説明

ジベンゾカルコゲニルピラゾールイリジウム錯体、それよりなる発光材料およびそれを含有する有機EL素子

【課題】新規なジベンゾカルコゲニルピラゾールイリジウム錯体、それよりなる発光材料およびそれを含有する有機EL素子の提供。
【解決手段】下記一般式(1)


〔式中、RとRは炭素数1〜4の直鎖または分岐のアルキル基よりなる群、R〜R13は、水素および炭素数1〜4の直鎖または分岐のアルキル基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基であり、Eは酸素元素、硫黄元素、セレン元素およびテルル元素よりなる群から選ばれたカルコゲン元素を表す。〕
で示されるジベンゾカルコゲニルピラゾールイリジウム錯体、それよりなる発光材料およびそれを含む有機EL素子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なジベンゾカルコゲニルピラゾールイリジウム錯体、それよりなる発光材料およびそれを含有する有機EL素子に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL素子は、電極から注入されたホールと電子の再結合により生成した励起エネルギーが発光過程を経て基底状態に緩和することにより自発光する。しかしながら、ホールと電子の再結合により生成する励起状態には一重項励起状態と三重項励起状態の2種類がそれぞれ1対3の割合で存在する。これまでの多くは一重項励起状態からの発光を利用した蛍光材料が発光材料に利用されていたため、内部量子効率が最大25%であるので、このとき、光取り出し効率を20%とすると、最大外部量子収率は5%が理論的に限界であった(非特許文献1)。
近年、イリジウムやプラチナなどの重原子効果を利用した錯体化合物を用い、三重項励起状態からの発光、すなわち、リン光発光を用いることにより発光効率の向上が報告されるようになった。一重項励起状態に加え、三重項励起状態からの発光を利用することで最大内部量子効率は理論上100%に到達することが可能で、リン光材料は、発光材料としての注目を浴びている(非特許文献2)。
【0003】
例えば、緑色発光材料として、下記式
【化1】

に示すトリス(2−フェニルピリジナト)イリジウム(III)〔Ir(ppy)〕が広く利用されている。
【0004】
また、安達らにより、青色発光材料である下記式
【化2】

で示すビス〔2−(4,6−ジフルオロフェニル)ピリジナト〕ピコリナトイリジウム(III)(FIrpic)が注目を浴びるようになり、それ以降、FIrpicを用いた有機EL素子の高効率化の検討および新規な青色リン光錯体探索研究が盛んに行われるようになった(非特許文献3)。
青色リン光材料として用いられるFIrpicの配位子は、フェニルピリジンの芳香環4,6−位にフッ素基を有する。フッ素基の導入によりフェニルピリジンのIr錯体に比べ発光スペクトルが短波長化している。その要因としては様々考えられるが、フッ素基は電子吸引基であることより、電子吸引効果により短波長化が起こっているのであれば、他の電子吸引基についても同様の効果が期待できる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】猪口敏夫:エレクトロルミネッセントディスプレイ,P.114,産業図書(1991)
【非特許文献2】C.Adachi,R.C.Kwong,M.A.Baldo,M.E.Thompson,S.R.Forrest,Proc.8th IDW 01,P.1420(2001)
【非特許文献3】Appl.Phys.Lett.,79,2082(2001)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、電子吸引基であるシアノ基をもつフェニル化合物あるいは電子吸引傾向を示す複素環フェニルカルコゲニルをもつフェニル化合物に着目し、これらの化合物をもつジアルキルピラゾール類を配位子に用いたジベンゾカルコゲニルピラゾールイリジウム錯体、それよりなる発光材料およびそれを含有する有機EL素子を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1は、下記一般式(1)
【化3】

〔式中、RとRは炭素数1〜4の直鎖または分岐のアルキル基よりなる群、R〜R13は、水素および炭素数1〜4の直鎖または分岐のアルキル基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基であり、Eは酸素元素、硫黄元素、セレン元素およびテルル元素よりなる群から選ばれたカルコゲン元素を表す。〕
で示されるジベンゾカルコゲニルピラゾールイリジウム錯体に関する。
本発明の第2は、下記一般式(2)
【化4】

