフレーム3と案内棒21との間の耐磨耗性を向上する為にフレーム3に取付けたスリーブである。23は案内棒21に上下動自在に装着した昇降体で、針棒7を押えるための針棒押え23aを有する。24はミシン主軸を示し、同時に複数の多針ミシンBを作動させて能率よく縫製するためのものである。従って、複数の多針ミシンBの夫々においては、夫々針棒7を選択移動させて、多色の色糸を変更しながら、夫々連動させて、シークインをカラフルな色糸で縫い付けできる。
25は主軸24の回転運動を上下運動に変換して昇降体23に伝える為の機構で、梃子クランク機構を例示し、26は主軸24に取付けた偏心輪(円盤状のクランク)、26aはクランクロッド、27はレバーで、一端27aをフレーム3に枢着してあり、中間部にクランクロッド26aが連結してある。28はレバー27と昇降体23とを連結するリンクである。
【0043】
次に29は天秤保持枠で、フレーム3に対し水平回動自在に取付けられ、上記案内棒21を回動の伝達杆として利用して上記針棒保持枠4に対して一体化移動自在に連結してある。30は針9に至る糸を上げ下げする為の上下動自在の天秤で、各針9に対応させて設けてあり各々は天秤保持枠29に取付けてある。31は針落ち位置1aの上方に到来した針9に対応する天秤を選択的に駆動する天秤駆動機構を示し、周知のように主軸24の回動によりその回動を天秤の上下動に伝達する為のものである。
32は複数が並列されている糸ガイドで、天秤30及び針棒7と一体的に水平回動させるために上記天秤保持枠29に取付けてある。
尚Tは天秤30から針9に至る多数の糸の存在を示す。
【0044】
上記構成のものにあっては、主軸24の回動により昇降体23が上下動されると、針落位置上方に選択移動せられて位置している針棒7が上下動され、それと連動して布押え14が上下動される。又対応天秤30が上下動され、ベッド下では釜が作動される。
これらの作動により、周知の如く縫製が行われる。色糸を変更する場合は、多針ミシンBにおける回動枠4に対して複数の針棒7が上下動自在に並設されているので、周知のように回動枠4を回動させることにより針落ち位置1aに対して任意の針棒7は選択移動され、周知の如く相互に異色の糸で夫々縫製が行われる。
【0045】
さらに上記構成にあっては、複数の多針ミシンBの夫々が、一定の場所で夫々回動軌跡を描く回動枠4に対して、複数の針棒7を夫々上下動自在に並設し、各針棒7は回動枠4を回動させることにより一定のコンパクトな回動軌跡を描いて針落ち位置1aに選択移動するように構成するものであるから、上記複数の多針ミシンBにおける夫々の横幅は狭小にでき、隣接相互間は近づけて配置することができるので、設置場所における全体の横幅方向の専有面積を小型化できる効果がある。
その上、各針棒7は回動枠4を回動させることにより一定のコンパクトな回動軌跡を描いて針落ち位置1aに選択移動するものであるから、図16から明らかなように、シークイン供給装置Eの供給位置79と、多針ミシンBの手前側を開放させる退避位置80との移動距離w2は極めて短くなり、その結果、横持出アーム45の持出寸法w3も短くなり、横持出アーム45の荷重負担も少なく、横持出アーム45に対する振動防止手段も簡易になる。
【0046】
次に、図14及び図16、17、18に示す支持機構36は、複数セットの支持機構36の内の一つのセットを示すものである。37は、複数の内の一つのアーム部材で、図示のように元部を、図14の多頭並設する多針ミシンB、B・・・Bの間に夫々位置する基枠Aに対して任意の手段により夫々固着してある。基枠Aとしては、基枠Aに連なるヘッドの固定部分であるフレーム3に対してアーム部材37の元部を固着したものであっても良い。
【0047】
次に、図14〜図18に表れているシークイン供給装置E(支持機構36(符号36〜48が付されている構成、部材、手段等)を含む)について説明する。これらの支持機構36を含むシークイン供給装置Eは、上記図11、図12、図13の支持機構36を含むシークイン供給装置Eと、構成が似ており、図11の軌条38の横幅寸法と、横持出アーム45を短かくしたものであり、実質的に同一の構成を開示するものである。
よって、図14〜図18の説明においては、前述の図11〜図13と同符号を用いた構成、部材等の機能、性質、特徴等は、前述した図11〜図13の説明と同旨であるので、重複する説明は一部省略する。
【0048】
次に、支持機構36における軌条38と、基台機構40との組み合わせに関する構成として、図8、11に示されている軌条38と、基台機構40の組み合わせに関して説明したが、従来より知られているリニアガイドウエイにおけるレールと、そのレールに対して移動自在にしてあるブロックに係わる構成を置き換えて利用してもよい。
【符号の説明】
【0049】
A・・・機枠(基枠)、
B・・・多針ミシン、
S・・・シークイーン、
E・・・シークイーン供給装置、
1・・・ベット、
1a・・・針落ち位置、
2・・・ヘッド、
3・・・ヘッドのフレーム、
4・・・回動枠(横動枠)
7・・・針棒、
20・・・駆動機構、
36・・・支持機構、
37・・・アーム部材、
38・・・軌条、
39a・・・補強板、
39b・・・軌条本体、
40・・・基台機構、
41・・・移動部材、
42・・・当接部材、
43・・・当接点、
44・・・連結部材、
45・・・横持出アーム、
46・・・挿入用空間、
47・・・・係合突起 、
48・・・ねじ棒48
54・・・主要枠
55・・・ガイドレール、
56a・・・主部材、
56b・・・案内部材、
57・・・元部、
58・・・孔、
59・・・ボルト、
60・・・主枠部材、
61・・・補助材、
62・・・摺動部材、
63・・・昇降機構、
66・・・リール、
66a・・・手前側部分
67・・・枢支軸、
68・・・ガイドローラー、
70・・・供給機構、
72・・・モーター、
73・・・リンク(往復動作機構)、
74・・・往復動作送り爪、
75・・・切断刃物、
77・・・手前側(作業者77aが居る方向)、
78・・・上昇位置、
79・・・供給位置、
80・・・退避位置(斜め上昇位置)、
81・・・作業空間、
82・・・正面位置
【技術分野】
【0001】
刺繍縫製を可能にする多針ミシンと、上記多針ミシンにおける針落孔に対してシークインを次々と供給できるシークイン供給装置とを備え、シークインを上記多針ミシンでもって次々と縫付けることができるシークイン供給装置を備える多針ミシンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、夫々は刺繍縫製を可能にする多針ミシンと、上記多針ミシンにおける針落孔に対して夫々シークインを次々と供給できるシークイン供給装置を備え、シークインを上記多針ミシンでもって次々と縫付けることができるシークイン供給装置を備える多針ミシンは広く知られている。例えば特許文献1においては夫々シークイン供給装置を備える刺繍用多針ミシン等が、特許文献2においては刺繍縫製を可能にする刺繍用の多針ミシンが知られている。
【0003】
上記特許文献1において、シークイン供給装置を備える多針ミシンの構成は、基枠(機枠)に対して多針ミシン(刺繍ミシン)が備えられていて、多針ミシンにあっては、ヘッドの横動枠に対して複数の針棒が上下動自在に並設され、各針棒は横動枠を左右に横動させることにより針落ち位置に対して選択移動を自在に構成されている。さらに多針ミシンにあっては、その内の側方の1本の針棒の手前に、シークイン供給装置を備えさせ、シークイン供給装置を利用する場合には、多針ミシンの上記側方の1本の針棒と、シークイン供給装置とを針落ち位置に対して移動させ、対応する多針ミシンの針落ち位置に対してシークインを次々と供給して、布にシークインを縫付けできるようにしてある。そして、
