説明

シーソースイッチ装置

【課題】複数の操作用のシーソー体を並列に配置したシーソースイッチ装置において、内部に水分や異物が入り込まないようにする。
【解決手段】シーソースイッチ装置101は、スイッチボディ201に操作用のシーソー体301が揺動自在に支持されて構成される。このスイッチボディ201には、表側空間と裏側空間とを連通する筒部206が表側に突出する。筒部206の内周面205には、表側空間に向けて突出する軸部208が接続されている。シーソー体301は、筒部206を覆うカバー体310と筒部206に挿入され軸部208に嵌合される軸受部315とを有し、スイッチボディ201に対し揺動自在に接続される。スイッチボディ201を射出成形する金型は、軸部208を境にして筒部206の両端から抜くことができ、スイッチボディ201に型抜き孔が形成されることはない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の車両室内に取り付けられるシーソースイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の車両室内には、ウィンドウを開閉したり、ヒータコントローラ等の温度設定を行ったりするためのシーソースイッチ装置が取り付けられている。シーソースイッチ装置は、スイッチボディに操作用のシーソー体が揺動自在に支持されて構成される。一例として、特許文献1に記載のスイッチ装置12,13は、支持壁15がスイッチボディ11のベース11aから立ち上がり、この支持壁15の左右両側面から外側に一対の軸部16,17が突出し、これらの軸部16,17が操作ノブ20の左右両側部20aに設けられた嵌合孔21に嵌合し、操作ノブ20がスイッチボディ11に取り付けられて、シーソーのように揺動自在となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第2552584号公報(段落番号0010〜0017、図1及び図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シーソースイッチ装置の内部には、各種の電子機器や配線が配置される。このため、シーソースイッチ装置の内部に水分や異物が入り込まないように、操作用のシーソー体やスイッチボディを構成する必要がある。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された複数のスイッチ装置12,13が並列されて構成したスイッチ装置では、スイッチボディ11のベース11aから立ち上がる支持壁15は、軸部17同士が対向している内側の支持壁15(以下、「内側支持壁」と称する)と、他の軸部と対向せず突出している軸部16を有する最も外側の支持壁15(以下、「外側支持壁」と称する)が形成される。そのため、射出成形によってスイッチボディ11を成形する場合、外側支持壁から突出する軸部16は、この軸部16の突出方向に抜ける金型の型割りすることによって成形することができるが、内側支持壁から突出する軸部17は、並列して形成された内側支持壁が対向したスイッチボディ11の中央部に位置するため、軸部17の突出方向に抜ける金型の型割りすることができない。したがって、上下方向に型を抜くように金型を型割りしなければならないが、軸部17の下面方向に金型を抜くことによって、スイッチボディ11のベース11aの底面部中央には、特許文献1の図1に示されているような型抜き孔18が形成されてしまい、この型抜き孔18から雨水や塵などの異物が入り込んでしまうという問題点があった。
【0006】
この問題点を解決するため、この特許文献1に記載のスイッチ装置12,13では、操作ノブ20に鍔部22を設けるとともに、型抜き孔18の周囲を囲繞し、凹状の円弧状面を上面に有するリブ19を上方に突出するようスイッチボディ11に成形し、鍔部22とリブ19とを接合させて型抜き孔18を覆うことで、型抜き孔18から雨水や塵などの異物が入り込むことを防いでいる。しかし、リブ19と鍔部22との接合箇所に全く隙間を生じさせないようスイッチボディ11や操作ノブ20を成形することは難しい。また、操作ノブ20を揺動することによって鍔部22及びリブ19が磨耗した場合、この接合箇所に隙間が生じてそこから雨水や塵などの異物が浸入してしまう恐れがある。
【0007】
また、この特許文献1に記載のスイッチ装置12,13では、意匠面からリブ19が見えてしまうため、さらに操作ノブ20の周囲を意匠パネルによって覆う必要があった。
【0008】
本発明の目的は、スイッチボディに不要な型抜き孔を形成することなく、内部に雨水や塵などの異物が入り込むことを確実に防止することのできる複数の操作用のシーソー体を並列に配置したシーソースイッチ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のシーソースイッチ装置は、スイッチボディと、前記スイッチボディの表側空間と裏側空間とを連通し少なくともこの表側空間に突出する筒部と、前記筒部の内周面から内側に突出する軸部と、開口部を有し、前記筒部を覆うカバー体を有するシーソー体と、前記シーソー体に設けられ、前記筒部の軸部に当該筒部の内側から係合し、前記スイッチボディに対し前記シーソー体を揺動自在に接続させる軸受部と、を備える。
