説明

シート式パッド

【課題】歯科診療台に体位を傾斜させる手段を設けて患者に無理のない体勢をとらせる。
【解決手段】シート式パッドは、等厚のシート部2または13の面における縦分割線5または14の一方の側に傾斜面を有するパッド部4または15が一体的に貼着され、シート部2または13にはベルト8が上下方向に各2本、左右方向に各1本を接続されている。このベルトそれぞれの先端にはバックル9が設けられ、バックル9をヘッドレスト10またはバックレスト3の裏面側にて結合することにより着脱自在に装着することが可能に構成されている。またパッド部4または13の位置を変更する場合はシート式パッド1または12全体を裏返してバックレスト3に装着する。上記構成により傾斜面を有するパッド部4または15にて患者に無理のない体勢にて体位を傾斜させることができるので診療が容易になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科診療台のヘッドレストあるいはバックレストの面を傾斜させるシート式パッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の歯科診療台のヘッドレスト及びバックレストは左右に傾斜できない構造になっているので、この歯科診療台に患者を仰臥させ、左右に傾斜させないで治療すると、患者の喉の奥に処置水や唾液が溜まる。特に中高年の患者の場合は年齢に伴い口腔内の筋力が低下していることが多く、仰臥位の治療中に口腔内に唾液や処置水が溜まるとこれを飲み込まないように意識するために緊張した状態になり、結果、意識しているにも関わらず唾液や処置水等を飲み込む、又は噎せてしまう可能性がある。このように精神的なストレスが高まり安心して治療が受けられなくなるという問題がある。
【0003】
また腰や背中が湾曲した患者の場合は、歯科診療台に座らせ、歯科診療台を倒して患者を仰臥位にせずに、座位のままで治療することがある。このような患者は、歯科診療台に座らせると湾曲した背中の一部が当たり、バックレストに安定して収まらなくなる。このために患者の身体は動揺し不安定な状態になり、治療の際に危険であるので、安心して治療が受けられなくなるという問題がある。
【0004】
また歯科診療台のヘッドレストは、患者仰臥位で患者の頭部を載せたときに、顎が引けると開口が困難になる。従って診療を容易にするためには頭頂部を後方に傾斜させ、顎を若干突き出した状態に位置づけ、自然に開口できるような姿勢をとらせなければならない。これにより患者の姿勢がやや上方に弓形に反り返り、この姿勢で患者の口腔を右又は左に傾けようとすると、頭部がねじれた状態になる。このように体軸を長時間にわたって傾斜させると首筋や肩が強張り、首や肩が凝るなど患者に苦痛を与える。そこで歯科診療台に着座した患者に苦痛を与えずに体位を変更する方法として各種提案がなされているが、例えば特許文献1に示される発明が公知となっている。
【0005】
特許文献1の発明は、歯科診療台等の椅子に着座する人の安楽性を向上させるものである。この発明は長方形のクッションの中央部にヘッドレストを挿通しうる穴を開口したもので、この穴にヘッドレストを挿通した状態で穴の前後のクッション部を必要に応じてバックレストの面に垂れ下げたり、ヘッドレストの面に持ち上げたりすることにより、背中や頭部をクッションにて持ち上げた状態を保つ構成になっている。
【0006】
しかしながら、前記従来の歯科診療台のバックレストやヘッドレストは患者の体位を傾斜させることができない構成になっているために、患者を診療しやすい体位に傾斜させると患者に無理な姿勢をとらせることになり、大変な緊張と苦痛を与えることになる。また前記特許文献1の発明の場合は、着座した患者の背中や頭部をクッションで持ち上げることができるものの体位を傾斜させることはできないなどの問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−120392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
