ジオリファレンス処理を利用するワイヤレスアーキテクチャ
【課題】プロセス制御システムにおいて異なる遠隔装置とベースコンピュータとの間で安定したワイヤレス通信接続を確立し、維持する。
【解決手段】プロセス制御環境において使用するワイヤレス通信システムは、参照基準ノード、ベースノード、及びフィールドノードのうちの少なくともいくつかの地理的位置を決定し、この決定された地理的測位の位置に基づいて、参照基準ノード、ベースノード、及びフィールドノードに取り付けられたトランシーバのRF電力設定を決定するように適応された、参照基準ノードを含む。更に参照基準ノードは、プロセス制御環境内の複数位置でのRFノイズレベルを複数回決定し、決定されたRFノイズレベルに基づいてRF電力設定を調節するように適応されている。参照基準ノードは、携帯型装置上で実装されてもよい。
【解決手段】プロセス制御環境において使用するワイヤレス通信システムは、参照基準ノード、ベースノード、及びフィールドノードのうちの少なくともいくつかの地理的位置を決定し、この決定された地理的測位の位置に基づいて、参照基準ノード、ベースノード、及びフィールドノードに取り付けられたトランシーバのRF電力設定を決定するように適応された、参照基準ノードを含む。更に参照基準ノードは、プロセス制御環境内の複数位置でのRFノイズレベルを複数回決定し、決定されたRFノイズレベルに基づいてRF電力設定を調節するように適応されている。参照基準ノードは、携帯型装置上で実装されてもよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
プロセス制御システムにおいて異なる遠隔装置とベースコンピュータとの間で安定したワイヤレス通信接続を確立しこれを維持する、分散型プロセス制御システム内でワイヤレス通信を提供する方法及び装置が開示される。
【背景技術】
【0002】
本出願は、2003年6月18日付出願の「Self−Configuring Communication Networks for use with Process Control Systems(プロセス制御システムと共に用いる自己構成型通信ネットワーク)」と題される係属中米国出願第10/464,087号の一部継続出願であるところの、2005年6月17日付出願の「Wireless Architecture and Support for Process Control Systems(工程管理システム用ワイヤレスアーキテクチャおよびサポート)」と題される係属中米国出願第11/156,215号の一部継続出願である(尚、当該出願は全て、ここに参照することにより本稿において明示的に援用される)。
【0003】
プロセス制御システムは、(例えば、化学製品の製造や発電所の制御など)製品が製造されたり工程の制御が行われたりする製造所及び又は工場において幅広く使用されている。また、プロセス制御システムは、例えば石油やガスの掘削及び貯蔵工程をはじめとする天然資源などの採掘にも使用されている。現に、一又は複数のプロセス制御システムを利用することにより、実質的にいかなる製造工程や資源採掘工程でも自動化できる。将来的には、農業用途でも同様に又はより広範囲にわたり、プロセス制御システムが利用されるようになるであろうと考えられている。
【0004】
プロセス制御システムを実施するための方法は、この数年にわたり進化してきた。旧世代のプロセス制御システムは、一般に専用の集中型ハードウェア及びワイヤによる配線式の接続を使用して実施された。
【0005】
但し、近代のプロセス制御システムは、高度に分散化されたワークステーションネットワークや、インテリジェント制御装置、スマートフィールド装置及びそれと同等のものを使用して通常実施され、それらのいくつか又は全ての統括的なプロセス制御方法又は方式の一部を実行しうる。特に、最新のプロセス制御システムは、1つ又は複数のデジタルデータバスを介して互いに、及び又は1つ又は複数のコントローラに通信可能に連結されるスマートフィールド装置及びその他のプロセス制御構成素子を含んでいる。近代のプロセス制御システムは、スマートフィールド装置に加えて、例えば、共有のデジタルデータバス又はそれ同等のものとは対照的にコントローラに直接連結されるような4〜20ミリアンペア(mA)装置や0〜10ボルト直流(VDC)装置などのアナログフィールド装置も含みうる。
【0006】
典型的な産業向け工場又はプロセス工場では、工場内で行われる生産プロセスの多くを制御するのに分散型制御システム(DCS)が使用されている。工場には、ユーザ入出力(I/O)やディスクI/O及び、その他、集中制御室に通信可能に接続された1つ又は複数のプロセスコントローラ及びプロセスI/Oサブシステムを用いる、コンピューティング技術の分野で周知の周辺機器を有するコンピュータシステムを有する集中制御室が備えられうる。更に、工場内の制御及び計測作業を実施するため、通常、1つ又は複数のフィールド装置が、I/Oサブシステム及びプロセスコントローラに接続される。工場全体にわたり様々なフィールド装置に接続されるプロセスI/Oサブシステムが複数のI/Oポートを含みうる一方、フィールド装置は、シリコン圧力センサ、容量形圧力センサ、抵抗温度検知器、熱電対、歪みゲージ、リミットスイッチ、オン/オフスイッチ、流動伝送器、圧力伝送器、静電容量レベルスイッチ、重量計、変換器(トランスデューサ)、バルブポジショナ、弁制御器、アクチュエータ、ソレノイド、表示灯、又はその他一般にプロセス工場で使用される装置を含む様々なタイプの分析用機器を含みうる。
【0007】
「フィールド装置」という用語は、上記のような装置並びに制御システムで機能を果たすその他の装置を包含する意味でここに用いられている。いかなる場合も、フィールド装置は、例えば、入力装置(例えば、例えば温度、圧力、流量などのプロセス制御パラメータを示すステータス信号を提供するセンサなどの装置)、並びにコントローラ及び又はその他のフィールド装置から受信された指令に応答してアクションを実行する制御オペレータ又はアクチュエータを含みうる。
【0008】
従来、各装置が単一の二線式ツイストペアによりコントローラに接続された状態で、アナログフィールド装置が二線式ツイストペア電流ループによりコントローラに接続されていた。アナログフィールド装置は、指定された範囲内の電気的信号に応答するか、又はそれを送信する能力を有する。典型的な構成において、該ペアの二線と該ループを流れる4〜20mAの電流との間で約20〜25ボルトの電圧差異が生じるというのは、よくあることである。制御室に信号を送信するアナログフィールド装置は、電流ループを流れる電流(この電流は感知されたプロセス変量に比例する)を変調する。
【0009】
制御室の制御下にアクションを行うアナログフィールド装置は、ループを通る電流の大きさにより制御され、電流はプロセスI/OシステムのI/Oポートにより変調され、それに順じてコントローラにより制御される。また、能動電子素子(active electronics)を有する従来からの二線式アナログ装置は、ループから40ミリワットまでの電力を受け取ることができる。通常、更に多く電力を必要とするアナログフィールド装置は、4本の配線ワイヤを使用してコントローラに接続され、該4本の配線ワイヤのうち2本が装置に電力を供給する。このような装置は、当該技術分野において四線式装置として知られており、一般に二線式装置のような電力制限タイプではない。
【0010】
ディスクリート(離散型)フィールド装置は二値信号を送信し、或いは二値信号に応答できる。通常、フィールド装置は、24ボルトの信号(AC又はDCのいずれか)、110ボルト又は240ボルトのAC信号、若しくは5ボルトのDC信号で作動する。もちろん、ディスクリート装置は、特定の制御環境により要求される任意の電気仕様に従って作動するように設計されうる。ディスクリート入力フィールド装置は、単にコントローラへの接続を確立又は切断するスイッチである間、ディスクリート出力フィールド装置はコントローラからの信号の有無に基づいてアクションをとることになる。
【0011】
従来、ほとんどのフィールド装置は、該フィールド装置により実行される主要な機能に直接関係する単一の入力又は単一出力のいずれかを有するものであった。例えば、従来からのアナログ測温抵抗体センサにより実施されていた唯一の機能は二線式ツイストペアを通じて流れる電流を変調することにより温度を伝送することであり、一方、従来からのアナログバルブポジショナにより実施されていた唯一の機能は、二線式ツイストペアを通じて流れる電流の大きさに基づいてバルブの位置を全開状態位置及び全閉状態位置の中間のある一点に位置決めすることである。
【0012】
より最近になって、アナログ信号を伝送するのに使用される電流ループ上にデジタルデータを重畳するような、ハイブリッドシステムの一部であるフィールド装置が入手可能になった。このようなハイブリッドシステムの1つとしては、制御技術当事者の間でHighway Addressable Remote Transducer(HART)プロトコルとして知られるものが挙げられる。該HARTシステムは、(従来からのシステム同様に)アナログ制御信号を送信するため、又は感知されたプロセス変量を受信するために、電流ループにおける電流の大きさを使用するだけではなく、電流ループ信号上にデジタル搬送波信号を重畳する。HARTプロトコルは、4〜20mAアナログ信号の上にデジタル信号を低レベルで重畳するためにBell 202 FSK(Frequency Shift Keying:周波数偏移符号化)規格を活用する。これにより双方向フィールド通信が確立され、通常のプロセス変量を超える追加情報をスマートフィールド機器と相互に通信することが可能となる。HARTプロトコルは、4〜20mA信号を妨害することなく、1200bpsで通信を行い、ホストアプリケーション(マスタ)がフィールド装置から毎秒2つ以上のデジタル更新を得ることを可能とする。デジタルFSK信号は連続位相であることから、4〜20mA信号には干渉が存在しない。
【0013】
FSK信号は比較的低速であり、二次的プロセス変量又は他のパラメータの更新を毎秒約2〜3の更新レートで提供しうる。デジタルキャリア信号は二次的情報及び診断情報の送信に利用され、フィールド装置の主要な制御機能の実施には利用されないのが一般的である。デジタルキャリア信号上で提供される情報の例として、二次的なプロセス変量、診断情報(センサ診断、装置診断、配線診断、プロセス診断を含む)、動作温度、センサ温度、較正情報、装置ID番号、構成材料、構成情報、プログラミング情報などが挙げられる。したがって、単一のハイブリッドフィールド装置は様々な入力及び出力変数を有していてもよく、様々な機能を実行しても良い。
【0014】
更に最近になって、更に新しい制御プロトコルがアメリカ計測学会(ISA)により定義された。この新規プロトコルは一般にフィールドバスと呼ばれ、具体的には「Standards and Practice Subcommittee 50」の頭字語であるSP50として指称される。フィールドバスプロトコルは、2つのサブプロトコルを定義する。H1フィールドバスネットワークは毎秒最大31.25キロビットのレートでデータを送信し、ネットワークに結合されたフィールド装置に電力を供給する。H2フィールドバスネットワークは毎秒最大2.5メガビットのレートでデータを送信し、ネットワークに結合されたフィールド装置に電力を供給せず、冗長通信メディアを備えている。フィールドバスは非専売のオープンスタンダードで、今日の産業で広く普及している。このため、様々なタイプのフィールドバス装置が開発されプロセス工場で使用されている。フィールドバス装置は、HART及び4〜20mA装置など、その他のタイプのフィールド装置に加えて、これらの異なるタイプの装置の各々に関連する他のサポート及びI/O通信構造で使用される。
【0015】
通常本質的に全てがデジタルである新型のスマートフィールド装置は、旧式の制御システムではアクセスできなかった又は互換性を提供できなかったような保守モード及び拡張機能を有する。分散型制御システムの全ての構成部分が同一の規格(フィールドバス標準など)に準拠している場合でも、ある製造メーカの制御装置では、他の製造メーカのフィールド装置により提供される二次的機能や二次的情報にアクセスできない場合もある。
【0016】
故に、プロセス制御システム又はプロセス工場内でフィールド装置が、お互いに、又はコントローラと、又はその他のシステムや装置と、いかにして通信可能に連結されるかが、プロセス制御システムの設計において特に重要な要素となる。概して、プロセス制御システム内でフィールド装置を機能できるようにする各種の通信チャンネル、リンク及び通信路を総称して入出力(I/O)通信ネットワークと呼んでいる。
【0017】
I/O通信ネットワークの実装にあたり利用される通信ネットワークトポロジ及び物理的接続又は通信路は、特にI/O通信ネットワークがプロセス制御システムと関連した環境因子又は条件下に置かれる場合に、フィールド装置通信のロバスト性又はインテグリティに実質的な影響を与えることがある。例えば、多くの工業制御用途において、フィールド装置とそれらに関連付けられたI/O通信ネットワークは、苛酷な物理的環境(例えば、高温、低温、変わりやすい周囲温度、振動、腐食性ガスや液体など)や困難な電気環境(例えば、高ノイズ環境、低電力品質、過渡電圧など)にさらされる。いかなる場合も、環境因子に起因して1つ又は複数のフィールド装置、コントローラなどの間で行われる通信のインテグリティが低下することがある。このように通信の質に妥協が生じると、場合によっては、プロセス制御システムが効果的又は適切な状態でその制御ルーチンを遂行できなくなり、プロセス制御システム効率及び又は収益性の低下、設備の過剰摩耗や破損に加えて、設備、建造物、環境及び又は人体に対する損傷又は故障につながる危険な状態が発生する可能性がある。
【0018】
環境因子の影響を最小限に止め安定した通信路を確保するために、プロセス制御システムで使用される従来のI/O通信ネットワークは、ワイヤが絶縁体や遮蔽体及び導管などの耐環境性物質で被覆された配線式ネットワークであった。また、これらのプロセス制御システム内のフィールド装置は一般に、非スマートフィールド装置が例えば4〜20mA、0〜10VDCなどのアナログインタフェース、配線式インターフェース又は入出力ボードによりコントローラに直接に連結される配線式階層トポロジを使用して、コントローラやワークステーション及びその他のプロセス制御システム構成素子に通信可能に連結される。フィールドバス装置などのスマートフィールド装置は、スマートフィールド装置インターフェースを介してコントローラに連結される配線式デジタルデータバスを介して連結される。
【0019】
配線式I/O通信ネットワークは、初期段階においてロバストなI/O通信ネットワークを提供できるものの、こうしたロバスト性は環境的ストレス(例えば、有害ガス又は液体、振動、湿度など)が原因で、時間の経過と共に大幅に低下する場合がある。例えば、I/O通信ネットワーク配線に関連した接点抵抗が、腐食、酸化などにより著しく増大しうる。また、配線の絶縁及び又は遮蔽に劣化又は障害が生じ、結果として、環境電子干渉又はノイズによってI/O通信ネットワーク配線を介して送信された信号が破損され易くなる条件をもたらしうる。絶縁が行われないと、場合によっては短絡状態になる可能性もあり、それによって関連するI/O通信配線が完全に故障することにもつながりえる。
【0020】
これに加えて、配線式I/O通信ネットワークは、一般的に設置費用が高い。特に、I/O通信ネットワークが、比較的大規模な地理的領域上に分散した大型工業プラント又は設備、例えば数エーカーの土地を使用する石油精製所や化学プラントと関連する場合、設置費用は更に高額となる。多くの場合、I/O通信ネットワークと関連する配線は、長距離にわたって引き回され、及び又は多くの構造(例えば壁、建造物、装置など)の内部、下部、周囲に設置されねばならない。このような長距離にわたる配線の引き回しには、一般的に相当な量の労力、物資及び費用が伴う。更に、長距離にわたって配線を行うと、通信の信頼性が低下することに起因する、配線インピーダンスや結合電気干渉による信号の劣化が起こりやすくなる。
【0021】
更に、一般的にこのような配線式I/O通信ネットワークは、改造又は更新が必要な場合に再構成を行うのが困難である。通常、新しいフィールド装置を追加するには、新しいフィールド装置及びコントローラ間にワイヤ配線を設置することが必要である。このような方法によるプロセス工場の改装は、旧式のプロセス制御工場及び又はシステムによく見られる長距離配線及び空間の制約が理由で、非常に困難であり費用のかかる作業となりうる。また、利用可能な配線経路などに沿って介入する構造、設備及び又は電線管内にめぐる高密度の配線によって、現存システムにフィールド装置を改装又は追加することに関連する作業が更に困難となりうる。新型装置を収納するためにより多くの及び又は異なる配線を設置しなければならない場合に、異なるフィールド配線要求を有する新型装置と既存のフィールド装置を交換することは、同じ問題を提示しうる。このような改造は、多くの場合著しい工場の停止時間につながる。
【0022】
ワイヤ配線式I/Oネットワークに関連するこうした困難の一部を緩和すべく、ワイヤレスI/O通信ネットワークの利用が提案されている。例えば、Tappersonらによる特許文献1に、配線式通信の利用を拡張し又は補うために、コントローラとフィールド装置との間でワイヤレス通信を行うシステムが開示されている。
【特許文献1】米国特許出願第09/805124号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
しかし、ワイヤレスI/O通信ネットワークの全てとは言わずとも大部分は、今日のプロセス工場において比較的高額なハードウェア装置(例えば、ワイヤレスで利用可能なルータ、ハブ、スイッチなど)を利用して実施されているのが実情であり、これらの大部分は大量の電力を消費する。更に、大型車両や電車の通過、環境や天候に関連した条件などの断続的な干渉によりワイヤレス通信ネットワークが不安定になり、問題を生じている。
【0024】
これに加えて、既知のワイヤレスI/O通信ネットワーク及びそれと関連するハードウェア及びソフトウェアは、設置時に慎重に選定され、その後、システムの動作中は固定される二地点間通信路を利用するのが一般的である。通常は、ワイヤレスI/O通信ネットワーク内に固定通信路を確立する場合、1人以上の専門家に依頼して費用の高い実地調査を行い、トランシーバや他の通信機器のタイプ及び又は場所を決定することが必要である。更に、実地調査の結果、二地点間固定通信路が選択されると、1人以上の専門家に依頼して装置を構成且つ設定したり、アンテナをチューニングしたりなどの作業を行わなければならない。適切なワイヤレス通信を確保するために、二地点間の通信路が選択されるのが一般的であるが、装置、壁、その他の構造の除去や追加といった工場内の変更によって、最初に選択された通信路の信頼性が低下し、ひいてはワイヤレス通信の信頼性の低下を招く。
【0025】
ワイヤレスI/O通信ネットワークにより、例えば、配線による通信路の課題である長時間にわたるロバスト性の維持の問題は緩和されるが、ワイヤレスI/O通信ネットワークは比較的柔軟性が低く、プロセス制御産業の大部分において重要な又は必要なプロセス制御機能を実行するのに充分な信頼性を提供できないとみなされている。例えば、ワイヤレス通信が正常に機能しなくなったり、通信の質が低下してワイヤレスリンクを通じての通信が不安定になったり停止したりした場合でも、そのタイミングを通知できる簡単な手段は現在存在しない。このため、プロセス制御オペレータは、ワイヤレス通信ネットワークを、重要且つ必要なプロセス制御機能を行うために実装することに対してあまり信頼をおけない状態である。
【0026】
したがって、ワイヤレスI/O通信ネットワークの設置(例えば、実地調査、エキスパートによる構成など)に伴うコストが高く、また現在のプロセス制御システムオペレータのワイヤレス通信に対する信頼度が低いことから、ワイヤレスI/Oコミュニケーションネットワークは、特に工業用途で一般に使用されるような比較的大規模のプロセス制御システムにおける貢献度に比べて法外な費用がかかるので、利用できないことが多い。
【課題を解決するための手段】
【0027】
プロセス制御システムで利用されるワイヤレス通信アーキテクチャが開示される。該ワイヤレス通信アーキテクチャは、網目状、及び、場合により、網目状と二地点間通信の組合せを使用して、設定、構成、変更、監視が容易な、よりロバストなワイヤレス通信ネットワークを確立する。これにより、ワイヤレス通信ネットワークは、よりロバストに、より低価格に、より信頼できるものとなる。ワイヤレス通信アーキテクチャは、プロセス工場内の特定のメッセージやバーチャルな通信路から独立した方法で実装される。実際、ワイヤレス通信ネットワークは、プロセス工場内の異なるワイヤレス送信及び受信装置の間でワイヤレス信号が送られる手段とは独立した手法で、プロセス制御システム内にバーチャルな通信路が確立され利用されることを可能とすべく実装される。
【0028】
ある改良実施形態では、ワイヤレス通信ネットワークの動作を制御及び最適化するために、1つ又は複数の環境ノードを使用する。環境ノード(複数可)は、ネットワークの動作を改変しうる他の環境因子のうち、温度、大気圧、湿度、降雨量、無線周波数(RF)、周囲騒音などの1つ又は複数の環境因子を示す信号を供給する、フィールド「環境」装置にリンクされている。
【0029】
他の改良実施形態では、ネットワークはワイヤレスカードにつながれたメインコントローラを有する。一方、ワイヤレスカードは、フィールドノードと通信する光中継器ノードと通信する。フィールドノードは、複数のフィールド装置にリンクされる。他の改良実施形態では、中継器ノードは取り除かれている。また、他の改良実施形態では、上述のように、環境ノード及び環境検知装置は、1つ又は複数の中継器ノードを伴って又は伴わずに、組み込まれている。更に他の改良実施形態では、フィールドノード及び環境ノードはフィールド装置と通信するための複数のポートを含む。
【0030】
ある改良実施形態において、ワイヤレス通信ネットワークはプロセス工場内の異なる装置間でHART通信信号を送信するように設定され、それによって、ロバストワイヤレス通信ネットワークを、HART対応装置を有するプロセス工場やいかなる他の環境でも利用できるようになる。
【0031】
ベースノード、フィールドノード、環境ノード及びホストを備えるプロセス制御ワイヤレス通信ネットワークが一実施形態において開示される。ベースノードは、通信によりホストに結合される。ベースノード、フィールドノード、及び環境ノードは、各々ワイヤレス変換ユニットとワイヤレストランシーバとを備える。ベースノード、フィールドノード及び環境ノードのワイヤレストランシーバは、ベースノード、フィールドノード及び環境ノード間でワイヤレス通信を達成する。フィールドノードは、プロセス制御データを提供する少なくとも1つのフィールド装置を備える。環境ノードは、ワイヤレス通信ネットワークの動作に影響を与えうる環境因子に関するデータを提供する、少なくとも1つのフィールド装置を備える。
【0032】
ある改良実施形態において、ネットワークは、更にワイヤレストランシーバ中にワイヤレス変換ユニットを含む中継器ノードを有する。該中継器ノードは、ベースノード、フィールドノード及び環境ノード間でワイヤレス通信を行う。
【0033】
他の改良実施形態において、環境ノードは、各々が温度、大気圧、湿度、降雨量、無線周波数、周囲騒音からなる群から選択されるデータを提供する、複数のフィールド装置を有する。
【0034】
他の改良実施形態では、フィールド装置の少なくとも一部がHARTプロトコル装置である。他の改良実施形態では、フィールド装置の少なくともいくつかがフィールドバス(商標)プロトコル装置である。
【0035】
他の改良実施形態では、プロセス領域内の異なる位置に、環境データを通信するために、ネットワークが、プロセス領域の周りに戦略的に配置される複数の環境ノードを備える。
【0036】
