説明

シールド材

【課題】低周波ノイズ及び高周波ノイズの双方をシールドすることができるシールド材を提供する。
【解決手段】シールド材1Aは、一方側の表面に金属薄膜14が形成されている。シールド材1Aは、シールド材1Aの他方側において、表面が露呈した複数の磁石11,11が埋設されており、隣接する磁石11は、隣接する前記露呈した表面の極性が対極となるように離間して配置されており、磁石11の埋設された部分は、軟磁性材12で囲繞されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノイズから電子部品等を保護すべくこれらのノイズを好適に遮蔽することができるシールド材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電気自動車、ハイブリッド車に搭載されたインバータや、車両の電子制御ユニットなどの電子部品に、ノイズが侵入し、このノイズが電子部品の動作に影響を与えることがあることから、ノイズを遮蔽するためのシールド材が設けられている。
【0003】
たとえば、このようなシールド材には、アルミニウム材(例えば特許文献1参照)や、磁性材料(例えば特許文献2)などの金属材が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−10014号公報
【特許文献2】特開2004−19322号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、発明者らが、特許文献1に示すようなアルミニウム材として、アルミニウム材を用いてシールド効果の実験を行ったところ、図8に示すように、シールド効果が30dB以上となる周波数は、5MHz以上であり、アルミニウム材は、高周波領域におけるノイズに対しては有効であるが、5MHz以下の低周波領域におけるノイズでは、充分にシールド特性が得られないことがわかった。
【0006】
このような結果から、金属材をシールド材に用いた場合には、高周波領域におけるノイズ(電磁波ノイズ)を好適にシールドすることが可能であるが、低周波領域におけるノイズ(磁気(磁界)ノイズ)は、充分にシールドできず透過し易い。
【0007】
そこで、低周波領域におけるノイズのシールド特性は、シールド材の厚みに依存することが、シエルクノフの式から一般的にわかっており、低周波のシールド特性を高めるために、シールド材である金属材の厚みを厚くすることも考えられる。
【0008】
しかしながら、このような効果を得るためには、シールド材の厚みを相当厚くすることが必要な場合もあり、このことは、電子部品を含む電子機器のコンパクト化および軽量化が求められる近年の傾向に反する。
【0009】
本発明は、このような点を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、低周波ノイズ及び高周波ノイズの双方をシールドすることができるシールド材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決すべく、本発明に係るシールド材は、一方側の表面に金属薄膜が形成されたシールド材であって、前記シールド材の他方側において、表面が露呈した複数の磁石が埋設されており、隣接する磁石は、隣接する前記露呈した表面の極性が対極となるように離間して配置されており、前記磁石の埋設された部分は軟磁性材で囲繞されていることを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、シールド材の一方側の表面に形成された金属薄膜により、シールド材の内部を通過した高周波ノイズである電磁波ノイズを反射させ、これを遮蔽することができる。また、シールド材の他方側には、軟磁性材が配置されているので、軟磁性材に向う高周波ノイズは、その内部において減衰または反射する。
【0012】
一方、シールド材の他方側の表面には、表面が露呈した複数の磁石が、極性が対極となるように離間して配置されているため、その他方側の表面には、磁石による磁場が形成される。この磁場により、低周波ノイズである磁気ノイズ(磁界ノイズ)は、磁石の埋設された部分に囲繞された軟磁性材に誘導される。これにより、誘導された磁気ノイズは、軟磁性材の内部において減衰する。
【0013】
ここで、磁石が形成する磁場は、シールド材を透過するとノイズとなるが、磁石の埋設された部分には、軟磁性材が囲繞されているので、シールド材の他方側に向おうとする磁界経路を遮断し、シールド材の他方側への磁場の透過を防止することができる。
【0014】