解決しようとする問題点は、歯科診療台に仰臥位した患者を体軸方向の右または左に傾け、又は歯科診療台に座位した患者の体を安定させるように背中の上部または下部を支え、口腔内を診療する際に患者に無理のない体位をとらせることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のシート式パッドは、歯科診療台におけるヘッドレストおよび/またはバックレストの面に取り付けるシートと、該シート面に取り付けて前記ヘッドレストおよび/またはバックレストの面を傾斜させるパッドとから成り、前記シートを介してパッドをヘッドレストおよび/またはバックレストの面に着脱自在に構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明のシート式パッドは、従来の歯科診療台のヘッドレストおよび/またはバックレストの面に対して着脱自在であり、またこれを装着することにより歯科診療台に仰臥した患者の口腔を右又は左に傾け、無理のない傾斜体位をとらせることができる。これにより長時間の診療でも患者に負担をかけることがない。 また、歯科診療も高度化が進み、予約の診療時間も長くなる傾向にあり、特に患者としては診療ポジションをとったときの口の開け心地が重要であるといわれている。
これらは次に挙げる条件の場合、特に問題になる。
・治療時間が長くなる場合 ・中高年で喉の筋肉が衰えている場合
・局所麻酔をかけた場合 ・嘔吐反応が強い場合
・首や肩などに障害がある場合 ・治療に飽きやすい小児の場合
これらの問題については、本発明のシート式パッドを使用することにより体位を傾斜させ、口腔を左右のどちらかにゆったりと傾けることができるので、処置水や唾液などは頬側に溜まり、唾液を飲み込む心配がなくなる。更に長時間の開口も容易になり治療がしやすくなるという利点がある。
【0011】
また、高齢者や障害者など患者を起こした状態の座位診療においては、ほぼ平面のバックレスト面に背中をもたせかけるようになっている。この場合、背中や腰の湾曲した患者では、平らなバックレストに湾曲部の一部のみしか当たらず十分に身体を支えられないことがある。しかし本発明のシート式パッドを使用することにより体位が動揺せず安定した状態に保つことができるので、口腔は容易に安定し、安全で十分な治療を受けられるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】(a)は歯科診療台にシート式パッドを装着した斜視図、(b)はシート式パッドの斜視図、(c)(d)はパッドの大きさを示す斜視図、(e)はヘッドレストにシート式パッドを装着した正面図である。(実施例1)
【図2】はシート式パッドを装着した歯科診療台の裏面側を示す図である。(実施例1)
【図3】(a)は歯科診療台にシート式パッドを装着した斜視図、(b)はシート式パッドの斜視図である。(実施例2)
【図4】(a)は歯科診療台にシート式パッドを装着した斜視図、(b)はシート式パッドの斜視図である。(実施例3)
【図5】(a)は歯科診療台にシート式パッドを装着した斜視図、(b)はシート式パッドの斜視図である。(実施例4)
【図6】(a)は歯科診療台にシート式パッドを装着した斜視図、(b)はシート式パッドの斜視図である。(実施例5)
【図7】(a)は歯科診療台にシート式パッドを装着した斜視図である。(実施例6)
【図8】(a)(b)はシート式パッドの構成および作用を示す斜視図である。(実施例6)
【図9】はシート式パッドを示す斜視図である。(実施例7)
【図10】(a)(b)はシート式パッドを歯科診療台に装着する方法を示す斜視図である。(実施例8)
【図11】(a)(b)はシート式パッドを歯科診療台に装着する方法を示す斜視図である。(実施例8)
【図12】(a)(b)はシート式パッドを歯科診療台に装着する方法を示す斜視図である。(実施例8)
【図13】(a)(b)はシート式パッドを歯科診療台に装着する方法を示す斜視図である。(実施例8)
【図14】(a)(b)はシート式パッドを歯科診療台に装着する方法を示す斜視図である。(実施例8)
【図15】(a)は歯科診療台にシート式パッドを装着した斜視図、(b)はシート式パッドの斜視図である。(実施例9)
【発明を実施するための形態】
【0013】
歯科診療台にて仰臥診療をする際に患者に無理のない傾斜体位をとらせるという目的を、
シートと傾斜パッドから成る僅かな費用で構成した本発明のシート式パッドを従来の歯科診療台のヘッドレストおよび/またはバックレストの面に装着することで実現した。
【実施例1】
【0014】
本発明のシート式パッドは、等厚のシートと傾斜面を有するパッドとからなり、従来から使用されている歯科診療台のヘッドレストやバックレストに対して着脱自在に構成されたものである。
【0015】
図1(a)(b)に示す本実施例のシート式パッド1は、バックレスト3に取り付けるパッド部4としてシート部2の形状がバックレスト3の形状に対応した近似形状に形成され、一方、パッド部4は前記シート部2の縦分割線5の一方の側の形状に形成され、縦分割線5から側方に向かって徐々に増厚された傾斜面6を有するものである。そしてこのパッド部4は傾斜基端辺7をシート部2の縦分割線5上に位置させて縦分割線5の一方の側におけるシート面に一体的に貼着した縦型貼着式である。なおシート式パッドは、レザーなどで包んだ構造である。
