説明

ジメルカプタン末端ポリチオエーテルポリマー、ならびにその合成方法および使用方法

ジメルカプタン末端ポリチオエーテルポリマーが開示される。これらのポリマーの合成方法および使用方法も開示される。本発明のポリチオエーテルポリマーは、約25℃、1気圧で液体であり、低いTgおよび良好な耐燃料性を有する。これらのポリマーを含有する組成物は、さらに硫黄含有化合物、硬化剤、およびさまざまな任意の添加物を含有し得、密閉剤としての使用に適する。本発明はさらに、開口部をシールする方法に関連し、航空宇宙の分野への応用に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジメルカプタン末端ポリチオエーテルポリマーに関連する。本発明はまた、これらのポリマーの合成方法および使用方法に関連する。
【背景技術】
【0002】
チオール末端硫黄含有ポリマーは、架橋による耐燃料性の性質のため、航空宇宙密閉剤としての使用に十分適していることが公知である。市販のポリマー状物質の中で、この所望の性質を見せるために十分な硫黄の含有量を有するものは、例えば、特許文献1に記載されるポリスルフィドポリマー、および、例えば、特許文献2に記載されるアルキル側鎖を含有するポリチオエーテルポリマーである。この背景において有用な物質は、室温における流動性の所望される性質も有する。
【0003】
得るのがかなり困難な航空宇宙密閉剤に対して、他に所望される性質の組み合わせは、長い利用時間または「可使時間」(この密閉剤が使用可能な時間)、および短い硬化時間(あらかじめ決められた強度に達するまでに必要な時間)の組み合わせである。航空宇宙密閉剤には、高い温度耐性も所望され得る。低いTgを有する組成物は、室温で液体であり、良好な可使時間を有し、ならびに/または、良好な性能特性は航空宇宙分野への応用が所望される。
【特許文献1】米国特許第2,466,963号明細書
【特許文献2】米国特許第4,366,307号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、式(I):
【0005】
【化4】

を有するジメルカプタン末端ポリチオエーテルポリマーに関連し、ここでそれぞれのRは同じであり、ならびに式(II):
【0006】
【化5】

によって表され、ここで、XはOまたはSであり;aが2〜6であり;bが1〜5であり;cが2〜10であり、nが1以上であり;ならびにRが、ジビニルエーテル残基以外のジエン残基、トリエン残基、または末端に脱離基を有する有機化合物の残基である。
【0007】
式(I)のポリマーの合成方法および使用方法はまた、本発明の範囲内である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、式(I):
【0009】
【化6】

