シート積載装置と画像形成装置
【課題】スペースを最大限に活用して大容量のシートを積載すること。
【解決手段】シート積載装置１００は、シートを積載する複数のスタッカトレイ１１２ａ、１１２ｂと、選択したスタッカトレイにシートを排出する排出ローラ対１１０とを備えている。さらに、シート積載装置１００は、排出ローラ対によって排出されたシートを選択したスタッカトレイの所定位置に案内する案内ユニット１１５を備えている。案内ユニットは、選択したスタッカトレイに移動するようになっている。
【解決手段】シート積載装置１００は、シートを積載する複数のスタッカトレイ１１２ａ、１１２ｂと、選択したスタッカトレイにシートを排出する排出ローラ対１１０とを備えている。さらに、シート積載装置１００は、排出ローラ対によって排出されたシートを選択したスタッカトレイの所定位置に案内する案内ユニット１１５を備えている。案内ユニットは、選択したスタッカトレイに移動するようになっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、シート排出方向の整合性を高めてシートを積載するシート積載装置、特にスペースを最大限に活用して大容量のシートを積載することができるシート積載装置と、このシート積載装置を備えた画像形成装置とに関する。
【背景技術】
【０００２】
近年、シートに画像を形成する画像形成装置は、画像形成技術の進歩向上により画像形成速度の高速化が図られて、画像形成装置の装置本体からシートを高速、かつ大量に排出することができるようになった。このため、画像形成装置の装置本体に接続されて、装置本体から排出されるシートを積載するシート積載装置においても、シートの積載整合性を維持して、大容量にシートを積載できるようにすることが求められている。これに応えたシート積載装置（以下、「スタッカ装置」と言う）が特許文献１に記載されている。
【０００３】
この従来のスタッカ装置を図１６に示す。スタッカ装置５００は、画像形成装置の装置本体からから排出されたシートを、入口ローラ５０１で受け取った後、搬送ローラ対５０２でグリッパ５０３に引き渡す。グリッパ５０３は、シートを把持して搬送し、シートの先端を先端ストッパ５０４に突き当てる。シートは、先端ストッパ５０４に突き当たると、グリッパ５０３から外れて、スタッカトレイ５０５の上に落下する。このとき、シートは、先端ストッパ５０４と後端ストッパ５０８との間に落下して、先端と後端とが整合される。また、必要に応じて不図示の幅整合機構によって幅整合されて、シート搬送方向と直角な方向のシート端部（側端部）を揃えられる。さらに、シートは、所定枚数毎に先端押圧部材５０６と後端押圧部材５０７とによって、スタッカトレイ５０５に押付けられて、次のシートが排出された際の邪魔にならないようになっている。
【０００４】
【特許文献１】特開２００６−１２４０５２号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
しかし、従来のスタッカ装置５００は、スタッカトレイ５０５上に最大サイズシート用の積載スペースを確保してあり、図１６に示すように小サイズシートを積載した場合、破線で示したＸの領域にはシートを積載することができない。このため、従来のスタッカ装置５００には、デッドスペースが生じていた。
【０００６】
また、従来のスタッカ装置５００は、先端ストッパ５０４と後端ストッパ５０８の間にシートが落下し易いように、両ストッパの間隔を、シートの搬送（排出）方向長さよりも数ｍｍ長く設定してある。このため、従来のスタッカ装置５００は、シートが両ストッパの間に数ｍｍのバラツキが生じて積載されるため、シートの整合性が悪かった。
【０００７】
そこで、整合性を向上させようとして、上記間隔をシートの長さに合わせると、シートは、両ストッパに接触しながら時間をかけて落下する。
【０００８】
このため、従来のスタッカ装置５００は、シートの落下時間を短縮するため、シートを叩き部材によってスタッカトレイ５０５に押さえ付けていた。
【０００９】
しかし、従来のスタッカ装置５００は、シートの先端と後端との少なくとも一方を、ストッパに擦らせて、シートに損傷を与えながらシートをスタッカトレイ５０５にシートを積載させるという問題が生じていた。
【００１０】
また、このようなスタッカ装置を備えた画像形成装置は、スタッカ装置によって損傷を受けた画像形成済みのシートを、再度、画像形成し直さなければならないことがあり、生産性が悪かった。
【００１１】
本発明は、スペースを最大限に活用して大容量のシートを積載することができるシート積載装置を提供することにある。
【００１２】
本発明は、排出されて積載されるシートに損傷を与えることを少なくして、シートの整合性を高めたシート積載装置を提供することにある。
【００１３】
本発明は、大容量のシートを積載することができるシート積載装置を備えて、画像形成能率を高めた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【００１４】
本発明のシート積載装置は、シートを積載する複数の積載手段と、前記複数の積載手段のうちのいずれかに選択的にシートを排出する排出手段と、前記排出手段によって排出されたシートを、前記複数の積載手段のうちから選択された積載手段上の所定位置に案内する案内手段と、を備え、前記案内手段が、前記選択された積載手段に従って移動可能である、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【００１５】
本発明のシート積載装置は、排出方向に複数の積載手段を配列したので、装置を大きくすることなく、大容量のシート積載が可能になる。
【００１６】
本発明のシート積載装置は、積載手段に排出されたシートをシート排出方向下流側に案内手段によって案内させて、シートの先端を所定位置で整合するようになっているので、シートの整合性を高めることができる。
【００１７】
また、本発明のシート積載装置は、シートの先端や後端が、擦れる状態で、整合されることがなくなり、シートに損傷を与えることが少なくなる。
【００１８】
本発明のシート積載装置は、排出手段からシートを順次排出し、所定位置で受け止めるようになっているので、積載手段に高速でかつ大量にシートを積載することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１９】
以下、本発明の実施形態のシート積載装置と、このシート積載装置を装置本体に備えた画像形成装置とを図に基づいて説明する。
【００２０】
（画像形成装置）
図１は、本発明の実施形態における画像形成装置のシート搬送方向に沿った断面図である。画像形成装置９００は、装置本体９００Ａにシート積載装置（以下、「スタッカ装置」という）１００を備えている。スタッカ装置１００は、装置本体９００Ａにオプションとして接続されるようになっているが、装置本体９００Ａ内に組み込まれていてもよい。
【００２１】
装置本体９００Ａは、イメージリーダ９５１と自動原稿送り装置９５０とを上部に備えている。給紙カセット９０２ａ乃至９０２ｅにセットされたシートＳは、給紙ローラ９０３ａ乃至９０３ｅ、搬送ローラ対９０４によってレジストローラ対９１０まで搬送される。
【００２２】