シークイン供給装置は、自体のガイドレールを支える為に多針ミシンの横動枠に連なる側方の枠部から手前側に向けて持ち出し状に形成されたアーム(フレーム)と、アームに対して傾斜状態を維持する状態で連結されていて斜め上方に向けて延びている主枠支持用のガイドレール(レール)と、ガイドレールによって上方の手前寄りの上昇位置と、下方の針落ち位置寄りの供給位置との間を上下方向に摺動を自在に支持されている主枠(昇降板)と、主枠の上部において、回動自在に備えさせてあるリールと、主枠の下部において、リールから延出させた帯状のシークイン(シークインを連ねたテープ)を次々と上記多針ミシンの針落ち位置に供給するようにしてあるシークイン供給機構(供給機構)とを備え、シークイン供給機構から繰り出す帯状のシークインの先端の1つずつを切り離して、上記刺繍ミシンで布に縫い付けるようにしてある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−342369号公報
【特許文献2】特開平2004−242972号公報
【特許文献3】特開平7−328273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この特許文献1に開示されている従来の「シークイン供給装置を備える多針ミシン」では、多針ミシンを作動させて側方の1本の針棒に付されている糸を用いて、シークイン供給装置から供給されるシークインを布に対して縫い付けできる利点がある。
【0006】
しかしながら、上記の特許文献1記載の「シークイン供給装置を備える多針ミシン」は、多針ミシンの横動枠に連なる側方の枠部に対して元部が固着されているアームを手前側に向けて持ち出し状に形成し、そのアームの先に主枠支持用のガイドレールが付され、そのガイドレールにシークイン供給機構を有する主枠が装着されているので、シークイーンの縫付け作業は、多針ミシンの複数の針棒の内、シークイン供給機構に対向する「端部の1本の針棒」しか利用できない問題点があった。
また、上記「端部の1本の針棒」の下部に付される針先の孔に糸を通す糸替え作業をする場合、シークイン供給装置の上方に存在する帯状のシークイン用の「大きなリール」が糸替え作業者の顔面に近づくことになり、これが目障りとなって、糸替え作業の能率を低下させる問題点があった。
【0007】
本件出願の目的は、多針ミシンにおける複数の針棒を針落ち位置に選択移動させて夫々異なる多色の色糸を変更しながらシークイン供給装置から供給されるシークインを、多色の色糸で縫い付けできるようにしたシークイン供給装置を備える多針ミシンを提供しようとするものである。
他の目的は、複数の針棒の夫々の下部に付される針先の孔に通してある色糸の色替え作業に先立ち、多針ミシンの針落ち位置の手前にあったシークイン供給装置を目障りにならない側方位置に退避させて、作業者に対して作業空間を広く感じさせるようになるシークイン供給装置を備える多針ミシンを提供しようとするものである。
他の目的及び利点は図面及びそれに関連した以下の説明により容易に明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明におけるシークイン供給装置を備える多針ミシンは、
基枠Aに備えさせた多針ミシンBにおける横動枠4に対して複数の針棒7が上下動自在に並設され、各針棒7は横動枠4を横動させることにより針落ち位置1aに対して選択移動を自在に構成されており、
さらに夫々の多針ミシンBの手前には、多針ミシンBの針落ち位置1aに対してシークインを次々と供給できるようにしてあるシークイン供給装置Eを備えさせており、
上記のシークイン供給装置Eは、自体の主要枠54を多針ミシンBの基枠Aで支える為に多針ミシンBの基枠Aから手前側77に向けて持ち出し状に構成された支持機構36と、
主要枠54の上部において回動自在に備えさせてあるリール66と、主要枠54の下部においてリール66から延出させた帯状のシークインS1を次々と上記多針ミシンBの針落ち位置1aに供給するようにしてあるシークイン供給機構70とを備えているシークイン供給装置Eを備える多針ミシンBにおいて、
上記支持機構36は、多針ミシンBの側方において機枠Aに固着された状態で配置され、多針ミシンBに向けて長く形成してある軌条38と、
軌条38に対して、軌条の長手方向に向けて往復移動を自在に構成されている基台機構40と、
多針ミシンBの横動枠4により支持する針棒列の全域W1を直線的に大きく往復動させて全ての針棒7を針落ち位置1aに選択移動可能にさせるために、多針ミシンBの手前側に横動枠挿入空間46を形成するように多針ミシンBの前面B1から離した位置に配設してある横持出アーム45とを備え、
上記横持出アーム45の先部は、上記シークイン供給装置Eの主要枠54に対して連結すると共に横持出アーム45の元部は上記基台機構40に連結して、上記基台機構40を軌条38に沿って進退させることによって、上記シークイン供給装置Eを供給位置79と、多針ミシンBの手前側を開放させる退避位置80とに移動を可能に構成したものである。
【0009】
また好ましくは、本発明におけるシークイン供給装置を備える多針ミシンは、基枠Aに備えさせた多針ミシンBにおける横動枠4に対して複数の針棒7が上下動自在に並設され、各針棒7は横動枠4を横動させることにより針落ち位置1aに対して選択移動を自在に構成されており、
さらに夫々の多針ミシンBの手前には、多針ミシンBの針落ち位置1aに対してシークインを次々と供給できるようにしてあるシークイン供給装置Eを備えさせており、
上記のシークイン供給装置Eは、自体の主要枠54を多針ミシンBの基枠Aで支える為に多針ミシンBの基枠Aから手前側77に向けて持ち出し状に構成された支持機構36と、主要枠54の上部において回動自在に備えさせてあるリール66と、主要枠54の下部においてリール66から延出させた帯状のシークインS1を次々と上記多針ミシンBの針落ち位置1aに供給するようにしてあるシークイン供給機構70とを備えているシークイン供給装置Eを備える多針ミシンBにおいて、
上記支持機構36は、多針ミシンBの側方において機枠Aに固着された状態で配置され、多針ミシンBに向けて長く形成してある軌条38と、
軌条38に対して、軌条の長手方向に向けて往復移動を自在に構成されている基台機構40であって、その基台機構40における移動部材41の軌条38の側には、軌条の長手方向の前後複数個所において夫々軌条38の上下両面に夫々当接する状態で往復移動を自在に構成されている複数の当接部材42、42を有する基台機構40と、
多針ミシンBの横動枠4により支持する針棒列の全域W1を直線的に大きく往復動させて全ての針棒7を針落ち位置1aに選択移動可能にさせるために、多針ミシンBの手前側に横動枠挿入空間46を形成するように多針ミシンBの前面B1から離した位置に配設してある横持出アーム45とを備え、
上記横持出アーム45の先部は、上記シークイン供給装置Eの主要枠54に対して連結すると共に横持出アーム45の元部は上記基台機構40に連結して、上記基台機構40を軌条38に沿って進退させることによって、上記シークイン供給装置Eを供給位置79と、多針ミシンBの手前側を開放させる退避位置80とに移動を可能に構成したものである。
【0010】
また好ましくは、本発明におけるシークイン供給装置を備える多針ミシンは、
基枠Aに備えさせた多針ミシンBにおける横動枠4に対して複数の針棒7が上下動自在に並設され、各針棒7は横動枠4を横動させることにより針落ち位置1aに対して選択移動を自在に構成されており、
さらに夫々の多針ミシンBの手前には、多針ミシンBの針落ち位置1aに対してシークインを次々と供給できるようにしてあるシークイン供給装置Eを備えさせており、
上記のシークイン供給装置Eは、自体の主要枠54を多針ミシンBの基枠Aで支える為に多針ミシンBの基枠Aから手前側77に向けて持ち出し状に構成された支持機構36と、主要枠54の上部において回動自在に備えさせてあるリール66と、主要枠54の下部においてリール66から延出させた帯状のシークインS1を次々と上記多針ミシンBの針落ち位置1aに供給するようにしてあるシークイン供給機構70とを備えているシークイン供給装置Eを備える多針ミシンBにおいて、
上記支持機構36は、多針ミシンBの側方において機枠Aに固着された状態で配置され、多針ミシンBに向けて長く形成してある軌条38であって、その軌条38に対しては、軌条の長手方向に向けての長く形成した案内溝39cが備えさせてある軌条38と、
軌条38に対して、軌条の長手方向に向けて往復移動を自在に装着してある基台機構40であって、その装着状態は、基台機構40における移動部材41の軌条対向面に、上記軌条38に備えさせてある案内溝39cに遊嵌状に係合させる係合突起47が備えさせてある基台機構40と、
