シート材穿孔装置
【課題】 簡素な構造を採用し、小型化を図りつつ安価な製造を可能にするようにしたシート材穿孔装置を提供する。
【解決手段】 パンチピン2と、ダイ孔3aが形成されるダイ部3と、ダイ部3及びパンチピン2とが内方の収容空間に設けられ、この収容空間を壁部で画成するようにしたシート材Wの幅方向を長手方向とするフレーム4と、シート材Wを通すためのフレーム4の壁部に開口される通紙口5と、を備え、通紙口5にダイ部3を架けわたした状態で、シート材Wの幅方向において所定長さでダイ部3を支持させることによりダイ部3に対してパンチ孔の穿孔時にパンチピン2によって加わる穿孔力によるダイ部3の撓みを抑制させるようにしたことを特徴とする。
【解決手段】 パンチピン2と、ダイ孔3aが形成されるダイ部3と、ダイ部3及びパンチピン2とが内方の収容空間に設けられ、この収容空間を壁部で画成するようにしたシート材Wの幅方向を長手方向とするフレーム4と、シート材Wを通すためのフレーム4の壁部に開口される通紙口5と、を備え、通紙口5にダイ部3を架けわたした状態で、シート材Wの幅方向において所定長さでダイ部3を支持させることによりダイ部3に対してパンチ孔の穿孔時にパンチピン2によって加わる穿孔力によるダイ部3の撓みを抑制させるようにしたことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート材にファイル用のパンチ孔を穿孔するシート材穿孔装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンタ等の画像形成装置には、画像を形成した用紙としてのシート材にファイル用のパンチ孔を穿孔するシート材穿孔装置が付加されており、このシート材穿孔装置の一例として、特開2000―233396号公報(特許文献1等)のものが知られている。
【0003】
このシート材穿孔装置は、図14に示すように往復駆動されるパンチPを備えるパンチフレームPFの下面には、該パンチフレームPFの下面と通紙隙間Sをもって対向するようにダイス穴Dが設けられたダイスフレームDFが、その長手方向の両端側の二個所の締結部Fを、ネジまたはリベットにより固着されて、パンチフレームPFとともにフレームアッセンブリを構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000―233396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このようなシート材穿孔装置にあっては、例えば厚シート材、硬いシート材を穿孔しようとするとパンチPがシート材Wに刺さるとき負荷が最大になるが、この時、ダイス穴Dを備えたダイスフレームDFとパンチ孔を穿孔させるパンチPを備えたパンチフレームPFの締結部F及びフレーム全体に応力(穿孔反力)が発生し、各フレームの剛性に応じて撓みが発生する。(図14ではダイスフレームDFの撓みを示す。)
【0006】
そうなるとシート材Wを穿孔するためだけに使用したい力(エネルギー)が撓みへ逃げてしまい余分なエネルギーを使用することになり、効率が悪くなってしまう。そこで剛性を確保するため、パンチフレームPFの板厚をあげたり、コの字に曲げたり、締結部Fを強固にしたりして強度アップを図って対策している。しかし、そのような対策をこうじると穿孔装置自体が重量、大きさとも大きくなってしまい、しいては安価に製造できなくなってしまう。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために鑑み、剛性を有するフレームによってダイ部を支承する構造を改良するものであり、簡素な構造を採用し、小型化を図りつつ安価な製造を可能するようにしたシート材穿孔装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためのシート材穿孔装置は、搬送されるシート材に対して往復駆動されるパンチピンと、該パンチピンと協働して、前記シート材が載りそのシート材の厚み方向にパンチ孔を穿孔するためのダイ孔が形成されるダイ部と、前記シート材の搬送方向に関する上流側と下流側とに配置された壁部を有し、該ダイ部及び前記パンチピンとが前記上流側の壁部と下流側の壁部との間の空間に設けられ、前記シート材の幅方向を長手方向とするフレームと、搬送される前記シート材を通すために、前記上流側と下流側との両側の壁部に開口される通紙口と、を備え、この両側の通紙口に前記ダイ部を架けわたした状態で、前記シート材の幅方向において所定長さで当該ダイ部を支持させるようにしたことを特徴とする。
【0009】
上記構成とすることにより、剛性を有するフレームにてパンチピンによる穿孔力が加わるダイ部を直接的に支持しているため、穿孔時のダイ部の撓みによる変形を抑制できる。この支持構造はフレームに形成される通紙口における搬送方向の上流側と下流側との間で架けわたされ、かつ、シート材の幅方向の所定長さにわたってダイ部が支持されるため、従来のように両端側の二個所の締結部Fを固着するダイスフレームDFよりも穿孔力に対して抗する強度を高くすることができる。また、撓みの発生によるエネルギーロスの低減を図ることができる。
【0010】
本発明は、上記課題を解決するためのシート材穿孔装置は、前記フレームの両側の通紙口が開口される壁部は板状に形成される側板部とされ、この両側の側板部には前記通紙口とするために前記シート材の厚さ方向に所定間隔で開口する切り欠き部が形成され、一方、前記ダイ部は帯板部材によって形成され、このダイ部の帯幅方向の両側を前記切り欠き部間に架けわたすようにしたことを特徴とする。
【0011】
上記構成とすることにより、フレーム、ダイ部も単純な板状の構造を採用でき、装置全体としての小型・軽量化を図りつつ安価な製造が可能となる。
【0012】
