ジョイントコネクタ
【課題】相手方の接続端子の端子収容室への挿入性を向上することのできるジョイントコネクタを提供する。
【解決手段】バスバー10のタブ状端子部の基端部と共にハウジング2の基部に一体成形された繋ぎ部15が、連結方向に端子収容室の配置間隔を小さくするようなハウジングの収縮に追従して、タブ状端子部の配置間隔を小さくするように、連結方向に変形可能である。繋ぎ部の周囲には、金型駒80を敢えて使用することで、樹脂を排除した空洞部82が確保されており、繋ぎ部が自由に変形できるようになっている。タブ状端子部の基端部にはそれぞれリブが形成され、バスバーと一体成形された直後のハウジングが、外気により冷却されて収縮した場合でも、収縮により生じた応力をリブが受け、繋ぎ部が連結方向に変形することでハウジングの収縮に対応することができる。
【解決手段】バスバー10のタブ状端子部の基端部と共にハウジング2の基部に一体成形された繋ぎ部15が、連結方向に端子収容室の配置間隔を小さくするようなハウジングの収縮に追従して、タブ状端子部の配置間隔を小さくするように、連結方向に変形可能である。繋ぎ部の周囲には、金型駒80を敢えて使用することで、樹脂を排除した空洞部82が確保されており、繋ぎ部が自由に変形できるようになっている。タブ状端子部の基端部にはそれぞれリブが形成され、バスバーと一体成形された直後のハウジングが、外気により冷却されて収縮した場合でも、収縮により生じた応力をリブが受け、繋ぎ部が連結方向に変形することでハウジングの収縮に対応することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インサート成形によりハウジングとバスバーとが一体化されたジョイントコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、幹線を分岐して分岐回路を構成するジョイントコネクタとして、ジョイントコネクタのハウジングにバスバーが取り付けられ、相手方の接続端子がバスバーに接続されるものが提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
図13は、特許文献1に開示された従来のジョイントコネクタ100を示す。このジョイントコネクタ100は、ハウジング102とバスバー108とを備える。ハウジング102は合成樹脂を成形することで形成されている。このジョイントコネクタ100には、導電性金属製のバスバー108に接続される相手方の接続端子を収容するための端子収容部103と、バスバー108が取り付けられる複数のバスバー取付部106が形成されている。
【0004】
バスバー108は、接続端子が接続される複数のタブ状端子部110と、バスバー取付部106に係止される複数の係止部113と、隣り合うタブ状端子部110同士を連結する板状の連結部111とからなる。バスバー108の係止部113は、成形後のハウジング102のバスバー取付部106に係止され、これによりバスバー108がハウジング102に取り付けられる。
【0005】
このように、このジョイントコネクタ100によれば、ハウジング102が成形された後にバスバー108をバスバー取付部106に取り付ける構成となっているが、代わりにバスバーとハウジングとを一体成形(すなわち、ハウジングにバスバーをインサート成形)する構成をとる場合も考えられる。
【0006】
この場合、特に端子収容部を、複数のタブ状端子部が個々に収容されるようにバスバー取付部側から同方向に平行にそれぞれ延長する複数の端子収容室に変更し、コネクタハウジングに配置した構造では、ハウジングが、金型による成形直後、該金型から取り出された際に、冷却により収縮してしまうため、端子収容室とタブ状端子部とにずれが生じてしまい、相手方の接続端子を端子収容室に挿入しづらくなる可能性がある。
【0007】
すなわち、端子収容室は合成樹脂のみで成形されているので、複数の端子収容室全体が収縮し、よって複数の端子収容室の配置間隔が縮まるのに対し、バスバー取付部に一体成形されたバスバーは、銅等の導電性金属であるがために、バスバー取付部が収縮しても、複数のタブ状端子部の連結方向に殆ど変形せず(換言すれば、連結するタブ状端子部間の距離を小さくするような変形はせず)、よって複数のタブ状端子部の配置間隔は殆ど変わらないので、図14に例示するように、端子収容室が歪むことで端子収容室の間隔とタブ状端子部の間隔にずれ(すなわち、ピッチずれ)が生じ、結果的に接続端子を端子収容室に挿入しづらくなる事態が考えられうるのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平7−73938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記した事情を考慮して、本出願人は、図6〜図11に示すようなジョイントコネクタ1を発明している。
【0010】
図6はその先行発明を適用したジョイントコネクタおよび相手方の接続端子の斜視図、図7は図6のジョイントコネクタの横断面図、図8は図6のジョイントコネクタに使用されているバスバーの一部を示す斜視図、図9は相手方の接続端子がバスバーのタブ状端子部に接続されつつある状態のジョイントコネクタの横断面図、図10はハウジングとバスバーとを一体成形し、ハウジングが収縮する前の状態を示した断面図、図11はハウジングが収縮した後の状態を示した断面図である。
【0011】
図6〜図9に示されるように、このジョイントコネクタ1は、合成樹脂製のハウジング2と、銅等の良導体金属よりなるバスバー10とを備えている。ハウジング2とバスバー10は一体成形(すなわち、インサート成形)されている。ハウジング2は、バスバー取付部である基部6と、該基部6から同方向に平行にそれぞれ延長するように並んで配置された複数の端子収容室3とを含み、各端子収容室3の内部に、該各端子収容室3の前端開口から相手側の接続端子20が挿入されるようになっている。
