説明

ジアリールチオヒダントイン化合物およびジアリールヒダントイン化合物を合成するためのプロセス

X、Y、Y、RおよびRが本明細書で定義する通りである下記式の化合物などのジアリールチオヒダントイン化合物およびジアリールヒダントイン化合物を合成するためのプロセスを提供する。上記化合物を含む医薬品は、去勢抵抗性前立腺癌および/またはホルモン感受性前立腺癌を含む前立腺癌の治療において特に有用である。上記プロセスは、加水分解するステップを含み、この加水分解は濃HClの存在下、80〜140℃で約48時間かけて実施される。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本特許出願は、2010年2月24日に出願された米国仮特許出願第61/307,796号の優先権の利益を主張する。この米国仮特許出願第61/307,796号の全内容が、参考として本明細書に援用される。
【0002】
(連邦政府により支援された研究または開発に関する申告)
該当なし。
【0003】
(発明の分野)
本発明は、前立腺癌治療剤の合成のためのプロセスなどの癌治療剤の分野におけるものである。
【背景技術】
【0004】
(発明の背景)
米国癌協会(American Cancer Society)によれば、前立腺癌は、米国における男性の中で皮膚癌を除いて一般に最も診断されている癌である。米国癌協会は、米国だけで2008年に約186,000件の前立腺癌の症例が新規に診断され、約29,000人の男性が前立腺癌で死亡したと推定している。したがって、前立腺癌は、米国の男性における癌による死亡のうちの肺癌に次ぐ第2の主要原因である。
【0005】
転移性前立腺癌は、前立腺およびその周囲組織を越えて遠位の器官および組織に拡がった癌である。前立腺癌で死亡する男性の大部分は、転移性疾患の結果亡くなっている。国立癌研究所(National Cancer Institute)によれば、前立腺癌が遠位の器官に転移した前立腺癌を有する患者の平均生存期間は通常1〜3年であり、そうした患者のほとんどは前立腺癌により死亡する。転移性前立腺癌は一般に2つの状態、ホルモン感受性状態と去勢抵抗性状態(ホルモン不応性状態とも称される)に分けられる。
【0006】
アンドロゲンと総称されるテストステロンおよび他の男性ホルモンは前立腺癌細胞の増殖を促すことができる。アンドロゲンは、前立腺癌細胞において発現したアンドロゲン受容体と結合しそれを活性化させることによって前立腺癌細胞に対するその効果を発揮する。前立腺癌細胞が最初に遠位部位に転移する場合、大部分の前立腺癌は増殖のためにアンドロゲンに依存する。これらの前立腺癌は「ホルモン感受性」癌として公知である。したがって、現在転移性前立腺癌の治療に用いられている主要な治療法は、前立腺癌細胞に対するアンドロゲンの効果を弱めるかまたはその効果と拮抗することに焦点が当てられている。1つのアプローチは、アンドロゲンのアンドロゲン受容体との相互作用を遮断する分子であるいわゆる「抗アンドロゲン剤」を利用するものである。他のアプローチは体内、主に睾丸内で産生されるアンドロゲンの量を減少させるものである。これは、両方の睾丸を外科的に除去する(睾丸摘出)か、または黄体形成ホルモン放出ホルモンすなわちLHRH(睾丸中のテストステロンの自然産生を低下させる(「化学的去勢」と称されることがある)アゴニスト薬)として公知の薬物の使用によって実現することができる。
【0007】
大部分の転移性前立腺癌は当初はホルモン感受性であり、したがってホルモン療法に応答する。しかし、2004年10月7日発行のThe New England Journal of Medicineに公開されている研究によれば、事実上すべてのホルモン感受性転移性前立腺癌は、ホルモン療法開始後平均18〜24ヵ月で、去勢抵抗性状態に転換する変化を経る[非特許文献1]。前立腺癌細胞がホルモン感受性状態から去勢抵抗性状態へと切り替わる重要な機序の1つは、アンドロゲン受容体の過剰発現を介するようである。ホルモン感受性前立腺癌細胞および去勢抵抗性前立腺癌細胞における遺伝子発現を比較する実験では、アンドロゲン受容体発現の増加は、去勢抵抗性疾患に常に伴う遺伝子変化のみであった[非特許文献2]。一旦この状態になると、テストステロン産生が非常に低いレベルまで低下している(すなわち去勢後)にもかかわらず、前立腺癌は通常アンドロゲン依存的な仕方で増殖し続ける。この状態の前立腺癌は、「去勢抵抗性」前立腺癌すなわちCRPCとして公知である。ホルモン療法の開始に続くホルモン感受性状態から去勢抵抗性状態への切り替わりは通常、前立腺特異性抗原すなわちPSAレベルの上昇か、または画像検査もしくは臨床症状によって証明されるような確認された疾患の増悪をもとにして判定される。去勢抵抗性となった転移性前立腺癌は非常に悪性度が高く、こうした患者の平均生存期間はわずか10〜16ヵ月である。
【0008】
CRPCがそれほど致命的である主な理由は、それが治療困難であるからである。転移性前立腺癌の治療に現在用いられている治療法は、アンドロゲンが前立腺癌細胞の増殖を促す能力を低減させることによって作用するので、そうした治療法は一般に、増殖のためアンドロゲンに依存することによってホルモン感受性のまま留まる前立腺癌に対してのみ効果的である。CRPCは、ホルモン感受性状態において効果的であるホルモン療法に対してもはや応答しない。状況をさらに複雑にすることには、去勢抵抗性状態に入った前立腺癌における生物学的変化に起因して、当初アンドロゲン受容体を遮断し、ホルモン感受性前立腺癌の増殖を阻害した薬物は、正確に逆の効果をもたらし、CRPCの増殖を促し始める。例えば、AstraZeneca PLCから販売されているCasodex(登録商標)(ビカルタミド)はアンドロゲンとアンドロゲン受容体の相互作用を直接遮断するものであり、これは最も売れている抗アンドロゲン治療剤である。しかし、前立腺癌細胞系がアンドロゲン受容体を過剰発現するように遺伝子操作された(したがって、それらをホルモン感受性から去勢抵抗性状態へ転換させた)去勢抵抗性前立腺癌のインビトロモデルでは、Casodex(登録商標)は、これらの細胞においてアンドロゲン受容体を効果的に阻害するのに失敗しており、いくつかの場合、それがアンドロゲン受容体の刺激剤となっている。CRPCにおけるCasodexでの公開されているヒト臨床経験と一致するこうした発見は、Casodex(登録商標)を、転移性前立腺癌の去勢抵抗性状態の治療に効果のないものにしている。
【0009】
Casodex(登録商標)および転移性前立腺癌用に市販されている他の薬物が結合するのと同じ標的であるアンドロゲン受容体と結合する化合物が、転移性前立腺癌の去勢抵抗性状態において使用するために開発されている。これらの化合物を、現在使用されている薬物に不応性となった癌を治療するのに効果的なものにする仕方で、これらの化合物はアンドロゲン受容体と結合する。例えば、特許文献1、特許文献2(特許文献3として再公開されている)および特許文献4に開示されている特定の化合物は、アンドロゲン受容体の核転座およびDNA結合を遮断することによって、アンドロゲン受容体機能を阻害する新規小分子アンドロゲン受容体アンタゴニストである。
【0010】
上記米国特許出願公開に記載されているような本発明の化合物への合成経路は、イソチオシアネートをイソブチロニトリルとカップリングさせることを含む。前述のプロセスの主な欠点には、最終ステップで25%の所望生成物収率しか達成されず、市販の出発原料からは15%の総合収率にしかならないことが含まれる。さらに、各中間体化合物は精製のために非常に面倒なカラムクロマトグラフィーを必要とし、その結果、全体の製造時間が長くなり、これは工業的に不利なものとなる。これと比較して、本明細書で説明する本発明では、総合収率は50%であり、必要な精製は簡単な沈殿または結晶化という手段によって実現される。さらに、本発明は極めて毒性の強い試薬であるアセトンシアノヒドリンの使用を回避する。結果として、本発明によるプロセスは溶媒の量を減少させ、廃棄物および環境影響を最少化し、サイクル時間を短縮し、プロセスの処理能力および総合収率を増大させる、より安全なプロセスである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許出願公開第2007/0004753号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2007/0254933号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2008/0139634号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2009/0111864号明細書
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Debes,J.ら、「Mechanisms of Androgen−Refractory Prostate Cancer」、New. England. J. Med.(2004年)、351巻:1488〜1490頁
【非特許文献2】Chen, C.ら、「Molecular determinants of resistance to antiandrogen therapy」、Nat. Med.(2004年)、10巻(1号):33〜39頁
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
(発明の簡単な要旨)
本発明は式(I,2−I)の化合物:
【0014】
【化1】

(式中、
XはSまたはOであり、
およびYは独立にメチルであるか、またはそれらが結合している炭素と一緒になって4〜5個の炭素原子のシクロアルキル基を形成しており、
はL−C(=O)−NRまたはL−CNであり、Lは単結合またはC〜Cアルキレンであり、
およびRは独立にHおよびC〜Cアルキルから選択され、
は水素またはフルオロである)
を作製するための高効率のプロセスであって、
式Aの化合物:
【0015】
【化2】

(式中、LGはBr、Iまたは他の良好な脱離基である)
を式Bの化合物:
【0016】
【化3】

と反応させて式Cの化合物:
【0017】
【化4】

を生成するステップと、式Cの化合物を、アルキル化条件下で式R−LGの化合物と反応させるか、またはエステル化条件下で式R−OHの化合物と反応させて式Dの化合物:
【0018】
【化5】

(式中、RはC〜Cアルキルである)
を生成するステップと、式Dの化合物を式(F,2−F)の化合物
【0019】
【化6】

(式中、XはSまたはOである)
と反応させて式(I,2−I)のジアリールチオヒダントインまたはジアリールヒダントイン化合物
【0020】
【化7】

を生成するステップを含むプロセスを含む。
【0021】
一実施形態では、式Aの化合物に関して、LGはBrまたはIである。特定の実施形態では、LGはBrである。
【0022】
本発明の他の態様は式(I,2−Ia)の酸化合物:
【0023】
【化8】

(式中、
およびYは独立にメチルであるか、またはそれらが結合している炭素と一緒になって4〜5個の炭素原子のシクロアルキル基を形成しており、
はL−C(=O)−OHであり、Lは単結合またはC〜Cアルキレンであり、
は水素またはフルオロである)
を作製する効率的な方法であって、上記プロセスが式I,2−Iの化合物:
【0024】
【化9】

(式中、
はL−C(=O)−NRであり、Lは単結合またはC〜Cアルキレンであり、RおよびRは独立にHおよびC〜Cアルキルから選択される)
を加水分解するステップを含む、方法を提供する。
【0025】
1つの特定の実施形態では、式I,2−Iaの化合物に関して、Lは単結合であり、Rは−C(=O)−OHである。
【0026】
1つの特定の実施形態では、式I,2−Iaの化合物に関して、YとYはどちらもメチルであり、Rは−C(=O)−OHであり、RはFである。
【0027】
一実施形態では、上記加水分解を濃HClの存在下で実施する。
【0028】
一実施形態では、上記加水分解を80〜140℃または約80〜140℃で実施する。
【0029】
1つの特定の実施形態では、上記加水分解を120℃または約120℃で実施する。
【0030】
一実施形態では、上記加水分解を10〜60時間または約10時間〜約60時間で実施する。
【0031】
1つの特定の実施形態では、上記加水分解を48時間または約48時間で実施する。
【0032】
1つの特定の実施形態では、式I,2−Iaの化合物に関して、XはSである。
【0033】
1つの特定の実施形態では、式I,2−Iaの化合物に関して、XはOである。
【0034】
1つの特定の実施形態では、式I,2−Iaの化合物に関して、YとYはどちらもメチルであり、Rは−C(=O)−OHであり、RはFであり、XはSである。
【0035】
1つの特定の実施形態では、式I,2−Iaの化合物に関してYとYはどちらもメチルであり、Rは−C(=O)−OHであり、RはFであり、XはOである。
【0036】
1つの特定の実施形態では、本発明は式(I)の化合物:
【0037】
【化10】

(式中、
およびYは独立にメチルであるか、またはそれらが結合している炭素と一緒になって4〜5個の炭素原子のシクロアルキル基を形成しており、
はL−C(=O)−NRまたはL−CNであり、Lは単結合またはC〜Cアルキレンであり、
およびRは独立にHおよびC〜Cアルキルから選択され、
は水素またはフルオロである)
を作製するための高効率のプロセスであって、以下の、
式Aの化合物:
【0038】
【化11】