【0016】
一方、ヘッドレスト10に取り付けるシート式パッド12は、シート部13がヘッドレスト10の形状に形成され、(e)図に示すようにシート部13の面における縦分割線14の左右いずれか一方の側に、患者の頭部が沈み込むことも考慮した適切な傾斜角度を有するパッド15を、その傾斜基端辺16を縦分割線上に位置させて縦分割線14の一方の側におけるシート面に一体的に貼着されたものであり、患者頭部18を最適傾斜角度である35°に傾斜させる縦型貼着式である。
【0017】
またシート部2または13には(b)図に示すようにベルト8が上下方向に各2本、左右方向に各1本が接続され、ベルト8それぞれの先端にはバックル9が設けられていて、ベルト8のバックル9それぞれを図2に示すようにヘッドレスト10またはバックレスト3の裏面側にて結合することにより装着することができるものである。またパッド部4または15を図の左側から右側に変換する場合は、シート式パッド1または12全体を裏返して装着することにより可能となる。
【0018】
また(a)図のパッド部4または15はヘッドレスト10またはバックレスト3の縦方向全面に設けられているが、(c)図に示すようにヘッドレスト10またはバックレスト3の下側1/2あるいは(d)図に示す下側1/3がなくてもよい。
【0019】
因みに、パッド部4の傾斜角度はバックレスト3側に装着する場合に10〜35°、ヘッドレスト10側に装着する場合に20〜45°である。また頬側に水を溜めるための頭部の角度は35°で、ヘッドレストの傾斜角がバックレストの傾斜角よりも大きいことが好適とされている。
またパッド部4の硬度は50〜1100N/314cm2、パッド部4の材質は半硬質ウレタンフォーム、高高度ウレタンフォーム、低反発ウレタンフォーム、軟質ウレタンフォーム、ポリエーテルタイプのウレタンフォーム、ゴムスポンジフォームなど上記材質に類似のものも含むが、パッド部4として十分な柔軟性が保てればこれらの材質に限定されるものではない。またパッド部4とシート部2は同質または異なる材質の場合もある。
【0020】
以上述べたシート式パッド1および12は、患者を導入する前に歯科診療台11のヘッドレスト3および/またはバックレスト10に装着し、必要に応じて患者に負担が掛からず、かつ診療しやすい方向に体位を傾斜させるべくパッド部4および15を調整しておく。これにより口腔を左右のどちらかにゆったりと傾けることができるので、患者は唾液などを飲み込まないように意識しているにも関わらず、飲み込んでしまう心配がなくなる。また体位を傾斜することにより長時間開口することが容易になり術者も処置がしやすくなる。更に背中が湾曲した患者などの場合はパッドにて背面を安定的に支持することができるので、患者に負担をかけることなく安全かつ正確な診療をすることができる。
【実施例2】
【0021】
図3(a)(b)に示す本実施例のシート式パッド21または25は、前記実施例1にてパッド部4または15がシート部2または13の面に貼着された縦型貼着式に替えて、パッド部22または24がシート部2または13の略中央部における縦分割線5または14を軸にして左右回動自在に構成された縦型回動式である。この場合のパッド部22または24の傾斜基端辺7または16がシート部2または13の縦分割線5または14上に縫合にて固着され、パッド部22および24の表裏およびそれぞれの面に対応するシート部2および13の面に複数の面ファスナー23が設けられ、パッド部22および24が回動した際に、面ファスナー23を介してシート部2または13の面に固着されるように構成されている。なお前記面ファスナー23はこれに限らずスナップまたは磁石などを用いてもよい。その他の構成は前記実施例1と同様であるので同一部分には同一符号を付してその説明を省略する。
【0022】
以上により本実施例のシート式パッド21または25は、パッド部22または24の位置を変更する際にパッド部22または24を左右に回動するだけでよく、シート式パッド21または25全体をヘッドレスト10やバックレスト3から外さなくてもよいので手間が省けるほか前記実施例1と同様な効果を奏することができる。
【実施例3】
【0023】
