説明

シート搬送装置及びそれを備えた画像形成装置

【課題】シートのスタック性を確保しつつ、腰付け部材によるシートの波打ちに関する不都合(特に、シートが湾曲搬送経路に搬送されるときの異常音)の発生を抑制できるシート搬送装置及びそれを備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】シートPを第1搬送方向Y1及び第2搬送方向Y2の双方に搬送するシート搬送部30を備えたシート搬送装置300は、直交方向XにシートPを波打たせてシートPに腰を付ける腰付け部材210と、腰付け部材210によって腰を付けたシートPの波打ちを垂直方向Zで規制する規制部材220とを備え、規制部材220は、腰付け部材210の垂直方向Zにおける先端の位置よりも第1搬送方向Y1における上流側の近傍に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、複写機、複合機等の画像形成装置に適用できるシート搬送装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
記録用紙等のシートを搬送する従来のシート搬送装置のなかには、シートを第1搬送方向及び該第1搬送方向とは反対方向の第2搬送方向の双方に搬送するシート搬送部を備えたシート搬送装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
このようなシート搬送装置は、一般的に、シート搬送部よりも第2搬送方向の下流側に設けられた湾曲搬送経路を備えた画像形成装置に適用されることが多い。
【0004】
シートを第1搬送方向及び第2搬送方向の双方に搬送するシート搬送部を備えたシート搬送装置と、シート搬送部よりも第2搬送方向の下流側に湾曲搬送経路とを備えた画像形成装置は、典型的には、シート搬送部にてシートを第1搬送方向へ搬送して外部へ排出する排出構成と、シート搬送部にて第1搬送方向へ搬送しているシートを第2搬送方向へスイッチバックして湾曲搬送経路へ向けて搬送し、該シートの表裏を反転させて画像形成部(具体的にはレジストローラ)の上流側へ導くスイッチバック構成とを備えた両面の画像形成が可能な画像形成装置として使用される。
【0005】
かかる従来のシート搬送装置においては、排出トレイ上のシートのスタック性を向上させるという観点から、シート搬送部にて搬送するシートの搬送方向に直交するシート面に沿った直交方向に該シートを波打たせて該シートに腰を付ける腰付け部材を設けることがある(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−220160号公報
【特許文献2】特開2006−151617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、シート搬送部にて搬送するシートの搬送方向に直交するシート面に沿った直交方向に該シートを波打たせて該シートに腰を付ける腰付け部材を設けたシート搬送装置では、シートが搬送方向に湾曲した湾曲搬送経路に案内される場合には、波打ったシートが湾曲搬送経路に搬送されるときに異常音が発生するという不都合がある。
【0008】
図6は、腰付け部材として作用する腰付けローラB3,…及び腰付けガイド部B4が設けられたシート搬送装置A1の一例を説明するための説明図であって、シートPの搬送状態をシートPの搬送方向Yから視た概略側面図である。
【0009】
図6に示すシート搬送装置A1は、同軸上に配設された複数の第1搬送ローラB1,…と、複数の第1搬送ローラB1,…にそれぞれ対向して同軸上に配設された複数の第2搬送ローラB2,…とを備え、回転駆動される第1搬送ローラ(駆動ローラ軸E1に固定された駆動ローラ)B1,…と第1搬送ローラB1,…の回転に伴い従動回転する第2搬送ローラ(従動ローラ軸E2に固定された従動ローラ)B2,…との間でシートPを挟持しつつ搬送するシート搬送部A2を備えている。
【0010】
シート搬送部A2では、第1搬送ローラB1,…に対して腰付けローラB3,…が同軸上に配設されている。腰付けローラB3,…は、第1搬送ローラB1,…の径よりも大きい径を有しており、第1搬送ローラB1,…と一体的に回転する構成(図示例では駆動ローラ軸E1に固定)されている。
【0011】
また、シート搬送装置A1は、シート搬送部A2に固定され、かつ、搬送させるシートPに対して搬送方向Yに直交するシート面に沿った直交方向Xに波打たせて腰を付ける腰付けガイド部B4を備えている。腰付けガイド部B4は、搬送させるシートPの直交方向Xにおけるセンター位置に配設されており、主として、搬送ローラ(B1,…),(B2,…)にて直交方向Xの中央部で搬送されても腰付けローラB3,…には掛からない小サイズのシートPや封筒等のシートPに腰を付けるようになっている。
【0012】
ところが、このようなシート搬送装置A1では、腰付けローラB3,…及び腰付けガイド部B4によるシートPの波打ちに関する不都合、特に、シートPが搬送方向Yに湾曲した湾曲搬送経路D(後述する図7参照)に案内される場合には、直交方向Xに波打ったシートPが搬送方向Yに湾曲した湾曲搬送経路Dに搬送されることによる異常音が発生するという不都合がある。
【0013】
図7は、シート搬送装置A1の一例において搬送方向Yに直交するシート面に沿った直交方向Xに波打ったシートPが搬送方向Yに湾曲した湾曲搬送経路Dに搬送される状態を直交方向Xから視た概略断面図である。
【0014】
図7に示すように、スイッチバック機能で逆回転された搬送ローラ(B1,…),(B2,…)にて第2搬送方向Y2に搬送(スイッチバック)されたシートPが湾曲搬送経路D(この例では、両面画像を形成する際にシートPの表裏を反転させるための反転搬送経路)に案内されると、搬送ローラ(B1,…),(B2,…)と同軸上で回転駆動される腰付けローラB3,…、及び、シート搬送部A2に固定された腰付けガイド部B4により、直交方向Xに波打ったシートPが搬送方向Yに湾曲した湾曲搬送経路Dに沿って強制的に湾曲されて波打ちが元に戻るときに異常音(具体的にはバリバリといった音)が生じることがある。
【0015】
このことは、特に、シートPの波打ちが比較的大きい状態のままでシートPが湾曲搬送経路Dに移行する構成(具体的には、腰付けローラB3,…及び腰付けガイド部B4と湾曲搬送経路Dとの距離が比較的短い距離の小型化された画像形成装置)において顕著となる。しかも、腰付けガイド部B4の高さを高くして波打ちを大きくすると、主として、排出トレイB5上における小サイズのシートPや封筒等のシートPのスタック性を向上させることができるものの、高さが高くなった分、腰付けガイド部B4により波打ったシートPが湾曲搬送経路Dに搬送されるときに異常音が発生し易くなる。
【0016】
この点に関し、特許文献1には、湾曲搬送経路においてシートのカールを矯正する構成が開示されている。しかしながら、特許文献1に記載の構成では、波打ったシートが湾曲搬送経路に搬送するときに発生する異常音を解消するような構成にはなっていない。
【0017】
また、特許文献2には、シート排出時は腰付ローラを搬送ローラと一体回転させ、反転時は腰付ローラを搬送ローラと一体回転でなくシートにより従動回転させる構成が開示されている。しかしながら、特許文献2に記載の構成では、反転時は腰付ローラをシートにより従動回転させているとはいえ、シートの波打ちが抑制されているとは言えず、この構成においても、湾曲搬送経路に搬送するときに発生する異常音を解消するような構成にはなっていない。
【0018】
