説明

シールドコネクタ

【課題】シールドケースに対して外部ケーブルの着脱を繰り返しても、シールドケースへの取付け部におけるシール性能が低下することがなく、しかも、シールドケース上の取付寸法の変更に対応する製品開発を容易にすることができるシールドコネクタを提供すること。
【解決手段】シールドケース10に固定される機器側コネクタ30と、外部ケーブル20の端部に取り付けられて機器側コネクタ30に嵌合接続されるケーブル側コネクタ40とを備え、機器側コネクタ30は、一端がシールドケース10内の回路に接続されると共に他端がケーブル側コネクタ40側の接続端子に嵌合接続される機器側接続端子31と、機器側接続端子31を収容保持する機器側樹脂製ハウジング32と、機器側樹脂製ハウジング32を保持してシールドケース10の外面にねじ止めされる機器側シールドシェル33と、を備え、機器側シールドシェル33には、機器側シールドシェル33とケーブル側シールドシェル43とを導通状態に結合する相手シェル固定部334を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器のシールドケース内の回路に外部ケーブルを接続するシールドコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
図8は、シールドコネクタの従来例を示している。このシールドコネクタ100は、下記特許文献1に開示されたものである。
【0003】
このシールドコネクタ100は、車両等に搭載される機器のシールドケース103内の回路に外部ケーブル110を接続するコネクタである。
【0004】
このシールドコネクタ100は、外部ケーブル110の先端に圧着接続されるケーブル側接続端子120と、このケーブル側接続端子120を収容保持する樹脂製ハウジング130と、樹脂製ハウジング130を保持してシールドケース103にねじ止めされるシールドシェル140と、当該シールドコネクタ100とシールドケース103との間を封止するパッキン150とを備えている。
【0005】
ケーブル側接続端子120は、図8に示すように、一端に舌状端子部121を備えると共に、他端に電線圧着部122を備えている。舌状端子部121は、図8に示すように、シールドケース103内の回路の舌状端子104にねじ部材105,106を介して接続される部位である。電線圧着部122は、外部ケーブル110の端部に圧着接続される部位である。
【0006】
樹脂製ハウジング130は、モールド成形により、ケーブル側接続端子120を収容した形態に一体形成される。樹脂製ハウジング130の外形は、シールドケース103に貫通形成されたコネクタ挿通孔107に挿通可能な柱状である。そして、樹脂製ハウジング130の外周には、パッキン150を装着するパッキン装着溝131が、外周を一周する環状に形成されている。
【0007】
シールドシェル140は、外部ケーブル110の端部を収容した樹脂製ハウジング130の基端部130aを保持する筒状のシェル本体141と、シェル本体141のシールドケース103側の端部から鍔状に張り出して設けられたケース固定用フランジ部142とを備える。ケース固定用フランジ部142は、シールドケース103の外面に面接触状態に突き合され、ボルト108によりシールドケース103にねじ止めされる。ケース固定用フランジ部142をシールドケース103にねじ止めすることで、シールドコネクタ100がシールドケース103に固定された状態になる。
【0008】
パッキン150は、樹脂製ハウジング130のパッキン装着溝131に装着されるリング状のパッキンである。このパッキン150は、コネクタ挿通孔107の内周面と樹脂製ハウジング130の外周面との間の隙間を塞いで、シールドコネクタ100とシールドケース103との間を封止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−373737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところが、特許文献1に開示のシールドコネクタ100は、コネクタ挿通孔107を挿通する樹脂製ハウジング130の外周に装備したリング状のパッキン150を、コネクタ挿通孔107の内周面に密着させることで、シールドコネクタ100とシールドケース103との間を封止する構成のため、シールドケース103に対して外部ケーブル110の着脱を繰り返すと、パッキン150がコネクタ挿通孔107との摺動で傷み易く、シールドケース103への取付け部におけるシール性能が低下するおそれがあった。
【0011】
