説明

シート装置

【課題】 上部材及び下部材が起立される際の上部材と下部材との間のロックの自動解除機構を部品点数が増加することなく容易に設置できるシート装置を得る。
【解決手段】 シート装置10では、後格納リンク24が前側へ回動されることで、カム部26が解除ピン52を押圧操作してシートクッション46とシートバック48との間のロックが解除されると共に、シートバック48及びシートクッション46が前方格納状態にされる。このように、シートバック48及びシートクッション46を前方格納状態にするための後格納リンク24が、シートクッション46とシートバック48との間のロックを自動で解除する。このため、シートクッション46とシートバック48との間のロックの自動解除機構を、部品点数が増加することなく容易に設置できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗員の傾動を支持する上部材と乗員を載置した状態で支持する下部材とを備えたシート装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シート装置としては、リクライニング手段が解除されることで、シートバックがシートクッション側へ前倒し可能にされるものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このシート装置では、リクライニング手段がリクライニングレバー及びリリースピンを備えている。リクライニングレバーは、回動可能に軸支されると共に、リリースピンに対して凸の湾曲カム形状にされた操作片が形成されており、リクライニングレバーが回動されて操作片にリリースピンが押されることで、リリースピンが移動されてリクライニング手段が解除される。
【0004】
ところで、シート装置としては、シートバック及びシートクッションを起立させた状態に格納できるものが開発されつつある。
【0005】
ここで、このシート装置において、仮に、リクライニング手段と車体側との間にケーブルを接続し、かつ、シートバック及びシートクッションを起立させる際にケーブルがリクライニング手段の車体側に対する移動によってスライド移動されることで、リクライニング手段が自動で解除される構成としたとする。
【0006】
しかしながら、この場合には、リクライニング手段の自動解除のみに使用される部品(ケーブルの他、リクライニング手段の車体側に対する移動によってケーブルがスライド移動されるようにケーブルの経路を規定する部品等)が必要になる。このため、部品点数が増加して、高コストになると共に重量が増加するという問題が生じる。
【0007】
しかも、シートバックやシートクッションの起立される際の動きが大きいため、ケーブルを長くする必要があり、ケーブルのスライド移動の経路を確保することが困難である。このため、リクライニング手段の自動解除機構の設置が困難であるという問題も生じる。
【0008】
また、このシート装置では、シートバック及びシートクッションが起立される際のシートバックやシートクッションへの衝撃を緩和できることや、シートバック及びシートクッションが起立された際のシートバックやシートクッションのガタを低減できることが望まれている。
【特許文献1】特開2000−4971公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記事実を考慮し、上部材及び下部材が起立される際における上部材と下部材との間のロックの自動解除機構を部品点数が増加することなく容易に設置できるシート装置、上部材及び下部材が起立される際の上部材及び下部材の少なくとも一方への衝撃を緩和できるシート装置、及び、上部材及び下部材が起立された際に上部材及び下部材の少なくとも一方のガタを低減できるシート装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載のシート装置は、起立された状態に設けられ、乗員の傾動を支持する上部材と、前記上部材との間でロックされて前記上部材との角度が固定されることで前記上部材から延伸され、乗員を載置した状態で支持する下部材と、操作されることで前記上部材と前記下部材との間のロックが解除される解除部材と、移動されることで前記解除部材を操作すると共に前記上部材及び下部材が起立される移動部材と、を備えている。
【0011】
請求項2に記載のシート装置は、請求項1に記載のシート装置において、前記移動部材は、前記解除部材を操作する前に付勢力によって移動される、ことを特徴としている。
【0012】
請求項3に記載のシート装置は、請求項1または請求項2に記載のシート装置において、前記移動部材が前記解除部材を操作した後には前記上部材及び下部材が自重によって起立される、ことを特徴としている。
【0013】
請求項4に記載のシート装置は、起立された状態に設けられ、乗員の傾動を支持する上部材と、前記上部材から延伸され、乗員を載置した状態で支持する下部材と、移動されることで前記上部材及び下部材が起立される移動部材と、前記移動部材に設けられた突出部と、前記上部材及び下部材の少なくとも一方に設けられると共に、前記移動部材側への付勢力が付与され、前記上部材及び下部材が起立される前に前記突出部を付勢力に抗して乗り越える乗越部材と、を備えている。