多針ミシンBの横動枠4により支持する針棒列の全域W1を直線的に大きく往復動させて全ての針棒7を針落ち位置1aに選択移動可能にさせるために、多針ミシンBの手前側に横動枠挿入空間46を形成するように多針ミシンBの前面B1から離した位置に配設してある横持出アーム45とを備え、
上記横持出アーム45の先部は、上記シークイン供給装置Eの主要枠54に対して連結すると共に横持出アーム45の元部は上記基台機構40における移動部材41に連結して、上記基台機構40を軌条38に沿って進退させることによって、上記シークイン供給装置Eを供給位置79と、多針ミシンBの手前側を開放させる退避位置80とに移動を可能にしたものであればよい。
【0011】
また好ましくは、本発明におけるシークイン供給装置を備える多針ミシンは、
基枠Aに備えさせた多針ミシンBにおける回動枠4に対して複数の針棒7が上下動自在に並設され、各針棒7は回動枠4を回動させることにより針落ち位置1aに対して選択移動を自在に構成されており、
さらに夫々の多針ミシンBの手前には、多針ミシンBの針落ち位置1aに対してシークインを次々と供給できるようにしてあるシークイン供給装置Eを備えさせており、
上記のシークイン供給装置Eは、自体の主要枠54を多針ミシンBの基枠Aで支える為に多針ミシンBの基枠Aから手前側77に向けて持ち出し状に構成された支持機構36と、
主要枠54の上部において回動自在に備えさせてあるリール66と、主要枠54の下部においてリール66から延出させた帯状のシークインを次々と上記多針ミシンBの針落ち位置1aに供給するようにしてあるシークイン供給機構70とを備えているシークイン供給装置Eを備える多針ミシンBにおいて、
上記支持機構36は、多針ミシンBの側方において機枠Aに固着された状態で配置され、多針ミシンBに向けて長く形成してある軌条38と、軌条38に対して、軌条の長手方向に向けて往復移動を自在に構成されている基台機構40と、元部は上記基台機構40に連結し、先部は、上記シークイン供給装置Eの主要枠54に対して連結する横持出アーム45とを備え、
上記基台機構40を軌条38に沿って進退させることによって、上記シークイン供給装置Eを供給位置79と、多針ミシンBの手前側を開放させる退避位置80とに移動を可能に構成したものである。
【発明の効果】
【0012】
以上のように本発明にあっては、
多針ミシンBにおける横動枠4に対して複数の針棒7が上下動自在に並設され、各針棒7は横動枠4を横動させることにより針落ち位置1aに対して選択移動を自在に構成されており、一方、シークインを次々と多針ミシンBの針落ち位置1aに供給するようにしてあるシークイン供給装置Eは、自体の主要枠54を多針ミシンBの基枠Aと同じ基枠Aで支えて、実質的に不動の状態で支え、シークインを安定した状態で供給できる特長があり、多針ミシンBにおいては針落ち位置1aに複数の針棒7を選択移動させて異なる多色の色糸を変更しながら、上記シークイン供給装置Eから安定した状態で供給されるシークインを、多色の色糸で縫い付け、カラフルな製品を提供できる効果がある。
【0013】
さらに、シークイン供給装置Eを支持する為の支持機構36における支持状態は、多針ミシンの横動枠4により支持する針棒列の全域W1を直線的に大きく往復動させて全ての針棒7を針落ち位置1aに移動させうるように、多針ミシンBの手前側に横動枠挿入空間46が形成されるように、即ち、横持出アーム45を、多針ミシンBの前面B1から離して配設してあるから、多針ミシンBの横動枠4により支持する針棒列の数を大幅に増やして色糸の数を増やして、多色の色糸を変更利用してシークインのカラフルな縫い付けを可能にする効果がある。
【0014】
さらに本発明にあっては、多針ミシンBの手前側に横持出アーム45を配設するものであっても、横持出アーム45は、機枠Aに固着されている軌条38に対して、軌条の長手方向に移動を可能に連結されているものであるから、糸替えのときなど、多針ミシンBの手前側を開放させたいときには、シークイン供給装置Eと一緒に、側方の退避位置80に移動させることができ、糸替え作業などの多針ミシンBの手前側での作業空間の確保に便利な効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】シークイン供給装置を省略したスライド式多針ミシンの正面図。
【図2】スライド式多針ミシンについて、内部の動作を説明するための破断図。
【図3】多針ミシンを支持する為の機枠に対して支持機構を介して装着されているシークイン供給装置の右側面図で、機枠と、多針ミシンの一部と、支持機構の一部は省略した図。
【図4】多針ミシンを支持する為の機枠に対して支持機構を介して装着されているシークイン供給装置の左側面図で、機枠と、多針ミシンの一部と、支持機構の一部は省略した図。
【図5】図3のV−V線端面図。
【図6】多針ミシンを支持する為の機枠に対して支持機構を介して装着されているシークイン供給装置の右側面図で、機枠と、多針ミシンの一部と、支持機構の一部は省略した図であって、主要枠における主枠を上昇位置にした図。
【図7】スライド式多針ミシンと、多針ミシンの手前側に配置したシークイン供給装置の位置関係を説明する為の略示正面図。
【図8】スライド式多針ミシンと、多針ミシンの手前側に配置したシークイン供給装置の位置関係を説明する為の略示平面図。
【図9】機枠と、アーム部材と、軌条と、基台機構との関係を示す為の図8のIX−IX位置の略示断面図。
【図10】スライド式多針ミシンと、多針ミシンの手前側に配置したシークイン供給装置を2セット備えさせた場合の図で、(A)は略示正面図、(B)は略示平面図。
【図11】図8とは支持機構の異なる例を説明する為の略示平面図。
【図12】(A)図は軌条、(B)図は基台機構、(C)図は横持出アームの各部分正面図。
【図13】機枠と、アーム部材と、軌条と、基台機構と、横持出アームとの関係を示す為の図11の右側面図(一部において、2本のロック溝39d、39dと、一本の案内溝39eと、突起47、係合突起48との関係を表わす為に破断してある)。
【図14】シークイン供給装置の一部を省略した多頭のロータリー式多針ミシンの正面図。
【図15】ロータリー式多針ミシンについて、内部の動作を説明するための破断図。
【図16】ロータリー式多針ミシンと、多針ミシンの手前側に配置したシークイン供給装置の位置関係を説明する為の略示平面図。
【図17】(A)図は軌条、(B)図は基台機構、(C)図は横持出アームの部分正面図。
【図18】機枠と、アーム部材と、軌条と、基台機構と、横持出アームとの関係を示す為の図16の右側面図(一部において、2本のロック溝39d、39dと、一本の案内溝39eと、突起47、係合突起48との関係を表わす為に破断してある)。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
図1、図2は、基枠Aに多針ミシン(刺繍ミシン)Bを備えさせた例を示す。多針ミシン(スライド式多針の刺繍ミシン)Bにあっては、複数の針棒7が並列され、各針棒7は針落ち位置1aに対して選択移動を自在に構成されている点の技術的事項を説明する為のものであり、特許文献2によって開示されている刺繍縫製を可能にする多針ミシンと同様の機能を発揮できる構成を示すものである。
【0017】
図1、図2において、符号1〜32は多針ミシンBにおける周知の構成(例えば特許文献2参照)を示すもので、
1はベッドの存在を示し、図では針板を示す。2はミシンのヘッドを示す。3はヘッドの固定フレームである。図1の多針ミシンBは、複数の針棒7を、一定の場所で直線的に往復動する横動枠4に対して夫々上下動自在に並設する構成である。
符号4〜17は針棒機構(針棒7及びそれと関連をもって作動する部材から成る機構を本件明細書中では針棒機構と呼ぶ)を構成する部材を示す。4は正面から見て四角な枠状に形成されている針棒保持枠(横動枠)で、フレーム3の前部において横動を自在にしてある。横動枠4の支持の構成は、フレーム3の前部寄りの部分に図示のように横設されているレール3bに対して、横動枠4の中間枠4bの下側に備えさせた摺動部材4cを乗載して横動を自在にしてある。横動枠4の下枠4dの一部は、図2のようにフレーム3の下部に備えさせた押さえ部材3fとローラ3eとで挟まれて前後方向の振動止めが行われている。