そこで、本発明は、シートのスタック性を確保しつつ、腰付け部材によるシートの波打ちに関する不都合(特に、シートが湾曲搬送経路に搬送されるときの異常音)の発生を抑制できるシート搬送装置及びそれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、前記課題を解決するために、シートを第1搬送方向及び該第1搬送方向とは反対方向の第2搬送方向の双方に搬送するシート搬送部を備えたシート搬送装置であって、シートの搬送方向に直交するシート面に沿った直交方向に該シートを波打たせて該シートに腰を付ける腰付け部材と、前記腰付け部材によって腰を付けたシートの波打ちを前記第1及び第2搬送方向と前記直交方向との双方に直交する垂直方向で規制する規制部材とを備え、前記規制部材は、前記腰付け部材の前記垂直方向における先端の位置よりも前記第1搬送方向における上流側の近傍に設けられていることを特徴とするシート搬送装置を提供する。
【0020】
また、本発明は、前記本発明に係るシート搬送装置と、前記シート搬送装置における前記シート搬送部よりも前記第2搬送方向の下流側に設けられた湾曲搬送経路とを備えた画像形成装置であって、前記シート搬送部にてシートを前記第1搬送方向へ搬送して外部へ排出する排出構成と、前記シート搬送部にてシートを前記湾曲搬送経路へ向けて前記第2搬送方向へ搬送する搬送構成とを備えていることを特徴とする画像形成装置も提供する。
【0021】
本発明によれば、前記腰付け部材によって腰を付けたシート(具体的には記録用紙や原稿)の波打ちを前記垂直方向で規制する前記規制部材が、前記腰付け部材の前記垂直方向における先端の位置よりも前記第1搬送方向(具体的には排出トレイに排出される方向)における上流側の近傍に設けられているので、前記規制部材から前記第1搬送方向へ搬送(具体的には排出)させるシートに対しては前記腰付け部材による波打ちを維持する一方で、前記規制部材から前記第2搬送方向(具体的には搬送方向に湾曲した湾曲搬送経路、例えば、本発明に係る画像形成装置における前記湾曲搬送経路に向かう方向)へ搬送させるシートに対しては前記腰付け部材による波打ちを低減させることができる。これにより、シートのスタック性を確保しつつ、前記腰付け部材によるシートの波打ちに関する不都合(特に、シートが前記湾曲搬送経路に搬送されるときの異常音)の発生を抑制することが可能となる。
【0022】
本発明において、前記規制部材は、前記直交方向及び前記垂直方向の少なくとも一方において前記腰付け部材に対向して設けられている態様を例示できる。かかる態様の具体例としては、前記規制部材が前記腰付け部材に対して前記直交方向にオーバーラップしている態様、前記規制部材が前記腰付け部材に対して前記垂直方向にオーバーラップしている態様、前記規制部材が前記直交方向及び前記垂直方向の双方にオーバーラップしている態様を例示できる。
【0023】
この特定事項では、前記規制部材が前記直交方向及び前記垂直方向の少なくとも一方において前記腰付け部材に対向して設けられているので、前記規制部材から前記第2搬送方向へ搬送させるシートに対して前記腰付け部材のある箇所に対応する波打ちを確実に低減させることが可能となる。
【0024】
本発明において、前記シート搬送部は、シートを搬送する一対の搬送ローラを備え、前記規制部材は、前記一対の搬送ローラのニップ部よりも前記第1搬送方向の上流側に設けられていることが好ましい。
【0025】
この特定事項では、前記規制部材が前記一対の搬送ローラのニップ部よりも前記第1搬送方向の上流側に設けられているので、例えば、前記シート搬送部から外部へ前記第1搬送方向に搬送(具体的には排出トレイに排出)させるシートの搬送力が該規制部材で阻害されることを防止でき、これにより、シートを前記第1搬送方向に確実に搬送でき、該シートのスタック性の悪化を防止することができる。
【0026】
本発明において、前記規制部材は、前記シート搬送部によるシートの搬送力よりも小さい弾力性を有する可撓性部材とされている態様を例示できる。
【0027】
この特定事項では、前記可撓性部材とされた前記規制部材によって、前記腰付け部材にて腰を付けたシートの搬送性を維持しつつ、該シートの波打ちを適度な前記弾力性を持って撓んだ状態で規制することが可能となる。
【0028】
本発明において、前記規制部材は、シート状の可撓性部材とされている態様を例示できる。
【0029】
この特定事項では、前記規制部材がシート状の可撓性部材とされていることで、安価でかつ簡単な構造でありながら、シートの搬送性と該シートの波打ちに対する規制作用との両立を容易に実現させることが可能となる。
【0030】
本発明において、前記規制部材は、少なくともシートと接触する部分がフッ素樹脂で形成されている態様を例示できる。なお、前記フッ素樹脂としては、代表的には、ポリテトラフルオロエチレンを例示できる。
【0031】
この特定事項では、前記可撓性部材とされた前記規制部材の少なくともシートと接触する部分が前記フッ素樹脂で形成されているので、前記フッ素樹脂は、通常は、シートの摩擦係数よりも非常に低い摩擦係数を有していることから、該規制部材のシートとの擦れ音を低減させる、或いは、無くすことができる。
【0032】
ここで、前記摩擦係数とは、静摩擦係数及び動摩擦係数の双方を含む概念である。すなわち、前記フッ素樹脂の摩擦係数が静摩擦係数である場合にはシートの摩擦係数も静摩擦係数であり、前記フッ素樹脂の摩擦係数が動摩擦係数である場合にはシートの摩擦係数も動摩擦係数である。
【0033】
また、前記規制部材がシート状の可撓性部材とされている場合、シート状の可撓性部材とされた前記規制部材は、フッ素樹脂からなっていることが好ましい。
【0034】
この特定事項では、前記規制部材が前記フッ素樹脂からなるシート状の可撓性部材とされていることで、安価でかつ簡単な構造でありながら、シートの搬送性と該シートの波打ちに対する規制作用との両立を容易に実現させつつ、シートとの擦れ音を低減させる、或いは、無くすことが可能となる。
【0035】
本発明において、前記規制部材は、前記腰付け部材に対して前記直交方向にオーバーラップし、かつ、前記第1搬送方向へのシートの搬送に伴う弾性変形を許容して、該シートの進路を確保する構成とされていることが好ましい。
【0036】
この特定事項では、前記腰付け部材に対して前記直交方向にオーバーラップしている前記規制部材が前記第1搬送方向へのシートの搬送に伴う弾性変形を許容して、該シートの進路を確保する構成とされていることで、該シートの搬送の該規制部材による妨害を回避でき、これにより、ジャム(シート詰まり)の発生を回避することが可能となる。
【0037】
かかる構成の具体的態様として、前記規制部材は、前記第1搬送方向へのシートの搬送に伴い弾性変形したときに、前記腰付け部材における前記直交方向の一方側の端部に非接触で対向する第1対向部と、前記腰付け部材における前記直交方向の他方側の端部に非接触で対向する第2対向部とを有している態様を例示できる。
【0038】
この特定事項では、前記規制部材は、前記第1搬送方向へのシートの搬送に伴い弾性変形したときに、前記第1対向部では前記腰付け部材における前記直交方向の一方側の端部に非接触で対向し、前記第2対向部では前記腰付け部材における前記直交方向の他方側の端部に非接触で対向するので、前記第1搬送方向へ搬送させるシートの進路を確実に確保することができる。
【0039】
本発明において、前記シート搬送部は、シートを搬送する一対の搬送ローラを備え、シートを水平方向、斜め上方或いは斜め下方に搬送する構成とされており、前記腰付け部材は、前記先端が前記一対の搬送ローラのニップ部よりも前記第1搬送方向の下流側に設けられ、かつ、搬送されるシートに対して上側から前記直交方向に波打たせて腰を付ける構成とされており、前記規制部材は、該シートに対して下側から波打ちを規制する構成とされている態様を例示できる。
【0040】
