説明

シート収容体用の切断刃、シート収容容器及びシート収容体

【課題】切断性能を向上することができるシート収容体用の切断刃、シート収容容器及びシート収容体を提供する。
【解決手段】長手方向に沿って直線状に延びる長尺形状に形成され、シート5が巻回されたロールを収容する容器本体10に取り付けられて、該シート5を切断する切断刃15において、複数の歯からなる鋸歯パターンを有する中央部17と、該切断刃15の切断開始領域である端部に設けられ、中央部17に形成された鋸歯パターンとは異なる鋸歯パターンを有する右端部16及び左端部18とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート収容体用の切断刃、シート収容容器及びシート収容体に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂加工された紙材や、ラップフィルム等のシートが巻回されて形成されたロールは、通常、収容容器に収容されて市販されており、該収容容器には、引き出されたシートを切断するための切断刃が備えられている。
【0003】
この切断刃の長手方向の側縁は、鋸歯状に形成され、上記ロールの幅に合わせて長尺状に形成されている。この切断刃として、特許文献1に記載の切断刃のように、途中で屈曲することなく、一直線状に形成されているものがある。上記文献に記載された切断刃は、一般的な切断刃と同様に、一定の形状の歯が、一定のパターンで配列されている。
【0004】
このような直線形状の切断刃が収容容器に固定されている場合には、該容器から引き出されたシートは、切断刃の端部から切り開くことになる。即ち、シートの一端を指で挟持し、シートを上方に引っ張ったりして、切断刃と歯先との角度を鋭角にし、切断刃の長手方向の一端から他端に向かってシートを切り開いていく。
【特許文献1】特開2001−198877号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記文献に記載された切断刃を用いた場合、シートを切断刃の一端に圧接してから、シートの切り開きが切断刃の中央部に展開されるまでの負荷が大きい。特に、厚手のシートを切断する場合、シートを切り開くまでに要する力が大きい。このため、シートを少ない負荷で円滑に切断するために、収容容器に用いられる切断刃に対し、より優れた切断性能が要請されている。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、切断性能を向上することができるシート収容体用の切断刃、シート収容容器及びシート収容体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、長手方向に沿って直線状に延びる長尺形状に形成され、シートが巻回されたロールを収容する容器本体に、該ロールの軸方向と平行に取り付けられて、該シートを切断する切断刃において、複数の歯からなる鋸歯パターンを有する中央部と、該切断刃の切断開始領域である端部に設けられ、前記中央部に形成された前記鋸歯パターンとは異なる鋸歯パターンを有する側端部とを備えたことを要旨とする。
【0008】
この構成によれば、切断刃は、長手方向に沿って直線状に延びる長尺状に形成され、ロールの軸方向と平行に容器本体に取り付けられるため、切断刃の側端部からシートの切断が開始される。また、側端部は、中央部に形成された鋸歯パターンとは異なる歯形パターンを有している。このため、シートの切断を開始する際の切断性を向上し、使用性を向上することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のシート収容体用の切断刃において、前記側
端部は、歯先が、該切断刃の端側に偏倚した歯を有することを要旨とする。
この構成によれば、側端部に形成された歯は、その歯先が、切断刃の端側に偏倚している。このため、シートを、切断刃の端から切断するとき、側部の歯先がシートに刺し込まれやすくなる。このため、シートに対する切断性をさらに向上することができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のシート収容体用の切断刃において、前記側端部は、前記中央部に形成された歯よりも大きい第1の歯を有することを要旨とする。
【0011】
この構成によれば、側端部は、中央部に形成された歯よりも大きい歯を備えている。このため、シートの切断が開始される際に、シートに対し歯を圧接しやすく、圧接する歯の数も少なくなるため、シート切断時の抵抗を低減することができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のシート収容体用の切断刃において、前記側端部は、前記第1の歯と、該第1の歯よりも小さい第2の歯とを有することを要旨とする。
【0013】
この構成によれば、側部は、第1の歯と、第1の歯よりも歯丈が小さい第2の歯とを備えている。このため、シートが切断される際は、まず第1の歯がシートに刺し込まれ、続いて第2の歯がシートに刺し込まれる。このため、シートの切断にかかる負荷を、第1の歯によりシートを切断する際の負荷と、第2の歯によりシートを切断する際の負荷とに分散させることができるため、シートに対する切断性を向上することができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載のシート収容体用の切断刃において、前記側端部に形成された歯は、該切断刃が前記容器本体に取り付けられた状態において、その先端部が、該容器本体の前面壁に対し逆側に突出するように曲がっていることを要旨とする。
【0015】
この構成によれば、側端部に形成された歯は、その先端部が、容器本体の前面壁に対し逆側に突出するように曲がっている。このため、切断刃が前記容器本体に取り付けられた状態において、側端部の先端部が、シートに対してより鋭角となるため、シートに対する切断性をさらに向上することができる。
