説明

ジッタ測定装置、ジッタ測定方法、記録媒体、通信システム、および試験装置

【課題】短いサンプリング時間で精度よくジッタを求めることができる、ジッタ測定装置、ジッタ測定方法等を提供する。
【解決手段】周期Tの被測定信号をサンプリングするサンプリング部と、前記サンプリング部がサンプリングしたサンプル値の順序を再配列して、周期Tの再構成波形を形成する波形再構成部と、前記再構成波形におけるエッジ部のタイミング分布を生成する分布生成部と、前記タイミング分布の統計値を計算する統計値計算部とを備えたジッタ測定装置を提供する。前記サンプリング部は、周期Tの被測定信号がM周期繰り返される期間中に、前記Mと互いに素な関係の数Nの回数だけ前記被測定信号をサンプリングしてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジッタ測定装置、ジッタ測定方法、記録媒体、通信システム、および試験装置に関する。特に、電圧コンパレータ等のデジタルコンパレータを用いてタイミングジッタを測定する、ジッタ測定装置、ジッタ測定方法、記録媒体、通信システム、および試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタルコンパレータを用いたタイミングジッタ測定法として、アンダサンプル・コンパレータ法とフェイルカウンタ法とが知られている。これらの方法では、被測定信号のジッタヒストグラムジッタを求めて、ジッタの二乗平均平方根(以下、RMSと称する場合がある。)を測定する。
【0003】
アンダサンプル・コンパレータ法は、タイミング発生器から供給されるストローブのタイミングにおいて、被試験信号の遷移エッジの電圧と参照電圧とを比較して、遷移エッジタイミングに伴ったhigh論理またはlow論理を生成する。このとき、試験サイクルの開始時刻から生成されるトリガ信号が、ストローブとして繰り返し用いられ、ストローブの時間シフト量を増加させながら変動するエッジタイミングをサンプリングする。
【0004】
そして、上記サンプリングにより得られたデータに基づき、各ストローブ位置におけるhigh論理の確率を計算して、遷移エッジタイミングの累積密度関数(cumulative density function、以下、CDFと称する場合がある)、および、遷移エッジタイミングの確率密度関数(probabiity density function、以下、PDFと称する場合がある)を求める。これにより、ジッタを測定することができる(非特許文献1)。
【0005】
フェイルカウンタ法は、ストローブにより指定されるタイミングにおいて、被試験信号の論理値を期待値と比較することで、ジッタを測定する。エッジタイミングのCDFは、誤り計数器(fail counter)を用いて求めることができる(非特許文献2)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】W.Dalal,and D.Rosenthal,"Measuring Jitter of High Speed Data Channels Using Undersampling Techniques," in Proc.IEEE International Test Conference,pp.814−818,Washington,D.C., Oct.18−23,1998.
【非特許文献2】Y.Cai, L.Fang, R.Ratemo, J.Liu, K.Gross, and M.Kozma,"A Test Case for 3 Gbps Serial Attached SCSI(SAS)," in Proc.IEEE International Test Conference,Austin,TX,Nov.8−10,2005.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記タイミングジッタ測定法は、ストローブの時間シフト量を少しずつ増加させながら、各ストローブタイミングにおけるhigh論理の確率を計算して、CDFを求める。このようなストローブの時間シフト量を少しずつ増加させる方法では、ジッタ解析に用いられるデータ数をサンプリングするのに時間がかかる。そこで、短いサンプリング時間で精度よくジッタを求めることができる、ジッタ測定装置、ジッタ測定方法等が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、本発明の1つの側面においては、上記の課題を解決することのできるジッタ測定装置、ジッタ測定方法、記録媒体、通信システム、および試験装置を提供することを目的とする。この目的は特許請求の範囲における独立項に記載の特徴の組み合わせにより達成される。また従属項は本発明の更なる有利な具体例を規定する。
【0009】
即ち、本発明の第1の形態によると、周期Tの被測定信号をサンプリングするサンプリング部と、前記サンプリング部がサンプリングしたサンプル値の順序を再配列して、周期Tの再構成波形を形成する波形再構成部と、前記再構成波形におけるエッジ部のタイミング分布を生成する分布生成部と、前記タイミング分布の統計値を計算する統計値計算部と、を備えたジッタ測定装置が提供される。また、前記サンプリング部は、周期Tの被測定信号がM周期繰り返される期間中に、前記Mと互いに素な関係の数Nの回数だけ前記被測定信号をサンプリングしてもよい。さらに、前記波形再構成部は、前記サンプリング部がサンプリングしたサンプル値の順序を、0からN−1までの整数で表される当初の順序kに対し、i=k・M mod N、の関係にある再配列順序iに再配列して、周期Tの再構成波形を形成してもよい。
【0010】
前記統計値計算部は、前記統計値として、前記タイミング分布の期待値を計算してもよい。また、前記統計値計算部は、前記統計値として、前記タイミング分布の分布幅を計算してもよい。前記被測定信号の理想エッジタイミングを計算する理想タイミング計算部と、前記統計値計算部が計算した前記タイミング分布の期待値と前記理想タイミング計算部が計算した前記理想エッジタイミングとの差分を時系列に配列した誤差系列の統計値を算出する誤差系列統計値計算部とをさらに備えてもよい。前記被測定信号の理想エッジタイミングを計算する理想タイミング計算部と、前記統計値計算部が計算した前記タイミング分布の期待値と前記理想タイミング計算部が計算した前記理想エッジタイミングとの差分を時系列に配列した誤差系列の周波数成分を算出するフーリエ変換部とをさらに備えてもよい。
【0011】
前記分布生成部は、前記再構成波形を単位周期ごとに分割して、複数の単位周期波形を生成する単位周期波形生成部と、前記複数の単位周期波形について、同一位相における前記サンプル値を加算して、各位相における加算値を計算する加算値計算部と、位相が隣接する二つの前記加算値における差分を計算する差分計算部とを有し、前記差分計算部が計算した前記差分に基づいて、前記タイミング分布を生成してもよい。
【0012】
前記分布生成部は、前記単位周期波形生成部で生成した前記単位周期波形を反転する波形反転部をさらに備え、前記加算値計算部は、立ち上がりエッジを含む前記単位周期波形の前記サンプル値と、前記波形反転部により反転された立下りエッジを含む前記単位周期波形の前記サンプル値とを加算してもよく、または、立下りエッジを含む前記単位周期波形の前記サンプル値と、前記波形反転部により反転された立ち上がりエッジを含む前記単位周期波形の前記サンプル値とを加算してもよい。また、前記被測定信号における所定のビット数おきに、前記単位周期波形生成部が生成する単位周期波形を選択する所定ビット間隔単位周期波形群選択部をさらに備え、前記加算値計算部は、前記所定ビット間隔単位周期波形群選択部が選択した前記単位周期波形群について、立ち上がりエッジを含む前記単位周期波形の前記サンプル値と前記波形反転部により反転された立下りエッジを含む前記単位周期波形の前記サンプル値とを加算してもよい。前記加算値計算部は、立ち上がりエッジを含む前記単位周期波形の前記サンプル値、または、立下りエッジを含む前記単位周期波形の前記サンプル値を加算してもよい。
【0013】
前記単位周期波形生成部が生成する単位周期波形のうち、その直前の前記被測定信号に同じデータ配列を有する単位周期波形群を選択する同一データ配列単位周期波形群選択部をさらに備え、前記加算値計算部は、前記同一データ配列単位周期波形群選択部が選択した前記単位周期波形群について、前記サンプル値を加算してもよい。前記被測定信号における所定のビット数おきに、前記単位周期波形生成部が生成する単位周期波形を選択する所定ビット間隔単位周期波形群選択部をさらに備え、前記加算値計算部は、前記所定ビット間隔単位周期波形群選択部が選択した前記単位周期波形群について、前記サンプル値を加算してもよい。
