シールドフラットケーブルおよびその製造方法
【課題】グランド線とシールド層との電気的な接触が良好でシールド層の接地が確実なシールドフラットケーブルおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明に係るシールドフラットケーブル1は、グランド線2aである導体を含む複数本の平角導体2が所定の並列ピッチで平面上に配列され、平角導体2の配列面の両面から平角導体2に絶縁フィルム3が貼着され、平角導体2の長手方向の両端部が露出した状態で絶縁フィルム3の外側にシールド層9が貼着されたシールドフラットケーブル1であって、長手方向端部以外のグランド線の配設箇所で、絶縁フィルム3が除去された穴部6を有し、穴部6には、導電性銀ペースト11が充填され、グランド線2aとシールド層9とが導電性銀ペースト11によって電気的に接続されている。
【解決手段】本発明に係るシールドフラットケーブル1は、グランド線2aである導体を含む複数本の平角導体2が所定の並列ピッチで平面上に配列され、平角導体2の配列面の両面から平角導体2に絶縁フィルム3が貼着され、平角導体2の長手方向の両端部が露出した状態で絶縁フィルム3の外側にシールド層9が貼着されたシールドフラットケーブル1であって、長手方向端部以外のグランド線の配設箇所で、絶縁フィルム3が除去された穴部6を有し、穴部6には、導電性銀ペースト11が充填され、グランド線2aとシールド層9とが導電性銀ペースト11によって電気的に接続されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器などに用いられるシールドフラットケーブルおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
限られたスペースで高密度の配線が可能な配線部材としては、可撓性の回路基板や平角導体を用いたフラットケーブルがある。ノイズ対策を必要とする電子機器の機器内配線には、シールド機能を備えたシールドフラットケーブルが使用されている。
【0003】
フラットケーブルは、複数本の平角導体を一平面上に配列し、その配列面の両側からそれぞれ絶縁フィルムをラミネートしたものである。シールドフラットケーブルの場合、ラミネートした絶縁フィルムの外側に金属箔等のシールド層が設けられる。複数本の平角導体のうち一部はグランド線であり、グランド線とシールド層が電気的に接続された構造を有している。
【0004】
シールドフラットケーブルとしては、ケーブル本体にシールド部材が接着されたものが知られている。例えば、特許文献1に開示されたように、ケーブル本体は少なくとも1本のグランド線を含む複数の導体を、上記グランド線の少なくとも一部を除いて、絶縁性の部材で被覆したものである。シールド部材は絶縁性の基材の片面に設けられた導電性材料から成るシールド層を有し、シールド層の上に導電性粒子を分散した導電性接着材層がある。導電性接着剤がシールド部材とケーブル本体を接着し、シールド層の一部が上記グランド線の一部に導電性接着材を介して電気的に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第02/05297号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のシールドフラットケーブルのように、導電性粒子を分散した接着剤を塗ったシールド層を絶縁部材へ貼り合わせても、グランド線の被覆されていない部分(非被覆部分)は絶縁性の部材の厚みからなる深さを有しているため、貼り付けたシールド層の接着剤が非被覆部分へ円滑に入らず、グランド線とシールド層とが接着剤を介して良好に導通されないおそれがある。
【0007】
そこで、本発明の目的は、グランド線とシールド層との電気的な接触が良好でシールド層の接地が確実なシールドフラットケーブルおよびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決することのできる本発明に係るシールドフラットケーブルは、グランド線である導体を含む複数本の平角導体が所定の並列ピッチで平面上に配列され、前記平角導体の配列面の両面から前記平角導体に絶縁フィルムが貼着され、前記平角導体の長手方向の両端部では一面を露出した状態で前記絶縁フィルムの外側にシールド層が貼着されたシールドフラットケーブルであって、
長手方向端部以外の前記グランド線上に前記絶縁フィルムが除去された穴部があり、前記穴部には、導電性銀ペーストが充填され、前記グランド線と前記シールド層とが前記導電性銀ペーストによって電気的に接続されていることを特徴とする。
【0009】
本発明のシールドフラットケーブルにおいて、前記導電性銀ペーストは、平均粒子径が0.5μm以上20μm以下の銀粒子からなる銀粉末とポリエステル樹脂からなるバインダー樹脂との混合物からなり、銀粉末の重量比は、82%以上91%以下とされていることが好ましい。
【0010】
また、本発明のシールドフラットケーブルにおいて、前記銀粉末は、銅粒子の表面に銀銅合金膜を有する銀コート銅粒子を含むことが好ましい。
【0011】
本発明のシールドフラットケーブルの製造方法は、グランド線である導体を含む複数本の平角導体を所定の並列ピッチで平面上に配列する配列工程と、
前記平角導体の配列面の両面から前記平角導体に絶縁フィルムを貼着し、かつ前記平角導体の両端部で前記平角導体の少なくとも一面を露出してフラットケーブルを形成する絶縁フィルム貼着工程と、
前記絶縁フィルムの両端部以外の箇所で前記グランド線を露出させるグランド線露出工程と、
前記絶縁フィルムを除去した穴部へ導電性銀ペーストを充填する銀ペースト充填工程と、
前記絶縁フィルムの外側にシールド層を貼着し、前記導電性銀ペーストを介して前記グランド線と前記シールド層とを電気的に接続する接続工程と、を有することを特徴とする。
【0012】
本発明のシールドフラットケーブルの製造方法において、前記グランド線露出工程後に、前記穴部における前記絶縁フィルムの残渣を除去する残渣除去工程を含むことが好ましい。
【0013】
また、本発明のシールドフラットケーブルの製造方法において、前記残渣除去工程は、前記穴部を揮発性液体によって洗浄して前記残渣を除去することが好ましい。
【0014】
また、本発明のシールドフラットケーブルの製造方法において、前記残渣除去工程は、前記穴部に付着した前記残渣をグリーンレーザによって焼き飛ばして除去することが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明のシールドフラットケーブルによれば、絶縁フィルムが除去された穴部に充填された導電性銀ペーストによって、グランド線とシールド層とを良好に電気的に接続させることができ、確実にシールド層をグランド線を介して接地することができる。
また、本発明のシールドフラットケーブルの製造方法によれば、グランド線とシールド層とが導電性銀ペーストによって良好に電気的に接続されたシールドフラットケーブルを容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施形態のシールドフラットケーブルの一方の面を示す平面図である。
【図2】本実施形態のシールドフラットケーブルの他方の面を示す平面図である。
【図3】図1および図2の矢視A−A断面図である。
【図4】図1および図2の矢視B−B断面図である。
【図5】本実施形態の製造方法において絶縁フィルム貼着工程を示す模式的な斜視図である。
【図6】本実施形態の製造方法における絶縁フィルム貼着工程後の長尺フラットケーブルを示す平面図である。
【図7】本実施形態の製造方法における絶縁フィルム貼着工程後の長尺フラットケーブルの他の例を示す平面図である。
【図8】本実施形態の製造方法におけるメッキ工程を示す模式図である。
