シールド電線、シールド電線組立方法及びシールド電線組立装置
【課題】加工が容易で良好なシールド性能が得られるシールド電線、シールド電線組立方法及びシールド電線組立装置を提供する。
【解決手段】シールド電線2は被覆電線3及びドレイン線4とALS5と内面に設けられた粘着層がALS5に密着したPETシート6とを備えている。シールド電線組立装置1は被覆電線3などを張設する張設ユニット16と張設ユニット16により張設された被覆電線3などの外周にALS5を巻き付ける導体シート巻き付けユニット17と絶縁シート巻き付けユニット18を備えている。絶縁シート巻き付けユニット18は被覆電線3などと平行な状態で中央部がALS5に接触するようにPETシート6を重ね中央部から幅方向の端部に向かって順にALS5にPETシート6を貼り付けるように被覆電線3などの外周に巻き付けられたALS5の外周にPETシート6を巻き付ける。
【解決手段】シールド電線2は被覆電線3及びドレイン線4とALS5と内面に設けられた粘着層がALS5に密着したPETシート6とを備えている。シールド電線組立装置1は被覆電線3などを張設する張設ユニット16と張設ユニット16により張設された被覆電線3などの外周にALS5を巻き付ける導体シート巻き付けユニット17と絶縁シート巻き付けユニット18を備えている。絶縁シート巻き付けユニット18は被覆電線3などと平行な状態で中央部がALS5に接触するようにPETシート6を重ね中央部から幅方向の端部に向かって順にALS5にPETシート6を貼り付けるように被覆電線3などの外周に巻き付けられたALS5の外周にPETシート6を巻き付ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも一本の被覆電線の外周に導体シートを巻きつけて構成されたシールド電線、シールド電線を組み立てるシールド電線組立方法及びシールド電線組立装置に関する。
【背景技術】
【0002】
移動体としての自動車には、搭載される種々のランプや種々のモータなどの電子機器にバッテリなどの電源から電力を供給したり制御装置から制御信号を送ったりするためにワイヤハーネスが配索されている。ワイヤハーネスは、複数の電線と、該電線の端末に取り付けられた端子金具などを備えている。前述したワイヤハーネスを構成する電線として、たとえば、図46及び図47に示されたシールド電線101,201を用いることがある(例えば特許文献1を参照)。
【0003】
図46に例示されたシールド電線101は、複数の被覆電線102と、一つのドレイン線103と、金属箔104と、シース105と、を備えている。被覆電線102は、それぞれ、導電性を有する芯線110と、この芯線110を被覆する被覆部111と、を備えている。芯線110は、断面丸形に形成されており、銅または銅合金を含んでいる。被覆部111は、絶縁性を有する合成樹脂からなる。
【0004】
ドレイン線103は、断面丸形に形成されており、銅または銅合金などの導電性を有する金属からなる。金属箔104は、たとえば、銅または銅合金、アルミニウムなどの導電性を有する金属からなり、箔状に形成されている。金属箔104は、全ての被覆電線102とドレイン線103とを覆うとともに、前記ドレイン線103に接触している。
【0005】
シース105は、絶縁性を有する合成樹脂からなり、被覆電線102とドレイン線103とを金属箔104で覆った電線束の外周を覆っている。このシース105は、これらの電線束の外周に押出し成形によって形成される。
【0006】
図47に例示されたシールド電線201は、複数の被覆電線102と、一つのドレイン線103と、導体薄膜シート106と、を備えている。なお、被覆電線102及びドレイン線103は図46に示したものと同一である。
【0007】
導体薄膜シート106は、薄い導体層107と、該導体層107に積層された絶縁層108と、を備えて、薄いシート状に形成されている。導体層107は、たとえば、銅または銅合金、アルミニウムなどの導電性を有する金属からなる。導体薄膜シート106は、全ての被覆電線102とドレイン線103とを覆うとともに、前記ドレイン線103に接触している。また、この導体薄膜シート106は、幅方向の一端部に他端部が重ねられかつ前記一端部の絶縁層108の面と前記他端部の導体層107の面とが接触する格好で被覆電線102とドレイン線103とを覆っている。
【0008】
上記したシールド電線101,201は、外部からのノイズが各被覆電線102の芯線110に侵入しようとすると、このノイズが前記金属箔104または導体層107に伝わる。そして、前記ノイズは、ドレイン線103を介して、シールド電線101,201外に逃がされる。こうして、シールド電線101の金属箔104及びシールド電線201の導体層107は、各被覆電線102の芯線110に外部からのノイズが侵入することを防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−057114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述したシールド電線101に端末処理を施す際には、両端の金属箔104及びシース105を所要長さ剥ぎ取るシースストリップを行って、被覆電線102及びドレイン線103の両端に端子金具を取り付けていた。しかしながら、これらの工程は工数が多く複雑である上に線材を傷付け易いため自動化には適しておらず、加工時間及び加工費が増加してしまうという問題があった。さらに、シースストリップによって剥ぎ取られた部分は廃棄されるため、材料が無駄になると同時に環境保全の観点からも望ましくないという問題があった。
【0011】
また、上述したシールド電線201は、被覆電線102及びドレイン線103に端子金具を取り付けた後にこれらの外周に導体薄膜シート106を被せるので、シースストリップが不要になりシールド電線101に比べて工数は少なくて済む。しかしながら、このシールド電線201は、電線102,103と導体薄膜シート106とを長手方向全長に亘って引張させた状態で、導体薄膜シート106を電線102,103に縦添えさせるとともに、導体薄膜シート106の幅方向の一端部の絶縁層108に他端部の導体層107を接触させるように巻くので、導体薄膜シート106と同じ長さの大きな製造設備が必要になる。したがって、シールド電線201の長尺化に限界がある。一方、電線102,103の長手方向の先端から後端にかけて徐々に導体薄膜シート106を巻こうとするとシワが寄ってしまう。シワが寄らないように巻くために導体薄膜シート106を分割することが考えられるが、このようにした場合、工数が増えるという問題や、導体薄膜シート106の継ぎ目に無駄な重なり代が生じて電線が肥大化するなどの問題が新たに生じてしまう。
【0012】
その他、図示しないが、あらかじめ端子金具を取り付けた状態の被覆電線及びドレイン線の外周に、導体薄膜シートが螺旋状に巻かれたシールド電線も考案されている。しかしながら、このシールド電線は、導体薄膜シートを螺旋状に巻くために生じる無駄な重なり代によって電線が肥大化・重量化してしまうという問題があった。また、このシールド電線は、導体薄膜シートを螺旋状に巻くために繋ぎ目に隙間が生じ易く、この隙間からノイズが漏れ易くなる、即ちシールド性能が低くなるという問題があった。
【0013】
したがって、本発明は、加工が容易で良好なシールド性能が得られるシールド電線、シールド電線組立方法及びシールド電線組立装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載の本発明のシールド電線は、少なくとも一本の電線と、当該電線の外周に巻かれた導体シートと、当該導体シートの外周に巻かれた絶縁シートとを備えたシールド電線において、前記絶縁シートの内面には、粘着層が設けられており、前記絶縁シートが、前記粘着層が前記導体シートの外面に貼り付けられて構成されていることを特徴としている。
【0015】
請求項2に記載の本発明のシールド電線は、請求項1記載のシールド電線において、前記絶縁シートが、導体シートが巻かれた少なくとも一本の電線と平行な状態で、前記内面の一部が前記少なくとも一本の電線の外周に巻かれた導体シートに貼り付けられて構成されていることを特徴としている。
【0016】
請求項3に記載の本発明のシールド電線は、請求項1又は請求項2記載のシールド電線において、前記絶縁シートの周りに設けられた摩耗防止部材及び/又は遮熱部材を更に備えたことを特徴としている。
【0017】
請求項4に記載の本発明のシールド電線は、請求項1乃至請求項3のうちいずれか一項に記載のシールド電線において、前記電線が複数設けられており、これら複数の電線同士が撚り合わされ、又はこれら複数の電線同士が非撚り合わせにされ、或いは、これら複数の電線同士を撚り合わせと非撚り合わせの組み合わせにされていることを特徴としている。
【0018】
請求項5に記載の本発明のシールド電線は、請求項1乃至請求項4のうちいずれか一項に記載のシールド電線において、前記導体シートが、その一側部が絶縁層のみで構成され、又は、その一側部が内側に折り返されて折り返し部に形成されていることを特徴としている。
【0019】
請求項6に記載の本発明のシールド電線組立方法は、少なくとも一本の電線と、当該電線の外周に巻かれた導体シートと、当該導体シートの外周に巻かれた絶縁シートとを備えたシールド電線を組み立てるシールド電線組立方法において、前記絶縁シートの内面には、粘着層が設けられており、前記導体シートが巻かれた少なくとも一本の電線と平行な状態で、前記内面の一部を前記導体シートに接触するように前記絶縁シートを重ね、当該一部から幅方向の端部に向かって順に前記導体シートに前記絶縁シートを貼り付けることを特徴としている。
【0020】
請求項7に記載の本発明のシールド電線組立装置は、少なくとも一本の電線と、当該電線の外周に巻かれた導体シートと、当該導体シートの外周に巻かれかつ内面に設けられた粘着層が導体シートに密着した絶縁シートとを備えたシールド電線を組み立てるシールド電線組立装置において、前記電線を張設する張設ユニットと、前記張設ユニットにより張設された前記電線の外周に前記導体シートを巻き付ける導体シート巻き付けユニットと、前記導体シートが巻かれた少なくとも一本の電線と平行な状態で、前記内面の一部が前記導体シートに接触するように前記絶縁シートを重ね、当該一部から幅方向の端部に向かって順に前記導体シートに前記絶縁シートを貼り付けるように、前記電線の外周に巻き付けられた前記導体シートの外周に前記絶縁シートを巻き付ける絶縁シート巻き付けユニットと、を備えたことを特徴としている。
【0021】
請求項8に記載の本発明のシールド電線組立装置は、請求項7に記載のシールド電線組立装置において、前記絶縁シート巻き付けユニットは、前記絶縁シートを送り出すことが可能なシート送りユニットと、前記電線の外周に巻き付けられた前記導体シートの外周に前記絶縁シートを巻き付けるように前記シート送りユニットにより送り出される前記絶縁シートを案内する絶縁巻き付け部と、を備えたことを特徴としている。
【0022】
請求項9に記載の本発明のシールド電線組立装置は、請求項8に記載のシールド電線組立装置において、前記絶縁巻き付け部は、前記シート送りユニットの前記絶縁シートを送り出す方向に沿って複数並べられるとともに外周面に前記絶縁シートを前記導体シートの外周に巻き付けるための湾曲面が設けられた巻き付けローラが複数設けられ、前記複数の巻き付けローラの前記湾曲面が前記送り出す方向の前方に向かうにしたがって前記絶縁シートとの接触面積が徐々に大きくなりかつ曲率半径が徐々に小さくなるように形成されていることを特徴としている。
【0023】
請求項10に記載の本発明のシールド電線組立装置は、請求項9に記載のシールド電線組立装置において、前記複数の巻き付けローラのうちの前記送り出す方向の最も前方に位置する一つの巻き付けローラが、前記張設ユニットにより張設された前記電線の長手方向に対して交差する方向に沿って並べられているとともに互いに相対する前記湾曲面が形成された一対のローラを備えたことを特徴としている。
【0024】
請求項1に記載した本発明のシールド電線によれば、電線を導体シートと絶縁シートで巻き付けることができるので、シースストリップを施す必要がなくなり、加工が容易でかつ材料に無駄が生じない環境に配慮したシールド電線を提供することができる。また、電線を導体シートと絶縁シートで巻き付けることができるので、長尺のシールド電線であっても導体シートを分割することなく電線に一体化させることができ、このために、継ぎ目が生じず良好なシールド性能を有するとともに無駄な重なり代がない細径化・軽量化したシールド電線を提供することができる。
【0025】
請求項2に記載した本発明のシールド電線によれば、絶縁シートとして、内面に粘着層が設けられた絶縁シートを用いるので、当該粘着層を導体シートに重ねて貼り付けることで、絶縁シートを導体シートの外周に巻き付けることができる。
【0026】
また、絶縁シートの内面の一部即ち粘着層の一部を導体シートに重ねた後、導体シートに絶縁シートを貼り付けるので、導体シートとの間に隙間が生じることなく、絶縁シートを巻き付けることができる。
【0027】
請求項3に記載した本発明のシールド電線によれば、絶縁シートの周りに摩耗防止部材や遮熱部材を必要に応じて当該絶縁シートの所定範囲に設けているので、これらの摩耗防止部材や遮熱部材がテープ状に形成されている場合には、巻き数に応じて、厚みを調整することができる。
【0028】
請求項4に記載した本発明のシールド電線によれば、複数の電線を必要に応じて、撚り合わせたり、非撚り合わせとするので、撚り合わせの不要な箇所を撚り合わせることなく、過剰品質を防止して、製造を簡素化できる。
【0029】
請求項5に記載した本発明のシールド電線によれば、導体シートの一側部を絶縁層のみで構成したり、導体シートの一側部を内側に折り返して折り返し部を設けているので、導体シートの導体層が露出することを防止でき、短絡を防止できる。
【0030】
請求項6に記載した本発明のシールド電線方法によれば、絶縁シートとして、内面に粘着層が設けられた絶縁シートを用いるので、当該粘着層を導体シートに重ねて貼り付けることで、絶縁シートを導体シートの外周に巻き付けることができる。
【0031】
また、絶縁シートの内面の一部即ち粘着層の一部を導体シートに重ねた後、当該一部から幅方向の端部に向かって順に導体シートに絶縁シートを貼り付けるので、導体シートとの間に隙間が生じることなく、絶縁シートを巻き付けることができる。
【0032】
請求項7に記載した本発明のシールド電線組立装置によれば、絶縁シートとして、内面に粘着層が設けられた絶縁シートを用いるので、当該粘着層を導体シートに重ねて貼り付けることで、絶縁シートを導体シートの外周に巻き付けることができる。
【0033】
また、絶縁シート巻き付けユニットが、絶縁シートの内面の一部即ち粘着層の一部を導体シートに重ねた後、当該一部から幅方向の端部に向かって順に導体シートに絶縁シートを貼り付けるので、導体シートとの間に隙間が生じることなく、絶縁シートを巻き付けることができる。
【0034】
請求項8に記載した本発明のシールド電線組立装置によれば、絶縁シート巻き付けユニットが、シート送りユニットにより送り出される絶縁シートを導体シートの外周に巻き付けるように案内する絶縁巻き付け部を備えているので、絶縁シートを確実に導体シートの外周に巻き付けることができる。
【0035】
請求項9に記載した本発明のシールド電線組立装置によれば、絶縁巻き付け部の複数の巻き付けローラの湾曲面が絶縁シートを送り出す方向の前方に向かうにしたがって絶縁シートとの接触面積が増加しかつ曲率半径が徐々に小さくなるように形成されている。このために、複数の巻き付けローラにより絶縁シートを送り出していく際に、湾曲面が絶縁シートを導体シートの外周に巻き付けるように案内することとなる。よって、絶縁シートをより確実に導体シートの外周に巻き付けることができる。
【0036】
請求項10に記載した本発明のシールド電線組立装置によれば、絶縁シートを送り出す方向の最も前方に位置する巻き付けローラが互いに相対する湾曲面が設けられた一対のローラを備えているので、当該最も前方に位置する巻き付けローラの湾曲面により、絶縁シートを導体シートの外周に確実に巻き付けることができる。
【発明の効果】
【0037】
以上説明したように、請求項1に記載の本発明は、シースストリップを施す必要がなくなり、加工が容易でかつ材料に無駄が生じない環境に配慮したシールド電線を提供することができる。また、導体シートを分割することなく電線に一体化させることができ、このために、継ぎ目が生じず良好なシールド性能を有するとともに無駄な重なり代がない細径化・軽量化したシールド電線を提供することができる。
【0038】
請求項2乃至請求項7に記載の本発明は、請求項1の発明の効果に加え、粘着層を導体シートに重ねて貼り付けることで、絶縁シートを導体シートの外周に巻き付けることができるので、絶縁シートを固定するために超音波溶着装置を設ける必要が生じない。また、導体シートとの間に隙間が生じることなく、絶縁シートを巻き付けることができる。したがって、設備の大型化を抑制しながらも、皺を生じることなく絶縁シートを巻き付けることができる。
【0039】
請求項3に記載の本発明は、必要に応じて、摩耗防止部材や遮熱部材を設けるので、過剰品質を防止することができる。