【0014】
上記構成は、同様の構成を備える、ジッタ測定方法、ジッタ測定装置用のプログラムを記録した記録媒体、送信部と受信部とを備える通信システム、および、被試験デバイスに試験信号を与えて前記被試験デバイスを試験する試験装置として提供されてもよい。また、上記通信システムおよび上記試験装置は、前記統計値計算部が計算した前記統計値を前記被測定信号のジッタ値として通知するジッタ値通知部をさらに有し、前記ジッタ値通知部から通知された前記ジッタ値に応じて、ジッタ値が小さくなるよう前記被測定信号の周波数特性を補正する周波数特性補正部を有してもよい。
【0015】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】ジッタ測定装置100の構成の一例を概略的に表す。
【図2】波形処理部140の構成の一例を概略的に表す。
【図3】統計値計算部146の構成の一例を概略的に表す。
【図4】再構成波形の形成方法を概略的に表す。
【図5】入力波形X[k]のサンプル値の一例を表す。
【図6】被測定信号10を再構成した波形の一例を概略的に表す。
【図7】被測定信号10に含まれる単位周期波形の一例を概略的に表す。
【図8】被測定信号10に含まれる単位周期波形の一部を反転させた場合の一例を概略的に表す。
【図9】被測定信号10に含まれる単位周期波形を加算して得られた加算波形の一例を概略的に表す。
【図10】加算波形を微分して得られる差分波形の一例を概略的に表す。
【図11】エッジタイミング分布の一例を概略的に表す。
【図12】ジッタ測定装置100における処理の手順を表す。
【図13】分布生成部144の構成の他の例を概略的に表す。
【図14】他の実施例における処理の手順を表す。
【図15】他の実施例におけるエッジタイミング分布を概略的に表す。
【図16】半導体試験装置1600の構成の一例を概略的に表す。
【図17】通信システム1700の構成の一例を概略的に表す。
【図18】ジッタ測定装置100のハードウェア構成の一例を表す。
【図19】スキュー測定装置1900の構成の一例を概略的に表す。
【図20】立上り時間/立下り時間測定装置2000の構成の一例を概略的に表す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0018】
図1は、ジッタ測定装置100の構成の一例を概略的に表すブロック図である。ジッタ測定装置100は、被測定信号10が入力されると、被測定信号10のジッタ値を出力する。ジッタ測定装置100は、データ依存ジッタ値等の確定ジッタ値、および、当該確定ジッタの周波数成分を出力してもよい。ジッタ測定装置100は、サンプリング部110と、ジッタ算出部130とを備え、メモリ120を備えてもよい。
【0019】
サンプリング部110は、周期Tの被測定信号10をサンプリングする。サンプリング部110は、周期Tの被測定信号10がM周期繰り返される期間中に、Mと互いに素な関係の数Nの回数だけ被測定信号10をサンプリングしてよい。サンプリング部110は、例えば、ストローブタイミング118に基づいて、入力された被測定信号10をサンプリング周期Tsでサンプリングして、入力波形X[k]を形成する。ここで、kは、サンプリング部110がサンプリングしたサンプル値の順序を表しており、0からN−1までの整数であってよい。kはサンプリングされた当初の順序を表しており、入力波形X[k]は、サンプリングされた順にkの値が増加する。
【0020】
サンプリング部110としては、例えば、AD変換器または電圧コンパレータ(以下、ADCと称する場合がある。)が用いられる。また、サンプリング部110は、デジタルコンパレータもしくは波形デジタライザであってもよい。ADCの分解能は、例えば、1ビットまたは1.6ビットが用いられる。分解能が1ビットのADCを用いた場合には、入力波形X[k]のサンプル値は2値の論理値で表されてよく、例えば、0または1のいずれかで表される。また、分解能が1.6ビットのADCを用いた場合には、入力波形X[k]のサンプル値は3値で表されてよい。なお、サンプリング部110は、周期Tの被測定信号10がM周期繰り返される期間中のみ被測定信号10をサンプリングする場合に限定されるものでなく、例えば、被測定信号10が5M周期繰り返される期間中、被測定信号10をサンプリングしてもよい。
【0021】
メモリ120は、サンプリング部110のサンプリング結果等を格納してもよい。メモリ120は、例えば、サンプリング部110が被測定信号10をサンプリングして得られた入力波形X[k]のサンプル値を、0からN−1までの整数で表される当初の順序kに対応づけて格納してよい。
【0022】
ジッタ算出部130は、被測定信号10のエッジタイミング分布を求めて、被測定信号10のジッタ値を出力する。ジッタ算出部130は、メモリ120に格納された入力波形X[k]を呼び出して、被測定信号10のジッタ値を求めてもよい。ジッタ算出部130は、波形処理部140を有して、理想タイミング計算部150と、誤差系列生成部160と、誤差系列統計値計算部170と、フーリエ変換部180とを有してもよい。
【0023】
波形処理部140は、例えば、メモリ120から呼び出した入力波形X[k]が入力されると、被測定信号10のエッジタイミング分布の統計値を出力する。波形処理部140は、波形再構成部142と、分布生成部144と、統計値計算部146とを含む。
【0024】
波形再構成部142は、サンプリング部110がサンプリングした入力波形X[k]のサンプル値の順序を再配列して、周期Tの再構成波形X[i]を形成する。ここで、iは、再配列順序を表す。再配列順序iは、当初の順序kに対して式(1)で表される関係にあり、0からN−1までの整数であってよい。また、Mが任意の自然数nを用いてM=nN+1と表される場合には、i=kとなるので、上記再配列処理を省略できる。
i=(k・M) mod N ・・・(1)
【0025】
これにより、被測定信号10が周期Tを有しており、MとNとが互いに素(coprime)の関係にある場合には、見かけ上、サンプリング周期Tsよりも短い周期Teで被測定信号10をサンプリングできる。このような実効的なサンプリング周期Teは、式(2)で表される。以下、上記実効的なサンプリング周期Teを、等価サンプリング時間間隔(equivalent sampling time interval)と称する場合がある。
Te = T/N = Ts/M ・・・(2)
【0026】
分布生成部144は、再構成波形X[i]におけるエッジ部のタイミング分布(以下、エッジタイミング分布と称する場合がある。エッジタイミング分布は、タイミング分布の一例であってよい。)を生成する。エッジタイミング分布は、例えば、被測定信号10に含まれる各エッジにおけるエッジタイミングのPDFであってよい。
【0027】
統計値計算部146は、上記エッジタイミング分布の統計値を計算する。統計値計算部146は、統計値として、上記エッジタイミング分布の期待値、または上記エッジタイミング分布の分布幅を計算してもよい。ここで、期待値としては、例えば、平均値が用いられる。また、分布幅は、データのばらつきの範囲を示す指標であってよく、例えば、分散、標準偏差、四分位偏差、二乗平均平方根、ピークツゥピーク値、半値幅等であってよい。ジッタ測定装置100は、上記エッジタイミング分布の分布幅を、被測定信号10のジッタ値として出力してもよい。
【0028】
理想タイミング計算部150は、被測定信号10の理想エッジタイミングを計算してよい。理想タイミング計算部150は、被測定信号10に含まれるエッジ部毎に被測定信号10の理想エッジタイミングを計算してよい。本明細書において、理想エッジタイミングとは、被測定信号10がジッタを有していないと仮定した場合におけるエッジタイミングを意味する。
【0029】
誤差系列生成部160は、統計値計算部146が計算した上記エッジタイミング分布の期待値と理想タイミング計算部150が計算した理想エッジタイミングとの誤差を時系列に配列した誤差系列を生成してよい。誤差系列生成部160は、例えば、被測定信号10に含まれるある特定のエッジについて、上記エッジタイミング分布から求まるエッジタイミングの期待値と、上記エッジに対応する理想エッジタイミングとの差分を誤差として計算してよい。誤差系列生成部160は、複数のエッジについて上記誤差を計算して、エッジと当該エッジにおける上記誤差とが対応づけられた誤差系列を生成してもよい。これにより、タイミングジッタのランダム成分を平均化することができ、例えば、データ依存ジッタ等の確定ジッタを測定できる。
