シールドフラットケーブル、コネクタ付シールドフラットケーブル及びこれらの製造方法
【課題】シールド層を片面側のみにして構造の簡略化とコストダウンを図り、同時に両端部の構造を同じにして共通のコネクタを使用できるようにする。
【解決手段】シールドフラットケーブル11は、複数本の平形導体13の上下から絶縁フィルム14が貼り合わされ、一方側の面で平形導体13が露出されてケーブル端末部12とされる。平形導体13が露出する面は、両端のケーブル端末部12で互いに反対側の面になる。また、平形導体13が露出していない面には補強テープ16が貼られる。ケーブル端末部12にはグランド導体15が貼られ、両端部のケーブル端末部12のうち一方に貼られたグランド導体15は裏面側に折り返され、折り返されたグランド導体15に接触するシールドフィルム17が設けられる。
【解決手段】シールドフラットケーブル11は、複数本の平形導体13の上下から絶縁フィルム14が貼り合わされ、一方側の面で平形導体13が露出されてケーブル端末部12とされる。平形導体13が露出する面は、両端のケーブル端末部12で互いに反対側の面になる。また、平形導体13が露出していない面には補強テープ16が貼られる。ケーブル端末部12にはグランド導体15が貼られ、両端部のケーブル端末部12のうち一方に貼られたグランド導体15は裏面側に折り返され、折り返されたグランド導体15に接触するシールドフィルム17が設けられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数本の導体を平行に並べて絶縁フィルムで被覆し、その外側を共通のシールドフィルムで覆ってシールドし、端部にコネクタ接続を行うための端末部を備えるシールドフラットケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
フレキシブルフラットケーブル(FFC)は、CDやDVDプレーヤ等のAV機器、コピー機やプリンタ等のOA機器、その他電子・情報機器の内部配線等の多くの分野で、省スペース化と簡便な接続を目的として用いられている。また、機器の使用周波数が高くなるとノイズの影響が大きくなることから、シールドされたシールドフラットケーブルケーブルが用いられる。ケーブルのシールドは、例えば、FFCの外側をシールドフィルムで覆って形成される。
【0003】
従来のシールドフラットケーブルに関し、例えば、特許文献1には、並列させた複数の平形導体を上下から絶縁フィルムで挟み、その絶縁フィルムの両面側をシールドフィルムで被覆した構成が開示されている。また、特許文献1の構成は、ケーブル端末部で平形導体が露出された面の絶縁フィルム上に第1のグランドテープを貼り付け、さらに平形導体の露出面と反対側にも第2のグランドテープを貼り付け、これらをシールドフィルムに接触させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−146694号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、特許文献1のシールドフラットケーブルは、並列させた平形導体を上下から挟んだ絶縁フィルムの両面側をシールドフィルムによるシールド層で被覆するようにしている。ここでケーブル構造の簡略化及びコストダウンの観点から、従来のシールド層を絶縁フィルムの片面側のみに設けるようにした場合、シールドフラットケーブルの両端では互いにその端末構造が異なることになる。両端側で端末構造が異なるので、同じコネクタを使用できない。したがって、シールドフラットケーブルの両端部のそれぞれに対応したコネクタを取り付ける必要が生じ、製造工程が煩雑になる。また、製造に用いるコネクタの在庫管理も煩雑になる。
【0006】
本発明は、上述した実情に鑑みてなされたもので、平形導体を挟む絶縁層の外側に設けるシールド層を片面側のみにしてケーブル構造の簡略化とコストダウンを図り、同時に両端部の端末構造を同じにして両端部で共通のコネクタを使用できるようにすることで製造工程の煩雑化を回避できるようにしたシールドフラットケーブル、コネクタ付シールドフラットケーブル、及びこれらの製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によるシールドフラットケーブルは、並列させた複数本の平形導体の上下から、前記平形導体を挟むように絶縁フィルムが貼り合わされ、絶縁フィルムの長手方向両端部で、上下から貼り合わせた前記絶縁フィルムの一方側の面で平形導体が露出されてケーブル端末部とされる。そして平形導体が露出する面は、前記両端のケーブル端末で互いに反対側の面であり、ケーブル端末部にグランド導体が貼られ、前記ケーブル端末部のうち一方に貼られた前記グランド導体は、裏面側に折り返されて貼られ、グランド導体が折り返された面には、前記折り返されたグランド導体に接触するシールド層が設けられている。また、ケーブル端末部の平形導体が露出していない面には、絶縁フィルムの上に補強テープが貼られている。また、本発明によるシールドフラットケーブルは、上記のシールド層の上にさらに外被が重ねられている。
【0008】
本発明よるコネクタ付シールドフラットケーブルは、上記のシールドフラットケーブルの両端にコネクタが取り付けられてなるコネクタシールドフラットケーブルであって、シールドフラットケーブルのグランド導体が前記コネクタの接地端子に接続されている。
【0009】
本発明によるシールドフラットケーブルの製造方法は、複数本の平形導体を並列させ、並列させた複数本の平形導体の上下から、平形導体を挟むように絶縁フィルムを貼り合わせる工程と、絶縁フィルムの長手方向両端部で、上下から貼り合わせた前記絶縁フィルムの一方側の面で前記平形導体を露出してケーブル端末部とし、平形導体が露出する面を前記両端のケーブル端末で互いに反対側の面とする工程とを有する。さらに、ケーブル端末部にグランド導体を貼り、前記ケーブル端末部のうち一方に貼ったグランド導体を裏面に折り返して貼る工程と、グランド導体を折り返した面において、前記折り返したグランド導体に接触するシールド層を設ける工程と、を有する。また、上記の平形導体を露出してケーブル端末部とする工程と、上記のグランド導体を貼る工程との間に、ケーブル端末部の平形導体が露出していない面において、絶縁フィルムの上に補強テープを貼る工程を有する。また、本発明によるシールドフラットケーブルの製造方法は、上記のシールド層の上にさらに外被を重ねる工程を有する。
【0010】
本発明よるコネクタ付シールドフラットケーブルの製造方法は、上記のシールドフラットケーブルの製造方法により製造したシールドフラットケーブルの両端にコネクタを取り付ける工程を有する。この工程は、シールドフラットケーブルのグランド導体がコネクタの接地端子に接続されるようにコネクタを取り付ける工程である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、平形導体を挟む絶縁層の外側に設けるシールド層を片面側のみにして構造の簡略化とコストダウンを図り、同時に両端部の構造を同じにして両端部で共通のコネクタを使用できるようにすることで製造工程の煩雑化を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態によるシールドフラットケーブルの一端側の構成を説明する図である。
【図2】図1に示すシールドフラットケーブルの他端側の構成を説明する図である。
【図3】本発明の他の実施形態によるシールドフラットケーブルの一端側の構成を説明する図である。
【図4】図3に示すシールドフラットケーブルの他端側の構成を説明する図である。
【図5】本発明に係るコネクタ付シールドフラットケーブルの構成例を示す図である。
【図6】本発明の更に他の実施形態によるシールドフラットケーブルの一端側の構成を説明する図である。
【図7】図6に示すシールドフラットケーブルの他端側の構成を説明する図である。
【図8】本発明に係るシールドフラットケーブルの製造方法の実施形態を説明する図である。
【図9】本発明に係るシールドフラットケーブルの製造方法の実施形態を説明する他の図である。
【図10】本発明の更に他の実施形態によるシールドフラットケーブルの一端側の構成を説明する図である。
