説明

シート穿孔装置

【課題】 摩耗などが生じやすい部位の修理・交換を容易かつ安価に可能とするシート穿孔装置を提供する。
【解決手段】 予め定められた穿孔方向に往復動するパンチピン21〜25と、主面部110にパンチピン21〜25が挿通されるダイス孔11a〜11eを有したダイフレーム11とを、主面部110上のシート材100を穿孔する穿孔機構として備えるシート穿孔装置において、前記穿孔機構における、穿孔時にシート材100を直接押圧する、もしくは押圧されたシート材100によって直接押圧される押圧部位23b,111cが、別体部品として本体部23a,110に対し着脱可能に固定されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、予め定められた穿孔方向の往復動するパンチピンと、ダイフレームに設けられたダイス孔との協働によりシート材にパンチ孔が形成されるシート穿孔装置、さらにはこれを備える用紙処理装置や画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のシート穿孔装置は、例えば特許文献1のように、パンチピンと、これに対応するダイス孔とを備えて構成され、それらパンチピンとダイス孔との間に介在するシート材(用紙等)に向けてパンチピンを動作することにより、シート材にパンチ孔が形成される。パンチピンは、その外周側に設けられたガイド板によって摺動案内される形で、ダイス孔に向かう予め定められた穿孔方向に往復動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3995193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
こうしたシート穿孔装置においては、使用による劣化等により、特にシート材と比較的強い力で接触する部位であるパンチピン先端(特に穿孔刃の刃先)や、ダイス孔の開口エッジ(開口端縁部)等において摩耗が生じたり、欠けたりすることがあり、修理が必要となる場合がある。ところが、パンチピンやダイス孔、パンチピンの駆動機構等を備える穿孔機構に関しては、パンチピンやダイス孔のみを交換することは構造上不可能であった。特に、パンチピンの外側には、上記のガイド板やパンチピンを往復動するためのリンク機構などが配置されており、パンチピンを固定しているピンを外して分解することは非常に困難な作業である。このため、従来は、穿孔機構ごと交換していたのだが、パンチピンやダイス孔などの摩耗部位は、使用者(利用者及び修理業者)の要望に応じた耐久性を確保する観点で材質も高価なものが使用されているため、穿孔機構ごと交換することはコスト面においても大きなマイナス要因となっていた。
【0005】
本発明の課題は、摩耗などが生じやすい部位の修理・交換を容易かつ安価に可能とするシート穿孔装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のシート穿孔装置は、
予め定められた穿孔方向に往復動するパンチピンと、主面部にパンチピンが挿通されるダイス孔を有したダイフレームとを、主面部上のシート材を穿孔する穿孔機構として備えるシート穿孔装置であって、
穿孔機構において、穿孔時にシート材を直接押圧する、もしくは押圧されたシート材によって直接押圧される押圧部位が、別体部品として本体部に対し着脱可能に固定されていることを特徴とする。
【0007】
上記本発明の構成によれば、使用による劣化等により、特にシート材と比較的強い力で押圧されて摩耗しやすい部位を分離できる。このため、これらの部位に劣化、摩耗、欠けが生じたとしても、穿孔機構全体を交換する必要はなく、必要な部位のみを交換するだけでよいので、安価に修理が行える。
【0008】
本発明におけるパンチピンは、装置本体側に対し穿孔方向に往復動可能に保持される柱状の往復摺動部と、シート材を穿孔する穿孔刃を有した穿孔刃部とを備えて構成でき、押圧部位は穿孔刃部であって、本体部をなす往復摺動部の先端に着脱可能に締結固定させることができる。この構成によれば、パンチピンの柱状の往復摺動部とその先端の穿孔刃部とが分離できるので、穿孔刃部に劣化、摩耗、欠けが生じたとしても、穿孔機構全体を交換する必要はなく、穿孔刃部のみを取り外して交換するだけでよいので、安価に修理が行える。
【0009】
本発明においては、往復摺動部と穿孔刃部とが着脱可能な形でネジ固定されるよう構成できる。これにより、往復摺動部への穿孔刃部の取り付け取り外しが容易となる。
【0010】
本発明においては、往復摺動部と穿孔刃部とのいずれかに雌ネジ部が形成され、他方に雄ネジ部が形成されており、穿孔方向又はその逆方向において雌ネジ部に雄ネジ部がねじ込まれるよう、穿孔刃部を往復摺動部に向けてねじ込むことで、穿孔刃部が往復摺動部の先端にネジ固定させることができる。この構成によれば、穿孔刃部を往復摺動部に向けて下方からねじ込むだけで、往復摺動部への穿孔刃部の取り付けを行うことができる。
【0011】
本発明においては、往復摺動部に形成された雌ネジ部に対し、別体に形成されたネジ部材が、筒状の穿孔刃部の内部を穿孔方向逆向きに挿通し、なおかつ該穿孔刃部の一部を穿孔方向において挟み込む形でねじ込まれることで、穿孔刃部が往復摺動部の先端にネジ固定させることができる。この構成によれば、穿孔刃部の内部を挿通する形で、ネジ部材を往復摺動部に向けて下方からねじ込むだけで、往復摺動部への穿孔刃部の取り付けを行うことができる。
【0012】
本発明における上記雌ネジ部は、雄ネジ部がねじ込まれるに従い入り口側ほどねじ込み方向に対し外向きに押し広げられる弾性変形が生じ、押し広げられた状態で該雄ネジ部と締結されるように構成できる。これにより、雌ネジ部の内向きの弾性付勢力を利用する形で、往復摺動部に対し穿孔刃部をより強固に固定できる。
【0013】
本発明において、往復摺動部と穿孔刃部とは、それら双方が穿孔方向において着脱できるよう固定されるとともに、当該固定状態において穿孔方向に対し垂直な方向への位置ずれが防止されるよう互いに係合する位置決め係合部を、固定状態とする固定部とは別位置にて、それぞれに設けることができる。例えば、往復摺動部と穿孔刃部とのうちの一方において、他方との対向側端面からその対向方向に突出形成された突出部を上記位置決め部とし、他方において、当該突出部に対しその外周側に嵌合するよう形成された嵌合部を上記位置決め部とすることができる。これにより、往復摺動部と穿孔刃部とをより安定した固定状態とすることができるから、穿孔の精度を確保することができる。