【0012】
また、バスバー10は、複数のタブ状端子部11と、隣接するタブ状端子部11を連結して連鎖状にする繋ぎ部15とを含んでいる。複数のタブ状端子部11は、複数の端子収容室3に対応して互いに平行に配置され、且つ複数の端子収容室3内にそれぞれ突出した先端部13と、ハウジング2の基部6にそれぞれ一体成形された基端部14とを有しており、これら基端部14が、ハウジング2の成形時にハウジング2の基部6を構成する樹脂内に埋設されている。先端部13は、相手方の接続端子20と電気的に接続するための接触部である。繋ぎ部15は、複数のタブ状端子部11のうちの隣り合うタブ状端子部11の基端部14間に連設され、隣合うタブ状端子部11を相互に繋いでいる。また、複数のタブ状端子部11の基端部14には、それぞれ複数のリブ16が起立形成されており、ハウジング2の成形時にハウジング2の基部6を構成する樹脂内に埋設されている。なお、繋ぎ部15は、複数のタブ状端子部11に対して隆起するような湾曲形状を有しており、中央の孔17を挟んで2本がブリッジ状に形成されている。
【0013】
更に詳細に説明すると、ハウジング2の前側部分には、端子収容部として、仕切り壁4で仕切られて形成された、雌型の接続端子20を収容するための複数の端子収容室3が一列に配置され、そしてハウジング2の後側部分には、分岐回路を構成するバスバー10が固定された基部6が形成されている。それぞれの端子収容室3には、接続端子20の端子挿入方向に延設された案内部5と、接続端子20を係止するための片持ち状のランス7とが形成されている。案内部5は、接続端子20を端子収容室3に挿入する際に接続端子20を案内するものである。また、ランス7は、端子収容室3内の接続位置まで挿入された接続端子20を、挿入方向と反対方向へ抜けないように係止するものである。また、ハウジング2は、他のハウジングがその上下に積み重ねられるように構成されており、ハウジング2の側面には、他のハウジングと係合するためのコネクタ係合部8、9が形成されている。なお、図7では、3つのバスバーがハウジング2に一体成形されているが、バスバーの数はこれに限定されず、分岐回路の設計に応じて適宜設定される。
【0014】
バスバー10は、金属板体をプレス成形することで形成されている。雄型端子として機能するタブ状端子部11の先端部13は、端子収容室3に挿入された接続端子20と接触することで電気的に接続される。隣接するタブ状端子部11の基端部14同士を連結する繋ぎ部15は、タブ状端子部11の板厚に比べて薄く形成されている。なお、図8では、3つのタブ状端子部11を2つの繋ぎ部15で連結する構成となっているが、タブ状端子部11の数はこれに限定されず、分岐回路の設計に応じて適宜設定される。
【0015】
繋ぎ部15には、連結するタブ状端子部11間にわたってタブ状端子部11の連結方向に延びる矩形の孔17が形成されている。この繋ぎ部15の湾曲形状および繋ぎ部15に孔17を設けたことにより、繋ぎ部15は容易に弾性変形可能となっており、それにより、タブ状端子部11に連結方向に互いに近づく方向の力が加わった場合に、繋ぎ部15が変形することで、タブ状端子部11同士が互いに近づくことが可能となっている。
【0016】
また、タブ状端子部11の基端部14に立設されたリブ16は、端子挿入方向に沿って(換言すれば、タブ状端子部11の基端部14の連結方向と直交する方向に)延長しており、このリブ16がハウジング2の基部6を構成する樹脂中に埋設されることにより、タブ状端子部11の基端部14の連結方向における、タブ状端子部11の基端部14とハウジング2の基部6との一体性が高められている。なお、このリブ16は、タブ状端子部11の基端部14の一部に切りこみを入れて折り曲げることで形成されている。
【0017】
一方、相手側の接続端子20は、先端部が開口した筐体状のボックス部21と電線30を加締める加締め部22とを有する。ボックス部21の内部には弾性接触バネ23が設けられており、弾性接触バネ23はボックス部21に挿入されたバスバー10のタブ状端子部11の先端部13に対して弾性接触し、電気的に接続される。また、ボックス部21には、ランス7により係止される被係止部が形成されている。
【0018】
上述したように、ジョイントコネクタ1は、タブ状端子部11の基端部14、およびリブ16を含めた繋ぎ部15がハウジング2の基部6に埋め込まれ且つタブ状端子部11の先端部13が端子収容室3内に突出するような状態で、ハウジング2とバスバー10とを一体成形することで形成されている。
【0019】
図10に示すようにハウジング2の収縮前のバスバー10のタブ状端子部11間の間隔をXとする。成形直後にハウジング2が外気に触れると成形品は冷却され、ハウジング2全体が収縮し始める。その際、ハウジング2の基部6も収縮し、該基部6に埋め込まれたバスバー10の部分、すなわちタブ状端子部11の基端部14および繋ぎ部15は、収縮により生じた応力を受けることになる。特に、リブ16には、収縮により生じた応力(主にタブ状端子部11の連結方向の樹脂の圧力)がかかりやすい。そして、図11に示すように応力を受けてバスバー10の繋ぎ部15が連結方向にタブ状端子部11間の間隔がX’(<X)になるまで変形し、応力を吸収する。このように、バスバー10は、ハウジング2の基部6の収縮に追従して変形するので、バスバー10の先端部13の間隔と端子収容室3の間隔とにずれが生じにくい。なお、図11においては、分かりやすくするために収縮量を誇張して示している。
【0020】