【図11】図10に示すシールドフラットケーブルの他端側の構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1,図2により本発明の実施の形態を説明する。図1(A)は、本発明の一実施形態によるシールドフラットケーブルの一端側の概略構成を説明する図、図1(B)はそのケーブル断面を示す図である。また、図2(A)は、図1に示すシールドフラッケーブルの他端側の概略構成を説明する図、図2(B)はそのケーブル断面を示す図である。各図において、11はシールドフラットケーブル、12はケーブル端末部、13は平形導体、14は絶縁フィルム、14aは第1絶縁フィルム、14bは第2絶縁フィルム、15はグランド導体、16は補強テープ、17はシールドフィルム、18は低誘電体フィルムを示す。
【0014】
本発明によるシールドフラットケーブル11は、並列して配置された複数本の平角形状の平形導体13を上下から絶縁フィルム14で挟み、その片面側にのみシールド層(シールドフィルム17)を設ける。これにより構造の簡易化とコストダウンを図り、このときに、シールドフラットケーブル11の両端部において、同じコネクタを使用できるようにした構成を提供する。
【0015】
図1は、シールドフラットケーブル11の一端側を示している。シールドフラットケーブル11として、例えば、断面が平角形状の複数本の平形導体13を平行に並べ、その両面(上下面)を絶縁フィルム14で挟んで絶縁被覆したフラットケーブルが用いられる。このフラットケーブルの端部では、絶縁フィルム14の第1絶縁フィルム14aを除去して、接触接続部となる部分を露出させてケーブル端末部12とされる。また、ケーブル端末部12で除去されていない第2絶縁フィルム14bの外側(図1(A)では下側)には、補強テープ16が貼り付けられてコネクタ(雌型のエッジコネクタ)への挿抜が可能な強度を持たせている。補強テープ16があればコネクタの挿抜が確実となるが、補強テープ16は必須のものではなく、絶縁フィルム14のみでもコネクタ等への接続をすることができるのなら、補強テープ16がなくてもよい。
【0016】
平形導体13は、信号伝送用に用いられるもので、例えば、銅箔、錫メッキ軟銅箔等の導電性金属箔からなる。この平形導体13は、信号伝送の電流値にもよるが、ケーブルの摺動性等を考慮すると、例えば、厚さが12μm〜50μmで、幅が0.3mm程度で、ピッチが0.5mmで配列される。この平形導体13の配列状態は、絶縁フィルム14の上下側の第1及び第2絶縁フィルム14a,14bにより保持される。
【0017】
絶縁フィルム14は、絶縁性を有する第1絶縁フィルム14a、第2絶縁フィルム14bの積層体であり、複数並列した平形導体13を上下から挟んで張り合わされている。
各絶縁フィルム14a,14bは、それぞれその内面(接合面)に接着層(図示省略)を有する。また、各絶縁フィルム14a,14bの素材としては、柔軟性に優れた樹脂材料が使用され、例えば、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリイミド樹脂等の樹脂フィルムを用いることができる。この樹脂フィルムの厚さとしては、9μm〜50μmのものが用いられる。ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリブチレンナフタレート樹脂等の樹脂材料が挙げられる。なお、これらの樹脂フィルムのうち、電気的特性、機械的特性、コスト等の観点からは、ポリエチレンテレフタレート樹脂の使用が好ましい。
【0018】
また、各絶縁フィルム14a,14bの接着層には、樹脂材料からなるものが使用され、例えば、ポリエステル系樹脂やポリオレフィン系樹脂に難燃剤を添加した接着剤などが使用される。この接着層は、10μm〜100μmの厚さで形成される。絶縁フィルム14の第1絶縁フィルム14aと第2絶縁フィルム14bは、平形導体13を挟んで接着層を向き合わせ、加熱ローラで熱を加えながら接合することにより貼り合わされ一体化される。
【0019】
絶縁フィルム14の第2絶縁フィルム14bには、補強テープ16が貼られた先端部領域を除く長手方向中間の領域に低誘電体フィルム18が貼り付けられる。低誘電体フィルム18は、絶縁フィルム14だけでは所定の特性インピーダンスが得られない場合にインピーダンス整合のために用いられるが、本発明に係る実施形態では必須の構成要素ではなく、適宜付与することができる要素である。以下の実施形態では、低誘電体フィルム18を備えた構成例を説明する。
【0020】
低誘電体フィルム18には、低誘電性を有するとともに、柔軟性、加工性に優れた樹脂材料を主成分とする素材が用いられる。例えば、低誘電性と柔軟性を有する素材としては、ポリオレフィン系の樹脂で、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン樹脂(PE)、酸変性ポリエチレン樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレンエチルアクリレート等が挙げられる。また、低誘電性と加工性に優れた素材としては、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)等が挙げられる。
【0021】
この低誘電体フィルム18は、例えば、比誘電率が2.2〜3.2、厚さ50μm〜350μm程度のものを、絶縁フィルム14に重ねて用いることで、シールドフラットケーブルの特性インピーダンスを、50Ω〜110Ωの範囲で、任意の値に設定することが可能となる。
【0022】
次に、補強テープ16の外側には、細幅の平角形状で短尺のグランド導体15を設ける。グランド導体15のケーブル先端側は、平形導体13よりも所定距離だけ後方側(長手方向中央側)に位置させる。従って、グランド導体15は、補強テープ16と低誘電体フィルム18との両方にかかるように貼り付けられる。低誘電体フィルム18のない構成の場合には、グランド導体15は、補強テープ16と第2絶縁フィルム14bとにかかるように貼り付けられる。
【0023】
グランド導体15を絶縁フィルム14の外側に設けることにより、一列に配列された平形導体13は、全て信号用に割り当てることができる。この結果、ケーブルの横幅を増加させることなく、信号線用の導体数を増やすことが可能となる。
【0024】
シールドフラットケーブル11に適用するグランド導体15としては、導電層と接着剤層からなるテープ(グランドテープ)を用いることができる。このグランドテープの導電層としては、例えば、厚みが18μm〜35μm程度の錫メッキ銅箔等が用いられ、屈曲耐性を考慮して圧延銅箔を用いるのが好ましい。また、接着剤層は、例えば、アクリル系の接着層、樹脂基材、接着層の順で積層され、導電層と合わせて全体の厚みはコネクタの寸法に合わせて25μm〜150μm程度となるものが用いられる。グランド導体15は、上記のような長尺のグランドテープを所定の長さに切って貼り付けて形成する。
【0025】
低誘電体フィルム18の外面には、そのほぼ全面をシールド層となるシールドフィルム17で覆ってシールドする。シールドフィルム17は、グランド導体15にその一部が重ねられた状態で、低誘電体フィルム18の外側全面に貼り付けられる。
【0026】
シールドフィルム17としては、例えば、絶縁層、金属のシールド層、接着層の3層形状からなるものが用いられる。例えば、フィルム基材となる樹脂製の絶縁層と、この絶縁層に銀等の導電性金属を蒸着または金属箔(アルミニウム箔や銅箔)を貼り合わせて形成されたシールド層と、そのシールド層上に接着剤を塗布した接着層によって構成される。絶縁層としては、ポリエチレンテレフタレート等の厚さ9μm程度の樹脂フィルムが用いられる。接着層に導電接着剤を使用すると、シールド層とグランド導体15とを導通させることができる。導電接着層はシールド層の銀蒸着面に、例えば、銀ペースト等を塗布して形成される。また、5μm程度の厚みの導電性でない接着剤を縞状に塗工したものも用いることができる。高価な導電性接着剤を使用せずに、接着剤が塗布されていない箇所でシールド層とグランド導体15を物理的に接触させて導通を得ることができる。シールドフィルム17の厚さとしては、例えば30μm程度のものが用いられる。
【0027】
シールドフィルム17は、上記の導電接着層を内側(図1では上側)にして、グランド導体15と低誘電体フィルム18の外面に貼り付ける。ここでシールドフィルム17は、その端部がグランド導体15の一部と重なるように貼り付けられ、上記の導電接着層を介してシールドフィルム17とグランド導体15とを電気的に接続、あるいは物理的接触によって、シールドフィルム17にシールド機能が与えられる。グランド導体15の接地接続は、シールドフィルム17の先端から露出されている部分に、コネクタ側のグランド用接続端子を接触させることにより実現される。