を有するジメルカプタン末端ポリチオエーテルポリマーに関連し、ここでそれぞれのRは同じであり、ならびに式(II):
【0010】
【化7】

によって表され、ここで、XはOまたはSであり;aが2〜6であり;bが1〜5であり;cが2〜10であり、nが1以上であり;ならびにRが、ジビニルエーテル残基以外のジエン残基、トリエン残基、または末端に脱離基を有する有機化合物の残基である。「ジエン残基」、「トリエン残基」および「末端に脱離基を有する有機化合物の残基」は、それぞれ、ジエン、トリエンまたは脱離基を有する化合物の反応のときに残る部分として言及される、と理解される。いくつかの実施形態では、XはOであり、a、b、およびcはすべて2であり、nは1であり、ならびにRはビニルシクロヘキセンの残基である。
【0011】
本発明のポリチオエーテルポリマーは、室温および通常の圧力で液体であり、低いTgを有し、および良好な耐燃料性を有する。本明細書中で使用される場合、用語「室温および通常の圧力」は、約77°F(25℃)および1気圧を意味する。「低いTg」は、−50℃またはそれより低いガラス転移温度に言及する。本発明のある実施形態において、Tgは、−55℃またはそれより低い温度であり、例えば、−60℃またはそれより低い温度、あるいは−70℃またはそれより低い温度でさえある。低いTgは、硬化された処方物における良好な低温可撓性を示し、それは公知の方法、例えばAerospace Material Specification(AMS)3267 §4.5.4.7、Aerospace Material Specification(AMS)8802B §(AS 5127/17.6)、および、Military Specification(MIL−S) MIL−S−29574,に記載された方法により、ならびにASTM D 522−88に記載されたものと類似の方法により決定され得る。代表的に、良好な低温可撓性は、物質への接着の損失がない、クラッキングがない、チェッキング(checking)がないなどを意味する。本発明のポリチオエーテルポリマーはまた、硬化したときに、所望の耐燃料性特性を示し得る。ポリマーの耐燃料性の1つの測定法は、炭化水素燃料に長い時間さらした後の体積膨張率であり、これはASTM D 792もしくは、AMS 3269に記載されたものと同じ、または類似の方法を用いることにより定量的に決定され得る。ある実施形態においては、このポリチオエーテルポリマーは、硬化されたときは、140°F(60℃)、1気圧下、ジェットリファレンス流体(JRF)タイプ1中に1週間浸漬されたのちに、25%またはそれより低い体積膨張率を有する。ある実施形態においては、体積膨張率は20%またはそれより低い。
【0012】
このポリチオエーテルポリマーは、数平均分子量を200〜8000の範囲に及んで、例えば、200〜4000、もしくは200〜520の範囲に及んで有し得る。
【0013】
本発明のポリチオエーテル ポリマーは、多官能性であり;つまり、それらは2つまたはそれより多くの官能基を有する、ということが認められる。少なくとも2つの官能基は、末端のメルカプタン基である。官能性はまた、R部位および/またはR部位によって導入され得る。例えば、Rがトリエン残基である場合、このポリチオエーテルの官能性は2つより多くであり得る。これらのポリマーは、2モルの式(III)の化合物:
【0014】
【化8】

と、ジエン、トリエン、またはその他の末端に脱離基を有する有機化合物1モルとを反応させることにより調製され得、ここでRは本明細書に記載されている。環状脂肪族、脂肪族、ならびに芳香族のジエンおよびトリエンを含有する、任意の適切なジエン、トリエンまたは他の有機化合物が使用され得る。このジエンはジビニルエーテルではない。特定の適切なジエンはビニル シクロヘキセン、例えば4−ビニル−1−シクロヘキセンであり、式(IV):
【0015】
【化9】