〔式中、RとRは炭素数1〜4の直鎖または分岐のアルキル基よりなる群、R〜R13は、水素および炭素数1〜4の直鎖または分岐のアルキル基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基であり、Eは酸素元素、硫黄元素、セレン元素およびテルル元素よりなる群から選ばれたカルコゲン元素を表す。〕
で示されるジベンゾカルコゲニルピラゾールイリジウム錯体に関する。なお、カルコゲン元素の1つあるポロニウム元素は毒性が非常に強いので使用しない。
本発明の第3は、請求項1または2いずれか記載のジベンゾカルコゲニルピラゾールイリジウム錯体よりなることを特徴とする発光材料に関する。
本発明の第4は、請求項1または2いずれか記載のジベンゾカルコゲニルピラゾールイリジウム錯体を含有することを特徴とする有機EL素子に関する。
【発明の効果】
【0008】
(1)本発明化合物のジベンゾカルコゲニルピラゾールイリジウム錯体は、ジベンゾカルコゲニル化合物の電子吸引性効果によってUVスペクトルやPLスペクトルが短波長側に移行するので、青色系の有機EL用ドーパントとして使用できる。
(2)本発明のジベンゾカルコゲニルピラゾールイリジウム錯体を単独で使用しても、高性能のマルチカラーあるいはエリアカラーのディスプレイを構成する材料として有用である。
本発明におけるRとRとしては炭素数1〜4の直鎖または分岐のアルキル基を挙げることができる。RとRの位置は、ピラゾール環の3〜5位のいずれの場所でもよいが、とくに3位と5位に付加することが好ましい。R〜R13は水素、炭素数1〜4の直鎖または分岐のアルキル基が好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例1で合成した1−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾリル−1−イル)ベンゾフランのH−NMRを示す。
【図2】実施例1で合成した1−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾリル−1−イル)ベンゾフランの質量分析の結果を示す。
【図3】実施例1で合成したトリス〔1−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾリル−1−イル)ベンゾフラン〕イリジウム(III)錯体のH−NMRを示す。
【図4】実施例1で合成したトリス〔1−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾリル−1−イル)ベンゾフラン〕イリジウム(III)錯体の質量分析の結果を示す。
【図5】実施例1で合成したトリス〔1−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾリル−1−イル)ベンゾフラン〕イリジウム(III)錯体の真空TGA測定結果を示す。横軸は温度(℃)、縦軸は重量減少率(%)である。
【図6】実施例1で合成したトリス〔1−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾリル−1−イル)ベンゾフラン〕イリジウム(III)錯体の大気中で測定したPLスペクトルを示す。
【図7】実施例1で合成したトリス〔1−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾリル−1−イル)ベンゾフラン〕イリジウム(III)錯体の真空中で測定したPLスペクトルを示す。
【図8】本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。
【図9】本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。
【図10】本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。
【図11】本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。
【図12】本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。
【図13】本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。
【図14】本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。
【図15】本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。
【図16】本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。
【図17】本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。
【図18】本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。
【図19】本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。
【図20】本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。
【図21】本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。
【0010】
本発明のジベンゾカルコゲニルピラゾールイリジウム錯体に関するもっとも代表的化合物としては、Eが酸素元素である下記式の化合物
【化5】

を挙げることができる。
【0011】
本発明のジベンゾカルコゲニルピラゾールイリジウム錯体に関する他の代表的化合物としては、Eが硫黄元素である下記式の化合物
【化6】

を挙げることができる。
【0012】
本発明の化合物例を下記式群に示す。式中のEとしては、酸素、硫黄、セレン、テルルの場合を示す。
なお、R〜R13のアルキル基はメチル基が置換している例を示すが、これが他のアルキル基、すなわちエチル基、プロピル基あるいはブチル基に読み替えることになんら支障はないものとする。
【0013】
【表1】

【0014】
【表2】

【0015】
【表3】

【0016】
【表4】

【0017】
【表5】

【0018】
【表6】

【0019】
【表7】

【0020】
【表8】

【0021】
【表9】

【0022】
【表10】

【0023】
【表11】

【0024】
【表12】

【0025】
【表13】

【0026】
【表14】

【0027】
【表15】

【0028】
【表16】

【0029】
【表17】

【0030】
【表18】

【0031】
【表19】

【0032】
【表20】

【0033】
【表21】

【0034】
【表22】

【0035】
【表23】

【0036】
【表24】

【0037】
【表25】

【0038】
【表26】

【0039】
【表27】

【0040】
【表28】

【0041】
【表29】

【0042】
【表30】

【0043】
【表31】

【0044】
【表32】

【0045】
本発明化合物の合成方法の1例を下記に示す。下記式中R、Rは請求項の記載と同一
である。
シアノフェニルピラゾールイリジウム錯体については下記の3つの反応から成り立つ。
すなわち第一反応で、配位子のシアノベンゾカルコゲニルピラゾールを合成する。第二反応でこの配位子を三塩化イリジウムと共に反応させ中間体のクロロブリッチ体を合成する。最後の第三反応では、この中間体を1等量の配位子(この場合は、シアノベンゾカルコゲニルピラゾール)と反応させ目的のシアノベンゾカルコゲニルピラゾールイリジウム錯体を合成する反応である。
このイリジウム錯体の合成については、FIrpicの合成〔Appl.Phys.Lett.,79,2082(2001)〕などを用いて合成することができる。
【0046】
およびRがメチル基である場合の合成方法の1例を示す。この反応は、EがOの場合に限らず、EがS、Se、Teの場合もほぼ同様に進行する。
【化7】