【0014】
本発明におけるダイフレームは、フレーム本体部と、ダイス孔を有するダイス部とを備えて構成でき、押圧部位はダイス部であって、本体部をなすフレーム本体部に設けられたダイス部装着用開口部に着脱可能な形で締結固定させることができる。この構成によれば、ダイフレームのフレーム本体部とダイス孔部とが分離できるので、ダイス孔部に劣化、摩耗、欠けが生じたとしても、穿孔機構全体を交換する必要はなく、ダイス孔部のみを取り外して交換するだけでよいので、安価に修理が行える。
【0015】
本発明においては、フレーム本体部とダイス孔部とがネジ部材によりネジ固定されるよう構成できる。これにより、フレーム本体部へのダイス孔部の取り付け取り外しが容易となる。
【0016】
本発明におけるシート材は、画像形成装置内もしくは画像形成装置から排出されたものであり、本発明のシート穿孔装置は、これを搬入した後、一旦停止させたシート材に対し穿孔を実行するよう構成できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明によるシート穿孔装置の一実施形態を示す正面図。
【図2】図1に示したシート穿孔装置からセンサーブラケットを除いた外観図。
【図3】図2に示したシート穿孔装置からフレームカバーを除いた平面図。
【図4】図3の正面図。
【図5】図3に示したシート穿孔装置からフレーム本体およびダイフレームを除いた外観図。
【図6】図4に示したシート穿孔装置の部分拡大図。
【図7】(a)はダイフレーム11に対するパンチピン23の退避位置を簡略的に示す断面図。(b)はダイフレーム11に対するパンチピン23の穿孔位置を簡略的に示す断面図。
【図8】(a)は往復摺動部(パンチピン本体部)23aと穿孔刃部23bとが組み付けられた状態のパンチピン23の中央断面図。(b)は往復摺動部(パンチピン本体部)23aと穿孔刃部23bとが分離した状態のパンチピン23の中央断面図。
【図9】(a)はフレーム本体部111とダイス部111cとが組み付けられた状態のダイフレーム11を、ダイス孔11cの中央で切断した断面図。(b)はフレーム本体部111とダイス部111cとが分離した状態のダイフレーム11を、ダイス孔11cの中央で切断した断面図。
【図10】図5からブラケットを除いたシート穿孔装置の平面図。
【図11】図10の正面図。
【図12】図1のスライドアーム51の部分正面図。
【図13】図1のスライドアーム52の部分背面図。
【図14】(A)は係合ピン44a,63aの初期位置を示す説明図。(B)はスライドアーム51の作動当初の説明図。(C)はスライドアーム52の作動当初の説明図。
【図15】(A)は係合ピン44a,63aの初期位置を示す説明図。(B)は係合ピン44aが図示右回りに90°回転した状態を示す説明図。(C)は係合ピン44aが図示右回りに180°回転した状態を示す説明図。
【図16】(A)は係合ピン44a,63aの初期位置を示す説明図。(B)は係合ピン63aが図示右回りに90°回転した状態を示す説明図。(C)は係合ピン63aが図示右回りに180°回転した状態を示す説明図。
【図17】(a)は往復摺動部(パンチピン本体部)23aと穿孔刃部23bとが組み付けられた状態のパンチピン23の第一変形例を示す中央断面図。(b)は往復摺動部(パンチピン本体部)23aと穿孔刃部23bとが分離した状態のパンチピン23の第一変形例を示す中央断面図。
【図18】(a)は往復摺動部(パンチピン本体部)23aと穿孔刃部23bとが組み付けられた状態のパンチピン23の第二変形例を示す中央断面図。(b)は往復摺動部(パンチピン本体部)23aと穿孔刃部23bとが分離した状態のパンチピン23の第二変形例を示す中央断面図。
【図19】(a)は往復摺動部(パンチピン本体部)23aと穿孔刃部23bとが組み付けられた状態のパンチピン23の第三変形例を示す中央断面図。(b)は往復摺動部(パンチピン本体部)23aと穿孔刃部23bとが分離した状態のパンチピン23の第三変形例を示す中央断面図。
【図20】(a)は往復摺動部(パンチピン本体部)23aと穿孔刃部23bとが組み付けられた状態のパンチピン23の第四変形例を示す中央断面図。(b)は往復摺動部(パンチピン本体部)23aと穿孔刃部23bとが分離した状態のパンチピン23の第四変形例を示す中央断面図。
【図21】(a)は往復摺動部(パンチピン本体部)23aと穿孔刃部23bとが組み付けられた状態のパンチピン23の第五変形例を示す中央断面図。(b)は往復摺動部(パンチピン本体部)23aと穿孔刃部23bとが分離した状態のパンチピン23の第五変形例を示す中央断面図。
【図22】(a)は往復摺動部(パンチピン本体部)23aと穿孔刃部23bとが組み付けられた状態のパンチピン23の第六変形例を示す中央断面図。(b)は往復摺動部(パンチピン本体部)23aと穿孔刃部23bとが分離した状態のパンチピン23の第六変形例を示す中央断面図。
【図23】(a)はフレーム本体部111とダイス部111cとが組み付けられた状態のダイフレーム11の第一変形例を示す中央断面図。(b)はフレーム本体部111とダイス部111cとが分離した状態のダイフレーム11の第一変形例を示す中央断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0019】
図1〜図11は本発明によるシート穿孔装置を画像形成装置のフィニッシャーに適用したものの外観またはその構成部品を示していて、このシート穿孔装置においては、長尺状かつ略U字状に形成されて主面部110に複数のダイス孔11a〜11eを有するダイフレーム11と、長尺状かつ略矩形筒状に形成されてパンチピン21〜25、リンク31〜35、駆動機構40およびスライドアーム51,52を組み付けたフレーム12とが、用紙などのシート材100を挿通可能な所定の間隔に対向配置された状態で固定されている。
【0020】
なお、本実施形態のシート穿孔装置には、プリンタ等の画像形成装置内もしくは画像形成装置から排出されるシート材100が搬入され、搬入後、一旦停止されたシート材100に対し穿孔が実行される。
【0021】