4fは図示外の糸替え機構に連なるロッドを示し、これの進退により、横動枠4の進退を制御する。
【0018】
7は針棒で、保持枠4の下枠部材4dに対して多数本が直線的に並べて配設してあり(図2では針落ち位置(針孔1aの位置)の上方に到来しているもののみを示した)、各々は保持枠4に対して上下動自在となっている。9は縫製用の針である。11は布押えを支えるための部材で、14は部材11と一体形成した布押えで、下端に押え部15を備える。16は針棒7及び布押えを上昇させるためのばね、17は針棒上昇用のばねである。
【0019】
次に20は針棒7を上下動させるための駆動機構を示し、符号21〜28で示される部材によって構成してある。
21は案内棒を示し、フレーム3に対して取付けてある。23は案内棒21に上下動自在に装着した昇降体で、針棒7を押えるための針棒押え23aを有する。
24はミシン主軸を示す。もし同時に複数の多針ミシンBを作動させて能率よく縫製する場合には、他の主軸と一体化したものを用いる。
25は主軸24の回転運動を上下運動に変換して昇降体23を上下動させる為の機構で、梃子クランク機構を例示し、26は主軸24に取付けた偏心輪(円盤状のクランク)、26aはクランクロッド、27はレバーで、一端をフレーム3に枢着してあり、中間部にクランクロッド26aが連結してある。28はレバー27と昇降体23とを連結するリンクである。
【0020】
次に4eは天秤保持枠で、枠体4の側壁4eを利用し、この側壁4eに対して、図示外の複数の糸立てから夫々複数の針9に至る糸を上げ下げする為の上下動自在の天秤を装着してある。天秤30の数量は各針9の数に対応させて設けてある。31は針落ち位置1aの上方に到来した針9に対応する天秤を選択的に駆動する天秤駆動機構を示し、周知のように主軸24の回動によりその回動を天秤の上下動に伝達する為のものである。33は周知のように構成されている天秤掛止板を示す。尚天秤30から針9に至る間には、周知のように適数個所に糸ガイドが配設されている(図示省略)。
【0021】
上記構成のものにあっては、主軸24の回動により昇降体23が上下動されると、針落位置上方に選択移動せられて位置している針棒7が上下動され、それと連動して布押え14が上下動される。又対応天秤30が上下動され、ベッド下では釜が作動される。
これらの作動により、周知の如く縫製が行われる。色糸を変更する場合は、多針ミシンBにおける横動枠4に対して複数の針棒7が上下動自在に並設されているので、周知のように糸替え機構に連なるロッド4fを作動させ、横動枠4を横動させることにより針落ち位置1aに対して任意の針棒7は選択移動され、周知の如く相互に異色の糸で夫々縫製が行われる。
【0022】
次に、図1、図2に示される多針ミシンBの前(手前側)の針落位置1aに対してシークインを供給できるように配置されるシークイン供給装置Eは、図3以降の図に表れており、夫々の多針ミシンBの手前にあって、対応する多針ミシンBの針落ち位置1aに対してシークインを次々と供給できるようにしてある。
各シークイン供給装置Eの構成は、周知の構成(例えば特許文献1参照)と同様に、主要枠54を安定的に支持する為の支持機構36と、支持機構36によって支持される主要枠54におけるガイドレール55と、ガイドレールに支えられた状態で上下動する主枠60と、主要枠54における主枠60の上部に装着されるリール66と、主枠60の下部に装着されるシークイン供給機構70等の機能、構成を備える。
【0023】
上記支持機構36は、硬質材(例えば金属材料)で形成されており主要枠54を支える為に多針ミシンBの側方に位置する基枠Aから手前側77に向けて持ち出し状に形成されている。
上記支持機構36において、37は元部を多針ミシンBの機枠Aに固着し、手前側自由端では軌条38を固着状態で支持しているアーム部材を示す。
上記支持機構36における軌条38は、多針ミシンBの側方において、図7、図8のように多針ミシンBに向けて長く形成する態様でもって、機枠Aに固着された状態で配置されている。軌条38の横幅寸法は、図7、図8の実線で描かれた供給機構70が、一点鎖線で描かれた供給機構70の退避位置80に向けて往復動作可能な長さに設定してある。
言葉を換えると、多針ミシンBの横動枠4により支持する針棒列の全域W1を直線的に大きく往復動させて全ての針棒7を針落ち位置1aに選択移動可能にさせるために、多針ミシンのカバーB2の右端が、一点鎖線で描かれた位置に向けて往復動作することを妨げない長さに設定してある。
なお上記の動作を可能にする為には、多針ミシンのレール3bの手前側と、横持出アーム45との間に図8に示すような多針ミシンのカバーB2の右端が進入する為に必要な横動枠挿入空間46を形成する必要がある。そのため横持出アーム45は多針ミシンBの前面B1の移動軌跡から僅かに離れて位置するように配設してある。
【0024】
図7、図8に示す軌条38において、39aは、軌条38の上下方向の振動を防止する為の補強板を示し、39bはこれに一体的に合着させ(合着手段は任意であり、例えば図示のようにねじ材を多数用いて一体化させ)た軌条本体で、断面形状を図9のように台形(鳩尾状)とし、相手の当接部材42における図9のような蟻溝(底広溝)に対応させる断面形状にしてある。
【0025】
次に、図7、図8、図9に示す支持機構36において40は、上記軌条38に対応させる基台機構を示し、軌条38に対して、軌条の長手方向に向けて往復移動を自在に構成されている。
基台機構40における移動部材41の軌条38の側には、軌条の長手方向の前後複数個所において夫々軌条38の上下両面に夫々当接する状態で往復移動を自在に構成されている複数の当接部材42、42が形成されている。
図面において、基台機構40における41は、2つの当接部材42を着脱自在に一体化させるように固着した(例えばボルトを用いて一体化させた)状態で備える移動部材で、これには図8,図9のように連結部材44を介して連結離脱を自在に横持出アーム45が連結されている。なおそれらの連結状態はボルトなどを用いて周知の手段により連結すればよい。
当接部材42には前述したように蟻溝(底広溝)が形成されており、蟻溝の一方の側壁(例えば上側)には軌条本体39bの一方の側壁が当接して当接点43を構成し、また蟻溝の他方の側壁(例えば上側)には軌条本体39bの他方の側壁に当接させる当接点43が構成されていることになる。さらに、軌条38の長手方向の前後複数個所に設けた当接部材42の相互の部材は、予め一体化させたものであってもよい。
従って、移動部材41においては、軌条38の長手方向の前後複数個所(2個所以上)において、夫々軌条本体39bの上側の部分と、下側の部分に夫々圧接状態で接する当接点43、43、43、43が設けられていることになるので、図7、図8の状態において横持出アーム45が長く延出してあっても、シークイン供給装置Eの供給機構70が、実質的に上下方向に大きく振動するような事態は避けることが出来る。なお上記移動部材41に付設する上下2つの当接部材42、42は図示のように別体にしたものでもよいし、また、前後別体のものとして例示した当接部材42、42は、離れた位置のまま一体化したものでもよい。さらに4つの当接点43を構成する為には当接部材42は、4つの車輪で夫々構成してあってもよい。
【0026】
次に、シークイン供給装置Eの主要枠54に関して説明する。上記横持出アーム45の先部は、上記シークイン供給装置Eの主要枠54に対して連結すると共に横持出アーム45の元部は上記基台機構40に連結して、上記基台機構40を軌条38に沿って進退させることによって、上記シークイン供給装置Eを供給位置79(図8に実線で示す位置)と、多針ミシンBの手前側を大きく開放させる退避位置80(図8に一点鎖線で示す位置)とに移動を可能に構成してある。
【0027】
主要枠54において主枠支持用のガイドレール55は、支持機構36に対して傾斜状態を維持する状態で連結されていて斜め上方に向けて延びている(図3参照)。
