ジョイントコネクタ
【課題】フェライトを貫通する針状端子部の間隔を既存の汎用コネクタの端子間隔と同じ間隔とし、前記既存の汎用コネクタに電気的に接続できる汎用性を備え、小型化されたジョイントコネクタを提供する。
【解決手段】ジョイントコネクタ1は、フェライトコア10が設けられた端子金具3と、前記端子金具3が収容されたコネクタハウジング2と、を備えており、前記端子金具3は、バスバ28と、前記バスバ28の長手方向に間隔を空けて当該バスバ28から延長された複数本の針状端子部29と、を備え、前記フェライトコア10は、前記針状端子部29の基端部29a側に設けられた第一フェライトコア10aと、前記針状端子部29の中間部29b側に設けられた第二フェライトコア10bと、を備え、かつ、前記第一フェライトコア10aと前記第二フェライトコア10bとが、前記複数本の針状端子部29のそれぞれに交互に設けられている。
【解決手段】ジョイントコネクタ1は、フェライトコア10が設けられた端子金具3と、前記端子金具3が収容されたコネクタハウジング2と、を備えており、前記端子金具3は、バスバ28と、前記バスバ28の長手方向に間隔を空けて当該バスバ28から延長された複数本の針状端子部29と、を備え、前記フェライトコア10は、前記針状端子部29の基端部29a側に設けられた第一フェライトコア10aと、前記針状端子部29の中間部29b側に設けられた第二フェライトコア10bと、を備え、かつ、前記第一フェライトコア10aと前記第二フェライトコア10bとが、前記複数本の針状端子部29のそれぞれに交互に設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジョイントコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車には、CAN(Control Area Network)通信によって、制動装置やエンジンなどの状態、車両速度や故障診断等の情報を転送するためのワイヤハーネスが配索されている。この種のワイヤハーネスは、複数のサブハーネスが電気的に接続されている。サブハーネスには、回路の分岐などを行うジョイントコネクタが設けられている。
【0003】
ジョイントコネクタは、前述したCAN通信によって前記自動車に搭載された各種電装品を制御しており、ノイズの輻射などの信号伝送に及ぼす悪影響を軽減するために、信号に重畳されるノイズを除去するフェライトが設けられている(例えば、特許文献1〜特許文献3参照。)。
【0004】
特許文献1〜特許文献3などに示されたジョイントコネクタは、他のコネクタと嵌合するコネクタハウジングと、前記コネクタハウジングに収容され且つ前記他のコネクタの端子に電気的に接続する端子金具と、を備えている。端子金具は、導電性の板金から構成され、棒状のバスバと、前記基部から延長され且つ前記他のコネクタの前記端子に接続される複数本の針状端子部と、を備えている。端子金具には、前記針状端子部に貫通された前述したフェライトが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−218038号公報
【特許文献2】特開2008−131327号公報
【特許文献3】特開2010−170985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述した特許文献1に示された従来のジョイントコネクタは、フェライトに針状端子部を貫通させる貫通孔が複数開孔されており、構造が複雑となるという問題があった。また、フェライトの構造が複雑となるため、厳密な寸法管理を行わなければならず、費用がかかるという問題があった。さらには、コネクタの極数毎に、専用形状のフェライトを用意しなければならないという問題があった。
【0007】
特許文献2および特許文献3などに示された従来のジョイントコネクタは、針状端子部にフェライトが設けられているため、既存の汎用コネクタの端子間隔よりも前記針状端子部の間隔が広くなり、ジョイントコネクタが前述した汎用コネクタよりも大型となるという問題があった。
【0008】
本発明は、かかる問題を解決することを目的としている。即ち、本発明は、フェライトを貫通する針状端子部の間隔を既存の汎用コネクタの端子間隔と同じ間隔とし、前記既存の汎用コネクタに電気的に接続できる汎用性を備え、小型化されたジョイントコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載された発明は、フェライトコアが設けられた端子金具と、前記端子金具が収容されたコネクタハウジングと、を備えた、ジョイントコネクタにおいて、前記端子金具は、バスバと、前記バスバの長手方向に間隔を空けて当該バスバから延長された複数本の針状端子部と、を備え、前記フェライトコアは、前記針状端子部の基端部側に設けられた第一フェライトコアと、前記針状端子部の中間部側に設けられた第二フェライトコアと、を備え、かつ、前記第一フェライトコアと前記第二フェライトコアとが、前記複数本の針状端子部のそれぞれに交互に設けられていることを特徴とするジョイントコネクタである。
【0010】
請求項2に記載された発明は、前記針状端子部同士の間隔が、汎用コネクタの端子間隔に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のジョイントコネクタである。
【0011】
請求項3に記載された発明は、前記コネクタハウジングは、前記端子金具が設けられるインナハウジングと、前記インナハウジングを収容するインナハウジング収容室が設けられたアウタハウジングと、を備え、前記インナハウジングは、前記端子金具のバスバが収容されるバスバ収容室と当該端子金具の針状端子部の基端部側が挿通される共に前記第一フェライトコアが収容される第一フェライト収容室とが設けられた第一インナハウジングと、前記針状端子部の中間部側が挿通されると共に前記第二フェライトコアが収容される第二フェライト収容室が設けられた第二インナハウジングと、を備え、前記第一フェライト収容室と前記第二フェライト収容室とは、前記複数本の針状端子部のそれぞれに交互に設けられ、前記第二インナハウジングには、前記第一フェライト収容室に向かって突出され且つ前記針状端子部が貫通する貫通孔が開孔された第一突出部が設けられ、且つ、前記インナハウジング収容室には、前記第二フェライト収容室に向かって突出され且つ前記針状端子部が貫通する貫通孔が開孔された第二突出部が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のジョイントコネクタである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載された発明によれば、ジョイントコネクタは、針状端子部の基端部側に設けられた第一フェライトコアと、前記針状端子部の中間部側に設けられた第二フェライトコアとが、複数本の前記針状端子部のそれぞれに交互に設けられるため、前記第一フェライトコアと前記第二フェライトコアとの寸法を変更することなく、前記針状端子部同士の端子間隔を縮小することができる。このため、前記針状端子部が形成された端子金具を小型化し、ジョイントコネクタを小型化することができる。