【0016】
請求項6に記載の発明は、シートが巻回されたロールを収容する容器本体と、長手方向に沿って直線状に延びる長尺形状に形成され、前記容器本体に、前記ロールの軸方向と平行に設けられて、前記シートを切断する切断刃とを備えたシート収容容器において、前記切断刃は、複数の歯からなる鋸歯パターンを有する中央部と、該切断刃の切断開始領域である端部に設けられ、前記中央部に形成された前記鋸歯パターンとは異なる鋸歯パターンを有する側端部とを備えたことを要旨とする。
【0017】
この構成によれば、切断刃は、長手方向に沿って直線状に延びる長尺状に形成され、ロールの軸方向と平行に容器本体に設けられるため、切断刃の側端部からシートの切断が開始される。また、側端部は、中央部に形成された鋸歯パターンとは異なる歯形パターンを有している。このため、シートの切断を開始する際の切断性を向上し、使用性を向上することができる。
【0018】
請求項7に記載の発明は、シートが巻回されたロールと、前記ロールを収容する容器本体と、長手方向に沿って直線状に延びる長尺形状に形成され、前記容器本体に、前記ロールの軸方向と平行に設けられて、前記シートを切断する切断刃とを備えたシート収容体において、前記切断刃は、複数の歯からなる鋸歯パターンを有する中央部と、該切断刃の切
断開始領域である端部に設けられ、前記中央部に形成された前記鋸歯パターンとは異なる鋸歯パターンを有する側端部とを備えたことを要旨とする。
【0019】
この構成によれば、切断刃は、長手方向に沿って直線状に延びる長尺状に形成され、ロールの軸方向と平行に容器本体に設けられるため、切断刃の側端部からシートの切断が開始される。また、側端部は、中央部に形成された鋸歯パターンとは異なる歯形パターンを有している。このため、シートの切断を開始する際の切断性を向上し、使用性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した第1実施形態を図1〜図7に従って説明する。図1は、シート収容体1の全体を示し、図2はシート収容体1の側部断面を示す。
【0021】
図1に示すように、シート収容体1は、収容容器2と、収容容器2に収容されるロール3とを有している。ロール3は、筒状の巻芯4と、巻芯4に巻回されたシート5とを有している。本実施形態では、シート5は、主に加熱調理の際に用いられるシートであって、両面又は片面にシリコン樹脂加工又はテフロン(登録商標)加工が施され、耐油性及び耐熱性を有するとともに、水蒸気を通過させる透過性を有している。尚、シート5を巻芯4なしで巻回可能である場合には、巻芯4を省略してもよい。
【0022】
収容容器2における容器本体10は、コートボール紙等の基材からなり、ロール3を内部に収容可能な大きさであって、長尺且つ箱体状に形成されている。この容器本体10は、上部に開口部を備えた箱体11と、その開口部を封止する蓋体12とを備えている。
【0023】
図2に示すように、蓋体12は、蓋体12の基端は、箱体11の側縁11Dに一体に設けられており、その中央付近で略90°の角度をもって折り曲げられ、断面略L字状をなしている。この蓋体12は、該基端を中心に、閉状態と開状態との間を回動可能になっている。閉状態の蓋体12は、箱体11の後壁部11Aに連結した基端部12Aによって箱体の開口部を封止し、基端部12Aよりも先端に設けられた先端部12Bは、容器本体10の前壁部11Cの一部に重なる。この構成により、閉状態の蓋体12と前壁部11Cとの間に、容器本体10から引き出されたシート5を仮留め可能としている。また、蓋体12の先端部12Bの内側面12Cには、ロール3の軸方向(X軸方向)と平行に直線状に形成された、テープ状の切断刃15が固定されている。
【0024】
一例として、図2に示すように、切断刃15は、エチレンメタクリル酸共重合体を主成分とするシーラント材14及びポリウレタン系の接着剤からなる接着層13を介して、蓋体12の先端部12Bに対して固定されている。具体的には、切断刃15は、接着層13によりシーラント材14に接着されており、シーラント材14は、蓋体12の内側面12Cに対して超音波接着法等により固着されている。これにより、切断刃15と蓋体12との間が強固に固定されるため、切断刃15が繰り返しシート5を切断しても、切断刃15が蓋体12から剥離しにくい。
【0025】
切断刃15の材質は、金属材の他、樹脂組成物や、バルカナイズドファイバー等の硬質繊維ボードといった非金属材のいずれも採用することができるが、環境に対する負荷軽減の観点から、主成分を生分解性樹脂とすることが好ましい。生分解性樹脂としては、例えばポリ乳酸、ポリグリコール酸が挙げられるが、その中でもポリ乳酸系の樹脂組成物を2軸延伸したものを好適に用いることができる。そして、シート状にした樹脂組成物をプレス加工及びレーザ加工によって切断刃15の形状に成形する。尚、樹脂組成物は、主成分である樹脂以外に、無機充填剤、熱安定剤、光安定剤、防水剤、離型剤、顔料、染料等を
含んでいてもよい。
【0026】
この切断刃15の構成について、図3〜図6に従って詳述する。図3は、切断刃15の正面図であって、図4はその右端部の要部を示し、図5及び図6は、それぞれ中央部及び左端部の要部を示す。図3に示すように、切断刃15は、ロール3の長さに合わせて、長手方向(X軸方向)に沿って直線状に延びる長尺形状に形成されている。即ち、切断刃15は、長手方向の中心線L1が直線となる形状となっている。また、その長さは、容器本体10の幅方向(X軸方向)の長さとほぼ同じであって、厚みは容器本体10の基材の厚み(数ミリメートル)以下となっている。また、切断刃15の下端15Aは、シート5を切断するための側縁であって、鋸歯状に形成されている。図2に示すように、切断刃15は、その下端15Aに形成された複数の歯が、蓋体12の端12Eから突出するように蓋体12に対して固定されている。尚、切断刃15の上端15Bも、その成形工程のために鋸歯状に形成されているが(図3参照)、平坦に形成されていてもよく、形状は特に限定されない。