このようにして、電磁波ノイズを金属薄膜で反射させると共に軟磁性材の内部で減衰させ、磁気ノイズを軟磁性材の内部で減衰させることができるので、シールド材の前記他方側から前記一方側に向う低周波ノイズ及び高周波ノイズの双方をシールド材により遮蔽することができる。これにより、シールド材の前記一方側に配置した電子部品をノイズから保護することができる。
【0015】
ここで、金属薄膜を構成する金属としては、アルミニウムまたはその合金が用いられる。しかしながら、電磁波ノイズを遮断する性能(電磁波シールド機能)を有すれば、アルミニウム以外の材料であってもよく、例えば、金、銀等の金属であってもよい。
【0016】
また、磁石の材質としては、アルニコ磁石、フェライト磁石、ネオジム磁石、サマリウムコバルト磁石などの永久磁石を挙げることができ、N極とS極の2つの磁極を有し、双極性の磁場を発生することができるのであれば、上述した材料に限定されるものではない。
【0017】
さらに、軟磁性材を構成する材料としては、鉄、コバルト、または、ニッケルなどを挙げることができ、磁気のノイズを減衰する性能(磁気シールド機能)を有するのであれば特に限定されるものではない。より好ましい材料として鉄系の材料であり、例えば、鉄(純鉄)、鉄−シリコン系合金、鉄−窒素系合金、鉄−ニッケル系合金、鉄−炭素系合金、鉄−ホウ素系合金、鉄−コバルト系合金、鉄−リン系合金、鉄−ニッケル−コバルト系合金、または、鉄−アルミニウム−シリコン系合金などが挙げることができる。
【0018】
また、磁石により形成された磁場により、電磁波ノイズを軟磁性材に誘導することができるのであれば、前記磁石の埋設された部分と、前記軟磁性材とは、直接接触していてもよく、また、これらの間に、別の部材(材料)が配置されていてもよい。
【0019】
しかしながら、より好ましい態様としては、前記磁石の埋設された部分と、前記軟磁性材との間には、誘電体がさらに配置されている。このような態様によれば、これらの間に誘電体を配置することで、低周波ノイズである磁気ノイズは、磁石の磁場により軟磁性材ばかりでなく誘電体にも誘導される。これにより、誘導された磁気ノイズは、誘電体の内部において誘電損失として減衰される。
【0020】
また、軟磁性材と誘電体の双方を用いることにより、軟磁性材で磁気ノイズのうち低周波側ノイズを効率的に減衰させ、誘電体で磁気ノイズのうち高周波側ノイズを効率的に減衰させることができる。ここで、誘電体を構成する材料としては、導電性よりも誘電性が優位な材料であり、プラスチックの中でも誘電率の高いもの、セラミックス、シリコン等を挙げることができる。
【0021】
また、さらに好ましい別の態様としては、前記軟磁性材の周りに、誘電体がさらに配置されている。この態様によれば上述したのと同様に、誘電体により、磁気ノイズを誘電体の内部で減衰させることができる。
【0022】
また、さらに好ましい態様としては、前記磁石は、前記軟磁性材とともに、樹脂材に埋設されている。すなわち、シールド材は、樹脂材を基材として備えており、軟磁性材に囲繞された磁石が離間して埋設されることになる。本発明によれば、樹脂材を用いることにより、シールド材の軽量化を図ると共に、成形性を高めることができ、シールド材を容易に製造することができる。
【0023】
ここで、樹脂材を構成する材料としては、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂いずれであってもよく、熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、またはアミノ樹脂などを挙げることができ、熱可塑性樹脂としては、ナイロン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリプロピレン系樹脂などのオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、またはABS系樹脂などを挙げることができる。
【0024】
さらに、別の態様としては、前記シールド材は、前記軟磁性材を基板として備えており、該軟磁性材に前記磁石が埋設されている。この態様によれば、軟磁性材を基板として備えるので、軟磁性材で電磁波ノイズを減衰させ、この減衰した電磁波ノイズを金属薄膜で反射させ、反射した電磁波ノイズを軟磁性材の内部で再び減衰させることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、低周波ノイズ及び高周波ノイズの双方をシールドすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1実施形態に係るシールド材の模式図であり、(a)は、上面図、(b)は、(a)のA−A線矢視断面図。