【0040】
請求項4に記載の本発明は、複数の電線を必要に応じて、撚り合わせたり、非撚り合わせとするので、撚り合わせの不要な箇所を撚り合わせることなく、過剰品質を防止して、製造を簡素化できる。
【0041】
請求項5に記載の本発明は、導体シートの一側部を絶縁層のみで構成したり、導体シートの一側部を内側に折り返して折り返し部を設けているので、導体シートの導体層が露出することを防止でき、短絡を防止できる。
【0042】
請求項8に記載の本発明は、絶縁シート巻き付けユニットが、シート送りユニットにより送り出される絶縁シートを導体シートの外周に巻き付けるように案内する絶縁巻き付け部を備えているので、絶縁シートを確実に導体シートの外周に巻き付けることができる。
【0043】
請求項9に記載の本発明は、複数の巻き付けローラにより絶縁シートを送り出していく際に、湾曲面が絶縁シートを導体シートの外周に巻き付けるように案内することとなる。よって、絶縁シートをより確実に導体シートの外周に巻き付けることができる。
【0044】
請求項10に記載の本発明は、絶縁シートを送り出す方向の最も前方に位置する巻き付けローラが互いに相対する湾曲面が設けられた一対のローラを備えているので、当該最も前方に位置する巻き付けローラの湾曲面により、絶縁シートを導体シートの外周に確実に巻き付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかるシールド電線組立装置の構成を示す側面図である。
【図2】図1中のII−II線に沿う断面図である。
【図3】図1中のIII−III線に沿う断面図である。
【図4】図1中のIV−IV線に沿う断面図である。
【図5】図1中のV−V線に沿う断面図である。
【図6】図1中のVI−VI線に沿う断面図である。
【図7】図1に示されたシールド電線組立装置の絶縁シート巻き付けユニットの側面図である。
【図8】図7に示されたシールド電線組立装置の絶縁シート巻き付けユニットの平面図である。
【図9】図7中のIX−IX線に沿う断面図である。
【図10】図9に示された絶縁シート巻き付けユニットの絶縁シート貼り合わせユニットの下面図である。
【図11】図1中のXI−XI線に沿う断面図である。
【図12】図1中のXII−XII線に沿う断面図である。
【図13】図1中のXIII−XIII線に沿う断面図である。
【図14】図1中のXIV−XIV線に沿う断面図である。
【図15】図10中のXV−XV線に沿う断面図である。
【図16】図10中のXVI−XVI線に沿う断面図である。
【図17】図10中のXVII−XVII線に沿う断面図である。
【図18】図1中のXVIII−XVIII線に沿う断面図である。
【図19】図1中のXIX−XIX線に沿う断面図である。
【図20】図1中のXX−XX線に沿う断面図である。
【図21】図1中のXXI−XXI線に沿う断面図である。
【図22】図1に示されたシールド電線組立装置により組み立てられるシールド電線の端部の斜視図である。
【図23】図22中のXXIII−XXIII線に沿う断面図である。
【図24】図1に示されたシールド電線組立装置にALSなどを巻き付ける前の被覆電線及びドレイン線などをセットした状態を示す説明図である。
【図25】図24に示されたシールド電線組立装置の昇降ガイドを降下した状態を示す説明図である。
【図26】図25に示されたシールド電線組立装置のスライドガイドを降下した状態を示す説明図である。
【図27】図26に示された被覆電線などの外周に巻き付けられたALSの端末のPETシートの端末を巻き付けた状態を示す説明図である。
【図28】図27に示されたシールド電線組立装置の位置決めローラなどを降下した状態を示す説明図である。
【図29】図28に示されたシールド電線組立装置のテープ巻き付けユニットを降下した状態を示す説明図である。
【図30】本発明の第2の実施形態にかかるシールド電線組立装置の絶縁シート巻き付けユニットの側面図である。
【図31】図30に示されたシールド電線組立装置の絶縁シート巻き付けユニットの平面図である。
【図32】図30中のA−A線に沿う断面図である。
【図33】図32に示された絶縁シート巻き付けユニットの絶縁シート貼り合わせユニットの下面図である。
【図34】図30中のB−B線に沿う断面図である。
【図35】図30中のC−C線に沿う断面図である。
【図36】図30中のD−D線に沿う断面図である。
【図37】図30中のE−E線に沿う断面図である。
【図38】図33中のF−F線に沿う断面図である。
【図39】図33中のG−G線に沿う断面図である。
【図40】図33中のH−H線に沿う断面図である。
【図41】本発明の第2の実施形態にかかるシールド電線組立立装置により組み立てられるシールド電線の端部の斜視図である。
【図42】図41中のI−I線に沿う断面図である。
【図43】図22に示されたシールド電線の変形例の斜視図である。
【図44】図22に示されたシールド電線の他の変形例の斜視図である。
【図45】図22に示されたシールド電線の更に他の変形例の斜視図である。
【図46】従来のシールド電線を示す斜視図である。
【図47】従来の他のシールド電線を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、本発明の第1の実施形態にかかるシールド電線組立装置(以下、単に組立装置と記す)を図1ないし図29を参照して説明する。
【0047】
図1に示す組立装置1は、図22及び図23に示されたシールド電線2を組み立てる装置である。シールド電線2は、図22及び図23に示すように、電線としての複数(即ち少なくとも一本)の被覆電線3と、電線としての一本のドレイン線4と、導体シートとしてのアルミラミネートシート(以下ALSと呼ぶ)5と、絶縁シートとしてのPETシート6とを備えている。
【0048】
被覆電線3は、図22などに示すように、互いに平行(即ち並行)に束ねられている。被覆電線3は、それぞれ、芯線7と、芯線7を被覆する被覆部8と、を備えたいわゆる被覆電線である。芯線7は、一本の素線または複数の素線が撚られて形成されており、断面形状が丸形に形成されている。芯線7を構成する素線は、導電性を有する金属からなる。芯線7は、可撓性を有している。被覆部8は、絶縁性と可撓性とを有する合成樹脂からなる。図示例では、被覆電線3は、三本設けられている。
【0049】
ドレイン線4は、導電性の金属で構成された芯線9のみで構成されている。芯線9は、被覆電線3の芯線7と同様に、一本の素線または複数の素線が撚られて形成されており、断面形状が丸形に形成されている。ドレイン線4は、シールド電線2の少なくとも一端部において、図23に示すように、複数の被覆電線3よりも外周に配置されている。
【0050】
ALS5は、薄い導体層10と、該導体層10に積層された薄い絶縁層11と、を備えて、比較的薄いシート状に形成されている。ALS5は、平面形状が帯状に形成されている。導体層10は、導電性を有する金属からなる。導体層10は、可撓性を有している。導体層10は、少なくともアルミニウムまたはアルミニウム合金を含んでいる。絶縁層11は、絶縁性と可撓性とを有する合成樹脂からなる。ALS5は、導体層10を内側にして、複数の被覆電線3及びドレイン線4の外周に丸めて巻きつけられている。そして、図23に示すように、ALS5は、シールド電線2の少なくとも一端部において、導体層10がドレイン線4に接触している。
【0051】
PETシート6は、薄い樹脂層12と、当該樹脂層12の表面(特許請求の範囲に記載された内面に相当する)の全体に積層された粘着層13と、を備えて、比較的薄いシート状に形成されている。PETシート6は、平面形状が帯状に形成されている。樹脂層12は、POLYETHYLENE TEREPHTHALATEなどの絶縁性と可撓性とを有する合成樹脂で構成されている。粘着層13は、粘着性を有する合成樹脂で構成されている。PETシート6は、粘着層13がALS5の絶縁層11の外周面に密着した状態で、被覆電線3及びドレイン線4の外周に巻き付けられたALS5の外周に丸めて巻き付けられている。
【0052】
前述したシールド電線2は、複数の被覆電線3とドレイン線4とが互いに束ねられ、これらの外周に導体層10を内側としたALS5と、PETシート6とが順に巻かれて構成されている。このとき、ALS5と、PETシート6とは、これらの長手方向が被覆電線3及びドレイン線4の長手方向と平行に配置されている。そして、ALS5は、複数の被覆電線3とドレイン線4の外周に丸められて巻きつけられており、PETシート6は、複数の被覆電線3とドレイン線4及びALS5の外周にその幅方向の中央部6c(特許請求の範囲の一部に相当する)が全長に亘って重ねられて、当該中央部6cの粘着層13がALS5の外周面に貼り付けられている。そして、PETシート6は、その幅方向の中央部6cから幅方向の両端部6a,6bに向かって順にALS5の外周に巻き付けられて、中央部6cの粘着層13から両端部6a,6bの粘着層13に向かって順にALS5の外周面に貼り付けられている。そして、本実施形態では、PETシート6は、ALS5の外周に半周程巻き付けられた一方の端部6aの粘着層13がALS5の外面に貼り付けられて、他方の端部6bが一方の端部6a上に更に巻き付けられて、当該他方の端部6bの粘着層13が当該PETシート6の外周面に貼り付けられる。こうして、シールド電線2は、PETシート6の粘着層13がALS5の外面に貼り付けられて構成されて、組み立てられている。
【0053】
さらに、前述したシールド電線2は、被覆電線3の両端部及びドレイン線4の両端部に端子金具71(図1に一部示す)と、図示しないコネクタハウジングとが取り付けられる。そして、シールド電線2は、コネクタハウジングが自動車に搭載される各種の電子機器に取り付けられて、当該自動車に配索されて、各種の電子機器に所望の信号や電力を供給する。さらに、シールド電線2は、ALS5の導体層10を、ドレイン線4などを介してアース回路に接続して、外部から被覆電線3の芯線7に侵入しようとする電気的なノイズ及び被覆電線3の芯線7から外部に漏れようとする電気的なノイズをALS5の導体層8及びドレイン線4などを介してアース回路に導く。
【0054】
組立装置1は、所定の長さに切断されかつ両端部に端子金具71が取り付けられた複数の被覆電線3及びドレイン線4の外周にALS5及びPETシート6を順に巻く装置である。
【0055】
組立装置1は、図1に示すように、装置本体14と、ALS供給ユニット15と、張設ユニット16と、導体シート巻き付けユニット17と、絶縁シート巻き付けユニット18と、テープ巻き付けユニット19と、制御手段としての制御装置20とを備えている。
【0056】
装置本体14は、工場のフロア上などに設置され、その上面が平坦に形成されている。装置本体14は、その平面形状が矩形状に形成されている。
【0057】
ALS供給ユニット15は、装置本体14の図1中左側の一端部上に設置されている。ALS供給ユニット15は、図1に示すように、リール21と、ALS用ガイド22と、送りローラ23と、従動ローラ24と、ALS用切断ユニット25と、を備えている。リール21は、装置本体14の一端部の最も端に設けられている。リール21は、装置本体14に回転自在に支持されかつ帯状で長尺のALS5を巻き付けている。リール21と、ALS用ガイド22と、送りローラ23及び従動ローラ24と、ALS用切断ユニット25とは、前記装置本体14の一端部の端から当該装置本体14の長手方向に沿って中央部に向かって順に配置されている。
【0058】
ALS用ガイド22は、装置本体14上に立設した柱状に形成されている。ALS用ガイド22には、装置本体14の表面に沿って当該ALS用ガイド22を貫通して、内側にALS5を通すガイド孔70が設けられている。ガイド孔70は、リール21寄りの端部が、図2に示すように、装置本体14の表面と平行な横長の扁平に形成されている。また、ガイド孔70は、リール21から離れた側の端部が、図3に示すように、断面V字状に形成されている。また、ガイド孔70は、リール21寄りの端部の横長の扁平な状態からリール21から離れるのにしたがって徐々に断面V字状となるように、その内面が滑らかな曲面で形成されている。ALS用ガイド22は、ガイド孔70内にALS5を通すことで、当該ALS5を断面V字状に形成する。
【0059】
送りローラ23と従動ローラ24とは、鉛直方向に間隔をあけて設けられ、装置本体14に回転自在に設けられている。なお、送りローラ23は、従動ローラ24の上方に配置され、送りローラ23と従動ローラ24の軸芯は装置本体14の幅方向と平行である。送りローラ23は、図示しない駆動源としてのモータによりその軸芯回りに回転される。送りローラ23と従動ローラ24とは、互いの間にALS用ガイド22によって断面V字状に形成されたALS5を挟み、送りローラ23がモータにより回転駆動されることで、断面V字状に形成されたALS5を張設ユニット16により張設された複数の被服電線3及びドレイン線4の外周に送り出す。ALS用切断ユニット25は、装置本体14上に立設した柱状に形成され、かつ互いの間にALS5を挟み込んで切断する図示しない一対の切断刃を備えている。
【0060】
張設ユニット16は、移動保持部26と、図示しない端末保持部とを備えている。移動保持部26は、装置本体14の他端部に設けられ、リニアガイド27と、図示しない移動用シリンダと、端子保持部28を備えている。
【0061】
リニアガイド27は、直線状に延在しかつ装置本体14に固定されたレール29と、スライダ30とを備えている。レール29の長手方向は、装置本体14の長手方向と平行である。スライダ30は、レール29に当該レール29の長手方向に沿ってスライド自在に設けられている。移動用シリンダは、スライダ30をレール29の長手方向に沿って移動させる。
【0062】
端子保持部28は、スライダ30上に設置されている。端子保持部28は、図1に示すように、被覆電線3及びドレイン線4の一端部に取り付けられた端子金具71が引っ掛けられるなどして、当該端子金具71を保持することで、これらの被覆電線3及びドレイン線4の一端部を保持する。
【0063】
移動保持部26は、端子保持部28が端子金具71を保持することで、被覆電線3及びドレイン線4の一端部を保持する。端末保持部は、装置本体14の一端部側に設置されている。端末保持部は、前述した被覆電線3及びドレイン線4の他端部の端末を保持する。張設ユニット16は、端子保持部28が端子金具71を保持し、端末保持部が被覆電線3及びドレイン線4の他端部の端末を保持することで、当該複数の被覆電線3及びドレイン線4を装置本体14上に張設する(張った状態に設ける)。このとき、被覆電線3及びドレイン線4の長手方向は、勿論、装置本体14の長手方向と平行となる。
【0064】
導体シート巻き付けユニット17は、図1に示すように、ALS供給ユニット15のALS用切断ユニット25と装置本体14の長手方向に沿って並べられている。導体シート巻き付けユニット17は、図1に示すように、固定ガイド31と、昇降ガイド32と、スライドガイド33とを備えている。
【0065】
固定ガイド31は、装置本体14上に立設した方体状に形成されている。固定ガイド31は、その上面に張設ユニット16により張設された複数の被覆電線3及びドレイン線4と、ALS供給ユニット15により断面V字状の状態で送り出されるALS5が位置付けられる。昇降ガイド32は、固定ガイド31の上方に設けられ、図示しないエアシリンダなどにより昇降される。昇降ガイド32は、エアシリンダにより降下されると、固定ガイド31の上面に重なり、当該固定ガイド31との間に複数の被覆電線3及びドレイン線4とALS5を挟み込む位置に設けられている。
【0066】
また、固定ガイド31の上面と昇降ガイド32の下面とには、図4、図5及び図6に示すように、昇降ガイド32が降下して固定ガイド31の上面に昇降ガイド32が重ねられると、互いに合致して、内側に複数の被覆電線3及びドレイン線4とALS5を通すガイド溝34,35が設けられている。これらのガイド溝34,35は、昇降ガイド32が固定ガイド31の上面に重ねられると、互いに連通して、これらのガイド31,32を装置本体14の長手方向に沿って貫通した恰も一つの孔をなしている。
【0067】
固定ガイド31の上面に設けられたガイド溝34は、図4、図5及び図6に示すように、長手方向の全長に亘って断面形状が略一定の円弧状に形成されている。昇降ガイド32の下面に設けられたガイド溝35は、ALS用切断ユニット25寄りの端部では、図4に示すように、断面円弧状の円弧部36と、当該円弧部36の幅方向の両端に連通した一対の直線状部37とが設けられている。一対の直線状部37は、固定ガイド31から離れるのにしたがって徐々に互いに離れる方向に延在している。ガイド溝35は、中央部では、図5に示すように、断面円弧状の円弧部36のみが設けられている。また、ガイド溝34,35の円弧部36は、ALS用切断ユニット25から離れるのにしたがって即ち後述するPETシート6を送り出す方向K(図1中に矢印で示す)の前方に向かうにしたがって徐々に内径が縮小している。また、ガイド溝34,35は、送り出す方向Kの前方に向かうにしたがって、徐々に小径な断面円弧状となるように、その内面が滑らかな曲面で形成されている。
【0068】