【0027】
図3に示すように、切断刃15は、鋸歯パターンが形成された中央部17と、中央部17の鋸歯パターンと異なる鋸歯パターンが形成された右端部16及び左端部18とを有している。右端部16及び左端部18は、同じ長さに形成され、切断刃15の長手方向における中心線CLに対して、左右対称の形状をなしている。本実施形態では、切断刃15の全長が150mm〜335mmである場合、右端部16及び左端部18の長さW16,W18は、10〜50mmの長さであって、中央部17の長さW17は、50mm〜315mmである。
【0028】
この切断刃15によってシート5を切断する際に、容器本体10を左手で持ち、右手でシート5を引き出して切断する場合には、右端部16が切断開始領域となり、シート5の切り開きは、右端部16、中央部17、左端部18の順番で展開される。容器本体10を右手で持ち、左手でシート5を引き出して切断する場合には、左端部18が切断開始領域となり、シート5の切り開きは、左端部18、中央部17、右端部16の順番で展開される。
【0029】
次に、右端部16について説明する。図4に示すように、右端部16には、第1の歯としての大歯21と、第2の歯としての中歯22とが形成されている。大歯21及び中歯22は、容器本体10の右端からシート5の切断を開始した場合に、シート5への歯先の突き刺しや切り開きを最初に行う歯であって、シート5の切り開きを、右端部16から中央部17に向かって円滑に展開させるように機能する。また、容器本体10の左端からシート5の切断を開始した場合には、シート5の切り開きを、容器本体10の右端に向かって円滑に展開させるように機能する。
【0030】
大歯21及び中歯22は略三角形状に形成され、その三角形における一対の斜辺は、歯の内方に凹曲する円弧状(曲線状)に形成されている。この形状により、各斜辺のなす角度は、頂点において鋭角的になり、シート5へ歯先を突き刺す際にかかる負荷を低減することができる。また、シート5を切り開く際にも、シート5との摩擦が低減されるので、切断にかかる負荷が低減される。これらの大歯21及び中歯22の歯先は、それぞれ同一の歯先角θ1をなすように形成されている。
【0031】
さらに、大歯21及び中歯22は、その歯先が、切断刃15の右端(図中X軸方向)に偏倚するように形成されている。即ち、大歯21の底辺の長さに相当する歯幅W1を、歯先21Aを通る垂線によって二分すると、二分された右側の幅W10は、左側の幅W11よりも短くなっている。同様に、中歯22は、その底辺の長さに相当する歯幅W2を、歯先を通る垂線によって二分すると、二分された右側の幅W20は、左側の幅W21よりも
短くなっている。さらには、大歯21及び中歯22は、右側の斜辺が左側の斜辺よりも短く、右側の斜辺の曲率半径が、左側の斜辺の曲率半径よりも小さい形状になる。これにより、大歯21及び中歯22の歯先が右端を向くようになるため、容器本体10の右端からシート5の切断を開始する場合に、歯先をシート5に突き刺しやすく、小さな抵抗で歯先をシート5に突き刺すことができる。
【0032】
また、大歯21は、中歯22の歯丈H2よりも大きい歯丈H1を有し、中歯22の歯幅W2よりも大きい歯幅W1を有する。この大歯21及び中歯22は、右端部16の全域に亘って、交互に形成されている。この右端部16が、シート5を切断する開始領域となる場合、まず大歯21の歯先21Aがシート5を突き刺した後、ほぼ同時に、中歯22がシート5を突き刺す。このため、シート5の切り開きを開始する際にかかる負荷を、大歯21によってシート5を切断する段階にかかる負荷と、中歯22によってシート5を切断する段階にかかる負荷とに分散することができる。従って、小さな負荷で、円滑にシート5の切り開きを開始することができる。
【0033】
尚、本実施形態の大歯21及び中歯22の歯幅W1,W2、歯丈H1,H2、歯幅を二分した各幅W10,W11,W20,W21、歯先角θ1は、以下のようになっている。
大歯;
歯幅W1:3.25mm
歯丈H1:1.7mm
右側の幅W10:1.47mm
左側の幅W11:1.78mm
歯先角θ1:45°
中歯;
歯幅W2:2.49mm
歯丈H2:1.2mm
右側の幅W20:1.13mm
幅W21:1.36mm
歯先角θ1:45°
次に、図5に示すように、中央部17には、第3の歯としての中央歯30が形成されている。中央歯30は、シート5の切り開きを、中央部17から左端部18又は右端部16へ円滑に展開させるための歯として機能する。
【0034】
中央歯30は、二等辺三角形状をなし、その歯先32から底辺に延ばした垂線は、底辺を二等分する。また、中央歯30は、右端部16の上記中歯22の歯丈H2とほぼ同じ歯丈H3を有している。従って、右端部16の中歯22によって切り開かれたシート5を、中歯22と同じ歯丈の中歯22によって連続して切断することにより、切断の操作を円滑に行うことができる。
【0035】
また、中央歯30の底辺の長さにあたる歯幅W3は、上記中歯22の歯幅W2よりも小さくなっている。従って、中央部17の鋸歯パターンは、右端部16及び左端部18の鋸歯パターンよりも細かいため、中央部17では、シート5の切断面を、整った切断面にすることができる。
【0036】
中央歯30の歯底31と歯先32は、テーパ状に形成されている。また、中央歯30の歯先32は、その歯先角θ2が上記中歯22とほぼ同じか、若しくは若干大きい角度となるように、鋭角状に形成されているため、歯先がシート5に突き刺さりやすい。
【0037】
尚、本実施形態の中央歯30の歯幅W3、歯丈H3、歯先角θ2は、以下のようになっている。
歯幅W3:1.25mm
歯丈H3:1.256mm
歯先角θ2:47°
