説明

シーリング材組成物

【課題】ガラス廻り複合目地やガラス廻り打ち継ぎ目地におけるシーリング材のガラス接着面での剥離現象を防止することができるシーリング材組成物を提供すること。
【解決手段】(a)加水分解性シリル基を含有するポリマーと、(b)下記一般式(I):


〔式中、Rは、炭素数1〜20のアルキル基を示す〕で示される基を有するヒンダードアミン化合物を含んでなる、シーリング材組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シーリング材組成物、詳細には、加水分解性シリル基含有ポリマーを主成分とするシーリング材組成物およびその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
各種ポリマー材料をベースとしたシーリング材は、土木、建築または電機等、多岐の用途にわたり使用されている。例えば、各種のシリコーン系ポリマーをベースとしたシーリング材は、建築物のガラス廻り複合目地やガラス廻り打ち継ぎ目地において、ガラス面側に適用されるシーリング材として広く使用されている。
【0003】
このようなシリコーン系シーリング材をガラス廻り複合目地やガラス廻り打ち継ぎ目地に使用する場合、当該シリコーン系シーリング材やそれに打ち継ぐシーリング材(例えば、ポリイソブチレン系シーリング材および変成シリコーン系シーリング材)に配合されるヒンダードアミン系光安定剤(HALS)のうち、一部の化合物(例えば、ビス(1−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート等の>N−CH型HALS)が、同じくシーリング材に配合される可塑剤等の液体成分と共にガラス界面付近にまで移行し、ガラスごしに照射される紫外線の影響を受けてHALSニトロソニウムイオン(強酸化剤)に変化し、このHALSニトロソニウムイオンが当該シリコーン系シーリング材のガラス界面のシロキサン結合を解離させ、ガラス接着面での剥離現象を引き起こすという問題があった。
【特許文献1】特開2003−113324号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、ガラス廻り複合目地やガラス廻り打ち継ぎ目地におけるシーリング材のガラス接着面での剥離現象を防止することができるシーリング材組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、加水分解性シリル基含有ポリマーを主成分とするシーリング材組成物において、光安定剤として、塩基性が低く、ニトロソニウムイオンに変化しにくい下記一般式(I):
【0006】
【化1】

【0007】
〔式中、Rは、炭素数1〜20のアルキル基を示す〕
で示される基を有するヒンダードアミン化合物を配合し、さらに加水分解性シリル基を含有する反応性可塑剤を配合することで、ガラス廻り複合目地やガラス廻り打ち継ぎ目地におけるシーリング材のガラス接着面での剥離現象を防止できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明には、以下のものが含まれる。
〔1〕(a)加水分解性シリル基を含有するポリマーと、
(b)下記一般式(I):
【0008】
【化2】

【0009】
〔式中、Rは、炭素数1〜20のアルキル基を示す〕
で示される基を有するヒンダードアミン化合物
を含んでなる、シーリング材組成物。
〔2〕前記ヒンダードアミン化合物を、組成物全量に対して、0.001重量%〜10重量%含んでなる、上記〔1〕に記載のシーリング材組成物。
〔3〕前記ヒンダードアミン化合物は、以下の式(1)〜(5)で示される化合物からなる群から選択される、上記〔1〕または〔2〕に記載のシーリング材組成物。
【0010】
【化3】

