説明

シールリングおよびシールリング製造方法

【課題】射出成形が困難なシールリングにおいて、組付性が向上されたステップカットを備えるシールリングを提供する。
【解決手段】円環状のシールリング本体に加工刃を入れることによって、一箇所で分離された有端状に形成される、射出成形品ではない合成樹脂製のシールリングであって、両端部3、4にそれぞれ形成された凹凸形状が互いに嵌合可能に構成され、両端部3、4の嵌合部において、各端部3、4が互いに周方向に摺動可能な摺動面32、35、37、42、45、47と、シールリングの周長変化を吸収可能な隙間とが形成されるシールリングにおいて、凹凸形状のうち凸形状部31、41の先端面33、43は、該凸形状部31、41と摺動する凹形状部44、34の摺動面45、35に向き合うように傾斜している、または、該摺動面45、35側の縁部がR状に形成もしくは面取りされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一箇所で分離されている有端状のシールリングであって、射出成形が困難な樹脂製シールリングおよびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
油圧機器に用いられるシールリングとしては、装着性を向上するために、円周上の一箇所で分離されている有端状のものが一般的である。そして、シールリングの分離部の形状としては、図9に示すような、ステップカットが知られている。
【0003】
シールリング100の代表的な材料としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)に無機物充填材(固体潤滑剤やガラス繊維等)を混合したものが用いられる。
【0004】
PTFEは射出成形が困難なため、シールリング100をPTFEを主成分として製造する場合には、まず、加圧成形によって中空筒状の加工品をつくり、これを径方向にスライスすることによって円環状のシールリング本体を作成する。
【0005】
そして、加工刃によって円環状のシールリング本体に加工を施してステップカット状の合口を有する分離部Sを形成する。このようにして、ステップカット状の分離部Sを備えるシールリング100を製造する方法が一般的に知られている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−001584号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような製造方法においては、分離部Sのステップカットを刃物で形成することになるため、ステップカットを構成する凹凸部の先端の角部が略直角に成形されることになる。
【0007】
そうすると、図10に示すように、シールリング100装着の際に、ステップカットの一方の端部の凸部先端面101と他方の端部の凹部先端面102とが引っかかってしまい(図10(b)中点線で囲った部分)、組付性が悪いものとなっていた。
【0008】
本発明は上記の従来技術の課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、ステップカットを備える射出成形が困難なシールリングにおいて、組付性が向上されたステップカットを備えるシールリングおよびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明におけるシールリングは、
円環状のシールリング本体に加工刃を入れることによって、一箇所で分離された有端状に形成される、射出成形品ではない合成樹脂製のシールリングであって、
両端部にそれぞれ形成された凹凸形状が互いに嵌合可能に構成され、
前記両端部の嵌合部において、各端部が互いに周方向に摺動可能な摺動面と、シールリングの周長変化を吸収可能な隙間とが形成されるシールリングにおいて、
前記凹凸形状のうち凸形状部の先端面は、該凸形状部と摺動する凹形状部の摺動面に向き合うように傾斜している、または該摺動面側の縁部がR状に形成もしくは面取りされていることを特徴とする。
【0010】
係る構成によれば、シールリングの組付時において凸形状部と凹形状部とを嵌合させる
ときに、凹形状部の先端面が凸形状部の先端面に当たっても、凹形状部が凸形状部の傾斜した先端面上、または先端面縁部のR状部分もしくは面取り部分を滑っていくことにより、スムーズに所定の嵌合位置に収まることができる。したがって、凹凸形状部の先端面同士の引っかかりを生じることなくスムーズにシールリングの組付けを行うことができる。
【0011】
上記目的を達成するために、本発明におけるシールリング製造方法は、
