説明

ジブの足場構造

【課題】平組み状態と立組み状態の両方の状態で安全かつ効率のよい作業ができるジブの足場構造を提供する。
【解決手段】クレーンのブーム先端に取付けられるジブ31と、ジブ31に取付けられてジブ31に上ることのできるステップ7,8と、を備えるジブ31の足場構造である。
そして、ステップ7,8は、ジブ31が平組み状態で略水平となる平組みステップ71,73,81と、ジブ31が立組み状態で略水平となる立組みステップ72,74,82と、によって構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレーンのブーム先端に取付けられるジブの足場構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、オールテレーンクレーンやラフテレーンクレーンなどのクレーンのブーム先端にラフィングジブやエクステンションジブなどのジブを取付けることがある。
【0003】
このジブを有するクレーンは、ブームの先端にジブを起伏可能に取り付け、このジブの先端からフックブロックを吊り下げることで、高揚程、大作業半径の作業を可能としている。
【0004】
そして、ブームの先端にラフィングジブを取付ける場合やラフィングジブの先端にエクステンションジブを取付ける場合には、作業員がジブの上面(背面)に登る必要があるため、ジブの上面に登るためのステップを設置することがある。
【0005】
例えば、特許文献1では、ジブを構成する材をラチス材に替えて板材としたうえで、この板材に足掛用ステップを溶接している。このため、ブームの上面の組立・分解位置まで安全に登ることができ、かつ、ブームのせん断強度を増加させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実公平01−14632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、ブームの先端にジブを取付ける際には、広いヤードを確保できる場合は安全面を考慮してジブを寝かせて平組み状態で組み立てるが、広いヤードを確保できない場合はジブを立たせて立組み状態で組み立てることがある。
【0008】
しかしながら、前記した特許文献1の足掛用ステップは、平組み状態にあるジブでは足掛用ステップとして機能するが、立組み状態にあるジブで機能するものではなかった。
【0009】
そこで、本発明は、平組み状態と立組み状態の両方の状態で安全かつ効率のよい作業ができるジブの足場構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、本発明のジブの足場構造は、クレーンのブーム先端に取付けられるジブと、前記ジブに取付けられて前記ジブに上ることのできるステップと、を備えるジブの足場構造であって、前記ステップは、前記ジブが平組み状態で略水平となる平組みステップと、前記ジブが立組み状態で略水平となる立組みステップと、によって構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
このように、本発明のジブの足場構造は、クレーンのブーム先端に取付けられるジブと、ジブに取付けられてジブに上ることのできるステップと、を備えるジブの足場構造であって、ステップは、ジブが平組み状態で略水平となる平組みステップと、ジブが立組み状態で略水平となる立組みステップと、によって構成されることで、平組み状態と立組み状態の両方の状態で安全かつ効率のよい作業ができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明のジブの足場構造の構成を説明する側面図である。
【図2】ジブの足場構造を備えるオールテレーンクレーンの全体構成を説明する全体図である。
【図3】ジブの先端部を拡大して構成を説明する側面図である。
【図4】ステッププレートの構成を説明する説明図である。(a)は正面図であり、(b)は側面図である。
【図5】下部ステップの構成を説明する説明図である。(a)は正面図であり、(b)は側面図である。
【図6】平組みの組み立て手順を説明する説明図である。(a)はジブを組立てた状態であり、(b)はマストを引き起こした状態であり、(c)はジブを持ち上げた状態である。
【図7】平組みステップの作用を説明する作用図である。