【0011】
〔4〕(c)加水分解性シリル基を含有する反応性可塑剤をさらに含んでなる、上記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のシーリング材組成物。
〔5〕ポリマー(a)は、分子中に平均して1.2以上の加水分解性シリル基を含有する数平均分子量2,000以上のポリマーであり、反応性可塑剤(c)は、分子中に平均して0.5以上1.2未満の加水分解性シリル基を含有する数平均分子量300以上8,000未満の反応性可塑剤である、上記〔4〕に記載のシーリング材組成物。
〔6〕光透過性部材を被着体とする、または光透過性部材を被着体とするシリコーン系シーリング材と打ち継ぐための、上記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載のシーリング材組成物。
〔7〕光透過性部材はガラスである、上記〔6〕に記載のシーリング材組成物。
【発明の効果】
【0012】
本発明のシーリング材組成物は、ガラス廻り複合目地やガラス廻り打ち継ぎ目地におけるシーリング材のガラス接着面での剥離現象を防止することができる。したがって、本発明のシーリング材組成物は、光透過性部材(特にガラス)を被着体とする、または光透過性部材(特にガラス)を被着体とするシーリング材と打ち継ぐためのシーリング材組成物として好適に使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明のシーリング材組成物は、主成分として、(a)加水分解性シリル基を含有するポリマーを含む。なかでも、主鎖がポリアルキレンエーテルであるものが好ましい。
前記ポリマー(a)の数平均分子量は、好適には2,000以上、より好適には3,000以上、さらに好適には8,000以上100,000以下、特に好適には10,000以上60,000以下である。数平均分子量が2,000未満の場合、硬化物の伸びが低くなる虞がある。一方、数平均分子量の上限は、特に限定されないが、60,000を超える場合、高粘度のために作業性が悪化するため好ましくない。
また、前記ポリマー(a)の加水分解性シリル基の数は、分子中に平均して好適には1.2以上、より好適には1.2以上8以下、特に好適には1.5以上4以下である。
【0014】
前記ポリマー(a)としては、例えば、変成シリコーンポリマー、アルコキシシリル基を有するアクリル系ポリマー、アルコキシシリル基を含有するポリイソブチレンポリマーが挙げられ、これらの1種または2種以上を使用に供してよい。前記加水分解性シリル基含有ポリマーとして、変成シリコーンポリマーおよび/またはアクリル系ポリマーを使用すると、低モジュラス、高伸長の物性に調整でき、しかも耐候性に優れた、シーリング材に適したものが得られるため好ましい。
【0015】
前記変成シリコーンポリマーとは、ポリオキシアルキレンエーテルを主鎖骨格とし、かつ末端もしくは側鎖に加水分解性基(例えば水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基など)を有するシリル基をもつ液状ポリマーを指称する。なかでも、ポリアルキレンエーテル(例えば、ポリオキシプロピレンエーテル)を主鎖とする、数平均分子量が8,000〜25,000のものが好ましい。
変成シリコーンポリマーの代表的市販品としては、例えば(株)カネカ製のMSポリマーシリーズ(例えば、「MSポリマーS810」、「MSポリマーS−203」等)や旭硝子(株)製「エクセスター」(登録商標)シリーズ(ES−S2410、ES−W2521など)がある。
【0016】
また、アルコキシシリル基を有するアクリル系ポリマーとは、主鎖骨格が少なくとも(メタ)アクリル酸エステル単位で構成され[要すれば、(メタ)アクリル酸エステル単位以外に、(メタ)アクリル酸エステルと共重合しうる単量体(例えば炭素数4〜12のオレフィン、ビニルエーテル、芳香族ビニル化合物、ビニルシラン類、アリルシラン類など)の単位が含まれていてもよい]、分子中にアルコキシシリル基を含有するポリマーであり、例えば、
(i)特公平3−80829号公報に開示の、(a)アクリル酸アルキルエステル(アルキル炭素数は好適には2〜4)(例えばエチルアクリレート、プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、アミルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート等)と、(b)ビニルアルコキシシラン(例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン等)および(メタ)アクリロキシアルコキシシラン(例えばγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等)の群から選ばれる1種または2種以上の混合物とを、連鎖移動剤としてメルカプトアルコキシラン(c)(例えばγ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等)の存在下で、ラジカル共重合[通常、α,α’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、α,α’−アゾビスイソバレロニトリル、過酸化ベンゾイル、メチルエチルケトンパーオキシドなど重合開始剤を用いて公知の塊状重合、溶液重合などの手法;あるいはレドックス触媒、例えば、遷移金属塩、アミン等と過酸化物系開始剤を組合せたレドックス重合法により]させることによって製造されるもの(通常、数平均分子量3,000〜100,000、1分子中の平均アルコキシシリル基数1.2〜3個);および
(ii)特公平4−69667号公報に開示の、ビニル系モノマー[例えばエチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、プロピルアクリレート、ペンチルアクリレート、ステアリルアクリレートなどのアクリレート;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレートなどのメタクリレート;スチレンもしくはその誘導体(α−メチルスチレン、クロルメチルスチレンなど);ジエチルフマレート、ジブチルフマレート、ジプロピルフマレートなどのフマル酸ジエステル;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化エチレン、フッ化ビニリデン、フッ化ビニレンなどのハロゲン化ビニル類等]100部(重量部、以下同様)に、アルコキシシリル基含有ジスルフィド化合物[例えばビス(トリメトキシシリルメチル)ジスルフィド、ビス(トリエトキシシリルメチル)ジスルフィド、ビス(トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(メチルジメトキシシリルメチル)ジスルフィド、ビス(メチルジエトキシシリルメチル)ジスルフィド、ビス(プロピルジメトキシシリルメチル)ジスルフィド、ビス(プロピルジエトキシシリルメチル)ジスルフィド、ビス(ジメチルメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(ジメチルエトキシシリルプロピル)ジスルフィド等]0.05〜50部を加え、必要に応じて有機溶媒(トルエン、キシレン、ヘキサン、酢酸エチル、ジオクチルフタレートなど)中で光重合(常温乃至50〜60℃で、4〜30時間の光照射)に付すことによって製造されるものが挙げられる。
【0017】
また、アルコキシシリル基含有ポリイソブチレン系ポリマーとは、主鎖骨格が少なくともイソブチレン単位で構成され[要すれば、イソブチレン単位以外に、イソブチレンと共重合しうる単量体(例えば炭素数4〜12のオレフィン、ビニルエーテル、芳香族ビニル化合物、ビニルシラン類、アリルシラン類など)の単位が含まれていてもよい]、分子両末端にアルコキシシリル基を含有し、好適には数平均分子量1,000〜40,000で常温ワックス状ないし高粘度液状のものを指称し、一般に、イニファー法と呼ばれるカチオン重合法で得られる全末端官能型イソブチレン系ポリマーを用いることにより製造することができる(特開平8−231758号公報参照)。
【0018】
【化4】