【0028】
次に図2により、シールドフラットケーブル11の他端側の構成を説明する。図2に示すシールドフラットケーブル11のケーブル端末部12は、図1に示すケーブル端末部12とは反対側の端部を示しているが、ここでは、図1の上下方向と図2の上下方向とが逆に示されている。ここでは図2の場合のケーブル端末部12の特徴を説明し、図1と重複する部分はその繰り返しの説明を省略する。
【0029】
図2(A)、(B)に示すケーブル端末部12においては、絶縁フィルム14の第2絶縁フィルム14bを除去して、接触接続部となる平形導体13を露出させてケーブル端末部12とされる。また、ケーブル端末部12で除去されていない第1絶縁フィルム14aには、補強テープ16が貼り付けられてコネクタ(雌型のエッジコネクタ)への挿抜が可能な強度を持たせている。また、補強テープ16に切り欠きや突起を設けて、受け側のコネクタとの嵌合をより強固にするケースもある。
このように、シールドフラットケーブル11は、絶縁フィルム14が除去されて平形導体13が露出する面がケーブル両端のケーブル端末部12で互いに逆になっている。
【0030】
絶縁フィルム14の第2絶縁フィルム14bには、低誘電体フィルム18が貼り付けられる。低誘電体フィルム18の先端部の位置は、その裏面側の補強テープ16が貼られた先端部領域よりも後方(端部と反対側)であってもよい。
【0031】
次に、補強テープ16の外側(図2(A),(B)の下側)にグランド導体15を設ける。グランド導体15のケーブル先端側は、平形導体13よりも所定距離後方側に位置させる。従って、グランド導体15は、補強テープ16と第1絶縁フィルム14aとの両方にかかるように貼り付けられる。
このときグランド導体15は、図2に(C)示すような形状とし、その左右に折返し用の凸部15a、15bを備えたものとする。そしてこのグランド導体15を、図2(A)に示すように補強テープ16に一部重なるように貼り付け、その貼りつけ面の裏面(図2(A),(B)の上側面)に凸部15a,15bを折り返す。折り返したグランド導体15の凸部15a,15bは、低誘電体フィルム18の上に重ねられる。
【0032】
次に低誘電体フィルム18の全面をシールド層となるシールドフィルム17で覆ってシールドする。このときシールドフィルム17は、グランド導体15の折り返された凸部15a,15bに重ねられた状態で、低誘電体フィルム18の全面を覆うように貼り付けられる。
【0033】
シールドフィルム17は、その導電接着層を内側(図2(A),(B)では下側)にして、グランド導体15が折り返された領域を含む低誘電体フィルム18の外面に貼り付ける。ここでシールドフィルム17は、グランド導体15の凸部15a,15bと接触し、その導電接着層を介してシールドフィルム17とグランド導体15とを電気的に接続する。シールドフィルム17およびグランド導体15の接地接続は、シールドフィルム17の反対側(図2(A)、(B)の下側)の部分に、コネクタ側のグランド用接続端子を接触させることにより実現される。
【0034】
次に図3,図4により、本発明に係るシールドフラットケーブルの他の実施形態を説明する。本発明に係る実施形態は、図1,図2に示す構成のケーブルに対してさらにその最外周部に外被を付与した構成とする。本実施形態では、外被として保護フィルム19を使用している。
【0035】
図3(A)は、図1に示す構成に保護フィルムを付与した概略構成を説明する図、図3(B)はそのケーブル断面を示す図である。また、図4(A)は、図2に示す構成に保護フィルムを付与した概略構成を説明する図、図4(B)はそのケーブル断面を示す図である。各図において、19は保護フィルムで、その他図1,図2と同様の機能を有する要素には図1、図2と同じ符号が付してある。
【0036】
保護フィルム19は、ケーブル全体を保護するとともに、その機械的強度を補強し、屈曲等に耐える機能を備える。保護フィルム19の素材としては、例えば、被覆厚さが25μm〜100μm程度のポリエチレンテレフタレート(PET)などを用いることができる。また、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン或いはポリウレタン樹脂とエチレン酢酸ビニル共重合樹脂との混合樹脂等を使用するようにしてもよい。
【0037】
保護フィルム19による被覆構成としては、上記の樹脂素材に接着層を付与してなる樹脂テープを用い、平形導体13、絶縁フィルム14、グランド導体15、補強テープ16、シールドフィルム17、及び低誘電体フィルム18からなる図1,図2に示す構成体の外周を覆うようにして一体化させる。このときに、ケーブル両端のケーブル端末部12は保護フィルム19で被覆することなく露出させ、平形導体13及びグランド導体15のコネクタ接続を可能とする。
【0038】
保護フィルム19による被覆構成としては、図4及び図5に示すように、図1,図2に示す構成体の周囲を覆うように1枚の保護フィルムを巻き付けて、保護フィルム19の両端縁同士を重ねて融着もしくは接着し一体化させる。あるいは、2枚の保護フィルム19を使用して、図1,図2に示す構成体を上下から挟み、保護フィルムの端縁同士を接着もしくは融着させて一体化するようにしてもよい。さらには、図1,図2の構成体の周囲全体を覆うのではなく、シールドフィルム17の幅方向の端の部分を覆うように設けるものであってもよい。この場合には、シールドフィルム17が一部露出するが、用途や要求仕様に応じてこのような構成を適宜採用することができる。また、図1,図2の構成体に対して保護フィルム19を押出被覆成形してもよい。
【0039】
図5は、本発明に係るコネクタ付シールドフラットケーブルの構成例を示す図である。コネクタ付シールドフラットケーブル100は、上記図1,図2に示すシールドフラットケーブル、もしくは図3,図4に示すシールドフラットケーブルの両端にコネクタ101を取り付けたものとして提供される。
図示するように、平形導体13の露出面は、シールドフラットケーブル11の両端部において互いに表裏逆になっている。そして、本実施形態の構成により、両端のコネクタ101には同じ形状のものを用いることができる。
【0040】
図6は、本発明に係るシールドフラットケーブルの更に他の実施形態を説明する図である。ここでは、上記の図1,図2の例と同様に、図6に示す上下方向と図7に示す上下方向とが逆になっている。本実施形態では、図1,図2の構成に比較してグランド導体15の形状が異なっているため、その特徴的な部分について主に説明する。
【0041】
図6に示すケーブル端末部12では、図1の構成と同様に、第1絶縁フィルム14aを除去して平形導体13を露出させ、除去されていない第2絶縁フィルム14bの外側(図5では下側)に補強テープ16が貼り付けられる。補強テープ16、および低誘電体フィルム18は、図1の構成と同様に必須の要素ではないが、ここではこれら補強テープ16と低誘電体フィルムを備えた例を説明する。
【0042】
補強テープ16の外側には、グランド導体15を設けるが、このとき、本実施形態では、図1の構成と異なり、グランド導体15の端部がケーブル長手方向の先端位置になるように貼り付ける。ケーブル長手方向の中央側では、グランド導体15は、図1と同様の形態で貼り付けられる。つまり、この例では、グランド導体15は、第2絶縁フィルム14bと保護フィルム16を介して平形導体13に重なる領域にも貼り付けられる。これにより補強テープ16の外側は、グランド導体16によって覆われる。
【0043】
一方、図7に示すケーブル端末部12においては、図2の構成と同様に、第2絶縁フィルム14bを除去して平形導体13を露出させ、除去されていない第1絶縁フィルム14bの外側(図7では下側)に補強テープ16が貼り付けられる。ここでも補強テープ16と低誘電体フィルム18は必須の要素ではない。
【0044】
補強テープ16の外側には、グランド導体15を設けるが、このとき、本実施形態では、図2の構成と異なり、グランド導体15の端部がケーブル長手方向の先端位置になるように貼り付ける。ケーブル長手方向の中央側では、グランド導体15は、図4と同様の形態で貼り付けられ、グランド導体15の凸部が裏面側(図7では上側)に折り返される。つまり、グランド導体15は、第1絶縁フィルム14aと保護フィルム16を介して平形導体13に重なる領域にも貼り付けられる。これにより補強テープ16の外側は、グランド導体16によって覆われる。
