説明

シート貼付装置及び貼付方法

【課題】供給手段と被着体における接着シートの被着面との距離が長くなっても、接着シートを貼付するための単位時間当たりの処理能力が低下することを抑制できるシート貼付装置及びシート貼付方法を提供する。
【解決手段】搬送される被着体Wにおける接着シートSの被着面Wsの位置を検出するラインセンサ15と、接着シートSを供給位置SPに供給する単一のラベルプリンタ11と、この供給位置SPで接着シートSを保持して被着体Wに押圧可能な第1及び第2の吸着ヘッド31、41を有する押圧手段12と、これら手段を制御する制御手段17とを備えてシート貼付装置10が構成されている。制御手段17は、ラインセンサ15により検出された連続して搬送される二つの被着体Wに対して、第1の吸着ヘッド31と第2の吸着ヘッド41とを押圧動作させて被着体Wに接着シートSを貼付するよう制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート貼付装置及び貼付方法に係り、更に詳しくは、貼付位置の異なる複数の被着体に接着シートを効率良く貼付することができるシート貼付装置及び貼付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、被着体にラベル等の接着シートを貼付するシート貼付装置が広く利用されるに至っており、かかるシート貼付装置としては、例えば、特許文献1及び2に開示されている。各文献のシート貼付装置は、接着シートを保持して押圧する方向に移動することにより接着シートを被着体に貼付可能な押圧手段と、剥離シートから接着シートを剥離して押圧手段に供給する供給装置とを備えている。各文献のシート貼付装置では、接着シートの貼付を行う度に、押圧手段を接着シートの供給位置と被着体の貼付位置との間で往復移動させるようになっている。また、引用文献1のシート貼付装置は、被着体毎に被着面の位置を検出し、前記供給位置から貼付位置までの距離が変化しても、これに応じて各被着体に接着シートの貼付が行えるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−170425号公報
【特許文献2】特開2007−62756号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1及び2にあっては、供給手段と被着体における接着シートの被着面との距離が長くなると、押圧手段の往復移動に要する時間が長くなるため、所定時間内での接着シートの貼付能力(以下「能力」という」が低下する、という不都合を招来する。ここで、押圧手段の往復動作を早くすれば能力の低下を抑制できるが、往復動作のための駆動手段に負担がかかってしまい、その耐久性が低下する、という不都合がある。
【0005】
また、特許文献2にあっては、単一の供給手段に対して複数の保持部を有するものの、被着面の位置を検出して能力低下を抑制しようとする構成のものではない。
【0006】
[発明の目的]
本発明は、このような不都合に着目して案出されたものであり、その目的は、供給手段と被着体における接着シートの被着面との距離が長くなっても、能力が低下することを抑制することができるシート貼付装置及び貼付方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明は、被着体における接着シートの被着面の位置を検出する検出手段と、前記接着シートを所定の供給位置に供給する単一の供給手段と、この供給位置で接着シートを保持して被着体に押圧可能な複数の保持部を有する押圧手段と、これら手段を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、検出手段により検出された被着面の位置に応じて何れか一の保持部を選択的に押圧動作させるよう制御する、という構成を採っている。
【0008】
また、本発明は、搬送される被着体における接着シートの被着面の位置を検出する検出手段と、前記接着シートを所定の供給位置に供給する単一の供給手段と、この供給位置で接着シートを保持して被着体に押圧可能な第1及び第2の保持部を有する押圧手段と、これら手段を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、検出手段により検出された連続して搬送される二つの被着体に対して、それぞれの被着面の位置から供給位置までの距離の合計が所定値以下若しくは所定値より小さい場合、先に第1の保持部を押圧動作させたときには、その後も第1の保持部を押圧動作させ、先に第2の保持部を押圧動作させたときには、その後も第2の保持部を押圧動作させて被着体に接着シートを貼付し、前記距離の合計が所定値より大きい若しくは所定値以上の場合、先に第1の保持部を押圧動作させたときには、その後に第2の保持部を押圧動作させ、先に第2の保持部を押圧動作させたときには、その後に第1の保持部を押圧動作させて被着体に接着シートを貼付するよう制御する、という構成を採っている。