本発明は、上記課題を解決するためのシート材穿孔装置の前記ダイ部には前記搬送方向の上流側に突出して、搬送される前記シート材の搬送先端側に接して該シート材を滑らすように前記通紙口内へと誘導するためのシート材搬入ガイド部が設けられることを特徴とする。
【0013】
上記構成とすることにより、シート材をシート材搬入ガイド部によって案内できるため、確実にシート材を穿孔位置まで搬送することができる。
【0014】
本発明は、上記課題を解決するためのシート材穿孔装置の前記ダイ部には自身の板厚方向に突出させる突出板部が形成され、該突出板部を前記フレームの側板部に接合させることを特徴とする。
【0015】
上記構成とすることにより、突出板部をパンチピンによる穿孔力に対する強度補強部材として機能させることができ、さらに、穿孔時のダイ部の撓みに対する強度向上が図れることとなる。
【0016】
本発明は、上記課題を解決するためのシート材穿孔装置は、前記パンチピンが複数とされ、該パンチピンのそれぞれと対を成すように単一のダイ孔を有するダイ部が複数配置されることを特徴とする。
【0017】
上記構成とすることにより、必要個所のみにダイ部を配置すればよく、さらなる軽量化や強度向上を図ることができる。
【0018】
本発明は、上記課題を解決するためのシート材穿孔装置は、搬送されるシート材に対して往復駆動されるパンチピンと、該パンチピンと協働して、前記シート材が載りそのシート材の厚み方向にパンチ孔を穿孔するためのダイ孔が形成されるダイ部と、前記シート材の搬送方向に関する上流側と下流側とに配置された壁部を有し、前記パンチピンが前記上流側の壁部と下流側の壁部との間の空間に設けられ、前記シート材の幅方向を長手方向とするフレームと、前記ダイ部が断面H状に形成され、その中央板部には前記ダイ孔が形成されるとともに、前記中央板部に前記シート材が載るように当該シート材を通すために、前記中央板部の両側の両側板部に開口される通紙口と、を備え、前記フレームの壁部に前記ダイ部の両側の両側板部を接合させて、このダイ部と前記フレームとを一体化させるようにしたことを特徴とする。
【0019】
上記構成とすることにより、ダイ部自体を板状部材によって断面H状となして形成することができ、これによって断面係数が高まって剛性が向上するので、さらに、従来のように両端側の二個所の締結部Fを固着するダイスフレームDFよりも穿孔力に対して抗する強度を高くすることができる。また、撓みの発生によるエネルギーロスの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係るシート材穿孔装置を示す斜視図である。
【図2】図1のA―A断面図である。
【図3】パンチピンの駆動機構を示す斜視図である。
【図4】シート材穿孔装置の変形例を示す断面図である。
【図5】図4の第1の変形例を示す断面図である。
【図6】図4の第2の変形例を示す断面図である。
【図7】図4の第3の変形例を示す断面図である。
【図8】図4の第4の変形例を示す断面図である。
【図9】シート材穿孔装置の他の変形例を示す断面図である。
【図10】シート材穿孔装置の他の変形例を示す断面図である。
【図11】図10の変形例を示す断面図である。
【図12】図11の斜視図である。
【図13】フレームの別の例を示す図である。
【図14】従来のシート材穿孔装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態につき図面を参照して説明する。図1は本発明の実施の形態に係るシート材穿孔装置を示す斜視図である。図2は図1のA―A断面図である。
【0022】
図1、2において、かかるシート材穿孔装置1は図示しない複写機やプリンタ等の画像形成装置において、画像を形成した用紙としてのシート材Wにファイル用のパンチ孔Pを穿孔するために使用される装置である。
【0023】
このシート材穿孔装置1は、搬送されるシート材Wに対向配置されて該シート材Wに対して往復駆動されるパンチピン2と、該パンチピン2と協働して、シート材Wが載りそのシート材Wの厚み方向Tにパンチ孔Pを穿孔するためのダイ孔3aが形成されるダイ部3とを備えており、これらパンチピン2とダイ部3とを内方の収容空間に設けることができるフレーム4とでアッセンブリユニットを構成している。
【0024】
このフレーム4は、シート材Wにパンチ孔Pを穿孔させる際、パンチピン2を介して加わる穿孔反力に抗するように剛性を有するように、シート材Wの幅方向を長手方向とする長手形状に形成されている。すなわち、フレーム4は、シート材Wの種類に応じて、合成樹脂や、鉄板、アルミ、ステンレス、リボン鋼(焼入鋼帯)などから選択した所定板厚の板金材によって形成され、断面係数を高めて剛性を備えさせるように、本例ではコ字形断面の梁状となして、内方に収容空間を壁部としての側板部4aで画成するようにして、シート材Wの幅寸法WLよりも長寸とさせて形成される。
【0025】
なお、フレーム4の断面形状は何ら限定されず、ようするに、シート材Wにパンチ孔Pを穿孔させる際、パンチピン2を介して加わる穿孔反力に抗することが可能となるようにした構造体であれば、一例として方形筒状、円形筒状などで形成することも可能である。なお本発明において、フレーム4は、図13に示すように、側板部4a、4aを別体の2枚の板とした形態でもよい。このように側板部4a、4aを別体の2枚の板とした形態は、本発明の全ての実施形態に適用してよい。
【0026】
このパンチピン2の駆動機構2aとしては図3に示すものが挙げられ、図において、フレーム4内方に配置される略L字状に形成されるリンク2bは、該リンク2bの中間部2b1にて支持ピン2cによりフレーム4の一方の側板部4aに該支持ピン2c回りに回転可能に支持されている。
【0027】
このリンク2bは、一端部に形成された二股状のアーム部2b2にてパンチ支持ピン2dを介してパンチピン2に連結されている。そして、リンク2bは、他端部にてフレーム4とは別体に形成され、フレーム4内方に配置されるスライドアーム2eに向けて突設されたアーム係合ピン2fを、スライドアーム2eの係合溝2gに係合させた状態で連結されている。