なお、上記の図6、図7の構成のシールドフラットケーブルは、上記図1,図2の例と同様に、さらに外被として保護フィルムを付与することができる。
【0045】
次に、図8,図9を参照して本発明に係るシールドフラットケーブルの製造方法の実施形態を説明する。図8,図9は、シールドフラットケーブルの製造工程をそれぞれ表側と裏側から見た状態を模式的に示している。以下、説明のため便宜的に図8に示す側を表側、図9に示す側を裏側とする。
まず、ステップS1において、絶縁フィルム14の一方が除去され、接触接続部となる平形導体13が露出されたケーブル端末部を有するフラットケーブルを用意する。図8及び図9に示すように、平形導体13の露出面は、ケーブルの両端で表裏逆になっている。そして、ケーブル端末部の絶縁フィルム14において、平形導体13を露出させた面の反対側に補強テープ16を貼り付けて、コネクタ(雌型のエッジコネクタ)への挿抜が可能な強度を持たせる。
【0046】
ステップS2では、絶縁フィルム14の一方の側にインピーダンス整合のための低誘電体フィルム18を貼る(図8)。上記のように、低誘電体フィルム18は、本発明に係るシールドフラットケーブルの必須の要素ではなく、適宜設けるものとする。
ステップS3〜S4では、両端のケーブル端末部にグランド導体15を設ける。ここでは、低誘電体フィルム18を設けた表側には、1方のケーブル端末部において、補強テープ16と低誘電体フィルム18とにかかるようにグランド導体15を設ける。また、他方のケーブル端末部では、低誘電体フィルム18のない裏側において、図2(C)に示す形状のグランド導体15を用い、補強テープ16の一部に重なるようにグランド導体15を貼り付けて、その凸部15a,15bを表側に折り返す。
【0047】
次にステップS5において、表側の低誘電体フィルム18の上に、シールド層となるシールドフィルム17を貼り付ける。このときシールドフィルム17の長手方向両端の領域をグランド導体15に重ねて合わせて導通させる。
保護フィルム19のないシールドフラットケーブルの場合には、ここで製造工程が終了する。保護フィルム19を設ける場合、さらにステップS6〜S8の工程を実施する。ステップS6では、保護フィルム19を裏側から絶縁フィルム14の上に貼り付け、幅方向の両端縁部を表側に折り返すことで、保護フィルム19をケーブルに巻き付ける。表側では、折り返した保護フィルムの端縁部同士を重ねて融着もしくは接着させる。
【0048】
次に本発明のシールドフラットケーブルの更に他の実施形態を説明する。図10,図11は、本発明の更に他の実施形態のシールドフラットケーブルの両端部をそれぞれ示すものである。ここでは、上記図1,図2の例と同様に、図10に示す上下方向と図11に示す上下方向とが逆になっている。本実施形態では、図1,図2の構成に比較して層構成が異なっているため、その特徴的な部分について説明する。
【0049】
図10において、平形導体13を露出させたケーブル端末部12には、除去されていない第2絶縁フィルム14bに補強テープ16が貼り付けられる。さらに絶縁フィルム14の第2絶縁フィルム14bには、補強テープ16が貼られた先端部領域を除く長手方向中間の領域に低誘電体フィルム18が貼り付けられる。この場合にも、補強フィルム16および低誘電体フィルム18は必須の構成要素ではない。
【0050】
絶縁フィルム14の第1絶縁フィルム14aの上には、グランド導体15が設けられる。このグランド導体15は、図2(C)に示すような凸部15a,15bを備えた形状を有している。そしてこれらの凸部15a,15bを反対側に折返し、第2絶縁フィルム14bの表面に貼る。
【0051】
そして低誘電体フィルム18のほぼ全面をシールド層となるシールドフィルム17で覆ってシールドする。このときシールドフィルム17は、グランド導体15の凸部15a,15bにその一部が重ねられた状態で、低誘電体フィルム18の全面に貼り付けられる。グランド導体15の接地接続は、シールドフィルム17の反対側(図10の上側)の部分に、コネクタ側のグランド用接続端子を接触させることにより実現される。
【0052】
次に図11に示す他端側のケーブル端末部12は、絶縁フィルム14の第2絶縁フィルム14bを除去して、接触接続部となる平形導体13を露出させてケーブル端末部12とされる。また、ケーブル端末部12で除去されていない第1絶縁フィルム14aには、補強テープ16が貼り付けられる。
【0053】
絶縁フィルム14の第2絶縁フィルム14bには、細幅の平角形状で短尺のグランド導体15が貼り付けられる。そして、その後方(端部と反対側)には、低誘電体フィルム18が貼り付けられる。
そしてグランド導体15の一部、及び低誘電体フィルム18の全面をシールド層となるシールドフィルム17で覆ってシールドする。このときシールドフィルム17は、グランド導体15の一部に重ねられた状態で、低誘電体フィルム18の全面を覆うように貼り付けられる。
【0054】
上記の図10、図11の構成のシールドフラットケーブルは、さらに外被として保護フィルムを付与することができる。ここでは、図1、図2の場合と同様に、図10,図11に示す構成体の外周を保護フィルム19で覆うようにして一体化させるようにする。また、保護フィルム19による被覆構成としては、2枚の保護フィルム19を使用してケーブルを上下から挟み、保護フィルム19の端縁同士を接着もしくは融着させるようにしてもよく、あるいはシールドフィルム17の幅方向の端の部分を覆うように設けたものであってもよい。
【符号の説明】
【0055】
11…シールドフラットケーブル、12…ケーブル端末部、13…平形導体、14a…第1絶縁フィルム,14b…第2絶縁フィルム、15…グランド導体、15a,15b…凸部、16…補強テープ、17…シールドフィルム、18…低誘電体フィルム、19…保護フィルム、101…コネクタ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数本の導体を平行に並べて絶縁フィルムで被覆し、その外側を共通のシールドフィルムで覆ってシールドし、端部にコネクタ接続を行うための端末部を備えるシールドフラットケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
フレキシブルフラットケーブル(FFC)は、CDやDVDプレーヤ等のAV機器、コピー機やプリンタ等のOA機器、その他電子・情報機器の内部配線等の多くの分野で、省スペース化と簡便な接続を目的として用いられている。また、機器の使用周波数が高くなるとノイズの影響が大きくなることから、シールドされたシールドフラットケーブルケーブルが用いられる。ケーブルのシールドは、例えば、FFCの外側をシールドフィルムで覆って形成される。
【0003】
従来のシールドフラットケーブルに関し、例えば、特許文献1には、並列させた複数の平形導体を上下から絶縁フィルムで挟み、その絶縁フィルムの両面側をシールドフィルムで被覆した構成が開示されている。また、特許文献1の構成は、ケーブル端末部で平形導体が露出された面の絶縁フィルム上に第1のグランドテープを貼り付け、さらに平形導体の露出面と反対側にも第2のグランドテープを貼り付け、これらをシールドフィルムに接触させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−146694号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、特許文献1のシールドフラットケーブルは、並列させた平形導体を上下から挟んだ絶縁フィルムの両面側をシールドフィルムによるシールド層で被覆するようにしている。ここでケーブル構造の簡略化及びコストダウンの観点から、従来のシールド層を絶縁フィルムの片面側のみに設けるようにした場合、シールドフラットケーブルの両端では互いにその端末構造が異なることになる。両端側で端末構造が異なるので、同じコネクタを使用できない。したがって、シールドフラットケーブルの両端部のそれぞれに対応したコネクタを取り付ける必要が生じ、製造工程が煩雑になる。また、製造に用いるコネクタの在庫管理も煩雑になる。
【0006】