(式中、LGはBr、Iまたは他の良好な脱離基である)
を式Bの化合物:
【0039】
【化12】

と反応させて式Cの化合物:
【0040】
【化13】

を生成するステップと、式Cの化合物を、エステル化条件下で式R−OHの化合物と反応させるか、あるいは式Cの化合物を式R−LGの化合物(RはC〜Cアルキルであり、LGはBr、Iまたは他の良好な脱離基である)と反応させて式Dの化合物:
【0041】
【化14】

を生成するステップと、式Dの化合物を式Fの化合物、4−イソチオシアナト−2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル
【0042】
【化15】

と反応させて式(I)の化合物:
【0043】
【化16】

を生成するステップを含むプロセスを含む。
【0044】
一実施形態では、式Aの化合物に関して、LGはBrまたはIである。特定の実施形態では、LGはBrである。
【0045】
1つの特定の実施形態では、本発明は式(I)の化合物:
【0046】
【化17】

(式中、
およびYは独立にメチルであるか、またはそれらが結合している炭素と一緒になって4〜5個の炭素原子のシクロアルキル基を形成しており、
はL−C(=O)−NRまたはL−CNであり、Lは単結合またはC〜Cアルキレンであり、
およびRは独立にHおよびC〜Cアルキルから選択され、
は水素またはフルオロである)
を作製するための高効率のプロセスであって、
式Aの化合物:
【0047】
【化18】

を式Bの化合物:
【0048】
【化19】

と反応させて式Cの化合物:
【0049】
【化20】

を生成するステップと、式Cの化合物を式Eの化合物:
【0050】
【化21】

と反応させて式Gの化合物
【0051】
【化22】

を生成するステップと、式Gの化合物をチオホスゲンと反応させて式(I)のジアリールチオヒダントイン化合物:
【0052】
【化23】

を生成するステップを含むプロセスを含む。
【0053】
1つの特定の実施形態では、式IまたはI,2−Iの化合物に関して、YとYはどちらもメチルである。
【0054】
1つの特定の実施形態では、式IまたはI,2−Iの化合物に関して、YおよびYはそれらが結合している炭素と一緒になってシクロブチル環を形成している。
【0055】
1つの特定の実施形態では、式IまたはI,2−Iの化合物に関して、YおよびYはそれらが結合している炭素と一緒になってシクロペンチル環を形成している。
【0056】
1つの特定の実施形態では、式IまたはI,2−Iの化合物に関して、Lは単結合である。
【0057】
1つの特定の実施形態では、式IまたはI,2−Iの化合物に関して、Lは−CH−、−CH−CH−またはCH−CH−CH−である。
【0058】
1つの特定の実施形態では、式IまたはI,2−Iの化合物に関して、Lは単結合であり、Rは−C(=O)−NHCHである。
【0059】
1つの特定の実施形態では、式IまたはI,2−Iの化合物に関して、Lは単結合であり、Rは−C(=O)−NHである。
【0060】
1つの特定の実施形態では、式IまたはI,2−Iの化合物に関して、RはFである。
【0061】
1つの特定の実施形態では、式IまたはI,2−Iの化合物に関して、YとYはどちらもメチルであり、Rは−C(=O)−NHCHであり、RはFである。
【0062】
1つの特定の実施形態では、式IまたはI,2−Iの化合物に関して、YとYはどちらもメチルであり、Rは−C(=O)−NHであり、RはFである。
【0063】
1つの特定の実施形態では、式IまたはI,2−Iの化合物に関して、その化合物は式II:
【0064】
【化24】

に従う化合物である。
【0065】
以下のA→C→D→Iと進む経路で例示する、この反応の1つの実施形態についての全体的スキームを以下のスキーム1:
【0066】
【化25】

にまとめる。
ここでa)、
a)4−アミノ−2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル(化合物E)およびチオホスゲンからの化合物Fの任意選択の合成、ならびにb)カルボン酸がR位にあることが望ましい場合の合成のための化合物IのR置換基のカルボン酸基への任意選択の加水分解を例示する。化合物IのR置換基のカルボン酸基への任意選択の加水分解において、Rが−L−CNである場合のRの加水分解が他のベンゼン環上に存在する他のニトリル基の加水分解をもたらすことがあるので、Rは−L−(C=O)NH、−L−(C=O)NHRおよび−L−(C=O)NRに限定される。スキーム1に示した加水分解において、加水分解が−COOH基をもたらすと表示されている場合のLは存在しない(すなわち単結合である)が、他の実施形態では、LはC〜Cアルキレンであってもよい。
【0067】
代替の手順において、アミド結合形成条件下で、式Cの化合物を化合物Eと処理して式Gの化合物を得、次いでこれをチオホスゲンなどの試薬で処理して式Iの化合物を生成する(すなわち、上記スキームの経路C→G→I)。
【0068】
一実施形態では、式Aの化合物を、極性溶媒中、触媒量の銅(I)触媒と2−アセチルシクロヘキサノンなどのβ−ジオン配位子の両方の存在下で式Bの化合物と混合し、約90〜120℃、約100〜110℃または約105℃の温度に加熱する。銅(I)触媒は塩化銅(I)であってもヨウ化銅(I)であってよい。CuClなどの銅(I)触媒は、化合物Aに対して約0.05〜0.35当量、化合物Aに対して約0.15〜0.25当量または化合物Aに対して約0.2当量の量で存在することができる。2−アセチルシクロヘキサノンなどの配位子は、化合物Aに対して約0.05〜0.35当量、化合物Aに対して約0.15〜0.25当量または化合物Aに対して約0.2当量の量で存在することができる。他の実施形態では、2−アセチルシクロヘキサノンなどの配位子は、使用される塩化銅(I)などの銅(I)触媒の量とほぼ等量存在する。化合物Bは、化合物Aに対して約1〜2当量、化合物Aに対して約1.25〜1.75当量または化合物Aに対して約1.5当量の量で加えることができる。2,4−ペンタンジオン、2,4−ヘキサンジオン、1−フェニル−1,3−ブタンジオン、2−アセチルシクロヘキサノンなどのβ−ジオン配位子の選択は当業者に公知であろう。極性溶媒は、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMA)、酢酸イソプロピル(IPAc)、イソプロピルアルコール(IPA)などからなる群から選択することができる。他の実施形態では、極性溶媒はDMF、水またはDMFと水の混合物である。他の実施形態では、約6〜24時間、約8〜20時間または約12〜14時間反応させた後か、または分析により化合物Aの約90%以上が消費されていることが示された後、反応混合物を約15〜25℃、例えば約25℃または室温に冷却する。他の実施形態では、冷却された反応混合物に水を加え、続いて酢酸イソプロピルなどの水非混和性有機溶媒で洗浄し、次いで混合物を有機層と水層に分離させる。他の実施形態では、水層を酸性化して、沈殿、ろ過および乾燥により化合物Cを単離する。
【0069】
一実施形態では、化合物Cを、式R−LGのアルキル化剤(式中、RはC〜Cアルキルであり、LGはBr、Iまたは他の良好な脱離基である)と反応させて式Dの化合物を生成する。式R−LGの化合物にはヨウ化メチルなどの化合物が含まれる。反応は、DMSO、DMF、NMP、DMAまたはIPAcなどの極性溶媒中、KCO、KHCO、NaCOまたはNaHCOなどの無機塩基の存在下、触媒量の水を用いて実施することができる。触媒量の水は、化合物Cの当量の約5〜25%、10〜20%もしくは14%、または極性溶媒の体積の約0.05〜0.25%、0.10〜0.20%もしくは0.14%であってよい。反応混合物は、約35〜50℃もしくは約40〜46℃で約5〜60分間、または分析により化合物Cの化合物Dへの約90%超、約95%超または約99%超の転換が示されるまで加熱することができる。反応後、混合物を約5〜25℃または約15〜25℃に冷却することができる。化合物Dを含む反応混合物を水と混ぜて、溶液から生成物Dを沈殿させることができる。生成物Dはろ過および乾燥によって単離することができる。一実施形態では、使用する無機塩基(KCOなど)の量は化合物Cに対して約2当量または約2当量未満である。他の実施形態では、使用する無機塩基(KCOなど)の量は、化合物Cに対して約1.5当量または約1.5当量未満である。他の実施形態では、使用する無機塩基(KCOなど)の量は、化合物Cに対して約1.2当量または約1.2当量未満である。他の実施形態では、使用する無機塩基(KCOなど)の量は、化合物Cに対して約1.1当量または約1.1当量未満である。他の実施形態では、使用する無機塩基(KCOなど)の量は、化合物Cに対して約1.0当量または約1.0当量未満である。他の実施形態では、使用する無機塩基(KCOなど)の量は、化合物Cに対して約0.9当量または約0.9当量未満である。他の実施形態では、使用する無機塩基(KCOなど)の量は、化合物Cに対して約0.8当量または約0.8当量未満である。他の実施形態では、使用する無機塩基(KCOなど)の量は、化合物Cに対して約0.7当量または約0.7当量未満である。他の実施形態では、使用する無機塩基(KCOなど)の量は、化合物Cに対して約0.6当量または約0.6当量未満である。
【0070】
他の実施形態では、D(ここでR=CH)を生成させるのにCHIを使用する場合、過剰のCHIを酢酸でクエンチする。CHIは、化合物Cに対して約1〜1.5当量、例えば化合物Cに対して約1.2当量の量で使用することができ、AcOHの量は、過剰量のヨウ化メチルとおよそ等しい量、または過剰量のヨウ化メチルより若干多い量で加えて(例えば、1.2当量のヨウ化メチルを使用する場合、ヨウ化メチルを化合物Cに対して0.2当量過剰で使用し、次いで化合物Cに対して約0.21〜0.25当量または約0.23当量のAcOHを使用することができる)、未反応CHIをクエンチすることができる。硫酸ジメチルなどの当業者に公知の代替のメチル化剤もこのステップで使用することができる。
【0071】
他の実施形態では、化合物Dを含む反応混合物を水と混ぜるステップは、化合物Dをより遅い形で沈殿させるため、かつ反応で使用される無機塩基(KCOなど)からの無機カチオンおよび塩基(例えばKおよびCO2−)の量を低減させるために、(元の反応混合物の体積に対して)約1〜5倍体積の水、約1〜3倍体積の水もしくは約2倍体積の水が添加されるまで約0.5時間〜約3.5時間、約0.6時間〜3.4時間、約1時間〜2時間にわたって、または約0.5、0.6、1、2、3、3.4もしくは3.5時間にわたって温かい反応混合物に水を徐々に加えることによって実施する。一実施形態では、添加される水は、約50℃〜約80℃、約50℃〜約70℃、約55℃〜約75℃、約55℃〜約65℃、約57℃〜約63℃、約48℃〜約53℃、約68℃〜約71℃または約57℃もしくは約70℃の温度である。他の実施形態では、存在する無機カチオンの量をさらに減少させるために、沈殿した化合物Dを水に再懸濁するかまたは再スラリー化し、次いでろ過により水を除去する。他の実施形態では、再懸濁するかまたは再スラリー化するための水の体積は約5〜15倍体積または約10倍体積である。他の実施形態では、再懸濁または再スラリー化は、約0.5時間〜約3時間、約1.0〜約2.0時間、約1.0時間、約1.5時間または約2時間実施する。他の実施形態では、再懸濁用または再スラリー化用の水の温度は約15℃〜約35℃、約20℃〜約30℃、約20℃〜約25℃または約20℃〜約23hi Va℃である。
【0072】
一実施形態では、化合物D中に残留するカリウムイオンなどの無機カチオンの残留量は約1000パーツパーミリオン(ppm)以下である。他の実施形態では、化合物D中に残留するカリウムイオンなどの無機カチオンの残留量は約500ppm以下である。他の実施形態では、化合物D中に残留するカリウムイオンなどの無機カチオンの残留量は約300ppm以下である。
【0073】
一実施形態では、化合物D中に残留する重炭酸イオン、炭酸イオンまたは他の塩基などの塩基の残留量は約1000パーツパーミリオン(ppm)以下である。他の実施形態では、化合物D中に残留する塩基の残留量は約500ppm以下である。他の実施形態では、化合物D中に残留する塩基の残留量は約300ppm以下である。
【0074】
一実施形態では、化合物Dは、この化合物上を乾燥空気、乾燥窒素もしくはアルゴンまたは他の乾燥不活性ガスでブローするか、またはそれを吸引することによって乾燥することができる。他の実施形態では、化合物Dを減圧下(例えば約1mmHg以下の減圧下、0.5mmHg以下の減圧下または0.1mmHg以下の減圧下)に置いて乾燥することができる。一実施形態では、化合物D中に残留する水の残留量は約0.5%以下である。一実施形態では、化合物D中に残留する水の残留量は約0.3%以下である。一実施形態では、化合物D中に残留する水の残留量は約0.1%以下である。一実施形態では、化合物D中に残留する水の残留量は約500ppm以下である。一実施形態では、化合物D中に残留する水の残留量は約300ppm以下である。一実施形態では、化合物D中に残留する水の残留量は約100ppm以下である。
【0075】
化合物Cから化合物Dを生成するための代替方法では標準的なフィッシャーのエステル化条件を用いる。この条件は、メタノール中に化合物Cを混合するステップ、ならびに、触媒量の酸、例えば1〜5滴の硫酸、塩酸、硝酸、リン酸もしくは他の鉱酸、p−トルエンスルホン酸またはスルホン酸含有イオン交換樹脂を用いて、約40〜100℃(または還流下)で約1〜16時間加熱するステップを含む。一実施形態では、HSOを使用する。いくつかの実施形態では、水を共沸蒸留で(例えばディーンスタークトラップで)除去することができる。エステル化が完了(約70%、約80%、約90%、約95%または約99%完了)した後、上記のようにして化合物Dの単離を実施することができる。
【0076】
本発明の他の実施形態では、化合物Iを生成するステップは、極性溶媒、または第1の極性溶媒と第2の極性溶媒の混合物中で化合物Dを化合物Fと混合するステップ、ならびに、約60〜100℃、約80〜100℃または約80〜85℃に約1〜48時間または約12〜24時間加熱するステップを含む。他の実施形態では、反応後、反応混合物を約15〜30℃、約25℃または室温に冷却し、水と混ぜ、続いて所望生成物を極性溶媒または第3の極性溶媒と第4の極性溶媒の混合物で抽出することで上記プロセスが続く。化合物Fを、化合物Dに対して約1〜3当量、化合物Dに対して約1.5〜2.5当量または化合物Dに対して約1.5当量もしくは約2当量の量、あるいは約1.5当量の量で加え、続いて反応の進行にしたがって追加の約0.5当量の分量を加えることができる。一緒にした有機抽出層の体積を減少させ、所望生成物Iの種晶を加えて、約0〜10℃または約3〜6℃に冷却して結晶化を開始させ、続いてろ過により結晶性生成物を単離し、次いで生成物上に空気を流すかまたは減圧下で生成物を乾燥することができる。この実施形態1つの態様では、極性溶媒または第1、第2、第3および第4の極性溶媒は、DMSO、DMF、NMP、DMA、IPAc、MeCN、IPAなどからなる群から選択することができる。一実施形態では、極性溶媒はDMFである。一実施形態では、極性溶媒はIPAcである。他の実施形態では、第1の極性溶媒はIPAcであり、第2の極性溶媒はDMSOである。他の実施形態では、第3の極性溶媒はIPAcであり、第4の極性溶媒はIPAである。他の実施形態では、第1の極性溶媒はIPAcであり、第2の極性溶媒はDMSOであり、第3の極性溶媒はIPAcであり、第4の極性溶媒はIPAである。
【0077】
本発明の他の実施形態では、化合物Iの生成のための代替方法は、上記スキームの経路C→G→Iで概要が示される2つのステップを含む。第1のステップでは標準的なアミド結合形成条件を用いる。その条件は、例えば、極性溶媒または第1の極性溶媒と第2の極性溶媒の混合物中で、化合物Cを、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDCI)、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BOP)、7−アザベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(AOP)、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ピロリジン)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)、7−アザベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ピロリジン)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyAOP)、O−ベンゾトリアゾール−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TATU)などのカップリング試薬を用いて、化合物Eと処理して化合物Gを生成するステップを含む。この実施形態の1つの態様では、極性溶媒または第1および第2の極性溶媒はDCM、DMSO、DMF、NMP、DMA、MeCNなどからなる群から選択される。第2のステップは、チオホスゲンなどのチオカルボニル化試薬を用いる化合物Gの閉環反応を含み、そのニート溶液を約60〜120℃に加熱するステップを含む。他の実施形態では、反応を封管装置中で実施する。チオホスゲンまたはチオホスゲン同等物(例えば、1,1−チオカルボニルジイミダゾール)は、化合物Gに対して約1〜10当量または化合物Gに対して約5当量の量で存在することができる。
【0078】
本発明の他の実施形態では、Rが第一または第二アミド基である場合、化合物Iを加水分解条件にかけて対応するカルボン酸誘導体を生成することができる。
【0079】
上記方法の一実施形態では、式Aの化合物の置換基Rは−C(=O)−NH−Rである。他の実施形態では、Rは−C(=O)−NH−CHである。他の実施形態では、式Aの化合物の置換基Rはフッ素である。他の実施形態では、Rは−C(=O)−NH−Rであり、Rはフッ素である。他の実施形態では、Rは−C(=O)−NH−CHであり、Rはフッ素であり、式Aの化合物は4−ブロモ−2−フルオロ−N−メチルベンズアミドである。
【0080】
上記方法の一実施形態では、式Bの化合物は2−アミノイソ酪酸である(すなわち、YおよびYはそれぞれCHである)。上記方法の他の実施形態では、式Bの化合物は1−アミノシクロブタンカルボン酸である。上記方法の他の実施形態では、式Bの化合物は1−アミノシクロペンタンカルボン酸である。
【0081】
他の実施形態では、YおよびYはそれぞれCHであり、Rは−C(=O)NHCHであり、かつ/またはRはFである。
【0082】
他の実施形態では、YおよびYはそれぞれCHであり、Rは−C(=O)NHであり、かつ/またはRはFである。
【0083】
式(I)の化合物の変形体も提供する。本明細書で詳細に説明する式(I)の化合物もしくはその変形体または上記のもののいずれかの薬学的に許容される塩には、CRPCおよび/またはホルモン感受性前立腺癌を含む前立腺癌の治療において特に有用であり得る。
【0084】
I,2−Iaの化合物(Rは−C(=O)OHである)の合成の代替の実施形態では、最終生成物を以下のようにして合成することができる(イソチオシアネートを用いて例示する)。
【0085】
【化26】