【0013】
請求項2に記載された発明によれば、ジョイントコネクタは、端子金具の複数本の針状端子部同士の間隔が、汎用コネクタの端子間隔に形成されているため、当該汎用コネクタに接続できる汎用性を備える。このため、小型化され且つ汎用性を備えたジョイントコネクタを提供することができる。
【0014】
請求項3に記載された発明によれば、ジョイントコネクタは、第一インナハウジングのバスバ収容室に端子金具のバスバを収容すると共に第一フェライト収容室に第一フェライトを収容し、第二インナハウジングの第二フェライト収容室に第二フェライトを収容し、かつ、前記第一フェライト収容室と前記第二フェライト収容室とを複数本の針状端子部のそれぞれに交互に設けたため、比較的に簡易な構造で、フェライトコアの寸法を変更することなく、端子金具の針状端子部同士の端子間隔を縮小することができる。このため、小型で簡易な構造のジョイントコネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態にかかるジョイントコネクタの斜視図である。
【図2】図1に示されたジョイントコネクタのII−II矢視断面図である。
【図3】図1に示されたジョイントコネクタの分解断面図である。
【図4】図1に示されたジョイントコネクタの組み立てを説明する斜視図である。
【図5】図1に示されたジョイントコネクタと他のコネクタとが連結される状態を説明する斜視図である。
【図6】本発明にかかるジョイントコネクタの変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図1〜図6を参照して説明する。
本発明の一実施形態にかかるジョイントコネクタ1は、図1および図2に示すように、サブハーネス61(図5に示す)の汎用コネクタ62の端子に電気的に接続する端子金具3と、当該端子金具3を収容し且つ前記汎用コネクタと嵌合するコネクタハウジング2と、を備えている。
【0017】
端子金具3は、図2および図3に示すように、導電性の板金から構成され、櫛形状に形成されている。端子金具3は、薄板状に形成されたバスバ28と、前記バスバ28から当該バスバ28に直交する方向に延長された複数本(図示例では11本)の針状端子部29と、を備えている。端子金具3は、プレス加工等によって成形されている。端子金具3は、図4に示すように、当該端子金具3の厚さ方向に複数枚(図示例では2枚)の端子金具3a,3bとされており、当該端子金具3a,3b同士が平行して配されている。
【0018】
バスバ28は、当該バスバの長手方向に沿って複数個(図示例では10個)の孔31が等間隔で設けられている。バスバ28には、当該バスバ28の長手方向の両端部に、後述する第一インナハウジング6のバスバ収容室12の内壁に係合する係合突起32,32が設けられている。係合突起32,32は、前記針状端子部29側に向かって突出量が徐々に増加して形成されている。
【0019】
針状端子部29は、図2および図3に示すように、前記バスバ28の長手方向に等間隔を空けて設けられていると共に、互いに平行に設けられている。針状端子部29は、前述した汎用コネクタの雌型端子に嵌入しやすいように、先端部29cが先細形状に形成されている。針状端子部29は、図1および図2に示すように、前述した汎用コネクタ62がコネクタハウジング5の嵌合部9に嵌合した際に、当該針状端子部29が、当該汎用コネクタ62の端子と電気的に接続する長さに形成されている。針状端子部29同士の間隔は、前記汎用コネクタ62の端子間隔に形成されている。
【0020】
コネクタハウジング2は、図2および図3に示すように、前記端子金具3のバスバ28を収容するバスバ収容室12が形成された第一インナハウジング6と、前記第一インナハウジング6に並設される第二インナハウジング7と、前記第一インナハウジング6と前記第二インナハウジング7とを収容するアウタハウジング5と、を備えている。コネクタハウジング2は、ポリ塩化ビニル樹脂などの絶縁性の合成樹脂により形成されている。
【0021】
第一インナハウジング6は、図4に示すように、バスバ収容室12に連通し且つ前記端子金具3の針状端子部29の基端部29a側に設けられる第一フェライトコア10aを収容する複数(図示例では6つ)の第一フェライト収容室21を備えている。第一インナハウジング6は、長手方向の両端部に、後述するアウタハウジング5のインナハウジング収容室38に形成された係合爪14,14に係合する係合突起40,40が設けられている。
【0022】
バスバ収容室12は、図2〜図4に示すように、前記端子金具3のバスバ28の前記係合突起32,32が係合する幅と、前記2枚の端子金具3a,3bが平行して収容される奥行きとに形成されている。
【0023】
第一フェライト収容室21は、図2および図3に示すように、前記端子金具3の前記バスバ28の長手方向に平行に複数(図示例では、6つ)設けられていると共に当該長手方向に等間隔で設けられている。第一フェライト収容室21同士の間には、前記端子金具3の前記針状端子部29が貫通する貫通孔37が複数(図示例では5つ)設けられている。第一フェライト収容室21は、図4に示すように、2枚の前記端子金具3a,3bのそれぞれの針状端子部29の各一本が貫通し且つ後述する第一フェライトコア10aを収容する長方形状に形成されている。第一フェライト収容室21は、図示例では、前記端子金具3の一端から奇数番目の針状端子部29が貫通される。
【0024】
第二インナハウジング7は、図2および図3に示すように、前記第一インナハウジング6の第一フェライト収容室21に収容された第一フェライトコア10aに当接して当該第一フェライトコア10aのガタツキを防止する複数個(図示例では、6つ)の第一突出部23と、前記第一突出部23に連通し且つ前記端子金具3の前記針状端子部29が貫通する複数(図示例では、6つ)の貫通孔24と、前記貫通孔24同士の間に設けられ且つ前記端子金具3の前記針状端子部29が貫通すると共に当該針状端子部29の中間部29b側に設けられる第二フェライトコア10bを収容する第二フェライト収容室36と、を備えている。第二インナハウジング7の長手方向の両端部には、前記アウタハウジング5のインナハウジング収容室の内壁に係合する膨出部26が設けられている。