一方、後述する転写器９０５、現像器９０９等とともに画像形成手段を構成する感光体ドラム９０６は、一次帯電器９０７によって帯電されている状態で、露光部９０８によって露光される。そして、感光体ドラム９０６には、イメージリーダ９５１で読取った原稿のデジタル原稿データが静電潜像として形成される。その後、現像器９０９が、感光体ドラム９０６をトナー現像して、静電潜像をトナー画像にする。
【００２３】
そして、トナー画像の位置に合わせて、シートがレジストローラ対９１０によって感光体ドラム９０６と転写器９０５との間に、送り込まれる。転写器９０５は、トナー画像を感光体ドラム９０６からシートに転写する。感光体ドラム９０６にシートに転写されずに付着している残存トナー等の異物は、クリーニング装置９１３のブレードで掻き落とされる。この結果、感光体ドラム９０６の表面は、清掃されて、次の画像形成に備える。
【００２４】
トナー画像を転写されたシートは、搬送ベルト９１１によって定着器９１２に搬送されて、定着器９１２の加熱ローラと加圧ローラとに挟持されて加熱加圧され、トナー画像を定着される。トナー画像を定着されたシートは、そのまま、排紙ローラ対９１４により、スタッカ装置１００に搬送されるか、あるいは、切替部材９１５により両面反転装置９０１に搬送されて、再度、反対側の面にもトナー画像が形成される。
【００２５】
（制御ブロック図）
図２は、画像形成装置全体を制御する制御ブロック図である。ＣＰＵ回路部２０６は、ＣＰＵ（図示せず）、ＲＯＭ２０７、ＲＡＭ２０８を内蔵し、ＲＯＭ２０７に格納されている制御プログラムにより各ブロック２０２，２０９，２０３，２０４，２０１，２０５，２１０を総括的に制御するようになっている。ＲＡＭ２０８は、制御データを一時的に保持し、また制御に伴う演算処理の作業領域として用いられる。
【００２６】
ＤＦ（原稿給紙）制御部２０２は、ＣＰＵ回路部２０６からの指示に基づいて自動原稿送り装置９５０を駆動制御するようになっている。イメージリーダ制御部２０３は、上述のイメージリーダのスキャナユニット、イメージセンサなどに対する駆動制御を行い、イメージセンサから出力されたアナログ画像信号を画像信号制御部２０４に転送するようになっている。
【００２７】
画像信号制御部２０４は、イメージセンサからのアナログ画像信号をデジタル信号に変換した後に各処理を施し、このデジタル信号をビデオ信号に変換して装置本体制御部すなわちプリンタ制御部２０５に出力するようになっている。また、画像信号制御部２０４は、コンピュータ２００から外部Ｉ／Ｆ２０１を介して入力されたデジタル画像信号に各種処理を施して、ビデオ信号に変換してプリンタ制御部２０５に出力するようになっている。画像信号制御部２０４による処理動作は、ＣＰＵ回路部２０６により制御されるようになっている。
【００２８】
プリンタ制御部２０５は、入力されたビデオ信号に基づき上述の露光部９０８を駆動するようになっている。
【００２９】
操作部２０９は、画像形成に関する各種機能を設定する複数のキー、設定状態を示す情報を表示するための表示部などを有している。操作部２０９は、各キーの操作に対応するキー信号をＣＰＵ回路部２０６に出力するとともに、ＣＰＵ回路部２０６からの信号に基づき対応する情報を操作部２０９の表示部に表示するようにしている。
【００３０】
スタッカ制御部２１０は、スタッカ装置１００に搭載され、ＣＰＵ回路部２０６と情報の授受を行うことによってスタッカ装置全体の駆動制御を行うようになっている。この制御内容については後述する。
【００３１】
（スタッカ装置の基本動作）
スタッカ装置の基本動作を図３のフローチャート、図４のスタッカ装置の断面図に基づいて、説明する。
【００３２】
画像形成装置９００（図１）の装置本体９００Ａから排出されたシートは、スタッカ装置１００の入口ローラ対１０１によりスタッカ装置１００内に搬送され、搬送ローラ対１０２により切替部材１０３まで搬送される。シートが搬送される前に、画像形成装置９００のＣＰＵ回路部２０６からは、予めスタッカ制御部２１０（図２）にシートの情報が送られてきている（Ｓ３０１）。シートの情報には、シートサイズ、紙種、及びシートの排出先の情報等がある。
【００３３】
シートの排出先がトップトレイ１０６の場合（Ｓ３０２）、切替部材１０３が不図示のソレノイドにより破線で示す先端下向きの位置に切り替わって（Ｓ３０３）、シートを搬送ローラ対１０４に導く。こうして搬送されたシートは、排紙ローラ対１０５によりトップトレイ１０６に排出されて、積載される（Ｓ３０４）。
【００３４】
シート排出先がスタッカトレイ１１２ａ，１１２ｂの場合（Ｓ３０５）、搬送ローラ対１０２により搬送されたシートは、不図示のソレノイドで、実線で示す先端上向きに切り替わった切替部材１０３に案内されて、搬送ローラ対１０７に搬送される。そして、シートは、実線で示す上端左向きに切り替わった出口切替部材１０８により排出手段を構成する排出ローラ対１１０に案内される。シートを排出可能な排出ローラ対１１０によりシートは、排出手段を構成するグリッパ１１４ａ，１１４ｂに受け渡され、積載手段としてのスタッカトレイ１１２ａ，１１２ｂに選択的に排出されて積載される（積載手段上に積載される）（Ｓ３０６）。この排出動作は、後述する。すなわち、シートは、選択したスタッカトレイ１１２ａ，１１２ｂにしたがって積載される。
【００３５】
シート排出先がさらに下流の不図示のスタッカ装置に搬送される場合（Ｓ３０７）、出口切替部材１０８が破線で示す上端右向きの位置に切り替わる（Ｓ３０８）。搬送ローラ対１０２により搬送されてきたシートは、搬送ローラ対１０７により搬送されて、出口ローラ対１０９に導かれた後、下流のスタッカ装置に搬送される。
【００３６】
（シートをスタッカトレイに排出する動作説明）
シートをスタッカトレイに排出する動作を図４乃至図１４に基づいて説明する。スタッカトレイ１１２ａ，１１２ｂは、不図示の駆動装置によって昇降する支持部材１３１ａ，１３１ｂに支持されて、図４の矢印Ｃ，Ｄ，Ｅ，Ｆ方向に個別に昇降可能に配置されている。
【００３７】
案内ユニット１１５は、スライド軸１１８にフレーム１２７を移動可能に取付けられており、不図示の駆動装置により矢印Ａ，Ｂ方向に移動するようになっている。案内ユニット１１５のフレーム１２７は、シートを所定位置に位置決めするストッパ１２１と、シートをストッパ１２１に案内するテーパ部１２２が形成され、シートをストッパ１２１に引込む弾性を備えたローレットベルト１１６を備えている。
【００３８】
案内部材としてのテーパ部１２２と、回転体としてのローレットベルト１１６は、案内手段としての案内ユニットを構成している。テーパ部１２２とローレットベルト１１６に案内されたシートは排出ローラ対１１０によるシート排出方向の先端がストッパ１２１に突き当てられて所定の整合位置に整合される。
【００３９】
ローレットベルト１１６は、不図示の駆動装置により反時計回りに回転して、ローレットベルト１１６とスタッカトレイ１１２ａ（あるいは、スタッカトレイ１１２ｂ）との間にシートを引き込み、シートの先端をストッパ１２１に突き当てるようになっている。紙面検知センサ１１７は、案内ユニット１１５に組み込まれて、案内ユニット１１５からシート上面の距離を一定に保つために設けられたセンサである。
【００４０】
