シート付照明装置
【課題】シートバックの肩口に設けられるシート付照明装置であって、照明装置にカバーを設けてカバーを開閉して照明装置の使用状態と格納状態とに転換することにより、シートバック内に照明装置を格納するためのスペースを不要とする。
【解決手段】シートバック51の肩口には車両前方側に凹部を有するハウジング3が固定され、ハウジング3の前方向には凹部を覆うようにカバー体2が設けられている。カバー体2はハウジング3に対して、その上部を中心に、その下部を車両前後方向に揺動自在に固定され、カバー体2とハウジング3との間の凹部には照明灯1がカバー体2に固定されて設けられている。カバー体2は、ハウジング3に対して前方側に揺動されたとき、照明灯1をカバー体2とハウジング3との間に露出させ、その位置から揺動される前の位置に戻ったとき、照明灯1をカバー体2とハウジング3との間に格納する。
【解決手段】シートバック51の肩口には車両前方側に凹部を有するハウジング3が固定され、ハウジング3の前方向には凹部を覆うようにカバー体2が設けられている。カバー体2はハウジング3に対して、その上部を中心に、その下部を車両前後方向に揺動自在に固定され、カバー体2とハウジング3との間の凹部には照明灯1がカバー体2に固定されて設けられている。カバー体2は、ハウジング3に対して前方側に揺動されたとき、照明灯1をカバー体2とハウジング3との間に露出させ、その位置から揺動される前の位置に戻ったとき、照明灯1をカバー体2とハウジング3との間に格納する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートバックの肩口に設けられ、読書灯あるいはマップランプとして好適なシート付照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シートに着座した乗員が読書をしたり、地図を見たりするために車両用シートの肩口に照明装置を備える提案がされている(下記特許文献1)。かかるシート付照明装置は、照明装置の使用時には照明装置が乗員の手元を照らすようにシートの肩口にあり、照明装置を使用しないときは、シートとしての見栄えを考慮して照明装置をシートバック内に格納している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平1−147134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1のシート付照明装置では、シートバック内に照明装置を格納するためのスペースが必要であり、シートバックの骨格構造にまで影響を与える問題がある。
本発明は、このような問題に鑑み、照明装置にカバーを設けてカバーを開閉して照明装置の使用状態と格納状態とに転換することにより、シートバック内に照明装置を格納するためのスペースを不要とすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1発明は、シートバックの肩口に設けられるシート付照明装置であって、
シートバック肩口に、着座乗員の手元から離れた側を中心とし、該手元に近い側を車両前後方向に揺動自在とされたカバー体を設け、該カバー体の車両前方への揺動時に着座乗員の手元に近くなる側に、着座乗員の手元方向を照らす照明灯を設け、カバー体は車両前方へ揺動して照明灯を使用位置とする以前の格納位置において、照明灯を外部から見えないように覆い隠すことを特徴とする。
第1発明によれば、照明灯を使用位置として着座乗員の手元方向を照らすときは、照明灯を着座乗員の手元方向に向けるようにカバー体は車両前方に揺動され、カバー体が揺動される以前の格納位置では、カバー体は照明灯を覆い隠すため、照明装置の見栄えを良くすることができる。このとき、カバー体を揺動させるのみで照明灯を使用位置と格納位置とに転換することができ、照明灯を格納位置とする場合でも、照明灯をシートバック内に格納する必要はなく、シートバック内に格納スペースも必要としない。このためシートバックの骨格構造に影響を与えることもない。
【0006】
本発明の第2発明は、上記第1発明において、上記カバー体は、車両前方側へ揺動された照明灯の使用位置と、車両前方側へ揺動される以前の照明灯の格納位置とでそれぞれ停止され、カバー体を常時格納位置側へ揺動するように付勢するばね体と、ばね体により付勢されるカバー体を格納位置で受け止めて停止させるストッパと、カバー体を使用位置に保持し、カバー体を格納位置へ向けて揺動させる方向に所定以上の外力が加わると保持を解除するロック機構とを備えることを特徴とする。
第2発明によれば、照明灯を保持するカバー体は、ロック機構により使用位置に安定して停止される。このため、車両の振動の影響によりカバー体が振動し、照明灯が振動する不具合を抑制することができる。