スライドガイド33は、昇降ガイド32の装置本体14の他端部寄り即ち送り出す方向Kの前方寄りの端部に昇降自在に設けられている。スライドガイド33は、図6に示すように、その下面に、当該下面から凹でかつ断面円弧状の押さえ溝38が設けられている。スライドガイド33の押さえ溝38は、固定ガイド31のガイド溝34と連通して、当該固定ガイド31のガイド溝34と恰も一つの丸孔を構成する。押さえ溝38は、スライドガイド33が降下すると、ガイド溝34内に通されたALS5を複数の被覆電線3及びドレイン線4に押し付ける。
【0069】
前述した構成の導体シート巻き付けユニット17は、昇降ガイド32が降下して固定ガイド31の上面に重なることで、ALS供給ユニット15の送りローラ23により装置本体14の他端部即ち送り出す方向Kの前方に向かって送り出されるALS5をガイド溝34,35の内面で案内して、複数の被覆電線3及びドレイン線4の外周に巻き付ける。そして、スライドガイド33が降下して、当該スライドガイド33の押さえ溝38の内面によりALS5を固定ガイド31のガイド溝34の内面に向かって押し付けて、ALS5を複数の被覆電線3及びドレイン線4の外周に密着させる。
【0070】
絶縁シート巻き付けユニット18は、図1に示すように、導体シート巻き付けユニット17と装置本体14の長手方向に沿って並べられている。絶縁シート巻き付けユニット18は、図1に示すように、シート送りユニット39と、絶縁巻き付け部40とを備えている。
【0071】
シート送りユニット39は、装置本体14の上方に設けられている。シート送りユニット39は、図1に示すように、PETリール41と、ガイドローラ42と、テープカッタ43とを備えている。PETリール41は、装置本体14の上方に回転自在に設けられている。PETリール41は、帯状で長尺のPETシート6を巻き付けている。PETリール41は、回転することで、絶縁巻き付け部40に向かってPETシート6を送り出す。PETリール41は、ガイドローラ42と絶縁巻き付け部40の後述するローラ45,46などにより装置本体14の長手方向と平行でかつ他端部に向かう図1中の矢印K(以下、PETシート6を送り出す方向と呼ぶ)に沿って、PETシート6を送り出す。
【0072】
絶縁巻き付け部40は、図7及び図8に示すように、受けユニット44(図7のみに示す)と、一つの位置決めローラ45と、複数の巻き付けローラ46と、絶縁シート貼り合わせユニット47とを備えている。
【0073】
受けユニット44は、シート送りユニット39から送り出されるPETシート6の下方でかつ固定ガイド31と装置本体14の長手方向に並ぶ位置に配置されている。受けユニット44は、装置本体14に対して図示しないエアシリンダにより昇降自在に設けられている。受けユニット44は、装置本体14に昇降自在に設けられたユニット本体48と、昇降部材49と、複数の受けローラ50とを備えている。ユニット本体48は、その長手方向が装置本体14の長手方向と平行な方体状に形成されている。昇降部材49は、ユニット本体48と略同形状の方体状に形成され、かつユニット本体48の上方に設けられている。昇降部材49は、ユニット本体48から立設した複数の柱状の支持軸51により当該ユニット本体48に昇降自在に支持されている。また、昇降部材49は、ユニット本体48との間に設けられかつ内側に支持軸51を通したコイルばね52によりユニット本体48から離れる方向即ち上方に向かって付勢されている。
【0074】
受けローラ50は、本実施形態では三つ設けられ、昇降部材49にその軸芯周りに回転自在に設けられているとともに、昇降部材49の長手方向即ち装置本体14の長手方向に沿って並べられている。受けローラ50は、その軸芯が昇降部材49の長手方向即ち装置本体14の長手方向に対して直交している。
【0075】
一つの位置決めローラ45と複数の巻き付けローラ46と絶縁シート貼り合わせユニット47とは、一体に昇降自在即ち受けユニット44に接離自在に設けられている。位置決めローラ45と複数の巻き付けローラ46は、それぞれ、軸芯周りに回転自在に設けられている。これらのローラ45,46の軸芯は、装置本体14の長手方向即ち前述した送り出す方向Kに対して直交している。位置決めローラ45は、昇降ガイド32と装置本体14の長手方向に並ぶ位置に配置されている。位置決めローラ45は、図11に示すように、最も固定ガイド31寄りの受けローラ50の上方に設けられている。位置決めローラ45は、降下すると、当該受けローラ50との間に複数の被覆電線3、ドレイン線4、ALS5及びPETシート6を挟み込む位置に配置されている。位置決めローラ45は、図11に示すように、軸芯方向に外径が一定に形成されており、降下すると外周面上にPETシート6が重ねられる。
【0076】
複数の巻き付けローラ46は、図示例では、三つ設けられている。これらの巻き付けローラ46は、前述した送り出す方向Kに沿って並べられている。これら三つ巻き付けローラ46は、図12、図13及び図14に示すように、その外周面が断面円弧状の溝状に湾曲した湾曲面53となっている。これら三つ巻き付けローラ46のうちの最も位置決めローラ45寄りの巻き付けローラ46は、中央の受けローラ50の上方に設けられ、降下すると、図12に示すように、当該受けローラ50との間に複数の被覆電線3、ドレイン線4、ALS5及びPETシート6を挟み込む位置に配置されている。中央の巻き付けローラ46は、最も送り出す方向Kの前方寄りの受けローラ50の上方に設けられ、降下すると、図13に示すように、当該受けローラ50との間に複数の被覆電線3、ドレイン線4、ALS5及びPETシート6を挟み込む位置に配置されている。
【0077】
前述した複数の巻き付けローラ46は、図7に示すように、降下すると湾曲面53上にPETシート6が順に重ねられることとなる。また、複数の巻き付けローラ46は、前記送り出す方向Kの前方に向かうにしたがって、徐々に外径が大きく形成されている。複数の巻き付けローラ46は、前記送り出す方向Kの前方に向かうにしたがって、徐々に幅が大きく形成されている。さらに、複数の巻き付けローラ46は、前記送り出す方向Kの前方に向かうにしたがって、前述した断面円弧状の湾曲面53の断面における曲率半径が徐々に小さく形成されている。そして、複数の巻き付けローラ46は、前述したように外径及び幅が送り出す方向Kの前方に向かうにしたがって徐々に大きく形成されかつ湾曲面53の断面における曲率半径が徐々に小さく形成されていることで、当該湾曲面53のPETシート6との接触面積が、前記送り出す方向Kの前方に向かうにしたがって徐々に大きくなるように形成されている。
【0078】
絶縁シート貼り合わせユニット47は、前述した送り出す方向Kに沿って、図7及び図8に示すように、最も送り出す方向Kの前方寄りの巻き付けローラ46と並べられている。絶縁シート貼り合わせユニット47は、図9及び図10に示すように、板状のユニット本体54と、巻き付けローラ55と、駆動源としてのモータ56とを備えている。巻き付けローラ55は、特許請求の範囲に記載された前述した送り出す方向Kの最も前方に位置する一つの巻き付けローラをなしており、ユニット本体54にその軸芯周りに回転自在に支持されているとともに、その軸芯が前述した送り出す方向Kに対して直交している。
【0079】
巻き付けローラ55は、その幅が最も送り出す方向Kの前方寄りの巻き付けローラ46の幅よりも大きく形成されている。巻き付けローラ55は、互いに同軸に連結された一対のローラ57を備えている。ローラ57は、それぞれ、外周面がブラシ状に形成されている。ローラ57は、前述した送り出す方向K即ち張設ユニット16により張設された被服電線3の長手方向に対して直交する方向に沿って並べられている。一対のローラ57は、互いに相対する面から凹でかつ断面円弧状の凹溝58が設けられている。一対のローラ57に設けられた凹溝58は、互いに合致して、恰も一つの丸孔をなしており、前記送り出す方向Kに沿って直線状に延在している。凹溝58の断面の曲率半径は、最も送り出す方向Kの前方寄りの巻き付けローラ46の湾曲面53の曲率半径よりも小さく形成されている。
【0080】
また、凹溝58には、一対のローラ57の下端部でかつ巻き付けローラ46寄りの端部を切り欠いた切欠き部59が連通している。切欠き部59は、その幅が送り出す方向Kの前方に向かうにしたがって徐々に減少するように形成されている。巻き付けローラ55即ち一対のローラ57は、凹溝58内に被覆電線3、ドレイン線4、ALS5及びPETシート6を通す。凹溝58の内面は、特許請求の範囲に記載された湾曲面60をなしている。巻き付けローラ55即ち一対のローラ57は、互いに相対する面から凹の凹溝58を備えることで、互いに相対する湾曲面60が設けられた格好となっている。巻き付けローラ55即ち一対のローラ57は、前述した最も送り出す方向Kの前方寄りの巻き付けローラ46の幅よりも幅が大きく形成され、凹溝58が恰も丸孔に形成されているとともに、凹溝58の断面の曲率半径が前述したように形成されていることで、巻き付けローラ46の湾曲面53のPETシート6との接触面積よりも、その湾曲面60のPETシート6との接触面積が大きく形成されている。また、本実施形態では、巻き付けローラ55の一対のローラ57間の間隔は、前述したPETシート6の厚みと等しく形成されている。
【0081】
モータ56は、ユニット本体48に取り付けられて、その出力軸を回転駆動することで、巻き付けローラ55を回転駆動する。
【0082】
前述した構成の絶縁巻き付け部40即ち絶縁シート巻き付けユニット18は、受けユニット44が上昇し、かつ位置決めローラ45、巻き付けローラ46及び絶縁シート貼り合わせユニット47が降下した状態で、受けユニット44と、位置決めローラ45、巻き付けローラ46及び絶縁シート貼り合わせユニット47との間に、複数の被覆電線3、ドレイン線4、ALS5及びPETシート6を挟み込む。そして、モータ56の駆動力により、巻き付けローラ55を回転駆動すると、PETシート6を位置決めローラ45の外周面、巻き付けローラ46,55の湾曲面53,60により案内して、ALS5の外周に巻き付ける。このように、絶縁巻き付け部40は、PETシート6を案内する。この際、本実施形態では、PETシート6を被覆電線3と平行な状態に位置付けて、当該PETシート6の粘着層13のうちの幅方向の中央部6c(一部に相当)をALS5に接触するように重ね、当該PETシート6を湾曲面53,60により案内することで、前述した中央部6cから幅方向の両端部6a,6bに向かって、図12、図13、図14、図15、図16及び図17に示すように、PETシート6の粘着層13をALS5に貼り付けるように、被覆電線3及びドレイン線4の外周に巻きつけられたALS5の外周にPETシート6を巻き付ける。そして、絶縁シート巻き付けユニット18は、ALS5の外周に半周程巻き付けられたPETシート6の一方の端部6aの粘着層13をALS5の外面に貼り付ける。
【0083】
テープ巻き付けユニット19は、図1に示すように、絶縁シート巻き付けユニット18と装置本体14の長手方向に沿って並べられている。テープ巻き付けユニット19は、図18などに示すように、図示しないエアシリンダなどにより昇降することで互いに接離自在に設けられた一対の巻き付け型61を備えている。巻き付け型61は、互いに近づくと、互いに重なる面から凹に形成されかつ互いに合致する凹溝62,62を備えている。これらの凹溝62,62は、一対の巻き付け型61が互いに近づくと、送り出す方向Kに沿って貫通した恰も一つのガイド孔63をなしている。
【0084】
ガイド孔63は、図18乃至図21に示すように、断面丸孔状の孔本体64と、この孔本体64の外縁から延在した外周延在部65とを一体に備えている。孔本体64は、被覆電線3、ドレイン線4、ALS5及びこれらの外周に巻き付けられたPETシート6の断面丸形の部分の形状と略等しく形成されている。外周延在部65は、前述したPETシート6の幅方向の他方の端部6bの形状と略等しく形成されている。外周延在部65は、前記送り出す方向Kの前方に向かうにしたがって、徐々に図18乃至図20中の上方に位置しているとともに、その長さが徐々に縮小している。そして、外周延在部65は、テープ巻き付けユニット19の前述した送り出す方向Kの最も前方寄りの端部において、図21に示すように、前記孔本体64の外縁と略一体となっている。また、ガイド孔63の内面は、前記送り出す方向Kに沿って滑らかな曲面で形成されている。
【0085】
前述した構成のテープ巻き付けユニット19は、巻き付け型61が互いに近づいて、被覆電線3、ドレイン線4及びALS5の外周に巻き付けられて一方の端部6aの粘着層13がALS5の外面に貼り付けられた当該PETシート6を、ガイド孔63内に通すことで、当該PETシート6の他方の端部6bを徐々に一方の端部6a上に更に巻き付けて、当該他方の端部6bの粘着層13を当該PETシート6の外周面に貼り付ける。
【0086】
制御装置20は、周知のROM(Read-only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、CPU(Central Processing Unit)などを備えたコンピュータである。制御装置20は、ALS供給ユニット15と、張設ユニット16と、導体シート巻き付けユニット17と、絶縁シート巻きつけユニット18とに接続して、これらの動作を制御することで、組立装置1全体の制御をつかさどる。
【0087】
制御装置20は、ALS5及びPETシート6を切断する間隔などを記憶している。制御装置20は、記憶した情報に基づいて、張設ユニット16の移動保持部26の移動用シリンダ、ALS供給ユニット15の送りローラ23と、導体シート巻き付けユニット17の昇降ガイド32を昇降させるエアシリンダと、絶縁シート巻き付けユニット18のモータ56、受けユニット44や位置決めローラ45などを昇降させるエアシリンダと、テープ巻き付けユニット19の巻き付け型61を昇降させるエアシリンダなどを制御して、予め所定の長さに切断されて両端部に端子金具71が取り付けられた被覆電線3及びドレイン線4の外周にALS5を巻きつけるとともに、PETシート6を巻き、当該PETシート6の粘着層13をALS5に貼り付ける。
【0088】
前述した構成の組立装置1は、以下のように、予め所定の長さに切断されて両端部に端子金具71が取り付けられた被覆電線3及びドレイン線4の外周にALS5及びPETシート6を巻いて、前述したシールド電線2を組み立てる。なお、以下の図24乃至図29では、各部を簡略化して説明する。
【0089】
まず、図24に示すように、制御装置20は、導体シート巻き付けユニット17の昇降ガイド32と、絶縁シート巻き付けユニット18の位置決めローラ45、巻き付けローラ46及び絶縁シート貼り合わせユニット47を上昇させ、張設ユニット16の移動保持部26の端子保持部28を最も固定ガイド31寄りに位置付ける、さらに、制御装置20は、テープ巻き付けユニット19の一対の巻き付け型61を互いに離間させておく。そして、被覆電線3及びドレイン線4の一端部に取り付けられた端子金具71を端子保持部28に引っ掛ける。さらに、ALS5をALS用切断ユニット25まで引き出しておく。
【0090】
そして、図25に示すように、制御装置20は、昇降ガイド32を降下させて、昇降ガイド32と固定ガイド31との間に被覆電線3及びドレイン線4を挟み込み、これらの被覆電線3及びドレイン線4をガイド溝34,35内に収容する。そして、制御装置20は、送りローラ23を回転駆動して、ALS5を被覆電線3及びドレイン線4の一端部に向けて送り出す。
【0091】
その後、図26に示すように、制御装置20は、ALS5を被覆電線3及びドレイン線4の一端部に向けて送り出しながら、端子保持部28を固定ガイド31から遠ざけて装置本体14の他端部に向けて移動するとともに、スライドガイド33を降下する。そして、制御装置20は、複数の被覆電線3及びドレイン線4の外周にALS5を巻き付ける。
【0092】
そして、図27に示すように、絶縁シート巻き付けユニット18のシート送りユニット39のPETリール41からPETシート6の端末を引き出して、当該PETシート6を位置決めローラ45の外周面に当接させた後、PETシート6の端末をALS5の端末の外周に巻き付ける。このとき、勿論、PETシート6の幅方向の中央部をまずALS5の外周に貼り付けた後、当該PETシート6の幅方向の両端部6a,6bをALS5の外周に貼り付ける。
【0093】
そして、図28に示すように、制御装置20は、受けユニット44を上昇させ、位置決めローラ45、巻きつけローラ57及び絶縁シート貼り合わせユニット47を一体に降下させて、受けユニット44と、位置決めローラ45、巻きつけローラ57及び絶縁シート貼り合わせユニット47との間に、被覆電線3、ドレイン線4、ALS5及びPETシート6を挟み込む。その後、図29に示すように、制御装置20は、更に端子保持部28を固定ガイド31から遠ざけて、装置本体14の他端部に向けて移動する。テープ巻き付けユニット19の一対の巻き付け型61を互いに近づけて、これらの凹溝62,62内即ちガイド孔63内に被覆電線3、ドレイン線4、ALS5及びPETシート6を通す。そして、巻き付けローラ55を回転駆動して、被覆電線3、ドレイン線4、ALS5及びPETシート6を一体に送り出す方向Kの前方に移動して、PETシート6をALS5の外周などに巻き付けて、前述した構成のシールド電線2を得る。
【0094】