上記構造を備えたジョイントコネクタ1によれば、複数のタブ状端子部11の基端部14と共にハウジング2の基部6に一体成形された繋ぎ部15が、複数のタブ状端子部11の連結方向に複数の端子収容室3の配置間隔を小さくするようなハウジング2の収縮に追従して、複数のタブ状端子部11の配置間隔を小さくするように、複数のタブ状端子部11の連結方向に変形可能であり、且つ、複数のタブ状端子部11の基端部14にそれぞれリブ16が形成されているので、バスバー10と一体成形された直後のハウジング2が、外気により収縮した場合でも、収縮により生じた応力をリブ16が受け、繋ぎ部15が連結方向に変形することでハウジング2の収縮に対応することができ、これにより端子収容室3の間隔とバスバー10のタブ状端子部11の間隔とのずれを抑制することができる。
【0021】
しかしながら、実際に製作試験を繰り返してみると、まだ改善すべき課題があることが分かった。
すなわち、バスバー10のタブ状端子部11の基端部14間を連結する繋ぎ部15は、ハウジング2の成形後の収縮時に自由に変形できるようには作られているが、図10および図11に示すように、その繋ぎ部15自体がハウジング2を構成する樹脂の中に埋まってしまっているため(つまり、繋ぎ部15の周囲が全て樹脂で充填されているため)、繋ぎ部15が自由に変形しづらくなっており、その結果、図12に示すように、タブ状端子部11のセンターライン11Lとハウジング2の端子収容室3のセンターライン3LとのズレSが無くならない場合が生じ、そのために接続端子20を端子収容室3に挿入した際に、タブ状端子部11と接続端子20のボックス部21の側壁に重なり代dが発生してしまい、端子挿入時に不必要に大きな摩擦力が発生することになって接続端子の挿入性が悪化することがあることが分かった。
【0022】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、バスバーと一体成形されたハウジングに収縮が生じ、これにより複数の端子収容室の間隔が縮まったとしても、端子収容室の間隔とバスバーのタブ状端子部の間隔とのずれを最小に抑制することができて、相手方の接続端子の端子収容室への挿入性を一段と向上することのできるジョイントコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
前述した目的を達成するために、本発明に係るジョイントコネクタは、下記(1)〜(3)を特徴としている。
(1) 基部と、該基部から同方向に平行にそれぞれ延長するように並んで配置された複数の端子収容室とを含み、前記各端子収容室の内部に該各端子収容室の前端開口から相手側の接続端子が挿入される樹脂製のハウジングと、
前記複数の端子収容室に対応して配置され、且つ前記複数の端子収容室内にそれぞれ突出した先端部と前記ハウジングの基部にそれぞれ該ハウジングの成形時に埋設された基端部とを有する複数のタブ状端子部と、それら複数のタブ状端子部のうちの隣り合うタブ状端子部の基端部間を連結する繋ぎ部と、前記複数のタブ状端子部の基端部にそれぞれ起立形成され、前記ハウジングの基部にそれぞれ該ハウジングの成形時に埋設された複数のリブと、を一体に含む導電性金属製のバスバーと、
を備え、
前記繋ぎ部が、前記複数のタブ状端子部の連結方向に複数の端子収容室の配置間隔を小さくするようなハウジングの収縮に追従して、前記複数のタブ状端子部の配置間隔を小さくするように、複数のタブ状端子部の連結方向に変形可能とされ、
前記各繋ぎ部の周囲に、該各繋ぎ部の変形を保証するために、前記ハウジングを構成する樹脂を排除した空洞部が確保されていること。
(2) 上記(1)のジョイントコネクタにおいて、
前記繋ぎ部が前記複数のタブ状端子部に対して隆起するような湾曲形状を有すること。
(3) 上記(1)または(2)のジョイントコネクタにおいて、
前記繋ぎ部には孔が形成されていること。
【0024】
上記(1)のジョイントコネクタによれば、複数のタブ状端子部の基端部と共にハウジングの基部に一体成形された繋ぎ部が、複数のタブ状端子部の連結方向に複数の端子収容室の配置間隔を小さくするようなハウジングの収縮に追従して、複数のタブ状端子部の配置間隔を小さくするように、複数のタブ状端子部の連結方向に変形可能であり且つ、複数のタブ状端子部の基端部にそれぞれリブが形成されているので、バスバーと一体成形された直後のハウジングが、外気により冷却されて収縮した場合でも、収縮により生じた応力をリブが受け、繋ぎ部が連結方向に変形することでハウジングの収縮に対応することができ、これにより端子収容室の間隔とバスバーのタブ状端子部の間隔とのずれを抑制することができる。特に、各繋ぎ部の周囲には、ハウジングを構成する樹脂を排除した空洞部が確保されているので、各繋ぎ部をハウジングの収縮の際に自由に変形させることがことができ、それにより、端子収容室の間隔とバスバーのタブ状端子部の間隔とのずれを最小に抑制することができる。
上記(2)のジョイントコネクタによれば、繋ぎ部が、タブ状端子部に対して隆起するような湾曲形状を有するので、複数のタブ状端子部の配置間隔を小さくするように連結方向に変形しやすい。
上記(3)のジョイントコネクタによれば、繋ぎ部に孔が形成されているので、孔が無い場合と比較して繋ぎ部がより変形しやすい。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、バスバーと一体成形されたハウジングに収縮が生じ、これにより複数の端子収容室の間隔が縮まったとしても、端子収容室の間隔とバスバーのタブ状端子部の間隔とのずれを最小に抑制することができ、相手方の接続端子の端子収容室への挿入性を一段と向上することができるジョイントコネクタを提供することができる。
【0026】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の係るジョイントコネクタの実施形態および相手方の接続端子、並びに成形時に使用する金型駒を示す斜視図である。
【図2】図1のジョイントコネクタの一部を背面から見た図であり、金型駒を使用してバスバーのタブ状端子部を連結する繋ぎ部の周囲に空洞部を形成した状態を示す斜視図である。
