説明

シートバックフレーム

【課題】衝突時の乗員の支持性能を確保しつつ通常時のヘッドレストの振動を抑制する。
【解決手段】ヘッドレスト40を取り付けるための金属製のサポートブラケット36が、シートバックフレームのアッパフレーム32とその下側に並行して設けられた補強部材35とをその前面側で架け渡すような配置関係にて配設される。サポートブラケット36は、ヘッドレスト40のステー41が挿し通されて支持する筒形状の本体を有し、本体下部36bが補強部材35の前面に固定されるが、本体上部36aはアッパフレーム32に対して固定されない。このようにヘッドレスト40の支持剛性を弱めることによりフロアパネルとの共振が抑制される一方、衝突時にヘッドレスト40に後方への力F2が作用するとサポートブラケット36が本体下部36bを中心として後傾し本体上部36aが後方のアッパフレーム32に当接するため乗員を支持する剛性が確保される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上部にヘッドレストを取り付け可能な車両用シートのシートバックフレームに関する。
【背景技術】
【0002】
シートバックの上部に乗員の頭部を支持するためのヘッドレストを備える車両用シートにおいては、一般的に、シートバックフレームの上部に金属製のヘッドレスト取り付け部材が固定されており、ヘッドレストはこのヘッドレスト取り付け部材に取り付けられている。具体的には、樹脂製で筒形状のヘッドレストサポートがこのヘッドレスト取り付け部材に取り付けられ、ヘッドレストはその下方へ延びるステーがこのヘッドレストサポートに挿通されることによりシートバックフレームに保持されている。このようなヘッドレスト取り付け部材を備えたシートバックフレームは、例えば下記特許文献1に開示されている。
【0003】
この特許文献1に開示されたシートバックフレームは、上辺を成す上枠部材と、その下側に並行して設けられた補強部材とを備えており、上記のヘッドレスト取り付け部材は上下に配置されたこの上枠部材と補強部材とに架け渡すように溶接されて固定されていた。このように、ヘッドレスト取り付け部材を上下に亘って二箇所でシートバックフレームに対して固定することで、車両が後方から衝突を受けた時(以下、衝突時という)に乗員の頭部をヘッドレスト上に支持するために必要な剛性が確保でき、これにより乗員の鞭打ち症の対策がなされていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−216037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、一般的に車両走行時やアイドリング時(以下、通常時という)にはフロアパネルがエンジンと特定の周波数(共振点)にて共振を起こし、この振動はシートに乗員が着座しているか否かに関わらずフロアパネルに固定されたシートフレームを介してヘッドレストにも伝えられる。上記の技術によれば、ヘッドレスト取り付け部材の支持剛性を高くすることで上述のように乗員を支持する剛性は確保できたが、その一方でヘッドレストの(シートバックフレームに対する共振の)共振周波数が増加して上記のフロアパネルの共振点近傍に達していたため、ヘッドレストがフロアパネルの振動レベルを増幅して振動してしまうという問題があった。
【0006】
ここで、ヘッドレスト取り付け部材の支持剛性を下げればヘッドレストの振動を減少させることができるが、逆に衝突時に乗員を支持するための剛性が低下してしまう。すなわち、ヘッドレスト取り付け部材の支持剛性を単純に増減調整する手段による限り、衝突時の乗員の支持性能を高めることとヘッドレストの振動を抑制することは技術的に相反する課題となっていた。
なお、ヘッドレストの質量を増加させることによりヘッドレストの共振周波数を下げることも可能であるが、その分だけ車両の質量とコストが増加することとなり好ましい手段ではない。
【0007】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、衝突時の乗員の支持性能を確保しつつ通常時のヘッドレストの振動を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明に係るシートバックフレームは次の手段をとる。
本発明の第1の発明に係るシートバックフレームは、上部にヘッドレストを取り付け可能な車両用シートのシートバックフレームであって、上辺を成す上枠部材と、該上枠部材の下側に並行して設けられた補強部材と、ヘッドレストを取り付けるためのヘッドレスト取り付け部材とを備え、前記ヘッドレスト取り付け部材は前記上枠部材と前記補強部材とに架け渡された配置関係として配設されており、該ヘッドレスト取り付け部材の前記上枠部材と前記補強部材に架け渡される箇所のうち、一方の箇所は互いに固定状態とされ、他方の箇所は前記一方の箇所を中心にヘッドレストを後方に傾動させるとき互いに当接してその傾動を抑制する状態となる配置構成とされていることを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、通常時と衝突時においてシートバックフレームによるヘッドレストの支持剛性が変化する。