【0014】
請求項5に記載のシート装置は、起立された状態に設けられ、乗員の傾動を支持する上部材と、前記上部材から延伸され、乗員を載置した状態で支持する下部材と、移動されることで前記上部材及び下部材が起立される移動部材と、前記上部材及び下部材の少なくとも一方に設けられ、前記上部材及び下部材が起立された際に前記移動部材に係合することで前記移動部材に対する位置が規定される係合部材と、を備えている。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載のシート装置では、上部材と下部材との間がロックされて上部材と下部材との角度が固定されることで、上部材が起立された状態に設けられると共に、下部材が上部材から延伸されており、下部材が乗員を載置した状態で支持すると共に、上部材が乗員の傾動を支持する。また、解除部材が操作されることで、上部材と下部材との間のロックが解除される。
【0016】
ここで、移動部材が移動されることで、移動部材が解除部材を操作して上部材と下部材との間のロックが解除されると共に、上部材及び下部材が起立される。このように、上部材及び下部材を起立させるための移動部材が、上部材と下部材との間のロックを自動で(上部材及び下部材を起立させる操作のみで)解除する。このため、上部材と下部材との間のロックの自動解除機構を、部品点数が増加することなく容易に設置することができる。
【0017】
請求項2に記載のシート装置では、移動部材が解除部材を操作する前に付勢力によって移動されるため、簡単に上部材及び下部材を起立させることができる。
【0018】
請求項3に記載のシート装置では、移動部材が解除部材を操作した後に、上部材及び下部材が自重によって起立されるため、簡単に上部材及び下部材を起立させることができる。
【0019】
請求項4に記載のシート装置では、上部材が起立された状態に設けられると共に、下部材が上部材から延伸されており、下部材が乗員を載置した状態で支持すると共に、上部材が乗員の傾動を支持する。また、移動部材が移動されることで、上部材及び下部材が起立される。
【0020】
ここで、移動部材に突出部が設けられると共に、上部材及び下部材の少なくとも一方に設けられた乗越部材に移動部材側への付勢力が付与されており、上部材及び下部材が起立される前に乗越部材が突出部を付勢力に抗して乗り越える。このため、上部材及び下部材が起立される際の上部材及び下部材の少なくとも一方への衝撃を緩和することができる。
【0021】
請求項5に記載のシート装置では、上部材が起立された状態に設けられると共に、下部材が上部材から延伸されており、下部材が乗員を載置した状態で支持すると共に、上部材が乗員の傾動を支持する。また、移動部材が移動されることで、上部材及び下部材が起立される。
【0022】
ここで、上部材及び下部材が起立された際には、上部材及び下部材の少なくとも一方に設けられた係合部材が移動部材に係合することで、係合部材の移動部材に対する位置が規定される。これにより、上部材及び下部材の少なくとも一方の位置が規定されるため、上部材及び下部材の少なくとも一方のガタを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1には、本発明の実施の形態に係るシート装置10が車両左側から見た側面図にて示されている。なお、本実施の形態では、車両前方を「前方」といい、車両後方を「後方」といい、車両右方を「右方」といい、車両左方を「左方」という。
【0024】
本実施の形態に係るシート装置10は、車両の車室12に配置されている。車室12の床部14には、略長尺板状のベースリンク16が一対固定されており、ベースリンク16は前後方向に平行に配置されている。ベースリンク16には、前後方向略中央部分において円柱状の前ストライカ18が固定されると共に、後端において円柱状の後ストライカ20が固定されている。
【0025】
ベースリンク16の前部には、長尺板状の前格納リンク22の基端(下端)が回動可能に支持されると共に、ベースリンク16の後部には、移動部材としての長尺板状の後格納リンク24の基端(下端)が回動(移動)可能に支持されている。ベースリンク16と前格納リンク22及び後格納リンク24の少なくとも一方との間にはスプリング(図示省略)が架け渡されており、前格納リンク22及び後格納リンク24には、前側(一側)かつ上側へ回動する方向への付勢力が付与されている。
【0026】
左側(一方)の後格納リンク24の先端(上端)は、略4等分にされた円形板状に形成されて、下側へ突出するカム部26にされている。カム部26外周面の前部には、突出部としての第1突出部28、及び、第2突出部30が隣接して形成されており、第1突出部28及び第2突出部30の連続する内周面は断面略円弧状に形成されている(図5参照)。
【0027】