円環状のシールリング本体に加工刃を入れることによって、一箇所で分離された有端状に形成される、射出成形品ではない合成樹脂製のシールリングの製造方法であって、
両端部にそれぞれ形成された凹凸形状が互いに嵌合可能に構成され、
前記両端部の嵌合部において、各端部が互いに周方向に摺動可能な摺動面と、シールリングの周長変化を吸収可能な隙間とが形成されるシールリングの製造方法において、
前記凹凸形状のうち凸形状部の先端面を、該凸形状部と摺動する凹形状部の摺動面に向き合うように傾斜した面に形成する、または該先端面の該摺動面側の縁部をR状に形成もしくは面取りすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本発明により、ステップカットを備える射出成形が困難なシールリングの組付性が向上される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための最良の形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【実施例1】
【0014】
(全体説明)
図1は、第1の実施例に係るシールリング1の全体を示す図であり、シールリング1を軸方向からみた様子を示している。図2は、シールリング1の使用状態を示す断面図であり、図1のA−A断面に対応している。
【0015】
シールリング1は、相対回転自在に組み付けられる2部材間の環状隙間を密封する密封装置である。ここでは、図2に示すように、ハウジングの軸孔の内周面5と該軸孔に挿入される軸の外周面6との間の環状隙間7を密封するために、軸の外周面6に設けられた環状溝60内にシールリング1が装着される。
【0016】
シールリング1は、PTFE等の樹脂材料からなる。その形状は概ね円環形状を呈し、中心軸を通る径方向に沿った断面は矩形状を呈する。
【0017】
シールリング1の側面は、環状溝60の側壁面61をシールするための第1シール部10として機能し、またシールリング1の外周面は、ハウジングの軸孔の内周面5をシールするための第2シール部11として機能する。
【0018】
すなわち、図2において、密封対象側O(図中左側)から矢印P方向に圧力が作用すると、シールリング1は非密封対象側A(図中右側)に押される。そして、シールリング1の第1シール部10が環状溝60の側壁面61に密着するとともに、第2シール部11が軸孔の内周面5に密着する。
【0019】
これにより、密封対象流体の非密封対象側Aへの漏れが抑制される。なお、密封対象流体は、例えば潤滑油であり、特に自動車の自動変速機の場合はATFを指している。
【0020】
(分離部の説明)
シールリング1は、図1に示すように、円周上の一箇所で分離されている有端状のリングからなる。このような分離部2が設けられていることにより、環状溝60への装着が容易となる。
【0021】
図3は、シールリング1の分離部2の構造を示す図であり、(a)は軸方向からみた様子、(b)は(a)のB矢視である。図4は、分離部2を開いた様子を示す図であり、(a)は軸方向からみた様子、(b)は(a)のC矢視である。図5は、シールリング1の分離部2の外観を示す斜視図である。以下、シールリング1の2つの端部のうち、図の左側のものを第1端部3、右側のものを第2端部4とよぶこととする。
【0022】
第1端部3は、中心軸を通る面に沿う第1端面30を有する。そして、第1端部3には、第1端面30から周方向に突出する第1凸部31と、第1端面30から周方向に凹む第1凹部34とが、軸方向に並べて設けられている。
【0023】
第1凸部31の内周面は、周方向に延びる摺動面32になっており、先端面は、摺動面32の先端側縁部から第1凸部31の外周面の先端側縁部に向かうにつれて第1凸部31の突出方向に傾斜した傾斜面33となっている。つまり、第1凸部31の摺動面32の先端側縁部から先の部分は、先端にいくほど内径が大きくなって径方向の厚みが小さくなる形状を呈している。
【0024】
一方、第2端部4は、第1端部3と同一の形状を有する。すなわち、第2端部4には、中心軸を通る面に沿う第2端面40が設けられるとともに、第2端面40から周方向に突出する第2凸部41と、第2端面40から周方向に凹む第2凹部44とが、軸方向に並べて設けられている。
【0025】
また、第2凸部41は、周方向に延びる摺動面42と、摺動面42の先端側縁部から第2凸部41の外周面の先端側縁部に向かうにつれて第2凸部41の突出方向に傾斜した傾斜面43とを有する。
【0026】