しかも、ロック機構は使用位置にあるカバー体に所定以上の外力が加わると、カバー体の保持を解除するので、カバー体が使用位置にあるとき、前方に突出しているカバー体に何かが強い力で当接しても、カバー体は格納位置に向けて揺動して、強い当接力によりカバー体及びロック機構が損傷を受けることを抑制することができる。
また、格納位置においては、カバー体はストッパにより格納位置方向に付勢されたカバー体を受け止めて停止されるため、カバー体を格納位置に停止させるための構成を簡略化して安価に製作することができる。
【0007】
本発明の第3発明は、上記第1又は第2発明において、カバー体は、その車両後方側に設けられたハウジングに揺動自在に固定されており、照明灯はカバー体とハウジングとの間に配設され、カバー体の揺動先端部は、照明灯より先端側に延び、且つ格納位置においてハウジングから離間しており、ハウジングの格納位置にあるカバー体より照明灯配設側には、カバー体の揺動先端部より揺動中心側に突出する段部が形成され、カバー体の揺動先端部とハウジングとの隙間から入る視線を段部で遮断することを特徴とする。
第3発明によれば、カバー体の揺動先端部は、照明灯よりも先端側まで延び、格納位置においてハウジングからは離間しているため、格納位置にあるカバー体を使用位置に向けて操作する際、カバー体の揺動先端部に指を掛けることが容易にでき、操作性を良くすることができる。しかも、カバー体の揺動先端部とハウジングとの隙間から入る視線を段部で遮断するため、格納位置におけるカバー体の操作性と見栄えとを両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係るシート付照明装置の一実施形態を車両用シートと共に示す斜視図であり、照明灯が格納位置にある状態を示す。
【図2】図1と同様の斜視図であり、照明灯が使用位置にある状態を示す。
【図3】図1と同様の車両用シートの正面図である。
【図4】図1と同様の車両用シートの側面図である。
【図5】図1と同様の車両用シートの平面図である。
【図6】図1と同様のシート付照明装置の拡大平面図である。
【図7】図1と同様のシート付照明装置の部分断面拡大側面図である。
【図8】図6におけるVIII−VIII線断面図である。
【図9】図6におけるIX−IX線断面図である。
【図10】図6におけるX−X線断面図である。
【図11】図6におけるXI−XI線断面図である。
【図12】図7におけるXII−XII線断面図である。
【図13】図7におけるXIII−XIII線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1〜13の実施形態では、車両の後席のシートバック51の肩口でヘッドレスト52の横に本発明に係る照明装置を設けた場合を示している。なお、図1〜5では、シートバック51の前下方にあるべきシートクッションの図示を省略している。
シートバック51の肩口には車両前方側に凹部を有するハウジング3が固定され、このハウジング3の前方向には凹部を覆うようにカバー体2が設けられている。カバー体2はハウジング3に対して、その上部(着座乗員Pの手元から離れた側)を中心に、その下部(着座乗員Pの手元に近い側)を車両前後方向に揺動自在に固定され、カバー体2とハウジング3との間の凹部には照明灯1がカバー体2に固定されて設けられている。即ち、カバー体2の車両前方への揺動時に着座乗員Pの手元に近くなる側に、着座乗員の手元方向を照らすように照明灯1が設けられている。このとき、カバー体2の揺動中心線は車両幅方向に沿って車両前後方向に直交する方向に設定されているのに対し、照明灯1の照射方向は、カバー体2の前面部に対して左右、前後方向に傾斜して設定されている。
カバー体2は、ハウジング3に対して前方側に揺動されたとき、照明灯1をカバー体2とハウジング3との間に露出させて照明灯1の使用位置とし、その位置から揺動される前の位置に戻ったとき、照明灯1をカバー体2とハウジング3との間に格納して、即ち照明灯1を外部から見えないように覆い隠して照明灯1の格納位置とする。図1は格納位置を示し、図2は使用位置を示す。
【0010】
図13のように、カバー体2は両側の回動軸25によってハウジング3に対して揺動自在とされ、カバー体2にはハウジング3との間にばね体43が設けられて、ばね体43はカバー体2を常時格納位置へ向けて付勢している。また、図6、7のように、各回動軸25にはそれぞれ2個のギヤ26、27を介してオイルダンパ28が接続されており、ばね体43の付勢力によってカバー体2が格納位置へ向けて動く揺動動作に負荷を与えてカバー体2が急激な動きをしないように緩衝動作をさせている。