また、ボルト108を螺合させるシールドケース103上のねじ穴109の配置の変更、或いはコネクタ挿通孔107の形状や寸法の変更といったシールドケース103上の取付寸法が変更されると、その変更に対応するためには、シールドシェル140だけでなく、コネクタ挿通孔107に緊密嵌合させる樹脂製ハウジング130やパッキン150についても、設計変更が必要となる。即ち、シールドケース103上の取付寸法が変更されると、多数の構成部品に設計変更が必要となり、シールドケース上の取付寸法の変更に対応する製品開発に多大な労力が必要となるという問題もあった。
【0012】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解消することに係り、シールドケースに対して外部ケーブルの着脱を繰り返しても、シールドケースへの取付け部におけるシール性能が低下することがなく、しかも、シールドケース上の取付寸法の変更に対応する製品開発を容易にすることができるシールドコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の前述した目的は、下記の構成により達成される。
(1)機器のシールドケース内の回路に外部ケーブルを接続するシールドコネクタであって、
前記シールドケースに固定される機器側コネクタと、前記外部ケーブルの端部に取り付けられて前記機器側コネクタに嵌合接続されるケーブル側コネクタとを備え、
前記機器側コネクタは、
一端が前記シールドケース内の回路に接続されると共に他端が前記ケーブル側コネクタ側の接続端子に嵌合接続される機器側接続端子と、
該機器側接続端子を収容保持すると共に前記ケーブル側コネクタを嵌合接続可能な機器側樹脂製ハウジングと、
前記機器側樹脂製ハウジングを保持すると共に、前記シールドケースの外面に面接触状態でねじ止めされるケース固定用フランジ部を有した機器側シールドシェルと、
前記ケース固定用フランジ部の前記シールドケースへのねじ止めにより前記シールドケースの外面に押圧されて前記機器側コネクタと前記シールドケースとの間を封止する第1のパッキンと、
を備え、
前記機器側シールドシェルには、ケーブル側コネクタに装備されたケーブル側シールドシェルを締結することで、機器側シールドシェルとケーブル側シールドシェルとを導通状態に結合する相手シェル固定部を備えたことを特徴とするシールドコネクタ。
【0014】
(2)前記機器側シールドシェルには、前記ケース固定用フランジ部を前記シールドケースに締結するねじ部材の突出高さよりも前記シールドケースの外方側に突出する厚肉状に形成されると共に、前記ケーブル側コネクタの嵌合部を収容するフード部として機能する厚肉部が設けられ、
前記厚肉部に前記相手シェル固定部が装備されたことを特徴とする上記(1)に記載のシールドコネクタ。
【0015】
上記(1)の構成によれば、シールドコネクタは、シールドケースに固定される機器側コネクタと、外部ケーブルの端部に取り付けられて機器側コネクタに嵌合接続されるケーブル側コネクタとから構成されている。そのため、シールドケースに対する外部ケーブルの着脱は、機器側コネクタに対してケーブル側コネクタを着脱することで実現する。
【0016】
換言すると、シールドケースに対する外部ケーブルの着脱時に、機器側コネクタはシールドケースに固定した状態のままで良く、シールドケースに対して外部ケーブルの着脱を繰り返しても、機器側コネクタとシールドケースとの間を封止している第1のパッキンには、全く影響が及ばない。
【0017】
従って、シールドケースに対して外部ケーブルの着脱を繰り返しても、シールドケースへの取付け部におけるシール性能が低下することがない。
【0018】
しかも、シールドケースと機器側コネクタとの間の封止は、シールドシェルのケース固定用フランジ部とシールドケースの外面との間に挟持される第1のパッキンにより行っており、機器側樹脂製ハウジングはシールドケース上のコネクタ挿通孔に遊嵌させるだけでよく、機器側樹脂製ハウジングの外形の寸法精度はシールドケースへの取付け部におけるシール性能に影響しない。
【0019】
そのため、シールドケース上の取付寸法が変更される場合に、その変更への対応は、シールドケースへの取り付けを果たすシールドシェルだけの設計変更で済ませることができ、機器側樹脂製ハウジングとシールドシェルとの取り合い寸法は従来のままに留めることができる。
【0020】
従って、シールドケース上の取付寸法の変更に際して、その変更に対応するための構成部品の設計変更が少なくて済み、シールドケース上の取付寸法の変更に対応する製品開発を容易にすることもできる。
