説明

シール部に表面造形を施した液体取扱装置

【解決手段】試料取扱器具は、流路と関係付けられ、流路内を軸方向に動くように配置された少なくとも1つのプランジャを有する本体を含んでいる。シールが流路内に設けられ、接触面と密封係合している。接触面は表面造形を含んでおり、接触面が動くと、シールと表面造形が、少なくとも部分的には相互に接触するようになっている。シールは、Oリング、Xリングの様なエラストマー部材を含んでおり、接触面は、セラミックを含む何らかの適した材料で形成されている。表面造形は、任意の適した織り目、多孔質表面を含む様々な形態を取ることができ、或いは、1つ又は複数の溝、孔、凹部、窪み、隆起、突起など、又はそれらの組み合わせを含んでいてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピペット操作装置の様な試料取扱器具に関する。より具体的には、本発明は、物質の試料を吸引し供給するためのプランジャー操作式ピペットに関する。
【背景技術】
【0002】
複数のピペット操作装置を有する試料取扱器具は、例えば、予め決められた量の物質を1つの作業領域から取り出して別の作業領域に供給することが必要な、蛋白質や染色体の研究で、そして研究室的及び臨床的処置で広く使われている。これらの装置は、物質の試料を、微量滴定トレイ、分離されたDNA細片を有するゲル、及び他の物質保持装置の様な、様々な異なる種類の作業領域の間で移動させるのに使用される。その様な器具の中には、広く知られている96ウェル又は384ウェル・プレートの様な微量滴定トレイのウェルに対応する配列に配置された複数のピペット操作装置を有しているものもある。この配置を使えば、微量滴定トレイのウェルに同時に入れ、そこから同時に取り出すことができるので、微量滴定トレイ内の複数の試料を処理する速度が上がる。
【0003】
器具内のピペット操作装置は、通常、流路内で動くプランジャ又はピストンを含んでいる。プランジャは、或る方向に動かされると液体を流路内に引き込み、即ち、試料を対応する針又はピペットの先端で吸引し、反対方向に動かされると、液体を流路から放出し、即ち試料を供給する。プランジャと流路の間には、通常、シールが設けられており、プランジャが流路の中で動かされるときに差圧を作り出す。一般的に、プランジャは、高度に研磨されるなどして平滑な表面となっており、流路に取り付けられているOリング又は他の部材と、シールを形成している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
物質をピペットに吸引しピペットから放出するには、シールの無欠性が重要である。従って、シールにとっては長い有効寿命と信頼性が望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の或る態様では、プランジャ及び/又は流路は、ピペット操作装置の使用寿命及び/又は体積精度を改善するため、手が加えられている。或る例証的実施形態では、プランジャ及び/又は流路は、溝、窪み、突起、空洞などの様な、プランジャと流路の間のシール部に非平滑面を形成する表面造形を含むシール面を有している。例えば、プランジャは、1つ又は複数の溝の形をした表面造形を有しており、プランジャの溝が形成された部分は、プランジャが流路の中を動いて試料を吸引及び/又は供給するときに、流路に取り付けられた弾性シール部材と密封係合する。発明人は、従来の装置に見られる典型的な平滑接触面の代わりに、少なくとも部分的に、表面造形を設けると、装置の性能が改善されることを、予期せず発見した。予期せず発見された、改善された性能特性には、長い摩耗寿命、軽減した保守、改善された体積制御、が含まれている。
【0006】
本発明による或る例証的実施形態では、液体取扱装置は、流体を受け入れ、排出するための端部を有する少なくとも1つの流路を備えた本体を含んでいる。プランジャは、流路内で軸方向に動くように構築され配置されており、接触面には、非平滑面を形成する表面造形が設けられている。シールは、流路内に設けら、プランジャの一部分を本体の一部分に密封係合させ、表面造形を含む接触面の少なくとも一部が、シールの部分に配置されている。プランジャが流路内で動くと、本体がプランジャに対してシールの部分で動き、流体が流路の端部を流れるようになる。
【0007】
