説明

シール層樹脂組成物

【課題】非常に低レベルのキシレン可溶物/ヘキサン抽出物と低SIT、高い融点をもつポリプロピレン樹脂組成物を提供する。
【解決手段】プロピレン、少なくとも一つのC−C10のα−オレフィン、及びエチレンとのランダムコポリマーにおいて、ポリプロピレンランダムコポリマー中のC−C10のα−オレフィンの合計重量%に対するエチレン重量%の割合が1以下であり、そして10−20,000ppmの少なくとも一つの核剤からなることを特徴とするポリプロピレン樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シール開始温度(“SIT”)と融点(“Tm”)との間にかなり大きな差をもつポリプロピレン樹脂組成物から製造されるフィルムに関する。そのようなフィルムはその改良された加工性によって特にシール層樹脂として望ましい。
【背景技術】
【0002】
ポリプロピレン(“PP”)フィルムは包装材料、特に食品用包装材料として広範囲に使用されている。基材フィルムをヒートシール可能な樹脂でコート、ラミネート又は共押し出しするとヒートシール可能なフィルムが得られる。ヒートシール用途で従来使用されている材料は、チーグラー/ナッタベースの(“ZN”)触媒で製造された、プロピレンとプロピレン以外の少なくとも一つ以上のC−C20のα−オレフィンとのアイソタクチックランダムコポリマーである。記述を簡潔にするために、プロピレンとエチレンとのランダムコポリマーをC/Cランダムコポリマーと呼び、プロピレンと1−ブテンとのランダムコポリマーをC/Cランダムコポリマーと呼び、プロピレン、エチレン及び1−ブテンとのランダムコポリマーをC/C/Cランダムコポリマーと呼ぶ。
【0003】
プロピレンと一つのエチレン以外の第二の高次α−オレフィンとのランダムコポリマーをC/C−Cランダムコポリマーと呼び、ここでxは該第二の高次α−オレフィンが構成できる炭素原子の最小量を示し、そしてyは該第二の高次α−オレフィンが構成できる炭素原子の最大量を示す。例えば、用語C/C−CランダムコポリマーはC/Cランダムコポリマー、C/Cランダムコポリマー、C/Cランダムコポリマー、C/Cランダムコポリマー及びC/Cランダムコポリマーを含む。プロピレン、エチレン及び第三の高次α−オレフィンとのランダムコポリマーはC/C/C−Cランダムコポリマーと呼ばれ、ここでxは該第三の高次α−オレフィンが構成できる炭素原子の最小量を示し、そしてyは該第三の高次α−オレフィンが構成できる炭素原子の最大量を示す。例えば、用語C/C/C−CランダムコポリマーはC/C/Cランダムコポリマー、C/C/Cランダムコポリマー及びC/C/Cランダムコポリマーを含む。
【0004】
ポリプロピレンランダムコポリマーは熱シール用途に使用されている。典型的には、それらは外側の層として多層カーストフィルム又は二軸延伸フィルムとして使用される。
【0005】
シール層グレードの全体性能プロフィールを作り出すには三つの主要な性質がある。第一に、シール開始温度(SIT)は、フィルム包装機械をより高速に且つエネルギー消費をより少なく運転することによってコストの削減を行えるようにできるだけ低い温度でシールプロセスを起こさせることができるようにできるだけ低くすべきである。そのうえ、例えば、オーバーラップの場合、包装された品物がオーバーラップのためのできるだけ低いシール温度を採用することによって悪影響を受けないようにすることが必要である。
【0006】
第二に、キシレン可溶物及び/又はヘキサン抽出物のレベルはこれらの成分が食品中に移動するのを防止しそして種々の国際的な食品接触用途規格を満たすためにできるだけ少ないものでなければならない。
【0007】
第三に、機械方向延伸機(MDO)の加工性、延伸ポリプロピレン(OPP)ステンターフレームラインの延伸性を改良するためには、特に高速のライン速度を可能にするために、より高い延伸ローラー温度が要求される。このことは、もしシール層材料の融点がMDO延伸ローラー上の延伸を防ぐためにできるだけ高い場合にのみ立証することができる。
【0008】
従来技術の一般的な問題は望ましい程度に低いSITをもつポリプロピレン樹脂フィルムを得ることで、一方ではまた望ましい程度に高い融点及び望ましい程度に低いキシレン可溶物及び/又はヘキサン抽出物のレベルを得ることである。一般的には望ましい程度に低いSITをもつポリプロピレン樹脂組成物は典型的には望ましくない低い融点と望ましくない高いヘキサン抽出物レベルをもつことが知られている。複数段をもつ製造プロセス(例えば、リアクターブレンドのような)で製造されたポリプロピレン組成物を使用することによって低いSITと高められた融点をもつフィルムを得るいくつかの成功がなされてきてはいるが、そのような製造プロセスはコストがかかりそしてリアクターのファウリングを引き起こしやすい。本発明は所望の低いSITをもち且つ所望の高い融点とキシレン可溶物及び/又はヘキサン抽出物が所望の低レベルをもつフィルムを製造することのできる有利な一段重合法を提供する。
【0009】
低SIT及び抽出物の低レベルは典型的にはチーグラー/ナッタ触媒を使用することによって製造されたポリプロピレンランダムコポリマーにおける相互に独特の性質であることはよく知られている。また一般的に低SIT及び高融点は典型的にはチーグラー/ナッタ及びメタロセン触媒を使用することによって製造されたポリプロピレンランダムコポリマーにおける相互に独特の性質であることはよく知られている。
【0010】