【0030】
誤差系列統計値計算部170は、上記誤差系列の統計値を算出してよい。上記誤差系列の統計値としては、統計値計算部146において算出される統計値と同様であってよいが、例えば、二乗平均平方根、ピークツゥピーク値であってよい。
【0031】
フーリエ変換部180は、上記誤差系列をフーリエ変換して、上記誤差系列の周波数成分を算出する。フーリエ変換部180は、上記誤差系列に含まれる上記誤差が時間軸上で等間隔に並んでいない場合には、ジッタ値のないビット境界におけるジッタ値を前後のジッタ値から補間して、時間軸上で等間隔に並んだ誤差系列を生成して、当該補間後の誤差系列をフーリエ変換してもよい。
【0032】
なお、ジッタ測定装置100は、ハードウエアによって構成されてもよく、ソフトウエアで構成され、図示していない演算装置を用いて処理を実行してもよい。演算装置として、CPUまたは制御用コンピュータを用いてもよい。また、ジッタ算出部130に含まれる構成要素の機能は厳密に区別されるものではなく、例えば、統計値計算部146が分布生成部144の機能を有してもよく、誤差系列生成部160が波形処理部140の機能を有してもよい。
【0033】
図2は、波形処理部140の構成の一例を概略的に表すブロック図である。上記の通り、波形処理部140は、波形再構成部142と、分布生成部144と、統計値計算部146とを含む。分布生成部144は、単位周期波形生成部202と、加算値計算部208と、差分計算部210とを有して、単位周期波形群選択部204と、波形反転部206とを有してもよい。
【0034】
単位周期波形生成部202は、波形再構成部142から再構成波形X[i]が入力されると、X[i]を所定の単位周期Tu毎に分割して、複数の単位周期波形X[m]を生成する。このとき、単位周期波形X[m]が中央近傍にエッジ部を有するように、再構成波形X[i]を分割することが好ましい。
【0035】
ここで、Tuは被測定信号10のビット時間間隔を表すビット周期Tbと係数Luとを用いて、Tu=Lu・Tbで表される。Tuとしては、例えば、Lu=1として、被測定信号10のビット時間間隔を表すビット周期Tbであってもよく、Tu/Teが正の整数となるように選ばれることが好ましい。Luは、正の整数であることが好ましい。pは、複数の単位周期波形X[m]における、ある単位周期波形X[m]の順序を表す。pは、例えば、サンプリングした被測定信号10に含まれる単位周期波形X[m]の個数Nuを用いて、1からNuまでの整数で表される。Nuは、被測定信号10のサンプリング期間によっては、Nより大きくてもよい。
【0036】
mは、単位周期波形X[m]におけるサンプル値の順序を表す。以下、mを分割後の順序と称する場合がある。分割後の順序mは、再配列順序iに対して、式(3)で表される関係にある。式(3)において、Tu/Teは、単位周期波形X[m]に含まれるサンプル値の個数を表す。mは、例えば、0から(Tu/Te)−1までの整数で表される。
m= i mod (Tu/Te)= i mod (N・Tu/T)・・・(3)
【0037】
単位周期波形群選択部204は、単位周期波形生成部202において再構成波形X[i]が分割されて生成した、複数の単位周期波形X[m]の中から、所定の特徴を有する単位周期波形X[m]を選択して、単位周期波形群を生成してよい。単位周期波形群選択部204は、例えば立上りエッジを有する単位周期波形X[m]のみを選択してもよく、立下りエッジを有する単位周期波形X[m]のみを選択してもよい。例えば、分解能が1ビットのADCを用いた場合には、1番目のサンプル値がlow論理である単位周期波形X[m]のみを選択することで、立上りエッジを有する単位周期波形X[m]を選択してもよく、1番目のサンプル値がhigh論理である単位周期波形X[m]のみを選択することで、立下りエッジを有する単位周期波形X[m]を選択してもよい。
【0038】
波形反転部206は、単位周期波形生成部202で生成した単位周期波形X[m]を反転してよい。これにより、例えば、立下りエッジを有する単位周期波形X[m]を、立上りエッジを有する単位周期波形X[m]に反転できる。なお、単位周期波形X[m]を反転した場合であっても、反転された単位周期波形X[m]に含まれるエッジのエッジタイミングは変化しない。
【0039】
加算値計算部208は、複数の単位周期波形X[m]について、同一位相におけるサンプル値を加算して、各位相における加算値を計算する。例えば、加算値計算部208は、単位周期波形X[m]に含まれる、再配列順序iに対して、m=i mod (N・Tu/T)、の関係にある分割後の順序mごとのサンプル値を、分割後の順序mごとに複数の単位周期波形X[m]について加算して、分割後の順序mごとの加算値を計算してよい。また、加算値計算部208は、立上りエッジを含む単位周期波形X[m]のサンプル値と、波形反転部206により反転された立下りエッジを含む単位周期波形X[m]の反転されたサンプル値とを加算してよい。また、加算値計算部208は、立下りエッジを含む単位周期波形X[m]のサンプル値と、波形反転部206により反転された立上りエッジを含む単位周期波形X[m]の反転されたサンプル値とを加算してもよい。
【0040】
さらに、加算値計算部208は、立上りエッジを含む単位周期波形X[m]のサンプル値のみを加算してもよく、立下りエッジを含む単位周期波形X[m]のサンプル値のみを加算してもよい。例えば、被測定信号10としてデューティー比が50%でないクロック信号を用いた場合には、立上りエッジと立下がりエッジとでジッタの値が異なる。上記構成によれば、このような場合であっても、立上りエッジまたは立下がりエッジにおけるジッタを、それぞれ、精度よく測定できる。
【0041】
差分計算部210は、位相が隣接する二つの加算値における差分を計算する。例えば、差分計算部210は、複数の単位周期波形X[m]にわたる分割後の順序mごとの、複数の単位周期波形X[m]にわたってサンプル値を加算した加算値のそれぞれについて、隣接する分割後の順序mに対応する加算値との差分を計算してよい。そして、分布生成部144は、差分計算部210が計算した差分に基づいて、タイミング分布を生成する。例えば、分布生成部144は、差分計算部210が計算した差分を分割後の順序mに対応付けて、エッジタイミング分布を生成してよい。
【0042】
図3は、統計値計算部146の構成の一例を概略的に表すブロック図である。統計値計算部146は、分布生成部144の生成したエッジタイミング分布に基づき、エッジタイミング分布の統計値を計算する。統計値計算部146は、期待値計算部302と、分布幅計算部304とを有してもよい。期待値計算部302は、エッジタイミング分布の期待値を計算してよい。エッジタイミング分布の期待値は、例えば、平均値であってよい。また、当該期待値と、理想エッジタイミングとの差分をジッタとして算出してよい。
【0043】
分布幅計算部304は、エッジタイミング分布の分布幅を計算してよい。これにより、エッジタイミング分布の時間軸上における振れ幅を算出できる。また、上記分布幅を、ジッタとして算出してもよい。分布幅計算部304は、標準偏差計算部312と、最大値計算部314と、最小値計算部316と、ピークツゥピーク計算部318とを含んでもよい。標準偏差計算部312は、分布幅の一例である標準偏差を計算してよい。最大値計算部314は、分布幅の一例である分布の最大値を計算してよい。最小値計算部316は、分布幅の一例である分布の最小値を計算してよい。ピークツゥピーク計算部318は、分布幅の一例であるピークツゥピーク値を計算してよい。ピークツゥピーク計算部318は、最大値計算部314で算出された最大値から、最小値計算部316で算出された最小値を引くことで、ピークツゥピーク値を計算してよい。
【0044】
以上の構成により、波形処理部140は、サンプリングされた入力波形X[k]に基づき、被測定信号10のエッジタイミングを生成する。また、生成したエッジタイミング分布の統計値を計算して、エッジタイミング分布の統計値を算出する。次に、波形処理部140を構成する波形再構成部142、分布生成部144および統計値計算部146の動作について、具体例を用いて説明する。
【0045】