シートの先端部を把持してシートを搬送するグリッパ１１４ａ，１１４ｂは、不図示の捩りコイルばねにより口を閉じる方向に付勢された状態で駆動ベルト１３０に取付けられている。排出ローラ対１１０により排出されたシートがグリッパ１１４ａ，１１４ｂに押込まれることによりシートが保持される構成になっている。なお、グリッパは、Ｖ字状に開口した部材の開口部内の上下にスポンジなどの弾性体を設け、その上下の弾性体の間に押し込まれたシートを保持するようになっていてもよい。
【００４１】
積載手段としてのスタッカトレイ１１２ａ，１１２ｂは、排出されたシートが積載されるトレイであり、ホーム位置検出センサ１１３ａ，１１３ｂによりシートを積載するためのホームポジション位置に待機している。
【００４２】
図５に示すように、画像形成装置９００の装置本体９００Ａ（図１）から排出されたシートＳは、排出ローラ対１１０まで搬送される。そして、シートは、排出ローラ対１１０の上流に配置されているタイミングセンサ１１１により、先端の通過タイミングが検知される。このタイミングにより停止待機しているグリッパ１１４ａが、シートＳの先端部を把持しながら搬送するように駆動ベルト１３０が循環を開始する。その後、グリッパ１１４ａがシートを把持したまま案内ユニット１１５に接近移動する（図６）。駆動ベルト１３０、グリッパ１１４ａ，１１４ｂは、排出手段を構成している。
【００４３】
そして、図７に示すように、グリッパ１１４ａが案内ユニット１１５のテーパ部１２２を通過すると、シートＳは、グリッパ１１４ａから外れて、搬送されてきた勢いで、テーパ部１２２に案内されて、スタッカトレイ１１２ａ側に付勢される。そして、シートは、ローレットベルト１１６とスタッカトレイ１１２ａ（あるいは、シートが積載されているときには、最上位のシート）との間に進入する。その後、図８に示すようにローレットベルト１１６によりシートＳは、先端部がストッパ１２１に突き当たるまで搬送される。この結果、シートは、先端をスタッカトレイ１１２ａ上の所定位置に揃えられ（整合され）て、スタッカトレイ１１２ａあるいは最上のシート上に積載されることになる。
【００４４】
その後、整合板１１９が、シート搬送方向と直角な方向（シートの幅方向）にジョギング動作を行い、シートの側端を揃える（幅整合する）。
【００４５】
紙面検知センサ１１７は、スタッカトレイ１１２ａに積載されたシートの上面を常時監視している。案内ユニット１１５のローレットベルト１１６とシートとの間隔が、所定量よりも狭くなった場合、不図示の駆動装置によりスタッカトレイ１１２ａは、所定量下降する。これによって、ローレットベルト１１６とシートとの間隔が所定の間隔に保持される。
【００４６】
スタッカ装置１００は、駆動ベルト１３０が循環して、２つのグリッパ１１４ａ，１１４ｂで交互にシートを排出搬送して、スタッカトレイ１１２ａにシートを順次積載する。
【００４７】
スタッカトレイ１１２ａ上に積載されたシートが所定の積載高さまで達したことを検知すると満載であると判断する。積載シートが所定の積載高さに達したことは、通常、排出ローラ対１１０から排出されるシートＳをタイミングセンサ１１１で検知して、スタッカ制御部２１０（図２）でカウントして検知される。あるいは、スタッカトレイ１１２ａの位置と最上位のシートの位置とを検知して、検知される。
【００４８】
スタッカトレイ１１２ａ上のシートが所定の積載高さまで達した場合、図９に示すようにスタッカ制御部２１０（図２）が、スタッカトレイ１１２ａを下降制御して、スタッカトレイごと積載されたシートを運搬する台車としてのドリー１２０上に載置させる。その後、案内ユニット１１５は、矢印Ａ方向に移動する。そして、スタッカトレイ１１２ｂは、シートが積載されるのを待つ。
【００４９】
案内ユニット１１５の待機位置は、スタッカトレイ１１２ａ，１１２ｂに積載されるシートの略中央であった方が、シートの積載状態が安定して好ましいが、積載されたシートがスタッカトレイ１１２ａ，１１２ｂからはみ出ない範囲にあれば問題ない。
【００５０】
図１０に示すように、画像形成装置の装置本体から排出されたシートは、タイミングセンサ１１１を通過した後、排出ローラ対１１０から排出されてグリッパ１１４ａにシート先端部を把持される。図１１、図１２に示すように、グリッパ１１４ａが案内ユニット１１５のテーパ部１２２を通過すると、シートＳの先端部は、テーパ部１２２によりスタッカトレイ１１２ｂ側に付勢される。シートは、テーパ部１２２に沿って、移動し、ローレットベルト１１６に導かれる。
【００５１】
その後、シートＳの先端部は、ローレットベルト１１６によりストッパ１２１に突き当てられる。シートＳは、先端部を揃えられてスタッカトレイ１１２ｂに積載され、さらに、整合板１１９によって側端を揃えられる。
【００５２】
紙面検知センサ１１７は、スタッカトレイ１１２ｂに積載されたシートの上面を常時監視している。案内ユニット１１５のローレットベルト１１６とシートとの間隔が、所定量よりも狭くなった場合、不図示の駆動装置によりスタッカトレイ１１２ｂは、所定量下降する。これによって、ローレットベルト１１６とシートとの間隔が所定の間隔に保持される。
【００５３】
スタッカ装置１００は、駆動ベルト１３０が循環して、２つのグリッパ１１４ａ，１１４ｂで交互にシートを排出搬送して、スタッカトレイ１１２ｂにシートを順次積載する。
【００５４】
スタッカトレイ１１２ｂ上に積載されたシートが所定の積載高さまで達したことを検知すると満載であると判断する。積載シートが所定の積載高さに達したことは、通常、排出ローラ対１１０から排出されるシートＳをタイミングセンサ１１１で検知して、スタッカ制御部２１０（図２）でカウントして検知される。あるいは、スタッカトレイ１１２ｂの位置と最上位のシート（シートの最上面）の位置とを検知して、検知される。
【００５５】
スタッカトレイ１１２ｂ上のシートが所定の積載高さまで達した場合、図１３に示すようにスタッカ制御部２１０（図２）は、スタッカトレイ１１２ｂを下降制御して、ドリー１２０上に載置する。
【００５６】
案内ユニット１１５は、矢印Ｂ方向に移動して、最上流側の積載手段としての左側のスタッカトレイ１１２ａ上に待機する。
【００５７】
スタッカトレイ１１２ａ，１１２ｂは、不図示の駆動装置によって昇降する１対の支持部材１３１ａ、１３１ｂにより支持されている。支持部材１３１ａ、１３１ｂがドリー１２０の支持面１２０ａ，１２０ｂよりも下降することによりスタッカトレイ１１２ａ，１１２ｂはドリー１２０に受け渡される。図１４に示すように、大容量のシート束が積載されたスタッカトレイ１１２ａ，１１２ｂは、ドリー１２０の上面に設けられたピン等の不図示の固定部材に係合して、ドリー１２０からずり落ちないようにしてドリー１２０に載置される。ドリー１２０は、キャスタ１２５と把手１２６が設けられており、把手１２６をもって移動させることで、大容量のシート束を一度に、しかも簡単に移動させることができる。
【００５８】
スタッカ装置１００からドリー１２０が搬出された後、ドリー１２０上のスタッカトレイ１１２ａ，１１２ｂに積載されたシート束は、ユーザによって取除かれる。再度、スタッカ装置１００の下部にドリーを進入させるまでスタッカ装置１００は停止させておく。あるいは予備のドリー１２０、スタッカトレイ１１２ａ，１１２ｂを準備しておき、予備のドリー１２０をスタッカ装置１００に進入させて、予備のスタッカトレイ１１２ａ，１１２ｂを１対の支持部材１３１に支持させてスタッカ装置１００を稼動させてもよい。
【００５９】