図4(a)(b)に示す本実施例のシート式パッド31または33は、前記実施例2にて一枚のパッド部22または24をシート部2または13の面に回動自在に構成した縦型回動式に替えて、パッド部22または24の1/2程度にした2枚の傾斜パッド部32または34を形成し、その傾斜基端辺7または16をシート部2または13の略中央部における縦分割線5または14上に同時に縫合にて固着し、縦分割線5または14を軸にして左右回動自在に構成した縦型回動式のものであ。なお傾斜パッド部32,34の固着は縫合だけに限定されず、接着剤による固着、または熱で一部を溶かすことによる固着でもよい。また前記実施例2と同様にパッド部32または34の面相互間あるいはパッド部32または34とシート部2または13の面相互間には前記実施例2と同様に面ファスナー23等が設けられていて、面相互間の固着が可能になっている。なお本実施例では傾斜角度が略1/2のパッドを2枚使用する例について説明したが、これに限らず、傾斜角度が1/4のパッドを4枚、あるいは傾斜角度が1/6のパッドを6枚使用してもよい。その他の構成は前記実施例1と同様であるので同一部分には同一符号を付してその説明を省略する。
【0024】
以上により本実施例のシート式パッド31または33は、パッド部32または34が前記実施例1および2に比べて略1/2の傾斜角度になっているので、パッド部32または34を回動して左右の何れかに1枚あるいは2枚重ねして角度調整をすることができる。またこの場合はパッド部32または34が2枚なので患者の体位を傾斜させない場合はパッド部32または34を左右1枚ずつにしておけばよい。従ってシート式パッド31または34を歯科診療台11に着脱する必要がない。これにより常に歯科診療台11に装着しておくことができるほか、前記実施例1と同様な効果を奏することができる。
【実施例4】
【0025】
図5(a)(b)に示す本実施例のシート式パッド41は、実施例1の縦型貼着式に替えて、バックレスト3側は、バックレスト3の略中央部における横分割線42から上方におけるシート部2の面にパッド部43が貼着された横型貼着式であり、一方、ヘッドレスト10側は前記実施例1と同様な縦型回動式のシート式パッド12である。この場合、バックレスト3側はシート部2の形状はバックレスト3の全面形状と同様であるが、パッド部43はバックレスト3の横分割線42から上方の形状に形成され、傾斜基端辺44はシート部3の横分割線42上に位置している。
【0026】
以上により本実施例のシート式パッド41は、パッド部43をバックレスト3の横分割線42から上方のシート部3の面に貼着されているが、パッド部43の位置を下方に変更する場合はシート式傾斜パッド41全体を裏返して取り付ければよい。これにより、例えば背中が湾曲した患者などの場合にバックレスト3の面と背中との間に生じる隙間をパッド部43にて埋めることができ体位が安定するので患者に無理をさせることなく治療することができる。
【実施例5】
【0027】
図6(a)(b)に示す本実施例のシート式パッド51は、前記実施例4においてパッド部43がシート部2の面に貼着された横型貼着式に替えて、バックレスト3側は、パッド部52がシート部2の略中央部における横分割線42を軸にして上下に回動自在に構成された横型回動式ものである。
【0028】
この場合、パッド部52は傾斜基端辺53がシート部2の横分割線42上に縫合にて固着され、かつパッド部52の表裏およびシート部2の面それぞれに複数の面ファスナー23が取り付けられていて、パッド部52を回動した際に面ファスナー23を介してパッド部52がシート部2の面に固着されるように構成されている。なお前記面ファスナー23はこれに限らずスナップまたは磁石を用いてもよい。またパッド部52の厚さは前記実施例3と同様に1/2程度にして2枚重ね、あるいは更に小さい角度に分割した複数枚に構成にしてもよい。その他の構成は前記実施例1と同様であるので同一部分には同一符号を付してその説明を省略する。
【0029】
以上により本実施例のシート式パッド51は、パッド部52の位置を横分割腺の反対側に変更する場合は、パッド部52を上下に回動するだけでよく、シート式パッド51全体をバックレスト3から外さなくてもよいので手間が省ける。またパッド部52を複数枚に構成した場合は、これを回動して上下に1枚あるいは2枚重ねにして角度調整することができる。
【実施例6】
【0030】
図7(a)(b)および図8(a)(b)に示す本実施例のシート式パッド61または64は、前記実施例1から5において1枚のシート2を用いたことに替えて、最上部の1枚目のシートAと、シートAの下面に重ねる2枚目のシートBと、最下面に重ねる3枚目のシートCとからなる3枚のシートと、シートAの面に貼着された4個のパッド部62にて構成された縦横型回動式である。
【0031】