【0010】
また、前記シーソー体は、前記カバー体と、前記軸受部を有する基礎体とを別部材として形成し、一体的に組み付けるように構成することが好ましい。
【0011】
さらに、前記カバー体は、前記開口部に対向する箇所に光を透過させる透光部を有し、前記軸受部は、光を前記開口部から前記透光部に到達させる光伝達通路を有し、当該光伝達通路側に前記開口部から前記透光部に向かうに従って広がる傾斜面が形成することが好ましい。
【0012】
そして、前記スイッチボディに2つ以上の前記筒部を並列して設け、前記スイッチボディに2つ以上の前記シーソー体を配設するようにしたシーソースイッチ装置に適用してもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、スイッチボディの射出成形に用いる金型を、軸部を境にスイッチボディの表側方向と裏側方向とに抜く型割りすることができる。そのため、2連以上のシーソー体を並列させたスイッチ装置であっても、上下方向には、筒部以外に型抜き孔の無いスイッチボディを成形することが可能となる。従って、複数の操作用のシーソー体を並列に配置したシーソースイッチ装置において、確実に内部に雨水や塵などの異物が入り込まないようにすることができる。
【0014】
また、シーソー体を透光部が形成されたカバーと軸受けを有する基礎体とを分割して構成したので、軸受部の構成に妨げられることなく、透光部の照明範囲を十分に確保することができる。
【0015】
さらにシーソー体の周囲を意匠パネルによって覆わなくても、意匠性を低下させることのないシーソースイッチ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】シーソースイッチ装置を示す斜視図である。
【図2】シーソースイッチ装置を示す平面図である。
【図3】シーソースイッチ装置の分解斜視図である。
【図4】スイッチボディを示す図2のF−F線断面図である。
【図5】F−F線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施の一形態について、図1ないし図5に基づいて説明する。
【0018】
図1は、シーソースイッチ装置101を示す斜視図である。本実施の形態のシーソースイッチ装置101は、自動車内の運転席及び助手席の各座席(図示せず)を暖めるシートヒータ(図示せず)の駆動切換操作に用いられるものであり、二段階(「HI」又は「LO」)に温度調節が可能で、主として冬場に操作される。このシーソースイッチ装置101は、自動車内で、ダッシュボードや運転席脇のドアアームレスト、シフトレバー周り等、運転者と助手席の同乗者が互いに操作しやすい各座席の中央位置に配置される。シーソースイッチ装置101は、操作用のシーソー体301が、スイッチボディ201に揺動自在に支持されて構成される。以下、図1に示すシーソー体301の上面に描かれた「HI」が位置する側をシーソースイッチ装置101における奥側とし、図1に示す「LO」が位置する側をシーソースイッチ装置101における手前側として説明する。
【0019】
スイッチボディ201は、略直方体形状の筐体である。スイッチボディ201の上面には、シーソー体取付用孔202が、二つ横並びに設けられている。シーソー体取付用孔202は、手前側から見て前後方向に長手である矩形形状を有する。また、スイッチボディ201の左右両側面には、自動車内の取付対象箇所(図示せず)にスイッチボディ201を装着するための取付用爪203が形成されている。
【0020】
シーソー体301は、スイッチボディ201に設けられた二つのシーソー体取付用孔202のそれぞれに、上方から挿入されて取り付けられる。このシーソー体301の上面の奥側端302は隆起している。手前側から見て右側に配置される一方のシーソー体301は、運転席の座席のシートヒータ駆動切換操作に対応している。また、他方のシーソー体301は、助手席の座席のシートヒータ駆動切換操作に対応している。以下、助手席の座席に対応する方のシーソー体301について説明する。
【0021】
図2は、シーソースイッチ装置101を示す平面図である。シーソー体301の上面には、奥側から順に、HI操作用突起303、HI動作表示部304、HIロゴ305、透光部としてのシンボルマーク306、LOロゴ307、LO動作表示部308、LO操作用突起309が配置されている。HI動作表示部304は、シーソー体301の奥側が押されることにより図示しないLEDランプが駆動して点灯する。HI動作表示部304の点灯によって、操作者は、シーソー体301の奥側の押下によりシーソースイッチ装置101がオンし、シートヒータが「HI」動作に切り換えられていることを認識することができる。同様に、LO動作表示部308は、シーソー体301の手前側が押されることにより図示しないLEDランプが駆動して点灯する。LO動作表示部308の点灯によって、操作者は、シーソー体301の手前側の押下によりシーソースイッチ装置101がオンし、シートヒータが「LO」動作に切り換えられていることを認識することができる。また、シンボルマーク306は、透光性を有する板状の樹脂部材に凸状に形成されたものであり、後述する非透過性の樹脂部材であるカバー体310の上面側にインサート成形されている。このシンボルマーク306は、光源321(図5参照)から発せられ裏面側に到達した光が、表面側に透過することで光るように構成されている。一例として、光源321は、操作者が自動車内に設けられた車幅灯や前照灯を点灯させるライトスイッチをオンすることに伴って回路基板322(図5参照)に搭載されている回路(図示せず)により、電源が供給されて、光源321が点灯される。