【0021】
上記(2)の構成によれば、シールドシェルに装備した厚肉部が、ケーブル側コネクタの先端部を収容するフード部を兼ねるため、機器側樹脂製ハウジングには、ケーブル側コネクタの先端部を収容するフード部の形成が不要になり、機器側樹脂製ハウジングの構造を単純化することができる。
【0022】
更に、厚肉部に相手シェル固定部が装備されるため、相手シェル固定部としてのねじ穴に十分な長さを確保して、螺合による結合強度を向上させることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によるシールドコネクタによれば、シールドケースに対する外部ケーブルの着脱時に、機器側コネクタはシールドケースに固定した状態のままで良く、シールドケースに対して外部ケーブルの着脱を繰り返しても、機器側コネクタとシールドケースとの間を封止している第1のパッキンには、全く影響が及ばない。
【0024】
従って、シールドケースに対して外部ケーブルの着脱を繰り返しても、シールドケースへの取付け部におけるシール性能が低下することがない。
【0025】
しかも、シールドケース上の取付寸法が変更される場合に、その変更への対応は、シールドケースへの取り付けを果たすシールドシェルだけの設計変更で済ませることができ、機器側樹脂製ハウジングとシールドシェルとの取り合い寸法は従来のままに留めることができる。
【0026】
従って、シールドケース上の取付寸法の変更に際して、その変更に対応するための構成部品の設計変更が少なくて済み、シールドケース上の取付寸法の変更に対応する製品開発を容易にすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係るシールドコネクタの一実施形態の分解斜視図である。
【図2】図1に示した機器側コネクタの分解斜視図である。
【図3】図1に示したケーブル側コネクタの分解斜視図である。
【図4】本発明に係る機器側コネクタの他の実施形態の斜視図である。
【図5】図4に示した機器側コネクタをシールドケースに固定した状態の斜視図である。
【図6】図5に示した機器側コネクタとシールドケースを一部断面にした斜視図である。
【図7】図5に示した機器側コネクタとシールドケースの縦断面図である。
【図8】従来のシールドコネクタの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明に係るシールドコネクタの好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0029】
図1〜図3は本発明に係るシールドコネクタの一実施形態を示したもので、図1は本発明に係るシールドコネクタの一実施形態の分解斜視図、図2は図1に示した機器側コネクタの分解斜視図、図3は図1に示したケーブル側コネクタの分解斜視図である。
【0030】
この一実施形態のシールドコネクタ1は、車両等に搭載される機器のシールドケース10内の回路に外部ケーブル20を接続するコネクタである。
【0031】
本実施形態のシールドコネクタ1は、シールドケース10に固定される機器側コネクタ30と、外部ケーブル20の端部に取り付けられて機器側コネクタ30に嵌合接続されるケーブル側コネクタ40とを備えている。
【0032】
シールドケース10は、機器側コネクタ30を取り付けるために、コネクタ挿通孔11と、コネクタ固定用のねじ穴12とが形成されている。コネクタ挿通孔11は、後述の機器側コネクタ30の機器側樹脂製ハウジング32を挿通させるための開口である。また、ねじ穴12は、後述する機器側コネクタ30の機器側シールドシェル33を締結するねじ穴である。ねじ穴12は、コネクタ挿通孔11の外周の対角に位置する2箇所に装備されている。
【0033】
外部ケーブル20は、車両等に搭載される不図示の機器への給電や、信号の送受を行う電線である。ケーブル側コネクタ40に接続される外部ケーブル20には、外部ケーブル20の周囲を電磁遮蔽するチューブ状の編組45が被せられる。
【0034】
機器側コネクタ30は、図2に示すように、機器側接続端子31と、機器側樹脂製ハウジング32と、機器側シールドシェル33と、第1のパッキン34と、第2のパッキン35と、端子用シールリング36と、を備える。
【0035】
機器側接続端子31は、金属板製で、一端に回路接続部311を備えると共に、他端に舌状端子部312を備えている。回路接続部311は、機器内の回路の不図示の端子にねじ止めにより導通接続される。舌状端子部312は、ケーブル側コネクタ40側の接続端子に嵌合接続される部位である。