この反応におけるイリジウム錯体の合成は、3段階の反応から成り立つ。合成については第一反応で配位子を合成する。第二反応で配位子と三塩化イリジウムを反応させ中間体のクロロブリッチ体を合成する。ついで第三反応でもう1等量の配位子と反応させて目的のイリジウム錯体を合成する。
【0047】
本発明のジベンゾカルコゲニルピラゾールイリジウム錯体は、有機EL素子用の有機化合物として使用することができる。本発明の有機EL素子は、陰極と陽極間に複数層からなる有機薄膜層が挟持されている有機EL素子において、発光層が本発明のジベンゾカルコゲニルピラゾールイリジウム錯体を含有することが好ましい。
【0048】
本発明の有機EL素子は、前記したように陽極と陰極間に複数層の有機薄膜層を形成し、これらの層のうち、適切な層に本発明のジベンゾカルコゲニルピラゾールイリジウム錯体をもちいた素子である。素子構成においては、発光材料を含有し、それに加えて陽極から注入したホール、もしくは陰極から注入した電子を発光材料まで輸送させるためにホール注入材料、ホール輸送材料もしくは電子注入材料、電子輸送材料を含有してもよい。また本発明の発光材料は、きわめて高い蛍光量子効率を示し、蒸着もしくはスパッターにおいて均一な薄膜を形成することができる。
多層型の有機EL素子の構成例としては、例えばITO/ホール輸送層/発光層/電子輸送層/陰極、ITO/ホール輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極、ITO/ホール輸送層/発光層/ホールブロック層/電子輸送層/陰極、ITO/ホール輸送層/発光層/ホールブロック層/電子輸送層/電子注入層/陰極、ITO/ホール注入層/ホール輸送層/発光層/ホールブロック層/電子輸送層/電子注入層/陰極等の多層構成で積層したものが挙げられる。また、必要に応じて陰極上に封止層を有していても良い。
【0049】
発光層には、本発明の化合物に加えて必要に応じて、さらなる公知のホスト材料、発光材料、ドーピング材料、ホール注入材料や電子注入材料を組み合わせて使用することもできる。有機EL素子は多層構造にすることにより、クエンチングによる輝度や寿命の低下を防ぐことができ、他のドーピング材料により、発光輝度や発光効率の向上、赤色や白色の発光を得ることもできる。また、本発明の有機EL素子におけるホール(正孔)注入層、ホール輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層は、それぞれ二層以上の層構成により形成されてもよい。その際、ホール注入層の場合、陽極からホールを注入する層をホール注入層、ホール注入層からホールを受け取り、発光層までホールを輸送する層をホール輸送層と呼ぶ。同様に電子注入層の場合、陰極から電子を注入する役割を果す層を電子注入層、電子注入層から電子を受け取り、発光層まで電子を輸送する層を電子輸送層と呼ぶ。これらの各層は、材料のエネルギー準位、耐熱性、有機薄膜層もしくは金属電極との密着性等の各要因により選択されて使用される。
【0050】
ホール注入材料もしくはホール輸送材料としては、ホールを輸送する能力を持ち、陽極からのホール注入効果、発光層又は発光材料に対して優れたホール注入効果もしくはホール輸送効果を有し、発光層で生じた励起子の電子注入層又は電子注入材料への移動を防止し、かつ薄膜形成能力の優れた化合物が好ましい。具体的には、フタロシアニン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、イミダゾール、イミダゾロン、イミダゾールチオン、ピラゾリン、ピラゾロン、テトラヒドロイミダゾール、ヒドラゾン、アシルヒドラゾン、ポリアリールアルカン、スチルベン、ベンジジン型トリフェニルアミン、スチリルアミン型トリフェニルアミン、ジアミン型トリフェニルアミン等と、それらの誘導体、及びポリビニルカルバゾール、ポリシラン、導電性高分子等の高分子材料が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0051】
これらのホール注入材料もしくはホール輸送材料の中で、さらに効果的な材料は、芳香族三級アミン誘導体又はフタロシアニン誘導体である。芳香族三級アミン誘導体の具体例としては、トリフェニルアミン、トリトリルアミン、トリジフェニルアミン、N,N′−ジフェニル−N,N′−(3−メチルフェニル)−1,1′−ビフェニル−4,4′−ジアミン、N,N,N′,N′−(4−メチルフェニル)−1,1′−フェニル−4,4′−ジアミン、N,N,N′,N′−(4−メチルフェニル)−1,1′−ビフェニル−4,4′−ジアミン、N,N′−ジフェニル−N,N′−ジナフチル−1,1′−ビフェニル−4,4′−ジアミン、N,N′−(メチルフェニル)−N,N′−(4−n−ブチルフェニル)−フェナントレン−9,10−ジアミン、N,N−ビス(4−ジ−4−トリルアミノフェニル)−4−フェニル−シクロヘキサン等、又はこれらの芳香族三級アミン骨格を有したオリゴマーもしくはポリマーであるが、これらに限定されるものではない。フタロシアニン(Pc)誘導体の具体例は、PCH、PcCu、PcCo、PcNi、PcZn、PcPd、PcFe、PcMn、PcClAl、PcClGa、PcClIn、PcClSn、PcClSi、Pc(HO)Al、Pc(HO)Ga、PcVO、PcTiO、PcMoO等のフタロシアニン誘導体(三共出版株式会社 大化学辞典、フタロシアニン錯塩の項参照)及びナフタロシアニン誘導体である。また、導電性高分子としては、ポリアニリン誘導体(PAni)やポリチオフェン誘導体(PEDOT)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0052】
電子注入材料もしくは電子輸送材料として用いる化合物は、電子を輸送する能力を持ち、陰極からの電子注入効果、発光層または発光材料に対して、優れた電子輸送効果を有し、発光層で生成した励起子のホール輸送層への移動を防止し、かつ薄膜形成性に優れた化合物が好ましい。例えば、フルオレノン、アントラキノジメタン、ジフェノキノン、チオピランジオキシド、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、イミダゾール、ペリレンテトラカルボン酸、フレオニリデンメタン、アントロンなどとそれらの誘導体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0053】
