説明

ジャイロセンサー、電子機器、およびジャイロセンサーの製造方法

【課題】良好な感度特性および帯域特性を有するジャイロセンサーを提供する。
【解決手段】本発明に係るジャイロセンサー100は、駆動用バネ部114に接続されている駆動用支持部112を備えた駆動部110と、駆動用支持部112に検出バネ部124を介して接続されている検出用支持部122を備えた検出部120と、を含み、駆動用支持部112は第1軸(X軸)の方向に振動可能であり、検出用支持部122は第1軸(X軸)に直交する第2軸(Y軸)の方向に変位可能であり、駆動部110の共振周波数をfとし、検出部120の共振周波数をfとし、駆動用バネ部114の幅をwとし、検出用バネ部124の幅をwとすると、下記式(1)を満たす。
0.87(f/f)≦(w/w)≦1.13(f/f) ・・・ (1)
(ただし、w≠w、かつf≠f

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジャイロセンサー、電子機器、およびジャイロセンサーの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えばシリコンMEMS(Micro Electro Mechanical System)技術を用いて物理量を検出する慣性センサーが開発されてきている。このような慣性センサーのうち角速度を検出するジャイロセンサー(角速度センサー)は、デジタルスチルカメラ(DSC)の手ぶれ補正機能や、ゲーム機のモーションセンシング機能などに用いられる。
【0003】
ジャイロセンサーは、例えば、能動的に振動する駆動部、および角速度が加わったときのコリオリ力によって変位する検出部を有し、検出部の変位量から角速度を検出することができる。このようなジャイロセンサーにおいて、特に、駆動部の共振周波数と検出部の共振周波数との差(離調周波数)は、ジャイロセンサーの感度や帯域に直接影響を及ぼすため、周波数の制御は、非常に重要である。このような周波数の調整方法として、例えば特許文献1では、レーザー光を用いた調整方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−83498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、レーザー光を用いた調整方法の場合、レーザー装置で調整可能な周波数範囲の限界があり、それ以上に周波数ばらつきが存在すると調整できない可能性がある。また、駆動部の共振周波数および検出部の共振周波数のいずれか一方を調整すると、他方も変化してしまうという不都合が生じる場合がある。これにより、所望の離調周波数を得ることができず、ジャイロセンサーの感度特性や帯域特性が低下してしまう場合がある。
【0006】
また、静電力を用いて構造体を振動させる場合、クーロン力によるばねのソフトニング現象を利用して共振周波数を調整する方法も知られている。しかし、静電力を強くしすぎると、スティッキングと呼ばれる構造体の貼り付き現象が起きてしまう。従って、静電力による共振周波数調整法は、スティッキングを引き起こすリスクがあり大幅な周波数調整はできないという課題があった。
【0007】
本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、良好な感度特性および帯域特性を有するジャイロセンサーを提供することにある。また、本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、上記ジャイロセンサーを含む電子機器を提供することにある。また、本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、良好な感度特性および帯域特性を有するジャイロセンサーの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[適用例1]
本発明に係るジャイロセンサーは、
駆動用バネ部に接続されている駆動用支持部を備えた駆動部と、
前記駆動用支持部に検出バネ部を介して接続されている検出用支持部を備えた検出部と、
を含み、
前記駆動用支持部は第1軸の方向に振動可能であり、前記検出用支持部は前記第1軸に直交する第2軸の方向に変位可能であり、
前記駆動部の共振周波数をfとし、前記検出部の共振周波数をfとし、前記駆動用バネ部の幅をwとし、前記検出用バネ部の幅をwとすると、下記式(1)を満たす。
【0009】
0.87(f/f)≦(w/w)≦1.13(f/f) ・・・ (1)
(ただし、w≠w、かつf≠f
このようなジャイロセンサーによれば、離調周波数の変動を設定値の10%以内に抑えることができる。すなわち、駆動用バネ部の幅wおよび検出用バネ部の幅wの比を設定することにより、簡便に離調周波数を調整することができ、良好な感度特性および帯域特性を有することができる。
【0010】
[適用例2]
本発明に係るジャイロセンサーにおいて、
下記式(2)を満たしてもよい。
【0011】
(w/w)=(f/f) ・・・ (2)
このようなジャイロセンサーによれば、駆動用バネ部の幅wおよび検出用バネ部の幅wの寸法ずれ(加工プロセスのばらつき)が、離調周波数に及ぼす影響を抑制できる。したがって、このようなジャイロセンサーは、良好な感度特性および帯域特性を有することができる。
【0012】
[適用例3]
本発明に係るジャイロセンサーにおいて、
前記駆動部の共振周波数fと前記検出部の共振周波数fとの関係は、f<fであってもよい。
【0013】
このようなジャイロセンサーによれば、良好な感度特性および帯域特性を有することができる。
【0014】
[適用例4]
本発明に係るジャイロセンサーにおいて、
前記駆動用バネ部および前記検出用バネ部は、ドライエッチング法により形成されてもよい。
【0015】
このようなジャイロセンサーによれば、良好な感度特性および帯域特性を有することができる。
【0016】
[適用例5]
本発明に係るジャイロセンサーにおいて、
駆動用固定電極と、検出用固定電極と、をさらに含み、
前記駆動部は、前記駆動用支持部に接続されている駆動用可動電極を備え、
前記駆動用固定電極は、前記駆動用可動電極と対向して配置されており、
前記検出部は、前記検出用支持部に接続されている検出用可動電極を備え、
前記検出用固定電極は、前記検出用可動電極と対向して配置されていてもよい。
【0017】
このようなジャイロセンサーによれば、良好な感度特性および帯域特性を有することができる。
【0018】
[適用例6]
本発明に係るジャイロセンサーにおいて、
前記駆動用支持部は、開口部を備え、
前記検出部は、前記開口部内に配置されていてもよい。
【0019】
このようなジャイロセンサーによれば、検出部が駆動用支持部の外側に配置されている場合に比べて、小型化を図ることができる。
【0020】
[適用例7]
本発明に係るジャイロセンサーにおいて、
前記駆動部は、前記第1軸の方向に並んで配置された第1駆動部と第2駆動部とを含み、
前記検出部は、
前記第1駆動部に接続された第1検出部と、
前記第2駆動部に接続された第2検出部と、を含み、
前記第1駆動部および前記第2駆動部は、前記第1軸に沿って互いに逆位相で振動してもよい。
【0021】
このようなジャイロセンサーによれば、良好な感度特性および帯域特性を有することができる。
【0022】
[適用例8]
本発明に係る電子機器は、
本発明に係るジャイロセンサーを含む。
【0023】
このような電子機器によれば、本発明に係るジャイロセンサーを含むので、高い精度を有することができる。
【0024】
[適用例9]
本発明に係るジャイロセンサーの製造方法は、