以上のスタッカ装置は、複数のスタッカトレイにグリッパでシートを搬送するようになっている。しかし、図１５に示すように、各スタッカトレイ（積載手段毎）に、排出手段としての排出ローラ対１１０，１２４を配設して、このローラ対から各スタッカトレイにシートを排出してもよい。
【００６０】
すなわち、スタッカトレイ１１２ａにシートを積載する場合、案内ユニット１１５をスタッカトレイ１１２ａ上に待機させて、排出ローラ対１１０から案内ユニット１１５を目がけてシートを排出する。スタッカトレイ１１２ｂにシートを積載する場合、案内ユニット１１５をスタッカトレイ１１２ｂ上に待機させて、排出ローラ対１２４から案内ユニット１１５を目がけてシートを排出する。排出ローラ対１１０と排出ローラ対１２４との選択は、切替部材１２３の切り替えによって行う。
【００６１】
また、スタッカ装置は、スタッカトレイを２つ有しているが、３つ以上有していてもよい。
【００６２】
なお、シートは、先端をグリッパに把持されて搬送されるようになっているが、エアーを吸引してシートの先端を吸着するエアー吸引ユニットとしてのエアー吸引装置を駆動ベルト１３０に設けてシートを吸着搬送するようになっていてもよい。さらに、静電気でシートの先端を吸着する静電吸着ユニットとしての静電吸引装置を駆動ベルト１３０に設けてシートを搬送するようになっていてもよい。
【００６３】
したがって、以上、説明したスタッカ装置１００は、複数のスタッカトレイ１１２ａ，１１２ｂにシートを積載するようになっているので、装置内のスペースを有効に使用することができる。
【００６４】
また、スタッカ装置１００は、スタッカトレイ１１２ａ，１１２ｂに落下したシートの先端をストッパ１２１で受け止めるようになっているので、シートの整合性を高めることができる。
【００６５】
さらに、スタッカ装置１００は、排出手段からシートを順次排出し、ストッパで受け止めるようになっているので、積載手段に高速でかつ大量にシートを積載することができる。
【００６６】
また、スタッカ装置１００は、シートの先端をストッパ１２１に当接させて整合するようになっているので、シートの先端に損傷を与えることが少なくなる。
【００６７】
さらに、画像形成装置９００は、大容量のシートを積載することができるシート積載装置を備えているので、停止回数を少なくして、画像形成能率を高めことができる。
【００６８】
また、画像形成装置９００は、シートの先端に損傷を与えることの少ないスタッカ装置１００を備えているので、シートに画像を形成し直す必要が少なくなり、画像形成能率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【００６９】
【図１】本発明の実施形態に係わる画像形成装置のシート搬送方向に沿った断面図である。
【図２】シート積載装置を有する画像形成装置全体を制御する制御ブロック図である。
【図３】スタッカ装置の基本動作説明用のフローチャートである。
【図４】本発明の実施形態に係わるシート積載装置のシート搬送方向に沿った断面図である。
【図５】左側のスタッカトレイにシートを積載する場合の動作説明用の図であり、シートがグリッパに保持された図である。
【図６】図５から続く動作説明用の図であり、シートがシート案内ユニットに搬送排出されている図である。
【図７】図６から続く動作説明用の図であり、シートが、シート案内ユニットのテーパ部に案内されて先行シート上に積載される直前の図である。
【図８】図７から続く動作説明用の図であり、シートが、先行シート上に積載された図である。
【図９】図８から続く動作説明用の図であり、一方のスタッカトレイにシートが所定の積載高さまで積載された図である。
【図１０】右側のスタッカトレイにシートを積載する場合の動作説明用の図であり、シートがグリッパに保持された図である。
【図１１】図１０から続く動作説明用の図であり、シートがシート案内ユニットに搬送排出されている図である。
【図１２】図１１から続く動作説明用の図であり、シートが、シート案内ユニットのテーパ部に案内されてスタッカトレイ上に積載された図である。
【図１３】図１２から続く動作説明用の図であり、両方のスタッカトレイにシートが所定の積載高さまで積載された図である。
【図１４】シートをドリーで搬送する斜視図である。
【図１５】スタッカトレイ毎にシートを排出する部分を設けた場合のシート積載装置の図である。
【図１６】従来のシート積載装置のシート搬送方向に沿った断面図である。
【符号の説明】
【００７０】
Ｓ シート
１００ シート積載装置（スタッカ装置）
１１０ 排出ローラ対（排出手段）
１１２ａ スタッカトレイ（積載手段、最上流側の積載手段）
１１２ｂ スタッカトレイ（積載手段）
１１３ａ，１１３ｂ ホーム位置検出センサ
１１４ａ，１１４ｂ グリッパ（排出手段）
１１５ 案内ユニット（案内手段）
１１６ ローレットベルト（回転体、移送手段）
１２０ ドリー
１２１ ストッパ
１２２ テーパ部（案内部材、移送手段）
１２４ 排出ローラ対（排出手段）
１３０ 駆動ベルト（排出手段）
２０５ プリンタ制御部
２０６ ＣＰＵ回路部
２１０ スタッカ制御部
９００ 画像形成装置
９００Ａ 装置本体
９０６ 感光ドラム（画像形成手段）
９５０ 自動原稿送り装置
【技術分野】
【０００１】
本発明は、シート排出方向の整合性を高めてシートを積載するシート積載装置、特にスペースを最大限に活用して大容量のシートを積載することができるシート積載装置と、このシート積載装置を備えた画像形成装置とに関する。
【背景技術】
【０００２】
近年、シートに画像を形成する画像形成装置は、画像形成技術の進歩向上により画像形成速度の高速化が図られて、画像形成装置の装置本体からシートを高速、かつ大量に排出することができるようになった。このため、画像形成装置の装置本体に接続されて、装置本体から排出されるシートを積載するシート積載装置においても、シートの積載整合性を維持して、大容量にシートを積載できるようにすることが求められている。これに応えたシート積載装置（以下、「スタッカ装置」と言う）が特許文献１に記載されている。
【０００３】
この従来のスタッカ装置を図１６に示す。スタッカ装置５００は、画像形成装置の装置本体からから排出されたシートを、入口ローラ５０１で受け取った後、搬送ローラ対５０２でグリッパ５０３に引き渡す。グリッパ５０３は、シートを把持して搬送し、シートの先端を先端ストッパ５０４に突き当てる。シートは、先端ストッパ５０４に突き当たると、グリッパ５０３から外れて、スタッカトレイ５０５の上に落下する。このとき、シートは、先端ストッパ５０４と後端ストッパ５０８との間に落下して、先端と後端とが整合される。また、必要に応じて不図示の幅整合機構によって幅整合されて、シート搬送方向と直角な方向のシート端部（側端部）を揃えられる。さらに、シートは、所定枚数毎に先端押圧部材５０６と後端押圧部材５０７とによって、スタッカトレイ５０５に押付けられて、次のシートが排出された際の邪魔にならないようになっている。
【０００４】
【特許文献１】特開２００６−１２４０５２号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
しかし、従来のスタッカ装置５００は、スタッカトレイ５０５上に最大サイズシート用の積載スペースを確保してあり、図１６に示すように小サイズシートを積載した場合、破線で示したＸの領域にはシートを積載することができない。このため、従来のスタッカ装置５００には、デッドスペースが生じていた。