図6に示すように、左端部18は、右端部16に対して左右対称な形状に形成され、第1の歯としての大歯41と、第2の歯としての中歯42とを有している。大歯41及び中歯42は、容器本体10の左端からシート5の切断を開始した場合に、シート5への歯先の突き刺しや、シートの切り開きを最初に行う歯であって、左端部18から中央部17へ円滑に展開させるように機能する。また、容器本体10の右端からシート5の切断を開始した場合には、シート5の切り開きを、容器本体10の左端に向かって円滑に展開させるように機能する。
【0038】
大歯41及び中歯42は、上記大歯21及び中歯22と同様に、略三角形状に形成され、その三角形における一対の斜辺は、歯の内方に凹曲する円弧状(曲線状)に形成されている。従って、各斜辺のなす角度が、歯先において鋭角的になり、シート5へ歯先を突き刺す際にかかる負荷を低減することができる。また、大歯41及び中歯42の先端は、それぞれ同一の歯先角θ2をなす。
【0039】
また、右端部16の大歯21及び中歯22が、切断刃15の右端に偏倚するように形成されているのに対し、左端部18の大歯41及び中歯42は、その歯先が、切断刃15の左端(反X軸方向)に偏倚するように形成されている。即ち、大歯21の底辺の長さに相当する歯幅W4を、歯先41Aを通る垂線によって二分すると、二分された左側の幅W40は、右側の幅W41よりも短くなっている。同様に、中歯42は、その底辺の長さにお相当する歯幅W5を、歯先42Aを通る垂線によって二分すると、二分された左側の幅W50は、右側の幅W51よりも短くなっている。さらには、大歯41及び中歯42は、左側の斜辺が右側の斜辺よりも短く、左側の斜辺の曲率半径が、右側の斜辺の曲率半径よりも小さい形状である。これにより、大歯41及び中歯42の歯先が左端を向くようになるため、容器本体10の左端からシート5の切断を開始する場合に、小さな抵抗で歯先をシート5に刺し込むことができる。
【0040】
また、大歯41は、中歯42の歯丈H5よりも大きい歯丈H4を有し、中歯42の歯幅W5よりも大きい歯幅W4を有する。この大歯41及び中歯42は、左端部18の全域に亘って、交互に形成されている。この左端部18が、シート5を切断する開始領域となる場合、まず大歯41の歯先41Aがシート5を突き刺した後、それとほぼ同時に、中歯42がシート5を突き刺す。このため、シート5の切り開きを開始する際にかかる負荷を、大歯41によってシート5を切断する段階にかかる負荷と、中歯42によってシート5を切断する段階にかかる負荷とに分散することができる。従って、小さな負荷で、円滑にシート5の切り開きを開始することができる。
【0041】
尚、本実施形態の大歯41及び中歯42の歯幅W4,W5、歯丈H4,H5、歯幅を二分した各幅W40,W41,W50,W51、歯先角θ3は、以下のようになっている。
大歯;
歯幅W4:3.25mm
歯丈H4:1.7mm
左側の幅W40:1.47mm
右側の幅W41:1.78mm
歯先角θ3:45°
中歯;
歯幅W5:2.49mm
歯丈H5:1.2mm
左側の幅W50:1.13mm
右側の幅W51:1.36mm
歯先角θ3:45°
次に、切断刃15によりシート5を切断する際の作用について、図7に従って説明する。図7は、容器本体10の右端からシート5を切断する場合を示している。容器本体10の右端からシート5を切断する場合、使用者は、まず、上記蓋体12の先端部12Bと容器本体10の前壁部11Cとの間に挟まれたシート5を、所望量だけ引き出す。さらに、収容容器2を左手で持ち、シート5の隅部5Aを右手で持って、例えばシート5を上方に引っ張る等して、シート5と、切断刃15の右端部16の歯先との相対角度を、鋭角側に調整する。そして、容器本体10をシート5に対して下方に引き下げる力を加えるか、或いはシート5を容器本体10に対し上方に引き上げて、切断刃15の歯先をシート5に圧接して、歯先をシート5に突き刺す。同時に、容器本体10の右端から左端に向かって、シート5の切り開きが展開されるように、シート5に対し、切断開始位置(ここでは右端)と反対側(ここでは左端)に向かって引っ張るような力を付与する。本実施形態のシート5は、ラップフィルム等よりも厚みがあり、剛性が大きいため、例えば、シート5の隅部5Aをめくり上げて、シート5を切断する。図7は、シート5を上方及び収容容器2の左端に引っ張った場合の図である。
【0042】
図7のように、シート5の右側を引き上げつつ、収容容器2の左端に向かって引っ張るような力を加えると、まず右端部16の大歯21がシート5を突き刺した後、中歯22がシート5を突き刺す。このとき、大歯21及び中歯22の歯先が、容器本体10の右端に向いているため、シート5を歯先にて貫通する際の抵抗が低減され、歯先がシート5に容易に貫通される。それと同時に、シート5を左端に向かって引っ張る力により、シート5に歯先を突き刺した大歯21及び中歯22が、歯先を突き刺した位置からシート5を切り開く。従って、上記したように、シート5の切り開きを開始する際にかかる負荷を、大歯21によってシート5を切断する段階にかかる負荷と、中歯22によってシート5を切断する段階にかかる負荷とに分散することができるので、シート5を切断しやすくすることができ、使用性が向上する。
【0043】
さらに、シート5を容器本体10の左端に向かって引っ張ると、切り口は、切断刃15の中央部17まで展開する。右端部16の中歯22と、中央部17の中央歯30とは、ほぼ同じ歯丈に形成されているので、切り口が、右端部16から中央部17へ差し掛かる際に、さらに力を加えたり、収容容器2に対するシート5の角度を変えたりすることなく、円滑にシート5を切断することができる。また、中央部17の鋸歯パターンは、右端部16よりも細かいため、きれいに切断することができる。
【0044】