【0036】
機器側樹脂製ハウジング32は、機器側接続端子31を収容保持する端子収容筒部321と、端子収容筒部321の外周に鍔状に形成されたハウジング鍔部322とを備えている。端子収容筒部321は、コネクタ挿通孔11に遊嵌するように、外形がコネクタ挿通孔11よりも小さく設定されている。また、ハウジング鍔部322は、コネクタ挿通孔11を挿通しないように、外形がコネクタ挿通孔11よりも大きく設定されている。
【0037】
また、機器側樹脂製ハウジング32は、後述の機器側シールドシェル33と結合するための係止片323を有している。機器側樹脂製ハウジング32は、機器側シールドシェル33に結合した状態では、後述のケーブル側コネクタ40を嵌合接続可能である。
【0038】
機器側シールドシェル33は、導電材料製で、機器側樹脂製ハウジング32の係止片323を係止する係止部331を有している。機器側シールドシェル33は、係止片323を係止部331で係止することにより、機器側樹脂製ハウジング32を保持し、機器側樹脂製ハウジング32の周囲を電磁遮蔽する。
【0039】
更に、機器側シールドシェル33は、シールドケース10の外面に面接触状態でねじ止めされるケース固定用フランジ部333と、相手シェル固定部334と、を備える。
ケース固定用フランジ部333は、図1に示すように、ねじ穴12に螺合するねじ部材であるボルト361により、シールドケース10にねじ止めされる。
【0040】
相手シェル固定部334は、ケーブル側コネクタ40をねじ止めするねじ穴である。この相手シェル固定部334は、機器側コネクタ30とケーブル側コネクタ40との嵌合接続状態において、ケーブル側コネクタ40に装備された後述のケーブル側シールドシェル43(図3参照)を締結することで、機器側シールドシェル33とケーブル側シールドシェル43とを導通状態に結合する。
【0041】
本実施形態の場合、相手シェル固定部334は、ケース固定用フランジ部333の内側に位置する厚肉部336に装備されている。
【0042】
この厚肉部336は、ケース固定用フランジ部333をシールドケース10に締結するねじ部材であるボルト361の突出高さよりもシールドケース10の外方側に突出する厚肉状に形成されている。
【0043】
更に、この厚肉部336は、中央部に、嵌合部収容孔337が貫通形成されている。この嵌合部収容孔337は、ケーブル側コネクタ40の後述するケーブル側樹脂製ハウジング42の端子収容筒部421を収容する孔である。嵌合部収容孔337を装備したことで、厚肉部336は、ケーブル側コネクタ40の嵌合部を収容するフード部として機能する。
【0044】
本実施形態の場合、相手シェル固定部334は、厚肉部336に装備されている。相手シェル固定部334としてのねじ穴は、厚肉部336を貫通しないように、深さが設定されている。
【0045】
第1のパッキン34は、シールドケース10の外面と対向するように、機器側樹脂製ハウジング32のハウジング鍔部322の外周縁の後面に、取り付けられる。
【0046】
この第1のパッキン34は、機器側シールドシェル33におけるケース固定用フランジ部333のシールドケース10へのねじ止めにより、シールドケース10の外面(コネクタ挿通孔11の周縁部)に押圧されて、機器側コネクタ30とシールドケース10との間を封止する。
【0047】
第2のパッキン35は、機器側シールドシェル33と対向するように、機器側樹脂製ハウジング32のハウジング鍔部322の外周縁の前面側に、端子収容筒部321の外周に嵌合して取り付けられる。
【0048】
この第2のパッキン35は、機器側樹脂製ハウジング32のハウジング鍔部322と機器側シールドシェル33とに挟持されて、機器側樹脂製ハウジング32と機器側シールドシェル33との間を封止する。
【0049】
端子用シールリング36は、端子収容筒部321に保持されている機器側接続端子31の舌状端子部312に嵌合して、舌状端子部312を伝って水分がシールドケース10内に浸入することを防止する。
【0050】
次に、機器側コネクタ30に嵌合接続されるケーブル側コネクタ40の構成を図3に基づいて説明する。
【0051】
ケーブル側コネクタ40は、図3に示すように、ケーブル側接続端子41と、該ケーブル側接続端子41を収容保持するケーブル側樹脂製ハウジング42と、該ケーブル側樹脂製ハウジング42を収容保持して機器側コネクタ30の機器側シールドシェル33にねじ止め可能なケーブル側シールドシェル43と、ケーブル側接続端子41に接続される外部ケーブル20に被せられるチューブ状の編組45と、チューブ状の編組45をケーブル側シールドシェル43に固定するための編組固定リング46と、ケーブル側接続端子41に接続された外部ケーブル20に装着されるゴム栓47と、ゴム栓47の後段で外部ケーブル20に装着される電線ホルダ48と、第3のパッキン49とを備えている。