図8のように、カバー体2の裏面側で揺動中心付近には大略三角形状の当接部21がカバー体2に一体に設けられ、この当接部21がカバー体2の格納位置において対向するハウジング3の上部位置33にはストッパであるクッションゴム41が設けられている。カバー体2がばね体43(図13参照)の付勢力により格納位置に向けて移動し、格納位置に達すると当接部21がクッションゴム41に受け止められてカバー体2の移動が停止されるように設定されている。
【0011】
図9のように、カバー体2の揺動中心付近にはカバー体2と一体にサポート22が設けられ、このサポート22の先端には下方に向けてロック爪23が設けられている。一方、ロック爪23に対向してハウジング3の上部31にはロック機構42が設けられており、カバー体2が前方側に揺動され、ロック爪23の先端がロック機構42に挿入されると、ロック機構42はロック爪23を掴んで、カバー体2を使用位置で保持するように構成されている。このロック機構42はロック爪23を掴んだ状態、即ちカバー体2を図9において二点鎖線で示すようにロックした状態から、図8において破線で示すように、カバー体2をその揺動先端部が上方に動くように更に揺動させて、ロック爪23がロック機構42内に再度深く挿入されると、ロック機構42はロック爪23を掴んだ状態から開放し、ロックを解除するように構成されている。
また、ロック機構42はロック爪23を掴んで、カバー体2を使用位置で保持した状態で、カバー体2を格納位置へ向けて揺動させる方向に所定以上の外力が加わると、ロック機構42はロック爪23を掴んだ状態から開放し、保持を解除する構成とされている。
なお、ここで使用されているロック機構42は、従来より車両の小物入れやカップホルダ等の扉用に使用されているものであり、周知のものである。
【0012】
図10のように、カバー体2の揺動中心付近のサポート22の先端がカバー体2の使用位置において対向するハウジング3の上部34にはクッション体44が設けられており、カバー体2の揺動動作をそこで規制するようにしている。但し、クッション体44は図示のように樹脂製の柔軟性を有する一対の脚部を持って構成されており、クッション体44の脚部の先端がサポート22と当接した位置から更にサポート22がクッション体44を押し込むことができるように構成されている。そのため、カバー体2が使用位置にあるときサポート22はクッション体44の先端に当接しており、その状態から更にカバー体2を揺動させると、サポート22はクッション体44の先端形状を変形させて、カバー体2の揺動を可能としている。
【0013】
照明灯1は、その使用位置においてシートの着座乗員の手元に向けてカバー体2に傾斜して固定されており、図3、6のように、ハウジング3の凹部及びカバー体2も、これに合わせて車両前方側から見て乗員に近い側より遠い側の方が上下方向の寸法を大きくされた形状とされている。
図7〜11のように、カバー体2が照明灯1を格納位置にしているときに、ハウジング3の凹部の下端位置よりカバー体2の下端(揺動先端部)の方が高く設定され、カバー体2の下端(揺動先端部)は、ハウジング3から離間している。この離間距離はカバー体2が照明灯1を格納位置にしているときに、カバー体2の下端に乗員Pの指が挿入可能となるように設定されている。また、このようにカバー体2の下端から裏面に指を挿入したとき、指先が照明灯1に当接しないようにカバー体2は照明灯1の固定位置よりも下方側(先端側)に延びて形成されている。
このようにカバー体2の下端とハウジング3との間に隙間が形成されていると、その隙間からハウジング3の内部が見えてしまい、見栄えが悪くなるが、それを防止するため、ハウジング3の下部には段部32が形成されている。段部32は、カバー体2が格納位置にあるとき、上述のようにカバー体2の下端に乗員Pが指を挿入することが可能なように、ハウジング3の表面側より少し奥側の位置から立ち上がるように形成され、段部32の立上げ高さは、カバー体2の下端より少し高い位置までとされている。
【0014】
図8、11、12のように、この実施形態の場合、照明灯1はLED(発光ダイオード)ユニット10から成り、このLEDユニット10が乗員の好みに応じて、その照射方向を変更できるように構成されている。このため、LEDユニット10のレンズ11の周辺の略半球形状のレンズカバー13は、環状のカバーリング14に対して全方向に所定角度(図示例では28度)だけ揺動自在に構成されている。カバーリング14はカバー体2と一体で略環状のホルダ24に支持されている。図11中、環状のハウジングリング15及びリテイナ16は、LEDユニット10及びレンズカバー13をホルダ24に対して全方向に揺動させるための構成であり、スイッチベース17はリテイナ16をホルダ24に対して支持するための構成である。また、図12の放熱フィン12は、LEDユニット10のLEDを冷却するための構成である。