比較的高融点で比較的高結晶性のポリプロピレンランダムコポリマーと比較的低融点で比較的低結晶性のポリプロピレンランダムコポリマーをブレンドすることは二つの問題点の一つを克服することができる。典型的には、低SITと高融点を示す組成物が生ずる。この概念には多くの実例がある。特許文献1は、C/C/C−C20及びC/C−C20コポリマーのブレンド物を含む低結晶性のポリプロピレンランダムコポリマーについて述べている。特許文献2はC/C−C及びC/C/C−Cランダムコポリマーのブレンド物又はC/C−C及びC/Cランダムコポリマーのブレンド物を含む結晶性プロピレンコポリマーベースの組成物について述べている。特許文献3はC/C−C10及びC/C−C10ランダムコポリマーのブレンド物を含む半結晶性プロピレンコポリマーについて述べている。特許文献4はC/C及びC/C/C−Cランダムコポリマーを含む結晶性プロピレンコポリマーについて述べている。特許文献5はC/C/C及びC/C/Cランダムコポリマー又はC/CとC/C/Cランダムコポリマーのブレンド物を含むプロピレンコポリマーベースの組成物について述べている。特許文献6はC/C又はC/C−C又はC/C/C−CランダムコポリマーとC/C−C又はC/C/C−Cランダムコポリマーとのブレンド物を含む結晶性プロピレンコポリマー組成物について述べている。特許文献7はC/C又はC/C/CランダムコポリマーとC/C又はC/C/Cランダムコポリマーとのブレンド物を含むランダムプロピレンコポリマーベースの組成物について述べている。特許文献8は、エチレン又は少なくとも4個の炭素原子をもつα−オレフィンであるコモノマーとプロピレンランダムコポリマーを含むポリマーフィルムについて述べている。特許文献9はC/C又はC/C/CランダムコポリマーとC/C又はC/C/Cランダムコポリマーとのブレンド物を含むプロピレンポリマーベースの化合物について述べている。特許文献10はC/C−CランダムコポリマーとC/C−C又はC/C−Cランダムコポリマーとのブレンド物を含む結晶性プロピレンコポリマー組成物について述べている。この節で示した特許又は特許出願に開示されているシール層組成物の全ては通常TmとSIT間により大きい又はより小さな大幅な範囲をもっている。典型的には、それらは低SITと非常に低いSIT用途を目指している。しかしながら、低SITのものは或る食品用途には高すぎるキシレン可溶物及び/又はヘキサン抽出物の比較的大きなレベルを犠牲にして得られる。さらに、その効果は、これまで示した特許及び非特許文献1に示されるように、異なった重合工程/リアクターで製造されるブレンド又は二段又は多段重合プロセスを使用することによって二成分以上の組成物を製造することによってのみ達成される。これらの二段プロセスは一段重合プロセスに較べて高度な技術を必要としそしてよりコストがかかる。
【0011】
Tm及び/又は結晶度に顕著な差をもつ二つのランダムコポリマーを含む上述のシール層組成物に対して、二成分ポリプロピレンベースのシール層組成物は、C/C/C−Cランダムコポリマーフィルム製造に関する特許文献11に開示されているように二つの成分がTm及び/又は結晶度の差異が比較的少ないか又は差が無いことのみを示す二成分ポリプロピレンベースのシール層組成物が知られている。また、C/C/Cランダムコポリマーについて述べている特許文献12に開示されているように、単独のランダムコポリマー成分のみを含む一段重合のみを使用して製造された組成物も知られている。そのようなランダムコポリマーは低レベルの抽出物と低SITを示すが、TmとSIT間の隔たりは同時に十分な加工性と低SITを与えるのに十分なほど広範囲ではない。
【0012】
シール層組成物の大部分はZN触媒をベースとするが、幾つかの組成物はメタロセン触媒をベースとすると記載されている。記載を単純化するために、用語“メタロセン触媒を使用して製造される”又は“メタロセン触媒をベースとする”は、以下では用語“メタロセンベース”によって表される。良好なメタロセンベースのシール層組成物にとっては、ZNベースの組成物と同じ理論が適用される:低SITと高温における未融解材料が大量という相互に排他的な要求は二以上のランダムコポリマーのブレンド物を製造することによって最適化することができる。当業界では、メタロセンベースのコポリマーはZNベースのコポリマーよりも低レベルの可溶物を含むことが知られている。それにも拘らず、二つ以上の成分を含む従来技術のメタロセンベースのシール層組成物中に高レベルのキシレン可溶物/ヘキサン抽出物を与える非晶質部分の導入は避けられなかった。このようにキシレン可溶物/ヘキサン抽出物のレベルは食品包装用途においてはなお関心が高い。
【0013】
特許文献13においては、メタロセンベースのアイソタクチックC/Cランダムコポリマーから作られたフィルム層を含むヒートシールポリマーフィルムが開示されている。単一成分のメタロセンランダムコポリマーから製造されたフィルムで典型的なのは、フィルムは非常に低レベルのキシレン可溶物/ヘキサン抽出物を示すが、TmとSIT間の隔たりは加工性が比較的狭い関係で、あまり広くない。
【0014】
特許文献14においては、ポリプロピレン成分とC/Cランダムコポリマー成分を含むポリプロピレン樹脂組成物が開示されている。これらの組成物の主目的は、広義で言えば、例えばヒートシール改良剤のようなシーラントとして使用されている。しかしながら、それらはその高いMFRのために単独のシール層として作用するには(二層又は多層カーストフィルム又は二軸延伸フィルムの部分として)不適当である。さらに、そのような組成物は50−99wt%のC/Cランダムコポリマーを含む。これは上記の特許文献14に記載されているように特殊プロセスとしてそのような組成物の大量生産を限定する。