ある改良実施形態では、ベースノード、環境ノード、フィールドノードにより網目状通信ネットワークが形成され、任意の2つのワイヤレスノード間に多数の通信路が提供される。他の改良実施形態では、ベースノード、環境ノード、フィールドノードにより二地点間通信ネットワークが形成される。更に他の改良実施形態では、ベースノード、環境ノード、フィールドノードを網目状通信ネットワークから二地点間通信ネットワークに、またその逆に変換する切替え装置がネットワークに含まれる。
【0037】
更に、オペレータがワイヤレス通信システムのグラフィックを見ることを可能とする通信ツールが開示される。この通信ツールにより、プロセス工場内に確立される実際のワイヤレス通信路を容易に決定し、任意の特定の通信路の強度を決定し、ワイヤレス通信ネットワークを通じて信号を送信元から受信先に伝播させる能力を判断又は表示することで、ユーザ又はオペレータがワイヤレス通信ネットワークの総合的な動作能力を評価することができるようになる。
【0038】
ある改良実施形態では、通信ツールは、ノード間の接続性を表示する1つ又は複数のグラフィカルトポロジマップ、接続性マトリックスとホップ数とを示す表形式の呈示、及びハードウェア装置の位置と接続性とを表す実際のマップを含む。ネットワークのベースノード、フィールドノード、環境ノード間のワイヤレス通信を表示する表示モニタは、ベースノード又はホストと関連付けられうる。他の改良実施形態では、ベースノード、フィールドノード、環境ノードが配置されるプロセス領域又は環境の構造的特徴をトポロジ画面表示に更に表示する。他の改良実施形態では、ネットワークにおける各種ノード間の通信のためのホップ数を一覧した表形式の画面表示を呈示するように、ホストがプログラムされる。
【0039】
他の改良実施形態では、ワイヤレス通信ネットワークは、プロセス工場内の異なる装置間でフィールドバス通信信号を送信するように構成され、これにより、フィールドバス対応装置をHART対応装置と組み合わせる、或いはHART対応装置の代わりに備えるプロセス工場又は環境において、ロバストワイヤレス通信ネットワークを利用できる。
【0040】
ある改良実施形態では、プロセス制御方法が開示される。該方法は、少なくとも1つのフィールド装置からフィールドデータを受け取ることと、フィールドノードからベースノードへフィールドデータをワイヤレスで送信することと、フィールドデータを異なるプロトコルに変換することと、異なるプロトコルのフィールドデータを経路指定ノードに送信することと、経路指定ノードで異なるプロトコルのフィールドデータを受信する対象装置を決定することと、異なるプロトコルのフィールドデータを対象装置に送ることと、を含む。
【0041】
他の改良実施形態では、ワイヤレスプロセス制御ネットワークを監視する方法が開示される。該方法は、環境ノードの1つ又は複数の環境フィールド装置から環境データを受け取ることと、環境データをワイヤレスでベースノードに送信することと、環境データをホストに送信することと、ホストにて環境データを解釈することと、環境データに基づいてワイヤレスネットワークの少なくとも1つの動作パラメータを調節するためにホストからベースノードに命令を送ることと、その命令をベースノードから該命令を実行する少なくとも1つのフィールド装置を備える少なくとも1つのフィールドノードに送ることと、を含む。
【0042】
他の改良実施形態において、無線通信ネットワークは、ベースノード、フィールドノード、参照基準ノード及びホストを備える。ベースノードは、ホストに通信可能に連結される。ベースノード、フィールドノード及び参照基準ノードは、各々ワイヤレス変換ユニット及びワイヤレストランシーバを備える。ベースノード、フィールドノード及び参照基準ノードのワイヤレストランシーバは、ベースノード、フィールドノード及び参照基準ノード間のワイヤレス通信を達成する。フィールドノードは、プロセス制御データを提供する少なくとも1つのフィールド装置を備える。参照基準ノードは、参照基準ノードの地理的な位置を決定するように適応された地理的測位装置を備える。また、参照基準ノードは、ベースノードと参照基準ノードのうち少なくとも1つに配置されるRF電力設定装置を備える。RF電力設定装置は、ベースノードとフィールドノードの各々の参照基準ノードに対する地理的位置を決定し、且つベースノードとフィールドノードのうちの少なくとも1つの地理的位置を利用して、ベースノード、フィールドノード及び参照基準ノードの少なくとも1つのワイヤレストランシーバのRF電力設定を決定するように適応される。
【0043】
他の改良実施形態において、ワイヤレスプロセス制御ネットワークを監視する方法は、参照基準ノードから地理的位置データを受け取ることと、参照基準ノードの環境フィールド装置の1つ又は複数から統計情報を受け取ることと、統計情報と地理的位置データを、通信可能にホストに取り付けられているベースノードに対してワイヤレスで送ることと、また、ホストにて統計情報と地理的位置データを解釈し、統計情報と地理的位置データに基づいてワイヤレスネットワークの少なくとも1つの動作パラメータを調節するためにホストからベースノードに命令を送信して、その命令をベースノードから、フィールドノード装置に取り付けられている少なくとも1つのフィールドノードに送ることと、を含む。
【0044】
その他の利点及び特徴は、添付図面を参照しながら以下の詳述と独立請求項を参照することで明白となる。
【0045】
本開示内容のより完全な理解を得るためには、添付の図面により詳細に図示され、上に一例として記載される実施形態を参照されたい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
図1は、(任意のタイプのパーソナルコンピュータ又はワークステーションでありうる)1つ又は複数のホストワークステーション又はコンピューター14に接続された、1つ又は複数のプロセスコントローラ12を含む、一般的な配線式分散型プロセス制御システム10を示す。また、プロセスコントローラ12は、入出力(I/O)装置20、22に接続され、各I/O装置20、22は、1つ又は複数のフィールド装置25〜39に接続される。コントローラ12は、一例として、Fisher−Rosemount Systems社の販売するDeltaV(商標)コントローラであり、例えばイーサネット(登録商標)接続40又は他の通信リンクを介してホストコンピュータ14に通信可能に接続される。同様に、コントローラ12は、例えば、標準的な4〜20mA装置及び又はフィールドバスもしくはHARTプロトコルなどの任意のスマート通信プロトコルと関連付けられた任意の所望のハードウェア及びソフトウェアを使用してフィールド装置25〜39に通信可能に接続される。一般に知られているように、コントローラ12は、それに格納又は関連付けられるプロセス制御ルーチンを実行又は監視し、任意の所望の方法にてプロセスを制御すべく装置25〜39と通信する。
【0047】
フィールド装置25〜39は、センサ、バルブ、トランスミッタ、ポジショナなどの任意のタイプの装置でありえる一方、接点端子群20及び22内のI/Oカードは、HART、フィールドバス、プロフィバスなど任意の所望の通信又はコントローラプロトコルに適合した任意のタイプのI/O装置でありうる。図1の実施形態において、フィールド装置25〜27は、アナログ回線上でI/Oカード22Aと通信する標準的な4〜20mA装置である。フィールド装置28〜31は、HARTに互換性を有するI/O装置20Aに接続されたHART装置として示されている。同様に、フィールド装置32〜39は、例えば、フィールドバスプロトコル通信を利用して、デジタルバス42又は44を介してI/Oカード20B又は22Bと通信する、フィールドバスフィールド装置などのスマート装置である。もちろん、フィールド装置25〜39及びI/Oカード群20及び22は、4〜20mA、HART又はフィールドバスプロトコルの他にも、任意の所望の標準若しくはプロトコル(将来的に開発されるであろうものも含む)に適合させることが可能である。
【0048】
コントローラ12の各々は、一般に機能ブロックと呼ばれているものを使用して制御法を実装するように構成され、各機能ブロックは制御ルーチン全体の一部(例えば、サブルーチン)であり、プロセス制御システム10内でプロセス制御ループを実行するように(リンクと呼ばれる通信により)他の機能ブロックと連動して動作する。通常、機能ブロックは、トランスミッタ、センサ又は他のプロセスパラメータ計測装置に関連する入力機能、PID、ファジィ論理などを実行する制御ルーチンに関連する制御機能、或いは、プロセス制御システム10内で何らかの物理的機能を実行するためにバルブなど何らかの装置の動作を制御する出力機能のうちの1つを実行する。もちろんこれらを混合したハイブリッドやその他のタイプの機能ブロックも存在する。これらの機能ブロック群は、モジュールと呼ばれる。機能ブロック及びモジュールはコントローラに格納され、コントローラ12により実行されうるが、これは、これらの機能ブロックが標準的な4〜20mA装置及びいくつかのタイプのスマートフィールド装置用に使用される又はそれらに関連付けられる場合、或いはフィールドバス装置の場合のようにフィールドノード装置自体に格納され、それにより実行されうるような場合に通常該当する。図1の制御システム10は機能ブロック制御法を用いた状態で示されているが、制御法は、ラダー論理、シーケンシャルフローチャートなどをはじめとする他の仕様を利用し、且つ任意の所望の独自仕様又は独自仕様によらないプログラミング言語を使用して、実装或いは設計しうる。
【0049】
図1についての説明より明らかなように、ホストワークステーション14とコントローラ12との間の通信、及びコントローラ12とフィールド装置25〜39との間の通信は、HART、フィールドバス及び4〜20mAの配線式通信接続のうちの1つ又は複数を含む、配線式通信接続により実施される。但し、上述のように、信頼性が高く且つ設定や構成が簡単で、オペレータや他のユーザがワイヤレスネットワークの機能を分析又は観察できるようにするなどの方法によって、図1のプロセス環境内の配線式通信接続をワイヤレス通信に置換したり、ワイヤレス通信を増設したりすることが望ましい。
【0050】
図2は、図1に示される異なる装置間の通信、特に、図1のコントローラ12(又は関連するI/O装置22)とフィールド装置25〜39との間、コントローラ12とホストワークステーション14との間、或いはホストワークステーション14とフィールド装置25〜39との間で通信を確立するために利用できるワイヤレス通信ネットワーク60を示す。尚、図2のワイヤレス通信ネットワーク60は、プロセス工場やプロセス環境におけるその他任意のタイプの装置(又は一式の装置)の間で通信を確立させるために利用できる。
【0051】
図2の通信ネットワーク60は、1つ又は複数のベースノード62、1つ又は複数の中継器ノード64、1つ又は複数の環境ノード66(図2中、ノード66a及び66bとして図示)、1つ又は複数のフィールドノード68(図2中ノード68a、68b、68cとして図示)を含む様々な通信ノードを有する状態で図示されている。一般に、ワイヤレス通信ネットワーク60のノードは、網目状タイプの通信ネットワークとして動作する。網目状タイプの通信ネットワークでは各ノードが通信を受け取り、その通信の最終目的地点が当該ノードであるか否かを判断し、該通信の最終目的地点が当該ノードでない場合には、通信範囲内にある任意の他のノードに対し通信を再生又は転送する。周知の如く、網目状ネットワーク中の任意のノードは、ネットワーク内の通信を転送する範囲で、その他のノードと通信しうる。また、特定の通信信号が所望の目的地点に到着する前に、複数のノードを通り抜けるようにしても良い。
【0052】
図2に示されるように、ベースノード62は、例えば、図1の任意のホスト又はワークステーション14でもありうるワークステーション又はホストコンピュータ70を含む、又はこれらに通信可能に連結される。ベースノード62は、イーサネット(登録商標)接続72を介してワークステーション70にリンクされた状態で図示されているが、その代わりに他のいかなる通信リンクを使用しても良い。以下より詳しく説明される如く、ベースノード62は、ネットワーク60上でワイヤレス通信を達成するためのワイヤレス変換ユニット又はワイヤレス通信ユニット74、及びワイヤレストランシーバ76を含む。具体的に、ワイヤレス変換ユニット74はワークステーション又はホスト70から信号を取り出し、これらの信号を、トランシーバ76のトランスミッタ部を介してネットワーク60上に送信されるワイヤレス通信信号に符号化する。逆に、ワイヤレス変換ユニット74は、トランシーバ76の受信部を介して受け取った信号を復号化し、その信号がベースノード62aに向けられたものか否かを判断する。信号がベースノード62aに向けられたものである場合、信号を更に復号化してワイヤレス符号化を完全に取り除く。これにより、ネットワーク60内の異なるノード64、66、68において、送信者により作成された元の信号が生成される。
【0053】
当然のことながら、中継器ノード64、環境ノード66及びフィールドノード68を含む他の通信ノードの各々も同様に、ワイヤレス網目状ネットワーク60を介して送信された信号を符号化、送信且つ復号化するための通信ユニット74とワイヤレストランシーバ76とを含んでいる。通信ネットワーク60内の異なるタイプのノード64、66、68はいくつかの重要な点で異なる一方、これらのノードの各々は一般に、ワイヤレス信号を受け取り、その信号が当該ノード(又はワイヤレス通信ネットワーク60外で当該ノードに接続された装置)に向けられたものか否かを判断するのに十分な程度に該信号を復号化するように作動し、信号が当該ノードに向けられたものでなく以前に当該ノードにより伝送されたことがない場合、信号を再生又は再伝送する。このようにして、信号が、発信元であるノードからワイヤレス通信範囲内の全ノードに送信され、目的地点として指定されていない範囲内の各ノードがその後当該ノードの範囲内にあるその他のノードの全てに該信号を再伝送し、その他のノードの少なくとも1つの範囲内のノードの全てに信号が伝播されるまでプロセスが継続する。
【0054】
但し、中継器ノード64は、通信ネットワーク60内の信号を単にリピートすべく動作する。これにより、中継器ノード64を通じて第1のノードから第2のノード62、66、68に信号を中継する。基本的に、2つの異なるノードが相互に直接のワイヤレス通信範囲にない場合或いはない可能性がある場合に、2つの異なるノード間で信号を確実に伝播させることができるようにするために、中継器ノード64が2つの異なるノード間のリンクとして機能する。中継器ノード64は、通常、他の装置とノードでつながれないため、受信した信号が以前中継器ノードにより再生された信号であるかどうかを(すなわち、信号が以前当該中継器ノードにより送られ、通信ネットワーク60における異なるノードの再生機能により、当該中継器ノードで再度受け取られただけであるかを)判断するのに十分な程度に、該受信した信号を復号化するだけで良い。当該中継器ノードが特定の信号を以前に受け取っていない場合、中継器ノード64は、単に中継器ノード64のトランシーバ74を介してこの信号を再生するように動作する。
【0055】
他方、各フィールドノード68は、通常プロセス工場環境において1つ又は複数の装置と連結され、図2のフィールド装置80〜85として示される1つ又は複数のフィールド装置と連結されるのが一般的である。フィールド装置80〜85は、任意のタイプのフィールド装置であり、例えば4線式装置、二線式装置、HART装置、フィールドバス装置、4〜20mA装置、スマート装置又は非スマート装置などとすることができる。説明のため、図2のフィールド装置80〜85は、HART通信プロトコルに適合するHARTフィールド装置として示されている。装置80〜85は、例えばセンサ/トランスミッタ装置、バルブ、スイッチなどの任意のタイプの装置でありうる。それに加えて、装置80〜85には、コントローラ、I/O装置、ワークステーション、或いは他の任意のタイプの装置など、従来のフィールド装置以外の装置を使用しうる。
【0056】
いずれの場合も、フィールドノード68a、68b、68cは、フィールド装置80〜85との間で通信を送信及び受信するために、めいめいの各フィールド装置80〜85に取り付けられる信号線を含む。もちろん、本実施例において、これらの信号線はHART装置である装置80〜85に直接接続されうるし、フィールド装置80〜85に既に取り付けられている標準的なHART通信線にも直接接続されうる。フィールド装置80〜85はフィールドノード68a、68b、68cに接続される他、所望により図1のI/O装置20A又は22Aなどの他の装置や、配線式の通信線を介してその他任意の所望の装置に接続されうる。また、図2に示すように、いかなる特定のフィールドノード68a、68b、68cも、複数のフィールド装置(図中、4つの異なるフィールド装置82〜85に接続されたフィールドノード68cに関連し図示)に接続されていて良く、各フィールドノード68a、68b、68cは、各々が接続されるフィールド装置80〜85との間で信号を中継しうる。
【0057】
通信ネットワーク60の動作の管理を補助する目的で、環境ノード66が使用される。この場合、環境ノード66a及び66bは、通信ネットワーク60内で発生するワイヤレス通信に影響を与えうる湿度、温度、気圧、降雨量、RF暗騒音、或いはその他の任意の環境パラメータなどの環境パラメータを測定する装置又はセンサ90〜92を含むか、該装置又はセンサに通信により接続される。以下詳細に説明されるように、ワイヤレス通信に対する多くの妨害は、少なくとも部分的に環境条件に起因するものであることから、こうした情報は、通信ネットワーク内の問題を分析及び予測する際に役立つ。必要に応じて、環境センサ90〜92は、任意の種類のセンサ、例えばHARTセンサ/トランスミッタ、4〜20mAセンサ、又は任意の設計もしくは構成のオンボードセンサでありうる。各環境ノード66a、66bは、1つ又は複数の環境センサ90〜92を有してもよく、また異なる環境ノードは、所望により同一又は異なるタイプ又は種類の環境センサを有しても良い。同様に、必要に応じて、1つ又は複数のノード66a、66bは、周囲の、特に通信ネットワーク60で信号を送る周囲の電磁ノイズレベル(特に通信ネットワーク60で信号を送る周波数における該電磁ノイズレベル)を測定するために、電磁気による周囲騒音計測装置93を有しうる。もちろん、通信ネットワーク60においてRFスペクトル以外のスペクトルが使用される場合、1つ又は複数の環境ノード66に異なるタイプのノイズ測定装置が含まれるようにしても良い。更にまた、図2の環境ノード66は環境測定装置又はセンサ90〜93を含んだ状態で示されているが、通信ネットワーク60の動作を分析する際に分析ツールが環境条件を各ノードで判断できるように、その他の任意のノード68もこれらの測定装置に含まれうる。
【0058】
図2の通信システム60を用いると、ワークステーション70上で作動するアプリケーションは、ベースノード62の標準的なコントローラ75上のワイヤレスベースカード74にデータパケットを送り、ワイヤレスベースカード74からワイヤレスデータパケットを受け取ることができる。このコントローラ75は、例えばDeltaVコントローラでありえ、イーサネット(登録商標)接続を介してDeltaVコントローラに対して行われる、標準的なI/Oカードの場合と同じ通信を行うことができる。I/Oカードはこの場合ワイヤレスベースカード74でありうるが、コントローラやPCアプリケーションに関する限り、標準的なHART・I/Oカードとして認識されうる。
【0059】
この場合、ベースノード62にあるワイヤレスカード74はワイヤレス伝送用にデータパケットを符号化し、ベースノード62としてのトランシーバ76が信号を送信する。図2では、伝送された信号が、ノード68a及び68bなどのフィールドノードのいくつかに直接到達しうるし、中継器ノード64を介してノード68cなどの他のフィールドノードに伝播されうることを示している。同様に、フィールドノード68で生成され、フィールドノード68により伝播される信号は、ベースノード60や他のフィールドノード66に直接到達しうるし、ベースノード62に伝送される前に中継器ノード64などの他のノードや他のフィールドノードを介して伝送されうる。したがって、ワイヤレスネットワーク60上の通信経路は中継器ノード64を通過してもしなくても良く、またいかなる特定の場合において、目的地点のノードに到着する前に数多くのノードを通過しうる。送信ノードがベースユニット62から直接通信できる範囲内にある場合、送信ノードはデータを直接交換する。パケットが中継器ノード64を通過するか否かは、エンドユーザにとって、又はカードファームウェアにとってさえも完全に透過的である。
【0060】
尚、図2は概略線図であり、フィールドノード68a〜68cに対する環境ノード66a、66bの位置関係は、実際のプロセス制御区域内の実際の位置関係とは関連しない。環境ノード66a、66b(及び図示しない他の環境ノード又は単一の環境ノード)はむしろ、図7に示すような論理的、戦略的方法でプロセス制御区域に配置されることを意図している。すなわち、環境ノード66は、大きな障害物及び装置類の対向端や、移動中の車両からの干渉が存在しうる道路の付近など、相互に離間された位置に配置する必要がある。また、環境ノードは可能であれば、屋内と戸外の両方に配置するべきである。環境ノード66のネットワークは、ワイヤレスネットワーク60の動作を監視し、信号強度、ゲイン、周波数などを増大又は減少させることでネットワーク60の動作を修正変更する手段として、ベースノード62及びホスト70により利用されることを意図するものである。
【0061】
尚、フィールドノード68は各種プロセスステーション上に、若しくはその付近に配置される。ノード68は重要な安全装置でありうるし、各種プロセスを監視及び又は制御するために使用されうる。更に、1つ又は複数の中継器ノード64が利用されうる。実際、図2は一例に過ぎず、1つの環境ノード66のみが必要とされること、1つ以上の中継器ノード64が必要とされること、あるいは中継器ノード64が必要とされないこと、3つ未満もしくは4つ以上のフィールドノード68が必要とされること、と定めうる。
【0062】
図3及び図4を参照すると、図2のワイヤレスネットワーク60は、網目状通信モードと二地点間通信モードとの間で相互に切り替える必要がある場合もあることが予測される。図3は、中継器ノード102a、102b、102cと通信するベースノード101を備えたネットワーク100を示す。中継器ノード102a〜102cは、更に、包括的に参照番号104で示される複数の又は一群の環境ノード、フィールドノードのいずれか、もしくはこれらのうち2つを組合せたものと通信する。図3では、二地点間ワイヤレス通信システムは実線で、代替の網目状構成は破線で示されている。
【0063】
図4を参照すると、ワイヤレス及びトランシーバ(図示せず)の他、ベースノード101に配置されうるスイッチ装置105が概略図で図示されている。スイッチ105は、ネットワーク100を、図3に想像線で示される網目状ワイヤレスネットワークから、一例として図3に実線で描かれる二地点間ワイヤレスネットワークに変換するためのものである。二地点間通信はいかなる方法においても構成でき、図3の実線はあくまで一例に過ぎない。図4に示されるようなスイッチ装置105は、網目状ワイヤレストランシーバ76aと二地点間ワイヤレストランシーバ76bとの間で装置105を切り替える、電子スイッチ要素106を含みうる。
【0064】
