シールパッキン組付装置およびシールパッキン組付方法
【課題】シールパッキンの組み付けの確実性を向上する。
【解決手段】熱交換器の構成部品であるコアプレート5にシールパッキン9を組み付けるシールパッキン組付装置であって、シールパッキン9をコアプレート5の溝5eに押し付けながら溝5eに沿って回転移動するローラー132aと、コアプレート5に当接するガイド部材132b、132c、132dとを備え、ローラー132aは、ガイド部材132b、132c、132dがコアプレート5から受ける反力により、コアプレート5の形状に合わせて変位するように支持されている。
【解決手段】熱交換器の構成部品であるコアプレート5にシールパッキン9を組み付けるシールパッキン組付装置であって、シールパッキン9をコアプレート5の溝5eに押し付けながら溝5eに沿って回転移動するローラー132aと、コアプレート5に当接するガイド部材132b、132c、132dとを備え、ローラー132aは、ガイド部材132b、132c、132dがコアプレート5から受ける反力により、コアプレート5の形状に合わせて変位するように支持されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器のタンクを構成するコアプレート(座板)にシールパッキンを組み付ける組付装置、およびそれを用いるシールパッキン組付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1には、シールパッキンの組付装置および組付方法が記載されている。この従来技術では、シールパッキンを把持機構で把持してコアプレートの上方に搬送し、把持機構を開放してシールパッキンを落下させて、シールパッキンをコアプレートの環状凹溝に挿入する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平2−110432号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術では、コアプレートの上方からシールパッキンを落下させるだけなので、シールパッキンをコアプレートの環状凹溝に確実に挿入できる保障がない。
【0005】
例えば、コアプレートの環状凹溝の側壁に油が付着している場合、シールパッキンが側壁にくっついてしまい、環状凹溝の底まで落下しないことが起こり得る。
【0006】
また例えば、前工程でコアプレートにチューブをろう付けした際にコアプレートが熱変形した場合、シールパッキンがコアプレートの環状凹溝からずれてしまうことが起こり得る。
【0007】
本発明は上記点に鑑みて、シールパッキンの組み付けの確実性を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、熱交換器の構成部品であるコアプレート(5)にシールパッキン(9)を組み付けるシールパッキン組付装置であって、
シールパッキン(9)をコアプレート(5)の溝(5e)に押し付けながら溝(5e)に沿って回転移動するローラー(132a)と、
コアプレート(5)に当接するガイド部材(132b、132c、132d)とを備え、
ローラー(132a)は、ガイド部材(132b、132c、132d)がコアプレート(5)から受ける反力により、コアプレート(5)の形状に合わせて変位するように支持されていることを特徴とする。
【0009】
これによると、ローラー(132a)がコアプレート(5)の形状に沿って変位するので、コアプレート(5)が変形していてもローラー(132a)がコアプレート(5)の溝(5e)からずれることを抑制できる。このため、シールパッキン(9)の組み付けの確実性を向上することができる。
【0010】
例えば、ガイド部材(132b、132c、132d)は、コアプレート(5)に、コアプレート(5)の短手方向に当接し、ローラー(132a)は、ガイド部材(132b、132c、132d)がコアプレート(5)から受ける反力により、コアプレート(5)の短手方向に変位するように支持されていればよい。
【0011】
これによると、コアプレート(5)がその短手方向に反り変形していても、ローラー(132a)をコアプレート(5)の溝(5e)に沿って回転移動させることができる。このため、シールパッキン(9)のねじれを抑制できる。
【0012】
例えば、ガイド部材(132b、132c、132d)は、コアプレート(5)に、コアプレート(5)の厚さ方向に当接し、ローラー(132a)は、ガイド部材(132b、132c、132d)がコアプレート(5)から受ける反力により、コアプレート(5)の厚さ方向に変位するように支持されていればよい。
【0013】
これによると、コアプレート(5)がその厚さ方向に反り変形していても、ローラー(132a)によるシールパッキン(9)の押し込み量を一定に近づけることができる。このため、シールパッキン(9)の浮きを抑制できる。
【0014】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載のシールパッキン組付装置において、ローラー(132a)は、溝(5e)の長手方向中央側から長手方向両端側に向かって回転移動することを特徴とする。
【0015】
これによると、シールパッキン(9)に余長がある場合、シールパッキン(9)の余長分を溝(5e)の長手方向両端側へ持っていくことができる。このため、溝(5e)の長手方向中央側でシールパッキン(9)の余長分がはみ出すことを抑制できる。
【0016】
請求項3に記載の発明では、請求項2に記載のシールパッキン組付装置において、ローラー(132a)によって溝(5e)に押し込まれたシールパッキン(9)の長手方向両端部を溝の長手方向両端部に押し込むプッシャ(133a)を備えることを特徴とする。
【0017】
これによると、シールパッキン(9)の余長分を溝の長手方向両端部に押し込むことができるので、溝(5e)の長手方向両端部でもシールパッキン(9)の余長分がはみ出すことを抑制できる。
【0018】
請求項4に記載の発明では、請求項1ないし3のいずれか1つに記載のシールパッキン組付装置において、シールパッキン(9)が仮置きされる仮置き台(111)と、
仮置き台(111)に仮置きされたシールパッキン(9)を長手方向両方向に均等に伸ばす伸長機構(113)と、
伸長機構(113)によって長手方向両方向に均等に伸ばされたシールパッキン(9)を掴んでコアプレート(5)の近傍へ搬送する搬送手段(12)とを備えることを特徴とする。
【0019】
これにより、シールパッキン(9)の長手方向における中心の位置を拾うことができるので、シールパッキン(9)の余長分を溝(5e)の長手方向両端部に均等に振り分けることができる。
【0020】
請求項5に記載の発明では、請求項1ないし4のいずれか1つに記載のシールパッキン組付装置を用いてコアプレート(5)にシールパッキン(9)を組み付けることを特徴とする。
【0021】
以上では、本発明をシールパッキン組付装置およびシールパッキン組付方法の発明として把握した場合について説明したが、本発明を熱交換器の製造装置および熱交換器の製造方法の発明として把握することも可能である。
【0022】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】一実施形態におけるシールパッキン組付装置を用いて組み立てられるラジエータの斜視図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】コアプレートおよびシールパッキンの単体状態を示す平面図である。
【図4】シールパッキンが組み付けられたコアプレートの平面図である。
【図5】ろう付け工程によって得られたワークWの二面図である。
【図6】シールパッキン組付装置の正面図である。
【図7】シールパッキン組付装置の側面図である。
【図8】仮置きステーションの二面図である。
【図9】搬送ローダおよび組み付けステーションを示す模式図である。
【図10】組み付けステーションの二面図である。
【図11】組み付け可動部の断面図である。
【図12】図12のB−B断面図およびC−C断面図である。
【図13】両端組み付け部およびその近傍を示す斜視図である。
【図14】図13(b)の水平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、一実施形態を説明する。本実施形態では、本発明に係るシールパッキン組付装置およびシールパッキン組付方法を、エンジン冷却水と空気との間で熱交換を行いエンジン冷却水を冷却する自動車用ラジエータの組立工程に適用した場合を例として説明する。
【0025】