【図9】本実施形態の製造方法における切断工程後のフラットケーブルを示す平面図である。
【図10】図9のフラットケーブルの端部の側面図である。
【図11】導体露出部の両方の面で絶縁フィルムが貼られない場合のフラットケーブルの端部の側面図である。
【図12】本実施形態の製造方法における導体露出工程後の図であって、(a)は平面図、(b)は(a)におけるD−D断面図である。
【図13】本実施形態の製造方法における銀ペースト充填工程後の図であって、(a)は平面図、(b)は(a)におけるE−E断面図である。
【図14】実施例での抵抗の測定の仕方を示すシールドフラットケーブルの平面図である。
【図15】比較例3のシールドフラットケーブルの構造を示す図であって、(a)はフラットケーブルの断面図、(b)はフラットケーブルの平面図、(c)はシールドフラットケーブルの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係るシールドフラットケーブルおよびその製造方法の実施形態の例について図面を参照して説明する。
図1から図4に示すように、シールドフラットケーブル1は、複数本(本実施形態では10本)の平角導体2を備え、これら平角導体2が所定の並列ピッチで平面上に配列され、平角導体2の配列面の両面にそれぞれ絶縁フィルム3が貼着(ラミネート)されている。絶縁フィルム3の外側には、シールド層9を有するシールドフィルム7が貼着されている。シールドフラットケーブル1の長手方向の両端部は、一方の面(図1に示す面)で複数本の全ての平角導体2が露出した導体露出部15とされ、他方の面(図2に示す面)にのみ絶縁フィルム3が貼着されており、導体露出部15は電気コネクタの弾性コンタクト片等に接続可能な接続端末として機能する。また、導体露出部15の平角導体2が露出していない側の面(他方の面)には、図2および図10に示すようにポリエステル等の絶縁樹脂からなる端末補強テープ14が絶縁フィルム3の上から貼着されており、露出した平角導体2を支持して変形を防止している。
平角導体2は、10本のうち、並列幅方向の両端から2番目がそれぞれグランド線2aとされている。
【0018】
平角導体2は、断面長方形に形成された銅基材上に錫メッキ層が積層されている。本実施形態では、銅基材の外周全域に錫メッキ層が形成されている。銅基材としては、銅または銅合金が用いられる。また、接続端末となる導体露出部15では、電気接触のための圧縮応力を受けることに起因して平角導体2の表面に針状結晶体(ウィスカ)が発生することがあるため、ウィスカの発生を抑制するために平角導体2に金メッキが施されていることが好ましい。金メッキを施すことにより、ウィスカが発生せず、狭いピッチで並べられた各平角導体2が短絡することなく、平角導体2と電気コネクタとの電気接続の信頼性が向上する。
本実施形態において、平角導体2の厚さは0.035mmであり、平角導体2の幅W1は0.3mmであり、10本の平角導体2の並列ピッチPは0.5mmである。
【0019】
絶縁フィルム3は、絶縁体である絶縁樹脂層5と絶縁性接着層4からなり、例えば、絶縁樹脂層5はポリエステルまたはポリイミドあるいはPPS等の樹脂であり、絶縁性接着層4はポリエステル系接着剤もしくは難燃PVCである。平角導体2に対して、絶縁性接着層4の面を対向させて2枚の絶縁フィルム3が貼り合わされている。これにより、平角導体2同士の電気的絶縁を図っている。
【0020】
シールドフィルム7は、導電性接着層8とシールド層9と樹脂層10からなり、例えば、導電性接着層8は導電フィラー含有接着剤であり、シールド層9はアルミまたは銅であり、樹脂層10はPET等のポリエステルである。導電性接着層8はシールド層9とグランド線2aを良好に導電させ、シールド層9によりシールドフラットケーブル1のシールド効果を発生させている。樹脂層10はシールド層9の剥離や腐食を防止して、シールドフラットケーブル1の機械的強度を維持する。
【0021】
シールドフィルム7は、図3及び図4に示すようにシールドフラットケーブル1の全周を覆うように1枚を巻きつけて貼着する他(巻き付けると重なり代ができる)、絶縁フィルム3と同様に2枚を対向させて貼り合わせても良い。
【0022】
図3に示すように、シールドフラットケーブル1の長手方向の大部分では全ての平角導体2に対して絶縁フィルム3が貼着されているが、図1および図4に示すように、グランド線2a上の一部の部分では、一方の面の絶縁フィルム3が除去された穴部6が設けられている。この穴部6には、導電性銀ペースト11が充填されている。そして、この導電性銀ペースト11によってグランド線2aとシールドフィルム7のシールド層9とが導通されて導電性接続が図られている。
【0023】
この導電性銀ペースト11は、銀粉末とバインダー樹脂との混合物である。銀粉末は、平均粒子径が0.5μm以上20μm以下の銀粒子及び一次粒子の平均粒径が50nm以下であるナノ銀粒子であることが好ましい。バインダー樹脂としては、ポリエステル樹脂が用いられる。また、銀粉末の重量比は、82%以上91%以下とされている。なお、銀粉末としては、ナノ銀粒子が含まれていなくても良い。
【0024】
ここで、導電性銀ペースト11における銀粉末の重量比が82%未満であると、急激にグランド線間の抵抗が大きくなり、また、91%より大きいと、抵抗は変わらずコストが高くなってしまう。
【0025】
また、銀粉末は、銀粒子または銅粒子の表面に銀銅合金膜を有する銀コート銅粒子が用いられている。銀コート銅粒子としては、10%の銀を銅粉末にメッキした平板状(フレーク状)のものが好ましく、この銀コート銅粒子を用いることにより、比抵抗を良好にすることができ、また、コストを低減させることができる。なお、平板状とは、粒子の最大長さLと厚みDの比L/Dが3以上であるものをいう。
【0026】
次に、上記構造のシールドフラットケーブル1を製造する製造方法について、その手順に沿って説明する。
【0027】
まず、銅基材の表面に錫メッキ層が形成された断面長方形の平角導体2(グランド線2aを含む)を複数本(本実施形態では10本)用意する。
【0028】
次いで、図5に示すように、それぞれ長尺の平角導体2が巻き取られている複数のリール30から平角導体2を送り出して所定の並列ピッチPで同一平面上に配列する(配列工程)。そして、これら平角導体2の上下に、リール31から長尺の絶縁フィルム3を送り出してヒータローラ32間に通し、巻き取りローラ33に巻き取る(絶縁フィルム貼着工程)。
【0029】
絶縁フィルム貼着工程の際、絶縁フィルム3の互いの対向面は絶縁性接着層4側とする。つまり、ヒータローラ32の間を通過することにより、絶縁フィルム3の絶縁性接着層4が溶融し、平面上に配列された複数本の平角導体2には、表裏から絶縁フィルム3が絶縁性接着層4によって貼り合わされ、これら平角導体2が平面上に配列されて絶縁樹脂(絶縁樹脂層5と絶縁性接着層4)で被覆された一連長の長尺フラットケーブルが形成される。
【0030】
ここで、長尺フラットケーブル1Aの一部を図6に示す。長尺フラットケーブル1Aは、図1に示した導体露出部15を設けるために、一方の絶縁フィルム3の長手方向の一部に開口した導体露出窓部15aが形成されている。導体露出窓部15aはシールドフラットケーブル1の長手方向の端部となる箇所に設けられている。導体露出窓部15aの幅W2は、全ての平角導体2が露出するように平角導体2の並列幅より大きくされている。
【0031】
このように、上記絶縁フィルム貼着工程では、導体露出窓部15aを有する絶縁フィルム3を平角導体2の長手方向に沿って連続的に貼着することで、導体露出窓部15aを形成しているが、図7に示すように、短尺の絶縁フィルム3を平角導体2の長手方向に沿って間欠的に貼着することで、導体露出窓部15aを形成しても良い。
【0032】