【0028】
また、スライドアーム2eは図示しない駆動源により往復動され、この往復動によりリンク2bが支持ピン2c回りに回転するのに伴って、パンチピン2が穿孔方向に往復駆動されることとなる。なお、パンチピン2の個数はファイル時に必要とされるパンチ孔Pに対応した個数(図1では4個のパンチピン2を配置)としている。
【0029】
また、フレーム4には搬送されるシート材Wを通すための通紙口5が設けられている。この通紙口5は、フレーム4の長手方向と交差する方向でシート材Wの搬送方向Aの上流側と下流側との両側に位置する、当該フレーム4の両側の側板部4aに開口形成される。具体的には、フレーム4の両側の側板部4aの長手方向にシート材Wの厚さ方向に所定間隔で開口する切り欠き部4bを形成することにより通紙口5が形成されることとなる。
【0030】
この通紙口5を構成する両側の側板部4aは、シート材Wの搬送方向Aの上流側と下流側との両側に位置しており、この上下流の間にダイ孔3aを位置させてダイ部3を架けわたしするように支持させることにより、該ダイ部3に対してパンチ孔Pの穿孔時にパンチピン2によって加わる穿孔力による当該ダイ部3の撓みを抑制させるダイ支持部5aを備えている。本例では開口形成される切り欠き部4bにおいて、側板部4aとしての開口縁部4cがダイ支持部5aとされることとなる。
【0031】
一方、ダイ部3は帯板部材によって帯板状に形成され、このダイ部3の帯幅中央側にダイ孔3aが形成され、かかるダイ部3の帯幅方向の両側を切り欠き部4bの両側の開口縁部4c間に架けわたしている。
【0032】
このように構成されるシート材穿孔装置1にあっては、搬送されるシート材Wがこの通紙口5に搬入され、パンチピン2とダイ孔3aとの間に位置された状態(図2参照)で、パンチピン2を下動させることによりパンチピン2の先端がシート材Wに突き刺さりながら貫通するとパンチピン2とダイ孔3aとの協働によりシート材Wの厚み方向Tにパンチ孔Pが穿孔されることとなる。
【0033】
この穿孔時には、パンチピン2がシート材Wに突き刺さるとき負荷が最大になるが、この時の穿孔反力がパンチピン2(駆動機構2a)を介してフレーム4に加わるも、当該フレーム4は、この穿孔反力に抗するようにして実質的な撓みが発生しない又は発生しても極めて小さくなるような剛性を有していることにより、このフレーム4に形成される両側のダイ支持部5aでダイ部3の裏面が、シート材Wの幅方向における所定長さ、一例としては長手方向全域にわたって長寸で支持されているため、パンチピン2がシート材Wに突き刺さるときの穿孔力に対して抗する強度が高くなり、撓みの発生によるエネルギーロスの低減を図ることができる。しかも、このようにフレーム4、ダイ部3も単純な板状の構造であり、装置自体が大型、重量化しにくくなり、安価な製造が可能となる。
【0034】
また、ダイ部3には搬送方向Aの上流側に突出して、搬送されるシート材Wの搬送先端側W1に接してシート材Wを滑らすように通紙口5内へと誘導するためのシート材搬入ガイド部3cが設けられる。このシート材搬入ガイド部3cはダイ部3の帯幅方向の両側における切り欠き部4bの両側の開口縁部4cに接合される個所から一体的に突出形成される。
【0035】
つぎに、シート材穿孔装置1の変形例を図4に示す。この例では、ダイ部3には自身の板厚方向に突出させる突出板部3dが形成され、該突出板部3dをフレーム4の他方(搬送方向下流側)の側板部4aの内面に面接触状態で接合させている。この接合は部分的なスポット溶接や接着材を使用した部分接合若しくは全面接合などが挙げられる。
【0036】
また、図5に示すように、突出板部3dをフレーム4の他方(搬送方向下流側)の側板部4aの外面に接合させる変形例も可能である。
【0037】
また図6に示す変形例も可能である。この変形例では、ダイ部3のシート搬送に関する下流側の端部に、図4と同様の突出板部3dを形成するとともに、ダイ部3の上流側にも突出板部3gを形成している。そして突出板部3dを、下流側の側板部4aの内側面(つまりフレーム4の内部側の面)に、面接触により接合する。同様に、突出板部3gを、上流側の側板部4aの内側面に、面接触により接合する。
【0038】
図6の例では、例えばダイ部3の長手方向(シート搬送方向と直交する方向)のうちで、ダイ孔3aが形成された領域のみに突出板部3d、3gを形成し、他の部分(つまりダイ部3における長手方向の両側端部)には突出板部3d、3gを形成しないとすればよい。そして、図6に示されているように、突出板部3d、3gを形成しない部分のダイ部3は、図示側方に真っ直ぐ延設して、上下流の側板部4a、4aに架け渡す。
【0039】
あるいは逆に、ダイ部3の長手方向において、ダイ孔3aが形成された領域を図示側方に真っ直ぐ延設して、上下流の側板部4a、4aに架け渡し、他の部分(つまりダイ部3における長手方向の両側端部)に突出板部3d、3gを形成してもよい。
【0040】
なお図6の例では、図4におけるシート材搬入ガイド部3cは形成していないが、ダイ部3の上流側における突出板部3gを形成しない部分を、図4のように上流側に延設してシート材搬入ガイド部3cを形成してもよい。
【0041】
また図7に示す変形例も可能である。この変形例では、ダイ部3の下流側端部に、図5と同様に突出板部3dを形成し、ダイ部3の上流側端部にも、突出板部3gを形成する。突出板部3d、3gを、それぞれ下流側の側板部4a、上流側の側板部4aの外側面(つまりフレーム4の外部側の面)に、面接触により接合する形態でもよく、しない形態でもよい。
【0042】
これにより、図示のとおり、ダイ部3の突出板部3d、3gの近傍は、側板部4a、4aの開口部4b、4bの開口縁部(ダイ支持部)に当接し、ダイ部3は側板部4a、4aの開口部4b、4bに架け渡された状態となる。