[式中、nは5〜400およびmは5〜400である]
の化学構造を有する、(株)カネカ製の「エピオン」(登録商標)シリーズ(例えば、「エピオン(登録商標)EP−505S」等)が例示される。
【0019】
本発明においては、かかる加水分解性シリル基含有ポリマーに加えて、高温・高圧で連続塊状重合によって得られる、常温液状の官能基を有さない無溶剤型アクリル系ポリマーを配合するのが好ましい。このような無溶剤型アクリル系ポリマーを使用することにより、低モジュラス、高伸長の物性に調整でき、作業性にも優れる。前記常温液状の官能基を有さない無溶剤型アクリル系ポリマーは、官能基を有しないアクリル系モノマー[例えば前記のアルコキシシリル基含有アクリル系ポリマーの重合法(ii)で用いるようなアクリレートやメタクリレート]を用い、例えば400℃付近の高温・高圧で連続塊状重合(開始剤は極少量もしくは不要、連鎖移動剤は不要)により、極めて短い反応時間(5分程度)で製造することができ、100%ポリマーおよび低Tgの常温液状を呈し、かつ変成シリコーン系ポリマーとの相溶性が良好で(∵組成分布・分子量分布が狭い)、シーリング材の粘度粘性を調整して作業性を良好にし、更に、優れた耐候性を向上させる。市販品として例えば東亞合成(株)製「ARUFON(登録商標)UP−1000」等がある。
また、前記アクリル系ポリマーが、変成シリコーンポリマー中で重合されたアルコキシシリル基含有アクリル系ポリマーと、高温・高圧で連続塊状重合により得られる常温液状の官能基を有さない無溶剤型アクリル系ポリマーとの併用であると好ましい。常温液状の官能基を有さない無溶剤型アクリル系ポリマーは、可塑剤代替効果があり、硬化したシーリング材は低モジュラス、高伸長の物性を奏し、又、作業性と耐候性の向上に寄与する。
【0020】
本発明のシーリング材組成物における前記ポリマー(a)の使用量は、組成物全量に対して、好適には10重量%〜70重量%、より好適には20重量%〜40重量%である。
【0021】
本発明のシーリング材組成物は、光安定剤として、(b)下記一般式(I):
【0022】
【化5】

【0023】
〔式中、Rは、炭素数1〜20のアルキル基を示す〕
で示される基を有するヒンダードアミン化合物を含んでなる。当該ヒンダードアミン化合物は、塩基性が低く、ニトロソニウムイオンに変化しにくいため、シリコーン系シーリング材のガラス界面のシロキサン結合の解離およびガラス接着面での剥離現象を生じさせない。
【0024】
前記Rにおける炭素数1〜20のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル基等の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基が挙げられる。なかでも、炭素数1〜17のアルキル基が好ましい。特に炭素数4〜18のアルキル基がこのましい。また、これらのアルキル基は、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、ヒドロキシル基等で置換されていてもよい。
【0025】
前記ヒンダードアミン化合物(b)としては、N−アルコキシヒンダードアミン系光安定剤(>N−OR型HALS)として既知の化合物、例えば、国際公開WO2005/082852に記載の>N−OR型HALS化合物等が挙げられ、好適には(i)下式(1)で示されるビス(1−ブトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)カーボネート、(ii)下式(2)で示されるビス(1−オクトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート(TINUVIN(登録商標)123)、(iii)下式(3)で示されるビス(1−ウンデシロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)カーボネート、(iv)下式(4)で示される化合物、(v)下式(5)で示されるビス(1−ステアロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)カーボネート等が挙げられる。
【0026】
【化6】