ダイフレーム11は、長手方向に垂直な断面が略U字状、さらに具体的に言えば略コの字状をなす屈曲形状を有する。略コの字状をなす屈曲形状の開放側とは逆側が、ダイス孔11a〜11eが形成される主面部110であり、該主面部110のフレーム12側(パンチピン21〜25側)の表面にシート材100が配置される。
【0022】
ダイス孔11a〜11eは、パンチピン21〜25にそれぞれ対応しており、パンチピン21,23,25のダイス孔11a,11c,11eに対する往復動によりシート材に所定ピッチの3孔の孔列が形成され、パンチピン22,24のダイス孔11b,11dに対する往復動によりシート材に所定ピッチの2孔の孔列が形成されるようになっている。
【0023】
フレーム12は、カバー12aとフレーム本体12bとの上下2分割の構造とされていて、カバー12aとフレーム本体12bには、ダイフレーム11のダイス孔11a〜11eと同軸に、ガイド孔12a1〜12a5,12b1〜12b5がそれぞれ形成されている。これにより、パンチピン21〜25が、上下に離れたガイド孔12a1〜12a5,12b1〜12b5によりガイドされる形で、予め定められた穿孔方向へ往復動する。
【0024】
この往復動により、パンチピン21〜25は、対応するダイス孔11a〜11eに挿通され、ダイフレーム11の主面部110上のシート材を穿孔する。このように、パンチピン21〜25と、ダイス孔11a〜11eを有するダイフレーム11とを有する形で、シート材100の穿孔機構が構成されている。この穿孔機構において、穿孔時にシート材100を直接押圧する、もしくは押圧されるシート材100によって直接押圧される押圧部位は、別体部品として本体部に対し着脱可能に固定されており、押圧部位のみを交換することができる。本実施形態においては、パンチピン21〜25に上記押圧部位が存在するとともに、ダイフレーム11にも上記押圧部位が存在する。
【0025】
パンチピン21〜25は、図7及び図8にてパンチピン23を代表して示すように、フレーム12側(装置本体側)に対し上記穿孔方向(図7の下方向)に往復動可能に保持される柱状の往復摺動部(パンチピン本体部)23aと、シート材100を穿孔する穿孔刃23baを先端に有した穿孔刃部23bとを備える。穿孔刃部23bが、穿孔時にシート材100を直接押圧する上記の押圧部位であり、その本体部をなす往復摺動部23aの先端に着脱可能に締結固定されている。ここでのパンチピン23cは、図7に示すように、それぞれ別体に形成された往復摺動部23aと穿孔刃部23bとネジ部材23cとにより構成されており、ネジ部材23cによって往復摺動部23aと穿孔刃部23bとが着脱可能な形でネジ固定されている。
【0026】
往復摺動部23aは、図8(b)に示すように、穿孔方向に軸線を有する円柱状の本体部23azの先端に、穿孔方向に開口する円筒状の先端側開口部23abを有し、さらにその開口部23ba内の奥側(穿孔方向逆側)に位置する開口内深部に、該開口部23baに対し段差を形成するよう小径に設けられた雌ネジ部23aaを有する。
【0027】
穿孔刃部23bは、図8(b)に示すように、穿孔方向に軸線を有する円筒状の本体部23bzの後端に、本体部23bzに対し外周側で段差を形成するよう外周面が小径に設けられた、穿孔方向逆向きに突出する突出部23bcを有する。突出部23bcは、円筒状に形成されており、その内側に、本体部23bzから同径をなして続く円筒状の本体開口bbを有する。円筒状の突出部23bcの後端部23bdは、内向きに折り返す形で形成され、その中心部に円筒状の開口bbよりも小径の後端側開口(貫通孔)23beを有する。
【0028】
これら往復摺動部23aと穿孔刃部23bとを固定する際には、往復摺動部23aの円筒状の先端側開口部23abに、穿孔刃部23bの突出部23bcを嵌合させる。これにより、往復摺動部23aの雌ネジ部23aaと、穿孔刃部23bの後端側開口23be及び本体開口bbとが、同軸をなす形で連通する。この連通状態において、ネジ部材23cを、雄ネジ部23ca側を先頭にして、穿孔刃部23bの本体開口23bb内を穿孔方向逆向きに挿通し、さらに、雄ネジ部23caを、後端側開口23be内に挿通して、往復摺動部23aの雌ネジ部23aaにねじ込む。ねじ込んでいくと、ネジ部材23cは、最終的に頭部23cbが穿孔刃部23bの後端部(後端側開口周辺部)23bdに当接する位置まで到達する。
【0029】
これにより、図8(a)に示すように、ネジ部材23cの頭部23cbと、往復摺動部23aの先端側(ここでは開口部23abの円環状の底面)との間で、穿孔刃部23bの後端部23bdが挟み込まれる形で挟圧保持される。この挟圧保持状態により、往復摺動部23aと穿孔刃部23bとが固定される。ネジ部材23cを、往復摺動部23aの雌ネジ部23aaへのねじ込みを緩めて取り外すことにより、往復摺動部23aと穿孔刃部23bとを再び分離状態とすることもできる。
【0030】
このようにして、往復摺動部23aと穿孔刃部23bとは、それら双方が穿孔方向において着脱可能に固定される。一方で、往復摺動部23aと穿孔刃部23bとには、当該固定状態において穿孔方向に対し垂直な方向への位置ずれが防止されるよう互いに係合する位置決め係合部が、当該固定状態を実現する雄ネジ部や雌ネジ部等の固定部とは別位置に設けられている。ここでは、穿孔刃部23bの突出部23bcの外周側に、往復摺動部23aの先端側開口部23abが嵌合しており、それら突出部23bcと開口部23abが上記位置決め部として機能している。
【0031】
なお、パンチピン21,22,24,25も、パンチピン23と同様の往復摺動部21a,22a,24a,25aと穿孔刃部21b,22b,24b,25bとを備えるが、これらの図示は省略している。
【0032】
ダイフレーム11は、図7及び図9に示すように、主面部110を有する略コの字状のフレーム本体部111と、ダイス孔11a〜11eを有するダイス部111a〜111eとを備える。なお、図7及び図9には、ダイス部111c(ダイス孔11c)が代表して示されている。ダイス部111cは、穿孔時にパンチピン23によってシート材100が押圧されることにより、当該シート材100によって直接押圧される上記の押圧部位であり、フレーム本体部111の主面部110に設けられたダイス部装着用開口部110ca内に着脱可能な形で締結固定されている。ここでは、図7に示すように、ダイフレーム11とダイス部111cとネジ部材112cとがそれぞれ別体に形成されており、ネジ部材112cによってダイフレーム11の主面部110とダイス部111cとが着脱可能な形でネジ固定されている。