【図8】立組みの組み立て手順を説明する説明図である。(a)はジブを組立てた状態であり、(b)はマストを引き起こした状態であり、(c)はジブを持ち上げた状態である。
【図9】立組みステップの作用を説明する作用図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0014】
まず、図2を用いて本実施例のオールテレーンクレーン1の全体構成を説明する。なお、本実施例では、ジブの足場構造Cを有するクレーンとしてオールテレーンクレーン1について説明するが、ラフテレーンクレーンなどジブを有するクレーンであればどのようなクレーンにも適用できる。
【0015】
本実施例のオールテレーンクレーン1は、図2に示すように、走行機能を有するキャリア10と、キャリア10の上に水平旋回可能に取付けられる旋回台11と、旋回台11に起伏可能に取付けられるブーム2と、ブーム2の先端に起伏可能に取付けられるジブとしてのラフィングジブ3と、ラフィングジブ3の先端に取付けられるエクステンションジブ4と、を備えている。
【0016】
このブーム2は、鋼製の筒体を入れ子状に重ねて伸縮自在に形成されるもので、付け根部分が旋回台11のブーム起伏支点に取付けられて、起伏シリンダ21を伸縮させることで起仰・倒伏する。
【0017】
また、ジブとしてのラフィングジブ3は、作業半径、作業揚程を大きくするために用いられるもので、鋼材をトラス状に組んだラチスジブとして形成されており、ブーム2の先端のブーム起伏支点に起伏自在に取付けられている。
【0018】
加えて、このラフィングジブ3の背面側にはマスト61,62が立設されており、先端側のマスト61とラフィングジブ3の間、先端側のマスト61と基端側のマスト62の間にそれぞれリンク63,64が架けられている。
【0019】
さらに、エクステンションジブ4は、よりいっそう作業半径、作業揚程を大きくするために用いられるもので、鋼材をトラス状に組んだラチスジブとして形成されており、ラフィングジブ3の先端(背面側)に取付けられている。
【0020】
加えて、このエクステンションジブ4の背面側にはマスト5が立設されており、マスト5とエクステンションジブ4の先端近傍との間にはフロントテンションロープ51が張られ、マスト5とラフィングジブ3の中間位置との間にはバックテンションロープ52が張られている。
【0021】
したがって、このラフィングジブ3とエクステンションジブ4とは、クレーンの使用時には形状を保持しつつ一体となってブーム2に対して起伏するように構成されている。
【0022】
そして、一体となったラフィングジブ3及びエクステンションジブ4の背面側には、マスト62の先端に接続されて全体を引き起こすリンク65が掛けられている。
【0023】
このリンク65の他端は空中シーブ66に連結されており、空中シーブ66に掛け回されたワイヤは固定シーブ67に掛け回されたうえでサブウインチ69に巻回されている。
【0024】
さらに、このエクステンションジブ4の先端に取付けたシーブには、ワイヤが掛け回されており、このワイヤの先端側にはフックが取付けられ、基端は旋回台11に配置されたメインウインチ68に巻回されている。
【0025】
そして、本実施例では、ラフィングジブ3の先端ジブ31に、作業員がラフィングジブ3に上って組み立て作業をするためのジブの足場構造Cが形成されている。
【0026】
このジブの足場構造Cは、図1,3に示すように、ラフィングジブ3の先端に位置するラチス構造の先端ジブ31と、先端ジブ31のラチス材にUボルトによって固定されたステップとしてのステッププレート7と、先端ジブ31の下側シーブ317の外側にボルトによって固定されたステップとしての下部ステップ8と、先端ジブ31に固定されたグリップ91,92,93と、によって構成されている。
【0027】
この先端ジブ31は、パイプ状の鋼材によってトラス状に構成されるもので、背面側の上弦材310と、腹面側の下弦材311と、先端側の縦材312と、基端側の縦材313と、対角線上に配置される斜材314と、リンク63に接続されるリンク接続材315と、上側シーブ316と、下側シーブ317と、を備えており、下部には移動のためのローラ318が取付けられている。
【0028】
なお、図示しないが、この先端ジブ31の上面には、ステップを上った作業員が立った姿勢のままで作業するための平坦面を形成するプレートが固定されている。