本実施形態によれば、被覆電線3及びドレイン線4をALS5とPETシート6で巻き付けることができるので、シースストリップを施す必要がなくなり、加工が容易でかつ材料に無駄が生じない環境に配慮したシールド電線2を提供することができる。また、被覆電線3及びドレイン線4をALS5とPETシート6で巻き付けることができるので、長尺のシールド電線2であってもALS5を分割することなく被覆電線3及びドレイン線4に一体化させることができ、このために、継ぎ目が生じず良好なシールド性能を有するとともに無駄な重なり代がない細径化・軽量化したシールド電線2を提供することができる。
【0095】
また、絶縁シートとして、内面に粘着層13が設けられたPETシート6を用いるので、当該粘着層13をALS5に重ねて貼り付けることで、PETシート6をALS5の外周に巻き付けることができる。このために、粘着層13をALS5に重ねて貼り付けることで、PETシート6をALS5の外周に巻き付けることができるので、PETシート6を固定するために超音波溶着装置を設ける必要が生じない。
【0096】
また、絶縁シート巻き付けユニット18が、PETシート6の内面の一部としての幅方向の中央部6c即ち粘着層13の一部としての幅方向の中央部をALS5に重ねた後、当該中央部から幅方向の両端部6a,6bに向かって順にALS5にPETシート6を貼り付けるので、ALS5との間に隙間が生じることなく、PETシート6を巻き付けることができる。
【0097】
したがって、設備の大型化を抑制しながらも、皺を生じることなく絶縁シートを巻き付けることができる。
【0098】
絶縁シート巻き付けユニット18が、シート送りユニット39により送り出されるPETシート6をALS5の外周に巻き付けるように案内する絶縁巻き付け部40を備えているので、PETシート6を確実にALS5の外周に巻き付けることができる。
【0099】
絶縁巻き付け部40の複数の巻き付けローラ46,55の湾曲面53,60がPETシート6を送り出す方向Kの前方に向かうにしたがってPETシート6との接触面積が増加しかつ曲率半径が徐々に小さくなるように形成されている。このために、複数の巻き付けローラ46,55によりPETシート6を送り出していく際に、湾曲面53,60がPETシート6をALS5の外周に巻き付けるように案内することとなる。よって、PETシート6をより確実にALS5の外周に巻き付けることができる。
【0100】
PETシート6を送り出す方向Kの最も前方に位置する巻き付けローラ55が互いの間に湾曲面53が設けられた一対のローラ57を備えているので、当該最も前方に位置する巻き付けローラ55の湾曲面60により、PETシート6をALS5の外周に確実に巻き付けることができる。
【0101】
つぎに、本発明の第2の実施形態にかかるシールド電線組立装置(以下、単に組立装置と記す)を図1ないし図42を参照して説明する。なお、本実施形態において、前述した第1の実施形態と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0102】
本実施形態の組立装置1は、図41及び図42に示されたシールド電線2を組み立てる装置である。シールド電線2は、図41及び図42に示すように、前述した第1の実施形態と同様に、電線としての複数(即ち少なくとも一本)の被覆電線3と、電線としての一本のドレイン線4と、導体シートとしてのアルミラミネートシート(以下ALSと呼ぶ)5と、絶縁シートとしてのPETシート6とを備えている。
【0103】
また、本実施形態では、PETシート6は、粘着層13がALS5の絶縁層11の外周面に密着した状態で、被覆電線3及びドレイン線4の外周に巻き付けられたALS5の外周に巻き付けられている。PETシート6は、複数の被覆電線3とドレイン線4及びALS5の外周にその幅方向の中央部6cが全長に亘って重ねられて、当該中央部6cの粘着層13がALS5の外周面に貼り付けられている。そして、PETシート6は、その幅方向の中央部6cから幅方向の両端部6a,6bに向かって順にALS5の外周に巻き付けられて、中央部6cの粘着層13から両端部6a,6bの粘着層13に向かって順にALS5の外周面に貼り付けられている。そして、本実施形態では、PETシート6は、ALS5の外周に半周程巻き付けられた一方の端部6aの粘着層13が当該PETシート6の他方の端部6b寄りの粘着層13に貼り付けられて、他方の端部6bが一方の端部6a上に更に巻き付けられて、当該他方の端部6bの粘着層13が当該PETシート6の外周面に貼り付けられる。なお、本実施形態のPETシート6の幅は、前述した第1の実施形態のPETシート6の幅よりも若干広く形成されている。
【0104】
本実施形態の組立装置1の絶縁巻き付け部40は、図30及び図31に示すように、前述した第1の実施形態と同様に、受けユニット44(図30のみに示す)と、一つの位置決めローラ45と、複数の巻き付けローラ46と、絶縁シート貼り合わせユニット47とを備えている。
【0105】
受けユニット44は、前述した第1の実施形態と同様に、シート送りユニット39から送り出されるPETシート6の下方でかつ固定ガイド31と装置本体14の長手方向に並ぶ位置に配置され、装置本体14に対して図示しないエアシリンダにより昇降自在に設けられている。
【0106】
位置決めローラ45は、前述した第1の実施形態と同様に、図34に示すように、軸芯方向に外径が一定に形成されており、降下すると外周面上にPETシート6が重ねられる。なお、本実施形態の位置決めローラ45の長さは、前述した第1の実施形態の位置決めローラ45の長さよりも若干長く形成されている。
【0107】
複数の巻き付けローラ46は、図示例では、前述した第1の実施形態と同様に、三つ設けられている。これらの巻き付けローラ46は、前述した送り出す方向Kに沿って並べられている。これら三つ巻き付けローラ46は、図35、図36及び図37に示すように、その外周面が断面円弧状の溝状に湾曲した湾曲面53となっている。これら三つ巻き付けローラ46のうちの最も位置決めローラ45寄りの巻き付けローラ46は、中央の受けローラ50の上方に設けられ、降下すると、図35に示すように、当該受けローラ50との間に複数の被覆電線3、ドレイン線4、ALS5及びPETシート6を挟み込む位置に配置されている。中央の巻き付けローラ46は、最も送り出す方向Kの前方寄りの受けローラ50の上方に設けられ、降下すると、図36に示すように、当該受けローラ50との間に複数の被覆電線3、ドレイン線4、ALS5及びPETシート6を挟み込む位置に配置されている。
【0108】
前述した複数の巻き付けローラ46は、図30に示すように、降下すると湾曲面53上にPETシート6が順に重ねられることとなる。複数の巻き付けローラ46は、外径及び幅が送り出す方向Kの前方に向かうにしたがって徐々に大きく形成されかつ湾曲面53の断面における曲率半径が徐々に小さく形成されていることで、当該湾曲面53のPETシート6との接触面積が、前記送り出す方向Kの前方に向かうにしたがって徐々に大きくなるように形成されている。
【0109】
絶縁シート貼り合わせユニット47は、前述した送り出す方向Kに沿って、図30及び図31に示すように、最も送り出す方向Kの前方寄りの巻き付けローラ46と並べられている。絶縁シート貼り合わせユニット47は、図32及び図33に示すように、前述した第1の実施形態と同様に、板状のユニット本体54と、巻き付けローラ55と、駆動源としてのモータ56とを備えている。本実施形態の巻き付けローラ55の一対のローラ57間の間隔は、前述したPETシート6の厚みの二倍と略等しく形成されている。
【0110】
前述した構成の絶縁巻き付け部40即ち絶縁シート巻き付けユニット18は、前述した第1の実施形態と同様に、受けユニット44が上昇しかつ位置決めローラ45、巻き付けローラ46及び絶縁シート貼り合わせユニット47が降下した状態で、受けユニット44と、位置決めローラ45、巻き付けローラ46及び絶縁シート貼り合わせユニット47との間に、複数の被覆電線3、ドレイン線4、ALS5及びPETシート6を挟み込む。そして、モータ56の駆動力により、巻き付けローラ55を回転駆動すると、PETシート6を位置決めローラ45の外周面、巻き付けローラ46,55の湾曲面53,60により案内して、ALS5の外周に巻き付ける。このように、絶縁巻き付け部40は、PETシート6を案内する。この際、本実施形態では、PETシート6を被覆電線3と平行な状態に位置付けて、当該PETシート6の粘着層13のうちの幅方向の中央部6cをALS5に接触するように重ね、当該PETシート6を湾曲面53,60により案内することで、前述した中央部6cから幅方向の両端部6a,6bに向かって、図35、図36、図37、図38、図39及び図40に示すように、PETシート6の粘着層13をALS5に貼り付けるように、被覆電線3及びドレイン線4の外周に巻きつけられたALS5の外周にPETシート6を巻き付ける。そして、絶縁シート巻き付けユニット18は、ALS5の外周に半周程巻き付けられたPETシート6の一方の端部6aの粘着層13を当該PETシート6の他方の端部6b寄りの粘着層13に貼り付ける。
【0111】
本実施形態においても、前述した第1の実施形態と同様に、被覆電線3及びドレイン線4をALS5とPETシート6で巻き付けることができるので、シースストリップを施す必要がなくなり、加工が容易でかつ材料に無駄が生じない環境に配慮したシールド電線2を提供することができる。また、被覆電線3及びドレイン線4をALS5とPETシート6で巻き付けることができるので、長尺のシールド電線2であってもALS5を分割することなく被覆電線3及びドレイン線4に一体化させることができ、このために、継ぎ目が生じず良好なシールド性能を有するとともに無駄な重なり代がない細径化・軽量化したシールド電線2を提供することができる。
【0112】
また、絶縁シートとして、内面に粘着層13が設けられたPETシート6を用いるので、当該粘着層13をALS5に重ねて貼り付けることで、PETシート6をALS5の外周に巻き付けることができる。このために、粘着層13をALS5に重ねて貼り付けることで、PETシート6をALS5の外周に巻き付けることができるので、PETシート6を固定するために超音波溶着装置を設ける必要が生じない。
【0113】
また、絶縁シート巻き付けユニット18が、PETシート6の内面の一部としての幅方向の中央部6c即ち粘着層13の一部としての幅方向の中央部をALS5に重ねた後、当該中央部から幅方向の両端部6a,6bに向かって順にALS5にPETシート6を貼り付けるので、ALS5との間に隙間が生じることなく、PETシート6を巻き付けることができる。
【0114】
したがって、設備の大型化を抑制しながらも、皺を生じることなく絶縁シートを巻き付けることができる。
【0115】
なお、前述した実施形態では、シールド電線2は、複数の被覆電線3と一本のドレイン線4を備えているが、本発明では、シールド電線2は、被覆電線3とドレイン線4とを合わせて少なくとも一本備えていれば良い。
【0116】
また、本発明のシールド電線2は、図43に示すように、PETシート6の周りに摩耗防止部材80や遮熱部材81を必要に応じて当該PETシート6の所定範囲に設けてもよい。この場合、これらの摩耗防止部材80や遮熱部材81は、フィルム状、シート状やテープ状に形成されている(なお、図示例では、テープ状に形成している)。テープ状に形成した場合には、巻き数に応じて、厚みを調整することができる。さらに、摩耗防止部材80としては、公知のジョイントテープ等の比較的厚い保護部材が挙げられる。この場合、必要に応じて、摩耗防止部材80や遮熱部材81を設けるので、過剰品質を防止することができる。
【0117】
さらに、本発明では、図44に示すように、ALS5の一側部を絶縁層11のみで構成しても良く、図45に示すように、ALS5の一側部を内側に折り返して折り返し部83を設けてもよい。これらの場合、導体層10が露出することを防止でき、短絡を防止できる。
【0118】
また、前述した実施形態では、被覆電線3とドレイン線4を撚り合わせることなく互いに平行に設けている。しかしながら、本発明では、被覆電線3とドレイン線4との全てを撚り合わせてもよく、これらのうち一部を互いに撚り合わせかつ残りを互いに平行に設けてもよい。この場合、撚り合わせの不要な箇所を撚り合わせることなく、過剰品質を防止して、製造を簡素化できる。なお、図43ないし図45において、前述した実施形態と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0119】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形
態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施
することができる。
【符号の説明】
【0120】
1 シールド電線組立装置
2 シールド電線
3 被覆電線(電線)
4 ドレイン線(電線)
5 ALS(導体シート)
6 PETシート(絶縁シート)
6a,6b 両端部
6c 中央部(一部)
11 絶縁層
13 粘着層
16 張設ユニット
17 導体シート巻き付けユニット
18 絶縁シート巻き付けユニット
39 シート送りユニット
40 絶縁巻き付け部
46 巻き付けローラ
53 湾曲面
55 巻き付けローラ
57 ローラ
60 湾曲面
K 送り出す方向
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも一本の被覆電線の外周に導体シートを巻きつけて構成されたシールド電線、シールド電線を組み立てるシールド電線組立方法及びシールド電線組立装置に関する。
【背景技術】
【0002】
移動体としての自動車には、搭載される種々のランプや種々のモータなどの電子機器にバッテリなどの電源から電力を供給したり制御装置から制御信号を送ったりするためにワイヤハーネスが配索されている。ワイヤハーネスは、複数の電線と、該電線の端末に取り付けられた端子金具などを備えている。前述したワイヤハーネスを構成する電線として、たとえば、図46及び図47に示されたシールド電線101,201を用いることがある(例えば特許文献1を参照)。
【0003】
図46に例示されたシールド電線101は、複数の被覆電線102と、一つのドレイン線103と、金属箔104と、シース105と、を備えている。被覆電線102は、それぞれ、導電性を有する芯線110と、この芯線110を被覆する被覆部111と、を備えている。芯線110は、断面丸形に形成されており、銅または銅合金を含んでいる。被覆部111は、絶縁性を有する合成樹脂からなる。
【0004】
ドレイン線103は、断面丸形に形成されており、銅または銅合金などの導電性を有する金属からなる。金属箔104は、たとえば、銅または銅合金、アルミニウムなどの導電性を有する金属からなり、箔状に形成されている。金属箔104は、全ての被覆電線102とドレイン線103とを覆うとともに、前記ドレイン線103に接触している。
【0005】
シース105は、絶縁性を有する合成樹脂からなり、被覆電線102とドレイン線103とを金属箔104で覆った電線束の外周を覆っている。このシース105は、これらの電線束の外周に押出し成形によって形成される。
【0006】
図47に例示されたシールド電線201は、複数の被覆電線102と、一つのドレイン線103と、導体薄膜シート106と、を備えている。なお、被覆電線102及びドレイン線103は図46に示したものと同一である。
【0007】
導体薄膜シート106は、薄い導体層107と、該導体層107に積層された絶縁層108と、を備えて、薄いシート状に形成されている。導体層107は、たとえば、銅または銅合金、アルミニウムなどの導電性を有する金属からなる。導体薄膜シート106は、全ての被覆電線102とドレイン線103とを覆うとともに、前記ドレイン線103に接触している。また、この導体薄膜シート106は、幅方向の一端部に他端部が重ねられかつ前記一端部の絶縁層108の面と前記他端部の導体層107の面とが接触する格好で被覆電線102とドレイン線103とを覆っている。
【0008】
上記したシールド電線101,201は、外部からのノイズが各被覆電線102の芯線110に侵入しようとすると、このノイズが前記金属箔104または導体層107に伝わる。そして、前記ノイズは、ドレイン線103を介して、シールド電線101,201外に逃がされる。こうして、シールド電線101の金属箔104及びシールド電線201の導体層107は、各被覆電線102の芯線110に外部からのノイズが侵入することを防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−057114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述したシールド電線101に端末処理を施す際には、両端の金属箔104及びシース105を所要長さ剥ぎ取るシースストリップを行って、被覆電線102及びドレイン線103の両端に端子金具を取り付けていた。しかしながら、これらの工程は工数が多く複雑である上に線材を傷付け易いため自動化には適しておらず、加工時間及び加工費が増加してしまうという問題があった。さらに、シースストリップによって剥ぎ取られた部分は廃棄されるため、材料が無駄になると同時に環境保全の観点からも望ましくないという問題があった。
【0011】