基板をドライエッチング法により加工して、駆動用バネ部および前記駆動用バネ部に接続されている駆動用支持部を備えた駆動部と、前記駆動用支持部に接続されている検出バネ部および前記検出用バネ部に接続されている検出用支持部を備えた検出部と、を形成する工程を含み、
前記駆動用支持部は第1軸の方向に振動可能であり、前記検出用支持部は前記第1軸に直交する第2軸の方向に変位可能であり、
前記駆動部の共振周波数をfとし、前記検出部の共振周波数をfとし、前記駆動用バネ部の幅をwとし、前記検出用バネ部の幅をwとすると、下記式(1)を満たす。
【0025】
0.87(f/f)≦(w/w)≦1.13(f/f) ・・・ (1)
(ただし、w≠w、かつf≠f
このようなジャイロセンサーの製造方法によれば、良好な感度特性および帯域特性を有するジャイロセンサーを得ることができる。
【0026】
[適用例10]
本発明に係るジャイロセンサーの製造方法において、
前記ドライエッチング法は、フッ化炭素系ガスを用いた保護膜形成処理と、フッ化硫黄系のガスを用いたエッチング処理と、を交互に繰り返すボッシュ法であってもよい。
【0027】
このようなジャイロセンサーの製造方法によれば、エッチング工程において生じるサイドエッチを等方的に進行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本実施形態に係るジャイロセンサーを模式的に示す平面図。
【図2】本実施形態に係るジャイロセンサーの動作を説明するための図。
【図3】本実施形態に係るジャイロセンサーの動作を説明するための図。
【図4】本実施形態に係るジャイロセンサーの動作を説明するための図。
【図5】本実施形態に係るジャイロセンサーの動作を説明するための図。
【図6】本実施形態に係るジャイロセンサーの一部を模式的に示す平面図。
【図7】実験例に用いた構造体を模式的に示す平面図。
【図8】バネ部の幅寸法ずれ比率と周波数ずれ比率との関係を示すグラフ。
【図9】本実施形態に係る電子デバイスを模式的に示す断面図。
【図10】本実施形態に係る電子機器を模式的に示す斜視図。
【図11】本実施形態に係る電子機器を模式的に示す斜視図。
【図12】本実施形態に係る電子機器を模式的に示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0030】
1. ジャイロセンサー
まず、本実施形態に係るジャイロセンサーについて、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係るジャイロセンサー100を模式的に示す平面図である。なお、便宜上、図1では、互いに直交する3つの軸として、第1軸としてのX軸、第1軸に直交する第2軸としてのY軸、Z軸を図示している。
【0031】
1.1. 構成について
ジャイロセンサー100は、図1に示すように、振動系構造体104と、駆動用固定電極130と、検出用固定電極140と、固定部150と、を有することができる。
【0032】
振動系構造体104は、例えば、シリコン基板を加工することにより、一体的に形成されている。これにより、シリコン半導体デバイスの製造に用いられる微細な加工技術の適用が可能となり、振動系構造体104の小型化を図ることができる。
【0033】
振動系構造体104は、固定部150によって支持されている。固定部150は、例えば、ジャイロセンサー100を収容するパッケージ30の搭載面12(図9参照)に固定されている。振動系構造体104は、搭載面12と離間して配置されている。振動系構造体104は、図1に示すように、例えば、第1振動体106と、第2振動体108と、を有する。第1振動体106および第2振動体108は、X軸に沿って互いに連結されている。
【0034】
第1振動体106および第2振動体108は、両者の境界線B(Y軸に沿った直線)に対して、対称となる形状を有することができる。したがって、以下では、第1振動体106の構成について説明し、第2振動体108の構成の説明については、省略する。
【0035】
第1振動体106は、駆動部110と、検出部120と、を有する。駆動部110は、駆動用支持部112と、駆動用バネ部114と、駆動用可動電極116と、を有することができる。
【0036】
駆動部支持部112は、開口部113を備えることができる。すなわち、駆動用支持部112の形状は、例えば、枠状であり、駆動用支持部112の内側(開口部113内)には、検出部120が配置されている。これにより、検出部が駆動用支持部の外側に配置されている場合に比べて、ジャイロセンサー100の小型化を図ることができる。図示の例では、駆動用支持部112は、X軸に沿って延在する第1延在部112aと、Y軸に沿って延在する第2延在部112bと、によって構成されている。
【0037】
駆動用バネ部114は、駆動用支持部112の外側に配置されている。図示の例では、駆動用バネ部114の一端は、駆動用支持部112の角部(第1延在部112aと第2延在部112bとの接続部)近傍に接続されている。駆動用バネ部114の他端は、固定部150に接続されている。
【0038】
図示の例では、駆動用バネ部114は、第1振動体106において、4つ設けられている。そのため、第1振動体106は、4つの固定部150によって、支持されている。なお、第1振動体106と第2振動体108との境界線B上の固定部150は、設けられていなくてもよい。
【0039】
駆動用バネ部114は、幅Wを有し、Y軸に沿って往復しながらX軸に沿って延在する形状を有している。幅Wは、駆動用バネ部114のうち、Y軸に沿う部分においてはX軸方向の長さであり、X軸に沿う部分においてはY軸方向の長さである。複数の駆動用バネ部114は、駆動用支持部112の中心を通るX軸に沿った仮想線(図示せず)、および駆動用支持部112の中心を通るY軸に沿った仮想線(図示せず)に対して、対称に設けられている。駆動用バネ部114を上記のような形状とすることにより、駆動用バネ部114が、Y軸方向およびZ軸方向に変形することを抑制し、駆動用バネ部114を、駆動部110の振動方向であるX軸方向にスムーズに伸縮させることができる。そして、駆動用バネ部114の伸縮に伴い、駆動用支持部112を(駆動部110を)、X軸に沿って振動させることができる。なお、駆動用バネ部114は、駆動用支持部112をX軸に沿って振動させることができれば、その数は特に限定されない。
【0040】
駆動用可動電極116は、駆動用支持部112の外側に、駆動用支持部112に接続されて配置されている。より具体的には、駆動用可動電極116は、駆動用支持部112の第1延在部112aに接続されている。
【0041】
駆動用固定電極130は、駆動用支持部112の外側に配置されている。駆動用固定電極130は、例えば、ジャイロセンサー100を収容するパッケージ30の搭載面12(図9参照)に固定されている。図1に示す例では、駆動用固定電極130は、複数設けられ、駆動用可動電極116を介して、対向配置されている。図1に示す例では、駆動用固定電極130は、櫛歯状の形状を有しており、駆動用可動電極116は、駆動用固定電極130の櫛歯の間に挿入可能な突出部116aを有している。突出部116aは、駆動用固定電極130と対向して配置されている。駆動用固定電極130と突出部116aとの距離(ギャップ)を小さくすることにより、駆動用固定電極130と駆動用可動電極116との間の静電力を、大きくすることができる。
【0042】
駆動用固定電極130および駆動用可動電極116に、電圧を印加すると、駆動用固定電極130と駆動用可動電極116との間に静電力を発生させることができる。これにより、駆動用バネ部114をX軸に沿って伸縮させつつ、駆動用支持部112(駆動部110)を、X軸に沿って振動させることができる。
【0043】