【0022】
操作者は、このシーソースイッチ装置101のシーソー体301におけるいずれか一方の上面部を押下操作することにより、運転席又は助手席のシートヒータを駆動させることができる。より詳細には、座席を早く暖めたいときは、シーソー体301の上面の奥側「HI」を押し、シートヒータを高温駆動させる。そして、座席が暖まったら、シーソー体301の上面の手前側「LO」側に切り換えシートヒータを低温駆動させる。なお、押されている側と反対側のシーソー体301の上面を軽く押すことにより、シートヒータを切ることができる。また、操作者は、シーソー体301の上面を直接目視しなくても、隆起しているHI操作用突起303又は、LO操作用突起309を頼りにしてシーソー体301の上面の奥側又は手前側を押下することもできる。これにより、例えば走行中や車内灯を点灯させていない車内が暗い状態でシーソー体301を操作したい場合に有効である。
【0023】
図3は、シーソースイッチ装置101の分解斜視図である。シーソースイッチ装置101を構成するシーソー体301は、カバー体310と基礎体311との二部材が係合して構成される。
【0024】
カバー体310は、図1に基づいて説明した各部(302〜309)が上面に設けられているとともに、下面に開口部312(図4も参照)を有する非透過性の樹脂部材で形成された箱状の部材である。このカバー体310の手前側及び奥側のそれぞれの内側面には、後述する基礎体311の係合爪314が係合する係合凹部(図示せず)が形成されている。
【0025】
基礎体311は、カバー体310の開口部312からその内部に挿入され装着される部材である。この基礎体311は、平面視においてカバー体310よりも小さい矩形形状をなし、手前側及び奥側のそれぞれの端部から下方に延出し、その延出した中腹部分から外側に向かって係合爪314が突出形成されている。この係合爪314は、前述したカバー体310の内側面に設けられた係合凹部(図示せず)に係合可能な形状に形成されている。また、基礎体311の左右両側縁から垂下して、軸受部315が対向して設けられている。それぞれの軸受部315には、軸部208(後述)が嵌合する軸受孔316が形成されている。また、左側の軸受部315には、可動接点317a(図5参照)を有するスライド部材317を駆動する連結部318が延出している。また、各軸受部315における互いに対向する内面側の側面は、下方から上方に向かうにつれて広がるように傾斜するテーパ面319が形成されている。そして、基礎体311の上面で各軸受部315の付け根に挟まれる部分は開口しており、光源321(図5参照)から発せられる光が通過可能な光通過部320が形成されている。
【0026】
図4は、スイッチボディ201を示す図2のF−F線断面図である。図4は、スイッチボディ201を示すとともに、カバー体310を点線で示している。スイッチボディ201には、シーソー体取付用孔202からスイッチボディ201の上面204に直交する方向に落ち込んで筒状の内周面205が形成されている。この内周面205に接続されて筒部206がスイッチボディ201に一体的に形成されている。筒部206は、断面形状がシーソー体取付用孔202よりも小さい矩形形状を有する。この筒部206は、スイッチボディ201の上下方向に一致するように筒状に延設されており、内周面205が形成する空間、すなわち、シーソー体取付用孔202の内部に配置される。このとき、筒部206の上端207は、スイッチボディ201の上面204よりもやや下方に位置付けて配置される。そして、筒部206は、外周面206aの上下方向の中腹でスイッチボディ201の内周面205に接続されている。このため、スイッチボディ201の上方から覗き込むと、筒部206は、シーソー体取付用孔202の内側で内周面205から環状の隙間209を設けて上方に突出しているように見える。
【0027】
筒部206は、スイッチボディ201の上方(表側空間)と下方(裏側空間)とを連通し、その内部に、光源321(図5参照)から発せられる光をスイッチボディ201の外側に向けて伝達させる光通路210を形成している。そして、カバー体310は、開口部312を下にして筒部206の上端207を覆うように取り付けられる。このとき、カバー体310の両端部は、隙間209に入り込み、表側に突出する筒部206を内部に位置付け、カバー体310によってスイッチボディ201の上方に突出した筒部206の周囲をほぼ完全に覆うようになる。
【0028】