【0027】
>N−OR型HALSの市販品の例としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製の「TINUVIN(登録商標)123」等が挙げられる。
【0028】
本発明のシーリング材組成物において、前記ヒンダードアミン化合物(b)は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。また、本発明のシーリング材組成物における前記ヒンダードアミン化合物(b)の使用量は、組成物全量に対して、好適には0.001重量%〜10重量%、より好適には0.01重量%〜5重量%含む。
【0029】
本発明のシーリング材組成物は、好ましくは、(c)加水分解性シリル基を含有する反応性可塑剤をさらに含む。なかでも、主鎖がポリアルキレンエーテルであるポリマーが好ましい。
前記反応性可塑剤(c)の加水分解性シリル基の数は、分子中に平均して好適には0.5以上1.2未満であり、より好適には0.5以上1.0以下である。加水分解性シリル基の数が分子中に平均して0.5未満の場合、反応性可塑剤が、ヒンダードアミン化合物を伴い、光透過性部材を被着体とするシリコーン系シーリング材へ移行するおそれがあり、一方、1.2以上の場合、可塑剤としての効果が低くなるおそれがある。
また、前記反応性可塑剤(c)の数平均分子量は、好適には300以上8,000未満であり、より好適には2,000以上8,000未満、特に好適には3,000以上6,000以下である。数平均分子量が300未満の場合、8,000を超える場合、いずれにおいても可塑剤としての効果が低くなるおそれがある。
【0030】
前記反応性可塑剤(c)としては、例えば、特開平5−59267号公報に開示されている化合物等が挙げられ、具体的には、旭硝子ウレタン(株)製「S−1000」等が挙げられる。
【0031】
本発明のシーリング材組成物において、前記反応性可塑剤(c)は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。また、本発明のシーリング材組成物における前記反応性可塑剤(c)の使用量は、組成物全量に対して、好適には5重量%〜90重量%、より好適には5重量%〜50重量%である。
【0032】
本発明のシーリング材組成物に用い得る他の成分としては、前記成分以外の各種充填剤、可塑剤、硬化触媒、およびその他添加剤などを挙げることができる。
充填剤としては、例えば重質炭酸カルシウム、脂肪酸処理炭酸カルシウム、ヒュームシリカ、沈降性シリカ、カーボンブラック、タルク、マイカ、クレー、ガラスビーズ、シラスバルーン,ガラスバルーン,シリカバルーン,プラスチックバルーンなどのバルーン、ガラス繊維,金属繊維などの無機繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維などの有機繊維、ホウ酸アルミニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、チタン酸カリウム、グラファイト、針状結晶性炭酸カルシウム、ホウ酸マグネシウム、二ホウ化チタン、クリソタイル、ワラストナイト等の針状結晶性フィラー、などが使用できる。
可塑剤としては、例えばフタル酸ジエステル類(ジイソノニルフタレートなど)、エポキシ化ヘキサヒドロフタル酸ジエステル類、アルキレンジカルボン酸ジエステル類、アルキルベンゼン類が使用できる。
硬化触媒としては、例えば、ジオクチル酸スズ、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズビスアセチルアセトナート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジエチルヘキサノエート、ジブチルスズジオクテート、ジブチルスズオキサイド、ジブチルスズビスエトキシシリケート、ジオクチルスズオキサイドなどのスズ系触媒、テトライソプロピルチタネート、テトラn−ブチルチタネートおよびこれらの部分加水分解縮合物、チタンジイソプロピルビスアセチルアセテート、チタンジイソプロピルビスエチルアセトアセテートなどのチタン系触媒、ラウリルアミンなどの有機アミン系触媒等が使用できる。
【0033】