図4は、波形再構成部142における再構成波形の形成方法を概略的に表す図である。図4では、被測定信号10が、データ配列"101"を有する3ビットデータ信号の場合を用いて、波形再構成部142における処理の概要を説明する。同図において、上側の太線は被測定信号10を示す。下側の太線は、再構成波形X[i]を示す。また、白丸はlow論理を示して、黒丸はhigh論理を示す。被測定信号10として、ビット周期がTb、データパターンの繰り返し周期Lが3ビットのデータ信号を用いた。サンプリング部110は、被測定信号10の繰り返し周期に同期して、ナイキスト周波数未満のサンプリング周波数Tsで被測定信号10をサンプリングした。等価サンプリング時間間隔TeはTb/3として、サンプリング周期Tsは4Teとした。このとき、N=9、M=4となり、MとNとは互いに素な関係にある。
【0046】
図4において、サンプリング0は、サンプリング開始時点、すなわちk=0のタイミングにおけるサンプリングを表す。同図に示す通り、サンプリング0のタイミングにおける入力波形X[0]のサンプル値はhigh論理であった。サンプリング1は、サンプリング0からTsだけ時間が経過した時点、すなわちk=1のタイミングにおけるサンプリングを表す。サンプリング1のタイミングにおける入力波形X[1]のサンプル値はlow論理であった。以下、同様にしてkが0から8のタイミングにおいて、被測定信号10をサンプリングした結果、入力波形X[k]を得た。
【0047】
サンプリング部110における上記サンプリングで得られた入力波形X[k]のサンプル値は、サンプリング部110がサンプリングした当初の順序kに並んでいる。波形再構成部142において、上記サンプル値の順序を再配列順序iに再配列することで、周期Tの再構成波形X[i]が得られた。再配列順序iは、式(1)により求められる。例えば、k=3に対応するiは、i=(3・4) mod 9=3となる。つまり、サンプリング開始から3Ts時間後にサンプリングしたサンプル値は、再構成波形X[i]においては、サンプリング開始から3Te時間後にサンプリングしたサンプル値として扱われる。kが0から8の場合についても同様にして再配列することで、再構成波形X[i]が得られた。
【0048】
図5は、入力波形X[k]のサンプル値の一例を表す図である。同図は、被測定信号10を分解能が1ビットのADCを用いてサンプリングした場合におけるサンプリング結果の別の例を示す。同図において、被測定信号10としてクロックパターンを用いた。サンプリング周波数Tsはナイキスト周波数以上または未満であってよく、MとNとが互いに素な関係になるように設定した。同図に示す通り、k=0からk=79までのタイミングにおいて、80回サンプリングした。以下、図5に示される入力波形X[k]を用いて、分布生成部144および統計値計算部146における処理の概要を説明する。
【0049】
図6は、図5に示された入力波形X[k]を再構成した再構成波形X[i]の一例を概略的に表す図である。再構成波形X[i]は、i=0からi=79までの80個のサンプル値を有しており、サンプル値とサンプル値との間の時間間隔は、等価サンプリング時間間隔Teで表される。また、再構成波形X[i]は、ビット周期Tbを単位周期Tuとする、単位周期波形X[m]が8回繰り返されていることがわかる。
【0050】
図7は、図6に示された再構成波形X[i]に含まれる単位周期波形X[m]の一例を概略的に表す図である。図7を用いて単位周期波形生成部202における処理の概要を説明する。ビット周期Tbを単位周期Tuとして、再構成波形X[i]を単位周期Tuごとに分割すると、p=1から8まで合計8個の単位周期波形X[m]が得られた。同図に示す通り、それぞれの単位周期波形X[m]は、m=0から9まで合計10個のサンプル値を含む。また、p=1、3、5、7の単位周期波形X[m]は立上りエッジを有しており、p=2、4、6、8の単位周期波形X[m]は立下りエッジを有していることがわかる。
【0051】
図8は、図7に示された単位周期波形の一部を反転させた場合の一例を概略的に表す図である。図8を用いて、単位周期波形群選択部204および波形反転部206における処理の概要を説明する。単位周期波形群選択部204において、図7において立下りエッジを有していた単位周期波形X[m]のみを選択した。波形反転部206において、単位周期波形群選択部204で選択された単位周期波形X[m]の論理値を反転させて、反転波形Xp,rising[m]を得た。これにより、図8における反転波形Xp,rising[m]は、すべて、立上がりエッジを有する。なお、単位周期波形群選択部204において、立上りエッジを有する単位周期波形X[m]のみを選択して、波形反転部206において、当該単位周期波形X[m]の論理値を反転させることで、全ての反転波形が立下りエッジを有するように波形を反転させてもよい。
【0052】
図9は、図8に示された単位周期波形を加算して得られた加算波形XSUM[m]の一例を概略的に表す図である。図9を用いて、加算値計算部208における処理の概要を説明する。加算波形XSUM[m]は、例えば、分割後の順序mのそれぞれについて、p=1から8までの反転波形Xp,rising[m]の論理値を加算して、分割後の順序mごとの加算値を計算することで求めることができる。図9より、XSUM[0]からXSUM[3]の加算値は0、XSUM[4]の加算値は2、XSUM[5]の加算値は6、XSUM[6]からXSUM[9]までの加算値は8であり、エッジタイミングは、m=3からm=6の間にあることがわかる。なお、分解能が1ビットのADCを用いた場合には、サンプル値が2値の論理値で表されるので、加算値はH論理のカウント値と等しい。
【0053】
図10は、加算波形XSUM[m]を微分して得られる差分波形XDIFF[m]の一例を概略的に表す図である。図10を用いて、差分計算部210における処理の概要を説明する。差分波形XDIFF[m]は、例えば、順序mにおける加算波形XSUM[m]の加算値と、順序mに隣接する順序m−1における加算波形XSUM[m−1]の加算値との差分を計算することで求まる。差分波形XDIFF[m]は、エッジタイミング分布の一例であってよい。同図に示すとおり、m=4における差分XDIFF[4]は2、m=5における差分XDIFF[5]は4、m=6における差分XDIFF[6]は2であり、他の分割後の順序mにおけるXDIFF[m]の値は0であった。これにより、エッジタイミングは、m=3とm=6との間にあることがわかる。
【0054】
図11は、エッジタイミング分布の一例を概略的に表す。図11を用いて、統計値計算部146における処理の概要を説明する。統計値計算部146は、差分波形XDIFF[m]を用いて、式(4)により、被測定信号10のエッジタイミング分布の平均値Eを計算してよい。これにより、被測定信号10のエッジタイミングの平均値が得られる。式(4)において、tは、被測定信号10のサンプリング時刻を示しており、t=m・Teで表される。また、max(XSUM[m])は、XSUM[m]の最大値を表す。
【数1】

【0055】
統計値計算部146は、式(5)を用いて標準偏差TJRMSを計算してもよい。また、統計値計算部146は、式(6)を用いてピークツゥピーク値TJPPを計算してもよい。これにより、被測定信号10のタイミングジッタの測定値が得られる。なお、図5から図11においては、クロック信号を用いて、波形処理部140の動作を説明したが、波形処理部140の用途はクロック信号に限定されるものではない。式(6)において、max(t|xDIFF≠0)は、XDIFF[m]がゼロでない最大の時刻tを表しており、min(t|xDIFF≠0)は、XDIFF[m]がゼロでない最小の時刻tを表す。
【数2】

TJPP = Tedge,max − Tedge,min
=max(t|xDIFF≠0)−min(t|xDIFF≠0)・・(6)
【0056】
図12は、ジッタ測定装置100における処理の手順を表すフローチャートを示す。図12を用いて、ジッタ測定装置100の動作を説明する。まず、S1202において、サンプリング部110が、周期Tを有する被測定信号10をサンプリングして、入力波形X[k]のサンプル値を得る。被測定信号10は、被測定信号10がM周期繰り返される期間中に、Mと互いに素な関係の数Nの回数だけ被測定信号10をサンプリングする条件でサンプリングされる。サンプリングしたサンプル値は、メモリ120に格納してもよい。
【0057】
次に、S1204において、波形再構成部142が、入力波形X[k]を再構成して、再構成波形X[i]を生成する。入力波形X[k]の再構成は、メモリ120に格納したサンプル値を呼び出して、当初の順序kに対して、i=(k・M) mod Nの関係にある再配列順序iに再配列してもよい。さらに、S1206において、単位周期波形生成部202が、再構成波形X[i]を単位周期Tuごとに分割して、複数の単位周期波形X[m]を得る。