【0043】
また図8に示す変形例も可能である。この変形例では、フレーム4の下流側の側板部4aを折り曲げてシート搬送面を形成する。具体的には、フレーム4の下流側の側板部4aにおいて、開口部4bの縦方向長を長くするとともに、開口部4bの下端を切り離さず、そこを折り曲げ線として、開口部4bの部分の側板部4bを上流側に90度折り曲げる。そして上流側の側板部4aの開口縁部に架け渡す。
【0044】
このように折り曲げられて架け渡された状態の下流側の側板部4aの上流側端部は、上流側の側板部4aよりも上流側に延びるようにすればよい。図8に示されたように、架け渡された側板部4aにはダイ孔3aが形成されている。図8の例では、部品点数を低減することができ、さらにフレーム4とダイ3の接合も不要となるので低コストで加工、製造が行えるとの効果を奏する。
【0045】
また、図9はダイ部3の変形例であり、パンチピン2が複数とされる状態において、パンチピン2のそれぞれと対を成すように単一のダイ孔3aを有するダイ部3を複数配置させるものである。
【0046】
つぎに、シート材穿孔装置1の他の変形例を図10に示す。この例による他の構成部材について、上述の他の実施の形態における構成部材と同様な部材が使用され、それらとの相違個所を説明する。
【0047】
本例では、ダイ部3が板状部材によって断面H状となして長手形状に一体形成される。ダイ部3のシート材Wが載る中央板部3eにはダイ孔3aが形成されており、当該ダイ部3において、搬送されるシート材Wを通すためにフレーム4の長手方向と交差する方向でシート材Wの厚さ方向に所定間隔で開口形成される切り欠き部40bによって通紙口50が形成されている。
【0048】
また、中央板部3eの両側には両側板部3fが形成されており、該両側板部3fがフレーム4の側板部4aと面接触状態で接合されることにより、このダイ部3とフレーム4とを一体化させることにより、ダイ部3に対してパンチ孔の穿孔時にパンチピン2によって加わる穿孔力による当該ダイ部3の撓みを抑制させることができる。
【0049】
図11は、図10の変形例を示した断面図であり、図12は図11の斜視図である。この変形例では、図10における面接触の方法を変更している。具体的には、フレーム4にシート材Wを搬送するスペースを設け、ダイ部3と面接触させ、リベット5(あるいはボルトなど)によって、ダイ部3とフレーム4とを一体化させる。これにより、ダイ部3に対してパンチ孔の穿孔時にパンチピン2によって加わる穿孔力による当該ダイ部3の撓みを抑制させることができる。
【0050】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、これらはあくまで例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、また、各々の実施の形態は、本発明の説明のために一つ実施形態の部分として述べられている構成を、別の実施の形態において利用し、更にこれらを組み合わせて別の実施の形態とすることができる。
【符号の説明】
【0051】
1 シート材穿孔装置
2 パンチピン
3 ダイ部
3a ダイ孔
3c シート材搬入ガイド部
3d 突出板部
4 フレーム
4a 側板部
4b 切り欠き部
5 通紙口
5a ダイ支持部
W シート材
P パンチ孔
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート材にファイル用のパンチ孔を穿孔するシート材穿孔装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンタ等の画像形成装置には、画像を形成した用紙としてのシート材にファイル用のパンチ孔を穿孔するシート材穿孔装置が付加されており、このシート材穿孔装置の一例として、特開2000―233396号公報(特許文献1等)のものが知られている。
【0003】
このシート材穿孔装置は、図14に示すように往復駆動されるパンチPを備えるパンチフレームPFの下面には、該パンチフレームPFの下面と通紙隙間Sをもって対向するようにダイス穴Dが設けられたダイスフレームDFが、その長手方向の両端側の二個所の締結部Fを、ネジまたはリベットにより固着されて、パンチフレームPFとともにフレームアッセンブリを構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000―233396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このようなシート材穿孔装置にあっては、例えば厚シート材、硬いシート材を穿孔しようとするとパンチPがシート材Wに刺さるとき負荷が最大になるが、この時、ダイス穴Dを備えたダイスフレームDFとパンチ孔を穿孔させるパンチPを備えたパンチフレームPFの締結部F及びフレーム全体に応力(穿孔反力)が発生し、各フレームの剛性に応じて撓みが発生する。(図14ではダイスフレームDFの撓みを示す。)
【0006】
そうなるとシート材Wを穿孔するためだけに使用したい力(エネルギー)が撓みへ逃げてしまい余分なエネルギーを使用することになり、効率が悪くなってしまう。そこで剛性を確保するため、パンチフレームPFの板厚をあげたり、コの字に曲げたり、締結部Fを強固にしたりして強度アップを図って対策している。しかし、そのような対策をこうじると穿孔装置自体が重量、大きさとも大きくなってしまい、しいては安価に製造できなくなってしまう。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために鑑み、剛性を有するフレームによってダイ部を支承する構造を改良するものであり、簡素な構造を採用し、小型化を図りつつ安価な製造を可能するようにしたシート材穿孔装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためのシート材穿孔装置は、搬送されるシート材に対して往復駆動されるパンチピンと、該パンチピンと協働して、前記シート材が載りそのシート材の厚み方向にパンチ孔を穿孔するためのダイ孔が形成されるダイ部と、前記シート材の搬送方向に関する上流側と下流側とに配置された壁部を有し、該ダイ部及び前記パンチピンとが前記上流側の壁部と下流側の壁部との間の空間に設けられ、前記シート材の幅方向を長手方向とするフレームと、搬送される前記シート材を通すために、前記上流側と下流側との両側の壁部に開口される通紙口と、を備え、この両側の通紙口に前記ダイ部を架けわたした状態で、前記シート材の幅方向において所定長さで当該ダイ部を支持させるようにしたことを特徴とする。