【0009】
本発明において、前記押圧手段は、前記保持部を被着体に離間接近させるとともに、保持部の移動速度を変化可能な移動手段を含み、
前記移動手段は、接着シートの保持後、検出手段で検出された被着面に接着シートが達する直前位置まで保持部を第1の速度で移動させる一方、前記直前位置から接着シートを押圧する押圧位置まで保持部を第2の速度で移動させ、前記第1の速度は、第2の速度より速く設定される、という構成を採ることが好ましい。
【0010】
また、本発明の貼付方法は、被着体に接着シートを貼付するシート貼付方法において、
搬送される前記被着体における接着シートの被着面を検出手段により検出する工程と、
前記被着面から所定距離離れた供給位置に接着シートを供給する工程と、
前記検出手段により検出された連続して搬送される二つの被着体に対して、それぞれの被着面の位置から供給位置までの距離の合計を所定値と比較する工程と、
前記比較の結果、前記距離の合計が所定値以下若しくは所定値より小さい場合、先に第1の保持部を押圧動作させたときには、その後も第1の保持部を押圧動作させ、先に第2の保持部を押圧動作させたときには、その後も第2の保持部を押圧動作させて被着体に接着シートを貼付し、前記距離の合計が所定値より大きい若しくは所定値以上の場合、先に第1の保持部を押圧動作させたときには、その後に第2の保持部を押圧動作させ、先に第2の保持部を押圧動作させたときには、その後に第1の保持部を押圧動作させて被着体に接着シートを貼付する工程とを備える、という方法を採っている。
【0011】
本発明の貼付方法において、前記押圧動作時に、移動手段により、接着シートの保持後検出手段で検出された被着面に接着シートが達する直前位置まで保持部を第1の速度で移動し、前記直前位置から接着シートを押圧する押圧位置まで、第1の速度より遅い第2の速度で保持部を移動するとよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、接着シートを押圧可能な保持部を複数設け、検出手段により検出される被着面の位置に応じて何れか一の保持部が押圧動作を行うので、供給手段が接着シートを供給する供給位置と被着体における接着シートの被着面との距離が長くなっても、各保持部を交互に押圧動作させる等により、能力の低下を抑制することができる。
【0013】
また、連続して搬送される二つの被着体に対して、それぞれの被着面の位置から供給位置までの距離の合計が所定値以下若しくは所定値よりも小さい場合、つまり、単一の保持部の動作だけで能力を達成できる範囲である場合は、第1又は第2の保持部だけを押圧動作させ、前記距離の合計が所定値よりも大きい若しくは所定値以上の場合、つまり、単一の保持部の動作だけでは能力を達成できない距離である場合は、先に第1の保持部を押圧動作させたときには、その後に第2の保持部を押圧動作させ、先に第2の保持部を押圧動作させたときには、その後に第1の保持部を押圧動作させる、すなわち、第1の保持部と第2の保持部とを交互に押圧動作させるよう制御する。これにより、供給手段と被着体における接着シートの被着面との距離が長くなっても、能力が低下することを抑制することができる。
【0014】
更に、第1及び第2の速度により保持部を移動させることで、比較的早い第1の速度で保持部を移動させてこの移動に要する時間を短縮し、第1の速度よりも比較的遅い第2の速度で接着シートを被着面に貼付することができるので、被着体への攻撃性を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施形態に係るシート貼付装置の概略正面図。
【図2】図1の概略斜視図。
【図3】(A)〜(E)は、押圧手段の動作説明図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0017】