【0033】
ダイフレーム11の主面部(以下、ダイフレーム主面部という)110は、図9(b)に示すように、穿孔方向に垂直な平板状をなすとともに、ダイス孔11cに対応する位置に、穿孔方向に貫通するダイス部装着用開口部110caを有する。また、ダイス部装着用開口部110caの周辺外周部には、同じく穿孔方向に貫通する複数の雌ネジ部110cbが所定間隔おきに形成されている。
【0034】
ダイス部111cは、図9(b)に示すように、穿孔方向に軸線を有する形で円筒状に貫通するダイス孔11cを有する円筒状の本体部111ccと、その本体部111ccの穿孔方向側の先端から外向きに広がる環状のフランジ部111caと、を有する。フランジ部111caには、その外周方向において、穿孔方向に貫通する複数の貫通孔(雌ネジ部としてもよい)111cbを所定間隔おきに有する。
【0035】
これらダイフレーム主面部110とダイス部111cとを固定する際には、ダイフレーム主面部110の円筒状のダイス部装着用開口部110caに、ダイス部111cの円筒状の本体部111ccを、穿孔方向逆側から嵌合させる。これにより、ダイフレーム主面部110の雌ネジ部110cbと、ダイス部111cの円筒状貫通孔111cbとが、同軸をなす形で連通する。この連通状態において、ネジ部材112cを、雄ネジ部110cb側を先頭にして、ダイス部111cbの円筒状貫通孔111cb内を穿孔方向逆向きに挿通し、さらに、雄ネジ部112cbを、ダイフレーム主面部110の雌ネジ部110cbにねじ込む。ねじ込んでいくと、ネジ部材112cは、最終的にその頭部112caが、ダイス部111cのフランジ部111caの表面に当接する位置まで到達する。
【0036】
これにより、図9(a)に示すように、ネジ部材112cの頭部112caと、ダイフレーム主面部110の雌ネジ部110cbの周辺部との間で、ダイス部111cのフランジ部111caが挟み込まれる形で挟圧保持される。この挟圧保持状態により、ダイフレーム11(ダイフレーム主面部110)とダイス部111cとが固定される。ネジ部材112cを、ダイフレーム主面部110の雌ネジ部110cbへのねじ込みを緩めて取り外すことにより、ダイフレーム11(ダイフレーム主面部110)とダイス部111cとを再び分離状態とすることもできる。
【0037】
このようにして、ダイフレーム11(ダイフレーム主面部110)とダイス部111cとは、それら双方が穿孔方向において着脱可能に固定される。一方で、ダイフレーム主面部110とダイス部111cとには、当該固定状態において穿孔方向に対し垂直な方向への位置ずれが防止されるよう互いに係合する位置決め係合部が、当該固定状態を実現する雄ネジ部や雌ネジ部等の固定部とは別位置に設けられている。ここでは、ダイス部111cの本体部111ccの外周側に、ダイフレーム主面部110のダイス部装着用開口部110caが嵌合しており、それら本体部111ccと開口部110caが上記位置決め部として機能している。
【0038】
なお、ダイフレーム11は、ダイス孔11cを有するダイス部111cと同様にして、ダイス孔11a,11b,11d,11eを有するダイス部111a,111b,111d,111eを備えて構成されるが、これらの図示は省略している。
【0039】
次に、リンク31〜35は、図6にてリンク33を代表して示すように、正面視にて略L字状に形成されており、各中間部にて支持ピン31a〜35aによりフレーム本体12bに同ピン31a〜35a回りに回転可能に支持されている。また、リンク31〜35は、各一端部に形成された二股状のアーム部31b〜35bにてパンチピン支持ピン31c〜35cを介してパンチピン21〜25に連結されている。
【0040】
リンク31〜35のうちリンク31,33,35(第1リンク群)は、各他端部にてスライドアーム51に向けて突設されたアーム係合ピン31d,33d,35dを介してスライドアーム51の各連結部51aに連結され、リンク31〜35のうちリンク32,34(第2リンク群)は、各他端部にてスライドアーム52に向けて突設されたアーム係合ピン32d,34dを介してスライドアーム52の各連結部52aに連結されている。
【0041】
これにより、スライドアーム51の往復動により、リンク31,33,35が支持ピン31a,33a,35a回りに回転するのに伴って、パンチピン21,23,25(第1パンチピン群)が穿孔方向に往復動する。また、スライドアーム52の往復動により、リンク32,34が支持ピン32a,34a回りに回転するのに伴って、パンチピン22,24(第2パンチピン群)が穿孔方向に往復動する。
【0042】
駆動機構40は、電動モータ41(駆動源)と、この電動モータ41にギヤ結合されて互いに異なる軸回りに回転する減速ギヤ42、駆動ギヤ43(第2駆動ギヤ)および駆動ギヤ44(第1駆動ギヤ)とを備えており、電動モータ41の回転駆動力が減速ギヤ42から駆動ギヤ43を経て駆動ギヤ44に伝達されるようになっている。
【0043】
電動モータ41は、例えばDCブラシモータであり、穿孔に要する回転数(回転量)が、駆動ギヤ43に一体的に取り付けられたセンサフィラー63とホームポジションセンサ62により検出される。電動モータ41は、パルスカウントセンサ61により検出されたパルスに応じて、適切な回転速度となるように、図示を省略する電気制御装置(ECU)により作動制御される。
【0044】
駆動ギヤ43は、スライドアーム51,52に干渉しない位置に配置されたスタッド軸を介してフレーム本体12bに取り付けられている。駆動ギヤ43には、ホームポジションセンサ62と協働して駆動ギヤ43の回転方向およびホームポジション(初期位置と初期位置から180°回転した位置との両位置を表す基準位置)を検出するためのセンサフィラー63(回転部材)が一体的に取り付けられている。センサフィラー63の外側面には、スライドアーム52の内側面に向けて係合ピン63a(第2カムフォロア)が突設されている。
【0045】
駆動ギヤ44は、駆動ギヤ43と歯数が同じものであり、互いに逆方向に回転するように駆動ギヤ43と噛み合っていて、スライドアーム51,52に干渉しない位置に配置されたブラケット47を介してフレーム本体12bに取り付けられている。駆動ギヤ44の内側面には、スライドアーム51の内側面に向けて係合ピン44a(第1カムフォロア)が突設されている。