そして、中央部17による切断が完了すると、シート5は、左端部18によって切断される。左端部18の大歯41及び中歯42の歯先は、収容容器2の左側に偏倚しているが、シート5は既に半分以上切断され、切り開かれやすい状態となっているため、大歯41及び中歯42がシート5に突き刺さり、最後まで容易に切断することができる。
【0045】
一方、シート5を、容器本体10の左端から切断する場合には、収容容器2を右手で持ち、収容容器2から所望量だけ引き出したシート5を左手で持つ。そして、上記したように、シート5と、切断刃15の左端部18の歯先との相対角度を鋭角側に調整しつつ、例えばシート5を上方に引っ張るとともに、収容容器2の右端側に引っ張る。これにより、左端部18の大歯41がシート5を突き刺し、ほぼ同時に中歯42がシート5を突き刺す。このとき、大歯41及び中歯42の歯先が左側に向いていることから、シート5が歯先に突き刺さる際の抵抗が低減される。さらに、大歯41及び中歯42は、歯先を突き刺した位置からシート5を切り開く。従って、上記したように、シート5の切り開きを開始する際にかかる負荷を、大歯41によってシート5を切断する段階にかかる負荷と、中歯42によってシート5を切断する段階にかかる負荷とに分散することができるので、シート
5を切断しやすくすることができ、使用性が向上する。
【0046】
続いて、シート5をさらに収容容器2の右端に向かって引っ張ると、シート5は、中央部17によって切断される。左端部18の中歯42と、中央歯30とは、ほぼ同じ歯丈に形成されているので、切断位置が左端部18から中央部17へ差し掛かる際に、さらに力を加えたり、収容容器2に対するシート5の角度を変えたりすることなく、円滑にシート5を切断することができる。
【0047】
そして、中央部17による切断が完了すると、シート5は、右端部16によって切断される。右端部16の大歯21及び中歯22の歯先は、収容容器2の右側に偏倚しているが、シート5は既に半分以上切断され、切り開かれやすい状態となっているため、大歯21及び中歯22がシート5に突き刺さり、最後まで容易に切断することができる。
【0048】
このように、切断刃15を、上記構成の右端部16及び左端部18を設ける構成としたため、本実施形態のように厚いシート5であっても、シート5の切り開きを容易に行うことができる。また、切断刃15の両端に、上記構成の右端部16及び左端部18を設けたので、シート5を収容容器2のいずれの端から切断しても、容易に切断を行うことができる。さらに、右端部16及び左端部18の間には、歯先の偏倚がない中央歯30を有する中央部17を設けたため、シート5を収容容器2のいずれの端から切断しても、円滑に切断操作を行うことができるとともに、切断面を整えることができる。
【0049】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)第1実施形態では、ロール3の軸方向に沿って直線状に形成された切断刃15は、複数の歯からなる鋸歯パターンを有する中央部17と、中央部17に形成された鋸歯パターンとは異なる鋸歯パターンの右端部16及び左端部18とを備える。また、右端部16及び左端部18は、その先端が、切断刃15の端側に偏倚した各歯21,22,41,42を有する。即ち、右端部16の各歯21,22の歯先は、各歯21,22の中心に対し右側に偏倚し、左端部18の各歯41,42の歯先は、各歯41,42の中心に対し左側に偏倚している。このため、シート5を切断する際、右端部16に形成された各歯21,22及び左端部18に形成された各歯41,42の歯先が、そのシート5側に向くことになるので、歯先がシート5に突き刺さりやすくなる。従って、切断刃15の切断性能を向上することができる。
【0050】
(2)第1実施形態では、右端部16及び左端部18は、中央部17に形成された中央歯30よりも大きい大歯21,41を有する。このため、シート5は、右端部16又は左端部18の大歯21,41によって切断が開始されるため、小さな抵抗で、シート5の切断を開始することができる。
【0051】
(3)第1実施形態では、右端部16には、大歯21と、当該大歯21よりも歯丈が小さい中歯22とが交互に形成されている。また、左端部18には、大歯41と、当該大歯41よりも歯丈が小さい中歯42とが交互に形成されている。このため、シート5が切断される際は、まず大歯21,41がシート5に突き刺さった後、ほぼ同時に、中歯22,42がシート5に突き刺さる。このため、シート5の切断にかかる負荷を、大歯21,41によりシート5を切断する際の負荷と、中歯22,42によりシート5を切断する際の負荷とに分散させることができる。従って、小さな負荷で、円滑にシート5の切り開きを開始することができる。
【0052】
(第2実施形態)
次に、本発明を具体化した第2実施形態を図8に従って説明する。尚、第2実施形態は、第1実施形態の切断刃の構成を変更したのみの態様であるため、同様の部分については
その詳細な説明を省略する。
【0053】
図8は、蓋体12に固定された切断刃50のうち、右端部51の要部を示す。右端部51は、交互に配置された大歯52及び中歯53を有しており、正面50Aからみた歯形は第1実施形態と同様である。即ち、大歯52及び中歯53は、収容容器2の右側(図中、X軸方向)に偏倚した形状をなしている。また、大歯52の歯幅は、中歯53の歯幅よりも大きく、大歯52の歯丈は、中歯53の歯丈よりも大きい。
【0054】