前記ヘッドレスト取り付け部材は前記上枠部材と前記補強部材とに架け渡された配置関係として配設されており、この架け渡される箇所のうち一方の箇所は互いに固定状態とされている。このため、通常時においてはヘッドレスト取り付け部材が前記一方の箇所のみで上枠部材又は補強部材に対して支持される。また、他方の箇所は前記一方の箇所を中心にヘッドレストを後方に傾動させるとき互いに当接してその傾動を抑制する状態となる。このため、衝突時において乗員から後方へ力を受けたヘッドレストが前記一方の箇所を中心として後方に傾動するとき、ヘッドレスト取り付け部材が上枠部材と補強部材のうち前記他方の箇所の部材に当接してその傾動が抑制される。
したがって、衝突時には乗員を支持するために必要なヘッドレストの支持剛性を確保することができるが、通常時には前記一方の箇所のみでヘッドレストが支持されている状態とすることにより衝突時よりも支持剛性を下げることができる。すなわち、衝突時の乗員の支持性能を確保しつつ、通常時のヘッドレストの振動を抑制することができる。
【0010】
本発明の第2の発明に係るシートバックフレームは、第1の発明に係るシートバックフレームであって、前記ヘッドレスト取り付け部材が架け渡される前記他方の箇所の部材は上枠部材であり、該上枠部材は円形断面を有するパイプ形状であることを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、ヘッドレスト取り付け部材が架け渡される前記他方の箇所の部材は上枠部材であり、この上枠部材は円形断面を有するパイプ形状とされている。また前記のように、ヘッドレスト取り付け部材はこの上枠部材に対して固定する必要がないため、たとえば上枠部材のパイプ形状を部分的に潰して溶接のための平面を出す等の加工をする必要がない。したがって、パイプ形状が本来有する曲げ強度を保つことができ、ひいては衝突時の乗員の支持性能をより一層確保することができる。
【0012】
本発明の第3の発明に係るシートバックフレームは、第1又は第2の発明に係るシートバックフレームであって、前記ヘッドレスト取り付け部材が架け渡される前記他方の箇所における当接は緩衝材を介して行われる構成であることを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、ヘッドレストの振動は、ヘッドレスト取り付け部材が架け渡される前記他方の箇所においてヘッドレスト取り付け部材が上枠部材又は補強部材に対して緩衝材を介して繰り返し当接し、またはこの当接状態のままなされることにより、緩衝材により吸収される。したがって、ヘッドレストの振動をより一層抑制することができ、またヘッドレスト取り付け部材と上枠部材又は補強部材とが繰り返し当接することにより異音が発生するのを防止することができる。
【発明の効果】
【0014】
第1の発明によれば、衝突時の乗員の支持性能を確保しつつ、通常時のヘッドレストの振動を抑制することができる。
第2の発明によれば、衝突時の乗員の支持性能をより一層確保することができる。
第3の発明によれば、ヘッドレストの振動をより一層抑制することができるとともに、異音が発生するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施形態に係る車両用のシートを示す斜視図である
【図2】実施形態に係るシートバックフレーム及びヘッドレストを示す側面図である。
【図3】実施形態に係るヘッドレストの取り付け部を図1のIII−III線で切断して示す断面図である。
【図4】実施形態に係るヘッドレストに前後の力が加わった場合の作用を説明する説明図である。
【図5】実施形態の構成によるヘッドレストの共振倍率の低下を説明するグラフである。
【図6】他の実施形態に係るヘッドレストの取り付け部を図3と同様の位置で切断して示す断面図である。
【図7】他の実施形態に係るヘッドレストに前後の力が加わった場合の作用を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図1〜図3を参照しながら本発明を実施するための形態を説明する。
図1には、車両内に設けられて乗員が使用するシート10の外形が鎖線にて示されている。シート10は、乗員が着座するシートクッション20と、乗員の背凭れとなるシートバック30と、乗員の頭部を支持するヘッドレスト40(図2参照)とを備えている。シートバック30は、シートクッション20の後端部に連結され、この連結部に設けられたリクライニング装置(図示せず)によりシートバック30に対してなす角度を調節することが可能とされている。