【0029】
そして、本実施例のステップとしてのステッププレート7は、図4に示すように、板状の本体70に開口部75,76が設けられたもので、それぞれの開口部75,76の縁辺には平組み状態で略水平となる平組みステップ71,73と、立組み状態で略水平となる立組みステップ72,74と、が固定されている。
【0030】
このうち背面側の一方の開口部75は、五角形に形成されるもので、五角形の隣り合う2辺にL字型断面の平組みステップ71とL字型断面の立組みステップ72とが溶接によって固定されている。
【0031】
同様に、腹面側の他方の開口部76は、一方の開口部75よりも大きい五角形に形成されるもので、五角形の隣り合う2辺にL字型断面の平組みステップ73とL字型断面の立組みステップ74とが溶接によって固定されている。
【0032】
そして、この平組みステップ71,73は、ラフィングジブ3が平組み状態となっている場合に略水平になるように角度が調整されて、互いに平行に設置されている。
【0033】
具体的には、平組みステップ71,73は、地面に対するブーム2の角度が40度でチルト角が60度の場合であれば、チルト角からブーム2の角度を差し引いた20度だけ、ラフィングジブ3の軸に対して基端側が下がるように傾斜している。
【0034】
さらに、一方の平組みステップ71と他方の平組みステップ73は、ラフィングジブ3の背面に上りやすいように、ラフィングジブ3が平組み状態の姿勢で、上下方向に重なるように配置されている。
【0035】
また、この立組みステップ72,74も、ラフィングジブ3が立組み状態となっている場合に略水平になるように角度が調整されて、互いに平行に設置されている。
【0036】
具体的には、立組みステップ72,74は、地面に対するブーム2の角度が65度でチルト角が145度の場合であれば、チルト角からブーム2の角度を差し引いた80度だけ、ラフィングジブ3の軸に対して基端側が下がるように傾斜している。
【0037】
さらに、一方の立組みステップ72と他方の立組みステップ74は、ラフィングジブ3の背面に上りやすいように、ラフィングジブ3が立組み状態の姿勢で、上側の立組みステップ72が下側の立組みステップ74の真上よりもラフィングジブ3の背面側の近くにずらされて配置されている。
【0038】
加えて、この板状のステッププレート7は、下部の幅が狭くなっている先端ジブ31にしっかりと固定できるように、斜材314に対応する折曲線77で先端ジブ31の勾配に沿うように折り曲げられている。
【0039】
ここにおいて、平組み状態とは、図6に示すように、ラフィングジブ3を寝かせた状態をいうものとし、立組み状態とは、図8に示すように、ラフィングジブ3を立たせた状態をいうものとする。
【0040】
具体的には、例えばオールテレーンクレーン1では、平組み状態とはブーム2を縮めた状態で地面に対するブーム2の角度が40度でチルト角が60度の場合であり、立組み状態とはブーム2を伸ばした状態で地面に対するブーム2の角度が65度でチルト角が145度の場合である。
【0041】
さらに、ステップとしての下部ステップ8は、図5に示すように、先端ジブ31の下部に位置する下側シーブ317の外側に取付けられており、ラフィングジブ3が平組み状態で略水平となる平組みステップ81と、立組み状態で略水平となる立組みステップ82と、を備えている。
【0042】
この下部ステップ8は、略ひし形に形成されて複数の取付孔83,・・・が設けられた本体板80と、中央近傍で折曲げられて平組みステップ81と立組みステップ82とを一体に備えた踏板86と、によって構成されている。
【0043】
すなわち、平組みステップ81は、ラフィングジブ3が平組み状態となっている場合に略水平になるように角度が調整され、立組みステップ82は、ラフィングジブ3が立組み状態となっている場合に略水平になるように角度が調整されている。
【0044】
そして、平組みグリップ91は、コ字状に折曲げられた棒鋼によって形成されるもので、棒鋼を溶接によってリンク接続材315に平行に固定して構成される。
【0045】
同様に、平組みグリップ93は、コ字状に折曲げられた棒鋼によって形成されるもので、棒鋼を溶接によって上側シーブ316の外側に固定して構成される。
【0046】