【0046】
スライドアーム51(第1スライドアーム)とスライドアーム52(第2スライドアーム)は、長尺状かつ矩形状の板材であり、フレーム本体12b内にてパンチピン21〜25を挟んで対向配置された状態で、フレーム本体12bの長手方向に沿って往復動可能に設けられている。スライドアーム51,52の各内側部には、カム溝51b,52bがそれぞれ形成されている。
【0047】
スライドアーム51のカム溝51b(第1カム)は、図12に示すように、係合ピン44aの直径に比して僅かに大きい溝幅を有するとともに、曲線溝部51b1と直線溝部51b2とで構成された略逆D字状に形成されている。カム溝51bの曲線溝部51b1(第1アーム動作禁止部)は、その中心線の曲率半径R1が、係合ピン44aの軸心が描く円軌跡の回転半径R1と同一に設定されている。
【0048】
カム溝51bの直線溝部51b2(第1アーム動作部)は、その溝中心線K1が係合ピン44aの回転軌跡中心O1に対して曲線溝部51b1とは反対側にオフセットされた位置に配置されている。これにより、係合ピン44aが図12にて二点鎖線で示す状態から破線で示す初期位置に復帰した状態では、係合ピン44aの軸心が駆動ギヤ44の上下方向の中心線L1上に位置するようになって、係合ピン44aの回転基準位置の設定が容易となる。
【0049】
そして、係合ピン44aがカム溝51bの曲線溝部51b1に係合しているときは、係合ピン44aが移動してもスライドアーム51は往復動しないが、係合ピン44aがカム溝51bの直線溝部51b2に係合しているときは、その係合状態が維持される方向に係合ピン44aが回転することで、スライドアーム51がその長手方向に往復動する。
【0050】
スライドアーム52のカム溝52b(第2カム)は、図13に示すように、係合ピン63aの直径に比して僅かに大きい溝幅を有するとともに、曲線溝部52b1と直線溝部52b2とで構成されてカム溝51bと同じ輪郭の略D字状に形成されている。カム溝52bの曲線溝部52b1(第2アーム動作禁止部)は、その中心線の曲率半径R2が、係合ピン63aの軸心が描く円軌跡の回転半径R2と同一に設定されている。
【0051】
カム溝52bの直線溝部52b2(第2アーム動作部)は、その溝中心線K2が係合ピン63aの回転軌跡中心O2に対して曲線溝部52b1とは反対側にオフセットされた位置に配置されている。これにより、係合ピン63aが図13にて二点鎖線で示す状態から破線で示す初期位置に復帰した状態では、係合ピン63aの軸心がセンサフィラー63すなわち駆動ギヤ43の上下方向の中心線L2上に位置するようになって、係合ピン63aの回転基準位置の設定が容易となる。
【0052】
そして、係合ピン63aがカム溝52bの曲線溝部52b1に係合しているときは、係合ピン63aが移動してもスライドアーム52は往復動しないが、係合ピン63aがカム溝52bの直線溝部52b2に係合しているときは、その係合状態が維持される方向に係合ピン63aが回転することで、スライドアーム52がその長手方向に往復動する。
【0053】
スライドアーム51,52は、フレーム本体12bとの間に介装された引っ張りばね53,54(付勢部材)により初期位置に戻る方向すなわち駆動機構40とは反対側の長手方向に向けて付勢されている。引っ張りばね53,54は、スライドアーム51,52の駆動機構40側への移動を規制する役割を果たしている。すなわち、係合ピン44a,63aが初期位置に復帰している状態(図12,図13で示した破線状態)では、カム溝51b,52bにおける曲線溝部51b1,52b1の上下溝面によりスライドアーム51,52の上下方向への移動は規制されているが、スライドアーム51,52の長手方向への移動は許容されている。一方、スライドアーム51,52には、パンチピン21〜25に作用する重力に起因してリンク31〜35を介して駆動機構40側へ移動させようとする力が作用している。このため、スライドアーム51,52の駆動機構40側への移動を規制する必要があるからである。
【0054】
スライドアーム51,52の下部には、支持ピン31a〜35aとの干渉を回避するための切り欠き51c,52cが形成されていて、切り欠き51c,52cの片側を形成する段部51d、52dが支持ピン35aと係合するようになっている。これにより、スライドアーム51,52が引っ張りばね53,54により付勢されても、所定量を超えて戻されることがなく、パンチピン21〜25の初期位置が常に一定位置に保たれる。
【0055】
上記のように構成した本実施形態のシート穿孔装置においては、その待機時、電動モータ41は停止していて、係合ピン44a,63aとスライドアーム51,52とが、図14(A)および図15(A)に示した初期位置にある。
【0056】
最初に、シート材に3孔の孔列を形成する場合について説明する。この場合には、上記した待機状態から電動モータ41が図示左回りに回転するようにその作動が制御される。電動モータ41が図示左回りに回転すると、駆動ギヤ43およびセンサフィラー63が図示左回りに回転し、駆動ギヤ44が図示右回りに駆動ギヤ43と同じ角度だけ回転する。このとき、係合ピン63aはカム溝52bの曲線溝部52b1の中心線に沿って移動するため、スライドアーム52は往復動しない。
【0057】
一方、係合ピン44aの図示右回りの回転位置に対応して、図14(B)に示すように、カム溝51bの直線溝部51b2が図示右向きに変位し始める。これに伴ってスライドアーム51が図示右向きに往動し始め、リンク31,33,35がそれぞれ支持ピン31a,33a,35aを回転支点として図示右回りに回転する。係合ピン44aが図示右回りに90°未満の所定角度(例えば、45°)回転したとき、パンチピン21,23,25とダイス孔11a,11c,11eとの協働によりシート材に3孔の孔列が形成される。
【0058】
係合ピン44aが図示右回りに90°回転した状態では、図15(B)に示すように、スライドアーム51の図示右向きへの往動量が最大となり、90°を超えた後は係合ピン44aの更なる図示右回りの回転に伴ってスライドアーム51が図示左向きに復動し始める。そして、係合ピン44aが図示右回りに180°回転したとき、図15(C)に示すように、スライドアーム51は初期位置に復帰する。なお、スライドアーム51の初期位置からのオーバーランを防止するために、スライドアーム51が初期位置に復帰する直前で電動モータ41の作動が停止されるようになっている(例えば、ショートを利用した短絡ブレーキや逆転ブレーキなど)。