【0009】
上記構成とすることにより、剛性を有するフレームにてパンチピンによる穿孔力が加わるダイ部を直接的に支持しているため、穿孔時のダイ部の撓みによる変形を抑制できる。この支持構造はフレームに形成される通紙口における搬送方向の上流側と下流側との間で架けわたされ、かつ、シート材の幅方向の所定長さにわたってダイ部が支持されるため、従来のように両端側の二個所の締結部Fを固着するダイスフレームDFよりも穿孔力に対して抗する強度を高くすることができる。また、撓みの発生によるエネルギーロスの低減を図ることができる。
【0010】
本発明は、上記課題を解決するためのシート材穿孔装置は、前記フレームの両側の通紙口が開口される壁部は板状に形成される側板部とされ、この両側の側板部には前記通紙口とするために前記シート材の厚さ方向に所定間隔で開口する切り欠き部が形成され、一方、前記ダイ部は帯板部材によって形成され、このダイ部の帯幅方向の両側を前記切り欠き部間に架けわたすようにしたことを特徴とする。
【0011】
上記構成とすることにより、フレーム、ダイ部も単純な板状の構造を採用でき、装置全体としての小型・軽量化を図りつつ安価な製造が可能となる。
【0012】
本発明は、上記課題を解決するためのシート材穿孔装置の前記ダイ部には前記搬送方向の上流側に突出して、搬送される前記シート材の搬送先端側に接して該シート材を滑らすように前記通紙口内へと誘導するためのシート材搬入ガイド部が設けられることを特徴とする。
【0013】
上記構成とすることにより、シート材をシート材搬入ガイド部によって案内できるため、確実にシート材を穿孔位置まで搬送することができる。
【0014】
本発明は、上記課題を解決するためのシート材穿孔装置の前記ダイ部には自身の板厚方向に突出させる突出板部が形成され、該突出板部を前記フレームの側板部に接合させることを特徴とする。
【0015】
上記構成とすることにより、突出板部をパンチピンによる穿孔力に対する強度補強部材として機能させることができ、さらに、穿孔時のダイ部の撓みに対する強度向上が図れることとなる。
【0016】
本発明は、上記課題を解決するためのシート材穿孔装置は、前記パンチピンが複数とされ、該パンチピンのそれぞれと対を成すように単一のダイ孔を有するダイ部が複数配置されることを特徴とする。
【0017】
上記構成とすることにより、必要個所のみにダイ部を配置すればよく、さらなる軽量化や強度向上を図ることができる。
【0018】
本発明は、上記課題を解決するためのシート材穿孔装置は、搬送されるシート材に対して往復駆動されるパンチピンと、該パンチピンと協働して、前記シート材が載りそのシート材の厚み方向にパンチ孔を穿孔するためのダイ孔が形成されるダイ部と、前記シート材の搬送方向に関する上流側と下流側とに配置された壁部を有し、前記パンチピンが前記上流側の壁部と下流側の壁部との間の空間に設けられ、前記シート材の幅方向を長手方向とするフレームと、前記ダイ部が断面H状に形成され、その中央板部には前記ダイ孔が形成されるとともに、前記中央板部に前記シート材が載るように当該シート材を通すために、前記中央板部の両側の両側板部に開口される通紙口と、を備え、前記フレームの壁部に前記ダイ部の両側の両側板部を接合させて、このダイ部と前記フレームとを一体化させるようにしたことを特徴とする。
【0019】
上記構成とすることにより、ダイ部自体を板状部材によって断面H状となして形成することができ、これによって断面係数が高まって剛性が向上するので、さらに、従来のように両端側の二個所の締結部Fを固着するダイスフレームDFよりも穿孔力に対して抗する強度を高くすることができる。また、撓みの発生によるエネルギーロスの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係るシート材穿孔装置を示す斜視図である。
【図2】図1のA―A断面図である。
【図3】パンチピンの駆動機構を示す斜視図である。
【図4】シート材穿孔装置の変形例を示す断面図である。
【図5】図4の第1の変形例を示す断面図である。
【図6】図4の第2の変形例を示す断面図である。
【図7】図4の第3の変形例を示す断面図である。
【図8】図4の第4の変形例を示す断面図である。
【図9】シート材穿孔装置の他の変形例を示す断面図である。
【図10】シート材穿孔装置の他の変形例を示す断面図である。
【図11】図10の変形例を示す断面図である。
【図12】図11の斜視図である。
【図13】フレームの別の例を示す図である。
【図14】従来のシート材穿孔装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態につき図面を参照して説明する。図1は本発明の実施の形態に係るシート材穿孔装置を示す斜視図である。図2は図1のA―A断面図である。
【0022】
図1、2において、かかるシート材穿孔装置1は図示しない複写機やプリンタ等の画像形成装置において、画像を形成した用紙としてのシート材Wにファイル用のパンチ孔Pを穿孔するために使用される装置である。
【0023】