第1凹部34は、第1端部3の先端側と、外周面側と、第1凸部31がある側の反対側の側面側の三方に開いた凹部であり、中心軸に同心的に周方向に延びる摺動面35と、摺動面35に対して傾斜して第1端部3の外周面まで延びる傾斜面36と、摺動面35、傾斜面36、および中心軸に対して垂直に周方向に延びる側面と、から構成されている。この摺動面35、傾斜面36、および中心軸に対して垂直に周方向に延びる側面は、第1凸部31の第1凹部34側の側面と一続きになっており、第1端部3に中心軸に垂直な摺動面37を形成している。
【0027】
第2凹部44も、第1凹部34と同様、第2端部4の先端側と、外周面側と、第2凸部41がある側の反対側の側面側の三方に開いた凹部であり、摺動面45と、傾斜面46と、これら両面と中心軸に対して垂直に周方向に延びる側面と、から構成されている。この摺動面45と傾斜面46の両面および中心軸に対して垂直に周方向に延びる側面も、第2凸部41の第2凹部44側の側面と一続きになっており、第2端部4に中心軸に垂直な摺動面47を形成している。
【0028】
両端部3、4は同一形状のため、分離部2において互いに向き合った状態では、凸部と凹部の軸方向の配列が逆になり、第1凸部31と第2凹部44、第2凸部41と第1凹部34がそれぞれ対をなす。
【0029】
なお、本実施例に係るシールリング1の分離部2は、円環状に形成されたシールリング本体に加工刃を入れて切断することによって形成されるため、第1凸部31、第1凹部34、第2凸部41、第2凹部44の各摺動面32、35、42、45はほぼ同じ径寸法に設定され、また、傾斜面33と傾斜面46、傾斜面36と傾斜面43もそれぞれほぼ同じ傾斜角に設定されている。
【0030】
上記構成のシールリング1の組み付けは次のように行う。
【0031】
まず、シールリング1を軸の環状溝60に装着する。このとき、図4に示すように、分離部2が広がってシールリング1の径が拡大するので、容易に装着することができる。
【0032】
環状溝60に収まると、シールリング1は自身の弾性復元力により分離部2を閉じる方向に収縮する。そうすると、図3に示すように、第1凸部31と第2凹部44とが周方向に嵌合されて分離部2が接続される。(なお、第2凸部41と第1凹部34についても同様のため、以下、説明を省略する。)
【0033】
このとき、第1凸部31と第2凹部44が嵌合する過程において、第2端面40の摺動面45側端縁部(摺動面45の第2端面40側縁部)が、第1凸部31先端の傾斜面33に当たることがある。
【0034】
この場合、傾斜面33は摺動面45と向き合うように第2端部4の嵌合方向に倣うように傾斜して設けられているので、傾斜面33に当たった第2端面40の縁部は傾斜面33上を嵌合方向に滑っていき、スムーズに所定の嵌合位置に収まることができる。
【0035】
したがって、第1凸部31と第2凹部44の嵌合の際に、第1凸部31の先端面である傾斜面33と第2凹部4の先端面である第2端面40が引っかかりを生じることはなく、分離部2の接続がスムーズとなり、シールリング1の組付性が向上される。
【0036】
シールリング1の組み付けが完了すると、分離部2においては、第1端部3の摺動面37と第2端部4の摺動面47が面接触することにより、中心軸に対して垂直に延びる第1摺動シール面が形成される。また、第1凸部31の摺動面32と第2凹部44の摺動面45とが面接触することにより、中心軸に対して同心的に延びる第2摺動シール面が形成される。
【0037】
第1摺動シール面の端縁は、ハウジングの軸穴内周面5に接している。したがって、シールリング1の外周面はこの端縁を介して連続的に結合されており、これにより、ハウジングの軸穴内周面5に対して全周にわたって接触する第2シール部11が形成される。
【0038】
同様に、第2摺動シール面の端縁は、環状溝60の側壁面61に接しており、この端縁を介してシールリング1の側面が連続的に結合され、側壁面61に対して全周にわたって接触する第1シール部10が形成される。
【0039】
また、常温下では、第1凸部31が第2凹部44の途中までしか進入しないような寸法設計になっており、第1凸部31の先端と第2凹部44の底との間に隙間が残される(図3参照)。また、両端部3,4の端面30,40の間にも同様に隙間が残る。
【0040】
この構成によれば、油圧機器の作動時に温度が上昇し、シールリング1の周長が長くなったとしても、上記隙間により周長の増加分が吸収される。
【0041】
また、シールリング1の周長が変わったとしても、各摺動面32、37、45、47が
周方向に摺動し、面接触状態が維持される。
【0042】