【０００６】
また、従来のスタッカ装置５００は、先端ストッパ５０４と後端ストッパ５０８の間にシートが落下し易いように、両ストッパの間隔を、シートの搬送（排出）方向長さよりも数ｍｍ長く設定してある。このため、従来のスタッカ装置５００は、シートが両ストッパの間に数ｍｍのバラツキが生じて積載されるため、シートの整合性が悪かった。
【０００７】
そこで、整合性を向上させようとして、上記間隔をシートの長さに合わせると、シートは、両ストッパに接触しながら時間をかけて落下する。
【０００８】
このため、従来のスタッカ装置５００は、シートの落下時間を短縮するため、シートを叩き部材によってスタッカトレイ５０５に押さえ付けていた。
【０００９】
しかし、従来のスタッカ装置５００は、シートの先端と後端との少なくとも一方を、ストッパに擦らせて、シートに損傷を与えながらシートをスタッカトレイ５０５にシートを積載させるという問題が生じていた。
【００１０】
また、このようなスタッカ装置を備えた画像形成装置は、スタッカ装置によって損傷を受けた画像形成済みのシートを、再度、画像形成し直さなければならないことがあり、生産性が悪かった。
【００１１】
本発明は、スペースを最大限に活用して大容量のシートを積載することができるシート積載装置を提供することにある。
【００１２】
本発明は、排出されて積載されるシートに損傷を与えることを少なくして、シートの整合性を高めたシート積載装置を提供することにある。
【００１３】
本発明は、大容量のシートを積載することができるシート積載装置を備えて、画像形成能率を高めた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【００１４】
本発明のシート積載装置は、シートを積載する複数の積載手段と、前記複数の積載手段のうちのいずれかに選択的にシートを排出する排出手段と、前記排出手段によって排出されたシートを、前記複数の積載手段のうちから選択された積載手段上の所定位置に案内する案内手段と、を備え、前記案内手段が、前記選択された積載手段に従って移動可能である、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【００１５】
本発明のシート積載装置は、排出方向に複数の積載手段を配列したので、装置を大きくすることなく、大容量のシート積載が可能になる。
【００１６】
本発明のシート積載装置は、積載手段に排出されたシートをシート排出方向下流側に案内手段によって案内させて、シートの先端を所定位置で整合するようになっているので、シートの整合性を高めることができる。
【００１７】
また、本発明のシート積載装置は、シートの先端や後端が、擦れる状態で、整合されることがなくなり、シートに損傷を与えることが少なくなる。
【００１８】
本発明のシート積載装置は、排出手段からシートを順次排出し、所定位置で受け止めるようになっているので、積載手段に高速でかつ大量にシートを積載することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１９】
以下、本発明の実施形態のシート積載装置と、このシート積載装置を装置本体に備えた画像形成装置とを図に基づいて説明する。
【００２０】
（画像形成装置）
図１は、本発明の実施形態における画像形成装置のシート搬送方向に沿った断面図である。画像形成装置９００は、装置本体９００Ａにシート積載装置（以下、「スタッカ装置」という）１００を備えている。スタッカ装置１００は、装置本体９００Ａにオプションとして接続されるようになっているが、装置本体９００Ａ内に組み込まれていてもよい。
【００２１】
装置本体９００Ａは、イメージリーダ９５１と自動原稿送り装置９５０とを上部に備えている。給紙カセット９０２ａ乃至９０２ｅにセットされたシートＳは、給紙ローラ９０３ａ乃至９０３ｅ、搬送ローラ対９０４によってレジストローラ対９１０まで搬送される。
【００２２】
一方、後述する転写器９０５、現像器９０９等とともに画像形成手段を構成する感光体ドラム９０６は、一次帯電器９０７によって帯電されている状態で、露光部９０８によって露光される。そして、感光体ドラム９０６には、イメージリーダ９５１で読取った原稿のデジタル原稿データが静電潜像として形成される。その後、現像器９０９が、感光体ドラム９０６をトナー現像して、静電潜像をトナー画像にする。
【００２３】
そして、トナー画像の位置に合わせて、シートがレジストローラ対９１０によって感光体ドラム９０６と転写器９０５との間に、送り込まれる。転写器９０５は、トナー画像を感光体ドラム９０６からシートに転写する。感光体ドラム９０６にシートに転写されずに付着している残存トナー等の異物は、クリーニング装置９１３のブレードで掻き落とされる。この結果、感光体ドラム９０６の表面は、清掃されて、次の画像形成に備える。
【００２４】
トナー画像を転写されたシートは、搬送ベルト９１１によって定着器９１２に搬送されて、定着器９１２の加熱ローラと加圧ローラとに挟持されて加熱加圧され、トナー画像を定着される。トナー画像を定着されたシートは、そのまま、排紙ローラ対９１４により、スタッカ装置１００に搬送されるか、あるいは、切替部材９１５により両面反転装置９０１に搬送されて、再度、反対側の面にもトナー画像が形成される。
【００２５】
（制御ブロック図）
図２は、画像形成装置全体を制御する制御ブロック図である。ＣＰＵ回路部２０６は、ＣＰＵ（図示せず）、ＲＯＭ２０７、ＲＡＭ２０８を内蔵し、ＲＯＭ２０７に格納されている制御プログラムにより各ブロック２０２，２０９，２０３，２０４，２０１，２０５，２１０を総括的に制御するようになっている。ＲＡＭ２０８は、制御データを一時的に保持し、また制御に伴う演算処理の作業領域として用いられる。
【００２６】
ＤＦ（原稿給紙）制御部２０２は、ＣＰＵ回路部２０６からの指示に基づいて自動原稿送り装置９５０を駆動制御するようになっている。イメージリーダ制御部２０３は、上述のイメージリーダのスキャナユニット、イメージセンサなどに対する駆動制御を行い、イメージセンサから出力されたアナログ画像信号を画像信号制御部２０４に転送するようになっている。
【００２７】
画像信号制御部２０４は、イメージセンサからのアナログ画像信号をデジタル信号に変換した後に各処理を施し、このデジタル信号をビデオ信号に変換して装置本体制御部すなわちプリンタ制御部２０５に出力するようになっている。また、画像信号制御部２０４は、コンピュータ２００から外部Ｉ／Ｆ２０１を介して入力されたデジタル画像信号に各種処理を施して、ビデオ信号に変換してプリンタ制御部２０５に出力するようになっている。画像信号制御部２０４による処理動作は、ＣＰＵ回路部２０６により制御されるようになっている。
【００２８】
プリンタ制御部２０５は、入力されたビデオ信号に基づき上述の露光部９０８を駆動するようになっている。
【００２９】
操作部２０９は、画像形成に関する各種機能を設定する複数のキー、設定状態を示す情報を表示するための表示部などを有している。操作部２０９は、各キーの操作に対応するキー信号をＣＰＵ回路部２０６に出力するとともに、ＣＰＵ回路部２０６からの信号に基づき対応する情報を操作部２０９の表示部に表示するようにしている。
【００３０】
スタッカ制御部２１０は、スタッカ装置１００に搭載され、ＣＰＵ回路部２０６と情報の授受を行うことによってスタッカ装置全体の駆動制御を行うようになっている。この制御内容については後述する。