【0025】
第一突出部23は、図2および図3に示すように、前記第一インナハウジング6の第一フェライト収容室21に収容された第一フェライトコア10aに当接する突出量で形成されている。第一突出部23は、前記2枚の端子金具3a,3bのそれぞれの針状端子部29の各一本が貫通する貫通孔24の一端に設けられている。なお、第一突出部23と第一フェライトコア10aとは、当接するものを含め、その間隔は適宜調整しても良い。
【0026】
貫通孔24は、円形に形成されると共に前記端子金具3の前記針状端子部29が貫通される直径に形成されている。貫通孔24は、前記2枚の端子金具3a,3bのそれぞれの針状端子部29の各一本が貫通するように、2つ並んで設けられている。
【0027】
第二フェライト収容室36は、図2および図3に示すように、前記端子金具3の前記バスバ28の長手方向に平行に複数(図示例では、5つ)設けられていると共に当該長手方向に等間隔で設けられている。それぞれの第二フェライト収容室36の両側面には、前述した貫通孔24が設けられている。第二フェライト収容室36は、図4に示すように、2枚の前記端子金具3a,3bのそれぞれの針状端子部29の各一本が貫通し且つ後述する第二フェライトコア10bを収容する長方形状に形成されている。第二フェライト収容室36は、図示例では、前記端子金具3の一端から偶数番目の針状端子部29が貫通される。
【0028】
アウタハウジング5は、図2および図3に示すように、前述した汎用コネクタと嵌合する嵌合部9と、前述した第一インナハウジング6と第二インナハウジング7とを収容するインナハウジング収容室38と、を備えている。
【0029】
嵌合部9は、図3に示すように、断面長方形状の筒状に形成されており、内周面に、前述した汎用コネクタを嵌合する際の取付方向を規定するガイド部15,15が形成されている。嵌合部9には、前記汎用コネクタに設けられた図示しない係合手段と係合する係合部が設けられている。
【0030】
インナハウジング収容室38は、図3に示すように、前記第一インナハウジング6の両端部に形成された係合突起40,40と係合する係合爪14,14と、前記第二インナハウジング7の両端部に形成された膨出部26,26が押圧する内壁面13,13と、前記第二インナハウジング7に当接する押え部16と、を備えている。
【0031】
係合爪14,14は、図2および図3に示すように、アウタハウジング5の両側面に設けられていると共に、前記係合突起40,40の傾斜面に沿って突出量が徐々に増加して形成されている。係合爪14,14は、図4に示すように、スリット51が設けられており、当該係合爪14,14が揺動可能に形成されている。
【0032】
内壁面13,13は、当該内壁面13,13同士の間隔が前記第二インナハウジング7の幅よりも僅かに幅広に形成され、且つ、当該第二インナハウジング7の前記膨出部26,26が前記内壁面13,13を押圧する幅に形成されている。
【0033】
押え部16は、前記第二インナハウジング7の第二フェライト収容室36に収容された第二フェライトコア10bのガタツキを防止する複数(図示例では、5つ)の第二突出部17と、前記第二突出部17の両側面に設けられ且つ前記端子金具3の針状端子部29が貫通する複数(図示例では、6つ)の貫通孔19と、を備えている。
【0034】
第二突出部17は、前記第二フェライト収容室36に収容された前記第二フェライトコア10bに当接する突出量で形成されている。第二突出部17には、前記端子金具3の一端から偶数番目の針状端子部29が貫通する貫通孔18が設けられている。貫通孔18は、前記針状端子部29が貫通する直径の円形に形成されている。なお、第二突出部17と第二フェライトコア10bとは、当接するものを含め、その間隔は適宜調整しても良い。
【0035】
押え部16の貫通孔19は、前記端子金具3の一端から奇数番目の針状端子部29が貫通すると共に当該針状端子部29が貫通する直径の円形に形成されている。
【0036】
フェライトコア10は、前述した第一フェライトコア10aと第二フェライトコア10bとを備えており、図2〜図4に示すように、直方体形状に形成され、2枚の前記端子金具3a,3bのそれぞれの針状端子部29が貫通する複数(図示例では、2つ)の貫通孔11が設けられている。第一フェライトコア10aと第二フェライトコア10bとは、高周波ノイズを除去する所謂フェライトコアとされている。第一フェライトコア10aと第二フェライトコア10bとは、公知の金属酸化物の強磁性体から構成され、公知の製法によって製造されている。
【0037】
なお、本発明でいう、第一フェライトコア10aと第二フェライトコア10bとは、第一インナハウジング6の第一フェライト収容室21に収容されるフェライトコアを第一フェライトコア10aといい、第二インナハウジング7の第二フェライト収容室36に収容されるフェライトコアを第二フェライトコア10bという。即ち、第一フェライトコア10aと第二フェライトコア10bとは、同一品のフェライトコアが使用されている。
【0038】
第一フェライトコア10aは、前記第一インナハウジング6の第一フェライト収容室21に収容され、前記端子金具3a,3bの一端から奇数番目のそれぞれの針状端子部29が貫通される。第二フェライトコア10bは、前記第二インナハウジング7の第二フェライト収容室36に収容され、前記端子金具3a,3bの一端から偶数番目のそれぞれの針状端子部29が貫通される。
【0039】
上述の如く構成されたジョイントコネクタ1の組み立てについて、以下に説明する。
ジョイントコネクタ1を構成するアウタハウジング5と、第一インナハウジング6と、第二インナハウジング7と、端子金具3a,3bと、第一フェライトコア10aと、第二フェライトコア10bとは、予めそれぞれ製造される。
【0040】
図4に示すように、第一インナハウジング6内に端子金具3a,3bを嵌合して固定し、前記第一インナハウジング6の複数の第一フェライト収容室21に複数個の第一フェライトコア10aを収容する。このとき、前記端子金具3a,3bの一端から奇数番目のそれぞれの針状端子部29が前記第一フェライトコア10aを貫通する。
【0041】