ガイドレール55において、56aは、図示のように斜めに配設されている主部材で、元部57は横持出アーム45に固着してある。この主部材56aには、主枠60の摺動部材62を斜め上方に向けて往復動自在に案内できるように、レールのように形成した案内部材56bが一体的に添え付けられている。
【0028】
主枠60は、ガイドレール55によって上方の手前寄りの上昇位置78(図6参照)と、下方の針落ち位置1a寄りの供給位置79(図3、図4参照)との間を上下方向に摺動を自在に支持されている。
主枠60におけるガイドレール55に対向する側には、補助材61を介して摺動部材62が固着してあり、この摺動部材62を案内部材56bに沿って上下動させることにより、主枠60は上下方向に往復動作する。63は、主枠60を駆動する為の昇降機構として例示する流体シリンダーで、ガイドレール55には筒体63aが、主枠60にはロッド63bが固着され、ロッド63bの相対的な伸縮により主枠60は図3と、図6の位置に上下動する。
【0029】
帯状のシークインS1が大量に巻かれているリール66は、多針ミシンBにおける天秤の上下往復動作に伴う糸の振幅動作を妨げないように多針ミシンBの天秤30の位置よりも手前側77に位置させるように(図4参照)、斜めに上昇する主枠60の上部において回動自在に備えさせてある。67はリール66の枢支軸を示し、 68は帯状のシークインS1を案内するためのガイドローラーを示す。
【0030】
夫々のリール66から延出させた帯状のシークインS1を次々と夫々の多針ミシンBの針落ち位置1aに供給するようにしてある各シークイン供給機構70は、図3〜図6に表れているように夫々の主枠60の下部に備えさせてある。
シークイン供給機構70の構成は周知のように、モーター72を回動させることによって、リンク(往復動作機構)73を作動させ、往復動作送り爪74を進退作動させる。この場合、送り爪74の前進により、シークインの孔に爪先を入れてシークインを前進させ、送り爪74の後退時はシークインの上を滑らせて後退させる。このようにして帯状のシークインS1を次々と針落ち位置1aに供給する。針落ち位置1aに供給された帯状シークインS1の先頭は、針棒7の下降によって作動される切断刃物75により切断され、単独の「シークイン」となって、布の上に位置し、下降してくる針9に付されている糸により布に対して縫い付けられる。なお当然のことながら上記リンク73、送り爪74、切断刃物75、針9等の動作はタイミングよく同期させてある。
【0031】
なお、上記シークイン供給装置Eの構成に関してはアームによって支持されているガイドレール55、ガイドレールに支えられた状態で上下動する主枠60、主枠60の上部に装着されるリール66、主枠60の下部に装着されるシークイン供給機構70等の構成は特許文献1に開示されている構成と同じ構成を用いて説明したが、シークイン供給装置Eの構成に関しては、他の周知の構成、例えば複数系列のシークイン送りユニットを選択的に切り替えて使用をする技術的事項が開示されている特開2008−114049号公報の技術的事項、或いは特開2009−39538号公報開示の技術的事項を利用してもよい。
【0032】
次に、前出の図7、図8、図9における多針ミシンBと、シークイン供給装置Eとの位置関係において異なる例を示す図10(A)(B)について以下説明する。
なお、本件の発明を実施するための形態の項における図面の説明に当たっては、前出の図に対する後出の図面の説明において、前出の図と同符号を用いた構成、部材等の機能、性質、手段又は特徴等は、以下の説明に於て加える新規な部材の構成、組合せ等の説明に係わる事項を除き、前出の図の同符号のものについての説明と同旨である。よって、前出の図に対する後出の図面の説明においては重複する説明は一部省略する。
【0033】
図10(A)(B)に示される多針ミシンB、Bは、一つの基枠Aに対して2台を並設した例を示すものである。この場合、2台の多針ミシンB、Bを近づけて並設すると、夫々の多針ミシンBに付設するシークイン供給装置Eの支持機構36は図示のように多針ミシンBの外側に位置することになる。なお2台の多針ミシンB、Bは、相互の横動枠4、4が干渉しない範囲で近づけることが出来る。また、一般的には2台の多針ミシンB、Bは、連動させ、相互の横動枠4、4は同期して左右動作するので、横動枠4、4の相互間の間隙は僅かなもので良い。
【0034】
次に、図7、図8における支持機構36とは異なる支持機構36の例を示す図11、図12、図13について説明する。
上記図11、図12、図13の支持機構36において、37は元部を多針ミシンBの機枠Aに固着し、手前側自由端では軌条38の元部38bを固着状態で支持しているアーム部材を示す。
上記支持機構36における軌条38は、多針ミシンBの側方において、図11のように多針ミシンBに向けて長く形成する態様でもって、機枠Aに固着された状態で配置されている。図11の軌条38の横幅寸法は、実線で描かれた供給機構70が、一点鎖線で描かれた供給機構70の退避位置80に向けて往復動作可能な長さに設定してある。そして、多針ミシンBの手前側の空間を広くして、そこでの布の取り扱いを容易化してある。
言葉を換えると、多針ミシンBの横動枠4により支持する針棒列の全域W1を直線的に大きく往復動させて全ての針棒7を針落ち位置1aに選択移動可能にさせるために、多針ミシンのカバーB2の右端が、破線で描かれた位置に向けて往復動作する場合にも対応できるようにしてある。
なお上記の動作を可能にする為には、図11のように多針ミシンのレール3bの手前側と、横持出アーム45との間に図11に示すような多針ミシンのカバーB2の右端が進入する為に必要な横動枠挿入空間46を形成する必要がある。そのため横持出アーム45は多針ミシンBの前面B1の往復移動軌跡から僅かに離れて位置するように配設してある。
【0035】
次に、軌条38において、図12に表れている39cは、平坦な硬質材である板状材で形成した軌条本体で、これには軌条38の長手方向に長い2本のロック溝39d、39dと、一本の案内溝39eが平行状態で形成してある。
【0036】
次に、上記支持機構36において、軌条38に対しては、軌条の長手方向に向けて往復移動を自在に基台機構40が装着してある。その装着状態は、基台機構40における移動部材41の軌条対向面に、上記軌条38に備えさせてあるロック溝39dに遊嵌状に係合させる係合突起48(例えばボルト)と、案内溝39eに対応させて挿入してある突起47(例えば元部を図示のように移動部材41に螺合させてある突起)とを備えさせることにより基台機構40を軌条38に沿って往復移動させるようにしてある。移動部材41は平坦な硬質材である板状材で形成し、上記軌条38の一面(手前側の面)38cに対向密着摺動させる状態でもって軌条38の長手方向に向けて往復移動を自在に構成するものである。
【0037】
基台機構40の移動部材41における軌条38の一面38cに対向させる部分には、 上記2本のロック溝39d、39dと、一本の案内溝39eの位置に対応させ、それらの各溝39d、39d、39eに対して夫々挿入可能に、 図13に表れているように締付用のねじ棒48、48及び係合突起47を備えさせる。移動部材41に対する係合突起47の装着手段は任意であるが、例えば図示のように移動部材41に雌ねじ孔を設け、軌条38の他面から移動部材41の往復動を阻害しない程度にボルトを植え込み状に止めてもよい。また、締付用のねじ棒48は図13に表れているように軌条38の他面に、上下に雌ねじ孔を備えるプレート38aを当て付け、これらの雌ねじ孔に対して図13のように手前側から奥に向けて溝39d、39dを貫通する状態で締付ボルト48、48を差し込み、軽く螺合させることにより移動部材41は軌条38の一面38cに対して往復動自在に装着される。
【0038】
上記構成にあっては、軌条38と基台機構40の移動部材41とを一体化させてあった締付用のねじ棒48を僅かに弛めることにより、この締付用のねじ棒48を係合用の突起として利用し、軌条38に対して一定の軌跡で、移動部材41を、シークイーン供給装置Eの供給機構70と共に、図11の左端でも、右端でも自由に移動させることが出来る。