本発明の有機EL素子において、さらに効果的な電子輸送材料は、金属錯体化合物、含窒素五員環誘導体もしくは含窒素芳香族化合物である。金属錯体化合物の具体例としては、トリス(8−キノリナート)リチウム、トリス(8−キノリナート)亜鉛、トリス(8−キノリナート)銅、トリス(8−キノリナート)マンガン、トリス(8−キノリナート)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリナート)アルミニウム、トリス(4−メチル−8−キノリナート)アルミニウム、トリス(4−プロピル−8−キノリナート)アルミニウム、トリス(4−ベンジル−8−キノリナート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリナート)(フェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリナート)(o−クレゾラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリナート)(m−クレゾラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリナート)(p−クレゾラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリナート)(m−フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリナート)(p−フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリナート)(3,5−ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリナート)(1−ナフトラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリナート)(2−ナフトラート)ガリウム、ビス(2−メチル−8−キノリナート)(p−クレゾラート)ガリウム、ビス(8−キノリナート)亜鉛、ビス(8−キノリナート)銅、ビス(8−キノリナート)マンガンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0054】
また、含窒素五員環誘導体の具体例は、オキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体もしくはトリアゾール誘導体が好ましい。具体的には、2,5−ビス(1−フェニル)−1,3,4−オキサゾール、2,5−ビス(1−フェニル)−1,3,4−チアゾール、2,5−ビス(1−フェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、1,4−ビス[2−(5−フェニルオキサジアゾリル)]ベンゼン、1,4−ビス[2−(5−フェニルオキサジアゾリル)−4−tert−ブチルベンゼン]、2−(4′−tert−ブチルフェニル)−5−(4″−ビフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−(4′−tert−ブチルフェニル)−5−(4″−ビフェニル)−1,3,4−チアゾール、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−チアゾール、1,4−ビス[2−(5−フェニルチアジアゾリル)]ベンゼン、2−(4′−tert−ブチルフェニル)−5−(4″−ビフェニル)−1,3,4−トリアゾール、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−トリアゾール、4−ビス[2−(5−フェニルトリアゾリル)]ベンゼンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0055】
さらに、含窒素芳香族化合物の具体例は、フェナントロリン誘導体などが好ましい。具体的には、4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン、4,7−ジ−m−トリル−1,10−フェナントロリン、4,7−ジ−p−トリル−1,10−フェナントロリン、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン、2,9−ジメチル−4,7−ジ−p−トリル−1,10−フェナントロリン、2,9−ジメチル−4,7−ジ−m−トリル−1,10−フェナントロリン、2,9−ジエチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン、2,9−ジエチル−4,7−ジ−p−トリル−1,10−フェナントロリン、2,9−ジエチル−4,7−ジ−m−トリル−1,10−フェナントロリン、2,9−ジメチル−4,7−ビス(ナフタレン−1−イル)−1,10−フェナントロリン、2,9−ジメチル−4,7−ビス(ナフタレン−2−イル)−1,10−フェナントロリン、2,9−ジフェニル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン、2,9−ジメチル−4,7−ビス(ビフェニレン−4−イル)−1,10−フェナントロリン、3,8−ジ(α−ナフチル)−1,10−フェナントロリン、3,8−ジ(β−ナフチル)−1,10−フェナントロリン、1,4−ジ(1,10−フェナントロリン−2−イル)ベンゼン、4,4′−ジ(1,10−フェナントロリン−2−イル)ビフェニル、1,5−ジ(1,10−フェナントロリン−2−イル)アントラセン、1,3,5−トリ(1,10−フェナントロリン−2−イル)ベンゼンなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0056】
有機エレクトロルミネッセンス素子の陽極に使用される導電性材料としては、4eVより大きな仕事関数を持つものが適しており、炭素、アルミニウム、バナジウム、鉄、コバルト、ニッケル、タングステン、銀、金、白金、パラジウムなど、およびそれらの合金、ITO基板、酸化錫(NESA)基板に使用される酸化錫、酸化インジウムなどの酸化金属、さらにはポリチオフェンやポリピロールなどの有機導電性樹脂が用いられる。陰極に用いられる導電性材料としては、4eVより小さな仕事関数を持つものが適しており、マグネシウム、カルシウム、錫、鉛、チタニウム、イットリウム、リチウム、ルテニウム、マンガンなどおよびこれらの合金が用いられるが、これらに限定されるものではない。合金としては、マグネシウム/銀、マグネシウム/インジウム、リチウム/アルミニウムなどが代表例として挙げられるが、これらに限定されるものではない。合金の比率は、蒸着源の温度、雰囲気、真空度などにより、適切に制御することができる。陽極、陰極は必要に応じて二層以上の層に構成されてもよい。