図1〜図3において、実施形態に係るシート貼付装置10は、被着体Wに貼付するための接着シートSを供給する単一の供給手段としてのラベルプリンタ11と、このラベルプリンタ11から供給された接着シートSを被着体Wに押圧して貼付する押圧手段12と、接着シートSを貼付する被着体Wの被着面Ws(図1中上面)の位置を検出する検出手段としてのラインセンサ15と、ラベルプリンタ11、押圧手段12及びラインセンサ15等を制御する制御手段17とを備えて構成されている。なお、被着体Wは、ベルトコンベア等からなる搬送手段13によって、図1中左方向に向かって搬送される。
【0018】
前記ラベルプリンタ11は、帯状の剥離シートRLに接着シートSが所定間隔を隔てて仮着されたロール状の原反Rを支持する支持軸20と、この支持軸20から繰り出された原反Rの接着シートSに所定の印字を施す印字ヘッド21と、印字ヘッド21を経た後の剥離シートRLを折り返して当該剥離シートRLから接着シートSを剥離するピールプレート22と、ピールプレート22を経た後の剥離シートRLを挟み込む駆動ローラ24及びピンチローラ25と、これらを通過した後の剥離シートRLを図示しない駆動源によって所定のトルクで巻き取る巻取軸26とを備えている。印字ヘッド21は、ピールプレート22に繰り出される前の原反Rの上部に位置し、その具体的な構成については、詳細な説明を省略するが、感熱紙からなる接着シートSに印字可能なサーマルヘッドによって構成したり、インキリボン使用する場合は、当該インキリボンをサーマルヘッドと接着シートSとの間に繰り出せるような構成としたりすればよい。駆動ローラ24は、モータMを介して回転可能に設けられている。ラベルプリンタ11は、ピールプレート22の先端位置を接着シートSの供給位置SPとして、押圧手段12に接着シートSを供給するようになっている。なお、印字ヘッド21による印字内容は、特に限定されることではないが、個々の被着体Wの個別情報や、被着体Wを発送するための送り先の情報等が印字される。
【0019】
前記押圧手段12は、図1中紙面直交方向に並ぶ第1及び第2の押圧部30、40とからなる。ここで、第1及び第2の押圧部30、40は、略同様の構造となっており、以下において、特に明示しない限り、第1の押圧部30の構造について説明し、第2の押圧部40の説明は、第1の押圧部30の構成名称先頭の「第1」を「第2」に、符号先頭の「3」を「4」に代えることで説明ができるので省略する。
【0020】
第1の押圧部30は、供給位置SPで接着シートSを吸着保持可能な第1の保持部としての第1の吸着ヘッド31と、この第1の吸着ヘッド31を下面で支持する第1の単軸ロボット32と、この第1の単軸ロボット32のスライダ32Aに出力軸34Aが連結され、第1の単軸ロボット32と第1の吸着ヘッド31とを昇降可能に設けられた第1の移動手段としての第1のサーボモータ34とを備えている。第1の単軸ロボット32は、スライダ32Aを動作させることで、第1の単軸ロボット32自体が図3中左右に移動し、これに支持される第1の吸着ヘッド31も左右方向に移動可能となっている。第1のサーボモータ34は、出力軸34Aを昇降させる速度を変化可能に設けられている。なお、第1の吸着ヘッド31は、第1の単軸ロボット32の図3中右端よりに設けられ、第2の吸着ヘッド41は、第2の単軸ロボット42の同図中左端よりに設けられる。
【0021】
前記搬送手段13には、搬送される被着体Wを押圧手段12の下方位置で停止させるストッパ50が設けられている。ストッパ50は、ローラ51間に位置するとともに、シリンダ52によって、ローラ51の上面に出没自在に設けられている。
【0022】
前記ラインセンサ15は、投受光タイプのラインセンサからなり、投光器から発光される光を受光器が受け、搬送手段13で搬送される被着体Wによって遮られる位置を制御手段17に出力する。これにより、制御手段17は、被着面Wsの位置を特定し、供給位置SPから被着面Wまでの距離を算出する。
【0023】
前記制御手段17は、シーケンサやパーソナルコンピュータ等で構成することができる。制御手段17には、操作パネル等からなる図示しない入力手段が接続され、この入力手段により各手段の作動条件やデータ等を入力可能となっている。また、制御手段17は、ラインセンサ15の検出結果に基づき、ラベルプリンタ11による接着シートSの供給タイミング、各吸着ヘッド31、41による接着シートSの支持及びその解除、各単軸ロボット32、42や各サーボモータ34、44の移動方向、移動量、移動速度等の条件を決定し、これらを制御する機能を備えている。