絶縁フィルム貼着工程の後、絶縁フィルム3の幅方向の余剰部分(耳と呼ばれる部分)を除去するために、図6および図7に示した破線C1で示す位置で切断される。これにより、導体露出窓部15aの幅方向両端部で絶縁フィルム3が長手方向に繋がった箇所が除去される。
【0033】
導体露出部15の平角導体2に金メッキ等のメッキを行う場合、長尺フラットケーブルのままでメッキ工程を行う。
このメッキ工程では、図8に示すように、メッキ液槽20に、長尺フラットケーブル1Aを間欠的に送り込んで浸漬させ、長尺フラットケーブル1Aの導体露出部15の部分に露出する平角導体2に電気メッキを施している。少なくとも1箇所の導体露出部15で、全ての平角導体2と交差する導電部材23で全ての平角導体2を接続一体化して電気的に接続する。長尺フラットケーブル1Aをメッキ液に漬けたときに導電部材23をメッキ液の外で電気クリップ等でメッキ電源21の負電位側に接続し、メッキ液に浸したメッキ金属材22をメッキ電源21の正電位側に接続する。
【0034】
長尺フラットケーブル1Aは、メッキ液槽20内に連続的に送り込んでメッキ液に浸漬させる(連続メッキ)他に、メッキ液槽20に収まる程度の長さに分断してメッキ液に浸漬させるようにしても良い。
【0035】
導体露出部15に施すメッキは、この端末部分でのウィスカの発生を抑制することと、あるいは端末部分と電気コネクタとの電気接続の信頼性を高めるためのもので、好ましくは金メッキが施される。但し、錫メッキ上に直接金メッキを施すと、異種金属接触による電食が生じ、長期の使用に耐えられないおそれがある。このため、下地金属としてニッケルメッキを施してから金メッキを施すようにするのが良い。
【0036】
このように形成された長尺フラットケーブル1Aは、図6および図7に示した導体露出部15の破線C2で示す位置で切断され、図9に示すように所定の長さのフラットケーブル1Bとされる(切断工程)。
【0037】
長尺フラットケーブル1Aを切断した図9のフラットケーブル1Bには、図10に示すように導体露出部15の一方の面に平角導体2を支持するように端末補強テープ14を貼着する。この例では、導体露出部15の一方の面に絶縁フィルム3が貼着され、その外側に端末補強テープ14が貼着されている。
なお、導体露出部15の両方の面で絶縁フィルム3が貼られずに平角導体2の両面が露出されている場合には、図11に示すように、その一方の面を覆うように端末補強テープ14を貼着する。
【0038】
次に、図12(a),(b)に示すように、それぞれのグランド線2aの配設位置における一方の面の絶縁フィルム3の一部を除去して穴部6を形成し、各グランド線2aの表面の一部を露出させる(導体露出工程)。なお、図12(b)は、図12(a)におけるD−D断面を示す。
具体的には、穴部6の形成位置における絶縁フィルム3の一部を、CO2レーザによって切断して除去して穴部6を形成する。
【0039】
次に、この絶縁フィルム3の一部を除去した穴部6内を、揮発性液体によって洗浄し、絶縁フィルム3の残渣を除去する(残渣除去工程)。具体的には、アルコールなどの揮発性液体を含ませた綿棒や布によって拭き取り、グランド線2aの表面に付着していた絶縁フィルム3の残渣を除去する。
なお、CO2レーザによって穴部6を形成した後に、例えば、波長532nmのグリーンレーザ(YAGレーザ)によってグランド線2aの表面に付着していた絶縁フィルム3の残渣を焼き飛ばして除去しても良い。
【0040】
穴部6を形成してグランド線2aの一部を露出させたら、図13(a),(b)に示すように、穴部6内へ導電性銀ペースト11を、例えば、エア式ディスペンサによって充填し、穴部6内を導電性銀ペースト11によって埋める(銀ペースト充填工程)。なお、図13(b)は、図13(a)におけるE−E断面を示す。
【0041】
このとき、揮発性液体による洗浄あるいはグリーンレーザによる焼き飛ばしによって絶縁フィルム3の残渣を除去しているので、穴部6におけるグランド線2aの接触面積が十分に確保され、穴部6内に充填した導電性銀ペースト11とグランド線2aとが良好に導通接触される。
【0042】
充填する際の導電性銀ペースト11は、銀粉末及びバインダー樹脂に対して、溶剤を含有させたもので、硬化剤であるブロックイソシアネートが含有されている。
この充填する硬化前の導電性銀ペースト11としては、例えば、銀が120gである場合、ポリエステル樹脂13g、硬化剤0.7g、溶剤20gの割合で配合される。なお、導電性銀ペースト11は、充填後に溶剤が揮発してなくなり、銀及びバインダー樹脂だけとなる。したがって、導電性銀ペースト11の銀及びバインダー樹脂の重量比は、硬化した状態の割合で決定される。
【0043】
導電性銀ペースト11の充填量は、絶縁フィルム3の厚みからなる深さ寸法を有する除去部6を完全に埋めることが可能な量、つまり、溶剤が揮発した後に残る銀粉末およびバインダー樹脂の体積が穴部6の容量以上となるようにするのが好ましい。
【0044】
溶剤は、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(BCA)が用いられ、バインダー樹脂に対して重量比で1.4倍以上2.4倍以下の量が含有されている。
また、導電性銀ペースト11の粘度は、溶剤の混合量によって調整される。導電性銀ペーストの粘度が60±20Pa・s程度となるように溶剤を混合すると、ディスペンサの塗布圧力を0.3MPa、塗布速度を0.5m/secとしてディスペンサからたれることなく塗布でき、塗布後に導電性銀ペーストが速やかに穴部6に行き渡るので好ましい。
【0045】
ここで、充填する硬化前の導電性銀ペースト11を作成するには、まず、銀粒子及びナノ銀粒子からなる銀粉末、溶剤によって溶解させたバインダー樹脂であるポリエステル樹脂及び硬化剤であるブロックイソシアネートを振動撹拌によって予備混合し、続いて混練する。次いで、硬化剤をさらに混合させて振動撹拌し、さらに溶剤を添加して粘度を調整し、脱泡させる。
【0046】
穴部6へ充填した導電性銀ペースト11が硬化したら、図1から図4に示したように、導体露出部15およびその近傍を除く部分にシールドフィルム7を貼着する(シールド層貼着工程)。シールドフィルム7の貼着は、1枚を両面に巻きつけても良いし、1枚ずつを両面に貼り合わせても良い。
シールドフィルム7を貼着すると、穴部6へ充填した導電性銀ペースト11がシールドフィルム7のシールド層9と電気的に接続される(接続工程)。また、グランド線2a以外の平角導体2は、両端の導体露出部15を除いて絶縁フィルム3により覆われており、シールド層9とは絶縁されている。
【0047】
以上説明したように、本発明に係る上記実施形態のシールドフラットケーブルによれば、絶縁フィルム3が除去された穴部6に充填された導電性銀ペースト11によって、グランド線2aとシールド層9とを良好に電気的に接続させることができ、確実にシールド層9を接地することができる。
【0048】
また、導電性銀ペースト11は、平均粒子径が0.5μm以上20μm以下の銀粒子からなる銀粉末とポリエステル樹脂からなるバインダー樹脂との混合物からなり、銀粉末の重量比は、82%以上91%以下とされているので、コストを抑えつつ抵抗を極力低減させることができる。
銀粉末の重量比が82%以下であると急激にグランド間の抵抗値が大きくなる。グランド間の抵抗値を1Ω以下とするには銀粉末の重量比を82%以上とする必要がある。一方、銀粉末の重量比が82%であってもグランド間の抵抗値はそれほど小さくならず、銀粉末の重量比が91%でほぼ一定値となりそれより銀を多く含有させる意味がない。
特に、導電性銀ペースト11の銀粉末として銅粒子の表面に銀銅合金膜を有する銀コート銅粒子を用いると、銀粉末の重量比が85%以下であれば比抵抗(μΩ・cm)を一桁程度良好にすることができる。
【0049】
