説明

シートバックのガタ防止構造及びその組み付け方法

【課題】リクライニング装置のロック強度を確保した上で、シートバックの背凭れ角度の固定にガタつきが生じないようにする。
【解決手段】シートバック2の背凭れ角度固定時のガタを防止する構造である。リクライニング装置10は、そのロック状態では、シートバック2の着座使用に伴う背凭れ角度の保持に必要なロック強度を有する構成とされている。シートバック2とシートクッション3との間には、互いに係脱可能な構成とされてその係合時には歯と歯の噛合によってシートバック2の傾動する動きを規制することのできるリング部材20と係脱部材30とから成る係脱機構が設けられている。係脱機構は、リクライニング装置10のロック状態時に係合状態となり、リクライニング装置10のロック時のガタつきによって生じるシートバック2の背凭れ角度のガタ移動を規制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートバックのガタ防止構造及びその組み付け方法に関する。詳しくは、車両用シートに配備されたリクライニング装置によるシートバックの背凭れ角度固定時のガタを防止するためのシートバックのガタ防止構造及びその組み付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用シートにおいて、シートバックの背凭れ角度が調整可能に構成されているものでは、その背凭れ角度の固定にガタつきが生じないようにする技術が提案されている。
ここで、下記特許文献1には、リクライニング装置のロック状態を作り出す歯と歯の噛合構造を偏向させて配置することにより、その噛合状態時の歯のずれを防止するようにした技術が開示されている。この開示の構成では、半径方向へのスライド移動によって内歯車(ラチェットの内歯)に噛合する外歯を有したポールが、円周方向の2箇所の位置に均等配置されている。
これらポールは、ラチェットに対向して組み付けられるガイドによって保持されており、その半径方向の内外方にしかスライド移動することができないようにガイドされている。したがって、各ポールの両サイドをガイドするガイド部は、ポールのスライド移動を円滑にするためにポールとの間に一定の隙間を有した幅寸法に形成されている。
そこで、この開示では、各ポールを上記の隙間の一方或いは他方に寄せて互い違いに偏向させて配置している。これにより、各ポールをガイド部に寄せた状態でラチェットの内歯に噛合させることができ、各ポールの隙間内でのガタつきを防止することができるようになる。
【0003】
【特許文献1】特開2000−201759号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記開示の従来技術では、各ポールがガイド部の一方或いは他方に寄せられて互い違いにずれた配置とされているため、ラチェットの内歯への噛合が浅くなってしまうことがある。これにより、リクライニング装置に十分なロック強度を確保することができなくなる。
【0005】
本発明は、上記した問題を解決するものとして創案されたものであって、本発明が解決しようとする課題は、リクライニング装置のロック強度を確保した上で、シートバックの背凭れ角度の固定にガタつきが生じないようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のシートバックのガタ防止構造及びその組み付け方法は次の手段をとる。
先ず、第1の発明は、車両用シートに配備されたリクライニング装置によるシートバックの背凭れ角度固定時のガタを防止するためのシートバックのガタ防止構造である。リクライニング装置は、シートバックをシートクッション等の固定側部材に対して傾動可能に連結しており、かつ、シートバックの傾動する動きをロックするロック状態と許容する解除状態とに切換えられる構成となっている。このリクライニング装置は、そのロック状態では、シートバックの着座使用に伴う背凭れ角度の保持に必要なロック強度を有する構成とされている。シートバックと固定側部材との間には、互いに係脱可能な構成とされてその係合時には歯と歯の噛合構造によってシートバックが固定側部材に対して傾動する動きを規制することのできる係脱機構が設けられている。係脱機構は、シートバックの背凭れ角度が固定されるリクライニング装置のロック状態時に係合状態となり、リクライニング装置のロック時のガタつきによって生じるシートバックの背凭れ角度のガタ移動を規制するようになっている。
この第1の発明によれば、シートバックは、リクライニング装置がロック状態となっていても、そのロック時のガタつきによってガタ移動するようになっている。しかし、このシートバックのガタ移動は、シートバックと固定側部材との間に設けられた係脱機構の係合によって規制される。この係脱機構は、リクライニング装置のロック状態時に、歯と歯を噛合させて係合状態となり、リクライニング装置のガタ移動を規制する。
【0007】
次に、第2の発明は、上述した第1の発明において、係脱機構は、リクライニング装置のロック状態を切換える操作機構と連係されている。リクライニング装置のロック状態を解除した操作機構を解除操作前の状態に戻すことにより、その戻し操作の過程でリクライニング装置が先行してロック状態に復帰操作され、その後の更なる戻し操作の進行によって係脱機構が係合状態に復帰操作されるようになっている。
この第2の発明によれば、係脱機構は、操作機構と連係されており、操作機構の解除操作によってリクライニング装置のロック状態を解除することにより、係合状態から外される。そして、係脱機構は、操作機構を解除操作前の状態に戻すことによって再び係合状態となる。このとき、係脱機構は、操作機構の戻し操作の過程で、リクライニング装置が完全にロック状態に戻された後に係合状態となる。