【0057】
本発明の有機EL素子で用いる透明電極の支持基板は、効率よく発光させるために、十分透明であることが望ましい。透明電極は、上記の導電性材料を用いて、蒸着やスパッタリング等の方法で所定の透光性が確保できるように設定する。発光面の電極(発光した光を取り出す側の電極で、例えばガラス基板上にITOをスパッターで付着させた電極)は、光透過率を10%以上にすることが望ましい。基板は、機械的、熱的強度を有し、透明性を有するものであれば限定されるものではないが、ガラス基板や透明性樹脂のフィルムおよびシートが挙げられる。フィルムやシートに用いる透明性樹脂としては、ポリエチレン、ポリエチレン共重合体、ポリプロピレン、ポリプロピレン共重合体、ポリスチレン、ポリスチレン共重合体、シンジオタクチックポリスチレン、ポリメチルメタアクリレート、ナイロン、ポリエーテルサルホン、ポリサルホン、ポリカーボネート、ポリカーボネート共重合体、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどが挙げられる。
【0058】
本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の各層の形成は、真空蒸着、スパッタリング、プラズマ、イオンプレーティングなどの乾式成膜法を用いることができる。陽極と陰極の間に挟持される有機薄膜層の各層の膜厚は特に限定されるものではないが、適切な膜厚に設定する必要がある。通常の膜厚は0.5nm〜500nmの範囲で適宜選ぶことが好ましい。
【0059】
本発明により得られた有機エレクトロルミネッセンス素子は、温度、湿度、雰囲気などに対する安定性の向上のために、素子の表面に保護層を設けたり、樹脂などにより素子全体を保護することも可能である。
【0060】
図8〜21に、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の好ましい例を示す。
【0061】
図8は、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。図8は、基板1上に陽極2、発光層3および陰極4を順次設けた構成のものである。ここで使用する発光材料は、それ自体が正孔輸送性、電子輸送性および発光性の機能を単一で有している場合や、それぞれの機能を有する化合物を混合して使用する場合に有用である。
【0062】
図9は、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子における他の例を示す断面図である。図9は、基板1上に陽極2、正孔輸送層5、発光層3および陰極4を順次設けた構成のものである。この場合、発光層は電子輸送性の機能を有している場合に有用である。
【0063】
図10は、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子における他の例を示す断面図である。図10は、基板1上に陽極2、発光層3、電子輸送層6および陰極4を順次設けた構成のものである。この場合、発光層はホール輸送性の機能を有している場合に有用である。
【0064】
図11は、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子における他の例を示す断面図である。図11は、基板1上に陽極2、ホール輸送層5、発光層3、電子輸送層6および陰極4を順次設けた構成のものである。これはキャリア輸送(ホール輸送と電子輸送の両方を意味する)と発光の機能を分離したものであり、材料選択の自由度が増すために、発光の高効率化や発光色の自由度が増すことになる。
【0065】
図12は、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子における他の例を示す断面図である。図12は、基板1上に陽極2、ホール注入層7、ホール輸送層5、発光層3、電子輸送層6および陰極4を順次設けた構成のものである。この場合、ホール注入層7を設けることにより、陽極2とホール輸送層5の密着性を高めたり、陽極からのホールの注入を良くし、発光素子の低電圧化に効果がある。
【0066】
図13は、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子における他の例を示す断面図である。図13は、基板1上に陽極2、ホール輸送層5、発光層3、電子輸送層6、電子注入層8および陰極4を順次設けた構成のものである。この場合、陰極4から電子の注入を良くし、発光素子の低電圧化に効果がある。
【0067】
図14は、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子における他の例を示す断面図である。図14は、基板1上に陽極2、ホール注入層7、ホール輸送層5、発光層3、電子輸送層6、電子注入層8および陰極4を順次設けた構成のものである。この場合、陽極2からホールの注入を良くし、陰極4から電子注入を良くし、最も低電圧駆動に効果がある構成である。
【0068】
図15〜21は素子の中にホールブロック層9を挿入したものの断面図である。ホールブロック層9は、陽極から注入されたホール、あるいは発光層3で再結合により生成した励起子が、陰極4に抜けることを防止する効果があり、有機エレクトロルミネッセンス素子の発光効率の向上に効果がある。ホールブロック層9については、発光層3と陰極4の間もしくは発光層3と電子輸送層6の間あるいは発光層3と電子注入層8の間に挿入することができる。より好ましいものは発光層3と電子輸送層6の間である。
【0069】
図8〜図21の素子構成における、ホール輸送層5、ホール注入層7、電子輸送層6、電子注入層8、発光層3、ホールブロック層9のそれぞれの層は、一層構造であっても多層構造であっても良い。
【0070】
図8〜21は、あくまでも基本的な素子構成であり、本発明の化合物を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子の構成はこれに限定されるものではない。
【実施例】
【0071】
以下に実施例を挙げて本発明を詳細に説明する。本発明はこれにより何ら限定されるものではない。
【0072】
実施例1:トリス〔1−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾリル−1−イル)ジベンゾフラン〕イリジウム(III)錯体(略称fac−Ir[dmpzdbf])の合成
1)1−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾリル−1−イル)(略称dmpzdbf)の合成
【化8】