上記の如く、開示のネットワーク60は、オペレータにとって有用な様々なグラフィックインターフェースを提供すべくプログラム可能なホスト70と、ベースノード62とを含む。このようなグラフィックインターフェースの例が、図5〜図9に図示されている。図5を参照すると、ベースノードBAと複数の他のノードとの間のワイヤレスネットワーク及び、図5中03、04、05、06、07、08、09、10(0A)、11(0B)の参照番号で表記される1つ又は複数の中継器ノード、フィールドノード、環境ノードでありうるその他のノードとを図示する幾何学的トポロジ画面表示110が示されている。図5のトポロジ表示110では、ベースノードBAとノード7との間の通信のように、2つのノード間の良好な通信は実線で示している。図中、正常に作動する一方向のみの通信が×印を付した細線で示されている。該正常に作動する一方向のみの通信の一例としては、ノード03と10(0A)との間の通信が挙げられる。一方、正常に作動していない通信は、破線又は想像線で示されている。該正常に作動していない通信の一例としては、ノード05と11(0B)間の破線で図示される通信が確立されていない通信線が挙げられる。また、図5には、ノード間の「ホップ数」が示されている。ノード04及び07を例にとると、図5のノード04と07との間の破線又は想像線により、ノード04と07との間には直接のワイヤレス通信が確立されていないが、ノード04と05との間には通信が確立され、ノード05と07との間には一方向通信が確立されていることが分かる。したがって、ノード04と07との間で一方向通信を成立させるためのホップ数は、2である(ノード04からノード05、及びノード05からノード07)。或いは、ノード04と07との間で双方向通信を成立させるためのホップ数も2である(ノード07からノード03、及びノード03からノード04)。ホップ数が少ないほど、より良好で信頼性の高い通信が提供できることは明らかである。
【0065】
図5に示されるネットワーク用のホップ数が、図6に表形式で示されている。図5中10及び11の番号が付いているノードは、図6では0A及び0Bと表示されている。ベースノードBAはノード03〜0Bと直接通信し、このためベースノードBAと03〜0Bのうち任意の1つとの間のホップ数が1であることが、図6の表の最上行に示されている。尚、図6の表の2番目の行を見ると、図5のノード03から破線が出ていないことから、ノード03とその他任意のノードとの間のホップ数も1であることが分かる。但し、図6の表の3番目の行及び図5を参照すると、ノード04はノード04とノード07との間に伸びる破線を含み、故にノード04とノード07との間の直接の通信は不可能であることが分かる。したがって、ノード04をノード07に接続するため、ホップ数は2となるように、通信が先にノード05を通過する。更にまた、図5のノード04とノード09との間に×印を付した細線があるため、ノード04とノード09との間の直接の双方向通信は不可能である。よって、ノード04とノード09との間の直接の双方向通信を確立するため、通信は、図6の表に示されるようにノード08を通過しなくてはならない。図6中、丸で囲まれたエントリ項目は全て、ホップ数が2であることを示す。
【0066】
図7を参照すると、図5に示されるものと同様のトポロジマップが、実際のプロセス環境上に重ね書きされた状態で示されている。具体的には、点印の各々は、図5に示され且つ図6の表に記載される9つからなるめいめいのノードの位置である。オペレータは、図7の表示により、実際の作動環境を背景とするワイヤレスの接続性を見ることができる。グローバルポジショニングシステム(GPS)参照基準点は、111、112で示されており、ノード間の実際の距離が決定できる。
【0067】
図8を参照すると、フィールド装置80〜85及び90〜93は、ベースノード62又はホスト70によって標準的なHART装置として認識されうる。これにより、AMSソフトウェアなどの標準的なアプリケーションがワイヤレスネットワーク60上でシームレスに動作できるようになる。AMSソフトウェアを利用するには、ワイヤレスフィールドノード66及び68がメッセージをどの経路で送るのかを知る必要がある。これは、図8に示すような経路指定マップ120を利用することで可能となる。このマップ120は、ベースユニット62の不揮発性メモリに格納されるが、ホスト70のメモリにも格納されうる。実際の経路指定には、8チャネルのHARTカードと同一のベースカードを組み込むことにより得られる利点を利用する。次いで、経路指定ツールが、8つのバーチャルHARTチャネルを遠隔フィールドノード及び遠隔フィールドノードのチャネルにマッピングする。図8は、8つの異なる装置についてのマッピング構成を示す図である。各フィールドタイプのワイヤレスノードは、4つの異なるHARTチャネルを含みうる。但し、フィールド装置は、固有のIDを1つ備えることになる。実際のターゲットチャネルは、ワイヤレスパケットに埋め込まれる。ワイヤレスユニットごとの各IDは、2つのバイトに基づいている。第1のバイトはネットワーク番号であり、ワイヤレスインタフェースにおける実際のラジオチャネルと相関する。第1のバイトの数は、1から12の範囲で示すことができる。第2のバイトは、ネットワークにおけるノードの識別情報であり、1から15の範囲で示すことができる。ノードが初めて初期化される場合の既定アドレスは、010Fである。この010Fは、ネットワーク1、アドレス15、という意味である。このアドレス指定方式の例外としては、ベースユニットが挙げられる。ベースユニットは、第1のバイトとして常にBAを有し、第2のバイトがどのネットワークに装置があるかを表す
図9を参照すると、ホスト70(図1)に表示するための他のグラフィック表示130が示されている。図9では、時系列がx軸上にプロットされている4つのグラフが、縦に配列された状態で示されている。一番上のグラフ131は、システム全体の総ホップ数をプロットしたものである。総ホップ数平均は、グラフに示すように約72もしくはそれよりやや少ない。ホップ数が増加すると、オペレータに警告がなされる。図9中の他のグラフには、図2に示される環境ノード66からの環境情報が提供される。グラフ132は大気圧の読取り値、グラフ133は湿度の読取り値、グラフ134は動作周波数帯内の全体的なRF暗騒音の読取り値を提示する。図9に示されていない他の環境指標としては、例えば温度及び降雨量が挙げられる。
【0068】
図10を参照すると、図2に示される装置80〜85の多くがHARTフィールドノード装置であると考えられ、故に、フィールドノード68はHART信号を中継器ノード64に送信するか、もしくは変換ノード140に直接送信することになることが分かる。尚ここで、図10に示される実施形態において、変換ノード140はベースノード62とは別体の要素でありうるし、ベースノード62の一部を構成しうる。HART信号は、図示されるように環境ノード66から送られうる。変換ノード140は、HART信号を異なるプロトコル、例えば、低電力ワイヤレスネットワーキングソフトウェア及びラジオ無線技術と共に用いられるEMBER(登録商標)プロトコルなど、に変換するためのソフトウェアを含む(http://www.ember.com/を参照のこと)。もちろん、その他のプロトコルも利用可能であることは当業者には明白である。変換ノード140は、参照番号141の点でHART信号をEMBERデータパケットに変換する。データパケットは、ベースノード62又は変換ノード140のいずれかにおいて、ソフトウェアにより決定される送信元指標142及び送信先指標143を含む。HARTメッセージ144は、送信元データ142と送信先データ143との間に挟まれる。次いで、信号が経路指定ノード145に送られ、経路指定ノード145は送信先情報143から、どのオブジェクト装置146にデータを送るかを決定する。次いで、経路指定ノード145は、1つ又は複数の中継器64及び又はフィールドノード68を介して、オブジェクト装置146にデータを送信する。ある1つのプロトコル(HART)から他のプロトコルへフィールド装置信号を変換するのに使用しうるタイプのソフトウェアの一例として、Acugen社の販売するGTSソフトウェア(http://www.acugen.com/jts.htm)が挙げられる。
【0069】
一般的に、プロセス制御環境については、スマートバルブなどのフィールド装置の初回設置及び常置場所に関してはあまり動的でないと言える。したがって、フィールド装置に取り付けるワイヤレスノードの初期構成を、フィールド装置の初期設置位置に基づいて決定することが可能である。尚、このようなノードの構成はワイヤレスノードにダウンロードできる。市場で販売されているワイヤレスノードのほとんどが、経路指定表や送信電力レベルの設定を含む複数の異なる構成設定をサポートしているので、位置の改訂、経時的に行われるRFノイズシグネチャにおける変更、又はその他の環境決定因子に基づいて、
初期構成設定を経時的に更新しうる。
【0070】
ワイヤレスノード及びネットワークの構成設定を決定する際の様々なワイヤレスノードの位置に関する情報を利用する通信ネットワーク60の他の実施形態が、図11に示されている。特に、図11は、同じ参照番号が付いているネットワーク60の構成素子と類似する構成素子を備えつつ、改造されたワイヤレス通信ネットワーク200を示す。改造済ワイヤレス通信ネットワーク200は、その他の複数のノードに対する参照基準ノード210の地理的位置を決定するために使用されうる地理的測位装置を含む、参照基準ノード210を含んでいる。また、通信ネットワーク200は、1つ又は複数のベースノード62、1つ又は複数の中継器ノード64、1つ又は複数の環境ノード66(図11中、参照番号66a,66bとして図示)、及び1つ又は複数のフィールドノード68(図2中、ノード68a、68b,68cとして図示)を含みうる。これらのノードの機能は、上記図2に関する説明においてより詳細に記載されている。
【0071】
参照基準ノード210は、例えば携帯型装置などの携帯型ノードであればよく、ワイヤレス通信ネットワーク200中の様々な位置に置くことが可能である。参照基準ノード210は、通信ネットワーク200に位置する様々なワイヤレスノードの1つ又は複数と通信するために使用されうるトランシーバ212と、参照基準ノード210に地理的測位信号を提供するサテライトと通信するために使用されうる地理的測位システム(GPS)トランシーバ214とを含みうる。参照基準ノード210上の地理的測位装置214は、参照基準ノード210及び通信ネットワーク200中のその他の通信ノードの1つ又は複数の位置を決定するために使用されうる。参照基準ノード210上の電力設定装置216は、ネットワーク200中のその他の通信ノードの1つ又は複数の構成設定を決定するために使用されうる。
【0072】
尚、例示される通信ネットワーク200の実施形態においては、地理的測位装置214と電力設定装置216とが参照基準ノード210上に置かれているが、他の実施形態においては、地理的測位装置214と電力設定装置216とを、通信ネットワーク200上の幾分他の位置、例えば、ベースノード62などのホスト70用の他のノード、中継器ノード64、又はその他のノード66、68のいかなるものなど、に置くようにしても良い。参照基準ノード210が、より新しいソフトウェアと簡単に置換又は更新されうる携帯型ノードなどでありうることから、参照基準ノード210に地理的測位装置214及び電力設定装置216を置くようにした方が有利となりうる。
【0073】
地理的測位装置214は、参照基準ノード210のメモリに格納されたGPSプログラムにより実施されうる。このようなGPSプログラムは、参照基準ノード210の位置が変更される度に作動するようにしても良い。或いは、このようなGPSプログラムは、参照基準ノード210の座標を決定する所定間隔ごとにGPSサテライトに登録しうる。いくつかの実施例において、参照基準ノード210は、自動GPS登録をオーバーライドすべくマニュアル制御も提供しうる。更に、その他のノードと通信リンクを確立する際、参照基準ノード210のGPSプログラムは、GPSサテライトに登録するための状態、頻度などを設定するように遠隔制御可能にしても良い。また、当該の制御は、例えば、参照基準ノード登録をその他のノードに同期化すること、又は参照基準ノード登録を処理環境に既存するプロセスと同期化することを含みうる。
【0074】
電力設定装置216は、参照基準ノード210のメモリに格納されたプログラムにより実施されうる。電力設定装置216は、地理的測位装置214からのGPS信号に基づいて参照基準ノード210の地理的位置を決定可能でありうる。更に、電力設定装置216は、参照基準ノード210のセンサ機器218から信号を受信するように連結される。センサ機器218は、例えば参照基準ノード210でのRFノイズレベルを測定できるRFノイズ測定装置でありうる。RFノイズ測定装置の実施例では、センサ機器218からのデータに応答して、電力設定装置216が、RFノイズレベルの変更に対抗するためのフィールドノード、ベースノード、及び又は参照基準ノードのRF電力設定を決定しうる。このような情報は、電力設定表に又は該メモリ中の他の形式で記録され、次いで、電源ポリシを設定するためにネットワーク200のノード(ベースノード、フィールドノード、参照基準ノードなど)の各々に通信しうる。
【0075】
いくつかの実施例では、電力設定装置216は、参照基準ノード210からその他のノードへの距離を測定し記録するように適応される。距離は、地理的測位装置214のGPSデータから抽出されうる。電力設定装置216は、複数の位置の各々で測定されたRFノイズレベル及びノード間の距離に基づいて、参照基準ノード、ベースノード、フィールドノードなどの最適位置を決定しうる。
【0076】
また、電力設定装置216は、切替え装置105などのネットワーク設定スイッチの機能性を提供しうる。例えば、電力設定装置216は、複数の位置の各々で測定されたRFノイズレベルと各位置同士の距離に基づいて、ネットワーク200上のノードが網目状通信ネットワークとして作動すべきか、二地点間通信ネットワークとして作動すべきかを決定しうる。
【0077】
RFノイズ測定装置218は、動作中に事前設定又は調節可能なある期間を通じてRFノイズレベルを決定するようにプログラムされうる。電力設定装置216は、長期にわたり収集されたRFノイズレベルデータに基づいて、ネットワークのノードのトランシーバの電力設定を調節するようにプログラムされうる。例えば、RFノイズレベルの実際の又は予測された変更に対する補正を行うために、一日を通して、又は週末などに各ノードの電力設定を調節しうる。すなわち、いくつかの実施例において、RFノイズ測定装置218は、以前に記録されたRFノイズレベルデータに基づいてRFノイズ予測機能をもたらすように適応されうる。予測機能によって、例えば毎日、日の出時刻に生じるRFレベルの増加を予測しうる。日の出時刻は年間を通じて変化するが、RFデータ収集ウィンドウ(時間枠)を延長することにより、予測機能を用いて毎日何時に日の出が期待されるかを更に予測することが可能である。もちろんこれは一例であり、測定されたRFレベルの変更に相互関連する可能性のある任意の数のパラメータに基づいて、RFレベルを予測するようにも予測機能をプログラムしうる。予測値は、いかなる時間測定単位(例えば、時刻、曜日、日にちなど)にも基づきうる。
【0078】
いくつかの実施例では、特定の処理作業と共に開始するクロックに基づいたタイム値など、特定のイベントに同期した又はトリガされるタイム値に、予測値が基づきうる。処理環境において、例えば、装置の停止又は定期修理などの特定のイベントは、予知できる様態でRFノイズレベルのパターンを変更しうるが、これらの変更のタイミングは、必ずしも特定の時刻、週、月などに相互関連するものではなく、イベントのタイミングに相関する(よって、それに基づく)。
【0079】
RFノイズについては実施例において既述されているが、測定装置218は、温度、大気圧、湿度及び降雨量用のセンサをはじめとする上記されるような環境ノードのセンサ装置などの複数のセンサ装置を含みうる、或いは、測定装置218は、これらのセンサ装置の任意の1つを含みうる。このようなセンサからのデータは、ネットワーク中の様々なノードでトランスミッタの電力レベルを、例えばRF周囲騒音の計測に基づいて、設定するのに使用されうる。いくつかの実施例において、センサデータは、ワイヤレス通信システム用の経路指定表を設定するために使用され、それにより、ノード群を確立し、且つワイヤレス通信システム中のノードからの径路を指定しうる。もちろん、センサからのデータは、RF計測と無関係な決定制御にも使用されうる。
【0080】
図12は、ネットワーク200において使用される、様々なトランシーバの電力設定を決定するための電力設定プログラム250のフローチャートを示す。装置212〜218の場合と同様、電力設定プログラム250は、ネットワーク200のいかなるノード上においても実装されうる。一実施形態において、電力設定プログラム250は、電力設定装置216上で、参照基準ノード210に設置されたセンサ機器218及びGPSトランシーバ214と連動して実施しうる。説明のため、図13〜図17を参照してプログラム250を説明する。
【0081】
ブロック252は、工場内の異なる処理位置やユニットなどを同定する工場レイアウトマップの初期取込みを行う。図13は、ラベルで標識された様々な位置を含む例示的な工場レイアウトマップ254を示す。次いで、ブロック252は、一連のGPS参照基準点により定義されGeo1、Geo2、Geo3及びGeo4とマーキングされた、周知又は測定可能な経度、緯度、標高座標を有するGPS座標系に、工場レイアウトマップを相互関連付ける。図13に示される如く、ネットワーク上のノード、RFノイズレベル及びノード間の距離に関して最適位置を測定する目的で参照基準ノードを配置しうる範囲内で、これらのGPS参照基準点は限界線を設定しうる。
【0082】
ブロック256は、取込まれたレイアウトデータと定義されたGPS座標を用いて、様々な参照基準ノード(BA、01、02、03、04、05、06、08、09、BA、11及び12とラベル標識されたノードなど)のジオリファレンス処理を開始する。ブロック256は、GPSトランシーバを通じて一度に1つのノードをGPSサテライトに登録しうる。ブロック256は、参照基準ノードの現位置及びネットワーク中その他残りのノードとの間の距離を決定するために、GPSサテライトから受信したGPSデータをその他のノードからの記憶データと比較しうる。或いは、その他のノードからの測定信号の強度及び逆二乗の法則に基づいて、ノード間の距離を決定するようにしても良い。例えば、伝送された信号についての符号化ノード識別子情報の使用によって、異なる伝送時間窓を割り当てられている異なるノードを通じて、又はその他の技法を用いて、定期的にノード特有の識別子を伝送するように各ノードをプログラムしうる。トランシーバ212は、信号を受信し、例えば復号化又は時分割識別方式を通じてソースノードを識別し、信号の強度を測定しうる。また、測定された信号の強度に基づいて、参照基準ノード210と伝送ノードとの間の距離が決定されうる。
【0083】
図14は、プログラム250から生成されうるものであり、ネットワーク上のノード間の距離を一覧する表形式を示す。
【0084】
いったん登録されると、ブロック258は、参照基準ノード210でのRFノイズレベルを測定し、参照基準ノード210にて当該データを局部的に記録しうる、及び又は、機械70などのホストマシンにて集中的記録を行うために当該データを伝送しうる。
【0085】
参照基準ノードが環境条件センサを含んでいる場合、ブロック260は当該条件を測定し記録する。図12中で例示的な参照基準ノード210内に図示されるその他の機能的制御ユニットの場合、同様に、環境センサが参照基準ノード外部、例えばネットワーク内の環境ノード、に配置されうる。ここから、ブロック262は、更なる参照基準ノード観察が計測されるべきかどうかを判断する。その場合には、プログラム250はブロック256に戻る。一度に1つのノードだけのジオリファレンスを測定するようにブロック256がプログラムされていれば、ブロック262は、残存するノードのいかなるもの(例えば、図13のノードBA又は01〜12)のジオリファレンス処理を行わなければならないかどうかを判断できる。更なる観察が必要ではないと判断されると、プログラム250はブロック264に制御を受け渡す。
【0086】
ブロック264は、ネットワーク上のノードの電力設定を開発するべく、ブロック256〜260で測定されたデータに基づいて電力設定表を決定する。ブロック264は、ブロック264でブロック258のデータから決定された実際のRFノイズレベル、又はRFノイズ予測機能に基づいて当該の電力設定を開発しうる。また、ブロック264は、ネットワーク構成タイプ、例えば網目状通信ネットワーク又は二地点間構成ネットワーク、を決定しうる。
【0087】
ブロック264は、ネットワークの動作上の影響を測定しながら、総括的に又は個々に、各ノードにて選択的に出力電力を調節する電力設定アルゴリズムを実行しうる。例えば、ブロック264は、結果的に得られるネットワーク用合計ノード数と合計ホップ数を測定しながら、同時に当該ノードでの出力電力を循環させうる。また、これらの合計値をその他の電力設定で測定された合計値と比較し、ネットワークの許容カバレージエリア及び最小合計ホップ数での最適電力設定を決定するようにしても良い。工場レイアウトの特定領域の優先度を他の領域よりも高くし、要望に応じて異なる電力設定における比較を重要視するようにしても良い。これらの比較から電力設定表が作成される。ブロック264は、電力設定前に、電力設定中に又は電力設定後に、ワイヤレス通信ネットワークの所望のネットワーク径路を反映して経路指定表を決定しうる。上記のものは、ブロック264により実行されうる指示の例示的な記述である。ブロック264は、電力設定表及び経路指定表を形成又は修正変更すべく、その他のアルゴリズム及び技法を使用して実施されうる。
【0088】
これらブロック264からの決定は、ブロック266によりネットワークのノードに通信される。例えば、環境条件が、遠隔ノード上の測定機器(参照基準ノード210又は環境ノード66など)により測定されると、ベースノードなどの集中コントローラステーションにある電力設定装置は次いで全ノードの電力設定表を計算し、よって所定の時間窓全体にわたる電力レベル及び電力レベルの変更を識別しうる。プログラム250を介したネットワークの初期化後、集中コントローラはブロック266を通じて、計算された電力設定表を局部記憶及び電源制御するためにノードの各々に通信しうる。
【0089】
ここに示される実施例において、ブロック264は電力設定表に加えて経路指定表を計算する能力を有しうる。経路指定表経路は、ジオリファレンス処理されたノードの中から、より具体的には各ノードから他のノードのそれぞれへの可能径路の中から、ネットワーク群を定義する。コントローラは、ノード群のネットワーク構成(例えば、網目状又は二地点間通信)を識別し設定しうる。これは、測定されたRFノイズレベル又はその他の環境データ、電力設定及びノード間の測定距離、当該構成が経路指定表により識別されるかどうかに基づいて行われる。ブロック266は、局部記憶し且つワイヤレス通信に使用するために、計算された経路指定表を各ノードに通信する。
【0090】
図15は、工場レイアウトマップ254用に定義された、ネットワーク群の幾何学的トポロジ画面表示300を提供する。図13に示されるような各ノードのジオリファレンス処理後に、ブロック264は電力設定及び経路指定表を定義するにあたり、通信ネットワークの形成に向けて工場レイアウトマップ254の一部分である(図16に示される)群302を識別する。ここに示される実施例において、該群302は、網目状通信ネットワークにおいてノードBA、01、02、03、04、05、08、09及び12から形成される。ノード06及び11は、例えば網目状群302を形成するノードの少なくとも1つに信号を送信又は受信する能力を有することから、ブロック264によってネットワークから除外されている。図15の仕様において、暗色の太い実線は接続強度が高いノード間(例えば、ノード04と03間)の双方向直接接続を表し、×印を付した暗色の細い実線は接続強度が弱いノード間(例えば、ノード09と05間)の双方向直接接続を表し、更に細い暗色の実線は接続強度が高いノード間の一方向直接接続(例えば、ノード12と04間の片方向)を表し、そして、破線又は想像線は、接続が乏しい又は失敗したノード間(例えば、ノード04と05間)の直接通信を表す。
【0091】