【0008】
次に、第3の発明は、上述した第1又は第2の発明において、係脱機構は、リクライニング装置のロック状態でシートバックを一方のガタ移動方向にガタ移動させた片寄せ状態で、歯と歯の噛合構造を係合させる組み付け状態とされている。
この第3の発明によれば、シートバックは、係脱機構の係合状態では、一方のガタ移動方向に片寄せされた状態として保持される。
【0009】
次に、第4の発明は、上述した第2又は第3の発明において、係脱機構は、外歯を有したリング部材と、このリング部材の外歯と噛合可能な内歯を有した係脱部材と、を有する。リング部材は、リクライニング装置を構成する環状部材の外周縁に沿って配設されている。係脱部材は、その内歯を附勢によってリング部材の外歯と噛合させたり、附勢に抗して噛合を外したりすることのできる構成となっている。リング部材は、シートバックと一体的に結合されて設けられている。係脱部材は、操作機構によって係脱操作される組み付け状態として、固定側部材に回動可能に軸支されて設けられている。
この第4の発明によれば、固定側部材に設けられた内歯を有した係脱部材が、シートバックと一体的に設けられたリング部材の外歯に対して噛合したり噛合状態から外されたりする。この係脱部材の操作は、リクライニング装置のロック状態を切換える操作機構の操作によって行われる。
【0010】
次に、第5の発明は、上述した第4の発明において、係脱機構のリング部材に形成された外歯と係脱部材に形成された内歯との噛合ピッチは、リクライニング装置に構成されたロックの噛合ピッチと同じ設定となっている。
この第5の発明によれば、係脱機構は、シートバックの背凭れ角度を1ピッチずらす調整を行っても、係合状態に復帰することができる。
【0011】
次に、第6の発明は、車両用シートに配備されたリクライニング装置によるシートバックの背凭れ角度固定時のガタを防止するためのシートバックのガタ防止構造の組み付け方法である。先ず、リクライニング装置のロック状態で、そのロック時のガタつきによりシートバックを一方のガタ移動方向にガタ移動させておく。次に、このシートバックをガタ移動させた片寄せ状態で、シートバックとシートクッション等の固定側部材との間に設けられた係脱機構を歯と歯の噛合によって係合させた状態として組み付ける。
この第6の発明によれば、シートバックは、リクライニング装置のロック状態では、係脱機構の係合によって一方のガタ移動方向に片寄せされた状態として保持される。
【発明の効果】
【0012】
本発明は上述した手段をとることにより、次の効果を得ることができる。
先ず、第1の発明によれば、シートバックの背凭れ角度を保持可能なロック強度を備えたリクライニング装置とは別に、リクライニング装置のロック時のガタつきによるシートバックのガタ移動を歯と歯の噛合によって規制することのできる係脱機構を設けたことにより、リクライニング装置のロック強度を確保した上で、シートバックの背凭れ角度の固定にガタつきが生じないようにすることができる。
更に、第2の発明によれば、リクライニング装置がロック状態に戻された後に係脱機構が係合状態となる構成としたことにより、リクライニング装置のロック作動に支障を与えることなく係脱機構を係合させることができる。
更に、第3の発明によれば、係脱機構の係合によりシートバックが一方のガタ移動方向に片寄せされた状態として保持されるようにしたことにより、シートバックの双方向のガタ移動を好適に規制することができる。
更に、第4の発明によれば、リクライニング装置の周縁に沿って配設されたリング部材に対して係脱部材を係脱させる構成として、係脱機構を合理的かつコンパクトに配置設定することができる。
更に、第5の発明によれば、リング部材と係脱部材との噛合ピッチをリクライニング装置のロックの噛合ピッチと同じ設定としたことにより、シートバックの背凭れ角度の調整ピッチに合わせて係脱機構を係合させることができる。
更に、第6の発明によれば、シートバックを一方のガタ移動方向に片寄せした状態として係脱機構を歯と歯の噛合によって係合させた状態として組み付けるようにしたことにより、シートバックの双方向のガタ移動を好適に規制することができる。そして、このようにリクライニング装置とは別に、そのロック時のガタつきによるシートバックのガタ移動を規制することのできる係脱機構を設けたことにより、リクライニング装置のロック強度を確保した上で、シートバックの背凭れ角度の固定にガタつきが生じないようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、本発明を実施するための最良の形態の実施例について、図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0014】
始めに、実施例1のシートバックのガタ防止構造及びその組み付け方法について、図1〜図10を用いて説明する。
ここで、図1には、本実施例の車両用シート1の概略構成が斜視図によって示されている。この車両用シート1は、背凭れ部となるシートバック2と、着座部となるシートクッション3と、頭受け部となるヘッドレスト4と、を有する。ここで、シートバック2は、その幅方向の両サイド下部に設けられたリクライニング装置10,10によって、シートクッション3に連結されている。ここで、シートクッション3が本発明の固定側部材に相当する。