このシート材穿孔装置1は、搬送されるシート材Wに対向配置されて該シート材Wに対して往復駆動されるパンチピン2と、該パンチピン2と協働して、シート材Wが載りそのシート材Wの厚み方向Tにパンチ孔Pを穿孔するためのダイ孔3aが形成されるダイ部3とを備えており、これらパンチピン2とダイ部3とを内方の収容空間に設けることができるフレーム4とでアッセンブリユニットを構成している。
【0024】
このフレーム4は、シート材Wにパンチ孔Pを穿孔させる際、パンチピン2を介して加わる穿孔反力に抗するように剛性を有するように、シート材Wの幅方向を長手方向とする長手形状に形成されている。すなわち、フレーム4は、シート材Wの種類に応じて、合成樹脂や、鉄板、アルミ、ステンレス、リボン鋼(焼入鋼帯)などから選択した所定板厚の板金材によって形成され、断面係数を高めて剛性を備えさせるように、本例ではコ字形断面の梁状となして、内方に収容空間を壁部としての側板部4aで画成するようにして、シート材Wの幅寸法WLよりも長寸とさせて形成される。
【0025】
なお、フレーム4の断面形状は何ら限定されず、ようするに、シート材Wにパンチ孔Pを穿孔させる際、パンチピン2を介して加わる穿孔反力に抗することが可能となるようにした構造体であれば、一例として方形筒状、円形筒状などで形成することも可能である。なお本発明において、フレーム4は、図13に示すように、側板部4a、4aを別体の2枚の板とした形態でもよい。このように側板部4a、4aを別体の2枚の板とした形態は、本発明の全ての実施形態に適用してよい。
【0026】
このパンチピン2の駆動機構2aとしては図3に示すものが挙げられ、図において、フレーム4内方に配置される略L字状に形成されるリンク2bは、該リンク2bの中間部2b1にて支持ピン2cによりフレーム4の一方の側板部4aに該支持ピン2c回りに回転可能に支持されている。
【0027】
このリンク2bは、一端部に形成された二股状のアーム部2b2にてパンチ支持ピン2dを介してパンチピン2に連結されている。そして、リンク2bは、他端部にてフレーム4とは別体に形成され、フレーム4内方に配置されるスライドアーム2eに向けて突設されたアーム係合ピン2fを、スライドアーム2eの係合溝2gに係合させた状態で連結されている。
【0028】
また、スライドアーム2eは図示しない駆動源により往復動され、この往復動によりリンク2bが支持ピン2c回りに回転するのに伴って、パンチピン2が穿孔方向に往復駆動されることとなる。なお、パンチピン2の個数はファイル時に必要とされるパンチ孔Pに対応した個数(図1では4個のパンチピン2を配置)としている。
【0029】
また、フレーム4には搬送されるシート材Wを通すための通紙口5が設けられている。この通紙口5は、フレーム4の長手方向と交差する方向でシート材Wの搬送方向Aの上流側と下流側との両側に位置する、当該フレーム4の両側の側板部4aに開口形成される。具体的には、フレーム4の両側の側板部4aの長手方向にシート材Wの厚さ方向に所定間隔で開口する切り欠き部4bを形成することにより通紙口5が形成されることとなる。
【0030】
この通紙口5を構成する両側の側板部4aは、シート材Wの搬送方向Aの上流側と下流側との両側に位置しており、この上下流の間にダイ孔3aを位置させてダイ部3を架けわたしするように支持させることにより、該ダイ部3に対してパンチ孔Pの穿孔時にパンチピン2によって加わる穿孔力による当該ダイ部3の撓みを抑制させるダイ支持部5aを備えている。本例では開口形成される切り欠き部4bにおいて、側板部4aとしての開口縁部4cがダイ支持部5aとされることとなる。
【0031】
一方、ダイ部3は帯板部材によって帯板状に形成され、このダイ部3の帯幅中央側にダイ孔3aが形成され、かかるダイ部3の帯幅方向の両側を切り欠き部4bの両側の開口縁部4c間に架けわたしている。
【0032】
このように構成されるシート材穿孔装置1にあっては、搬送されるシート材Wがこの通紙口5に搬入され、パンチピン2とダイ孔3aとの間に位置された状態(図2参照)で、パンチピン2を下動させることによりパンチピン2の先端がシート材Wに突き刺さりながら貫通するとパンチピン2とダイ孔3aとの協働によりシート材Wの厚み方向Tにパンチ孔Pが穿孔されることとなる。
【0033】
この穿孔時には、パンチピン2がシート材Wに突き刺さるとき負荷が最大になるが、この時の穿孔反力がパンチピン2(駆動機構2a)を介してフレーム4に加わるも、当該フレーム4は、この穿孔反力に抗するようにして実質的な撓みが発生しない又は発生しても極めて小さくなるような剛性を有していることにより、このフレーム4に形成される両側のダイ支持部5aでダイ部3の裏面が、シート材Wの幅方向における所定長さ、一例としては長手方向全域にわたって長寸で支持されているため、パンチピン2がシート材Wに突き刺さるときの穿孔力に対して抗する強度が高くなり、撓みの発生によるエネルギーロスの低減を図ることができる。しかも、このようにフレーム4、ダイ部3も単純な板状の構造であり、装置自体が大型、重量化しにくくなり、安価な製造が可能となる。
【0034】
また、ダイ部3には搬送方向Aの上流側に突出して、搬送されるシート材Wの搬送先端側W1に接してシート材Wを滑らすように通紙口5内へと誘導するためのシート材搬入ガイド部3cが設けられる。このシート材搬入ガイド部3cはダイ部3の帯幅方向の両側における切り欠き部4bの両側の開口縁部4cに接合される個所から一体的に突出形成される。
【0035】
つぎに、シート材穿孔装置1の変形例を図4に示す。この例では、ダイ部3には自身の板厚方向に突出させる突出板部3dが形成され、該突出板部3dをフレーム4の他方(搬送方向下流側)の側板部4aの内面に面接触状態で接合させている。この接合は部分的なスポット溶接や接着材を使用した部分接合若しくは全面接合などが挙げられる。
【0036】
また、図5に示すように、突出板部3dをフレーム4の他方(搬送方向下流側)の側板部4aの外面に接合させる変形例も可能である。
【0037】