この特定事項では、前記シート搬送部がシートを水平方向、斜め上方或いは斜め下方に搬送する構成とされ、前記腰付け部材の前記先端が前記一対の搬送ローラのニップ部よりも前記第1搬送方向の下流側に設けられていても、該腰付け部材が前記シート搬送部にて搬送するシートに対して上側から波打たせて腰を付ける構成とされているので、例えば、前記シート搬送部から外部へ前記第1搬送方向に搬送(具体的には排出トレイに排出)させるシートの搬送力が該腰付け部材で阻害されることを防止でき、これにより、シートを前記第1搬送方向に確実に搬送でき、該シートのスタック性の悪化を防止することができる。
【0041】
本発明において、同軸上に配設された複数の第1搬送ローラと、該複数の第1搬送ローラにそれぞれ対向して同軸上に配設された複数の第2搬送ローラとを有し、かつ、回転される前記第1搬送ローラと前記第2搬送ローラとの間でシートを挟持しつつ搬送する構成とされた一対の搬送ローラと、前記第1及び第2搬送ローラのうち少なくとも一方の搬送ローラと同軸上に配設され、かつ、該搬送ローラの径よりも大きい径を有する腰付けローラと、搬送されるシートの前記直交方向におけるセンター位置に配設された腰付けガイド部とを備えており、前記規制部材は、前記腰付けローラ及び前記腰付けガイド部のうち前記腰付けガイド部にて腰を付けたシートの波打ちを規制する態様を例示できる。
【0042】
この特定事項では、前記センター位置に配設された前記腰付けガイド部にて腰を付けたシートの波打ちを規制する前記規制部材によって、該シートの波打ちを低減させることができ、これにより、主として、小サイズのシートや封筒等のシートに対するスタック性を確保しつつ、前記腰付け部材によるシートの波打ちに関する不都合(特に、シートが前記湾曲搬送経路に搬送されるときの異常音)の発生を抑制することが可能となる。
【発明の効果】
【0043】
以上説明したように、本発明によると、前記規制部材から前記第1搬送方向へ搬送させるシートに対しては前記腰付け部材による波打ちを維持する一方で、前記規制部材から前記第2搬送方向へ搬送させるシートに対しては前記腰付け部材による波打ちを低減させることができる。これにより、シートのスタック性を確保しつつ、前記腰付け部材によるシートの波打ちに関する不都合(特に、シートが前記湾曲搬送経路に搬送されるときの異常音)の発生を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施の形態に係るシート搬送装置を備えた画像形成装置を正面より視た概略断面図である。
【図2】図1に示す画像形成装置における搬送経路を示す概略断面図である。
【図3】図1に示す画像形成装置におけるシート搬送装置を用紙の第1搬送方向に向かって視た概略側面図である。
【図4】図1に示す画像形成装置におけるシート搬送装置を第1及び第2搬送方向と直交する用紙面に沿った直交方向(軸線方向)から視た概略断面図である。
【図5】規制部材が腰付けガイド部に対して直交方向にオーバーラップしているが、第1搬送方向への用紙の搬送に伴う弾性変形を許容して、用紙の進路を確保する構成を模式的に示す説明図であって、(a)及び(b)は、それぞれ、用紙が規制部材を通過していないときの規制部材の状態を示す概略側面図及び概略平面図であり、(c)及び(d)は、それぞれ、用紙が規制部材を通過直後の規制部材の状態を示す概略側面図及び概略平面図である。
【図6】腰付け部材として作用する腰付けローラ及び腰付けガイド部が設けられたシート搬送装置の一例を説明するための説明図であって、シートの搬送状態をシートの搬送方向から視た概略側面図である。
【図7】シート搬送装置の一例において搬送方向に直交するシート面に沿った直交方向に波打ったシートが搬送方向に湾曲した湾曲搬送経路に搬送される状態を直交方向から視た概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、本発明に係る実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下に示す実施の形態は、本発明を具体化した例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0046】
(画像形成装置の全体構成の説明)
図1は、本発明の実施の形態に係るシート搬送装置300を備えた画像形成装置100を正面より視た概略断面図である。
【0047】
図1に示す画像形成装置100は、外部から伝達された画像データに応じて、記録用紙等のシート(以下、用紙という。)Pに対して多色及び単色の画像を形成するカラー画像形成装置である。画像形成装置100は、原稿読取装置108と、装置本体110とを備えており、装置本体110には、画像形成部102とシート搬送系103とが設けられている。
【0048】
画像形成部102は、露光ユニット1、複数の現像ユニット2,…、複数の感光体ドラム3,…、複数のクリーニング部4,…、複数の帯電器5,…、中間転写ベルトユニット6、複数のトナーカートリッジユニット21,…及び定着ユニット7を備えている。
【0049】
また、シート搬送系103は、給紙トレイ81及び手差し給紙トレイ82を含む給紙部80、後述する搬送経路(主搬送経路76、反転搬送経路77)及び排出トレイ91を備えている。
【0050】
装置本体110の上部には、原稿(シート)が載置される透明ガラスからなる原稿載置台92が設けられ、原稿載置台92の下部には原稿を読み取るための光学ユニット90が設けられている。また、原稿載置台92の上側には原稿読取装置108が設けられている。原稿読取装置108は、原稿載置台92の上に自動で原稿を搬送する。また、原稿読取装置108は、装置本体110に対して前側開きで回動自在に取り付けられており、原稿載置台92の上を開放することにより原稿を手置きで載置できるようになっている。
【0051】
原稿読取装置108は、自動的に搬送される原稿又は原稿載置台92上に載置された原稿を読み取ることができる。原稿読取装置108で読み取られた原稿の画像全体は、画像データとして画像形成装置100の装置本体110へと送られ、装置本体110において画像データに基づき形成された画像が用紙Pに記録される。
【0052】
画像形成装置100において扱われる画像データは、複数色(ここではブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色)を用いたカラー画像に応じたものである。従って、現像ユニット2,…、感光体ドラム3,…、クリーニング部4,…、帯電器5,…及びトナーカートリッジユニット21,…は、各色に応じた複数種類(ここでは4種類)の画像を形成するようにそれぞれ複数個(ここでは4個ずつ設けられ、それぞれブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)に設定され、これらによって複数(ここでは4つ)の画像ステーションが構成されている。
【0053】
帯電器5,…は、感光体ドラム3,…の表面を所定の電位に均一に帯電させるための帯電手段であり、図1に示すようなチャージャ型の他、接触型であるローラ型やブラシ型の帯電器を用いることができる。
【0054】
露光ユニット1は、レーザ出射部及び反射ミラーを備えたレーザスキャニングユニット(LSU)として構成されている。露光ユニット1には、レーザビームを走査するポリゴンミラーと、このポリゴンミラーによって反射されたレーザ光を感光体ドラム3,…に導くためのレンズやミラー等の光学素子とが設けられている。また、露光ユニット1としては、この他にも、例えば、EL(エレクトロルミネッセンス)やLED(発光ダイオード)等の発光素子をアレイ状に並べた書込みヘッドを用いる手法を採用することもできる。
【0055】
露光ユニット1は、入力された画像データに応じて、帯電された感光体ドラム3,…をそれぞれ露光することにより、画像データに応じた静電潜像をそれぞれの感光体ドラム3,…の表面に形成する。