また、上述したシールド電線201は、被覆電線102及びドレイン線103に端子金具を取り付けた後にこれらの外周に導体薄膜シート106を被せるので、シースストリップが不要になりシールド電線101に比べて工数は少なくて済む。しかしながら、このシールド電線201は、電線102,103と導体薄膜シート106とを長手方向全長に亘って引張させた状態で、導体薄膜シート106を電線102,103に縦添えさせるとともに、導体薄膜シート106の幅方向の一端部の絶縁層108に他端部の導体層107を接触させるように巻くので、導体薄膜シート106と同じ長さの大きな製造設備が必要になる。したがって、シールド電線201の長尺化に限界がある。一方、電線102,103の長手方向の先端から後端にかけて徐々に導体薄膜シート106を巻こうとするとシワが寄ってしまう。シワが寄らないように巻くために導体薄膜シート106を分割することが考えられるが、このようにした場合、工数が増えるという問題や、導体薄膜シート106の継ぎ目に無駄な重なり代が生じて電線が肥大化するなどの問題が新たに生じてしまう。
【0012】
その他、図示しないが、あらかじめ端子金具を取り付けた状態の被覆電線及びドレイン線の外周に、導体薄膜シートが螺旋状に巻かれたシールド電線も考案されている。しかしながら、このシールド電線は、導体薄膜シートを螺旋状に巻くために生じる無駄な重なり代によって電線が肥大化・重量化してしまうという問題があった。また、このシールド電線は、導体薄膜シートを螺旋状に巻くために繋ぎ目に隙間が生じ易く、この隙間からノイズが漏れ易くなる、即ちシールド性能が低くなるという問題があった。
【0013】
したがって、本発明は、加工が容易で良好なシールド性能が得られるシールド電線、シールド電線組立方法及びシールド電線組立装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載の本発明のシールド電線は、少なくとも一本の電線と、当該電線の外周に巻かれた導体シートと、当該導体シートの外周に巻かれた絶縁シートとを備えたシールド電線において、前記絶縁シートの内面には、粘着層が設けられており、前記絶縁シートが、前記粘着層が前記導体シートの外面に貼り付けられて構成されていることを特徴としている。
【0015】
請求項2に記載の本発明のシールド電線は、請求項1記載のシールド電線において、前記絶縁シートが、導体シートが巻かれた少なくとも一本の電線と平行な状態で、前記内面の一部が前記少なくとも一本の電線の外周に巻かれた導体シートに貼り付けられて構成されていることを特徴としている。
【0016】
請求項3に記載の本発明のシールド電線は、請求項1又は請求項2記載のシールド電線において、前記絶縁シートの周りに設けられた摩耗防止部材及び/又は遮熱部材を更に備えたことを特徴としている。
【0017】
請求項4に記載の本発明のシールド電線は、請求項1乃至請求項3のうちいずれか一項に記載のシールド電線において、前記電線が複数設けられており、これら複数の電線同士が撚り合わされ、又はこれら複数の電線同士が非撚り合わせにされ、或いは、これら複数の電線同士を撚り合わせと非撚り合わせの組み合わせにされていることを特徴としている。
【0018】
請求項5に記載の本発明のシールド電線は、請求項1乃至請求項4のうちいずれか一項に記載のシールド電線において、前記導体シートが、その一側部が絶縁層のみで構成され、又は、その一側部が内側に折り返されて折り返し部に形成されていることを特徴としている。
【0019】
請求項6に記載の本発明のシールド電線組立方法は、少なくとも一本の電線と、当該電線の外周に巻かれた導体シートと、当該導体シートの外周に巻かれた絶縁シートとを備えたシールド電線を組み立てるシールド電線組立方法において、前記絶縁シートの内面には、粘着層が設けられており、前記導体シートが巻かれた少なくとも一本の電線と平行な状態で、前記内面の一部を前記導体シートに接触するように前記絶縁シートを重ね、当該一部から幅方向の端部に向かって順に前記導体シートに前記絶縁シートを貼り付けることを特徴としている。
【0020】
請求項7に記載の本発明のシールド電線組立装置は、少なくとも一本の電線と、当該電線の外周に巻かれた導体シートと、当該導体シートの外周に巻かれかつ内面に設けられた粘着層が導体シートに密着した絶縁シートとを備えたシールド電線を組み立てるシールド電線組立装置において、前記電線を張設する張設ユニットと、前記張設ユニットにより張設された前記電線の外周に前記導体シートを巻き付ける導体シート巻き付けユニットと、前記導体シートが巻かれた少なくとも一本の電線と平行な状態で、前記内面の一部が前記導体シートに接触するように前記絶縁シートを重ね、当該一部から幅方向の端部に向かって順に前記導体シートに前記絶縁シートを貼り付けるように、前記電線の外周に巻き付けられた前記導体シートの外周に前記絶縁シートを巻き付ける絶縁シート巻き付けユニットと、を備えたことを特徴としている。
【0021】
請求項8に記載の本発明のシールド電線組立装置は、請求項7に記載のシールド電線組立装置において、前記絶縁シート巻き付けユニットは、前記絶縁シートを送り出すことが可能なシート送りユニットと、前記電線の外周に巻き付けられた前記導体シートの外周に前記絶縁シートを巻き付けるように前記シート送りユニットにより送り出される前記絶縁シートを案内する絶縁巻き付け部と、を備えたことを特徴としている。
【0022】
請求項9に記載の本発明のシールド電線組立装置は、請求項8に記載のシールド電線組立装置において、前記絶縁巻き付け部は、前記シート送りユニットの前記絶縁シートを送り出す方向に沿って複数並べられるとともに外周面に前記絶縁シートを前記導体シートの外周に巻き付けるための湾曲面が設けられた巻き付けローラが複数設けられ、前記複数の巻き付けローラの前記湾曲面が前記送り出す方向の前方に向かうにしたがって前記絶縁シートとの接触面積が徐々に大きくなりかつ曲率半径が徐々に小さくなるように形成されていることを特徴としている。
【0023】
請求項10に記載の本発明のシールド電線組立装置は、請求項9に記載のシールド電線組立装置において、前記複数の巻き付けローラのうちの前記送り出す方向の最も前方に位置する一つの巻き付けローラが、前記張設ユニットにより張設された前記電線の長手方向に対して交差する方向に沿って並べられているとともに互いに相対する前記湾曲面が形成された一対のローラを備えたことを特徴としている。
【0024】
請求項1に記載した本発明のシールド電線によれば、電線を導体シートと絶縁シートで巻き付けることができるので、シースストリップを施す必要がなくなり、加工が容易でかつ材料に無駄が生じない環境に配慮したシールド電線を提供することができる。また、電線を導体シートと絶縁シートで巻き付けることができるので、長尺のシールド電線であっても導体シートを分割することなく電線に一体化させることができ、このために、継ぎ目が生じず良好なシールド性能を有するとともに無駄な重なり代がない細径化・軽量化したシールド電線を提供することができる。
【0025】
請求項2に記載した本発明のシールド電線によれば、絶縁シートとして、内面に粘着層が設けられた絶縁シートを用いるので、当該粘着層を導体シートに重ねて貼り付けることで、絶縁シートを導体シートの外周に巻き付けることができる。
【0026】
また、絶縁シートの内面の一部即ち粘着層の一部を導体シートに重ねた後、導体シートに絶縁シートを貼り付けるので、導体シートとの間に隙間が生じることなく、絶縁シートを巻き付けることができる。
【0027】
請求項3に記載した本発明のシールド電線によれば、絶縁シートの周りに摩耗防止部材や遮熱部材を必要に応じて当該絶縁シートの所定範囲に設けているので、これらの摩耗防止部材や遮熱部材がテープ状に形成されている場合には、巻き数に応じて、厚みを調整することができる。
【0028】
請求項4に記載した本発明のシールド電線によれば、複数の電線を必要に応じて、撚り合わせたり、非撚り合わせとするので、撚り合わせの不要な箇所を撚り合わせることなく、過剰品質を防止して、製造を簡素化できる。
【0029】
請求項5に記載した本発明のシールド電線によれば、導体シートの一側部を絶縁層のみで構成したり、導体シートの一側部を内側に折り返して折り返し部を設けているので、導体シートの導体層が露出することを防止でき、短絡を防止できる。
【0030】
請求項6に記載した本発明のシールド電線方法によれば、絶縁シートとして、内面に粘着層が設けられた絶縁シートを用いるので、当該粘着層を導体シートに重ねて貼り付けることで、絶縁シートを導体シートの外周に巻き付けることができる。
【0031】
また、絶縁シートの内面の一部即ち粘着層の一部を導体シートに重ねた後、当該一部から幅方向の端部に向かって順に導体シートに絶縁シートを貼り付けるので、導体シートとの間に隙間が生じることなく、絶縁シートを巻き付けることができる。
【0032】
請求項7に記載した本発明のシールド電線組立装置によれば、絶縁シートとして、内面に粘着層が設けられた絶縁シートを用いるので、当該粘着層を導体シートに重ねて貼り付けることで、絶縁シートを導体シートの外周に巻き付けることができる。
【0033】
また、絶縁シート巻き付けユニットが、絶縁シートの内面の一部即ち粘着層の一部を導体シートに重ねた後、当該一部から幅方向の端部に向かって順に導体シートに絶縁シートを貼り付けるので、導体シートとの間に隙間が生じることなく、絶縁シートを巻き付けることができる。
【0034】
請求項8に記載した本発明のシールド電線組立装置によれば、絶縁シート巻き付けユニットが、シート送りユニットにより送り出される絶縁シートを導体シートの外周に巻き付けるように案内する絶縁巻き付け部を備えているので、絶縁シートを確実に導体シートの外周に巻き付けることができる。
【0035】
請求項9に記載した本発明のシールド電線組立装置によれば、絶縁巻き付け部の複数の巻き付けローラの湾曲面が絶縁シートを送り出す方向の前方に向かうにしたがって絶縁シートとの接触面積が増加しかつ曲率半径が徐々に小さくなるように形成されている。このために、複数の巻き付けローラにより絶縁シートを送り出していく際に、湾曲面が絶縁シートを導体シートの外周に巻き付けるように案内することとなる。よって、絶縁シートをより確実に導体シートの外周に巻き付けることができる。
【0036】
請求項10に記載した本発明のシールド電線組立装置によれば、絶縁シートを送り出す方向の最も前方に位置する巻き付けローラが互いに相対する湾曲面が設けられた一対のローラを備えているので、当該最も前方に位置する巻き付けローラの湾曲面により、絶縁シートを導体シートの外周に確実に巻き付けることができる。
【発明の効果】
【0037】
以上説明したように、請求項1に記載の本発明は、シースストリップを施す必要がなくなり、加工が容易でかつ材料に無駄が生じない環境に配慮したシールド電線を提供することができる。また、導体シートを分割することなく電線に一体化させることができ、このために、継ぎ目が生じず良好なシールド性能を有するとともに無駄な重なり代がない細径化・軽量化したシールド電線を提供することができる。
【0038】
請求項2乃至請求項7に記載の本発明は、請求項1の発明の効果に加え、粘着層を導体シートに重ねて貼り付けることで、絶縁シートを導体シートの外周に巻き付けることができるので、絶縁シートを固定するために超音波溶着装置を設ける必要が生じない。また、導体シートとの間に隙間が生じることなく、絶縁シートを巻き付けることができる。したがって、設備の大型化を抑制しながらも、皺を生じることなく絶縁シートを巻き付けることができる。
【0039】
請求項3に記載の本発明は、必要に応じて、摩耗防止部材や遮熱部材を設けるので、過剰品質を防止することができる。
【0040】
請求項4に記載の本発明は、複数の電線を必要に応じて、撚り合わせたり、非撚り合わせとするので、撚り合わせの不要な箇所を撚り合わせることなく、過剰品質を防止して、製造を簡素化できる。
【0041】
請求項5に記載の本発明は、導体シートの一側部を絶縁層のみで構成したり、導体シートの一側部を内側に折り返して折り返し部を設けているので、導体シートの導体層が露出することを防止でき、短絡を防止できる。
【0042】
請求項8に記載の本発明は、絶縁シート巻き付けユニットが、シート送りユニットにより送り出される絶縁シートを導体シートの外周に巻き付けるように案内する絶縁巻き付け部を備えているので、絶縁シートを確実に導体シートの外周に巻き付けることができる。
【0043】
請求項9に記載の本発明は、複数の巻き付けローラにより絶縁シートを送り出していく際に、湾曲面が絶縁シートを導体シートの外周に巻き付けるように案内することとなる。よって、絶縁シートをより確実に導体シートの外周に巻き付けることができる。
【0044】
請求項10に記載の本発明は、絶縁シートを送り出す方向の最も前方に位置する巻き付けローラが互いに相対する湾曲面が設けられた一対のローラを備えているので、当該最も前方に位置する巻き付けローラの湾曲面により、絶縁シートを導体シートの外周に確実に巻き付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかるシールド電線組立装置の構成を示す側面図である。
【図2】図1中のII−II線に沿う断面図である。
【図3】図1中のIII−III線に沿う断面図である。
【図4】図1中のIV−IV線に沿う断面図である。
【図5】図1中のV−V線に沿う断面図である。
【図6】図1中のVI−VI線に沿う断面図である。
【図7】図1に示されたシールド電線組立装置の絶縁シート巻き付けユニットの側面図である。
【図8】図7に示されたシールド電線組立装置の絶縁シート巻き付けユニットの平面図である。
【図9】図7中のIX−IX線に沿う断面図である。
【図10】図9に示された絶縁シート巻き付けユニットの絶縁シート貼り合わせユニットの下面図である。
【図11】図1中のXI−XI線に沿う断面図である。
【図12】図1中のXII−XII線に沿う断面図である。
【図13】図1中のXIII−XIII線に沿う断面図である。
【図14】図1中のXIV−XIV線に沿う断面図である。
【図15】図10中のXV−XV線に沿う断面図である。
【図16】図10中のXVI−XVI線に沿う断面図である。
【図17】図10中のXVII−XVII線に沿う断面図である。
【図18】図1中のXVIII−XVIII線に沿う断面図である。
【図19】図1中のXIX−XIX線に沿う断面図である。
【図20】図1中のXX−XX線に沿う断面図である。
【図21】図1中のXXI−XXI線に沿う断面図である。
【図22】図1に示されたシールド電線組立装置により組み立てられるシールド電線の端部の斜視図である。
【図23】図22中のXXIII−XXIII線に沿う断面図である。
【図24】図1に示されたシールド電線組立装置にALSなどを巻き付ける前の被覆電線及びドレイン線などをセットした状態を示す説明図である。
【図25】図24に示されたシールド電線組立装置の昇降ガイドを降下した状態を示す説明図である。
【図26】図25に示されたシールド電線組立装置のスライドガイドを降下した状態を示す説明図である。
【図27】図26に示された被覆電線などの外周に巻き付けられたALSの端末のPETシートの端末を巻き付けた状態を示す説明図である。
【図28】図27に示されたシールド電線組立装置の位置決めローラなどを降下した状態を示す説明図である。
【図29】図28に示されたシールド電線組立装置のテープ巻き付けユニットを降下した状態を示す説明図である。
【図30】本発明の第2の実施形態にかかるシールド電線組立装置の絶縁シート巻き付けユニットの側面図である。
【図31】図30に示されたシールド電線組立装置の絶縁シート巻き付けユニットの平面図である。
【図32】図30中のA−A線に沿う断面図である。
【図33】図32に示された絶縁シート巻き付けユニットの絶縁シート貼り合わせユニットの下面図である。
【図34】図30中のB−B線に沿う断面図である。
【図35】図30中のC−C線に沿う断面図である。
【図36】図30中のD−D線に沿う断面図である。
【図37】図30中のE−E線に沿う断面図である。
【図38】図33中のF−F線に沿う断面図である。
【図39】図33中のG−G線に沿う断面図である。
【図40】図33中のH−H線に沿う断面図である。
【図41】本発明の第2の実施形態にかかるシールド電線組立立装置により組み立てられるシールド電線の端部の斜視図である。
【図42】図41中のI−I線に沿う断面図である。
【図43】図22に示されたシールド電線の変形例の斜視図である。
【図44】図22に示されたシールド電線の他の変形例の斜視図である。
【図45】図22に示されたシールド電線の更に他の変形例の斜視図である。
【図46】従来のシールド電線を示す斜視図である。
【図47】従来の他のシールド電線を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、本発明の第1の実施形態にかかるシールド電線組立装置(以下、単に組立装置と記す)を図1ないし図29を参照して説明する。
【0047】
図1に示す組立装置1は、図22及び図23に示されたシールド電線2を組み立てる装置である。シールド電線2は、図22及び図23に示すように、電線としての複数(即ち少なくとも一本)の被覆電線3と、電線としての一本のドレイン線4と、導体シートとしてのアルミラミネートシート(以下ALSと呼ぶ)5と、絶縁シートとしてのPETシート6とを備えている。