図1は、本実施形態に係るラジエータを示す斜視図である。図1に示すように、本実施形態のラジエータ1は、複数のチューブ2およびフィン3からなるコア部と、コア部の両端部に組み付け配置される一対のヘッダタンク4とを有している。
【0026】
チューブ2は流体(本実施形態ではエンジン冷却水)が流れる管であり、このチューブ2は、空気流れ方向が長径方向と一致するように扁平状に形成されているとともに、その長手方向が垂直方向に一致するように水平方向に複数本平行に配置されている。
【0027】
フィン3は、波状に成形されるとともに、チューブ2の両側の扁平面に接合されており、このフィン3により空気との伝熱面積を増大させてチューブ2内を流通するエンジン冷却水と空気との熱交換を促進している。
【0028】
ヘッダタンク4は、チューブ2の長手方向(以下、チューブ長手方向という)の両端部にてチューブ長手方向と直交する方向に延びて複数のチューブ2と連通するものである。本実施形態では、ヘッダタンク4は、チューブ2の上下端に配置されており、水平方向に延びて複数のチューブ2と連通している。このヘッダタンク4は、チューブ2が挿入接合されるコアプレート5と、コアプレート5とともにタンク空間を構成するタンク本体6とを有して構成されている。
【0029】
また、コア部におけるチューブ2の積層方向の両端部には、コア部を補強するサイドプレート7が設けられている。サイドプレート7は、チューブ長手方向と平行に延びてその両端部がヘッダタンク4に接続されている。
【0030】
一対のヘッダタンク4のうち上側に配置されているヘッダタンクには、タンク内空間にエンジン冷却水を流入させる冷却水流入口8Aが設けられている。一対のヘッダタンク4のうち下側に配置されているヘッダタンクには、タンク内空間からエンジン冷却水を流出させる冷却水流出口8Bが設けられている。
【0031】
次に、ヘッダタンク4の詳細な構成について説明する。図2は図1のA−A断面図である。
【0032】
ヘッダタンク4は、チューブ2およびサイドプレート7が挿入接合されるコアプレート5、コアプレート5と共にヘッダタンク4内の空間であるタンク内空間を構成するタンク本体6、およびコアプレート5とタンク本体6との間をシールするシール部材としてのシールパッキン9を有している。
【0033】
そして、コアプレート5をアルミニウム合金製とし、タンク本体6をガラス繊維で強化されたガラス強化ポリアミド等の樹脂製として、ゴム製のシールパッキン9をコアプレート5とタンク本体6との間に挟んだ状態で、コアプレート5の突起片5aをタンク本体6に押し付けるように塑性変形させてタンク本体6をコアプレート5にカシメ固定している。シールパッキン9は、弾性変形可能なゴムにより構成されたシール部材である。
【0034】
図3はコアプレート5およびシールパッキン9の単体状態を示す平面図である。図3(a)に示すように、コアプレート5は、平面形状が矩形状になっており、チューブ2の積層方向が長手方向となっている。
【0035】
コアプレート5は、チューブ2が接合されるチューブ接合面5bを有している。チューブ接合面5bには、チューブ2が挿入されてろう付けされるチューブ挿入穴5cがチューブ積層方向に沿って多数形成されている。さらに、チューブ接合面5bには、サイドプレート7が挿入されてろう付けされるサイドプレート挿入穴5dが、チューブ接合面5bにおけるチューブ積層方向の両端側に1つずつ形成されている。
【0036】
チューブ接合面5bの周囲には、シールパッキン9が挿入される溝5eがコアプレート5の全周に亘って形成されている。溝5eは、平面形状が矩形の環状になっている。溝5eの周囲には、突起片5aが多数形成されている。タンク本体6のスカート部6aは、タンク内空間を囲むように矩形の環状に形成されている。
【0037】
シールパッキン9は、平面形状が矩形の環状になっている。シールパッキン9は、細長い弾性体であるので、組み付け前の単体状態では曲げ・捻り・伸び等の変形が極めて容易に起こる。図示を省略しているが、本例ではシールパッキン9は断面形状が角形の、いわゆる角パッキンになっている。
【0038】
図4(a)に示すように、溝5eの幅寸法は、単体状態でのシールパッキン9の幅寸法よりも所定量大きくなっている。このため、設計値では、溝5eの周長はシールパッキン9の周長よりも所定量大きくなっている。
【0039】
シールパッキン9は、製造上の公差や環境温度による熱膨張等によって設計値よりも長くなって、溝5eに対して余長を持つ場合がある。この余長分は、図4(b)に示すように、溝5eの周長とシールパッキン9の周長との差(周長差)によって吸収することができる。
【0040】
次に、ラジエータ1の製造方法を簡単に説明する。まず、チューブ2、フィン3、サイドプレート7およびコアプレート5を仮組み付けした後に一体ろう付けする(ろう付け工程)。
【0041】
図5は、ろう付け工程によって得られたチューブ2、フィン3、サイドプレート7およびコアプレート5(以下、ワークWと言う。)を示している。図示の都合上、図5では、チューブ2、フィン3およびサイドプレート7の細部を省略している。
【0042】
ワークWのコアプレート5は、ろう付け時の熱により熱変形が生じる。例えば、コアプレート5は、その厚さ方向(換言するとチューブ長手方向)および短手方向に反り変形が生じる。
【0043】
ろう付け工程に続いて、ワークWのコアプレート5の溝5eにシールパッキン9を挿入する(シールパッキン組み付け工程)。
【0044】
続いて、タンク本体6のスカート部6aをワークWのコアプレート5の溝5eに挿入する(タンク本体組み付け工程)。このとき、シールパッキン9は、コアプレート5とタンク本体6との間に挟まれた状態になる。
【0045】
続いて、シールパッキン9をコアプレート5とタンク本体6との間に挟んだ状態で、コアプレート5の突起片5aをタンク本体6に押し付けるように塑性変形させてタンク本体6をコアプレート5にカシメ固定する(カシメ工程)。このようにしてラジエータ1の製造が完了する。
【0046】
次に、上述のシールパッキン組み付け工程に用いられるシールパッキン組付装置を説明する。図6は本実施形態におけるシールパッキン組付装置10の正面図であり、図7はシールパッキン組付装置10の側面図である。
【0047】
シールパッキン組付装置10は、仮置きステーション11、搬送ローダ12、組み付けステーション13、ベース14および制御装置(図示せず)に大別される。仮置きステーション11、搬送ローダ12および組み付けステーション13はベース14に取り付けられている。
【0048】
仮置きステーション11では、シールパッキン9の長手方向の中心出しと位置決めとが行われる。搬送ローダ12は、仮置きステーション11から組み付けステーション13へシールパッキン9を搬送する搬送手段である。組み付けステーション13では、搬送ローダ12で搬送されたシールパッキン9がワークWのコアプレート5に組み付けられる。
【0049】
図8は仮置きステーション11の二面図である。仮置きステーション11には、仮置き台111と可動ピン112、113とが設けられている。
【0050】
仮置き台111には、作業者によってシールパッキン9が載せられる。可動ピン112は、仮置き台111に載せられたシールパッキン9の長手方向中央部近傍に位置しており、アクチュエータ114によって駆動されるようになっている。可動ピン113は、仮置き台111に載せられたシールパッキン9の両端部近傍に位置しており、アクチュエータ115によって駆動されるようになっている。
【0051】
シールパッキン9の長手方向中央部近傍に位置する可動ピン112は、シールパッキン9の短手方向(図8(b)の上下方向)に可動し、シールパッキン9の長手方向中央部近傍をシールパッキン9の短手方向に挟み込んで位置決めする。
【0052】
シールパッキン9の長手方向両端部近傍に位置する可動ピン113は、シールパッキン9の長手方向(図8(b)の左右方向)に可動し、シールパッキン9を長手方向両方向に均等に伸ばす。換言すると、可動ピン113は、シールパッキン9を長手方向両方向に均等に伸ばす伸長機構を構成している。
【0053】
図9は、搬送ローダ12および組み付けステーション13を示す模式図である。搬送ローダ12は、中央チャック121と両端チャック122とを有している。
【0054】
中央チャック121は、シールパッキン9の長手方向中央部を掴む。このとき、シールパッキン9は、仮置きステーション11の可動ピン112、113で長手方向両方向に均等に伸ばされているので、シールパッキン9の長手方向における中心の位置を機械的に拾うことができる。両端チャック122は、シールパッキン9の長手方向両端部を掴む。