本実施形態では、切断刃50の先端部(歯先)は、その長手方向(X軸方向)と平行に延びる中心軸線を頂点として、蓋体12の先端部12B(前面壁)に対し逆側に突出するように曲がっている。切断刃50の全体形状は、特に限定されず、例えば図8に示すように、その短手方向(Z軸方向)における断面が、アーチ状(C字状)になるように湾曲状に形成してもよい。或いは、切断刃50を、蓋体12の先端部12Bに接合される平坦部と、蓋体12の端12Eから突出するとともに上記平坦部に対して折れ曲がった屈曲部とから構成してもよい。即ち、屈曲部は、平坦部に対して、いわゆる鷲歯状に曲がっており、切断刃50の正面50A(平坦部の前面)に対して角度θをなしている。また、蓋体12が閉状態とされた状態では、その屈曲部と容器本体10の前壁部11Cとが角度θをなし、屈曲部が前壁部11Cに向かって突出した状態となる。この角度θは、10°以上、40°以下が好ましい。10°未満の場合、シート5を突き刺す際の接触面積が大きくなるため、良好な切断性が損なわれる傾向がある。40°を超えると、その歯先や歯元がシート5に引っ掛かるため、良好な切れ味が損なわれる傾向がある。
【0055】
この切断刃50に設けられた大歯52及び中歯53は、それらの歯先が、切断刃50の裏面50B側に湾曲するように形成されている。このため、蓋体12の内側面12Cに切断刃50を固定すると、蓋体12が閉状態にある場合には、大歯52及び中歯53の歯先が、容器本体10の前壁部11C側を向く。また、左端部に形成された大歯及び中歯と、中央部に形成された中央歯(いずれも図示略)も、正面からみた歯形は第1実施形態と同様であるが、その歯先が、容器本体10の前壁部11C側に湾曲した形状に形成されている。
【0056】
これにより、各52,53の歯先が、容器本体10の奥行き方向(Y軸方向)において、より鋭角な状態となる。従って、蓋体12が閉状態とされた際に、蓋体12の先端部12Bと容器本体10の前壁部11Cとの間に挟まれたシート5は、各歯52,53の歯先によって、強固に固定される。そして、引き出されたシート5が、それらの各歯52,53によって切断される際には、シート5を引っ張る力に対して反対側に向いた歯先が、シート5に食い込むため、歯先が突き刺さりやすくなる。このため、シート5の切断性をより良好にすることができる。
【0057】
従って、第2実施形態によれば、第1実施形態に記載の効果に加えて以下の効果を得ることができる。
(4)第2実施形態では、右端部16及び左端部に形成された歯は、その先端部(歯先)が、蓋体12の先端部12Bに対し逆側に突出するように曲がっている。このため、切断刃50の裏面50Bを、蓋体12の内側面12Cに固定すると、蓋体12の先端部12Bと、容器本体10の前壁部11Cとの間に、シート5を強固に固定できる。また、右端部51及び左端部に形成された歯は、シート5が引っ張られる力に抗して、シート5を容器本体10の前壁部11C側に圧接する。従って、シート5に対する切断性をさらに向上することができる。
【0058】
(第3実施形態)
次に、本発明を具体化した第3実施形態を図9に従って説明する。尚、第2実施形態は
、第1実施形態の切断刃の構成を変更したのみの態様であるため、同様の部分についてはその詳細な説明を省略する。
【0059】
図9は、第3実施形態の切断刃60の右端部61の要部を示す。切断刃60の左端部は、図示を省略するが、右端部61と左右対称に形成されている。
右端部61は、大歯62、中歯63、小歯64を有している。大歯62は、第1実施形態の大歯21と同様の形状であって、歯先が右側に偏倚している。中歯63も、第1実施形態の中歯22と同様の形状であって、歯先が右側に偏倚している。
【0060】
小歯64は、大歯62及び中歯63の形状とほぼ同じ形状であるが、歯幅や歯丈がそれぞれ異なる。即ち、小歯64は、略三角形状に形成され、その一対の斜辺は歯の内方に凹曲する円弧状(曲線状)に形成されている。本実施形態では、小歯64は、大歯62及び中歯63と同一の歯先角θ3を有するが、少なくとも鋭角であればよく、他の角度をなすように形成してもよい。
【0061】
小歯64は、大歯62及び中歯63と同様に、その歯先が、右側に偏倚するように形成されている。従って、小歯64の歯幅W6を、歯先64Aを通る垂線で二分すると、二分された右側の幅W60は、左側の幅W61よりも短くなっている。これにより、小歯64の右側の斜辺は、左側の斜辺よりも短く、右側の斜辺の曲率半径は、左側の斜辺の曲率半径よりも小さくなる。
【0062】
この右端部61に設けられた歯の歯幅は、大歯62の歯幅W1、中歯63の歯幅W2、小歯64の歯幅W6の順に大きく形成されている(即ち、W1>W2>W6)。また、各歯の歯丈は、大歯62の歯丈H1、中歯63の歯丈H2、小歯64の歯丈H6の順に大きく形成されている(即ち、H1>H2>H6)。
【0063】
これらの中歯63及び小歯64は、大歯62の間にそれぞれ交互に配置される。具体的には、「大歯」、「中歯」、「大歯」、「小歯」、「大歯」・・・のように配列パターンが繰り返されるが、大歯62及び中歯63を交互に配置したパターンの特定の位置に小歯64を設ける等、これ以外の配列パターンを用いてもよい。
【0064】
また、上記左端部も、右端部61と同様に、図示しない大歯、中歯、及び小歯を有している。大歯、中歯、及び小歯の形状は、右端部61の大歯、中歯及び小歯とそれぞれ左右対称であり、その歯先が、収容容器2の左端に向かって偏倚している。各歯の配列パターンは、右端部61の配列パターンと同様である。
【0065】
そして、右端部61によって、シート5の切断を開始する場合、まず大歯62がシート5に突き刺さり、続いて中歯63が突き刺さる。さらに、小歯64が突き刺さって、シート5が各歯62〜64によって切り開かれる。このため、シート5の切り開きを開始する際にかかる負荷を、大歯62によってシート5を切断する段階にかかる負荷と、中歯63によってシート5を切断する段階にかかる負荷と、小歯64によってシート5を切断する段階にかかる負荷とに分散することができる。従って、小さな負荷で、円滑にシート5の切り開きを開始することができる。
【0066】
従って、第3実施形態によれば、第1実施形態に記載の効果に加えて以下の効果を得ることができる。