【0024】
次に、本実施形態の全体的な動作について説明する。
なお、特に限定されることではないが、本実施形態の場合被着体Wは、搬送手段13によって最大で1分間に30個の被着体Wが搬送されてシート貼付装置10に供給されることとなっている。よって、本実施形態のシート貼付装置10は、1分間に30個の被着体Wに接着シートSを貼付できる能力を有すればよいこととなる。つまり、シート貼付装置10は、先行する被着体Wに接着シートSを貼付した時点から、次の被着体Wに接着シートSを貼付するまでの1サイクルの時間が2秒以内であれば、能力を達成することができる。
【0025】
1個目の被着体W1(以下「第1被着体W1」という)が搬送手段13によって搬送されてくると、ラインセンサ15によりその被着面W1sの高さが検出される。そして、そのデータが制御手段17に出力され、供給位置SPから被着面W1sまでの距離L1が特定される。このとき、第1被着体W1に貼付された図示しないバーコードが図示しないバーコードリーダによって読み取られ、そのバーコードのデータを基に制御手段17がラベルプリンタ11に第1被着体W1の個別情報や、第1被着体W1を発送するための送り先データ等を印字するように指示して接着シートS1に印字を施す。そして、押圧手段12の下方まで第1被着体W1が搬送されると、ストッパ50により第1被着体W1の搬送が停止される。
【0026】
そして、ラベルプリンタ11において、印字が完了した接着シートS1はピールプレート22により剥離シートRLから剥離され、供給位置SPで第1の吸着ヘッド31により吸着保持される(図3(A)参照)。次いで、第1のサーボモータ34を作動させ、第1の吸着ヘッド31を下降させることで、接着シートS1が被着面W1sに押圧されて貼付される(図3(B)参照)。この貼付後、第1の吸着ヘッド31による吸着が解除され、第1のサーボモータ34によって第1の吸着ヘッド31を上昇させ、ストッパ50を下降して搬送手段13により第1被着体W1を再度搬送させる。
【0027】
第1被着体W1に接着シートSが貼付される前に、2個目の被着体W(以下「第2被着体W2」という)がラインセンサ15によりその被着面W2sの高さが検出される。そして、そのデータが制御手段17に出力され、供給位置SPから被着面W2sまでの距離L2が特定される。このとき、第1被着体W1のときと同様にラベルプリンタ11に印字の指示が行われ、接着シートS2に印字を施す準備が行われる。
すると制御手段17は、供給位置SPから被着面W1sまでの距離L1と、供給位置SPから被着面W2sまでの距離L2との合計距離L3と所定値L0とを比較する。この比較の結果、合計距離L3が所定値L0以下の場合、制御手段17は、再び第1の吸着ヘッド31により接着シートS2を吸着保持させ、当該接着シートS2を第2被着体W2に貼付するように制御する。
【0028】
一方、前記比較の結果、合計距離L3が所定値L0よりも大きい場合、制御手段17は、その比較完了と同時に、供給位置SPで第2の吸着ヘッド41により接着シートS2を吸着保持させ、当該接着シートS2を第2被着体W2に貼付するように制御する。
【0029】
つまり、第1の吸着ヘッド31が第1被着体W1に接着シートS1を貼付した時点から、供給位置SPに戻って接着シートS2を受け取り、更に、その接着シートS2を第2被着体W2に貼付する時点までに、2秒以内で完了できるかどうかを見極める。具体的には、ラベルプリンタ11が接着シートSを供給位置SPに繰り出す時間に0.8秒、接着シートSを被着体に押圧する時間に0.2秒必要な場合、第1又は第2の吸着ヘッド31、32の移動に費やすことができる時間は、1秒となる。従って、第1、第2の吸着ヘッド31、32が移動する速度が予め分かっているので、供給位置SPから被着面Wsまでの距離が特定されれば、第1、第2の吸着ヘッド31、32が移動する時間も分かる。従って、例えば、第1、第2の吸着ヘッド31、32が移動する速度を100mm/sと仮定すると、所定値L0を100mmと設定すればよい。そして、距離L1が80mmであった場合、距離L2が20mm以下の場合は、上記のように再び第1の吸着ヘッド31が接着シートS2を第2被着体W2に貼付する。一方、距離L2が20mmよりも大きい場合は、上記のように第2の吸着ヘッド41が接着シートS2を第2被着体W2に貼付する。なお、このような動作は、第2被着体W2の後に搬送される図示しない被着体Wに対しても同様の制御が行われる。また、この条件で能力を達成するには、諸条件によって異なるが、距離L2の上限値は220mm前後となる。よって、このような制御によれば、高さが高い被着体Wが連続して搬送されれば、第1の押圧部30だけで貼付が行われ、高さが低い被着体Wが連続して搬送されれば、第1及び第2の押圧部30、40により交互に貼付が行われるようになる。また、高さが高い被着体Wと高さが低い被着体Wとが相互に搬送される場合は、条件によって第1の押圧部30だけで貼付が行われたり、第1及び第2の押圧部30、40により交互に貼付が行われたりすることとなる。