したがって、温度によらず、シールリング1の姿勢が安定し、分離部2における密封対象流体の漏れを抑制でき、良好な密封性能を発揮することが可能となる。
【0043】
本実施例においては、第1凸部31の先端面のみを傾斜面33としているが、図5(b)に示すように、さらに第2凹部44の先端面40も第1凸部31の嵌合方向に倣うように傾斜した傾斜面とすることにより、シールリングの組付性のさらなる向上を図ることができる。
【0044】
すなわち、傾斜面同士が当たるような構成とすることにより、傾斜した先端面40と傾斜面33とが傾斜方向に互いに摺動し、第2凹部44が傾斜面33上を滑っていくときの抵抗が低減される。したがって、第1凸部31と第2凹部44がよりスムーズに嵌合され、組付性がさらに向上される。
【0045】
(製造方法の説明)
本実施例に係るシールリングの製造方法について説明する。
【0046】
本実施例に係るシールリングは、合成樹脂製のシールリングであって、その代表的な材料としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)に無機物充填材(固体潤滑剤やガラス繊維等)を混合したものが用いられる。
【0047】
本実施例に係るシールリングは射出成形が困難なため、まず加圧成形によって中空筒状の加工品をつくり、これを径方向にスライスすることによって断面矩形の円環状のシールリング本体を作成する。
【0048】
そして、シールリング本体の周面および側面から、シールリングの分離部の合口の形状に合わせて屈折した形状を有する加工刃を押し込み、シールリング本体を一箇所で切断する。これにより、所望の合口形状を有する有端状のシールリングが形成される。
【0049】
本実施例に係るシールリング1においては、摺動面37(47)を形成するための加工刃を外周方向より押し込み、また、端面30(40)、摺動面32(45)、35(42)、傾斜面33(46)、36(43)を形成するための加工刃を側面方向より押し込むことにより、分離部2の第1端部3および第2端部4の凹凸形状を形成することができる。
【0050】
本実施例においては、側面方向より押し込む加工刃のうち、第1凸部31の先端面を形成する部分を摺動面32を形成する部分に対して傾斜させることにより、第1凸部31の先端面を傾斜面33として形成することができる。第2凸部41の傾斜面43についても同様である。
【0051】
なお、上記実施例は本発明の一具体例を例示したものにすぎない。本発明の範囲は上記実施例に限られるものではなく、その技術思想の範囲内で種々の変形が可能である。
【0052】
したがって、例えば、第1端部3の第1凸部31の先端面を、第2端部4の第1摺動シール面を形成する摺動面47と向かい合うように傾斜した面とすることにより、第1凸部31と第2凸部41の先端面同士の引っかかりを防止することもできる。
【0053】
この場合、シールリングの製造においては、外周方向より押し込む加工刃によって第1凸部31の傾斜面33を形成することになる。但し、その傾斜角度は、周長変化等によっ
て摺動面37、47の接触面積が変化した場合でも外周側シール面が途切れることなく維持される程度に適宜設定するものとする。
【実施例2】
【0054】
第1の実施例では、凸部の先端面を傾斜面としたのに対し、第2の実施例では、先端面の縁部をR状とした点で異なる。それ以外の構成については実質的に同じであるため、ここでは異なる点を中心に説明し、同一部分については同一の符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【0055】
図6〜図8に、第2の実施例に係るシールリング1aを示す。図6は、シールリング1aの全体を示す図であり、シールリング1aを軸方向からみた様子を示している。図7は、シールリング1aの分離部の構造を示す図であり、分離部を軸方向からみた様子を示している。また、図8は、シールリング1aの分離部の外観を示す斜視図である。
【0056】
第1端部3には、中心軸を通る面に沿う第1端面30が設けられるとともに、第1端面30から周方向に突出する第1凸部31aと、第1端面30から周方向に凹む第1凹部34aとが、軸方向に並べて設けられている。
【0057】
一方、第2端部4にも、同様にして、第2端面40と、第2凸部41aと、第2凹部44aとが設けられている。
【0058】
本実施例でも、第1端部3と第2端部4は同一形状のため、以下、第1凸部31aと第2凹部44aの組み合わせについてのみ説明する。
【0059】