これらリクライニング装置10,10は、常時は、シートバック2の背凭れ角度を固定したロック状態とされて保持されている。そして、各リクライニング装置10,10は、シートクッション3の図示右サイドの下部位置にある操作レバーLを引き上げる操作を行うことにより、上記のロック状態が解除操作されるようになっている。ここで、各リクライニング装置10,10は、ロッドRによって互いのロック解除の操作部品が連結されており、そのロック・解除の切換え作動が左右で同期して行われるようになっている。したがって、操作レバーLを引き上げる操作を行うことにより、各リクライニング装置10,10のロック状態が一斉に解除されるため、シートバック2の背凭れ角度の固定状態を解くことができる。これにより、シートバック2の背凭れ角度の調整移動が行えるようになる。そして、操作レバーLの引き上げ操作をやめることにより、各リクライニング装置10,10が一斉にロック状態に戻されるため、シートバック2をその調整した背凭れ角度の位置に固定することができる。
【0015】
ここで、各リクライニング装置10,10は、その組み付けによるガタつきにより、ロック状態となっていてもシートバック2の固定状態にガタつきが生じてしまう構成となっている。このガタつきは、リクライニング装置10,10内部のロック状態を作り出す部品間(図7で後述するポール14,14とガイド部12g,12g或いはガイド部12g,12gとの間)で発生するものであり、そのガタつき寸法自体は微小なものである。しかし、このガタつきは、リクライニング装置10,10の中心位置から径方向に離れる程に増大し、シートバック2の肩口などといった中心位置から離間した部位では大きなガタを生じさせることとなる。
しかし、本実施例の構成では、上記リクライニング装置10,10のロック時のガタつきによって生じるシートバック2の背凭れ角度のガタ移動を規制することができるようになっている。以下、シートバック2のガタ防止構造について詳しく説明していく。
【0016】
ここで、図2には、図1のII-II線断面図として、車両用シート1の内部構造が示されている。そして、図3には、図2のIII-III線断面図として、リクライニング装置10によるシートバック2とシートクッション3との連結構造が示されている。
これらの図に示されるように、シートバック2は、その骨格を成すバックフレーム2fが、リクライニング装置10によって、シートクッション3の骨格を成すクッションフレーム3fに連結されている。これにより、シートバック2は、リクライニング装置10のロック状態が解除されることにより、リクライニング装置10の中心部のまわりにシートクッション3に対して回動運動させられるようになっている。なお、リクライニング装置10の具体的な構成については、後に詳しく説明する。
ここで、図2に示されるように、シートバック2のシートクッション3に対する図示時計回り方向への回動運動(後傾運動)は、バックフレーム2fに一体的に設けられたL字フレーム2Lが、クッションフレーム3fの図示右上側の端部に形成された係止部3jと当接することによって規制されるようになっている。そして、シートバック2のシートクッション3に対する図示反時計回り方向への回動運動(前傾運動)は、上記のL字フレーム2Lが、クッションフレーム3fの図示左上側の端部に形成された係止部3kと当接することによって規制されるようになっている。すなわち、シートバック2のシートクッション3に対する相対的な回動運動は、このL字フレーム2Lが当接する係止部3jと係止部3kとの間の領域内において可能とされている。
そして、図3に示されるように、上記バックフレーム2fに一体的に固定されたL字フレーム2Lと、クッションフレーム3fに一体的に設けられたL字フレーム3Lとの間には、捩りバネSsが掛着されている。この捩りバネSsは、予め捩り込まれた状態で設けられており、その中心側の端部がL字フレーム3Lに掛着されており、外周側の端部がL字フレーム2Lに掛着されている。これにより、図2に示されるように、シートバック2が、シートクッション3に対して前起こしされる回動方向に附勢されている。
【0017】
そして、図2に示されるように、クッションフレーム3fには、シートバック2のガタ防止構造となる係脱部材30が配設されている。
この係脱部材30は、長孔31hの形成されたアーム状の腕振り部31と内歯32tを有したアーム状の係脱部32とが、連結軸33によって、互いに一体的に連結されていると共にクッションフレーム3fに対して回動可能に軸支されている。なお、係脱部材30のクッションフレーム3fに対する組み付け状態は、図3に良く示されている。
そして、図2に戻って、この係脱部材30は、腕振り部31に形成された長孔31h内に、操作レバーLの図示右側の端部に設けられた連結ピンLpがスライド移動可能に挿通されている。これにより、係脱部材30は、図4に示されるように、操作レバーLが引き上げ操作される動きに伴って、連結ピンLpに押動操作されて、連結軸33を中心に図示反時計回り方向に回動操作されるようになっている。
ここで、図2に戻って、係脱部材30は、操作レバーLが引き上げ操作される前の常時は、係脱部32の内歯32tが、バックフレーム2fと一体的に組み付けられた環状のリング部材20の外歯20tに噛合された状態として保持されている。このリング部材20は、図3に示されるように、後述するリクライニング装置10の構成部品である外周リング15の外周縁側に嵌め込まれるかたちで配設されている。詳しくは、リング部材20は、外周リング15の外周面部15cを取り囲むようにして、その外周縁側に嵌め込まれて配設されている。そして、リング部材20は、バックフレーム2fに溶着されてこれと一体的に固定されている。これにより、リング部材20は、シートバック2の背凭れ角度を変化させる動きに伴って、シートバック2と一体的となって、外周リング15に対して相対回動するようになっている。
【0018】