【００３１】
（スタッカ装置の基本動作）
スタッカ装置の基本動作を図３のフローチャート、図４のスタッカ装置の断面図に基づいて、説明する。
【００３２】
画像形成装置９００（図１）の装置本体９００Ａから排出されたシートは、スタッカ装置１００の入口ローラ対１０１によりスタッカ装置１００内に搬送され、搬送ローラ対１０２により切替部材１０３まで搬送される。シートが搬送される前に、画像形成装置９００のＣＰＵ回路部２０６からは、予めスタッカ制御部２１０（図２）にシートの情報が送られてきている（Ｓ３０１）。シートの情報には、シートサイズ、紙種、及びシートの排出先の情報等がある。
【００３３】
シートの排出先がトップトレイ１０６の場合（Ｓ３０２）、切替部材１０３が不図示のソレノイドにより破線で示す先端下向きの位置に切り替わって（Ｓ３０３）、シートを搬送ローラ対１０４に導く。こうして搬送されたシートは、排紙ローラ対１０５によりトップトレイ１０６に排出されて、積載される（Ｓ３０４）。
【００３４】
シート排出先がスタッカトレイ１１２ａ，１１２ｂの場合（Ｓ３０５）、搬送ローラ対１０２により搬送されたシートは、不図示のソレノイドで、実線で示す先端上向きに切り替わった切替部材１０３に案内されて、搬送ローラ対１０７に搬送される。そして、シートは、実線で示す上端左向きに切り替わった出口切替部材１０８により排出手段を構成する排出ローラ対１１０に案内される。シートを排出可能な排出ローラ対１１０によりシートは、排出手段を構成するグリッパ１１４ａ，１１４ｂに受け渡され、積載手段としてのスタッカトレイ１１２ａ，１１２ｂに選択的に排出されて積載される（積載手段上に積載される）（Ｓ３０６）。この排出動作は、後述する。すなわち、シートは、選択したスタッカトレイ１１２ａ，１１２ｂにしたがって積載される。
【００３５】
シート排出先がさらに下流の不図示のスタッカ装置に搬送される場合（Ｓ３０７）、出口切替部材１０８が破線で示す上端右向きの位置に切り替わる（Ｓ３０８）。搬送ローラ対１０２により搬送されてきたシートは、搬送ローラ対１０７により搬送されて、出口ローラ対１０９に導かれた後、下流のスタッカ装置に搬送される。
【００３６】
（シートをスタッカトレイに排出する動作説明）
シートをスタッカトレイに排出する動作を図４乃至図１４に基づいて説明する。スタッカトレイ１１２ａ，１１２ｂは、不図示の駆動装置によって昇降する支持部材１３１ａ，１３１ｂに支持されて、図４の矢印Ｃ，Ｄ，Ｅ，Ｆ方向に個別に昇降可能に配置されている。
【００３７】
案内ユニット１１５は、スライド軸１１８にフレーム１２７を移動可能に取付けられており、不図示の駆動装置により矢印Ａ，Ｂ方向に移動するようになっている。案内ユニット１１５のフレーム１２７は、シートを所定位置に位置決めするストッパ１２１と、シートをストッパ１２１に案内するテーパ部１２２が形成され、シートをストッパ１２１に引込む弾性を備えたローレットベルト１１６を備えている。
【００３８】
案内部材としてのテーパ部１２２と、回転体としてのローレットベルト１１６は、案内手段としての案内ユニットを構成している。テーパ部１２２とローレットベルト１１６に案内されたシートは排出ローラ対１１０によるシート排出方向の先端がストッパ１２１に突き当てられて所定の整合位置に整合される。
【００３９】
ローレットベルト１１６は、不図示の駆動装置により反時計回りに回転して、ローレットベルト１１６とスタッカトレイ１１２ａ（あるいは、スタッカトレイ１１２ｂ）との間にシートを引き込み、シートの先端をストッパ１２１に突き当てるようになっている。紙面検知センサ１１７は、案内ユニット１１５に組み込まれて、案内ユニット１１５からシート上面の距離を一定に保つために設けられたセンサである。
【００４０】
シートの先端部を把持してシートを搬送するグリッパ１１４ａ，１１４ｂは、不図示の捩りコイルばねにより口を閉じる方向に付勢された状態で駆動ベルト１３０に取付けられている。排出ローラ対１１０により排出されたシートがグリッパ１１４ａ，１１４ｂに押込まれることによりシートが保持される構成になっている。なお、グリッパは、Ｖ字状に開口した部材の開口部内の上下にスポンジなどの弾性体を設け、その上下の弾性体の間に押し込まれたシートを保持するようになっていてもよい。
【００４１】
積載手段としてのスタッカトレイ１１２ａ，１１２ｂは、排出されたシートが積載されるトレイであり、ホーム位置検出センサ１１３ａ，１１３ｂによりシートを積載するためのホームポジション位置に待機している。
【００４２】
図５に示すように、画像形成装置９００の装置本体９００Ａ（図１）から排出されたシートＳは、排出ローラ対１１０まで搬送される。そして、シートは、排出ローラ対１１０の上流に配置されているタイミングセンサ１１１により、先端の通過タイミングが検知される。このタイミングにより停止待機しているグリッパ１１４ａが、シートＳの先端部を把持しながら搬送するように駆動ベルト１３０が循環を開始する。その後、グリッパ１１４ａがシートを把持したまま案内ユニット１１５に接近移動する（図６）。駆動ベルト１３０、グリッパ１１４ａ，１１４ｂは、排出手段を構成している。
【００４３】
そして、図７に示すように、グリッパ１１４ａが案内ユニット１１５のテーパ部１２２を通過すると、シートＳは、グリッパ１１４ａから外れて、搬送されてきた勢いで、テーパ部１２２に案内されて、スタッカトレイ１１２ａ側に付勢される。そして、シートは、ローレットベルト１１６とスタッカトレイ１１２ａ（あるいは、シートが積載されているときには、最上位のシート）との間に進入する。その後、図８に示すようにローレットベルト１１６によりシートＳは、先端部がストッパ１２１に突き当たるまで搬送される。この結果、シートは、先端をスタッカトレイ１１２ａ上の所定位置に揃えられ（整合され）て、スタッカトレイ１１２ａあるいは最上のシート上に積載されることになる。
【００４４】
その後、整合板１１９が、シート搬送方向と直角な方向（シートの幅方向）にジョギング動作を行い、シートの側端を揃える（幅整合する）。
【００４５】
紙面検知センサ１１７は、スタッカトレイ１１２ａに積載されたシートの上面を常時監視している。案内ユニット１１５のローレットベルト１１６とシートとの間隔が、所定量よりも狭くなった場合、不図示の駆動装置によりスタッカトレイ１１２ａは、所定量下降する。これによって、ローレットベルト１１６とシートとの間隔が所定の間隔に保持される。
【００４６】
スタッカ装置１００は、駆動ベルト１３０が循環して、２つのグリッパ１１４ａ，１１４ｂで交互にシートを排出搬送して、スタッカトレイ１１２ａにシートを順次積載する。
【００４７】
スタッカトレイ１１２ａ上に積載されたシートが所定の積載高さまで達したことを検知すると満載であると判断する。積載シートが所定の積載高さに達したことは、通常、排出ローラ対１１０から排出されるシートＳをタイミングセンサ１１１で検知して、スタッカ制御部２１０（図２）でカウントして検知される。あるいは、スタッカトレイ１１２ａの位置と最上位のシートの位置とを検知して、検知される。
【００４８】