その他の添加剤としては、着色剤(ベンガラ、酸化チタン、カーボンブラック、他の着色顔料、染料など)、有機溶剤(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、リグロイン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、n−ヘキサン、ヘプタンや、イソパラフィン系高沸点溶剤など)、安定剤(メタノール、エタノールなど)、密着剤(アミノシラン、メルカプトシラン、エポキシシランなどのシランカップリング剤、エポキシ化合物など)、老化防止剤(ヒンダードフェノール類、メルカプタン類、スルフィド類、ジチオカルボン酸塩類、チオウレア類、チオホスフェイト類、チオアルデヒド類など)、水分保給剤(水、無機塩類の水和物など)、紫外線吸収剤・光安定剤(ベンゾトリアゾール類、前記ヒンダードアミン化合物(b)以外のヒンダードアミン類など)、酸化防止剤(ヒンダードフェノール類など)、揺変剤(コロイダルシリカ、有機ベントナイト、脂肪酸アマイド、水添ひまし油など)等を適量範囲で使用できる。
【0034】
かかる構成から成る本発明のシーリング材組成物は、前記配合成分を一括混合した一液型、あるいは前記加水分解性シリル基含有ポリマーを含有する基剤と、硬化触媒を含有する硬化剤の二液型、またはさらに着色剤と可塑剤等からなるトナーを別の一成分とした三液型として使用し得る。
【0035】
本発明のシーリング材組成物は、光透過性部材を被着体とする、または光透過性部材を被着体とするシーリング材と打ち継ぐための、シーリング材として好適に使用することができる。
ここで光透過性部材としては、例えば、ガラス(各種表面処理ガラスも含む)、アクリル、ポリカーボネート等が挙げられ、好適にはガラス(各種表面処理ガラスも含む)が挙げられる。
また、光透過性部材を被着体とするシーリング材としては、光透過性部材(例えばガラス)に接着可能なシーリング材であれば特に限定されないが、例えば、1成分形シリコーン系シーリング材、2成分形シリコーン系シーリング材等が挙げられる。
【実施例】
【0036】
以下、実施例および比較例を参照して本発明をより詳細に説明するが、これらは単なる例示に過ぎず、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0037】
〔実施例1〜9および比較例1〜12〕
下記表1および2に示す各成分(重量部)を配合して、各シーリング材を調製した。調製した各シーリング材を用いて、以下のように引張接着性および耐候性試験を行った。その結果を表1および2に示す。
【0038】
〔引張接着性および耐候性試験方法〕
[試験体の作成]
アルミ合金(5052系;長さ50mm×幅50mm×厚さ5mm)表面をトルエンにて清掃後、専用プライマー〔実施例1〜4および比較例1〜6;プライマーSS−2(サンスター技研(株)製)、実施例5〜9および比較例7〜12;プライマーUM−2(サンスター技研(株)製)〕を塗布し、2時間乾燥させた。試験シーリング材(実施例および比較例)の基剤/硬化剤を重量比10/1で混合し、先打ちシーリング材として図1のように厚さ5mmで平滑に打設し、23℃×7日間養生した。次に、プライマーSD−2(サンスター技研(株)製)をフロートガラス((株)エンジニアリングテストサービス製;長さ50mm×幅50mm×厚さ5mm)およびそれぞれの先打ちシーリング材に塗布し、2時間乾燥させた後、ペンギンシール2520(サンスター技研(株)製;2成分形シリコーン系シーリング材)を、図1のようにスペーサーを用いて長さ50mm×幅12mm×厚さ12mmで打設し、23℃×7日間、次いで50℃×7日間養生した。
【0039】
[2成分形シリコーン系シーリング材のガラスまわり目地接着性(打ち継ぎH形引張り接着性)試験方法]
このH形試験体をガラス面からサンシャインウェザーメーター(SWOM)にて所定時間促進暴露後、「JIS A 1439の引張接着性試験方法」の手順に従い、シーリング材破断、剥離等で上下の被着体の繋がりがなくなるまで伸長させ、ペンギンシール2520のガラス界面接着性、破壊状態を確認した。ガラス面での2成分形シリコーン系シーリング材凝集破壊(良好)を○、ガラス界面での2成分形シリコーン系シーリング材界面剥離(不良)を×と評価した。
【0040】
[試験シーリング材耐候性試験方法]
このH形試験体をサンシャインウェザーメーター(SWOM)にて所定時間促進暴露後、目視にて表面亀裂の有無を確認した。表面亀裂なし(良好)を○、表面亀裂発生(不良)を×と評価した。
【0041】
【表1】