窒素気流下にて4つ口フラスコに1−ヨードジベンゾフラン(IDBF)、3,5−ジメチルピラゾール(dmPz)、炭酸セシウム、ヨウ化第一銅、L−(−)−プロリン、ジメチルホルムアミド(脱水)を加えて150℃で48時間加熱撹拌を行った。反応終了後、水を加え、酢酸エチルにて抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮を行った。精製はシルカゲルカラムクロマトグラフィー法(展開溶媒:n−ヘキサン:酢酸エチル=3:1、n−ヘキサン:酢酸エチル=5:1)で行い、濃縮後、再結晶を行い、黄色の固体を得た。同定はH−NMRスペクトル、Massスペクトルにて行った。
表33に原料使用量と得られた1−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾリル−1−イル)ジベンゾフラン(dmpzdbf)の収率を示す。
【表33】

図1にdmpzdbfのH−NMRを、図2に質量分析の結果を示す。
2)1−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾリル−1−イル)ジベンゾフラン−クロロブリッジダイマーの合成(略称[(dmpzdbf)IrCl]
【化9】

窒素気流下にて4つ口フラスコに1−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾリル−1−イル)ベンゾフラン(dmpzdbf)、三塩化イリジウム三水和物、2−エトキシエタノール、水を入れて100℃で24時間加熱撹拌を行った。反応終了後、沈殿物を濾過し、イオン交換水、エタノールにて洗浄後、減圧乾燥を行い黄色の固体を得た。粗製物のまま次の反応に用いた。
表34に原料使用量と得られた1−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾリル−1−イル)ベンゾフラン−クロロブリッジダイマー[(dmpzdbf)IrCl]の収率を示す。
【表34】