【0015】
特許文献15はC/C/C−C20又はC/C/C−C20ランダムコポリマーとC/C/C−C20又はC/C/C−C20ランダムコポリマーとのブレンド物を含むポリプロピレン樹脂組成物を開示している。このグループに開示されているシール層組成物の典型例は非常に低いSITと非常に低いキシレン可溶物/ヘキサン抽出物をもつが、そのような樹脂組成物の加工性はTmとSIT間の広い範囲による利点がある。
【0016】
先行技術の二成分系シール層組成物をまとめると、少なくとも二つのランダムコポリマー成分を含むシール層組成物の全ては広範囲の加工性、即ち高Tmと低Tm成分をブレンドすることによるTmとSIT間の隔たりを達成した。大きな隔たりが実現される場合には、キシレン可溶物/ヘキサン抽出物のレベルは高すぎる。キシレン可溶物/ヘキサン抽出物のレベルが非常に低い場合には、隔たりの幅に関してはなお制限がある。
【0017】
Tmと結晶度に小さな差異があるだけの単一ランダムコポリマー成分又は二つのランダムコポリマー成分のみを含む先行技術のシール層組成物は、Tmと結晶度に大きな差異があり、一方、キシレン可溶物/ヘキサン抽出物のレベルは一般的に満足できるほど低い二つのランダムコポリマー成分を含む上述の組成物よりも一般的に低いといえる。
【0018】
シール層組成物に核剤を添加する概念は比較的新しい。特許文献16はランダムコポリマー調製時に核剤を使用すると高い結晶化温度に導きそれによって結晶化度を増大させることを開示している。該特許に開示されたポリプロピレンランダムコポリマー中のエチレンに対する1−ブテンの重量パーセント比は低くそして核化したランダムコポリマーの融点は核化していないランダムコポリマーの融点より高くはない。また、融点とSIT間の差異で表現される加工性は本発明よりもずっと狭い。
【0019】
特許文献17はプロピレン/エチレンランダムコポリマー、核剤及びアンチブロッキング剤を含む組成物を開示している。この特許の組成物はストレッチフィルムを目的としておりそしてフィルムの性質と加工性に種々の利点を与えている。しかしながら、この組成物は低SITと抽出物の低レベルについては触れていない。核剤の添加によって融点が上昇する効果については観察されていない。
【0020】
特許文献18は、靭性とヒートシール性の良好なバランスがあり、そして粘着性のない、そしてさらに、優れたアンチブロッキング性をもったプロピレンベースのポリマーと核剤を含む組成物を開示している。ヒートシール性は核剤の添加によるSITの低下によって改良される。この特許に開示されている組成物はメタロセン触媒を使用して製造されている。これらメタロセンベースのポリプロピレンランダムコポリマーの融点は核剤の添加によっても上昇しない。
【0021】
【特許文献1】EP263,718−B1
【特許文献2】EP483,523−B1
【特許文献3】EP560,326−B1
【特許文献4】EP674,991−B1
【特許文献5】EP780,432−B1
【特許文献6】WO00/11076
【特許文献7】WO02/68531
【特許文献8】EP1270651−A1
【特許文献9】WO03/029346
【特許文献10】WO03/31514
【特許文献11】WO98/58971
【特許文献12】EP881,239−B1
【特許文献13】USapplication2002/0176974−A1
【特許文献14】EP982,328−B1
【特許文献15】WO04/101673−A2
【特許文献16】USP6,270,911
【特許文献17】EP945,490−B1
【特許文献18】USP6,562,886
【非特許文献1】P.Giusti,L.Lazzeri,N.Barbani,L.Lelli,S.DePetris,M.G.Cascone,Macromol.Symp.78,285−297(1994)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明の目的は従来技術の欠点を取除きヒートシール用途に適しそして従来技術のポリプロピレン組成物よりも非常に低レベルのキシレン可溶物/ヘキサン抽出物、TmとSIT間のより広い隔たりをもつ、又は従来技術のポリプロピレン組成物よりも非常に低レベルのキシレン可溶物/ヘキサン抽出物と低SIT、高い融点をもつポリプロピレン樹脂組成物を製造することである。
【0023】
本発明の目的は、プロピレン、エチレン及び1−ブテンのランダムコポリマー、及び核剤からなり、1−ブテン量に対してエチレンの最大比が超過しないC/C/Cランダムコポリマーをもつことを特徴とする組成物によって達成される。驚くべきことに、そのような組成物においては、ランダムコポリマーへの核剤の添加はSITに影響を与えることなしに、融点の上昇をもたらすことが見出された。本発明の目的はまた、ポリプロピレン組成物の製造方法を提供することによって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0024】
ここではポリプロピレン樹脂組成物が提供される。この組成物は、プロピレン、少なくとも一つのC−C10のα−オレフィン、及びエチレンとのランダムコポリマーにおいて、ポリプロピレンランダムコポリマー中のC−C10のα−オレフィンの合計重量%に対するエチレン重量%の割合が1以下であり;そして10−20,000ppmの少なくとも一つの核剤からなることを特徴とするプロピレンのランダムコポリマーからなる。