したがって、このリング部材20の外歯20tに係脱部32の内歯32tが噛合することにより、リクライニング装置10のロック時のガタつきによって生じるシートバック2の背凭れ角度のガタ移動は規制された状態となる。なお、外歯20tは、リング部材20の外周面上の広い領域にわたって形成されており、シートバック2が着座使用される領域内でその背凭れ角度が変えられても、常に係脱部32の内歯32tをこれに噛合させられるようになっている。
ここで、外歯20tと内歯32tとの噛合ピッチは、リクライニング装置10に構成されたロックの噛合ピッチ(ポール14,14の外歯14g,14gとラチェット11の内歯11gとの噛合ピッチ)と同じに設定されている。これにより、係脱部材30は、シートバック2の背凭れ角度を1ピッチずらす調整を行っても、操作レバーLの引き上げ操作をやめることによって噛合状態(係合状態)に復帰させられるようになっている。
【0019】
ここで、図3に示されるように、前述した操作レバーLの図示右側の端部に設けられた連結ピンLpの先端部には、円筒形状の押し部Ltが取り付けられている。この押し部Ltは、図4に示されるように、操作レバーLが引き上げ操作される動きに伴って、リクライニング装置10に連結された操作リンクCと当接し、これを図示時計回り方向に回動操作するようになっている。
この操作リンクCは、常時は図2に示される回動位置状態に保持されており、リクライニング装置10をロック状態に保持している。そして、操作リンクCは、この状態から図示時計回り方向に押し回されることにより、リクライニング装置10のロック状態を解除操作するようになっている。なお、操作リンクCは、その押し回される力が解かれることにより、附勢によって図2に示される回動位置状態に戻されてリクライニング装置10を再びロック状態に復帰させるようになっている。
なお、操作レバーLも、常時は、クッションフレーム3fとの間に掛着された引張バネStの附勢によって、図2に示される回動位置状態に保持されている。そして、操作レバーLは、これを上記の附勢に抗して図示時計回り方向に引き上げる操作を行うことにより、連結ピンLpを腕振り部31に形成された長孔31hに沿って図示下方に向けてスライド移動させる。これにより、図4に示されるように、先ず、係脱部材30が図示反時計回り方向に押し回されて、係脱部32とリング部材20との両歯の噛合状態が外される。そして、その後に、押し部Ltによって操作リンクCが図示時計回り方向に押し回されて、リクライニング装置10のロック状態が解除される。これにより、シートバック2の背凭れ角度の固定状態が解除されて、その調整移動が行えるようになる。
【0020】
そして、操作レバーLは、その引き上げ操作をやめることにより、引張バネStの附勢によって図示反時計回り方向に引き戻されて、連結ピンLpを長孔31hに沿って図示上方に向けてスライド移動させる。これにより、先ず、押し部Ltが操作リンクCから図示時計回り方向に離間して、リクライニング装置10がロック状態に復帰する。そして、その後に、図2に示されるように、係脱部材30が図示反時計回り方向に回されて、係脱部32の内歯32tがリング部材20の外歯20tに噛合した状態となる。これにより、リクライニング装置10のロック時のガタつきによって生じるシートバック2の背凭れ角度のガタ移動が、リング部材20と係脱部32との両歯の噛合によって規制された状態となる。
【0021】
次に、図3〜図8を用いてリクライニング装置10,10の構成について説明する。なお、各リクライニング装置10,10は、互いに対称の構成となっているが、実質的な構成は同じとなっている。したがって、以下の説明では、図3〜図8に示されている一方側の構成についてのみ説明する。
ここで、図5には、リクライニング装置10の分解斜視図が示されている。なお、図5に示されているリクライニング装置10は、図3に示されているリクライニング装置10とはその組み付けの配置が左右で逆向きに示されている。同図に示されるように、リクライニング装置10は、概略円盤形状のラチェット11及びガイド12と、これらの円盤面の間に挟まれて配置される押引部材13及びポール14,14と、上記のラチェット11及びガイド12を挟持する外周リング15と、がひとつに組み付けられて構成されている。なお、リクライニング装置10の組み付け状態は、図6に示されている。
以下、上記各部品の構成について詳しく説明する。
【0022】
先ず、ラチェット11の構成について説明する。すなわち、図5に示されるように、ラチェット11は、概略円盤形状に形成されている。
このラチェット11は、その円盤形状の外周縁部位が板圧方向(軸方向)への半抜き加工によって円筒状に突出した形状に形成されている。そして、この円筒状に突出した部位の内周面には、内歯11gが形成されている。これにより、ラチェット11の外周縁部位が、円筒状に突出した内歯車として形成されている。そして、ラチェット11の円盤形状の中心部には、板厚方向に貫通した貫通孔11hが形成されている。
このラチェット11は、図3に示されるように、その外盤面をシートバック2の骨格を成すバックフレーム2fの板面と接合させることにより、シートバック2と一体的に連結されている。ここで、図5に示されるように、ラチェット11の外盤面には、その円周方向の複数箇所にダボ11a・・やDダボ11bが突出形成されている。このDダボ11bは、その突出形状の一部が断面D字状に切り欠かれた形状に形成されており、円筒形状に突出したダボ11a・・とは形状が区別されるようになっている。一方、図3に示されるように、バックフレーム2fには、これらダボ11a・・やDダボ11bを嵌合させることのできるダボ孔2a・・やDダボ孔2bが貫通形成されている。したがって、これらダボ11a・・やDダボ11bを、バックフレーム2fに形成されたダボ孔2a・・やDダボ孔2bに嵌合させた状態で両板面を溶着して接合することにより、ラチェット11とバックフレーム2fとが強固に一体的に連結されている。