スタッカトレイ１１２ａ上のシートが所定の積載高さまで達した場合、図９に示すようにスタッカ制御部２１０（図２）が、スタッカトレイ１１２ａを下降制御して、スタッカトレイごと積載されたシートを運搬する台車としてのドリー１２０上に載置させる。その後、案内ユニット１１５は、矢印Ａ方向に移動する。そして、スタッカトレイ１１２ｂは、シートが積載されるのを待つ。
【００４９】
案内ユニット１１５の待機位置は、スタッカトレイ１１２ａ，１１２ｂに積載されるシートの略中央であった方が、シートの積載状態が安定して好ましいが、積載されたシートがスタッカトレイ１１２ａ，１１２ｂからはみ出ない範囲にあれば問題ない。
【００５０】
図１０に示すように、画像形成装置の装置本体から排出されたシートは、タイミングセンサ１１１を通過した後、排出ローラ対１１０から排出されてグリッパ１１４ａにシート先端部を把持される。図１１、図１２に示すように、グリッパ１１４ａが案内ユニット１１５のテーパ部１２２を通過すると、シートＳの先端部は、テーパ部１２２によりスタッカトレイ１１２ｂ側に付勢される。シートは、テーパ部１２２に沿って、移動し、ローレットベルト１１６に導かれる。
【００５１】
その後、シートＳの先端部は、ローレットベルト１１６によりストッパ１２１に突き当てられる。シートＳは、先端部を揃えられてスタッカトレイ１１２ｂに積載され、さらに、整合板１１９によって側端を揃えられる。
【００５２】
紙面検知センサ１１７は、スタッカトレイ１１２ｂに積載されたシートの上面を常時監視している。案内ユニット１１５のローレットベルト１１６とシートとの間隔が、所定量よりも狭くなった場合、不図示の駆動装置によりスタッカトレイ１１２ｂは、所定量下降する。これによって、ローレットベルト１１６とシートとの間隔が所定の間隔に保持される。
【００５３】
スタッカ装置１００は、駆動ベルト１３０が循環して、２つのグリッパ１１４ａ，１１４ｂで交互にシートを排出搬送して、スタッカトレイ１１２ｂにシートを順次積載する。
【００５４】
スタッカトレイ１１２ｂ上に積載されたシートが所定の積載高さまで達したことを検知すると満載であると判断する。積載シートが所定の積載高さに達したことは、通常、排出ローラ対１１０から排出されるシートＳをタイミングセンサ１１１で検知して、スタッカ制御部２１０（図２）でカウントして検知される。あるいは、スタッカトレイ１１２ｂの位置と最上位のシート（シートの最上面）の位置とを検知して、検知される。
【００５５】
スタッカトレイ１１２ｂ上のシートが所定の積載高さまで達した場合、図１３に示すようにスタッカ制御部２１０（図２）は、スタッカトレイ１１２ｂを下降制御して、ドリー１２０上に載置する。
【００５６】
案内ユニット１１５は、矢印Ｂ方向に移動して、最上流側の積載手段としての左側のスタッカトレイ１１２ａ上に待機する。
【００５７】
スタッカトレイ１１２ａ，１１２ｂは、不図示の駆動装置によって昇降する１対の支持部材１３１ａ、１３１ｂにより支持されている。支持部材１３１ａ、１３１ｂがドリー１２０の支持面１２０ａ，１２０ｂよりも下降することによりスタッカトレイ１１２ａ，１１２ｂはドリー１２０に受け渡される。図１４に示すように、大容量のシート束が積載されたスタッカトレイ１１２ａ，１１２ｂは、ドリー１２０の上面に設けられたピン等の不図示の固定部材に係合して、ドリー１２０からずり落ちないようにしてドリー１２０に載置される。ドリー１２０は、キャスタ１２５と把手１２６が設けられており、把手１２６をもって移動させることで、大容量のシート束を一度に、しかも簡単に移動させることができる。
【００５８】
スタッカ装置１００からドリー１２０が搬出された後、ドリー１２０上のスタッカトレイ１１２ａ，１１２ｂに積載されたシート束は、ユーザによって取除かれる。再度、スタッカ装置１００の下部にドリーを進入させるまでスタッカ装置１００は停止させておく。あるいは予備のドリー１２０、スタッカトレイ１１２ａ，１１２ｂを準備しておき、予備のドリー１２０をスタッカ装置１００に進入させて、予備のスタッカトレイ１１２ａ，１１２ｂを１対の支持部材１３１に支持させてスタッカ装置１００を稼動させてもよい。
【００５９】
以上のスタッカ装置は、複数のスタッカトレイにグリッパでシートを搬送するようになっている。しかし、図１５に示すように、各スタッカトレイ（積載手段毎）に、排出手段としての排出ローラ対１１０，１２４を配設して、このローラ対から各スタッカトレイにシートを排出してもよい。
【００６０】
すなわち、スタッカトレイ１１２ａにシートを積載する場合、案内ユニット１１５をスタッカトレイ１１２ａ上に待機させて、排出ローラ対１１０から案内ユニット１１５を目がけてシートを排出する。スタッカトレイ１１２ｂにシートを積載する場合、案内ユニット１１５をスタッカトレイ１１２ｂ上に待機させて、排出ローラ対１２４から案内ユニット１１５を目がけてシートを排出する。排出ローラ対１１０と排出ローラ対１２４との選択は、切替部材１２３の切り替えによって行う。
【００６１】
また、スタッカ装置は、スタッカトレイを２つ有しているが、３つ以上有していてもよい。
【００６２】
なお、シートは、先端をグリッパに把持されて搬送されるようになっているが、エアーを吸引してシートの先端を吸着するエアー吸引ユニットとしてのエアー吸引装置を駆動ベルト１３０に設けてシートを吸着搬送するようになっていてもよい。さらに、静電気でシートの先端を吸着する静電吸着ユニットとしての静電吸引装置を駆動ベルト１３０に設けてシートを搬送するようになっていてもよい。
【００６３】
したがって、以上、説明したスタッカ装置１００は、複数のスタッカトレイ１１２ａ，１１２ｂにシートを積載するようになっているので、装置内のスペースを有効に使用することができる。
【００６４】
また、スタッカ装置１００は、スタッカトレイ１１２ａ，１１２ｂに落下したシートの先端をストッパ１２１で受け止めるようになっているので、シートの整合性を高めることができる。
【００６５】
さらに、スタッカ装置１００は、排出手段からシートを順次排出し、ストッパで受け止めるようになっているので、積載手段に高速でかつ大量にシートを積載することができる。
【００６６】
また、スタッカ装置１００は、シートの先端をストッパ１２１に当接させて整合するようになっているので、シートの先端に損傷を与えることが少なくなる。
【００６７】
さらに、画像形成装置９００は、大容量のシートを積載することができるシート積載装置を備えているので、停止回数を少なくして、画像形成能率を高めことができる。
【００６８】
また、画像形成装置９００は、シートの先端に損傷を与えることの少ないスタッカ装置１００を備えているので、シートに画像を形成し直す必要が少なくなり、画像形成能率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【００６９】
【図１】本発明の実施形態に係わる画像形成装置のシート搬送方向に沿った断面図である。
【図２】シート積載装置を有する画像形成装置全体を制御する制御ブロック図である。
【図３】スタッカ装置の基本動作説明用のフローチャートである。
【図４】本発明の実施形態に係わるシート積載装置のシート搬送方向に沿った断面図である。
【図５】左側のスタッカトレイにシートを積載する場合の動作説明用の図であり、シートがグリッパに保持された図である。
【図６】図５から続く動作説明用の図であり、シートがシート案内ユニットに搬送排出されている図である。
【図７】図６から続く動作説明用の図であり、シートが、シート案内ユニットのテーパ部に案内されて先行シート上に積載される直前の図である。