本発明は、上述した実情に鑑みてなされたもので、平形導体を挟む絶縁層の外側に設けるシールド層を片面側のみにしてケーブル構造の簡略化とコストダウンを図り、同時に両端部の端末構造を同じにして両端部で共通のコネクタを使用できるようにすることで製造工程の煩雑化を回避できるようにしたシールドフラットケーブル、コネクタ付シールドフラットケーブル、及びこれらの製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によるシールドフラットケーブルは、並列させた複数本の平形導体の上下から、前記平形導体を挟むように絶縁フィルムが貼り合わされ、絶縁フィルムの長手方向両端部で、上下から貼り合わせた前記絶縁フィルムの一方側の面で平形導体が露出されてケーブル端末部とされる。そして平形導体が露出する面は、前記両端のケーブル端末で互いに反対側の面であり、ケーブル端末部にグランド導体が貼られ、前記ケーブル端末部のうち一方に貼られた前記グランド導体は、裏面側に折り返されて貼られ、グランド導体が折り返された面には、前記折り返されたグランド導体に接触するシールド層が設けられている。また、ケーブル端末部の平形導体が露出していない面には、絶縁フィルムの上に補強テープが貼られている。また、本発明によるシールドフラットケーブルは、上記のシールド層の上にさらに外被が重ねられている。
【0008】
本発明よるコネクタ付シールドフラットケーブルは、上記のシールドフラットケーブルの両端にコネクタが取り付けられてなるコネクタシールドフラットケーブルであって、シールドフラットケーブルのグランド導体が前記コネクタの接地端子に接続されている。
【0009】
本発明によるシールドフラットケーブルの製造方法は、複数本の平形導体を並列させ、並列させた複数本の平形導体の上下から、平形導体を挟むように絶縁フィルムを貼り合わせる工程と、絶縁フィルムの長手方向両端部で、上下から貼り合わせた前記絶縁フィルムの一方側の面で前記平形導体を露出してケーブル端末部とし、平形導体が露出する面を前記両端のケーブル端末で互いに反対側の面とする工程とを有する。さらに、ケーブル端末部にグランド導体を貼り、前記ケーブル端末部のうち一方に貼ったグランド導体を裏面に折り返して貼る工程と、グランド導体を折り返した面において、前記折り返したグランド導体に接触するシールド層を設ける工程と、を有する。また、上記の平形導体を露出してケーブル端末部とする工程と、上記のグランド導体を貼る工程との間に、ケーブル端末部の平形導体が露出していない面において、絶縁フィルムの上に補強テープを貼る工程を有する。また、本発明によるシールドフラットケーブルの製造方法は、上記のシールド層の上にさらに外被を重ねる工程を有する。
【0010】
本発明よるコネクタ付シールドフラットケーブルの製造方法は、上記のシールドフラットケーブルの製造方法により製造したシールドフラットケーブルの両端にコネクタを取り付ける工程を有する。この工程は、シールドフラットケーブルのグランド導体がコネクタの接地端子に接続されるようにコネクタを取り付ける工程である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、平形導体を挟む絶縁層の外側に設けるシールド層を片面側のみにして構造の簡略化とコストダウンを図り、同時に両端部の構造を同じにして両端部で共通のコネクタを使用できるようにすることで製造工程の煩雑化を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態によるシールドフラットケーブルの一端側の構成を説明する図である。
【図2】図1に示すシールドフラットケーブルの他端側の構成を説明する図である。
【図3】本発明の他の実施形態によるシールドフラットケーブルの一端側の構成を説明する図である。
【図4】図3に示すシールドフラットケーブルの他端側の構成を説明する図である。
【図5】本発明に係るコネクタ付シールドフラットケーブルの構成例を示す図である。
【図6】本発明の更に他の実施形態によるシールドフラットケーブルの一端側の構成を説明する図である。
【図7】図6に示すシールドフラットケーブルの他端側の構成を説明する図である。
【図8】本発明に係るシールドフラットケーブルの製造方法の実施形態を説明する図である。
【図9】本発明に係るシールドフラットケーブルの製造方法の実施形態を説明する他の図である。
【図10】本発明の更に他の実施形態によるシールドフラットケーブルの一端側の構成を説明する図である。
【図11】図10に示すシールドフラットケーブルの他端側の構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1,図2により本発明の実施の形態を説明する。図1(A)は、本発明の一実施形態によるシールドフラットケーブルの一端側の概略構成を説明する図、図1(B)はそのケーブル断面を示す図である。また、図2(A)は、図1に示すシールドフラッケーブルの他端側の概略構成を説明する図、図2(B)はそのケーブル断面を示す図である。各図において、11はシールドフラットケーブル、12はケーブル端末部、13は平形導体、14は絶縁フィルム、14aは第1絶縁フィルム、14bは第2絶縁フィルム、15はグランド導体、16は補強テープ、17はシールドフィルム、18は低誘電体フィルムを示す。
【0014】
本発明によるシールドフラットケーブル11は、並列して配置された複数本の平角形状の平形導体13を上下から絶縁フィルム14で挟み、その片面側にのみシールド層(シールドフィルム17)を設ける。これにより構造の簡易化とコストダウンを図り、このときに、シールドフラットケーブル11の両端部において、同じコネクタを使用できるようにした構成を提供する。
【0015】
図1は、シールドフラットケーブル11の一端側を示している。シールドフラットケーブル11として、例えば、断面が平角形状の複数本の平形導体13を平行に並べ、その両面(上下面)を絶縁フィルム14で挟んで絶縁被覆したフラットケーブルが用いられる。このフラットケーブルの端部では、絶縁フィルム14の第1絶縁フィルム14aを除去して、接触接続部となる部分を露出させてケーブル端末部12とされる。また、ケーブル端末部12で除去されていない第2絶縁フィルム14bの外側(図1(A)では下側)には、補強テープ16が貼り付けられてコネクタ(雌型のエッジコネクタ)への挿抜が可能な強度を持たせている。補強テープ16があればコネクタの挿抜が確実となるが、補強テープ16は必須のものではなく、絶縁フィルム14のみでもコネクタ等への接続をすることができるのなら、補強テープ16がなくてもよい。
【0016】
平形導体13は、信号伝送用に用いられるもので、例えば、銅箔、錫メッキ軟銅箔等の導電性金属箔からなる。この平形導体13は、信号伝送の電流値にもよるが、ケーブルの摺動性等を考慮すると、例えば、厚さが12μm〜50μmで、幅が0.3mm程度で、ピッチが0.5mmで配列される。この平形導体13の配列状態は、絶縁フィルム14の上下側の第1及び第2絶縁フィルム14a,14bにより保持される。
【0017】
絶縁フィルム14は、絶縁性を有する第1絶縁フィルム14a、第2絶縁フィルム14bの積層体であり、複数並列した平形導体13を上下から挟んで張り合わされている。
各絶縁フィルム14a,14bは、それぞれその内面(接合面)に接着層(図示省略)を有する。また、各絶縁フィルム14a,14bの素材としては、柔軟性に優れた樹脂材料が使用され、例えば、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリイミド樹脂等の樹脂フィルムを用いることができる。この樹脂フィルムの厚さとしては、9μm〜50μmのものが用いられる。ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリブチレンナフタレート樹脂等の樹脂材料が挙げられる。なお、これらの樹脂フィルムのうち、電気的特性、機械的特性、コスト等の観点からは、ポリエチレンテレフタレート樹脂の使用が好ましい。
【0018】
また、各絶縁フィルム14a,14bの接着層には、樹脂材料からなるものが使用され、例えば、ポリエステル系樹脂やポリオレフィン系樹脂に難燃剤を添加した接着剤などが使用される。この接着層は、10μm〜100μmの厚さで形成される。絶縁フィルム14の第1絶縁フィルム14aと第2絶縁フィルム14bは、平形導体13を挟んで接着層を向き合わせ、加熱ローラで熱を加えながら接合することにより貼り合わされ一体化される。
【0019】