【0058】
S1208では、S1206で得られた複数の単位周期波形X[m]の中から、エッジタイミング分布を求める対象を選択する。選択モードとしては、例えば、立上りエッジを有する単位周期波形X[m]のみを選択するモード、立下りエッジを有する単位周期波形X[m]のみを選択するモード、全ての単位周期波形X[m]を選択するモードなどが用いられる。
【0059】
S1208で、立上りエッジを有する単位周期波形X[m]のみを選択するモードを選んだ場合(S1208の(a))には、S1210において、立上りエッジを有する単位周期波形X[m]を選択して単位周期波形群を生成する。例えば、単位周期波形群選択部204が、S1206で得られた複数の単位周期波形X[m]の中から、立上りエッジを有する単位周期波形X[m]のみを選択して、立上りエッジを有する単位周期波形群を生成してよい。
【0060】
一方、S1208で、立下りエッジを有する単位周期波形X[m]のみを選択するモード、または、全ての単位周期波形X[m]を選択するモードを選んだ場合(S1208の(b))には、S1212において、立下りエッジを有する単位周期波形X[m]を選択して単位周期波形群を生成する。例えば、単位周期波形群選択部204が、S1206で得られた複数の単位周期波形X[m]の中から、立下りエッジを有する単位周期波形X[m]のみを選択して、立下りエッジを有する単位周期波形群を生成する。そして、S1214において、波形反転部206が、上記立下りエッジを有する単位周期波形群の波形を反転させる。
【0061】
次に、S1216において、加算値計算部208が、S1208で選択したモードに応じて、単位周期波形群選択部204で選択した単位周期波形X[m]の論理値を分割後の順序mごとに加算して、加算波形XSUM[m]を得る。そして、S1218において、差分計算部210が、加算波形XSUM[m]を微分して差分波形XDIFF[m]を得る。差分波形XDIFF[m]は、例えば、等価サンプリング時間間隔Teごとの加算波形XSUM[m]の変化量を計算することで求めることができる。上記加算波形XSUM[m]の変化量は、例えば、順序mにおける加算波形XSUM[m]の加算値と、順序mに隣接する順序m−1における加算波形XSUM[m−1]の加算値との差分を求めることで計算できる。
【0062】
S1220では、統計値計算部146が、S1218で得られた差分波形XDIFF[m]に基づき、エッジタイミング分布の統計値を計算する。エッジタイミング分布の統計値としては、例えば、エッジタイミング分布の平均値E、標準偏差TJRMS、または、ピークツゥピーク値TJPPを計算する。最後に、S1222において、ジッタ算出部130が、エッジタイミング分布の標準偏差TJRMS、または、ピークツゥピーク値TJPPをジッタ値として算出して、処理を終了する。
【0063】
図13は、分布生成部144の構成の他の例を概略的に表すブロック図である。分布生成部1344は、単位周期波形群選択部204に代えて同一データ配列単位周期波形群選択部1304を用いる以外は、分布生成部144と同様の構成を有する。同一データ配列単位周期波形群選択部1304は、単位周期波形生成部202が生成する単位周期波形X[m]のうち、その直前の被測定信号10のサンプル値に同じデータ配列を有する単位周期波形群を選択する。そして、加算値計算部208は、単位周期波形群選択部204が選択した単位周期波形群に代えて、同一データ配列単位周期波形群選択部1304が選択した単位周期波形群について、サンプル値の論理値を加算する。
【0064】
図14は、図13の実施例における処理の手順を表すフローチャートを示す。図14を用いて、被測定信号10がLビットのデータパターンを繰り返す場合に、同一データ配列単位周期波形群選択部1304を用いてデータ依存ジッタを計算する処理について説明する。ここで、Lは、正の整数を表す。S1402からS1406における処理は、S1202からS1206における処理と同様なので説明を省略する。また、S1410からS1414における処理は、S1408で選択された同一データ配列単位周期波形群について処理する以外は、S1216からS1220における処理と同様なので説明を省略する。
【0065】
本実施例では、S1408において、同一データ配列単位周期波形群選択部1304は、測定対象となるエッジの前に同じデータ配列を有する同一データ配列単位周期波形群を生成する。同一データ配列単位周期波形群は、例えば、次のように生成できる。まず、再構成波形X[i]をビット周期Tbごとに分割する。次に、同一データ配列単位周期波形群選択部1304は、被測定信号10に含まれるエッジのうち、ある特定のエッジを測定対象として選択する。そして、各単位周期波形に対して、上記特定エッジの直前のLビットと同一のデータ配列をもつ単位周期波形のみを選択して、抜き出す。これにより、測定対象となるエッジの前に同じデータ配列を有する同一データ配列単位周期波形群を生成できる。
【0066】
S1410からS1414において、S1304で得られた同一データ配列単位周期波形群に含まれる単位周期波形について、S1216からS1220における処理と同様の手順で、エッジタイミング分布およびエッジタイミング分布の平均値を求める。これにより、上記特定エッジにおけるエッジタイミングの平均値を算出できる。被測定信号10に含まれる複数のエッジについて、上記S1408からS1414の通り処理することで、各エッジにおけるエッジタイミングの平均値を算出できる。なお、上記S1408からS1414までの処理は、被測定信号10に含まれる全てのエッジについて行ってもよい。
【0067】
次に、S1416において、誤差系列生成部160が、S1414において統計値計算部146が計算した特定エッジのエッジタイミングの平均値と、理想タイミング計算部150が計算した当該特定エッジの理想エッジタイミングとの差分を計算する。これにより、当該特定エッジにおける理想エッジタイミングからの誤差が求まる。同様にして、S1414においてエッジタイミングの平均値を算出した複数のエッジについても、当該エッジにおける理想エッジタイミングからの誤差を求める。これにより、上記差分を時系列に配列した誤差系列DDJ[j]が生成できる。ここで、jは、誤差系列DDJ[j]における上記誤差の順序を表す。jは、例えば、1からNedgeまでの正の整数であってよい。
【0068】
S1418では、誤差系列DDJ[j]の統計値を計算する。上記統計値としては、式(7)で表される二乗平均根、または、式(8)で表されるピークツゥピーク値を用いてよい。また、フーリエ変換部180により、時間軸上に並んだ誤差系列DDJ[j]をフーリエ変換等により周波数領域の信号に変換してもよい。最後に、S1420において、ジッタ算出部130が、誤差系列DDJ[j]のRMS値DDJRMS、または、ピークツゥピーク値DDJPPをジッタ値として算出して、処理を終了する。
【数3】

DDJPP =max(DDJ[j])−min(DDJ[j]) ・・・(8)
【0069】
図15は、上記他の実施例におけるエッジタイミング分布を概略的に表す図である。同図は、被測定信号50として13ビットのデータ配列が繰り返されるデータ信号が入力された場合におけるエッジタイミング分布を示す。被測定信号50は、M・Tの整数倍の期間においてサンプリングされてもよい。同図において、T、T、T、…、T13は、ビット境界における時刻を表しており、それぞれの時間間隔はビット周期Tbに等しい。また、同図において、Tf,11、Tf,12は、直前の周期におけるビット境界を表す。
【0070】
図15に示す通り、被測定信号50の周期Tは13Tbであり、被測定信号50は周期Tの期間中に8個のエッジを有する。それぞれのエッジについてエッジタイミング分布を求め、各エッジにおける理想エッジタイミングからの誤差を求めることで、誤差系列DDJ[j](j=1、2、…、8)を得た。それぞれのエッジにおけるタイミング分布は、例えば、T12におけるエッジを測定対象とした場合には、Tf,12またはT12を含むビット周期を単位周期波形として選択することで、T12におけるエッジの前に同じデータ配列を有する同一データ配列単位周期波形群を生成した。
【0071】
なお、本実施形態においては、Tf,12とT12のようにT12を含むビット周期をのみを選択したが、このような場合に限定されるものではない。例えば、DDJ[3]に対応するエッジと、DDJ[7]に対応するエッジとは、直前に同一のデータ配列"010"を有する。 そこで、Tを含むビット周期とT10を含むビット周期とを選択して、同一データ配列単位周期波形群を生成してもよい。