ここで、化合物Cを化合物F(4−イソチオシアナト−2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル)と反応させて生成物Mを生成する。一実施形態では、YおよびYはそれぞれCHであり、かつ/またはRはFである。反応は、化合物Cに対して約2〜5当量、約3〜4当量または約3.4当量存在するトリエチルアミンなどのトリアルキルアミノ塩基を用いて、塩基性条件下で実施することができる。化合物Fである4−イソチオシアナト−2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリルは化合物Cに対して約1.1〜4当量、または1.1〜2当量、または約1.5当量の量で存在してもよく、あるいは約1.5当量の化合物Fを加え、続いて反応の進行にしたがって追加の約0.5当量の分量を加えてもよい。溶媒はエタノールであっても別のアルコールであってもよい。反応混合物は室温または高温で約4〜16日間、約8〜12日間または約10日間撹拌することができる。その後、反応混合物を濃縮し、1M HClなどの酸性水溶液と混合し、生成物を酢酸エチルなどの有機溶媒で抽出して生成物Mを得ることができる。
【0086】
追加の実施形態では、化合物Cは、式Jの化合物を1,1−二置換2,2,2−トリクロロエタノールと反応させて合成する。
【0087】
【化27】

ここで、1,1−二置換2,2,2−トリクロロエタノールは、Jに対して約1.5〜4当量またはJに対して約2〜3当量、Jに対して約2.5当量またはJに対して約2.6当量で使用することができる。反応は有機溶媒、好ましくは無水アセトンなどの無水溶媒中で実施する。反応物を0℃に冷却し、次いでNaOH、KOHまたは他の水酸化物などの強塩基を加えることができる。塩基は、Jに対して約2〜5当量もしくは約3〜4当量または約3.8当量もしくは約3.9当量添加する。塩基を加えた後、反応物を室温に加温することができ、これを室温で約4〜24時間、または約8〜16時間、または約12時間放置する。生成物は、カラムクロマトグラフィーまたはHPLCなどの標準的な方法で精製することができる。
【0088】
他の実施形態では、本発明は、スキーム2にしたがってヒダントイン化合物を作製する方法を包含する。
【0089】
【化28】

ここで、化合物2−IについてR=−L−(C=O)NH、−L−(C=O)NHR、−L−(C=O)NRまたはL−CNである。反応は、チオホスゲンをホスゲンで置き換え、チオイソシアネートFをイソシアネート2−Fで置き換えればスキーム1の反応と同様であり、チオヒダントインIの代わりに生成物ヒダントイン2−Iが得られる。ホスゲンは、1,1−カルボニルジイミダゾールなどのホスゲン同等物(例えば、Livius Cotarca and Heiner Eckert, WeinheimによるPhosgenations−A Handbook、Germany:Wiley−VCH Verlag GmbH & Co.、2003年に記載されている試薬、特に第3章に挙げられているホスゲン同等物を参照されたい)で置き換えることができることに留意すべきである。スキーム1と同様に、a)4−アミノ−2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル(化合物E)およびホスゲンからの化合物2−Fの任意選択の合成、ならびにb)R位にカルボン酸があるのが望ましい場合の合成のための化合物2−IのR置換基のカルボン酸基への任意選択の加水分解を例示する。化合物2−IのR置換基のカルボン酸基への任意選択の加水分解において、Rが−L−CNである場合のRの加水分解は、他のベンゼン環上に存在する他のニトリル基の加水分解をもたらすことがあるので、Rは−L−(C=O)NH、−L−(C=O)NHRおよび−L−(C=O)NRに限定される。スキーム2に示した加水分解において、加水分解が−COOH基をもたらすと表示されている場合、Lは存在しない(すなわち単結合である)が、他の実施形態では、LはC〜Cアルキレンであってもよい。
【0090】
ヒダントイン実施形態において、本発明は、式(2−I)の化合物:
【0091】
【化29】

(式中、
およびYは独立にメチルであるか、またはそれらが結合している炭素と一緒になって4〜5個の炭素原子のシクロアルキル基を形成しており、
はL−C(=O)−NRまたはL−CNであり、Lは単結合またはC〜Cアルキレンであり、
およびRは独立にHおよびC〜Cアルキルから選択され、
は水素またはフルオロである)
を作製するための高効率のプロセスであって、以下の、
式Aの化合物:
【0092】
【化30】

(式中、LGはBr、Iまたは他の良好な脱離基である)
を式Bの化合物:
【0093】
【化31】

と反応させて式Cの化合物:
【0094】
【化32】

を生成するステップと、式Cの化合物を、エステル化条件下で式R−OHの化合物と反応させるか、あるいは式Cの化合物を式R−LGの化合物(RはC〜Cアルキルであり、LGはBr、Iまたは他の良好な脱離基である)と反応させて式Dの化合物:
【0095】
【化33】

を生成するステップと、式Dの化合物を式2−Fの化合物、4−イソシアナト−2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル
【0096】
【化34】

と反応させて式(2−I)の化合物:
【0097】
【化35】

を生成するステップを含むプロセスを含む。
【0098】
反応のこの実施形態のための全スキームは、スキーム2のA→C→D→2−Iと進行する経路で例示される。
【0099】
代替の実施形態では、本発明は、式(2−I)の化合物:
【0100】
【化36】

(式中、
およびYは独立にメチルであるか、またはそれらが結合している炭素と一緒になって4〜5個の炭素原子のシクロアルキル基を形成しており、
はL−C(=O)−NRまたはL−CNであり、Lは単結合またはC〜Cアルキレンであり、
およびRは独立にHおよびC〜Cアルキルから選択され、
は水素またはフルオロである)
を作製するための高効率のプロセスであって、
式Aの化合物:
【0101】
【化37】