【0056】
トナーカートリッジユニット21,…は、トナーを収容するユニットであり、現像ユニット2,…の現像槽へトナーが供給されるようになっている。画像形成装置100の装置本体110において、トナーカートリッジユニット21,…から現像ユニット2,…の現像槽へ供給されるトナーは、該現像槽における現像剤のトナー濃度が一定になるように制御される。
【0057】
現像ユニット2,…は、それぞれの感光体ドラム3,…上に形成された静電潜像を4色(Y,M,C,K)のトナーにより顕像化するものである。また、クリーニング部4,…は、現像及び画像転写後における感光体ドラム3,…上の表面に残留したトナーを除去、回収する。
【0058】
感光体ドラム3,…の上方に配置されている中間転写ベルトユニット6は、中間転写体として作用する中間転写ベルト61、中間転写ベルト駆動ローラ62、中間転写ベルト従動ローラ63、複数の中間転写ローラ64,…及び中間転写ベルトクリーニングユニット65を備えている。
【0059】
中間転写ローラ64,…は、Y,M,C,Kの各色に対応して4本設けられている。中間転写ベルト駆動ローラ62は、中間転写ベルト従動ローラ63及び中間転写ローラ64,…と共に中間転写ベルト61を張架し、回転駆動されることで、中間転写ベルト61が移動方向(図1中矢印M方向)に周回移動され、それに伴い従動ローラ63及び中間転写ローラ64,…が従動回転される。
【0060】
各中間転写ローラ64,…は、感光体ドラム3,…上に形成されたトナー像を中間転写ベルト61上に転写するための転写バイアスが印加される。
【0061】
中間転写ベルト61は、各感光体ドラム3,…に接触するように設けられている。中間転写ベルト61は、感光体ドラム3,…に形成された各色のトナー像を順次重ねて転写されることによって、表面にカラーのトナー像(多色トナー像)が形成される。中間転写ベルト61は、例えば、厚さ100μm〜150μm程度のフィルムを用いた無端状のものとされている。
【0062】
感光体ドラム3,…から中間転写ベルト61へのトナー像の転写は、中間転写ベルト61の裏側に接触している中間転写ローラ64,…によって行われる。中間転写ローラ64,…には、トナー像を転写するために高電圧の転写バイアス(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)が印加される。中間転写ローラ64,…は、直径8mm〜10mmの金属(例えばステンレス)軸をベースとし、その表面が導電性の弾性材(例えば、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエンゴム)や発泡ウレタン等の樹脂材料)により覆われているローラである。中間転写ローラ64,…は、この導電性の弾性材により、中間転写ベルト61に対して均一に高電圧を印加する転写電極とされている。本実施の形態では、転写電極としてローラ形状の転写電極を使用しているが、それ以外に、ブラシなどの転写電極を用いることが可能である。
【0063】
既述のとおり、各感光体ドラム3,…上で各色相に応じて顕像化されたトナー像は、中間転写ベルト61上で積層される。中間転写ベルト61上で積層されたトナー像は、中間転写ベルト61の周回移動によって、用紙Pと中間転写ベルト61との接触位置に配置された二次転写機構部を構成する転写ローラ10によって用紙P上に転写される。但し、二次転写機構部の構成としては、転写ローラに限らず、コロナチャージャや転写ベルト等の転写構成を用いることが可能である。
【0064】
このとき、転写ローラ10は、中間転写ベルト61との間で転写ニップが形成された状態で、トナーを用紙Pに転写させるための電圧(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)が印加される。転写ローラ10及び中間転写ベルト駆動ローラ62が互いに圧接されることで転写ローラ10と中間転写ベルト61との間には転写ニップが形成される。転写ニップを定常的に得るために、転写ローラ10及び中間転写ベルト駆動ローラ62のうち何れか一方が硬質材料(金属等)で構成された硬質ローラとされ、他方が軟質材料(弾性ゴムや発泡性樹脂等の樹脂材料)で構成された弾性ローラとされている。
【0065】
転写ローラ10による中間転写ベルト61上から用紙P上へのトナー像の転写にあたり、用紙P上に転写されずに中間転写ベルト61上にトナーが残存することがある。中間転写ベルト61上に残存したトナーは、次工程でトナーの混色を発生させる原因となる。このため、中間転写ベルト61上に残存したトナーは、中間転写ベルトクリーニングユニット65によって除去、回収される。具体的には、中間転写ベルトクリーニングユニット65には、中間転写ベルト61に接触するクリーニング部材(例えばクリーニングブレード)が備えられている。従動ローラ63は、中間転写ベルト61を内側(裏側)から支持しており、クリーニング部材は、外側から従動ローラ63に向けて押圧するように中間転写ベルト61に接触している。
【0066】
給紙トレイ81は、画像形成(印刷)される用紙Pを予め収容しておくトレイであり、装置本体110における露光ユニット1の下方に設けられている。また、手差し給紙トレイ82には、画像形成(印刷)される用紙Pが載置される。排出トレイ91は、装置本体110における画像形成部102の上方に設けられており、画像形成(印刷)済みの用紙Pをフェイスダウンで集積する。
【0067】
また、装置本体110には、給紙トレイ81及び手差し給紙トレイ82から送られてきた用紙Pを転写ローラ10及び定着ユニット7を経て、排出トレイ91に送るための主搬送経路76が設けられている。主搬送経路76の近傍には、ピックアップローラ11a,11b、複数の(ここでは第1及び第2)搬送ローラ12a,12b、レジストローラ13、転写ローラ10、定着ユニット7におけるヒートローラ71及び加圧ローラ72が配置されている。反転搬送経路77の近傍には、複数の(ここでは第3及び第4)搬送ローラ12c,12dが配置されている。
【0068】
第1から第4搬送ローラ12a〜12dは、用紙Pの搬送を促進、補助するための小型のローラである。また、ピックアップローラ11aは、給紙トレイ81の用紙供給側の近傍に備えられ、給紙トレイ81から用紙Pを1枚ずつピックアップして主搬送経路76に供給する。同様に、ピックアップローラ11bは、手差し給紙トレイ82の用紙供給側の近傍に備えられ、手差し給紙トレイ82から用紙Pを1枚ずつピックアップして主搬送経路76に供給する。
【0069】
また、レジストローラ13は、主搬送経路76において搬送されている用紙Pを一旦保持するものである。そして、レジストローラ13は、中間転写ベルト61上のトナー像の先端と用紙Pの搬送方向Yにおける一方側の第1搬送方向Y1の下流側端(以下、先端P1という。)を合わせるタイミングで用紙Pを転写ローラ10に搬送する。
【0070】
定着ユニット7は、未定着トナー像を用紙Pに定着するものであり、定着ローラとして作用するヒートローラ71及び加圧ローラ72を備えている。ヒートローラ71は、回転駆動されることで、従動回転される加圧ローラ72と共に用紙Pを挟持しつつ用紙Pを搬送するようになっている。また、ヒートローラ71は、内側に設けられたヒータ71aによって加熱され、温度検出器71bからの信号に基づき所定の定着温度に維持されるようになっている。ヒータ71aにより加熱されたヒートローラ71は、加圧ローラ72と共に用紙Pに転写された多色トナー像を用紙Pに熱圧着することにより、多色トナー像を溶融、混合、圧接して用紙Pに対して熱定着させる。
【0071】
(搬送経路について)
図2は、図1に示す画像形成装置100における搬送経路76,77を示す概略断面図である。
【0072】