図3、5に示す円A及び図4に示す線分Aは、照明灯1による乗員手元付近における照射範囲を示している。
【0015】
以上の実施形態によれば、照明灯1を使用位置として着座乗員Pの手元方向を照らすときは、照明灯1を着座乗員Pの手元方向に向けるようにカバー体2はハウジング3に対して車両前方に揺動され、カバー体2が揺動される以前の格納位置では、カバー体2は照明灯1を覆い隠すため、照明装置の見栄えを良くすることができる。このとき、カバー体2を揺動させるのみで照明灯1を使用位置と格納位置とに転換することができ、照明灯1を格納位置とする場合でも、照明灯1をシートバック51内に格納する必要はなく、シートバック51内に格納スペースも必要としない。このためシートバック51の骨格構造に影響を与えることもない。
【0016】
また、照明灯1を保持するカバー体2は、ロック機構42により使用位置に安定して停止される。このため、車両の振動の影響によりカバー体2が振動し、照明灯1が振動する不具合を抑制することができる。
しかも、ロック機構42は使用位置にあるカバー体2に所定以上の外力が加わると、カバー体2の保持を解除するので、カバー体2が使用位置にあるとき、前方に突出しているカバー体2に何かが強い力で当接しても、カバー体2は格納位置に向けて揺動して、強い当接力によりカバー体2及びその周辺部材が損傷を受けることを抑制することができる。
また、格納位置においては、カバー体2はストッパであるクッションゴム41により格納位置方向に付勢されたカバー体2を受け止めて停止されるため、カバー体2を格納位置に停止させるための構成を簡略化して安価に製作することができる。
【0017】
更に、カバー体2の揺動先端部は、照明灯1よりも先端側まで延び、格納位置においてハウジング3からは離間しているため、格納位置にあるカバー体2を使用位置に向けて操作する際、カバー体2の揺動先端部に指を掛けることが容易にでき、操作性を良くすることができる。しかも、カバー体2の揺動先端部とハウジング3との隙間から入る視線を段部32で遮断するため、格納位置におけるカバー体2の操作性と見栄えとを両立させることができる。
【0018】
本発明は、上記実施形態で説明した外観、構成に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。例えば、
1.上記実施形態ではカバー体の揺動中心をカバー体の上部に設けたが、カバー体の側部に設けても良い。また、上部と側部との間の位置に傾斜して設けても良い。
2.上記実施形態では照明灯1としてLEDユニット10を使用した例を示したが、照明灯1はバルブ式のランプ等、他のものでも良い。
【符号の説明】
【0019】
1 照明灯
10 LEDユニット
11 レンズ
12 放熱フィン
2 カバー体
21 当接部
22 サポート
23 ロック爪
24 ホルダ
25 回転軸
26 ギヤ
27 ギヤ
28 ダンパ
3 ハウジング
32 段部
41 クッションゴム(ストッパ)
42 ロック機構
43 ばね体
44 クッション体
51 シートバック
52 ヘッドレスト
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートバックの肩口に設けられ、読書灯あるいはマップランプとして好適なシート付照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シートに着座した乗員が読書をしたり、地図を見たりするために車両用シートの肩口に照明装置を備える提案がされている(下記特許文献1)。かかるシート付照明装置は、照明装置の使用時には照明装置が乗員の手元を照らすようにシートの肩口にあり、照明装置を使用しないときは、シートとしての見栄えを考慮して照明装置をシートバック内に格納している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平1−147134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1のシート付照明装置では、シートバック内に照明装置を格納するためのスペースが必要であり、シートバックの骨格構造にまで影響を与える問題がある。
本発明は、このような問題に鑑み、照明装置にカバーを設けてカバーを開閉して照明装置の使用状態と格納状態とに転換することにより、シートバック内に照明装置を格納するためのスペースを不要とすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1発明は、シートバックの肩口に設けられるシート付照明装置であって、