【発明の効果】
【0025】
本発明により、ヒートシール用途に適しそして従来技術のポリプロピレン組成物よりも非常に低レベルのキシレン可溶物/ヘキサン抽出物、TmとSIT間のより広い隔たりをもつ、又は従来技術のポリプロピレン組成物よりも非常に低レベルのキシレン可溶物/ヘキサン抽出物と低SIT、高い融点をもつポリプロピレン樹脂組成物が提供される。
また、本発明の新規な材料を使用するシール層は高い結晶性、透明度及び剛性を与える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明は、少なくとも一つのC−C10のα−オレフィンを含むプロピレン、とエチレンとのランダムコポリマー、及び1以上の核剤からなる組成物に関する。本発明のランダムコポリマーをもつ複合物においては、核剤はフィルムの融点を上昇させる。二軸延伸フィルムの形成プロセスの過程で、これは延伸機械(“MDO”)中の固体フィルムをより高い温度で予熱することを可能にする。このように、フィルムの延伸が容易になりそして加工性が改良される。シール層組成物は非常に低レベルの抽出物、低SIT及び高融点で提供される。それらは少なくとも一つの重合リアクターを使用する少なくとも一つの重合工程及び少なくとも一つの核剤を添加する少なくとも一つのコンパウンド化工程からなるプロセスによって得られる。好ましいのは一つの重合リアクターを使用する一つの重合工程及び少なくとも一つの核剤を添加する一つのコンパウンド化工程からなるプロセスである。特許文献12及び特許文献11に開示されている従来技術と比較すると、本発明の組成物の融点はSITと抽出物のレベルの変化がないところで、かなり高くなる。プロピレン、エチレン及び1−ブテンとのランダムコポリマーで、1−ブテン量に対してエチレンの最大比が超過しないC/C/Cランダムコポリマーに核剤を添加することは、意外にもSITに影響を与えることなしに、融点の上昇をもたらすことが見出された。このように、二軸延伸ポリプロピレン(“BOPP”)フィルム形成プロセスにおいては、固体フィルム層は高温に予熱されそしてこのようにフィルム延伸は容易になりそしてより高いライン速度が達成できる。
【0027】
本発明は共押し出し延伸ポリプロピレン(“OPP”)フィルムの容易なシールを好ましくカバーする。ステンターフレームOPPプロセスにおけるMDOストレッチのための広範囲の加工性がある主要な利点はより高い延伸温度と高いライン速度を可能にし、同時に低いシール開始温度でフィルム包装ラインの機械速度を高める。
【0028】
本発明の新規な材料を使用するシール層は高い結晶性、透明度及び剛性を与える。
OPPフィルムの他に、本発明は、例えばキャストフィルム、チューブ状フィルム(空気冷却又は水による急冷)、押し出しコーティング、熱成形用シートのような良好な熱シールが要求されるその他の全ての用途に有益である。
【0029】
より特定的には、ポリプロピレン樹脂組成物は特に熱シール用途に好適なものとして提供される。この組成物は、プロピレンと一つ以上のC−C10のα−オレフィン及びエチレンのランダムコポリマー及び少なくとも一つの核剤との組み合わせからなる。(a)プロピレン、少なくとも一つのC−C10のα−オレフィン及びエチレンをチーグラー/ナッタ触媒系の存在下で20℃−150℃の温度そして1−100バールの圧力で、液体反応媒体の存在しない気相で、該重合条件を維持しながら、そして所望によりポリプロピレンランダムコポリマーを与えるための水素を用いて重合し、そして(b)ポリプロピレンランダムコポリマーに少なくとも一つの核剤を添加することからなるポリプロピレン樹脂組成物の製造方法もまた提供される。
【0030】
本発明は、高融点、低SIT及び非常に低レベルの抽出物をもつポリプロピレン樹脂組成物を提供する。これら三つの全ての組み合わせを示す樹脂組成物は少なくとも一つのC−C10のα−オレフィンとエチレンをもつポリプロピレンランダムコポリマー成分からなる。ポリプロピレンランダムコポリマー中のC−C10のα−オレフィンの合計重量%に対するエチレン重量%の割合は1以下でなければならない。プロピレン以外の好ましいα−オレフィンは1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン及び1−オクテンである。特に好ましいものは1−ブテンである。プロピレンランダムコポリマーは一つ以上のポリプロピレンランダムコポリマー成分を含む。例えば、プロピレンランダムコポリマーは第一のプロピレンランダムコポリマーと第一のポリプロピレンランダムコポリマーとは異なる第二のポリプロピレンランダムコポリマーを含むことができる。好ましくは、プロピレンランダムコポリマーは一つのポリプロピレンランダムコポリマー単独からなる。本発明の樹脂組成物はさらに少なくとも一つの核剤を含む。核剤は通常粉状形態で製造される重合生成物のペレット化過程でポリマー中に取り込まれる。好適な核剤の例としては、タルク、シリカ又はカオリンのような無機添加剤、安息香酸ナトリウム、t−ブチル安息香酸アルミニウム又はノルボルナンジカルボン酸のジナトリウム塩、ビス(p−メチルベンジリデン)ソルビトール又はビス(3,4−ジメチルベンジリデン)ソルビトールのようなジベンジリデンソルビトール又はそのC1−C8−アルキル−又はアルコキシ−又はハロゲン−置換された誘導体、2,2’−メチレンビス(4,6−ジt−ブチル)ホスフェートナトリウムのようなリン酸のジエステル塩、N,N’−ジシクロヘキシルナフタリンジカルボキシアミドのようなジカルボン酸アミド、及びロジンベースの核剤である。ポリプロピレン樹脂組成物中の核剤の量は一般的には2wt%までである。この種の核剤は一般に市販されており、例えば、非特許文献2に記載されている。