【0055】
搬送ローダ12は、両端チャック122をシールパッキン9の長手方向両端側へ少し(2mm程度)引っ張る機構を有している。両端チャック122をシールパッキン9の長手方向両端側へ少し引っ張ることでシールパッキン9のたるみを抑制し、搬送中のシールパッキン9のぶれを抑えることができる。
【0056】
本例では、搬送ローダ12は、中央チャック121の近傍に、シールパッキン9の長手方向中央部をコアプレート5の環状の溝5eに押し込むプッシャ(図示せず)を有している。
【0057】
図10は組み付けステーション13の二面図である。組み付けステーション13は、ワーク固定治具131と組み付け可動部132と両端組み付け部133とを有している。
【0058】
ワーク固定治具131は、ワークWを所定の位置に固定する。ワーク固定治具131は、ワークWのコアプレート5が上方を向くようにワークWを固定する。本例では、ワーク固定治具131に対するワークWのセット作業は作業者によって行われる。
【0059】
組み付け可動部132は、コアプレート5の長手方向一端部と長手方向他端部との間に配置されており、シールパッキン9のうち長手方向両端部以外の部位をコアプレート5の溝5eに押し込む機能を有している。
【0060】
両端組み付け部133は、コアプレート5の長手方向両端部近傍に配置されており、シールパッキン9の長手方向両端部をコアプレート5の環状の溝5eに押し込む機能を有している。
【0061】
本例では、組み付け可動部132は4個設けられている。具体的には、組み付け可動部132は、ワークWのコアプレート5の長手方向に2個並び、コアプレート5の短手方向にも2個並んで設けられている。
【0062】
搬送ローダ12が仮置きステーション11のシールパッキン9を組み付けステーション13のワークW上まで搬送する際に搬送ローダ12が各組み付け可動部132と干渉することを回避するために、各組み付け可動部132は図示しない移動機構によってコアプレート5の短手方向外側に待避できるようになっている。
【0063】
図11は組み付け可動部132をコアプレート5の長手方向と直交する断面で切断したときの断面図である。図12は図11のB−B断面図およびC−C断面図である。各組み付け可動部132は、組み付け用ローラー132a、ガイドローラー132b、内ガイド132cおよび外ガイド132dを有している。
【0064】
組み付け用ローラー132aは、シールパッキン9をコアプレート5の溝5eに押し付けながらコアプレート5の長手方向に回転移動するローラーである。ガイドローラー132b、内ガイド132c、外ガイド132dは、組み付け用ローラー132aの回転移動がコアプレート5の溝5eからずれないようにガイドするガイド部材である。
【0065】
組み付け用ローラー132aは、図示しない駆動装置(駆動手段)によって回転駆動される。本例では、組み付け用ローラー132aにはプーリが軸支され、プーリにはテンションのかかったベルトが張られており、ベルト駆動により組み付け用ローラー132aが自転するようになっている。
【0066】
組み付け用ローラー132aは、回転軸がコアプレート5の短手方向に延びており、図9に模式的に示すようにシールパッキン9をコアプレート5の溝5eの底面に押し付けながら自転してコアプレート5の長手方向に移動する。
【0067】
コアプレート5の長手方向への組み付け用ローラー132aの移動は、図9に示すガイドレール132eによってガイドされる。組み付け用ローラー132aの回転移動により、シールパッキン9のうち長手方向両端部以外の部分がコアプレート5の溝5eに押し込まれる。
【0068】
図12(a)に示すように、組み付け用ローラー132aの外周形状は、複数の凹凸が設けられた形状になっている。この複数の凹凸により、組み付け用ローラー132aでシールパッキン9をコアプレート5の溝5eに良好に押し込むことができる。具体的には、、組み付け用ローラー132aがシールパッキン9に対して滑ること、組み付け用ローラー132aにシールパッキン9が貼り付くこと、およびシールパッキン9が伸びることを抑制することができる。本例では、複数の凹凸は円周方向に均等に設けられている。
【0069】
ガイドローラー132b、内ガイド132cおよび外ガイド132dは、組み付け用ローラー132aの回転移動に伴って、組み付け用ローラー132aと一体となってコアプレート5の長手方向に移動する構造となっている。
【0070】
さらに、組み付け用ローラー132a、ガイドローラー132b、内ガイド132c、外ガイド132dおよびガイドレール132eは、熱変形したコアプレート5の形状に応じて変位可能になっている。
【0071】
具体的には、組み付け用ローラー132a、ガイドローラー132b、内ガイド132c、外ガイド132dおよびガイドレール132eを有するフローティングユニットが、図示しないフローティング機構によって支持されている。本例では、フローティングユニット(組み付け用ローラー132a、ガイドローラー132b、内ガイド132c、外ガイド132dおよびガイドレール132e)は、コアプレート5の厚み方向(上下方向)および長手方向に変位可能にフローティング支持されている。
【0072】
図9(b)に模式的に示すように、ガイドローラー132bは、コアプレート5の外側面に当接するようになっており、ガイドローラー132bがコアプレート5の外側面から受ける反力により、フローティングユニット132a〜132eがコアプレート5の短手方向に変位する。
【0073】
これにより、ろう付け工程でコアプレート5がその短手方向に熱変形していても、組み付け用ローラー132aをコアプレート5の溝5eに沿って移動させることができる。
【0074】
内ガイド132cは、コアプレート5のチューブ接合面5bの上面に当接するようになっている。外ガイド132dは、コアプレート5の突起片5aの上端に当接するようになっている。本例では、図12(a)に示すように、外ガイド132dにローラ132fが組み込まれている。
【0075】
内ガイド132cがコアプレート5のチューブ接合面5bから受ける反力、および外ガイド132dがコアプレート5の突起片5aから受ける反力により、フローティングユニット132a〜132eがコアプレート5の厚さ方向(上下方向)に変位する。
【0076】
これにより、ろう付け工程でコアプレート5がその厚さ方向に熱変形していても、組み付け用ローラー132aによるシールパッキン9の押し込み量を一定にすることができる。
【0077】
上述のように、搬送ローダ12が組み付け可動部132と干渉することを回避するために組み付け可動部132はコアプレート5の短手方向外側に待避できるようになっている。この組み付け可動部132の待避の際に組み付け用ローラー132a、内ガイド132cおよび外ガイド132dがコアプレート5の突起片5aと干渉することを回避するために、組み付け用ローラー132a、内ガイド132cおよび外ガイド132dは図示しない移動機構によって上方側に待避できるようになっている。
【0078】
図13は両端組み付け部133およびその近傍を示す斜視図であり、図13(a)は組み付け可動部132がコアプレート5の長手方向両端部から離れている状態を示し、図13(b)は組み付け可動部132がコアプレート5の長手方向両端部近傍まで移動した状態を示している。図14は図13(b)の水平断面図である。
【0079】
両端組み付け部133は、プッシャ133aと端部ガイド133bとを有している。これらプッシャ133aおよび端部ガイド133bは、図示しないフローティング機構によって、コアプレート5の長手方向および短手方向にフローティング支持されている。
【0080】
プッシャ133aは、シールパッキン9のコーナー部をコアプレート5の溝5eのコーナー部に押し込むための部材であり、図示しないアクチュエータによって上下方向(コアプレート5の厚さ方向)に駆動されるようになっている。
【0081】
端部ガイド133bは、コアプレート5のコーナー部の外側面に当接するようになっており、端部ガイド133bがコアプレート5のコーナー部から受ける反力により、フローティング支持されたプッシャ133aおよび端部ガイド133bがコアプレート5の長手方向および短手方向に変位移動する。これにより、コアプレート5がろう付け時に熱変形していても、プッシャ133aがコアプレート5の溝5eからずれることを防止できる。また、端部ガイド133bは、コアプレート5の脱着用に前後動作を与える役割も果たす。
【0082】