なお、図示の例では、駆動用可動電極116は、第1振動体106において、4つ設けられているが、駆動用支持部116をX軸に沿って振動させることができれば、その数は特に限定されない。また、図示の例では、駆動用固定電極130は、駆動用可動電極116を介して、対向配置されているが、駆動用支持部112をX軸に沿って振動させることができれば、駆動用固定電極130は、駆動用可動電極116の一方側にのみ配置されていてもよい。
【0044】
検出部120は、駆動部110に接続されている。図示の例では、検出部120は、駆動用支持部112の内側に配置されている。検出部120は、検出用支持部122と、検出用バネ部124と、検出用可動電極126と、を有することができる。なお、図示はしないが、検出部120は、駆動部110に接続されていれば、駆動用支持部112の外側に配置されていてもよい。
【0045】
検出用支持部122の形状は、例えば、枠状である。図示の例では、検出用支持部122は、X軸に沿って延在する第3延在部122aと、Y軸に沿って延在する第4延在部122bと、によって構成されている。
【0046】
検出用バネ部124は、検出用支持部122の外側に配置されている。検出用バネ部124は、検出用支持部122と駆動用支持部112とを接続している。より具体的には、検出用バネ部124の一端は、検出用支持部122の角部(第3延在部122aと第4延在部122bとの接続部)近傍に接続されている。検出用バネ部124の他端は、駆動用支持部112の第1延在部112aに接続されている。
【0047】
検出用バネ部124は、幅Wを有し、X軸に沿って往復しながらY軸に沿って延在する形状を有している。幅Wは、検出用バネ部124のうち、X軸に沿う部分においてはY軸方向の長さであり、Y軸に沿う部分においてはX軸方向の長さである。図示の例では、検出用バネ部124は、第1振動体106において、4つ設けられている。複数の検出用バネ部124は、検出用支持部122の中心を通るX軸に沿った仮想線(図示せず)、および検出用支持部122の中心を通るY軸に沿った仮想線(図示せず)に対して、対称に設けられている。検出用バネ部124を上記のような形状とすることにより、検出用バネ部124が、X軸方向およびZ軸方向に変形することを抑制し、検出用バネ部124を、検出部120の振動方向であるY軸方向にスムーズに伸縮させることができる。そして、検出用バネ部124の伸縮に伴い、検出用支持部122を(検出部120を)、Y軸に沿って振動させることができる。なお、検出用バネ部124は、検出用支持部122をY軸に沿って振動させることができれば、その数は特に限定されない。
【0048】
検出用可動電極126は、検出用支持部122の内側に、検出用支持部122に接続されて配置されている。図示の例では、検出用可動電極126は、X軸に沿って延在しており、検出用支持部122の2つの第4延在部122bに、接続されている。
【0049】
検出用固定電極140は、検出用支持部122の内側に配置されている。検出用固定電極140は、検出用可動電極126と対向して配置されている。検出用固定電極140は、例えば、ジャイロセンサー100を収容するパッケージ30の搭載面12(図9参照)に固定されている。図1に示す例では、検出用固定電極140は、複数設けられ、検出用可動電極126を介して、対向配置されている。
【0050】
検出用可動電極126および検出用固定電極140の数および形状は、検出用可動電極126と検出用固定電極140との間の静電容量の変化を検出することができれば、特に限定されない。
【0051】
1.2. 動作について
次に、ジャイロセンサー100の動作について説明する。図2〜図5は、本実施形態に係るジャイロセンサー100の動作を説明するための図である。なお、便宜上、図2〜図5では、ジャイロセンサー100の各部分を、簡略化して図示している。また、図2〜図5では、互いに直交する3つの軸として、X軸、Y軸、Z軸を図示している。
【0052】
駆動用固定電極130および駆動用可動電極116に、図示しない電源によって、電圧を印加すると、駆動用固定電極130と駆動用可動電極116との間に静電力を発生させることができる。これにより、図2および図3に示すように、駆動用バネ部114をX軸に沿って伸縮させることができ、駆動部110をX軸に沿って振動させることができる。
【0053】
より具体的には、第1振動体106の駆動用可動電極116と固定電極130との間に第1交番電圧を印加し、第2振動体108の駆動用可動電極116と固定電極130との間に第1交番電圧と位相が180度ずれた第2交番電圧を印加する。これにより、第1振動体106の第1駆動部110a、および第2振動体108の第2駆動部110bを、互いに逆位相でかつ所定の周波数で、X軸に沿って振動させることができる。すなわち、X軸に沿って互いに連結された(並んで配置された)第1駆動部110aおよび第2駆動部110bは、X軸に沿って、互いに逆位相でかつ共振周波数fで振動(第1振動)する。例えば、まず、図2に示すように、第1駆動部110aは、α1方向に変位し、第2駆動部110bは、α1方向と反対方向のα2方向に変位する。次に、図3に示すように、第1駆動部110aは、α2方向に変位し、第2駆動部110bは、α1方向に変位する。第1駆動部110aおよび第2駆動部110bは、この動作を繰り返す。このようにして、第1駆動部110aおよび第2駆動部110bは、互いに逆位相でかつ共振周波数fで振動する。
【0054】
なお、検出部120は、駆動部110に接続されているため、検出部120も駆動部110の振動に伴い、X軸に沿って振動する。すなわち、第1振動体106および第2振動体108は、X軸に沿って、互いに逆位相で振動する。
【0055】
図4および図5に示すように、駆動部110a,110bが第1振動を行っている状態で、ジャイロセンサー100にZ軸回りの角速度ωが加わると、コリオリの力が働き、検出部120は、Y軸に沿って変位する。すなわち、第1駆動部110aに連結された第1検出部120a、および第2駆動部110bに連結された第2検出部120bは、第1振動およびコリオリ力によって、Y軸に沿って、互いに反対方向に変位する。例えば、まず、図4に示すように、第1検出部120aは、β1方向に変位し、第2検出部120bは、β1方向と反対方向のβ2方向に変位する。次に、図5に示すように、第1検出部120aは、β2方向に変位し、第2検出部120bは、β1方向に変位する。第1検出部120aおよび第2検出部120bは、この動作を繰り返す。このようにして、第1検出部120aおよび第2検出部120bは、互いに逆位相でかつ共振周波数fで振動する。
【0056】
検出部120a,120bがY軸に沿って変位することにより、検出用可動電極126と検出用固定電極140との間の距離Lは、変化する。そのため、検出用可動電極126と検出用固定電極140との間の静電容量は、変化する。ジャイロセンサー100では、検出用可動電極126および検出用固定電極140に電圧を印加することにより、検出用可動電極126と検出用固定電極140との間の静電容量の変化量を検出し、Z軸回りの角速度ωを求めることができる。
【0057】
なお、上記では、静電力によって、駆動部110を駆動させる形態(静電駆動方式)について説明したが、駆動部110を駆動させる方法は、特に限定されず、圧電駆動方式や、磁場のローレンツ力を利用した電磁駆動方式等を適用することができる。
【0058】
1.3. 共振周波数とバネ部の幅との関係について
駆動部110の第1振動の共振周波数f、検出部120の第2振動の共振周波数f、駆動用バネ部114の幅w、および検出用バネ部124の幅wは、下記式(1)を満たす。さらに、より好ましくは、下記式(2)を満たす。ただし、式(1)および式(2)において、w≠w、かつf≠fである。
【0059】
【数1】