特にねじ棒48をロック溝39dの左端の移動先39gに移動させた場合においては、ここが停止位置になって、シークイーン供給装置Eの供給機構70が、正しく供給位置79に位置する。そしてそこでは上下方向に不動状態(振動しない状態)になる事が好ましいので、上下二本の突起の役割をしていた締付用のねじ棒48を強く締め付け、軌条38と移動部材41を固着一体化させる事により供給機構70の上下の振動を実質的になくするように操作すると良い。
なお、供給機構70を長い時間退避操作しない場合には、軌条38と移動部材41とを図示外の任意の連結用部材を加えて図11の状態を一次的に固定するようにしてもよい。
なお、図面において、基台機構40における41は、移動部材で、これには図11のように連結部材44を介して連結離脱を自在に横持出アーム45が連結されている。それらの連結状態はボルトなどを用いてもよいが、かしめ付け手段、熔接等、周知の手段により連結すればよい。
【0039】
次に多針ミシンのタイプが異なる例について説明する。図1、図2に示される多針ミシンとは、横動する枠4の構成が異なるロータリー式多針ミシンについて説明する。即ち、図1、図2に示される多針ミシンの複数の針棒群を支持する枠4は直線的な往復動を行う構成であったのに対し、図14〜図19に表れる多針ミシンはロータリー式であって、針棒群を支持する枠4が回動するタイプの多針ミシンの例(特許文献3参照)に関するものである。
【0040】
以下ロータリ式多針ミシンの実施の形態を図面を用いて説明する。
図14、図15は、基枠Aに複数の多針ミシン(刺繍ミシン)Bを連動可能に並列させて多頭ミシンを構成した例を示す。これらの図面は、夫々の多針ミシン(ロータリー式多針の刺繍ミシン)Bにあっては、複数の針棒7が並列され、各針棒7は針落ち位置1aに対して選択移動を自在に構成されている点の技術的事項を説明する為の図面で、特許文献3によって開示されている刺繍縫製を可能にする多針ミシンと同様の機能を発揮できる構成を示すものである。
【0041】
図において、符号1〜32は多針ミシンBにおける周知の構成(例えば特許文献3参照)を示すもので、
1はベッドの存在を示し、図では針板を示す。2はミシンのヘッドを示す。3はヘッドのフレームである。図1の多針ミシンBは、複数の針棒7を、一定の場所で回動軌跡を描く回動枠4に対して夫々上下動自在に並設する構成であるから、複数の多針ミシンを狭い間隔で配設することができる。例えば、周知の多針ミシンBにおいて240mmの間隔で配設されている場合、相互間の距離を60mm位に狭くすることができる。
符号4〜17は針棒機構(針棒7及びそれと関連をもって作動する部材から成る機構を本件明細書中では針棒機構と呼ぶ)を構成する部材を示す。4は針棒保持枠(回動枠)で、フレーム3に対しベアリング5,6でもって水平回動自在に取付けてある。4aは糸ガイドである。7は針棒で、保持枠4に対して多数本が保持枠4の回動中心を中心とする一つの円弧上に並べて配設してあり(図1、2では針落ち位置(針孔1aの位置)の上方に到来しているもののみを示した)、各々は保持枠4に対して上下動自在となっている。9は縫製用の針である。11は布押えを支えるための部材で、上下のガイド部12,13を針棒7に対して上下動自在に装着してある。14は部材11と一体形成した布押えで、下端に押え部15を備える。16は針棒7及び布押えを上昇させるためのばね、17は針棒上昇用のばねである。
【0042】
次に20は針棒7を上下動させるための駆動機構を示し、符号21〜28で示される部材によって構成してある。
21は案内棒を示し、保持枠4の回動中心に設けられている。該案内棒21は針棒保持枠4の回動を後述の天秤保持枠に伝達するための部材でもあり、フレーム3に対し回動自在に取付けてある。21aは針棒保持枠4から案内棒21に回動を伝達するための伝達部材である。22はフレーム3と案内棒21との間の耐磨耗性を向上する為にフレーム3に取付けたスリーブである。23は案内棒21に上下動自在に装着した昇降体で、針棒7を押えるための針棒押え23aを有する。24はミシン主軸を示し、同時に複数の多針ミシンBを作動させて能率よく縫製するためのものである。従って、複数の多針ミシンBの夫々においては、夫々針棒7を選択移動させて、多色の色糸を変更しながら、夫々連動させて、シークインをカラフルな色糸で縫い付けできる。
25は主軸24の回転運動を上下運動に変換して昇降体23に伝える為の機構で、梃子クランク機構を例示し、26は主軸24に取付けた偏心輪(円盤状のクランク)、26aはクランクロッド、27はレバーで、一端27aをフレーム3に枢着してあり、中間部にクランクロッド26aが連結してある。28はレバー27と昇降体23とを連結するリンクである。
【0043】
次に29は天秤保持枠で、フレーム3に対し水平回動自在に取付けられ、上記案内棒21を回動の伝達杆として利用して上記針棒保持枠4に対して一体化移動自在に連結してある。30は針9に至る糸を上げ下げする為の上下動自在の天秤で、各針9に対応させて設けてあり各々は天秤保持枠29に取付けてある。31は針落ち位置1aの上方に到来した針9に対応する天秤を選択的に駆動する天秤駆動機構を示し、周知のように主軸24の回動によりその回動を天秤の上下動に伝達する為のものである。
32は複数が並列されている糸ガイドで、天秤30及び針棒7と一体的に水平回動させるために上記天秤保持枠29に取付けてある。
尚Tは天秤30から針9に至る多数の糸の存在を示す。
【0044】
上記構成のものにあっては、主軸24の回動により昇降体23が上下動されると、針落位置上方に選択移動せられて位置している針棒7が上下動され、それと連動して布押え14が上下動される。又対応天秤30が上下動され、ベッド下では釜が作動される。
これらの作動により、周知の如く縫製が行われる。色糸を変更する場合は、多針ミシンBにおける回動枠4に対して複数の針棒7が上下動自在に並設されているので、周知のように回動枠4を回動させることにより針落ち位置1aに対して任意の針棒7は選択移動され、周知の如く相互に異色の糸で夫々縫製が行われる。
【0045】
さらに上記構成にあっては、複数の多針ミシンBの夫々が、一定の場所で夫々回動軌跡を描く回動枠4に対して、複数の針棒7を夫々上下動自在に並設し、各針棒7は回動枠4を回動させることにより一定のコンパクトな回動軌跡を描いて針落ち位置1aに選択移動するように構成するものであるから、上記複数の多針ミシンBにおける夫々の横幅は狭小にでき、隣接相互間は近づけて配置することができるので、設置場所における全体の横幅方向の専有面積を小型化できる効果がある。
その上、各針棒7は回動枠4を回動させることにより一定のコンパクトな回動軌跡を描いて針落ち位置1aに選択移動するものであるから、図16から明らかなように、シークイン供給装置Eの供給位置79と、多針ミシンBの手前側を開放させる退避位置80との移動距離w2は極めて短くなり、その結果、横持出アーム45の持出寸法w3も短くなり、横持出アーム45の荷重負担も少なく、横持出アーム45に対する振動防止手段も簡易になる。
【0046】
次に、図14及び図16、17、18に示す支持機構36は、複数セットの支持機構36の内の一つのセットを示すものである。37は、複数の内の一つのアーム部材で、図示のように元部を、図14の多頭並設する多針ミシンB、B・・・Bの間に夫々位置する基枠Aに対して任意の手段により夫々固着してある。基枠Aとしては、基枠Aに連なるヘッドの固定部分であるフレーム3に対してアーム部材37の元部を固着したものであっても良い。
【0047】
次に、図14〜図18に表れているシークイン供給装置E(支持機構36(符号36〜48が付されている構成、部材、手段等)を含む)について説明する。これらの支持機構36を含むシークイン供給装置Eは、上記図11、図12、図13の支持機構36を含むシークイン供給装置Eと、構成が似ており、図11の軌条38の横幅寸法と、横持出アーム45を短かくしたものであり、実質的に同一の構成を開示するものである。
よって、図14〜図18の説明においては、前述の図11〜図13と同符号を用いた構成、部材等の機能、性質、特徴等は、前述した図11〜図13の説明と同旨であるので、重複する説明は一部省略する。
【0048】
次に、支持機構36における軌条38と、基台機構40との組み合わせに関する構成として、図8、11に示されている軌条38と、基台機構40の組み合わせに関して説明したが、従来より知られているリニアガイドウエイにおけるレールと、そのレールに対して移動自在にしてあるブロックに係わる構成を置き換えて利用してもよい。