を有することが理解される。
【0016】
ジエンが4−ビニル−1−シクロヘキセンであるとき、このポリマーは式(V):
【0017】
【化10】

を有する、ということが理解される。
【0018】
他の適切な化合物は、トリアリルシアヌレートならびに、ジクロロアルカンおよびトリクロロアルケンのようなジハライドまたはトリハライドを含有する。
【0019】
ある実施形態においては、式(III)は、ジメルカプトジオキサオクタン(「DMDO」)である。
【0020】
本発明のある実施形態においては、例えば、式(III)がDMDOであり、ならびにジエンがビニルシクロヘキセンであるときは、組成物の粘性を低下させるのに使用され得るポリチオエーテルポリマーが生じ、この様式では、本発明の化合物は反応性希釈剤として機能し得る。このことは、当該分野において重要な利点を与え、本発明のポリマーを利用した組成物は、溶媒の使用なしでより低い粘性を有する。したがって、本発明に従って、溶媒を除けない場合は、溶媒の使用を最小限にし得る。溶媒の除去および/または溶媒の最小化は明らかに肯定的な環境的含意を有する。なぜなら、エバポレーションのように溶媒を「ぱっと消す」ことが少しも、またはまったくないため、本発明の組成物の操作は、より高い溶媒含有量を有する他の組成物に比べて改善される。さらに、組成物における本発明のポリマーの使用は、この組成物の硬化を遅くすることを与え、よってより長い「可使時間」、ならびに/または、より長いこの組成物を物質に応用する時間を与える。したがって、本発明はさらに、上記されたポリチオエーテルポリマーを含有する組成物に関連する。
【0021】
上記されたポリチオエーテルポリマーに加え、本発明の組成物はさらに、1つもしくはそれより多くの追加の硫黄含有化合物、硬化剤、および1つもしくはそれより多くの追加の添加物を含有し得る。「硫黄含有化合物」および同類の用語は、硫黄分子を含有する構成要素を少なくとも1つ有する、任意の化合物または任意の化合物の混合物に言及する。例としては、当該分野で公知な、ポリスルフィドならびに/またはポリチオエーテルが含まれ得、例えば、Akzo NobelよりTHIOPLASTという名前で市販のポリスルフィド、ならびにTorayよりTHIOKOL LPという名前で市販のポリスルフィド、そして米国特許第6,172,179号;第5,912,319号;および第4,609,762号に記載のポリチオエーテルが含まれ得る。ある実施形態においては、この硫黄含有化合物は、ポリスルフィド構成要素およびポリチオエーテル構成要素を含有する、例えば、米国特許出願第10/935,857号に記載のポリマー混合物を包含し、これは本明細書中で参考として援用する。本発明のポリマーは、それ自身が硫黄含有化合物であり、ならびに任意の他の硫黄含有化合物なしで、本発明の組成物に使用され得る、ということが認められる。用語「硬化剤」は、硫黄含有化合物の硬化またはゲル化を加速するために、本発明の組成物に加えられ得る物質に言及する。「硬化する」、「硬化」および同類の用語は、この組成物が、ASTM D2240に従って測定された30デュロメーター「A」の硬化硬度を達成する、という点に言及する。任意の適切な硬化剤が使用され得る。ある実施形態においては、硬化剤は、末端のメルカプタン基を酸化し、ジスルフィド結合を形成する酸化剤を含有する。適切な硬化剤としては、例えば二酸化鉛、二酸化マンガン、二酸化カルシウム、過ホウ酸ナトリウム・一水和物、過酸化カルシウム、過酸化亜鉛、重クロム酸塩、およびエポキシが挙げられる。
【0022】
さまざまな添加物、たとえば充填剤、接着促進剤および可塑剤はまた、本発明の組成物に使用され得る。この組成物に有用な、特に航空宇宙分野への応用に有用な充填剤としては、当該分野で一般に使用されるもの、例えばカーボンブラック、炭酸カルシウム(CaCO)、シリカ、ナイロン、微小カプセルおよび同類のものが挙げられる。1つの実施形態においては、この組成物は、選択された充填剤または充填剤の組み合わせを、この組成物の全重量を基準として10〜70重量%、例えば10〜50重量%含有する。
【0023】
1つもしくはそれより多くの接着促進剤も使用され得る。適切な接着促進剤としては、フェノール、例えば、Occidental Chemicalsより市販のMETHYLONフェノール樹脂、ならびに/または、有機シラン、例えば、OSi Specialtiesより市販のA−187およびA−1100のようなエポキシシラン、メルカプトシラン、またはアミノ官能性シランが挙げられる。1つの実施形態において、接着促進剤は、処方物の全重量を基準として0.1〜15重量%の量を使用される。