【0059】
3孔のパンチピンングを連続して行う場合には、係合ピン44aが180°回転した後に、180°反転する動作が実行されるように電動モータ41の作動が制御される。なお、ホームポジションセンサ62およびセンサフィラー63により検出された検出信号に基づいて、駆動ギヤ43の回転方向および回転角度が計算され、係合ピン44aが初期位置にあるか、初期位置から180°回転した位置にあるかが電気制御装置により判定・記憶されるようになっている。
【0060】
次に、シート材に2孔の孔列を形成する場合について説明する。この場合には、図14(A)および図16(A)に示した待機状態から電動モータ41が図示右回りに回転するようにその作動が制御される。電動モータ41が図示右回りに回転すると、駆動ギヤ43およびセンサフィラー63が図示右回りに回転し、駆動ギヤ44が図示左回りに駆動ギヤ43と同じ角度だけ回転する。このとき、係合ピン44aはカム溝51bの曲線溝部51b1の中心線に沿って移動するため、スライドアーム51は往復動しない。
【0061】
一方、係合ピン63aの図示右回りの回転位置に対応して、図14(C)に示すように、カム溝52bの直線溝部52b2は図示右向きに変位し始める。これに伴ってスライドアーム52が図示右向きに往動し始め、リンク32,34がそれぞれ支持ピン32a,34aを回転支点として図示右回りに回転する。係合ピン63aが図示右回りに90°未満の所定角度(例えば、45°)だけ回転したとき、パンチピン22,24とダイス孔11b,11dとの協働によりシート材に2孔の孔列が形成される。
【0062】
係合ピン63aが図示右回りに90°回転した状態では、図16(B)に示すように、スライドアーム52の図示右向きへの往動量が最大となり、90°を超えた後は係合ピン63aの更なる回転に伴ってスライドアーム52が図示左向きに復動し始める。そして、係合ピン63aが図示右回りに180°回転したとき、図16(C)に示すように、スライドアーム52は初期位置に復帰する。なお、この場合にも、上記した3孔の穿孔の場合と同様、スライドアーム52の初期位置からのオーバーランを防止するために、スライドアーム52が初期位置に復帰する直前で電動モータ41の作動が停止される。
【0063】
2孔のパンチピンングを連続して行う場合には、上記と同様、係合ピン63aが180°回転した後に、180°反転する動作が実行されるように電動モータ41の作動が制御される。
【0064】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、これはあくまでも例示にすぎず、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。以下、上記実施形態とは異なる実施形態について説明する。
【0065】
上記実施形態においては、図6〜図9のパンチピン23を代表して説明すると、パンチピン23の往復摺動部23aに形成された雌ネジ部23aaに対し、別体に形成されたネジ部材23cが、筒状の穿孔刃部23bの内部を穿孔方向逆向きに挿通し、なおかつ該穿孔刃部23bの一部である後端部23bdを穿孔方向において挟み込む形でねじ込まれており、これにより、穿孔刃部23bが往復摺動部23aの先端に着脱可能に固定されているが、必ずしも別体に形成されたネジ部材23cを用いる必要はない。例えば、往復摺動部23aと穿孔刃部23bとのいずれかに雌ネジ部を形成して、他方に雄ネジ部を形成して、一方に形成された雌ネジ部に、他方に形成された雄ネジ部が穿孔方向又はその逆方向にねじ込まれるよう、穿孔刃部23bを往復摺動部23aに向けてねじ込むことで、穿孔刃部23bを往復摺動部23aの先端に着脱可能に固定してもよい。
【0066】
図17は、パンチピン21〜25の第一変形例を示すものであり、パンチピン23を代表して示したものである。
【0067】
往復摺動部23aは、図17(b)に示すように、穿孔方向に軸線を有する円柱状の本体部23azと、その先端から同軸をなして穿孔方向に突出する円柱状の突出部23afを有する。突出部23afは、本体部23azに対し小径をなし、外周側に段差が形成されている。さらにその突出部23afには、その先端から同軸をなして穿孔方向に突出する雄ネジ部23agを有する。雄ネジ部23agは、突出部23azに対し小径をなし、外周側に段差が形成されている。
【0068】
穿孔刃部23bは、図17(b)に示すように、穿孔方向に軸線を有する円柱状の本体部23bzと、その後端に、穿孔方向逆側に同軸をなして開口する円筒状の後端側開口部23bFを有し、さらにその開口部23bFの開口23bf内の奥側(穿孔方向側)に位置する開口内深部に、該開口部23bFに対し段差を形成するよう小径に設けられた雌ネジ部23bgを有する。
【0069】
これら往復摺動部23aと穿孔刃部23bとを固定する際には、往復摺動部23aの先端の突出部23afの外周側に、穿孔刃部23bの後端の開口部23bFを嵌合させる形で、往復摺動部23aの最先端の雄ネジ部23agを、穿孔刃部23bの最後端の雌ネジ部23bfをねじ込む。ねじ込んでいくと、最終的に、往復摺動部23aの突出部23afの先端面が、穿孔刃部23bの開口部23bFの環状の底面に当接する位置まで到達する。これにより、図17(a)に示すように、往復摺動部23aと穿孔刃部23bとが着脱可能な形でネジ固定される。
【0070】
図18は、パンチピン21〜25の第二変形例を示すものであり、パンチピン23を代表して示したものである。
【0071】
往復摺動部23aは、図18(b)に示すように、穿孔方向に軸線を有する円柱状の本体部23azと、その先端に、穿孔方向に同軸をなして開口する円筒状の先端側開口部23aIを有し、さらにその開口部23aIの開口23ai内の奥側(穿孔方向側)に位置する開口内深部に、該開口部23aIに対し段差を形成するよう小径に設けられた雌ネジ部23bgを有する。
【0072】
穿孔刃部23bは、図18(b)に示すように、穿孔方向に軸線を有する円柱状の本体部23bzと、その後端から同軸をなして穿孔方向逆側に突出する円柱状の突出部23biを有する。突出部23biは、本体部23bzに対し小径をなし、外周側に段差が形成されている。さらにその突出部23biには、その後端から同軸をなして穿孔方向逆側に突出する雄ネジ部23bhを有する。雄ネジ部23bhは、突出部23biに対し小径をなし、外周側に段差が形成されている。