続いて、第二インナハウジング7の複数の第一突出部23の貫通孔24に前記端子金具3a,3bの一端から奇数番目のそれぞれの針状端子部29を貫通させると共に、当該第二ハウジング7の複数の第二フェライト収容室36の貫通孔25に当該端子金具3a,3bの一端から偶数番目のそれぞれの針状端子部29を貫通させ、前記第一インナハウジング6上に当該第二インナハウジング7を配する。このとき、第一フェライトコア10aと第二フェライトコア10bとが前記針状端子部29の長手方向に間隔を空けて二段に配され、且つ、奇数番目の針状端子部29が第一フェライトコア10aを貫通すると共に偶数番目の針状端子部29が第二フェライトコア10bを貫通する。このため、同一平面上に複数個のフェライトコアを並設した場合よりも、針状端子部29同士の間隔を縮めることができる。
【0042】
続いて、前記第二インナハウジング7の複数の第二フェライト収容室36に複数個の第二フェライトコア10bを収容する。このとき、前記端子金具3a,3bの一端から偶数番目のそれぞれの針状端子部29が前記第二フェライトコア10bを貫通する。
【0043】
続いて、前記第一インナハウジング6と前記第二インナハウジング7とをアウタハウジング5のインナハウジング収容室38内に押し込んで当該インナハウジング収容室38内に固定する。このとき、前記第一インナハウジング6の係合突起40,40が前記インナハウジング収容室38の係合爪14,14と係合し、前記第二インナハウジング7の膨出部26,26が当該インナハウジング収容室38の内壁面13を押圧し、当該第一インナハウジング6と当該第二インナハウジング7とがアウタハウジング5内に確実に固定される。
【0044】
上述の如く組み立てられたジョイントコネクタ1は、図5に示すように、複数本(図示例では、22本)の電線63と当該電線63の端末に設けられた汎用コネクタ62(雄型コネクタ)とを備えたサブハーネス61に接続される。このとき、汎用コネクタ62の端子間隔と本発明のジョイントコネクタ1の端子金具3の端子間隔とは同じ間隔とされているため、汎用コネクタ62がジョイントコネクタ1の嵌合部9に嵌合され、両コネクタの端子が電気的に接続される。
【0045】
前述した実施形態では、ジョイントコネクタ1は、端子金具3a,3bのそれぞれの針状端子部29を11本の22極としているが、図6に示すように、端子金具3a,3bのそれぞれの針状端子部29を19本の38極としても良い。また、22極よりも少ない極数としても良い。このような極数の増減に拘わらず、本発明のジョイントコネクタ1は、フェライトコア10の寸法は変更されないため、端子金具3の針状端子部29同士の間隔を変更することなく汎用コネクタ62と接続することができる。従って、ジョイントコネクタ1の極数は、汎用コネクタ62に合わせて変更することができる。
【0046】
本実施形態によれば、ジョイントコネクタ1は、フェライトコア10が設けられた端子金具3と、前記端子金具3が収容されたコネクタハウジング5と、を備えており、前記端子金具3は、バスバ28と、前記バスバ28の長手方向に間隔を空けて当該バスバ28から延長された複数本の針状端子部29と、を備え、前記フェライトコア10は、前記針状端子部29の基端部29a側に設けられた第一フェライトコア10aと、前記針状端子部29の中間部29b側に設けられた第二フェライトコア10bと、を備え、かつ、前記第一フェライトコア10aと前記第二フェライトコア10bとが、前記複数本の針状端子部29のそれぞれに交互に設けられている。また、前記針状端子部29同士の間隔が、汎用コネクタ62の端子間隔に形成されている。
【0047】
このため、ジョイントコネクタ1は、針状端子部29の基端部29a側に設けられた第一フェライトコア10aと、前記針状端子部29の中間部29b側に設けられた第二フェライトコア10bとが、複数本の前記針状端子部29のそれぞれに交互に設けられるため、前記第一フェライトコア10aと前記第二フェライトコア10bとの寸法を変更することなく、前記針状端子部29同士の端子間隔を縮小することができる。このため、前記針状端子部29が形成された端子金具3を小型化し、ジョイントコネクタ1を小型化することができる。
【0048】
また、ジョイントコネクタ1は、端子金具3の複数本の針状端子部29同士の間隔が、汎用コネクタ62の端子間隔に形成されているため、当該汎用コネクタ62に接続できる汎用性を備える。このため、小型化され且つ汎用性を備えたジョイントコネクタ1を提供することができる。
【0049】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 ジョイントコネクタ
2 コネクタハウジング
3 端子金具
5 アウタハウジング
6 第一インナハウジング
7 第二インナハウジング
10 フェライトコア
10a 第一フェライト
10b 第二フェライト
12 バスバ収容室
17 第二突出部
18 貫通孔
21 第一フェライト収容部
23 第一突出部
24 貫通孔
28 バスバ
29 針状端子部
36 第二フェライト収容室
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジョイントコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車には、CAN(Control Area Network)通信によって、制動装置やエンジンなどの状態、車両速度や故障診断等の情報を転送するためのワイヤハーネスが配索されている。この種のワイヤハーネスは、複数のサブハーネスが電気的に接続されている。サブハーネスには、回路の分岐などを行うジョイントコネクタが設けられている。
【0003】
ジョイントコネクタは、前述したCAN通信によって前記自動車に搭載された各種電装品を制御しており、ノイズの輻射などの信号伝送に及ぼす悪影響を軽減するために、信号に重畳されるノイズを除去するフェライトが設けられている(例えば、特許文献1〜特許文献3参照。)。
【0004】
特許文献1〜特許文献3などに示されたジョイントコネクタは、他のコネクタと嵌合するコネクタハウジングと、前記コネクタハウジングに収容され且つ前記他のコネクタの端子に電気的に接続する端子金具と、を備えている。端子金具は、導電性の板金から構成され、棒状のバスバと、前記基部から延長され且つ前記他のコネクタの前記端子に接続される複数本の針状端子部と、を備えている。端子金具には、前記針状端子部に貫通された前述したフェライトが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−218038号公報
【特許文献2】特開2008−131327号公報