図1及び図2に示すように、画像形成装置100は、既述のとおり、用紙Pが搬送される搬送経路として、主搬送経路76と、反転搬送経路77とを備えており、センター基準のシート搬送の構成とされている。反転搬送経路77は、搬送方向Yに湾曲しており、湾曲搬送経路を構成している。
【0073】
主搬送経路76は、給紙部80とシート搬送装置300におけるシート搬送部30との間で用紙Pを搬送する搬送経路とされている。
【0074】
反転搬送経路77は、第1搬送方向Y1とは逆方向の第2搬送方向Y2に搬送される用紙Pを搬送する搬送経路であって、シート搬送装置300から定着ユニット7とシート搬送装置300との間の分岐部Saまでの主搬送経路76の一部を経て、画像形成部102と給紙部80との間の主搬送経路76との接続部Sb(図1参照)に接続された搬送経路とされている。従って、主搬送経路76及び反転搬送経路77において、シート搬送装置300と分岐部Saとの間は共通の搬送経路とされている。
【0075】
分岐部Saには、分岐爪84が配設されている。分岐爪84は、定着ユニット7からの用紙Pをシート搬送装置300の方に導く第1姿勢(図2の実線で示す姿勢)と、シート搬送装置300における後述する第1及び第2排出ローラ31,32の逆回転(図2中の矢印C2方向の回転)により第1搬送方向Y1とは逆方向の第2搬送方向Y2に搬送される用紙Pを反転搬送経路77側に導く第2姿勢(図2の2点鎖線で示す姿勢)をとるように構成されている。
【0076】
かかる構成を備えた画像形成装置100では、各給紙トレイ81,82から供給された用紙Pは、主搬送経路76に沿って設けられた第1搬送ローラ12aによってレジストローラ13まで搬送され、用紙Pの先端P1と中間転写ベルト61上のトナー像の先端を整合するタイミングで転写ローラ10によって搬送され、用紙P上にトナー像が転写される。その後、用紙Pは定着ユニット7を通過することによって用紙P上の未定着トナーが熱で溶融、固着される。
【0077】
そして、分岐爪84が第1姿勢にされ、用紙Pの片面画像の印刷が行われる場合は、定着ユニット7からの用紙Pが第2搬送ローラ12bを経て正回転(図2中の矢印C1方向に回転)された第1及び第2排出ローラ31,32に搬送されて排出トレイ91に排出される。
【0078】
また、用紙Pの両面に印刷が行われる場合は、定着ユニット7を通過した用紙Pの先端P1側が一旦外部に移送されて用紙Pの第1搬送方向Y1の上流側端(以下、後端という。)P2が分岐部Saを通過した後、分岐爪84が第2姿勢にされ、第1及び第2排出ローラ31,32が逆回転されることによって用紙Pが第2搬送方向Y2に搬送(スイッチバック)され、反転搬送経路77に沿って表裏が反転されつつ第3及び第4搬送ローラ12c,12dにてレジストローラ13よりも上流側の接続部Sbに搬送される。そして、レジストローラ13を経て転写ニップに搬送されてきた用紙Pは、裏面に印刷された後、正回転された第1及び第2排出ローラ31,32に搬送されて排出トレイ91に排出される。
【0079】
(シート搬送装置について)
図3は、図1に示す画像形成装置100におけるシート搬送装置300を用紙Pの第1搬送方向Y1に向かって視た概略側面図である。また、図4は、図1に示す画像形成装置100におけるシート搬送装置300を第1搬送方向Y1及び第2搬送方向Y2と直交する用紙面に沿った直交方向X(軸線方向)から視た概略断面図である。
【0080】
図2から図4に示すように、本実施の形態に係るシート搬送装置300は、用紙Pを搬送するシート搬送部30と、回転駆動部40(図3参照)とを備えている。シート搬送部30は、本実施の形態では、用紙Pを略水平方向或いは若干斜め上方に搬送する構成とされている。なお、シート搬送部30は、用紙Pを斜め下方に搬送する構成とされていてもよい。
【0081】
シート搬送部30は、回転駆動されることで用紙Pを挟持しつつ搬送する一対の搬送ローラとして、複数の(ここでは4つの)第1排出ローラ(第1搬送ローラの一例)31,…と、複数の(ここでは4つの)第2排出ローラ(第2搬送ローラの一例)32,…とを備えている。第1排出ローラ31,…は、互いに同径とされ、何れも同軸上に配設されている。第2排出ローラ32,…は、互いに同径とされ、第1排出ローラ31,…にそれぞれ対向して同軸上に配設されている。そして、シート搬送部30は、回転駆動される第1排出ローラ(駆動ローラ)31,…と、第1排出ローラ31,…の駆動回転に伴い従動回転される第2排出ローラ(従動ローラ)32,…との間で用紙Pを挟持しつつ搬送するようになっている。具体的には、シート搬送部30は、第1及び第2排出ローラ(31,…),(32,…)が正回転するときには用紙Pを排出トレイ91の方へ搬送する一方、逆回転するときには用紙Pを反転搬送経路77の方へ搬送する。
【0082】
シート搬送部30は、駆動ローラ軸31a及び従動ローラ軸32aをさらに備えている。第1排出ローラ31,…は、駆動ローラ軸31aに固定されている。第2排出ローラ32,…は、従動ローラ軸32aに第1排出ローラ31,…に対向して固定されている。また、シート搬送部30は、第2排出ローラ32,…を第1排出ローラ31,…に向けて付勢する付勢部材(ここでは巻きバネ)33(図3参照)をさらに備えている。
【0083】
第1及び第2排出ローラ(31,…),(32,…)並びに付勢部材33は、シート搬送部30の本体フレーム30a(図2及び図3参照)に設けられており、第1排出ローラ31,…が設けられた駆動ローラ軸31aの片方の端部がシート搬送部30の本体フレーム30aから直交方向Xの外側に突出して設けられている。
【0084】
駆動ローラ軸31aは、ここでは、単一のものとされており、シート搬送部30の本体フレーム30aに設けられて駆動ローラ軸31aを覆う第1カバー部材36(図4参照)に対して軸線回りに回転自在に設けられている。
【0085】
従動ローラ軸32aは、ここでは、直交方向Xに沿って複数(ここでは2つ)並設されており、それぞれ、複数(ここでは2つ)の第2排出ローラ32,…が固定されている。そして、従動ローラ軸32aは、第2排出ローラ32,…が対応する第1排出ローラ31,…と対峙するように、シート搬送部30の本体フレーム30aに設けられて従動ローラ軸32aを覆う第2カバー部材37(図3及び図4参照)に対して軸線回りに回転自在に、かつ、第1搬送方向Y1及び第2搬送方向Y2と直交方向Xとの双方に直交する垂直方向Z(ここでは上下方向)に沿って往復移動自在に設けられている。そして、シート搬送部30は、用紙Pが第1排出ローラ31,…と第2排出ローラ32,…との間のニップ部Nにおいて第2排出ローラ32,…にて押圧された状態で挟持されつつ搬送されるようになっている。
【0086】
具体的には、付勢部材33は、第2排出ローラ32,…を第1排出ローラ31,…に向けて付勢するようになっており、ここでは、第2排出ローラ32,…と、シート搬送部30の本体フレーム30aの第1排出ローラ31,…とは反対側の位置との間に配置されている。なお、付勢部材33による第2排出ローラ32,…の第1排出ローラ31,…への押圧力は、用紙Pが適正に搬送される程度の圧力となっている。
【0087】
シート搬送部30は、直交方向Xに用紙Pを波打たせて用紙Pに腰を付ける腰付け部材として作用する複数の(ここでは4つの)腰付けローラ34,…をさらに備えている。腰付けローラ34,…は、第1及び第2排出ローラ(31,…),(32,…)のうち少なくとも一方の排出ローラ(ここでは第2排出ローラ32,…)と同軸上に配設され、かつ、第2排出ローラ32,…の径よりも大きい径を有している。なお、腰付けローラ34,…は、第1及び第2排出ローラ(31,…),(32,…)の何れか一方と同軸上に配設されてもよいし、第1及び第2排出ローラ(31,…),(32,…)の双方と同軸上に配設されてもよい。第1及び第2排出ローラ(31,…),(32,…)の双方に配設される場合には、第1排出ローラ31,…側の腰付けローラ34と第2排出ローラ32,…側の腰付けローラ34とは直交方向Xにおいてオーバーラップしないように配設される。