前格納リンク22の先端(上端)及び後格納リンク24の先端(上端)には、略L字形板状のベース32の下側部位の前端及び後部がそれぞれ回動可能に支持されている。ベース32の下側部位前部には前ロック部34が設けられており、前ロック部34にベースリンク16の後ストライカ20がロックされることで、ベース32、前格納リンク22及び後格納リンク24が回動を阻止されて固定されている。左側(一方)のベース32の下側部位後部上端には、案内孔36が貫通形成されており、案内孔36は、上側へ湾曲された状態に斜め上方前側へ延伸されている(図5参照)。
【0028】
ベース32の下側部位後部には、後ロック部38が設けられている。後ロック部38にはロック孔40が貫通形成されており、ロック孔40は下側へ開放されている。後ロック部38には、板状のフック42が回転可能に設けられている(図6参照)。フック42には保持孔44が貫通形成されており、保持孔44は後側(他側)へ開放されている。フック42は、保持孔44がロック孔40に重なる位置に、図6の矢印Aの方向への付勢力が付与された状態で配置されている。
【0029】
一対のベース32の下側部位間には、下部材としてのシートクッション46の後部が固定されており、シートクッション46は、一対のベース32から前側へ略水平に延伸している。さらに、一対のベース32の上側部位間には、上部材としてのシートバック48の下部が回動可能に支持されている。シートクッション46の後部とシートバック48の下部との間にはリクライナ50が架け渡されており、リクライナ50がシートクッション46とシートバック48との間をロックすることで、シートクッション46とシートバック48との角度が固定されている。これにより、シートクッション46及びシートバック48が通常使用状態にされて、シートクッション46がシート装置10に着座した乗員(図示省略)を載置した状態で支持すると共に、シートバック48が前記乗員の傾動を支持する。
【0030】
リクライナ50には、解除部材、乗越部材及び係合部材としての円柱状の解除ピン52が設けられており、解除ピン52は、左側のベース32の左方へ案内孔36から突出されると共に、付勢力が付与されて案内孔36の下部に配置されている。また、リクライナ50は、シートバック48に対してシートクッション46を後側かつ上側へ回動させる方向への付勢力を付与している。
【0031】
シートバック48の上部後面には、解除レバー54(プッシュレバー)が設けられており、解除レバー54は、各ベース32の前ロック部34及び後ロック部38に接続されると共に、前側へ押操作可能とされた構成である。
【0032】
次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0033】
以上の構成のシート装置10では、リクライナ50によってシートバック48とシートクッション46との間がロックされてシートクッション46に対するシートバック48の角度が固定されることで、シートバック48が略垂直に起立された状態で設けられると共に、シートクッション46がシートバック48から前側へ略水平に延伸された通常使用状態とされている。これにより、シートクッション46が乗員を載置した状態で支持すると共に、シートバック48が乗員の傾動を支持する。
【0034】
シートバック48及びシートクッション46の通常使用状態から、一時的に解除レバー54が前側へ押操作されることで、各後ストライカ20の各前ロック部34へのロックが解除されて、各前格納リンク22及び各後格納リンク24が、シートバック48及びシートクッション46を支持しつつ、付与された付勢力によって基端を中心に前側かつ上側へ回動され、図2に示す格納途中状態にされる。
【0035】
図2に示す格納途中状態では、左側の後格納リンク24先端におけるカム部26の一側面が解除ピン52に接触している(図5の2点鎖線参照)。このため、シートバック48及びシートクッション46(各ベース32を含む)が後側へ回動されつつ、各後格納リンク24が基端を中心に前側かつ下側へ回動されることで、カム部26の一側面が解除ピン52を押圧操作して、解除ピン52が、付与された付勢力に抗して、カム部26の外周面へ移動されると共に、案内孔36に案内されつつ案内孔36の上部に移動される。これにより、リクライナ50によるシートクッション46とシートバック48との間のロックが解除されることで、シートバック48とシートクッション46との間にリクライナ50により付与された付勢力及びシートバック48及びシートクッション46の自重によって、各前格納リンク22が基端を中心に後側かつ下側へ回動されると共に、各後格納リンク24が基端を中心に前側かつ下側へ回動されつつ、解除ピン52がカム部26の外周面を移動されて、図3に示す如く、シートバック48及びシートクッション46が起立されると共に重ね合わされた前方格納状態にされる。
【0036】