同様に、立組みグリップ92は、コ字状に折曲げられた棒鋼によって形成されるもので、棒鋼を溶接によって基端側の縦材313の上部に固定して構成されている。
【0047】
次に、エクステンションジブ4の組立て手順を平組みと立組みとに分けて説明するとともに、本実施例のジブの足場構造Cの作用について説明する。なお、以下の手順では、ラフィングジブ3をLJ3と表記し、エクステンションジブ4をEJ4と表記する。
【0048】
はじめに、図6,7を用いて、広い組立ヤードを確保できた場合において、平組み状態でEJ4を取付ける手順(1)〜(8)について説明する。
【0049】
(1)あらかじめ、図6(a)に示すように、LJ3を平組み状態で組立てておく。バックテンションロープ52をLJ3の途中に接続した後、ブーム2を約40°に起仰し、LJ3を上げる。
【0050】
(2)LJ3先端の先端ジブ31に繋げて、EJ4を組立てる。すなわち、EJベースジブ41下側ピン以外の連結ピンを挿通する。そして、マスト5に分割されているフロントテンションロープ51とバックテンションロープ52を接続する。さらに、EJ4上のフロントテンションロープ51どうしを接続する。
【0051】
(3)吊荷用のメインワイヤを、マスト5の途中に設けたシーブに通して前方に引き出す。なお、この状態における地面からラフィングジブ3の背面側の作業位置までの作業高さは2mを超えており、作業員が立って作業をする場合には3mを超える場合もある。
【0052】
(4)図6(b)に示すように、マスト5を別クレーンで吊り、後方に傾けた状態でバックテンションロープ52を1本に連結する。
【0053】
(5)同様に、マスト5を前方に傾けた状態でフロントテンションロープ51を1本に連結する。
【0054】
(6)EJミドルジブ42,43を別クレーンで吊り、EJベースジブ41下側ピンを挿通する。つづいて、あおり止めロープを接続する。
【0055】
(7)図6(c)に示すように、サブウインチ69を巻上げてLJ3を上げ、フロントテンションロープ51及びバックテンションロープ52を張る。
【0056】
(8)ブーム2上げ、又は、サブウインチ69巻上げによってLJ3を上げて、メインワイヤをフックに巻掛けて、組立作業を終了する。
【0057】
上記した手順(3),(4),(5)において、組立作業員がラフィングジブ3の背面側に上る必要があるが、この際には図7に示すように、まず下部ステップ8の平組みステップ81を踏み上がり、次いで腹側の平組みステップ73、背面側の平組みステップ71の順に踏み上がって、ラフィングジブ3の背面側に上ることになる。この際、組立作業員は、平組みグリップ91,93を掴みながら上る。
【0058】
次に、図8,9を用いて、広い組立ヤードを確保できずに狭い組立ヤードで組立てる場合において、立組み状態でEJ4を取付ける手順(1)〜(7)について説明する。
【0059】
(1)あらかじめ、図8(a)に示すように、LJ3を立組み状態で組立てておく。バックテンションロープ52をLJ3の途中に接続した後、ブーム2を約65°まで起仰し、LJ3を上げる。
【0060】
(2)LJ3先端の先端ジブ31に繋げて、EJ4を組立てる。すなわち、EJベースジブ41下側ピン以外の連結ピンを挿通する。そして、マスト5に分割されているフロントテンションロープ51とバックテンションロープ52を接続する。さらに、EJ4上のフロントテンションロープ51どうしを接続する。
【0061】
(3)吊荷用のメインワイヤを、マスト5の途中に設けたシーブに通して前方に引き出す。なお、この状態における地面からラフィングジブ3の背面側の作業位置までの作業高さは2mに近く、作業員が立って作業をする場合には3mを超える場合もある。
【0062】
(4)図8(b)に示すように、マスト5を別クレーンで吊り、起こした状態でバックテンションロープ52を1本に連結するとともに、フロントテンションロープ51を1本に連結する。
【0063】
(5)EJミドルジブ42,43を別クレーンで吊り、EJベースジブ41下側ピンを挿通する。つづいて、あおり止めロープどうしを接続する。
【0064】
(6)図8(c)に示すように、ジブ先端がなるべく動かないように、サブウインチ69巻上げつつ、ブーム2上げによってLJ3を上げ、フロントテンションロープ51及びバックテンションロープ52を張る。EJ4先端部のあおり止めロープを接続する。
【0065】