本発明の或る態様では、表面造形は、1つ又は複数の溝、穴、凹部、隆起、突起、空洞、窪みなどを含んでおり、例えば、エラストマー部材の接触面との接触によって形成されるシールの部分で密封係合される接触面の部分に設けられている。
【0008】
本発明の別の実施形態では、液体取扱装置は、少なくとも1つの流路を備えた本体と、流路と連通する針と、を含んでいる。この装置は、更に、流路内で軸方向に動くように構築され配置されたピストンを含んでいる。係合面には潤滑するための表面手段が設けられており、シールは、流路内に設けられ、係合面と密封接触する。ピストンが動くと、係合面とシールが相対運動して、流体が針の中を流れる。
【0009】
本発明の別の態様では、液体取扱装置は、少なくとも1つの流路を備えた本体と、流路と連通する針であって、流体を受け入れ、排出するための開いた端部を有している針と、を含んでいる。この装置は、更に、流路内で軸方向に動くように構築され配置されたプランジャを含んでいる。プランジャは、少なくとも1つの溝が設けられた接触面を有している。流路にはXリングが取り付けられ、プランジャの接触面と密封係合している。プランジャが流路内で動くと、接触面とXリングが相対運動し、流体が針の開いた端部を通って流れる。
【0010】
本発明の上記及びこの他の態様は、例証的実施形態に関する以下の説明と、特許請求の範囲とから明白及び/又は自明となるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の各態様は、添付図面を参照しながら以下の詳細な説明を読めば明確に理解頂けるであろう。なお、図中、同様の造形には同様の番号を付している。
以下、本発明の様々な態様について、例証的な実施形態を参照しながら説明する。しかしながら、本発明は、これら以下に説明する実施形態に限定されるものではなく、適していればどの様なシステム又は装置にでも使用できるものと理解されたい。
【0012】
本発明の或る態様では、試料取扱器具は、本体内の流路の中を軸方向に動くように配置されたプランジャを備えている本体を含んでいる。流路内に設けられたシールは、接触面と密封係合している。或る実施形態では、シールは、プランジャ上に設けられた接触面と係合する、流路上に設けられたシール部材で形成されているが、シール部材と接触面の位置はこの逆でもよい。プランジャを流路内で軸方向に動かし、例えば試料を吸引又は供給すると、シール部材と接触面は互いに相対運動を行い、運動の間、互いの密封係合を好適に維持する。
【0013】
本発明の或る態様によれば、シールとの係合部分が平滑な接触面となっている従来型の液体取扱装置とは対照的に、接触面は、織り目、無数の小孔、溝、穴、凹部、窪み、突起、隆起、空洞、及び/又は孔を含む表面造形を有している。潤滑剤が表面造形に部分的に入り込んで、接触面とシールの間に密封係合を作り出し、及び/又は他の可動面を潤滑する働きをしており、構成要素の摩耗を低減する結果になっている。即ち、表面造形の潤滑剤は、(従来型の平滑面の装置でのようにシール部材によって拭き取られるのではなく)表面造形に保持され、可動部品の潤滑を助けている。更に、表面造形は、部品間の貼り付き及び/又は動摩擦を低減し、プランジャの運動をより制御できるようにして、より正確に体積制御を行えるようにしている。
【0014】
表面造形を有する接触面は、セラミック、プラスチック、ガラス、金属、又は適していればどの様な材料の組み合わせでも作ることができる。シールは、エラストマーシール部材、例えば、Oリング、Xリング又は他の適した装置の様な、適していればどの様なシール装置で形成してもよく、本体又はプランジャの何れに取り付けてもよい。シールは、プランジャと本体の対応する部分の密接嵌合で、適したベアリングで、又は他の適した装置で形成され、必ずしも弾性装置又は他のシール部材で形成されている必要はない。
【0015】
本発明の更に別の態様では、接触面とシールの相対運動の間、接触面は、シール部材、例えばXリングと少なくとも2つの接触点で係合する。この様な配置にすると、シールと接触面の間の密封係合又は潤滑が行い易くなり、装置の各構成要素の長い摩耗寿命、保守の軽減、緻密な体積制御の様な改善された性能特性が促進される。
【0016】