図3に基づく説明に戻る。筒部206の左右両側面のそれぞれの上端207近傍でその中央の箇所には、軸部208が設けられている。軸部208は、筒部206の左右両内側面のそれぞれから水平方向に突出して対向している。この軸部208は、基礎体311に設けられた軸受部315の軸受孔316に嵌合する。基礎体311が筒部206に挿入されて軸部208が軸受部315に嵌合することにより、シーソー体301を構成する基礎体311は、スイッチボディ201に、手前側から見て前後方向に揺動自在に支持される。すなわち、カバー体310及び基礎体311によって構成されるシーソー体301は、軸受部315の軸受孔316に軸部208が嵌合することにより、スイッチボディ201に対して揺動自在となる。
【0029】
なお、図3は、助手席の座席に対応する方のシーソー体301についてのみ示しており、運転席の座席に対応する方のシーソー体301については省略している。運転席の座席に対応する方のシーソー体301において、カバー体310は、助手席の座席に対応する方のシーソー体301のものと同一の構造を有し、基礎体311は、助手席の座席に対応する方のシーソー体301のものと左右対称の構造を有する。
【0030】
図5は、図2のF−F線断面図である。前述したように、シーソー体301のカバー体310の上面には、透光性のあるシンボルマーク306が設けられている。このシンボルマーク306は、筒部206の光通路210に対向する箇所に設けられている。また、筒部206の内部には、上方に向けて光を発する向きに、光源321が配置される。この光源321は、スイッチボディ201内に配置される回路基板322を介して電源供給がされることにより点灯し、もしくは電源供給がされないときは消灯する。そして、基礎体311がない状態でカバー体310が筒部206を覆ったと仮定した場合、光源321から発せられる光は、筒部206によって形成される光通路210を通過してシンボルマーク306に到達する。
【0031】
本実施の形態のシーソースイッチ装置101では、前述したように、筒部206の内側に軸部208が突出しており、この軸部208が軸受部315の軸受孔316に嵌合するよう、基礎体311の軸受部315や可動接点317aを有するスライド部材317を駆動する連結部318が筒部206の内部に挿入される。このため、筒部206の内部に形成される光通路210は、軸部208や軸受部315、連結部318によって狭められてしまう。
【0032】
ここで、基礎体311の構造に着目する。本実施の形態の基礎体311は、その左右両側から垂下して互いに対向している軸受部315の間に空間が設けられ、光源321から発せられる光Xをシンボルマーク306に到達させるための光伝達通路323が確保されている。さらに、軸受部315の内側面には、軸受孔316付近から光通過部320の開口端に向かうに従って広がるよう傾斜する傾斜面としてのテーパ面319が形成されている。このため、光源321から発せられた光Xは、テーパ面319となっている筒部206の内周に当たって反射しながら光伝達通路323を上方に向かって進行し、基礎体311に形成された光通過部320の開口端を通過し、シンボルマーク306の裏面に到達し、シンボルマーク306を透過する。
【0033】
以上のような構造を有する本実施の形態のシーソースイッチ装置101の内部には、可動接点317aを有するスライド部材317や光源321、回路基板322、HI動作表示部304照明用とLO動作表示部308照明用のLEDランプ(図示せず)等の各種の電子部品が電気的に接続されて配置されている。このため、シーソースイッチ装置101の内部に雨水や塵などの異物が入り込まないよう、スイッチボディ201、シーソー体301(カバー体310、基礎体311)を構成する必要がある。
【0034】
ここで、まずは図4を参照する。図4に示すように、スイッチボディ201は、上下方向に連通する筒部206を有し、その内側に軸部208が水平方向に突出する形状を有している。このため、スイッチボディ201を射出成形するために用いる金型を、軸部208を境に上下に分かれるよう型割りしてスイッチボディ201の表側方向と裏側方向とのそれぞれに抜くことができるようになる。その結果、本実施の形態のスイッチボディ201には、特許文献1の図1に記載されているような左右の筒部206の間に形成されるスイッチボディ201の中央底面部211に型抜き孔18が形成されてしまうことはない。従って、本実施の形態のシーソースイッチ装置101によれば、複数の操作用の基礎体311を並列に配置するようなスイッチボディ201を成形し、内部に水分や異物が入り込まないシーソースイッチ装置101を容易に製造することができる。そして、型抜き孔が形成されないため、部品点数を増やしたり、シーソースイッチの構造が複雑になったりすることがなく、型抜き孔を塞ぐ等の作業工程を減らしたり、製造コストを削減したりすることが可能になる。
【0035】
さらにカバー体310で覆われることのない、スイッチボディ201の中央に形成される突出リブ212に上面204を形成することができる。そのため、スイッチボディ201の意匠面を覆う部材を設ける必要なく、スイッチボディ201の上面204により意匠面を構成することが可能となる。