【特許文献3】特開2010−170985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述した特許文献1に示された従来のジョイントコネクタは、フェライトに針状端子部を貫通させる貫通孔が複数開孔されており、構造が複雑となるという問題があった。また、フェライトの構造が複雑となるため、厳密な寸法管理を行わなければならず、費用がかかるという問題があった。さらには、コネクタの極数毎に、専用形状のフェライトを用意しなければならないという問題があった。
【0007】
特許文献2および特許文献3などに示された従来のジョイントコネクタは、針状端子部にフェライトが設けられているため、既存の汎用コネクタの端子間隔よりも前記針状端子部の間隔が広くなり、ジョイントコネクタが前述した汎用コネクタよりも大型となるという問題があった。
【0008】
本発明は、かかる問題を解決することを目的としている。即ち、本発明は、フェライトを貫通する針状端子部の間隔を既存の汎用コネクタの端子間隔と同じ間隔とし、前記既存の汎用コネクタに電気的に接続できる汎用性を備え、小型化されたジョイントコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載された発明は、フェライトコアが設けられた端子金具と、前記端子金具が収容されたコネクタハウジングと、を備えた、ジョイントコネクタにおいて、前記端子金具は、バスバと、前記バスバの長手方向に間隔を空けて当該バスバから延長された複数本の針状端子部と、を備え、前記フェライトコアは、前記針状端子部の基端部側に設けられた第一フェライトコアと、前記針状端子部の中間部側に設けられた第二フェライトコアと、を備え、かつ、前記第一フェライトコアと前記第二フェライトコアとが、前記複数本の針状端子部のそれぞれに交互に設けられていることを特徴とするジョイントコネクタである。
【0010】
請求項2に記載された発明は、前記針状端子部同士の間隔が、汎用コネクタの端子間隔に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のジョイントコネクタである。
【0011】
請求項3に記載された発明は、前記コネクタハウジングは、前記端子金具が設けられるインナハウジングと、前記インナハウジングを収容するインナハウジング収容室が設けられたアウタハウジングと、を備え、前記インナハウジングは、前記端子金具のバスバが収容されるバスバ収容室と当該端子金具の針状端子部の基端部側が挿通される共に前記第一フェライトコアが収容される第一フェライト収容室とが設けられた第一インナハウジングと、前記針状端子部の中間部側が挿通されると共に前記第二フェライトコアが収容される第二フェライト収容室が設けられた第二インナハウジングと、を備え、前記第一フェライト収容室と前記第二フェライト収容室とは、前記複数本の針状端子部のそれぞれに交互に設けられ、前記第二インナハウジングには、前記第一フェライト収容室に向かって突出され且つ前記針状端子部が貫通する貫通孔が開孔された第一突出部が設けられ、且つ、前記インナハウジング収容室には、前記第二フェライト収容室に向かって突出され且つ前記針状端子部が貫通する貫通孔が開孔された第二突出部が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のジョイントコネクタである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載された発明によれば、ジョイントコネクタは、針状端子部の基端部側に設けられた第一フェライトコアと、前記針状端子部の中間部側に設けられた第二フェライトコアとが、複数本の前記針状端子部のそれぞれに交互に設けられるため、前記第一フェライトコアと前記第二フェライトコアとの寸法を変更することなく、前記針状端子部同士の端子間隔を縮小することができる。このため、前記針状端子部が形成された端子金具を小型化し、ジョイントコネクタを小型化することができる。
【0013】
請求項2に記載された発明によれば、ジョイントコネクタは、端子金具の複数本の針状端子部同士の間隔が、汎用コネクタの端子間隔に形成されているため、当該汎用コネクタに接続できる汎用性を備える。このため、小型化され且つ汎用性を備えたジョイントコネクタを提供することができる。
【0014】
請求項3に記載された発明によれば、ジョイントコネクタは、第一インナハウジングのバスバ収容室に端子金具のバスバを収容すると共に第一フェライト収容室に第一フェライトを収容し、第二インナハウジングの第二フェライト収容室に第二フェライトを収容し、かつ、前記第一フェライト収容室と前記第二フェライト収容室とを複数本の針状端子部のそれぞれに交互に設けたため、比較的に簡易な構造で、フェライトコアの寸法を変更することなく、端子金具の針状端子部同士の端子間隔を縮小することができる。このため、小型で簡易な構造のジョイントコネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態にかかるジョイントコネクタの斜視図である。
【図2】図1に示されたジョイントコネクタのII−II矢視断面図である。
【図3】図1に示されたジョイントコネクタの分解断面図である。
【図4】図1に示されたジョイントコネクタの組み立てを説明する斜視図である。
【図5】図1に示されたジョイントコネクタと他のコネクタとが連結される状態を説明する斜視図である。
【図6】本発明にかかるジョイントコネクタの変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図1〜図6を参照して説明する。
本発明の一実施形態にかかるジョイントコネクタ1は、図1および図2に示すように、サブハーネス61(図5に示す)の汎用コネクタ62の端子に電気的に接続する端子金具3と、当該端子金具3を収容し且つ前記汎用コネクタと嵌合するコネクタハウジング2と、を備えている。
【0017】
端子金具3は、図2および図3に示すように、導電性の板金から構成され、櫛形状に形成されている。端子金具3は、薄板状に形成されたバスバ28と、前記バスバ28から当該バスバ28に直交する方向に延長された複数本(図示例では11本)の針状端子部29と、を備えている。端子金具3は、プレス加工等によって成形されている。端子金具3は、図4に示すように、当該端子金具3の厚さ方向に複数枚(図示例では2枚)の端子金具3a,3bとされており、当該端子金具3a,3b同士が平行して配されている。
【0018】