この場合、図8(a)(b)に示すように最上部のシートAの面には4個のパッド部62が貼着され、かつシートAはその下面に重ねる2枚目シートBの略中央部における縦分割線5上にて縫合され、縦分割腺5を軸として矢印で示す左右方向に回動自在に固着されている。更にシートBはその下面に重ねる3枚目のシートCの略中央部における横分割線42上にて縫合され、横分割線42を軸として矢印で示す上下方向に回動自在に固着されている。なお前記は、シートAが縦分割線、シートBが横分割腺を回動軸にした構成であるが、これに限らずシートAが横分割線を、シートBが縦分割腺を回動軸にして回動する構成にしてもよい。
【0032】
また図7(b)に示すように4個のパッド部62それぞれには2方向の傾斜面62a,62bが施されている。なお最下面に重ねるシートCには上下方向のそれぞれに2本、左右方向のそれぞれに1本のベルト8が接続されており、ベルト8それぞれの端部にはバックル9が固着されていて、バックレスト3の裏面にてそれぞれ対応するバックル9を結合することによりシート式パッドの着脱が可能になっている。またヘッドレスト10側のシート式パッド64もシート式パッド61の構成と同様であるので同一部分には同一符号付してその説明を省略する。
【0033】
上記構成により本実施例のシート式パッド61または64は、図7(b)においてパッド部62が貼着されたシートAは縦分割線5を軸として左右方向に、または横分割線42を軸として上下方向に回動自在であり、パッド部62にて患者の体位を安定して傾斜させることができる。なおシートAが左右方向または上下方向に回動した際にパッド部62の面相互間が当接しても、パッド部62の面には傾斜面62a,62bが施されているので問題が生じないほか、前記実施例1と同様な効果を奏することができる。
【実施例7】
【0034】
図9に示す本実施例のシート式パッド71は、前記実施例6において3枚のシートA,B,Cを用いたことに替えて2枚のシートA,Bを用いたものである。この場合は、1枚目のシートAと、裏面に重ねる2枚目のシートBとの間を略中央部における縦分割線5の1/2および略中央部における横分割線42の1/2長さだけを図に示すL字型に縫合し、シートAの面に4個のパッド部62が貼着されたものである。なおパッド部62には前記実施例と同様に傾斜面62a,62bが施され、シートBにはベルト8およびバックル9が接続されている。
【0035】
上記構成のシート式パッド71は、前記実施例6と同様な作用効果を奏することができる。
【実施例8】
【0036】
図10(a)(b)から図14(a)(b)の実施例は、前記実施例1から7においてベルト8を介してシート式パッドのそれぞれをヘッドレスト10またはバックレスト3に装着したことに変えて、ベルト8以外の方式で装着するものであり、以下にその各種装着方式を説明する。
【0037】
図10の例は、ヘッドレスト10またはバックレスト3の面と、これに対応するパッド側におけるシート部2または13の裏面相互間に複数の磁石81を設けて磁石81の引力にて装着するものである。
図11の例は、ヘッドレスト10またはバックレスト3の左右縁とこれに対応するシート部2または13の左右縁にファスナー82を取り付け、ファスナー82の結合により相互間を固着するものである。
図12の例は、パッド側におけるシート部2または13の左右縁に袋部83を形成し、この袋部83をこれに対応するヘッドレスト10またはバックレスト3の左右縁に被せることにより装着するものである。
図13の例は、パッド側のシート部2または13の外周縁に管状部84を形成し、これにゴム紐を通して、バックレスト3の外周に被せてバックレスト3の裏側にてゴム紐を収縮させることにより装着するものである。
図14の例は、ヘッドレスト10またはバックレスト3の外周縁と、パッド側のシート2または13外周縁に複数のスナップ85を設け、このスナップ85相互を結合することにより装着するものである。なおスナップ85に限らず、ホックを用いてもよい。
【実施例9】
【0038】
図15(a)(b)に示す本実施例のシート式パッド91は、前記実施例1および2においてシート部2がヘッドレスト部とバックレスト部に分離されていたことに替えて、ヘッドレスト部とバックレスト部のシート部を一体に連結したものである。この場合、連結したシート部92はヘッドレスト10をバックレスト3側に下げた位置にてヘッドレスト10とバックレスト3の面を一体的に覆う形状に形成されている。そしてこのシート部92の面に設けるパッド部4および15のそれぞれは前記実施例1および2と同様に、縦分割腺5または14に対してその一方の側に貼着した貼着式に構成し、または縦分割腺5または14の腺上にパッド部2または15の傾斜基端辺7または16を縫合にて固定して左右回動可能な回動式に構成するものである。その他の構成は前記実施例1および2と同様であるので同一部分には同一符号を付してその説明を省略する。