なお、バックフレーム2fには、ラチェット11に形成された貫通孔11hと同芯上の位置に貫通孔2cが形成されている。
【0023】
次に、図5に戻って、ガイド12の構成について説明する。このガイド12は、ラチェット11よりもひとまわり大きな外径を有した概略円盤形状に形成されている。
このガイド12は、ラチェット11と同じように、その円盤形状の外周縁部位が、板厚方向(軸方向)への半抜き加工によって円筒状に突出した形状に形成されている。このガイド12は、図3に示されるように、ラチェット11と互いの内盤面を重ね合わせるかたちで組み付けられることにより、その円筒状に突出した外周縁部位の内部に、ラチェット11の円筒状に突出した外周縁部位を囲い込んだ状態として組み付けられるようになっている。これにより、ガイド12は、その円筒状に突出した外周縁部位の内周面12nによって、ラチェット11の径方向への相対移動を規制した状態として保持できるようになっている。そして、図5に戻って、ガイド12の円盤形状の中心部には、板厚方向に貫通した貫通孔12hが形成されている。
このガイド12は、図5に示されるように、その外盤面をシートクッション3の骨格を成すクッションフレーム3fの板面と接合させることにより、シートクッション3と一体的に連結されている。ここで、図5に示されるように、ガイド12の外盤面には、その円周方向の複数箇所にダボ12a・・やDダボ12bが突出形成されている。このDダボ12bは、その突出形状の一部が断面D字状に切り欠かれた形状に形成されており、円筒形状に突出したダボ12a・・とは形状が区別されるようになっている。一方、図3に示されるように、クッションフレーム3fには、これらダボ12a・・やDダボ12bを嵌合させることのできるダボ孔3a・・やDダボ孔3bが貫通形成されている。したがって、これらダボ12a・・やDダボ12bを、クッションフレーム3fに形成されたダボ孔3a・・やDダボ孔3bに嵌合させた状態で両板面を溶着して接合することにより、ガイド12とクッションフレーム3fとが強固に一体的に連結されている。
なお、クッションフレーム3fには、ガイド12に形成された貫通孔12hと同芯上の位置に貫通孔3cが形成されている。
【0024】
そして、図5に戻って、ガイド12の内盤面には、板厚方向(軸方向)への半抜き加工によって"十"符号状に窪んだ溝部12dが形成されている。そして、この溝部12dの内部には、押引部材13やポール14,14がスライド移動可能に収納されている。
ここで、図7には、ガイド12の溝部12d内に押引部材13やポール14,14が収納配置された状態が示されている。同図に示されるように、溝部12dの図示上側と下側の窪み領域には、ポール14,14がそれぞれ収納配置されている。そして、溝部12dの中央部には、図示右側と左側の窪み領域に跨るかたちで押引部材13が収納配置されている。これにより、図示上側に収納配置されたポール14が、その両サイドに突出形成されているガイド部12g,12gに当て交われた状態とされている。そして、図示下側に収納配置されたポール14が、その両サイドに突出形成されているガイド部12g,12gに当て交われた状態とされている。そして、同じように、押引部材13は、その左右の端部が、それらの上下サイドに突出形成されているガイド部12g,12gやガイド部12g,12gに当て交われた状態とされている。
【0025】
ここで、図示上側と下側の左右のガイド部12g,12g及びガイド部12g,12g間の各幅寸法(左右間寸法)は、各ポール14,14の幅寸法よりも僅かに大きい程度でほぼ同じ大きさに設定されている。そして、図示右側と左側の上下のガイド部12g,12g及びガイド部12g,12g間の各幅寸法(上下間寸法)は、押引部材13の上下の幅寸法よりも僅かに大きい程度でほぼ同じ大きさに設定されている。
これにより、各ポール14,14は、図8に示されるように、それらの両サイドに当て交われたガイド部12g,12g或いはガイド部12g,12gに案内されながら、溝部12dの形状内部を半径方向の内外方(図示上下方向)にのみスライド移動させられるようになっている。また、押引部材13は、その左右の端部に当て交われたガイド部12g,12g或いはガイド部12g,12gに案内されながら、溝部12dの形状内部を図示左右方向(半径方向)にのみスライド移動させられるようになっている。
【0026】
次に、図5に戻って、ポール14,14の構成について説明する。
これらポール14,14は、平板形状に形成されている。そして、各ポール14,14の外周面部には、ラチェット11に形成された内歯11gと噛合可能な外歯14g,14gがそれぞれ形成されている。そして、各ポール14,14は、それらの内周面部が肉抜きされた形状に形成されている。そして、この肉抜きされた空間内部には、押引部材13によって引き操作される掛部14k,14kがそれぞれ突出形成されている。そして、この肉抜き形状によって、各ポール14,14の内周面部の両側部には、押引部材13によって押し操作される脚部14b,14b及び脚部14b,14bがそれぞれ形成されている。
【0027】
次に、押引部材13の構成について説明する。
この押引部材13は、平板形状に形成されている。そして、押引部材13の図示上側と下側の中央部位には、各ポール14,14に形成された掛部14k,14kを引掛けることのできるフック形状の引き部13q,13qが形成されている。これら引き部13q,13qは、図7及び図8に示されるように、押引部材13が図7のスライド位置から図8のスライド位置に向けて移動操作されることにより、各ポール14,14に形成された掛部14k,14kを引掛けてこれらを半径方向の内方にそれぞれ引き寄せる。これにより、各ポール14,14をラチェット11の内歯11gとの噛合状態から外すことができる。