シートバック肩口に、着座乗員の手元から離れた側を中心とし、該手元に近い側を車両前後方向に揺動自在とされたカバー体を設け、該カバー体の車両前方への揺動時に着座乗員の手元に近くなる側に、着座乗員の手元方向を照らす照明灯を設け、カバー体は車両前方へ揺動して照明灯を使用位置とする以前の格納位置において、照明灯を外部から見えないように覆い隠すことを特徴とする。
第1発明によれば、照明灯を使用位置として着座乗員の手元方向を照らすときは、照明灯を着座乗員の手元方向に向けるようにカバー体は車両前方に揺動され、カバー体が揺動される以前の格納位置では、カバー体は照明灯を覆い隠すため、照明装置の見栄えを良くすることができる。このとき、カバー体を揺動させるのみで照明灯を使用位置と格納位置とに転換することができ、照明灯を格納位置とする場合でも、照明灯をシートバック内に格納する必要はなく、シートバック内に格納スペースも必要としない。このためシートバックの骨格構造に影響を与えることもない。
【0006】
本発明の第2発明は、上記第1発明において、上記カバー体は、車両前方側へ揺動された照明灯の使用位置と、車両前方側へ揺動される以前の照明灯の格納位置とでそれぞれ停止され、カバー体を常時格納位置側へ揺動するように付勢するばね体と、ばね体により付勢されるカバー体を格納位置で受け止めて停止させるストッパと、カバー体を使用位置に保持し、カバー体を格納位置へ向けて揺動させる方向に所定以上の外力が加わると保持を解除するロック機構とを備えることを特徴とする。
第2発明によれば、照明灯を保持するカバー体は、ロック機構により使用位置に安定して停止される。このため、車両の振動の影響によりカバー体が振動し、照明灯が振動する不具合を抑制することができる。
しかも、ロック機構は使用位置にあるカバー体に所定以上の外力が加わると、カバー体の保持を解除するので、カバー体が使用位置にあるとき、前方に突出しているカバー体に何かが強い力で当接しても、カバー体は格納位置に向けて揺動して、強い当接力によりカバー体及びロック機構が損傷を受けることを抑制することができる。
また、格納位置においては、カバー体はストッパにより格納位置方向に付勢されたカバー体を受け止めて停止されるため、カバー体を格納位置に停止させるための構成を簡略化して安価に製作することができる。
【0007】
本発明の第3発明は、上記第1又は第2発明において、カバー体は、その車両後方側に設けられたハウジングに揺動自在に固定されており、照明灯はカバー体とハウジングとの間に配設され、カバー体の揺動先端部は、照明灯より先端側に延び、且つ格納位置においてハウジングから離間しており、ハウジングの格納位置にあるカバー体より照明灯配設側には、カバー体の揺動先端部より揺動中心側に突出する段部が形成され、カバー体の揺動先端部とハウジングとの隙間から入る視線を段部で遮断することを特徴とする。
第3発明によれば、カバー体の揺動先端部は、照明灯よりも先端側まで延び、格納位置においてハウジングからは離間しているため、格納位置にあるカバー体を使用位置に向けて操作する際、カバー体の揺動先端部に指を掛けることが容易にでき、操作性を良くすることができる。しかも、カバー体の揺動先端部とハウジングとの隙間から入る視線を段部で遮断するため、格納位置におけるカバー体の操作性と見栄えとを両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係るシート付照明装置の一実施形態を車両用シートと共に示す斜視図であり、照明灯が格納位置にある状態を示す。
【図2】図1と同様の斜視図であり、照明灯が使用位置にある状態を示す。
【図3】図1と同様の車両用シートの正面図である。
【図4】図1と同様の車両用シートの側面図である。
【図5】図1と同様の車両用シートの平面図である。
【図6】図1と同様のシート付照明装置の拡大平面図である。
【図7】図1と同様のシート付照明装置の部分断面拡大側面図である。
【図8】図6におけるVIII−VIII線断面図である。
【図9】図6におけるIX−IX線断面図である。
【図10】図6におけるX−X線断面図である。
【図11】図6におけるXI−XI線断面図である。
【図12】図7におけるXII−XII線断面図である。
【図13】図7におけるXIII−XIII線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1〜13の実施形態では、車両の後席のシートバック51の肩口でヘッドレスト52の横に本発明に係る照明装置を設けた場合を示している。なお、図1〜5では、シートバック51の前下方にあるべきシートクッションの図示を省略している。