制御装置(図示せず)は、上述の仮置きステーション11、搬送ローダ12および組み付けステーション13に設けられた各種機器を制御する。制御装置としては、例えばPLC(プログラマブルロジックコントローラ)を有しているものを用いることができる。制御装置は、作業者によって操作される操作盤を有している。
【0083】
次に、上記のシールパッキン組付装置10を用いてシールパッキン9をコアプレート5に組み付ける方法(シールパッキン組付方法)を説明する。
【0084】
まず、作業者は、仮置きステーション11の仮置き台111にシールパッキン9を載せるとともに、組み付けステーション13のワーク固定治具131にワークWをセットした後、制御装置(図示せず)の操作盤の起動スイッチを押す。これにより、シールパッキン組付装置10がシールパッキン9をコアプレート5に自動的に組み付ける。
【0085】
具体的には、まず、仮置きステーション11の可動ピン112、113が移動してシールパッキン9の中心出しと位置決めとを行い、中心出しと位置決めとが行われた状態で搬送ローダ12が中央チャック121と両端チャック122とでシールパッキン9を把持する。
【0086】
次いで、搬送ローダ12がシールパッキン9を組み付けステーション13の上方へ搬送する。より具体的には、シールパッキン9をワークWのコアプレート5の真上に搬送する。
【0087】
このとき、両端チャック122をシールパッキン9の長手方向両端側へ少し引っ張ることでシールパッキン9のたるみを抑制し、搬送中のシールパッキン9のぶれを抑える。
【0088】
次いで、搬送ローダ12の中央チャック121がシールパッキン9の長手方向中央部を開放するとともに、搬送ローダ12のプッシャ(図示せず)がシールパッキン9の長手方向中央部をコアプレート5の溝5eに押し込む。このとき、搬送ローダ12の両端チャック122はシールパッキン9を掴んだままなので、シールパッキン9は長手方向中央部以外の部位がコアプレート5から浮き上がった状態となる。
【0089】
次いで、図9(a)に模式的に示すように組み付け用ローラー132aがシールパッキン9をコアプレート5の溝5eの底面に押し付けながら回転する。これにより、組み付け用ローラー132aがガイドレール132eにガイドされながらコアプレート5の長手方向中央部側から長手方向両端部側に向かって移動する。このため、シールパッキン9の長手方向両端部以外の部分が長手方向中央側から長手方向両端側に向かって順次コアプレート5の溝5eに押し込まれる。
【0090】
このとき、図9(b)に模式的に示すようにガイドローラー132b、内ガイド132cおよび外ガイド132dはコアプレート5の各部に当接している。上述のごとく、組み付け用ローラー132a、ガイドローラー132b、内ガイド132c、外ガイド132dおよびガイドレール132eはフローティング支持されている。
【0091】
このため、ガイドローラー132b、内ガイド132cおよび外ガイド132dがコアプレート5の各部から受ける反力により組み付け用ローラー132aがコアプレート5の形状に合わせて変位する。これにより、コアプレート5がろう付け時に熱変形していても、組み付け用ローラー132aをコアプレート5の溝5eに沿って回転移動させてシールパッキン9をコアプレート5の溝5eに確実に押し込むことができる。
【0092】
組み付け可動部132がコアプレート5の長手方向両端部近傍に到達すると、搬送ローダ12の両端チャック122がシールパッキン9の長手方向両端部を開放する。これと同時に、両端組み付け部133のプッシャ133aがシールパッキン9のコーナー部をコアプレート5の溝5eのコーナー部に押し込む。
【0093】
このとき、図14に示すように両端組み付け部133の端部ガイド133bはコアプレート5のコーナー部の外側面に当接している。上述のごとく、プッシャ133aおよび端部ガイド133bはフローティング支持されている。
【0094】
このため、端部ガイド133bがコアプレート5のコーナー部の外側面から受ける反力により、プッシャ133aがコアプレート5のコーナー部の位置に合わせて変位する。これにより、コアプレート5がろう付け時に熱変形していても、プッシャ133aでシールパッキン9のコーナー部をコアプレート5の溝5eのコーナー部に確実に押し込むことができる。
【0095】
このようにして、コアプレート5の溝5eへのシールパッキン9の組み付けが完了する。
【0096】
本実施形態の組付装置によると、組み付け用ローラー132aがシールパッキン9を長手方向中央側から両端側に向かって押し込むので、シールパッキン9の余長分をコアプレート5の溝5eの長手方向両端側へ持っていくことができる。
【0097】
図4(b)に示すように、コアプレート5の溝5eの長手方向両端部ではシールパッキン9の収納スペースに余裕があるので、コアプレート5の溝5eの長手方向両端側でシールパッキン9の余長分を吸収することができる。
【0098】
そして、コアプレート5の溝5eの長手方向両端側ではプッシャ133aがシールパッキン9のコーナー部をコアプレート5の溝5eのコーナー部に押し込むので、シールパッキン9の余長分をコアプレート5の溝5eに押し込むことができる。
【0099】
しかも、組み付け用ローラー132aおよびプッシャ133aはフローティング支持されていて、コアプレート5の形状に合わせて変位するので、コアプレート5がろう付け時に熱変形していても組み付け用ローラー132aおよびプッシャ133aでシールパッキン9をコアプレート5の溝5eに確実に押し込むことができる。特にシールパッキン9が角パッキンである場合、シールパッキン9のねじれを防止することができる。
【0100】
また、仮置きステーション11でシールパッキン9を長手方向両方向に均等に伸ばし、長手方向両方向に均等に伸ばされたシールパッキン9の長手方向中央部を搬送ローダ12で掴むので、シールパッキン9の長手方向における中心の位置を機械的に拾うことができる。
【0101】
このため、組み付け用ローラー132aでシールパッキン9を長手方向中央側から両端側に向かって押し込んだ場合にシールパッキン9の余長分を長手方向両端側に均等に振り分けることができる。その結果、シールパッキン9の余長分をコアプレート5の溝5eの長手方向両端側で確実に吸収することができる。
【0102】
(他の実施形態)
上述の実施形態では、自動車用ラジエータの構成部品であるコアプレートにシールパッキンを組み付けるシールパッキン組付装置およびシールパッキン組付方法を例に挙げて説明したが、本発明は、種々の熱交換器の構成部品であるコアプレートにシールパッキンを組み付けるシールパッキン組付装置およびシールパッキン組付方法に適用することができる。
【符号の説明】
【0103】
5 コアプレート
5e 溝
9 シールパッキン
111 仮置き台
113 可動ピン(伸長機構)
132a 組み付け用ローラー(ローラー)
132b ガイドローラー(ガイド部材)
132c 内ガイド(ガイド部材)
132d 外ガイド(ガイド部材)
133a プッシャ
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器のタンクを構成するコアプレート(座板)にシールパッキンを組み付ける組付装置、およびそれを用いるシールパッキン組付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1には、シールパッキンの組付装置および組付方法が記載されている。この従来技術では、シールパッキンを把持機構で把持してコアプレートの上方に搬送し、把持機構を開放してシールパッキンを落下させて、シールパッキンをコアプレートの環状凹溝に挿入する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平2−110432号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術では、コアプレートの上方からシールパッキンを落下させるだけなので、シールパッキンをコアプレートの環状凹溝に確実に挿入できる保障がない。
【0005】
例えば、コアプレートの環状凹溝の側壁に油が付着している場合、シールパッキンが側壁にくっついてしまい、環状凹溝の底まで落下しないことが起こり得る。
【0006】
また例えば、前工程でコアプレートにチューブをろう付けした際にコアプレートが熱変形した場合、シールパッキンがコアプレートの環状凹溝からずれてしまうことが起こり得る。
【0007】
本発明は上記点に鑑みて、シールパッキンの組み付けの確実性を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、熱交換器の構成部品であるコアプレート(5)にシールパッキン(9)を組み付けるシールパッキン組付装置であって、