バスバ28は、当該バスバの長手方向に沿って複数個(図示例では10個)の孔31が等間隔で設けられている。バスバ28には、当該バスバ28の長手方向の両端部に、後述する第一インナハウジング6のバスバ収容室12の内壁に係合する係合突起32,32が設けられている。係合突起32,32は、前記針状端子部29側に向かって突出量が徐々に増加して形成されている。
【0019】
針状端子部29は、図2および図3に示すように、前記バスバ28の長手方向に等間隔を空けて設けられていると共に、互いに平行に設けられている。針状端子部29は、前述した汎用コネクタの雌型端子に嵌入しやすいように、先端部29cが先細形状に形成されている。針状端子部29は、図1および図2に示すように、前述した汎用コネクタ62がコネクタハウジング5の嵌合部9に嵌合した際に、当該針状端子部29が、当該汎用コネクタ62の端子と電気的に接続する長さに形成されている。針状端子部29同士の間隔は、前記汎用コネクタ62の端子間隔に形成されている。
【0020】
コネクタハウジング2は、図2および図3に示すように、前記端子金具3のバスバ28を収容するバスバ収容室12が形成された第一インナハウジング6と、前記第一インナハウジング6に並設される第二インナハウジング7と、前記第一インナハウジング6と前記第二インナハウジング7とを収容するアウタハウジング5と、を備えている。コネクタハウジング2は、ポリ塩化ビニル樹脂などの絶縁性の合成樹脂により形成されている。
【0021】
第一インナハウジング6は、図4に示すように、バスバ収容室12に連通し且つ前記端子金具3の針状端子部29の基端部29a側に設けられる第一フェライトコア10aを収容する複数(図示例では6つ)の第一フェライト収容室21を備えている。第一インナハウジング6は、長手方向の両端部に、後述するアウタハウジング5のインナハウジング収容室38に形成された係合爪14,14に係合する係合突起40,40が設けられている。
【0022】
バスバ収容室12は、図2〜図4に示すように、前記端子金具3のバスバ28の前記係合突起32,32が係合する幅と、前記2枚の端子金具3a,3bが平行して収容される奥行きとに形成されている。
【0023】
第一フェライト収容室21は、図2および図3に示すように、前記端子金具3の前記バスバ28の長手方向に平行に複数(図示例では、6つ)設けられていると共に当該長手方向に等間隔で設けられている。第一フェライト収容室21同士の間には、前記端子金具3の前記針状端子部29が貫通する貫通孔37が複数(図示例では5つ)設けられている。第一フェライト収容室21は、図4に示すように、2枚の前記端子金具3a,3bのそれぞれの針状端子部29の各一本が貫通し且つ後述する第一フェライトコア10aを収容する長方形状に形成されている。第一フェライト収容室21は、図示例では、前記端子金具3の一端から奇数番目の針状端子部29が貫通される。
【0024】
第二インナハウジング7は、図2および図3に示すように、前記第一インナハウジング6の第一フェライト収容室21に収容された第一フェライトコア10aに当接して当該第一フェライトコア10aのガタツキを防止する複数個(図示例では、6つ)の第一突出部23と、前記第一突出部23に連通し且つ前記端子金具3の前記針状端子部29が貫通する複数(図示例では、6つ)の貫通孔24と、前記貫通孔24同士の間に設けられ且つ前記端子金具3の前記針状端子部29が貫通すると共に当該針状端子部29の中間部29b側に設けられる第二フェライトコア10bを収容する第二フェライト収容室36と、を備えている。第二インナハウジング7の長手方向の両端部には、前記アウタハウジング5のインナハウジング収容室の内壁に係合する膨出部26が設けられている。
【0025】
第一突出部23は、図2および図3に示すように、前記第一インナハウジング6の第一フェライト収容室21に収容された第一フェライトコア10aに当接する突出量で形成されている。第一突出部23は、前記2枚の端子金具3a,3bのそれぞれの針状端子部29の各一本が貫通する貫通孔24の一端に設けられている。なお、第一突出部23と第一フェライトコア10aとは、当接するものを含め、その間隔は適宜調整しても良い。
【0026】
貫通孔24は、円形に形成されると共に前記端子金具3の前記針状端子部29が貫通される直径に形成されている。貫通孔24は、前記2枚の端子金具3a,3bのそれぞれの針状端子部29の各一本が貫通するように、2つ並んで設けられている。
【0027】
第二フェライト収容室36は、図2および図3に示すように、前記端子金具3の前記バスバ28の長手方向に平行に複数(図示例では、5つ)設けられていると共に当該長手方向に等間隔で設けられている。それぞれの第二フェライト収容室36の両側面には、前述した貫通孔24が設けられている。第二フェライト収容室36は、図4に示すように、2枚の前記端子金具3a,3bのそれぞれの針状端子部29の各一本が貫通し且つ後述する第二フェライトコア10bを収容する長方形状に形成されている。第二フェライト収容室36は、図示例では、前記端子金具3の一端から偶数番目の針状端子部29が貫通される。
【0028】
アウタハウジング5は、図2および図3に示すように、前述した汎用コネクタと嵌合する嵌合部9と、前述した第一インナハウジング6と第二インナハウジング7とを収容するインナハウジング収容室38と、を備えている。
【0029】
嵌合部9は、図3に示すように、断面長方形状の筒状に形成されており、内周面に、前述した汎用コネクタを嵌合する際の取付方向を規定するガイド部15,15が形成されている。嵌合部9には、前記汎用コネクタに設けられた図示しない係合手段と係合する係合部が設けられている。
【0030】
インナハウジング収容室38は、図3に示すように、前記第一インナハウジング6の両端部に形成された係合突起40,40と係合する係合爪14,14と、前記第二インナハウジング7の両端部に形成された膨出部26,26が押圧する内壁面13,13と、前記第二インナハウジング7に当接する押え部16と、を備えている。
【0031】
係合爪14,14は、図2および図3に示すように、アウタハウジング5の両側面に設けられていると共に、前記係合突起40,40の傾斜面に沿って突出量が徐々に増加して形成されている。係合爪14,14は、図4に示すように、スリット51が設けられており、当該係合爪14,14が揺動可能に形成されている。
【0032】
内壁面13,13は、当該内壁面13,13同士の間隔が前記第二インナハウジング7の幅よりも僅かに幅広に形成され、且つ、当該第二インナハウジング7の前記膨出部26,26が前記内壁面13,13を押圧する幅に形成されている。