【0073】
これら往復摺動部23aと穿孔刃部23bとを固定する際には、穿孔刃部23bの後端の突出部23biの外周側に、往復摺動部23aの先端の開口部23bFを嵌合させる形で、往復摺動部23aの最先端の雌ネジ部23ahに、穿孔刃部23bの最後端の雄ネジ部23bhをねじ込む。ねじ込んでいくと、最終的に、往復摺動部23aの開口部23biの環状の底面に、穿孔刃部23bの突出部23afの先端面(後端面)が当接する位置まで到達する。これにより、図18(a)に示すように、往復摺動部23aと穿孔刃部23bとが着脱可能な形でネジ固定される。
【0074】
図19は、パンチピン21〜25の第三変形例を示すものであり、パンチピン23を代表して示したものである。
【0075】
往復摺動部23aは、図19(b)に示すように、穿孔方向に軸線を有する円柱状の本体部23azと、その先端に、穿孔方向に同軸をなして開口する円筒状の先端側開口部23ajを有する。そして、その開口部23ajが雌ネジ部として形成されている。
【0076】
穿孔刃部23bは、図19(b)に示すように、穿孔方向に軸線を有する円柱状の本体部23bzと、その後端から同軸をなして穿孔方向逆側に突出する円柱状の突出部23bjを有する。そして、その突出部23bjが、本体部23bzに対し小径をなす雄ネジ部として形成されている。
【0077】
これら往復摺動部23aと穿孔刃部23bとを固定する際には、往復摺動部23aの先端の雌ネジ部23ahに、穿孔刃部23bの後端の雄ネジ部23bhをねじ込む。ねじ込んでいくと、最終的に、往復摺動部23aの雌ネジ部23ahの開口底面に、穿孔刃部23bの雄ネジ部23bhの先端面(後端面)が当接する位置まで到達する。これにより、図19(a)に示すように、往復摺動部23aと穿孔刃部23bとが着脱可能な形でネジ固定される。
【0078】
図20は、パンチピン21〜25の第四変形例を示すものであり、パンチピン23を代表して示したものである。
【0079】
往復摺動部23aは、図20(b)に示すように、穿孔方向に軸線を有する円柱状の本体部23azと、その先端から同軸をなして穿孔方向に突出する円柱状の突出部23akを有する。そして、その突出部23bkが、本体部23bzに対し小径をなす雄ネジ部として形成されている。
【0080】
穿孔刃部23bは、図20(b)に示すように、穿孔方向に軸線を有する円筒状の本体部23bzと、その後端に、穿孔方向逆側に同軸をなして開口する円筒状の後端側開口部23bkを有する。そして、その開口部23bkが雌ネジ部として形成されている。
【0081】
これら往復摺動部23aと穿孔刃部23bとを固定する際には、往復摺動部23aの先端の雄ネジ部23akに、穿孔刃部23bの後端の雌ネジ部23bkをねじ込む。ねじ込んでいくと、最終的に、穿孔刃部23bの雌ネジ部23bkの環状先端面(環状後端面)に、往復摺動部23aの本体部23azの環状先端面が当接する位置まで到達する。これにより、図20(a)に示すように、往復摺動部23aと穿孔刃部23bとが着脱可能な形でネジ固定される。
【0082】
なお、第一〜第四変形例においては、往復摺動部23aと穿孔刃部23bとにより穿孔機構が構成され、ネジ部材23cは使用されていない。
【0083】
図21は、パンチピン21〜25の第五変形例を示すものであり、パンチピン23を代表して示したものである。
【0084】
往復摺動部23aは、図21(c)に示すように、穿孔方向に軸線を有する円柱状の本体部23azと、その先端から同軸をなして穿孔方向に突出する突出部23alを有する。この突出部23alは、雌ネジ部として形成されるとともに、その環状の壁部が周方向の所定間隔おきに切り欠かれている。
【0085】
穿孔刃部23bは、図21(c)に示すように、穿孔方向に軸線を有する円筒状の本体部23bzと、その後端に、穿孔方向逆側に同軸をなして開口する円筒状の後端側開口部23bLを有する。そして、その開口部23bLの開口内周面23bLは、穿孔方向逆側ほど小径となるテーパー面なす。また、本体部23bzと後端側開口部23bLとの間には、内向きに突出する内側環状部23bmが形成されている。
【0086】
これら往復摺動部23aと穿孔刃部23bとを固定する際には、まずは、図21(b)に示すように、往復摺動部23aの円筒状の先端側の突出部23alの外周側に、穿孔刃部23bの円筒状の開口部23bLを嵌合させる。これにより、往復摺動部23aの雌ネジ部23alと、穿孔刃部23bの内側環状部23bm及び円筒状の本体部bzとが、同軸をなす形で連通する。この連通状態において、ネジ部材23cを、雄ネジ部23cl側を先頭にして、穿孔刃部23bの円筒状の本体部23bz内を穿孔方向逆向きに挿通し、さらに、雄ネジ部23clを、穿孔刃部23bの内側環状部23bm内に挿通して、往復摺動部23aの雌ネジ部23aaにねじ込む。雄ネジ部23clは、先端側(頭部23cbとは逆側)ほど先細りとなる形状をなしており、これをねじ込んでいくと、往復摺動部23aの雌ネジ部23lは、ねじ込まれるに従い入り口側ほどねじ込み方向に対し外向きに押し広げられる弾性変形が生じ、押し広げられた状態で該雄ネジ部23clとネジ固定される。
【0087】
これにより、図21(a)に示すように、入り口側が外向きに押し広げられた雌ネジ部23alが、穿孔刃部23bの内側環状部の穿孔方向逆側に形成された開口部23bL内に充填された状態となる。穿孔刃部23bの内側環状部は、ネジ部材23cの頭部23cbと、往復摺動部23aの先端に突出形成された雌ネジ部23alとの間で、挟圧保持される。この挟圧保持状態により、往復摺動部23aと穿孔刃部23bとが着脱可能な形で固定される。
【0088】
図22は、パンチピン21〜25の第六変形例を示すものであり、パンチピン23を代表して示したものである。
【0089】
往復摺動部23aは、図22(c)に示すように、穿孔方向に軸線を有する円柱状の本体部23azと、その先端から同軸をなす円筒状の開口部23aNを有する。この開口部23aNの開口内周面23anは、穿孔方向逆側ほど大径となるテーパー面なす。
【0090】