絶縁フィルム14の第2絶縁フィルム14bには、補強テープ16が貼られた先端部領域を除く長手方向中間の領域に低誘電体フィルム18が貼り付けられる。低誘電体フィルム18は、絶縁フィルム14だけでは所定の特性インピーダンスが得られない場合にインピーダンス整合のために用いられるが、本発明に係る実施形態では必須の構成要素ではなく、適宜付与することができる要素である。以下の実施形態では、低誘電体フィルム18を備えた構成例を説明する。
【0020】
低誘電体フィルム18には、低誘電性を有するとともに、柔軟性、加工性に優れた樹脂材料を主成分とする素材が用いられる。例えば、低誘電性と柔軟性を有する素材としては、ポリオレフィン系の樹脂で、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン樹脂(PE)、酸変性ポリエチレン樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレンエチルアクリレート等が挙げられる。また、低誘電性と加工性に優れた素材としては、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)等が挙げられる。
【0021】
この低誘電体フィルム18は、例えば、比誘電率が2.2〜3.2、厚さ50μm〜350μm程度のものを、絶縁フィルム14に重ねて用いることで、シールドフラットケーブルの特性インピーダンスを、50Ω〜110Ωの範囲で、任意の値に設定することが可能となる。
【0022】
次に、補強テープ16の外側には、細幅の平角形状で短尺のグランド導体15を設ける。グランド導体15のケーブル先端側は、平形導体13よりも所定距離だけ後方側(長手方向中央側)に位置させる。従って、グランド導体15は、補強テープ16と低誘電体フィルム18との両方にかかるように貼り付けられる。低誘電体フィルム18のない構成の場合には、グランド導体15は、補強テープ16と第2絶縁フィルム14bとにかかるように貼り付けられる。
【0023】
グランド導体15を絶縁フィルム14の外側に設けることにより、一列に配列された平形導体13は、全て信号用に割り当てることができる。この結果、ケーブルの横幅を増加させることなく、信号線用の導体数を増やすことが可能となる。
【0024】
シールドフラットケーブル11に適用するグランド導体15としては、導電層と接着剤層からなるテープ(グランドテープ)を用いることができる。このグランドテープの導電層としては、例えば、厚みが18μm〜35μm程度の錫メッキ銅箔等が用いられ、屈曲耐性を考慮して圧延銅箔を用いるのが好ましい。また、接着剤層は、例えば、アクリル系の接着層、樹脂基材、接着層の順で積層され、導電層と合わせて全体の厚みはコネクタの寸法に合わせて25μm〜150μm程度となるものが用いられる。グランド導体15は、上記のような長尺のグランドテープを所定の長さに切って貼り付けて形成する。
【0025】
低誘電体フィルム18の外面には、そのほぼ全面をシールド層となるシールドフィルム17で覆ってシールドする。シールドフィルム17は、グランド導体15にその一部が重ねられた状態で、低誘電体フィルム18の外側全面に貼り付けられる。
【0026】
シールドフィルム17としては、例えば、絶縁層、金属のシールド層、接着層の3層形状からなるものが用いられる。例えば、フィルム基材となる樹脂製の絶縁層と、この絶縁層に銀等の導電性金属を蒸着または金属箔(アルミニウム箔や銅箔)を貼り合わせて形成されたシールド層と、そのシールド層上に接着剤を塗布した接着層によって構成される。絶縁層としては、ポリエチレンテレフタレート等の厚さ9μm程度の樹脂フィルムが用いられる。接着層に導電接着剤を使用すると、シールド層とグランド導体15とを導通させることができる。導電接着層はシールド層の銀蒸着面に、例えば、銀ペースト等を塗布して形成される。また、5μm程度の厚みの導電性でない接着剤を縞状に塗工したものも用いることができる。高価な導電性接着剤を使用せずに、接着剤が塗布されていない箇所でシールド層とグランド導体15を物理的に接触させて導通を得ることができる。シールドフィルム17の厚さとしては、例えば30μm程度のものが用いられる。
【0027】
シールドフィルム17は、上記の導電接着層を内側(図1では上側)にして、グランド導体15と低誘電体フィルム18の外面に貼り付ける。ここでシールドフィルム17は、その端部がグランド導体15の一部と重なるように貼り付けられ、上記の導電接着層を介してシールドフィルム17とグランド導体15とを電気的に接続、あるいは物理的接触によって、シールドフィルム17にシールド機能が与えられる。グランド導体15の接地接続は、シールドフィルム17の先端から露出されている部分に、コネクタ側のグランド用接続端子を接触させることにより実現される。
【0028】
次に図2により、シールドフラットケーブル11の他端側の構成を説明する。図2に示すシールドフラットケーブル11のケーブル端末部12は、図1に示すケーブル端末部12とは反対側の端部を示しているが、ここでは、図1の上下方向と図2の上下方向とが逆に示されている。ここでは図2の場合のケーブル端末部12の特徴を説明し、図1と重複する部分はその繰り返しの説明を省略する。
【0029】
図2(A)、(B)に示すケーブル端末部12においては、絶縁フィルム14の第2絶縁フィルム14bを除去して、接触接続部となる平形導体13を露出させてケーブル端末部12とされる。また、ケーブル端末部12で除去されていない第1絶縁フィルム14aには、補強テープ16が貼り付けられてコネクタ(雌型のエッジコネクタ)への挿抜が可能な強度を持たせている。また、補強テープ16に切り欠きや突起を設けて、受け側のコネクタとの嵌合をより強固にするケースもある。
このように、シールドフラットケーブル11は、絶縁フィルム14が除去されて平形導体13が露出する面がケーブル両端のケーブル端末部12で互いに逆になっている。
【0030】
絶縁フィルム14の第2絶縁フィルム14bには、低誘電体フィルム18が貼り付けられる。低誘電体フィルム18の先端部の位置は、その裏面側の補強テープ16が貼られた先端部領域よりも後方(端部と反対側)であってもよい。
【0031】
次に、補強テープ16の外側(図2(A),(B)の下側)にグランド導体15を設ける。グランド導体15のケーブル先端側は、平形導体13よりも所定距離後方側に位置させる。従って、グランド導体15は、補強テープ16と第1絶縁フィルム14aとの両方にかかるように貼り付けられる。
このときグランド導体15は、図2に(C)示すような形状とし、その左右に折返し用の凸部15a、15bを備えたものとする。そしてこのグランド導体15を、図2(A)に示すように補強テープ16に一部重なるように貼り付け、その貼りつけ面の裏面(図2(A),(B)の上側面)に凸部15a,15bを折り返す。折り返したグランド導体15の凸部15a,15bは、低誘電体フィルム18の上に重ねられる。
【0032】
次に低誘電体フィルム18の全面をシールド層となるシールドフィルム17で覆ってシールドする。このときシールドフィルム17は、グランド導体15の折り返された凸部15a,15bに重ねられた状態で、低誘電体フィルム18の全面を覆うように貼り付けられる。
【0033】
シールドフィルム17は、その導電接着層を内側(図2(A),(B)では下側)にして、グランド導体15が折り返された領域を含む低誘電体フィルム18の外面に貼り付ける。ここでシールドフィルム17は、グランド導体15の凸部15a,15bと接触し、その導電接着層を介してシールドフィルム17とグランド導体15とを電気的に接続する。シールドフィルム17およびグランド導体15の接地接続は、シールドフィルム17の反対側(図2(A)、(B)の下側)の部分に、コネクタ側のグランド用接続端子を接触させることにより実現される。
【0034】
次に図3,図4により、本発明に係るシールドフラットケーブルの他の実施形態を説明する。本発明に係る実施形態は、図1,図2に示す構成のケーブルに対してさらにその最外周部に外被を付与した構成とする。本実施形態では、外被として保護フィルム19を使用している。
【0035】
図3(A)は、図1に示す構成に保護フィルムを付与した概略構成を説明する図、図3(B)はそのケーブル断面を示す図である。また、図4(A)は、図2に示す構成に保護フィルムを付与した概略構成を説明する図、図4(B)はそのケーブル断面を示す図である。各図において、19は保護フィルムで、その他図1,図2と同様の機能を有する要素には図1、図2と同じ符号が付してある。
【0036】