3)トリス〔1−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾリル−1−イル)ベンゾフラン〕イリジウム(III)錯体(略称fac−Ir[dmpzdbf])の合成
【化10】

ナスフラスコに1−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾリル−1−イル)ベンゾフラン−クロロブリッジダイマー[(dmpzdbf)IrCl]〔実施例1の2)の生成物で表35中ではCBDと略記〕、1−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾリル−1−イル)ベンゾフラン(dmpzdbf)〔実施例1の1)の生成物〕、炭酸セシウム、グリセリンを入れ、窒素気流下、200℃にて120時間加熱撹拌を行った。反応終了後の抽出は行わず、精製はシリカゲルカラムクロマトグラフィー法(展開溶媒:n−ヘキサン:ジクロロメタン=1:1)で行い、濃縮後、減圧乾燥し黄色固体を得た。同定はH−NMRスペクトル、Massスペクトルにて行った。
表35に原料使用量と得られたトリス〔1−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾリル−1−イル)ベンゾフラン〕イリジウム(III){fac−Ir[dmpzdbf]}錯体の収率を示す。
【表35】

図3にfac−Ir[dmpzdbf]H−NMRを、図4に質量分析の結果を示す。
得られたfac−Ir[dmpzdbf]は、アルバック社製、真空TGA測定装置を用いて高真空下における昇華性の有無を確認した。試料重量は5.4mg、真空度は1.3×10−4torr、昇温速度は1℃/min、最高加熱温度500℃にて測定した。
測定結果は図5に示す。
【0073】
実施例1で合成したfac−Ir[dmpzdbf]をポリメチルメタクリレート(PMMA)に分散した膜(1wt%)を作成し、窒素雰囲気下でフォトルミネッセンス(PL)を測定した。その結果を図6に示す。
また、同じ分散膜を用いてストリークカメラにて真空中のPLスペクトルを測定した。その結果を図7に示す。
【0074】
実施例2:トリス〔1−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾリル−1−イル)ジベンゾチオフェン〕イリジウム(III)錯体(略称fac−Ir[dmpzdbt])の合成
1)1−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾリル−1−イル)ジベンゾチオフェン(略称 dmpzdbt)の合成
【化11】

窒素気流下にて4つ口フラスコに1−ヨードジベンゾチオフェン(IDBT)、3,5−ジメチルピラゾール(dmPz)、炭酸セシウム、ヨウ化第一銅、L−(−)−プロリン、ジメチルホルムアミド(脱水)を加えて150℃で48時間加熱撹拌を行った。反応終了後、水を加え、酢酸エチルにて抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮を行った。精製はシルカゲルカラムクロマトグラフィー法(展開溶媒:n−ヘキサン:酢酸エチル=3:1、n−ヘキサン:酢酸エチル=5:1)で行い、濃縮後、再結晶を行い、黄色の固体を得た。
表36に原料使用量と得られた1−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾリル−1−イル)ジベンゾチオフェン(dmpzdbt)の収率を示す。
【表36】

2)1−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾリル−1−イル)ジベンゾチオフェン−クロロブリッジダイマーの合成(略称[(dmpzdbt)IrCl]
【化12】

窒素気流下にて4つ口フラスコに1−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾリル−1−イル)ジベンゾチオフェン(dmpzdbt)、三塩化イリジウム三水和物、2−エトキシエタノール、水を入れて100℃で24時間加熱撹拌を行った。反応終了後、沈殿物を濾過し、イオン交換水、エタノールにて洗浄後、減圧乾燥を行い、黄色の固体を得た。粗製物のまま次の反応に用いた。
表37に原料使用量と得られた1−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾリル−1−イル)ジベンゾチオフェン−クロロブリッジダイマー[(dmpzdbt)IrCl]の収率を示す。
【表37】

3)トリス〔1−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾリル−1−イル)ジベンゾチオフェン〕イリジウム(III)錯体(略称fac−Ir[dmpzdbt])の合成
【化13】

ナスフラスコに1−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾリル−1−イル)ジベンゾチオフェン−クロロブリッジダイマー〔表38ではCBDと略記〕[(dmpzdbt)IrCl]、1−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾリル−1−イル)ジベンゾチオフェン(dmpzdbt)、炭酸セシウム、グリセリンを入れ、窒素気流下、200℃にて120時間加熱撹拌を行った。反応終了後の抽出は行わず、精製はシリカゲルカラムクロマトグラフィー法(展開溶媒:n−ヘキサン:ジクロロメタン=1:1)で行い、濃縮後、減圧乾燥し、黄色固体を得た。
表38に原料使用量と得られたトリス〔1−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾリル−1−イル)ジベンゾチオフェン〕イリジウム(III)錯体{fac−Ir[dmpzdbt]}の収率を示す。
【表38】