【0088】
これにより、シート搬送部30は、用紙Pを搬送するときに、腰付けローラ34,…によって、用紙Pに直交方向Xにおける波打ち形状を付与し、用紙Pに腰を付けるようになっている。
【0089】
具体的には、腰付けローラ34,…は、第2排出ローラ32,…に対して直交方向Xにおける一方側X1の端部又は他方側X2の端部に設けられている。なお、腰付けローラ34,…は、従動ローラ軸32aに対して設けられていてもよい。
【0090】
ここで、腰付けローラ34,…は、第2排出ローラ32,…における個々のローラ32,…の1つ又は複数個おきに1つずつ配置されていてもよいし、第2排出ローラ32,…における個々のローラ32,…の1つ又は複数個おきに複数個ずつ配置されていてもよい。また、これらの配置構成の組み合わせであってもよい。本実施の形態では、両端の二つのローラ32,32と、その内側二つのローラ32,32との間に、それぞれ、2つの腰付けローラ34,…が設けられている。
【0091】
回転駆動部40は、第1排出ローラ31,…が設けられた駆動ローラ軸31aを回転駆動するものであり、搬送駆動モータ41(ここではステッピングモータ)と、搬送駆動モータ41からの回転駆動を駆動ローラ軸31aに伝達する駆動伝達機構42とを備えている。
【0092】
搬送駆動モータ41は、回転軸41aが直交方向Xに沿うように装置本体110に設けられている。
【0093】
駆動伝達機構42は、ここでは、複数のギアを列設したギア列で構成されており、駆動ギア42a、ローラギア42b及び中間ギア42cを備えている。
【0094】
駆動ギア42aは、搬送駆動モータ41の回転軸41aに連結されている。ローラギア42bは、駆動側ローラ軸31aのシート搬送部30の本体フレーム30aから直交方向Xの外側に突出した端部に連結されている。中間ギア42cは、装置本体110に固定された回転軸110aに回転自在に支持されており、駆動ギア42a及びローラギア42bに歯合している。
【0095】
搬送駆動モータ41は、制御部(図示省略)からの駆動信号(ON信号)又は駆動停止信号(OFF信号)が得られるように、該制御部の出力系に電気的に接続されている。制御部は、回転方向を指示する回転指示信号を搬送駆動モータ41へ送信して搬送駆動モータ41を駆動させることで、第1排出ローラ31,…を一方向C1(第1搬送方向Y1、図2及び図4参照)又は他方向C2(第2搬送方向Y2、図2及び図4参照)へ回転駆動できるようになっている。
【0096】
ここで、第1及び第2排出ローラ31,32と、回転駆動部40と、用紙Pを第1搬送方向Y1へ搬送して排出トレイ91へ排出するように回転駆動部40を制御する制御部(図示省略)の制御構成とを含む構成が排出構成とされ、また、第1及び第2排出ローラ31,32と、回転駆動部40と、用紙Pを反転搬送経路77へ向けて第2搬送方向Y2へ搬送するように回転駆動部40を制御する制御部(図示省略)の制御構成とを含む構成が搬送構成とされている。
【0097】
シート搬送装置300は、第1及び第2排出ローラ(31,…),(32,…)間のニップ部Nよりも第1搬送方向Y1の上流側に、間隔をおいて垂直方向Zに対向して設けられた第1シート搬送ガイド38及び第2シート搬送ガイド39(図4参照)を備えており、搬送する用紙Pを第1シート搬送ガイド38と第2シート搬送ガイド39との間に案内してニップ部Nへと導くようになっている。
【0098】
また、シート搬送装置300は、直交方向Xに用紙Pを波打たせて用紙Pに腰を付ける腰付け部材として作用する腰付けガイド部210(図3及び図4参照)を備えている。なお、腰付けガイド部210は、図1及び図2において図示省略している。
【0099】
詳しくは、腰付けガイド部210は、第1カバー部材36に設けられており、第1搬送方向Y1の上流側端211と第1搬送方向Y1の下流側端212(第2搬送方向Y2の上流側端)とが第1及び第2排出ローラ(31,…),(32,…)間のニップ部Nよりも垂直方向Zの一方側(ここでは上側)に位置し、かつ、垂直方向Zの用紙Pと接触する側の先端213(最頂部)がニップ部Nよりも垂直方向Zの他方側(ここでは下側)に位置する曲面を有する湾曲形状とされている。本実施の形態では、腰付けガイド部210及び第1カバー部材36は、樹脂で形成されており、腰付けガイド部210と第1カバー部材36とは一体的に形成されている。
【0100】
以上説明したシート搬送装置300では、スイッチバックされた用紙Pが反転搬送経路77に案内されると場合において(図2参照)、腰付けローラ34,…及び腰付けガイド部210にて直交方向Xに波打った用紙Pが搬送方向Yに湾曲した反転搬送経路77に沿って強制的に湾曲されて波打ちが戻るときに異常音が発生することがある。この点、本実施の形態では、図3及び図4に示すように、腰付けローラ34,…及び腰付けガイド部210のうち腰付けガイド部210によって腰を付けた用紙Pの波打ちを垂直方向Zで規制する規制部材220を備えている。規制部材220は、ここでは、シート搬送部30に設けられている。なお、規制部材220は、図1及び図2において図示省略している。
【0101】
そして、規制部材220は、腰付けガイド部210の垂直方向Zにおける先端213の位置よりも第1搬送方向Y1における上流側の近傍に設けられている。
【0102】
本実施の形態によれば、腰付けガイド部210によって腰を付けた用紙Pの波打ちを垂直方向Zで規制する規制部材220が、腰付けガイド部210の垂直方向Zにおける先端213の位置よりも第1搬送方向(ここでは排出トレイ91に排出される方向)における上流側の近傍に設けられているので、規制部材220から第1搬送方向Y1へ搬送(ここでは排出)させる用紙Pに対しては腰付けガイド部210による波打ちを維持する一方で、規制部材220から第2搬送方向Y2(ここでは搬送方向Yに湾曲した反転搬送経路77に向かう方向)へ搬送させる用紙Pに対しては腰付けガイド部210による波打ちを低減させることができる。これにより、用紙Pのスタック性を確保しつつ、腰付けローラ34,…及び腰付けガイド部210による用紙Pの波打ちに関する不都合(特に、用紙Pが反転搬送経路77に搬送されるときの異常音)の発生を抑制することが可能となる。
【0103】
本実施の形態では、規制部材220は、直交方向X及び垂直方向Zの少なくとも一方(ここでは直交方向Xの中央部)において腰付けガイド部210に対向して設けられている。こうすることで、規制部材220から第2搬送方向Y2へ搬送させる用紙Pに対して腰付けガイド部210のある箇所に対応する波打ちを確実に低減させることが可能となる。
【0104】
ところで、規制部材220がニップ部Nよりも第1搬送方向Y1の下流側に設けられていると、本実施の形態のように、シート搬送部30から外部へ第1搬送方向Y1に搬送(ここでは排出トレイ91に排出)させる用紙Pの搬送が、ニップ部Nよりも第1搬送方向Y1の下流側に設けられた規制部材220によって阻害され、用紙Pの後端P2部が規制部材220に引っ掛かり(例えば乗り上げた状態となり)、用紙Pが排出トレイ91に排出されない、或いは、用紙Pのスタック性が悪化し易い。
【0105】
よって、本実施の形態では、規制部材220は、ニップ部Nよりも第1搬送方向Y1の上流側に設けられている。こうすることで、シート搬送部30から外部へ第1搬送方向Y1に搬送(ここでは排出トレイ91に排出)させる用紙Pの搬送力が規制部材220で阻害されることを防止でき、これにより、用紙Pを排出トレイ91に確実に排出でき、用紙Pのスタック性の悪化を防止することができる。
【0106】