【0024】
可塑剤はまた、本発明の組成物に使用され得、しばしば処方物の全重量を基準として1〜8重量%に及ぶ量を使用され得る。有用な可塑剤としては、フタル酸エステル、塩素化パラフィン、および水素化されたテルフェニルが挙げられる。
【0025】
本発明の組成物はさらに、1つまたはそれより多くの有機溶媒、例えば酢酸エチルを、しばしば処方物の全重量を基準として0〜15重量%に及ぶ量、例えば15重量%より少なく、もしくは10重量%より少ない量を含有し得る。
【0026】
本発明の組成物はまた任意に、他の標準的な添加物、例えば顔料、揺変性剤、遅延剤、触媒、およびマスキング剤を含有しうる。
【0027】
有用な顔料としては、当該分野で慣用的な顔料、例えばカーボンブラックおよび金属酸化物が挙げられる。顔料は、組成物の全重量を基準として、0.1〜10重量%の量で存在し得る。
【0028】
揺変性剤、例えばヒュームドシリカまたはカーボンブラックは、組成物の全重量を基準として0.1〜5重量%の量を使用され得る。
【0029】
本発明のある組成物は、この組成物の全重量を基準として、1〜30重量%、例えば5〜20重量%の本発明のメルカプタン末端ポリチオエーテルポリマーを含有し、20〜70重量%の、例えば35〜50重量%の硫黄含有化合物をこのポリマー以外に含有し、1〜50重量%の、例えば5〜25重量%、または10重量%の硬化剤を含有し、ならびに10〜50重量%、例えば5〜30重量%または25重量%の他の添加物を含有する。本発明のポリマーが硫黄含有化合物のみである組成物においては、それらの重量%はしかるべく調整される。
【0030】
本発明の組成物は、代表的に2つの構成要素として、または「2K」系としてまとめられる。第1の構成要素は、本発明のポリチオエーテルポリマー、および任意に他の硫黄含有化合物を含有し、そして1つまたはそれより多くのさまざまな添加物、例えば、充填剤、増量剤、接着促進剤、促進剤(accelerator)、ならびに/または遅延剤も含み得る。第2の構成要素は、一般的に硬化剤を含有し、そして1つまたはそれより多くのさまざまな添加剤、例えば可塑剤、充填剤、促進剤(accelerator)、および/または遅延剤も含み得る。この2つの構成要素は、使用前にすばやく混合される。例えば、2つの構成要素は特別に適合したカートリッジ/ロッド系、例えばPRC−DeSoto International,Incより市販のSEMKITを用いて、混合され得る。あるいは、構成要素は一緒に混合され得、ならびにその混合物は、硬化剤が反応性の温度より低く保たれ得る。用語「反応性」は、化学反応し得ることを意味し、そして反応物が、部分的に反応する段階から完全に反応する段階までの、任意の段階を包含する。−40℃より低い保管温度が代表的に、硬化剤とポリチオエーテルポリマー構成要素との反応を遅らせる、または妨げるのに適切である。
【0031】
本発明の組成物の特に適切な使用は、すべての部類の密閉剤としての使用である。本発明に従う密閉剤は、任意の本明細書に記載のメルカプタン末端ポリチオエーテルポリマーを含有するものである。「密閉剤」および同類の用語は、大気中の条件、例えば湿気、および/もしくは温度に抵抗する能力、ならびに/または少なくとも部分的に、水、燃料および/もしくは他の液体および気体のような物質の伝達を遮る能力を有する組成物に言及する。密閉剤は、そのうえ、しばしば接着性質を有する。密閉剤は一般的に、その粘性を基準として、「クラス」に分類される。クラスAの密閉剤は一般的に、100〜400ポイズの粘性を有する。これらの密閉剤は代表的にブラシで塗布される(brush−applied)ので、しばしば「ブラシコーティング」として言及される。クラスBの密閉剤は代表的に、6000〜18000ポイズの粘性を有し、代表的に押出しガンまたはヘラを使用して塗布される。これらの密閉剤は、フィレットシール(fillet seal)に用いられ得、燃料タンク密閉剤として一般的に用いられる。クラスCの密閉剤は一般的に、クラスAの密閉剤とクラスBの密閉剤の間の粘性、例えば1000〜4000ポイズの粘性を有する。クラスCの密閉剤はさまざまな様式、例えば、ブラシ、ローラーまたは押出しガンで塗布され得、ならびに「フェイシール(fay seal)」に使用され得る。したがって、本発明はさらに、上記を含有する任意の組成物を含有する密閉剤に関連する。
【0032】