【符号の説明】
【0049】
A・・・機枠(基枠)、
B・・・多針ミシン、
S・・・シークイーン、
E・・・シークイーン供給装置、
1・・・ベット、
1a・・・針落ち位置、
2・・・ヘッド、
3・・・ヘッドのフレーム、
4・・・回動枠(横動枠)
7・・・針棒、
20・・・駆動機構、
36・・・支持機構、
37・・・アーム部材、
38・・・軌条、
39a・・・補強板、
39b・・・軌条本体、
40・・・基台機構、
41・・・移動部材、
42・・・当接部材、
43・・・当接点、
44・・・連結部材、
45・・・横持出アーム、
46・・・挿入用空間、
47・・・・係合突起 、
48・・・ねじ棒48
54・・・主要枠
55・・・ガイドレール、
56a・・・主部材、
56b・・・案内部材、
57・・・元部、
58・・・孔、
59・・・ボルト、
60・・・主枠部材、
61・・・補助材、
62・・・摺動部材、
63・・・昇降機構、
66・・・リール、
66a・・・手前側部分
67・・・枢支軸、
68・・・ガイドローラー、
70・・・供給機構、
72・・・モーター、
73・・・リンク(往復動作機構)、
74・・・往復動作送り爪、
75・・・切断刃物、
77・・・手前側(作業者77aが居る方向)、
78・・・上昇位置、
79・・・供給位置、
80・・・退避位置(斜め上昇位置)、
81・・・作業空間、
82・・・正面位置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基枠に備えさせた多針ミシンにおける横動枠に対して複数の針棒が上下動自在に並設され、各針棒は横動枠を横動させることにより針落ち位置に対して選択移動を自在に構成されており、
さらに夫々の多針ミシンの手前には、多針ミシンの針落ち位置に対してシークインを次々と供給できるようにしてあるシークイン供給装置を備えさせており、
上記のシークイン供給装置は、自体の主要枠を多針ミシンの基枠で支える為に多針ミシンの基枠から手前側に向けて持ち出し状に構成された支持機構と、
主要枠の上部において回動自在に備えさせてあるリールと、主要枠の下部においてリールから延出させた帯状のシークインを次々と上記多針ミシンの針落ち位置に供給するようにしてあるシークイン供給機構とを備えているシークイン供給装置を備える多針ミシンにおいて、
上記支持機構は、多針ミシンの側方において機枠に固着された状態で配置され、多針ミシンに向けて長く形成してある軌条と、
軌条に対して、軌条の長手方向に向けて往復移動を自在に構成されている基台機構と、
多針ミシンの横動枠により支持する針棒列の全域を直線的に大きく往復動させて全ての針棒を針落ち位置に選択移動可能にさせるために、多針ミシンの手前側に横動枠挿入空間を形成するように多針ミシンの前面から離した位置に配設してある横持出アームとを備え、
上記横持出アームの先部は、上記シークイン供給装置の主要枠に対して連結すると共に横持出アームの元部は上記基台機構に連結して、上記基台機構を軌条に沿って進退させることによって、上記シークイン供給装置を供給位置と、多針ミシンの手前側を開放させる退避位置とに移動を可能に構成してあることを特徴とするシークイン供給装置を備える多針ミシン。
【請求項2】
基枠に備えさせた多針ミシンにおける横動枠に対して複数の針棒が上下動自在に並設され、各針棒は横動枠を横動させることにより針落ち位置に対して選択移動を自在に構成されており、
さらに夫々の多針ミシンの手前には、多針ミシンの針落ち位置に対してシークインを次々と供給できるようにしてあるシークイン供給装置を備えさせており、
上記のシークイン供給装置は、自体の主要枠を多針ミシンの基枠で支える為に多針ミシンの基枠から手前側に向けて持ち出し状に構成された支持機構と、主要枠の上部において回動自在に備えさせてあるリールと、主要枠の下部においてリールから延出させた帯状のシークインを次々と上記多針ミシンの針落ち位置に供給するようにしてあるシークイン供給機構とを備えているシークイン供給装置を備える多針ミシンにおいて、
上記支持機構は、多針ミシンの側方において機枠に固着された状態で配置され、多針ミシンに向けて長く形成してある軌条と、
軌条に対して、軌条の長手方向に向けて往復移動を自在に構成されている基台機構であって、その基台機構における移動部材の軌条の側には、軌条の長手方向の前後複数個所において夫々軌条の上下両面に夫々当接する状態で往復移動を自在に構成されている複数の当接部材を有する基台機構と、
多針ミシンの横動枠により支持する針棒列の全域を直線的に大きく往復動させて全ての針棒を針落ち位置に選択移動可能にさせるために、多針ミシンの手前側に横動枠挿入空間を形成するように多針ミシンの前面から離した位置に配設してある横持出アームとを備え、
上記横持出アームの先部は、上記シークイン供給装置の主要枠に対して連結すると共に横持出アームの元部は上記基台機構に連結して、上記基台機構を軌条に沿って進退させることによって、上記シークイン供給装置を供給位置と、多針ミシンの手前側を開放させる退避位置とに移動を可能に構成してあることを特徴とするシークイン供給装置を備える多針ミシン。
【請求項3】
基枠に備えさせた多針ミシンにおける横動枠に対して複数の針棒が上下動自在に並設され、各針棒は横動枠を横動させることにより針落ち位置に対して選択移動を自在に構成されており、
さらに夫々の多針ミシンの手前には、多針ミシンの針落ち位置に対してシークインを次々と供給できるようにしてあるシークイン供給装置を備えさせており、
上記のシークイン供給装置は、自体の主要枠を多針ミシンの基枠で支える為に多針ミシンの基枠から手前側に向けて持ち出し状に構成された支持機構と、主要枠の上部において回動自在に備えさせてあるリールと、主要枠の下部においてリールから延出させた帯状のシークインを次々と上記多針ミシンの針落ち位置に供給するようにしてあるシークイン供給機構とを備えているシークイン供給装置を備える多針ミシンにおいて、
上記支持機構は、多針ミシンの側方において機枠に固着された状態で配置され、多針ミシンに向けて長く形成してある軌条であって、その軌条に対しては、軌条の長手方向に向けての長く形成した案内溝が備えさせてある軌条と、
軌条に対して、軌条の長手方向に向けて往復移動を自在に装着してある基台機構であって、その装着状態は、基台機構における移動部材の軌条対向面に、上記軌条に備えさせてある案内溝に遊嵌状に係合させる係合突起が備えさせてある基台機構と、
多針ミシンの横動枠により支持する針棒列の全域を直線的に大きく往復動させて全ての針棒を針落ち位置に選択移動可能にさせるために、多針ミシンの手前側に横動枠挿入空間を形成するように多針ミシンの前面から離した位置に配設してある横持出アームとを備え、
上記横持出アームの先部は、上記シークイン供給装置の主要枠に対して連結すると共に横持出アームの元部は上記基台機構における移動部材に連結して、上記基台機構を軌条に沿って進退させることによって、上記シークイン供給装置を供給位置と、多針ミシンの手前側を開放させる退避位置とに移動を可能に構成してあることを特徴とするシークイン供給装置を備える多針ミシン。
【請求項4】
基枠に備えさせた多針ミシンにおける回動枠に対して複数の針棒が上下動自在に並設され、各針棒は回動枠を回動させることにより針落ち位置に対して選択移動を自在に構成されており、
さらに夫々の多針ミシンの手前には、多針ミシンの針落ち位置に対してシークインを次々と供給できるようにしてあるシークイン供給装置を備えさせており、
上記のシークイン供給装置は、自体の主要枠を多針ミシンの基枠で支える為に多針ミシンの基枠から手前側に向けて持ち出し状に構成された支持機構と、
主要枠の上部において回動自在に備えさせてあるリールと、主要枠の下部においてリールから延出させた帯状のシークインを次々と上記多針ミシンの針落ち位置に供給するようにしてあるシークイン供給機構とを備えているシークイン供給装置を備える多針ミシンにおいて、
上記支持機構は、多針ミシンの側方において機枠に固着された状態で配置され、多針ミシンに向けて長く形成してある軌条と、軌条に対して、軌条の長手方向に向けて往復移動を自在に構成されている基台機構と、元部は上記基台機構に連結し、先部は、上記シークイン供給装置の主要枠に対して連結する横持出アームとを備え、