また、本実施の形態において、規制部材220は、シート搬送部30による用紙Pの搬送力よりも小さい弾力性を有する可撓性部材とされている。
【0107】
このように、可撓性部材とされた規制部材220によって、腰付けガイド部210にて腰を付けた用紙Pの搬送性を維持しつつ、用紙Pの波打ちを適度な弾力性を持って撓んだ状態で規制することが可能となる。
【0108】
また、本実施の形態において、規制部材220は、シート状の可撓性部材とされている。詳しくは、規制部材220は、用紙Pの搬送路上を横切るように(例えば、搬送される用紙Pに対して略直角に)配設されている。具体的には、シート状の可撓性部材とされた規制部材220は、先端部220aが搬送路側へ突出した状態で、第1搬送方向Y1の上流側の面220b(図4参照)が、搬送される用紙Pの先端P1に当接するように、シート搬送部30の本体フレーム30aに設けられた第2カバー部材37(図4参照)の第1搬送方向Y1の上流側面37aに貼り付けられている。
【0109】
このように、規制部材220がシート状の可撓性部材とされていることで、安価でかつ簡単な構造でありながら、用紙Pの搬送性と用紙Pの波打ちに対する規制作用との両立を容易に実現させることが可能となる。
【0110】
ところで、可撓性部材とされた規制部材220は、腰付けガイド部210にて腰を付けた用紙Pの波打ちを規制するために用紙Pと接触するときには、用紙Pとの擦れ音が発生することがある。このことは、用紙Pの規制部材220と接触する側の用紙面に画像(トナー像)が形成されている場合に、特に顕著となる。
【0111】
よって、本実施の形態では、規制部材220は、少なくともシートと接触する部分がフッ素樹脂(具体的にはポリテトラフルオロエチレン)で形成されている。フッ素樹脂は、通常は、用紙Pの摩擦係数よりも非常に低い摩擦係数を有していることから、規制部材220の用紙Pとの擦れ音を低減させる、或いは、無くすことができる。
【0112】
詳しくは、シート状の可撓性部材とされた規制部材220は、フッ素樹脂からなるテフロン(登録商標)フィルムとされている。かかる構成では、安価でかつ簡単な構造でありながら、用紙Pの搬送性と用紙Pの波打ちに対する規制作用との両立を容易に実現させつつ、用紙Pとの擦れ音を低減させる、或いは、無くすことが可能となる。
【0113】
なお、本実施の形態では、シート状の可撓性部材とされた規制部材220は、フッ素樹脂からなるものを用いたが、弾性体にフッ素樹脂をコーティングしたものを用いてもよい。
【0114】
ところで、腰付けガイド部210にて腰を付けた用紙Pの波打ちを規制し易くするという観点から、規制部材220は、腰付けガイド部210に対して直交方向Xにオーバーラップしていることが好ましい。しかし、この場合、第1搬送方向Y1への用紙Pの搬送に伴い弾性変形しても、用紙Pの進路を確保しないと、用紙Pの搬送が規制部材220にて妨害され、ジャム(用紙詰まり)の発生を招く。
【0115】
よって、本実施の形態では、規制部材220は、腰付けガイド部210に対して直交方向Xにオーバーラップし(図4参照)、かつ、第1搬送方向Y1への用紙Pの搬送に伴う弾性変形を許容して(後述する図5参照)、用紙Pの進路を確保する構成とされている。こうすることで、用紙Pの搬送の規制部材220による妨害を回避でき、これにより、ジャム(用紙詰まり)の発生を回避することが可能となる。
【0116】
図5は、規制部材220が腰付けガイド部210に対して直交方向Xにオーバーラップしているが、第1搬送方向Y1への用紙Pの搬送に伴う弾性変形を許容して、用紙Pの進路を確保する構成を模式的に示す説明図である。図5(a)及び図5(b)は、それぞれ、用紙Pが規制部材220を通過していないときの規制部材220の状態を示す概略側面図及び概略平面図であり、図5(c)及び図5(d)は、それぞれ、用紙Pが規制部材220を通過直後の規制部材220の状態を示す概略側面図及び概略平面図である。なお、図5(b)及び図5(d)において、第2排出ローラ32は図示を省略している。
【0117】
図5に示すように、規制部材220は、第1搬送方向Y1への用紙Pの搬送に伴い弾性変形したときに(図5(c)及び図5(d)参照)、腰付けガイド部210における直交方向Xの一方側X1の端面214に非接触で対向する第1対向部221(図5(d)参照)と、腰付けガイド材220における直交方向Xの他方側X2の端面215に非接触で対向する第2対向部222(図5(d)参照)とを有している。
【0118】
詳しくは、用紙Pが規制部材220を通過していないときには(図5(a)及び図5(b)参照)、第1対向部221は、腰付けガイド部210の一方側X1の端面214に対向しておらず、第2対向部222も、腰付けガイド部210の他方側X2の端面215に対向していない(図5(a)及び図5(b)参照)。一方、用紙Pが規制部材220を通過直後には、第1対向部221は、腰付けガイド部210の一方側X1の端面214に非接触で対向し、第2対向部222も、腰付けガイド部210の他方側X2の端面215に非接触で対向する(図5(c)及び図5(d)参照)。これにより、第1搬送方向Y1へ搬送させる用紙Pの進路を確実に確保することができる。
【0119】
具体的には、規制部材220は、用紙Pに接触する側の先端部220aの直交方向Xにおける幅d1(図3参照)が腰付けガイド部210の用紙Pに接触する側の先端部210aの直交方向Xにおける幅d2(図3参照)よりも大きくなっている。そして、規制部材220には、第1搬送方向Y1への用紙Pの搬送に伴い弾性変形したときに、先端部220aが腰付けガイド部210の先端部210aと接触しないように凹部223を有する凹状部材とされている。
【0120】
ところで、第1及び第2排出ローラ(31,…),(32,…)間のニップ部Nよりも第1搬送方向Y1の上流側に設けられる検知手段(具体的には排出スイッチ(図示せず))等の各種の構成部材や装置のコンパクト化の観点から、腰付けガイド部の先端がニップ部Nよりも第1搬送方向Y1の下流側に設けられていてもよいが、本実施の形態のように、シート搬送部30が用紙Pを略水平方向或いは若干斜め上方に搬送する構成とされている場合には、該腰付けガイド部が、搬送される用紙Pに対して下側から直交方向Xに波打たせて腰を付けると、シート搬送部30から外部へ第1搬送方向Y1に搬送(ここでは排出トレイ91に排出)させる用紙Pの搬送が、ニップ部Nよりも第1搬送方向Y1の下流側に設けられて用紙Pに対して下側から波打たせて腰を付ける腰付けガイド部の先端によって阻害され、用紙Pの後端P2部が該腰付けガイド部の先端に引っ掛かり(例えば乗り上げた状態となり)、用紙Pが排出トレイ91に排出されない、或いは、用紙Pのスタック性が悪化し易い。
【0121】
よって、本実施の形態では、腰付けガイド部210は、先端213がニップ部Nよりも第1搬送方向Y1の下流側に設けられ、かつ、搬送される用紙Pに対して上側から直交方向Xに波打たせて腰を付ける構成とされており、規制部材220は、用紙Pに対して下側から波打ちを規制する構成とされている。詳しくは、腰付けガイド部210は、第1搬送方向Y1の上流側端211と第1搬送方向Y1の下流側端212とがニップ部Nよりも上方に位置し、かつ、垂直方向Zの先端213がニップ部Nよりも下方に位置するように、下に凸の曲面を有する湾曲形状とされている。規制部材220は、腰付けガイド部210の先端213よりも上方に(具体的には略垂直に)延びており、先端部220aが自由端になるように設けられている。
【0122】
本実施の形態のように、シート搬送部30が用紙Pを略水平方向或いは若干斜め上方に搬送する構成とされ、腰付けガイド部210の先端213がニップ部Nよりも第1搬送方向Y1の下流側に設けられていても、腰付けガイド部210がシート搬送部30にて搬送する用紙Pに対して上側から波打たせて腰を付ける構成とされていることで、シート搬送部30から外部へ第1搬送方向Y1に搬送(ここでは排出トレイ91に排出)させる用紙Pの搬送力が腰付けガイド部210で阻害されることを防止でき、これにより、用紙Pを排出トレイ91に確実に排出でき、用紙Pのスタック性の悪化を防止することができる。