【0060】
式(1)を満たすことにより、ジャイロセンサー100は、駆動部110の共振周波数と検出部120の共振周波数との差である離調周波数の変動(設定値からのずれ)を、10%以内に抑えることができる。通常、離調周波数の変動を10%以内に抑えることができれば、ジャイロセンサーは、十分な感度および帯域を得ることができ、良好な感度特性および帯域特性を有することができる。
【0061】
さらに、式(2)を満たすことにより、ジャイロセンサー100は、ジャイロセンサー100を形成するためのプロセスによってバネ部114,124の幅の寸法が、設定値からずれたとしても、そのバネ部114,124の寸法ずれが、離調周波数に影響を及ぼすことを抑制できる。その結果、ジャイロセンサーは、十分な感度および帯域を得ることができ、良好な感度特性および帯域特性を有することができる。
【0062】
以下、その理由について、説明する。
【0063】
バネ部の幅がw(設定値)からΔwずれた場合に、共振周波数はf(設定値)からΔfずれるとする。発明者は、後述する実験例により、下記式(3)の関係があることを見出した。
【0064】
【数2】

【0065】
ここで、kは比例係数であり、バネ幅やバネ長に依らない。また、後述するようにkの値は1.5と見積もることができる。式(3)より、駆動用バネ部114の幅wがΔwずれた場合の、駆動部110の周波数f´、および検出用バネ部124の幅wがΔwずれた場合の、検出部120の周波数f´は、それぞれ、下記式(4)および下記式(5)のように表すことができる。なお、式(4)において、fは、Δw=0の場合の共振周波数(すなわち設定値)であり、式(5)において、fは、Δw=0の場合の共振周波数(すなわち設定値)である。
【0066】
【数3】