本発明の様々な態様を組み込んだ試料取扱装置10の例証的実施形態を、図1に示している。装置10は、微量滴定トレイ、分離されたDNA細片の入ったゲル、又は他の生物学的物質などの様な、1つ又は複数の作業領域で物質を取り出し及び/又は供給するために、針12を含んでいる。針12は、交換可能なピペット先端(図示せず)、又は物質を取り扱うのに適した他の装置が取り付けられているか、又は、当該技術では既知の様に、直接物質を取り扱うように構成されている。ここで述べる限りにおいて、装置10は、流体を吸引及び供給するために使用されている。しかしながら、本発明の態様は、その様に限定されるものではなく、流体であるなしに関わらず、どの様な物質を取り扱うのにも使用できるものと理解されたい。ここで用いる「流体」という用語は、気体及び/又は液体及び/又は固体物質を含む液体を指す。
【0017】
装置10は、手動で又は当技術では理解頂けるようにロボットを使っての何れかで動かして、1つ又は複数の針12を微量滴定トレイ又は他の試料保持装置に対して位置決めする。適していればどの様な数の針12をどの様なパターンで配置してもよく、例えば、針が、標準的な96ウェル、384ウェル、又は他の寸法構成の微量滴定トレイ又は他の試料保持器と相互協働できるようなパターンに配置してもよいものと理解されたい。この様に、この例証的実施形態は、提示の簡便さと容易さを図るために使用しているものであり、本発明の態様に制限を課すもの解釈すべきではない。これも理解頂けるように、1つ又は複数のプランジャ18を動かして1つ又は複数の針12を作動させ、試料保持装置内のウェルから試料を吸引し、又はウェルに試料を供給する。当業者には理解頂けるように、針12を作動させて他の物質取扱操作、例えば、コロニー又はプラークのピッキング、を実行することもできる。その様な物質取扱の目的と方法は、当業者には周知であるので、ここでは詳細に述べない。
【0018】
この例証的実施形態では、装置10は、上側部分又はリフトプレート14aと下側部分14bを備えた本体又はブロック14を含んでいる。本体14は、適していればどの様な方法で形成してもよく、例えば、上側及び/下側部分14aと14bは、溝、流路を有する多層のプラスチック材料で作ってもよいし、他のやり方で形成して後で組み立てて所望の流路などを器具本体内に作ってもよい。これらの層は、例えば、加熱し、一体にプレスして一体のブロックを形成するなどして、一体に接合してもよい。穴20は、本体14を型枠又は他の支持構造に締結するために使用されるが、ロボットを使う場合、本体は、ロボット装置の対応するコネクタと係合し、器具に電力、制御信号、流体供給などを提供するコネクタを含んでいてもよい。適していればどの様な駆動機構(図示せず、例えば、上側部分14aの下側部分14bに対する運動を案内するガイド、上側部分14aを動かす駆動力を作り出すリニアモーター、上側部分14aの下側部分14bに対する位置をフィードバックするリニアエンコーダを含む)を設けて、本体14の上側部分14aを下側部分14bに対して、例えば矢印Aで示す方向に動かしてもよい。この様な運動によって、上側部分14aで上端22が支持されているプランジャ又はピストン18は、流路16内を下側部分14bに対して或る運動の範囲内で動き、圧力差を作り出して、対応する針12に試料を吸引/供給させる。シール24は、プランジャ18の運動が針12を作動させるための適した圧力差を作り出すように、流路16それぞれに形成されている。装置10は、必ずしもこの例証的実施形態に示す様に正確に作られている必要はなく、他の機構を使って針12を作動させてもよい。
【0019】
図2は、本発明の或る態様による、本体14内に配置されているプランジャ18の断面図である。シールは、プランジャ18と本体14の相対運動によって流路16内に圧力変化が作り出されるように、プランジャ18と本体14の間に形成される。シールは、プランジャ18と流路16の密接嵌合によって、及び/又は別のシール装置によって形成される。この実施形態では、エラストマー部材の様な1つ又は複数のシール部材24が流路16の中に取り付けられ、対応するプランジャ18の係合又は接触面32(この例ではプランジャ18の外面)と接触し、流体が流路16内でプランジャ18を通過して流れるのを阻止する。シール部材24は、代わりにプランジャ18に取り付けて、プランジャ18と共に本体14に対して運動するようにしてもよい。(プランジャ18、流路16又は他の何処かの)接触面32は、プランジャ18の運動範囲の少なくとも一部分でシール部材24と接触する表面造形34を含んでいる。表面造形34は、先行技術による装置とは対照的に、シール部に比較的粗い面又は非平滑面を作り出す。驚くことに、表面造形34は、ピペット操作の場合に適したシール面を提供し、なお且つ摩耗を軽減させ、場合によっては使用寿命を長くすることが解った。