【0031】
本発明のキー成分である核剤に加えて、安定剤、潤滑剤、離型剤、フィラー、静電気防止剤、可塑剤、染料、顔料又は難燃剤のような従来からの添加剤の通常量がポリプロピレン樹脂組成物にその使用前に添加されるのが普通である。これらは通常粉状形態で製造される重合生成物のペレット化過程でポリマー中に取り込まれる。通常の安定剤は立体障害フェノールのような抗酸化剤、ホスファイト又はホスフォナイトのような工程安定剤、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛又はジヒドロタルサイト、立体障害アミンのような酸捕捉剤、又はUV吸収剤他である。新規なポリプロピレン樹脂組成物は一つ以上の安定剤を一般的には2wt%までの量で含む。好適な潤滑剤及び離型剤の例としては、脂肪酸、脂肪酸のカルシウム又は亜鉛塩、脂肪酸アミド及び低分子量ポリオレフィンワックスであり、そしてこれらは通常2wt%までの濃度で使用される。この種の添剤は一般的に市販されており、例えば、非特許文献2に記載されている。
【0032】
本発明の目的のために、用語“重合”はホモ重合と共重合の両方を意味する。本発明のポリプロピレン組成物成分、又はポリプロピレン組成物全体は、好適な触媒系の存在下で、プロピレン、少なくとも一つ以上のC−C10のα−オレフィンとエチレンを重合させることによって調製される。所望により、水素が分子量調節のために及び/または重合活性を増大させるために使用できる。
【0033】
重合は一般的には20−150℃の温度そして1−100バールの圧力で、0.5−5時間の平均滞留時間で、好ましくは60−90℃の温度そして1−100バールの圧力で、0.5−5時間の平均滞留時間で実施される。重合はプロピレンを重合するために通常使用されるリアクター中で、塊状、懸濁、又は気相の公知の方法で実施される。重合はバッチ法又は、好ましくは連続法で実施することができる。重合は1段以上で実施できる。好ましくは、重合は1段で実施され、このように一つのランダムコポリマー成分を含むポリマー組成物を与える。より好ましくは、1段重合が気相で実施される。
【0034】
ランダムコポリマー組成物が二つのランダムコポリマー成分からなる場合には、二つ以上のポリマー成分を別々に重合し、それからスクリュー押し出し機又はディスクパック可塑機、ニーダー又はロールミルのような好適な混合装置を使用して混合することが可能である。二つのランダムコポリマー組成物野好ましい製造方法の一つは、別々のリアクターの連続、例えば、少なくとも二つの異なったリアクターのカスケードで好適な触媒の存在下で所望の最終組成物を与えるために十分異なったリアクター条件で実施することである。特に好ましいのは重合が共に気相で行われる二つのリアクターの反応カスケードを使用することである。
【0035】
重合は立体特異性チーグラー/ナッタ触媒中で実施される。チーグラー/ナッタ触媒の本質的な成分は、少なくとも一つのチタン−ハロゲン結合をもつチタン化合物と少なくとも一つのハロゲンを含むマグネシウム化合物からなり、共にマグネシウムハライド上に活性状態で担持されている。そのような担持固体触媒成分の例は、限定はしないが特許文献19−22及び特許文献23に記載されている。所望により、これらの成分は、シリカ、アルミナ等々のような多孔性の粒子状担体上に担持されている。そのような担持固体触媒成分の例は、限定はしないが特許文献24−27及び特許文献28に記載されている。また所望により、内部電子ドナーが存在してもよい。内部ドナーの例としては、限定はしないがエーテル、ケトン、ラクトン、N、P及び/又はS原子を含む化合物、及びモノ及びジカルボン酸エステルからなる群から選ばれる化合物である。その他の好適な内部ドナーは特許文献29、30に記載されているような1,3−ジエーテルである。別の本質的な成分(助触媒)はアルミニウムアルキル化合物のような有機アルミニウム化合物である。外部ドナーは所望により添加される。外部ドナーの例としては、限定はしないが、特許文献31−34及び特許文献35に記載されており、それらは全てここでは参照として取り込まれている。本発明のプロセスで一般的に使用される触媒はアイソタクチックインデックスで90%以上、好ましくは95%以上のポリプロピレンを製造できるものである。
【0036】
以下の方法はペレット及びフィルムサンプルを特徴付けるために使用された。
キシレン可溶物(XS)のレベルは以下の方法に従って決定した:
5gのポリマーを500mLの予め100℃まで加熱した蒸留したキシレン(異性体混合物)中に入れる。混合物を引き続きキシレンの沸点まで加熱しそしてこの温度で60分間保持した。引き続き、冷却用バスを使用して20分間で5℃まで冷却しそれから再度20℃まで暖めた。この温度で30分間保持し、その後沈殿したポリマーをろ過した。それから、100mlのロ液を正確に計り取りそしてロータリーエバポレーターで溶媒を取除いた。残留物を80℃/200トールで2時間乾燥しそして冷却後秤量した。
【0037】
キシレン可溶物質のレベルは下記の式で与えられる:
XS=(g・500・100)/(G/V)