【0033】
押え部16は、前記第二インナハウジング7の第二フェライト収容室36に収容された第二フェライトコア10bのガタツキを防止する複数(図示例では、5つ)の第二突出部17と、前記第二突出部17の両側面に設けられ且つ前記端子金具3の針状端子部29が貫通する複数(図示例では、6つ)の貫通孔19と、を備えている。
【0034】
第二突出部17は、前記第二フェライト収容室36に収容された前記第二フェライトコア10bに当接する突出量で形成されている。第二突出部17には、前記端子金具3の一端から偶数番目の針状端子部29が貫通する貫通孔18が設けられている。貫通孔18は、前記針状端子部29が貫通する直径の円形に形成されている。なお、第二突出部17と第二フェライトコア10bとは、当接するものを含め、その間隔は適宜調整しても良い。
【0035】
押え部16の貫通孔19は、前記端子金具3の一端から奇数番目の針状端子部29が貫通すると共に当該針状端子部29が貫通する直径の円形に形成されている。
【0036】
フェライトコア10は、前述した第一フェライトコア10aと第二フェライトコア10bとを備えており、図2〜図4に示すように、直方体形状に形成され、2枚の前記端子金具3a,3bのそれぞれの針状端子部29が貫通する複数(図示例では、2つ)の貫通孔11が設けられている。第一フェライトコア10aと第二フェライトコア10bとは、高周波ノイズを除去する所謂フェライトコアとされている。第一フェライトコア10aと第二フェライトコア10bとは、公知の金属酸化物の強磁性体から構成され、公知の製法によって製造されている。
【0037】
なお、本発明でいう、第一フェライトコア10aと第二フェライトコア10bとは、第一インナハウジング6の第一フェライト収容室21に収容されるフェライトコアを第一フェライトコア10aといい、第二インナハウジング7の第二フェライト収容室36に収容されるフェライトコアを第二フェライトコア10bという。即ち、第一フェライトコア10aと第二フェライトコア10bとは、同一品のフェライトコアが使用されている。
【0038】
第一フェライトコア10aは、前記第一インナハウジング6の第一フェライト収容室21に収容され、前記端子金具3a,3bの一端から奇数番目のそれぞれの針状端子部29が貫通される。第二フェライトコア10bは、前記第二インナハウジング7の第二フェライト収容室36に収容され、前記端子金具3a,3bの一端から偶数番目のそれぞれの針状端子部29が貫通される。
【0039】
上述の如く構成されたジョイントコネクタ1の組み立てについて、以下に説明する。
ジョイントコネクタ1を構成するアウタハウジング5と、第一インナハウジング6と、第二インナハウジング7と、端子金具3a,3bと、第一フェライトコア10aと、第二フェライトコア10bとは、予めそれぞれ製造される。
【0040】
図4に示すように、第一インナハウジング6内に端子金具3a,3bを嵌合して固定し、前記第一インナハウジング6の複数の第一フェライト収容室21に複数個の第一フェライトコア10aを収容する。このとき、前記端子金具3a,3bの一端から奇数番目のそれぞれの針状端子部29が前記第一フェライトコア10aを貫通する。
【0041】
続いて、第二インナハウジング7の複数の第一突出部23の貫通孔24に前記端子金具3a,3bの一端から奇数番目のそれぞれの針状端子部29を貫通させると共に、当該第二ハウジング7の複数の第二フェライト収容室36の貫通孔25に当該端子金具3a,3bの一端から偶数番目のそれぞれの針状端子部29を貫通させ、前記第一インナハウジング6上に当該第二インナハウジング7を配する。このとき、第一フェライトコア10aと第二フェライトコア10bとが前記針状端子部29の長手方向に間隔を空けて二段に配され、且つ、奇数番目の針状端子部29が第一フェライトコア10aを貫通すると共に偶数番目の針状端子部29が第二フェライトコア10bを貫通する。このため、同一平面上に複数個のフェライトコアを並設した場合よりも、針状端子部29同士の間隔を縮めることができる。
【0042】
続いて、前記第二インナハウジング7の複数の第二フェライト収容室36に複数個の第二フェライトコア10bを収容する。このとき、前記端子金具3a,3bの一端から偶数番目のそれぞれの針状端子部29が前記第二フェライトコア10bを貫通する。
【0043】
続いて、前記第一インナハウジング6と前記第二インナハウジング7とをアウタハウジング5のインナハウジング収容室38内に押し込んで当該インナハウジング収容室38内に固定する。このとき、前記第一インナハウジング6の係合突起40,40が前記インナハウジング収容室38の係合爪14,14と係合し、前記第二インナハウジング7の膨出部26,26が当該インナハウジング収容室38の内壁面13を押圧し、当該第一インナハウジング6と当該第二インナハウジング7とがアウタハウジング5内に確実に固定される。
【0044】
上述の如く組み立てられたジョイントコネクタ1は、図5に示すように、複数本(図示例では、22本)の電線63と当該電線63の端末に設けられた汎用コネクタ62(雄型コネクタ)とを備えたサブハーネス61に接続される。このとき、汎用コネクタ62の端子間隔と本発明のジョイントコネクタ1の端子金具3の端子間隔とは同じ間隔とされているため、汎用コネクタ62がジョイントコネクタ1の嵌合部9に嵌合され、両コネクタの端子が電気的に接続される。
【0045】
前述した実施形態では、ジョイントコネクタ1は、端子金具3a,3bのそれぞれの針状端子部29を11本の22極としているが、図6に示すように、端子金具3a,3bのそれぞれの針状端子部29を19本の38極としても良い。また、22極よりも少ない極数としても良い。このような極数の増減に拘わらず、本発明のジョイントコネクタ1は、フェライトコア10の寸法は変更されないため、端子金具3の針状端子部29同士の間隔を変更することなく汎用コネクタ62と接続することができる。従って、ジョイントコネクタ1の極数は、汎用コネクタ62に合わせて変更することができる。
【0046】
本実施形態によれば、ジョイントコネクタ1は、フェライトコア10が設けられた端子金具3と、前記端子金具3が収容されたコネクタハウジング5と、を備えており、前記端子金具3は、バスバ28と、前記バスバ28の長手方向に間隔を空けて当該バスバ28から延長された複数本の針状端子部29と、を備え、前記フェライトコア10は、前記針状端子部29の基端部29a側に設けられた第一フェライトコア10aと、前記針状端子部29の中間部29b側に設けられた第二フェライトコア10bと、を備え、かつ、前記第一フェライトコア10aと前記第二フェライトコア10bとが、前記複数本の針状端子部29のそれぞれに交互に設けられている。また、前記針状端子部29同士の間隔が、汎用コネクタ62の端子間隔に形成されている。