本発明のシールドフラットケーブルの製造方法によれば、絶縁フィルム3を除去した穴部6へ導電性銀ペースト11を充填するので、グランド線2aと導電性銀ペースト11とを確実に導通させることができる。
【0050】
特に、導体露出工程後に、穴部6内における絶縁フィルム3の残渣を除去する残渣除去工程を行うことにより、残渣による不具合なく、グランド線2aと穴部6内へ充填する導電性銀ペースト11との接触面積を十分に確保することができ、これらグランド線2aと導電性銀ペースト11との良好な導通状態を確保することができる。
残渣除去工程では、穴部6内をアルコールなどの揮発性液体で洗浄することにより、穴部6内の絶縁フィルム3の残渣を確実に払拭することができる。また、残渣除去工程として、穴部6内に付着した残渣をグリーンレーザによって焼き飛ばして除去する場合も、残渣を確実に除去することができる。
【0051】
なお、導電性銀ペースト11を充填してシールド層9と導通させる穴部6はどちらの面に設けても良く、両方の面に設けても良い。また、穴部6を片面のみに設ける場合には、穴部6を設ける側のみにシールド層9を設けても良い。
また、導体露出部15を設ける面も適宜変更でき、穴部6と同じ側の面でも反対側の面でも良い。また、シールドフラットケーブル1の両端で導体露出部15を設ける面を逆にすることもできる。また、導体露出部15の裏側の端末補強テープ14は、設けなくても良い。
【0052】
また、上記実施形態では、シールド層貼着工程前に長尺フラットケーブル1Aを切断して個々のフラットケーブル1Bとする切断工程を行っているが、シールド層貼着工程後に切断工程を行っても良い。
【0053】
上記実施形態では、各グランド線2aの配設位置に、2つの穴部6をそれぞれ形成して導電性銀ペースト11を充填したが、穴部6を形成して導電性銀ペースト11を充填する箇所は2箇所に限定されず、各グランド線2aの配設位置に、1つまたは3つ以上の穴部6をそれぞれ形成して導電性銀ペースト11を充填しても良い。
【実施例】
【0054】
グランド線2aとシールド層9とを導通させた各種のシールドフラットケーブルの導体露出部において、図14に示すように、グランド線2a同士の間(間隔20mm)の抵抗を測定した。
【0055】
(1)測定対象のシールドフラットケーブル
(実施例1)
一方の面において、2本のグランド線2a上における絶縁フィルム3に、それぞれ1つずつ16mm×6mmの穴部6を形成し、導電性銀ペースト11を穴部6へ充填してシールド層9を貼り付けた。
(比較例1)
一方の面において、2本のグランド線2aの配設位置における絶縁フィルム3に、それぞれ1つずつ16mm×6mmの穴部6を形成し、シールド層9を貼り付けた。
(比較例2)
一方の面において、2本のグランド線2aの配設位置における絶縁フィルム3に、それぞれ1つずつ16mm×6mmの穴部6を形成し、シールド層9を貼り付けた。穴部6よりも一回り小さい突起で穴部6にシールド層9を押しつけた。
(比較例3)
図15(a)に示すように、2本の平角導体2を重ねたグランド線2aを有するフラットケーブル1Bにおいて、図15(b)に示すように、その両端の導体露出部15でグランド線2aの1本の平角導体2を8mm程度折り返し、図15(c)に示すように、グランド線2aの折り返した平角導体2を覆うようにシールド層9を貼り付けた。
【0056】
上記の実施例1、比較例1〜3のシールドフラットケーブルをそれぞれ5つ作製し、それぞれのグランド線2a間の抵抗を測定した。その結果を表1に示す。
【0057】
【表1】
【0058】
表1に示すように、穴部6を形成して導電性銀ペースト11を充填した実施例1では、グランド線2a間の抵抗の平均値が0.241Ωであり、抵抗が低いことがわかった。これは、穴部6におけるグランド線2aの露出面積を十分広く確保することができ、さらに、このグランド線2aとシールド層9とが、穴部6に充填した導電性銀ペースト11によって確実に導通されたからであると考えられる。
【0059】
これに対して、穴部6を形成しただけで導電性銀ペースト11を充填していない比較例1では、グランド線2a間の抵抗の平均値が1.75Ωであり、抵抗が高いことがわかった。これは、穴部6におけるグランド線2aの露出面積を十分広く確保することができるものの、グランド線2aとシールド層9とが良好に接触されず、導通状態が不十分であるからと考えられる。
【0060】
また、穴部6の形成位置をプレスして押圧した比較例2の場合も、導電性銀ペースト11を充填していないためグランド線2a間の抵抗の平均値が0.856Ωであり、抵抗が高いことがわかった。これは、穴部6の形成位置を押圧したとしても、やはりグランド線2aとシールド層9とが十分に接触されず、導通状態が不十分であるからと考えられる。
【0061】
また、導体露出部15で1本の平角導体2を折り返してシールド層9と導通させた比較例3では、グランド線2a間の抵抗の平均値が0.325Ωであり、実施例1よりも抵抗が高いことがわかった。これは、平角導体2の折り返し寸法に制限があり、シールド層9との接触面積が十分に確保できず、導通状態が不十分であるからと考えられる。
【符号の説明】
【0062】
1:シールドフラットケーブル、1B:フラットケーブル、2:平角導体、2a:グランド線、3:絶縁フィルム、6:穴部(除去部)、9:シールド層、11:導電性銀ペースト
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器などに用いられるシールドフラットケーブルおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
限られたスペースで高密度の配線が可能な配線部材としては、可撓性の回路基板や平角導体を用いたフラットケーブルがある。ノイズ対策を必要とする電子機器の機器内配線には、シールド機能を備えたシールドフラットケーブルが使用されている。
【0003】
フラットケーブルは、複数本の平角導体を一平面上に配列し、その配列面の両側からそれぞれ絶縁フィルムをラミネートしたものである。シールドフラットケーブルの場合、ラミネートした絶縁フィルムの外側に金属箔等のシールド層が設けられる。複数本の平角導体のうち一部はグランド線であり、グランド線とシールド層が電気的に接続された構造を有している。
【0004】
シールドフラットケーブルとしては、ケーブル本体にシールド部材が接着されたものが知られている。例えば、特許文献1に開示されたように、ケーブル本体は少なくとも1本のグランド線を含む複数の導体を、上記グランド線の少なくとも一部を除いて、絶縁性の部材で被覆したものである。シールド部材は絶縁性の基材の片面に設けられた導電性材料から成るシールド層を有し、シールド層の上に導電性粒子を分散した導電性接着材層がある。導電性接着剤がシールド部材とケーブル本体を接着し、シールド層の一部が上記グランド線の一部に導電性接着材を介して電気的に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第02/05297号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のシールドフラットケーブルのように、導電性粒子を分散した接着剤を塗ったシールド層を絶縁部材へ貼り合わせても、グランド線の被覆されていない部分(非被覆部分)は絶縁性の部材の厚みからなる深さを有しているため、貼り付けたシールド層の接着剤が非被覆部分へ円滑に入らず、グランド線とシールド層とが接着剤を介して良好に導通されないおそれがある。
【0007】