ここで:
XS=キシレン可溶物質のレベルwt%
g=測定された量
G=秤量された生成物量
V=使用したロ液の体積
【0038】
ヘキサン抽出物(HE)のレベルはFDA21CFR177.1520手順に従って50℃、2時間の抽出時間で決定した。NMR:13C−NMR測定はランダムコポリマーのエチレンと1−ブテン含量を決定するために実施した。振動数は75MHzで溶媒は重トリクロロベンゼンである。代替法として、IRスペクトル法もエチレンと1−ブテン含量を決定するために同様に使用できる。
【0039】
DSC測定をペレットとキャーストフィルムで行った。典型的なサンプルサイズは6mgであった。サンプルを20℃/分で30℃−200℃まで加熱し(第一加熱運転)、そしてこの温度で3分間保持した。それからサンプルを10℃/分で30℃まで冷却しそしてこの温度で3分間保持した。それから10℃/分で200℃まで加熱した(第二加熱運転)。得られた吸熱曲線から、最大ピークを読み取りそして融点(ここでは以後Tmで表す)として示した。ペレットの場合、融点は第二加熱運転から決定された(ここでは以後Tmpで表す)。フィルムの場合、融点は第一加熱運転から決定された(ここでは以後Tmfで表す)。
【0040】
シール開始温度(SIT)に関しては、キャーストフィルムの強度に依存する温度は10x100nm寸法の平面テフロンコートしたシールバーを装備したKopp SGPE20マシンを使用して決定した。シールバーは共に同じ温度に加熱した。特定条件は下記の通りである:
【0041】
試料幅:45mm
試料圧力:0.33N/nm
シール力:150N(シール面積:10x45nm
シール時間:1秒
遅延時間:60秒
引き裂き速度:2.5m/分
SITを決定するためのシール力:15N/45mm(内挿による)
周囲温度:23℃
SITとTm間の隔たりはSMSパラメーターとして表現される。SMSパラメーが大きくなると、SITとTmf間の隔たりは大きくなり、本発明の効果をより強調している。
SMSパラメーターは下記の式に従って計算される:
SMS=100%*(Tmf−SIT)/SIT
【0042】
以下の実施例1、2、3及び応用実施例1は本発明を例証するためのもので本発明を限定するものではない。比較実施例1、2、3及び比較応用実施例1は本発明と比較の目的で示されたもので本発明の例証ではない。
【実施例1】
【0043】
1.Ti含有固体の調製(チーグラー/ナッタ触媒の合成との関連)
342Lのエチルベンゼンと171Lのヘプタンとの混合物中の57kgのシリカゲル(グレースダビソン社製商標名シルポール2229)懸濁物中にヘプタン中のn−ブチル−n−オクチルマグネシウムの20wt%溶液542Lを室温で添加した。その反応混合物を95℃で30分間撹拌し引き続き20℃に冷却し、その後55.5kgのガス状の塩化水素を導入した。120分後、反応生成物を連続撹拌しながら54.6kgのエタノールと混合した。30分間撹拌後、536kgの四塩化チタンと122kgのフタール酸ジブチルを添加しそして100℃で60分間撹拌した。このようにして得られた固体をろ過しエチルベンゼンで数回洗浄した。この方法で得られた固体生成物をエチルベンゼン中10vol%の四塩化チタン溶液で125℃で180分間抽出した。固体生成物をそれからろ過によって抽出液から分離しヘプタンで洗浄液中の四塩化チタンが0.3wt%以下となるまで洗浄した。
【0044】
チタン含有固体成分は4.2wt%のTi、8.5wt%のMg、及び33.0wt%のClを含んでいた。
2.プロピレン−エチレン−1−ブテンコポリマー組成物の製造
これは本発明に従ったポリプロピレン樹脂組成物のランダムコポリマー成分の製造を説明する。
【0045】
重合
プロピレン−エチレン−1−ブテンランダムコポリマーの重合をチーグラー/ナッタ触媒の存在下でシクロヘキシル−メチル−ジメトキシ−シランを外部ドナーとして、25mの容積をもつ竪型撹拌気相反応器内で、分子量調節剤として水素を使用し温度70℃でそして滞留時間80分で行った。プロピレン、エチレン及び1−ブテンの混合物を反応器に導入した。反応条件はエチレン分圧0.5バール、ブテン分圧2.5バールそして全圧は19バールであった。反応器へのトリエチルアルミニウムの流速は10g−モル/hであった。ポリマー粉末が得られた。
【0046】
押し出し及びペレット化:
これは本発明に従ったポリプロピレン樹脂組成物の製造のコンパウンド化工程を説明する。
得られた粉末のメルトフローレート(230℃及び2.16kg、ISO1133)は1.0g/10分であった。500ppmのテトラキス−(メチレン−(3,5−ジ−t−ブチル)−4−ヒドロシンナメート)メタン(チバSC社製のイルガノックス1010)、及び1000ppmのトリス−(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(チバSC社製のイルガフォス168)を安定剤として添加した。1000ppmの安息香酸ナトリウム核剤を粉末に添加した。生成物をそれから過酸化水素存在下の押し出し過程で6g/10分のメルトフローレートまでビスブレークした。生成物はペレット形状で得られた。ペレットの性状を下記の表1に示す。
【0047】
フィルムの製造
キャーストフィルムをフォウルンボン押し出し機を使用して製造した。スクリュー長さは720mm、L/D比は24そして軸速度は55rpmであった。塊の温度は220℃であった。ダイ幅は450mm;ダイ厚みは0.6mmであった。チルロール温度は20℃であった。ライン速度は5m/分であった。製造されたフィルムの厚みは50μmであった。フィルムの性状を表2に示す。