【図3】バスバーのタブ状端子部を連結する繋ぎ部の周囲に空洞部が形成されている場合のハウジングが収縮する前の状態を示した断面図である。
【図4】ハウジングが収縮した後の状態を示した断面図である。
【図5】ハウジングの端子収容室に相手方の接続端子が挿入されてバスバーのタブ状端子部と接続される場合の、1つの端子収容室とタブ状端子部と接続端子との位置関係を示す拡大平面図である。
【図6】本出願人のその先行発明を適用したジョイントコネクタおよび相手方の接続端子の斜視図である。
【図7】図6のジョイントコネクタの横断面図である。
【図8】図6のジョイントコネクタに使用されているバスバーの一部を示す斜視図である。
【図9】相手方の接続端子がバスバーのタブ状端子部に接続されつつある状態のジョイントコネクタの横断面図である。
【図10】ハウジングとバスバーとを一体成形し、ハウジングが収縮する前の状態を示した断面図である。
【図11】ハウジングが収縮した後の状態を示した断面図である。
【図12】ジョイントコネクタを示す断面図である。
【図13】従来のジョイントコネクタを示す断面図である。
【図14】従来の問題点を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1は実施形態のジョイントコネクタおよび相手方の接続端子並びに成形時に使用する金型駒を示す斜視図、図2は同ジョイントコネクタの一部を背面から見た図であり、金型駒を使用してバスバーのタブ状端子部を連結する繋ぎ部の周囲に空洞部を形成した状態を示す斜視図、図3はバスバーのタブ状端子部を連結する繋ぎ部の周囲に空洞部が形成されている場合のハウジングが収縮する前の状態を示した断面図、図4はハウジングが収縮した後の状態を示した断面図、図5はハウジングの端子収容室に相手方の接続端子が挿入されてバスバーのタブ状端子部と接続される場合の、1つの端子収容室とタブ状端子部と接続端子との位置関係を示す拡大平面図である。
【0029】
本実施形態のジョイントコネクタ1Aの基本的な構成は、図6〜図9を用いて先に説明したものとほぼ同じであり、異なる点、即ち、特徴点は、図1〜図4に示すように、バスバー10の隣接するタブ状端子部11の基端部14間を連結する繋ぎ部15の周囲に、各繋ぎ部15の自由な変形を保証するために、ボックス型の金型駒80を敢えて使用することによって、ハウジング2を構成する樹脂を排除した空洞部82を確保したことである。それ以外の構成は、図6〜図9を用いて先に説明したものと同様であるので、同一構成要素に図中同一符号を付して説明を省略する。なお、繋ぎ部15の形状は、前述したものと同様に、複数のタブ状端子部11に対して隆起するような湾曲形状(アーチ状)になっている。また、繋ぎ部15には、矩形の孔17が形成されている。
【0030】
このように、バスバー10の各繋ぎ部15の周囲には、ハウジング2を構成する樹脂を排除した空洞部82が確保されているので、各繋ぎ部15をハウジング2の成形後の収縮時に自由に変形させることがことができ、それにより、図5に示すように、タブ状端子部11のセンターライン11Lとハウジング2の端子収容室3のセンターライン3LとのズレSを無くして、両センターライン11L、3Lを一致させることができる。そのため、接続端子20を端子収容室3に挿入した際に、タブ状端子部11と接続端子20のボックス部21の側壁との間にクリアランスδを確保することができ、接続端子20の挿入性を良くすることができる。
【0031】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0032】
上記の実施形態では、繋ぎ部15は、タブ状端子部11の広い面に対して隆起するような湾曲形状を有するように形成されているが、これに限定されない。繋ぎ部は、連結方向に変形できればどのような形状でもよく、例えば、くの字形状、波線形状、等を有するように形成してもよい。また、上記の実施形態では、繋ぎ部15には孔17が形成されているが、繋ぎ部が連結方向に変形できる限りは、孔17を形成しなくてもよく、繋ぎ部の幅を短くしたりすることもできる。
【0033】
ただし、上記の実施形態の繋ぎ部15の形状は、上記の優れた作用および効果を奏する上で、最も好ましい。
【0034】
また、リブ16の形状については、板状に限定されず、ハウジングの収縮により生じた応力(すなわち、樹脂の圧力)がかかりやすい形状であれば何でもよい。
【符号の説明】
【0035】
1A ジョイントコネクタ
2 ハウジング
3 端子収容室
6 基部
10 バスバー
11 タブ状端子部
13 先端部
14 基端部
15 繋ぎ部
16 リブ
17 孔
20 接続端子
80 金型駒
82 空洞部
【技術分野】
【0001】
本発明は、インサート成形によりハウジングとバスバーとが一体化されたジョイントコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、幹線を分岐して分岐回路を構成するジョイントコネクタとして、ジョイントコネクタのハウジングにバスバーが取り付けられ、相手方の接続端子がバスバーに接続されるものが提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
図13は、特許文献1に開示された従来のジョイントコネクタ100を示す。このジョイントコネクタ100は、ハウジング102とバスバー108とを備える。ハウジング102は合成樹脂を成形することで形成されている。このジョイントコネクタ100には、導電性金属製のバスバー108に接続される相手方の接続端子を収容するための端子収容部103と、バスバー108が取り付けられる複数のバスバー取付部106が形成されている。
【0004】