【0123】
また、本実施の形態において、腰付けガイド部210は、搬送される用紙Pの直交方向Xにおけるセンター位置(図3のβ参照)に配設されている。こうすることで、センター位置に配設された腰付けガイド部210にて腰を付けた用紙Pの波打ちを規制する規制部材220によって、用紙Pの波打ちを低減させることができ、これにより、主として、小サイズの用紙Pや封筒等の用紙Pに対するスタック性を確保しつつ、腰付けローラ34,…及び腰付けガイド部210による用紙Pの波打ちに関する不都合の発生を抑制することが可能となる。
【0124】
なお、本実施の形態では、腰付けガイド部210を直交方向Xにおけるセンター位置に設けたが、腰付けローラ34,…間の何れかの少なくとも一つの位置に設けてもよい。
【0125】
また、本実施の形態では、規制部材220は、腰付けローラ34,…及び腰付けガイド部210のうち腰付けガイド部210によって腰を付けた用紙Pの波打ちを規制するようになっているが、腰付けローラ34,…によって腰を付けた用紙Pの波打ちを規制するようになっていてもよい。
【0126】
また、シート搬送装置30は、画像が形成される用紙Pを搬送する箇所に設けたが、画像が読み取られる原稿を搬送する箇所に設けても同様に原稿の波打ちに関する不都合を回避できる。
【符号の説明】
【0127】
30 シート搬送部
31 第1排出ローラ
31a 駆動ローラ軸
32 第2排出ローラ
32a 従動ローラ軸
34 腰付けローラ(腰付け部材の一例)
40 回転駆動部
77 反転搬送経路(湾曲搬送経路の一例)
100 画像形成装置
210 腰付けガイド部(腰付け部材の一例)
211 上流側端
212 下流側端
213 先端
214 端面
215 端面
220 規制部材
221 第1対向部
222 第2対向部
223 凹部
300 シート搬送装置
N ニップ部
P 用紙(シートの一例)
X 直交方向
Y 搬送方向
Y1 第1搬送方向
Y2 第2搬送方向
Z 垂直方向
β センター位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを第1搬送方向及び該第1搬送方向とは反対方向の第2搬送方向の双方に搬送するシート搬送部を備えたシート搬送装置であって、
シートの搬送方向に直交するシート面に沿った直交方向に該シートを波打たせて該シートに腰を付ける腰付け部材と、
前記腰付け部材によって腰を付けたシートの波打ちを前記第1及び第2搬送方向と前記直交方向との双方に直交する垂直方向で規制する規制部材と
を備え、
前記規制部材は、前記腰付け部材の前記垂直方向における先端の位置よりも前記第1搬送方向における上流側の近傍に設けられていることを特徴とするシート搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載のシート搬送装置であって、
前記規制部材は、前記直交方向及び前記垂直方向の少なくとも一方において前記腰付け部材に対向して設けられていることを特徴とするシート搬送装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のシート搬送装置であって、
前記シート搬送部は、シートを搬送する一対の搬送ローラを備え、
前記規制部材は、前記一対の搬送ローラのニップ部よりも前記第1搬送方向の上流側に設けられていることを特徴とするシート搬送装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3までの何れか一つに記載のシート搬送装置であって、
前記規制部材は、前記シート搬送部によるシートの搬送力よりも小さい弾力性を有する可撓性部材とされていることを特徴とするシート搬送装置。
【請求項5】
請求項4に記載のシート搬送装置であって、
前記規制部材は、シート状の可撓性部材とされていることを特徴とするシート搬送装置。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載のシート搬送装置であって、
前記規制部材は、少なくともシートと接触する部分がフッ素樹脂で形成されていることを特徴とするシート搬送装置。
【請求項7】
請求項5に記載のシート搬送装置であって、
シート状の可撓性部材とされた前記規制部材は、フッ素樹脂からなっていることを特徴とするシート搬送装置。
【請求項8】
請求項4から請求項7までの何れか一つに記載のシート搬送装置であって、
前記規制部材は、前記腰付け部材に対して前記直交方向にオーバーラップし、かつ、前記第1搬送方向へのシートの搬送に伴う弾性変形を許容して、該シートの進路を確保する構成とされていることを特徴とするシート搬送装置。
【請求項9】
請求項8に記載のシート搬送装置であって、
前記規制部材は、前記第1搬送方向へのシートの搬送に伴い弾性変形したときに、前記腰付け部材における前記直交方向の一方側の端部に非接触で対向する第1対向部と、前記腰付け部材における前記直交方向の他方側の端部に非接触で対向する第2対向部とを有していることを特徴とするシート搬送装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9までの何れか一つに記載のシート搬送装置であって、
前記シート搬送部は、シートを搬送する一対の搬送ローラを備え、シートを水平方向、斜め上方或いは斜め下方に搬送する構成とされており、
前記腰付け部材は、前記先端が前記一対の搬送ローラのニップ部よりも前記第1搬送方向の下流側に設けられ、かつ、搬送されるシートに対して上側から前記直交方向に波打たせて腰を付ける構成とされており、
前記規制部材は、該シートに対して下側から波打ちを規制する構成とされていることを特徴とするシート搬送装置。
【請求項11】
請求項1から請求項10までの何れか一つに記載のシート搬送装置であって、
同軸上に配設された複数の第1搬送ローラと、該複数の第1搬送ローラにそれぞれ対向して同軸上に配設された複数の第2搬送ローラとを有し、かつ、回転される前記第1搬送ローラと前記第2搬送ローラとの間でシートを挟持しつつ搬送する構成とされた一対の搬送ローラと、前記第1及び第2搬送ローラのうち少なくとも一方の搬送ローラと同軸上に配設され、かつ、該搬送ローラの径よりも大きい径を有する腰付けローラと、搬送されるシートの前記直交方向におけるセンター位置に配設された腰付けガイド部とを備えており、
前記規制部材は、前記腰付けローラ及び前記腰付けガイド部のうち前記腰付けガイド部にて腰を付けたシートの波打ちを規制することを特徴とするシート搬送装置。
【請求項12】
請求項1から請求項11までの何れか一つに記載のシート搬送装置と、
前記シート搬送装置における前記シート搬送部よりも前記第2搬送方向の下流側に設けられた湾曲搬送経路と
を備えた画像形成装置であって、
前記シート搬送部にてシートを前記第1搬送方向へ搬送して外部へ排出する排出構成と、前記シート搬送部にてシートを前記湾曲搬送経路へ向けて前記第2搬送方向へ搬送する搬送構成とを備えていることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−106827(P2012−106827A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−256199(P2010−256199)
【出願日】平成22年11月16日(2010.11.16)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】