そして、図5に戻って、押引部材13の上記引き部13q,13qが形成された各部位の両サイドには、各ポール14,14の脚部14b,14b及び脚部14b,14bをそれぞれ引き込むことのできる窪み部13d,13d及び窪み部13d,13dが形成されている。これら窪み部13d,13d及び窪み部13d,13dは、図8に示されるように、各ポール14,14が引き部13q,13qによって半径方向の内方にそれぞれ引き寄せられた際に、各ポール14,14の脚部14b,14b及び脚部14b,14bを引き込んで、それらのスライド移動を許容するようになっている。
【0028】
そして、図5に戻って、上記窪み部13d,13d及び窪み部13d,13dの図示両左肩側の部位には、それらの窪み形状からの立ち上がり形状によって、各ポール14,14の脚部14b,14b及び脚部14b,14bをそれぞれ半径方向の外方に押し操作することのできる押し部13p,13p及び押し部13p,13pがそれぞれ形成されている。これら押し部13p,13p及び押し部13p,13pは、図8に示されるように、各ポール14,14の脚部14b,14b及び脚部14b,14bが各窪み部13d,13d及び窪み部13d,13dの内部に引き込まれた状態から、押引部材13が図7のスライド位置まで移動することにより、各ポール14,14の脚部14b,14b及び脚部14b,14bを押し上げて半径方向の外方に押し出すようになっている。これにより、各ポール14,14の外歯14g,14gがラチェット11の内歯11gにそれぞれ噛合された状態となって保持される。
【0029】
そして、各ポール14,14がラチェット11の内歯11gと噛合することにより、ラチェット11のガイド12に対する相対回動が規制された状態となる。すなわち、ラチェット11の内歯11gに噛合状態となっている各ポール14,14は、ガイド12に対しては、溝部12dの内部に収納されていることでその周方向への移動が規制された状態とされている。これにより、各ポール14,14を介して、ラチェット11のガイド12に対する相対回動が規制された状態となっている。しかし、図8に示されるように、各ポール14,14がラチェット11との噛合状態から外されることにより、ラチェット11のガイド12に対する相対回動が許容された状態に切換えられる。
ここで、前述したように、各ポール14,14の両サイドをガイドするガイド部12g,12g及びガイド部12g,12g間の各幅寸法(左右間寸法)は、各ポール14,14の半径方向へのスライド移動を円滑に行えるようにするために、これらの幅寸法よりも僅かに大きく設定されている。このため、各ポール14,14は、ラチェット11の内歯11gに噛合した状態となっていても、上記した隙間の範囲内ではガタ移動することができる状態となっている。したがって、このガタつきにより、リクライニング装置10がロック状態となっていても、シートバック2の背凭れ角度のガタ移動が起こるようになっている。
【0030】
次に、図5に戻って、外周リング15について説明する。この外周リング15は、薄板状の中空円板部材が板圧方向(軸方向)への半抜き加工によって段差のある円筒形状に形成されている。
この外周リング15は、その内周縁側の部位面が、ラチェット11の外盤面の外周縁側の部位面に当て交われる挟持面部15bとして形成されている。そして、外周リング15の外周縁側の部位面は、図3に示されるように、ガイド12の外盤面の外周縁側の部位面に当て交われるようにカシメられる挟持面部15aとして形成されている。
したがって、この外周リング15を、ラチェット11とガイド12とを組付けた状態で、これらを挟み込むようにしてカシメ固定することにより、これらが板圧方向に離間移動しないように挟持された状態として保持される。そして、この外周リング15は、ガイド12に当て交われている挟持面部15aがガイド12に対して一体的に溶着されて固定されている。これにより、ガイド12及びこのガイド12と一体的に固定されている外周リング15に対して、ラチェット11が相対的に回動移動することのできる構成とされている。
【0031】
そして、図3に示されるように、上記したラチェット11やガイド12の中心部に形成された貫通孔11h,12hの内部には、これらに貫通するかたちで操作軸17が挿通されている。この操作軸17には、前述した操作レバーLに押し操作されて回動する操作リンクCが一体的に連結されている。これにより、操作軸17は、操作レバーLを引き上げる操作に伴って、操作リンクCと一体的となって回動操作されるようになっている。この操作軸17は、ロッドRと回動方向に一体的に連結されている。
そして、この操作軸17には、カム形状の外周面を有した操作カム18が挿通されており、互いに回動方向に一体的な状態に連結されている。この操作カム18は、図5に示されるように、押引部材13に貫通形成された貫通孔13h内に収納配置されている。そして、操作カム18は、操作軸17が回動操作されることにより、そのカム形状の外周面の膨らんだ押動部18aによって、押引部材13を貫通孔13hの内周面側からスライド移動操作するようになっている。
ここで、図5に戻って、操作カム18の軸部分の図示左側の端部には、角筒形状のバネ掛部18bが形成されている。このバネ掛部18bには、捩りバネ16の中心側の端部が掛着されるようになっている。そして、捩りバネ16の外周側の端部は、ガイド12に突出形成されたバネ掛部12kに掛着されるようになっている。したがって、操作カム18は、この捩りバネ16の掛着により、常時は、図7に示されるように図示反時計回り方向に回動附勢されて、各ポール14,14をラチェット11の内歯11gと噛合させた状態として保持されている。そして、操作カム18は、図8に示されるように、上記の附勢に抗して図示時計回り方向に回動操作されることにより、各ポール14,14をラチェット11との噛合状態から外すように操作する。そして、操作カム18は、その図示時計回り方向への回動操作が解除されることにより、その附勢によって再び図7に示される位置状態に戻される。