シートバック51の肩口には車両前方側に凹部を有するハウジング3が固定され、このハウジング3の前方向には凹部を覆うようにカバー体2が設けられている。カバー体2はハウジング3に対して、その上部(着座乗員Pの手元から離れた側)を中心に、その下部(着座乗員Pの手元に近い側)を車両前後方向に揺動自在に固定され、カバー体2とハウジング3との間の凹部には照明灯1がカバー体2に固定されて設けられている。即ち、カバー体2の車両前方への揺動時に着座乗員Pの手元に近くなる側に、着座乗員の手元方向を照らすように照明灯1が設けられている。このとき、カバー体2の揺動中心線は車両幅方向に沿って車両前後方向に直交する方向に設定されているのに対し、照明灯1の照射方向は、カバー体2の前面部に対して左右、前後方向に傾斜して設定されている。
カバー体2は、ハウジング3に対して前方側に揺動されたとき、照明灯1をカバー体2とハウジング3との間に露出させて照明灯1の使用位置とし、その位置から揺動される前の位置に戻ったとき、照明灯1をカバー体2とハウジング3との間に格納して、即ち照明灯1を外部から見えないように覆い隠して照明灯1の格納位置とする。図1は格納位置を示し、図2は使用位置を示す。
【0010】
図13のように、カバー体2は両側の回動軸25によってハウジング3に対して揺動自在とされ、カバー体2にはハウジング3との間にばね体43が設けられて、ばね体43はカバー体2を常時格納位置へ向けて付勢している。また、図6、7のように、各回動軸25にはそれぞれ2個のギヤ26、27を介してオイルダンパ28が接続されており、ばね体43の付勢力によってカバー体2が格納位置へ向けて動く揺動動作に負荷を与えてカバー体2が急激な動きをしないように緩衝動作をさせている。
図8のように、カバー体2の裏面側で揺動中心付近には大略三角形状の当接部21がカバー体2に一体に設けられ、この当接部21がカバー体2の格納位置において対向するハウジング3の上部位置33にはストッパであるクッションゴム41が設けられている。カバー体2がばね体43(図13参照)の付勢力により格納位置に向けて移動し、格納位置に達すると当接部21がクッションゴム41に受け止められてカバー体2の移動が停止されるように設定されている。
【0011】
図9のように、カバー体2の揺動中心付近にはカバー体2と一体にサポート22が設けられ、このサポート22の先端には下方に向けてロック爪23が設けられている。一方、ロック爪23に対向してハウジング3の上部31にはロック機構42が設けられており、カバー体2が前方側に揺動され、ロック爪23の先端がロック機構42に挿入されると、ロック機構42はロック爪23を掴んで、カバー体2を使用位置で保持するように構成されている。このロック機構42はロック爪23を掴んだ状態、即ちカバー体2を図9において二点鎖線で示すようにロックした状態から、図8において破線で示すように、カバー体2をその揺動先端部が上方に動くように更に揺動させて、ロック爪23がロック機構42内に再度深く挿入されると、ロック機構42はロック爪23を掴んだ状態から開放し、ロックを解除するように構成されている。
また、ロック機構42はロック爪23を掴んで、カバー体2を使用位置で保持した状態で、カバー体2を格納位置へ向けて揺動させる方向に所定以上の外力が加わると、ロック機構42はロック爪23を掴んだ状態から開放し、保持を解除する構成とされている。
なお、ここで使用されているロック機構42は、従来より車両の小物入れやカップホルダ等の扉用に使用されているものであり、周知のものである。
【0012】
図10のように、カバー体2の揺動中心付近のサポート22の先端がカバー体2の使用位置において対向するハウジング3の上部34にはクッション体44が設けられており、カバー体2の揺動動作をそこで規制するようにしている。但し、クッション体44は図示のように樹脂製の柔軟性を有する一対の脚部を持って構成されており、クッション体44の脚部の先端がサポート22と当接した位置から更にサポート22がクッション体44を押し込むことができるように構成されている。そのため、カバー体2が使用位置にあるときサポート22はクッション体44の先端に当接しており、その状態から更にカバー体2を揺動させると、サポート22はクッション体44の先端形状を変形させて、カバー体2の揺動を可能としている。
【0013】
照明灯1は、その使用位置においてシートの着座乗員の手元に向けてカバー体2に傾斜して固定されており、図3、6のように、ハウジング3の凹部及びカバー体2も、これに合わせて車両前方側から見て乗員に近い側より遠い側の方が上下方向の寸法を大きくされた形状とされている。