【0072】
なお、本実施形態においては、単位周期波形群選択部204に代えて同一データ配列単位周期波形群選択部1304を用いる場合について説明したが、同一データ配列単位周期波形群選択部1304と単位周期波形群選択部204との両方を用いてもよい。また、同一データ配列単位周期波形群選択部1304に代えて、被測定信号50における所定のビット数おきに、単位周期波形生成部202が生成する単位周期波形を選択する所定ビット間隔単位周期波形群選択部を用いてもよい。また、加算値計算部208は、上記所定ビット間隔単位周期波形群選択部が選択した所定ビット間隔単位周期波形群について、例えば、立ち上がりエッジを含む単位周期波形のサンプル値と、波形反転部206により反転された立下りエッジを含む単位周期波形のサンプル値とを加算してもよい。さらに、所定ビット間隔単位周期波形群選択部と単位周期波形群選択部204との両方を用いてもよい。
【0073】
以上の記載によれば、周期Tの被測定信号10をサンプリングするサンプリング段階と、サンプリング段階でサンプリングしたサンプル値の順序を再配列して、周期Tの再構成波形を形成する波形再構成段階と、再構成波形におけるエッジ部のタイミング分布を生成する分布生成段階と、タイミング分布の統計値を計算する統計値計算段階とを備えたジッタ測定方法が開示される。また、上記サンプリング段階において、周期Tの被測定信号がM周期繰り返される期間中に、Mと互いに素な関係の数Nの回数だけ被測定信号をサンプリングするジッタ測定方法、および、上記波形再構成段階において、サンプリング段階でサンプリングしたサンプル値の順序を、0からN−1までの整数で表される当初の順序kに対して、i=k・M mod Nの関係にある再配列順序iに再配列して、周期Tの再構成波形を形成するジッタ測定方法が開示される。
【0074】
図16は、半導体試験装置1600の構成の一例を概略的に表すブロック図である。半導体試験装置1600は、試験装置の一例であってよい。半導体試験装置1600は、被試験デバイス60に試験信号1602を与えて、被試験デバイス60を試験する。半導体試験装置1600は、信号生成部1610と、信号計測部1620とを備える。信号生成部1610は、試験信号1602を生成する。信号計測部1620は、被試験デバイス60が出力する出力信号1604を計測する。出力信号1604は、周期Tを有する。信号生成部1610は、信号発生部1612と、周波数特性補正部1614とを有する。信号計測部1620は、ジッタ測定装置100と、ジッタ値通知部1622とを有する。
【0075】
信号発生部1612は、試験信号1602を発生させる。周波数特性補正部1614は、信号計測部1620の測定した出力信号1604のジッタ値に応じて、出力信号1604のジッタ値が小さくなるよう試験信号1602の周波数特性を補正する。周波数特性補正部1614は、ジッタ値通知部1622から通知されたジッタ値に応じて試験信号1602の周波数特性を補正してもよい。例えば、ジッタ値通知部1622から通知されたジッタ値が所定の値より大きな場合には、試験信号1602の高周波成分を強調するように、図示していないイコライザを調整してもよい。ジッタ測定装置100のサンプリング部110は、出力信号1604がM周期繰り返される期間中に、Mと互いに素な関係の数Nの回数だけ出力信号1604をサンプリングする。ジッタ値通知部1622は、ジッタ測定装置100の統計値計算部146が計算した統計値を出力信号1604のジッタ値として信号生成部1610に通知する。
【0076】
図17は、通信システム1700の構成の一例を概略的に表すブロック図である。通信システム1700は、送信部1710と、受信部1720と、送信部1710と受信部1720とが通信する回線70を備える。送信部1710は、伝送信号1704を生成する。受信部1720は、回線70を介して伝送信号1704を受信する。また、回線70を介して、送信部1710に通知信号1706を通知する。伝送信号1704は、周期Tを有する。送信部1710は、信号発生部1712と、周波数特性補正部1714とを有する。受信部1720は、ジッタ測定装置100と、ジッタ値通知部1722とを有する。
【0077】
信号発生部1712は、伝送信号1704を発生させる。周波数特性補正部1714は、受信部1720の測定した伝送信号1704のジッタ値に応じて、伝送信号1704のジッタ値が小さくなるよう伝送信号1704の周波数特性を補正する。周波数特性補正部1714は、ジッタ値通知部1722から通知されたジッタ値に応じて伝送信号1704の周波数特性を補正してもよい。例えば、ジッタ値通知部1722から通知されたジッタ値が所定の値より大きな場合には、伝送信号1704の高周波成分を強調するように、図示していないイコライザを調整してもよい。ジッタ測定装置100のサンプリング部110は、伝送信号1704がM周期繰り返される期間中に、Mと互いに素な関係の数Nの回数だけ伝送信号1704をサンプリングする。ジッタ値通知部1722は、通知信号1706を送信部1710に通知する。ジッタ値通知部1722は、ジッタ測定装置100の統計値計算部146が計算した統計値を伝送信号1704のジッタ値として、送信部1710に通知してよい。
【0078】
図18は、ジッタ測定装置100のハードウェア構成の一例を示す図である。ジッタ測定装置100をコンピュータ等の電子情報処理装置で構成した場合のハードウェア構成の一例を示す。ジッタ測定装置100は、CPU周辺部と、入出力部と、レガシー入出力部とを備える。CPU周辺部は、ホスト・コントローラ1882により相互に接続されるCPU1805、RAM1820、グラフィック・コントローラ1875、及び表示装置1880を有する。入出力部は、入出力コントローラ1884によりホスト・コントローラ1882に接続される通信インターフェイス1830、ハードディスクドライブ1840、及びCD−ROMドライブ1860を有する。レガシー入出力部は、入出力コントローラ1884に接続されるROM1810、フレキシブルディスク・ドライブ1850、及び入出力チップ1870を有する。
【0079】
ホスト・コントローラ1882は、RAM1820と、高い転送レートでRAM1820をアクセスするCPU1805、及びグラフィック・コントローラ1875とを接続する。CPU1805は、ROM1810、及びRAM1820に格納されたプログラムに基づいて動作して、各部の制御をする。グラフィック・コントローラ1875は、CPU1805等がRAM1820内に設けたフレーム・バッファ上に生成する画像データを取得して、表示装置1880上に表示させる。これに代えて、グラフィック・コントローラ1875は、CPU1805等が生成する画像データを格納するフレーム・バッファを、内部に含んでもよい。
【0080】
入出力コントローラ1884は、ホスト・コントローラ1882と、比較的高速な入出力装置であるハードディスクドライブ1840、通信インターフェイス1830、CD−ROMドライブ1860を接続する。ハードディスクドライブ1840は、CPU1805が使用するプログラム、及びデータを格納する。通信インターフェイス1830は、ネットワーク通信装置1898に接続してプログラムまたはデータを送受信する。CD−ROMドライブ1860は、CD−ROM1895からプログラムまたはデータを読み取り、RAM1820を介してハードディスクドライブ1840、及び通信インターフェイス1830に提供する。
【0081】
入出力コントローラ1884には、ROM1810と、フレキシブルディスク・ドライブ1850、及び入出力チップ1870の比較的低速な入出力装置とが接続される。ROM1810は、ジッタ測定装置100が起動時に実行するブート・プログラム、あるいはジッタ測定装置100のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。フレキシブルディスク・ドライブ1850は、フレキシブルディスク1890からプログラムまたはデータを読み取り、RAM1820を介してハードディスクドライブ1840、及び通信インターフェイス1830に提供する。入出力チップ1870は、フレキシブルディスク・ドライブ1850、あるいはパラレル・ポート、シリアル・ポート、キーボード・ポート、マウス・ポート等を介して各種の入出力装置を接続する。
【0082】