【図2】図1(b)に示すシールド材のノイズの遮蔽を説明するための図であり、(a)は、電磁波ノイズの遮蔽を説明するための図、(b)は、磁気ノイズの遮蔽を説明するための図。
【図3】本発明の第2実施形態に係るシールド材の模式図であり、(a)は、上面図、(b)は、(a)のB−B線矢視断面図。
【図4】図3(b)に示すシールド材のノイズの遮蔽を説明するための図であり、(a)は、電磁波ノイズの遮蔽を説明するための図、(b)は、磁気ノイズの遮蔽を説明するための図、
【図5】本発明の第3実施形態に係るシールド材の模式図であり、(a)は、上面図、(b)は、(a)のC−C線矢視断面図。
【図6】本発明の第4実施形態に係るシールド材の模式図であり、(a)は、上面図、(b)は、(a)のD−D線矢視断面図。
【図7】図3に示すシールド材の変形例を示した模式図。
【図8】従来のアルミニウム箔のノイズの周波数とシールド効果との関係を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、図面に基づき、本発明に係るシールド材のいくつかの実施形態を説明する。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係るシールド材の模式図であり、(a)は、上面図、(b)は、(a)のA−A線矢視断面図であり、図2は、図1(b)に示すシールド材のノイズの遮蔽を説明するための図であり、(a)は、電磁波ノイズの遮蔽を説明するための図、(b)は、磁気ノイズの遮蔽を説明するための図である。
【0028】
図1(a),(b)に示すように、第1実施形態に係るシールド材1Aは、高周波ノイズである電磁波ノイズと、低周波ノイズである磁気ノイズとを遮蔽するためのシールド材である。シールド材1Aは、その基材となる樹脂材10を備えており、シールド材1Aの一方側の表面には、アルミニウム製の金属薄膜14が形成されている。金属薄膜14は、電磁波ノイズをシールドするためのものであり、電磁波シールド機能を有するための金属薄膜14の最適な厚みは、15〜200μmである。
【0029】
さらに、シールド材1Aの他方側において、直方体のブロック状の4つ(複数)の磁石11,11…が配置されている。各磁石11は、その表面が露呈しており、樹脂材10に埋設されている。磁石11の材質としては、アルニコ磁石、フェライト磁石、ネオジム磁石、サマリウムコバルト磁石などの永久磁石を挙げることができる。
【0030】
また、4つの隣接する磁石11,11,…は、隣接する露呈した表面の極性が対極となるように離間して配置されている。すなわち、磁石11の露呈する表面がN極表面11aである場合には、この磁石11に隣接する磁石11の表面は、S極表面11bとなっている。
【0031】
さらに、各磁石11の埋設された部分は、カップ状(有底筒状)の軟磁性材12で囲繞されている。より具体的には、カップ状の軟磁性材12に磁石11が嵌合し、この嵌合状態を保持しつつ、樹脂材10に、軟磁性材12に嵌合した磁石11が埋設されていることになっている。そして、シールド材1Aの他方側の表面は、軟磁性材12に嵌合した磁石11の露呈した面と、樹脂材10の表面とが面一となった表面になっている。また、軟磁性材12の材質としては、鉄、コバルト、または、ニッケル、さらにはこれらの金属の合金材料などを挙げることができる。
【0032】
このようなシールド材1Aは、例えば、以下のようにして製造される。まず、ブロック状の磁石11と、この磁石の形状に応じた凹部が形成されたカップ状の軟磁性材12とを同じ個数準備し、N極表面11aおよびS極表面11bが露呈するように、磁石11を、カップ状の軟磁性材12に嵌合させる。
【0033】
次に、成形型(図示せず)内に、これらの磁石11,11,…の露呈したN極表面11aおよびS極表面11bが、対極となるように離間して配置し、軟化した樹脂を流し込み、樹脂材10を成形する。
【0034】
ここでは、樹脂材10を、磁石11を嵌合させた軟磁性材12とともに一体成形したが、例えば、樹脂板を準備し、これを軟磁性材12の形状に合わせて刳り貫き加工し、刳り貫き加工した凹部に、磁石11を嵌合させた軟磁性材12を接着剤などを介して配置してもよい。
【0035】
さらに、成形された樹脂材10の一方側の表面に、金属薄膜14を、接着剤を介して貼り付ける。ここでは、金属薄膜14を予め準備して、これを樹脂材10の表面に貼り付けたが、たとえば、樹脂材10の表面において、金属薄膜14をめっき、スパッタリング等により成膜してもよい。
【0036】