そこで、本発明の目的は、グランド線とシールド層との電気的な接触が良好でシールド層の接地が確実なシールドフラットケーブルおよびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決することのできる本発明に係るシールドフラットケーブルは、グランド線である導体を含む複数本の平角導体が所定の並列ピッチで平面上に配列され、前記平角導体の配列面の両面から前記平角導体に絶縁フィルムが貼着され、前記平角導体の長手方向の両端部では一面を露出した状態で前記絶縁フィルムの外側にシールド層が貼着されたシールドフラットケーブルであって、
長手方向端部以外の前記グランド線上に前記絶縁フィルムが除去された穴部があり、前記穴部には、導電性銀ペーストが充填され、前記グランド線と前記シールド層とが前記導電性銀ペーストによって電気的に接続されていることを特徴とする。
【0009】
本発明のシールドフラットケーブルにおいて、前記導電性銀ペーストは、平均粒子径が0.5μm以上20μm以下の銀粒子からなる銀粉末とポリエステル樹脂からなるバインダー樹脂との混合物からなり、銀粉末の重量比は、82%以上91%以下とされていることが好ましい。
【0010】
また、本発明のシールドフラットケーブルにおいて、前記銀粉末は、銅粒子の表面に銀銅合金膜を有する銀コート銅粒子を含むことが好ましい。
【0011】
本発明のシールドフラットケーブルの製造方法は、グランド線である導体を含む複数本の平角導体を所定の並列ピッチで平面上に配列する配列工程と、
前記平角導体の配列面の両面から前記平角導体に絶縁フィルムを貼着し、かつ前記平角導体の両端部で前記平角導体の少なくとも一面を露出してフラットケーブルを形成する絶縁フィルム貼着工程と、
前記絶縁フィルムの両端部以外の箇所で前記グランド線を露出させるグランド線露出工程と、
前記絶縁フィルムを除去した穴部へ導電性銀ペーストを充填する銀ペースト充填工程と、
前記絶縁フィルムの外側にシールド層を貼着し、前記導電性銀ペーストを介して前記グランド線と前記シールド層とを電気的に接続する接続工程と、を有することを特徴とする。
【0012】
本発明のシールドフラットケーブルの製造方法において、前記グランド線露出工程後に、前記穴部における前記絶縁フィルムの残渣を除去する残渣除去工程を含むことが好ましい。
【0013】
また、本発明のシールドフラットケーブルの製造方法において、前記残渣除去工程は、前記穴部を揮発性液体によって洗浄して前記残渣を除去することが好ましい。
【0014】
また、本発明のシールドフラットケーブルの製造方法において、前記残渣除去工程は、前記穴部に付着した前記残渣をグリーンレーザによって焼き飛ばして除去することが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明のシールドフラットケーブルによれば、絶縁フィルムが除去された穴部に充填された導電性銀ペーストによって、グランド線とシールド層とを良好に電気的に接続させることができ、確実にシールド層をグランド線を介して接地することができる。
また、本発明のシールドフラットケーブルの製造方法によれば、グランド線とシールド層とが導電性銀ペーストによって良好に電気的に接続されたシールドフラットケーブルを容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施形態のシールドフラットケーブルの一方の面を示す平面図である。
【図2】本実施形態のシールドフラットケーブルの他方の面を示す平面図である。
【図3】図1および図2の矢視A−A断面図である。
【図4】図1および図2の矢視B−B断面図である。
【図5】本実施形態の製造方法において絶縁フィルム貼着工程を示す模式的な斜視図である。
【図6】本実施形態の製造方法における絶縁フィルム貼着工程後の長尺フラットケーブルを示す平面図である。
【図7】本実施形態の製造方法における絶縁フィルム貼着工程後の長尺フラットケーブルの他の例を示す平面図である。
【図8】本実施形態の製造方法におけるメッキ工程を示す模式図である。
【図9】本実施形態の製造方法における切断工程後のフラットケーブルを示す平面図である。
【図10】図9のフラットケーブルの端部の側面図である。
【図11】導体露出部の両方の面で絶縁フィルムが貼られない場合のフラットケーブルの端部の側面図である。
【図12】本実施形態の製造方法における導体露出工程後の図であって、(a)は平面図、(b)は(a)におけるD−D断面図である。
【図13】本実施形態の製造方法における銀ペースト充填工程後の図であって、(a)は平面図、(b)は(a)におけるE−E断面図である。
【図14】実施例での抵抗の測定の仕方を示すシールドフラットケーブルの平面図である。
【図15】比較例3のシールドフラットケーブルの構造を示す図であって、(a)はフラットケーブルの断面図、(b)はフラットケーブルの平面図、(c)はシールドフラットケーブルの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係るシールドフラットケーブルおよびその製造方法の実施形態の例について図面を参照して説明する。
図1から図4に示すように、シールドフラットケーブル1は、複数本(本実施形態では10本)の平角導体2を備え、これら平角導体2が所定の並列ピッチで平面上に配列され、平角導体2の配列面の両面にそれぞれ絶縁フィルム3が貼着(ラミネート)されている。絶縁フィルム3の外側には、シールド層9を有するシールドフィルム7が貼着されている。シールドフラットケーブル1の長手方向の両端部は、一方の面(図1に示す面)で複数本の全ての平角導体2が露出した導体露出部15とされ、他方の面(図2に示す面)にのみ絶縁フィルム3が貼着されており、導体露出部15は電気コネクタの弾性コンタクト片等に接続可能な接続端末として機能する。また、導体露出部15の平角導体2が露出していない側の面(他方の面)には、図2および図10に示すようにポリエステル等の絶縁樹脂からなる端末補強テープ14が絶縁フィルム3の上から貼着されており、露出した平角導体2を支持して変形を防止している。
平角導体2は、10本のうち、並列幅方向の両端から2番目がそれぞれグランド線2aとされている。
【0018】
平角導体2は、断面長方形に形成された銅基材上に錫メッキ層が積層されている。本実施形態では、銅基材の外周全域に錫メッキ層が形成されている。銅基材としては、銅または銅合金が用いられる。また、接続端末となる導体露出部15では、電気接触のための圧縮応力を受けることに起因して平角導体2の表面に針状結晶体(ウィスカ)が発生することがあるため、ウィスカの発生を抑制するために平角導体2に金メッキが施されていることが好ましい。金メッキを施すことにより、ウィスカが発生せず、狭いピッチで並べられた各平角導体2が短絡することなく、平角導体2と電気コネクタとの電気接続の信頼性が向上する。
本実施形態において、平角導体2の厚さは0.035mmであり、平角導体2の幅W1は0.3mmであり、10本の平角導体2の並列ピッチPは0.5mmである。
【0019】
絶縁フィルム3は、絶縁体である絶縁樹脂層5と絶縁性接着層4からなり、例えば、絶縁樹脂層5はポリエステルまたはポリイミドあるいはPPS等の樹脂であり、絶縁性接着層4はポリエステル系接着剤もしくは難燃PVCである。平角導体2に対して、絶縁性接着層4の面を対向させて2枚の絶縁フィルム3が貼り合わされている。これにより、平角導体2同士の電気的絶縁を図っている。
【0020】
シールドフィルム7は、導電性接着層8とシールド層9と樹脂層10からなり、例えば、導電性接着層8は導電フィラー含有接着剤であり、シールド層9はアルミまたは銅であり、樹脂層10はPET等のポリエステルである。導電性接着層8はシールド層9とグランド線2aを良好に導電させ、シールド層9によりシールドフラットケーブル1のシールド効果を発生させている。樹脂層10はシールド層9の剥離や腐食を防止して、シールドフラットケーブル1の機械的強度を維持する。
【0021】