バスバー108は、接続端子が接続される複数のタブ状端子部110と、バスバー取付部106に係止される複数の係止部113と、隣り合うタブ状端子部110同士を連結する板状の連結部111とからなる。バスバー108の係止部113は、成形後のハウジング102のバスバー取付部106に係止され、これによりバスバー108がハウジング102に取り付けられる。
【0005】
このように、このジョイントコネクタ100によれば、ハウジング102が成形された後にバスバー108をバスバー取付部106に取り付ける構成となっているが、代わりにバスバーとハウジングとを一体成形(すなわち、ハウジングにバスバーをインサート成形)する構成をとる場合も考えられる。
【0006】
この場合、特に端子収容部を、複数のタブ状端子部が個々に収容されるようにバスバー取付部側から同方向に平行にそれぞれ延長する複数の端子収容室に変更し、コネクタハウジングに配置した構造では、ハウジングが、金型による成形直後、該金型から取り出された際に、冷却により収縮してしまうため、端子収容室とタブ状端子部とにずれが生じてしまい、相手方の接続端子を端子収容室に挿入しづらくなる可能性がある。
【0007】
すなわち、端子収容室は合成樹脂のみで成形されているので、複数の端子収容室全体が収縮し、よって複数の端子収容室の配置間隔が縮まるのに対し、バスバー取付部に一体成形されたバスバーは、銅等の導電性金属であるがために、バスバー取付部が収縮しても、複数のタブ状端子部の連結方向に殆ど変形せず(換言すれば、連結するタブ状端子部間の距離を小さくするような変形はせず)、よって複数のタブ状端子部の配置間隔は殆ど変わらないので、図14に例示するように、端子収容室が歪むことで端子収容室の間隔とタブ状端子部の間隔にずれ(すなわち、ピッチずれ)が生じ、結果的に接続端子を端子収容室に挿入しづらくなる事態が考えられうるのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平7−73938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記した事情を考慮して、本出願人は、図6〜図11に示すようなジョイントコネクタ1を発明している。
【0010】
図6はその先行発明を適用したジョイントコネクタおよび相手方の接続端子の斜視図、図7は図6のジョイントコネクタの横断面図、図8は図6のジョイントコネクタに使用されているバスバーの一部を示す斜視図、図9は相手方の接続端子がバスバーのタブ状端子部に接続されつつある状態のジョイントコネクタの横断面図、図10はハウジングとバスバーとを一体成形し、ハウジングが収縮する前の状態を示した断面図、図11はハウジングが収縮した後の状態を示した断面図である。
【0011】
図6〜図9に示されるように、このジョイントコネクタ1は、合成樹脂製のハウジング2と、銅等の良導体金属よりなるバスバー10とを備えている。ハウジング2とバスバー10は一体成形(すなわち、インサート成形)されている。ハウジング2は、バスバー取付部である基部6と、該基部6から同方向に平行にそれぞれ延長するように並んで配置された複数の端子収容室3とを含み、各端子収容室3の内部に、該各端子収容室3の前端開口から相手側の接続端子20が挿入されるようになっている。
【0012】
また、バスバー10は、複数のタブ状端子部11と、隣接するタブ状端子部11を連結して連鎖状にする繋ぎ部15とを含んでいる。複数のタブ状端子部11は、複数の端子収容室3に対応して互いに平行に配置され、且つ複数の端子収容室3内にそれぞれ突出した先端部13と、ハウジング2の基部6にそれぞれ一体成形された基端部14とを有しており、これら基端部14が、ハウジング2の成形時にハウジング2の基部6を構成する樹脂内に埋設されている。先端部13は、相手方の接続端子20と電気的に接続するための接触部である。繋ぎ部15は、複数のタブ状端子部11のうちの隣り合うタブ状端子部11の基端部14間に連設され、隣合うタブ状端子部11を相互に繋いでいる。また、複数のタブ状端子部11の基端部14には、それぞれ複数のリブ16が起立形成されており、ハウジング2の成形時にハウジング2の基部6を構成する樹脂内に埋設されている。なお、繋ぎ部15は、複数のタブ状端子部11に対して隆起するような湾曲形状を有しており、中央の孔17を挟んで2本がブリッジ状に形成されている。
【0013】
更に詳細に説明すると、ハウジング2の前側部分には、端子収容部として、仕切り壁4で仕切られて形成された、雌型の接続端子20を収容するための複数の端子収容室3が一列に配置され、そしてハウジング2の後側部分には、分岐回路を構成するバスバー10が固定された基部6が形成されている。それぞれの端子収容室3には、接続端子20の端子挿入方向に延設された案内部5と、接続端子20を係止するための片持ち状のランス7とが形成されている。案内部5は、接続端子20を端子収容室3に挿入する際に接続端子20を案内するものである。また、ランス7は、端子収容室3内の接続位置まで挿入された接続端子20を、挿入方向と反対方向へ抜けないように係止するものである。また、ハウジング2は、他のハウジングがその上下に積み重ねられるように構成されており、ハウジング2の側面には、他のハウジングと係合するためのコネクタ係合部8、9が形成されている。なお、図7では、3つのバスバーがハウジング2に一体成形されているが、バスバーの数はこれに限定されず、分岐回路の設計に応じて適宜設定される。
【0014】
バスバー10は、金属板体をプレス成形することで形成されている。雄型端子として機能するタブ状端子部11の先端部13は、端子収容室3に挿入された接続端子20と接触することで電気的に接続される。隣接するタブ状端子部11の基端部14同士を連結する繋ぎ部15は、タブ状端子部11の板厚に比べて薄く形成されている。なお、図8では、3つのタブ状端子部11を2つの繋ぎ部15で連結する構成となっているが、タブ状端子部11の数はこれに限定されず、分岐回路の設計に応じて適宜設定される。