保護フィルム19は、ケーブル全体を保護するとともに、その機械的強度を補強し、屈曲等に耐える機能を備える。保護フィルム19の素材としては、例えば、被覆厚さが25μm〜100μm程度のポリエチレンテレフタレート(PET)などを用いることができる。また、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン或いはポリウレタン樹脂とエチレン酢酸ビニル共重合樹脂との混合樹脂等を使用するようにしてもよい。
【0037】
保護フィルム19による被覆構成としては、上記の樹脂素材に接着層を付与してなる樹脂テープを用い、平形導体13、絶縁フィルム14、グランド導体15、補強テープ16、シールドフィルム17、及び低誘電体フィルム18からなる図1,図2に示す構成体の外周を覆うようにして一体化させる。このときに、ケーブル両端のケーブル端末部12は保護フィルム19で被覆することなく露出させ、平形導体13及びグランド導体15のコネクタ接続を可能とする。
【0038】
保護フィルム19による被覆構成としては、図4及び図5に示すように、図1,図2に示す構成体の周囲を覆うように1枚の保護フィルムを巻き付けて、保護フィルム19の両端縁同士を重ねて融着もしくは接着し一体化させる。あるいは、2枚の保護フィルム19を使用して、図1,図2に示す構成体を上下から挟み、保護フィルムの端縁同士を接着もしくは融着させて一体化するようにしてもよい。さらには、図1,図2の構成体の周囲全体を覆うのではなく、シールドフィルム17の幅方向の端の部分を覆うように設けるものであってもよい。この場合には、シールドフィルム17が一部露出するが、用途や要求仕様に応じてこのような構成を適宜採用することができる。また、図1,図2の構成体に対して保護フィルム19を押出被覆成形してもよい。
【0039】
図5は、本発明に係るコネクタ付シールドフラットケーブルの構成例を示す図である。コネクタ付シールドフラットケーブル100は、上記図1,図2に示すシールドフラットケーブル、もしくは図3,図4に示すシールドフラットケーブルの両端にコネクタ101を取り付けたものとして提供される。
図示するように、平形導体13の露出面は、シールドフラットケーブル11の両端部において互いに表裏逆になっている。そして、本実施形態の構成により、両端のコネクタ101には同じ形状のものを用いることができる。
【0040】
図6は、本発明に係るシールドフラットケーブルの更に他の実施形態を説明する図である。ここでは、上記の図1,図2の例と同様に、図6に示す上下方向と図7に示す上下方向とが逆になっている。本実施形態では、図1,図2の構成に比較してグランド導体15の形状が異なっているため、その特徴的な部分について主に説明する。
【0041】
図6に示すケーブル端末部12では、図1の構成と同様に、第1絶縁フィルム14aを除去して平形導体13を露出させ、除去されていない第2絶縁フィルム14bの外側(図5では下側)に補強テープ16が貼り付けられる。補強テープ16、および低誘電体フィルム18は、図1の構成と同様に必須の要素ではないが、ここではこれら補強テープ16と低誘電体フィルムを備えた例を説明する。
【0042】
補強テープ16の外側には、グランド導体15を設けるが、このとき、本実施形態では、図1の構成と異なり、グランド導体15の端部がケーブル長手方向の先端位置になるように貼り付ける。ケーブル長手方向の中央側では、グランド導体15は、図1と同様の形態で貼り付けられる。つまり、この例では、グランド導体15は、第2絶縁フィルム14bと保護フィルム16を介して平形導体13に重なる領域にも貼り付けられる。これにより補強テープ16の外側は、グランド導体16によって覆われる。
【0043】
一方、図7に示すケーブル端末部12においては、図2の構成と同様に、第2絶縁フィルム14bを除去して平形導体13を露出させ、除去されていない第1絶縁フィルム14bの外側(図7では下側)に補強テープ16が貼り付けられる。ここでも補強テープ16と低誘電体フィルム18は必須の要素ではない。
【0044】
補強テープ16の外側には、グランド導体15を設けるが、このとき、本実施形態では、図2の構成と異なり、グランド導体15の端部がケーブル長手方向の先端位置になるように貼り付ける。ケーブル長手方向の中央側では、グランド導体15は、図4と同様の形態で貼り付けられ、グランド導体15の凸部が裏面側(図7では上側)に折り返される。つまり、グランド導体15は、第1絶縁フィルム14aと保護フィルム16を介して平形導体13に重なる領域にも貼り付けられる。これにより補強テープ16の外側は、グランド導体16によって覆われる。
なお、上記の図6、図7の構成のシールドフラットケーブルは、上記図1,図2の例と同様に、さらに外被として保護フィルムを付与することができる。
【0045】
次に、図8,図9を参照して本発明に係るシールドフラットケーブルの製造方法の実施形態を説明する。図8,図9は、シールドフラットケーブルの製造工程をそれぞれ表側と裏側から見た状態を模式的に示している。以下、説明のため便宜的に図8に示す側を表側、図9に示す側を裏側とする。
まず、ステップS1において、絶縁フィルム14の一方が除去され、接触接続部となる平形導体13が露出されたケーブル端末部を有するフラットケーブルを用意する。図8及び図9に示すように、平形導体13の露出面は、ケーブルの両端で表裏逆になっている。そして、ケーブル端末部の絶縁フィルム14において、平形導体13を露出させた面の反対側に補強テープ16を貼り付けて、コネクタ(雌型のエッジコネクタ)への挿抜が可能な強度を持たせる。
【0046】
ステップS2では、絶縁フィルム14の一方の側にインピーダンス整合のための低誘電体フィルム18を貼る(図8)。上記のように、低誘電体フィルム18は、本発明に係るシールドフラットケーブルの必須の要素ではなく、適宜設けるものとする。
ステップS3〜S4では、両端のケーブル端末部にグランド導体15を設ける。ここでは、低誘電体フィルム18を設けた表側には、1方のケーブル端末部において、補強テープ16と低誘電体フィルム18とにかかるようにグランド導体15を設ける。また、他方のケーブル端末部では、低誘電体フィルム18のない裏側において、図2(C)に示す形状のグランド導体15を用い、補強テープ16の一部に重なるようにグランド導体15を貼り付けて、その凸部15a,15bを表側に折り返す。
【0047】
次にステップS5において、表側の低誘電体フィルム18の上に、シールド層となるシールドフィルム17を貼り付ける。このときシールドフィルム17の長手方向両端の領域をグランド導体15に重ねて合わせて導通させる。
保護フィルム19のないシールドフラットケーブルの場合には、ここで製造工程が終了する。保護フィルム19を設ける場合、さらにステップS6〜S8の工程を実施する。ステップS6では、保護フィルム19を裏側から絶縁フィルム14の上に貼り付け、幅方向の両端縁部を表側に折り返すことで、保護フィルム19をケーブルに巻き付ける。表側では、折り返した保護フィルムの端縁部同士を重ねて融着もしくは接着させる。
【0048】
次に本発明のシールドフラットケーブルの更に他の実施形態を説明する。図10,図11は、本発明の更に他の実施形態のシールドフラットケーブルの両端部をそれぞれ示すものである。ここでは、上記図1,図2の例と同様に、図10に示す上下方向と図11に示す上下方向とが逆になっている。本実施形態では、図1,図2の構成に比較して層構成が異なっているため、その特徴的な部分について説明する。
【0049】
図10において、平形導体13を露出させたケーブル端末部12には、除去されていない第2絶縁フィルム14bに補強テープ16が貼り付けられる。さらに絶縁フィルム14の第2絶縁フィルム14bには、補強テープ16が貼られた先端部領域を除く長手方向中間の領域に低誘電体フィルム18が貼り付けられる。この場合にも、補強フィルム16および低誘電体フィルム18は必須の構成要素ではない。
【0050】
絶縁フィルム14の第1絶縁フィルム14aの上には、グランド導体15が設けられる。このグランド導体15は、図2(C)に示すような凸部15a,15bを備えた形状を有している。そしてこれらの凸部15a,15bを反対側に折返し、第2絶縁フィルム14bの表面に貼る。
【0051】
そして低誘電体フィルム18のほぼ全面をシールド層となるシールドフィルム17で覆ってシールドする。このときシールドフィルム17は、グランド導体15の凸部15a,15bにその一部が重ねられた状態で、低誘電体フィルム18の全面に貼り付けられる。グランド導体15の接地接続は、シールドフィルム17の反対側(図10の上側)の部分に、コネクタ側のグランド用接続端子を接触させることにより実現される。