シールドフィルム7は、図3及び図4に示すようにシールドフラットケーブル1の全周を覆うように1枚を巻きつけて貼着する他(巻き付けると重なり代ができる)、絶縁フィルム3と同様に2枚を対向させて貼り合わせても良い。
【0022】
図3に示すように、シールドフラットケーブル1の長手方向の大部分では全ての平角導体2に対して絶縁フィルム3が貼着されているが、図1および図4に示すように、グランド線2a上の一部の部分では、一方の面の絶縁フィルム3が除去された穴部6が設けられている。この穴部6には、導電性銀ペースト11が充填されている。そして、この導電性銀ペースト11によってグランド線2aとシールドフィルム7のシールド層9とが導通されて導電性接続が図られている。
【0023】
この導電性銀ペースト11は、銀粉末とバインダー樹脂との混合物である。銀粉末は、平均粒子径が0.5μm以上20μm以下の銀粒子及び一次粒子の平均粒径が50nm以下であるナノ銀粒子であることが好ましい。バインダー樹脂としては、ポリエステル樹脂が用いられる。また、銀粉末の重量比は、82%以上91%以下とされている。なお、銀粉末としては、ナノ銀粒子が含まれていなくても良い。
【0024】
ここで、導電性銀ペースト11における銀粉末の重量比が82%未満であると、急激にグランド線間の抵抗が大きくなり、また、91%より大きいと、抵抗は変わらずコストが高くなってしまう。
【0025】
また、銀粉末は、銀粒子または銅粒子の表面に銀銅合金膜を有する銀コート銅粒子が用いられている。銀コート銅粒子としては、10%の銀を銅粉末にメッキした平板状(フレーク状)のものが好ましく、この銀コート銅粒子を用いることにより、比抵抗を良好にすることができ、また、コストを低減させることができる。なお、平板状とは、粒子の最大長さLと厚みDの比L/Dが3以上であるものをいう。
【0026】
次に、上記構造のシールドフラットケーブル1を製造する製造方法について、その手順に沿って説明する。
【0027】
まず、銅基材の表面に錫メッキ層が形成された断面長方形の平角導体2(グランド線2aを含む)を複数本(本実施形態では10本)用意する。
【0028】
次いで、図5に示すように、それぞれ長尺の平角導体2が巻き取られている複数のリール30から平角導体2を送り出して所定の並列ピッチPで同一平面上に配列する(配列工程)。そして、これら平角導体2の上下に、リール31から長尺の絶縁フィルム3を送り出してヒータローラ32間に通し、巻き取りローラ33に巻き取る(絶縁フィルム貼着工程)。
【0029】
絶縁フィルム貼着工程の際、絶縁フィルム3の互いの対向面は絶縁性接着層4側とする。つまり、ヒータローラ32の間を通過することにより、絶縁フィルム3の絶縁性接着層4が溶融し、平面上に配列された複数本の平角導体2には、表裏から絶縁フィルム3が絶縁性接着層4によって貼り合わされ、これら平角導体2が平面上に配列されて絶縁樹脂(絶縁樹脂層5と絶縁性接着層4)で被覆された一連長の長尺フラットケーブルが形成される。
【0030】
ここで、長尺フラットケーブル1Aの一部を図6に示す。長尺フラットケーブル1Aは、図1に示した導体露出部15を設けるために、一方の絶縁フィルム3の長手方向の一部に開口した導体露出窓部15aが形成されている。導体露出窓部15aはシールドフラットケーブル1の長手方向の端部となる箇所に設けられている。導体露出窓部15aの幅W2は、全ての平角導体2が露出するように平角導体2の並列幅より大きくされている。
【0031】
このように、上記絶縁フィルム貼着工程では、導体露出窓部15aを有する絶縁フィルム3を平角導体2の長手方向に沿って連続的に貼着することで、導体露出窓部15aを形成しているが、図7に示すように、短尺の絶縁フィルム3を平角導体2の長手方向に沿って間欠的に貼着することで、導体露出窓部15aを形成しても良い。
【0032】
絶縁フィルム貼着工程の後、絶縁フィルム3の幅方向の余剰部分(耳と呼ばれる部分)を除去するために、図6および図7に示した破線C1で示す位置で切断される。これにより、導体露出窓部15aの幅方向両端部で絶縁フィルム3が長手方向に繋がった箇所が除去される。
【0033】
導体露出部15の平角導体2に金メッキ等のメッキを行う場合、長尺フラットケーブルのままでメッキ工程を行う。
このメッキ工程では、図8に示すように、メッキ液槽20に、長尺フラットケーブル1Aを間欠的に送り込んで浸漬させ、長尺フラットケーブル1Aの導体露出部15の部分に露出する平角導体2に電気メッキを施している。少なくとも1箇所の導体露出部15で、全ての平角導体2と交差する導電部材23で全ての平角導体2を接続一体化して電気的に接続する。長尺フラットケーブル1Aをメッキ液に漬けたときに導電部材23をメッキ液の外で電気クリップ等でメッキ電源21の負電位側に接続し、メッキ液に浸したメッキ金属材22をメッキ電源21の正電位側に接続する。
【0034】
長尺フラットケーブル1Aは、メッキ液槽20内に連続的に送り込んでメッキ液に浸漬させる(連続メッキ)他に、メッキ液槽20に収まる程度の長さに分断してメッキ液に浸漬させるようにしても良い。
【0035】
導体露出部15に施すメッキは、この端末部分でのウィスカの発生を抑制することと、あるいは端末部分と電気コネクタとの電気接続の信頼性を高めるためのもので、好ましくは金メッキが施される。但し、錫メッキ上に直接金メッキを施すと、異種金属接触による電食が生じ、長期の使用に耐えられないおそれがある。このため、下地金属としてニッケルメッキを施してから金メッキを施すようにするのが良い。
【0036】
このように形成された長尺フラットケーブル1Aは、図6および図7に示した導体露出部15の破線C2で示す位置で切断され、図9に示すように所定の長さのフラットケーブル1Bとされる(切断工程)。
【0037】
長尺フラットケーブル1Aを切断した図9のフラットケーブル1Bには、図10に示すように導体露出部15の一方の面に平角導体2を支持するように端末補強テープ14を貼着する。この例では、導体露出部15の一方の面に絶縁フィルム3が貼着され、その外側に端末補強テープ14が貼着されている。
なお、導体露出部15の両方の面で絶縁フィルム3が貼られずに平角導体2の両面が露出されている場合には、図11に示すように、その一方の面を覆うように端末補強テープ14を貼着する。
【0038】
次に、図12(a),(b)に示すように、それぞれのグランド線2aの配設位置における一方の面の絶縁フィルム3の一部を除去して穴部6を形成し、各グランド線2aの表面の一部を露出させる(導体露出工程)。なお、図12(b)は、図12(a)におけるD−D断面を示す。
具体的には、穴部6の形成位置における絶縁フィルム3の一部を、CO2レーザによって切断して除去して穴部6を形成する。
【0039】
次に、この絶縁フィルム3の一部を除去した穴部6内を、揮発性液体によって洗浄し、絶縁フィルム3の残渣を除去する(残渣除去工程)。具体的には、アルコールなどの揮発性液体を含ませた綿棒や布によって拭き取り、グランド線2aの表面に付着していた絶縁フィルム3の残渣を除去する。
なお、CO2レーザによって穴部6を形成した後に、例えば、波長532nmのグリーンレーザ(YAGレーザ)によってグランド線2aの表面に付着していた絶縁フィルム3の残渣を焼き飛ばして除去しても良い。
【0040】
穴部6を形成してグランド線2aの一部を露出させたら、図13(a),(b)に示すように、穴部6内へ導電性銀ペースト11を、例えば、エア式ディスペンサによって充填し、穴部6内を導電性銀ペースト11によって埋める(銀ペースト充填工程)。なお、図13(b)は、図13(a)におけるE−E断面を示す。
【0041】
このとき、揮発性液体による洗浄あるいはグリーンレーザによる焼き飛ばしによって絶縁フィルム3の残渣を除去しているので、穴部6におけるグランド線2aの接触面積が十分に確保され、穴部6内に充填した導電性銀ペースト11とグランド線2aとが良好に導通接触される。