【0020】
図3は、螺旋形の溝46として形成された凹部44を含む、或る型式の表面造形34の例証的実施形態を示している。溝46は、1−2mm以下の様な、任意の適する幅Wと深さDを有している。溝46の各部分48は、任意の値である間隔Sを空けて設けられている。溝46を配置することによって、潤滑剤が溝46を満たし、接触面32とシール部材24の間に密封係合が保たれる。図示のように、溝46は、1本の連続する渦巻又は螺旋として形成されている。しかしながら、1つ又は複数の溝46を何らかの適したやり方で設け、例えば、溝46を任意の所望の角度で交差させ、同じか又は異なる幅W、深さD、及び間隔Sを持たせてもよいものと理解されたい。例えば、図4に示すように、溝46の各部分48が互いに成す角度θは、何らかの適したやり方で変化してもよい。
【0021】
図3は、或る特定の実施形態に関する或る型式の表面造形34を示しているが、本発明による表面造形34は、接触面32の少なくとも一部に設けられた、どの様な適する織り目、凹部、窪み、突起、空洞、孔、溝、無数の小孔、又は他の造形、又はそれらの組み合わせを含んでいてもよい。表面造形34は、一様でもよいし、及び/又は接触面32上に規則的に配置されていてもよい。代わりに、表面造形34は、不規則でもよいし、及び/又は接触面32上に無作為に配置されていてもよい。
【0022】
図5は、本発明の態様に使用される他の表面造形34を示している。例えば、接触面32の一部は、多孔質で、表面28に開口する無数の小孔50を含んでいてもよい。本発明の或る態様では、無数の小孔は、プランジャの内側から、例えば、プランジャ内側の1つ又は複数の流路を通して、潤滑剤を供給する役を果たす。代わりに、表面造形34は、図5に示す様に、様々な凹部44及び/又は突起52を含んでいてもよい。凹部44と突起52は、どの様な適した形状及び/又は寸法及び/又は向きなどを有していてもよく、どの様な適した深さD、幅B、又は高さHを有していてもよいものと理解されたい。これらは、接触面32の回りに、規則的に又は無作為に配置してもよい。別の実施形態では、凹部、突起及び/又は他の造形は、接触面32の少なくとも一部の上に織り目54を形成している。織り目54は、接触面32の一部を粗し又はエッチングすることを含め、多種多様な表面処理を含んでいる。
【0023】
本発明の或る態様では、シール部材24は、図2に示すように、軸方向に間隔を空けて位置し軸方向に異なる位置で接触面32と個々に係合する2つの接触点40と42を有している。接触点40と42は、任意の適した距離Bだけ、互いに間隔を空けて位置している。本発明の或る態様では、シール部材24は、図示の様に、接触面32と係合する2つの接触点を含むXリングを含んでいる。或る実施形態では、この構造は、表面造形34を有する接触面32と共に使用する場合、例えば、流体密封シールを形成し且つ潤滑をやり易くすることにより特別に効果的であることが解っている。シール部材24は、1つ又は複数のOリングを含め、どの様な適したシールでもよいものと理解されたい。シール部材24は、シール部材24を流路16に形成された取り付け凹部38内に嵌め込み又は接着接合することを含め、当技術で既知のどの様な適したやり方で取り付けてもよい。
【0024】
図示の実施形態では、シールは弾性シール部材で形成されているが、シールは、プランジャ18と流路16の密接嵌合、適したベアリング、又は他の装置の様な、他の方式で形成してもよい。この実施形態では、シール部材24は、流路16に対して静止したままであるが、別の実施形態では、プランジャ18と共に動き、流路の壁の係合面と接触している。また別の実施形態では、接触面32は、例えば、プランジャ18が管状の形状を有している場合は、プランジャ18の内面上に形成され、シールは、プランジャ18の内側に、例えば、管状のプランジャ18の内側のステム上に保持されたシール部材によって形成されている。
【0025】