本発明の組成物は、かなり多数の基材に塗布され得、例えば、チタン、ステンレス鋼、アルミニウム、ならびにそれらの下塗りされた(primed)もの、有機コーティングされたもの、およびクロメート型のもの、エポキシ、ウレタン、グラファイト、ガラス繊維複合材、ケブラー、アクリル、およびポリカーボネートが挙げられる。上記で言及したとおり、本発明の組成物は、特に航空宇宙の分野への応用、例えば航空宇宙密閉剤、ならびに燃料タンクおよび機体の胴体のライニング、ならびに同類のものに有用である。本発明に従う航空宇宙密閉剤材料は、高い温度耐性、耐燃料性、および/または曲げ強度を含む性質を示し得る。本明細書に記載の処方物はまた、極限の温度、化学的に厳しい環境、および/または機械的振動を経験する状況での使用に十分適切であり得る。この処方物は、航空宇宙分野への応用以外にも、使用され得る。
【0033】
本発明のポリマーは、一般的にゲル化しておらず、このポリマー混合物は固有の測定され得る粘性を有する、ということを意味する。本発明の硬化した処方物は、一般的に良好な低温可撓性を有する。この処方物は、温度および圧力のような環境条件、ならびに、接合部の収縮および膨張および/または振動のような物理的条件における幅広い変動に供されるので、この低温可撓性は航空宇宙分野への応用において所望される。
【0034】
本明細書に記載された粘性は、温度約25℃、ASTM D−2849に従い決定された圧力約760mmHg、Brookfield粘度計を使用したパラグラフ79〜90で測定されている。
【0035】
本発明はさらに、開口部をシールする方法に関連し、それは本明細書に記載された任意の密閉剤を開口部と関係した表面へ塗布することを包含する。接着促進剤は、所望であるならば、密閉剤より先に、その表面に塗布され得る。「開口部」は、穴、割れ目、切り口、またはその他の開口に言及する。ある実施形態においては、開口部は、航空機または航空宇宙機上にある。
【0036】
本明細書中で使用する場合、他に特別に述べられていないならば、すべての数、例えば値、範囲、量またはパーセントを示す数は、その用語が明白に示されてなくても、単語「約」より始められたかのように、読まれ得る。本明細書に記載された任意の数的な範囲は、本明細書で包括されたすべての下位範囲を包含することが意図される。複数形は単数形を包含し、逆もまた同じである。例えば、本明細書中で言及が「a」ポリチオエーテルポリマーに対してなされているものの、1つもしくはそれより多くのポリチオエーテルポリマー(それらのうちの少なくとも1つが本発明の範囲内である)が使用され得る。同様に、1つもしくはそれより多くの硫黄含有化合物、1つもしくはそれより多くの硬化剤、ならびに/または1つもしくはそれより多くの任意のさまざまな添加剤が、本発明の組成物に使用され得る。さらに本明細書中で使用する場合、用語「ポリマー」は、プレポリマー、オリゴマー、ならびにホモポリマーおよびコーポリマーの両方に言及することが意味され、接頭語「ポリ」は2つまたはそれより多く、に言及する。
【実施例】
【0037】
以下の例は、本発明を例証することを意図し、そしていかなる方法においても、本発明を制限するように解釈されるべきではない。
【0038】
(実施例1)
メカニカルスターラー、温度計および2つのガス吹き込み管(1つは窒素の入口用、およびもう1つは排出口用)を取り付けた1Lの4口丸底フラスコに、1,8−ジメルカプト−3,6−ジオキサオクタン(616.95g,3.38モル CAS #14970−87−7)を充填した。フラスコに乾燥した窒素を流し込み、内容物を32℃に加熱した。
【0039】
4−ビニルシクロヘキセン(183.05g、1.69モル CAS #100−40−3)を、ジチオールに撹拌しながら、3時間15分以上かけて加えた。加える間に穏やかな発熱が起こるが、温度は42℃〜45℃に保たれた。この反応混合物を3時間、55℃で加熱した。フリーラジカル開始剤(VAZO−52(2,2’アゾビス)2,4−ジメチルペンタンニトリル、CAS #4419−11−8,DuPontより市販されている)を5回に分けて(それぞれ140g)、2時間間隔で55〜60℃で加えた。反応混合物を、70〜75℃/7〜8mmHgで2時間減圧除去し、澄んだ無色の生成物を得た。収率:800g(100%);メルカプタン当量:238(理論上:236);粘性:1.331ポイズ。
【0040】
(実施例2)
表1に記載の構成要素を、ダブルシャフトカウル型(double shaft cowles type)バッチミキサー内で、水銀柱27インチまたはそれより大きい減圧度で、均一になるまで混合し、クラスBの密閉剤を調製した。構成要素AおよびBを
100:12の重量比で混合し、最終生成物である密閉剤を調製した。
【0041】
【化11】