【0030】
ここで、第2の押圧部40で貼付を行う場合について説明すると、第1の押圧部30による貼付後、図3(C)に示されるように、第2の単軸ロボット42を作動させ、第2の吸着ヘッド41を供給位置SPに位置させる。次いで、ラベルプリンタ11によって供給位置SPに供給される接着シートを第2の吸着ヘッド41により吸着保持させる。次に、第1の単軸ロボット32を作動させ、第1の吸着ヘッド31を同図中左方向に移動させて供給位置SPの直下位置から退避させる。その後、第1のサーボモータ34を作動させ、第1の吸着ヘッド31を上昇させるとともに、第2の押圧部40により、前述した第1の押圧部30と同様の要領で接着シートSの貼付が行われる(図3(D)、(E)参照)。
【0031】
ここで、第1のサーボモータ34による第1の吸着ヘッド31を下降させる際の移動速度について詳述すると、図3(A)に示されるように、ラベルプリンタ11の供給位置SPから被着面W1sに接着シートS1が達する直前位置、すなわち、被着面W1sと接着シートS1とが僅かに離れた位置までの同図中符号Laで示す区間において、比較的高速となる第1の速度で第1の吸着ヘッド31を下降させる。その後、図3(B)に示されるように、前記直前位置から接着シートS1を被着面W1sに押圧する押圧位置までの同図中符号Lbで示す区間において、比較的低速となる第2の速度で第1の吸着ヘッド31を下方に移動させる。なお、第2のサーボモータ44による第2の吸着ヘッド41を下降させる際の移動速度についても上記同様に、図3(D)に示される符号Lcで示す区間において、比較的高速となる第1の速度とし、図3(E)に示される符号Ldで示す区間においては、比較的低速となる第2の速度で移動される。
【0032】
従って、このような実施形態によれば、高さが異なる被着体Wに接着シートSを順次貼付する際、第1の押圧部30のだけでは能力を達成できないような高さが低い被着体Wが連続で搬送されても、第2の押圧部40により貼付を行うことができ、能力の低下を抑制することができる。
【0033】
以上のように、本発明を実施するための最良の構成、方法等は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示、説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上説明した実施形態に対し、形状、位置若しくは配置等に関し、必要に応じて当業者が様々な変更を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状などの限定の一部若しくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【0034】
例えば、保持部31、41を含む押圧部30、40を更に増設し、被着面Wsの位置に応じて何れか一の保持部を押圧動作させるようにしてもよい。
【0035】
また、接着シートSを被着体Wの側面に貼付する場合には、被着体Wの側面位置を検出手段で検出するように構成してもよい。
【0036】
更に、検知手段は、ラインセンサ15以外に、カメラ等の撮像手段、光電管、リミットスイッチ等で構成してもよい。
【0037】
また、各単軸ロボット32、42は、直動モータ、エアシリンダ、油圧シリンダ等の駆動手段に代えてもよい。
【0038】
更に、供給手段はラベルプリンタ11以外でもよく、接着シートSを供給可能な限りにおいて何ら限定されることはない。
【0039】
また、第1、第2の移動手段は、サーボモータ以外に、ステッピングモータ、直動モータ、エアシリンダ、油圧シリンダ等に代えてもよい。なお、吸着ヘッドを所定位置に停止させる等の位置制御ができない直動モータ、エアシリンダ、油圧シリンダ等を採用する場合は、別途位置制御手段を設ければよい。
【符号の説明】
【0040】
10 シート貼付装置