シールパッキン(9)をコアプレート(5)の溝(5e)に押し付けながら溝(5e)に沿って回転移動するローラー(132a)と、
コアプレート(5)に当接するガイド部材(132b、132c、132d)とを備え、
ローラー(132a)は、ガイド部材(132b、132c、132d)がコアプレート(5)から受ける反力により、コアプレート(5)の形状に合わせて変位するように支持されていることを特徴とする。
【0009】
これによると、ローラー(132a)がコアプレート(5)の形状に沿って変位するので、コアプレート(5)が変形していてもローラー(132a)がコアプレート(5)の溝(5e)からずれることを抑制できる。このため、シールパッキン(9)の組み付けの確実性を向上することができる。
【0010】
例えば、ガイド部材(132b、132c、132d)は、コアプレート(5)に、コアプレート(5)の短手方向に当接し、ローラー(132a)は、ガイド部材(132b、132c、132d)がコアプレート(5)から受ける反力により、コアプレート(5)の短手方向に変位するように支持されていればよい。
【0011】
これによると、コアプレート(5)がその短手方向に反り変形していても、ローラー(132a)をコアプレート(5)の溝(5e)に沿って回転移動させることができる。このため、シールパッキン(9)のねじれを抑制できる。
【0012】
例えば、ガイド部材(132b、132c、132d)は、コアプレート(5)に、コアプレート(5)の厚さ方向に当接し、ローラー(132a)は、ガイド部材(132b、132c、132d)がコアプレート(5)から受ける反力により、コアプレート(5)の厚さ方向に変位するように支持されていればよい。
【0013】
これによると、コアプレート(5)がその厚さ方向に反り変形していても、ローラー(132a)によるシールパッキン(9)の押し込み量を一定に近づけることができる。このため、シールパッキン(9)の浮きを抑制できる。
【0014】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載のシールパッキン組付装置において、ローラー(132a)は、溝(5e)の長手方向中央側から長手方向両端側に向かって回転移動することを特徴とする。
【0015】
これによると、シールパッキン(9)に余長がある場合、シールパッキン(9)の余長分を溝(5e)の長手方向両端側へ持っていくことができる。このため、溝(5e)の長手方向中央側でシールパッキン(9)の余長分がはみ出すことを抑制できる。
【0016】
請求項3に記載の発明では、請求項2に記載のシールパッキン組付装置において、ローラー(132a)によって溝(5e)に押し込まれたシールパッキン(9)の長手方向両端部を溝の長手方向両端部に押し込むプッシャ(133a)を備えることを特徴とする。
【0017】
これによると、シールパッキン(9)の余長分を溝の長手方向両端部に押し込むことができるので、溝(5e)の長手方向両端部でもシールパッキン(9)の余長分がはみ出すことを抑制できる。
【0018】
請求項4に記載の発明では、請求項1ないし3のいずれか1つに記載のシールパッキン組付装置において、シールパッキン(9)が仮置きされる仮置き台(111)と、
仮置き台(111)に仮置きされたシールパッキン(9)を長手方向両方向に均等に伸ばす伸長機構(113)と、
伸長機構(113)によって長手方向両方向に均等に伸ばされたシールパッキン(9)を掴んでコアプレート(5)の近傍へ搬送する搬送手段(12)とを備えることを特徴とする。
【0019】
これにより、シールパッキン(9)の長手方向における中心の位置を拾うことができるので、シールパッキン(9)の余長分を溝(5e)の長手方向両端部に均等に振り分けることができる。
【0020】
請求項5に記載の発明では、請求項1ないし4のいずれか1つに記載のシールパッキン組付装置を用いてコアプレート(5)にシールパッキン(9)を組み付けることを特徴とする。
【0021】
以上では、本発明をシールパッキン組付装置およびシールパッキン組付方法の発明として把握した場合について説明したが、本発明を熱交換器の製造装置および熱交換器の製造方法の発明として把握することも可能である。
【0022】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】一実施形態におけるシールパッキン組付装置を用いて組み立てられるラジエータの斜視図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】コアプレートおよびシールパッキンの単体状態を示す平面図である。
【図4】シールパッキンが組み付けられたコアプレートの平面図である。
【図5】ろう付け工程によって得られたワークWの二面図である。
【図6】シールパッキン組付装置の正面図である。
【図7】シールパッキン組付装置の側面図である。
【図8】仮置きステーションの二面図である。
【図9】搬送ローダおよび組み付けステーションを示す模式図である。
【図10】組み付けステーションの二面図である。
【図11】組み付け可動部の断面図である。
【図12】図12のB−B断面図およびC−C断面図である。
【図13】両端組み付け部およびその近傍を示す斜視図である。
【図14】図13(b)の水平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、一実施形態を説明する。本実施形態では、本発明に係るシールパッキン組付装置およびシールパッキン組付方法を、エンジン冷却水と空気との間で熱交換を行いエンジン冷却水を冷却する自動車用ラジエータの組立工程に適用した場合を例として説明する。
【0025】
図1は、本実施形態に係るラジエータを示す斜視図である。図1に示すように、本実施形態のラジエータ1は、複数のチューブ2およびフィン3からなるコア部と、コア部の両端部に組み付け配置される一対のヘッダタンク4とを有している。
【0026】
チューブ2は流体(本実施形態ではエンジン冷却水)が流れる管であり、このチューブ2は、空気流れ方向が長径方向と一致するように扁平状に形成されているとともに、その長手方向が垂直方向に一致するように水平方向に複数本平行に配置されている。
【0027】
フィン3は、波状に成形されるとともに、チューブ2の両側の扁平面に接合されており、このフィン3により空気との伝熱面積を増大させてチューブ2内を流通するエンジン冷却水と空気との熱交換を促進している。
【0028】
ヘッダタンク4は、チューブ2の長手方向(以下、チューブ長手方向という)の両端部にてチューブ長手方向と直交する方向に延びて複数のチューブ2と連通するものである。本実施形態では、ヘッダタンク4は、チューブ2の上下端に配置されており、水平方向に延びて複数のチューブ2と連通している。このヘッダタンク4は、チューブ2が挿入接合されるコアプレート5と、コアプレート5とともにタンク空間を構成するタンク本体6とを有して構成されている。
【0029】
また、コア部におけるチューブ2の積層方向の両端部には、コア部を補強するサイドプレート7が設けられている。サイドプレート7は、チューブ長手方向と平行に延びてその両端部がヘッダタンク4に接続されている。
【0030】
一対のヘッダタンク4のうち上側に配置されているヘッダタンクには、タンク内空間にエンジン冷却水を流入させる冷却水流入口8Aが設けられている。一対のヘッダタンク4のうち下側に配置されているヘッダタンクには、タンク内空間からエンジン冷却水を流出させる冷却水流出口8Bが設けられている。
【0031】
次に、ヘッダタンク4の詳細な構成について説明する。図2は図1のA−A断面図である。
【0032】
ヘッダタンク4は、チューブ2およびサイドプレート7が挿入接合されるコアプレート5、コアプレート5と共にヘッダタンク4内の空間であるタンク内空間を構成するタンク本体6、およびコアプレート5とタンク本体6との間をシールするシール部材としてのシールパッキン9を有している。
【0033】
そして、コアプレート5をアルミニウム合金製とし、タンク本体6をガラス繊維で強化されたガラス強化ポリアミド等の樹脂製として、ゴム製のシールパッキン9をコアプレート5とタンク本体6との間に挟んだ状態で、コアプレート5の突起片5aをタンク本体6に押し付けるように塑性変形させてタンク本体6をコアプレート5にカシメ固定している。シールパッキン9は、弾性変形可能なゴムにより構成されたシール部材である。
【0034】