第1凸部31aの内側の面は、周方向に延びる摺動面32aになっており、第1凸部31aの先端面33aは、摺動面32aに対して略垂直に径方向に延びる面となっている。そして、摺動面32aと先端面33aの境目の縁部はR状に形成されている。
【0060】
これに対応して、第2凹部44aは、周方向に延びる摺動面45aと、径方向に延びる面46aとを有しており、摺動面45aと面46aの境目の縁部はR状に形成されている。
【0061】
したがって、第1凸部31aと第2凹部44aの嵌合の際に、第2凹部44aの先端面(第2端面40)の摺動面45a側の縁部が第1凸部31aの先端面33aに当たっても、R状の縁部を滑っていくことによりスムーズに所定の嵌合位置に収まることができる。
【0062】
したがって、本実施例の構成によっても、第1の実施例と同様、組付性の向上が図られる。
【0063】
また、本実施例に係るシールリング1aの製造方法については、概ね第1の実施例と同様であるが、シールリング1aの側面方向より押し込む加工刃のうち、第1凸部31の先端面33aを形成する部分と摺動面32aを形成する部分とのつなぎ目をR状に形成することにより、先端面33aと摺動面32aの境目の縁部をR状に形成する点で異なる。
【0064】
また、本実施例の変形例としては、摺動面37aと先端面33aの境目の縁部をR状に形成することにより、第1凸部31aと第2凸部41aの先端面同士の引っかかりを防止することもできる。
【0065】
また、縁部の形状もR状に限らず、引っかかりが生じないものであれば、面取り形状等の形状も適宜採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】第1の実施例に係るシールリングの全体を示す図である。
【図2】図1のシールリングの使用状態を示す断面図である。
【図3】図1のシールリングの分離部の構造を示す図である。
【図4】図1のシールリングの分離部を開いた様子を示す図である。
【図5】図1のシールリングの分離部の外観を示す斜視図である。
【図6】第2の実施例に係るシールリングの全体を示す図である。
【図7】図6のシールリングの分離部の構造を示す図である。
【図8】図6のシールリングの分離部の外観を示す斜視図である。
【図9】従来技術に係るシールリングの分離部の外観を示す図である。
【図10】図9のシールリングの分離部の嵌合の様子を示す図である。
【符号の説明】
【0067】
1 シールリング
2 分離部
3 第1端部
30 第1端面
31 第1凸部
34 第1凹部
4 第2端部
40 第2端面
41 第2凸部
44 第2凹部
32、35、37、42、45、47 摺動面
33、43 先端面
5 ハウジングの軸孔内周面
6 軸外周面
60 環状溝
61 溝側壁面
7 環状隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円環状のシールリング本体に加工刃を入れることによって、一箇所で分離された有端状に形成される、射出成形品ではない合成樹脂製のシールリングであって、
両端部にそれぞれ形成された凹凸形状が互いに嵌合可能に構成され、
前記両端部の嵌合部において、各端部が互いに周方向に摺動可能な摺動面と、シールリングの周長変化を吸収可能な隙間とが形成されるシールリングにおいて、
前記凹凸形状のうち凸形状部の先端面は、該凸形状部と摺動する凹形状部の摺動面に向き合うように傾斜している、または該摺動面側の縁部がR状に形成もしくは面取りされていることを特徴とするシールリング。
【請求項2】
円環状のシールリング本体に加工刃を入れることによって、一箇所で分離された有端状に形成される、射出成形品ではない合成樹脂製のシールリングの製造方法であって、
両端部にそれぞれ形成された凹凸形状が互いに嵌合可能に構成され、
前記両端部の嵌合部において、各端部が互いに周方向に摺動可能な摺動面と、シールリングの周長変化を吸収可能な隙間とが形成されるシールリングの製造方法において、
前記凹凸形状のうち凸形状部の先端面を、該凸形状部と摺動する凹形状部の摺動面に向き合うように傾斜した面に形成する、または該先端面の該摺動面側の縁部をR状に形成もしくは面取りすることを特徴とするシールリング製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−255652(P2007−255652A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−83463(P2006−83463)
【出願日】平成18年3月24日(2006.3.24)
【出願人】(000004385)NOK株式会社 (1,527)
【Fターム(参考)】