【0032】
ところで、図2に戻って、前述したシートバック2のガタ防止構造を構成するリング部材20は、以下のようにしてバックフレーム2fに組み付けられて固定されている。
すなわち、先ず、リング部材20をリクライニング装置10の外周リング15の外周縁側に嵌め込むかたちで組み付けておき、バックフレーム2fに対しては固定しない状態としておく。そして、この状態から、リクライニング装置10をロックさせた状態としてシートバック2を後方側(回動方向X)に押圧してガタ移動させた状態とする。そして、この状態から更に、リング部材20を係脱部32と噛合させた状態として、リング部材20をシートバック2のガタ移動方向とは反対側の回動方向Yに押圧して移動させた状態とする。そして、この状態で、リング部材20をバックフレーム2fに溶着してこれと一体的に固定する。
これにより、リクライニング装置10がロック状態(噛合状態)となって、係脱部材30がリング部材20に噛合状態となるときには、各歯の噛合状態は次の状態となる。すなわち、図9に示されるように、リクライニング装置10は、そのロック状態を作り出すラチェット11の内歯11gが、各ポール14,14の外歯14g,14gに対して回動方向X(図示右方向)にガタ移動された状態で噛合状態となる。そして、図10に示されるように、リング部材20の外歯20tは、係脱部材30の内歯32tに対して回動方向Y(図示左方向)に移動された状態で噛合状態となる。これにより、図2に戻って、リクライニング装置10の双方向のガタ移動が規制された状態となる。
【0033】
続いて、本実施例の使用方法について説明する。
すなわち、図1に示されるように、操作レバーLの引き上げ操作を行う前の状態では、リクライニング装置10,10はロック状態に保持されている。この状態では、図2に示されるように、係脱部材30がリング部材20と噛合した状態となっており、シートバック2の背凭れ角度のガタ移動が規制された状態となっている。
そして、この状態から、操作レバーLの引き上げ操作を行うことにより、図4に示されるように、先ず、係脱部材30とリング部材20との噛合状態が外されて、その後に操作リンクCが押し回されてリクライニング装置10,10のロック状態が解除される。これにより、シートバック2の背凭れ角度の固定状態が解かれて、その調整移動が行えるようになる。
そして、シートバック2の背凭れ角度を調整した後に、操作レバーLの引き上げ操作をやめると、先ず、操作リンクCの押し操作状態が解かれてリクライニング装置10,10がロック状態に復帰する。そして、その後に、係脱部材30が回動操作されてリング部材20に噛合した状態となる。これにより、シートバック2の背凭れ角度がその調整した位置に固定されると共に、その位置でのシートバック2の背凭れ角度のガタ移動が規制された状態となる。
【0034】
このように、本実施例のシートバック2のガタ防止構造によれば、シートバック2の背凭れ角度を保持可能なロック強度を備えたリクライニング装置10,10とは別に、そのロック時のガタつきによるシートバック2のガタ移動を歯と歯の噛合によって規制することのできるリング部材20及び係脱部材30から成る係脱機構を設けたことにより、リクライニング装置10,10のロック強度を確保した上で、シートバック2の背凭れ角度の固定にガタつきが生じないようにすることができる。
更に、リクライニング装置10,10がロック状態に戻された後にリング部材20と係脱部材30とが係合状態(噛合状態)となる構成としたことにより、リクライニング装置10,10のロック作動に支障を与えることなく係脱機構を係合させることができる。
更に、係脱機構の係合によりシートバック2が一方のガタ移動方向に片寄せされた状態として保持されるようにしたことにより、シートバック2の双方向のガタ移動を好適に規制することができる。
更に、リング部材20と係脱部材30との噛合ピッチをリクライニング装置10,10のロックの噛合ピッチと同じ設定としたことにより、シートバック2の背凭れ角度の調整ピッチに合わせて係脱機構を係合させることができる。
更に、シートバック2を一方のガタ移動方向に片寄せした状態として係脱機構を歯と歯の噛合によって係合させた状態として組み付けるようにしたことにより、シートバック2の双方向のガタ移動を好適に規制することができる。
【0035】
以上、本発明の実施形態を1つの実施例について説明したが、本発明は上記実施例のほか各種の形態で実施できるものである。
例えば、リクライニング装置は、シートバックとシートクッションとを連結するのではなく、シートバックとフロアとを連結するように設けられていてもよい。この場合には、シートバックのガタ移動を規制する係脱機構は、シートバックとフロアとの間に設定されることとなる。
また、シートバックを後方側に倒し込むガタ移動方向に片寄せした状態で係脱機構を組み付けるようにしたものを示したが、前方側に倒し込むガタ移動方向に片寄せした状態で係脱機構を組み付けても良い。また、このように片寄せした状態で係脱機構を組み付けなくても構わないが、片寄せした状態で組み付けた方がガタ防止性能は向上する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】実施例1の車両用シートの概略構成を表した斜視図である。
【図2】図1のII-II線断面図である。
【図3】図2のIII-III線断面図である。