シートバック30は、その骨格を形成する部材として、図1に実線にて示されるように概して長方形枠形状を有する金属製のシートバックフレーム31を有している。なおシートバック30は、上記のシートバックフレーム31のほか、背凭れ面を含む外形(図1に鎖線にて示されている)を形成する部材として、シートバックフレーム31を覆うクッション材であるパッド材と、パッド部材に覆い被せられる表皮材とを有している。またシートバック30の上部には、着座者の後頭部を支持するヘッドレスト40が取り付けられている。
シートバックフレーム31は、主としてアッパフレーム32と、サイドフレーム33と、アンダーフレーム34とから構成されており、これらの構成部材は溶接により互いに一体的に結合されて、前記の概して長方形枠形状を有するフレーム構造を形成している。サイドフレーム33は、左右に縦方向に配設された長手の板形状を有する部材であって、フレーム構造の側辺部分32bを成している。アッパフレーム32は、円形断面のパイプ形状を有する部材であって、略コの字状に曲げ加工されたものである。アッパフレーム32は、上記の両サイドフレーム33の上端同士を繋ぐように配設されて、フレーム構造の側辺部分32b上部及び上辺部分32aを成している。アンダーフレーム34は長手の板形状を有する部材であって、左右の両サイドフレーム33の下部の内側において横方向に配設されて、フレーム構造の下辺部分を成している。
【0017】
シートバックフレーム31には、アッパフレーム32を補強する補強部材35が設けられている。補強部材35は金属製であって、長手の板形状、すなわち帯形状を有する部材である。補強部材35は、その幅方向が上下方向となる向きで、アッパフレーム32のうちの左右の側辺部分32bを架け渡すように配設されており、上辺部分32aとは互いに平行となっている。補強部材35は、その両端部がそれぞれこの側辺部分32bの後側に溶接されて固定されている。また補強部材35は、幅方向における両側の縁が、長手方向に亘り前側に向かって折り曲げられている。
またシートバックフレーム31には、前述したヘッドレストサポート37を取り付けるためのサポートブラケット36が設けられている。サポートブラケット36は、角筒形状の本体を有する金属製の部材である。サポートブラケット36は、アッパフレーム32とその補強部材35とをその前面側において架け渡すような配置関係にて配設されている。サポートブラケット36の補強部材35に面する本体下部36bには、図3に示されるように補強部材35方向に延びる固定部36cが設けられており、固定部36cの先端が補強部材35の前面に対して溶接により固定されている。この一方で、図3に良く示されるように、サポートブラケット36のアッパフレーム32に面する本体上部36aはアッパフレーム32に対して固定されておらず、僅かに隙間を隔てた位置関係とされている。アッパフレーム32表面のサポートブラケット36本体上部36aに面する箇所には、この両部材同士の当接による異音の発生を防止するため、フェルト38が張られている。
【0018】
ヘッドレスト40は、下方へ延びる棒形状を有する金属製のステー41を有している。このステー41は、ヘッドレストサポート37を介して上記のサポートブラケット36に取り付けられている。ヘッドレストサポート37は円筒形状(図示せず)の本体を有する樹脂製の部材であって、サポートブラケット36の角筒形状(図1参照)内に挿通されて固定されている。図2及び図3にはヘッドレストサポート37の本体上端部のみが示されている。その一方で、ヘッドレスト40のステー41がこのヘッドレストサポート37の円筒形状の中に挿通されている。ステー41は、本体上端部に設けられた公知の手段によりヘッドレストサポート37に対して上下方向に位置決め固定可能に構成されており、これによりヘッドレスト40は着座者の頭部の高さ位置に合わせてシートバック30から上方へ突出する量を調節できる。ヘッドレストサポート37に対して位置決め固定されると、ヘッドレスト40はシートバックフレーム31に取り付けられた状態となる。すなわち本発明でいうヘッドレスト取り付け部材には、本実施形態におけるサポートブラケット36が相当する。
【0019】
次に、図4(A)及び(B)を参照しながら、ヘッドレスト40に力F1,F2が加わった場合に上述の構成がなす作用について説明する。図4(A)及び(B)は共に図3の図示範囲を簡略化して示している。ヘッドレスト40に力が加わった場合の挙動は、ヘッドレスト40がシートバックフレーム31に対して弾性的に支持されるモデルで考えることができる。上述のように、サポートブラケット36の本体下部36bは固定部36cを介して補強部材35に対して固定されているが、本体上部36aはアッパフレーム32に対して固定されていない。すなわち、シートバックフレーム31に対して、ヘッドレスト40は基本的に補強部材35のみにより支持されていることになる。したがって、上方に位置するヘッドレスト40に前後方向への力F1,F2が作用すると、補強部材35の弾性的なねじり変形等が生じ、サポートブラケット36が本体下部36bに設けられた固定部36cを中心として前後へ傾動する。図4(A)及び(B)のそれぞれには、傾動前の状態が破線にて、傾動後の状態が実線にて示されている。