【0015】
繋ぎ部15には、連結するタブ状端子部11間にわたってタブ状端子部11の連結方向に延びる矩形の孔17が形成されている。この繋ぎ部15の湾曲形状および繋ぎ部15に孔17を設けたことにより、繋ぎ部15は容易に弾性変形可能となっており、それにより、タブ状端子部11に連結方向に互いに近づく方向の力が加わった場合に、繋ぎ部15が変形することで、タブ状端子部11同士が互いに近づくことが可能となっている。
【0016】
また、タブ状端子部11の基端部14に立設されたリブ16は、端子挿入方向に沿って(換言すれば、タブ状端子部11の基端部14の連結方向と直交する方向に)延長しており、このリブ16がハウジング2の基部6を構成する樹脂中に埋設されることにより、タブ状端子部11の基端部14の連結方向における、タブ状端子部11の基端部14とハウジング2の基部6との一体性が高められている。なお、このリブ16は、タブ状端子部11の基端部14の一部に切りこみを入れて折り曲げることで形成されている。
【0017】
一方、相手側の接続端子20は、先端部が開口した筐体状のボックス部21と電線30を加締める加締め部22とを有する。ボックス部21の内部には弾性接触バネ23が設けられており、弾性接触バネ23はボックス部21に挿入されたバスバー10のタブ状端子部11の先端部13に対して弾性接触し、電気的に接続される。また、ボックス部21には、ランス7により係止される被係止部が形成されている。
【0018】
上述したように、ジョイントコネクタ1は、タブ状端子部11の基端部14、およびリブ16を含めた繋ぎ部15がハウジング2の基部6に埋め込まれ且つタブ状端子部11の先端部13が端子収容室3内に突出するような状態で、ハウジング2とバスバー10とを一体成形することで形成されている。
【0019】
図10に示すようにハウジング2の収縮前のバスバー10のタブ状端子部11間の間隔をXとする。成形直後にハウジング2が外気に触れると成形品は冷却され、ハウジング2全体が収縮し始める。その際、ハウジング2の基部6も収縮し、該基部6に埋め込まれたバスバー10の部分、すなわちタブ状端子部11の基端部14および繋ぎ部15は、収縮により生じた応力を受けることになる。特に、リブ16には、収縮により生じた応力(主にタブ状端子部11の連結方向の樹脂の圧力)がかかりやすい。そして、図11に示すように応力を受けてバスバー10の繋ぎ部15が連結方向にタブ状端子部11間の間隔がX’(<X)になるまで変形し、応力を吸収する。このように、バスバー10は、ハウジング2の基部6の収縮に追従して変形するので、バスバー10の先端部13の間隔と端子収容室3の間隔とにずれが生じにくい。なお、図11においては、分かりやすくするために収縮量を誇張して示している。
【0020】
上記構造を備えたジョイントコネクタ1によれば、複数のタブ状端子部11の基端部14と共にハウジング2の基部6に一体成形された繋ぎ部15が、複数のタブ状端子部11の連結方向に複数の端子収容室3の配置間隔を小さくするようなハウジング2の収縮に追従して、複数のタブ状端子部11の配置間隔を小さくするように、複数のタブ状端子部11の連結方向に変形可能であり、且つ、複数のタブ状端子部11の基端部14にそれぞれリブ16が形成されているので、バスバー10と一体成形された直後のハウジング2が、外気により収縮した場合でも、収縮により生じた応力をリブ16が受け、繋ぎ部15が連結方向に変形することでハウジング2の収縮に対応することができ、これにより端子収容室3の間隔とバスバー10のタブ状端子部11の間隔とのずれを抑制することができる。
【0021】
しかしながら、実際に製作試験を繰り返してみると、まだ改善すべき課題があることが分かった。
すなわち、バスバー10のタブ状端子部11の基端部14間を連結する繋ぎ部15は、ハウジング2の成形後の収縮時に自由に変形できるようには作られているが、図10および図11に示すように、その繋ぎ部15自体がハウジング2を構成する樹脂の中に埋まってしまっているため(つまり、繋ぎ部15の周囲が全て樹脂で充填されているため)、繋ぎ部15が自由に変形しづらくなっており、その結果、図12に示すように、タブ状端子部11のセンターライン11Lとハウジング2の端子収容室3のセンターライン3LとのズレSが無くならない場合が生じ、そのために接続端子20を端子収容室3に挿入した際に、タブ状端子部11と接続端子20のボックス部21の側壁に重なり代dが発生してしまい、端子挿入時に不必要に大きな摩擦力が発生することになって接続端子の挿入性が悪化することがあることが分かった。
【0022】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、バスバーと一体成形されたハウジングに収縮が生じ、これにより複数の端子収容室の間隔が縮まったとしても、端子収容室の間隔とバスバーのタブ状端子部の間隔とのずれを最小に抑制することができて、相手方の接続端子の端子収容室への挿入性を一段と向上することのできるジョイントコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
前述した目的を達成するために、本発明に係るジョイントコネクタは、下記(1)〜(3)を特徴としている。
(1) 基部と、該基部から同方向に平行にそれぞれ延長するように並んで配置された複数の端子収容室とを含み、前記各端子収容室の内部に該各端子収容室の前端開口から相手側の接続端子が挿入される樹脂製のハウジングと、
前記複数の端子収容室に対応して配置され、且つ前記複数の端子収容室内にそれぞれ突出した先端部と前記ハウジングの基部にそれぞれ該ハウジングの成形時に埋設された基端部とを有する複数のタブ状端子部と、それら複数のタブ状端子部のうちの隣り合うタブ状端子部の基端部間を連結する繋ぎ部と、前記複数のタブ状端子部の基端部にそれぞれ起立形成され、前記ハウジングの基部にそれぞれ該ハウジングの成形時に埋設された複数のリブと、を一体に含む導電性金属製のバスバーと、