【0042】
充填する際の導電性銀ペースト11は、銀粉末及びバインダー樹脂に対して、溶剤を含有させたもので、硬化剤であるブロックイソシアネートが含有されている。
この充填する硬化前の導電性銀ペースト11としては、例えば、銀が120gである場合、ポリエステル樹脂13g、硬化剤0.7g、溶剤20gの割合で配合される。なお、導電性銀ペースト11は、充填後に溶剤が揮発してなくなり、銀及びバインダー樹脂だけとなる。したがって、導電性銀ペースト11の銀及びバインダー樹脂の重量比は、硬化した状態の割合で決定される。
【0043】
導電性銀ペースト11の充填量は、絶縁フィルム3の厚みからなる深さ寸法を有する除去部6を完全に埋めることが可能な量、つまり、溶剤が揮発した後に残る銀粉末およびバインダー樹脂の体積が穴部6の容量以上となるようにするのが好ましい。
【0044】
溶剤は、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(BCA)が用いられ、バインダー樹脂に対して重量比で1.4倍以上2.4倍以下の量が含有されている。
また、導電性銀ペースト11の粘度は、溶剤の混合量によって調整される。導電性銀ペーストの粘度が60±20Pa・s程度となるように溶剤を混合すると、ディスペンサの塗布圧力を0.3MPa、塗布速度を0.5m/secとしてディスペンサからたれることなく塗布でき、塗布後に導電性銀ペーストが速やかに穴部6に行き渡るので好ましい。
【0045】
ここで、充填する硬化前の導電性銀ペースト11を作成するには、まず、銀粒子及びナノ銀粒子からなる銀粉末、溶剤によって溶解させたバインダー樹脂であるポリエステル樹脂及び硬化剤であるブロックイソシアネートを振動撹拌によって予備混合し、続いて混練する。次いで、硬化剤をさらに混合させて振動撹拌し、さらに溶剤を添加して粘度を調整し、脱泡させる。
【0046】
穴部6へ充填した導電性銀ペースト11が硬化したら、図1から図4に示したように、導体露出部15およびその近傍を除く部分にシールドフィルム7を貼着する(シールド層貼着工程)。シールドフィルム7の貼着は、1枚を両面に巻きつけても良いし、1枚ずつを両面に貼り合わせても良い。
シールドフィルム7を貼着すると、穴部6へ充填した導電性銀ペースト11がシールドフィルム7のシールド層9と電気的に接続される(接続工程)。また、グランド線2a以外の平角導体2は、両端の導体露出部15を除いて絶縁フィルム3により覆われており、シールド層9とは絶縁されている。
【0047】
以上説明したように、本発明に係る上記実施形態のシールドフラットケーブルによれば、絶縁フィルム3が除去された穴部6に充填された導電性銀ペースト11によって、グランド線2aとシールド層9とを良好に電気的に接続させることができ、確実にシールド層9を接地することができる。
【0048】
また、導電性銀ペースト11は、平均粒子径が0.5μm以上20μm以下の銀粒子からなる銀粉末とポリエステル樹脂からなるバインダー樹脂との混合物からなり、銀粉末の重量比は、82%以上91%以下とされているので、コストを抑えつつ抵抗を極力低減させることができる。
銀粉末の重量比が82%以下であると急激にグランド間の抵抗値が大きくなる。グランド間の抵抗値を1Ω以下とするには銀粉末の重量比を82%以上とする必要がある。一方、銀粉末の重量比が82%であってもグランド間の抵抗値はそれほど小さくならず、銀粉末の重量比が91%でほぼ一定値となりそれより銀を多く含有させる意味がない。
特に、導電性銀ペースト11の銀粉末として銅粒子の表面に銀銅合金膜を有する銀コート銅粒子を用いると、銀粉末の重量比が85%以下であれば比抵抗(μΩ・cm)を一桁程度良好にすることができる。
【0049】
本発明のシールドフラットケーブルの製造方法によれば、絶縁フィルム3を除去した穴部6へ導電性銀ペースト11を充填するので、グランド線2aと導電性銀ペースト11とを確実に導通させることができる。
【0050】
特に、導体露出工程後に、穴部6内における絶縁フィルム3の残渣を除去する残渣除去工程を行うことにより、残渣による不具合なく、グランド線2aと穴部6内へ充填する導電性銀ペースト11との接触面積を十分に確保することができ、これらグランド線2aと導電性銀ペースト11との良好な導通状態を確保することができる。
残渣除去工程では、穴部6内をアルコールなどの揮発性液体で洗浄することにより、穴部6内の絶縁フィルム3の残渣を確実に払拭することができる。また、残渣除去工程として、穴部6内に付着した残渣をグリーンレーザによって焼き飛ばして除去する場合も、残渣を確実に除去することができる。
【0051】
なお、導電性銀ペースト11を充填してシールド層9と導通させる穴部6はどちらの面に設けても良く、両方の面に設けても良い。また、穴部6を片面のみに設ける場合には、穴部6を設ける側のみにシールド層9を設けても良い。
また、導体露出部15を設ける面も適宜変更でき、穴部6と同じ側の面でも反対側の面でも良い。また、シールドフラットケーブル1の両端で導体露出部15を設ける面を逆にすることもできる。また、導体露出部15の裏側の端末補強テープ14は、設けなくても良い。
【0052】
また、上記実施形態では、シールド層貼着工程前に長尺フラットケーブル1Aを切断して個々のフラットケーブル1Bとする切断工程を行っているが、シールド層貼着工程後に切断工程を行っても良い。
【0053】
上記実施形態では、各グランド線2aの配設位置に、2つの穴部6をそれぞれ形成して導電性銀ペースト11を充填したが、穴部6を形成して導電性銀ペースト11を充填する箇所は2箇所に限定されず、各グランド線2aの配設位置に、1つまたは3つ以上の穴部6をそれぞれ形成して導電性銀ペースト11を充填しても良い。
【実施例】
【0054】
グランド線2aとシールド層9とを導通させた各種のシールドフラットケーブルの導体露出部において、図14に示すように、グランド線2a同士の間(間隔20mm)の抵抗を測定した。
【0055】
(1)測定対象のシールドフラットケーブル
(実施例1)
一方の面において、2本のグランド線2a上における絶縁フィルム3に、それぞれ1つずつ16mm×6mmの穴部6を形成し、導電性銀ペースト11を穴部6へ充填してシールド層9を貼り付けた。
(比較例1)
一方の面において、2本のグランド線2aの配設位置における絶縁フィルム3に、それぞれ1つずつ16mm×6mmの穴部6を形成し、シールド層9を貼り付けた。
(比較例2)
一方の面において、2本のグランド線2aの配設位置における絶縁フィルム3に、それぞれ1つずつ16mm×6mmの穴部6を形成し、シールド層9を貼り付けた。穴部6よりも一回り小さい突起で穴部6にシールド層9を押しつけた。
(比較例3)
図15(a)に示すように、2本の平角導体2を重ねたグランド線2aを有するフラットケーブル1Bにおいて、図15(b)に示すように、その両端の導体露出部15でグランド線2aの1本の平角導体2を8mm程度折り返し、図15(c)に示すように、グランド線2aの折り返した平角導体2を覆うようにシールド層9を貼り付けた。
【0056】
上記の実施例1、比較例1〜3のシールドフラットケーブルをそれぞれ5つ作製し、それぞれのグランド線2a間の抵抗を測定した。その結果を表1に示す。
【0057】
【表1】
【0058】
表1に示すように、穴部6を形成して導電性銀ペースト11を充填した実施例1では、グランド線2a間の抵抗の平均値が0.241Ωであり、抵抗が低いことがわかった。これは、穴部6におけるグランド線2aの露出面積を十分広く確保することができ、さらに、このグランド線2aとシールド層9とが、穴部6に充填した導電性銀ペースト11によって確実に導通されたからであると考えられる。
【0059】