【0048】
被覆電線3は、図22などに示すように、互いに平行(即ち並行)に束ねられている。被覆電線3は、それぞれ、芯線7と、芯線7を被覆する被覆部8と、を備えたいわゆる被覆電線である。芯線7は、一本の素線または複数の素線が撚られて形成されており、断面形状が丸形に形成されている。芯線7を構成する素線は、導電性を有する金属からなる。芯線7は、可撓性を有している。被覆部8は、絶縁性と可撓性とを有する合成樹脂からなる。図示例では、被覆電線3は、三本設けられている。
【0049】
ドレイン線4は、導電性の金属で構成された芯線9のみで構成されている。芯線9は、被覆電線3の芯線7と同様に、一本の素線または複数の素線が撚られて形成されており、断面形状が丸形に形成されている。ドレイン線4は、シールド電線2の少なくとも一端部において、図23に示すように、複数の被覆電線3よりも外周に配置されている。
【0050】
ALS5は、薄い導体層10と、該導体層10に積層された薄い絶縁層11と、を備えて、比較的薄いシート状に形成されている。ALS5は、平面形状が帯状に形成されている。導体層10は、導電性を有する金属からなる。導体層10は、可撓性を有している。導体層10は、少なくともアルミニウムまたはアルミニウム合金を含んでいる。絶縁層11は、絶縁性と可撓性とを有する合成樹脂からなる。ALS5は、導体層10を内側にして、複数の被覆電線3及びドレイン線4の外周に丸めて巻きつけられている。そして、図23に示すように、ALS5は、シールド電線2の少なくとも一端部において、導体層10がドレイン線4に接触している。
【0051】
PETシート6は、薄い樹脂層12と、当該樹脂層12の表面(特許請求の範囲に記載された内面に相当する)の全体に積層された粘着層13と、を備えて、比較的薄いシート状に形成されている。PETシート6は、平面形状が帯状に形成されている。樹脂層12は、POLYETHYLENE TEREPHTHALATEなどの絶縁性と可撓性とを有する合成樹脂で構成されている。粘着層13は、粘着性を有する合成樹脂で構成されている。PETシート6は、粘着層13がALS5の絶縁層11の外周面に密着した状態で、被覆電線3及びドレイン線4の外周に巻き付けられたALS5の外周に丸めて巻き付けられている。
【0052】
前述したシールド電線2は、複数の被覆電線3とドレイン線4とが互いに束ねられ、これらの外周に導体層10を内側としたALS5と、PETシート6とが順に巻かれて構成されている。このとき、ALS5と、PETシート6とは、これらの長手方向が被覆電線3及びドレイン線4の長手方向と平行に配置されている。そして、ALS5は、複数の被覆電線3とドレイン線4の外周に丸められて巻きつけられており、PETシート6は、複数の被覆電線3とドレイン線4及びALS5の外周にその幅方向の中央部6c(特許請求の範囲の一部に相当する)が全長に亘って重ねられて、当該中央部6cの粘着層13がALS5の外周面に貼り付けられている。そして、PETシート6は、その幅方向の中央部6cから幅方向の両端部6a,6bに向かって順にALS5の外周に巻き付けられて、中央部6cの粘着層13から両端部6a,6bの粘着層13に向かって順にALS5の外周面に貼り付けられている。そして、本実施形態では、PETシート6は、ALS5の外周に半周程巻き付けられた一方の端部6aの粘着層13がALS5の外面に貼り付けられて、他方の端部6bが一方の端部6a上に更に巻き付けられて、当該他方の端部6bの粘着層13が当該PETシート6の外周面に貼り付けられる。こうして、シールド電線2は、PETシート6の粘着層13がALS5の外面に貼り付けられて構成されて、組み立てられている。
【0053】
さらに、前述したシールド電線2は、被覆電線3の両端部及びドレイン線4の両端部に端子金具71(図1に一部示す)と、図示しないコネクタハウジングとが取り付けられる。そして、シールド電線2は、コネクタハウジングが自動車に搭載される各種の電子機器に取り付けられて、当該自動車に配索されて、各種の電子機器に所望の信号や電力を供給する。さらに、シールド電線2は、ALS5の導体層10を、ドレイン線4などを介してアース回路に接続して、外部から被覆電線3の芯線7に侵入しようとする電気的なノイズ及び被覆電線3の芯線7から外部に漏れようとする電気的なノイズをALS5の導体層8及びドレイン線4などを介してアース回路に導く。
【0054】
組立装置1は、所定の長さに切断されかつ両端部に端子金具71が取り付けられた複数の被覆電線3及びドレイン線4の外周にALS5及びPETシート6を順に巻く装置である。
【0055】
組立装置1は、図1に示すように、装置本体14と、ALS供給ユニット15と、張設ユニット16と、導体シート巻き付けユニット17と、絶縁シート巻き付けユニット18と、テープ巻き付けユニット19と、制御手段としての制御装置20とを備えている。
【0056】
装置本体14は、工場のフロア上などに設置され、その上面が平坦に形成されている。装置本体14は、その平面形状が矩形状に形成されている。
【0057】
ALS供給ユニット15は、装置本体14の図1中左側の一端部上に設置されている。ALS供給ユニット15は、図1に示すように、リール21と、ALS用ガイド22と、送りローラ23と、従動ローラ24と、ALS用切断ユニット25と、を備えている。リール21は、装置本体14の一端部の最も端に設けられている。リール21は、装置本体14に回転自在に支持されかつ帯状で長尺のALS5を巻き付けている。リール21と、ALS用ガイド22と、送りローラ23及び従動ローラ24と、ALS用切断ユニット25とは、前記装置本体14の一端部の端から当該装置本体14の長手方向に沿って中央部に向かって順に配置されている。
【0058】
ALS用ガイド22は、装置本体14上に立設した柱状に形成されている。ALS用ガイド22には、装置本体14の表面に沿って当該ALS用ガイド22を貫通して、内側にALS5を通すガイド孔70が設けられている。ガイド孔70は、リール21寄りの端部が、図2に示すように、装置本体14の表面と平行な横長の扁平に形成されている。また、ガイド孔70は、リール21から離れた側の端部が、図3に示すように、断面V字状に形成されている。また、ガイド孔70は、リール21寄りの端部の横長の扁平な状態からリール21から離れるのにしたがって徐々に断面V字状となるように、その内面が滑らかな曲面で形成されている。ALS用ガイド22は、ガイド孔70内にALS5を通すことで、当該ALS5を断面V字状に形成する。
【0059】
送りローラ23と従動ローラ24とは、鉛直方向に間隔をあけて設けられ、装置本体14に回転自在に設けられている。なお、送りローラ23は、従動ローラ24の上方に配置され、送りローラ23と従動ローラ24の軸芯は装置本体14の幅方向と平行である。送りローラ23は、図示しない駆動源としてのモータによりその軸芯回りに回転される。送りローラ23と従動ローラ24とは、互いの間にALS用ガイド22によって断面V字状に形成されたALS5を挟み、送りローラ23がモータにより回転駆動されることで、断面V字状に形成されたALS5を張設ユニット16により張設された複数の被服電線3及びドレイン線4の外周に送り出す。ALS用切断ユニット25は、装置本体14上に立設した柱状に形成され、かつ互いの間にALS5を挟み込んで切断する図示しない一対の切断刃を備えている。
【0060】
張設ユニット16は、移動保持部26と、図示しない端末保持部とを備えている。移動保持部26は、装置本体14の他端部に設けられ、リニアガイド27と、図示しない移動用シリンダと、端子保持部28を備えている。
【0061】
リニアガイド27は、直線状に延在しかつ装置本体14に固定されたレール29と、スライダ30とを備えている。レール29の長手方向は、装置本体14の長手方向と平行である。スライダ30は、レール29に当該レール29の長手方向に沿ってスライド自在に設けられている。移動用シリンダは、スライダ30をレール29の長手方向に沿って移動させる。
【0062】
端子保持部28は、スライダ30上に設置されている。端子保持部28は、図1に示すように、被覆電線3及びドレイン線4の一端部に取り付けられた端子金具71が引っ掛けられるなどして、当該端子金具71を保持することで、これらの被覆電線3及びドレイン線4の一端部を保持する。
【0063】
移動保持部26は、端子保持部28が端子金具71を保持することで、被覆電線3及びドレイン線4の一端部を保持する。端末保持部は、装置本体14の一端部側に設置されている。端末保持部は、前述した被覆電線3及びドレイン線4の他端部の端末を保持する。張設ユニット16は、端子保持部28が端子金具71を保持し、端末保持部が被覆電線3及びドレイン線4の他端部の端末を保持することで、当該複数の被覆電線3及びドレイン線4を装置本体14上に張設する(張った状態に設ける)。このとき、被覆電線3及びドレイン線4の長手方向は、勿論、装置本体14の長手方向と平行となる。
【0064】
導体シート巻き付けユニット17は、図1に示すように、ALS供給ユニット15のALS用切断ユニット25と装置本体14の長手方向に沿って並べられている。導体シート巻き付けユニット17は、図1に示すように、固定ガイド31と、昇降ガイド32と、スライドガイド33とを備えている。
【0065】
固定ガイド31は、装置本体14上に立設した方体状に形成されている。固定ガイド31は、その上面に張設ユニット16により張設された複数の被覆電線3及びドレイン線4と、ALS供給ユニット15により断面V字状の状態で送り出されるALS5が位置付けられる。昇降ガイド32は、固定ガイド31の上方に設けられ、図示しないエアシリンダなどにより昇降される。昇降ガイド32は、エアシリンダにより降下されると、固定ガイド31の上面に重なり、当該固定ガイド31との間に複数の被覆電線3及びドレイン線4とALS5を挟み込む位置に設けられている。
【0066】
また、固定ガイド31の上面と昇降ガイド32の下面とには、図4、図5及び図6に示すように、昇降ガイド32が降下して固定ガイド31の上面に昇降ガイド32が重ねられると、互いに合致して、内側に複数の被覆電線3及びドレイン線4とALS5を通すガイド溝34,35が設けられている。これらのガイド溝34,35は、昇降ガイド32が固定ガイド31の上面に重ねられると、互いに連通して、これらのガイド31,32を装置本体14の長手方向に沿って貫通した恰も一つの孔をなしている。
【0067】
固定ガイド31の上面に設けられたガイド溝34は、図4、図5及び図6に示すように、長手方向の全長に亘って断面形状が略一定の円弧状に形成されている。昇降ガイド32の下面に設けられたガイド溝35は、ALS用切断ユニット25寄りの端部では、図4に示すように、断面円弧状の円弧部36と、当該円弧部36の幅方向の両端に連通した一対の直線状部37とが設けられている。一対の直線状部37は、固定ガイド31から離れるのにしたがって徐々に互いに離れる方向に延在している。ガイド溝35は、中央部では、図5に示すように、断面円弧状の円弧部36のみが設けられている。また、ガイド溝34,35の円弧部36は、ALS用切断ユニット25から離れるのにしたがって即ち後述するPETシート6を送り出す方向K(図1中に矢印で示す)の前方に向かうにしたがって徐々に内径が縮小している。また、ガイド溝34,35は、送り出す方向Kの前方に向かうにしたがって、徐々に小径な断面円弧状となるように、その内面が滑らかな曲面で形成されている。
【0068】
スライドガイド33は、昇降ガイド32の装置本体14の他端部寄り即ち送り出す方向Kの前方寄りの端部に昇降自在に設けられている。スライドガイド33は、図6に示すように、その下面に、当該下面から凹でかつ断面円弧状の押さえ溝38が設けられている。スライドガイド33の押さえ溝38は、固定ガイド31のガイド溝34と連通して、当該固定ガイド31のガイド溝34と恰も一つの丸孔を構成する。押さえ溝38は、スライドガイド33が降下すると、ガイド溝34内に通されたALS5を複数の被覆電線3及びドレイン線4に押し付ける。
【0069】
前述した構成の導体シート巻き付けユニット17は、昇降ガイド32が降下して固定ガイド31の上面に重なることで、ALS供給ユニット15の送りローラ23により装置本体14の他端部即ち送り出す方向Kの前方に向かって送り出されるALS5をガイド溝34,35の内面で案内して、複数の被覆電線3及びドレイン線4の外周に巻き付ける。そして、スライドガイド33が降下して、当該スライドガイド33の押さえ溝38の内面によりALS5を固定ガイド31のガイド溝34の内面に向かって押し付けて、ALS5を複数の被覆電線3及びドレイン線4の外周に密着させる。
【0070】
絶縁シート巻き付けユニット18は、図1に示すように、導体シート巻き付けユニット17と装置本体14の長手方向に沿って並べられている。絶縁シート巻き付けユニット18は、図1に示すように、シート送りユニット39と、絶縁巻き付け部40とを備えている。
【0071】
シート送りユニット39は、装置本体14の上方に設けられている。シート送りユニット39は、図1に示すように、PETリール41と、ガイドローラ42と、テープカッタ43とを備えている。PETリール41は、装置本体14の上方に回転自在に設けられている。PETリール41は、帯状で長尺のPETシート6を巻き付けている。PETリール41は、回転することで、絶縁巻き付け部40に向かってPETシート6を送り出す。PETリール41は、ガイドローラ42と絶縁巻き付け部40の後述するローラ45,46などにより装置本体14の長手方向と平行でかつ他端部に向かう図1中の矢印K(以下、PETシート6を送り出す方向と呼ぶ)に沿って、PETシート6を送り出す。
【0072】
絶縁巻き付け部40は、図7及び図8に示すように、受けユニット44(図7のみに示す)と、一つの位置決めローラ45と、複数の巻き付けローラ46と、絶縁シート貼り合わせユニット47とを備えている。
【0073】
受けユニット44は、シート送りユニット39から送り出されるPETシート6の下方でかつ固定ガイド31と装置本体14の長手方向に並ぶ位置に配置されている。受けユニット44は、装置本体14に対して図示しないエアシリンダにより昇降自在に設けられている。受けユニット44は、装置本体14に昇降自在に設けられたユニット本体48と、昇降部材49と、複数の受けローラ50とを備えている。ユニット本体48は、その長手方向が装置本体14の長手方向と平行な方体状に形成されている。昇降部材49は、ユニット本体48と略同形状の方体状に形成され、かつユニット本体48の上方に設けられている。昇降部材49は、ユニット本体48から立設した複数の柱状の支持軸51により当該ユニット本体48に昇降自在に支持されている。また、昇降部材49は、ユニット本体48との間に設けられかつ内側に支持軸51を通したコイルばね52によりユニット本体48から離れる方向即ち上方に向かって付勢されている。
【0074】
受けローラ50は、本実施形態では三つ設けられ、昇降部材49にその軸芯周りに回転自在に設けられているとともに、昇降部材49の長手方向即ち装置本体14の長手方向に沿って並べられている。受けローラ50は、その軸芯が昇降部材49の長手方向即ち装置本体14の長手方向に対して直交している。
【0075】
一つの位置決めローラ45と複数の巻き付けローラ46と絶縁シート貼り合わせユニット47とは、一体に昇降自在即ち受けユニット44に接離自在に設けられている。位置決めローラ45と複数の巻き付けローラ46は、それぞれ、軸芯周りに回転自在に設けられている。これらのローラ45,46の軸芯は、装置本体14の長手方向即ち前述した送り出す方向Kに対して直交している。位置決めローラ45は、昇降ガイド32と装置本体14の長手方向に並ぶ位置に配置されている。位置決めローラ45は、図11に示すように、最も固定ガイド31寄りの受けローラ50の上方に設けられている。位置決めローラ45は、降下すると、当該受けローラ50との間に複数の被覆電線3、ドレイン線4、ALS5及びPETシート6を挟み込む位置に配置されている。位置決めローラ45は、図11に示すように、軸芯方向に外径が一定に形成されており、降下すると外周面上にPETシート6が重ねられる。
【0076】
複数の巻き付けローラ46は、図示例では、三つ設けられている。これらの巻き付けローラ46は、前述した送り出す方向Kに沿って並べられている。これら三つ巻き付けローラ46は、図12、図13及び図14に示すように、その外周面が断面円弧状の溝状に湾曲した湾曲面53となっている。これら三つ巻き付けローラ46のうちの最も位置決めローラ45寄りの巻き付けローラ46は、中央の受けローラ50の上方に設けられ、降下すると、図12に示すように、当該受けローラ50との間に複数の被覆電線3、ドレイン線4、ALS5及びPETシート6を挟み込む位置に配置されている。中央の巻き付けローラ46は、最も送り出す方向Kの前方寄りの受けローラ50の上方に設けられ、降下すると、図13に示すように、当該受けローラ50との間に複数の被覆電線3、ドレイン線4、ALS5及びPETシート6を挟み込む位置に配置されている。
【0077】