図3はコアプレート5およびシールパッキン9の単体状態を示す平面図である。図3(a)に示すように、コアプレート5は、平面形状が矩形状になっており、チューブ2の積層方向が長手方向となっている。
【0035】
コアプレート5は、チューブ2が接合されるチューブ接合面5bを有している。チューブ接合面5bには、チューブ2が挿入されてろう付けされるチューブ挿入穴5cがチューブ積層方向に沿って多数形成されている。さらに、チューブ接合面5bには、サイドプレート7が挿入されてろう付けされるサイドプレート挿入穴5dが、チューブ接合面5bにおけるチューブ積層方向の両端側に1つずつ形成されている。
【0036】
チューブ接合面5bの周囲には、シールパッキン9が挿入される溝5eがコアプレート5の全周に亘って形成されている。溝5eは、平面形状が矩形の環状になっている。溝5eの周囲には、突起片5aが多数形成されている。タンク本体6のスカート部6aは、タンク内空間を囲むように矩形の環状に形成されている。
【0037】
シールパッキン9は、平面形状が矩形の環状になっている。シールパッキン9は、細長い弾性体であるので、組み付け前の単体状態では曲げ・捻り・伸び等の変形が極めて容易に起こる。図示を省略しているが、本例ではシールパッキン9は断面形状が角形の、いわゆる角パッキンになっている。
【0038】
図4(a)に示すように、溝5eの幅寸法は、単体状態でのシールパッキン9の幅寸法よりも所定量大きくなっている。このため、設計値では、溝5eの周長はシールパッキン9の周長よりも所定量大きくなっている。
【0039】
シールパッキン9は、製造上の公差や環境温度による熱膨張等によって設計値よりも長くなって、溝5eに対して余長を持つ場合がある。この余長分は、図4(b)に示すように、溝5eの周長とシールパッキン9の周長との差(周長差)によって吸収することができる。
【0040】
次に、ラジエータ1の製造方法を簡単に説明する。まず、チューブ2、フィン3、サイドプレート7およびコアプレート5を仮組み付けした後に一体ろう付けする(ろう付け工程)。
【0041】
図5は、ろう付け工程によって得られたチューブ2、フィン3、サイドプレート7およびコアプレート5(以下、ワークWと言う。)を示している。図示の都合上、図5では、チューブ2、フィン3およびサイドプレート7の細部を省略している。
【0042】
ワークWのコアプレート5は、ろう付け時の熱により熱変形が生じる。例えば、コアプレート5は、その厚さ方向(換言するとチューブ長手方向)および短手方向に反り変形が生じる。
【0043】
ろう付け工程に続いて、ワークWのコアプレート5の溝5eにシールパッキン9を挿入する(シールパッキン組み付け工程)。
【0044】
続いて、タンク本体6のスカート部6aをワークWのコアプレート5の溝5eに挿入する(タンク本体組み付け工程)。このとき、シールパッキン9は、コアプレート5とタンク本体6との間に挟まれた状態になる。
【0045】
続いて、シールパッキン9をコアプレート5とタンク本体6との間に挟んだ状態で、コアプレート5の突起片5aをタンク本体6に押し付けるように塑性変形させてタンク本体6をコアプレート5にカシメ固定する(カシメ工程)。このようにしてラジエータ1の製造が完了する。
【0046】
次に、上述のシールパッキン組み付け工程に用いられるシールパッキン組付装置を説明する。図6は本実施形態におけるシールパッキン組付装置10の正面図であり、図7はシールパッキン組付装置10の側面図である。
【0047】
シールパッキン組付装置10は、仮置きステーション11、搬送ローダ12、組み付けステーション13、ベース14および制御装置(図示せず)に大別される。仮置きステーション11、搬送ローダ12および組み付けステーション13はベース14に取り付けられている。
【0048】
仮置きステーション11では、シールパッキン9の長手方向の中心出しと位置決めとが行われる。搬送ローダ12は、仮置きステーション11から組み付けステーション13へシールパッキン9を搬送する搬送手段である。組み付けステーション13では、搬送ローダ12で搬送されたシールパッキン9がワークWのコアプレート5に組み付けられる。
【0049】
図8は仮置きステーション11の二面図である。仮置きステーション11には、仮置き台111と可動ピン112、113とが設けられている。
【0050】
仮置き台111には、作業者によってシールパッキン9が載せられる。可動ピン112は、仮置き台111に載せられたシールパッキン9の長手方向中央部近傍に位置しており、アクチュエータ114によって駆動されるようになっている。可動ピン113は、仮置き台111に載せられたシールパッキン9の両端部近傍に位置しており、アクチュエータ115によって駆動されるようになっている。
【0051】
シールパッキン9の長手方向中央部近傍に位置する可動ピン112は、シールパッキン9の短手方向(図8(b)の上下方向)に可動し、シールパッキン9の長手方向中央部近傍をシールパッキン9の短手方向に挟み込んで位置決めする。
【0052】
シールパッキン9の長手方向両端部近傍に位置する可動ピン113は、シールパッキン9の長手方向(図8(b)の左右方向)に可動し、シールパッキン9を長手方向両方向に均等に伸ばす。換言すると、可動ピン113は、シールパッキン9を長手方向両方向に均等に伸ばす伸長機構を構成している。
【0053】
図9は、搬送ローダ12および組み付けステーション13を示す模式図である。搬送ローダ12は、中央チャック121と両端チャック122とを有している。
【0054】
中央チャック121は、シールパッキン9の長手方向中央部を掴む。このとき、シールパッキン9は、仮置きステーション11の可動ピン112、113で長手方向両方向に均等に伸ばされているので、シールパッキン9の長手方向における中心の位置を機械的に拾うことができる。両端チャック122は、シールパッキン9の長手方向両端部を掴む。
【0055】
搬送ローダ12は、両端チャック122をシールパッキン9の長手方向両端側へ少し(2mm程度)引っ張る機構を有している。両端チャック122をシールパッキン9の長手方向両端側へ少し引っ張ることでシールパッキン9のたるみを抑制し、搬送中のシールパッキン9のぶれを抑えることができる。
【0056】
本例では、搬送ローダ12は、中央チャック121の近傍に、シールパッキン9の長手方向中央部をコアプレート5の環状の溝5eに押し込むプッシャ(図示せず)を有している。
【0057】
図10は組み付けステーション13の二面図である。組み付けステーション13は、ワーク固定治具131と組み付け可動部132と両端組み付け部133とを有している。
【0058】
ワーク固定治具131は、ワークWを所定の位置に固定する。ワーク固定治具131は、ワークWのコアプレート5が上方を向くようにワークWを固定する。本例では、ワーク固定治具131に対するワークWのセット作業は作業者によって行われる。
【0059】
組み付け可動部132は、コアプレート5の長手方向一端部と長手方向他端部との間に配置されており、シールパッキン9のうち長手方向両端部以外の部位をコアプレート5の溝5eに押し込む機能を有している。
【0060】
両端組み付け部133は、コアプレート5の長手方向両端部近傍に配置されており、シールパッキン9の長手方向両端部をコアプレート5の環状の溝5eに押し込む機能を有している。
【0061】
本例では、組み付け可動部132は4個設けられている。具体的には、組み付け可動部132は、ワークWのコアプレート5の長手方向に2個並び、コアプレート5の短手方向にも2個並んで設けられている。
【0062】
搬送ローダ12が仮置きステーション11のシールパッキン9を組み付けステーション13のワークW上まで搬送する際に搬送ローダ12が各組み付け可動部132と干渉することを回避するために、各組み付け可動部132は図示しない移動機構によってコアプレート5の短手方向外側に待避できるようになっている。
【0063】
図11は組み付け可動部132をコアプレート5の長手方向と直交する断面で切断したときの断面図である。図12は図11のB−B断面図およびC−C断面図である。各組み付け可動部132は、組み付け用ローラー132a、ガイドローラー132b、内ガイド132cおよび外ガイド132dを有している。
【0064】
組み付け用ローラー132aは、シールパッキン9をコアプレート5の溝5eに押し付けながらコアプレート5の長手方向に回転移動するローラーである。ガイドローラー132b、内ガイド132c、外ガイド132dは、組み付け用ローラー132aの回転移動がコアプレート5の溝5eからずれないようにガイドするガイド部材である。
【0065】