図3に示す前方格納状態では、図6に詳細に示す如く、各後ロック部38のロック孔40内に各前ストライカ18が挿入されて、各前ストライカ18によって各フック42が付与された付勢力に抗して図6の反矢印Aの方向へ一時的に回転されることで、各前ストライカ18が各フック42の保持孔44に挿入されている。これにより、各前ストライカ18が各ロック孔40及び各保持孔44に保持されて各後ロック部38にロックされることで、シートバック48及びシートクッション46の前方格納状態がロックされている。さらに、カム部26の外周面を移動する解除ピン52が付与された付勢力に抗して第1突出部28を乗り越えることで、解除ピン52が第1突出部28と第2突出部30との間に嵌合(係合)されている(図5の1点鎖線参照)。
【0037】
ここで、シートバック48及びシートクッション46の通常使用状態から、左側の後格納リンク24が前側へ回動されることで、当該後格納リンク24のカム部26が解除ピン52を押圧操作して、リクライナ50によるシートクッション46とシートバック48との間のロックが解除されると共に、シートバック48及びシートクッション46が前方格納状態にされる。このように、シートバック48及びシートクッション46を前方格納状態にするための左側の後格納リンク24が、シートクッション46とシートバック48との間のロックを自動で(シートバック48及びシートクッション46を前方格納状態にする操作のみで)解除する。このため、シートクッション46とシートバック48との間のロックの自動解除機構を、部品点数が増加することなく容易に設置することができる。
【0038】
さらに、カム部26が解除ピン52を押圧操作する前には、各前格納リンク22及び各後格納リンク24が付勢力によって移動される。しかも、カム部26が解除ピン52を押圧操作した後には、シートバック48及びシートクッション46がリクライナ50の付勢力及び自重によって前方格納状態にされる。このため、簡単にシートバック48及びシートクッション46を前方格納状態にすることができる。
【0039】
また、シートバック48及びシートクッション46が前方格納状態にされる直前には、解除ピン52が付与された付勢力に抗してカム部26外周面の第1突出部28を乗り越えることで、シートバック48及びシートクッション46の動作速度が遅くされる。このため、シートバック48及びシートクッション46が前方格納状態にされる際のシートバック48及びシートクッション46等への衝撃を緩和することができると共に、特別に当該衝撃を緩和する機構を別途設ける必要をなくすことができる。
【0040】
さらに、シートバック48及びシートクッション46が前方格納状態にされた際には、各前ストライカ18が各後ロック部38にロックされるのみならず、解除ピン52がカム部26外周面の第1突出部28と第2突出部30との間に嵌合されて左側の後格納リンク24に対する解除ピン52の位置が規定される。これにより、シートバック48の位置が規定されるため、シートバック48及びシートクッション46のガタ(特にシートバック48及びシートクッション46の上端部のガタ)を低減することができると共に、特別にシートバック48及びシートクッション46の前方格納状態をロックする機構を別途設ける必要をなくすことができる。
【0041】
一方、シートバック48及びシートクッション46の前方格納状態から、一時的に解除レバー54が前側へ押操作されることで、各フック42が付与された付勢力に抗して図6の反矢印Aの方向へ一時的に回転されて、各前ストライカ18が各フック42の保持孔44から離脱され、各前ストライカ18の各後ロック部38へのロックが解除される。さらに、この状態で、シートバック48及びシートクッション46が重ね合わされたまま前側かつ下側へ回動されつつ、各前格納リンク22及び各後格納リンク24が基端を中心に後側へ回動されることで、各前ストライカ18が各後ロック部38のロック孔40から離脱し、更に、図4に示す如く、各後ストライカ20が各前ロック部34にロックされて、復帰途中状態にされる。
【0042】
図4に示す復帰途中状態では、解除ピン52が、付与された付勢力に抗してカム部26外周面の第1突出部28を乗り越えて、カム部26の外周面を移動された後に、カム部26から離間することで、付与された付勢力によって案内孔36に案内されつつ案内孔36の下部に移動されている。
【0043】
さらに、この復帰途中状態から、解除ピン52が付与された付勢力に抗して案内孔36の上部に移動された状態で、シートバック48がリクライナ50による付勢力に抗して後側かつ上側へ回動されることで、シートバック48が起立された後、解除ピン52が付与された付勢力によって案内孔36の下部に移動されてシートバック48とシートクッション46との間がリクライナ50によってロックされる。これにより、シートバック48及びシートクッション46が図1に示す通常使用状態に復帰される。
【0044】