を式Bの化合物:
【0102】
【化38】

と反応させて式Cの化合物
【0103】
【化39】

を生成するステップと、式Cの化合物を式Eの化合物:
【0104】
【化40】

と反応させて式Gの化合物:
【0105】
【化41】

を生成するステップと、式Gの化合物をホスゲンと反応させて式(2−I)のジアリールヒダントイン化合物:
【0106】
【化42】

を生成するステップを含むプロセスを含む。
【0107】
この代替の実施形態では、式Cの化合物を、アミド結合形成条件下で、化合物Eと処理して式Gの化合物を得、続いてこれをホスゲンなどの試薬で処理して式2−Iの化合物を生成する(すなわち、スキーム2の経路C→G→2−I)。
【0108】
一実施形態では、式Aの化合物を、極性溶媒中、触媒量の銅(I)触媒と2−アセチルシクロヘキサノンなどのβ−ジオン配位子の両方の存在下、式Bの化合物と混合し、約90〜120℃、約100〜110℃または約105℃の温度に加熱する。銅(I)触媒は塩化銅(I)であってもヨウ化銅(I)であってよい。CuClなどの銅(I)触媒は、化合物Aに対して約0.05〜0.35当量、化合物Aに対して約0.15〜0.25当量または化合物Aに対して約0.2当量の量で存在することができる。2−アセチルシクロヘキサノンなどの配位子は、化合物Aに対して約0.05〜0.35当量、化合物Aに対して約0.15〜0.25当量または化合物Aに対して約0.2当量の量で存在することができる。他の実施形態では、2−アセチルシクロヘキサノンなどの配位子は、使用される塩化銅(I)などの銅(I)触媒の量とほぼ等量存在する。化合物Bは、化合物Aに対して約1〜2当量、化合物Aに対して約1.25〜1.75当量または化合物Aに対して約1.5当量の量で加えることができる。2,4−ペンタンジオン、2,4−ヘキサンジオン、1−フェニル−1,3−ブタンジオン、2−アセチルシクロヘキサノンなどのβ−ジオン配位子の選択は当業者に公知であろう。極性溶媒は、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMA)、酢酸イソプロピル(IPAc)、イソプロピルアルコール(IPA)などからなる群から選択することができ、他の実施形態では、極性溶媒はDMF、水またはDMFと水の混合物である。他の実施形態では、約6〜24時間、約8〜20時間または約12〜14時間反応させた後か、または分析により化合物Aの約90%以上が消費されていることが示された後、反応混合物を約15〜25℃、例えば約25℃または室温に冷却する。他の実施形態では、冷却された反応混合物に水を加え、続いて酢酸イソプロピルなどの水非混和性有機溶媒で洗浄し、次いで混合物を有機層と水層に分離させる。他の実施形態では、水層を酸性化して、沈殿、ろ過および乾燥により化合物Cを単離する。
【0109】
一実施形態では、化合物Cを、式R−LG(式中、RはC〜Cアルキルであり、LGはBr、Iまたは他の良好な脱離基である)のアルキル化剤と反応させて式Dの化合物を生成する。式R−LGの化合物にはヨウ化メチルなどの化合物が含まれる。反応は、DMSO、DMF、NMP、DMAまたはIPAcなどの極性溶媒中、KCO、KHCO、NaCOまたはNaHCOなどの無機塩基の存在下、触媒量の水を用いて実施することができる。触媒量の水は、化合物Cの当量の約5〜25%、10〜20%もしくは14%または極性溶媒の体積の約0.05〜0.25%、0.10〜0.20%もしくは0.14%であってよい。反応混合物は、約35〜50℃もしくは約40〜46℃で約5〜60分間、または分析により化合物Cから化合物Dへの約90%超、約95%超または約99%超の転換が示されるまで加熱することができる。反応後、混合物を約5〜25℃または約15〜25℃に冷却することができる。化合物Dを含む反応混合物を水と混ぜて、溶液から生成物Dを沈殿させることができる。生成物Dはろ過および乾燥によって単離することができる。一実施形態では、使用する無機塩基(KCOなど)の量は化合物Cに対して約2当量または約2当量未満である。他の実施形態では、使用する無機塩基(KCOなど)の量は化合物Cに対して約1.5当量または約1.5当量未満である。他の実施形態では、使用する無機塩基(KCOなど)の量は化合物Cに対して約1.2当量または約1.2当量未満である。
【0110】
他の実施形態では、D(ここでR=CH)を生成させるのにCHIを使用する場合、過剰のCHIを酢酸でクエンチする。CHIは、化合物Cに対して約1〜1.5当量、例えば化合物Cに対して約1.2当量の量で使用することができ、AcOHの量は、過剰量のヨウ化メチルとおよそ等しい量、または過剰量のヨウ化メチルより若干多い量で加えて(例えば、1.2当量のヨウ化メチルを使用する場合、ヨウ化メチルを化合物Cに対して0.2当量過剰で使用し、次いで化合物Cに対して約0.21〜0.25当量または約0.23当量のAcOHを使用することができる)、未反応CHIをクエンチすることができる。硫酸ジメチルなどの当業者に公知の代替のメチル化剤もこのステップで使用することができる。
【0111】
他の実施形態では、化合物Dを含む反応混合物を水と混ぜるステップは、化合物Dをより遅い形で沈殿させるため、かつ反応で使用される無機塩基(KCOなど)からの無機カチオンおよび塩基(例えばKおよびCO2−)の量を低減するために、(元の反応混合物の体積に対して)約1〜5倍体積の水、約1〜3倍体積の水もしくは約2倍体積の水が添加されるまで1〜2時間にわたって、温かい反応混合物に水を徐々に加えることによって実施する。他の実施形態では、存在する無機カチオンの量をさらに減少させるために、沈殿した化合物Dを水に再懸濁するかまたは再スラリー化し、次いでろ過により水を除去する。
【0112】
一実施形態では、化合物D中に残留するカリウムイオンなどの無機カチオンの残留量は約1000パーツパーミリオン(ppm)以下である。他の実施形態では、化合物D中に残留するカリウムイオンなどの無機カチオンの残留量は約500ppm以下である。他の実施形態では、化合物D中に残留するカリウムイオンなどの無機カチオンの残留量は約300ppm以下である。
【0113】
一実施形態では、化合物D中に残留する重炭酸イオン、炭酸イオンまたは他の塩基などの塩基の残留量は約1000パーツパーミリオン(ppm)以下である。他の実施形態では、化合物D中に残留する塩基の残留量は約500ppm以下である。他の実施形態では、化合物D中に残留する塩基の残留量は約300ppm以下である。
【0114】
一実施形態では、化合物Dは、この化合物上を乾燥空気、乾燥窒素もしくはアルゴンまたは他の乾燥不活性ガスでブローするか、またはそれを吸引することによって乾燥することができる。他の実施形態では、化合物Dを減圧下(例えば約1mmHg以下の減圧下、0.5mmHg以下の減圧下または0.1mmHg以下の減圧下)に置いて乾燥することができる。一実施形態では、化合物D中に残留する水の残留量は約0.5%以下である。一実施形態では、化合物D中に残留する水の残留量は約0.3%以下である。一実施形態では、化合物D中に残留する水の残留量は約0.1%以下である。一実施形態では、化合物D中に残留する水の残留量は約500ppm以下である。一実施形態では、化合物D中に残留する水の残留量は約300ppm以下である。一実施形態では、化合物D中に残留する水の残留量は約100ppm以下である。
【0115】
化合物Cから化合物Dを生成するための代替方法では標準的なフィッシャーのエステル化条件を用いる。この条件は、メタノール中に化合物Cを混合するステップ、ならびに、触媒量の酸、例えば1〜5滴の硫酸、塩酸、硝酸、リン酸もしくは他の鉱酸、p−トルエンスルホン酸またはスルホン酸含有イオン交換樹脂を用いて、約40〜100℃(または還流下)で約1〜16時間加熱するステップを含む。一実施形態では、HSOを使用する。いくつかの実施形態では、水を共沸蒸留で(例えばディーンスタークトラップで)除去することができる。エステル化が完了(約70%、約80%、約90%、約95%または約99%完了)した後、上記のようにして化合物Dの単離を実施することができる。
【0116】
本発明の他の実施形態では、化合物2−Iを生成するステップは、化合物Dを、極性溶媒または第1の極性溶媒と第2の極性溶媒の混合物中で化合物2−Fと混合するステップ、ならびに、約60〜100℃、約80〜100℃または約80〜85℃に約1〜48時間または約12〜24時間加熱するステップを含む。他の実施形態では、反応後、反応混合物を約15〜30℃、約25℃または室温に冷却し、水と混ぜ、続いて所望生成物を極性溶媒または第3の極性溶媒と第4の極性溶媒の混合物で抽出することで上記プロセスが続く。化合物2−Fを、化合物Dに対して約1〜3当量、化合物Dに対して約1.5〜2.5当量または化合物Dに対して約1.5当量もしくは約2当量の量、あるいは約1.5当量の量で加え、続いて反応の進行にしたがって追加の約0.5当量の分量を加えることができる。一緒にした有機抽出層の体積を減少させ、所望生成物2−Iの種晶を加えて、約0〜10℃または約3〜6℃に冷却して結晶化を開始させ、続いてろ過により結晶性生成物を単離し、次いで生成物上に空気を流すかまたは減圧下で生成物を乾燥することができる。この実施形態の1つの態様では、極性溶媒または第1、第2、第3および第4の極性溶媒は、DMSO、DMF、NMP、DMA、IPAc、MeCN、IPAなどからなる群から選択することができる。一実施形態では、極性溶媒はDMFである。他の実施形態では、第1の極性溶媒はIPAcであり、第2の極性溶媒はDMSOである。他の実施形態では、第3の極性溶媒はIPAcであり、第4の極性溶媒はIPAである。他の実施形態では、第1の極性溶媒はIPAcであり、第2の極性溶媒はDMSOであり、第3の極性溶媒はIPAcであり、第4の極性溶媒はIPAである。
【0117】
本発明の他の実施形態では、化合物2−Iの生成のための代替方法は、スキーム2の経路C→G→2−Iで概要が示される2つのステップを含む。第1のステップでは標準的なアミド結合形成条件を用いる。その条件は、例えば、極性溶媒または第1の極性溶媒と第2の極性溶媒の混合物中で、化合物Cを、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDCI)、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BOP)、7−アザベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(AOP)、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ピロリジン)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)、7−アザベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ピロリジン)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyAOP)、O−ベンゾトリアゾール−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TATU)などのカップリング試薬を用いて、化合物Eと処理して化合物Gを生成するステップを含む。この実施形態の1つの態様では、極性溶媒または第1および第2の極性溶媒はDCM、DMSO、DMF、NMP、DMA、MeCNなどからなる群から選択される。第2のステップは、ホスゲンなどのカルボニル化試薬を用いる化合物Gの閉環反応を含み、そのニート溶液を約60〜120℃に加熱するステップを含む。他の実施形態では、反応を封管装置中で実施する。ホスゲンまたはホスゲン同等物(例えば、カルボニルジイミダゾール)は、化合物Gに対して約1〜10当量または化合物Gに対して約5当量の量で存在することができる。
【0118】
本発明の他の実施形態では、Rが第一または第二アミド基である場合、化合物2−Iを加水分解条件にかけて対応するカルボン酸誘導体を生成することができる。
【0119】
上記プロセスの一実施形態では、式Aの化合物の置換基Rは−C(=O)−NH−Rである。他の実施形態では、Rは−C(=O)−NH−CHである。他の実施形態では、式Aの化合物の置換基Rはフッ素である。他の実施形態では、Rは−C(=O)−NH−Rであり、Rはフッ素である。他の実施形態では、Rは−C(=O)−NH−CHであり、Rはフッ素であり、式Aの化合物は4−ブロモ−2−フルオロ−N−メチルベンズアミドである。
【0120】
上記方法の一実施形態では、式Bの化合物は2−アミノイソ酪酸である(すなわち、YおよびYはそれぞれCHである)。上記方法の他の実施形態では、式Bの化合物は1−アミノシクロブタンカルボン酸である。上記方法の他の実施形態では、式Bの化合物は1−アミノシクロペンタンカルボン酸である。
【0121】
他の実施形態では、YおよびYはそれぞれCHであり、Rは−C(=O)NHCHであり、かつ/またはRはFである。
【0122】
他の実施形態では、YおよびYはそれぞれCHであり、Rは−C(=O)NHであり、かつ/またはRはFである。
【0123】
他の実施形態では、YおよびYはそれぞれCHであり、Rは−C(=O)OH基で置き換えられており、かつ/またはRはFである。
【0124】
式(2−I)の化合物の変形体も提供する。本明細書で詳細に説明するような式(2−I)の化合物もしくはその変形体または上記のもののいずれかの薬学的に許容される塩には、CRPCおよび/またはホルモン感受性前立腺癌を含む前立腺癌の治療において特に有用であり得る。
【0125】
−C(=O)OH基がR基で置き換えられている代替の実施形態では、最終生成物を以下のようにして合成することができる。
【0126】
【化43】