これに対して、穴部6を形成しただけで導電性銀ペースト11を充填していない比較例1では、グランド線2a間の抵抗の平均値が1.75Ωであり、抵抗が高いことがわかった。これは、穴部6におけるグランド線2aの露出面積を十分広く確保することができるものの、グランド線2aとシールド層9とが良好に接触されず、導通状態が不十分であるからと考えられる。
【0060】
また、穴部6の形成位置をプレスして押圧した比較例2の場合も、導電性銀ペースト11を充填していないためグランド線2a間の抵抗の平均値が0.856Ωであり、抵抗が高いことがわかった。これは、穴部6の形成位置を押圧したとしても、やはりグランド線2aとシールド層9とが十分に接触されず、導通状態が不十分であるからと考えられる。
【0061】
また、導体露出部15で1本の平角導体2を折り返してシールド層9と導通させた比較例3では、グランド線2a間の抵抗の平均値が0.325Ωであり、実施例1よりも抵抗が高いことがわかった。これは、平角導体2の折り返し寸法に制限があり、シールド層9との接触面積が十分に確保できず、導通状態が不十分であるからと考えられる。
【符号の説明】
【0062】
1:シールドフラットケーブル、1B:フラットケーブル、2:平角導体、2a:グランド線、3:絶縁フィルム、6:穴部(除去部)、9:シールド層、11:導電性銀ペースト
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グランド線である導体を含む複数本の平角導体が所定の並列ピッチで平面上に配列され、前記平角導体の配列面の両面から前記平角導体に絶縁フィルムが貼着され、前記平角導体の長手方向の両端部では一面を露出した状態で前記絶縁フィルムの外側にシールド層が貼着されたシールドフラットケーブルであって、
長手方向端部以外の前記グランド線上に前記絶縁フィルムが除去された穴部があり、前記穴部には、導電性銀ペーストが充填され、前記グランド線と前記シールド層とが前記導電性銀ペーストによって電気的に接続されていることを特徴とするシールドフラットケーブル。
【請求項2】
請求項1に記載のシールドフラットケーブルであって、
前記導電性銀ペーストは、平均粒子径が0.5μm以上20μm以下の銀粒子からなる銀粉末とポリエステル樹脂からなるバインダー樹脂との混合物からなり、銀粉末の重量比は、82%以上91%以下とされていることを特徴とするシールドフラットケーブル。
【請求項3】
請求項2に記載のシールドフラットケーブルであって、
前記銀粉末は、銅粒子の表面に銀銅合金膜を有する銀コート銅粒子を含むことを特徴とするシールドフラットケーブル。
【請求項4】
グランド線である導体を含む複数本の平角導体を所定の並列ピッチで平面上に配列する配列工程と、
前記平角導体の配列面の両面から前記平角導体に絶縁フィルムを貼着し、かつ前記平角導体の両端部で前記平角導体の少なくとも一面を露出してフラットケーブルを形成する絶縁フィルム貼着工程と、
前記絶縁フィルムの両端部以外の箇所で前記グランド線を露出させるグランド線露出工程と、
前記絶縁フィルムを除去した穴部へ導電性銀ペーストを充填する銀ペースト充填工程と、
前記絶縁フィルムの外側にシールド層を貼着し、前記導電性銀ペーストを介して前記グランド線と前記シールド層とを電気的に接続する接続工程と、を有するシールドフラットケーブルの製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載のシールドフラットケーブルの製造方法であって、
前記グランド線露出工程後に、前記穴部における前記絶縁フィルムの残渣を除去する残渣除去工程を含むことを特徴とするシールドフラットケーブルの製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載のシールドフラットケーブルの製造方法であって、
前記残渣除去工程は、前記穴部を揮発性液体によって洗浄して前記残渣を除去することを特徴とするシールドフラットケーブルの製造方法。
【請求項7】
請求項5に記載のシールドフラットケーブルの製造方法であって、
前記残渣除去工程は、前記穴部に付着した前記残渣をグリーンレーザによって焼き飛ばして除去することを特徴とするシールドフラットケーブルの製造方法。
【請求項1】
グランド線である導体を含む複数本の平角導体が所定の並列ピッチで平面上に配列され、前記平角導体の配列面の両面から前記平角導体に絶縁フィルムが貼着され、前記平角導体の長手方向の両端部では一面を露出した状態で前記絶縁フィルムの外側にシールド層が貼着されたシールドフラットケーブルであって、
長手方向端部以外の前記グランド線上に前記絶縁フィルムが除去された穴部があり、前記穴部には、導電性銀ペーストが充填され、前記グランド線と前記シールド層とが前記導電性銀ペーストによって電気的に接続されていることを特徴とするシールドフラットケーブル。
【請求項2】
請求項1に記載のシールドフラットケーブルであって、
前記導電性銀ペーストは、平均粒子径が0.5μm以上20μm以下の銀粒子からなる銀粉末とポリエステル樹脂からなるバインダー樹脂との混合物からなり、銀粉末の重量比は、82%以上91%以下とされていることを特徴とするシールドフラットケーブル。
【請求項3】
請求項2に記載のシールドフラットケーブルであって、
前記銀粉末は、銅粒子の表面に銀銅合金膜を有する銀コート銅粒子を含むことを特徴とするシールドフラットケーブル。
【請求項4】
グランド線である導体を含む複数本の平角導体を所定の並列ピッチで平面上に配列する配列工程と、
前記平角導体の配列面の両面から前記平角導体に絶縁フィルムを貼着し、かつ前記平角導体の両端部で前記平角導体の少なくとも一面を露出してフラットケーブルを形成する絶縁フィルム貼着工程と、
前記絶縁フィルムの両端部以外の箇所で前記グランド線を露出させるグランド線露出工程と、
前記絶縁フィルムを除去した穴部へ導電性銀ペーストを充填する銀ペースト充填工程と、
前記絶縁フィルムの外側にシールド層を貼着し、前記導電性銀ペーストを介して前記グランド線と前記シールド層とを電気的に接続する接続工程と、を有するシールドフラットケーブルの製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載のシールドフラットケーブルの製造方法であって、
前記グランド線露出工程後に、前記穴部における前記絶縁フィルムの残渣を除去する残渣除去工程を含むことを特徴とするシールドフラットケーブルの製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載のシールドフラットケーブルの製造方法であって、
前記残渣除去工程は、前記穴部を揮発性液体によって洗浄して前記残渣を除去することを特徴とするシールドフラットケーブルの製造方法。
【請求項7】
請求項5に記載のシールドフラットケーブルの製造方法であって、
前記残渣除去工程は、前記穴部に付着した前記残渣をグリーンレーザによって焼き飛ばして除去することを特徴とするシールドフラットケーブルの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−96599(P2011−96599A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−251994(P2009−251994)
【出願日】平成21年11月2日(2009.11.2)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月2日(2009.11.2)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
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