【0067】
式(4)および式(5)より、離調周波数の変動Δf´は、下記式(6)のように表すことができる。なお、式(6)において、Δfは、離調周波数の設定値(Δw=0の場合の駆動部110の共振周波数fと、Δw=0の場合の検出部120の共振周波数fと、の差)である。
【0068】
【数4】

【0069】
ここで、ΔwとΔwの量について考えてみる。シリコンMEMS技術を用いてこのようなバネ構造を製造する場合、寸法ずれはMEMS製造プロセスによって発生する。その起源は、フォトリソグラフィーによるずれもあるが、一番大きな要因として挙げられるのがエッチング工程中のサイドエッチ(横方向のエッチング)である。
【0070】
通常、シリコンMEMSの構造体をエッチングする場合にはボッシュ(Bosch)法と呼ばれるドライエッチングが行われる。Bosch法は、エッチングモードと保護膜モードを繰り返すことにより高アスペクト比の深堀エッチングを実現するものである。例えば、Bosch法では、SFガスとCガスとを交互に流し、Cガスが流れている保護モードのときは、プラズマ重合でテフロン(登録商標)のような物質が堆積し、側壁が保護膜でコーティングされる。SFガスによるエッチングモードのときには、底面の保護膜が削られてSiが露出し、FラジカルでSiがエッチングされる。そして、側壁の保護膜がなくならないうちに、また次の保護膜を堆積するということを交互に行う。しかし実際には、保護モードのときに保護膜の形成が十分でないため、エッチングモードの際に横方向へのサイドエッチが若干進む。このサイドエッチ量は構造体の方向に依らず等方的なおかつ均一的に発生する。
【0071】
本発明のジャイロセンサー100の振動系構造体104でも、振動系構造体104のエッチングには、Bosch法を用いることができる。すなわち、例えばシリコン基板をBosch法により加工して、駆動部110および検出部120を有する振動系構造体104を形成して、ジャイロセンサー100を製造する。より具体的には、Cガスを用いた保護膜モード(保護膜形成処理)と、SFガスを用いたエッチングモード(エッチング処理)と、を繰り返すドライエッチングにより振動系構造体104を形成することができる。このエッチング工程において生じるサイドエッチは、バネの幅や長さなどの構造に依らず基本的に等方的に進行する。そのため、図6に示すように、どの方向に対してもサイドエッチ量は、同じであるとみなすことができる。したがって、Δw=Δw=Δwとみなすことができる。なお、図6は、ジャイロセンサー100の駆動用バネ部114および固定部150を模式的に示す平面図であり、図6では、エッチングする前の形状(設計寸法)を破線で示している。
【0072】
【数5】

【0073】
一般的なジャイロセンサーの設計では、検出部120の第2振動の共振周波数fを駆動部110の第1振動の共振周波数fよりも高く設定する。即ち、f>fである。これは検出部120に作用するコリオリ力を、第1振動の共振周波数に共鳴させて検出するためである。より好ましくは、f>fのままfをfに近づけた方がよい。一方、f<fとすると共鳴による利得が大幅に低下してしまう。ごく稀に、f=fとしてジャイロセンサーが設計される場合があるが、検出感度は増大するものの、検出する角速度の帯域が確保できないデメリットがある。従って、近年の電子機器に用いられる高性能なジャイロセンサーとしては、f>fの条件を考えればよい。
【0074】
上記条件を前提に式(6)´について考える。ここで、w=wとしてしまうと、式(6)´の右辺第2項はf>fである限り正の値を示す。即ち、離調周波数の変動Δf´は常に正の値を示し、サイドエッチ量Δwに比例して増大する。つまり、駆動用バネ部114の幅wと検出用バネ部124の幅wを同じ幅で設計すると、製造プロセスの寸法ずれにより、離調周波数の変動が出やすくなる。
【0075】
そこで発明者は、製造プロセスによるサイドエッチ量Δwが変化しても離調周波数がずれないような条件を見出すために、式(6)´の右辺第2項に着目した。
【0076】
【数6】