ここで、化合物Cを化合物2−F(4−イソシアナト−2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル)と反応させて生成物2−Mを生成する。反応は、化合物Cに対して約2〜5当量、約3〜4当量または約3.4当量存在するトリエチルアミンなどのトリアルキルアミノ塩基を用いて塩基性条件下で実施することができる。化合物2−Fである4−イソシアナト−2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリルは化合物Cに対して約1.1〜4当量、または1.1〜2当量、または約1.5当量の量で存在してもよく、あるいは約1.5当量の化合物2−Fを加え、続いて反応の進行にしたがって追加の約0.5当量の分量を加えてもよい。溶媒はエタノールであっても別のアルコールであってもよい。反応混合物は室温または高温で約4〜16日間、約8〜12日間または約10日間撹拌することができる。その後、反応混合物を濃縮し、1M HClなどの酸性水溶液と混合し、生成物を酢酸エチルなどの有機溶媒で抽出して生成物2−Mを得ることができる。
【0127】
追加の実施形態では、化合物Cは、式Jの化合物を1,1−二置換2,2,2−トリクロロエタノールと反応させて合成する。
【0128】
【化44】

ここで、1,1−二置換2,2,2−トリクロロエタノールは、Jに対して約1.5〜4当量またはJに対して約2〜3当量、Jに対して約2.5当量またはJに対して約2.6当量使用することができる。反応は有機溶媒、好ましくは無水アセトンなどの無水溶媒中で実施する。反応物を0℃に冷却し、次いでNaOH、KOHまたは他の水酸化物などの強塩基を加えることができる。塩基は、Jに対して約2〜5当量もしくは約3〜4当量または約3.8当量もしくは約3.9当量添加する。塩基を加えた後、反応物を室温に加温することができ、これを室温で約4〜24時間、または約8〜16時間、または約12時間放置する。生成物は、カラムクロマトグラフィーまたはHPLCなどの標準的な方法で精製することができる。
【0129】
他の実施形態では、本発明は、式(I,2−Ia)の化合物:
【0130】
【化45】

(式中、XはSまたはOであり、YおよびYは独立にメチルであるか、またはそれらが結合している炭素と一緒になって4〜5個の炭素原子のシクロアルキル基を形成しており、RはL−COOHであり、Lは単結合またはC〜Cアルキレンであり、RおよびRは独立にHおよびC〜Cアルキルから選択され、Rは水素またはフルオロである)
を調製するためのプロセスであって、式Aaの化合物:
【0131】
【化46】

(式中、LGは脱離基、BrまたはIである)
を式Bの化合物:
【0132】
【化47】

と反応させて式Caの化合物:
【0133】
【化48】

を生成するステップと、式Caの化合物を、アルキル化条件下で式R−LGの化合物と反応させるか、またはエステル化条件下で式R−OHの化合物と反応させて式Daの化合物:
【0134】
【化49】

(RはC〜Cアルキルである)
を生成するステップと、式Daの化合物を式(F,2−F)の化合物:
【0135】
【化50】

(XはSまたはOである)
と反応させて式(I,2−Ia)のジアリールチオヒダントインまたはジアリールヒダントイン化合物
【0136】
【化51】

を生成するステップを含むプロセスを包含する。
【0137】
一実施形態では、XはSである。他の実施形態では、XはOである。これらの実施形態のいずれかにおいて、Lは単結合であってよく、Rは−C(=O)−OHであってよい。これらの実施形態のいずれかにおいて、YとYはどちらもメチルであってよく、Rは−C(=O)−OHであってよく、RはFであってよい。
【0138】
他の実施形態では、本明細書で説明する化合物のいずれかの医薬組成物は本発明によって包含される。したがって、本発明は、本明細書で説明する化合物または薬学的に許容されるその塩および薬学的に許容される担体または添加剤を含む医薬組成物を含む。本発明による医薬組成物は、経口、頬側、非経口、皮下、筋肉内、静脈内、経鼻、局所または経直腸投与に適した形態または吸入による投与に適した形態をとることができる。
【発明を実施するための形態】
【0139】
(発明の詳細な説明)
定義
本明細書での使用について、別段の明らかな表示のない限り、「a」、「an」などの用語の使用は1つまたは複数を指す。
【0140】
本明細書で用いる「約(about)」は、当技術分野の技術者に容易に理解される、それぞれの値についての通常の変動範囲を指す。本明細書での「約(about)」ある値またはパラメーターという言及は、その値またはパラメーターそれ自体を対象とする実施形態を含む(かつ説明する)。
【0141】
本明細書で用いる「薬学的に許容される(物質)」または「薬理学的に許容される(物質)」は、生物学的にもそのほかでも望ましくないことはない物質を意味し、例えばその物質を、何らかの有意の望ましくない生物学的効果を引き起こすことも、それが含まれる組成物の他の成分のいずれかと有害な形で相互作用することもなく、患者に投与される医薬組成物中に組み込むことができる。薬学的に許容される担体または添加剤は、毒物学的試験および製造試験に必要とされる基準に適合しており、かつ/または米国食品医薬品局(Food and Drug Administration)により作成された不活性成分指針(Inactive Ingredient Guide)に含まれていることが好ましい。
【0142】
「薬学的に許容される塩」は、遊離(非塩)化合物の生物学的活性の少なくともいくらかを保持し、薬物または薬剤として個体に投与することができる塩である。そうした塩には、例えば:(1)塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸と形成される酸付加塩、または酢酸、シュウ酸、プロピオン酸、コハク酸、マレイン酸、酒石酸などの有機酸と形成される酸付加塩;(2)親化合物中に存在する酸性プロトンが、金属イオン、例えばカリウムもしくはナトリウムなどのアルカリ金属イオン、カルシウムなどのアルカリ土類金属イオンまたはアルミニウムイオンで置き換えられるか、あるいは有機塩基と配位した場合に形成される塩が含まれる。許容される有機塩基には、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどが含まれる。許容される無機塩基には、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウムなどが含まれる。薬学的に許容される塩の他の例には、Bergeら、Pharmaceutical Salts, J. Pharm. Sci.1977年、1月;66巻(1号):1〜19頁に挙げられているものが含まれる。薬学的に許容される塩は、製造工程においてインサイチュで調製するか、あるいは、その遊離酸または塩基の形態で本発明の精製化合物を適切な有機塩基、無機塩基、有機酸または無機酸とそれぞれ別個に反応させ、生成した塩を続く精製の際に単離することによって調製することができる。薬学的に許容される塩への言及は、その溶媒付加形態または結晶形態、特に溶媒和物または多形体を含むことを理解すべきである。溶媒和物は、化学量論量または非化学量論量の溶媒を含み、これはしばしば結晶化の過程で形成される。溶媒が水であれば水和物が形成され、溶媒がアルコールであればアルコール和物が形成される。多形体は、同じ元素組成の化合物の異なる結晶充填配置を含む。多形体は通常、異なるX線回折パターン、赤外スペクトル、融点、密度、硬度、結晶形状、光学的および電気的特性、安定性および溶解性を有する。再結晶化溶媒、結晶化速度および貯蔵温度などの様々な因子によって、単結晶形が支配的な結晶になるようにすることができる。
【0143】
本明細書で用いる「添加剤」という用語は、本発明の化合物を活性成分として含む錠剤などの薬物または薬剤の製造において使用できる不活性または不活発な物質を意味する。添加剤という用語には、これらに限定されないが、結合剤、崩壊剤、コーティング剤、圧縮/カプセル化助剤、クリーム剤もしくはローション剤、滑沢剤、非経口投与用の液剤、チュアブル錠用の物質、甘味剤もしくは香味剤、懸濁化剤/ゲル化剤または湿潤顆粒化剤として使用される任意の物質を含む様々な物質が包含される。結合剤には、例えばカルボマー、ポビドン、キサンタンゴム等が含まれ、コーティング剤には、例えば酢酸フタル酸セルロース、エチルセルロース、ジェランガム(gellan gum)、マルトデキストリン、腸溶コーティング剤等が含まれ、圧縮/カプセル化助剤には、例えば炭酸カルシウム、デキストロース、フルクトースdc(dc=「直接圧縮可能(directly compressible)」)、ハチミツdc、ラクトース(無水物または一水和物;任意選択でアスパルテーム、セルロースまたは微結晶性セルロースと組み合わせて)、デンプンdc、スクロース等が含まれ、崩壊剤には、例えばクロスカルメロースナトリウム、ジェランガム、グリコール酸デンプンナトリウム等が含まれ、クリーム剤もしくはローション剤には、例えばマルトデキストリン、カラギーナン等が含まれ、滑沢剤には、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ステアリルフマル酸ナトリウム等が含まれ、チュアブル錠用の物質には、例えばデキストロース、フルクトースdc、ラクトース(一水和物、任意選択でアスパルテームまたはセルロースと組み合わせて)等が含まれ、懸濁化剤/ゲル化剤には、例えばカラギーナン、グリコール酸デンプンナトリウム、キサンタンゴム等が含まれ、甘味剤には、例えばアスパルテーム、デキストロース、フルクトースdc、ソルビトール、スクロースdc等が含まれ、湿潤顆粒化剤には、例えば炭酸カルシウム、マルトデキストリン、微結晶性セルロース等が含まれる。
【0144】
「アルキル」は、飽和の直鎖状、分枝鎖状または環状炭化水素構造およびその組合せを指し、これらを含む。具体的なアルキル基は1〜12個の炭素原子を有するもの(「C〜C12アルキル」)である。より具体的なアルキル基は1〜8個の炭素原子を有するもの(「C〜Cアルキル」)である。特定の数の炭素を有するアルキル残基が挙げられている場合、その数の炭素を有するすべての幾何異性体が包含され説明されているものとし、したがって、例えば「ブチル」はn−ブチル、sec−ブチル、イソ−ブチル、tert−ブチルおよびシクロブチルを含み、「プロピル」はn−プロピル、イソ−プロピルおよびシクロプロピルを含むことを意味する。この用語は、例えばメチル、t−ブチル、n−ヘプチル、オクチル、シクロヘキシルメチル、シクロプロピルなどの基で例示される。シクロアルキルはアルキルのサブセットであり、これはシクロヘキシルなどの1つの環またはアダマンチルなどの複数の環からなってよい。2つ以上の環を含むシクロアルキルは、縮合していても、スピロ型であっても、橋かけ型であっても、その組合せであってもよい。好ましいシクロアルキルは3〜12個の環状炭素原子を有する。より好ましいシクロアルキルは3〜7個の環状炭素原子を有する(「C〜Cシクロアルキル」)。シクロアルキル基の例には、アダマンチル、デカヒドロナフタレニル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルなどが含まれる。
【0145】
「置換アルキル」は、これらに限定されないが、アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルオキシ、カルボニルアルコキシ、アシルアミノ、置換もしくは非置換アミノ、アミノアシル、アミノカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、シアノ、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、カルボキシル、チオール、チオアルキル、置換もしくは非置換アルケニル、置換もしくは非置換アルキニル、置換もしくは非置換ヘテロシクリル、置換もしくは非置換アラルキル、アミノスルホニル、スルホニルアミノ、スルホニル、オキソ、カルボニルアルキレンアルコキシなどの置換基を含む1〜5個の置換基を有するアルキル基を指す。
【0146】
「脱離基」は、求核置換の際に起こるような不均一な結合開裂において電子対を有して離脱する基である。良好な脱離基には、例えばCl、Br、I、トリフラート、ジアゾニウム塩、フルオロスルホナート、トシラートおよびメシラートが含まれる。具体的な脱離基には、Cl、BrまたはIが含まれる。より具体的な基にはBrまたはIが含まれる。
【0147】
本発明の特徴および効果を以下で論じる実施形態に言及してさらに説明するが、これらは本発明の範囲を限定しようとするものではない。
【0148】
プロセス
本発明は、式(I)のジアリールチオヒダントイン化合物:
【0149】
【化52】