また図6に示す変形例も可能である。この変形例では、ダイ部3のシート搬送に関する下流側の端部に、図4と同様の突出板部3dを形成するとともに、ダイ部3の上流側にも突出板部3gを形成している。そして突出板部3dを、下流側の側板部4aの内側面(つまりフレーム4の内部側の面)に、面接触により接合する。同様に、突出板部3gを、上流側の側板部4aの内側面に、面接触により接合する。
【0038】
図6の例では、例えばダイ部3の長手方向(シート搬送方向と直交する方向)のうちで、ダイ孔3aが形成された領域のみに突出板部3d、3gを形成し、他の部分(つまりダイ部3における長手方向の両側端部)には突出板部3d、3gを形成しないとすればよい。そして、図6に示されているように、突出板部3d、3gを形成しない部分のダイ部3は、図示側方に真っ直ぐ延設して、上下流の側板部4a、4aに架け渡す。
【0039】
あるいは逆に、ダイ部3の長手方向において、ダイ孔3aが形成された領域を図示側方に真っ直ぐ延設して、上下流の側板部4a、4aに架け渡し、他の部分(つまりダイ部3における長手方向の両側端部)に突出板部3d、3gを形成してもよい。
【0040】
なお図6の例では、図4におけるシート材搬入ガイド部3cは形成していないが、ダイ部3の上流側における突出板部3gを形成しない部分を、図4のように上流側に延設してシート材搬入ガイド部3cを形成してもよい。
【0041】
また図7に示す変形例も可能である。この変形例では、ダイ部3の下流側端部に、図5と同様に突出板部3dを形成し、ダイ部3の上流側端部にも、突出板部3gを形成する。突出板部3d、3gを、それぞれ下流側の側板部4a、上流側の側板部4aの外側面(つまりフレーム4の外部側の面)に、面接触により接合する形態でもよく、しない形態でもよい。
【0042】
これにより、図示のとおり、ダイ部3の突出板部3d、3gの近傍は、側板部4a、4aの開口部4b、4bの開口縁部(ダイ支持部)に当接し、ダイ部3は側板部4a、4aの開口部4b、4bに架け渡された状態となる。
【0043】
また図8に示す変形例も可能である。この変形例では、フレーム4の下流側の側板部4aを折り曲げてシート搬送面を形成する。具体的には、フレーム4の下流側の側板部4aにおいて、開口部4bの縦方向長を長くするとともに、開口部4bの下端を切り離さず、そこを折り曲げ線として、開口部4bの部分の側板部4bを上流側に90度折り曲げる。そして上流側の側板部4aの開口縁部に架け渡す。
【0044】
このように折り曲げられて架け渡された状態の下流側の側板部4aの上流側端部は、上流側の側板部4aよりも上流側に延びるようにすればよい。図8に示されたように、架け渡された側板部4aにはダイ孔3aが形成されている。図8の例では、部品点数を低減することができ、さらにフレーム4とダイ3の接合も不要となるので低コストで加工、製造が行えるとの効果を奏する。
【0045】
また、図9はダイ部3の変形例であり、パンチピン2が複数とされる状態において、パンチピン2のそれぞれと対を成すように単一のダイ孔3aを有するダイ部3を複数配置させるものである。
【0046】
つぎに、シート材穿孔装置1の他の変形例を図10に示す。この例による他の構成部材について、上述の他の実施の形態における構成部材と同様な部材が使用され、それらとの相違個所を説明する。
【0047】
本例では、ダイ部3が板状部材によって断面H状となして長手形状に一体形成される。ダイ部3のシート材Wが載る中央板部3eにはダイ孔3aが形成されており、当該ダイ部3において、搬送されるシート材Wを通すためにフレーム4の長手方向と交差する方向でシート材Wの厚さ方向に所定間隔で開口形成される切り欠き部40bによって通紙口50が形成されている。
【0048】
また、中央板部3eの両側には両側板部3fが形成されており、該両側板部3fがフレーム4の側板部4aと面接触状態で接合されることにより、このダイ部3とフレーム4とを一体化させることにより、ダイ部3に対してパンチ孔の穿孔時にパンチピン2によって加わる穿孔力による当該ダイ部3の撓みを抑制させることができる。
【0049】
図11は、図10の変形例を示した断面図であり、図12は図11の斜視図である。この変形例では、図10における面接触の方法を変更している。具体的には、フレーム4にシート材Wを搬送するスペースを設け、ダイ部3と面接触させ、リベット5(あるいはボルトなど)によって、ダイ部3とフレーム4とを一体化させる。これにより、ダイ部3に対してパンチ孔の穿孔時にパンチピン2によって加わる穿孔力による当該ダイ部3の撓みを抑制させることができる。
【0050】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、これらはあくまで例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、また、各々の実施の形態は、本発明の説明のために一つ実施形態の部分として述べられている構成を、別の実施の形態において利用し、更にこれらを組み合わせて別の実施の形態とすることができる。
【符号の説明】
【0051】
1 シート材穿孔装置
2 パンチピン
3 ダイ部
3a ダイ孔
3c シート材搬入ガイド部
3d 突出板部
4 フレーム
4a 側板部
4b 切り欠き部
5 通紙口
5a ダイ支持部
W シート材
P パンチ孔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送されるシート材に対して往復駆動されるパンチピンと、
該パンチピンと協働して、前記シート材が載りそのシート材の厚み方向にパンチ孔を穿孔するためのダイ孔が形成されるダイ部と、
前記シート材の搬送方向に関する上流側と下流側とに配置された壁部を有し、該ダイ部及び前記パンチピンとが前記上流側の壁部と下流側の壁部との間の空間に設けられ、前記シート材の幅方向を長手方向とするフレームと、