群302の任意の2つのノード間において、信号が作成しなければならないホップ数を識別するトポロジコスト行列によって、群302は特徴づけられうる。図17は、群302のコスト行列400を示す。行列400は、行402及び列404に一覧されたノードとの考えうる全てのノード接続を示す。表の中には、2つのノード間で各接続に対して決定されたホップ数を反映する数が示されており、また、列404は伝送ノードを表し、行402は受信ノードを表す。例えば、表中、列404の指標08と行402の指標12を辿って交差させてみると、ノード08から送られノード12で受信される信号は、4つのホップを必要とすることが分かる。尚、値406には、実施例として示されるコスト行列400において4つのホップが必要であることが示されている。更に尚、2つのノードのいかなるものをとっても、送信経路は受信径路と異なりうることに注目されたい。伝播パターンの特徴は、局所的な環境ごとに特有でありうる。結果として、2つのノード間の経路は、送信源によって異なりうる。
【0092】
信号の強度及び一方向通信径路の存在によって、逆方向の径路のノード数、すなわち、受信側と送信側のノードが反対になった状態のノード数は異なりうる。行列400では、例えば列404中のノード12と行402中のノード08を辿って交差させると、値408にホップ数が2であることが示されているが、これにより、ノード12からノード08に伝送された信号は、2つのホップを経験することが分かる。
【0093】
一般にホップの数が少ないほど接続が強くなり、信号損失やビット失敗などの可能性が少なくなる。但し、多くの異なる環境においてはノード間信号強度の強弱が異なるため、はるかに強い複数のホップ径路が存在する場合は、それが理由で2つのノード間の単一の直通路でさえも丁度の理想的な径路を反映できない場合がある。これは、経路指定表及び電力設定表を確立する参照基準ノード又はベースノードの優先設定に依存する。
【0094】
このコスト行列400は、対応する経路指定表からの特定の値一式に基づく。ノード302の同一群は異なる経路指定表、よって異なるコスト行列を有しうる。すなわち、任意の所定数のノード対が多くの異なる接続可能性を有しうる間、行列400は単なる一例を表すに過ぎない。
【0095】
更に、ワイヤレス網目状ネットワークは、例えばRFノイズなどの環境設定に応じて調節されうる。RFノイズレベルの実際の又は予測される変化に応じて、ノードの経路指定表は、ネットワーク上の異なるノードへの異なる経路を確立するために再調節されうる。他の調整技法として、RFノイズの変更がRFノイズの増大(影響されるノードのトランスミッタ電力レベルの増大を示唆する)を反映するものであろうと、或いはRFノイズの減少(影響されるノードのトランスミッタ電力レベルの低下を示唆する)を反映するものであろうと、RFノイズの変化の補正するために遠隔ノードのトランシーバの電力設定を調節することが挙げられる。特に予測システムでは、RFノイズにより影響される経路の経路指定を再度行うことにより、又はタイムアウト又は停止時間を伴わずに電力設定を調節することにより、ネットワークのインテグリティを維持しうる。
【0096】
経路指定表の調節は、例えば、RFノイズレベルの変化を絶えず測定し、参照基準ノード又はその他のノードでRFノイズ測定装置を介して作動中に開発された経験的データに基づきうる。プログラム250が初期設定シーケンスを反映するのに対して、図18に示されるプログラム500は、動作中のRFノイズレベルの変化に応じて電力設定表及び又は経路指定表を調節するために使用しうる。工場レイアウトとジオリファレンス処理された全ノードが識別された上で、網目状又は二地点間ネットワークを形成する群と共に、参照基準ノード又はベースノードは、システム中のノードからRFノイズ更新データを受信しうる。更新データは、例えば、上述のような測定装置からの測定環境データを含みうる。ベースノードのような集中コントローラを伴う実施例では、このようなデータとホストコンピュータを絶えず又は定期的に更新するように遠隔ノードをプログラムしうる。或いは、環境データに変更が生じた際、例えば、RFノイズが特定のしきい値により変化した時にだけ通信するようにも遠隔ノードをプログラムしうる。また、参照基準ノード又はその他の遠隔ノードがネットワーク用のRF電力設定表及び経路指定表を調節するための制御ノードとして作動するような実施例においては、その他の遠隔ノードがこの遠隔制御ノードで電力設定装置と通信する。
【0097】
いかなる場合も、集中型又は分散型コントローラは、ブロック502で各遠隔ノードから環境データを受信する。遠隔ノードは、環境データと共に実際の電力レベル、時間及びその他のデータを伝送しうる。いくつかの実施例において、コントローラは、例えばコントローラがワイヤレス通信システムの初期電力設定を設定する時点で、実際の電力レベルと比較するための所望の電力レベルへのクセスを既に備えている。更に、タイム情報が送信された場合に、その情報が同期確認及び訂正目的に使用されうるように、コントローラ及び遠隔ノードが同期化されるべきである。ブロック504では、コントローラが、類似した変更が再発した場合の予測関数を決定するために、遠隔ノードからの更新データを分析する。ブロック504では、RFノイズ更新データに関して、何らかのパターン(毎朝日の出時刻にRFノイズが増加するなど)が存在するかどうかを判断するために、更新データが履歴に基づくRFノイズデータと比較されうる。
【0098】
ブロック504は予測関数を生成し、例えば、電力設定表を調節するために予測関数が使用されるべきかどうかを決定する上述のような電力設定装置などのブロック506に、その関数を提供する。例えば、影響される遠隔ユニットでのRF電力設定を増大又は低下させることにより、RFノイズレベルの変化が補正されうる、とブロック506にて決定されうる。ブロック508は、電力設定表への調節を行う。ブロック510は同様に、予測関数によって経路指定表自体が調節されるべきかどうかを判断し、また、ブロック512は経路指定表への調節を行う。ここに示される実施例において、プログラム500は、RF電力設定表及び経路指定表の両方を調節するように設定されうる。ブロック514は調節がなされたかどうかを判断し、ブロック516は調整されたデータ又はプログラム500の終了を伝える。
【0099】
ここで今説明された調節手順は、集中制御ノード上で達成されうる、或いは分散型状態において1つ又は複数の遠隔ノードで達成されうる。すなわち、初期の経路指定表及び電力設定は、各ノードにワイヤレスでデータを通信しうるベースステーションのホストコンピュータにより中心的に決定されうる。一方、経路指定表及び又は電力設定の調節(再最適化を含む)は、この中心的位置又はワイヤレス通信システム中の他の位置で行われうる。
【0100】
いくつかの実施例において、ベースノードは、複数の経路指定表及び電力設定を局部記憶及びアクセスするためにその他のノードに通信しうる。ベースノードは例として、通常の状態で使用される一次的経路指定表、及び非常状態で使用される二次的且つ三次的経路指定表を伝送しうる。例えば、ベースノードは、二次的な経路指定表を、ジェネレータのONされた時点で使用するために通信しうる。この際、経路指定表はベースノードからの指示に応じて初期化される。
【0101】
図19は、ワイヤレスネットワーク分析ツールにより作成され、様々なノードのRF周囲騒音レベルを示す例示的な画面表示400である。グラフ部分には、縦に並びあった4つのグラフが提供されており、水平軸上の時間を通じてそれぞれ測定されたものである。一番上のグラフ402は、接続を全費用のパーセントとして経時的にプロットしたものである。接続は、時間の関数としてネットワーク群用に、例えば合計ホップにて測定されたコストを反映しうる。残りのグラフは、異なるノードでのRFノイズレベル、又は工場レイアウトマップ254中のユニット位置をプロットしたものである。グラフ404は、ノード09で測定されたRFノイズレベルをプロットしたものである。グラフ406は、ノード08で測定されたRFノイズレベルをプロットしたものである。グラフ408は、ノード12で測定されたRFノイズレベルをプロットしたものである。グラフからも分かるように、RFノイズレベルの最大上昇は、ユニット12に見られる(最高プロット値はコスト値60.69)。ここに示される実施例では。RFノイズがプロットされているが、その他の環境データを代わりに表示しても良い。
【0102】
任意のユニットが制御を握っており、ノードごとの時間の関数として設定された例示的電力設定表600が図20に示されている。例示を目的として、表600は、電力設定の変更の結果であるタイムスロット602を含んでいる。全体表は、単位時間、例えば各30、15、10、5又は1分間、を繰り返して形成されたタイムスロットを含みうる。電力設定の変更は、電力設定装置からの分析の結果であり、長期間にわたり収集されたRFノイズデータに基づいている。例えば、午前5:30ごろ(任意の日の出時刻)のRFノイズレベルが、午前12:00〜午前5:30の間に電力設定604の40になり、午前5:30〜午前6:30にはより高い電力設定606の60に変化するといった具合に増加しているとして示されているが、ベースステーションノードBAは、このRFノイズレベルの増加に合わせて予測される。ここに示される実施例において、ノードBAでのRFノイズレベルは、例えば、諸従業員が朝一の作業開始前にユニットに到着し、全体的なRFノイズレベルを増加させる時点などに、この時間窓中にピークに達する。ノードBAの電力設定608は、次の時間窓中、RFノイズレベルの予測された小規模な降下を反映して55まで一定の比率で低下する。異なるノードの電力設定のその他の変更及び差異は、表からも明らかである。これらの電力設定は、最適の設定値を表しうる。つまり、最小電力設定の場合、ネットワークの全体にわたって全体的に使用されるホップ数が最小になることを意味する。
【0103】
図21及び図22は、図6に示されるものに類似し、ホップ数が2以下のノード群の経路指定表の実施例として挙げられるものを示す。図21は、一式目のRFノイズレベル下の第1の経路指定表700を示す。入口点702〜712を例外とし、一覧される全経路は単一ホップカウント経路である。入口点702〜712は、一方向におけるノード間で2つのホップを反映し、その伝送ノードは縦軸上に、受信ノードは水平軸上に反映される。図22は、当該同一の経路指定表をRFノイズレベルに応じて調節した後のものを、700’として標示して示したものである。2ホップ入口点のうち702、704及び708は変更せずそのままであるが、ここで706’、710’、及び712’とされる残りの2ホップ入口点は、遠隔ノードにおける測定又は予測RFノイズレベルの変更の結果、異なる経路指定路を反映するように変更されている。
【0104】
本発明を好適な実施形態を参照して説明したが、当業者であれば、本発明の精神と範囲を逸脱せずに形式及び詳細に変更を加えることができることを認識されよう。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】従来の配線式分散型制御システムを示す、ブロック図と概略線図とを組み合わせた図である。
【図2】本開示に従って設計されたプロセス環境の一部分におけるワイヤレス通信ネットワークを示す、ブロック図と概略線図とを組み合わせた図である。
【図3】網目状ワイヤレス通信と二地点間ワイヤレス通信の両方を示す、プロセス環境におけるワイヤレス通信ネットワークの図である。
【図4】図3の通信ネットワーク内において、網目状通信と二地点間通信との間を切り替えるために使用しうる、網目状通信及び二地点間通信両対応通信装置のブロック図である。
【図5】本開示に従って設計されたワイヤレス通信システム内における異なる装置間のワイヤレス通信を示す、ワイヤレスネットワーク分析ツールにより生成される、幾何学的トポロジ画面表示の一例である。
【図6】表形式で提示され、開示されたワイヤレス通信システム内における各ワイヤレス通信装置間のホップの数又はホップカウントを示す、ワイヤレスネットワーク分析ツールにより生成される、例示的な画面表示である。
【図7】オペレータ又は他のユーザが、ワイヤレス通信ネットワーク内で発する特定の通信と、工場のレイアウトにより提示される物理的障害物となりうるものと、を見ることができるように、工場レイアウトのグラフィック内でのワイヤレス通信を示す、ワイヤレスネットワーク分析ツールにより生成される、トポロジ画面表示の一例である。
【図8】ワイヤレス通信ネットワーク内の通信経路及び識別情報を、ユーザ又はオペレータが指定することを可能にする、ワイヤレスネットワーク分析ツールにより生成される、例示的な画面表示である。
【図9】ユーザ又はオペレータが、動作上の機能と当該ワイヤレス通信ネットワークのパラメータとを分析できるようにするために、ワイヤレス通信システム内の異なる装置間のワイヤレス通信に関する情報のグラフィック表示を示す、ワイヤレスネットワーク分析ツールにより生成される、例示的な画面表示である。
【図10】第2の通信プロトコル、例えばEMBERプロトコルを用いて、ワイヤレスでHART通信プロトコルを実装する、ワイヤレス通信装置のブロック図である。
【図11】本開示に従って設計された、プロセス環境の一部分の中のワイヤレス通信ネットワークのブロック図と概略線図とを組み合わせた図である。
【図12】経路指定表及び電力設定表を有する一群のワイヤレス通信装置から形成された、ワイヤレス通信システムの初期化を行うためのプロセスのブロック図である。
【図13】本開示によるワイヤレス通信システムを形成する、ワイヤレス通信装置とのプロセス環境レイアウトを示す、画面表示の一例である。
【図14】本開示による初期化処理により決定されたように、ワイヤレス通信システムのワイヤレス通信装置間で計算された距離を示す表である。
【図15】図12のプロセスにより作成された、幾何学的トポロジの画面表示の一例である。
【図16】工場レイアウトのグラフィック内のワイヤレス通信を図示し、また、図13のレイアウト中に形成され図15に示されるようなノード径路を備えるワイヤレス通信システムを示す、トポロジの画面表示の一例である。但し、説明の簡略化のため、図15に示されるノード間の径路、径路の方向性及び径路の強度における相違は図示していない。
【図17】図15のワイヤレス通信システム内の各ワイヤレス通信装置間のホップの数又はホップカウントを示す、表形式のコスト行列中に提示される例示的な画面表示である。
【図18】本開示に従う測定環境条件の変更に応答して、電力設定表又は経路指定表を調整するプロセスのブロック図である。
【図19】様々なワイヤレス通信装置での接続及びRFノイズレベルを含む、ワイヤレス通信システムに関する情報のグラフィック表示を示す、例示的な画面表示である。
【図20】ワイヤレス通信システムにおけるワイヤレス通信装置の電力設定表の一例である。
【図21】第1のRFノイズレベル状態におけるネットワーク群用の経路指定表の一例であり、経路指定表は、ノード間で多くても2つのホップを有する。
【図22】第2のRFノイズレベル状態における調節された経路指定表の一例を示す図であり、経路指定表は、ノード間で多くても2つのホップを有する。
【0106】
尚、図面は原寸に比例しておらず、実施形態は図形、想像線、概略表示、断片図で示されている。特定の例では、開示された実施形態、方法の理解に必要のない詳細、及び他の詳細の理解を困難にするような詳細については省略した。本開示は、ここに記載される特定の実施形態に限定されるものではない。
【技術分野】
【0001】
プロセス制御システムにおいて異なる遠隔装置とベースコンピュータとの間で安定したワイヤレス通信接続を確立しこれを維持する、分散型プロセス制御システム内でワイヤレス通信を提供する方法及び装置が開示される。
【背景技術】
【0002】
本出願は、2003年6月18日付出願の「Self−Configuring Communication Networks for use with Process Control Systems(プロセス制御システムと共に用いる自己構成型通信ネットワーク)」と題される係属中米国出願第10/464,087号の一部継続出願であるところの、2005年6月17日付出願の「Wireless Architecture and Support for Process Control Systems(工程管理システム用ワイヤレスアーキテクチャおよびサポート)」と題される係属中米国出願第11/156,215号の一部継続出願である(尚、当該出願は全て、ここに参照することにより本稿において明示的に援用される)。
【0003】
プロセス制御システムは、(例えば、化学製品の製造や発電所の制御など)製品が製造されたり工程の制御が行われたりする製造所及び又は工場において幅広く使用されている。また、プロセス制御システムは、例えば石油やガスの掘削及び貯蔵工程をはじめとする天然資源などの採掘にも使用されている。現に、一又は複数のプロセス制御システムを利用することにより、実質的にいかなる製造工程や資源採掘工程でも自動化できる。将来的には、農業用途でも同様に又はより広範囲にわたり、プロセス制御システムが利用されるようになるであろうと考えられている。
【0004】
プロセス制御システムを実施するための方法は、この数年にわたり進化してきた。旧世代のプロセス制御システムは、一般に専用の集中型ハードウェア及びワイヤによる配線式の接続を使用して実施された。
【0005】
但し、近代のプロセス制御システムは、高度に分散化されたワークステーションネットワークや、インテリジェント制御装置、スマートフィールド装置及びそれと同等のものを使用して通常実施され、それらのいくつか又は全ての統括的なプロセス制御方法又は方式の一部を実行しうる。特に、最新のプロセス制御システムは、1つ又は複数のデジタルデータバスを介して互いに、及び又は1つ又は複数のコントローラに通信可能に連結されるスマートフィールド装置及びその他のプロセス制御構成素子を含んでいる。近代のプロセス制御システムは、スマートフィールド装置に加えて、例えば、共有のデジタルデータバス又はそれ同等のものとは対照的にコントローラに直接連結されるような4〜20ミリアンペア(mA)装置や0〜10ボルト直流(VDC)装置などのアナログフィールド装置も含みうる。
【0006】
典型的な産業向け工場又はプロセス工場では、工場内で行われる生産プロセスの多くを制御するのに分散型制御システム(DCS)が使用されている。工場には、ユーザ入出力(I/O)やディスクI/O及び、その他、集中制御室に通信可能に接続された1つ又は複数のプロセスコントローラ及びプロセスI/Oサブシステムを用いる、コンピューティング技術の分野で周知の周辺機器を有するコンピュータシステムを有する集中制御室が備えられうる。更に、工場内の制御及び計測作業を実施するため、通常、1つ又は複数のフィールド装置が、I/Oサブシステム及びプロセスコントローラに接続される。工場全体にわたり様々なフィールド装置に接続されるプロセスI/Oサブシステムが複数のI/Oポートを含みうる一方、フィールド装置は、シリコン圧力センサ、容量形圧力センサ、抵抗温度検知器、熱電対、歪みゲージ、リミットスイッチ、オン/オフスイッチ、流動伝送器、圧力伝送器、静電容量レベルスイッチ、重量計、変換器(トランスデューサ)、バルブポジショナ、弁制御器、アクチュエータ、ソレノイド、表示灯、又はその他一般にプロセス工場で使用される装置を含む様々なタイプの分析用機器を含みうる。
【0007】
「フィールド装置」という用語は、上記のような装置並びに制御システムで機能を果たすその他の装置を包含する意味でここに用いられている。いかなる場合も、フィールド装置は、例えば、入力装置(例えば、例えば温度、圧力、流量などのプロセス制御パラメータを示すステータス信号を提供するセンサなどの装置)、並びにコントローラ及び又はその他のフィールド装置から受信された指令に応答してアクションを実行する制御オペレータ又はアクチュエータを含みうる。
【0008】
従来、各装置が単一の二線式ツイストペアによりコントローラに接続された状態で、アナログフィールド装置が二線式ツイストペア電流ループによりコントローラに接続されていた。アナログフィールド装置は、指定された範囲内の電気的信号に応答するか、又はそれを送信する能力を有する。典型的な構成において、該ペアの二線と該ループを流れる4〜20mAの電流との間で約20〜25ボルトの電圧差異が生じるというのは、よくあることである。制御室に信号を送信するアナログフィールド装置は、電流ループを流れる電流(この電流は感知されたプロセス変量に比例する)を変調する。
【0009】
制御室の制御下にアクションを行うアナログフィールド装置は、ループを通る電流の大きさにより制御され、電流はプロセスI/OシステムのI/Oポートにより変調され、それに順じてコントローラにより制御される。また、能動電子素子(active electronics)を有する従来からの二線式アナログ装置は、ループから40ミリワットまでの電力を受け取ることができる。通常、更に多く電力を必要とするアナログフィールド装置は、4本の配線ワイヤを使用してコントローラに接続され、該4本の配線ワイヤのうち2本が装置に電力を供給する。このような装置は、当該技術分野において四線式装置として知られており、一般に二線式装置のような電力制限タイプではない。
【0010】
ディスクリート(離散型)フィールド装置は二値信号を送信し、或いは二値信号に応答できる。通常、フィールド装置は、24ボルトの信号(AC又はDCのいずれか)、110ボルト又は240ボルトのAC信号、若しくは5ボルトのDC信号で作動する。もちろん、ディスクリート装置は、特定の制御環境により要求される任意の電気仕様に従って作動するように設計されうる。ディスクリート入力フィールド装置は、単にコントローラへの接続を確立又は切断するスイッチである間、ディスクリート出力フィールド装置はコントローラからの信号の有無に基づいてアクションをとることになる。
【0011】
従来、ほとんどのフィールド装置は、該フィールド装置により実行される主要な機能に直接関係する単一の入力又は単一出力のいずれかを有するものであった。例えば、従来からのアナログ測温抵抗体センサにより実施されていた唯一の機能は二線式ツイストペアを通じて流れる電流を変調することにより温度を伝送することであり、一方、従来からのアナログバルブポジショナにより実施されていた唯一の機能は、二線式ツイストペアを通じて流れる電流の大きさに基づいてバルブの位置を全開状態位置及び全閉状態位置の中間のある一点に位置決めすることである。
【0012】
より最近になって、アナログ信号を伝送するのに使用される電流ループ上にデジタルデータを重畳するような、ハイブリッドシステムの一部であるフィールド装置が入手可能になった。このようなハイブリッドシステムの1つとしては、制御技術当事者の間でHighway Addressable Remote Transducer(HART)プロトコルとして知られるものが挙げられる。該HARTシステムは、(従来からのシステム同様に)アナログ制御信号を送信するため、又は感知されたプロセス変量を受信するために、電流ループにおける電流の大きさを使用するだけではなく、電流ループ信号上にデジタル搬送波信号を重畳する。HARTプロトコルは、4〜20mAアナログ信号の上にデジタル信号を低レベルで重畳するためにBell 202 FSK(Frequency Shift Keying:周波数偏移符号化)規格を活用する。これにより双方向フィールド通信が確立され、通常のプロセス変量を超える追加情報をスマートフィールド機器と相互に通信することが可能となる。HARTプロトコルは、4〜20mA信号を妨害することなく、1200bpsで通信を行い、ホストアプリケーション(マスタ)がフィールド装置から毎秒2つ以上のデジタル更新を得ることを可能とする。デジタルFSK信号は連続位相であることから、4〜20mA信号には干渉が存在しない。
【0013】
FSK信号は比較的低速であり、二次的プロセス変量又は他のパラメータの更新を毎秒約2〜3の更新レートで提供しうる。デジタルキャリア信号は二次的情報及び診断情報の送信に利用され、フィールド装置の主要な制御機能の実施には利用されないのが一般的である。デジタルキャリア信号上で提供される情報の例として、二次的なプロセス変量、診断情報(センサ診断、装置診断、配線診断、プロセス診断を含む)、動作温度、センサ温度、較正情報、装置ID番号、構成材料、構成情報、プログラミング情報などが挙げられる。したがって、単一のハイブリッドフィールド装置は様々な入力及び出力変数を有していてもよく、様々な機能を実行しても良い。