(5)第3実施形態では、右端部16及び左端部には、大歯62と、当該大歯62よりも歯丈が小さい中歯63と、小歯64とが形成されている。このため、シート5が切断される際は、まず大歯62がシート5に突き刺された後、ほぼ同時に、中歯63がシート5に突き刺さり、さらに小歯64がシート5に突き刺さる。このため、シート5の切断にか
かる負荷を、大歯62によりシート5を切断する際の負荷と、中歯63によりシート5を切断する際の負荷と、小歯64によりシート5を切断する際の負荷とに分散させ、シート5を円滑に切り開くことができる。従って、シート5に対する切断性を向上することができる。
【0067】
尚、本実施形態は以下のように変更してもよい。
・第1実施形態及び第2実施形態では、右端部16,51に、大歯21,52及び中歯22,53を、「大歯」、「中歯」、「大歯」・・のように交互に配置したが(図4及び図8参照)、これ以外の配列パターンにしてもよい。例えば、「大歯」、「大歯」、「中歯」、「大歯」・・といったように複数の大歯21,52の配列と、1つの中歯22,53の配列とを繰り返すパターン、「中歯」、「中歯」、「大歯」、「中歯」・・といったように、複数の中歯22,53の配列と、1つの大歯21,52の配列とを繰り返すパターンにしてもよい。或いは、中歯22,53の配列の中の特定位置に大歯21,52を不規則的に配置したパターン、大歯21,52の配列の中の特定位置に中歯22,53を不規則的に配列してもよい。第1実施形態及び第2実施形態の左端部18も同様に、大歯41及び中歯42の配列パターンを変更してもよい。
【0068】
・第3実施形態では、大歯62、中歯63、大歯62、小歯64、大歯62・・といったように、大歯62の間に中歯63及び小歯64を交互に配置したが(図9参照)、他の配列パターンにしてもよい。例えば、小歯は、右端部51及び左端部の特定位置に設けるようにしてもよい。
【0069】
・第3実施形態では、大歯62及び中歯63及び小歯64といった、大きさが異なる3つの歯によって右端部51及び左端部を構成したが、4種類以上の大きさが異なる歯から構成してもよい。このようにしても、シート5の切断を開始する際に、段階的にシート5を切り開くことができるので、切断にかかる負荷を分散させることができる。
【0070】
・上記各実施形態では、切断刃の右端部及び左端部の各歯を、その歯先が一定方向に偏倚するように形成したが、例えば同じ右端部に形成された各歯を、歯先が異なる方向に偏倚するようにそれぞれ形成してもよい。例えば、図10に示す切断刃65の右端部66のように、大歯67の歯先を、容器本体10の右側(図中X軸方向)に偏倚させ、中歯68の歯先を、容器本体10の左側(図中反X軸方向)に偏倚させてもよい。このようにすると、収容容器2の右側からシート5の切断を開始する場合に、右端部66の大歯67の歯先がシート5に突き刺さりやすくなるため、シート5の切り開きを円滑に行うことができる。また、収容容器2の左側からシート5の切断を開始する場合、左端部及び中央部によって切り開かれたシート5は、歯先が左側に偏倚した中歯68によって容易に突き刺しが行われ、最後まで円滑に切り開かれる。このため、切断方向によらず、シート5の切断性を向上することができる。
【0071】
・上記各実施形態では、切断刃の右端部及び左端部に、歯先を一定方向に偏倚させた大歯及び中歯をそれぞれ形成したが、それらの大歯及び中歯のいずれか一方のみを形成してもよい。例えば、図11に示す切断刃70のように、中央部71に、歯先が偏倚していない中央歯72を形成し、右端部73に、歯先が右側に偏倚し、且つ中央歯72よりも歯丈及び歯幅が大きい大歯74のみを形成してもよい。この場合、図示しない左端部には、右端部73と左右対称の大歯を形成する。このようにしても、右端部73及び左端部の歯数が少なくなるため、シート5の切断の際の抵抗を小さくし、且つ切断開始の際に、歯先がシート5に突き刺さりやすくなる。また、図12に示す切断刃75のように、中央部76に、歯先が偏倚していない中央歯77を形成し、右端部78に、中央歯77と歯丈がほぼ同じ中歯79を形成してもよい。中歯79は、その歯先が、右側に偏倚するように形成されている。この場合、図示しない左端部には、右端部78と左右対称の中歯を形成する。
このようにしても、切断開始の際に、右端部78及び左端部の歯先がシート5側に向くため、シート5に容易に突き刺さりやすくなる。
【0072】
・上記各実施形態では、切断刃の右端部及び左端部に形成された各歯を、その歯先が所定の方向に偏倚するように形成したが、歯先が歯の中心線上に位置するように形成してもよい。例えば、図13に示す切断刃80のように、中央部81に、上記した中央歯30の形状と同様な形状の中歯82を設け、右端部83に、二等辺三角形状の大歯84と中歯85とを交互に設けるようにしてもよい。大歯84及び中歯85は、歯先から底辺に対して延ばした垂線が、底辺を2等分するように形成されている。このようにしても、シート5を切断する際にかかる負荷を、大歯84によって切断する際の負荷と、中歯85によって切断する際の負荷とに分散することができるので、シート5を円滑に切断することができる。また、図14に示す切断刃86のように、中央部87に、上記した中央歯30の形状と同様な形状の中央歯88を設け、右端部89に、中央歯88よりも大きく、二等辺三角形状の大歯90のみを設けるようにしてもよい。このようにしても、右端部89に設けられた歯の数を少なくすることによって、シート5を切断する際の抵抗を低減することができる。
【0073】
・上記各実施形態では、テープ状の切断刃15を容器本体10に固定したが、容器本体10に切断刃を形成してもよい。例えば、蓋体12の先端や、容器本体10の前壁部11Cの上端に形成してもよい。
【0074】
・上記各実施形態では、各切断刃の両端に、左右対称の形状の右端部及び左端部をそれぞれ設けたが、右端部のみ設けるようにしてもよいし、左端部のみ設けるようにしてもよい。或いは、右端部及び左端部の形状を、左右対称な形状ではなく、非対称な形状にしてもよい。