(式中、
およびYは独立にメチルであるか、またはそれらが結合している炭素と一緒になって4〜5個の炭素原子のシクロアルキル基を形成しており、
はL−C(=O)−NRまたはL−CNであり、Lは単結合またはC〜Cアルキレンであり、
およびRは独立にHおよびC〜Cアルキルから選択され、
は水素またはフルオロである)
を製造するための高効率のプロセスであって、以下のステップを含むプロセスを含む。
【0150】
【化53】

ここで、化合物Eからの化合物Fの合成はこのプロセスの任意選択部分であり、CHIはR−LGまたはR−OH(RはC〜Cアルキルであり、LGはBr、Iまたは他の良好な脱離基である)で置き換えることができる。一実施形態では、YおよびYはそれぞれCHであり、Rは−C(=O)NHCHであり、かつ/またはRはFである。一実施形態では、YおよびYはそれぞれCHであり、Rは−C(=O)NHCHであり、RはFである。他の実施形態では、YおよびYはそれぞれCHであり、Rは−C(=O)NHであり、かつ/またはRはFである。他の実施形態では、YおよびYはそれぞれCHであり、Rは−C(=O)NHであり、RはFである。他の実施形態では、YおよびYはそれぞれCHであり、Rは−C(=O)OHで置き換えられており、かつ/またはRはFである。他の実施形態では、YおよびYはそれぞれCHであり、Rは−C(=O)OHで置き換えられており、RはFである。他の実施形態では、YおよびYはそれらが結合している炭素と一緒になってシクロブタン環を形成しており、Rは−C(=O)OHで置き換えられており、かつ/またはRはFである。他の実施形態では、YおよびYはそれらが結合している炭素と一緒になってシクロブタン環を形成しており、Rは−C(=O)OHで置き換えられており、RはFである。他の実施形態では、YおよびYはそれらが結合している炭素と一緒になってシクロブタン環を形成しており、Rは−C(=O)NHであり、かつ/またはRはFである。他の実施形態では、YおよびYはそれらが結合している炭素と一緒になってシクロブタン環を形成しており、Rは−C(=O)NHであり、RはFである。他の実施形態では、YおよびYはそれらが結合している炭素と一緒になってシクロブタン環を形成しており、Rは−C(=O)NHCHであり、かつ/またはRはFである。他の実施形態では、YおよびYはそれらが結合している炭素と一緒になってシクロブタン環を形成しており、Rは−C(=O)NHCHであり、RはFである。
【0151】
上に概要を示した合成は、化合物Aの市販の変形体を極性溶媒中、触媒量の銅(I)触媒とアセチルシクロヘキサノンなどの配位子の両方の存在下で化合物Bと混合し、反応混合物を加熱し、続いて冷却し、水を加え、有機溶媒で洗浄し、次いで水層を酸性化して沈殿、ろ過および乾燥により所望生成物Cを単離するステップを含む化合物Cの合成方法を含む。本発明で使用する銅触媒は、塩化銅(I)およびヨウ化銅(I)からなる群から選択することができる。通常塩化銅(I)が用いられる(Caiら、Synthesis(Thieme Publishing Group)2005年、第3号、496〜499頁)。
【0152】
化合物Dは、酸Cを極性溶媒中でヨウ化メチルなどのアルキル化剤および無機塩基ならびに触媒量の水と混合するステップ、加熱し、次いで混合物を冷却し、水と混ぜ、その結果、溶液から生成物Dが沈殿し、これをろ過および乾燥により単離するステップを含む方法で合成することができる。この手順の代替プロセスでは、メタノール中に酸Cを混合するステップと、触媒の鉱酸と加熱するステップを含む標準的なフィッシャーのエステル化条件を用い、続いて上記のようにして単離する。アルキル化のための無機塩基は、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウムおよび炭酸セシウムからなる群から選択することができ、通常炭酸カリウムが選択される。フィッシャーエステル化のための鉱酸は硫酸、塩酸、硝酸およびリン酸からなる群から選択することができ、通常硫酸が選択される。
【0153】
反応についての初期検討により、化合物D中に存在する無機カチオン、すなわち残留金属イオンと水分の量が、化合物Iを生成するための化合物Dと化合物Fとの反応に影響を及ぼすことが示唆された。さらに進めると、望ましくない副反応を引き起こすのは実際には残留塩基の存在であることが分かった。しかし、無機カチオンは、化合物Dの調製物中に残留する塩基の量の有用な代理物(proxy)として働く。化合物D中に存在する無機カチオン(KまたはNaなど)の量を最少化する(したがって化合物D中に残留する塩基の量を最少化する)ための手順を実行した。これらの戦略は、温かい反応混合物に水を徐々に加えることによる反応混合物からの生成物Dの緩慢で漸進的な沈殿、およびカチオンを抽出するための化合物Dの水への追加的な再懸濁または再スラリー化を含む。(「再スラリー化される(re−slurried)」または化合物を「再スラリー化する(re−slurrying)」ということは、化合物のスラリーを再形成することを意味する。)水分も、化合物Dを化合物Fと反応させて化合物Iを生成する反応に悪影響を及ぼす。水分は、乾燥空気、乾燥窒素、乾燥アルゴンまたは他の乾燥ガスを化合物上にブローするか、化合物をフィルター(焼結ガラス漏斗など)上に置き、その化合物を通して空気または他の乾燥ガスを吸引するか、あるいは、化合物をある期間減圧下に置くことによって、化合物Dから除去することができる。
【0154】
化合物Iは、第1の極性溶媒と第2の極性溶媒の混合物中で化合物Dを化合物Fと混合し、加熱し、次いで混合物を冷却し、水と混ぜ、所望生成物を第3の極性溶媒と第4の極性溶媒の混合物で抽出することによって合成することができる。合わせた有機抽出層の体積を減少させ、所望生成物Iの種晶を加えて、冷却して結晶化を開始させ、次いで結晶性生成物をろ過および乾燥により単離する。
【0155】
第1、第2、第3および第4の極性溶媒は、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMA)、酢酸イソプロピル(IPAc)、イソプロピルアルコール(IPA)などからなる群から選択することができる。本発明の1つの実施形態では、第1の極性溶媒はIPAcであり、第2の極性溶媒はDMSOであり、第3の極性溶媒はIPAcであり、第4の極性溶媒はIPAである。
【0156】
生成物Iは、有機溶媒または有機溶媒混合物中の生成物Iの飽和溶液を調製し、溶液を濃縮し、任意選択で生成物Iの種晶を加え、その溶液をある温度範囲まで冷却し、溶液をその温度範囲で生成物Iの結晶化が完了するまでの十分な時間維持することによる結晶化プロセスに供してもよい。この結晶化プロセスは約0〜80℃、一般に0〜10℃の温度範囲で実施することができる。
【0157】
化合物Iは、最初に化合物Cを、極性溶媒または第1の極性溶媒と第2の極性溶媒の混合物中で、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDCI)などのカップリング試薬を用いて化合物Eと処理して化合物Gを得、次いでこれを加熱しながら過剰のチオホスゲンで処理して化合物Iを生成することによって合成することもできる。チオホスゲンは、化合物Gに対して約1〜10当量または化合物Gに対して約5当量の量で存在することができる。
【0158】
極性溶媒または第1および第2の極性溶媒はDCM、DMSO、DMF、NMP、DMA、MeCNなどからなる群から選択することができる。
【0159】
が第一、第二または第三アミド基である場合、化合物Iを加水分解条件にかけて対応するカルボン酸誘導体を生成することができる。
【0160】
本発明の方法の任意選択の合成手順において、化合物Eの市販の変形体を、非極性溶媒などの有機溶媒と水の混合物中、周囲温度でチオホスゲンと混合するステップ、水を加えるステップ、イソチオシアネート化合物の生成物Fを分離するステップを含む、化合物Fを合成するための方法を提供する。合わせた有機抽出物層の体積を減少させ、非極性溶媒などの第2の有機溶媒を加え、所望生成物Fの種晶を加えて結晶化を開始させ、次いで結晶性生成物をろ過および乾燥により単離する。有機溶媒は、ジクロロメタン(DCM)、トルエン、クロロホルム、ヘキサン、ヘプタンおよび1,4−ジオキサンからなる群から選択することができ、より好ましくはDCMまたはヘプタンから選択することができる。チオホスゲンは、アニリンE1モル当たり約1〜1.5mol、例えば1.1molの量で用いることができる。チオホスゲンは、30分間〜2時間、例えば1時間かけて加えることができる。
【0161】
生成物Fは、有機溶媒または有機溶媒混合物中の生成物Fの飽和溶液を調製し、溶液を濃縮し、その溶液をある温度範囲まで冷却し、溶液をその温度範囲で生成物Fの結晶化が完了するまでの十分な時間維持することによる結晶化プロセスに供してもよい。この結晶化プロセスは、約0℃〜約50℃、約10℃〜約40℃、約20℃〜約30℃、約20℃〜約25℃もしくは約25℃〜約30℃の温度範囲または約20℃、約21℃、約22℃、約23℃、約24℃、約25℃、約26℃、約27℃、約28℃、約29℃もしくは約30℃で実施することができる。結晶化に使用する有機溶媒はn−ヘプタンまたはn−ヘプタンとIPAcの混合物であってよい。例えば、n−ヘプタン中に約0.11mol%〜約0.65mol%のIPAcを使用し得るか、n−ヘプタン中に約0.20mol%〜約0.55mol%のIPAcを使用し得るか、n−ヘプタン中に約0.03〜約0.06重量%のIPAcを使用し得るか、またはn−ヘプタン中に約0.20、約0.36、約0.37、約0.38、約0.41、約0.54もしくは約0.55mol%のIPAcを使用し得る。Fの結晶化溶液に、結晶化の誘発を助けるために、予め単離した少量のF、例えば得ようとするFの理論量の約0.2〜0.5重量%を種晶として加えることができる。種晶用のFの量は、再結晶化しようとするFの量の約0.20%〜約0.50%(重量%)の範囲、例えば約0.20%、約0.25%、約0.30%、約0.35%、約0.40%、約0.45%または約0.50%であってよい。(約20gのFを再結晶化しようとすると、約0.20%〜約0.50重量%は約40mg〜100mgの種晶に相当する。)種晶を加えた後、溶液/スラリーを、約0.5〜約2時間または約1時間かけて約0℃〜約5℃に冷却することができる。溶液は、高速または低速撹拌、例えば約200rpm〜約400rpm、約300rpm〜約400rpm、約200rpm〜約400rpmまたは約200rpm、約300rpmもしくは約400rpmで撹拌することもできる。結晶化後、固体をろ過し、冷n−ヘプタン(約10〜30mLまたは約20mL)で洗浄し、約20℃〜約25℃で真空乾燥することができる。
【0162】
本発明を以下の非限定的な実施例により例示する。
【実施例】
【0163】
実験
スキーム1で例示した本発明の1つの態様において、以下の実施例1〜5で説明するような4−(3−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−5,5−ジメチル−4−オキソ−2−チオキソイミダゾリジン−1−イル)−2−フルオロ−N−メチルベンズアミドの製造のための新規の改善されたプロセスを提供する。材料は市場の供給業者から入手し、これをさらに精製することなく使用した。空気または水分に対して感受性の高い反応は、アルゴン雰囲気下で、オーブン乾燥したガラス製品および標準的なシリンジ/隔壁手法を用いて実施した。反応は、UV光(254nm)下でシリカゲルTLCプレートを用い、続いてp−アニスアルデヒドまたはニンヒドリン染色溶液で可視化してモニターした。大きなスケールでの実験では、反応を逆相HPLCでモニターした。カラムクロマトグラフィーはシリカゲル60で実施した。H NMRスペクトルは、別段の言及のない限り、CDCl中、400MHzで測定し、データを以下の通り、内部標準(TMS、0.0ppm)からのppm(δ):化学シフト(多重度、積分値、Hzでの結合定数)で報告した。
【0164】
(実施例1)
4−ブロモ−2−フルオロ安息香酸の4−ブロモ−2−フルオロ−N−メチルベンズアミドへの転換。
【0165】
【化54】