を備え、
前記繋ぎ部が、前記複数のタブ状端子部の連結方向に複数の端子収容室の配置間隔を小さくするようなハウジングの収縮に追従して、前記複数のタブ状端子部の配置間隔を小さくするように、複数のタブ状端子部の連結方向に変形可能とされ、
前記各繋ぎ部の周囲に、該各繋ぎ部の変形を保証するために、前記ハウジングを構成する樹脂を排除した空洞部が確保されていること。
(2) 上記(1)のジョイントコネクタにおいて、
前記繋ぎ部が前記複数のタブ状端子部に対して隆起するような湾曲形状を有すること。
(3) 上記(1)または(2)のジョイントコネクタにおいて、
前記繋ぎ部には孔が形成されていること。
【0024】
上記(1)のジョイントコネクタによれば、複数のタブ状端子部の基端部と共にハウジングの基部に一体成形された繋ぎ部が、複数のタブ状端子部の連結方向に複数の端子収容室の配置間隔を小さくするようなハウジングの収縮に追従して、複数のタブ状端子部の配置間隔を小さくするように、複数のタブ状端子部の連結方向に変形可能であり且つ、複数のタブ状端子部の基端部にそれぞれリブが形成されているので、バスバーと一体成形された直後のハウジングが、外気により冷却されて収縮した場合でも、収縮により生じた応力をリブが受け、繋ぎ部が連結方向に変形することでハウジングの収縮に対応することができ、これにより端子収容室の間隔とバスバーのタブ状端子部の間隔とのずれを抑制することができる。特に、各繋ぎ部の周囲には、ハウジングを構成する樹脂を排除した空洞部が確保されているので、各繋ぎ部をハウジングの収縮の際に自由に変形させることがことができ、それにより、端子収容室の間隔とバスバーのタブ状端子部の間隔とのずれを最小に抑制することができる。
上記(2)のジョイントコネクタによれば、繋ぎ部が、タブ状端子部に対して隆起するような湾曲形状を有するので、複数のタブ状端子部の配置間隔を小さくするように連結方向に変形しやすい。
上記(3)のジョイントコネクタによれば、繋ぎ部に孔が形成されているので、孔が無い場合と比較して繋ぎ部がより変形しやすい。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、バスバーと一体成形されたハウジングに収縮が生じ、これにより複数の端子収容室の間隔が縮まったとしても、端子収容室の間隔とバスバーのタブ状端子部の間隔とのずれを最小に抑制することができ、相手方の接続端子の端子収容室への挿入性を一段と向上することができるジョイントコネクタを提供することができる。
【0026】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の係るジョイントコネクタの実施形態および相手方の接続端子、並びに成形時に使用する金型駒を示す斜視図である。
【図2】図1のジョイントコネクタの一部を背面から見た図であり、金型駒を使用してバスバーのタブ状端子部を連結する繋ぎ部の周囲に空洞部を形成した状態を示す斜視図である。
【図3】バスバーのタブ状端子部を連結する繋ぎ部の周囲に空洞部が形成されている場合のハウジングが収縮する前の状態を示した断面図である。
【図4】ハウジングが収縮した後の状態を示した断面図である。
【図5】ハウジングの端子収容室に相手方の接続端子が挿入されてバスバーのタブ状端子部と接続される場合の、1つの端子収容室とタブ状端子部と接続端子との位置関係を示す拡大平面図である。
【図6】本出願人のその先行発明を適用したジョイントコネクタおよび相手方の接続端子の斜視図である。
【図7】図6のジョイントコネクタの横断面図である。
【図8】図6のジョイントコネクタに使用されているバスバーの一部を示す斜視図である。
【図9】相手方の接続端子がバスバーのタブ状端子部に接続されつつある状態のジョイントコネクタの横断面図である。
【図10】ハウジングとバスバーとを一体成形し、ハウジングが収縮する前の状態を示した断面図である。
【図11】ハウジングが収縮した後の状態を示した断面図である。
【図12】ジョイントコネクタを示す断面図である。
【図13】従来のジョイントコネクタを示す断面図である。
【図14】従来の問題点を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1は実施形態のジョイントコネクタおよび相手方の接続端子並びに成形時に使用する金型駒を示す斜視図、図2は同ジョイントコネクタの一部を背面から見た図であり、金型駒を使用してバスバーのタブ状端子部を連結する繋ぎ部の周囲に空洞部を形成した状態を示す斜視図、図3はバスバーのタブ状端子部を連結する繋ぎ部の周囲に空洞部が形成されている場合のハウジングが収縮する前の状態を示した断面図、図4はハウジングが収縮した後の状態を示した断面図、図5はハウジングの端子収容室に相手方の接続端子が挿入されてバスバーのタブ状端子部と接続される場合の、1つの端子収容室とタブ状端子部と接続端子との位置関係を示す拡大平面図である。
【0029】
本実施形態のジョイントコネクタ1Aの基本的な構成は、図6〜図9を用いて先に説明したものとほぼ同じであり、異なる点、即ち、特徴点は、図1〜図4に示すように、バスバー10の隣接するタブ状端子部11の基端部14間を連結する繋ぎ部15の周囲に、各繋ぎ部15の自由な変形を保証するために、ボックス型の金型駒80を敢えて使用することによって、ハウジング2を構成する樹脂を排除した空洞部82を確保したことである。それ以外の構成は、図6〜図9を用いて先に説明したものと同様であるので、同一構成要素に図中同一符号を付して説明を省略する。なお、繋ぎ部15の形状は、前述したものと同様に、複数のタブ状端子部11に対して隆起するような湾曲形状(アーチ状)になっている。また、繋ぎ部15には、矩形の孔17が形成されている。