【0075】
・上記各実施形態では、シート収容体を、両面又は片面が樹脂加工された加熱調理用のシート5を収容する装置として具体化したが、これ以外のシートを収容する収容体として具体化してもよい。例えば、図15に示すように、シートとしてのラップフィルムFを巻回したロールRを収容するシート収容体91として具体化してもよい。ラップフィルムFは、例えばポリ塩化ビニリデン等からなる。このシート収容体91は、上記した構成と同様な構成の切断刃92を有し、切断刃92は、上記した構成と同様な構成の容器本体93の蓋体94に固定される。伸縮性の高いラップフィルムFを切断する場合、ラップフィルムFを所望量だけ引き出し、例えばラップフィルムFの端を右手で持って上方(図中Z方向)に引き上げつつ、切断開始位置(図では容器本体93の右端)と反対側の方向(図では反Z軸方向)に引っ張る。このように、シートとして、伸縮性に富んだラップフィルムFを用いた場合でも、切断刃92は高い切断性能を有するため、容易にラップフィルムFを切断することができる。また、本発明のシート収容体を、紙材、片面又は両面に接着剤を塗布したシート、不織布等、その他のシートを収容する収容体に具体化してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】シート収容体の斜視図。
【図2】シート収容体の断面図。
【図3】切断刃の正面図。
【図4】右端部の要部を示す正面図。
【図5】中央部の要部を示す正面図。
【図6】左端部の要部を示す正面図。
【図7】切断時のシート収容体の模式図。
【図8】第2実施形態の切断刃に設けられた右端部の要部斜視図。
【図9】第3実施形態の切断刃に設けられた右端部の要部正面図。
【図10】別例の切断刃に設けられた右端部の要部を示す正面図。
【図11】別例の切断刃に設けられた右端部の要部を示す正面図。
【図12】別例の切断刃に設けられた右端部の要部を示す正面図。
【図13】別例の切断刃に設けられた右端部の要部を示す正面図。
【図14】別例の切断刃に設けられた右端部の要部を示す正面図。
【図15】別例のシート収容体の斜視図。
【符号の説明】
【0077】
1,91…シート収容体、2…収容容器、3,R…ロール、5…シート、10,93…収容部としての容器本体、12B…前面壁としての先端部、15,50,60,65,70,75,80,86,92…切断部としての切断刃、16,51,61,66,73,78,83…側端部としての右端部、17,71,76,81,87…中央部、18…側端部としての左端部、21,52,62,67,74,84,90…第1の歯としての大歯、21A,32,41A,42A,64A…歯先、22,53,63,68,79,85…第2の歯としての中歯、50B…裏面、64…第2の歯としての小歯、72,82,88…中央歯、F…シートとしてのラップフィルム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に沿って直線状に延びる長尺形状に形成され、シートが巻回されたロールを収容する容器本体に、該ロールの軸方向と平行に取り付けられて、該シートを切断する切断刃において、
複数の歯からなる鋸歯パターンを有する中央部と、
該切断刃の切断開始領域である端部に設けられ、前記中央部に形成された前記鋸歯パターンとは異なる鋸歯パターンを有する側端部とを備えたことを特徴とするシート収容体用の切断刃。
【請求項2】
前記側端部は、
歯先が、該切断刃の端側に偏倚した歯を有することを特徴とする請求項1に記載のシート収容体用の切断刃。
【請求項3】
前記側端部は、
前記中央部に形成された歯よりも大きい第1の歯を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のシート収容体用の切断刃。
【請求項4】
前記側端部は、前記第1の歯と、該第1の歯よりも小さい第2の歯とを有することを特徴とする請求項3に記載のシート収容体用の切断刃。
【請求項5】
前記側端部に形成された歯は、該切断刃が前記容器本体に取り付けられた状態において、その先端部が、該容器本体の前面壁に対し逆側に突出するように曲がっていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のシート収容体用の切断刃。
【請求項6】
シートが巻回されたロールを収容する容器本体と、
長手方向に沿って直線状に延びる長尺形状に形成され、前記容器本体に、前記ロールの軸方向と平行に設けられて、前記シートを切断する切断刃とを備えたシート収容容器において、
前記切断刃は、
複数の歯からなる鋸歯パターンを有する中央部と、
該切断刃の切断開始領域である端部に設けられ、前記中央部に形成された前記鋸歯パターンとは異なる鋸歯パターンを有する側端部とを備えたことを特徴とするシート収容容器。
【請求項7】
シートが巻回されたロールと、
前記ロールを収容する容器本体と、
長手方向に沿って直線状に延びる長尺形状に形成され、前記容器本体に、前記ロールの軸方向と平行に設けられて、前記シートを切断する切断刃とを備えたシート収容体において、
前記切断刃は、
複数の歯からなる鋸歯パターンを有する中央部と、
該切断刃の切断開始領域である端部に設けられ、前記中央部に形成された前記鋸歯パターンとは異なる鋸歯パターンを有する側端部とを備えたことを特徴とするシート収容体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−125557(P2010−125557A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−302607(P2008−302607)
【出願日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(000001100)株式会社クレハ (477)
【Fターム(参考)】