プランジャ16上にある潤滑剤は、少なくとも部分的には表面造形34と係合し、シール部に密封係合を作り出す支援をする。或る実施形態では、表面造形34に保持されている潤滑剤は、シールを、表面造形34に捕捉されている潤滑剤を使って自己潤滑する。この動作は、装置の各種部品の摩耗を低減する。潤滑剤は、例えば、オイル、グリースなど適していればどの様な材料でもよい。この様に、表面造形34は、例えばシール部で、可動部品を潤滑する表面手段として機能する。この潤滑機能は、潤滑剤を表面造形34に、例えば、溝の中又は突起の間などに保持し、潤滑剤を表面造形に供給することによって、例えば、潤滑油をプランジャ内の圧力が掛かった状態でプランジャ接触面32上の無数の小孔に供給することによって、実行される。
【0026】
上記表面造形34は、何れも、単独で又は互いに組み合わせて、無作為及び/又は規則的なパターンで、接触面32の少なくとも一部の上に使用することができる。表面造形34は、丸くても、湾曲していても、又は角度の付いた縁部を有していてもよい。表面造形34の寸法及び/又は形状は、互いに同じでも異なっていてもよい。更に、特定の表面造形34について図示し説明してきたが、表面造形34は、ここに記述したこれらの実施形態に限定されるものではない。当業者であれば、この他数多くの適した表面造形34を導き出せるものと理解されたい。
【0027】
表面造形34の無数の小孔50、凹部52、突起54、溝46などは、適していればどの様な材料で、どの様な方法で形成してもよい。或る好適な実施形態では、表面造形34又は接触面32は、少なくとも部分的にはセラミックで形成されている。表面造形34は、機械加工、モールド成形、研磨、エッチングを含め、適していればどの様な工程で形成してもよい。表面造形34を有する接触面32を含んでいる流路16又はプランジャ18は、先ず自身が形成され、次に、表面造形34が接触面32に施される。例えば、プランジャ18は、先ず鋳造又はモールド成形され、次いで、表面造形34が接触面32に機械加工されるか、又はプランジャ18と表面造形34が別々に形成され、次に一体に組み立てられる。代わりに、表面造形34と流路16又はプランジャ18を同時に、例えばモールド成形で形成してもよい。
【0028】
表面造形34は、プランジャ18の運動の全範囲に亘ってシールと常に接触しているわけではない。そうではなくて、シールは、運動範囲の或る部分では、接触面32の比較的平滑な部分に形成され、次いで運動範囲の別の部分では、接触面32の表面造形34の部分に形成される。
【0029】
プランジャ18は、中実であるように描いているが、中空でもよいし、当技術では既知のように、プランジャ内に流体の通路を設けてもよい。プランジャ18と上側及び下側部分14aと14bは、セラミック、プラスチック、ガラス、又は適した金属の様な、適していればどの様な材料で作ってもよく、流路と他の造形は、適していればどの様な方法で、どの様な工程で形成してもよい。
【0030】
以上、本発明を、様々な例証的実施形態を参照しながら説明してきたが、本発明は、説明した実施形態に限定されるものではない。即ち、説明した実施形態に対する多くの代替案、修正案、派生案が当業者に自明であろうことは明白である。従って、ここに述べた本発明の実施形態は、例証を意図したものであり、本発明に制約を課すものではない。本発明から逸脱すること無く、様々な変更を加えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明による、試料取扱装置の概略図である。
【図2】本発明の或る態様による、プランジャ、シール、及び流路の断面図である。
【図3】図2のプランジャの側面図である。
【図4】図3のプランジャの詳細図である。
【図5】本発明による、代替表面造形の詳細図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体取扱装置において、
流体を受け入れ、排出するための端部を有する少なくとも1つの流路を備えている本体と、
前記流路内で軸方向に動くように構築され配置されているプランジャと、
非平滑面を形成する表面造形を含んでいる接触面と、
前記流路内に設けられた、前記プランジャの一部を前記本体の一部に密封係合させるシールであって、前記表面造形を含む前記接触面の少なくとも一部は、前記シールの部分に配置されている、シールと、を備えており、