窒素フラッシュした50L反応器に、乾燥安息香酸A−1(1.8kg、8.22mol)を入れ、次いで酢酸イソプロピル(IPAc)(12.6L、7vol)およびDMF(36mL、0.02当量)を入れた。この撹拌スラリーに、塩化チオニル(689mL、9.47mol、1.15当量)を5分間かけて加えた(バッチは21℃〜23℃に加温された)。バッチを2.5時間にわたって60℃に加熱し、60〜68℃で1時間維持し、HPLC分析用のサンプリングを実施した。バッチはこの時点で薄いスラリーであった。酸クロリドへの転換率は99.9%であることが分かった(酸クロリド中間体は分析前にN−プロピルアミンでクエンチした)。70〜72℃でさらに1時間撹拌した後、バッチを1時間かけて10℃に冷却した。
【0166】
窒素フラッシュした30L反応器にMeNH水溶液(3.6L、41.1mol、5当量)を入れ、次いでこれを2〜10℃に冷却した。IPAc(3.6L、2vol)をMeNHに加え、MeNH/IPAc混合物を2〜10℃に冷却した。酸クロリドをMeNH/IPAc混合物に50分間かけて移した。その間反応物は35℃に加温された。酸クロリドを含む反応器をIPAc(1.8L、1vol)を使用して濯ぎ、30L反応器中へと移した。バッチを30〜35℃で15分間撹拌し、次いでHPLC分析用のサンプリングをした。生成物への転換率は100%であることが分かった。
【0167】
撹拌を停止し、10分間かけて相を分離させた。緑色の下層を除去した。IPAc相を水(3vol、次いで1vol)でさらに洗浄した。最後の相分離は30℃で14時間かけて実施した。最後の分離の後、IPAc相をセライト(Celite)充填物でろ過し、これをIPAc(3.6L、2vol)で濯いで暗緑色物質を除去した。次いで5時間かけて蒸留により(30〜35℃、100〜200mbar、1.5〜2.9psi)、ろ液の体積を9.5L(5.3vol)に減少させた。8〜9倍体積で沈殿が始まった。n−ヘプタン(18L、10vol)を反応器に加え、混合物を6時間かけて蒸留して(30〜35℃、100〜200mbar、1.5〜2.9psi)8L(4.4vol)にした。この段階でIPAc/n−ヘプタン比は26:1であった。得られたスラリーを25℃で12時間撹拌し、次いで1時間かけて5〜10℃に冷却した。バッチを5〜10℃で1.5時間撹拌し、次いでろ過し、n−ヘプタン(2×1vol)で濯ぎ、空気乾燥した。ろ過ケーキ(1.87kg)を55〜60℃で141時間真空乾燥して1.72kg(90%収率)の所望のアミド生成物A−2を99.5%のHPLC純度、0.2%のHOで得た。
【0168】
(実施例2)
4−ブロモ−2−フルオロ−N−メチルベンズアミドの2−(3−フルオロ−4−(メチルカルバモイル)フェニルアミノ)−2−メチルプロパン酸への転換。
【0169】
【化55】

ブロモベンズアミドA−2(10g、43.1mmol)、アミノイソ酪酸B−1(6.7g、64.6mmol、1.5当量)、KCO(15g、2.5当量)、99%CuCl(0.8g、8.1mmol、0.2当量)、DMF(60mL、6vol)および水(1.8mL)をフラスコに加え、反応スラリーを30℃に加熱した。2−アセチルシクロヘキサノン(1.14mL、8.1mmol、0.2当量)を反応スラリーに加え、次いで窒素下、105℃で12〜14時間撹拌した。HPLC分析は所望生成物への96.6%の転換率を示した。次いで反応混合物を室温に冷却し、水(120mL)およびIPAc(60mL)で抽出した。下側の水層をIPAc(60mL)で再抽出し、180mLの1Mクエン酸で酸性化してpH4.0にした。生成物は室温で結晶化し始め、バッチをさらに5〜7℃に冷却し、ろ過し、水(40mL)で洗浄し、減圧下50℃で12時間乾燥した。反応により8.3gの生成物C−1(75.4%収率)を黄褐色固体として99.6%のHPLC純度で得た。
【0170】
(実施例3)
2−(3−フルオロ−4−(メチルカルバモイル)フェニルアミノ)−2−メチルプロパン酸のメチル2−(3−フルオロ−4−(メチルカルバモイル)フェニルアミノ)−2−メチルプロパノエートへの転換。
【0171】
【化56】

メチルプロピオン酸誘導体C−1(4.0g、15.7mmol)、炭酸カリウム(2.67g、18.8mmol)、DMF(28mL)および水(0.04mL)の混合物を30℃に加熱した。次いでヨウ化メチル(1.2mL、18.8mmol)を一括して加えると、5分以内に反応混合物が32℃へ若干温度上昇するのが観察された。次いで混合物を40℃で1時間加熱した。反応混合物のHPLC分析は、エステル生成物への>99.9%の転換率を示した。次いでAcOH(0.3mL)を加え、得られた混合物を60℃に加熱し、次いでバッチ温度を58〜63℃に維持しながら50分間かけて水(60mL)を加えた。次いでスラリーを30℃に冷却し、生成物D−1をろ過し、水(2×8mL)で洗浄した。ろ過ケーキを水(40mL)に再スラリー化し、IPAc(2×8mL)で濯ぎ、45〜50℃で16時間かけて真空乾燥して4gのエステル(95%収率)を薄茶色固体として99.9%の純度、<0.1%の水分および80ppmのカリウムで得た。
【0172】
(実施例4)
4−アミノ−2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリルの4−イソチオシアナト−2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリルへの転換。
【0173】
【化57】

窒素フラッシュした30LケトルにアニリンE(4.0kg、21.49mol)を入れ、次いでn−ヘプタン(9L、2.25vol)およびHO(10L、2.5vol)を入れた。次いで混合物を8分間撹拌し、5〜10℃に冷却し、チオホスゲン(1.81L、2.72kg、23.64mol、1.1当量)を、バッチ温度を10〜16℃に維持しながら12分間かけて入れ、次いでn−ヘプタン(1L、0.25vol)で濯いだ。次いで得られたオレンジ色スラリーを1.5時間かけて30〜40℃に加温した。若干発熱して最大で46.4℃の温度が観察された。15時間撹拌した後、オレンジ色溶液をサンプリングした(>99%の転換率)。次いでバッチを36℃に加熱し、相を分離させた。ラグ層(rag layer)が観測され、その大部分を底部水層と一緒にパージした。2分割して、次にn−ヘプタン(18L、4.5vol)をオレンジ色ヘプタン層に入れ、溶液を蒸留して(45〜46℃、160mbar)1.5volにした。溶液をn−ヘプタン(8L、2vol)で再度希釈し、バッチを蒸留して(45〜46℃、160mbar)1.5volにした。次いで溶液をn−ヘプタン(10L、2.5vol)で希釈し、30〜31℃に冷却し(ヘプタン:生成物F、5.3:1)、生成物F(10g)を種晶として加えた。種晶を加えて2〜3分間で結晶化するのが認められ、スラリーをさらに3時間かけて0〜10℃に冷却し、0〜10℃で2時間維持した。次いでバッチをろ過し、ろ液と冷n−ヘプタン(4L、1vol)で濯ぎ、減圧下20〜25℃で13時間乾燥して生成物F(4.51kg、92%)を、>99%のHPLC純度および0.04%の水分レベルで得た。
【0174】
(実施例5)
メチル2−(3−フルオロ−4−(メチルカルバモイル)フェニルアミノ)−2−メチルプロパノエートの4−(3−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−5,5−ジメチル−4−オキソ−2−チオキソイミダゾリジン−1−イル)−2−フルオロ−N−メチルベンズアミドへの転換。
【0175】
【化58】

丸底フラスコにメチルエステルD−1(150g、0.56mol)、イソチオシアネートF(255.6g、1.12mol)、DMSO(150mL、1当量)およびIPAc(300mL、2当量)を入れた。次いで混合物を83〜84℃に加熱し、17.5時間撹拌し、次いでサンプリングしてHPLCにより96.2A%の所望生成物への転換率が示された。次に反応混合物を65〜70℃に冷却し、メタノール(22.5mL、0.15vol)を入れた。次いで溶液を45分間撹拌し、20〜25℃に冷却した。次に溶液をIPAc(900mL、6vol)で希釈し、DI水(450mL、3vol)で洗浄し、IPA(225mL、1.5vol)を用いてエマルジョンを破壊した。水相を抽出した後、有機相を減圧下30〜35℃で4.5倍体積(675mL)に濃縮した。次に溶液をIPA(2000mL、13.3vol)で希釈し、75〜82℃に加熱した(95℃のジャケット温度)。加熱している間、溶液は若干濁ってきたが、70〜71℃で透明になった。次いで溶液を、大気圧下で77〜82℃に維持しながら8倍体積(1200mL)に濃縮した。H NMRによる分析で、7.3mol%のIPAcが溶液中に残留していることが分かった。次いで溶液を77℃に冷却し、種晶を加え、5時間かけて20〜25℃に冷却した。20〜25℃で8時間維持した後、バッチを2時間かけて0〜5℃に冷却した。0〜5℃で1時間撹拌した後、スラリーをろ過し、IPA(2×225mL)で洗浄し、減圧下で5分間調節し(conditioned)、次いで50〜55℃で117時間真空乾燥した。反応により、生成物I−1(213.9g、82%)を白色粉末として得た。KFにより水分0.14%、HPLCにより純度>99.9A%であった。
【0176】
(実施例6)
4−(3−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−5,5−ジメチル−4−オキソ−2−チオキソイミダゾリジン−1−イル)−2−フルオロ−N−メチルベンズアミドの4−(3−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−5,5−ジメチル−4−オキソ−2−チオキソイミダゾリジン−1−イル)−2−フルオロ安息香酸への転換。
【0177】
【化59−1】

4−(3−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−5,5−ジメチル−4−オキソ−2−チオキソイミダゾリジン−1−イル)−2−フルオロ−N−メチルベンズアミドI−1を濃HClに懸濁させ、圧力容器中、120℃で48時間加熱した。反応を薄層クロマトグラフィー(TLC)でモニターした。反応混合物を周囲温度に冷却した。残留物をろ過し、シリカゲルクロマトグラフィー(100〜200メッシュ、溶離液:0〜5%メタノール−ジクロロメタン)で精製して所望のカルボン酸誘導体I−2を得た。MS(m/z):452(M+1)。HPLC:カラム、YMC ODS AQ、4.6×250mm、5μm、移動相A:10mM酢酸アンモニウム、移動相B:アセトニトリル、勾配、アイソクラチック:55%A:45%B、保持時間、3.804分、HPLC純度、95.82%、流量、1mL/min。
【0178】
【化59−2】

(実施例7)
2−(3−フルオロ−4−(メチルカルバモイル)フェニルアミノ)−2−メチルプロパン酸の4−(1−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニルアミノ)−2−メチル−1−オキソプロパン−2−イルアミノ)−2−フルオロ−N−メチルベンズアミドへの転換。
【0179】
【化60】

メチルプロピオン酸誘導体C−1(0.254g、1mmol)を1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(0.380g、2.0mmol)と一緒にDCM(15mL)に溶解させ、次いで4−アミノ−2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル(0.200g、1.1mmol)をゆっくり加えた。混合物を室温で5〜6時間撹拌した。LCMSおよびTLCにより反応物を分析した後、混合物をDCMで抽出し、抽出物を水で洗浄し、乾燥し、蒸発させた。粗生成物をクロマトグラフィーで精製して所望生成物G−1(0.150g、36%収率)を得た。
【0180】
(実施例8)
4−(1−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニルアミノ)−2−メチル−1−オキソプロパン−2−イルアミノ)−2−フルオロ−N−メチルベンズアミドの4−(3−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−5,5−ジメチル−4−オキソ−2−チオキソイミダゾリジン−1−イル)−2−フルオロ−N−メチルベンズアミドへの転換。
【0181】
【化61】

ニートのチオホスゲン(54mg、0.48mmol)中のアミド誘導体G−1(0.1g、0.23mmol)の混合物を封管中100℃で6時間加熱し、次いで冷却した。混合物をDCMに溶解し、ろ過し、ろ液を蒸発させた。粗製物質をカラムクロマトグラフィーで精製して所望生成物I−1(4mg、4%収率)を得た。分析データは実施例5で調製した化合物と一致する。
【0182】
(実施例9)
4−(1−カルボキシ−1−メチル−エチルアミノ)−2−フルオロ安息香酸の合成
(実施例9A)
4−アミノ−2−フルオロ安息香酸から出発した4−(1−カルボキシ−1−メチル−エチルアミノ)−2−フルオロ安息香酸の合成
【0183】
【化62】