11 ラベルプリンタ(供給手段)
12 押圧手段
13 搬送手段
15 ラインセンサ(検出手段)
17 制御手段
31 第1の吸着ヘッド(第1の保持部)
34 第1のサーボモータ(第1の移動手段)
41 第2の吸着ヘッド(第2の保持部)
44 第2のサーボモータ(第2の移動手段)
SP 供給位置
S 接着シート
W 被着体
Ws 被着面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被着体における接着シートの被着面の位置を検出する検出手段と、前記接着シートを所定の供給位置に供給する単一の供給手段と、この供給位置で接着シートを保持して被着体に押圧可能な複数の保持部を有する押圧手段と、これら手段を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、検出手段により検出された被着面の位置に応じて何れか一の保持部を選択的に押圧動作させるよう制御することを特徴とするシート貼付装置。
【請求項2】
搬送される被着体における接着シートの被着面の位置を検出する検出手段と、前記接着シートを所定の供給位置に供給する単一の供給手段と、この供給位置で接着シートを保持して被着体に押圧可能な第1及び第2の保持部を有する押圧手段と、これら手段を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、検出手段により検出された連続して搬送される二つの被着体に対して、それぞれの被着面の位置から供給位置までの距離の合計が所定値以下若しくは所定値より小さい場合、先に第1の保持部を押圧動作させたときには、その後も第1の保持部を押圧動作させ、先に第2の保持部を押圧動作させたときには、その後も第2の保持部を押圧動作させて被着体に接着シートを貼付し、前記距離の合計が所定値より大きい若しくは所定値以上の場合、先に第1の保持部を押圧動作させたときには、その後に第2の保持部を押圧動作させ、先に第2の保持部を押圧動作させたときには、その後に第1の保持部を押圧動作させて被着体に接着シートを貼付するよう制御することを特徴とするシート貼付装置。
【請求項3】
前記押圧手段は、前記保持部を被着体に離間接近させるとともに、保持部の移動速度を変化可能な移動手段を含み、
前記移動手段は、接着シートの保持後、検出手段で検出された被着面に接着シートが達する直前位置まで保持部を第1の速度で移動させる一方、前記直前位置から接着シートを押圧する押圧位置まで保持部を第2の速度で移動させ、前記第1の速度は、第2の速度より速く設定されていることを特徴とする請求項1又は2記載のシート貼付装置。
【請求項4】
被着体に接着シートを貼付するシート貼付方法において、
搬送される前記被着体における接着シートの被着面を検出手段により検出する工程と、
前記被着面から所定距離離れた供給位置に接着シートを供給する工程と、
前記検出手段により検出された連続して搬送される二つの被着体に対して、それぞれの被着面の位置から供給位置までの距離の合計を所定値と比較する工程と、
前記比較の結果、前記距離の合計が所定値以下若しくは所定値より小さい場合、先に第1の保持部を押圧動作させたときには、その後も第1の保持部を押圧動作させ、先に第2の保持部を押圧動作させたときには、その後も第2の保持部を押圧動作させて被着体に接着シートを貼付し、前記距離の合計が所定値より大きい若しくは所定値以上の場合、先に第1の保持部を押圧動作させたときには、その後に第2の保持部を押圧動作させ、先に第2の保持部を押圧動作させたときには、その後に第1の保持部を押圧動作させて被着体に接着シートを貼付する工程とを備えていることを特徴とするシート貼付方法。
【請求項5】
前記押圧動作時に、移動手段により、接着シートの保持後検出手段で検出された被着面に接着シートが達する直前位置まで保持部を第1の速度で移動し、前記直前位置から接着シートを押圧する押圧位置まで、第1の速度より遅い第2の速度で保持部を移動することを特徴とする請求項4記載のシート貼付方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2010−274972(P2010−274972A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−129947(P2009−129947)
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】