米国特許第4,623,711号に従って調製された(分子量約2200)。
米国特許第4,623,711号に従って調製された(分子量約2500)。
THIOKOL LP−55 ポリスルフィドポリマー、Toray Fine Chemicalsより市販されている。
米国特許第6,172,179号に従って調製された(分子量約3000)。
ORGASOL、Atofinaより市販されている。
EXPANCEL、Akzoより市販されている。
OSiより市販されている。
OSiより市販されている。
【0042】
【化12】

部分的に水素化されたテルフェニル(HB−40)、Solutiaより市販されている。
10アルカリ金属アルミノ−シリケート 3Å粉末、UOPより市販されている。
11Akrochem Accelerator DPTT Powder、Akrochem Corp.より市販されている。
【0043】
サンプル2の密閉剤は、以下の表2に記述されたとおり、提案された仕様BMS 5−142の必要条件の試験を行い、すばらしい結果を得た。
【0044】
【化13】

【0045】
【化14】

ジェットリファレンス流体 TT−S−735A タイプIII
サンプル2はまた、同様の仕様に従い試験を行うと、良好な剥離強度を有し、ならびに炭化水素流体への耐性を示した。
【0046】
本発明の特定の実施形態は、例証の目的のため上記に記載されているが、本発明の詳細に対する非常に多くの変化は、添付した特許請求の範囲に規定された本発明より逸脱することなく、行われ得る、ということは当業者に明白である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジメルカプタン末端ポリチオエーテルポリマーであって、式(I):
【化1】

を有し、ここでそれぞれのRは同じであり、ならびに式(II):
【化2】

によって表され、ここで、XはOまたはSであり;aが2〜6であり;bが1〜5であり;cが2〜10であり、nが1以上であり;ならびにRが、ジビニルエーテル残基以外のジエン残基、トリエン残基、または末端に脱離基を有する有機化合物の残基である、ジメルカプタン末端ポリチオエーテルポリマー。
【請求項2】
請求項1に記載のポリマーであって、XがOであり;aが2であり;bが2であり;cが2であり;nが1であり、ならびにRがビニルシクロヘキセン残基である、ポリマー。
【請求項3】
請求項1に記載のポリマーを含有する、組成物。
【請求項4】
請求項2に記載のポリマーを含有する、組成物。
【請求項5】
請求項1に記載のポリマーおよび硬化剤を含有する、密閉剤。
【請求項6】
請求項2に記載のポリマーおよび硬化剤を含有する、密閉剤。
【請求項7】
前記硬化剤がMnOである、請求項5に記載の密閉剤。
【請求項8】
前記硬化剤がMnOである、請求項6に記載の密閉剤。
【請求項9】
粘性が10〜20,000ポイズである、請求項5に記載の密閉剤。
【請求項10】
粘性が10〜20,000ポイズである、請求項6に記載の密閉剤。
【請求項11】
請求項1に記載のポリマーの合成の方法であって、2モルの前記式(II):
【化3】

を有する化合物と、1モルのジエン、トリエン、または末端に脱離基を有する有機化合物とを混合する工程を含有する、方法。
【請求項12】
請求項9に記載の方法であって、XがOであり;a、bおよびcが2であり;nが1であり、ならびに前記ジエンがビニルシクロヘキセンである、方法。
【請求項13】
開口部をシールする方法であって、請求項5に記載の密閉剤を該開口部と関係した表面へ塗布する工程を含有する、方法。
【請求項14】
開口部をシールする方法であって、請求項6に記載の密閉剤を該開口部と関係した表面へ塗布する工程を含有する、方法。
【請求項15】
請求項3に記載の組成物であって、さらにポリスルフィドとポリチオエーテルを含有するポリマー混合物を含有する、組成物。
【請求項16】
請求項4に記載の組成物であって、さらにポリスルフィドとポリチオエーテルを含有するポリマー混合物を含有する、組成物。
【請求項17】
請求項13に記載の方法であって、前記表面が航空機または航空宇宙機の表面である、方法。
【請求項18】
請求項14に記載の方法であって、前記表面が航空機または航空宇宙機の表面である、方法。

【公表番号】特表2009−513790(P2009−513790A)
【公表日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−537931(P2008−537931)
【出願日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際出願番号】PCT/US2006/041723
【国際公開番号】WO2007/050725
【国際公開日】平成19年5月3日(2007.5.3)
【出願人】(502328466)ピーアールシー−デソト インターナショナル,インコーポレイティド (29)
【Fターム(参考)】