組み付け用ローラー132aは、図示しない駆動装置(駆動手段)によって回転駆動される。本例では、組み付け用ローラー132aにはプーリが軸支され、プーリにはテンションのかかったベルトが張られており、ベルト駆動により組み付け用ローラー132aが自転するようになっている。
【0066】
組み付け用ローラー132aは、回転軸がコアプレート5の短手方向に延びており、図9に模式的に示すようにシールパッキン9をコアプレート5の溝5eの底面に押し付けながら自転してコアプレート5の長手方向に移動する。
【0067】
コアプレート5の長手方向への組み付け用ローラー132aの移動は、図9に示すガイドレール132eによってガイドされる。組み付け用ローラー132aの回転移動により、シールパッキン9のうち長手方向両端部以外の部分がコアプレート5の溝5eに押し込まれる。
【0068】
図12(a)に示すように、組み付け用ローラー132aの外周形状は、複数の凹凸が設けられた形状になっている。この複数の凹凸により、組み付け用ローラー132aでシールパッキン9をコアプレート5の溝5eに良好に押し込むことができる。具体的には、、組み付け用ローラー132aがシールパッキン9に対して滑ること、組み付け用ローラー132aにシールパッキン9が貼り付くこと、およびシールパッキン9が伸びることを抑制することができる。本例では、複数の凹凸は円周方向に均等に設けられている。
【0069】
ガイドローラー132b、内ガイド132cおよび外ガイド132dは、組み付け用ローラー132aの回転移動に伴って、組み付け用ローラー132aと一体となってコアプレート5の長手方向に移動する構造となっている。
【0070】
さらに、組み付け用ローラー132a、ガイドローラー132b、内ガイド132c、外ガイド132dおよびガイドレール132eは、熱変形したコアプレート5の形状に応じて変位可能になっている。
【0071】
具体的には、組み付け用ローラー132a、ガイドローラー132b、内ガイド132c、外ガイド132dおよびガイドレール132eを有するフローティングユニットが、図示しないフローティング機構によって支持されている。本例では、フローティングユニット(組み付け用ローラー132a、ガイドローラー132b、内ガイド132c、外ガイド132dおよびガイドレール132e)は、コアプレート5の厚み方向(上下方向)および長手方向に変位可能にフローティング支持されている。
【0072】
図9(b)に模式的に示すように、ガイドローラー132bは、コアプレート5の外側面に当接するようになっており、ガイドローラー132bがコアプレート5の外側面から受ける反力により、フローティングユニット132a〜132eがコアプレート5の短手方向に変位する。
【0073】
これにより、ろう付け工程でコアプレート5がその短手方向に熱変形していても、組み付け用ローラー132aをコアプレート5の溝5eに沿って移動させることができる。
【0074】
内ガイド132cは、コアプレート5のチューブ接合面5bの上面に当接するようになっている。外ガイド132dは、コアプレート5の突起片5aの上端に当接するようになっている。本例では、図12(a)に示すように、外ガイド132dにローラ132fが組み込まれている。
【0075】
内ガイド132cがコアプレート5のチューブ接合面5bから受ける反力、および外ガイド132dがコアプレート5の突起片5aから受ける反力により、フローティングユニット132a〜132eがコアプレート5の厚さ方向(上下方向)に変位する。
【0076】
これにより、ろう付け工程でコアプレート5がその厚さ方向に熱変形していても、組み付け用ローラー132aによるシールパッキン9の押し込み量を一定にすることができる。
【0077】
上述のように、搬送ローダ12が組み付け可動部132と干渉することを回避するために組み付け可動部132はコアプレート5の短手方向外側に待避できるようになっている。この組み付け可動部132の待避の際に組み付け用ローラー132a、内ガイド132cおよび外ガイド132dがコアプレート5の突起片5aと干渉することを回避するために、組み付け用ローラー132a、内ガイド132cおよび外ガイド132dは図示しない移動機構によって上方側に待避できるようになっている。
【0078】
図13は両端組み付け部133およびその近傍を示す斜視図であり、図13(a)は組み付け可動部132がコアプレート5の長手方向両端部から離れている状態を示し、図13(b)は組み付け可動部132がコアプレート5の長手方向両端部近傍まで移動した状態を示している。図14は図13(b)の水平断面図である。
【0079】
両端組み付け部133は、プッシャ133aと端部ガイド133bとを有している。これらプッシャ133aおよび端部ガイド133bは、図示しないフローティング機構によって、コアプレート5の長手方向および短手方向にフローティング支持されている。
【0080】
プッシャ133aは、シールパッキン9のコーナー部をコアプレート5の溝5eのコーナー部に押し込むための部材であり、図示しないアクチュエータによって上下方向(コアプレート5の厚さ方向)に駆動されるようになっている。
【0081】
端部ガイド133bは、コアプレート5のコーナー部の外側面に当接するようになっており、端部ガイド133bがコアプレート5のコーナー部から受ける反力により、フローティング支持されたプッシャ133aおよび端部ガイド133bがコアプレート5の長手方向および短手方向に変位移動する。これにより、コアプレート5がろう付け時に熱変形していても、プッシャ133aがコアプレート5の溝5eからずれることを防止できる。また、端部ガイド133bは、コアプレート5の脱着用に前後動作を与える役割も果たす。
【0082】
制御装置(図示せず)は、上述の仮置きステーション11、搬送ローダ12および組み付けステーション13に設けられた各種機器を制御する。制御装置としては、例えばPLC(プログラマブルロジックコントローラ)を有しているものを用いることができる。制御装置は、作業者によって操作される操作盤を有している。
【0083】
次に、上記のシールパッキン組付装置10を用いてシールパッキン9をコアプレート5に組み付ける方法(シールパッキン組付方法)を説明する。
【0084】
まず、作業者は、仮置きステーション11の仮置き台111にシールパッキン9を載せるとともに、組み付けステーション13のワーク固定治具131にワークWをセットした後、制御装置(図示せず)の操作盤の起動スイッチを押す。これにより、シールパッキン組付装置10がシールパッキン9をコアプレート5に自動的に組み付ける。
【0085】
具体的には、まず、仮置きステーション11の可動ピン112、113が移動してシールパッキン9の中心出しと位置決めとを行い、中心出しと位置決めとが行われた状態で搬送ローダ12が中央チャック121と両端チャック122とでシールパッキン9を把持する。
【0086】
次いで、搬送ローダ12がシールパッキン9を組み付けステーション13の上方へ搬送する。より具体的には、シールパッキン9をワークWのコアプレート5の真上に搬送する。
【0087】
このとき、両端チャック122をシールパッキン9の長手方向両端側へ少し引っ張ることでシールパッキン9のたるみを抑制し、搬送中のシールパッキン9のぶれを抑える。
【0088】
次いで、搬送ローダ12の中央チャック121がシールパッキン9の長手方向中央部を開放するとともに、搬送ローダ12のプッシャ(図示せず)がシールパッキン9の長手方向中央部をコアプレート5の溝5eに押し込む。このとき、搬送ローダ12の両端チャック122はシールパッキン9を掴んだままなので、シールパッキン9は長手方向中央部以外の部位がコアプレート5から浮き上がった状態となる。
【0089】
次いで、図9(a)に模式的に示すように組み付け用ローラー132aがシールパッキン9をコアプレート5の溝5eの底面に押し付けながら回転する。これにより、組み付け用ローラー132aがガイドレール132eにガイドされながらコアプレート5の長手方向中央部側から長手方向両端部側に向かって移動する。このため、シールパッキン9の長手方向両端部以外の部分が長手方向中央側から長手方向両端側に向かって順次コアプレート5の溝5eに押し込まれる。
【0090】
このとき、図9(b)に模式的に示すようにガイドローラー132b、内ガイド132cおよび外ガイド132dはコアプレート5の各部に当接している。上述のごとく、組み付け用ローラー132a、ガイドローラー132b、内ガイド132c、外ガイド132dおよびガイドレール132eはフローティング支持されている。
【0091】