【0039】
以上により本実施例のシート式パッド91は、パッド部92の位置を変更する際に、パッド部4および15が貼着式の場合はシート式パッド91全体を裏返して装着すればよい。また、パッド部4および15が回動式の場合は左右に回動すればよい。またこのシート式パッド91はヘッドレスト10を上方に引き出すとシート部92も同時に上方に引き上げられ、バックレスト3の下部が持ち上がった状態になりその部分を覆うことができなくなるが、ヘッドレスト10の引き出しによるシート部92の移動量は少ないので患者の肩甲骨をパッド部4にて十分に支えることができ問題なく体位を傾斜させることができる。
【0040】
以上、実施例1から8にて説明した本発明のシート式パッドをヘッドレスト10および/またはバックレスト3に使用することにより、ヘッドレスト10側にて頭部を20〜45°に傾け、バックレスト3側にて背部を10〜35°に傾けることができるので患者に無理のない姿勢を取らせることが可能になる
【符号の説明】
【0041】
1,12,21,25,31,33,41,51,61,64,71,91 シート式パッド
2,13,92 シート部
3 バックレスト
4, 15,22,24,32,34,43,52,62 パッド部
5,14 縦分割線
6 傾斜面
7,44,53 傾斜基端辺
8 ベルト
9 バックル
10 ヘッドレスト
18 頭部
11 歯科診療台
42 横分割線
62a,62b 傾斜面
81 磁石
82 ファスナー
83 袋部
84 管状部
85 スナップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯科診療台におけるヘッドレストおよび/またはバックレストの面に取り付けるシート部と、該シート部の面に取り付けて前記ヘッドレストおよび/またはバックレストの面を傾斜させるパッド部から成り、前記シート部を介してパッド部をヘッドレストおよび/またはバックレストの面に着脱自在に構成したことを特徴とするシート式パッド。
【請求項2】
前記パッド部は傾斜基端辺となる一辺から他方に向かって増厚された傾斜面を有することを特徴とする請求項1記載のシート式パッド。
【請求項3】
前記パッド部の傾斜基端辺をシート部の縦分割線上に位置させると共に、一方の面をシート部の面の左右いずれか一方に貼着したことを特徴とする請求項1または2記載のシート式パッド。
【請求項4】
前記パッド部の傾斜基端辺をシート部の略中央部における縦分割線上にて左右方向回動自在に固着したことを特徴とする請求項1または2記載のシート式パッド。
【請求項5】
前記パッド部の傾斜基端辺をシート面の横分割線上に位置させると共に、一方の面をシート面の上下いずれか一方に貼着したことを特徴とする請求項1または2記載のシート式パッド。
【請求項6】
前記パッド部の傾斜基端辺をシート部の略中央部における横分割線上にて上下方向回動自在に固着したことを特徴とする請求項1または2記載のシート式パッド。
【請求項7】
前記パッド部より傾斜角度の小さい複数の傾斜パッドに形成し、該傾斜パッドの傾斜基端辺をシート部の略中央部における縦分割腺上に固着して左右に回動自在に構成したことを特徴とする請求項4記載のシート式パッド。
【請求項8】
前記パッド部より傾斜角度の小さい複数の傾斜パッドに形成し、該傾斜パッドの傾斜基端辺をシート部の略中央部における横分割腺上に固着して上下方向に回動自在に構成したことを特徴とする請求項6記載のシート式パッド。
【請求項9】
歯科診療台におけるヘッドレストおよび/またはバックレストの面に取り付けるシート部の面に、複数のパッド部を固着したシート部を該シート部の略中央部における縦分割線を軸として左右方向に、および略中央部における横分割線を軸として上下方向に回動自在に固着したことを特徴とするシート式パッド。
【請求項10】
前記シートが3枚からなり、1枚目のシート面に複数のパッドを貼着し、かつ1枚目のシートをその略中央部における縦分割線または横分割線の何れか一方の分割線を軸として回動自在に2枚目のシートに固着し、2枚目のシートを前記分割線に直交する方向の略中央部における分割線を軸として回動自在に3枚目のシートに固着して成り、シートの縦分割線または横分割線を軸にして左右または上下方向に回動自在に構成したことを特徴とする請求項9記載のシート式パッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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