(7)サブウインチ69巻上げによってLJ3を上げて、メインワイヤをフックに巻掛けて、組立作業を終了する。
【0066】
上記した手順(3),(4)において、組立作業員がラフィングジブ3の背面側に上る必要があるが、この際には図9に示すように、まず下部ステップ8の立組みステップ82を踏み上がり、次いで腹側の立組みステップ74、背面側の立組みステップ72の順に踏み上がって、ラフィングジブ3の背面側に上ることになる。この際、組立作業員は、立組みグリップ92を掴みながら上る。
【0067】
次に、本実施例のジブの足場構造Cの効果を列挙して説明する。
【0068】
(1)このように、本発明のジブの足場構造Cは、オールテレーンクレーン1のブーム2先端に取付けられるジブとしてのラフィングジブ3と、ラフィングジブ3に取付けられてラフィングジブ3に上ることのできるステップとしてのステッププレート7と、を備えるジブの足場構造である。
【0069】
そして、ステッププレート7は、ラフィングジブ3が平組み状態で略水平となる平組みステップ71,73と、ラフィングジブ3が立組み状態で略水平となる立組みステップ72,74と、によって構成されることで、平組み状態と立組み状態の両方の状態で安全かつ効率のよい作業ができる。
【0070】
つまり、従来からステップを備えるジブはあったものの、1つの姿勢にしか対応しておらず、平組み状態と立組み状態の両方に対応できるものではなかった。これに対して本願発明のジブの足場構造Cでは、平組み状態に加えて立組み状態にも対応可能な角度の異なる複数のステップを設けたことで、両方の状態で安全かつ効率のよい作業ができるようになる。
【0071】
加えて、このようにラフィングジブ3自体に昇降用のステップが設置されていれば、組立作業中に足を踏ん張ってもステップが動いてしまうこともないため、脚立や梯子などをラフィングジブ3に架けて昇降するよりも安全に作業できる。
【0072】
(2)また、ラフィングジブ3の先端ジブ31のラチス材としての下弦材311、縦材313、斜材314には、平組みステップ71,73と立組みステップ72,74とが一体的に配置された開口部75,76を備えるステッププレート7が取付けられることで、簡易な構成によって平組み状態と立組み状態の両方の状態で安全で効率よく作業できる足場構造となる。
【0073】
さらに、平組みステップ71,73及び立組みステップ72,74は多角形の開口部75,76の縁辺に配置されていることで、組立作業員は開口部75,76の隅角部に足をかけつつ昇降できるため、足が滑りにくくなる。
【0074】
また、このように開口部75,76の縁辺にステップが設置されていれば、ラフィングジブ3の傾斜角度があらかじめ想定している平組み状態や立組み状態の傾斜角度とずれていても、隅角部に足をかけて固定できる。
【0075】
そして、これらの平組みステップ71,73と立組みステップ72,74は、ステッププレート7において、平組み状態と立組み状態の昇降方向に沿って配置されているため、昇降しやすくなっている。
【0076】
加えて、このステッププレート7は、先端ジブ31のラチス材にUボルトによって固定するものであるため、既存の先端ジブ31に対しても容易に取付けることができる。
【0077】
(3)さらに、ラフィングジブ3の先端の下部に位置する下側シーブ317の外側には、前述したステッププレート7とは別の下部ステップ8が取付けられており、この下部ステップ8はラフィングジブ3が平組み状態で略水平となる平組みステップ81と、ラフィングジブ3が立組み状態で略水平となる立組みステップ82と、によって構成されることで、組立作業員が昇降する際の一歩目の地面からの高さが低くなり、昇降しやすくなる。
【0078】
加えて、この下部ステップ8を配置することで、平組みステップ81,73,71と立組みステップ82,74,72のそれぞれの高さ方向の間隔が略均等になるため、昇降しやすいジブの足場構造Cとなる。
【0079】
(4)そして、ラフィングジブ3の先端ジブ31には、ラフィングジブ3が平組み状態で平組みステップ71,73より上に位置する平組みグリップ91,93と、ラフィングジブ3が立組み状態で立組みステップ72,74より上に位置する立組みグリップ92と、が取付けられることで、両方の状態で安全かつ効率のよい作業ができるようになる。
【0080】