前記プランジャが前記流路内で動くと、前記本体が前記プランジャに対して前記シールの部分で動き、流体が前記流路の前記端部で流れる、液体取扱装置。
【請求項2】
前記本体に取り付けられたシール部材を更に備えており、前記プランジャは、前記シール部材と密封係合するための前記接触面を含んでいる、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記プランジャに取り付けられたシール部材を更に備えており、前記流路は、前記シール部材と密封係合するための前記接触面を含んでいる、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
潤滑剤が、少なくとも部分的には、前記接触面の前記表面造形に担持されていて、前記シールの部分に前記密封係合を作り出す支援をしている、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記接触面の少なくとも一部は、前記プランジャと共に動く、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記表面造形の少なくとも一部は、前記プランジャの運動範囲内で前記シールと係合する、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記表面造形は、少なくとも1つの凹部を含んでいる、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記凹部は、少なくとも1つの溝を含んでいる、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記表面造形は、少なくとも1つの突起を含んでいる、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記表面造形は、多孔質の表面を含んでいる、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記接触面は、セラミックで形成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記接触面上の間隔を空けた位置で密封係合するように構築され配置されている少なくとも2つの接触点を備えているシール部材を更に備えている、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記シール部材は、Xリングを含んでいる、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記流路は、複数の流路の内の1つであり、各流路は、流体を受け入れ、排出するための開いた端部を有しており、
前記プランジャは、複数のプランジャの内の1つであり、各プランジャは、対応する流路と関係付けられており、
前記接触面は、複数の接触面の内の1つであり、各接触面は、表面造形を含んでおり、 前記シールは、複数のシールの内の1つであり、各シールは、対応する流路内に設けられており、対応するプランジャの一部分を前記本体の一部分に密封係合させる、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
液体取扱装置において、
少なくとも1つの流路を備えている本体と、
前記流路と連通している針と、
前記流路内を軸方向に動くように構築され配置されているピストンと、
潤滑剤を保持するための表面手段を含んでいる係合面と、
前記流路内に前記ピストンと前記本体の間に設けられ、前記ピストンと前記流路を前記係合面の一部分において密封係合させるシールと、を備えており、
前記ピストンが前記流路内で動くと、流体が前記針の中を流れる、装置。
【請求項16】
前記本体に取り付けられているシール部材を更に備えており、前記ピストンは、前記シール部材と密封接触するための前記係合面を含んでいる、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記ピストンに取り付けられているシール部材を更に備えており、前記流路は、前記シール部材と密封接触するための前記係合面を含んでいる、請求項15に記載の装置。
【請求項18】
潤滑剤が、少なくとも部分的には前記係合面上の前記表面手段に保持されていて、前記係合面が前記シールの部分で密封接触するのを助けている、請求項15に記載の装置。