しかし、サポートブラケット36は上述のようにアッパフレーム32の前面側に配設されている。図4(A)に示されるようにヘッドレスト40に前方向の力F1が作用する場合、サポートブラケット36はアッパフレーム32に遮られることなく前方へ傾動することができるが、図4(B)に示されるように後方向の力F2が作用する場合、サポートブラケット36の本体上部36aがその後方に存在するアッパフレーム32にフェルト38を介して当接する。サポートブラケット36がアッパフレーム32に当接した後は、上記補強部材35の変形に加えてアッパフレーム32に弾性的な撓み変形が生じる。このことを考慮すれば、ヘッドレスト40のシートバックフレーム31に対する支持剛性は、後方向の力F2が加わる場合の方が前方向の力F1が加わる場合よりも大きくなる。
【0020】
以上のように構成される実施形態は、以下のような作用効果を奏する。
一般的に車両のフロアパネルはエンジンと特定の周波数にて共振を起こし、この振動はシートに乗員が着座しているか否かに関わらずフロアパネルに固定されたシートフレームを介してヘッドレスト40にも伝えられる。ヘッドレスト40はシートバックフレーム31による支持剛性が高いほど、シートバックフレーム31に対する振動についての共振周波数が高くなる。そして、図5に示すように、この共振周波数が上記のフロアパネルの共振点近傍にあるほどフロアパネルの振動レベルを増幅して振動するようになる。図5に示す線図において、一般的なフロアパネルの共振周波数をf1とすると、破線で示した従来のアッパフレーム32と補強部材35の双方でサポートブラケット36が支持された場合の共振倍率のピーク値は上記f1と同じ位置となってフロアパネルの振動がヘッドレスト40に最も増幅して伝えられる。これに対して、本実施形態のようにサポートブラケット36が基本的に補強部材35のみに支持された構成の場合には支持剛性が弱くなるため、図5において実線で示す線のようにピーク値が上記f1より低くなって、ヘッドレスト40の共振倍率を従来のa点からb点まで下げることができる。これにより、車両走行中等の通常時において発生するヘッドレスト40の振動レベルを抑制することができる。
また、サポートブラケット36をその本体下部36bに設けられた固定部36cを中心に後方に傾動させるとき、サポートブラケット36の本体上部36aがアッパフレーム32に当接してその傾動が抑制される。このため、衝突時において乗員の頭部によりヘッドレスト40が後方へ衝撃荷重を受けた場合、サポートブラケット36の本体上部36aがアッパフレーム32に当接することによりサポートブラケット36がアッパフレーム32と補強部材35の双方に支持された状態となり、乗員を支持するために必要なヘッドレスト40の支持剛性を確保することができる。以上により、衝突時の乗員の支持性能を確保しつつ、通常時のヘッドレスト40の振動を抑制することができる。
なお、上述の通り通常時のヘッドレスト40の支持剛性は前方向の傾動に関する剛性が弱いため、後突直後においては慣性力によりヘッドレスト40がシートバック30に対して前側に動きやすくなっており、着座者の頭部と接触するまでの時間(ヘッドコンタクトタイム)を早めることができ、鞭打ち症を低減することができる。この着座者の頭部との接触後は、ヘッドレスト40は頭部を支持しつつ後方向に傾動し、最終的には前記のようにして乗員の支持性能が確保される。
【0021】
さらに本実施形態の構成によれば、サポートブラケット36の本体上部36aが架け渡されるアッパフレーム32は円形断面を有するパイプ形状とされている。サポートブラケット36はこのアッパフレーム32に対して固定する必要がないため、たとえばアッパフレーム32のパイプ形状を部分的に潰して溶接のための平面を出す等の加工をする必要がない。したがって、衝突時にサポートブラケット36がアッパフレーム32に当接して衝撃荷重を与えても、アッパフレーム32はパイプ形状が本来有する曲げ強度を保っているため、衝突時の乗員の支持性能をより一層確保することができる。
さらに本実施形態の構成によれば、ヘッドレスト40の振動は、サポートブラケット36がフェルト38を介してアッパフレーム32に繰り返し当接し、またはこの当接状態のままなされることにより、フェルト38により吸収される。すなわち、前記の支持剛性が弱まることによる共振倍率の低下と併せて、このフェルト38により振動を抑制することができる効果により、実際の振動倍率は図5にb点で示された共振倍率よりも小さくなる。また振動が吸収されることにより、サポートブラケット36とアッパフレーム32とが繰り返し当接することによる異音の発生を防止することができる。
【0022】
なお、本発明に係るシートバックフレーム31は上記の実施形態に限定されるものではなく、その他各種の形態で実施できるものである。