【0052】
ケーブル側接続端子41は、一端に機器側接続端子31の舌状端子部312に嵌合する端子嵌合部411が備えられ、他端に外部ケーブル20が圧着接続される電線圧着部412が備えられている。
【0053】
ケーブル側樹脂製ハウジング42は、ケーブル側接続端子41を収容する端子収容筒部421と、端子収容筒部421の外周に鍔状に形成されたハウジング鍔部422とを備えている。
【0054】
ケーブル側シールドシェル43は、端子収容筒部421の後端部を収容する筒状部431と、筒状部431の前端に鍔状に形成されたコネクタ結合用フランジ部432とを備える。コネクタ結合用フランジ部432は、機器側シールドシェル33の厚肉部336に突き当てられ、相手シェル固定部334にねじ止めされる。コネクタ結合用フランジ部432を相手シェル固定部334にねじ止めすることにより、ケーブル側コネクタ40が機器側コネクタ30に結合される。
【0055】
チューブ状の編組45は、ケーブル側シールドシェル43の後方に延出する外部ケーブル20の外周を覆って、外部ケーブル20の周囲を電磁遮蔽する。編組45の先端45aは、ケーブル側シールドシェル43の筒状部431に外嵌する筒状になっている。
【0056】
編組固定リング46は、ケーブル側シールドシェル43の筒状部431に外嵌したチューブ状の編組45を筒状部431に締め付けて、チューブ状の編組45をケーブル側シールドシェル43に連結する。
【0057】
ゴム栓47は、ケーブル側接続端子41を端子収容筒部421に形成された端子収容孔に挿入したときに、端子収容孔に緊密嵌合して、外部ケーブル20を伝って端子収容孔側に水が浸入することを防止する。
【0058】
電線ホルダ48は、外部ケーブル20に嵌合装着された状態で筒状部431内に保持され、筒状部431内での外部ケーブル20の変位を規制する。
【0059】
第3のパッキン49は、ケーブル側樹脂製ハウジング42のハウジング鍔部422とケーブル側シールドシェル43のコネクタ結合用フランジ部432との間に挟持されて、ケーブル側樹脂製ハウジング42とケーブル側シールドシェル43との間を封止する。
【0060】
以上に説明した一実施形態のシールドコネクタ1では、シールドコネクタ1は、シールドケース10に固定される機器側コネクタ30と、外部ケーブル20の端部に取り付けられて機器側コネクタ30に嵌合接続されるケーブル側コネクタ40とから構成されている。そのため、シールドケース10に対する外部ケーブル20の着脱は、機器側コネクタ30に対してケーブル側コネクタ40を着脱することで実現する。
【0061】
換言すると、シールドケース10に対する外部ケーブル20の着脱時に、機器側コネクタ30はシールドケース10に固定した状態のままで良く、シールドケース10に対して外部ケーブル20の着脱を繰り返しても、機器側コネクタ30とシールドケース10との間を封止している第1のパッキン34には、全く影響が及ばない。
【0062】
従って、シールドケース10に対して外部ケーブル20の着脱を繰り返しても、シールドケース10への取付け部におけるシール性能が低下することがない。
【0063】
しかも、以上に説明した一実施形態のシールドコネクタ1では、シールドケース10と機器側コネクタ30との間の封止は、機器側シールドシェル33のケース固定用フランジ部333とシールドケース10の外面との間に挟持される第1のパッキン34により行っており、機器側樹脂製ハウジング32はシールドケース10上のコネクタ挿通孔11に遊嵌させるだけでよく、機器側樹脂製ハウジング32の外形の寸法精度はシールドケース10への取付け部におけるシール性能に影響しない。
【0064】
そのため、シールドケース10上の取付寸法が変更される場合に、その変更への対応は、シールドケース10への取り付けを果たす機器側シールドシェル33だけの設計変更で済ませることができ、機器側樹脂製ハウジング32とシールドシェルとの取り合い寸法は従来のままに留めることができる。
【0065】
従って、シールドケース10上の取付寸法の変更に際して、その変更に対応するための構成部品の設計変更が少なくて済み、シールドケース10上の取付寸法の変更に対応する製品開発を容易にすることもできる。
【0066】