【図８】図７から続く動作説明用の図であり、シートが、先行シート上に積載された図である。
【図９】図８から続く動作説明用の図であり、一方のスタッカトレイにシートが所定の積載高さまで積載された図である。
【図１０】右側のスタッカトレイにシートを積載する場合の動作説明用の図であり、シートがグリッパに保持された図である。
【図１１】図１０から続く動作説明用の図であり、シートがシート案内ユニットに搬送排出されている図である。
【図１２】図１１から続く動作説明用の図であり、シートが、シート案内ユニットのテーパ部に案内されてスタッカトレイ上に積載された図である。
【図１３】図１２から続く動作説明用の図であり、両方のスタッカトレイにシートが所定の積載高さまで積載された図である。
【図１４】シートをドリーで搬送する斜視図である。
【図１５】スタッカトレイ毎にシートを排出する部分を設けた場合のシート積載装置の図である。
【図１６】従来のシート積載装置のシート搬送方向に沿った断面図である。
【符号の説明】
【００７０】
Ｓ シート
１００ シート積載装置（スタッカ装置）
１１０ 排出ローラ対（排出手段）
１１２ａ スタッカトレイ（積載手段、最上流側の積載手段）
１１２ｂ スタッカトレイ（積載手段）
１１３ａ，１１３ｂ ホーム位置検出センサ
１１４ａ，１１４ｂ グリッパ（排出手段）
１１５ 案内ユニット（案内手段）
１１６ ローレットベルト（回転体、移送手段）
１２０ ドリー
１２１ ストッパ
１２２ テーパ部（案内部材、移送手段）
１２４ 排出ローラ対（排出手段）
１３０ 駆動ベルト（排出手段）
２０５ プリンタ制御部
２０６ ＣＰＵ回路部
２１０ スタッカ制御部
９００ 画像形成装置
９００Ａ 装置本体
９０６ 感光ドラム（画像形成手段）
９５０ 自動原稿送り装置
【特許請求の範囲】
【請求項１】
シートを積載する複数の積載手段と、
前記複数の積載手段のうちのいずれかに選択的にシートを排出する排出手段と、
前記排出手段によって排出されたシートを、前記複数の積載手段のうちから選択された積載手段上の所定位置に案内する案内手段と、を備え、
前記案内手段が、前記選択された積載手段に従って移動可能である、
ことを特徴とするシート積載装置。
【請求項２】
前記排出手段は、所定の待機位置からシートを保持しながら移動して前記選択された積載手段にシートを排出する、
ことを特徴とする請求項１に記載のシート積載装置。
【請求項３】
前記排出手段は、前記積載手段毎に備えられた、
ことを特徴とする請求項１に記載のシート積載装置。
【請求項４】
前記案内手段は、シートを前記選択された積載手段上の所定位置に移動させる回転体と、シートを前記回転体に案内する案内部材と、を備えた、
ことを特徴とする請求項１乃至３のいずれか１項に記載のシート積載装置。
【請求項５】
前記案内手段は、前記排出手段のシート排出方向のシートの端部を前記所定位置で受け止めるストッパを有する、
ことを特徴とする請求項１乃至４のいずれか１項に記載のシート積載装置。
【請求項６】
前記積載手段は、積載されたシートの最上面が所定の高さ位置に位置するように昇降可能である、
ことを特徴とする請求項１乃至５のいずれか１項に記載のシート積載装置。
【請求項７】
前記排出手段は、シートを把持して前記案内手段に搬送するグリッパを有する、
ことを特徴とする請求項１又は２に記載のシート積載装置。
【請求項８】
前記排出手段は、エアーを吸引してシートを前記案内手段に吸着搬送するエアー吸引ユニットを備えた、
ことを特徴とする請求項１又は２に記載のシート積載装置。
【請求項９】
前記排出手段は、静電気によってシートを前記案内手段に吸着搬送する静電吸着ユニットを備えた、
ことを特徴とする請求項１又は２に記載のシート積載装置。
【請求項１０】
シートに画像を形成する画像形成手段と、
画像を形成されたシートが積載される請求項１乃至９のいずれか１項に記載のシート積載装置と、を備えた、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項１】
シートを積載する複数の積載手段と、
前記複数の積載手段のうちのいずれかに選択的にシートを排出する排出手段と、
前記排出手段によって排出されたシートを、前記複数の積載手段のうちから選択された積載手段上の所定位置に案内する案内手段と、を備え、
前記案内手段が、前記選択された積載手段に従って移動可能である、
ことを特徴とするシート積載装置。
【請求項２】
前記排出手段は、所定の待機位置からシートを保持しながら移動して前記選択された積載手段にシートを排出する、
ことを特徴とする請求項１に記載のシート積載装置。
【請求項３】
前記排出手段は、前記積載手段毎に備えられた、
ことを特徴とする請求項１に記載のシート積載装置。
【請求項４】
前記案内手段は、シートを前記選択された積載手段上の所定位置に移動させる回転体と、シートを前記回転体に案内する案内部材と、を備えた、
ことを特徴とする請求項１乃至３のいずれか１項に記載のシート積載装置。
【請求項５】
前記案内手段は、前記排出手段のシート排出方向のシートの端部を前記所定位置で受け止めるストッパを有する、
ことを特徴とする請求項１乃至４のいずれか１項に記載のシート積載装置。
【請求項６】
前記積載手段は、積載されたシートの最上面が所定の高さ位置に位置するように昇降可能である、
ことを特徴とする請求項１乃至５のいずれか１項に記載のシート積載装置。
【請求項７】
前記排出手段は、シートを把持して前記案内手段に搬送するグリッパを有する、
ことを特徴とする請求項１又は２に記載のシート積載装置。
【請求項８】
前記排出手段は、エアーを吸引してシートを前記案内手段に吸着搬送するエアー吸引ユニットを備えた、
ことを特徴とする請求項１又は２に記載のシート積載装置。
【請求項９】
前記排出手段は、静電気によってシートを前記案内手段に吸着搬送する静電吸着ユニットを備えた、
ことを特徴とする請求項１又は２に記載のシート積載装置。
【請求項１０】
シートに画像を形成する画像形成手段と、
画像を形成されたシートが積載される請求項１乃至９のいずれか１項に記載のシート積載装置と、を備えた、
ことを特徴とする画像形成装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図１４】
【図１５】
【図１６】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図１４】
【図１５】
【図１６】
【公開番号】特開２００８−８７９６４（Ｐ２００８−８７９６４Ａ）
【公開日】平成２０年４月１７日（２００８．４．１７）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００７−２１４８８５（Ｐ２００７−２１４８８５）
【出願日】平成１９年８月２１日（２００７．８．２１）
【出願人】（０００００１００７）キヤノン株式会社 (59,756)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２０年４月１７日（２００８．４．１７）
【国際特許分類】
【出願日】平成１９年８月２１日（２００７．８．２１）
【出願人】（０００００１００７）キヤノン株式会社 (59,756)
【Ｆターム（参考）】
[ Back to top ]