【0047】
このため、ジョイントコネクタ1は、針状端子部29の基端部29a側に設けられた第一フェライトコア10aと、前記針状端子部29の中間部29b側に設けられた第二フェライトコア10bとが、複数本の前記針状端子部29のそれぞれに交互に設けられるため、前記第一フェライトコア10aと前記第二フェライトコア10bとの寸法を変更することなく、前記針状端子部29同士の端子間隔を縮小することができる。このため、前記針状端子部29が形成された端子金具3を小型化し、ジョイントコネクタ1を小型化することができる。
【0048】
また、ジョイントコネクタ1は、端子金具3の複数本の針状端子部29同士の間隔が、汎用コネクタ62の端子間隔に形成されているため、当該汎用コネクタ62に接続できる汎用性を備える。このため、小型化され且つ汎用性を備えたジョイントコネクタ1を提供することができる。
【0049】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 ジョイントコネクタ
2 コネクタハウジング
3 端子金具
5 アウタハウジング
6 第一インナハウジング
7 第二インナハウジング
10 フェライトコア
10a 第一フェライト
10b 第二フェライト
12 バスバ収容室
17 第二突出部
18 貫通孔
21 第一フェライト収容部
23 第一突出部
24 貫通孔
28 バスバ
29 針状端子部
36 第二フェライト収容室
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェライトコアが設けられた端子金具と、前記端子金具が収容されたコネクタハウジングと、を備えた、ジョイントコネクタにおいて、
前記端子金具は、バスバと、前記バスバの長手方向に間隔を空けて当該バスバから延長された複数本の針状端子部と、を備え、
前記フェライトコアは、前記針状端子部の基端部側に設けられた第一フェライトコアと、前記針状端子部の中間部側に設けられた第二フェライトコアと、を備え、かつ、
前記第一フェライトコアと前記第二フェライトコアとが、前記複数本の針状端子部のそれぞれに交互に設けられていることを特徴とするジョイントコネクタ。
【請求項2】
前記針状端子部同士の間隔が、汎用コネクタの端子間隔に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のジョイントコネクタ。
【請求項3】
前記コネクタハウジングは、前記端子金具が設けられるインナハウジングと、前記インナハウジングを収容するインナハウジング収容室が設けられたアウタハウジングと、を備え、
前記インナハウジングは、前記端子金具のバスバが収容されるバスバ収容室と当該端子金具の針状端子部の基端部側が挿通される共に前記第一フェライトコアが収容される第一フェライト収容室とが設けられた第一インナハウジングと、前記針状端子部の中間部側が挿通されると共に前記第二フェライトコアが収容される第二フェライト収容室が設けられた第二インナハウジングと、を備え、
前記第一フェライト収容室と前記第二フェライト収容室とは、前記複数本の針状端子部のそれぞれに交互に設けられ、
前記第二インナハウジングには、前記第一フェライト収容室に向かって突出され且つ前記針状端子部が貫通する貫通孔が開孔された第一突出部が設けられ、且つ、
前記インナハウジング収容室には、前記第二フェライト収容室に向かって突出され且つ前記針状端子部が貫通する貫通孔が開孔された第二突出部が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のジョイントコネクタ。
【請求項1】
フェライトコアが設けられた端子金具と、前記端子金具が収容されたコネクタハウジングと、を備えた、ジョイントコネクタにおいて、
前記端子金具は、バスバと、前記バスバの長手方向に間隔を空けて当該バスバから延長された複数本の針状端子部と、を備え、
前記フェライトコアは、前記針状端子部の基端部側に設けられた第一フェライトコアと、前記針状端子部の中間部側に設けられた第二フェライトコアと、を備え、かつ、
前記第一フェライトコアと前記第二フェライトコアとが、前記複数本の針状端子部のそれぞれに交互に設けられていることを特徴とするジョイントコネクタ。
【請求項2】
前記針状端子部同士の間隔が、汎用コネクタの端子間隔に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のジョイントコネクタ。
【請求項3】
前記コネクタハウジングは、前記端子金具が設けられるインナハウジングと、前記インナハウジングを収容するインナハウジング収容室が設けられたアウタハウジングと、を備え、
前記インナハウジングは、前記端子金具のバスバが収容されるバスバ収容室と当該端子金具の針状端子部の基端部側が挿通される共に前記第一フェライトコアが収容される第一フェライト収容室とが設けられた第一インナハウジングと、前記針状端子部の中間部側が挿通されると共に前記第二フェライトコアが収容される第二フェライト収容室が設けられた第二インナハウジングと、を備え、
前記第一フェライト収容室と前記第二フェライト収容室とは、前記複数本の針状端子部のそれぞれに交互に設けられ、
前記第二インナハウジングには、前記第一フェライト収容室に向かって突出され且つ前記針状端子部が貫通する貫通孔が開孔された第一突出部が設けられ、且つ、
前記インナハウジング収容室には、前記第二フェライト収容室に向かって突出され且つ前記針状端子部が貫通する貫通孔が開孔された第二突出部が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のジョイントコネクタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【公開番号】特開2012−221906(P2012−221906A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−89797(P2011−89797)
【出願日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】
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