このようにして得られたシールド材1Aは、一方側(すなわち、金属薄膜14が形成された側)に、保護すべき電子機器を配置することにより、以下に示す効果を期待することができる。
【0037】
具体的には、図2(a)に示すように、まず、樹脂材10を透過した電磁波ノイズは、シールド材1Aの一方側の表面に形成された金属薄膜14により反射し、再度、樹脂材10を透過させて、これを遮蔽することができる(図2(a)の(1)参照)。
【0038】
また、シールド材1Aの他方側には、軟磁性材12が配置されているので、軟磁性材12に向う電磁波ノイズは、その内部において減衰し(図2(a)の(2)参照)、場合によってはその表面でも反射する(図2(a)の(3)参照)。
【0039】
一方、図2(b)に示すように、シールド材1Aの他方側の表面には、N極表面11aまたはS極表面11bが露呈した複数の磁石11が、対極となるように離間して配置されているため、その他方側の表面には、磁石11,11による磁場が形成される。この磁場により、低周波ノイズである磁気ノイズは、磁石11,11の埋設された部分を囲繞した軟磁性材12に誘導される。これにより、誘導された磁気ノイズは、軟磁性材12の内部において減衰する。
【0040】
ここで、磁石11,11が形成する磁場は、シールド材1Aを透過するとノイズとなるが、各磁石11の埋設された部分は、軟磁性材12で囲繞されているので、シールド材1Aの他方側に向おうとする磁界経路を遮断し、シールド材1Aの他方側(金属薄膜14が形成された側)への磁場の透過を防止することができる。
【0041】
このようにして、高周波ノイズである電磁波ノイズを金属薄膜14で反射させると共に軟磁性材12の内部で減衰させ、その一方、低周波ノイズである磁気ノイズを軟磁性材12の内部で減衰させることができる。これにより、シールド材1Aの他方側(磁石11が配置された側)から一方側(金属薄膜14が形成された側)に向う低周波ノイズ及び高周波ノイズの双方をシールド材1Aにより遮蔽することができる。これにより、シールド材1Aの一方側(金属薄膜が形成された側)に配置した電子部品をこれらのノイズから保護することができる。
【0042】
〔第2実施形態〕
図3は、本発明の第2実施形態に係るシールド材の模式図であり、(a)は、上面図、(b)は、(a)のB−B線矢視断面図である。図4は、図3(b)に示すシールド材のノイズの遮蔽を説明するための図であり、(a)は、電磁波ノイズの遮蔽を説明するための図、(b)は、磁気ノイズの遮蔽を説明するための図である。
【0043】
第1実施形態に係るシールド材1Aに比べて、第2実施形態のシールド材1Bが相違する点は、誘電体13を新たに設けた点である。従って、その他の構成は、第1実施形態の同じ符号を付してその詳細な説明を一部省略する。
【0044】
図3(a),(b)に示すように、本実施形態に係るシールド材1Bは、誘電体13をさらに備えている。具体的には、誘電体13は、カップ状(有底筒状)であり、磁石11の形状に応じた凹部が形成され、その外形寸法は、軟磁性材12の凹部と嵌合する寸法となっている。
【0045】
このような形状にすることにより、誘電体13は、各磁石11の埋設された部分と、軟磁性材12との間に配置されることになる。また、誘電体13を構成する材料としては、プラスチック、セラミックス等を挙げることができる。
【0046】
このようなシールド材1Bは、以下に示す効果を期待することができる。すなわち、図4(a)に示すように、樹脂材10を透過した電磁波ノイズは、金属薄膜14により反射し、再度、樹脂材10を透過させて、これを遮蔽することができる(図4(a)の(1)参照)。また、シールド材1Bの他方側には、軟磁性材12が配置されているので、軟磁性材12に向う電磁波ノイズは、その内部において減衰し(図4(a)の(2)参照)、場合によってはその表面でも反射する(図4(a)の(3)参照)。
【0047】
一方、図4(b)に示すように、上述した磁石11,11による磁場により、低周波ノイズである磁気ノイズは、磁石11,11の埋設された部分を囲繞した軟磁性材12に誘導され、その内部において、磁気ノイズを減衰させることができる(図4(b)の(1)参照)。
【0048】
また、磁石11,11の磁場により、低周波ノイズである磁気ノイズは、軟磁性材12ばかりでなく誘電体13にも誘導される。すなわち、本実施形態の場合には、磁石11を覆うようにカップ状の誘電体13を、磁石11と軟磁性材12との間に配置したので、磁気ノイズは、誘電体13にも誘導されやすい。さらには、誘電体13を覆うように、軟磁性材12をカップ状としたので、磁気ノイズが漏れることなく、誘電体13の内部において効率的に減衰させることができる(図4(b)の(2)参照)。