【図4】操作レバーを引き上げる操作を行った状態を表した構成図である。
【図5】リクライニング装置の分解斜視図である。
【図6】リクライニング装置の組み付け状態図である。
【図7】図6のVII-VII線断面図である。
【図8】図7の状態からリクライニング装置のロックが解除された状態を表した断面図である。
【図9】リクライニング装置のロックの噛合状態を表した模式図である。
【図10】リング部材と係脱部材との噛合状態を表した模式図である。
【符号の説明】
【0037】
1 車両用シート
2 シートバック
2f バックフレーム
2L L字フレーム
2a ダボ孔
2b Dダボ孔
2c 貫通孔
3 シートクッション(固定側部材)
3f クッションフレーム
3L L字フレーム
3a ダボ孔
3b Dダボ孔
3c 貫通孔
3k 係止部
3j 係止部
4 ヘッドレスト
10 リクライニング装置
11 ラチェット
11g 内歯
11h 貫通孔
11a ダボ
11b Dダボ
12 ガイド
12n 内周面
12g ガイド部
12h 貫通孔
12a ダボ
12b Dダボ
12d 溝部
12k バネ掛部
13 押引部材
13h 貫通孔
13p 押し部
13q 引き部
13d 窪み部
14 ポール
14g 外歯
14k 掛部
14b 脚部
15 外周リング
15a 挟持面部
15b 挟持面部
15c 外周面部
16 捩りバネ
17 操作軸
18 操作カム
18a 押動部
18b バネ掛部
20 リング部材
20t 外歯
30 係脱部材
31 腕振り部
31h 長孔
32 係脱部
32t 内歯
33 連結軸
L 操作レバー
Lt 押し部
Lp 連結ピン
St 引張バネ
C 操作リンク
Ss 捩りバネ
R ロッド
X 回動方向
Y 回動方向


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用シートに配備されたリクライニング装置によるシートバックの背凭れ角度固定時のガタを防止するためのシートバックのガタ防止構造であって、
前記リクライニング装置は、前記シートバックをシートクッション等の固定側部材に対して傾動可能に連結しており、かつ、該シートバックの傾動する動きをロックするロック状態と許容する解除状態とに切換えられる構成となっており、そのロック状態ではシートバックの着座使用に伴う背凭れ角度の保持に必要なロック強度を有する構成とされており、
前記シートバックと固定側部材との間には、互いに係脱可能な構成とされてその係合時には歯と歯の噛合構造によって前記シートバックが固定側部材に対して傾動する動きを規制することのできる係脱機構が設けられており、
該係脱機構は、前記シートバックの背凭れ角度が固定されるリクライニング装置のロック状態時に係合状態となり、該リクライニング装置のロック時のガタつきによって生じるシートバックの背凭れ角度のガタ移動を規制するようになっていることを特徴とするシートバックのガタ防止構造。
【請求項2】
請求項1に記載のシートバックのガタ防止構造であって、
前記係脱機構は、前記リクライニング装置のロック状態を切換える操作機構と連係されており、該リクライニング装置のロック状態を解除した操作機構を解除操作前の状態に戻すことにより、該戻し操作の過程で前記リクライニング装置が先行してロック状態に復帰操作され、その後の更なる戻し操作の進行によって前記係脱機構が係合状態に復帰操作されるようになっていることを特徴とするシートバックのガタ防止構造。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のシートバックのガタ防止構造であって、
前記係脱機構は、前記リクライニング装置のロック状態で前記シートバックを一方のガタ移動方向にガタ移動させた片寄せ状態で歯と歯の噛合構造を係合させる組み付け状態とされていることを特徴とするシートバックのガタ防止構造。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載のシートバックのガタ防止構造であって、
前記係脱機構は、
前記リクライニング装置を構成する環状部材の外周縁に沿って配設される外歯を有したリング部材と、
該リング部材の外歯と噛合可能な内歯を有し該内歯を附勢によってリング部材の外歯と噛合させたり附勢に抗して噛合を外したりすることのできる係脱部材と、を有し、
前記リング部材は前記シートバックと一体的に結合されて設けられており、前記係脱部材は前記操作機構によって係脱操作される組み付け状態として前記固定側部材に回動可能に軸支されて設けられていることを特徴とするシートバックのガタ防止構造。
【請求項5】
請求項4に記載のシートバックのガタ防止構造であって、
前記係脱機構のリング部材に形成された外歯と係脱部材に形成された内歯との噛合ピッチは、リクライニング装置に構成されたロックの噛合ピッチと同じ設定となっていることを特徴とするシートバックのガタ防止構造。
【請求項6】
車両用シートに配備されたリクライニング装置によるシートバックの背凭れ角度固定時のガタを防止するためのシートバックのガタ防止構造の組み付け方法であって、
前記リクライニング装置のロック状態でそのロック時のガタつきにより前記シートバックを一方のガタ移動方向にガタ移動させておき、
該シートバックをガタ移動させた片寄せ状態で、該シートバックとシートクッション等の固定側部材との間に設けられた係脱機構を歯と歯の噛合によって係合させた状態として組み付けることを特徴とするシートバックのガタ防止構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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