図7〜11のように、カバー体2が照明灯1を格納位置にしているときに、ハウジング3の凹部の下端位置よりカバー体2の下端(揺動先端部)の方が高く設定され、カバー体2の下端(揺動先端部)は、ハウジング3から離間している。この離間距離はカバー体2が照明灯1を格納位置にしているときに、カバー体2の下端に乗員Pの指が挿入可能となるように設定されている。また、このようにカバー体2の下端から裏面に指を挿入したとき、指先が照明灯1に当接しないようにカバー体2は照明灯1の固定位置よりも下方側(先端側)に延びて形成されている。
このようにカバー体2の下端とハウジング3との間に隙間が形成されていると、その隙間からハウジング3の内部が見えてしまい、見栄えが悪くなるが、それを防止するため、ハウジング3の下部には段部32が形成されている。段部32は、カバー体2が格納位置にあるとき、上述のようにカバー体2の下端に乗員Pが指を挿入することが可能なように、ハウジング3の表面側より少し奥側の位置から立ち上がるように形成され、段部32の立上げ高さは、カバー体2の下端より少し高い位置までとされている。
【0014】
図8、11、12のように、この実施形態の場合、照明灯1はLED(発光ダイオード)ユニット10から成り、このLEDユニット10が乗員の好みに応じて、その照射方向を変更できるように構成されている。このため、LEDユニット10のレンズ11の周辺の略半球形状のレンズカバー13は、環状のカバーリング14に対して全方向に所定角度(図示例では28度)だけ揺動自在に構成されている。カバーリング14はカバー体2と一体で略環状のホルダ24に支持されている。図11中、環状のハウジングリング15及びリテイナ16は、LEDユニット10及びレンズカバー13をホルダ24に対して全方向に揺動させるための構成であり、スイッチベース17はリテイナ16をホルダ24に対して支持するための構成である。また、図12の放熱フィン12は、LEDユニット10のLEDを冷却するための構成である。
図3、5に示す円A及び図4に示す線分Aは、照明灯1による乗員手元付近における照射範囲を示している。
【0015】
以上の実施形態によれば、照明灯1を使用位置として着座乗員Pの手元方向を照らすときは、照明灯1を着座乗員Pの手元方向に向けるようにカバー体2はハウジング3に対して車両前方に揺動され、カバー体2が揺動される以前の格納位置では、カバー体2は照明灯1を覆い隠すため、照明装置の見栄えを良くすることができる。このとき、カバー体2を揺動させるのみで照明灯1を使用位置と格納位置とに転換することができ、照明灯1を格納位置とする場合でも、照明灯1をシートバック51内に格納する必要はなく、シートバック51内に格納スペースも必要としない。このためシートバック51の骨格構造に影響を与えることもない。
【0016】
また、照明灯1を保持するカバー体2は、ロック機構42により使用位置に安定して停止される。このため、車両の振動の影響によりカバー体2が振動し、照明灯1が振動する不具合を抑制することができる。
しかも、ロック機構42は使用位置にあるカバー体2に所定以上の外力が加わると、カバー体2の保持を解除するので、カバー体2が使用位置にあるとき、前方に突出しているカバー体2に何かが強い力で当接しても、カバー体2は格納位置に向けて揺動して、強い当接力によりカバー体2及びその周辺部材が損傷を受けることを抑制することができる。
また、格納位置においては、カバー体2はストッパであるクッションゴム41により格納位置方向に付勢されたカバー体2を受け止めて停止されるため、カバー体2を格納位置に停止させるための構成を簡略化して安価に製作することができる。
【0017】
更に、カバー体2の揺動先端部は、照明灯1よりも先端側まで延び、格納位置においてハウジング3からは離間しているため、格納位置にあるカバー体2を使用位置に向けて操作する際、カバー体2の揺動先端部に指を掛けることが容易にでき、操作性を良くすることができる。しかも、カバー体2の揺動先端部とハウジング3との隙間から入る視線を段部32で遮断するため、格納位置におけるカバー体2の操作性と見栄えとを両立させることができる。
【0018】
本発明は、上記実施形態で説明した外観、構成に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。例えば、
1.上記実施形態ではカバー体の揺動中心をカバー体の上部に設けたが、カバー体の側部に設けても良い。また、上部と側部との間の位置に傾斜して設けても良い。
2.上記実施形態では照明灯1としてLEDユニット10を使用した例を示したが、照明灯1はバルブ式のランプ等、他のものでも良い。