【0052】
次に図11に示す他端側のケーブル端末部12は、絶縁フィルム14の第2絶縁フィルム14bを除去して、接触接続部となる平形導体13を露出させてケーブル端末部12とされる。また、ケーブル端末部12で除去されていない第1絶縁フィルム14aには、補強テープ16が貼り付けられる。
【0053】
絶縁フィルム14の第2絶縁フィルム14bには、細幅の平角形状で短尺のグランド導体15が貼り付けられる。そして、その後方(端部と反対側)には、低誘電体フィルム18が貼り付けられる。
そしてグランド導体15の一部、及び低誘電体フィルム18の全面をシールド層となるシールドフィルム17で覆ってシールドする。このときシールドフィルム17は、グランド導体15の一部に重ねられた状態で、低誘電体フィルム18の全面を覆うように貼り付けられる。
【0054】
上記の図10、図11の構成のシールドフラットケーブルは、さらに外被として保護フィルムを付与することができる。ここでは、図1、図2の場合と同様に、図10,図11に示す構成体の外周を保護フィルム19で覆うようにして一体化させるようにする。また、保護フィルム19による被覆構成としては、2枚の保護フィルム19を使用してケーブルを上下から挟み、保護フィルム19の端縁同士を接着もしくは融着させるようにしてもよく、あるいはシールドフィルム17の幅方向の端の部分を覆うように設けたものであってもよい。
【符号の説明】
【0055】
11…シールドフラットケーブル、12…ケーブル端末部、13…平形導体、14a…第1絶縁フィルム,14b…第2絶縁フィルム、15…グランド導体、15a,15b…凸部、16…補強テープ、17…シールドフィルム、18…低誘電体フィルム、19…保護フィルム、101…コネクタ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
並列させた複数本の平形導体の上下から、前記平形導体を挟むように絶縁フィルムが貼り合わされ、
前記絶縁フィルムの長手方向両端部で、前記上下から貼り合わせた前記絶縁フィルムの一方側の面で前記平形導体が露出されてケーブル端末部とされ、
前記平形導体が露出する面は、両端の前記ケーブル端末部で互いに反対側の面であり、
前記ケーブル端末部にグランド導体が貼られ、前記ケーブル端末部のうち一方に貼られた前記グランド導体は、裏面側に折り返されて貼られ、
前記グランド導体が折り返された面には、前記折り返されたグランド導体に接触するシールド層が設けられていることを特徴とするシールドフラットケーブル。
【請求項2】
前記ケーブル端末部の前記平形導体が露出していない面には、前記絶縁フィルムの上に補強テープが貼られていることを特徴とする請求項1に記載のシールドフラットケーブル。
【請求項3】
前記シールド層の上にさらに外被が重ねられていることを特徴とする請求項1に記載のシールドフラットケーブル。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1に記載のシールドフラットケーブルの両端にコネクタが取り付けられてなるコネクタ付シールドフラットケーブルであって、前記シールドフラットケーブルの前記グランド導体が前記コネクタの接地端子に接続されていることを特徴とするコネクタ付シールドフラットケーブル。
【請求項5】
複数本の平形導体を並列させ、並列させた複数本の平形導体の上下から、前記平形導体を挟むように絶縁フィルムを貼り合わせる工程と、
前記絶縁フィルムの長手方向両端部で、前記上下から貼り合わせた前記絶縁フィルムの一方側の面で前記平形導体を露出してケーブル端末部とし、前記平形導体が露出する面を前記両端のケーブル端末で互いに反対側の面とする工程と、
前記ケーブル端末部にグランド導体を貼り、前記ケーブル端末部のうち一方に貼った前記グランド導体を裏面に折り返して貼る工程と、
前記グランド導体を折り返した面において、前記折り返したグランド導体に接触するシールド層を設ける工程と、を有することを特徴とするシールドフラットケーブルの製造方法。
【請求項6】
前記平形導体を露出してケーブル端末部とする工程と、前記グランド導体を貼る工程との間に、前記ケーブル端末部の前記平形導体が露出していない面において、前記絶縁フィルムの上に補強テープを貼る工程を有することを特徴とする請求項6に記載のフラットケーブルの製造方法。
【請求項7】
前記シールド層の上にさらに外被を重ねる工程を有することを特徴とする請求項5または6に記載のシールドフラットケーブルの製造方法。
【請求項8】
請求項5〜7のいずれか1に記載のシールドフラットケーブルの製造方法により製造したシールドフラットケーブルの両端にコネクタを取り付ける工程を有し、前記工程は、前記シールドフラットケーブルの前記グランド導体が前記コネクタの接地端子に接続されるように前記コネクタを取り付ける工程であることを特徴とするコネクタ付シールドフラットケーブルの製造方法。
【請求項1】
並列させた複数本の平形導体の上下から、前記平形導体を挟むように絶縁フィルムが貼り合わされ、
前記絶縁フィルムの長手方向両端部で、前記上下から貼り合わせた前記絶縁フィルムの一方側の面で前記平形導体が露出されてケーブル端末部とされ、
前記平形導体が露出する面は、両端の前記ケーブル端末部で互いに反対側の面であり、
前記ケーブル端末部にグランド導体が貼られ、前記ケーブル端末部のうち一方に貼られた前記グランド導体は、裏面側に折り返されて貼られ、
前記グランド導体が折り返された面には、前記折り返されたグランド導体に接触するシールド層が設けられていることを特徴とするシールドフラットケーブル。
【請求項2】
前記ケーブル端末部の前記平形導体が露出していない面には、前記絶縁フィルムの上に補強テープが貼られていることを特徴とする請求項1に記載のシールドフラットケーブル。
【請求項3】
前記シールド層の上にさらに外被が重ねられていることを特徴とする請求項1に記載のシールドフラットケーブル。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1に記載のシールドフラットケーブルの両端にコネクタが取り付けられてなるコネクタ付シールドフラットケーブルであって、前記シールドフラットケーブルの前記グランド導体が前記コネクタの接地端子に接続されていることを特徴とするコネクタ付シールドフラットケーブル。
【請求項5】
複数本の平形導体を並列させ、並列させた複数本の平形導体の上下から、前記平形導体を挟むように絶縁フィルムを貼り合わせる工程と、
前記絶縁フィルムの長手方向両端部で、前記上下から貼り合わせた前記絶縁フィルムの一方側の面で前記平形導体を露出してケーブル端末部とし、前記平形導体が露出する面を前記両端のケーブル端末で互いに反対側の面とする工程と、
前記ケーブル端末部にグランド導体を貼り、前記ケーブル端末部のうち一方に貼った前記グランド導体を裏面に折り返して貼る工程と、
前記グランド導体を折り返した面において、前記折り返したグランド導体に接触するシールド層を設ける工程と、を有することを特徴とするシールドフラットケーブルの製造方法。
【請求項6】
前記平形導体を露出してケーブル端末部とする工程と、前記グランド導体を貼る工程との間に、前記ケーブル端末部の前記平形導体が露出していない面において、前記絶縁フィルムの上に補強テープを貼る工程を有することを特徴とする請求項6に記載のフラットケーブルの製造方法。
【請求項7】
前記シールド層の上にさらに外被を重ねる工程を有することを特徴とする請求項5または6に記載のシールドフラットケーブルの製造方法。
【請求項8】
請求項5〜7のいずれか1に記載のシールドフラットケーブルの製造方法により製造したシールドフラットケーブルの両端にコネクタを取り付ける工程を有し、前記工程は、前記シールドフラットケーブルの前記グランド導体が前記コネクタの接地端子に接続されるように前記コネクタを取り付ける工程であることを特徴とするコネクタ付シールドフラットケーブルの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−181328(P2011−181328A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−44098(P2010−44098)
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]