CPU1805が実行するプログラムは、フレキシブルディスク1890、CD−ROM1895、またはICカード等の記録媒体に格納されて利用者によって提供される。記録媒体に格納されたプログラムは圧縮されていても非圧縮であってもよい。プログラムは、記録媒体からハードディスクドライブ1840にインストールされ、RAM1820に読み出されてCPU1805により実行される。CPU1805により実行されるプログラムは、ジッタ測定装置100を、図1から図17に関連して説明したサンプリング部110、波形再構成部142、分布生成部144及び統計値計算部146として機能させる。
【0083】
以上に示したプログラムは、外部の記憶媒体に格納されてもよい。記憶媒体としては、フレキシブルディスク1890、CD−ROM1895の他に、DVDまたはPD等の光学記録媒体、MD等の光磁気記録媒体、テープ媒体、ICカード等の半導体メモリ等を用いることができる。また、専用通信ネットワークあるいはインターネットに接続されたサーバシステムに設けたハードディスクまたはRAM等の記憶装置を記録媒体として使用して、ネットワークを介してプログラムをジッタ測定装置100に提供してもよい。
【0084】
図19は、スキュー測定装置1900の構成の一例を概略的に表すブロック図である。同図に示される通り、スキュー測定装置1900は複数のサンプリング部110と、メモリ120と、スキュー算出部1930とを備える。スキュー測定装置1900は、複数の被測定信号が入力され、複数のサンプリング部を有することを除いて、ジッタ測定装置100と同様の構成を有してよい。スキュー算出部1930は、波形処理部140とスキュー計算部1950とを有する。スキュー算出部1930は、複数の波形処理部140を有してよい。波形処理部140は、例えば、被測定信号10および被測定信号20のエッジタイミングの平均値をそれぞれ算出してよい。エッジタイミングの平均値は、エッジタイミング分布の統計値の一例であってよい。スキュー計算部1950は、被測定信号10のエッジタイミングの平均値と、被測定信号20のエッジタイミングの平均値との差分を求めることで、被測定信号10と被測定信号20とのスキュー値を算出する。
【0085】
即ち、スキュー測定装置1900は、周期Tの被測定信号がM周期繰り返される期間中に、Mと互いに素な関係の数Nの回数だけ被測定信号をサンプリングするサンプリング部であって、複数の被測定信号の各々をサンプリングするサンプリング部と、サンプリング部がサンプリングした、被測定信号ごとのサンプル値の順序を、0からN−1までの整数で表される当初の順序kに対して、i=k・M mod N、の関係にある再配列順序iに再配列して、周期Tの再構成波形を形成する波形再構成部と、被測定信号ごとの再構成波形におけるエッジ部のタイミング分布を生成する分布生成部と、被測定信号ごとのタイミング分布に基づき、比較対象の被測定信号間のスキューを計算するスキュー計算部とを備えてよい。
【0086】
図20は、立上り時間/立下り時間測定装置2000の構成の一例を概略的に表すブロック図である。立上り時間/立下り時間測定装置2000は、信号測定装置の一例であってよい。立上り時間/立下り時間は、被測定信号10のエッジ遷移時間として表すことができ、例えば、信号振幅の20%レベルクロス点と80%レベルクロス点のタイミング差を計算することで求めることができる。立上り時間/立下り時間測定装置2000は、閾値の異なる2つのコンパレータで被測定信号10を同時にサンプリングして、20%レベルクロス点におけるエッジタイミングの平均値と80%レベルクロス点におけるエッジタイミングの平均値との差分を計算することで、被測定信号10の立上り時間/立下り時間を測定できる。
【0087】
図20に示される通り、立上り時間/立下り時間測定装置2000は、サンプリング部110と、サンプリング部112と、メモリ120と、立上り時間/立下り時間算出部2030とを備える。サンプリング部112は、閾値が異なる点を除いて、サンプリング部110と同様の構成を有する。立上り時間/立下り時間測定装置2000は、1つの被測定信号10をサンプリング部110とサンプリング部112とで測定することを除いて、ジッタ測定装置100と同様の構成を有してよい。立上り時間/立下り時間算出部2030は、波形処理部140と、立上り時間/立下り時間計算部2050とを有する。立上り時間/立下り時間算出部2030は、複数の波形処理部140を有してよい。
【0088】
波形処理部140は、例えば、被測定信号10の20%レベルクロス点におけるエッジタイミングの平均値と、被測定信号10の80%レベルクロス点におけるエッジタイミングの平均値とを算出してよい。エッジタイミングの平均値は、エッジタイミング分布の統計値の一例であってよい。立上り時間/立下り時間計算部2050は、被測定信号10の20%レベルクロス点におけるエッジタイミングの平均値と、被測定信号10の80%レベルクロス点におけるエッジタイミングの平均値との差分を求めることで、被測定信号10の立上り時間または立下り時間を測定できる。
【0089】
即ち、立上り時間/立下り時間測定装置2000は、周期Tの被測定信号がM周期繰り返される期間中に、Mと互いに素な関係の数Nの回数だけ被測定信号をサンプリングするサンプリング部であって、互いに相違する2つの閾値を含む複数閾値で被測定信号をサンプリングするサンプリング部と、サンプリング部がサンプリングした、複数閾値ごとのサンプル値の順序を、0からN−1までの整数で表される当初の順序kに対して、i=k・M mod N、の関係にある再配列順序iに再配列して、周期Tの再構成波形を形成する波形再構成部と、複数閾値ごとの再構成波形におけるエッジ部のタイミング分布を生成する分布生成部と、複数閾値ごとのタイミング分布に基づき、被測定信号の立上り時間または立下り時間を計算する計算部とを備えた信号測定装置であってよい。
【0090】
以上、本発明の一側面を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることができる。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0091】
上記説明から明らかなように、本発明の一実施形態によれば、電圧コンパレータ等のデジタルコンパレータを用いてタイミングジッタを測定するジッタ測定装置、ジッタ測定方法、記録媒体、通信システム、および試験装置を実現することができる。
【0092】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0093】
10 被測定信号
20 被測定信号
50 被測定信号
60 被試験デバイス
70 回線
100 ジッタ測定装置
110 サンプリング部
112 サンプリング部
118 ストローブタイミング
120 メモリ
130 ジッタ算出部
140 波形処理部
142 波形再構成部
144 分布生成部
146 統計値計算部
150 理想タイミング計算部
160 誤差系列生成部
170 誤差系列統計値計算部
180 フーリエ変換部
202 単位周期波形生成部
204 単位周期波形群選択部
206 波形反転部
208 加算値計算部
210 差分計算部
302 期待値計算部
304 分布幅計算部
312 標準偏差計算部
314 最大値計算部
316 最小値計算部
318 ピークツゥピーク計算部
1304 同一データ配列単位周期波形群選択部
1344 分布生成部
1600 半導体試験装置
1602 試験信号
1604 出力信号
1610 信号生成部
1612 信号発生部
1614 周波数特性補正部
1620 信号計測部
1622 ジッタ値通知部
1700 通信システム
1704 伝送信号
1706 通知信号
1710 送信部
1712 信号発生部
1714 周波数特性補正部
1720 受信部
1722 ジッタ値通知部
1805 CPU
1810 ROM
1820 RAM
1830 通信インターフェイス
1840 ハードディスクドライブ
1850 フレキシブルディスク・ドライブ
1860 CD−ROMドライブ
1870 入出力チップ
1875 グラフィック・コントローラ
1880 表示装置
1882 ホスト・コントローラ
1884 入出力コントローラ
1890 フレキシブルディスク
1895 CD−ROM
1898 ネットワーク通信装置
1900 スキュー測定装置
1930 スキュー算出部
1950 スキュー計算部
2000 時間測定装置
2030 時間算出部
2050 時間計算部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周期Tの被測定信号をサンプリングするサンプリング部と、
前記サンプリング部がサンプリングしたサンプル値の順序を再配列して、周期Tの再構成波形を形成する波形再構成部と、