とすれば、式(6)´の右辺第2項はゼロとなり、Δwが変化しても離調周波数は変化しない。即ち、駆動用バネ部114の幅wと検出用バネ部124の幅wの比を、駆動部110の共振周波数fと検出部120の共振周波数fの比と同一にすれば(w:w=f:f)、製造プロセスの寸法ずれによる離調周波数の抑制することができる。例えば、f=4kHz、f=5kHzの場合には、w=4μm、w=5μmとすることができる。
【0077】
上述したように、w:w=f:fと設定できれば離調周波数のずれをゼロにすることができる。しかし実際には、全くのゼロにする必要は無く、離調周波数の設定値Δfの10%程度に抑えればよい。それ以下の変動は、上述したように、ジャイロセンサー100の振動系構造体104に静電バイアスを加えることによるバネのソフトニング効果で調整することが可能である。
【0078】
次に、離調周波数の変動Δf´を、離調周波数の設定値Δfの10%以内に抑えたいときの条件を考える。式(6)´は、α=w/w、β=f/fと定義されたパラメーターを導入して、下記式(6)´´のように整理することができる。
【0079】
【数7】

【0080】
従って、離調周波数の変動Δf´を、離調周波数の設定値Δfの10%以内に抑えるには、式(6)´´の第2項のみについて考えればよい。
【0081】
【数8】

【0082】
まず、式(7)の下限の条件を求めると、
【数9】

【0083】
ここで、kは後述するようにバネ幅寸法ずれ比率と周波数ずれ比率の関係を表す比例定数である。また、検出部120の共振周波数fに対し離調周波数Δfを、1/10に設定することは現実的にはない。通常、シリコンMEMS技術を用いて振動型の慣性センサーなどを開発する場合、製造プロセスによる共振周波数のばらつきは、±10%以下に抑えるのが普通だからである。従って、Δf/fを1/10以下に設定することは実質的にない。仮に、Δf/fを1/10以下にすると、検出部120の共振周波数fを、駆動部110の共振周波数fよりも大きく設定しようとした場合に、fとfの大きさが逆転し、fの方がfよりも小さくなってしまう可能性もある。
【0084】
また、上述のように、シリコン基板をBosch法によるエッチング工程において加工する場合、プロセス開発のターゲットとして寸法ずれは±10%以下に抑えることができる。従って、サイドエッチ量が検出用バネ部124の幅wの10%以上になることは現実的にはなく、好ましくは、サイドエッチ量はwの5%以下である。すなわち、Δw/wは、実質的に1/20以下である。
【0085】
したがって、式(8)は、下記式(9)となる。
【0086】
【数10】

【0087】
次に、式(7)の上限の条件を求めると、式(8)および式(9)と同様にして、下記式(10)を得ることができる。
【0088】
【数11】

【0089】
尚、式(9)、式(10)においてkに1.5を代入した。式(9)および式(10)より、0.87β≦α≦1.13βとなり、上述した式(1)を得ることができる。したがって、式(1)を満たすように、駆動用バネ部114の幅wに対する検出用バネ部124の幅wの比(w/w)を設定すれば、離調周波数の変動Δf´を設定値Δfの10%以下に抑えることができる。
【0090】
【数12】