搬送される前記シート材を通すために、前記上流側と下流側との両側の壁部に開口される通紙口と、を備え、
この両側の通紙口に前記ダイ部を架けわたした状態で、前記シート材の幅方向において所定長さで当該ダイ部を支持させるようにしたことを特徴とするシート材穿孔装置。
【請求項2】
前記フレームの両側の通紙口が開口される壁部は板状に形成される側板部とされ、この両側の側板部には前記通紙口とするために前記シート材の厚さ方向に所定間隔で開口する切り欠き部が形成され、
一方、前記ダイ部は帯板部材によって形成され、このダイ部の帯幅方向の両側を前記切り欠き部間に架けわたすようにしたことを特徴とする請求項1に記載のシート材穿孔装置。
【請求項3】
前記ダイ部には前記搬送方向の上流側に突出して、搬送される前記シート材の搬送先端側に接して該シート材を滑らすように前記通紙口内へと誘導するためのシート材搬入ガイド部が設けられることを特徴とする請求項2に記載のシート材穿孔装置。
【請求項4】
前記ダイ部には自身の板厚方向に突出させる突出板部が形成され、該突出板部を前記フレームの側板部に接合させることを特徴とする請求項2又は3に記載のシート材穿孔装置。
【請求項5】
前記パンチピンが複数とされ、該パンチピンのそれぞれと対を成すように単一のダイ孔を有するダイ部が複数配置されることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のシート材穿孔装置。
【請求項6】
搬送されるシート材に対して往復駆動されるパンチピンと、
該パンチピンと協働して、前記シート材が載りそのシート材の厚み方向にパンチ孔を穿孔するためのダイ孔が形成されるダイ部と、
前記シート材の搬送方向に関する上流側と下流側とに配置された壁部を有し、前記パンチピンが前記上流側の壁部と下流側の壁部との間の空間に設けられ、前記シート材の幅方向を長手方向とするフレームと、
前記ダイ部が断面H状に形成され、その中央板部には前記ダイ孔が形成されるとともに、前記中央板部に前記シート材が載るように当該シート材を通すために、前記中央板部の両側の両側板部に開口される通紙口と、を備え、
前記フレームの壁部に前記ダイ部の両側の両側板部を接合させて、このダイ部と前記フレームとを一体化させるようにしたことを特徴とするシート材穿孔装置。
【請求項1】
搬送されるシート材に対して往復駆動されるパンチピンと、
該パンチピンと協働して、前記シート材が載りそのシート材の厚み方向にパンチ孔を穿孔するためのダイ孔が形成されるダイ部と、
前記シート材の搬送方向に関する上流側と下流側とに配置された壁部を有し、該ダイ部及び前記パンチピンとが前記上流側の壁部と下流側の壁部との間の空間に設けられ、前記シート材の幅方向を長手方向とするフレームと、
搬送される前記シート材を通すために、前記上流側と下流側との両側の壁部に開口される通紙口と、を備え、
この両側の通紙口に前記ダイ部を架けわたした状態で、前記シート材の幅方向において所定長さで当該ダイ部を支持させるようにしたことを特徴とするシート材穿孔装置。
【請求項2】
前記フレームの両側の通紙口が開口される壁部は板状に形成される側板部とされ、この両側の側板部には前記通紙口とするために前記シート材の厚さ方向に所定間隔で開口する切り欠き部が形成され、
一方、前記ダイ部は帯板部材によって形成され、このダイ部の帯幅方向の両側を前記切り欠き部間に架けわたすようにしたことを特徴とする請求項1に記載のシート材穿孔装置。
【請求項3】
前記ダイ部には前記搬送方向の上流側に突出して、搬送される前記シート材の搬送先端側に接して該シート材を滑らすように前記通紙口内へと誘導するためのシート材搬入ガイド部が設けられることを特徴とする請求項2に記載のシート材穿孔装置。
【請求項4】
前記ダイ部には自身の板厚方向に突出させる突出板部が形成され、該突出板部を前記フレームの側板部に接合させることを特徴とする請求項2又は3に記載のシート材穿孔装置。
【請求項5】
前記パンチピンが複数とされ、該パンチピンのそれぞれと対を成すように単一のダイ孔を有するダイ部が複数配置されることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のシート材穿孔装置。
【請求項6】
搬送されるシート材に対して往復駆動されるパンチピンと、
該パンチピンと協働して、前記シート材が載りそのシート材の厚み方向にパンチ孔を穿孔するためのダイ孔が形成されるダイ部と、
前記シート材の搬送方向に関する上流側と下流側とに配置された壁部を有し、前記パンチピンが前記上流側の壁部と下流側の壁部との間の空間に設けられ、前記シート材の幅方向を長手方向とするフレームと、
前記ダイ部が断面H状に形成され、その中央板部には前記ダイ孔が形成されるとともに、前記中央板部に前記シート材が載るように当該シート材を通すために、前記中央板部の両側の両側板部に開口される通紙口と、を備え、
前記フレームの壁部に前記ダイ部の両側の両側板部を接合させて、このダイ部と前記フレームとを一体化させるようにしたことを特徴とするシート材穿孔装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−176482(P2012−176482A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−264330(P2011−264330)
【出願日】平成23年12月2日(2011.12.2)
【出願人】(000006932)リコーエレメックス株式会社 (708)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年12月2日(2011.12.2)
【出願人】(000006932)リコーエレメックス株式会社 (708)
【Fターム(参考)】
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