ここで、仮にカム部26の外周面に第1突出部28及び第2突出部30が存在しないとすると、シートバック48及びシートクッション46の前方格納状態からシートバック48の回動が阻止されていない状態で解除レバー54が図6の矢印F1の方向(前側)へ押操作された際には、各フック42と各前ストライカ18とが金属同士で接触し、各前ストライカ18から各フック42が図6の矢印F2の方向(後側)へ押圧力を受けて、各フック42が各前ストライカ18との間で図6の矢印F3の方向(下側)への摩擦力を受ける。このため、解除レバー54が図6の矢印F1の方向へ押操作されても、前記摩擦力によって各フック42が図6の反矢印Aの方向へ回転できずに、各前ストライカ18の各後ロック部38へのロックを解除できない可能性がある。
【0045】
一方、本実施の形態では、シートバック48及びシートクッション46の前方格納状態において、解除ピン52がカム部26外周面の第1突出部28と第2突出部30との間に嵌合されている。このため、シートバック48及びシートクッション46の前方格納状態からシートバック48の回動が阻止されていない状態で解除レバー54が図6の矢印F1の方向へ押操作された際でも、解除ピン52から第1突出部28が図6の矢印F4の方向(上側)への押圧力を受けることで、各前ストライカ18から各フック42への図6の矢印F2の方向への押圧力が発生することを防止して、各フック42への各前ストライカ18との間での図6の矢印F3の方向への摩擦力が発生することを防止できる。これにより、シートバック48の回動が阻止されていない場合でも、解除レバー54が図6の矢印F1の方向へ押操作されることで、確実に、各フック42が図6の反矢印Aの方向へ回転されて、各前ストライカ18の各後ロック部38へのロックを解除することができる。
【0046】
なお、本実施の形態では、後格納リンク24がシートバック48及びシートクッション46を支持する構成としたが、後格納リンク24がシートバック48及びシートクッション46の何れか一方を支持する構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施の形態に係るシート装置の通常使用状態を示す車両左側から見た側面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るシート装置の格納途中状態を示す車両左側から見た側面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るシート装置の前方格納状態を示す車両左側から見た側面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るシート装置の復帰途中状態を示す車両左側から見た側面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るシート装置における後格納リンクの回動に対する解除ピンの動作を詳細に示す車両左側から見た側面図である。
【図6】本発明の実施の形態に係るシート装置の前方格納状態を詳細に示す車両左側から見た側面図である。
【符号の説明】
【0048】
10 シート装置
24 後格納リンク(移動部材)
28 第1突出部(突出部)
46 シートクッション(下部材)
48 シートバック(上部材)
52 解除ピン(解除部材、乗越部材、係合部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
起立された状態に設けられ、乗員の傾動を支持する上部材と、
前記上部材との間でロックされて前記上部材との角度が固定されることで前記上部材から延伸され、乗員を載置した状態で支持する下部材と、
操作されることで前記上部材と前記下部材との間のロックが解除される解除部材と、
移動されることで前記解除部材を操作すると共に前記上部材及び下部材が起立される移動部材と、
を備えたシート装置。
【請求項2】
前記移動部材は、前記解除部材を操作する前に付勢力によって移動される、ことを特徴とする請求項1記載のシート装置。
【請求項3】
前記移動部材が前記解除部材を操作した後には前記上部材及び下部材が自重によって起立される、ことを特徴とする請求項1または請求項2記載のシート装置。
【請求項4】
起立された状態に設けられ、乗員の傾動を支持する上部材と、
前記上部材から延伸され、乗員を載置した状態で支持する下部材と、
移動されることで前記上部材及び下部材が起立される移動部材と、
前記移動部材に設けられた突出部と、
前記上部材及び下部材の少なくとも一方に設けられると共に、前記移動部材側への付勢力が付与され、前記上部材及び下部材が起立される前に前記突出部を付勢力に抗して乗り越える乗越部材と、
を備えたシート装置。
【請求項5】
起立された状態に設けられ、乗員の傾動を支持する上部材と、
前記上部材から延伸され、乗員を載置した状態で支持する下部材と、
移動されることで前記上部材及び下部材が起立される移動部材と、
前記上部材及び下部材の少なくとも一方に設けられ、前記上部材及び下部材が起立された際に前記移動部材に係合することで前記移動部材に対する位置が規定される係合部材と、
を備えたシート装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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