【請求項19】
前記係合面は、前記ピストンと共に動く、請求項15に記載の装置。
【請求項20】
前記表面手段の少なくとも一部分は、前記ピストンの運動範囲内で前記シールと接触する、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記表面手段は、少なくとも1つの凹部を含んでいる、請求項15に記載の装置。
【請求項22】
前記凹部は、少なくとも1つの溝を含んでいる、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記表面手段は、少なくとも1つの突起を含んでいる、請求項15に記載の装置。
【請求項24】
前記表面手段は、多孔面を含んでいる、請求項15に記載の装置。
【請求項25】
前記係合面は、セラミックで形成されている、請求項15に記載の装置。
【請求項26】
前記接触面と密封係合するように構築され配置された少なくとも2つの接触点を備えているシール部材を更に備えている、請求項15に記載の装置。
【請求項27】
前記シール部材は、Xリングを含んでいる、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記流路は、複数の流路の内の1つであり、
前記針は、複数の針の内の1つであり、各針は、対応する流路と連通しており、
前記ピストンは、複数のピストンの内の1つであり、各ピストンは、対応する流路と関係付けられており、
前記係合面は、複数の係合面の内の1つであり、各係合面は、表面手段を含んでおり、
前記シールは、複数のシールの内の1つであり、各シールは、対応する流路内に設けられていて、対応するピストンの一部分を前記本体の一部分と密封係合させる、請求項15に記載の装置。
【請求項29】
液体取扱装置において、
少なくとも1つの流路を備えている本体と、
前記流路と連通している針であって、流体を受け入れ、排出するための開いた端部を有している針と、
前記流路内を軸方向に動くように構築され配置されている、接触面を有しているプランジャと、
前記接触面に設けられている少なくとも1つの溝と、
前記流路に取り付けられていて、前記プランジャの前記接触面と密封係合するXリングと、を備えており、
前記プランジャが前記流路内を動くと、流体が、前記針の前記開いた端部を流れる、装置。
【請求項30】
前記プランジャは、セラミックで形成されている、請求項29に記載の装置。
【請求項31】
前記プランジャ上の潤滑剤が、少なくとも部分的には前記少なくとも1つの溝に保持されていて、前記接触面と前記Xリングの間が密封係合するのを助けている、請求項29に記載の装置。
【請求項32】
前記接触面は、前記プランジャの運動範囲内で前記Xリングに対して動く、請求項29に記載の装置。
【請求項33】
前記溝の少なくとも一部分は、前記プランジャの前記運動範囲の間、前記Xリングと接触している、請求項28に記載の装置。
【請求項34】
前記流路は、複数の流路の内の1つであり、
前記針は、複数の針の内の1つであり、各針は、対応する流路と連通しており、
前記プランジャは、複数のプランジャの内の1つであり、各プランジャは、対応する流路と関係付けられており、
前記接触面は、複数の接触面の内の1つであり、各接触面は、プランジャの上に設けられ、少なくとも1つの溝を含んでおり、
前記Xリングは、複数のXリングの内の1つであり、各Xリングは、対応する流路に取り付けられていて、対応する接触面と密封係合する、請求項29に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−506121(P2008−506121A)
【公表日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−520540(P2007−520540)
【出願日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【国際出願番号】PCT/US2005/024281
【国際公開番号】WO2006/017186
【国際公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【出願人】(503220129)プロテダイン・コーポレーション (9)
【Fターム(参考)】