前述した複数の巻き付けローラ46は、図7に示すように、降下すると湾曲面53上にPETシート6が順に重ねられることとなる。また、複数の巻き付けローラ46は、前記送り出す方向Kの前方に向かうにしたがって、徐々に外径が大きく形成されている。複数の巻き付けローラ46は、前記送り出す方向Kの前方に向かうにしたがって、徐々に幅が大きく形成されている。さらに、複数の巻き付けローラ46は、前記送り出す方向Kの前方に向かうにしたがって、前述した断面円弧状の湾曲面53の断面における曲率半径が徐々に小さく形成されている。そして、複数の巻き付けローラ46は、前述したように外径及び幅が送り出す方向Kの前方に向かうにしたがって徐々に大きく形成されかつ湾曲面53の断面における曲率半径が徐々に小さく形成されていることで、当該湾曲面53のPETシート6との接触面積が、前記送り出す方向Kの前方に向かうにしたがって徐々に大きくなるように形成されている。
【0078】
絶縁シート貼り合わせユニット47は、前述した送り出す方向Kに沿って、図7及び図8に示すように、最も送り出す方向Kの前方寄りの巻き付けローラ46と並べられている。絶縁シート貼り合わせユニット47は、図9及び図10に示すように、板状のユニット本体54と、巻き付けローラ55と、駆動源としてのモータ56とを備えている。巻き付けローラ55は、特許請求の範囲に記載された前述した送り出す方向Kの最も前方に位置する一つの巻き付けローラをなしており、ユニット本体54にその軸芯周りに回転自在に支持されているとともに、その軸芯が前述した送り出す方向Kに対して直交している。
【0079】
巻き付けローラ55は、その幅が最も送り出す方向Kの前方寄りの巻き付けローラ46の幅よりも大きく形成されている。巻き付けローラ55は、互いに同軸に連結された一対のローラ57を備えている。ローラ57は、それぞれ、外周面がブラシ状に形成されている。ローラ57は、前述した送り出す方向K即ち張設ユニット16により張設された被服電線3の長手方向に対して直交する方向に沿って並べられている。一対のローラ57は、互いに相対する面から凹でかつ断面円弧状の凹溝58が設けられている。一対のローラ57に設けられた凹溝58は、互いに合致して、恰も一つの丸孔をなしており、前記送り出す方向Kに沿って直線状に延在している。凹溝58の断面の曲率半径は、最も送り出す方向Kの前方寄りの巻き付けローラ46の湾曲面53の曲率半径よりも小さく形成されている。
【0080】
また、凹溝58には、一対のローラ57の下端部でかつ巻き付けローラ46寄りの端部を切り欠いた切欠き部59が連通している。切欠き部59は、その幅が送り出す方向Kの前方に向かうにしたがって徐々に減少するように形成されている。巻き付けローラ55即ち一対のローラ57は、凹溝58内に被覆電線3、ドレイン線4、ALS5及びPETシート6を通す。凹溝58の内面は、特許請求の範囲に記載された湾曲面60をなしている。巻き付けローラ55即ち一対のローラ57は、互いに相対する面から凹の凹溝58を備えることで、互いに相対する湾曲面60が設けられた格好となっている。巻き付けローラ55即ち一対のローラ57は、前述した最も送り出す方向Kの前方寄りの巻き付けローラ46の幅よりも幅が大きく形成され、凹溝58が恰も丸孔に形成されているとともに、凹溝58の断面の曲率半径が前述したように形成されていることで、巻き付けローラ46の湾曲面53のPETシート6との接触面積よりも、その湾曲面60のPETシート6との接触面積が大きく形成されている。また、本実施形態では、巻き付けローラ55の一対のローラ57間の間隔は、前述したPETシート6の厚みと等しく形成されている。
【0081】
モータ56は、ユニット本体48に取り付けられて、その出力軸を回転駆動することで、巻き付けローラ55を回転駆動する。
【0082】
前述した構成の絶縁巻き付け部40即ち絶縁シート巻き付けユニット18は、受けユニット44が上昇し、かつ位置決めローラ45、巻き付けローラ46及び絶縁シート貼り合わせユニット47が降下した状態で、受けユニット44と、位置決めローラ45、巻き付けローラ46及び絶縁シート貼り合わせユニット47との間に、複数の被覆電線3、ドレイン線4、ALS5及びPETシート6を挟み込む。そして、モータ56の駆動力により、巻き付けローラ55を回転駆動すると、PETシート6を位置決めローラ45の外周面、巻き付けローラ46,55の湾曲面53,60により案内して、ALS5の外周に巻き付ける。このように、絶縁巻き付け部40は、PETシート6を案内する。この際、本実施形態では、PETシート6を被覆電線3と平行な状態に位置付けて、当該PETシート6の粘着層13のうちの幅方向の中央部6c(一部に相当)をALS5に接触するように重ね、当該PETシート6を湾曲面53,60により案内することで、前述した中央部6cから幅方向の両端部6a,6bに向かって、図12、図13、図14、図15、図16及び図17に示すように、PETシート6の粘着層13をALS5に貼り付けるように、被覆電線3及びドレイン線4の外周に巻きつけられたALS5の外周にPETシート6を巻き付ける。そして、絶縁シート巻き付けユニット18は、ALS5の外周に半周程巻き付けられたPETシート6の一方の端部6aの粘着層13をALS5の外面に貼り付ける。
【0083】
テープ巻き付けユニット19は、図1に示すように、絶縁シート巻き付けユニット18と装置本体14の長手方向に沿って並べられている。テープ巻き付けユニット19は、図18などに示すように、図示しないエアシリンダなどにより昇降することで互いに接離自在に設けられた一対の巻き付け型61を備えている。巻き付け型61は、互いに近づくと、互いに重なる面から凹に形成されかつ互いに合致する凹溝62,62を備えている。これらの凹溝62,62は、一対の巻き付け型61が互いに近づくと、送り出す方向Kに沿って貫通した恰も一つのガイド孔63をなしている。
【0084】
ガイド孔63は、図18乃至図21に示すように、断面丸孔状の孔本体64と、この孔本体64の外縁から延在した外周延在部65とを一体に備えている。孔本体64は、被覆電線3、ドレイン線4、ALS5及びこれらの外周に巻き付けられたPETシート6の断面丸形の部分の形状と略等しく形成されている。外周延在部65は、前述したPETシート6の幅方向の他方の端部6bの形状と略等しく形成されている。外周延在部65は、前記送り出す方向Kの前方に向かうにしたがって、徐々に図18乃至図20中の上方に位置しているとともに、その長さが徐々に縮小している。そして、外周延在部65は、テープ巻き付けユニット19の前述した送り出す方向Kの最も前方寄りの端部において、図21に示すように、前記孔本体64の外縁と略一体となっている。また、ガイド孔63の内面は、前記送り出す方向Kに沿って滑らかな曲面で形成されている。
【0085】
前述した構成のテープ巻き付けユニット19は、巻き付け型61が互いに近づいて、被覆電線3、ドレイン線4及びALS5の外周に巻き付けられて一方の端部6aの粘着層13がALS5の外面に貼り付けられた当該PETシート6を、ガイド孔63内に通すことで、当該PETシート6の他方の端部6bを徐々に一方の端部6a上に更に巻き付けて、当該他方の端部6bの粘着層13を当該PETシート6の外周面に貼り付ける。
【0086】
制御装置20は、周知のROM(Read-only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、CPU(Central Processing Unit)などを備えたコンピュータである。制御装置20は、ALS供給ユニット15と、張設ユニット16と、導体シート巻き付けユニット17と、絶縁シート巻きつけユニット18とに接続して、これらの動作を制御することで、組立装置1全体の制御をつかさどる。
【0087】
制御装置20は、ALS5及びPETシート6を切断する間隔などを記憶している。制御装置20は、記憶した情報に基づいて、張設ユニット16の移動保持部26の移動用シリンダ、ALS供給ユニット15の送りローラ23と、導体シート巻き付けユニット17の昇降ガイド32を昇降させるエアシリンダと、絶縁シート巻き付けユニット18のモータ56、受けユニット44や位置決めローラ45などを昇降させるエアシリンダと、テープ巻き付けユニット19の巻き付け型61を昇降させるエアシリンダなどを制御して、予め所定の長さに切断されて両端部に端子金具71が取り付けられた被覆電線3及びドレイン線4の外周にALS5を巻きつけるとともに、PETシート6を巻き、当該PETシート6の粘着層13をALS5に貼り付ける。
【0088】
前述した構成の組立装置1は、以下のように、予め所定の長さに切断されて両端部に端子金具71が取り付けられた被覆電線3及びドレイン線4の外周にALS5及びPETシート6を巻いて、前述したシールド電線2を組み立てる。なお、以下の図24乃至図29では、各部を簡略化して説明する。
【0089】
まず、図24に示すように、制御装置20は、導体シート巻き付けユニット17の昇降ガイド32と、絶縁シート巻き付けユニット18の位置決めローラ45、巻き付けローラ46及び絶縁シート貼り合わせユニット47を上昇させ、張設ユニット16の移動保持部26の端子保持部28を最も固定ガイド31寄りに位置付ける、さらに、制御装置20は、テープ巻き付けユニット19の一対の巻き付け型61を互いに離間させておく。そして、被覆電線3及びドレイン線4の一端部に取り付けられた端子金具71を端子保持部28に引っ掛ける。さらに、ALS5をALS用切断ユニット25まで引き出しておく。
【0090】
そして、図25に示すように、制御装置20は、昇降ガイド32を降下させて、昇降ガイド32と固定ガイド31との間に被覆電線3及びドレイン線4を挟み込み、これらの被覆電線3及びドレイン線4をガイド溝34,35内に収容する。そして、制御装置20は、送りローラ23を回転駆動して、ALS5を被覆電線3及びドレイン線4の一端部に向けて送り出す。
【0091】
その後、図26に示すように、制御装置20は、ALS5を被覆電線3及びドレイン線4の一端部に向けて送り出しながら、端子保持部28を固定ガイド31から遠ざけて装置本体14の他端部に向けて移動するとともに、スライドガイド33を降下する。そして、制御装置20は、複数の被覆電線3及びドレイン線4の外周にALS5を巻き付ける。
【0092】
そして、図27に示すように、絶縁シート巻き付けユニット18のシート送りユニット39のPETリール41からPETシート6の端末を引き出して、当該PETシート6を位置決めローラ45の外周面に当接させた後、PETシート6の端末をALS5の端末の外周に巻き付ける。このとき、勿論、PETシート6の幅方向の中央部をまずALS5の外周に貼り付けた後、当該PETシート6の幅方向の両端部6a,6bをALS5の外周に貼り付ける。
【0093】
そして、図28に示すように、制御装置20は、受けユニット44を上昇させ、位置決めローラ45、巻きつけローラ57及び絶縁シート貼り合わせユニット47を一体に降下させて、受けユニット44と、位置決めローラ45、巻きつけローラ57及び絶縁シート貼り合わせユニット47との間に、被覆電線3、ドレイン線4、ALS5及びPETシート6を挟み込む。その後、図29に示すように、制御装置20は、更に端子保持部28を固定ガイド31から遠ざけて、装置本体14の他端部に向けて移動する。テープ巻き付けユニット19の一対の巻き付け型61を互いに近づけて、これらの凹溝62,62内即ちガイド孔63内に被覆電線3、ドレイン線4、ALS5及びPETシート6を通す。そして、巻き付けローラ55を回転駆動して、被覆電線3、ドレイン線4、ALS5及びPETシート6を一体に送り出す方向Kの前方に移動して、PETシート6をALS5の外周などに巻き付けて、前述した構成のシールド電線2を得る。
【0094】
本実施形態によれば、被覆電線3及びドレイン線4をALS5とPETシート6で巻き付けることができるので、シースストリップを施す必要がなくなり、加工が容易でかつ材料に無駄が生じない環境に配慮したシールド電線2を提供することができる。また、被覆電線3及びドレイン線4をALS5とPETシート6で巻き付けることができるので、長尺のシールド電線2であってもALS5を分割することなく被覆電線3及びドレイン線4に一体化させることができ、このために、継ぎ目が生じず良好なシールド性能を有するとともに無駄な重なり代がない細径化・軽量化したシールド電線2を提供することができる。
【0095】
また、絶縁シートとして、内面に粘着層13が設けられたPETシート6を用いるので、当該粘着層13をALS5に重ねて貼り付けることで、PETシート6をALS5の外周に巻き付けることができる。このために、粘着層13をALS5に重ねて貼り付けることで、PETシート6をALS5の外周に巻き付けることができるので、PETシート6を固定するために超音波溶着装置を設ける必要が生じない。
【0096】
また、絶縁シート巻き付けユニット18が、PETシート6の内面の一部としての幅方向の中央部6c即ち粘着層13の一部としての幅方向の中央部をALS5に重ねた後、当該中央部から幅方向の両端部6a,6bに向かって順にALS5にPETシート6を貼り付けるので、ALS5との間に隙間が生じることなく、PETシート6を巻き付けることができる。
【0097】
したがって、設備の大型化を抑制しながらも、皺を生じることなく絶縁シートを巻き付けることができる。
【0098】
絶縁シート巻き付けユニット18が、シート送りユニット39により送り出されるPETシート6をALS5の外周に巻き付けるように案内する絶縁巻き付け部40を備えているので、PETシート6を確実にALS5の外周に巻き付けることができる。
【0099】
絶縁巻き付け部40の複数の巻き付けローラ46,55の湾曲面53,60がPETシート6を送り出す方向Kの前方に向かうにしたがってPETシート6との接触面積が増加しかつ曲率半径が徐々に小さくなるように形成されている。このために、複数の巻き付けローラ46,55によりPETシート6を送り出していく際に、湾曲面53,60がPETシート6をALS5の外周に巻き付けるように案内することとなる。よって、PETシート6をより確実にALS5の外周に巻き付けることができる。
【0100】
PETシート6を送り出す方向Kの最も前方に位置する巻き付けローラ55が互いの間に湾曲面53が設けられた一対のローラ57を備えているので、当該最も前方に位置する巻き付けローラ55の湾曲面60により、PETシート6をALS5の外周に確実に巻き付けることができる。
【0101】
つぎに、本発明の第2の実施形態にかかるシールド電線組立装置(以下、単に組立装置と記す)を図1ないし図42を参照して説明する。なお、本実施形態において、前述した第1の実施形態と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0102】
本実施形態の組立装置1は、図41及び図42に示されたシールド電線2を組み立てる装置である。シールド電線2は、図41及び図42に示すように、前述した第1の実施形態と同様に、電線としての複数(即ち少なくとも一本)の被覆電線3と、電線としての一本のドレイン線4と、導体シートとしてのアルミラミネートシート(以下ALSと呼ぶ)5と、絶縁シートとしてのPETシート6とを備えている。
【0103】
また、本実施形態では、PETシート6は、粘着層13がALS5の絶縁層11の外周面に密着した状態で、被覆電線3及びドレイン線4の外周に巻き付けられたALS5の外周に巻き付けられている。PETシート6は、複数の被覆電線3とドレイン線4及びALS5の外周にその幅方向の中央部6cが全長に亘って重ねられて、当該中央部6cの粘着層13がALS5の外周面に貼り付けられている。そして、PETシート6は、その幅方向の中央部6cから幅方向の両端部6a,6bに向かって順にALS5の外周に巻き付けられて、中央部6cの粘着層13から両端部6a,6bの粘着層13に向かって順にALS5の外周面に貼り付けられている。そして、本実施形態では、PETシート6は、ALS5の外周に半周程巻き付けられた一方の端部6aの粘着層13が当該PETシート6の他方の端部6b寄りの粘着層13に貼り付けられて、他方の端部6bが一方の端部6a上に更に巻き付けられて、当該他方の端部6bの粘着層13が当該PETシート6の外周面に貼り付けられる。なお、本実施形態のPETシート6の幅は、前述した第1の実施形態のPETシート6の幅よりも若干広く形成されている。
【0104】
本実施形態の組立装置1の絶縁巻き付け部40は、図30及び図31に示すように、前述した第1の実施形態と同様に、受けユニット44(図30のみに示す)と、一つの位置決めローラ45と、複数の巻き付けローラ46と、絶縁シート貼り合わせユニット47とを備えている。
【0105】
受けユニット44は、前述した第1の実施形態と同様に、シート送りユニット39から送り出されるPETシート6の下方でかつ固定ガイド31と装置本体14の長手方向に並ぶ位置に配置され、装置本体14に対して図示しないエアシリンダにより昇降自在に設けられている。
【0106】
位置決めローラ45は、前述した第1の実施形態と同様に、図34に示すように、軸芯方向に外径が一定に形成されており、降下すると外周面上にPETシート6が重ねられる。なお、本実施形態の位置決めローラ45の長さは、前述した第1の実施形態の位置決めローラ45の長さよりも若干長く形成されている。
【0107】