更に、以上に説明した一実施形態のシールドコネクタ1では、機器側シールドシェル33に装備した厚肉部336が、ケーブル側コネクタ40の先端部を収容するフード部を兼ねるため、機器側樹脂製ハウジング32には、ケーブル側コネクタ40の先端部を収容するフード部の形成が不要になり、機器側樹脂製ハウジング32の構造を単純化することができる。
【0067】
更に、厚肉部336に相手シェル固定部334が装備されるため、相手シェル固定部334としてのねじ穴に十分な長さ(深さ)を確保して、螺合による機器側コネクタ30とケーブル側コネクタ40との間の結合強度を向上させることができる。
【0068】
図4〜図7は、本発明に係るシールドコネクタにおける機器側コネクタの他の実施形態を示している。
【0069】
図4は本発明に係る機器側コネクタの他の実施形態の斜視図、図5は図4に示した機器側コネクタをシールドケースに固定した状態の斜視図、図6は図5に示した機器側コネクタとシールドケースを一部断面にした斜視図、図7は図5に示した機器側コネクタとシールドケースの縦断面図である。
【0070】
この他の実施形態の機器側コネクタ30Aが一実施形態の機器側コネクタ30と相異する点は、一実施形態の機器側シールドシェル33の代わりに、機器側シールドシェル33の一部を設計変更した機器側シールドシェル33Aを採用した点である。
【0071】
機器側シールドシェル33Aは、シールドケース10におけるねじ穴12の配置変更に対応して、ケース固定用フランジ部333の形状を設計変更したものである。
【0072】
機器側コネクタ30Aを構成する構成部品の内、機器側シールドシェル33A以外の構成部品は、一実施形態のものと共通でよい。
【0073】
この他の実施形態でも明らかなように、本発明のシールドコネクタでは、シールドケース10上の取付寸法の変更に際して、その変更に対応するための構成部品の設計変更が少なくて済み、シールドケース10上の取付寸法の変更に対応する製品開発を容易にすることができる。
【0074】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【符号の説明】
【0075】
1 シールドコネクタ
10 シールドケース
20 外部ケーブル
30 機器側コネクタ
31 機器側接続端子
32 機器側樹脂製ハウジング
33 機器側シールドシェル
334 相手シェル固定部
34 第1のパッキン
40 ケーブル側コネクタ
43 ケーブル側シールドシェル
45 編組

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器のシールドケース内の回路に外部ケーブルを接続するシールドコネクタであって、
前記シールドケースに固定される機器側コネクタと、前記外部ケーブルの端部に取り付けられて前記機器側コネクタに嵌合接続されるケーブル側コネクタとを備え、
前記機器側コネクタは、
一端が前記シールドケース内の回路に接続されると共に他端が前記ケーブル側コネクタ側の接続端子に嵌合接続される機器側接続端子と、
該機器側接続端子を収容保持すると共に前記ケーブル側コネクタを嵌合接続可能な機器側樹脂製ハウジングと、
前記機器側樹脂製ハウジングを保持すると共に、前記シールドケースの外面に面接触状態でねじ止めされるケース固定用フランジ部を有した機器側シールドシェルと、
前記ケース固定用フランジ部の前記シールドケースへのねじ止めにより前記シールドケースの外面に押圧されて前記機器側コネクタと前記シールドケースとの間を封止する第1のパッキンと、
を備え、
前記機器側シールドシェルには、ケーブル側コネクタに装備されたケーブル側シールドシェルを締結することで、機器側シールドシェルとケーブル側シールドシェルとを導通状態に結合する相手シェル固定部を備えたことを特徴とするシールドコネクタ。
【請求項2】
前記機器側シールドシェルには、前記ケース固定用フランジ部を前記シールドケースに締結するねじ部材の突出高さよりも前記シールドケースの外方側に突出する厚肉状に形成されると共に、前記ケーブル側コネクタの嵌合部を収容するフード部として機能する厚肉部が設けられ、
前記厚肉部に前記相手シェル固定部が装備されたことを特徴とする請求項1に記載のシールドコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−216336(P2012−216336A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−79572(P2011−79572)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】