【0030】
このように、バスバー10の各繋ぎ部15の周囲には、ハウジング2を構成する樹脂を排除した空洞部82が確保されているので、各繋ぎ部15をハウジング2の成形後の収縮時に自由に変形させることがことができ、それにより、図5に示すように、タブ状端子部11のセンターライン11Lとハウジング2の端子収容室3のセンターライン3LとのズレSを無くして、両センターライン11L、3Lを一致させることができる。そのため、接続端子20を端子収容室3に挿入した際に、タブ状端子部11と接続端子20のボックス部21の側壁との間にクリアランスδを確保することができ、接続端子20の挿入性を良くすることができる。
【0031】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0032】
上記の実施形態では、繋ぎ部15は、タブ状端子部11の広い面に対して隆起するような湾曲形状を有するように形成されているが、これに限定されない。繋ぎ部は、連結方向に変形できればどのような形状でもよく、例えば、くの字形状、波線形状、等を有するように形成してもよい。また、上記の実施形態では、繋ぎ部15には孔17が形成されているが、繋ぎ部が連結方向に変形できる限りは、孔17を形成しなくてもよく、繋ぎ部の幅を短くしたりすることもできる。
【0033】
ただし、上記の実施形態の繋ぎ部15の形状は、上記の優れた作用および効果を奏する上で、最も好ましい。
【0034】
また、リブ16の形状については、板状に限定されず、ハウジングの収縮により生じた応力(すなわち、樹脂の圧力)がかかりやすい形状であれば何でもよい。
【符号の説明】
【0035】
1A ジョイントコネクタ
2 ハウジング
3 端子収容室
6 基部
10 バスバー
11 タブ状端子部
13 先端部
14 基端部
15 繋ぎ部
16 リブ
17 孔
20 接続端子
80 金型駒
82 空洞部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部と、該基部から同方向に平行にそれぞれ延長するように並んで配置された複数の端子収容室とを含み、前記各端子収容室の内部に該各端子収容室の前端開口から相手側の接続端子が挿入される樹脂製のハウジングと、
前記複数の端子収容室に対応して配置され、且つ前記複数の端子収容室内にそれぞれ突出した先端部と前記ハウジングの基部にそれぞれ該ハウジングの成形時に埋設された基端部とを有する複数のタブ状端子部と、それら複数のタブ状端子部のうちの隣り合うタブ状端子部の基端部間を連結する繋ぎ部と、前記複数のタブ状端子部の基端部にそれぞれ起立形成され、前記ハウジングの基部にそれぞれ該ハウジングの成形時に埋設された複数のリブと、を一体に含む導電性金属製のバスバーと、
を備え、
前記繋ぎ部が、前記複数のタブ状端子部の連結方向に複数の端子収容室の配置間隔を小さくするようなハウジングの収縮に追従して、前記複数のタブ状端子部の配置間隔を小さくするように、複数のタブ状端子部の連結方向に変形可能とされ、
前記各繋ぎ部の周囲に、該各繋ぎ部の変形を保証するために、前記ハウジングを構成する樹脂を排除した空洞部が確保されていることを特徴とするジョイントコネクタ。
【請求項2】
前記繋ぎ部が前記複数のタブ状端子部に対して隆起するような湾曲形状を有することを特徴とする請求項1記載のジョイントコネクタ。
【請求項3】
前記繋ぎ部には孔が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載のジョイントコネクタ。
【請求項1】
基部と、該基部から同方向に平行にそれぞれ延長するように並んで配置された複数の端子収容室とを含み、前記各端子収容室の内部に該各端子収容室の前端開口から相手側の接続端子が挿入される樹脂製のハウジングと、
前記複数の端子収容室に対応して配置され、且つ前記複数の端子収容室内にそれぞれ突出した先端部と前記ハウジングの基部にそれぞれ該ハウジングの成形時に埋設された基端部とを有する複数のタブ状端子部と、それら複数のタブ状端子部のうちの隣り合うタブ状端子部の基端部間を連結する繋ぎ部と、前記複数のタブ状端子部の基端部にそれぞれ起立形成され、前記ハウジングの基部にそれぞれ該ハウジングの成形時に埋設された複数のリブと、を一体に含む導電性金属製のバスバーと、
を備え、
前記繋ぎ部が、前記複数のタブ状端子部の連結方向に複数の端子収容室の配置間隔を小さくするようなハウジングの収縮に追従して、前記複数のタブ状端子部の配置間隔を小さくするように、複数のタブ状端子部の連結方向に変形可能とされ、
前記各繋ぎ部の周囲に、該各繋ぎ部の変形を保証するために、前記ハウジングを構成する樹脂を排除した空洞部が確保されていることを特徴とするジョイントコネクタ。
【請求項2】
前記繋ぎ部が前記複数のタブ状端子部に対して隆起するような湾曲形状を有することを特徴とする請求項1記載のジョイントコネクタ。
【請求項3】
前記繋ぎ部には孔が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載のジョイントコネクタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−181458(P2011−181458A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−46843(P2010−46843)
【出願日】平成22年3月3日(2010.3.3)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月3日(2010.3.3)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】
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