【0075】
実施例3:トリス〔1−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾリル−1−イル)ジベンゾセレノフェン〕イリジウム(III)錯体(略称fac−Ir[dmpzdbs])の合成
1)1−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾリル−1−イル)ジベンゾセレノフェン(略称 dmpzdbs)の合成
【化14】

窒素気流下にて4つ口フラスコに1−ヨードジベンゾセレノフェン(IDBS)、3,5−ジメチルピラゾール(dmPz)、炭酸セシウム、ヨウ化第一銅、L−(−)−プロリン、ジメチルホルムアミド(脱水)を加えて150℃で48時間加熱撹拌を行った。反応終了後、水を加え、酢酸エチルにて抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮を行った。精製はシルカゲルカラムクロマトグラフィー法(展開溶媒:n−ヘキサン:酢酸エチル=3:1、n−ヘキサン:酢酸エチル=5:1)で行い、濃縮後、再結晶を行い、黄色の固体を得た。
表39に原料使用量と得られた1−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾリル−1−イル)ジベンゾセレノフェン(dmpzdbs)の収率を示す。
【表39】

2)1−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾリル−1−イル)ジベンゾセレノフェン−クロロブリッジダイマーの合成(略称[(dmpzdbs)IrCl]
【化15】

窒素気流下にて4つ口フラスコに1−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾリル−1−イル)ジベンゾセレノフェン(dmpzdbs)、三塩化イリジウム三水和物、2−エトキシエタノール、水を入れて100℃で24時間加熱撹拌を行った。反応終了後、沈殿物を濾過し、イオン交換水、エタノールにて洗浄後、減圧乾燥を行い、黄色の固体を得た。粗製物のまま次の反応に用いた。
表40に原料使用量と得られた1−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾリル−1−イル)ジベンゾセレノフェン−クロロブリッジダイマー[(dmpzdbs)IrCl]の収率を示す。
【表40】

3)トリス〔1−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾリル−1−イル)ジベンゾセレノフェン〕イリジウム(III)錯体(略称fac−Ir[dmpzdbs])の合成
【化16】

ナスフラスコに1−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾリル−1−イル)ジベンゾセレノフェン−クロロブリッジダイマー(表41中ではCBDと略記)[(dmpzdbs)IrCl]、1−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾリル−1−イル)ジベンゾセレノフェン(dmpzdbs)、炭酸セシウム、グリセリンを入れ、窒素気流下、200℃にて120時間加熱撹拌を行った。反応終了後の抽出は行わず、精製はシリカゲルカラムクロマトグラフィー法(展開溶媒:n−ヘキサン:ジクロロメタン=1:1)で行い、濃縮後、減圧乾燥し、黄色固体を得た。
表41に原料使用量と得られたトリス〔1−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾリル−1−イル)ジベンゾセレノフェン〕イリジウム(III)錯体の収率を示す。
【表41】

【符号の説明】
【0076】
1 基板
2 陽極(ITO)
3 発光層
4 陰極
5 正孔輸送層(ホール輸送層)
6 電子輸送層
7 正孔注入層(ホール注入層)
8 電子注入層
9 正孔ブロック層(ホールブロック層)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)
【化17】

〔式中、RとRは炭素数1〜4の直鎖または分岐のアルキル基よりなる群、R〜R13は、水素および炭素数1〜4の直鎖または分岐のアルキル基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基であり、Eは酸素元素、硫黄元素、セレン元素およびテルル元素よりなる群から選ばれたカルコゲン元素を表す。〕
で示されるジベンゾカルコゲニルピラゾールイリジウム錯体。
【請求項2】
下記一般式(2)
【化18】

〔式中、RとRは炭素数1〜4の直鎖または分岐のアルキル基よりなる群、R〜R13は、水素および炭素数1〜4の直鎖または分岐のアルキル基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基であり、Eは酸素元素、硫黄元素、セレン元素およびテルル元素よりなる群から選ばれたカルコゲン元素を表す。〕
で示されるジベンゾカルコゲニルピラゾールイリジウム錯体。
【請求項3】
請求項1または2いずれか記載のジベンゾカルコゲニルピラゾールイリジウム錯体よりなることを特徴とする発光材料。
【請求項4】
請求項1または2いずれか記載のジベンゾカルコゲニルピラゾールイリジウム錯体を含有することを特徴とする有機EL素子。

【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−254642(P2010−254642A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−108779(P2009−108779)
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【出願人】(394013644)ケミプロ化成株式会社 (63)
【Fターム(参考)】