4−アミノ−2−フルオロ安息香酸(0.2g、1.29mmol)および1,1,1−トリクロロ−2−メチル−プロパン−2−オール(0.593g、3.35mmol)を無水アセトンに溶解させ、溶液を0℃に冷却した。粉末状水酸化ナトリウム(0.2g、5.01mmol)を少量ずつ添加し、次いで反応混合物を室温に加温しその温度で12時間撹拌した。減圧下で揮発分を除去し、残留物を1M HCl水溶液で酸性化した。得られた粗生成物を逆相HPLCで精製して4−(1−カルボキシ−1−メチル−エチルアミノ)−2−フルオロ安息香酸を得た。
【0184】
(実施例9B)
4−ブロモ−2−フルオロ安息香酸から出発した4−(1−カルボキシ−1−メチル−エチルアミノ)−2−フルオロ安息香酸の代替合成
【0185】
【化63】

4−ブロモ−2−フルオロ安息香酸(20g、91.3mmol)、2−アミノイソ酪酸(14.5g、140mmol)、CuI(3.47g、18.22mmol)およびKCO(31.56g、227.91mmol)を、DMF(200mL)、HO(20mL)およびTEA(0.63mL、4.54mmol)の中で混合した。次いで反応混合物に2−アセチルシクロヘキサノン(2.4g、17.1mmol)を加えた。反応混合物を90℃で14時間撹拌した。反応が完了した後、水を加えた。水層を酢酸エチルで洗浄した。1Mクエン酸溶液を加えて水層を酸性(pH約4)にした。生成物を酢酸エチル(3×200mL)で抽出した。一緒にした有機層を無水NaSOで乾燥し、減圧下で濃縮して16gの4−(2−カルボキシプロパン−2−イルアミノ)−2−フルオロ安息香酸を粗生成物として得た。この粗製物質をそのまま次の実施例で使用した。
【0186】
(実施例10)
4−[3−(4−シアノ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−5,5−ジメチル−4−オキソ−2−チオキソ−イミダゾリジン−1−イル]−2−フルオロ安息香酸(化合物M−1)の合成
【0187】
【化64】

4−(1−カルボキシ−1−メチル−エチルアミノ)−2−フルオロ安息香酸(241mg、1mmol)、4−イソチオシアナト−2−トリフルオロメチルベンゾニトリル(342mg、1.5mmol)およびトリエチルアミン(343mg、3.4mmol)をEtOH(5mL)中で混合し、溶液を室温で10日間撹拌した。反応混合物を減圧濃縮し、残留物を1M HCl水溶液で酸性化し、生成物を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。得られた粗生成物を、酢酸エチルで溶出するカラムクロマトグラフィーにより精製して4−[3−(4−シアノ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−5,5−ジメチル−4−オキソ−2−チオキソ−イミダゾリジン−1−イル]−2−フルオロ安息香酸(10mg)をオフホワイトの固体として得た。
【0188】
引用を特定して本明細書で参照したすべての刊行物、特許、特許出願および公開特許出願の開示を、参考としてその全体を本明細書に援用する。
【0189】
理解を明瞭にするために、上記本発明を、例示および実施例により、かなり詳細に説明してきたが、ある種の細かな変更および改変がなされることになることは当業者に明らかである。したがって、上記詳細な説明および実施例は、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I,2−I)の化合物:
【化65】

(式中、
XはSまたはOであり、
およびYは独立にメチルであるか、またはそれらが結合している炭素と一緒になって4〜5個の炭素原子のシクロアルキル基を形成しており、
はL−C(=O)−NRまたはL−CNであり、Lは単結合またはC〜Cアルキレンであり、
およびRは独立にHおよびC〜Cアルキルから選択され、
は水素またはフルオロである)
を調製するためのプロセスであって、
式Aの化合物:
【化66】

(式中、LGは脱離基、BrまたはIである)
を式Bの化合物:
【化67】

と反応させて式Cの化合物:
【化68】

を生成するステップと、
前記式Cの化合物を、アルキル化条件下で式R−LGの化合物と反応させるか、またはエステル化条件下で式R−OHの化合物と反応させて式Dの化合物:
【化69】

(式中、RはC〜Cアルキルである)
を生成するステップと、
前記式Dの化合物を式(F,2−F)の化合物:
【化70】

(式中、XはSまたはOである)
と反応させて式(I,2−I)のジアリールチオヒダントインまたはジアリールヒダントイン化合物:
【化71】

を生成するステップ
を含むプロセス。
【請求項2】
式(I,2−Ia)の化合物:
【化72】

(式中、
およびYは独立にメチルであるか、またはそれらが結合している炭素と一緒になって4〜5個の炭素原子のシクロアルキル基を形成しており、
はL−C(=O)−OHであり、Lは単結合またはC〜Cアルキレンであり、
は水素またはフルオロである)
を調製するためのプロセスであって、
式I,2−Iの化合物:
【化73】

(式中、RはL−C(=O)−NRであり、Lは単結合またはC〜Cアルキレンであり、RおよびRは独立にHおよびC〜Cアルキルから選択される)
を加水分解するステップを含むプロセス。
【請求項3】
前記加水分解を濃HClの存在下で実施する、請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記加水分解を80〜140℃で実施する、請求項2または3のいずれかに記載のプロセス。
【請求項5】
前記加水分解を120℃で実施する、請求項2または3のいずれかに記載のプロセス。
【請求項6】
前記加水分解を10〜60時間実施する、請求項2または3のいずれかに記載のプロセス。
【請求項7】
前記加水分解を48時間実施する、請求項2または3のいずれかに記載のプロセス。
【請求項8】
XがSである、請求項1〜7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
XがOである、請求項1〜7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
式(I)の化合物:
【化74】

(式中、
およびYは独立にメチルであるか、またはそれらが結合している炭素と一緒になって4〜5個の炭素原子のシクロアルキル基を形成しており、
はL−C(=O)−NRまたはL−CNであり、Lは単結合またはC〜Cアルキレンであり、
およびRは独立にHおよびC〜Cアルキルから選択され、
は水素またはフルオロである)
を調製するためのプロセスであって、
式Aの化合物:
【化75】

を式Bの化合物:
【化76】

と反応させて式Cの化合物:
【化77】

を生成するステップと、
前記式Cの化合物を、アルキル化条件下で式R−LGの化合物と反応させるか、またはエステル化条件下で式R−OHの化合物と反応させて式Dの化合物:
【化78】

(式中、RはC〜Cアルキルである)
を生成するステップと、
前記式Dの化合物を式Fの化合物:
【化79】

と反応させて式(I)のジアリールチオヒダントイン化合物:
【化80】

を生成するステップ
を含むプロセス。
【請求項11】
式(I)の化合物:
【化81】

(式中、
およびYは独立にメチルであるか、またはそれらが結合している炭素と一緒になって4〜5個の炭素原子のシクロアルキル基を形成しており、
はL−C(=O)−NRまたはL−CNであり、Lは単結合またはC〜Cアルキレンであり、
およびRは独立にHおよびC〜Cアルキルから選択され、
は水素またはフルオロである)
を調製するためのプロセスであって、
式Aの化合物:
【化82】

を式Bの化合物:
【化83】

と反応させて式Cの化合物:
【化84】

を生成するステップと、
前記式Cの化合物を式Eの化合物:
【化85】

と反応させて式Gの化合物:
【化86】

を生成するステップと、
前記式Gの化合物をチオホスゲンと反応させて式(I)のジアリールチオヒダントイン化合物:
【化87】

を生成するステップ
を含むプロセス。
【請求項12】
とYがどちらもメチルである、請求項1〜11のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項13】
およびYが、それらが結合している炭素と一緒になってシクロブチル環を形成している、請求項1〜11のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項14】
およびYが、それらが結合している炭素と一緒になってシクロペンチル環を形成している、請求項1〜11のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項15】
が単結合である、請求項1〜11のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項16】
が−CH−、−CH−CH−またはCH−CH−CH−である、請求項1〜11のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項17】
が単結合であり、Rが−C(=O)−NHCHである、請求項1〜11のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項18】
が単結合であり、Rが−C(=O)−NHである、請求項1〜11のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項19】
がFである、請求項1〜18のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項20】
とYがどちらもメチルであり、Rが−C(=O)−NHCHであり、RがFである、請求項1〜11のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項21】
とYがどちらもメチルであり、Rが−C(=O)−NHであり、RがFである、請求項1〜11のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項22】
式Cの化合物を生成するための式Aの化合物と式Bの化合物の前記反応を、化合物Aに対して約0.05〜0.35当量の触媒量の塩化銅(I)および使用される塩化銅(I)の量とほぼ等量のアセチルシクロヘキサノンの存在下で実施する、請求項1〜11のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項23】
式Iの化合物を生成するための式Dの化合物と式Fの化合物の前記反応を、DMSO中で実施する、請求項1〜10のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項24】
式Cの化合物を式Dの化合物に転換させる前記ステップを、前記式Cの化合物をアルキルハライドでアルキル化することによって実施する、請求項1〜10のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項25】
前記アルキルハライドがヨウ化メチルである、請求項24に記載のプロセス。
【請求項26】
前記アルキル化を無機塩基の存在下で実施する、請求項25に記載のプロセス。
【請求項27】
前記無機塩基が炭酸カリウムである、請求項26に記載のプロセス。
【請求項28】
式Cの化合物を式Dの化合物に転換させる前記ステップの後、反応混合物に水を加えて前記式Dの化合物を沈殿させることによって前記式Dの化合物を単離する、請求項27に記載のプロセス。
【請求項29】
約10〜18倍体積の水を1時間かけて反応混合物に加えて前記式Dの化合物を沈殿させる、請求項28に記載のプロセス。
【請求項30】
前記式Dの化合物を水に再懸濁または再スラリー化し、続いて前記式Dの化合物を再単離する、請求項29に記載のプロセス。
【請求項31】
前記式Dの化合物中の残留カリウム含量または残留塩基含量が約500ppm以下である、請求項29に記載のプロセス。
【請求項32】
再単離後に前記式Dの化合物を乾燥する、請求項29に記載のプロセス。
【請求項33】
前記式Dの化合物の残留水分含量が約0.1%以下である、請求項32に記載のプロセス。
【請求項34】
前記式Dの化合物の残留水分含量が約0.1%以下であり、前記式Dの化合物中の残留カリウム含量または残留塩基含量が約500ppm以下である、請求項32に記載のプロセス。
【請求項35】
式(I,2−Ia)の化合物:
【化88】

(式中、
XはSまたはOであり、
およびYは独立にメチルであるか、またはそれらが結合している炭素と一緒になって4〜5個の炭素原子のシクロアルキル基を形成しており、
はL−COOHであり、Lは単結合またはC〜Cアルキレンであり、RおよびRは独立にHおよびC〜Cアルキルから選択され、
は水素またはフルオロである)
を調製するためのプロセスであって、
式Aaの化合物:
【化89】

(式中、LGは脱離基、BrまたはIである)
を式Bの化合物:
【化90】

と反応させて式Caの化合物:
【化91】

を生成するステップと、
前記式Caの化合物を、アルキル化条件下で式R−LGの化合物と反応させるか、またはエステル化条件下で式R−OHの化合物と反応させて式Daの化合物:
【化92】

(式中、RはC〜Cアルキルである)
を生成するステップと、
前記式Daの化合物を式(F,2−F)の化合物:
【化93】

(式中、XはSまたはOである)
と反応させて式(I,2−Ia)のジアリールチオヒダントインまたはジアリールヒダントイン化合物:
【化94】

を生成するステップ
を含むプロセス。
【請求項36】
XがSである、請求項35に記載のプロセス。
【請求項37】
XがOである、請求項35に記載のプロセス。
【請求項38】
が単結合であり、Rが−C(=O)−OHである、請求項35〜37のいずれかに記載のプロセス。
【請求項39】
とYがどちらもメチルであり、Rが−C(=O)−OHであり、RがFである、請求項35〜37のいずれかに記載のプロセス。

【公表番号】特表2013−520519(P2013−520519A)
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−555160(P2012−555160)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際出願番号】PCT/US2011/026135
【国際公開番号】WO2011/106570
【国際公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(511205611)メディベイション プロステイト セラピューティクス, インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】