【0091】
本実施形態に係るジャイロセンサー100は、例えば、以下の特徴を有する。
【0092】
ジャイロセンサー100によれば、上記の式(1)を満たすことができる。これにより、上述のとおり、離調周波数の変動Δf´を設定値Δfの10%以内に抑えることができる。すなわち、wおよびwの比を設定することにより、簡便に離調周波数を調整することができ、ジャイロセンサー100は、良好な感度特性および帯域特性を有することができる。
【0093】
ジャイロセンサー100によれば、上記の式(2)を満たすことができる。これにより、上述のとおり、バネ部の幅の寸法ずれ(加工プロセスのばらつき)が、離調周波数に及ぼす影響を抑制できる。したがって、ジャイロセンサー100は、良好な感度特性および帯域特性を有することができる。
【0094】
2. 実験例
次に、実験例について説明する。なお、本発明は、以下の実験によって何ら限定されるものではない。
【0095】
実験例には、構造体Sを用いた。図7は、構造体Sを模式的に示す平面図である。以下、実験例に用いた構造体Sにおいて、本実施形態に係るジャイロセンサー100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0096】
構造体Sは、図7に示すように、検出部120および検出用固定電極140が設けられていないこと、さらに駆動部支持部112が開口部113を備えていないこと以外は、ジャイロセンサー100と同じ構成を有している。すなわち、構造体Sは、振動系構造体104と、駆動用固定電極130と、固定部150と、を有している。振動系構造体104は、第1振動体106と、第2振動体108と、によって構成されており、第1振動体106および第2振動体108は、駆動部110を有している。駆動部110は、駆動用支持部112と、駆動用バネ部114と、駆動用可動電極116と、を有している。
【0097】
駆動用バネ部114の幅の設定値wを、2μm、4μm、および8μmと変化させて3種類の構造体Sを形成し、共振周波数の設定値をfとして振動させた。図8は、バネ部114の幅寸法ずれ比率(Δw/w)[%]と、構造体Sの周波数ずれ比率(Δf/f)[%]と、の関係を示すグラフである。Δwは、wからのずれ量であり、Δfは、fからのずれ量である。
【0098】
図8に示すとおり、(Δw/w)と(Δf/f)とは、線形の関係にあり、その係数は1.5であった。すなわち、上述した式(3)の関係を満たすことがわかり、共振周波数fは、wがΔwずれた場合は、1.5の比例係数で変化することがわかった。
【0099】
3. 電子デバイス
次に、本実施形態に係る電子デバイスについて、図面を参照しながら説明する。図9は、本実施形態に係る電子デバイス200を模式的に示す断面図である。本実施形態に係る電子デバイスは、本発明に係るジャイロセンサーを含む。以下では、本発明に係るジャイロセンサーとして、ジャイロセンサー100を含む電子デバイスについて、説明する。なお、便宜上、図9では、ジャイロセンサー100を簡略化して図示している。
【0100】
電子デバイス200は、図9に示すように、ジャイロセンサー100と、基体10および蓋体20を有するパッケージ30と、を有している。
【0101】
基体10としては、例えば、ガラス基板、シリコン基板、水晶基板を用いることができる。基体10は、搭載面12においてジャイロセンサー100を支持している。より具体的には、基体10の搭載面12には、凹部14が形成されており、凹部14の上方にジャイロセンサー100が配置されている。凹部14によって、ジャイロセンサー100は、基体10に妨害されることなく、動作することができる。搭載面12は、キャビティー32を区画する面である。
【0102】
蓋体20は、基体10に接合されている。蓋体20としては、例えば、シリコン基板、ガラス基板、水晶基板を用いることができる。基体10と蓋体20とは、陽極接合によって接合されていてもよいし、接着剤によって接合されていてもよいし、半田によって接合されていてもよい。または、基体10および蓋体20の各々の接合部分に金属薄膜(図示せず)を形成し、該金属薄膜同士を共晶接合させることにより、基体10と蓋体20とを接合させてもよい。
【0103】
基体10および蓋体20は、ジャイロセンサー100を収容するキャビティー32を形成している。図示の例では、蓋体20に凹部が形成されており、該凹部は、基体10によって封止されてキャビティー32となる。キャビティー32の形状は、ジャイロセンサー100を収容できれば特に限定されない。
【0104】
キャビティー32は、例えば、減圧状態で密閉されている。これにより、ジャイロセンサー100の振動が空気粘性によって減衰することを抑制できる。基体10および蓋体20のいずれか一方に貫通孔(図示せず)が形成されており、該貫通孔を通して、キャビティー32を減圧状態にしてもよい。
【0105】
なお、図示の例では、キャビティー32となる凹部は、蓋体20に形成されているが、基体10に形成されていてもよく、基体10に形成された凹部を蓋体20によって封止することによって、キャビティー32を形成してもよい。
【0106】
電子デバイス200によれば、良好な感度特性および帯域特性を有するジャイロセンサー100を含む。そのため、電子デバイス200は、高い精度を有することができる。
【0107】
4. 電子機器
次に、本実施形態に係る電子機器について、図面を参照しながら説明する。本実施形態に係る電子機器は、本発明に係る電子デバイスを含む。以下では、本発明に係る電子デバイスとして、電子デバイス200を含む電子機器について、説明する。
【0108】
図10は、本実施形態に係る電子機器として、モバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピューター1100を模式的に示す斜視図である。
【0109】
図10に示すように、パーソナルコンピューター1100は、キーボード1102を備えた本体部1104と、表示部1108を有する表示ユニット1106と、により構成され、表示ユニット1106は、本体部1104に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。
【0110】
このようなパーソナルコンピューター1100には、電子デバイス200が内蔵されている。
【0111】
図11は、本実施形態に係る電子機器として、携帯電話機(PHSも含む)1200を模式的に示す斜視図である。
【0112】
図11に示すように、携帯電話機1200は、複数の操作ボタン1202、受話口1204および送話口1206を備え、操作ボタン1202と受話口1204との間には、表示部1208が配置されている。
【0113】
このような携帯電話機1200には、電子デバイス200が内蔵されている。
【0114】
図12は、本実施形態に係る電子機器として、デジタルスチルカメラ1300を模式的に示す斜視図である。なお、図12には、外部機器との接続についても簡易的に示している。
【0115】
ここで、通常のカメラは、被写体の光像により銀塩写真フィルムを感光するのに対し、デジタルスチルカメラ1300は、被写体の光像をCCD(Charge Coupled Device)などの撮像素子により光電変換して撮像信号(画像信号)を生成する。
【0116】
デジタルスチルカメラ1300におけるケース(ボディー)1302の背面には、表示部1310が設けられ、CCDによる撮像信号に基づいて表示を行う構成になっており、表示部1310は、被写体を電子画像として表示するファインダーとして機能する。
【0117】
また、ケース1302の正面側(図中裏面側)には、光学レンズ(撮像光学系)やCCDなどを含む受光ユニット1304が設けられている。
【0118】