すなわち、組立作業員が前述のステッププレート7や下部ステップ8を昇降する際には、平組み状態に適した位置にある平組みグリップ91,93や立組み状態に適した位置にある立組みグリップ92を手で握ることができるため、いっそう安全かつ効率のよい作業ができる。
【0081】
さらに、本実施例のオールテレーンクレーン1は、上記したジブの足場構造Cを備えることで、平組み状態と立組み状態の両方の状態で安全かつ効率のよい作業ができるオールテレーンクレーン1となる。
【0082】
以上、図面を参照して、本発明の実施例を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0083】
例えば、前記実施例では、平組みステップ71,73や立組みステップ72,74は板状のステッププレート7に配置される場合について説明したが、これに限定されるものではなく、両方の状態に対応したステップであればどのような構成であってもよい。
【0084】
また、前記実施例では、ステッププレート7はラフィングジブ3にUボルトによって固定する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、溶接など、どのような方法で固定するものであってもよい。
【0085】
さらに、前記実施例では、平組みグリップ91,93と立組みグリップ92は、ラフィングジブ3に設置される場合について説明したが、これに限定されるものではなく、ステッププレート7自体に設置されるものであってもよい。
【0086】
そして、前記実施例では、ステッププレート7にそれぞれ2つの平組みステップ71,73と立組みステップ72,74とを配置する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、ステップは1つだけであってもよいし3つ以上であってもよい。
【符号の説明】
【0087】
C ジブの足場構造
1 オールテレーンクレーン(クレーン)
2 ブーム
3 ラフィングジブ(ジブ)
31 先端ジブ
4 エクステンションジブ
5 マスト
7 ステッププレート(ステップ)
71,73 平組みステップ
72,74 立組みステップ
75,76 開口部
8 下部ステップ(ステップ)
81 平組みステップ
82 立組みステップ
91,93 平組みグリップ
92 立組みグリップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クレーンのブーム先端に取付けられるジブと、前記ジブに取付けられて前記ジブに上ることのできるステップと、を備えるジブの足場構造であって、
前記ステップは、前記ジブが平組み状態で略水平となる平組みステップと、前記ジブが立組み状態で略水平となる立組みステップと、によって構成されることを特徴とするジブの足場構造。
【請求項2】
前記ジブの先端近傍のラチス材には、前記平組みステップと前記立組みステップとが一体的に配置された開口部を備えるステッププレートが取付けられることを特徴とする請求項1に記載のジブの足場構造。
【請求項3】
前記ジブの先端の下部に位置するシーブの外側には、前記ステップとは別の下部ステップが取付けられており、前記下部ステップは、前記ジブが平組み状態で略水平となる平組みステップと、前記ジブが立組み状態で略水平となる立組みステップと、によって構成されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のジブの足場構造。
【請求項4】
前記ジブには、前記ジブが平組み状態で前記平組みステップより上に位置する平組みグリップと、前記ジブが立組み状態で前記立組みステップより上に位置する立組みグリップと、が取付けられることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のジブの足場構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−126692(P2011−126692A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−288650(P2009−288650)
【出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【出願人】(000148759)株式会社タダノ (419)
【Fターム(参考)】