上記基台機構を軌条に沿って進退させることによって、上記シークイン供給装置を供給位置と、多針ミシンの手前側を開放させる退避位置とに移動を可能に構成してあることを特徴とするシークイン供給装置を備える多針ミシン。
【請求項1】
基枠に備えさせた多針ミシンにおける横動枠に対して複数の針棒が上下動自在に並設され、各針棒は横動枠を横動させることにより針落ち位置に対して選択移動を自在に構成されており、
さらに夫々の多針ミシンの手前には、多針ミシンの針落ち位置に対してシークインを次々と供給できるようにしてあるシークイン供給装置を備えさせており、
上記のシークイン供給装置は、自体の主要枠を多針ミシンの基枠で支える為に多針ミシンの基枠から手前側に向けて持ち出し状に構成された支持機構と、
主要枠の上部において回動自在に備えさせてあるリールと、主要枠の下部においてリールから延出させた帯状のシークインを次々と上記多針ミシンの針落ち位置に供給するようにしてあるシークイン供給機構とを備えているシークイン供給装置を備える多針ミシンにおいて、
上記支持機構は、多針ミシンの側方において機枠に固着された状態で配置され、多針ミシンに向けて長く形成してある軌条と、
軌条に対して、軌条の長手方向に向けて往復移動を自在に構成されている基台機構と、
多針ミシンの横動枠により支持する針棒列の全域を直線的に大きく往復動させて全ての針棒を針落ち位置に選択移動可能にさせるために、多針ミシンの手前側に横動枠挿入空間を形成するように多針ミシンの前面から離した位置に配設してある横持出アームとを備え、
上記横持出アームの先部は、上記シークイン供給装置の主要枠に対して連結すると共に横持出アームの元部は上記基台機構に連結して、上記基台機構を軌条に沿って進退させることによって、上記シークイン供給装置を供給位置と、多針ミシンの手前側を開放させる退避位置とに移動を可能に構成してあることを特徴とするシークイン供給装置を備える多針ミシン。
【請求項2】
基枠に備えさせた多針ミシンにおける横動枠に対して複数の針棒が上下動自在に並設され、各針棒は横動枠を横動させることにより針落ち位置に対して選択移動を自在に構成されており、
さらに夫々の多針ミシンの手前には、多針ミシンの針落ち位置に対してシークインを次々と供給できるようにしてあるシークイン供給装置を備えさせており、
上記のシークイン供給装置は、自体の主要枠を多針ミシンの基枠で支える為に多針ミシンの基枠から手前側に向けて持ち出し状に構成された支持機構と、主要枠の上部において回動自在に備えさせてあるリールと、主要枠の下部においてリールから延出させた帯状のシークインを次々と上記多針ミシンの針落ち位置に供給するようにしてあるシークイン供給機構とを備えているシークイン供給装置を備える多針ミシンにおいて、
上記支持機構は、多針ミシンの側方において機枠に固着された状態で配置され、多針ミシンに向けて長く形成してある軌条と、
軌条に対して、軌条の長手方向に向けて往復移動を自在に構成されている基台機構であって、その基台機構における移動部材の軌条の側には、軌条の長手方向の前後複数個所において夫々軌条の上下両面に夫々当接する状態で往復移動を自在に構成されている複数の当接部材を有する基台機構と、
多針ミシンの横動枠により支持する針棒列の全域を直線的に大きく往復動させて全ての針棒を針落ち位置に選択移動可能にさせるために、多針ミシンの手前側に横動枠挿入空間を形成するように多針ミシンの前面から離した位置に配設してある横持出アームとを備え、
上記横持出アームの先部は、上記シークイン供給装置の主要枠に対して連結すると共に横持出アームの元部は上記基台機構に連結して、上記基台機構を軌条に沿って進退させることによって、上記シークイン供給装置を供給位置と、多針ミシンの手前側を開放させる退避位置とに移動を可能に構成してあることを特徴とするシークイン供給装置を備える多針ミシン。
【請求項3】
基枠に備えさせた多針ミシンにおける横動枠に対して複数の針棒が上下動自在に並設され、各針棒は横動枠を横動させることにより針落ち位置に対して選択移動を自在に構成されており、
さらに夫々の多針ミシンの手前には、多針ミシンの針落ち位置に対してシークインを次々と供給できるようにしてあるシークイン供給装置を備えさせており、
上記のシークイン供給装置は、自体の主要枠を多針ミシンの基枠で支える為に多針ミシンの基枠から手前側に向けて持ち出し状に構成された支持機構と、主要枠の上部において回動自在に備えさせてあるリールと、主要枠の下部においてリールから延出させた帯状のシークインを次々と上記多針ミシンの針落ち位置に供給するようにしてあるシークイン供給機構とを備えているシークイン供給装置を備える多針ミシンにおいて、
上記支持機構は、多針ミシンの側方において機枠に固着された状態で配置され、多針ミシンに向けて長く形成してある軌条であって、その軌条に対しては、軌条の長手方向に向けての長く形成した案内溝が備えさせてある軌条と、
軌条に対して、軌条の長手方向に向けて往復移動を自在に装着してある基台機構であって、その装着状態は、基台機構における移動部材の軌条対向面に、上記軌条に備えさせてある案内溝に遊嵌状に係合させる係合突起が備えさせてある基台機構と、
多針ミシンの横動枠により支持する針棒列の全域を直線的に大きく往復動させて全ての針棒を針落ち位置に選択移動可能にさせるために、多針ミシンの手前側に横動枠挿入空間を形成するように多針ミシンの前面から離した位置に配設してある横持出アームとを備え、
上記横持出アームの先部は、上記シークイン供給装置の主要枠に対して連結すると共に横持出アームの元部は上記基台機構における移動部材に連結して、上記基台機構を軌条に沿って進退させることによって、上記シークイン供給装置を供給位置と、多針ミシンの手前側を開放させる退避位置とに移動を可能に構成してあることを特徴とするシークイン供給装置を備える多針ミシン。
【請求項4】
基枠に備えさせた多針ミシンにおける回動枠に対して複数の針棒が上下動自在に並設され、各針棒は回動枠を回動させることにより針落ち位置に対して選択移動を自在に構成されており、
さらに夫々の多針ミシンの手前には、多針ミシンの針落ち位置に対してシークインを次々と供給できるようにしてあるシークイン供給装置を備えさせており、
上記のシークイン供給装置は、自体の主要枠を多針ミシンの基枠で支える為に多針ミシンの基枠から手前側に向けて持ち出し状に構成された支持機構と、
主要枠の上部において回動自在に備えさせてあるリールと、主要枠の下部においてリールから延出させた帯状のシークインを次々と上記多針ミシンの針落ち位置に供給するようにしてあるシークイン供給機構とを備えているシークイン供給装置を備える多針ミシンにおいて、
上記支持機構は、多針ミシンの側方において機枠に固着された状態で配置され、多針ミシンに向けて長く形成してある軌条と、軌条に対して、軌条の長手方向に向けて往復移動を自在に構成されている基台機構と、元部は上記基台機構に連結し、先部は、上記シークイン供給装置の主要枠に対して連結する横持出アームとを備え、
上記基台機構を軌条に沿って進退させることによって、上記シークイン供給装置を供給位置と、多針ミシンの手前側を開放させる退避位置とに移動を可能に構成してあることを特徴とするシークイン供給装置を備える多針ミシン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2011−161000(P2011−161000A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−27190(P2010−27190)
【出願日】平成22年2月10日(2010.2.10)
【出願人】(000135690)株式会社バルダン (125)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月10日(2010.2.10)
【出願人】(000135690)株式会社バルダン (125)
【Fターム(参考)】
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