【符号の説明】
【0019】
1 照明灯
10 LEDユニット
11 レンズ
12 放熱フィン
2 カバー体
21 当接部
22 サポート
23 ロック爪
24 ホルダ
25 回転軸
26 ギヤ
27 ギヤ
28 ダンパ
3 ハウジング
32 段部
41 クッションゴム(ストッパ)
42 ロック機構
43 ばね体
44 クッション体
51 シートバック
52 ヘッドレスト
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートバックの肩口に設けられるシート付照明装置であって、
シートバック肩口に、着座乗員の手元から離れた側を中心とし、該手元に近い側を車両前後方向に揺動自在とされたカバー体を設け、
該カバー体の車両前方への揺動時に着座乗員の手元に近くなる側に、着座乗員の手元方向を照らす照明灯を設け、
前記カバー体は車両前方へ揺動して前記照明灯を使用位置とする以前の格納位置において、前記照明灯を外部から見えないように覆い隠すことを特徴とするシート付照明装置。
【請求項2】
請求項1において、前記カバー体は、車両前方側へ揺動された前記照明灯の使用位置と、車両前方側へ揺動される以前の前記照明灯の格納位置とでそれぞれ停止され、
前記カバー体を常時格納位置側へ揺動するように付勢するばね体と、
該ばね体により付勢される前記カバー体を格納位置で受け止めて停止させるストッパと、
前記カバー体を使用位置に保持し、前記カバー体を格納位置へ向けて揺動させる方向に所定以上の外力が加わると保持を解除するロック機構と、
を備えることを特徴とするシート付照明装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、カバー体は、その車両後方側に設けられたハウジングに揺動自在に固定されており、
前記照明灯は前記カバー体と前記ハウジングとの間に配設され、
前記カバー体の揺動先端部は、前記照明灯より先端側に延び、且つ格納位置において前記ハウジングから離間しており、
前記ハウジングの格納位置にある前記カバー体より前記照明灯配設側には、前記カバー体の揺動先端部より揺動中心側に突出する段部が形成され、前記カバー体の揺動先端部と前記ハウジングとの隙間から入る視線を前記段部で遮断することを特徴とするシート付照明装置。
【請求項1】
シートバックの肩口に設けられるシート付照明装置であって、
シートバック肩口に、着座乗員の手元から離れた側を中心とし、該手元に近い側を車両前後方向に揺動自在とされたカバー体を設け、
該カバー体の車両前方への揺動時に着座乗員の手元に近くなる側に、着座乗員の手元方向を照らす照明灯を設け、
前記カバー体は車両前方へ揺動して前記照明灯を使用位置とする以前の格納位置において、前記照明灯を外部から見えないように覆い隠すことを特徴とするシート付照明装置。
【請求項2】
請求項1において、前記カバー体は、車両前方側へ揺動された前記照明灯の使用位置と、車両前方側へ揺動される以前の前記照明灯の格納位置とでそれぞれ停止され、
前記カバー体を常時格納位置側へ揺動するように付勢するばね体と、
該ばね体により付勢される前記カバー体を格納位置で受け止めて停止させるストッパと、
前記カバー体を使用位置に保持し、前記カバー体を格納位置へ向けて揺動させる方向に所定以上の外力が加わると保持を解除するロック機構と、
を備えることを特徴とするシート付照明装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、カバー体は、その車両後方側に設けられたハウジングに揺動自在に固定されており、
前記照明灯は前記カバー体と前記ハウジングとの間に配設され、
前記カバー体の揺動先端部は、前記照明灯より先端側に延び、且つ格納位置において前記ハウジングから離間しており、
前記ハウジングの格納位置にある前記カバー体より前記照明灯配設側には、前記カバー体の揺動先端部より揺動中心側に突出する段部が形成され、前記カバー体の揺動先端部と前記ハウジングとの隙間から入る視線を前記段部で遮断することを特徴とするシート付照明装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−86573(P2013−86573A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−226576(P2011−226576)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】
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