このため、ガイドローラー132b、内ガイド132cおよび外ガイド132dがコアプレート5の各部から受ける反力により組み付け用ローラー132aがコアプレート5の形状に合わせて変位する。これにより、コアプレート5がろう付け時に熱変形していても、組み付け用ローラー132aをコアプレート5の溝5eに沿って回転移動させてシールパッキン9をコアプレート5の溝5eに確実に押し込むことができる。
【0092】
組み付け可動部132がコアプレート5の長手方向両端部近傍に到達すると、搬送ローダ12の両端チャック122がシールパッキン9の長手方向両端部を開放する。これと同時に、両端組み付け部133のプッシャ133aがシールパッキン9のコーナー部をコアプレート5の溝5eのコーナー部に押し込む。
【0093】
このとき、図14に示すように両端組み付け部133の端部ガイド133bはコアプレート5のコーナー部の外側面に当接している。上述のごとく、プッシャ133aおよび端部ガイド133bはフローティング支持されている。
【0094】
このため、端部ガイド133bがコアプレート5のコーナー部の外側面から受ける反力により、プッシャ133aがコアプレート5のコーナー部の位置に合わせて変位する。これにより、コアプレート5がろう付け時に熱変形していても、プッシャ133aでシールパッキン9のコーナー部をコアプレート5の溝5eのコーナー部に確実に押し込むことができる。
【0095】
このようにして、コアプレート5の溝5eへのシールパッキン9の組み付けが完了する。
【0096】
本実施形態の組付装置によると、組み付け用ローラー132aがシールパッキン9を長手方向中央側から両端側に向かって押し込むので、シールパッキン9の余長分をコアプレート5の溝5eの長手方向両端側へ持っていくことができる。
【0097】
図4(b)に示すように、コアプレート5の溝5eの長手方向両端部ではシールパッキン9の収納スペースに余裕があるので、コアプレート5の溝5eの長手方向両端側でシールパッキン9の余長分を吸収することができる。
【0098】
そして、コアプレート5の溝5eの長手方向両端側ではプッシャ133aがシールパッキン9のコーナー部をコアプレート5の溝5eのコーナー部に押し込むので、シールパッキン9の余長分をコアプレート5の溝5eに押し込むことができる。
【0099】
しかも、組み付け用ローラー132aおよびプッシャ133aはフローティング支持されていて、コアプレート5の形状に合わせて変位するので、コアプレート5がろう付け時に熱変形していても組み付け用ローラー132aおよびプッシャ133aでシールパッキン9をコアプレート5の溝5eに確実に押し込むことができる。特にシールパッキン9が角パッキンである場合、シールパッキン9のねじれを防止することができる。
【0100】
また、仮置きステーション11でシールパッキン9を長手方向両方向に均等に伸ばし、長手方向両方向に均等に伸ばされたシールパッキン9の長手方向中央部を搬送ローダ12で掴むので、シールパッキン9の長手方向における中心の位置を機械的に拾うことができる。
【0101】
このため、組み付け用ローラー132aでシールパッキン9を長手方向中央側から両端側に向かって押し込んだ場合にシールパッキン9の余長分を長手方向両端側に均等に振り分けることができる。その結果、シールパッキン9の余長分をコアプレート5の溝5eの長手方向両端側で確実に吸収することができる。
【0102】
(他の実施形態)
上述の実施形態では、自動車用ラジエータの構成部品であるコアプレートにシールパッキンを組み付けるシールパッキン組付装置およびシールパッキン組付方法を例に挙げて説明したが、本発明は、種々の熱交換器の構成部品であるコアプレートにシールパッキンを組み付けるシールパッキン組付装置およびシールパッキン組付方法に適用することができる。
【符号の説明】
【0103】
5 コアプレート
5e 溝
9 シールパッキン
111 仮置き台
113 可動ピン(伸長機構)
132a 組み付け用ローラー(ローラー)
132b ガイドローラー(ガイド部材)
132c 内ガイド(ガイド部材)
132d 外ガイド(ガイド部材)
133a プッシャ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換器の構成部品であるコアプレート(5)にシールパッキン(9)を組み付けるシールパッキン組付装置であって、
前記シールパッキン(9)を前記コアプレート(5)の溝(5e)に押し付けながら前記溝(5e)に沿って回転移動するローラー(132a)と、
前記コアプレート(5)に当接するガイド部材(132b、132c、132d)とを備え、
前記ローラー(132a)は、前記ガイド部材(132b、132c、132d)が前記コアプレート(5)から受ける反力により、前記コアプレート(5)の形状に合わせて変位するように支持されていることを特徴とするシールパッキン組付装置。
【請求項2】
前記ローラー(132a)は、前記溝(5e)の長手方向中央側から長手方向両端側に向かって回転移動することを特徴とする請求項1に記載のシールパッキン組付装置。
【請求項3】
前記ローラー(132a)によって前記溝(5e)に押し込まれた前記シールパッキン(9)の長手方向両端部を前記溝の長手方向両端部に押し込むプッシャ(133a)を備えることを特徴とする請求項2に記載のシールパッキン組付装置。
【請求項4】
前記シールパッキン(9)が仮置きされる仮置き台(111)と、
前記仮置き台(111)に仮置きされた前記シールパッキン(9)を長手方向両方向に均等に伸ばす伸長機構(113)と、
前記伸長機構(113)によって長手方向両方向に均等に伸ばされた前記シールパッキン(9)を掴んで前記コアプレート(5)の近傍へ搬送する搬送手段(12)とを備えることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載のシールパッキン組付装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1つに記載のシールパッキン組付装置を用いて前記コアプレート(5)に前記シールパッキン(9)を組み付けることを特徴とするシールパッキン組付方法。
【請求項1】
熱交換器の構成部品であるコアプレート(5)にシールパッキン(9)を組み付けるシールパッキン組付装置であって、
前記シールパッキン(9)を前記コアプレート(5)の溝(5e)に押し付けながら前記溝(5e)に沿って回転移動するローラー(132a)と、
前記コアプレート(5)に当接するガイド部材(132b、132c、132d)とを備え、
前記ローラー(132a)は、前記ガイド部材(132b、132c、132d)が前記コアプレート(5)から受ける反力により、前記コアプレート(5)の形状に合わせて変位するように支持されていることを特徴とするシールパッキン組付装置。
【請求項2】
前記ローラー(132a)は、前記溝(5e)の長手方向中央側から長手方向両端側に向かって回転移動することを特徴とする請求項1に記載のシールパッキン組付装置。
【請求項3】
前記ローラー(132a)によって前記溝(5e)に押し込まれた前記シールパッキン(9)の長手方向両端部を前記溝の長手方向両端部に押し込むプッシャ(133a)を備えることを特徴とする請求項2に記載のシールパッキン組付装置。
【請求項4】
前記シールパッキン(9)が仮置きされる仮置き台(111)と、
前記仮置き台(111)に仮置きされた前記シールパッキン(9)を長手方向両方向に均等に伸ばす伸長機構(113)と、
前記伸長機構(113)によって長手方向両方向に均等に伸ばされた前記シールパッキン(9)を掴んで前記コアプレート(5)の近傍へ搬送する搬送手段(12)とを備えることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載のシールパッキン組付装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1つに記載のシールパッキン組付装置を用いて前記コアプレート(5)に前記シールパッキン(9)を組み付けることを特徴とするシールパッキン組付方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−52479(P2013−52479A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−192881(P2011−192881)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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