【実施例2】
【0048】
プロピレン−エチレン−1−ブテンコポリマー組成物の製造
Ti含有固体の調製は上述の実施例1に示された手順に従って実施した。
重合
重合は上述の実施例1に示された手順に従って実施した。
【0049】
押し出し及びペレット化:
押し出し及びペレット化は、核剤として1000ppmの安息香酸ナトリウム、1000ppmのアルミニウムヒドロキシ−ビス[2,2’−メチレンビス[4,6−ジ(t−ブチル)フェニル]ホスフェートブレンド物(旭電化工業製ADK−Stab NA−21)を添加したこと以外は実施例1と同様に実施した。
ペレットの性状を下記の表1に示す。
【0050】
フィルムの製造
ポリマーフィルムの製造を上述の実施例1に示された手順に従って実施した。フィルムの性状を表2に示す。
【実施例3】
【0051】
プロピレン−エチレン−1−ブテンコポリマー組成物の製造
Ti含有固体の調製は上述の実施例1に示された手順に従って実施した。
重合
重合は上述の実施例1に示された手順に従って実施した。
【0052】
押し出し及びペレット化:
押し出し及びペレット化は、核剤として1000ppmの安息香酸ナトリウム、1000ppmのビシクロ[2,2,1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸ジナトリウム塩(ミリケンケミカル社製ハイパーフォームHPN−68)を添加したこと以外は実施例1と同様に実施した。ペレットの性状を下記の表1に示す。
【0053】
フィルムの製造
ポリマーフィルムの製造を上述の実施例1に示された手順に従って実施した。フィルムの性状を表2に示す。
【0054】
〔比較実施例1〕
この比較実施例はプロピレン−エチレン−1−ブテンコポリマー組成物の製造を示すがしかし本発明の例証ではない。Ti含有固体の調製は上述の実施例1に示された手順に従って実施した。重合は上述の実施例1に示された手順に従って実施した。
【0055】
押し出し及びペレット化は、核剤を添加しなかったこと以外は実施例1と同様に実施した。ペレットの性状を下記の表1に示す。
フィルムの製造を上述の実施例1に示された手順に従って実施した。フィルムの性状を表2に示す。
【0056】
〔比較実施例2〕
この例は、本発明に従わない組成物を調製するポリマー成分の重合を例証する。
Ti含有固体の調製は上述の実施例1に示された手順に従って実施した。
プロピレン−エチレン−1−ブテンコポリマー組成物の製造は下記の手順に従って実施した:
【0057】
5Lのオートクレーブを窒素で3回パージした。撹拌機を175rpmに調節した。室温で、0.3gの水素、32.5gのエチレン及び135gの1−ブテンを添加した。ヘプタン中のトリエチルアルミニウム溶液(25wt%)15ccとシクロヘキシルジメトキシシラン(n−ヘキサン中0.1M)溶液5ccとの混合物を1000gのプロピレンと一緒にオートクレーブ中に入れそして175rpmで1分間撹拌した。それから、実施例1の触媒(即ち、チタン含有固体)30mgをさらなるプロピレンと一緒に入れ、反応器への合計モノマーフィード(プロピレン+エチレン+1−ブテン)を2000gとした。5分以内で、モノマー混合物の温度は65℃の重合温度に達した。重合を15分間行わせた。重合を脱気によって停止させた。500gのポリマーが得られた。ポリマーをオートクレーブから取り出しそして室温、大気圧で一昼夜乾燥した。全体の手順を6回繰り返し、合計3.0kgのポリマーを製造した。
【0058】
押し出し及びペレット化:
500ppmのテトラキス−(メチレン−(3,5−ジ−t−ブチル)−4−ヒドロシンナメート)メタン(チバSC社製のイルガノックス1010)、及び1000ppmのトリス−(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(チバSC社製のイルガフォス168)を安定剤として添加した。生成物を押し出しそしてペレット形状で得た。得られたペレットのメルトフローレート(230℃及び2.16kg、ISO1133)は4.0g/10分であった。ペレットのその他の性状は表1に示す。
【0059】
フィルムの製造
キャーストフィルムをオプチカルコントロールシステムズ社製ME押し出し機を使用して製造した。スクリュー長さは520mm、L/D比は24そして軸速度は50rpmであった。塊の温度は230℃であった。ダイ幅は150mm;ダイ厚みは0.5mmであった。チルロール温度は20℃であった。ライン速度は3.5m/分であった。製造されたフィルムの厚みは50μmであった。
【0060】
〔比較実施例3〕
Ti含有固体の調製は上述の実施例1に示された手順に従って実施した。
プロピレン−エチレン−1−ブテンコポリマー組成物の製造は上述の比較実施例2の手順に従って実施した。
【0061】
押し出し及びペレット化は上述の比較実施例2の手順に従って実施した。さらに、1000ppmの安息香酸ナトリウム核剤を添加した。
フィルムの製造は上述の比較実施例2の手順に従って実施した。
【0062】
【表1】

【0063】
【表2】

【0064】
〔応用実施例1〕
この実施例は本発明に従ったものである。
実施例2で製造したペレットを二つの異なった条件下においてBOPPラインで加工した。第一の条件は20μmで、一方第二の条件は50μmの厚みでフィルムを製造する。応用関連データを表3に示す。
【0065】