【0049】
さらに、軟磁性材12と誘電体13の双方を用いることにより、軟磁性材12により、磁気ノイズのうち低周波側ノイズを効率的に減衰させ、誘電体13により磁気ノイズのうち高周波側ノイズを効率的に減衰させることができる。
【0050】
〔第3実施形態〕
図5は、本発明の第3実施形態に係るシールド材の模式図であり、(a)は、上面図、(b)は、(a)のC−C線矢視断面図である。第2実施形態に係るシールド材1Bに比べて、第3実施形態のシールド材1Cが相違する点は、誘電体13の配置位置である。従って、その他の構成は、第2実施形態の同じ符号を付してその詳細な説明を一部省略する。
【0051】
図5(a),(b)に示すように、本実施形態に係るシールド材1Cの誘電体13Aは、カップ状であり、軟磁性材12の形状に応じた凹部が形成されている。この凹部に軟磁性材12を収容することにより、軟磁性材12の周りに誘電体13Aが配置される。このように配置することにより、第2実施形態に比べて、磁石11の誘電体13Aは誘導され難いが、磁気ノイズを誘電体13Aの内部で減衰させることができる。
【0052】
〔第4実施形態〕
図6は、本発明の第4実施形態に係るシールド材の模式図であり、(a)は、上面図、(b)は、(a)のD−D線矢視断面図である。第2実施形態に係るシールド材1Bに比べて、第4実施形態のシールド材1Dが相違する点は、軟磁性材12Dの形状である。従って、その他の構成は、第2実施形態の同じ符号を付してその詳細な説明を一部省略する。
【0053】
具体的には、第4実施形態に係るシールド材1Dは、樹脂材を用いず、軟磁性材12Dを基板として備えており、軟磁性材12Dの表面には、複数の凹部が形成されており、各凹部には、誘電体13に嵌合された複数の磁石11が埋設されている。
【0054】
この態様によれば、軟磁性材12Dを基板として備えるので、軟磁性材12Dで電磁波ノイズを減衰させ、この減衰した電磁波ノイズをさらに金属薄膜14で反射させ、反射した電磁波ノイズを軟磁性材12Dの内部で再び減衰させることができる。
【0055】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。
【0056】
例えば、上述したように、第1〜第4実施形態では、直方体状の磁石を用いたが、図7に示すシールド材1Eのように円柱状の磁石11Eを用いてもよく、これに嵌合する軟磁性材及び誘電体を、有底円筒状の軟磁性材12E及び誘電体13Eにしてもよい。
【0057】
さらに、第1〜第4実施形態では、4つ磁石を用いたが、これに限定されるものではなく、シールドしたい部分の面積に応じた個数の磁石を用いても良い。
【符号の説明】
【0058】
1A,1B,1C,1D、1E:シールド材、10:樹脂材、11,11E:磁石、11a:N極表面、11b:S極表面、12,12D,12E:軟磁性材、13,13A,13E:誘電体、14:金属薄膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方側の表面に金属薄膜が形成されたシールド材であって、
前記シールド材の他方側において、表面が露呈した複数の磁石が埋設されており、隣接する磁石は、隣接する前記露呈した表面の極性が対極となるように離間して配置されており、
前記磁石の埋設された部分は、軟磁性材で囲繞されていることを特徴とするシールド材。
【請求項2】
前記磁石の埋設された部分と、前記軟磁性材との間には、誘電体がさらに配置されていることを特徴とする請求項1に記載のシールド材。
【請求項3】
前記軟磁性材の周りには、誘電体がさらに配置されていることを特徴とする請求項1に記載のシールド材。
【請求項4】
前記シールド材は、前記軟磁性材とともに、樹脂材に埋設されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のシールド材。
【請求項5】
前記シールド材は、前記軟磁性材を基板として備えており、該軟磁性材に前記磁石が埋設されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のシールド材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−227390(P2012−227390A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−94331(P2011−94331)
【出願日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】