複数の巻き付けローラ46は、図示例では、前述した第1の実施形態と同様に、三つ設けられている。これらの巻き付けローラ46は、前述した送り出す方向Kに沿って並べられている。これら三つ巻き付けローラ46は、図35、図36及び図37に示すように、その外周面が断面円弧状の溝状に湾曲した湾曲面53となっている。これら三つ巻き付けローラ46のうちの最も位置決めローラ45寄りの巻き付けローラ46は、中央の受けローラ50の上方に設けられ、降下すると、図35に示すように、当該受けローラ50との間に複数の被覆電線3、ドレイン線4、ALS5及びPETシート6を挟み込む位置に配置されている。中央の巻き付けローラ46は、最も送り出す方向Kの前方寄りの受けローラ50の上方に設けられ、降下すると、図36に示すように、当該受けローラ50との間に複数の被覆電線3、ドレイン線4、ALS5及びPETシート6を挟み込む位置に配置されている。
【0108】
前述した複数の巻き付けローラ46は、図30に示すように、降下すると湾曲面53上にPETシート6が順に重ねられることとなる。複数の巻き付けローラ46は、外径及び幅が送り出す方向Kの前方に向かうにしたがって徐々に大きく形成されかつ湾曲面53の断面における曲率半径が徐々に小さく形成されていることで、当該湾曲面53のPETシート6との接触面積が、前記送り出す方向Kの前方に向かうにしたがって徐々に大きくなるように形成されている。
【0109】
絶縁シート貼り合わせユニット47は、前述した送り出す方向Kに沿って、図30及び図31に示すように、最も送り出す方向Kの前方寄りの巻き付けローラ46と並べられている。絶縁シート貼り合わせユニット47は、図32及び図33に示すように、前述した第1の実施形態と同様に、板状のユニット本体54と、巻き付けローラ55と、駆動源としてのモータ56とを備えている。本実施形態の巻き付けローラ55の一対のローラ57間の間隔は、前述したPETシート6の厚みの二倍と略等しく形成されている。
【0110】
前述した構成の絶縁巻き付け部40即ち絶縁シート巻き付けユニット18は、前述した第1の実施形態と同様に、受けユニット44が上昇しかつ位置決めローラ45、巻き付けローラ46及び絶縁シート貼り合わせユニット47が降下した状態で、受けユニット44と、位置決めローラ45、巻き付けローラ46及び絶縁シート貼り合わせユニット47との間に、複数の被覆電線3、ドレイン線4、ALS5及びPETシート6を挟み込む。そして、モータ56の駆動力により、巻き付けローラ55を回転駆動すると、PETシート6を位置決めローラ45の外周面、巻き付けローラ46,55の湾曲面53,60により案内して、ALS5の外周に巻き付ける。このように、絶縁巻き付け部40は、PETシート6を案内する。この際、本実施形態では、PETシート6を被覆電線3と平行な状態に位置付けて、当該PETシート6の粘着層13のうちの幅方向の中央部6cをALS5に接触するように重ね、当該PETシート6を湾曲面53,60により案内することで、前述した中央部6cから幅方向の両端部6a,6bに向かって、図35、図36、図37、図38、図39及び図40に示すように、PETシート6の粘着層13をALS5に貼り付けるように、被覆電線3及びドレイン線4の外周に巻きつけられたALS5の外周にPETシート6を巻き付ける。そして、絶縁シート巻き付けユニット18は、ALS5の外周に半周程巻き付けられたPETシート6の一方の端部6aの粘着層13を当該PETシート6の他方の端部6b寄りの粘着層13に貼り付ける。
【0111】
本実施形態においても、前述した第1の実施形態と同様に、被覆電線3及びドレイン線4をALS5とPETシート6で巻き付けることができるので、シースストリップを施す必要がなくなり、加工が容易でかつ材料に無駄が生じない環境に配慮したシールド電線2を提供することができる。また、被覆電線3及びドレイン線4をALS5とPETシート6で巻き付けることができるので、長尺のシールド電線2であってもALS5を分割することなく被覆電線3及びドレイン線4に一体化させることができ、このために、継ぎ目が生じず良好なシールド性能を有するとともに無駄な重なり代がない細径化・軽量化したシールド電線2を提供することができる。
【0112】
また、絶縁シートとして、内面に粘着層13が設けられたPETシート6を用いるので、当該粘着層13をALS5に重ねて貼り付けることで、PETシート6をALS5の外周に巻き付けることができる。このために、粘着層13をALS5に重ねて貼り付けることで、PETシート6をALS5の外周に巻き付けることができるので、PETシート6を固定するために超音波溶着装置を設ける必要が生じない。
【0113】
また、絶縁シート巻き付けユニット18が、PETシート6の内面の一部としての幅方向の中央部6c即ち粘着層13の一部としての幅方向の中央部をALS5に重ねた後、当該中央部から幅方向の両端部6a,6bに向かって順にALS5にPETシート6を貼り付けるので、ALS5との間に隙間が生じることなく、PETシート6を巻き付けることができる。
【0114】
したがって、設備の大型化を抑制しながらも、皺を生じることなく絶縁シートを巻き付けることができる。
【0115】
なお、前述した実施形態では、シールド電線2は、複数の被覆電線3と一本のドレイン線4を備えているが、本発明では、シールド電線2は、被覆電線3とドレイン線4とを合わせて少なくとも一本備えていれば良い。
【0116】
また、本発明のシールド電線2は、図43に示すように、PETシート6の周りに摩耗防止部材80や遮熱部材81を必要に応じて当該PETシート6の所定範囲に設けてもよい。この場合、これらの摩耗防止部材80や遮熱部材81は、フィルム状、シート状やテープ状に形成されている(なお、図示例では、テープ状に形成している)。テープ状に形成した場合には、巻き数に応じて、厚みを調整することができる。さらに、摩耗防止部材80としては、公知のジョイントテープ等の比較的厚い保護部材が挙げられる。この場合、必要に応じて、摩耗防止部材80や遮熱部材81を設けるので、過剰品質を防止することができる。
【0117】
さらに、本発明では、図44に示すように、ALS5の一側部を絶縁層11のみで構成しても良く、図45に示すように、ALS5の一側部を内側に折り返して折り返し部83を設けてもよい。これらの場合、導体層10が露出することを防止でき、短絡を防止できる。
【0118】
また、前述した実施形態では、被覆電線3とドレイン線4を撚り合わせることなく互いに平行に設けている。しかしながら、本発明では、被覆電線3とドレイン線4との全てを撚り合わせてもよく、これらのうち一部を互いに撚り合わせかつ残りを互いに平行に設けてもよい。この場合、撚り合わせの不要な箇所を撚り合わせることなく、過剰品質を防止して、製造を簡素化できる。なお、図43ないし図45において、前述した実施形態と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0119】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形
態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施
することができる。
【符号の説明】
【0120】
1 シールド電線組立装置
2 シールド電線
3 被覆電線(電線)
4 ドレイン線(電線)
5 ALS(導体シート)
6 PETシート(絶縁シート)
6a,6b 両端部
6c 中央部(一部)
11 絶縁層
13 粘着層
16 張設ユニット
17 導体シート巻き付けユニット
18 絶縁シート巻き付けユニット
39 シート送りユニット
40 絶縁巻き付け部
46 巻き付けローラ
53 湾曲面
55 巻き付けローラ
57 ローラ
60 湾曲面
K 送り出す方向
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一本の電線と、当該電線の外周に巻かれた導体シートと、当該導体シートの外周に巻かれた絶縁シートとを備えたシールド電線において、
前記絶縁シートの内面には、粘着層が設けられており、
前記絶縁シートが、前記粘着層が前記導体シートの外面に貼り付けられて構成されていることを特徴とするシールド電線。
【請求項2】
前記絶縁シートが、導体シートが巻かれた少なくとも一本の電線と平行な状態で、前記内面の一部が前記少なくとも一本の電線の外周に巻かれた導体シートに貼り付けられて構成されていることを特徴とする請求項1記載のシールド電線。
【請求項3】
前記絶縁シートの周りに設けられた摩耗防止部材及び/又は遮熱部材を更に備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のシールド電線。
【請求項4】
前記電線が複数設けられており、これら複数の電線同士が撚り合わされ、又はこれら複数の電線同士が非撚り合わせにされ、或いは、これら複数の電線同士を撚り合わせと非撚り合わせの組み合わせにされていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のうちいずれか一項に記載のシールド電線。
【請求項5】
前記導体シートが、その一側部が絶縁層のみで構成され、又は、その一側部が内側に折り返されて折り返し部に形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のうちいずれか一項に記載のシールド電線。
【請求項6】
少なくとも一本の電線と、当該電線の外周に巻かれた導体シートと、当該導体シートの外周に巻かれた絶縁シートとを備えたシールド電線を組み立てるシールド電線組立方法において、
前記絶縁シートの内面には、粘着層が設けられており、
前記導体シートが巻かれた少なくとも一本の電線と平行な状態で、前記内面の一部を前記導体シートに接触するように前記絶縁シートを重ね、当該一部から幅方向の端部に向かって順に前記導体シートに前記絶縁シートを貼り付けることを特徴とするシールド電線組立方法。
【請求項7】
少なくとも一本の電線と、当該電線の外周に巻かれた導体シートと、当該導体シートの外周に巻かれかつ内面に設けられた粘着層が導体シートに密着した絶縁シートとを備えたシールド電線を組み立てるシールド電線組立装置において、
前記電線を張設する張設ユニットと、
前記張設ユニットにより張設された前記電線の外周に前記導体シートを巻き付ける導体シート巻き付けユニットと、
前記導体シートが巻かれた少なくとも一本の電線と平行な状態で、前記内面の一部が前記導体シートに接触するように前記絶縁シートを重ね、当該一部から幅方向の端部に向かって順に前記導体シートに前記絶縁シートを貼り付けるように、前記電線の外周に巻き付けられた前記導体シートの外周に前記絶縁シートを巻き付ける絶縁シート巻き付けユニットと、を備えたことを特徴とするシールド電線組立装置。
【請求項8】
前記絶縁シート巻き付けユニットは、
前記絶縁シートを送り出すことが可能なシート送りユニットと、
前記電線の外周に巻き付けられた前記導体シートの外周に前記絶縁シートを巻き付けるように前記シート送りユニットにより送り出される前記絶縁シートを案内する絶縁巻き付け部と、を備えたことを特徴とする請求項7記載のシールド電線組立装置。
【請求項9】
前記絶縁巻き付け部は、前記シート送りユニットの前記絶縁シートを送り出す方向に沿って複数並べられるとともに外周面に前記絶縁シートを前記導体シートの外周に巻き付けるための湾曲面が設けられた巻き付けローラが複数設けられ、前記複数の巻き付けローラの前記湾曲面が前記送り出す方向の前方に向かうにしたがって前記絶縁シートとの接触面積が徐々に大きくなりかつ曲率半径が徐々に小さくなるように形成されていることを特徴とする請求項8記載のシールド電線組立装置。
【請求項10】
前記複数の巻き付けローラのうちの前記送り出す方向の最も前方に位置する一つの巻き付けローラが、前記張設ユニットにより張設された前記電線の長手方向に対して交差する方向に沿って並べられているとともに互いに相対する前記湾曲面が形成された一対のローラを備えたことを特徴とする請求項9記載のシールド電線組立装置。
【請求項1】
少なくとも一本の電線と、当該電線の外周に巻かれた導体シートと、当該導体シートの外周に巻かれた絶縁シートとを備えたシールド電線において、
前記絶縁シートの内面には、粘着層が設けられており、
前記絶縁シートが、前記粘着層が前記導体シートの外面に貼り付けられて構成されていることを特徴とするシールド電線。
【請求項2】
前記絶縁シートが、導体シートが巻かれた少なくとも一本の電線と平行な状態で、前記内面の一部が前記少なくとも一本の電線の外周に巻かれた導体シートに貼り付けられて構成されていることを特徴とする請求項1記載のシールド電線。
【請求項3】
前記絶縁シートの周りに設けられた摩耗防止部材及び/又は遮熱部材を更に備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のシールド電線。
【請求項4】
前記電線が複数設けられており、これら複数の電線同士が撚り合わされ、又はこれら複数の電線同士が非撚り合わせにされ、或いは、これら複数の電線同士を撚り合わせと非撚り合わせの組み合わせにされていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のうちいずれか一項に記載のシールド電線。
【請求項5】
前記導体シートが、その一側部が絶縁層のみで構成され、又は、その一側部が内側に折り返されて折り返し部に形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のうちいずれか一項に記載のシールド電線。
【請求項6】
少なくとも一本の電線と、当該電線の外周に巻かれた導体シートと、当該導体シートの外周に巻かれた絶縁シートとを備えたシールド電線を組み立てるシールド電線組立方法において、
前記絶縁シートの内面には、粘着層が設けられており、
前記導体シートが巻かれた少なくとも一本の電線と平行な状態で、前記内面の一部を前記導体シートに接触するように前記絶縁シートを重ね、当該一部から幅方向の端部に向かって順に前記導体シートに前記絶縁シートを貼り付けることを特徴とするシールド電線組立方法。
【請求項7】
少なくとも一本の電線と、当該電線の外周に巻かれた導体シートと、当該導体シートの外周に巻かれかつ内面に設けられた粘着層が導体シートに密着した絶縁シートとを備えたシールド電線を組み立てるシールド電線組立装置において、
前記電線を張設する張設ユニットと、
前記張設ユニットにより張設された前記電線の外周に前記導体シートを巻き付ける導体シート巻き付けユニットと、
前記導体シートが巻かれた少なくとも一本の電線と平行な状態で、前記内面の一部が前記導体シートに接触するように前記絶縁シートを重ね、当該一部から幅方向の端部に向かって順に前記導体シートに前記絶縁シートを貼り付けるように、前記電線の外周に巻き付けられた前記導体シートの外周に前記絶縁シートを巻き付ける絶縁シート巻き付けユニットと、を備えたことを特徴とするシールド電線組立装置。
【請求項8】
前記絶縁シート巻き付けユニットは、
前記絶縁シートを送り出すことが可能なシート送りユニットと、
前記電線の外周に巻き付けられた前記導体シートの外周に前記絶縁シートを巻き付けるように前記シート送りユニットにより送り出される前記絶縁シートを案内する絶縁巻き付け部と、を備えたことを特徴とする請求項7記載のシールド電線組立装置。
【請求項9】
前記絶縁巻き付け部は、前記シート送りユニットの前記絶縁シートを送り出す方向に沿って複数並べられるとともに外周面に前記絶縁シートを前記導体シートの外周に巻き付けるための湾曲面が設けられた巻き付けローラが複数設けられ、前記複数の巻き付けローラの前記湾曲面が前記送り出す方向の前方に向かうにしたがって前記絶縁シートとの接触面積が徐々に大きくなりかつ曲率半径が徐々に小さくなるように形成されていることを特徴とする請求項8記載のシールド電線組立装置。
【請求項10】
前記複数の巻き付けローラのうちの前記送り出す方向の最も前方に位置する一つの巻き付けローラが、前記張設ユニットにより張設された前記電線の長手方向に対して交差する方向に沿って並べられているとともに互いに相対する前記湾曲面が形成された一対のローラを備えたことを特徴とする請求項9記載のシールド電線組立装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
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【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
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【図42】
【図43】
【図44】
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【図47】
【公開番号】特開2012−124137(P2012−124137A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−9950(P2011−9950)
【出願日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】
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