穿孔刃部23bは、図22(c)に示すように、穿孔方向に軸線を有する円筒状の本体部23bzと、その後端から同軸をなして穿孔方向逆側に突出する円柱状の突出部23bnを有する。そして、その突出部23bnが、本体部23bzに対し外周側が小径をなす雌ネジ部として形成されるとともに、その環状の壁部が周方向の所定間隔おきに切り欠かれている。
【0091】
これら往復摺動部23aと穿孔刃部23bとを固定する際には、まずは、図22(b)に示すように、穿孔刃部23bの後端側にて突出する雌ネジ部23bnの外周側に、往復摺動部23aの先端側の開口部23aNを嵌合させる。その上で、ネジ部材23cを、雄ネジ部23ca側を先頭にして、穿孔刃部23bの円筒状の本体部23bz内を穿孔方向逆向きに挿通し、さらに、雄ネジ部23caを、穿孔刃部23bの雌ネジ部23bnにねじ込む。ねじ込んでいくと、穿孔刃部23bの雌ネジ部23nは、ねじ込まれるに従い入り口とは逆側(穿孔方向逆側)ほどねじ込み方向に対し外向きに押し広げられる弾性変形が生じ、押し広げられた状態で該雄ネジ部23caとネジ固定される。
【0092】
これにより、図22(a)に示すように、入り口逆側が外向きに押し広げられた雌ネジ部23alが、往復摺動部23aの先端側の開口部23bN内に充填された状態となる。口部23aNの開口内周面23anは、穿孔方向逆側ほど大径となるテーパー面なすので、当該充填状態となると、雌ネジ部23alは穿孔方向への抜けが阻止された状態となる。この抜け阻止状態により、往復摺動部23aと穿孔刃部23bとが着脱可能な形で固定される。
【0093】
図23は、ダイフレーム11の第一変形例を示すものであり、ダイス部111c(ダイス孔11c)を代表して示したものである。
【0094】
ダイフレーム主面部110は、図23(b)に示すように、ダイス孔11cに対応する位置に、穿孔方向に貫通するダイス部装着用開口部110caを有する。ダイス部装着用開口部110caは、穿孔方向に延出する円筒状をなしその先端部110cdに雌ネジ部110cbが形成されている。
【0095】
ダイス部111cは、図23(b)に示すように、穿孔方向に軸線を有する形で円筒状に貫通するダイス孔11cを有する円筒状の本体部111cdと、その本体部111cdの穿孔方向側の先端から外向きに広がる環状のフランジ部111ccと、を有する。本体部111cdは、雄ネジ部として形成されている。
【0096】
これらダイフレーム主面部110とダイス部111cとを固定する際には、ダイフレーム主面部110の円筒状のダイス部装着用開口部110caに、ダイス部111cの円筒状の本体部111ccを、穿孔方向逆側から嵌合させ、ダイス部111cの雄ネジ部110cbを、ダイフレーム主面部110の雌ネジ部110cbにねじ込む。これにより、図23(a)に示すように、ダイフレーム11(ダイフレーム主面部110)とダイス部111cとが着脱可能に固定される。
【符号の説明】
【0097】
11 ダイフレーム

110 ダイフレーム主面部(本体部)
11a〜11e ダイス孔
111a〜111e ダイス部
12 フレーム
21〜25 パンチピン
21a〜25a 往復摺動部(本体部)
21b〜25b 穿孔刃部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定められた穿孔方向に往復動するパンチピンと、主面部に前記パンチピンが挿通されるダイス孔を有したダイフレームとを、前記主面部上のシート材を穿孔する穿孔機構として備えるシート穿孔装置であって、
前記穿孔機構において、穿孔時に前記シート材を直接押圧する、もしくは押圧された前記シート材によって直接押圧される押圧部位が、別体部品として本体部に対し着脱可能に固定されていることを特徴とするシート穿孔装置。
【請求項2】
前記パンチピンは、装置本体側に対し前記穿孔方向に往復動可能に保持される柱状の往復摺動部と、前記シート材を穿孔する穿孔刃を有した穿孔刃部とを備え、前記押圧部位は前記穿孔刃部であって、前記本体部をなす前記往復摺動部の先端に着脱可能に締結固定されている請求項1に記載のシート穿孔装置。
【請求項3】
前記往復摺動部と前記穿孔刃部とが着脱可能な形でネジ固定されている請求項2に記載のシート穿孔装置。
【請求項4】
前記往復摺動部と前記穿孔刃部とのいずれかに雌ネジ部が形成され、他方に雄ネジ部が形成されており、前記穿孔方向又はその逆方向において前記雌ネジ部に前記雄ネジ部がねじ込まれるよう、前記穿孔刃部を前記往復摺動部に向けてねじ込むことで、前記穿孔刃部が前記往復摺動部の先端にネジ固定される請求項3に記載のシート穿孔装置。
【請求項5】
前記往復摺動部に形成された前記雌ネジ部に対し、別体に形成されたネジ部材が、筒状の前記穿孔刃部の内部を前記穿孔方向逆向きに挿通し、なおかつ該穿孔刃部の一部を前記穿孔方向において挟み込む形でねじ込まれることで、前記穿孔刃部が前記往復摺動部の先端にネジ固定される請求項3に記載のシート穿孔装置。
【請求項6】
前記雌ネジ部は、雄ネジ部がねじ込まれるに従い入り口側ほどねじ込み方向に対し外向きに押し広げられる弾性変形が生じ、押し広げられた状態で該雄ネジ部と締結される請求項4又は請求項5に記載のシート穿孔装置。
【請求項7】
前記ダイフレームは、フレーム本体部と、ダイス孔を有するダイス部とを備え、前記押圧部位は前記ダイス部であって、前記本体部をなす前記フレーム本体部に設けられたダイス部装着用開口部に着脱可能な形で締結固定されている請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のシート穿孔装置。
【請求項8】
前記フレーム本体部と前記ダイス孔部とがネジ部材によりねじ固定されている請求項7に記載のシート穿孔装置。
【請求項9】
前記シート材は、画像形成装置内もしくは画像形成装置から排出されたものであり、これを搬入した後、一旦停止させたシート材に対し穿孔が実行される請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載のシート穿孔装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2012−232394(P2012−232394A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−104531(P2011−104531)
【出願日】平成23年5月9日(2011.5.9)
【出願人】(000006932)リコーエレメックス株式会社 (708)
【Fターム(参考)】