撮影者が表示部1310に表示された被写体像を確認し、シャッターボタン1306を押下すると、その時点におけるCCDの撮像信号が、メモリー1308に転送・格納される。
【0119】
また、このデジタルスチルカメラ1300においては、ケース1302の側面に、ビデオ信号出力端子1312と、データ通信用の入出力端子1314とが設けられている。そして、ビデオ信号出力端子1312には、テレビモニター1430が、データ通信用の入出力端子1314には、パーソナルコンピューター1440が、それぞれ必要に応じて接続される。さらに、所定の操作により、メモリー1308に格納された撮像信号が、テレビモニター1430や、パーソナルコンピューター1440に出力される構成になっている。
【0120】
このようなデジタルスチルカメラ1300には、電子デバイス200が内蔵されている。
【0121】
以上のような電気機器1100,1200,1300は、良好な感度特性および帯域特性を有するジャイロセンサー100を備えた電子デバイス200を含む。そのため、電気機器1100,1200,1300は、高い精度を有することができる。
【0122】
なお、上記ジャイロセンサー100を備えた電子機器は、図9に示すパーソナルコンピューター(モバイル型パーソナルコンピューター)、図10に示す携帯電話機、図11に示すデジタルスチルカメラの他にも、例えば、インクジェット式吐出装置(例えばインクジェットプリンター)、ラップトップ型パーソナルコンピューター、テレビ、ビデオカメラ、ビデオテープレコーダー、各種ナビゲーション装置、ページャー、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニター、電子双眼鏡、POS端末、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電図計測装置、超音波診断装置、電子内視鏡)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシミュレーターなどに適用することができる。
【0123】
上述した実施形態および変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば、各実施形態および各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
【0124】
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0125】
10 基体、12 搭載面、14 凹部、20 蓋体、30 パッケージ、
32 キャビティー、100 ジャイロセンサー、104 振動系構造体、
106 第1振動体、108 第2振動体、110 駆動部、112 駆動用支持部、
112a 第1延在部、112b 第2延在部、113 開口部、
114 駆動用バネ部、116 駆動用可動電極、116a 突出部、120 検出部、
122 検出用支持部、122a 第3延在部、122b 第4延在部、
124 検出用バネ部、126 検出用可動電極、130 駆動用固定電極、
140 検出用固定電極、150 固定部、200 電子デバイス、
1100 パーソナルコンピューター、1102 キーボード、1104 本体部、
1106 表示ユニット、1108 表示部、1200 携帯電話機、
1202 操作ボタン、1204 受話口、1206 送話口、1208 表示部、
1300 デジタルスチルカメラ、1302 ケース、1304 受光ユニット、
1306 シャッターボタン、1308 メモリー、1310 表示部、
1312 ビデオ信号出力端子、1314 入出力端子、1430 テレビモニター、
1440 パーソナルコンピューター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動用バネ部に接続されている駆動用支持部を備えた駆動部と、
前記駆動用支持部に検出バネ部を介して接続されている検出用支持部を備えた検出部と、
を含み、
前記駆動用支持部は第1軸の方向に振動可能であり、前記検出用支持部は前記第1軸に直交する第2軸の方向に変位可能であり、
前記駆動部の共振周波数をfとし、前記検出部の共振周波数をfとし、前記駆動用バネ部の幅をwとし、前記検出用バネ部の幅をwとすると、下記式(1)を満たす、ジャイロセンサー。
0.87(f/f)≦(w/w)≦1.13(f/f) ・・・ (1)
(ただし、w≠w、かつf≠f
【請求項2】
請求項1において、
下記式(2)を満たす、ジャイロセンサー。
(w/w)=(f/f) ・・・ (2)
【請求項3】
請求項1または2において、
前記駆動部の共振周波数fと前記検出部の共振周波数fとの関係は、f<fである、ジャイロセンサー。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、
前記駆動用バネ部および前記検出用バネ部は、ドライエッチング法により形成された、ジャイロセンサー。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項において、
駆動用固定電極と、検出用固定電極と、をさらに含み、
前記駆動部は、前記駆動用支持部に接続されている駆動用可動電極を備え、
前記駆動用固定電極は、前記駆動用可動電極と対向して配置されており、
前記検出部は、前記検出用支持部に接続されている検出用可動電極を備え、
前記検出用固定電極は、前記検出用可動電極と対向して配置されている、ジャイロセンサー。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項において、
前記駆動用支持部は、開口部を備え、
前記検出部は、前記開口部内に配置されている、ジャイロセンサー。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項において、
前記駆動部は、前記第1軸の方向に並んで配置された第1駆動部と第2駆動部とを含み、
前記検出部は、
前記第1駆動部に接続された第1検出部と、
前記第2駆動部に接続された第2検出部と、を含み、
前記第1駆動部および前記第2駆動部は、前記第1軸に沿って互いに逆位相で振動する、ジャイロセンサー。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載のジャイロセンサーを含む、電子機器。
【請求項9】
基板をドライエッチング法により加工して、駆動用バネ部および前記駆動用バネ部に接続されている駆動用支持部を備えた駆動部と、前記駆動用支持部に接続されている検出バネ部および前記検出用バネ部に接続されている検出用支持部を備えた検出部と、を形成する工程を含み、
前記駆動用支持部は第1軸の方向に振動可能であり、前記検出用支持部は前記第1軸に直交する第2軸の方向に変位可能であり、
前記駆動部の共振周波数をfとし、前記検出部の共振周波数をfとし、前記駆動用バネ部の幅をwとし、前記検出用バネ部の幅をwとすると、下記式(1)を満たす、ジャイロセンサーの製造方法。
0.87(f/f)≦(w/w)≦1.13(f/f) ・・・ (1)
(ただし、w≠w、かつf≠f
【請求項10】
請求項9において、
前記ドライエッチング法は、フッ化炭素系ガスを用いた保護膜形成処理と、フッ化硫黄系のガスを用いたエッチング処理と、を交互に繰り返すボッシュ法である、ジャイロセンサーの製造方法。

【図6】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−96952(P2013−96952A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242659(P2011−242659)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】