前記再構成波形におけるエッジ部のタイミング分布を生成する分布生成部と、
前記タイミング分布の統計値を計算する統計値計算部と、
を備えたジッタ測定装置。
【請求項2】
前記サンプリング部は、周期Tの前記被測定信号がM周期繰り返される期間中に、前記Mと互いに素な関係の数Nの回数だけ前記被測定信号をサンプリングする、
請求項1に記載のジッタ測定装置。
【請求項3】
前記波形再構成部は、前記サンプリング部がサンプリングしたサンプル値の順序を、0からN−1までの整数で表される当初の順序kに対し、i=k・M mod N、の関係にある再配列順序iに再配列して、周期Tの再構成波形を形成する、
請求項2に記載のジッタ測定装置。
【請求項4】
前記統計値計算部は、前記統計値として、前記タイミング分布の期待値を計算する、
請求項1から請求項3の何れかに記載のジッタ測定装置。
【請求項5】
前記統計値計算部は、前記統計値として、前記タイミング分布の分布幅を計算する、
請求項1から請求項3の何れかに記載のジッタ測定装置。
【請求項6】
前記分布生成部は、
前記再構成波形を単位周期ごとに分割して、複数の単位周期波形を生成する単位周期波形生成部と、
前記複数の単位周期波形について、同一位相における前記サンプル値を加算して、各位相における加算値を計算する加算値計算部と、
位相が隣接する二つの前記加算値における差分を計算する差分計算部と、を有し、
前記差分計算部が計算した前記差分に基づいて、前記タイミング分布を生成する、
請求項1から請求項5の何れかに記載のジッタ測定装置。
【請求項7】
前記分布生成部は、前記単位周期波形生成部で生成した前記単位周期波形を反転する波形反転部をさらに備え、
前記加算値計算部は、
立ち上がりエッジを含む前記単位周期波形の前記サンプル値と、前記波形反転部により反転された立下りエッジを含む前記単位周期波形の前記サンプル値とを加算する、または、
立下りエッジを含む前記単位周期波形の前記サンプル値と、前記波形反転部により反転された立ち上がりエッジを含む前記単位周期波形の前記サンプル値とを加算する、
請求項6に記載のジッタ測定装置。
【請求項8】
前記加算値計算部は、立ち上がりエッジを含む前記単位周期波形の前記サンプル値、または、立下りエッジを含む前記単位周期波形の前記サンプル値を加算する、
請求項6に記載のジッタ測定装置。
【請求項9】
前記単位周期波形生成部が生成する単位周期波形のうち、その直前の前記被測定信号に同じデータ配列を有する単位周期波形群を選択する同一データ配列単位周期波形群選択部をさらに備え、
前記加算値計算部は、前記同一データ配列単位周期波形群選択部が選択した前記単位周期波形群について、前記サンプル値を加算する、
請求項6に記載のジッタ測定装置。
【請求項10】
前記被測定信号における所定のビット数おきに、前記単位周期波形生成部が生成する単位周期波形を選択する所定ビット間隔単位周期波形群選択部をさらに備え、
前記加算値計算部は、前記所定ビット間隔単位周期波形群選択部が選択した前記単位周期波形群について、前記サンプル値を加算する、
請求項6に記載のジッタ測定装置。
【請求項11】
前記被測定信号における所定のビット数おきに、前記単位周期波形生成部が生成する単位周期波形を選択する所定ビット間隔単位周期波形群選択部をさらに備え、
前記加算値計算部は、前記所定ビット間隔単位周期波形群選択部が選択した前記単位周期波形群について、立ち上がりエッジを含む前記単位周期波形の前記サンプル値と、前記波形反転部により反転された立下りエッジを含む前記単位周期波形の前記サンプル値とを加算する、
請求項7に記載のジッタ測定装置。
【請求項12】
前記被測定信号の理想エッジタイミングを計算する理想タイミング計算部と、
前記統計値計算部が計算した前記タイミング分布の期待値と前記理想タイミング計算部が計算した前記理想エッジタイミングとの差分を時系列に配列した誤差系列の統計値を算出する誤差系列統計値計算部と、
をさらに備えた請求項1から請求項11の何れかに記載のジッタ測定装置。
【請求項13】
前記被測定信号の理想エッジタイミングを計算する理想タイミング計算部と、
前記統計値計算部が計算した前記タイミング分布の期待値と前記理想タイミング計算部が計算した前記理想エッジタイミングとの差分を時系列に配列した誤差系列の周波数成分を算出するフーリエ変換部と、
をさらに備えた請求項1から請求項11の何れかに記載のジッタ測定装置。
【請求項14】
周期Tの被測定信号をサンプリングするサンプリング段階と、
前記サンプリング段階でサンプリングしたサンプル値の順序を再配列して、周期Tの再構成波形を形成する波形再構成段階と、
前記再構成波形におけるエッジ部のタイミング分布を生成する分布生成段階と、
前記タイミング分布の統計値を計算する統計値計算段階と、
を備えたジッタ測定方法。
【請求項15】
前記サンプリング段階は、周期Tの前記被測定信号がM周期繰り返される期間中に、前記Mと互いに素な関係の数Nの回数だけ前記被測定信号をサンプリングする、
請求項14に記載のジッタ測定方法。
【請求項16】
前記波形再構成段階は、前記サンプリング段階でサンプリングしたサンプル値の順序を、0からN−1までの整数で表される当初の順序kに対し、i=k・M mod N、の関係にある再配列順序iに再配列して、周期Tの再構成波形を形成する、
請求項15に記載のジッタ測定方法。
【請求項17】
ジッタ測定装置用のプログラムを記録した記録媒体であって、前記ジッタ測定装置を、
周期Tの被測定信号がM周期繰り返される期間中に、前記Mと互いに素な関係の数Nの回数だけ前記被測定信号をサンプリングするサンプリング部、
前記サンプリング部がサンプリングしたサンプル値の順序を、0からN−1までの整数で表される当初の順序kに対し、i=k・M mod N、の関係にある再配列順序iに再配列して、周期Tの再構成波形を形成する波形再構成部、
前記再構成波形におけるエッジ部のタイミング分布を生成する分布生成部、
前記タイミング分布の統計値を計算する統計値計算部、
として機能させるプログラムを記録した記録媒体。
【請求項18】
送信部および受信部を備える通信システムであって、
前記受信部は、
周期Tの伝送信号がM周期繰り返される期間中に、前記Mと互いに素な関係の数Nの回数だけ前記伝送信号をサンプリングするサンプリング部と、
前記サンプリング部がサンプリングしたサンプル値の順序を、0からN−1までの整数で表される当初の順序kに対し、i=k・M mod N、の関係にある再配列順序iに再配列して、周期Tの再構成波形を形成する波形再構成部と、
前記再構成波形におけるエッジ部のタイミング分布を生成する分布生成部と、
前記タイミング分布の統計値を計算する統計値計算部と、
を有する通信システム。
【請求項19】
前記受信部は、前記統計値計算部が計算した前記統計値を前記伝送信号のジッタ値として前記送信部に通知するジッタ値通知部、をさらに有し、
前記送信部は、前記ジッタ値通知部から通知された前記ジッタ値に応じて、前記伝送信号の前記受信部におけるジッタ値が小さくなるよう前記伝送信号の周波数特性を補正する周波数特性補正部を有する、
請求項18に記載の通信システム。
【請求項20】
被試験デバイスに試験信号を与えて、前記被試験デバイスを試験する試験装置であって、
前記試験信号を生成する信号生成部と、
前記被試験デバイスが出力する出力信号を計測する信号計測部と、を備え、
前記信号計測部は、
周期Tの前記出力信号がM周期繰り返される期間中に、前記Mと互いに素な関係の数Nの回数だけ前記出力信号をサンプリングするサンプリング部と、
前記サンプリング部がサンプリングしたサンプル値の順序を、0からN−1までの整数で表される当初の順序kに対し、i=k・M mod N、の関係にある再配列順序iに再配列して、周期Tの再構成波形を形成する波形再構成部と、
前記再構成波形におけるエッジ部のタイミング分布を生成する分布生成部と、
前記タイミング分布の統計値を計算する統計値計算部と、
を有する試験装置。
【請求項21】
前記信号計測部は、前記統計値計算部が計算した前記統計値を前記出力信号のジッタ値として前記信号生成部に通知するジッタ値通知部、をさらに有し、
前記信号生成部は、前記ジッタ値通知部から通知された前記ジッタ値に応じて、前記出力信号のジッタ値が小さくなるよう前記試験信号の周波数特性を補正する周波数特性補正部を有する、
請求項20に記載の試験装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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