【0014】
更に最近になって、更に新しい制御プロトコルがアメリカ計測学会(ISA)により定義された。この新規プロトコルは一般にフィールドバスと呼ばれ、具体的には「Standards and Practice Subcommittee 50」の頭字語であるSP50として指称される。フィールドバスプロトコルは、2つのサブプロトコルを定義する。H1フィールドバスネットワークは毎秒最大31.25キロビットのレートでデータを送信し、ネットワークに結合されたフィールド装置に電力を供給する。H2フィールドバスネットワークは毎秒最大2.5メガビットのレートでデータを送信し、ネットワークに結合されたフィールド装置に電力を供給せず、冗長通信メディアを備えている。フィールドバスは非専売のオープンスタンダードで、今日の産業で広く普及している。このため、様々なタイプのフィールドバス装置が開発されプロセス工場で使用されている。フィールドバス装置は、HART及び4〜20mA装置など、その他のタイプのフィールド装置に加えて、これらの異なるタイプの装置の各々に関連する他のサポート及びI/O通信構造で使用される。
【0015】
通常本質的に全てがデジタルである新型のスマートフィールド装置は、旧式の制御システムではアクセスできなかった又は互換性を提供できなかったような保守モード及び拡張機能を有する。分散型制御システムの全ての構成部分が同一の規格(フィールドバス標準など)に準拠している場合でも、ある製造メーカの制御装置では、他の製造メーカのフィールド装置により提供される二次的機能や二次的情報にアクセスできない場合もある。
【0016】
故に、プロセス制御システム又はプロセス工場内でフィールド装置が、お互いに、又はコントローラと、又はその他のシステムや装置と、いかにして通信可能に連結されるかが、プロセス制御システムの設計において特に重要な要素となる。概して、プロセス制御システム内でフィールド装置を機能できるようにする各種の通信チャンネル、リンク及び通信路を総称して入出力(I/O)通信ネットワークと呼んでいる。
【0017】
I/O通信ネットワークの実装にあたり利用される通信ネットワークトポロジ及び物理的接続又は通信路は、特にI/O通信ネットワークがプロセス制御システムと関連した環境因子又は条件下に置かれる場合に、フィールド装置通信のロバスト性又はインテグリティに実質的な影響を与えることがある。例えば、多くの工業制御用途において、フィールド装置とそれらに関連付けられたI/O通信ネットワークは、苛酷な物理的環境(例えば、高温、低温、変わりやすい周囲温度、振動、腐食性ガスや液体など)や困難な電気環境(例えば、高ノイズ環境、低電力品質、過渡電圧など)にさらされる。いかなる場合も、環境因子に起因して1つ又は複数のフィールド装置、コントローラなどの間で行われる通信のインテグリティが低下することがある。このように通信の質に妥協が生じると、場合によっては、プロセス制御システムが効果的又は適切な状態でその制御ルーチンを遂行できなくなり、プロセス制御システム効率及び又は収益性の低下、設備の過剰摩耗や破損に加えて、設備、建造物、環境及び又は人体に対する損傷又は故障につながる危険な状態が発生する可能性がある。
【0018】
環境因子の影響を最小限に止め安定した通信路を確保するために、プロセス制御システムで使用される従来のI/O通信ネットワークは、ワイヤが絶縁体や遮蔽体及び導管などの耐環境性物質で被覆された配線式ネットワークであった。また、これらのプロセス制御システム内のフィールド装置は一般に、非スマートフィールド装置が例えば4〜20mA、0〜10VDCなどのアナログインタフェース、配線式インターフェース又は入出力ボードによりコントローラに直接に連結される配線式階層トポロジを使用して、コントローラやワークステーション及びその他のプロセス制御システム構成素子に通信可能に連結される。フィールドバス装置などのスマートフィールド装置は、スマートフィールド装置インターフェースを介してコントローラに連結される配線式デジタルデータバスを介して連結される。
【0019】
配線式I/O通信ネットワークは、初期段階においてロバストなI/O通信ネットワークを提供できるものの、こうしたロバスト性は環境的ストレス(例えば、有害ガス又は液体、振動、湿度など)が原因で、時間の経過と共に大幅に低下する場合がある。例えば、I/O通信ネットワーク配線に関連した接点抵抗が、腐食、酸化などにより著しく増大しうる。また、配線の絶縁及び又は遮蔽に劣化又は障害が生じ、結果として、環境電子干渉又はノイズによってI/O通信ネットワーク配線を介して送信された信号が破損され易くなる条件をもたらしうる。絶縁が行われないと、場合によっては短絡状態になる可能性もあり、それによって関連するI/O通信配線が完全に故障することにもつながりえる。
【0020】
これに加えて、配線式I/O通信ネットワークは、一般的に設置費用が高い。特に、I/O通信ネットワークが、比較的大規模な地理的領域上に分散した大型工業プラント又は設備、例えば数エーカーの土地を使用する石油精製所や化学プラントと関連する場合、設置費用は更に高額となる。多くの場合、I/O通信ネットワークと関連する配線は、長距離にわたって引き回され、及び又は多くの構造(例えば壁、建造物、装置など)の内部、下部、周囲に設置されねばならない。このような長距離にわたる配線の引き回しには、一般的に相当な量の労力、物資及び費用が伴う。更に、長距離にわたって配線を行うと、通信の信頼性が低下することに起因する、配線インピーダンスや結合電気干渉による信号の劣化が起こりやすくなる。
【0021】
更に、一般的にこのような配線式I/O通信ネットワークは、改造又は更新が必要な場合に再構成を行うのが困難である。通常、新しいフィールド装置を追加するには、新しいフィールド装置及びコントローラ間にワイヤ配線を設置することが必要である。このような方法によるプロセス工場の改装は、旧式のプロセス制御工場及び又はシステムによく見られる長距離配線及び空間の制約が理由で、非常に困難であり費用のかかる作業となりうる。また、利用可能な配線経路などに沿って介入する構造、設備及び又は電線管内にめぐる高密度の配線によって、現存システムにフィールド装置を改装又は追加することに関連する作業が更に困難となりうる。新型装置を収納するためにより多くの及び又は異なる配線を設置しなければならない場合に、異なるフィールド配線要求を有する新型装置と既存のフィールド装置を交換することは、同じ問題を提示しうる。このような改造は、多くの場合著しい工場の停止時間につながる。
【0022】
ワイヤ配線式I/Oネットワークに関連するこうした困難の一部を緩和すべく、ワイヤレスI/O通信ネットワークの利用が提案されている。例えば、Tappersonらによる特許文献1に、配線式通信の利用を拡張し又は補うために、コントローラとフィールド装置との間でワイヤレス通信を行うシステムが開示されている。
【特許文献1】米国特許出願第09/805124号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
しかし、ワイヤレスI/O通信ネットワークの全てとは言わずとも大部分は、今日のプロセス工場において比較的高額なハードウェア装置(例えば、ワイヤレスで利用可能なルータ、ハブ、スイッチなど)を利用して実施されているのが実情であり、これらの大部分は大量の電力を消費する。更に、大型車両や電車の通過、環境や天候に関連した条件などの断続的な干渉によりワイヤレス通信ネットワークが不安定になり、問題を生じている。
【0024】
これに加えて、既知のワイヤレスI/O通信ネットワーク及びそれと関連するハードウェア及びソフトウェアは、設置時に慎重に選定され、その後、システムの動作中は固定される二地点間通信路を利用するのが一般的である。通常は、ワイヤレスI/O通信ネットワーク内に固定通信路を確立する場合、1人以上の専門家に依頼して費用の高い実地調査を行い、トランシーバや他の通信機器のタイプ及び又は場所を決定することが必要である。更に、実地調査の結果、二地点間固定通信路が選択されると、1人以上の専門家に依頼して装置を構成且つ設定したり、アンテナをチューニングしたりなどの作業を行わなければならない。適切なワイヤレス通信を確保するために、二地点間の通信路が選択されるのが一般的であるが、装置、壁、その他の構造の除去や追加といった工場内の変更によって、最初に選択された通信路の信頼性が低下し、ひいてはワイヤレス通信の信頼性の低下を招く。
【0025】
ワイヤレスI/O通信ネットワークにより、例えば、配線による通信路の課題である長時間にわたるロバスト性の維持の問題は緩和されるが、ワイヤレスI/O通信ネットワークは比較的柔軟性が低く、プロセス制御産業の大部分において重要な又は必要なプロセス制御機能を実行するのに充分な信頼性を提供できないとみなされている。例えば、ワイヤレス通信が正常に機能しなくなったり、通信の質が低下してワイヤレスリンクを通じての通信が不安定になったり停止したりした場合でも、そのタイミングを通知できる簡単な手段は現在存在しない。このため、プロセス制御オペレータは、ワイヤレス通信ネットワークを、重要且つ必要なプロセス制御機能を行うために実装することに対してあまり信頼をおけない状態である。
【0026】
したがって、ワイヤレスI/O通信ネットワークの設置(例えば、実地調査、エキスパートによる構成など)に伴うコストが高く、また現在のプロセス制御システムオペレータのワイヤレス通信に対する信頼度が低いことから、ワイヤレスI/Oコミュニケーションネットワークは、特に工業用途で一般に使用されるような比較的大規模のプロセス制御システムにおける貢献度に比べて法外な費用がかかるので、利用できないことが多い。
【課題を解決するための手段】
【0027】
プロセス制御システムで利用されるワイヤレス通信アーキテクチャが開示される。該ワイヤレス通信アーキテクチャは、網目状、及び、場合により、網目状と二地点間通信の組合せを使用して、設定、構成、変更、監視が容易な、よりロバストなワイヤレス通信ネットワークを確立する。これにより、ワイヤレス通信ネットワークは、よりロバストに、より低価格に、より信頼できるものとなる。ワイヤレス通信アーキテクチャは、プロセス工場内の特定のメッセージやバーチャルな通信路から独立した方法で実装される。実際、ワイヤレス通信ネットワークは、プロセス工場内の異なるワイヤレス送信及び受信装置の間でワイヤレス信号が送られる手段とは独立した手法で、プロセス制御システム内にバーチャルな通信路が確立され利用されることを可能とすべく実装される。
【0028】
ある改良実施形態では、ワイヤレス通信ネットワークの動作を制御及び最適化するために、1つ又は複数の環境ノードを使用する。環境ノード(複数可)は、ネットワークの動作を改変しうる他の環境因子のうち、温度、大気圧、湿度、降雨量、無線周波数(RF)、周囲騒音などの1つ又は複数の環境因子を示す信号を供給する、フィールド「環境」装置にリンクされている。
【0029】
他の改良実施形態では、ネットワークはワイヤレスカードにつながれたメインコントローラを有する。一方、ワイヤレスカードは、フィールドノードと通信する光中継器ノードと通信する。フィールドノードは、複数のフィールド装置にリンクされる。他の改良実施形態では、中継器ノードは取り除かれている。また、他の改良実施形態では、上述のように、環境ノード及び環境検知装置は、1つ又は複数の中継器ノードを伴って又は伴わずに、組み込まれている。更に他の改良実施形態では、フィールドノード及び環境ノードはフィールド装置と通信するための複数のポートを含む。
【0030】
ある改良実施形態において、ワイヤレス通信ネットワークはプロセス工場内の異なる装置間でHART通信信号を送信するように設定され、それによって、ロバストワイヤレス通信ネットワークを、HART対応装置を有するプロセス工場やいかなる他の環境でも利用できるようになる。
【0031】
ベースノード、フィールドノード、環境ノード及びホストを備えるプロセス制御ワイヤレス通信ネットワークが一実施形態において開示される。ベースノードは、通信によりホストに結合される。ベースノード、フィールドノード、及び環境ノードは、各々ワイヤレス変換ユニットとワイヤレストランシーバとを備える。ベースノード、フィールドノード及び環境ノードのワイヤレストランシーバは、ベースノード、フィールドノード及び環境ノード間でワイヤレス通信を達成する。フィールドノードは、プロセス制御データを提供する少なくとも1つのフィールド装置を備える。環境ノードは、ワイヤレス通信ネットワークの動作に影響を与えうる環境因子に関するデータを提供する、少なくとも1つのフィールド装置を備える。
【0032】
ある改良実施形態において、ネットワークは、更にワイヤレストランシーバ中にワイヤレス変換ユニットを含む中継器ノードを有する。該中継器ノードは、ベースノード、フィールドノード及び環境ノード間でワイヤレス通信を行う。
【0033】
他の改良実施形態において、環境ノードは、各々が温度、大気圧、湿度、降雨量、無線周波数、周囲騒音からなる群から選択されるデータを提供する、複数のフィールド装置を有する。
【0034】
他の改良実施形態では、フィールド装置の少なくとも一部がHARTプロトコル装置である。他の改良実施形態では、フィールド装置の少なくともいくつかがフィールドバス(商標)プロトコル装置である。
【0035】
他の改良実施形態では、プロセス領域内の異なる位置に、環境データを通信するために、ネットワークが、プロセス領域の周りに戦略的に配置される複数の環境ノードを備える。
【0036】
ある改良実施形態では、ベースノード、環境ノード、フィールドノードにより網目状通信ネットワークが形成され、任意の2つのワイヤレスノード間に多数の通信路が提供される。他の改良実施形態では、ベースノード、環境ノード、フィールドノードにより二地点間通信ネットワークが形成される。更に他の改良実施形態では、ベースノード、環境ノード、フィールドノードを網目状通信ネットワークから二地点間通信ネットワークに、またその逆に変換する切替え装置がネットワークに含まれる。
【0037】
更に、オペレータがワイヤレス通信システムのグラフィックを見ることを可能とする通信ツールが開示される。この通信ツールにより、プロセス工場内に確立される実際のワイヤレス通信路を容易に決定し、任意の特定の通信路の強度を決定し、ワイヤレス通信ネットワークを通じて信号を送信元から受信先に伝播させる能力を判断又は表示することで、ユーザ又はオペレータがワイヤレス通信ネットワークの総合的な動作能力を評価することができるようになる。
【0038】
ある改良実施形態では、通信ツールは、ノード間の接続性を表示する1つ又は複数のグラフィカルトポロジマップ、接続性マトリックスとホップ数とを示す表形式の呈示、及びハードウェア装置の位置と接続性とを表す実際のマップを含む。ネットワークのベースノード、フィールドノード、環境ノード間のワイヤレス通信を表示する表示モニタは、ベースノード又はホストと関連付けられうる。他の改良実施形態では、ベースノード、フィールドノード、環境ノードが配置されるプロセス領域又は環境の構造的特徴をトポロジ画面表示に更に表示する。他の改良実施形態では、ネットワークにおける各種ノード間の通信のためのホップ数を一覧した表形式の画面表示を呈示するように、ホストがプログラムされる。
【0039】
他の改良実施形態では、ワイヤレス通信ネットワークは、プロセス工場内の異なる装置間でフィールドバス通信信号を送信するように構成され、これにより、フィールドバス対応装置をHART対応装置と組み合わせる、或いはHART対応装置の代わりに備えるプロセス工場又は環境において、ロバストワイヤレス通信ネットワークを利用できる。
【0040】
ある改良実施形態では、プロセス制御方法が開示される。該方法は、少なくとも1つのフィールド装置からフィールドデータを受け取ることと、フィールドノードからベースノードへフィールドデータをワイヤレスで送信することと、フィールドデータを異なるプロトコルに変換することと、異なるプロトコルのフィールドデータを経路指定ノードに送信することと、経路指定ノードで異なるプロトコルのフィールドデータを受信する対象装置を決定することと、異なるプロトコルのフィールドデータを対象装置に送ることと、を含む。
【0041】
他の改良実施形態では、ワイヤレスプロセス制御ネットワークを監視する方法が開示される。該方法は、環境ノードの1つ又は複数の環境フィールド装置から環境データを受け取ることと、環境データをワイヤレスでベースノードに送信することと、環境データをホストに送信することと、ホストにて環境データを解釈することと、環境データに基づいてワイヤレスネットワークの少なくとも1つの動作パラメータを調節するためにホストからベースノードに命令を送ることと、その命令をベースノードから該命令を実行する少なくとも1つのフィールド装置を備える少なくとも1つのフィールドノードに送ることと、を含む。
【0042】
他の改良実施形態において、無線通信ネットワークは、ベースノード、フィールドノード、参照基準ノード及びホストを備える。ベースノードは、ホストに通信可能に連結される。ベースノード、フィールドノード及び参照基準ノードは、各々ワイヤレス変換ユニット及びワイヤレストランシーバを備える。ベースノード、フィールドノード及び参照基準ノードのワイヤレストランシーバは、ベースノード、フィールドノード及び参照基準ノード間のワイヤレス通信を達成する。フィールドノードは、プロセス制御データを提供する少なくとも1つのフィールド装置を備える。参照基準ノードは、参照基準ノードの地理的な位置を決定するように適応された地理的測位装置を備える。また、参照基準ノードは、ベースノードと参照基準ノードのうち少なくとも1つに配置されるRF電力設定装置を備える。RF電力設定装置は、ベースノードとフィールドノードの各々の参照基準ノードに対する地理的位置を決定し、且つベースノードとフィールドノードのうちの少なくとも1つの地理的位置を利用して、ベースノード、フィールドノード及び参照基準ノードの少なくとも1つのワイヤレストランシーバのRF電力設定を決定するように適応される。
【0043】
他の改良実施形態において、ワイヤレスプロセス制御ネットワークを監視する方法は、参照基準ノードから地理的位置データを受け取ることと、参照基準ノードの環境フィールド装置の1つ又は複数から統計情報を受け取ることと、統計情報と地理的位置データを、通信可能にホストに取り付けられているベースノードに対してワイヤレスで送ることと、また、ホストにて統計情報と地理的位置データを解釈し、統計情報と地理的位置データに基づいてワイヤレスネットワークの少なくとも1つの動作パラメータを調節するためにホストからベースノードに命令を送信して、その命令をベースノードから、フィールドノード装置に取り付けられている少なくとも1つのフィールドノードに送ることと、を含む。
【0044】
その他の利点及び特徴は、添付図面を参照しながら以下の詳述と独立請求項を参照することで明白となる。
【0045】
本開示内容のより完全な理解を得るためには、添付の図面により詳細に図示され、上に一例として記載される実施形態を参照されたい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
図1は、(任意のタイプのパーソナルコンピュータ又はワークステーションでありうる)1つ又は複数のホストワークステーション又はコンピューター14に接続された、1つ又は複数のプロセスコントローラ12を含む、一般的な配線式分散型プロセス制御システム10を示す。また、プロセスコントローラ12は、入出力(I/O)装置20、22に接続され、各I/O装置20、22は、1つ又は複数のフィールド装置25〜39に接続される。コントローラ12は、一例として、Fisher−Rosemount Systems社の販売するDeltaV(商標)コントローラであり、例えばイーサネット(登録商標)接続40又は他の通信リンクを介してホストコンピュータ14に通信可能に接続される。同様に、コントローラ12は、例えば、標準的な4〜20mA装置及び又はフィールドバスもしくはHARTプロトコルなどの任意のスマート通信プロトコルと関連付けられた任意の所望のハードウェア及びソフトウェアを使用してフィールド装置25〜39に通信可能に接続される。一般に知られているように、コントローラ12は、それに格納又は関連付けられるプロセス制御ルーチンを実行又は監視し、任意の所望の方法にてプロセスを制御すべく装置25〜39と通信する。
【0047】
フィールド装置25〜39は、センサ、バルブ、トランスミッタ、ポジショナなどの任意のタイプの装置でありえる一方、接点端子群20及び22内のI/Oカードは、HART、フィールドバス、プロフィバスなど任意の所望の通信又はコントローラプロトコルに適合した任意のタイプのI/O装置でありうる。図1の実施形態において、フィールド装置25〜27は、アナログ回線上でI/Oカード22Aと通信する標準的な4〜20mA装置である。フィールド装置28〜31は、HARTに互換性を有するI/O装置20Aに接続されたHART装置として示されている。同様に、フィールド装置32〜39は、例えば、フィールドバスプロトコル通信を利用して、デジタルバス42又は44を介してI/Oカード20B又は22Bと通信する、フィールドバスフィールド装置などのスマート装置である。もちろん、フィールド装置25〜39及びI/Oカード群20及び22は、4〜20mA、HART又はフィールドバスプロトコルの他にも、任意の所望の標準若しくはプロトコル(将来的に開発されるであろうものも含む)に適合させることが可能である。
【0048】
コントローラ12の各々は、一般に機能ブロックと呼ばれているものを使用して制御法を実装するように構成され、各機能ブロックは制御ルーチン全体の一部(例えば、サブルーチン)であり、プロセス制御システム10内でプロセス制御ループを実行するように(リンクと呼ばれる通信により)他の機能ブロックと連動して動作する。通常、機能ブロックは、トランスミッタ、センサ又は他のプロセスパラメータ計測装置に関連する入力機能、PID、ファジィ論理などを実行する制御ルーチンに関連する制御機能、或いは、プロセス制御システム10内で何らかの物理的機能を実行するためにバルブなど何らかの装置の動作を制御する出力機能のうちの1つを実行する。もちろんこれらを混合したハイブリッドやその他のタイプの機能ブロックも存在する。これらの機能ブロック群は、モジュールと呼ばれる。機能ブロック及びモジュールはコントローラに格納され、コントローラ12により実行されうるが、これは、これらの機能ブロックが標準的な4〜20mA装置及びいくつかのタイプのスマートフィールド装置用に使用される又はそれらに関連付けられる場合、或いはフィールドバス装置の場合のようにフィールドノード装置自体に格納され、それにより実行されうるような場合に通常該当する。図1の制御システム10は機能ブロック制御法を用いた状態で示されているが、制御法は、ラダー論理、シーケンシャルフローチャートなどをはじめとする他の仕様を利用し、且つ任意の所望の独自仕様又は独自仕様によらないプログラミング言語を使用して、実装或いは設計しうる。
【0049】
図1についての説明より明らかなように、ホストワークステーション14とコントローラ12との間の通信、及びコントローラ12とフィールド装置25〜39との間の通信は、HART、フィールドバス及び4〜20mAの配線式通信接続のうちの1つ又は複数を含む、配線式通信接続により実施される。但し、上述のように、信頼性が高く且つ設定や構成が簡単で、オペレータや他のユーザがワイヤレスネットワークの機能を分析又は観察できるようにするなどの方法によって、図1のプロセス環境内の配線式通信接続をワイヤレス通信に置換したり、ワイヤレス通信を増設したりすることが望ましい。
【0050】
図2は、図1に示される異なる装置間の通信、特に、図1のコントローラ12(又は関連するI/O装置22)とフィールド装置25〜39との間、コントローラ12とホストワークステーション14との間、或いはホストワークステーション14とフィールド装置25〜39との間で通信を確立するために利用できるワイヤレス通信ネットワーク60を示す。尚、図2のワイヤレス通信ネットワーク60は、プロセス工場やプロセス環境におけるその他任意のタイプの装置(又は一式の装置)の間で通信を確立させるために利用できる。
【0051】
図2の通信ネットワーク60は、1つ又は複数のベースノード62、1つ又は複数の中継器ノード64、1つ又は複数の環境ノード66(図2中、ノード66a及び66bとして図示)、1つ又は複数のフィールドノード68(図2中ノード68a、68b、68cとして図示)を含む様々な通信ノードを有する状態で図示されている。一般に、ワイヤレス通信ネットワーク60のノードは、網目状タイプの通信ネットワークとして動作する。網目状タイプの通信ネットワークでは各ノードが通信を受け取り、その通信の最終目的地点が当該ノードであるか否かを判断し、該通信の最終目的地点が当該ノードでない場合には、通信範囲内にある任意の他のノードに対し通信を再生又は転送する。周知の如く、網目状ネットワーク中の任意のノードは、ネットワーク内の通信を転送する範囲で、その他のノードと通信しうる。また、特定の通信信号が所望の目的地点に到着する前に、複数のノードを通り抜けるようにしても良い。
【0052】
図2に示されるように、ベースノード62は、例えば、図1の任意のホスト又はワークステーション14でもありうるワークステーション又はホストコンピュータ70を含む、又はこれらに通信可能に連結される。ベースノード62は、イーサネット(登録商標)接続72を介してワークステーション70にリンクされた状態で図示されているが、その代わりに他のいかなる通信リンクを使用しても良い。以下より詳しく説明される如く、ベースノード62は、ネットワーク60上でワイヤレス通信を達成するためのワイヤレス変換ユニット又はワイヤレス通信ユニット74、及びワイヤレストランシーバ76を含む。具体的に、ワイヤレス変換ユニット74はワークステーション又はホスト70から信号を取り出し、これらの信号を、トランシーバ76のトランスミッタ部を介してネットワーク60上に送信されるワイヤレス通信信号に符号化する。逆に、ワイヤレス変換ユニット74は、トランシーバ76の受信部を介して受け取った信号を復号化し、その信号がベースノード62aに向けられたものか否かを判断する。信号がベースノード62aに向けられたものである場合、信号を更に復号化してワイヤレス符号化を完全に取り除く。これにより、ネットワーク60内の異なるノード64、66、68において、送信者により作成された元の信号が生成される。
【0053】
当然のことながら、中継器ノード64、環境ノード66及びフィールドノード68を含む他の通信ノードの各々も同様に、ワイヤレス網目状ネットワーク60を介して送信された信号を符号化、送信且つ復号化するための通信ユニット74とワイヤレストランシーバ76とを含んでいる。通信ネットワーク60内の異なるタイプのノード64、66、68はいくつかの重要な点で異なる一方、これらのノードの各々は一般に、ワイヤレス信号を受け取り、その信号が当該ノード(又はワイヤレス通信ネットワーク60外で当該ノードに接続された装置)に向けられたものか否かを判断するのに十分な程度に該信号を復号化するように作動し、信号が当該ノードに向けられたものでなく以前に当該ノードにより伝送されたことがない場合、信号を再生又は再伝送する。このようにして、信号が、発信元であるノードからワイヤレス通信範囲内の全ノードに送信され、目的地点として指定されていない範囲内の各ノードがその後当該ノードの範囲内にあるその他のノードの全てに該信号を再伝送し、その他のノードの少なくとも1つの範囲内のノードの全てに信号が伝播されるまでプロセスが継続する。
【0054】
但し、中継器ノード64は、通信ネットワーク60内の信号を単にリピートすべく動作する。これにより、中継器ノード64を通じて第1のノードから第2のノード62、66、68に信号を中継する。基本的に、2つの異なるノードが相互に直接のワイヤレス通信範囲にない場合或いはない可能性がある場合に、2つの異なるノード間で信号を確実に伝播させることができるようにするために、中継器ノード64が2つの異なるノード間のリンクとして機能する。中継器ノード64は、通常、他の装置とノードでつながれないため、受信した信号が以前中継器ノードにより再生された信号であるかどうかを(すなわち、信号が以前当該中継器ノードにより送られ、通信ネットワーク60における異なるノードの再生機能により、当該中継器ノードで再度受け取られただけであるかを)判断するのに十分な程度に、該受信した信号を復号化するだけで良い。当該中継器ノードが特定の信号を以前に受け取っていない場合、中継器ノード64は、単に中継器ノード64のトランシーバ74を介してこの信号を再生するように動作する。
【0055】
他方、各フィールドノード68は、通常プロセス工場環境において1つ又は複数の装置と連結され、図2のフィールド装置80〜85として示される1つ又は複数のフィールド装置と連結されるのが一般的である。フィールド装置80〜85は、任意のタイプのフィールド装置であり、例えば4線式装置、二線式装置、HART装置、フィールドバス装置、4〜20mA装置、スマート装置又は非スマート装置などとすることができる。説明のため、図2のフィールド装置80〜85は、HART通信プロトコルに適合するHARTフィールド装置として示されている。装置80〜85は、例えばセンサ/トランスミッタ装置、バルブ、スイッチなどの任意のタイプの装置でありうる。それに加えて、装置80〜85には、コントローラ、I/O装置、ワークステーション、或いは他の任意のタイプの装置など、従来のフィールド装置以外の装置を使用しうる。
【0056】
いずれの場合も、フィールドノード68a、68b、68cは、フィールド装置80〜85との間で通信を送信及び受信するために、めいめいの各フィールド装置80〜85に取り付けられる信号線を含む。もちろん、本実施例において、これらの信号線はHART装置である装置80〜85に直接接続されうるし、フィールド装置80〜85に既に取り付けられている標準的なHART通信線にも直接接続されうる。フィールド装置80〜85はフィールドノード68a、68b、68cに接続される他、所望により図1のI/O装置20A又は22Aなどの他の装置や、配線式の通信線を介してその他任意の所望の装置に接続されうる。また、図2に示すように、いかなる特定のフィールドノード68a、68b、68cも、複数のフィールド装置(図中、4つの異なるフィールド装置82〜85に接続されたフィールドノード68cに関連し図示)に接続されていて良く、各フィールドノード68a、68b、68cは、各々が接続されるフィールド装置80〜85との間で信号を中継しうる。
【0057】
通信ネットワーク60の動作の管理を補助する目的で、環境ノード66が使用される。この場合、環境ノード66a及び66bは、通信ネットワーク60内で発生するワイヤレス通信に影響を与えうる湿度、温度、気圧、降雨量、RF暗騒音、或いはその他の任意の環境パラメータなどの環境パラメータを測定する装置又はセンサ90〜92を含むか、該装置又はセンサに通信により接続される。以下詳細に説明されるように、ワイヤレス通信に対する多くの妨害は、少なくとも部分的に環境条件に起因するものであることから、こうした情報は、通信ネットワーク内の問題を分析及び予測する際に役立つ。必要に応じて、環境センサ90〜92は、任意の種類のセンサ、例えばHARTセンサ/トランスミッタ、4〜20mAセンサ、又は任意の設計もしくは構成のオンボードセンサでありうる。各環境ノード66a、66bは、1つ又は複数の環境センサ90〜92を有してもよく、また異なる環境ノードは、所望により同一又は異なるタイプ又は種類の環境センサを有しても良い。同様に、必要に応じて、1つ又は複数のノード66a、66bは、周囲の、特に通信ネットワーク60で信号を送る周囲の電磁ノイズレベル(特に通信ネットワーク60で信号を送る周波数における該電磁ノイズレベル)を測定するために、電磁気による周囲騒音計測装置93を有しうる。もちろん、通信ネットワーク60においてRFスペクトル以外のスペクトルが使用される場合、1つ又は複数の環境ノード66に異なるタイプのノイズ測定装置が含まれるようにしても良い。更にまた、図2の環境ノード66は環境測定装置又はセンサ90〜93を含んだ状態で示されているが、通信ネットワーク60の動作を分析する際に分析ツールが環境条件を各ノードで判断できるように、その他の任意のノード68もこれらの測定装置に含まれうる。
【0058】
図2の通信システム60を用いると、ワークステーション70上で作動するアプリケーションは、ベースノード62の標準的なコントローラ75上のワイヤレスベースカード74にデータパケットを送り、ワイヤレスベースカード74からワイヤレスデータパケットを受け取ることができる。このコントローラ75は、例えばDeltaVコントローラでありえ、イーサネット(登録商標)接続を介してDeltaVコントローラに対して行われる、標準的なI/Oカードの場合と同じ通信を行うことができる。I/Oカードはこの場合ワイヤレスベースカード74でありうるが、コントローラやPCアプリケーションに関する限り、標準的なHART・I/Oカードとして認識されうる。
【0059】
この場合、ベースノード62にあるワイヤレスカード74はワイヤレス伝送用にデータパケットを符号化し、ベースノード62としてのトランシーバ76が信号を送信する。図2では、伝送された信号が、ノード68a及び68bなどのフィールドノードのいくつかに直接到達しうるし、中継器ノード64を介してノード68cなどの他のフィールドノードに伝播されうることを示している。同様に、フィールドノード68で生成され、フィールドノード68により伝播される信号は、ベースノード60や他のフィールドノード66に直接到達しうるし、ベースノード62に伝送される前に中継器ノード64などの他のノードや他のフィールドノードを介して伝送されうる。したがって、ワイヤレスネットワーク60上の通信経路は中継器ノード64を通過してもしなくても良く、またいかなる特定の場合において、目的地点のノードに到着する前に数多くのノードを通過しうる。送信ノードがベースユニット62から直接通信できる範囲内にある場合、送信ノードはデータを直接交換する。パケットが中継器ノード64を通過するか否かは、エンドユーザにとって、又はカードファームウェアにとってさえも完全に透過的である。
【0060】
尚、図2は概略線図であり、フィールドノード68a〜68cに対する環境ノード66a、66bの位置関係は、実際のプロセス制御区域内の実際の位置関係とは関連しない。環境ノード66a、66b(及び図示しない他の環境ノード又は単一の環境ノード)はむしろ、図7に示すような論理的、戦略的方法でプロセス制御区域に配置されることを意図している。すなわち、環境ノード66は、大きな障害物及び装置類の対向端や、移動中の車両からの干渉が存在しうる道路の付近など、相互に離間された位置に配置する必要がある。また、環境ノードは可能であれば、屋内と戸外の両方に配置するべきである。環境ノード66のネットワークは、ワイヤレスネットワーク60の動作を監視し、信号強度、ゲイン、周波数などを増大又は減少させることでネットワーク60の動作を修正変更する手段として、ベースノード62及びホスト70により利用されることを意図するものである。
【0061】
尚、フィールドノード68は各種プロセスステーション上に、若しくはその付近に配置される。ノード68は重要な安全装置でありうるし、各種プロセスを監視及び又は制御するために使用されうる。更に、1つ又は複数の中継器ノード64が利用されうる。実際、図2は一例に過ぎず、1つの環境ノード66のみが必要とされること、1つ以上の中継器ノード64が必要とされること、あるいは中継器ノード64が必要とされないこと、3つ未満もしくは4つ以上のフィールドノード68が必要とされること、と定めうる。
【0062】
図3及び図4を参照すると、図2のワイヤレスネットワーク60は、網目状通信モードと二地点間通信モードとの間で相互に切り替える必要がある場合もあることが予測される。図3は、中継器ノード102a、102b、102cと通信するベースノード101を備えたネットワーク100を示す。中継器ノード102a〜102cは、更に、包括的に参照番号104で示される複数の又は一群の環境ノード、フィールドノードのいずれか、もしくはこれらのうち2つを組合せたものと通信する。図3では、二地点間ワイヤレス通信システムは実線で、代替の網目状構成は破線で示されている。
【0063】
図4を参照すると、ワイヤレス及びトランシーバ(図示せず)の他、ベースノード101に配置されうるスイッチ装置105が概略図で図示されている。スイッチ105は、ネットワーク100を、図3に想像線で示される網目状ワイヤレスネットワークから、一例として図3に実線で描かれる二地点間ワイヤレスネットワークに変換するためのものである。二地点間通信はいかなる方法においても構成でき、図3の実線はあくまで一例に過ぎない。図4に示されるようなスイッチ装置105は、網目状ワイヤレストランシーバ76aと二地点間ワイヤレストランシーバ76bとの間で装置105を切り替える、電子スイッチ要素106を含みうる。
【0064】
上記の如く、開示のネットワーク60は、オペレータにとって有用な様々なグラフィックインターフェースを提供すべくプログラム可能なホスト70と、ベースノード62とを含む。このようなグラフィックインターフェースの例が、図5〜図9に図示されている。図5を参照すると、ベースノードBAと複数の他のノードとの間のワイヤレスネットワーク及び、図5中03、04、05、06、07、08、09、10(0A)、11(0B)の参照番号で表記される1つ又は複数の中継器ノード、フィールドノード、環境ノードでありうるその他のノードとを図示する幾何学的トポロジ画面表示110が示されている。図5のトポロジ表示110では、ベースノードBAとノード7との間の通信のように、2つのノード間の良好な通信は実線で示している。図中、正常に作動する一方向のみの通信が×印を付した細線で示されている。該正常に作動する一方向のみの通信の一例としては、ノード03と10(0A)との間の通信が挙げられる。一方、正常に作動していない通信は、破線又は想像線で示されている。該正常に作動していない通信の一例としては、ノード05と11(0B)間の破線で図示される通信が確立されていない通信線が挙げられる。また、図5には、ノード間の「ホップ数」が示されている。ノード04及び07を例にとると、図5のノード04と07との間の破線又は想像線により、ノード04と07との間には直接のワイヤレス通信が確立されていないが、ノード04と05との間には通信が確立され、ノード05と07との間には一方向通信が確立されていることが分かる。したがって、ノード04と07との間で一方向通信を成立させるためのホップ数は、2である(ノード04からノード05、及びノード05からノード07)。或いは、ノード04と07との間で双方向通信を成立させるためのホップ数も2である(ノード07からノード03、及びノード03からノード04)。ホップ数が少ないほど、より良好で信頼性の高い通信が提供できることは明らかである。
【0065】
図5に示されるネットワーク用のホップ数が、図6に表形式で示されている。図5中10及び11の番号が付いているノードは、図6では0A及び0Bと表示されている。ベースノードBAはノード03〜0Bと直接通信し、このためベースノードBAと03〜0Bのうち任意の1つとの間のホップ数が1であることが、図6の表の最上行に示されている。尚、図6の表の2番目の行を見ると、図5のノード03から破線が出ていないことから、ノード03とその他任意のノードとの間のホップ数も1であることが分かる。但し、図6の表の3番目の行及び図5を参照すると、ノード04はノード04とノード07との間に伸びる破線を含み、故にノード04とノード07との間の直接の通信は不可能であることが分かる。したがって、ノード04をノード07に接続するため、ホップ数は2となるように、通信が先にノード05を通過する。更にまた、図5のノード04とノード09との間に×印を付した細線があるため、ノード04とノード09との間の直接の双方向通信は不可能である。よって、ノード04とノード09との間の直接の双方向通信を確立するため、通信は、図6の表に示されるようにノード08を通過しなくてはならない。図6中、丸で囲まれたエントリ項目は全て、ホップ数が2であることを示す。
【0066】
図7を参照すると、図5に示されるものと同様のトポロジマップが、実際のプロセス環境上に重ね書きされた状態で示されている。具体的には、点印の各々は、図5に示され且つ図6の表に記載される9つからなるめいめいのノードの位置である。オペレータは、図7の表示により、実際の作動環境を背景とするワイヤレスの接続性を見ることができる。グローバルポジショニングシステム(GPS)参照基準点は、111、112で示されており、ノード間の実際の距離が決定できる。
【0067】
図8を参照すると、フィールド装置80〜85及び90〜93は、ベースノード62又はホスト70によって標準的なHART装置として認識されうる。これにより、AMSソフトウェアなどの標準的なアプリケーションがワイヤレスネットワーク60上でシームレスに動作できるようになる。AMSソフトウェアを利用するには、ワイヤレスフィールドノード66及び68がメッセージをどの経路で送るのかを知る必要がある。これは、図8に示すような経路指定マップ120を利用することで可能となる。このマップ120は、ベースユニット62の不揮発性メモリに格納されるが、ホスト70のメモリにも格納されうる。実際の経路指定には、8チャネルのHARTカードと同一のベースカードを組み込むことにより得られる利点を利用する。次いで、経路指定ツールが、8つのバーチャルHARTチャネルを遠隔フィールドノード及び遠隔フィールドノードのチャネルにマッピングする。図8は、8つの異なる装置についてのマッピング構成を示す図である。各フィールドタイプのワイヤレスノードは、4つの異なるHARTチャネルを含みうる。但し、フィールド装置は、固有のIDを1つ備えることになる。実際のターゲットチャネルは、ワイヤレスパケットに埋め込まれる。ワイヤレスユニットごとの各IDは、2つのバイトに基づいている。第1のバイトはネットワーク番号であり、ワイヤレスインタフェースにおける実際のラジオチャネルと相関する。第1のバイトの数は、1から12の範囲で示すことができる。第2のバイトは、ネットワークにおけるノードの識別情報であり、1から15の範囲で示すことができる。ノードが初めて初期化される場合の既定アドレスは、010Fである。この010Fは、ネットワーク1、アドレス15、という意味である。このアドレス指定方式の例外としては、ベースユニットが挙げられる。ベースユニットは、第1のバイトとして常にBAを有し、第2のバイトがどのネットワークに装置があるかを表す
図9を参照すると、ホスト70(図1)に表示するための他のグラフィック表示130が示されている。図9では、時系列がx軸上にプロットされている4つのグラフが、縦に配列された状態で示されている。一番上のグラフ131は、システム全体の総ホップ数をプロットしたものである。総ホップ数平均は、グラフに示すように約72もしくはそれよりやや少ない。ホップ数が増加すると、オペレータに警告がなされる。図9中の他のグラフには、図2に示される環境ノード66からの環境情報が提供される。グラフ132は大気圧の読取り値、グラフ133は湿度の読取り値、グラフ134は動作周波数帯内の全体的なRF暗騒音の読取り値を提示する。図9に示されていない他の環境指標としては、例えば温度及び降雨量が挙げられる。
【0068】
図10を参照すると、図2に示される装置80〜85の多くがHARTフィールドノード装置であると考えられ、故に、フィールドノード68はHART信号を中継器ノード64に送信するか、もしくは変換ノード140に直接送信することになることが分かる。尚ここで、図10に示される実施形態において、変換ノード140はベースノード62とは別体の要素でありうるし、ベースノード62の一部を構成しうる。HART信号は、図示されるように環境ノード66から送られうる。変換ノード140は、HART信号を異なるプロトコル、例えば、低電力ワイヤレスネットワーキングソフトウェア及びラジオ無線技術と共に用いられるEMBER(登録商標)プロトコルなど、に変換するためのソフトウェアを含む(http://www.ember.com/を参照のこと)。もちろん、その他のプロトコルも利用可能であることは当業者には明白である。変換ノード140は、参照番号141の点でHART信号をEMBERデータパケットに変換する。データパケットは、ベースノード62又は変換ノード140のいずれかにおいて、ソフトウェアにより決定される送信元指標142及び送信先指標143を含む。HARTメッセージ144は、送信元データ142と送信先データ143との間に挟まれる。次いで、信号が経路指定ノード145に送られ、経路指定ノード145は送信先情報143から、どのオブジェクト装置146にデータを送るかを決定する。次いで、経路指定ノード145は、1つ又は複数の中継器64及び又はフィールドノード68を介して、オブジェクト装置146にデータを送信する。ある1つのプロトコル(HART)から他のプロトコルへフィールド装置信号を変換するのに使用しうるタイプのソフトウェアの一例として、Acugen社の販売するGTSソフトウェア(http://www.acugen.com/jts.htm)が挙げられる。
【0069】
一般的に、プロセス制御環境については、スマートバルブなどのフィールド装置の初回設置及び常置場所に関してはあまり動的でないと言える。したがって、フィールド装置に取り付けるワイヤレスノードの初期構成を、フィールド装置の初期設置位置に基づいて決定することが可能である。尚、このようなノードの構成はワイヤレスノードにダウンロードできる。市場で販売されているワイヤレスノードのほとんどが、経路指定表や送信電力レベルの設定を含む複数の異なる構成設定をサポートしているので、位置の改訂、経時的に行われるRFノイズシグネチャにおける変更、又はその他の環境決定因子に基づいて、
初期構成設定を経時的に更新しうる。
【0070】
ワイヤレスノード及びネットワークの構成設定を決定する際の様々なワイヤレスノードの位置に関する情報を利用する通信ネットワーク60の他の実施形態が、図11に示されている。特に、図11は、同じ参照番号が付いているネットワーク60の構成素子と類似する構成素子を備えつつ、改造されたワイヤレス通信ネットワーク200を示す。改造済ワイヤレス通信ネットワーク200は、その他の複数のノードに対する参照基準ノード210の地理的位置を決定するために使用されうる地理的測位装置を含む、参照基準ノード210を含んでいる。また、通信ネットワーク200は、1つ又は複数のベースノード62、1つ又は複数の中継器ノード64、1つ又は複数の環境ノード66(図11中、参照番号66a,66bとして図示)、及び1つ又は複数のフィールドノード68(図2中、ノード68a、68b,68cとして図示)を含みうる。これらのノードの機能は、上記図2に関する説明においてより詳細に記載されている。
【0071】
参照基準ノード210は、例えば携帯型装置などの携帯型ノードであればよく、ワイヤレス通信ネットワーク200中の様々な位置に置くことが可能である。参照基準ノード210は、通信ネットワーク200に位置する様々なワイヤレスノードの1つ又は複数と通信するために使用されうるトランシーバ212と、参照基準ノード210に地理的測位信号を提供するサテライトと通信するために使用されうる地理的測位システム(GPS)トランシーバ214とを含みうる。参照基準ノード210上の地理的測位装置214は、参照基準ノード210及び通信ネットワーク200中のその他の通信ノードの1つ又は複数の位置を決定するために使用されうる。参照基準ノード210上の電力設定装置216は、ネットワーク200中のその他の通信ノードの1つ又は複数の構成設定を決定するために使用されうる。
【0072】
尚、例示される通信ネットワーク200の実施形態においては、地理的測位装置214と電力設定装置216とが参照基準ノード210上に置かれているが、他の実施形態においては、地理的測位装置214と電力設定装置216とを、通信ネットワーク200上の幾分他の位置、例えば、ベースノード62などのホスト70用の他のノード、中継器ノード64、又はその他のノード66、68のいかなるものなど、に置くようにしても良い。参照基準ノード210が、より新しいソフトウェアと簡単に置換又は更新されうる携帯型ノードなどでありうることから、参照基準ノード210に地理的測位装置214及び電力設定装置216を置くようにした方が有利となりうる。
【0073】
地理的測位装置214は、参照基準ノード210のメモリに格納されたGPSプログラムにより実施されうる。このようなGPSプログラムは、参照基準ノード210の位置が変更される度に作動するようにしても良い。或いは、このようなGPSプログラムは、参照基準ノード210の座標を決定する所定間隔ごとにGPSサテライトに登録しうる。いくつかの実施例において、参照基準ノード210は、自動GPS登録をオーバーライドすべくマニュアル制御も提供しうる。更に、その他のノードと通信リンクを確立する際、参照基準ノード210のGPSプログラムは、GPSサテライトに登録するための状態、頻度などを設定するように遠隔制御可能にしても良い。また、当該の制御は、例えば、参照基準ノード登録をその他のノードに同期化すること、又は参照基準ノード登録を処理環境に既存するプロセスと同期化することを含みうる。
【0074】
電力設定装置216は、参照基準ノード210のメモリに格納されたプログラムにより実施されうる。電力設定装置216は、地理的測位装置214からのGPS信号に基づいて参照基準ノード210の地理的位置を決定可能でありうる。更に、電力設定装置216は、参照基準ノード210のセンサ機器218から信号を受信するように連結される。センサ機器218は、例えば参照基準ノード210でのRFノイズレベルを測定できるRFノイズ測定装置でありうる。RFノイズ測定装置の実施例では、センサ機器218からのデータに応答して、電力設定装置216が、RFノイズレベルの変更に対抗するためのフィールドノード、ベースノード、及び又は参照基準ノードのRF電力設定を決定しうる。このような情報は、電力設定表に又は該メモリ中の他の形式で記録され、次いで、電源ポリシを設定するためにネットワーク200のノード(ベースノード、フィールドノード、参照基準ノードなど)の各々に通信しうる。
【0075】
いくつかの実施例では、電力設定装置216は、参照基準ノード210からその他のノードへの距離を測定し記録するように適応される。距離は、地理的測位装置214のGPSデータから抽出されうる。電力設定装置216は、複数の位置の各々で測定されたRFノイズレベル及びノード間の距離に基づいて、参照基準ノード、ベースノード、フィールドノードなどの最適位置を決定しうる。
【0076】
また、電力設定装置216は、切替え装置105などのネットワーク設定スイッチの機能性を提供しうる。例えば、電力設定装置216は、複数の位置の各々で測定されたRFノイズレベルと各位置同士の距離に基づいて、ネットワーク200上のノードが網目状通信ネットワークとして作動すべきか、二地点間通信ネットワークとして作動すべきかを決定しうる。
【0077】
RFノイズ測定装置218は、動作中に事前設定又は調節可能なある期間を通じてRFノイズレベルを決定するようにプログラムされうる。電力設定装置216は、長期にわたり収集されたRFノイズレベルデータに基づいて、ネットワークのノードのトランシーバの電力設定を調節するようにプログラムされうる。例えば、RFノイズレベルの実際の又は予測された変更に対する補正を行うために、一日を通して、又は週末などに各ノードの電力設定を調節しうる。すなわち、いくつかの実施例において、RFノイズ測定装置218は、以前に記録されたRFノイズレベルデータに基づいてRFノイズ予測機能をもたらすように適応されうる。予測機能によって、例えば毎日、日の出時刻に生じるRFレベルの増加を予測しうる。日の出時刻は年間を通じて変化するが、RFデータ収集ウィンドウ(時間枠)を延長することにより、予測機能を用いて毎日何時に日の出が期待されるかを更に予測することが可能である。もちろんこれは一例であり、測定されたRFレベルの変更に相互関連する可能性のある任意の数のパラメータに基づいて、RFレベルを予測するようにも予測機能をプログラムしうる。予測値は、いかなる時間測定単位(例えば、時刻、曜日、日にちなど)にも基づきうる。
【0078】
いくつかの実施例では、特定の処理作業と共に開始するクロックに基づいたタイム値など、特定のイベントに同期した又はトリガされるタイム値に、予測値が基づきうる。処理環境において、例えば、装置の停止又は定期修理などの特定のイベントは、予知できる様態でRFノイズレベルのパターンを変更しうるが、これらの変更のタイミングは、必ずしも特定の時刻、週、月などに相互関連するものではなく、イベントのタイミングに相関する(よって、それに基づく)。
【0079】
RFノイズについては実施例において既述されているが、測定装置218は、温度、大気圧、湿度及び降雨量用のセンサをはじめとする上記されるような環境ノードのセンサ装置などの複数のセンサ装置を含みうる、或いは、測定装置218は、これらのセンサ装置の任意の1つを含みうる。このようなセンサからのデータは、ネットワーク中の様々なノードでトランスミッタの電力レベルを、例えばRF周囲騒音の計測に基づいて、設定するのに使用されうる。いくつかの実施例において、センサデータは、ワイヤレス通信システム用の経路指定表を設定するために使用され、それにより、ノード群を確立し、且つワイヤレス通信システム中のノードからの径路を指定しうる。もちろん、センサからのデータは、RF計測と無関係な決定制御にも使用されうる。
【0080】
図12は、ネットワーク200において使用される、様々なトランシーバの電力設定を決定するための電力設定プログラム250のフローチャートを示す。装置212〜218の場合と同様、電力設定プログラム250は、ネットワーク200のいかなるノード上においても実装されうる。一実施形態において、電力設定プログラム250は、電力設定装置216上で、参照基準ノード210に設置されたセンサ機器218及びGPSトランシーバ214と連動して実施しうる。説明のため、図13〜図17を参照してプログラム250を説明する。
【0081】
ブロック252は、工場内の異なる処理位置やユニットなどを同定する工場レイアウトマップの初期取込みを行う。図13は、ラベルで標識された様々な位置を含む例示的な工場レイアウトマップ254を示す。次いで、ブロック252は、一連のGPS参照基準点により定義されGeo1、Geo2、Geo3及びGeo4とマーキングされた、周知又は測定可能な経度、緯度、標高座標を有するGPS座標系に、工場レイアウトマップを相互関連付ける。図13に示される如く、ネットワーク上のノード、RFノイズレベル及びノード間の距離に関して最適位置を測定する目的で参照基準ノードを配置しうる範囲内で、これらのGPS参照基準点は限界線を設定しうる。
【0082】
ブロック256は、取込まれたレイアウトデータと定義されたGPS座標を用いて、様々な参照基準ノード(BA、01、02、03、04、05、06、08、09、BA、11及び12とラベル標識されたノードなど)のジオリファレンス処理を開始する。ブロック256は、GPSトランシーバを通じて一度に1つのノードをGPSサテライトに登録しうる。ブロック256は、参照基準ノードの現位置及びネットワーク中その他残りのノードとの間の距離を決定するために、GPSサテライトから受信したGPSデータをその他のノードからの記憶データと比較しうる。或いは、その他のノードからの測定信号の強度及び逆二乗の法則に基づいて、ノード間の距離を決定するようにしても良い。例えば、伝送された信号についての符号化ノード識別子情報の使用によって、異なる伝送時間窓を割り当てられている異なるノードを通じて、又はその他の技法を用いて、定期的にノード特有の識別子を伝送するように各ノードをプログラムしうる。トランシーバ212は、信号を受信し、例えば復号化又は時分割識別方式を通じてソースノードを識別し、信号の強度を測定しうる。また、測定された信号の強度に基づいて、参照基準ノード210と伝送ノードとの間の距離が決定されうる。
【0083】
図14は、プログラム250から生成されうるものであり、ネットワーク上のノード間の距離を一覧する表形式を示す。
【0084】
いったん登録されると、ブロック258は、参照基準ノード210でのRFノイズレベルを測定し、参照基準ノード210にて当該データを局部的に記録しうる、及び又は、機械70などのホストマシンにて集中的記録を行うために当該データを伝送しうる。
【0085】
参照基準ノードが環境条件センサを含んでいる場合、ブロック260は当該条件を測定し記録する。図12中で例示的な参照基準ノード210内に図示されるその他の機能的制御ユニットの場合、同様に、環境センサが参照基準ノード外部、例えばネットワーク内の環境ノード、に配置されうる。ここから、ブロック262は、更なる参照基準ノード観察が計測されるべきかどうかを判断する。その場合には、プログラム250はブロック256に戻る。一度に1つのノードだけのジオリファレンスを測定するようにブロック256がプログラムされていれば、ブロック262は、残存するノードのいかなるもの(例えば、図13のノードBA又は01〜12)のジオリファレンス処理を行わなければならないかどうかを判断できる。更なる観察が必要ではないと判断されると、プログラム250はブロック264に制御を受け渡す。
【0086】
ブロック264は、ネットワーク上のノードの電力設定を開発するべく、ブロック256〜260で測定されたデータに基づいて電力設定表を決定する。ブロック264は、ブロック264でブロック258のデータから決定された実際のRFノイズレベル、又はRFノイズ予測機能に基づいて当該の電力設定を開発しうる。また、ブロック264は、ネットワーク構成タイプ、例えば網目状通信ネットワーク又は二地点間構成ネットワーク、を決定しうる。
【0087】
ブロック264は、ネットワークの動作上の影響を測定しながら、総括的に又は個々に、各ノードにて選択的に出力電力を調節する電力設定アルゴリズムを実行しうる。例えば、ブロック264は、結果的に得られるネットワーク用合計ノード数と合計ホップ数を測定しながら、同時に当該ノードでの出力電力を循環させうる。また、これらの合計値をその他の電力設定で測定された合計値と比較し、ネットワークの許容カバレージエリア及び最小合計ホップ数での最適電力設定を決定するようにしても良い。工場レイアウトの特定領域の優先度を他の領域よりも高くし、要望に応じて異なる電力設定における比較を重要視するようにしても良い。これらの比較から電力設定表が作成される。ブロック264は、電力設定前に、電力設定中に又は電力設定後に、ワイヤレス通信ネットワークの所望のネットワーク径路を反映して経路指定表を決定しうる。上記のものは、ブロック264により実行されうる指示の例示的な記述である。ブロック264は、電力設定表及び経路指定表を形成又は修正変更すべく、その他のアルゴリズム及び技法を使用して実施されうる。
【0088】
これらブロック264からの決定は、ブロック266によりネットワークのノードに通信される。例えば、環境条件が、遠隔ノード上の測定機器(参照基準ノード210又は環境ノード66など)により測定されると、ベースノードなどの集中コントローラステーションにある電力設定装置は次いで全ノードの電力設定表を計算し、よって所定の時間窓全体にわたる電力レベル及び電力レベルの変更を識別しうる。プログラム250を介したネットワークの初期化後、集中コントローラはブロック266を通じて、計算された電力設定表を局部記憶及び電源制御するためにノードの各々に通信しうる。
【0089】
ここに示される実施例において、ブロック264は電力設定表に加えて経路指定表を計算する能力を有しうる。経路指定表経路は、ジオリファレンス処理されたノードの中から、より具体的には各ノードから他のノードのそれぞれへの可能径路の中から、ネットワーク群を定義する。コントローラは、ノード群のネットワーク構成(例えば、網目状又は二地点間通信)を識別し設定しうる。これは、測定されたRFノイズレベル又はその他の環境データ、電力設定及びノード間の測定距離、当該構成が経路指定表により識別されるかどうかに基づいて行われる。ブロック266は、局部記憶し且つワイヤレス通信に使用するために、計算された経路指定表を各ノードに通信する。
【0090】
図15は、工場レイアウトマップ254用に定義された、ネットワーク群の幾何学的トポロジ画面表示300を提供する。図13に示されるような各ノードのジオリファレンス処理後に、ブロック264は電力設定及び経路指定表を定義するにあたり、通信ネットワークの形成に向けて工場レイアウトマップ254の一部分である(図16に示される)群302を識別する。ここに示される実施例において、該群302は、網目状通信ネットワークにおいてノードBA、01、02、03、04、05、08、09及び12から形成される。ノード06及び11は、例えば網目状群302を形成するノードの少なくとも1つに信号を送信又は受信する能力を有することから、ブロック264によってネットワークから除外されている。図15の仕様において、暗色の太い実線は接続強度が高いノード間(例えば、ノード04と03間)の双方向直接接続を表し、×印を付した暗色の細い実線は接続強度が弱いノード間(例えば、ノード09と05間)の双方向直接接続を表し、更に細い暗色の実線は接続強度が高いノード間の一方向直接接続(例えば、ノード12と04間の片方向)を表し、そして、破線又は想像線は、接続が乏しい又は失敗したノード間(例えば、ノード04と05間)の直接通信を表す。
【0091】
群302の任意の2つのノード間において、信号が作成しなければならないホップ数を識別するトポロジコスト行列によって、群302は特徴づけられうる。図17は、群302のコスト行列400を示す。行列400は、行402及び列404に一覧されたノードとの考えうる全てのノード接続を示す。表の中には、2つのノード間で各接続に対して決定されたホップ数を反映する数が示されており、また、列404は伝送ノードを表し、行402は受信ノードを表す。例えば、表中、列404の指標08と行402の指標12を辿って交差させてみると、ノード08から送られノード12で受信される信号は、4つのホップを必要とすることが分かる。尚、値406には、実施例として示されるコスト行列400において4つのホップが必要であることが示されている。更に尚、2つのノードのいかなるものをとっても、送信経路は受信径路と異なりうることに注目されたい。伝播パターンの特徴は、局所的な環境ごとに特有でありうる。結果として、2つのノード間の経路は、送信源によって異なりうる。
【0092】
信号の強度及び一方向通信径路の存在によって、逆方向の径路のノード数、すなわち、受信側と送信側のノードが反対になった状態のノード数は異なりうる。行列400では、例えば列404中のノード12と行402中のノード08を辿って交差させると、値408にホップ数が2であることが示されているが、これにより、ノード12からノード08に伝送された信号は、2つのホップを経験することが分かる。
【0093】
一般にホップの数が少ないほど接続が強くなり、信号損失やビット失敗などの可能性が少なくなる。但し、多くの異なる環境においてはノード間信号強度の強弱が異なるため、はるかに強い複数のホップ径路が存在する場合は、それが理由で2つのノード間の単一の直通路でさえも丁度の理想的な径路を反映できない場合がある。これは、経路指定表及び電力設定表を確立する参照基準ノード又はベースノードの優先設定に依存する。
【0094】
このコスト行列400は、対応する経路指定表からの特定の値一式に基づく。ノード302の同一群は異なる経路指定表、よって異なるコスト行列を有しうる。すなわち、任意の所定数のノード対が多くの異なる接続可能性を有しうる間、行列400は単なる一例を表すに過ぎない。
【0095】
更に、ワイヤレス網目状ネットワークは、例えばRFノイズなどの環境設定に応じて調節されうる。RFノイズレベルの実際の又は予測される変化に応じて、ノードの経路指定表は、ネットワーク上の異なるノードへの異なる経路を確立するために再調節されうる。他の調整技法として、RFノイズの変更がRFノイズの増大(影響されるノードのトランスミッタ電力レベルの増大を示唆する)を反映するものであろうと、或いはRFノイズの減少(影響されるノードのトランスミッタ電力レベルの低下を示唆する)を反映するものであろうと、RFノイズの変化の補正するために遠隔ノードのトランシーバの電力設定を調節することが挙げられる。特に予測システムでは、RFノイズにより影響される経路の経路指定を再度行うことにより、又はタイムアウト又は停止時間を伴わずに電力設定を調節することにより、ネットワークのインテグリティを維持しうる。
【0096】
経路指定表の調節は、例えば、RFノイズレベルの変化を絶えず測定し、参照基準ノード又はその他のノードでRFノイズ測定装置を介して作動中に開発された経験的データに基づきうる。プログラム250が初期設定シーケンスを反映するのに対して、図18に示されるプログラム500は、動作中のRFノイズレベルの変化に応じて電力設定表及び又は経路指定表を調節するために使用しうる。工場レイアウトとジオリファレンス処理された全ノードが識別された上で、網目状又は二地点間ネットワークを形成する群と共に、参照基準ノード又はベースノードは、システム中のノードからRFノイズ更新データを受信しうる。更新データは、例えば、上述のような測定装置からの測定環境データを含みうる。ベースノードのような集中コントローラを伴う実施例では、このようなデータとホストコンピュータを絶えず又は定期的に更新するように遠隔ノードをプログラムしうる。或いは、環境データに変更が生じた際、例えば、RFノイズが特定のしきい値により変化した時にだけ通信するようにも遠隔ノードをプログラムしうる。また、参照基準ノード又はその他の遠隔ノードがネットワーク用のRF電力設定表及び経路指定表を調節するための制御ノードとして作動するような実施例においては、その他の遠隔ノードがこの遠隔制御ノードで電力設定装置と通信する。
【0097】
いかなる場合も、集中型又は分散型コントローラは、ブロック502で各遠隔ノードから環境データを受信する。遠隔ノードは、環境データと共に実際の電力レベル、時間及びその他のデータを伝送しうる。いくつかの実施例において、コントローラは、例えばコントローラがワイヤレス通信システムの初期電力設定を設定する時点で、実際の電力レベルと比較するための所望の電力レベルへのクセスを既に備えている。更に、タイム情報が送信された場合に、その情報が同期確認及び訂正目的に使用されうるように、コントローラ及び遠隔ノードが同期化されるべきである。ブロック504では、コントローラが、類似した変更が再発した場合の予測関数を決定するために、遠隔ノードからの更新データを分析する。ブロック504では、RFノイズ更新データに関して、何らかのパターン(毎朝日の出時刻にRFノイズが増加するなど)が存在するかどうかを判断するために、更新データが履歴に基づくRFノイズデータと比較されうる。
【0098】
ブロック504は予測関数を生成し、例えば、電力設定表を調節するために予測関数が使用されるべきかどうかを決定する上述のような電力設定装置などのブロック506に、その関数を提供する。例えば、影響される遠隔ユニットでのRF電力設定を増大又は低下させることにより、RFノイズレベルの変化が補正されうる、とブロック506にて決定されうる。ブロック508は、電力設定表への調節を行う。ブロック510は同様に、予測関数によって経路指定表自体が調節されるべきかどうかを判断し、また、ブロック512は経路指定表への調節を行う。ここに示される実施例において、プログラム500は、RF電力設定表及び経路指定表の両方を調節するように設定されうる。ブロック514は調節がなされたかどうかを判断し、ブロック516は調整されたデータ又はプログラム500の終了を伝える。
【0099】
ここで今説明された調節手順は、集中制御ノード上で達成されうる、或いは分散型状態において1つ又は複数の遠隔ノードで達成されうる。すなわち、初期の経路指定表及び電力設定は、各ノードにワイヤレスでデータを通信しうるベースステーションのホストコンピュータにより中心的に決定されうる。一方、経路指定表及び又は電力設定の調節(再最適化を含む)は、この中心的位置又はワイヤレス通信システム中の他の位置で行われうる。
【0100】
いくつかの実施例において、ベースノードは、複数の経路指定表及び電力設定を局部記憶及びアクセスするためにその他のノードに通信しうる。ベースノードは例として、通常の状態で使用される一次的経路指定表、及び非常状態で使用される二次的且つ三次的経路指定表を伝送しうる。例えば、ベースノードは、二次的な経路指定表を、ジェネレータのONされた時点で使用するために通信しうる。この際、経路指定表はベースノードからの指示に応じて初期化される。
【0101】
図19は、ワイヤレスネットワーク分析ツールにより作成され、様々なノードのRF周囲騒音レベルを示す例示的な画面表示400である。グラフ部分には、縦に並びあった4つのグラフが提供されており、水平軸上の時間を通じてそれぞれ測定されたものである。一番上のグラフ402は、接続を全費用のパーセントとして経時的にプロットしたものである。接続は、時間の関数としてネットワーク群用に、例えば合計ホップにて測定されたコストを反映しうる。残りのグラフは、異なるノードでのRFノイズレベル、又は工場レイアウトマップ254中のユニット位置をプロットしたものである。グラフ404は、ノード09で測定されたRFノイズレベルをプロットしたものである。グラフ406は、ノード08で測定されたRFノイズレベルをプロットしたものである。グラフ408は、ノード12で測定されたRFノイズレベルをプロットしたものである。グラフからも分かるように、RFノイズレベルの最大上昇は、ユニット12に見られる(最高プロット値はコスト値60.69)。ここに示される実施例では。RFノイズがプロットされているが、その他の環境データを代わりに表示しても良い。
【0102】
任意のユニットが制御を握っており、ノードごとの時間の関数として設定された例示的電力設定表600が図20に示されている。例示を目的として、表600は、電力設定の変更の結果であるタイムスロット602を含んでいる。全体表は、単位時間、例えば各30、15、10、5又は1分間、を繰り返して形成されたタイムスロットを含みうる。電力設定の変更は、電力設定装置からの分析の結果であり、長期間にわたり収集されたRFノイズデータに基づいている。例えば、午前5:30ごろ(任意の日の出時刻)のRFノイズレベルが、午前12:00〜午前5:30の間に電力設定604の40になり、午前5:30〜午前6:30にはより高い電力設定606の60に変化するといった具合に増加しているとして示されているが、ベースステーションノードBAは、このRFノイズレベルの増加に合わせて予測される。ここに示される実施例において、ノードBAでのRFノイズレベルは、例えば、諸従業員が朝一の作業開始前にユニットに到着し、全体的なRFノイズレベルを増加させる時点などに、この時間窓中にピークに達する。ノードBAの電力設定608は、次の時間窓中、RFノイズレベルの予測された小規模な降下を反映して55まで一定の比率で低下する。異なるノードの電力設定のその他の変更及び差異は、表からも明らかである。これらの電力設定は、最適の設定値を表しうる。つまり、最小電力設定の場合、ネットワークの全体にわたって全体的に使用されるホップ数が最小になることを意味する。
【0103】
図21及び図22は、図6に示されるものに類似し、ホップ数が2以下のノード群の経路指定表の実施例として挙げられるものを示す。図21は、一式目のRFノイズレベル下の第1の経路指定表700を示す。入口点702〜712を例外とし、一覧される全経路は単一ホップカウント経路である。入口点702〜712は、一方向におけるノード間で2つのホップを反映し、その伝送ノードは縦軸上に、受信ノードは水平軸上に反映される。図22は、当該同一の経路指定表をRFノイズレベルに応じて調節した後のものを、700’として標示して示したものである。2ホップ入口点のうち702、704及び708は変更せずそのままであるが、ここで706’、710’、及び712’とされる残りの2ホップ入口点は、遠隔ノードにおける測定又は予測RFノイズレベルの変更の結果、異なる経路指定路を反映するように変更されている。
【0104】
本発明を好適な実施形態を参照して説明したが、当業者であれば、本発明の精神と範囲を逸脱せずに形式及び詳細に変更を加えることができることを認識されよう。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】従来の配線式分散型制御システムを示す、ブロック図と概略線図とを組み合わせた図である。
【図2】本開示に従って設計されたプロセス環境の一部分におけるワイヤレス通信ネットワークを示す、ブロック図と概略線図とを組み合わせた図である。
【図3】網目状ワイヤレス通信と二地点間ワイヤレス通信の両方を示す、プロセス環境におけるワイヤレス通信ネットワークの図である。
【図4】図3の通信ネットワーク内において、網目状通信と二地点間通信との間を切り替えるために使用しうる、網目状通信及び二地点間通信両対応通信装置のブロック図である。
【図5】本開示に従って設計されたワイヤレス通信システム内における異なる装置間のワイヤレス通信を示す、ワイヤレスネットワーク分析ツールにより生成される、幾何学的トポロジ画面表示の一例である。
【図6】表形式で提示され、開示されたワイヤレス通信システム内における各ワイヤレス通信装置間のホップの数又はホップカウントを示す、ワイヤレスネットワーク分析ツールにより生成される、例示的な画面表示である。
【図7】オペレータ又は他のユーザが、ワイヤレス通信ネットワーク内で発する特定の通信と、工場のレイアウトにより提示される物理的障害物となりうるものと、を見ることができるように、工場レイアウトのグラフィック内でのワイヤレス通信を示す、ワイヤレスネットワーク分析ツールにより生成される、トポロジ画面表示の一例である。
【図8】ワイヤレス通信ネットワーク内の通信経路及び識別情報を、ユーザ又はオペレータが指定することを可能にする、ワイヤレスネットワーク分析ツールにより生成される、例示的な画面表示である。
【図9】ユーザ又はオペレータが、動作上の機能と当該ワイヤレス通信ネットワークのパラメータとを分析できるようにするために、ワイヤレス通信システム内の異なる装置間のワイヤレス通信に関する情報のグラフィック表示を示す、ワイヤレスネットワーク分析ツールにより生成される、例示的な画面表示である。
【図10】第2の通信プロトコル、例えばEMBERプロトコルを用いて、ワイヤレスでHART通信プロトコルを実装する、ワイヤレス通信装置のブロック図である。
【図11】本開示に従って設計された、プロセス環境の一部分の中のワイヤレス通信ネットワークのブロック図と概略線図とを組み合わせた図である。
【図12】経路指定表及び電力設定表を有する一群のワイヤレス通信装置から形成された、ワイヤレス通信システムの初期化を行うためのプロセスのブロック図である。
【図13】本開示によるワイヤレス通信システムを形成する、ワイヤレス通信装置とのプロセス環境レイアウトを示す、画面表示の一例である。
【図14】本開示による初期化処理により決定されたように、ワイヤレス通信システムのワイヤレス通信装置間で計算された距離を示す表である。
【図15】図12のプロセスにより作成された、幾何学的トポロジの画面表示の一例である。
【図16】工場レイアウトのグラフィック内のワイヤレス通信を図示し、また、図13のレイアウト中に形成され図15に示されるようなノード径路を備えるワイヤレス通信システムを示す、トポロジの画面表示の一例である。但し、説明の簡略化のため、図15に示されるノード間の径路、径路の方向性及び径路の強度における相違は図示していない。
【図17】図15のワイヤレス通信システム内の各ワイヤレス通信装置間のホップの数又はホップカウントを示す、表形式のコスト行列中に提示される例示的な画面表示である。
【図18】本開示に従う測定環境条件の変更に応答して、電力設定表又は経路指定表を調整するプロセスのブロック図である。
【図19】様々なワイヤレス通信装置での接続及びRFノイズレベルを含む、ワイヤレス通信システムに関する情報のグラフィック表示を示す、例示的な画面表示である。
【図20】ワイヤレス通信システムにおけるワイヤレス通信装置の電力設定表の一例である。
【図21】第1のRFノイズレベル状態におけるネットワーク群用の経路指定表の一例であり、経路指定表は、ノード間で多くても2つのホップを有する。
【図22】第2のRFノイズレベル状態における調節された経路指定表の一例を示す図であり、経路指定表は、ノード間で多くても2つのホップを有する。
【0106】
尚、図面は原寸に比例しておらず、実施形態は図形、想像線、概略表示、断片図で示されている。特定の例では、開示された実施形態、方法の理解に必要のない詳細、及び他の詳細の理解を困難にするような詳細については省略した。本開示は、ここに記載される特定の実施形態に限定されるものではない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースノード、フィールドノード、参照基準ノード、及びホストを備え、
前記ベースノードは、前記ホストに通信可能に連結され、
前記ベースノード、前記フィールドノード、及び前記参照基準ノードは、それぞれワイヤレス変換ユニットとワイヤレストランシーバとを有し、
前記ベースノード、前記フィールドノード、及び前記参照基準ノードの前記ワイヤレストランシーバは、前記ベースノード、前記フィールドノード、及び前記参照基準ノード間のワイヤレス通信を達成し、
前記フィールドノードは、プロセス制御データを提供する少なくとも1つのフィールド装置を有し、
前記参照基準ノードは、前記参照基準ノードの地理的位置を決定するように適応された地理的測位装置を有し、
前記ベースノード及び参照基準ノードのうちの少なくとも1つに配置される電力設定装置を備え、
前記電力設定装置は、
前記参照基準ノードに対する、前記ベースノード及び前記フィールドノードそれぞれの地理的位置を決定し、
前記ベースノード及び前記フィールドノードのうちの少なくとも1つの前記地理的位置を利用して、前記ベースノード、前記フィールドノード、及び前記参照基準ノードのうちの少なくとも1つの前記ワイヤレストランシーバのRF電力設定を決定するように適応される、
ワイヤレス通信ネットワーク。
【請求項2】
前記参照基準ノードは、携帯型装置を使用して実装される、請求項1に記載のワイヤレス通信ネットワーク。
【請求項3】
前記ベースノード、前記フィールドノード、及び前記参照基準ノードのうちの少なくとも1つに配置されるRFノイズ測定装置を更に備え、
前記RFノイズ測定装置は、事前に設定された期間を通じて前記RFノイズ測定装置でのRFノイズレベルを決定するように適応される、請求項1に記載のワイヤレス通信ネットワーク。
【請求項4】
前記電力設定装置は、前記RFノイズレベルを利用して、前記ベースノード、前記フィールドノード、及び前記参照基準ノードのうちの少なくとも1つのワイヤレストランシーバのRF電力設定を調節するように更に適応される、請求項3に記載のワイヤレス通信ネットワーク。
【請求項5】
前記RFノイズ測定装置は、(1)時刻、(2)曜日及び(3)日にちのうち少なくとも1つの関数として、前記RFノイズレベルを予測するRFノイズ予測関数を生成するように更に適応される、請求項3に記載のワイヤレス通信ネットワーク。
【請求項6】
前記電力設定装置は、前記RFノイズ予測機能を使用して、前記ベースノード、前記フィールドノード、及び前記参照基準ノードのうちの少なくとも1つの前記ワイヤレストランシーバのRF電力設定を調節するように更に適応される、請求項5に記載のワイヤレス通信ネットワーク。
【請求項7】
前記RFノイズ測定装置は、前記参照基準ノードの複数位置でRFノイズレベルを測定するように適応され、
前記電力設定装置は、前記ベースノード及び前記フィールドノードの少なくとも1つからのそれぞれの複数位置における前記参照基準ノードの距離を、測定して記録するように適応され、
前記電力設定装置は、前記複数位置における前記RFノイズレベルと、前記ベースノード及び前記フィールドノードのうちの少なくとも1つ及び前記それぞれの複数位置における前記参照基準ノードの間の距離と、に基づいて、前記参照基準ノードの最適位置を決定する、請求項3に記載のワイヤレス通信ネットワーク。
【請求項8】
前記電力設定装置は、前記複数位置における前記RFノイズレベルと、前記ベースノード及び前記フィールドノードのうちの少なくとも1つ及び前記それぞれの複数位置における前記参照基準ノードの間の距離と、に基づいて、前記ベースノード及び前記フィールドノードの少なくとも1つの地理的な位置を決定するように更に適応される、請求項7に記載のワイヤレス通信ネットワーク。
【請求項9】
ワイヤレス変換ユニット及びワイヤレストランシーバを有する中継器ノードを更に備え、前記中継器ノードは、前記ベースノード、前記フィールドノード、及び環境ノード間のワイヤレス通信を達成する、請求項1に記載のワイヤレス通信ネットワーク。
【請求項10】
前記参照基準ノードは、複数のセンサ装置を更に備え、前記複数のセンサ装置のそれぞれは、温度、大気圧、湿度、降雨量及びラジオ無線周波数周囲騒音からなる群から選択されたデータを提供する、請求項1に記載のワイヤレス通信ネットワーク。
【請求項11】
前記フィールドノードに取り付けられた前記フィールド装置は、HARTプロトコル装置及びフィールドバス(商標)プロトコル装置の少なくとも1つである、請求項1に記載のワイヤレス通信ネットワーク。
【請求項12】
プロセス領域内の異なる位置に関する環境データの通信に向けて、前記プロセス領域の周りに戦略的に置かれた複数の環境ノードを更に備える、請求項1に記載のワイヤレス通信ネットワーク。
【請求項13】
前記ベースノード、環境ノード、及び前記フィールドノードは、網目状通信ネットワーク及び二地点間通信ネットワークのうちの少なくとも1つを形成する、請求項1に記載のワイヤレス通信ネットワーク。
【請求項14】
前記電力設定装置は、前記複数位置における前記RFノイズレベルと、前記ベースノード及び前記フィールドノードの少なくとも1つからのそれぞれの複数位置における前記参照基準ノードの距離と、に基づいて、選択ネットワーク構成を決定するように更に適応される、請求項13に記載のワイヤレス通信ネットワーク。
【請求項15】
前記ベースノード、前記環境ノード、及び前記フィールドノードを、網目状通信ネットワークから二地点間通信ネットワークに変換するため、及びその逆に変換するための切替え装置を更に備える、請求項14に記載のワイヤレス通信ネットワーク。
【請求項16】
前記ホストはモニタを備え、前記ホストは、前記ネットワークの前記ベースノード、前記フィールドノード、及び前記参照基準ノードのそれぞれの間におけるワイヤレス通信を示すトポロジ画面表示を、前記モニタ上に提供するようにプログラムされている、請求項1に記載のワイヤレス通信ネットワーク。
【請求項17】
前記トポロジ画面表示は、更に前記ベースノード、前記フィールドノード、環境ノードが配置されているプロセス領域の構造的特徴も示す、請求項16に記載のワイヤレス通信ネットワーク。
【請求項18】
前記トポロジ画面表示は、更に前記ベースノード、前記参照基準ノード、及び前記フィールドノードのいくつかにおけるRF受信強度を示す、請求項16に記載のワイヤレス通信ネットワーク。
【請求項19】
前記ホストはモニタを備え、前記ホストが、前記ネットワークの前記フィールドノード、前記環境ノード、及び前記ベースノードのそれぞれの間のホップ数を一覧する表形式の画面表示を前記モニタ上に提供するようにプログラムされている、請求項1に記載のワイヤレス通信ネットワーク。
【請求項20】
前記ベースノード、前記フィールドノード、及び前記参照基準ノードの少なくとも1つに設置されたRFノイズ測定装置を更に備え、
前記RFノイズ測定装置は、事前に設定された期間を通じて前記RFノイズ測定装置でのRFノイズレベルを決定するように適応され、
前記電力設定装置は、前記RFノイズレベルを利用して前記ベースノード、前記フィールドノード、及び前記参照基準ノードの経路指定表を調節するように更に適応される、請求項1に記載のワイヤレス通信ネットワーク。
【請求項21】
参照基準ノードから地理的位置データを受信することと、
前記参照基準ノードの1つ又は複数の環境フィールド装置から環境データを受信することと、
前記環境データ及び前記地理的位置データを、ホストに通信可能に取り付けられているベースノードにワイヤレスで伝送することと、
前記ホストで前記環境データ及び前記地理的位置データを解釈し、
前記環境データ及び前記地理的位置データに基づいて、前記ワイヤレスネットワークの少なくとも1つの動作パラメータを調節するように、前記ホストから前記ベースノードに命令を送信し、
前記ベースノードからフィールド装置に取り付けられた少なくとも1つのフィールドノードにワイヤレスで命令を伝送することと、を備える、
ワイヤレスプロセス制御ネットワークを監視する方法。
【請求項22】
前記環境データは、温度、大気圧、湿度、降雨量及び無線周波数(RF)ノイズからなる群から選択されたデータである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記地理的位置データは、前記ベースノード、前記参照基準ノード、及び前記フィールドノードの少なくとも1つの地理的位置を更に含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記RFノイズデータは、事前に設定された期間を通じての前記参照基準ノードにおけるRFノイズデータを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記動作パラメータは、前記少なくとも1つのフィールドノードのそれぞれのRF電力設定である、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記動作パラメータは、ワイヤレスネットワークのための経路指定表である、請求項21に記載の方法。
【請求項1】
ベースノード、フィールドノード、参照基準ノード、及びホストを備え、
前記ベースノードは、前記ホストに通信可能に連結され、
前記ベースノード、前記フィールドノード、及び前記参照基準ノードは、それぞれワイヤレス変換ユニットとワイヤレストランシーバとを有し、
前記ベースノード、前記フィールドノード、及び前記参照基準ノードの前記ワイヤレストランシーバは、前記ベースノード、前記フィールドノード、及び前記参照基準ノード間のワイヤレス通信を達成し、
前記フィールドノードは、プロセス制御データを提供する少なくとも1つのフィールド装置を有し、
前記参照基準ノードは、前記参照基準ノードの地理的位置を決定するように適応された地理的測位装置を有し、
前記ベースノード及び参照基準ノードのうちの少なくとも1つに配置される電力設定装置を備え、
前記電力設定装置は、
前記参照基準ノードに対する、前記ベースノード及び前記フィールドノードそれぞれの地理的位置を決定し、
前記ベースノード及び前記フィールドノードのうちの少なくとも1つの前記地理的位置を利用して、前記ベースノード、前記フィールドノード、及び前記参照基準ノードのうちの少なくとも1つの前記ワイヤレストランシーバのRF電力設定を決定するように適応される、
ワイヤレス通信ネットワーク。
【請求項2】
前記参照基準ノードは、携帯型装置を使用して実装される、請求項1に記載のワイヤレス通信ネットワーク。
【請求項3】
前記ベースノード、前記フィールドノード、及び前記参照基準ノードのうちの少なくとも1つに配置されるRFノイズ測定装置を更に備え、
前記RFノイズ測定装置は、事前に設定された期間を通じて前記RFノイズ測定装置でのRFノイズレベルを決定するように適応される、請求項1に記載のワイヤレス通信ネットワーク。
【請求項4】
前記電力設定装置は、前記RFノイズレベルを利用して、前記ベースノード、前記フィールドノード、及び前記参照基準ノードのうちの少なくとも1つのワイヤレストランシーバのRF電力設定を調節するように更に適応される、請求項3に記載のワイヤレス通信ネットワーク。
【請求項5】
前記RFノイズ測定装置は、(1)時刻、(2)曜日及び(3)日にちのうち少なくとも1つの関数として、前記RFノイズレベルを予測するRFノイズ予測関数を生成するように更に適応される、請求項3に記載のワイヤレス通信ネットワーク。
【請求項6】
前記電力設定装置は、前記RFノイズ予測機能を使用して、前記ベースノード、前記フィールドノード、及び前記参照基準ノードのうちの少なくとも1つの前記ワイヤレストランシーバのRF電力設定を調節するように更に適応される、請求項5に記載のワイヤレス通信ネットワーク。
【請求項7】
前記RFノイズ測定装置は、前記参照基準ノードの複数位置でRFノイズレベルを測定するように適応され、
前記電力設定装置は、前記ベースノード及び前記フィールドノードの少なくとも1つからのそれぞれの複数位置における前記参照基準ノードの距離を、測定して記録するように適応され、
前記電力設定装置は、前記複数位置における前記RFノイズレベルと、前記ベースノード及び前記フィールドノードのうちの少なくとも1つ及び前記それぞれの複数位置における前記参照基準ノードの間の距離と、に基づいて、前記参照基準ノードの最適位置を決定する、請求項3に記載のワイヤレス通信ネットワーク。
【請求項8】
前記電力設定装置は、前記複数位置における前記RFノイズレベルと、前記ベースノード及び前記フィールドノードのうちの少なくとも1つ及び前記それぞれの複数位置における前記参照基準ノードの間の距離と、に基づいて、前記ベースノード及び前記フィールドノードの少なくとも1つの地理的な位置を決定するように更に適応される、請求項7に記載のワイヤレス通信ネットワーク。
【請求項9】
ワイヤレス変換ユニット及びワイヤレストランシーバを有する中継器ノードを更に備え、前記中継器ノードは、前記ベースノード、前記フィールドノード、及び環境ノード間のワイヤレス通信を達成する、請求項1に記載のワイヤレス通信ネットワーク。
【請求項10】
前記参照基準ノードは、複数のセンサ装置を更に備え、前記複数のセンサ装置のそれぞれは、温度、大気圧、湿度、降雨量及びラジオ無線周波数周囲騒音からなる群から選択されたデータを提供する、請求項1に記載のワイヤレス通信ネットワーク。
【請求項11】
前記フィールドノードに取り付けられた前記フィールド装置は、HARTプロトコル装置及びフィールドバス(商標)プロトコル装置の少なくとも1つである、請求項1に記載のワイヤレス通信ネットワーク。
【請求項12】
プロセス領域内の異なる位置に関する環境データの通信に向けて、前記プロセス領域の周りに戦略的に置かれた複数の環境ノードを更に備える、請求項1に記載のワイヤレス通信ネットワーク。
【請求項13】
前記ベースノード、環境ノード、及び前記フィールドノードは、網目状通信ネットワーク及び二地点間通信ネットワークのうちの少なくとも1つを形成する、請求項1に記載のワイヤレス通信ネットワーク。
【請求項14】
前記電力設定装置は、前記複数位置における前記RFノイズレベルと、前記ベースノード及び前記フィールドノードの少なくとも1つからのそれぞれの複数位置における前記参照基準ノードの距離と、に基づいて、選択ネットワーク構成を決定するように更に適応される、請求項13に記載のワイヤレス通信ネットワーク。
【請求項15】
前記ベースノード、前記環境ノード、及び前記フィールドノードを、網目状通信ネットワークから二地点間通信ネットワークに変換するため、及びその逆に変換するための切替え装置を更に備える、請求項14に記載のワイヤレス通信ネットワーク。
【請求項16】
前記ホストはモニタを備え、前記ホストは、前記ネットワークの前記ベースノード、前記フィールドノード、及び前記参照基準ノードのそれぞれの間におけるワイヤレス通信を示すトポロジ画面表示を、前記モニタ上に提供するようにプログラムされている、請求項1に記載のワイヤレス通信ネットワーク。
【請求項17】
前記トポロジ画面表示は、更に前記ベースノード、前記フィールドノード、環境ノードが配置されているプロセス領域の構造的特徴も示す、請求項16に記載のワイヤレス通信ネットワーク。
【請求項18】
前記トポロジ画面表示は、更に前記ベースノード、前記参照基準ノード、及び前記フィールドノードのいくつかにおけるRF受信強度を示す、請求項16に記載のワイヤレス通信ネットワーク。
【請求項19】
前記ホストはモニタを備え、前記ホストが、前記ネットワークの前記フィールドノード、前記環境ノード、及び前記ベースノードのそれぞれの間のホップ数を一覧する表形式の画面表示を前記モニタ上に提供するようにプログラムされている、請求項1に記載のワイヤレス通信ネットワーク。
【請求項20】
前記ベースノード、前記フィールドノード、及び前記参照基準ノードの少なくとも1つに設置されたRFノイズ測定装置を更に備え、
前記RFノイズ測定装置は、事前に設定された期間を通じて前記RFノイズ測定装置でのRFノイズレベルを決定するように適応され、
前記電力設定装置は、前記RFノイズレベルを利用して前記ベースノード、前記フィールドノード、及び前記参照基準ノードの経路指定表を調節するように更に適応される、請求項1に記載のワイヤレス通信ネットワーク。
【請求項21】
参照基準ノードから地理的位置データを受信することと、
前記参照基準ノードの1つ又は複数の環境フィールド装置から環境データを受信することと、
前記環境データ及び前記地理的位置データを、ホストに通信可能に取り付けられているベースノードにワイヤレスで伝送することと、
前記ホストで前記環境データ及び前記地理的位置データを解釈し、
前記環境データ及び前記地理的位置データに基づいて、前記ワイヤレスネットワークの少なくとも1つの動作パラメータを調節するように、前記ホストから前記ベースノードに命令を送信し、
前記ベースノードからフィールド装置に取り付けられた少なくとも1つのフィールドノードにワイヤレスで命令を伝送することと、を備える、
ワイヤレスプロセス制御ネットワークを監視する方法。
【請求項22】
前記環境データは、温度、大気圧、湿度、降雨量及び無線周波数(RF)ノイズからなる群から選択されたデータである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記地理的位置データは、前記ベースノード、前記参照基準ノード、及び前記フィールドノードの少なくとも1つの地理的位置を更に含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記RFノイズデータは、事前に設定された期間を通じての前記参照基準ノードにおけるRFノイズデータを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記動作パラメータは、前記少なくとも1つのフィールドノードのそれぞれのRF電力設定である、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記動作パラメータは、ワイヤレスネットワークのための経路指定表である、請求項21に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
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【図9】
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【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2008−167438(P2008−167438A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−333349(P2007−333349)
【出願日】平成19年12月25日(2007.12.25)
【出願人】(594120847)フィッシャー−ローズマウント システムズ, インコーポレイテッド (231)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月25日(2007.12.25)
【出願人】(594120847)フィッシャー−ローズマウント システムズ, インコーポレイテッド (231)
【Fターム(参考)】
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