〔比較応用実施例1〕
この例は本発明に従ったものではない。
応用実施例1と同じ条件を適用した。しかしながら、実施例2のペレットの替わりに、比較実施例1のペレットを使用した。応用関連データを表3に示す。
【0066】
【表3】

【0067】
上述の記載は多くの特定例を含むが、これらの特定例は本発明を限定すると見做されるべきではなく、単にそれらの好ましい態様を例証するためのものと見做されるべきである。熟練した当業者であれば、特許請求の範囲によって規定されるような本発明の範囲と精神の範囲内で多くの他の態様を予見することは容易であろう。
【0068】
【特許文献19】USP4,399,054
【特許文献20】EP45,977
【特許文献21】USP4,784,983
【特許文献22】USP4,861,847
【特許文献23】USP6,376,417
【特許文献24】EP288,845
【特許文献25】EP864,591
【特許文献26】USP5,006,620
【特許文献27】USP5,162,465
【特許文献28】USP2004/0033887A1
【特許文献29】EP361,493
【特許文献30】EP728,769
【特許文献31】USP4,829,038
【特許文献32】USP4,990,479
【特許文献33】USP5,438,110
【特許文献34】USP5,773,537
【特許文献35】USP6,469,112
【非特許文献2】Zweifel(Ed.),Plastics Additives Handbook,5th Edition,Hanser Publishers,Munich,2000,Chapter 18
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明のポリプロピレン樹脂組成物は、熱シール用途として、例えば、OPP(延伸)フィルム、キャストフィルム、チューブ状フィルム(空気冷却又は水による急冷)、押し出しコーティング、熱成形用シートのような良好な熱シールが要求される全ての用途に有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)プロピレン、少なくとも一つのC−C10のα−オレフィン、及びエチレンとのランダムコポリマーにおいて、該ポリプロピレンランダムコポリマー中のC−C10のα−オレフィンの合計重量%に対するエチレン重量%の割合が1以下であり;そしてb)約10−約20,000ppmの少なくとも一つの核剤からなることを特徴とするポリプロピレン樹脂組成物。
【請求項2】
核剤の量が、核剤なしのポリプロピレンランダムコポリマーの融点より少なくとも3℃高い融点をもつポリプロピレン樹脂組成物を与えるのに十分な量である請求項1記載のポリプロピレン樹脂組成物。
【請求項3】
ランダムコポリマーが少なくとも一段の重合段階を含むプロセスで製造されている請求項1記載のポリプロピレン樹脂組成物。
【請求項4】
ランダムコポリマーが一段の気相重合プロセスで製造されている請求項1記載のポリプロピレン樹脂組成物。
【請求項5】
少なくとも一つの核剤が安息香酸ナトリウム、安息香酸リチウム、タルク、リン酸の有機誘導体の金属塩、ジベンジリデンソルビトール又はその誘導体、ロジン又はその誘導体、ノルボルナンジカルボン酸又はその誘導体のジナトリウム塩、アミド化合物又は該ランダムコポリマー中に結晶核を誘発させることのできるポリマーのうち一つ以上を含む請求項1記載のポリプロピレン樹脂組成物。
【請求項6】
フィルム又はフィルム層からDSC測定で決定される融点が、如何なる核剤も含まない対応する樹脂組成物のポリマーストランド又はペレットから製造される対応するフィルム又はフィルム層の融点より少なくとも1℃高い、請求項1記載の樹脂組成物から製造されるフィルム又はフィルム層。
【請求項7】
SMSパラメーターが、核剤を含まない樹脂組成物から製造されたフィルムのSMSパラメーターより大きい請求項6記載のフィルム又はフィルム層。
【請求項8】
SMSパラメーターが、24.1%より大きい、より好ましくは24.5%よりも大きい、そして最も好ましくは25%より大きい請求項6記載のフィルム又はフィルム層。
【請求項9】
a)プロピレン、少なくとも一つのプロピレン以外のα−オレフィン及びエチレンをチーグラー/ナッタ触媒と接触させる少なくとも一つの重合段階;b)核剤を添加する少なくとも一つのコンパウンド化段階からなる請求項1記載の樹脂組成物の製造方法。
【請求項10】
a)プロピレン、少なくとも一つのプロピレン以外のα−オレフィン及びエチレンをチーグラー/ナッタ触媒と接触させる一つの重合段階;b)核剤を添加する一つのコンパウンド化段階からなる請求項1記載の樹脂組成物の製造方法。
【請求項11】
重合を気相で実施する請求項10記載の方法。

【公表番号】特表2007−517122(P2007−517122A)
【公表日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−547388(P2006−547388)
【出願日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【国際出願番号】PCT/US2004/043388
【国際公開番号】WO2005/066247
【国際公開日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(506205309)ペトロキミカ クーヨ エスエイアイシー (1)
【Fターム(参考)】