本実施形態におけるヘッドレスト40は、そのステー41がヘッドレストサポート37及びサポートブラケット36を介してシートバックフレーム31が備える補強部材35に取り付けられているものであった。しかしヘッドレスト40のステー41を直接この補強部材35に溶接することにより取り付ける形態としても良い。この形態とする場合、本発明におけるヘッドレスト40取り付け部材にはこのステー41が相当する。
また本実施形態におけるサポートブラケット36は、その本体上部36aと本体下部36bとがそれぞれアッパフレーム32とその補強部材35の前側に面するような寸法を有するものであった。しかし、アッパフレーム32とその補強部材35とをその前側にて架け渡すような配置関係にて配設されていれば、サポートブラケット36は必ずしも上記のようになっていることを要さない。
また本実施形態におけるサポートブラケット36は、アッパフレーム32とその補強部材35とをその前面側にて架け渡すような配置関係にて配設されており、補強部材35に架け渡されたサポートブラケット36の本体下部36bに設けられた固定部36cが補強部材35に対して固定されているものであった。しかし、図6に他の実施形態として示されるように、サポートブラケット136をアッパフレーム132の上辺部分132aの前面側と補強部材135の後面側とを架け渡すような配置関係にて配設し、補強部材135に架け渡されたサポートブラケット136の本体上部136aを補強部材135に対して固定する構成としても良い。このような構成とすれば、図7(A)(B)に示されるように、ヘッドレスト140に前後方向の力F1,F2が作用する場合、アッパフレーム132に固定されたサポートブラケット136の本体上部136aを中心としてヘッドレスト140が傾動する。ヘッドレスト140に前方向の力F1が作用する場合には、サポートブラケット136の本体下部136bが補強部材135に遮られることなくヘッドレスト140が前方へ傾動することができるが、後方向の力F2が作用する場合には、サポートブラケット136の本体下部136bがフェルト138を介しながら補強部材135の後側に当接してヘッドレスト140の傾動が抑制される。このため、図6及び図7に示される他の実施形態も前記の本実施形態と同様の効果を奏する。
また本実施形態においては、アッパフレーム32に面するサポートブラケット36の本体上部36aはアッパフレーム32に対して僅かに隙間を隔てた位置関係にて配設されているものであったが、アッパフレーム32に対して固定されない限り、この隙間を詰めて接触状態とする形態としても良い。この場合においても、サポートブラケット36は後方へ大荷重が加わらない限り基本的には補強部材35のみにより支持されているため、本実施形態と同様の効果を奏する。
また本実施形態においては、アッパフレーム32とサポートブラケット36同士の当接による異音の発生を防止するためのフェルト38がアッパフレーム32側に張られているものであったが、サポートブラケット36側に張られた形態としても良い。また、このフェルト38に代えて、ゴムやゲルその他の振動吸収効果のある材料を用いたパッドを張る形態としても良い。
【符号の説明】
【0023】
10 シート
20 シートクッション
30 シートバック
31 シートバックフレーム
32 アッパフレーム
32a 上辺部分
32b 側辺部分
33 サイドフレーム
34 アンダーフレーム
35 補強部材
36 サポートブラケット
36a 本体上部
36b 本体下部
36c 固定部
37 ヘッドレストサポート
38 フェルト
40 ヘッドレスト
41 ステー


【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部にヘッドレストを取り付け可能な車両用シートのシートバックフレームであって、上辺を成す上枠部材と、該上枠部材の下側に並行して設けられた補強部材と、ヘッドレストを取り付けるためのヘッドレスト取り付け部材とを備え、前記ヘッドレスト取り付け部材は前記上枠部材と前記補強部材とに掛け渡された配置関係として配設されており、該ヘッドレスト取り付け部材の前記上枠部材と前記補強部材に架け渡される箇所のうち、一方の箇所は互いに固定状態とされ、他方の箇所は前記一方の箇所を中心にヘッドレストを後方に傾動させるとき互いに当接してその傾動を抑制する状態となる配置構成とされていることを特徴とするシートバックフレーム。
【請求項2】
請求項1に記載のシートバックフレームであって、前記ヘッドレスト取り付け部材が架け渡される前記他方の箇所の部材は上枠部材であり、該上枠部材は円形断面を有するパイプ形状であることを特徴とするシートバックフレーム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のシートバックフレームであって、
前記ヘッドレスト取り付け部材が架け渡される前記他方の箇所における当接は緩衝材を介して行われる構成であることを特徴とするシートバックフレーム。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate