説明

シート処理装置

【課題】折り処理の際において折り位置のずれを防ぎ、精度の高い折り処理が可能なシート処理装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置により画像形成された後のシートを処理するシート処理装置であって、シートを搬送する搬送ローラーと、シートを噛み込ませて折り込むための折りローラーと、搬送方向に対して垂直方向に駆動し、搬送ローラーで搬送中のシートを折りローラーに噛み込ませるための折り板と、シートの折り処理を制御する制御部とを含む。制御部は、シートの属性情報に基づいてシートの剛性の強弱を判断し、判断結果に基づいてシートの折り処理の制御を切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像形成装置から排出される記録済みの用紙を受けとって後処理を施すシート処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタや複写機等の画像形成装置から排出される記録済みの用紙(シート)を受け入れ、所定の後処理を施すシート処理装置が、近年、広く用いられている。
【0003】
具体的には、シート処理装置には、画像形成後の用紙に対してホチキス(ステープル)綴じ、パンチ(丸穴開け)、紙折りなどの後処理手段が設けられている。
【0004】
そのなかでも画像形成装置から排出される記録済みの用紙(シート)を製本して取り出すようにしたシート処理装置については、従来から多くの提案がなされている。例えば、特開2006−232452号公報においては、用紙後処理装置が開示されており、用紙束を搬送する際において、姿勢を修正して用紙束の綴じ針位置と折り位置との位置ずれを調整する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−232452号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方で、用紙は、用紙の坪量、材質等により剛性が一般的に異なる。用紙の剛性が異なると、用紙の姿勢が異なるため位置ずれが生じやすい。
【0007】
したがって、用紙の剛性を考慮して位置ずれを調整することが重要である。
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであって、折り処理の際において折り位置のずれを防ぎ、精度の高い折り処理が可能なシート処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある局面に従うシート処理装置は、画像形成装置により画像形成された後のシートを処理するシート処理装置であって、シートを搬送する搬送ローラーと、シートを噛み込ませて折り込むための折りローラーと、搬送方向に対して垂直方向に駆動し、搬送ローラーで搬送中のシートを折りローラーに噛み込ませるための折り板と、シートの折り処理を制御する制御部とを含む。制御部は、シートの属性情報に基づいてシートの剛性の強弱を判断し、判断結果に基づいてシートの折り処理の制御を切り替える。
【0009】
好ましくは、搬送ローラーで搬送中のシートが折り板の位置を通過したかどうかを検出する検出センサーをさらに備え、制御部は、シートの剛性が強いと判断した場合には、検出センサーによる検知結果に基づいて、折りローラーに噛まない位置まで折り板をシートに接触させるように駆動し、その後、折り板をさらに駆動して折りローラーにシートを噛み込ませる。
【0010】
好ましくは、制御部は、シートの剛性が強いと判断した場合には、剛性が弱いシートよりも早いタイミングで折り板を駆動し、折り板をシートに接触させる。
【0011】
好ましくは、制御部は、シートの剛性が弱いと判断した場合には、剛性が強いシートよりも搬送ローラーによる搬送量を少なくする。
【0012】
好ましくは、シートは、複数枚のシートで構成され、制御部は、複数枚のシートのうち最後のシートの剛性が強いと判断した場合には、剛性の強いシートの場合の折り処理の制御を実行する。
【発明の効果】
【0013】
本発明に従うシート処理装置において、制御部は、シートの属性情報に基づいてシートの剛性の強弱を判断し、判断結果に基づいてシートの折り処理の制御を切り替える。当該処理により、シートの剛性の相違により生じる折り位置のずれを防ぎ、精度の高い折り処理を実行することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態に従う後処理装置(シート処理装置)FSおよび画像形成装置PAを備える画像形成システムの概略断面図である。
【図2】本発明の実施の形態に従う画像形成装置PAの概略ブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態に従う後処理装置FSの概略ブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態に従う操作パネル13の概観図である。
【図5】本発明の実施の形態に従う二つ折りの後処理を実行する場合を説明する図である。
【図6】本発明の実施の形態に従う二つ折りの後処理を実行する場合の制御フロー図である。
【図7】本発明の実施の形態に従う二つ折りの後処理を実行する場合のタイミングチャートを説明する図である。
【図8】本発明の実施の形態の変形例に従う二つ折りの後処理を実行する場合の制御フロー図である。
【図9】本発明の実施の形態の変形例2に従う二つ折りの後処理を実行する場合の制御フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0016】
(画像形成システム)
図1は、本発明の実施の形態に従う後処理装置(シート処理装置)FSおよび画像形成装置PAを備える画像形成システムの概略断面図である。
【0017】
(画像形成装置PA)
画像形成装置PAは、画像読取部1と、画像処理部2と、画像書込部3と、画像形成部4と、給紙カセット5と、給紙ローラー6と、定着装置7と、排紙ローラー8と、自動両面コピー給紙部9とを備えている。
【0018】
画像形成装置PAの上部には、自動原稿搬送装置10が搭載されている。また、画像形成装置PAの図示左側面の排紙ローラー8側には、後処理装置FSが連結されている。自動原稿搬送装置10の原稿台上に載置された原稿は、搬送路に沿って搬送され画像読取部1の光学系により原稿の片面又は両面の画像が走査され、CCDイメージセンサー1Aに読み込まれる。
【0019】
CCDイメージセンサー1Aにより光電変換されたアナログ信号は、画像処理部2において、アナログ処理、A/D変換、シェーディング補正、画像圧縮処理等を施された後、画像書込部3に送られる。画像書込部3に送られた画像データに基づき半導体レーザーが発光駆動され、画像形成部4の感光体ドラム4Aに照射されて潜像が形成される。画像形成部4においては、帯電、露光、現像、転写、分離、クリーニング等の処理が行なわれ、感光体ドラム4A上にトナー像が形成される。
【0020】
給紙カセット5から給紙ローラー6により給送された記録用紙Sは、感光体ドラム4Aに到達し、転写手段4Bによりトナー像が記録用紙Sに転写される。トナー像を担持した記録用紙Sは、定着装置7により定着処理され、排紙ローラー8から後処理装置FSに送り込まれる。両面コピーの場合には、片面画像処理済みの記録用紙Sは搬送路切り替え板8Aにより自動両面コピー給紙部9に送り込まれ、画像形成部4において裏面にトナー像が転写され、定着された後、排紙ローラー8から後処理装置FSに送り込まれる。
【0021】
(後処理装置FS)
後処理装置FSは、用紙搬入部20と、複数の後処理部とを有する。後処理部としては、孔あけ処理部40と、折り部50、端綴じ(平綴じ)処理部71、中綴じ処理部72、および排紙部80を有する。
【0022】
画像形成装置PAの排紙ローラー8から後処理装置FSに送り込まれた画像形成後の記録用紙S(シートとも称する)は、用紙搬入部20により後処理装置FS内部に搬送される。
【0023】
孔あけ処理部40は、用紙搬入部20の下流側に配置され、シートSにパンチ孔を開ける。具体的には、後処理装置FSの入り口付近に入口センサー28が設けられ、後処理装置FSにシートSが搬入されると、当該入口センサー28がシートSの搬入を検知する。そして、シートSの搬入を検知してから所定時間後にシートSの搬送を停止し、孔あけ処理部40は、シートSにパンチ孔を開ける(パンチ処理)。
【0024】
孔あけ処理部40の下流から2つの搬送路H0,H1に分岐される。当該搬送路H0,H1の切り替えは、搬送経路切替部材30により行われる。下方に分岐した搬送路H1は、搬送ローラー23を経てサドル100に繋がる。サドル100には、中綴じ処理部72、折り部50とが配置されており、詳しくは後述する。
【0025】
もう一方の搬送路H0は、搬送ローラー24を経て排紙部80に繋がる。
用紙搬入部20から搬送路H0を経たシートSは、排紙部80の排出パドル22から後処理装置FSの出口に設けられたエレベートトレイ81に排出される。
【0026】
エレベートトレイ81は、排紙されるシートSの最上面が常に一定した高さになるように図の鎖線で示すように下方に移動する。したがって、エレベートトレイ81上には、数千枚のシートを集積することが可能である。また、搬送路H0には、用紙検出センサー26が設けられ、搬送路H0のシートSの通過を検知して、搬送ローラー24、排出パドル22等の駆動のタイミング制御等が実行される。
【0027】
また、排出パドル22は、圧接した状態と離間した状態とに可動可能に構成されている。排出パドル22が圧接した状態である場合には、上述したようにエレベートトレイ81にシートSを排出する。一方、排出パドル22が離間した状態の場合には、エレベートトレイ81には直ぐに排出されず、シートSが排出パドル22に到達した後、シートSの後端が収容ベルト70上に落下する。そして、収容ベルト70および収容パドル74は、回転して端綴じ処理部71が設けられた方向にシートを搬送する。そして、複数のシートSについて当該処理が複数回実行されて、用紙検出センサー73で所定枚数が端綴じ処理部71に収容されたことを検知し、端綴じ処理を実行する。そして、その後、収容ベルト70および収容パドル74は、排出パドル22の方向に端綴じしたシート束を搬送し、排出パドル22からエレベートトレイ81にシート束が排出される。
【0028】
サドル100は、搬送ローラー23の下流で水平方向に対して斜めに配置されており、シートSをガイドする複数のガイド部材および先端ストッパーと、中綴じ処理部72と、折り部50、用紙幅整合部とを有し、1枚以上のシートSに対して、中折り(二つ折り)モード・中綴じモードの各モードで用紙を処理し、シートトレイ800に排出する。なお、本例においては、サドル100において、1枚以上のシートSに対して二つ折りの処理が施されるため、シートトレイ800に排出されるシートを折りシートとも称することとする。
【0029】
図2は、本発明の実施の形態に従う画像形成装置PAの概略ブロック図である。
図2を参照して、画像形成装置PAは、装置全体を制御するメイン制御部150と、画像読取部1と、画像処理部2と、画像書込部3と、画像形成部4と、自動原稿搬送装置(ADF(Auto Document Feeder)10と、操作パネル13と、音声出力部14と、外部機器インターフェイス15と、通信インターフェイス16とを備える。
【0030】
メイン制御部150は、オペレーティングシステム(OS:Operating System)を含む各種プログラムを実行するためのCPU(Central Processing Unit)151と、CPU151で実行されるプログラムが予め格納されたROM(Read Only Memory)152と、CPU151のプログラム部分の実行に必要なデータを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)153とを備える。
【0031】
メイン制御部150は、ADF10に載荷された原稿から画像読取部1を用いて画像を読み取り電子データ化する読取制御と、読み取られた画像に対して画像処理部2を用いて様々な画像処理を行なう画像処理制御と、画像処理された画像を画像書込部3および画像形成部4を用いて既知の電子写真プロセスによってシートに形成する画像形成制御と、画像が形成されたシートを搬送する用紙給送制御とを実行する。
【0032】
操作パネル13は、タッチパネルを有しており、シートに施す後処理の種類の設定、その他の様々な機能の操作設定を行ない、また設定された機能の確認や種々の警告等を表示可能に構成されている。操作パネル13には、後述するがたとえば、コピー枚数等を設定するテンキー、動作の開始を指示するスタートキー、動作の停止を指示するストップキー、各種設定条件を初期化するリセットキー等も表示される。
【0033】
操作パネル13からメイン制御部150へは、ユーザの操作に基づいて、シートのサイズ等の属性情報、後処理の種別情報(折り・綴じの有無およびそれらの種類ならびに枚数等)、部数情報等を含むジョブが入力される。
【0034】
メイン制御部150は、これらのジョブについて通信インターフェイス16を介して後処理装置FSへ送信する。
【0035】
当該情報は、後処理装置FSにおける後処理のために用いられ、本例においては、後述するシートの剛性判断の際にも用いられる。
【0036】
なお、本例においては、メイン制御部150から後処理装置FSに送信されたジョブについて後処理装置FSのRAM203に保存されるものとする。なお、RAM203には、複数のジョブに関する情報を格納することが可能であるものとする。
【0037】
音声出力部14からは操作音や警告音、紙詰まり等のエラーが発生した場合のエラー音が出力される。外部機器インターフェイス15には外部のネットワーク17が接続される。これにより、ネットワーク上の他の機器と通信可能に構成されている。
【0038】
なお、画像形成装置PAは、複写(コピー)機能のほかに、画像データを取得するスキャン機能、および図示しないが外部のパソコン等の機器から画像データを受信し、印刷を行なうプリント機能、ファクシミリ送信が可能なFAX機能等を備えている。
【0039】
図3は、本発明の実施の形態に従う後処理装置FSの概略ブロック図である。
図3を参照して、後処理装置FSは、後処理装置FSの全体を制御するフィニッシャー制御部200と、画像形成装置PAと情報の通信を行なうための通信インターフェイス87とを備える。
【0040】
フィニッシャー制御部200は、オペレーティングシステムを含む各種プログラムを実行するためのCPU201と、CPU201で実行されるプログラムが予め格納されたROM202と、CPU201のプログラム部分の実行に必要なデータを一時的に記憶するRAM203と、タイマー204を備える。
【0041】
フィニッシャー制御部200は、画像形成装置PAから出力されたジョブに基づいて後処理装置FS内部における各部を制御する。
【0042】
フィニッシャー制御部200は、各種センサーと接続されている。具体的には、用紙検出センサー26,28,77と、折り板センサー59と、折り検知センサー61とがフィニッシャー制御部200に接続されており、各種センサーからの検出信号が入力される。
【0043】
フィニッシャー制御部200は、各種モーターを制御する。
例えば、折り板51を制御する折り板モーター94、折りローラー54,55を制御する折りローラーモーター95および搬送ローラー52,53,56,57を制御する搬送ローラーモーター96を制御する。
【0044】
フィニッシャー制御部200は、孔あけ処理部40、端綴じ処理部71、中綴じ処理部72、用紙幅整合部110等をそれぞれ制御する。
【0045】
なお、ここでは、説明を簡易にするために収容ベルト70および収容パドル74をそれぞれ駆動するモーターについては図示を省略している。他の部品についても同様である。
【0046】
タイマー204は、計時するための手段であり、必要に応じて用いられる。
図4は、本発明の実施の形態に従う操作パネル13の概観図である。
【0047】
図4を参照して、本発明の実施の形態に従う操作パネル13は、表示部312と、10キー302と、スタートボタン310とを含む。なお、その他のキーについては省略している。
【0048】
表示部312上にはタッチパネルが設けられており、表示部312上において所定の操作が可能である。10キー302は、コピー等の枚数を入力するためのボタンである。スタートボタン310は、コピー/スキャン等の処理の実行を指示するボタンである。
【0049】
また、表示部312には、各種モードの表示やその他の表示が行われる。そして、タッチパネルによって、表示内容に従った各種設定を行なうことができる。例えば、表示部312には、通常は、コピー動作やスキャン動作を実行する際に行なう基本的/応用的な設定のためのタブボタン314が配置されている。各タブボタンを押下すると、その詳細設定を行なうための階層画面が表示される。本例においては、応用のタブボタンが押下された場合が示されており、後処理装置FSにおける各種後処理についての詳細な設定指示が可能となっている。具体的には、「小冊子モード」、「とじ代モード」、「折りモード」、「ステープルモード」の指定が可能となっている。
【0050】
当該操作パネル13に従い、シートを構成する用紙のサイズ(A4サイズ等)、二つ折り等の後処理の種別、二つ折り等の後処理を一度にする用紙の枚数、部数等の情報が入力される。なお、用紙のサイズのみならず、用紙の状態(厚紙、普通紙、薄紙)あるいは坪量、材質等のシートの属性情報のデータを入力することも可能であるものとする。あるいは、予め登録されている用紙の製品名等の情報から指定する用紙を選択することが可能であるものとする。当該指定する用紙に関しては、予め坪量、材質等の属性情報が対応付けられているものとする。
【0051】
本例においては、用紙の状態あるいは坪量等の属性情報に基づいて用紙の剛性を判断し、判断結果に基づいて制御を切り替える。具体的には、厚紙、普通紙の場合には、剛性が強いと判断し、薄紙の場合には剛性が弱いと判断することが可能である。あるいは、坪量等から所定の閾値を超えている場合には剛性が強いと判断し、所定の閾値以下の場合には剛性が弱いと判断するようにしても良い。具体的には坪量が65g/m2以上であれば剛性が強いと判断し、坪量が65g/m2未満であれば剛性が弱いと判断する。
【0052】
初期状態においては、普通紙に設定されているものとする。当該設定により用紙等のデータが予め格納されているメモリ(ROM等)から剛性に関する情報を取得することが可能であるものとする。ここでは、3つの状態(厚紙、普通紙、薄紙)の3つのデータが格納されている場合について説明するが、特に3つに限られない。なお、用紙の状態に関して、ユーザが直接、用紙の厚さデータ、あるいは坪量等の属性情報を入力するようにしても良い。
【0053】
図5は、本発明の実施の形態に従う二つ折りの後処理を実行する場合を説明する図である。ここでは、二つ折りするシートSとして剛性が強い場合における搬送処理について説明する。
【0054】
図5(A)を参照して、搬送ローラー52,53,56,57および折りローラー54,55が設けられている場合が示されている。搬送ローラー52,53は、シートSを狭持した状態で水平方向に搬送し、折り位置まで搬送する。折り板51は、搬送ローラー52,53と、搬送ローラー56,57との間に設けられる。また、折り検知センサー61は、折り板51の近傍に設けられ、折り板51の真下にシートSが搬送された場合にシートを検知する。
【0055】
図5(B)を参照して、搬送ローラー56,57は、搬送ローラー52,53から搬送されたシートSを狭持して搬送する。ここで、折り板51を通過したシートSに対して織り板51を接触させる。なお、シートSの剛性が強い場合には、搬送ローラー52,53からシートSを搬送ローラー56,57に搬送するに際し、剛性が強いためシートSの自重による撓みは生じにくいと考えられる。一方で、剛性が弱いシートの場合には、自重により撓みが生じやすいと考えられる。本例においては、シートSに対して折り板51を接触させることにより、剛性が弱いシートに合わせて剛性が強いシートについても擬似的に撓みが生じている状態としている。
【0056】
図5(C)を参照して、さらに、搬送ローラー52,53,56,57を駆動して折り位置が折り板51の真下にくるまでシートSを搬送する。
【0057】
図5(D)を参照して、折り位置が折り板51の真下にきた場合に折り板51を下方に押し下げてシートSを折りローラー54,55に噛み込ませる。たとえば、二つ折りの場合には、シートSの中央部が折り位置となる。
【0058】
以降、折りローラー54,55でシートSを噛み込ませ二つ折りの後処理を実行して、シートトレイ800に排出する。
【0059】
一方で、ここでは、剛性が強いシートの場合について説明したが、剛性が弱いシートの場合には、上述したようにシートの自重により撓みが生じるため、折り板51を通過したシートSに対して折り板51を接触させはしない。そして、折り位置が折り板51の真下にくるまでシートSを搬送し、折り位置が折り板51の真下にきた場合に折り板51を下方に押し下げてシートSを折りローラー54,55に噛み込ませる。
【0060】
従来の方式では、剛性に従うシートの撓みを考慮することなく例えば、剛性の強い普通紙に合わせて二つ折りの後処理の折り位置のタイミングを設定していた。その場合、撓みが発生し易い薄紙の場合には、シートが撓むことにより剛性の強い普通紙とは異なる折り位置で折り板51が当接する可能性があり、剛性の強い普通紙と剛性の弱い薄紙との間で折り位置のずれが発生する可能性があった。
【0061】
そこで、本発明の実施の形態においては、剛性に従うシートの撓みを考慮して、剛性の強い普通紙においても折り板51を接触させることにより擬似的に剛性の弱いシートと同じ撓みのある姿勢にして折り位置のタイミングを設定する方式とした。
【0062】
図6は、本発明の実施の形態に従う二つ折りの後処理を実行する場合の制御フロー図である。なお、当該制御フロー図は、フィニッシャー制御部200のCPU201がROM202に格納されているプログラムを読み込むことにより実行されるものである。
【0063】
図6を参照して、まず、折り検知センサー61がシートを検知したかどうかを判断する(ステップS2)。なお、シートを検知した場合には、タイマー204を用いて計測を開始する。
【0064】
次に、シートの剛性が強いかどうかを判断する(ステップS4)。シートの剛性が強いかどうかは、用紙の状態あるいは坪量等の属性情報に基づいて用紙の剛性を判断する。例えば、普通紙である場合には、シートの剛性が強いと判断する。
【0065】
ステップS4において、シートの剛性が強いと判断した場合(ステップS4においてYES)には、折り板51をシートと接触する位置まで駆動する(ステップS6)。
【0066】
次に、折り検知センサー61でシートを検知してから所定時間(T1)が経過したかどうかを判断する(ステップS8)。
【0067】
次に、ステップS8において折り検知センサー61でシートを検知してから所定時間(T1)が経過したと判断した場合(ステップS8においてYES)には、折り板51を駆動し、シートを折りローラー54,55に噛み込ませる(ステップS10)。
【0068】
そして、折りローラー54,55からシートを二つ折りにして排出する(ステップS14)。
【0069】
そして、処理を終了する(エンド)。
一方、ステップS4において、シートの剛性が強くないと判断した場合(ステップS4においてNO)には、折り検知センサー61でシートを検知してから所定時間(T2)が経過したかどうかを判断する(ステップS12)。
【0070】
次に、ステップS12において折り検知センサー61でシートを検知してから所定時間(T2)が経過したと判断した場合(ステップS12においてYES)には、ステップS10に進み、折り板51を駆動し、シートを折りローラー54,55に噛み込ませる(ステップS10)。
【0071】
そして、折りローラー54,55からシートを二つ折りにして排出する(ステップS14)。
【0072】
そして、処理を終了する(エンド)。
なお、ステップS4と、ステップS2との順番を入れ替えて、最初にシートの剛性を判断するようにすることも可能である。
【0073】
図7は、本発明の実施の形態に従う二つ折りの後処理を実行する場合のタイミングチャートを説明する図である。
【0074】
図7(A)を参照して、ここでは、まず剛性の強いシートの場合について説明する。なお、本例においては、A4サイズのシートを縦搬送した場合について説明する。
【0075】
時刻Tsにおいて搬送ローラー52,53が駆動し、シートSを水平方向に搬送する。
時刻Tuにおいて、折り検知センサー61がonする。すなわち、シートSが折り板51の真下に到達したことを検知する。そして、本例においては、時刻Tuにおいて、折り板モーター94が駆動し、折り板51がシートに接触する位置まで駆動される。折り板センサー59は、折り板51が初期位置(ホームポジション)にあるか否かを検知する。ここで、折り板51が駆動されるため折り板センサー59はオン(on)からオフ(off)となる場合が示されている。
【0076】
そして、折り検知センサー61がシートSを検知してから所定時間(T1)が経過した時刻Tvにおいて、再び、折り板モーター94を駆動する。そして、折り板51を下方に押し下げてシートSを折りローラー54,55に噛み込ませる。なお、本例においては、所定時間T1は一例として985msecである。また、折り板モーター94の駆動速度は一例として82mm/sである。
【0077】
図7(B)を参照して、次に、剛性の弱いシートの場合について説明する。
時刻Tsにおいて搬送ローラー52,53が駆動し、シートSを水平方向に搬送する。
【0078】
そして、時刻Tuにおいて、折り検知センサー61がonする。すなわち、シートSが折り板51の真下に到達したことを検知する。
【0079】
次に、折り検知センサー61がシートSを検知してから所定時間(T2)が経過した時刻Twにおいて、折り板モーター94を駆動する。そして、折り板51を下方に押し下げてシートSを折りローラー54,55に噛み込ませる。ここで、折り板51が駆動されるため折り板センサー59はオン(on)からオフ(off)となる場合が示されている。なお、本例においては、所定時間T2は一例として818msecである。また、図7(A)で説明したように折り板モーター94の駆動速度は一例として82mm/sである。また、シートSの搬送速度についても図7(A)と同様であるものとする。
【0080】
所定時間T1とT2との時間が異なるのは、折り板51の位置が図7(A)および図7(B)でそれぞれ異なるからである。図7(A)の場合には、折り検知センサー61でシートを検知した後、折り板モーター94が駆動されて、剛性の強いシートについても剛性が弱いシートの自重による撓みと同程度の撓みを擬似的に生じさせるために折り板51を押し下げた状態であるからである。図7(B)の場合には、折り板モーター94は駆動されておらず、折り板は初期位置にある。そのため、剛性の強いシートの場合は、既に折り板51が移動した状態であるため再度の折り板モーター94の駆動タイミングは、剛性の弱いシートの場合の折り板モーター94の駆動タイミングよりも遅くなる。
【0081】
当該方式、すなわち、シートの剛性を考慮して二つ折りの後処理の制御を変更することにより折り位置のずれを抑制して、精度の高い折り処理を実行することが可能である。
【0082】
なお、シートの枚数は1枚に限られず、複数枚とすることも可能である。
(変形例1)
上記の方式においては、剛性の弱いシートに合わせて剛性の強いシートについても撓みを擬似的に生じさせる方式について説明したが、一方で、剛性の弱いシートについて撓みを生じにくくするために搬送ローラーによる搬送量を調整するようにすることも可能である。
【0083】
図8は、本発明の実施の形態の変形例に従う二つ折りの後処理を実行する場合の制御フロー図である。なお、当該制御フロー図は、フィニッシャー制御部200のCPU201がROM202に格納されているプログラムを読み込むことにより実行されるものである。
【0084】
図8を参照して、まず、シートの剛性が強いかどうかを判断する(ステップS20)。シートの剛性が強いかどうかは、用紙の状態あるいは坪量等の属性情報に基づいて用紙の剛性を判断する。例えば、普通紙である場合には、シートの剛性が強いと判断する。
【0085】
ステップS20において、シートの剛性が強いと判断した場合(ステップS20においてYES)には、搬送ローラー52,53による搬送速度は通常とする(ステップS22)。
【0086】
そして、折り検知センサー61でシートを検知してから所定時間(T3)が経過したかどうかを判断する(ステップS24)。
【0087】
次に、ステップS24において折り検知センサー61でシートを検知してから所定時間(T3)が経過したと判断した場合(ステップS24においてYES)には、折り板51を駆動し、シートを折りローラー54,55に噛み込ませる(ステップS26)。
【0088】
そして、折りローラー54,55からシートを二つ折りにして排出する(ステップS28)。
【0089】
そして、処理を終了する(エンド)。
一方、ステップS20において、シートの剛性が強くないと判断した場合(ステップS20においてNO)には、搬送ローラー52,53による搬送速度を通常より10%〜20%下げる(ステップS30)。
【0090】
そして、次に、ステップS24に進み、折り検知センサー61でシートを検知してから所定時間(T3)が経過したかどうかを判断する(ステップS24)。
【0091】
次に、ステップS24において折り検知センサー61でシートを検知してから所定期間(T3)が経過したと判断した場合(ステップS24においてYES)には、ステップS26に進み、折り板51を駆動し、シートを折りローラー54,55に噛み込ませる(ステップS26)。
【0092】
そして、折りローラー54,55からシートを二つ折りにして排出する(ステップS28)。
【0093】
そして、処理を終了する(エンド)。
当該方式においては、剛性の弱いシートについては搬送速度を下げることにより搬送量を減らし、剛性の強いシートとの間の折り位置のずれを抑制して、精度の高い折り処理を実行することが可能である。
【0094】
(変形例2)
次に、ジョブに剛性の強い用紙および弱い用紙が混載しているシート混載ジョブについて説明する。例えば、複数枚のシートの折り処理の場合に、折りシートの裏表紙として厚紙、すなわち剛性の強い用紙を用いる場合が考えられる。なお、当該場合には、搬送ローラー52,53から複数枚のシートが一括して搬送されるが、裏表紙となる厚紙は一番下の位置に配置されることになる。
【0095】
図9は、本発明の実施の形態の変形例2に従う二つ折りの後処理を実行する場合の制御フロー図である。なお、当該制御フロー図は、フィニッシャー制御部200のCPU201がROM202に格納されているプログラムを読み込むことにより実行されるものである。
【0096】
図9を参照して、シート混載ジョブであるかどうかを判断する(ステップS40)。
そして、ステップS40において、シート混載ジョブであると判断した場合(ステップS40においてYES)には、シートについて複数枚のうちの最後のシートの剛性が強いかどうかを判断する(ステップS42)。
【0097】
ステップS42において、シートについて複数枚のうちの最後のシートの剛性が強いと判断した場合(ステップS42においてYES)には、次に、折り検知センサー61がシートを検知したかどうかを判断する(ステップS2)。
【0098】
そして、ステップS2において、折り検知センサー61がシートを検知したと判断した場合(ステップS2においてYES)には、折り板51をシートと接触する位置まで駆動する(ステップS6)。
【0099】
次に、折り検知センサー61でシートを検知してから所定時間(T1)が経過したかどうかを判断する(ステップS8)。
【0100】
次に、ステップS8において折り検知センサー61でシートを検知してから所定時間(T1)が経過したと判断した場合(ステップS8においてYES)には、折り板51を駆動し、シートを折りローラー54,55に噛み込ませる(ステップS10)。
【0101】
そして、折りローラー54,55からシートを二つ折りにして排出する(ステップS14)。
【0102】
そして、処理を終了する(エンド)。
一方、ステップS42において、シートについて複数枚のうちの最後のシートの剛性が強くないと判断した場合(ステップS42においてNO)には、ステップS12に進む。
【0103】
そして、ステップS12において折り検知センサー61でシートを検知してから所定時間(T2)が経過したと判断した場合(ステップS12においてYES)には、ステップS10に進み、折り板51を駆動し、シートを折りローラー54,55に噛み込ませる(ステップS10)。
【0104】
そして、折りローラー54,55からシートを二つ折りにして排出する(ステップS14)。
【0105】
そして、処理を終了する(エンド)。
一方、ステップS40において、シート混載ジョブでないと判断した場合(ステップS40においてNO)には、次に、シートの剛性が強いかどうかを判断する(ステップS4)。シートの剛性が強いかどうかは、用紙の状態あるいは坪量等の属性情報に基づいて用紙の剛性を判断する。例えば、普通紙である場合には、シートの剛性が強いと判断する。
【0106】
ステップS4において、シートの剛性が強いと判断した場合(ステップS4においてYES)には、ステップS2に進む。
【0107】
一方、シートの剛性が弱いと判断した場合(ステップS4においてNO)には、ステップS12に進む。
【0108】
そして、ステップS12において折り検知センサー61でシートを検知してから所定時間(T2)が経過したと判断した場合(ステップS12においてYES)には、ステップS10に進み、折り板51を駆動し、シートを折りローラー54,55に噛み込ませる(ステップS10)。
【0109】
そして、折りローラー54,55からシートを二つ折りにして排出する(ステップS14)。
【0110】
そして、処理を終了する(エンド)。
当該方式においては、シートの剛性が強いものと弱いものとが混載しているシート混載ジョブであるかどうかを判断し、シート混載ジョブであると判断した場合に複数枚のうちの最後のシートの剛性が強い場合には、折り板51を接触させることにより擬似的に剛性の弱いシートと同じ撓みのある姿勢にして折り位置のタイミングを設定する。シート混載ジョブの場合に、シートについて複数枚のうちの最後のシートの剛性が強い場合には、当該最後の剛性に従い撓みが生じにくい状態となる。したがって、擬似的に剛性の弱いシートと同じ撓みのある姿勢にして折り位置のタイミングを設定する。
【0111】
当該方式、すなわち、シート混載ジョブにおいてもシートの剛性を考慮して二つ折りの後処理の制御を変更することにより折り位置のずれを抑制して、精度の高い折り処理を実行することが可能である。シート混載ジョブで無い場合の制御については上記の実施の形態で説明したのと同様であるのでその詳細な説明は繰り返さない。
【0112】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0113】
1 画像読取部、2 画像処理部、3 画像書込部、4 画像形成部、5 給紙カセット、6 給紙ローラー、7 定着装置、8 排紙ローラー、8A 搬送路切り替え板、9 自動両面コピー給紙部、10 自動原稿搬送装置、13 操作パネル、14 音声出力部、15 外部機器インターフェイス、16,87 通信インターフェイス、17 ネットワーク、20 用紙搬入部、22 排出パドル、23,24 搬送ローラー、26,73 用紙検出センサー、28 入口センサー、30 搬送経路切替部材、40 孔あけ処理部、70 収容ベルト、71 端綴じ処理部、72 中綴じ処理部、80 排紙部、81 エレベートトレイ、100 サドル、150 メイン制御部、200 フィニッシャー制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置により画像形成された後のシートを処理するシート処理装置であって、
シートを搬送する搬送ローラーと、
シートを噛み込ませて折り込むための折りローラーと、
搬送方向に対して垂直方向に駆動し、前記搬送ローラーで搬送中のシートを前記折りローラーに噛み込ませるための折り板と、
前記シートの折り処理を制御する制御部とを含み、
前記制御部は、
前記シートの属性情報に基づいて前記シートの剛性の強弱を判断し、
判断結果に基づいて前記シートの折り処理の制御を切り替える、シート処理装置。
【請求項2】
前記搬送ローラーで搬送中のシートが折り板の位置を通過したかどうかを検出する検出センサーをさらに備え、
前記制御部は、
前記シートの剛性が強いと判断した場合には、前記検出センサーによる検知結果に基づいて、前記折りローラーに噛まない位置まで前記折り板をシートに接触させるように駆動し、
その後、前記折り板をさらに駆動して前記折りローラーにシートを噛み込ませる、請求項1に記載のシート処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記シートの剛性が強いと判断した場合には、剛性が弱いシートよりも早いタイミングで折り板を駆動し、前記折り板をシートに接触させる、請求項1または2記載のシート処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記シートの剛性が弱いと判断した場合には、剛性が強いシートよりも前記搬送ローラーによる搬送量を少なくする、請求項1に記載のシート処理装置。
【請求項5】
前記シートは、複数枚のシートで構成され、
前記制御部は、
前記複数枚のシートのうち最後のシートの剛性が強いと判断した場合には、剛性の強いシートの場合の前記折り処理の制御を実行する、請求項1に記載のシート処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−107715(P2013−107715A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−251618(P2011−251618)
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】