【0042】
【表2】

【0043】
1)イソブチレン系ポリマー:エピオンEP−505S((株)カネカ製;アルコキシシリル末端ポリイソブチレン;数平均分子量:16,000、加水分解性シリル基の数:1分子当たりの平均1.3)
2)エポキシ樹脂:エピコート828(JER(株)製;ビスフェノールA型エポキシ樹脂)
3)紫外線吸収剤:TINUVIN(登録商標)326(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製;2−[5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール)
4)光安定剤(HALS:>N−CH型):サノール(登録商標)LS−765(三共ライフテック(株)製;ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート70重量%およびメチル(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート30重量%の混合物)
5)光安定剤(HALS:>N−OR型):TINUVIN(登録商標)123(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製;主成分ビス(1−オクトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート)
6)酸化防止剤:イルガノックス1010(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ(株)製;ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)
7)脂肪酸処理炭酸カルシウム:ビスコライトOS(白石工業(株)製)
8)重質炭酸カルシウム:ホワイトンSB(備北粉化工業(株)製)
9)プラスチックバルーン:MFL−100SCA(松本油脂製薬(株)製;アクリロ二トリル系プラスチックバルーン20重量%と炭酸カルシウム80重量%の混合物)
10)シリル架橋型反応性可塑剤:S−1000(旭硝子ウレタン(株)製;数平均分子量:5,000、加水分解性シリル基の数:1分子当たりの平均0.8)
11)パラフィン系プロセスオイル:ダイアナプロセスオイルPS−32(出光興産(株)製;石油系炭化水素)
12)カルボン酸スズ塩:ネオスタンU28(日東化成(株)製;ジオクチル酸スズ)
13)アミン化合物:アミンBB(日本油脂(株)製;ラウリルアミン)
14)変成シリコーンポリマー:MSポリマーS810((株)カネカ製;アルコキシシリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体;数平均分子量:18,000、加水分解性シリル基の数:1分子当たりの平均2.4)
15)エポキシ系可塑剤:EPS(新日本理化(株)製;エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ2−エチルへキシル)
16)フタル酸系可塑剤:ジイソノニルフタレート(DINP)(新日本理化(株))
18)ヒマシ油系揺変剤:ディスパロン308(楠本化成(株)製;水添ひまし油)
【0044】
前記表1および2に示されるように、本発明におけるシーリング材においては、打ち継いだ2成分形シリコーン系シーリング材がガラス界面剥離にいたることなく、なおかつ良好な耐候性を示すことが認められた。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】図1は、引張接着性・耐候性試験方法で使用したH形試験体の形状を示す。
【符号の説明】
【0046】
1 フロートガラス
2 試験シーリング材
3 アルミ合金
4 2成分形シリコーン系シーリング材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)加水分解性シリル基を含有するポリマーと、
(b)下記一般式(I):
【化1】

〔式中、Rは、炭素数1〜20のアルキル基を示す〕
で示される基を有するヒンダードアミン化合物
を含んでなる、シーリング材組成物。
【請求項2】
前記ヒンダードアミン化合物を、組成物全量に対して、0.001重量%〜10重量%含んでなる、請求項1に記載のシーリング材組成物。
【請求項3】
前記ヒンダードアミン化合物は、以下の式(1)〜(5)で示される化合物からなる群から選択される、請求項1または2に記載のシーリング材組成物。
【化2】

【請求項4】
(c)加水分解性シリル基を含有する反応性可塑剤をさらに含んでなる、請求項1〜3のいずれかに記載のシーリング材組成物。
【請求項5】
ポリマー(a)は、分子中に平均して1.2以上の加水分解性シリル基を含有する数平均分子量2,000以上のポリマーであり、反応性可塑剤(c)は、分子中に平均して0.5以上1.2未満の加水分解性シリル基を含有する数平均分子量300以上8,000未満の反応性可塑剤である、請求項4に記載のシーリング材組成物。
【請求項6】
光透過性部材を被着体とする、または光透過性部材を被着体とするシリコーン系シーリング材と打ち継ぐための、請求項1〜5のいずれかに記載のシーリング材組成物。
【請求項7】
光透過性部材はガラスである、請求項6に記載のシーリング材組成物。

【図1】
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【公開番号】特開2009−197177(P2009−197177A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−42699(P2008−42699)
【出願日】平成20年2月25日(2008.2.25)
【出願人】(305032254)サンスター技研株式会社 (97)
【Fターム(参考)】