【0036】
次に、図5を参照する。図5に示すように、カバー体310によって筒部206の周囲も覆うように構成しているため、カバー体310の内部に筒部206を位置づけ、基礎体311を筒部206に挿入して軸受部315が軸部208に嵌合されることで、スイッチボディ201に取り付けられる。そのため、スイッチボディ201で唯一開いている筒部206による穴は、筒部206の上方からカバー体310によってほぼ完全に覆われるので、シーソースイッチ装置101の内部への雨水や塵などの異物が入り込むことが防止される。
【0037】
なお、ここで問題となるのは、筒部206の内側に軸部208を突出させたため、カバー体310に、その軸部208に係合する軸受孔316を有する軸受部315を設けなければならず、軸受部315がカバー体310の内側に設けられることによって軸受部315により光通路210が狭められてしまうことである。この点、本実施の形態のシーソースイッチ装置101では、シーソー体301をカバー体310と基礎体311を二部材で構成しているので、カバー体310の上面部の裏面側に軸受部315を設ける必要がなく、透光部としてのシンボルマーク306の裏面側に受光面を広くすることができる。そして、カバー体310と別部材として独立して構成することにより、基礎体311の内部の光伝達通路323を規定する軸受部315の内側の面にテーパ面319を形成することが可能となるので、十分に光伝達通路323を確保することが可能となる。さらにテーパ面319によって効率的に光が反射されてシンボルマーク306に到達させることができる。このため、シンボルマーク306の受光面を確保するためにシーソー体301を幅方向に大きくする必要がなくなり、シーソー体301に対してシンボルマーク306を大きくすることができ、全体的に明るく光らせることができる。
【0038】
以上のように本実施の形態のシーソー体301は、基礎体311の軸受孔316付近から光通過部320の開口端に向かうに従って拡がるようにテーパ面319が形成される形状となっている。このような形状は、カバー体310と基礎体311を一体構造としたシーソー体301を射出成形等により形成することはできない。この点、本実施のシーソー体301は、上述したようにカバー体310と基礎体311とを別体で成形した上でこれらを係合させることによって構成される。このため、基礎体311にテーパ面319を製造する際の型抜きが可能となる。さらに、スイッチボディ201側においては、筒部206の内側に軸部208が水平方向に突出させる構造とした場合でも、スイッチボディ201の中央底面部211に型抜き孔が形成されることはないので、型抜き孔を塞ぐための構造や作業工程をすることなく、防水構造とすることができる。
【0039】
なお、以上の説明において、シーソー体301が並列に二つ並べられたシーソースイッチ装置101についてしたが、このような二連のシーソースイッチ装置に限られることなく、さらに多くのシーソー体が並列に配置されるシーソースイッチ装置であっても、本発明を適用できることは言うまでもない。さらに、シーソー体を横並びのみならず縦並びに配置したようなシーソースイッチ装置に対しても、本発明を適用できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0040】
101…シーソースイッチ装置
201…スイッチボディ
206…筒部
208…軸部
301…シーソー体
306…シンボルマーク(透光部)
310…カバー体
311…基礎体
315…軸受部
312…開口部
319…テーパ面(傾斜面)
323…光伝達通路、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチボディと、
前記スイッチボディの表側空間と裏側空間とを連通し少なくともこの表側空間に突出する筒部と、
前記筒部の内周面から内側に突出する軸部と、
開口部を有し、前記筒部を覆うカバー体を有するシーソー体と、
前記シーソー体に設けられ、前記筒部の軸部に当該筒部の内側から係合し、前記スイッチボディに対し前記シーソー体を揺動自在に接続させる軸受部と、
を備えるシーソースイッチ装置。
【請求項2】
前記シーソー体は、前記カバー体と、前記軸受部を有する基礎体とを別部材として形成し、一体的に組み付けたものであることを特徴とした請求項1に記載のシーソースイッチ装置。
【請求項3】
前記カバー体は、前記開口部に対向する箇所に光を透過させる透光部を有し、
前記軸受部は、光を前記開口部から前記透光部に到達させる光伝達通路を有し、当該光伝達通路側に前記開口部から前記透光部に向かうに従って広がる傾斜面が形成されている、
請求項2に記載のシーソースイッチ装置。
【請求項4】
前記スイッチボディに2つ以上の前記筒部を並列して設け、前記スイッチボディに2つ以上の前記シーソー体を配設したことを特徴とした請求項1から請求項3に記載されたいずれかの請求項に記載されたシーソースイッチ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate