説明

ジョブ履歴管理装置、画像形成装置、ジョブ履歴管理方法およびジョブ履歴管理プログラム

【課題】ジョブ履歴データの保存期間を柔軟に設定することができるジョブ履歴管理装置、このジョブ履歴管理装置を有する画像形成装置、ジョブ履歴管理方法およびジョブ履歴管理プログラムを提供する。
【解決手段】画像形成装置3のCPU10は、実行されたジョブの属性に応じて、そのジョブの設定内容を含むジョブ履歴データの保存期間を設定する。また、CPU10は、実行されたジョブの種類に応じて、ジョブ履歴データの保存期間を設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジョブ履歴データを管理するためのジョブ履歴管理装置、画像形成装置、ジョブ履歴管理方法およびジョブ履歴管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機などの画像形成装置には、この画像形成装置に入力されたジョブをジョブ履歴データとして管理するためのジョブ履歴管理機能が備えられている。このジョブ履歴管理機能により、ユーザは、以前に実行されたジョブと同様なジョブを画像形成装置に実行させるときに、管理されたジョブ履歴データを呼び出し、このジョブ履歴データのジョブを再利用することができる。
【0003】
しかしながら、ジョブ履歴データを記憶するための記憶装置の容量には限界があるので、上記ジョブ履歴管理機能には、ある一定の条件を満たしたジョブ履歴データを順番に消去する機能が備えられている。
【0004】
たとえば、特許文献1には、ジョブ履歴データが記憶されてからある保存期間が経過した後に、当該ジョブ履歴データを削除する画像形成システムが開示されている。また、特許文献1には、この画像形成システムは利用頻度が低いジョブ履歴データを削除することが開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、画像処理装置が、電子メールに画像データを添付することによって受信者に画像データを送信した後、受信者は、画像処理装置に対してこの画像データのフォーマットを変更するよう指示するための返信メールを画像処理装置に送信することが開示されている。さらに、特許文献2には、画像データが受信者に送信されてから所定時間が経過した場合、画像処理装置は、この画像データに対応する履歴テーブルを、この画像データとともに削除することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−102549号公報
【特許文献2】特開2006−237784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献では、ジョブ履歴データの保存期間は、ジョブの種類に関わらず画一的に設定されていた。ジョブの実行時期と、そのジョブの再利用の可能性との間には必ずしも相関はないので、ジョブ履歴データを時系列で管理した場合、再利用される可能性が低いジョブ履歴データが記憶装置に保存されることが多かった。したがって、再利用される可能性が高いジョブ履歴データがより多く記憶装置に保存されることができず、この記憶装置の容量が有効に活用できないといった問題があった。さらに、再利用される可能性が低いジョブ履歴データが記憶装置に多数存在するので、再利用されるべきジョブ履歴データを探しにくくなるといった問題があった。
【0008】
本発明は、上記の問題点を解決しようとするものであり、ジョブ履歴データの保存期間を柔軟に設定することができるジョブ履歴管理装置、画像形成装置、ジョブ履歴管理方法およびジョブ履歴管理プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
【0010】
[1]実行されたジョブの属性に応じて、そのジョブの設定内容を含むジョブ履歴データの保存期間を設定するジョブ保存期間設定部を有する
ことを特徴とするジョブ履歴管理装置。
【0011】
上記発明では、ジョブ保存期間設定部が、実行されたジョブの属性に応じて、そのジョブの設定内容を含むジョブ履歴データの保存期間を設定する。
【0012】
ジョブの属性とは、たとえば、ジョブ実行時に実現される画像形成装置等の機能により種別されるジョブの種類、ジョブ履歴データのセキュリティ度、ジョブの設定難易度、ジョブの実行結果、ジョブ実行時に画像データの印刷を伴う場合には、その印刷における前記画像データの印刷部数、ジョブ実行時に画像データの送信を伴う場合には、画像データ送信のあて先数などがある。
【0013】
ジョブ実行時に実現される画像形成装置等の機能とは、画像形成装置等の各種機能のうち、ジョブが実行されるときに実現される1の機能のことをいう。上記機能には、たとえば、文書データ等のプリント機能、コピー機能、画像データ等のファクシミリ送信機能、ネットワーク送信機能、画像データ等のファクシミリ受信印刷機能などがある。したがって、ジョブの種類は、これらの機能のうち、ジョブ実行時に実現される画像形成装置等の機能により種別される。
【0014】
ジョブ履歴データのセキュリティ度は、ユーザやジョブ履歴管理装置の管理者等が設定する当該ジョブ履歴データに対するセキュリティ度のことである。ユーザ等は、このセキュリティ度を2段階以上で設定する。ジョブの設定難易度は、ジョブの入力時間、ジョブ入力を受け付ける操作部等への操作回数などから判断される。ジョブの実行結果は、当該ジョブの実行が成功したか否かで判断される。前記画像データの印刷部数は、入力されたジョブが画像データの印刷を伴う場合におけるユーザ等が入力した画像データの印刷部数である。前記画像データ送信のあて先数は、入力されたジョブが画像データの送信を伴う場合における画像データの送信時等に選択される画像データの送信先の数である。
【0015】
上記発明により、ジョブ履歴データの保存期間を柔軟に設定することができる。
【0016】
[2]前記ジョブ保存期間設定部は、実行されたジョブの種類に応じて、前記ジョブ履歴データの保存期間を設定する
ことを特徴とする請求項1に記載のジョブ履歴管理装置。
【0017】
上記発明では、ジョブ保存期間設定部が、ジョブの属性の1つであるジョブの種類に応じて、ジョブ履歴データの保存期間を設定する。
【0018】
[3]前記ジョブ保存期間設定部は、前記ジョブ履歴データのセキュリティ度、ジョブの設定難易度、ジョブの実行結果、ジョブ実行時に画像データの印刷を伴う場合には、その印刷における前記画像データの印刷部数およびジョブ実行時に画像データの送信を伴う場合には、画像データ送信のあて先数のうち少なくとも1種類以上の属性項目の属性値に応じて、前記ジョブ履歴データの保存期間を設定する
ことを特徴とする[1]または[2]に記載のジョブ履歴管理装置。
【0019】
上記発明では、ジョブ保存期間設定部は、ジョブ履歴データのセキュリティ度、ジョブの設定難易度、ジョブの実行結果、ジョブ実行時に画像データの印刷を伴う場合には、その印刷における前記画像データの印刷部数およびジョブ実行時に画像データの送信を伴う場合には、画像データ送信のあて先数のうち少なくとも1種類以上の属性項目の属性値に応じて、ジョブ履歴データの保存期間を設定する。
【0020】
ここで、属性項目の属性値とは、たとえば、ジョブの設定難易度が「高い」および「低い」の2段階のうち「高い」と判定された場合、この「高い」が、属性項目であるジョブの設定難易度の属性値となる。また、上記画像データの印刷部数が「多い」および「少ない」の2段階うち「多い」と判定された場合の例では、この「多い」が、属性項目である画像データの印刷部数の属性値となる。
【0021】
[4]さらに、前記ジョブ保存期間設定部によって設定されたジョブ履歴データの保存期間の変更を受け付けるジョブ保存期間変更受付部を有し、
前記ジョブ保存期間設定部は、前記ジョブ保存期間変更受付部が前記保存期間の変更を受け付けた場合、この保存期間の変更に基づいて、前記保存期間を再度設定する
ことを特徴とする[1]乃至[3]のいずれか1項に記載のジョブ履歴管理装置。
【0022】
上記発明によれば、ユーザの個々の事情や、特定のジョブ履歴データの重要性等に合わせて、個別にジョブ履歴データの保存期間を再設定することができる。
【0023】
[5]さらに、ジョブ履歴データを保存するための記憶装置に空き容量が不足しているか否かを判断するジョブ記憶容量判断部と、
前記保存期間が経過したジョブ履歴データの削除を指示するジョブ削除指示部と、
を有し、
前記ジョブ削除指示部は、前記ジョブ記憶容量判断部が前記記憶装置に空き容量が不足していると判断した場合、残りの保存期間が短い順にジョブ履歴データを削除するように前記記憶装置に指示する
ことを特徴とする[1]乃至[4]のいずれか1項に記載のジョブ履歴管理装置。
【0024】
上記発明によれば、記憶装置の空き容量が不足したときに、再利用の可能性が低いと考えられる残りの保存期間が短いジョブ履歴データを消去することができる。
【0025】
[6]さらに、ジョブ履歴データを保存するための記憶装置に空き容量が不足しているか否かを判断するジョブ記憶容量判断部と、
前記保存期間が経過したジョブ履歴データの削除を指示するジョブ削除指示部と、
を有し、
前記ジョブ削除指示部は、前記ジョブ記憶容量判断部が前記記憶装置に空き容量が不足していると判断した場合、前記ジョブ保存期間設定部が設定した保存期間が短い順にジョブ履歴データを削除するように前記記憶装置に指示する
ことを特徴とする[1]乃至[4]のいずれか1項に記載のジョブ履歴管理装置。
【0026】
上記発明によれば、記憶装置の空き容量が不足したときに、再利用の可能性が低いと考えられるジョブ保存期間設定部が設定した保存期間が短いジョブ履歴データを消去することができる。
【0027】
[7]さらに、実行されたジョブの属性に応じて決定されるジョブ履歴データの保存期間のデフォルト値を予め記憶したデフォルト値記憶部を有し、
前記ジョブ保存期間設定部は、前記デフォルト値に基づいて前記ジョブ履歴データの保存期間を設定する
ことを特徴とする[1]乃至[6]のいずれか1項に記載のジョブ履歴管理装置。
【0028】
[8]さらに、前記デフォルト値の変更を受け付けるデフォルト値変更受付部と、
前記デフォルト値変更受付部が前記デフォルト値の変更を受け付けた場合、前記デフォルト値記憶部に記憶される前記デフォルト値を変更するデフォルト値変更部と、
を有する
ことを特徴とする[7]に記載のジョブ履歴管理装置。
【0029】
上記発明によれば、ユーザの個々の事情等に合わせて、ジョブ履歴データの保存期間を設定することができる。
【0030】
[9]前記デフォルト値記憶部は、前記ジョブ履歴データのセキュリティ度、ジョブの設定難易度、ジョブの実行結果、ジョブ実行時に画像データの印刷を伴う場合には、その印刷における前記画像データの印刷部数およびジョブ実行時に画像データの送信を伴う場合には、画像データ送信のあて先数のうち少なくとも1種類の属性項目の各属性値と、ジョブの種類との組み合わせ毎に、ジョブ履歴データの保存期間のデフォルト値を予め記憶する
ことを特徴とする[7]または[8]に記載のジョブ履歴管理装置。
【0031】
[10]さらに、前記少なくとも1種類以上の属性項目の属性値を判定するための判定基準を記憶する判定基準記憶部と、
前記判定基準の変更を受け付ける判定基準変更受付部と、
前記判定基準変更受付部が前記判定基準の変更を受け付けた場合、前記判定基準を変更する判定基準変更部と、
を有する
ことを特徴とする[3]に記載のジョブ履歴管理装置。
【0032】
判定基準は、ジョブ履歴データのセキュリティ度、ジョブの設定難易度などの前記少なくとも1種類以上の属性項目の属性値を判定するための閾値等である。たとえば、ジョブ保存期間設定部は、ジョブの設定難易度の属性値を、ジョブの入力時間が所定時間以上であるか否かで判断してもよい。この場合、上記所定時間がジョブの設定難易度の属性値の判定基準となる。そして、判断されたジョブの設定難易度の属性値により、ジョブ保存期間設定部はジョブ履歴データの保存期間を設定してもよい。
【0033】
また、上記閾値は、1種類の属性項目に対して2以上あってもよい。この場合、ジョブの設定難易度などの属性項目の属性値は、3段階以上に分けて判断される。
【0034】
上記発明によれば、ユーザの個々の事情等に合わせて、ジョブ履歴データの保存期間を設定することができる。
【0035】
[11][1]乃至[10]のいずれか1項に記載のジョブ履歴管理装置と、
前記ジョブ履歴管理装置によって管理されたジョブ履歴データに基づいて、ジョブを実行するジョブ実行部と、
を有する
ことを特徴とする画像形成装置。
【0036】
[12]実行されたジョブの属性に応じて、そのジョブの設定内容を含むジョブ履歴データの保存期間を設定する工程を有する
ことを特徴とするジョブ履歴管理方法。
【0037】
[13]前記工程では、実行されたジョブの種類に応じて、前記ジョブ履歴データの保存期間が設定される
ことを特徴とする[12]に記載のジョブ履歴管理方法。
【0038】
[14]前記工程では、前記ジョブ履歴データのセキュリティ度、ジョブの設定難易度、ジョブの実行結果、ジョブ実行時に画像データの印刷を伴う場合には、その印刷における前記画像データの印刷部数およびジョブ実行時に画像データの送信を伴う場合には、画像データ送信のあて先数のうち少なくとも1種類以上の属性項目の属性値に応じて、前記ジョブ履歴データの保存期間が設定される
ことを特徴とする[12]または[13]に記載のジョブ履歴管理方法。
【0039】
[15]ジョブ履歴管理装置を、
実行されたジョブの属性に応じて、そのジョブの設定内容を含むジョブ履歴データの保存期間を設定する
ように動作させる
ことを特徴とするジョブ履歴管理プログラム。
【0040】
[16]前記ジョブ履歴管理装置を、
実行されたジョブの種類に応じて、前記ジョブ履歴データの保存期間を設定する
ように動作させる
ことを特徴とする[15]に記載のジョブ履歴管理プログラム。
【0041】
[17]前記ジョブ履歴管理装置を、
前記ジョブ履歴データのセキュリティ度、ジョブの設定難易度、ジョブの実行結果、ジョブ実行時に画像データの印刷を伴う場合には、その印刷における前記画像データの印刷部数およびジョブ実行時に画像データの送信を伴う場合には、画像データ送信のあて先数のうち少なくとも1種類以上の属性項目の属性値に応じて、前記ジョブ履歴データの保存期間を設定する
ように動作させる
ことを特徴とする[15]または[16]に記載のジョブ履歴管理プログラム。
【発明の効果】
【0042】
本発明に係るジョブ履歴管理装置、画像形成装置、ジョブ履歴管理方法およびジョブ履歴管理プログラムによれば、ジョブ履歴データの保存期間を柔軟に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本実施形態に係るジョブ履歴管理システムのシステム構成図を示す説明図である。
【図2】本実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】本実施形態に係るジョブ履歴管理サーバの概略構成を示すブロック図である。
【図4】ジョブ履歴データの管理動作を示すフローチャートである。
【図5】ジョブ履歴データの保存期間のデフォルト値を示す表である。
【図6】ジョブの属性別の属性値の判定基準の例を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、図面に基づき本実施形態を説明する。
【0045】
図1は、本実施形態に係るジョブ履歴管理システム1のシステム構成図を示す説明図である。ジョブ履歴管理システム1は、個人用PC(Personal Computer)2と、画像形成装置(MFP)3と、ジョブ履歴管理サーバ4とをLAN(Local Area Network)などのネットワークを通じて通信可能に接続して構成される。
【0046】
個人用PC2は、画像形成装置3に対してネットワークを通じてアクセスし、ジョブを送信することで、ドキュメントの印刷など各種作業の指示や操作の依頼などを行う装置である。
【0047】
画像形成装置3は、ジョブ実行時に実現される機能により、個人用PC2から送信されたジョブまたは操作部19(図2参照)に対する操作に基づき入力されたジョブに基づいた各種作業を行う。この画像形成装置3の機能には、たとえば、文書データ等のプリント機能、コピー機能、画像データ等のファクシミリ送信機能、ネットワーク送信機能、画像データ等のファクシミリ受信印刷機能などがある。ジョブが個人用PC2から画像形成装置3に送信されるとき、または、ジョブが操作部19に対する操作に基づき入力されるとき、これら機能の中から、このジョブに対応する機能がジョブ実行時に実現される機能として選択される。
【0048】
画像形成装置3は、個人用PC2から送信されたジョブまたは操作部19に対する操作に基づき入力されたジョブを登録する。また、画像形成装置3は、ジョブを実行した後に、ジョブ実行時に実現される機能などに応じて、当該ジョブのジョブ履歴データの保存期間を設定し、ジョブ履歴データを作成する。画像形成装置3は、作成したジョブ履歴データをジョブ履歴管理サーバ4に送信し、当該ジョブ履歴データをジョブ履歴管理サーバ4に保存させる。本実施形態では、ジョブ履歴データは、ジョブの設定内容と、ジョブ実行時に使用される画像データと、上記設定された保存期間を示す情報を含む。
【0049】
さらに、画像形成装置3は、登録されたジョブをユーザが再利用するときに、ジョブ履歴管理サーバ4が保存したジョブ履歴データを送信するようジョブ履歴管理サーバ4に指示する。
【0050】
ジョブ履歴管理サーバ4は、画像形成装置3から受信したジョブ履歴データをジョブ履歴管理サーバ4内の記憶装置35(図3参照)に保存する。また、ジョブ履歴管理サーバ4は、画像形成装置3から再利用されるべきジョブ履歴データの送信指示を受信したとき、記憶装置35に記憶されるジョブ履歴データのうち、当該ジョブ履歴データを画像形成装置3に送信する。
【0051】
また、ジョブ履歴管理サーバ4は、画像形成装置3が設定したジョブ履歴データの保存期間が経過すると、当該ジョブ履歴データを削除する。さらに、ジョブ履歴管理サーバ4は、上記記憶装置に空き容量が不足していると判断した場合、残りの保存期間が短い順に、または、画像形成装置3が設定した保存期間が短い順に、保存されたジョブ履歴データを削除する。
【0052】
図2は、本実施形態に係る画像形成装置3の概略構成を示すブロック図である。画像形成装置3は、この画像形成装置3の動作を統括的に制御するCPU(Central Processing Unit)10と、このCPU10にバス11を介して接続されたROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、画像読取部14と、プリンタ部15と、画像処理部16と、不揮発メモリ17と、表示部18と、操作部19と、ネットワークI/F(Interface)部20と、ハードディスク装置21とを備えている。
【0053】
CPU10は、OS(Operating System)プログラムをベースとし、その上で、ミドルウェアやアプリケーションプログラムなどを実行する。また、CPU10は、個人用PC2から受信したジョブまたは操作部19に対する操作に基づき入力されたジョブを登録する。さらに、ジョブ実行後、CPU10は、これらジョブのジョブ履歴データの保存期間を設定し、ジョブ履歴データを作成する。
【0054】
また、CPU10は、操作部19がジョブ履歴データの保存期間の変更を受け付けたとき、ジョブ履歴管理サーバ4に対してジョブ履歴データの保存期間を変更するよう指示する。さらに、CPU10は、不揮発メモリ17に格納されるジョブ履歴データの保存期間のデフォルト値の変更を受け付けたとき、このデフォルト値を変更する。CPU10は、不揮発メモリ17に格納される後述するジョブの設定難易度の属性値の判定基準等の変更を受け付けたとき、これら判定基準等を変更する。
【0055】
ROM12には、各種のプログラムが格納されており、これらのプログラムに従ってCPU10が各種処理を実行することで画像形成装置3の各機能が実現される。また、ROM12には、ジョブ履歴データの保存期間を設定および変更するためのプログラム等が格納される。
【0056】
RAM13は、CPU10がプログラムに基づいて処理を実行する際に各種のデータを一時的に格納するワークメモリや画像データを格納する画像メモリなどとして使用される。
【0057】
画像読取部14は、原稿を光学的に読み取って画像データを取得する機能を果たす。画像読取部14は、例えば、原稿に光を照射する光源と、その反射光を受けて原稿を幅方向に1ライン分読み取るラインイメージセンサと、ライン単位の読取位置を原稿の長さ方向に順次移動させる移動ユニットと、原稿からの反射光をラインイメージセンサに導いて結像させるレンズやミラーなどからなる光学経路と、ラインイメージセンサの出力するアナログ画像信号をデジタルの画像データに変換する変換部などを備える。
【0058】
プリンタ部15は、画像データに応じた画像を記録紙上に画像形成する機能を果たす。ここでは、記録紙の搬送装置と、感光体ドラムと、帯電装置と、レーザーユニットと、現像装置と、転写分離装置と、クリーニング装置と、定着装置とを有し、電子写真プロセスによって画像形成を行う、所謂、レーザープリンタとして構成されている。画像形成は他の方式でもかまわない。
【0059】
画像処理部16は、画像の拡大縮小、回転などの処理のほか、印刷データをイメージデータに変換するラスタライズ処理、画像データの圧縮、伸張処理などを行う。
【0060】
不揮発メモリ17は、電源をオフにしても記憶内容が破壊されないメモリ(フラッシュメモリ)であり、ユーザ情報や各種設定情報の保存などに使用される。また、不揮発メモリ17には、ジョブ履歴データの保存期間のデフォルト値が格納される。さらに、不揮発メモリ17には、後述するジョブの設定難易度の属性値の判定基準等が格納される。
【0061】
表示部18は、液晶ディスプレイ(LCD…Liquid Crystal Display)などで構成され、各種の操作画面、設定画面などを表示する機能を果たす。また、表示部18は、画像形成装置3のユーザが、ジョブ履歴データの保存期間や、不揮発メモリ17に格納されるジョブ履歴データの保存期間のデフォルト値等を変更するときに、ジョブ履歴データの保存期間等の変更に必要な設定画面を表示する。
【0062】
操作部19は、表示部18の画面上に設けられており、タッチペンや指などで画面が押下された座標位置や、表示部18に対するフリック操作やドラッグ操作等を検出するタッチパネルなどを備える。また、操作部19は、ジョブ履歴管理サーバ4に保存されたジョブ履歴データの保存期間や、不揮発メモリ17に格納されるジョブ履歴データの保存期間のデフォルト値の変更を受け付ける。さらに、操作部19は、後述するジョブの設定難易度の属性値の判定基準等の変更を受け付ける。
【0063】
ネットワークI/F部20は、LAN(Local Area Network)などのネットワークを通じて個人用PC2や、ジョブ履歴管理サーバ4との間でデータを通信する機能を果たす。また、ネットワークI/F部20は、ファクシミリ機能を備えた外部装置またはネットワーク通信可能な外部装置との間で、画像データの送受信を行う。
【0064】
ハードディスク装置21は、各種の保存データを格納するほか、入力されたジョブや画像データ(印刷データ)なども保存する。
【0065】
図3は、本実施形態に係るジョブ履歴管理サーバ4の概略構成を示すブロック図である。ジョブ履歴管理サーバ4は、このジョブ履歴管理サーバ4の動作を統括的に制御するCPU30と、このCPU30にバス31を介して接続されたROM32と、RAM33と、ネットワークI/F部34と、記憶装置35とを備えている。
【0066】
CPU30は、OSプログラムをベースとし、その上で、ミドルウェアやアプリケーションプログラムなどを実行する。また、CPU30は、画像形成装置3から受信したジョブ履歴データを記憶装置35に保存させる。さらに、ジョブ履歴管理サーバ4が、再利用すべきジョブ履歴データの送信指示を画像形成装置3から受信したとき、CPU30は、当該ジョブ履歴データをネットワークI/F部34を介して画像形成装置3に送信する。
【0067】
また、CPU30は、記憶装置35に保存されているジョブ履歴データの保存期間が経過したか否かを監視し、保存期間が経過したと判断したジョブ履歴データを削除する。CPU30は、ジョブ履歴管理サーバ4が画像形成装置3からジョブ履歴データを受信したとき、記憶装置35に当該ジョブ履歴データを保存するための空き容量があるか否かを判断する。CPU30は、記憶装置35に当該空き容量がないと判断した場合、記憶装置35に保存されているジョブ履歴データの中から、残りの保存期間が短い、または、画像形成装置3のCPU10が設定した保存期間が短いものから順番に、ジョブ履歴データを削除する。
【0068】
さらに、ジョブ履歴管理サーバ4が、画像形成装置3からジョブ履歴データの保存期間を変更する旨の指示を受信したとき、CPU30は、当該ジョブ履歴データの保存期間を変更する。
【0069】
ROM32には、各種のプログラムが格納されており、これらのプログラムに従ってCPU30が各種処理を実行することで、ジョブ履歴管理サーバ4の各機能が実現される。また、ROM32には、ジョブ履歴データを保存および削除するのに必要なプログラム、ジョブ履歴データの保存期間を変更するためのプログラムなどが格納される。
【0070】
RAM33は、CPU30がプログラムに基づいて処理を実行する際に各種のデータを一時的に格納するワークメモリや画像データを格納する画像メモリなどとして使用される。
【0071】
ネットワークI/F部34は、LANなどのネットワークを通じて、画像形成装置3との間で、ジョブ履歴データの送受信や、画像形成装置3からの各種指示を受信する機能を果たす。
【0072】
記憶装置35は、各種の保存データを格納するほか、画像形成装置3から受信したジョブ履歴データを保存する。
【0073】
図4は、ジョブ履歴データの管理動作を示すフローチャートである。
【0074】
まず、ユーザが個人用PC2または画像形成装置3の操作部19に対する操作に基づきジョブを入力することによって、ジョブが生成される(ステップS101)。また、入力されたジョブが画像データの印刷を伴う場合、ユーザは、画像データの印刷部数も入力する。
【0075】
操作部19に対する操作に基づき入力されるジョブの場合、まず、ユーザは、ジョブ実行時に実現される画像形成装置3の機能を選択する。たとえば、ジョブがコピーに関するジョブの場合、ユーザは、画像形成装置3の機能をコピー機能に設定する。さらに、ユーザは、ジョブがセキュリティ上重要なものであると判断した場合、ジョブを入力すると同時に、操作部19に存在するセキュリティ設定ボタンで、このジョブの設定内容を含むジョブ履歴データのセキュリティ度を設定する。このとき、画像形成装置3は、ユーザがジョブを操作部19に対する操作に基づき入力するのに要した時間、または、操作部19への操作回数等を計測する。
【0076】
画像形成装置3は、個人用PC2から受信したジョブまたは操作部19に対する操作に基づき入力されたジョブを受け付ける(ステップS201)。
【0077】
個人用PC2から受信したジョブの場合、CPU10は、画像形成装置3の機能をこのジョブに対応する機能に設定する。たとえば、個人用PC2から送信されたジョブが文書データの印刷に関するジョブである場合、CPU10は、画像形成装置3の機能をプリント機能に設定する。
【0078】
画像形成装置3は、受け付けたジョブの実行および管理のために、このジョブをハードディスク装置21等に保存することにより、このジョブを登録し(ステップS202)、受け付けたジョブを実行する(ステップS203)。
【0079】
ジョブ実行後、CPU10は、実行されたジョブのジョブ履歴データの保存期間を設定する(ステップS204)。このとき、CPU10は、不揮発メモリ17に記憶されているジョブ履歴データの保存期間のデフォルト値を参照する。ジョブ履歴データの保存期間の設定については、後述する。
【0080】
ステップS204において、CPU10がジョブ履歴データの保存期間を設定すると、CPU10はジョブ履歴データを作成する(ステップS205)。このジョブ履歴データは、ジョブの設定内容と、ジョブ実行時に使用される画像データと、ステップS204において設定された保存期間を示す情報を含む。
【0081】
画像形成装置3は、ネットワークI/F部20を介して、ジョブ履歴データをジョブ履歴管理サーバ4に送信する(ステップS206)。
【0082】
ジョブ履歴管理サーバ4は、ネットワークI/F部34を介して、画像形成装置3から送信されたジョブ履歴データを受信する(ステップS301)。
【0083】
ジョブ履歴管理サーバ4のCPU30は、当該ジョブ履歴データをジョブ履歴管理サーバ4内の記憶装置35に保存するときに、この記憶装置35に、このジョブ履歴データを保存するための空き容量が存在するか否かを判断する(ステップS302)。
【0084】
ステップS302において、ジョブ履歴管理サーバ4のCPU30が、このジョブ履歴データを保存するための空き容量が記憶装置35に存在しないと判断すると(ステップS302;Yes)、CPU30は、記憶装置35に保存されているジョブ履歴データの中から、残り保存期間が短いジョブ履歴データを検索する。そして、CPU30は、検索されたジョブ履歴データの中から残りの保存期間が短い順にジョブ履歴データを削除する(ステップS303)。このとき、CPU30は、ステップS301で受信したジョブ履歴データを保存するための空き容量が記憶装置35に確保されるまで、ジョブ履歴データを削除し続ける。
【0085】
一方、ステップS302において、CPU30が、受信したジョブ履歴データを保存するための空き容量が記憶装置35に存在すると判断すると(ステップS302;No)、CPU30はジョブ履歴データの削除を行わない。
【0086】
CPU30は、ステップS301で受信したジョブ履歴データを、ジョブ履歴管理サーバ4内の記憶装置35に保存させる(ステップS304)。その後、ジョブ履歴管理サーバ4が他のジョブ履歴データを受信したときに、CPU30がステップS302において記憶装置35に空き容量が存在しないと判断しない限り、記憶装置35は、ステップS301で受信したジョブ履歴データを保存し続ける。また、ジョブ履歴管理サーバ4は、ステップS204で設定された保存期間が経過したか否かを監視する(ステップS305;No)。
【0087】
上記保存期間が経過したとき(ステップS305;Yes)、ジョブ履歴管理サーバ4は、ステップS301で受信したジョブ履歴データを削除する(ステップS306)。
【0088】
なお、上記ステップS303において、ジョブ履歴管理サーバ4は、保存されたジョブ履歴データの中から残りの保存期間が短い順にジョブ履歴データを削除したが、画像形成装置3のCPU10が設定した保存期間が短い順にジョブ履歴データを削除してもよい。
【0089】
次に、ジョブ履歴データの保存期間の設定について説明する。
【0090】
図5は、ジョブ履歴データの保存期間のデフォルト値を示す表である。
【0091】
図5には、実行されたジョブの属性に応じて画像形成装置3のユーザや管理者等が決定するジョブ履歴データの保存期間のデフォルト値が示されている。これらデフォルト値は、不揮発メモリ17に予め記憶されている。具体的には、これらデフォルト値は、ジョブの属性項目であるジョブ履歴データのセキュリティ度、ジョブの設定難易度、ジョブの実行結果、ジョブ実行時に画像データの印刷を伴う場合には、その印刷における前記画像データの印刷部数およびジョブ実行時に画像データの送信を伴う場合には、画像データ送信のあて先数の各属性値と、ジョブの属性の1つであるジョブの種類の組み合わせ毎に決定される。CPU10がジョブ履歴データの保存期間を設定するとき、図5に示されるデフォルト値が参照される。
【0092】
まず、ジョブの種類に応じて決定されるデフォルト値について説明する。ここで、ジョブの種類は、ジョブ実行時に実現される画像形成装置3の機能により種別される。
【0093】
画像形成装置3の機能がプリント機能に設定されている場合、ジョブ履歴管理サーバ4の記憶装置35とは別個の記憶装置(たとえば、個人用PC2のハードディスク)に画像データ等の電子データが保存されている可能性が高い。上記画像データを含むジョブ履歴データをジョブ履歴管理サーバ4の記憶装置35に保存する必要性が低いと考えられるので、デフォルト値は、他の機能の場合よりも小さく決定される。
【0094】
画像形成装置3の機能が、コピー機能、画像データ等のファクシミリ送信機能、ネットワーク送信機能のうちいずれかの機能に設定されている場合、ジョブ実行時に使用される元の画像が紙媒体に印刷されていることが多く、この画像が電子データとして保存・管理されている可能性が低い。画像読取部14が画像を読み取ることで生成された画像データを含むジョブ履歴データをジョブ履歴管理サーバ4の記憶装置35に保存する必要性が高いと考えられる。デフォルト値は、プリント機能の場合よりも大きく決定される。
【0095】
画像形成装置3の機能がファクシミリ受信印刷機能に設定されている場合、元となる画像データは送信元のみにあり、受信者は、ファクシミリ通信で受信した画像データを印刷した紙媒体のみを所持している可能性が高い。この紙媒体の紛失等により受信した画像データを再度使用する可能性を考慮して、デフォルト値は、他の機能、すなわち、プリント機能、コピー機能、ファクシミリ送信機能、ネットワーク送信機能の場合よりも大きく決定される。
【0096】
次に、ジョブの属性項目であるジョブの実行結果、ジョブの設定難易度、ジョブ履歴データのセキュリティ度、画像データの印刷部数および画像データ送信のあて先数のそれぞれの属性値に応じて決定されるデフォルト値について説明する。
【0097】
ジョブの実行結果は、ジョブ実行が成功したか否かで判断される。図5の例では、画像形成装置3のCPU10は、ジョブ実行が成功したと判定した場合、「ジョブ実行」の「成功」の領域に記載されているデフォルト値を参照し、ジョブ実行が失敗したと判定した場合、「失敗」の領域に記載されているデフォルト値を参照する。この場合、「ジョブ実行」の「成功」または「失敗」が、ジョブの実行結果の属性値となる。また、デフォルト値が決定されるときにジョブの実行結果が加味される理由は、以下のとおりである。
【0098】
ジョブが何らかの要因(たとえば、画像データの受信側の画像形成装置3に画像データを印刷するための紙がない、ネットワークに通信障害があるなど)によって失敗した場合、ジョブの失敗要因を対策した後に、再度ジョブ履歴データが利用される可能性が高いと考えられる。したがって、ジョブが失敗した場合のジョブ履歴データの保存期間のデフォルト値は、ジョブが成功した場合のジョブ履歴データの保存期間のデフォルト値と比べて大きく決定される。
【0099】
ジョブの設定難易度は、ユーザがジョブを操作部19に対する操作に基づき入力するのに要した時間が所定時間以内か否かで判断される。図5の例では、画像形成装置3のCPU10は、ユーザがジョブを入力するのに要した時間が所定時間以上であったと判定した場合、「ジョブの設定難易度」の「高」の領域に記載されているデフォルト値を参照し、ユーザがジョブを入力するのに要した時間が所定時間未満であったと判定した場合、「ジョブの設定難易度」の「低」の領域に記載されているデフォルト値を参照する。この場合、「ジョブの設定難易度」の「高」または「低」が、ジョブの設定難易度の属性値となる。
【0100】
また、ジョブの設定難易度は、ユーザがジョブを操作部19に対する操作に基づき入力するのに要した操作部19への操作回数が所定回数以下か否かで判断されてもよい。図5の例では、画像形成装置3のCPU10は、ユーザがジョブを入力するのに要した操作回数が所定回数以上であったと判定した場合、「ジョブの設定難易度」の「高」の領域に記載されているデフォルト値を参照し、ユーザがジョブを入力するのに要した操作回数が所定回数未満であったと判定した場合、「ジョブの設定難易度」の「低」の領域に記載されているデフォルト値を参照する。この場合、「ジョブの設定難易度」の「高」または「低」が、ジョブの設定難易度の属性値となる。
【0101】
その他に、ジョブの設定難易度は、入力されたジョブの設定内容と、画像形成装置3にデフォルトとして予め記憶されているジョブの内容との差分の大きさによって判断されてもよい。
【0102】
デフォルト値が決定されるときにジョブの設定難易度が加味される理由は、以下のとおりである。
【0103】
ジョブの設定操作が複雑である場合、ジョブの再利用は、操作部19に対する操作回数の低減に大きく役立つ。したがって、ジョブの設定難易度が高い場合のジョブ履歴データの保存期間のデフォルト値は、ジョブの設定難易度が低い場合のジョブ履歴データの保存期間のデフォルト値と比べて大きく決定される。
【0104】
ジョブ履歴データのセキュリティ度は、ユーザがジョブを入力すると同時に、操作部19に存在するセキュリティ設定ボタンを使用して設定するセキュリティ度を基準として判断される。図5の例では、画像形成装置3のCPU10は、当該設定されるセキュリティ度が「高」であった場合、「セキュリティ重要度」の「高」の領域に記載されているデフォルト値を参照し、当該設定されるセキュリティ度が「低」であった場合、「セキュリティ重要度」の「低」の領域に記載されているデフォルト値を参照する。この場合、「セキュリティ重要度」の「高」または「低」が、ジョブ履歴データのセキュリティ度の属性値となる。デフォルト値が決定されるときにジョブ履歴データのセキュリティ度が加味される理由は、以下のとおりである。
【0105】
ジョブ履歴データがジョブ履歴管理サーバ4の記憶装置35に長期間保存されていると、ジョブ履歴管理サーバ4からジョブ履歴データが流出する可能性が高くなり、ジョブ履歴データに含まれる情報の漏洩の危険性が高まる。したがって、デフォルト値は、ジョブ履歴データのセキュリティ度に応じて決定される。なお、セキュリティ上重要なジョブ履歴データの場合、削除されたジョブ履歴データの復元を不可能にするような対策が講じられることが好ましい。
【0106】
画像データの印刷部数は、入力されたジョブが画像データの印刷を伴う場合におけるユーザが入力した画像データの印刷部数である。画像形成装置3のCPU10は、ユーザが入力した画像データの印刷部数が所定部数以上か否かを判定する。図5の例では、画像形成装置3のCPU10は、ユーザが入力した画像データの印刷部数が所定部数以上であったと判定した場合、「印刷部数」の「多」の領域に記載されているデフォルト値を参照し、ユーザが入力した画像データの印刷部数が所定部数未満であったと判定した場合、「印刷部数」の「少」の領域に記載されているデフォルト値を参照する。この場合、「印刷部数」の「多」または「少」が、画像データの印刷部数の属性値となる。
【0107】
ファクシミリ通信等における画像データ送信のあて先数は、画像データのファクシミリ通信時等に選択される画像データの送信先の数である。画像形成装置3のCPU10は、ユーザが選択した画像データの送信先の数が所定数以上か否かを判定する。図5の例では、画像形成装置3のCPU10は、ユーザが選択した画像データの送信先の数が所定数以上であったと判定した場合、「あて先数」の「多」の領域に記載されているデフォルト値を参照し、ユーザが選択した画像データの送信先の数が所定数未満であったと判定した場合、「あて先数」の「少」の領域に記載されているデフォルト値を参照する。この場合、「あて先数」の「多」または「少」が、画像データ送信のあて先数の属性値となる。デフォルト値が決定されるときに画像データの印刷部数またはファクシミリ通信等における画像データ送信のあて先数が加味される理由は、以下のとおりである。
【0108】
コピーや印刷において画像データの印刷部数が多い場合、これらコピーや印刷は、個人的に利用されるものではなく、会議など、多くの人に印刷物を配布するために利用される可能性が高い。したがって、画像データの印刷部数が多い場合には、配布される印刷物の不足などによる画像データの追加印刷を行う可能性が高い。この追加印刷の可能性を考慮して、デフォルト値は、画像データの印刷部数が少ない場合よりも大きく決定される。
【0109】
また、ファクシミリ通信等における画像データ送信のあて先数が多い場合、ユーザはあて先の選択漏れをする可能性が高い。この選択漏れの可能性を考慮して、デフォルト値は、画像データ送信のあて先数が少ない場合よりも大きく決定される。
【0110】
次に、画像形成装置3のCPU10が設定したジョブ履歴データの保存期間の変更、不揮発メモリ17に格納されるジョブ履歴データの保存期間のデフォルト値の変更およびジョブの属性項目の属性値の判定基準の変更の方法について説明する。
【0111】
上記ジョブ履歴データの保存期間を変更する場合、画像形成装置3のユーザは、操作部19を介して、ジョブ履歴管理サーバ4に保存されているジョブ履歴データの特定情報(たとえば、ジョブの名称やID番号、ジョブの入力日時や設定内容など)を表示部18に一覧表示するように、画像形成装置3に指示する。
【0112】
画像形成装置3は、ジョブ履歴管理サーバ4の記憶装置35に保存されているジョブ履歴データを読み出し、上記ジョブ履歴データの特定情報を表示部18に表示する。
【0113】
ユーザは、表示部18に表示されたジョブ履歴データの特定情報から、操作部19を使って、保存期間を変更すべきジョブ履歴データを選択する。
【0114】
表示部18は、ユーザが選択したジョブ履歴データの保存期間を表示するとともに、操作部19は、ユーザからの保存期間の変更指示を受け付ける。
【0115】
操作部19がユーザからの保存期間の変更指示を受け付けると、画像形成装置3のCPU10は、ジョブ履歴管理サーバ4に対して、ジョブ履歴管理サーバ4内の記憶装置35に格納される当該ジョブ履歴データの保存期間を変更するように指示する。
【0116】
ジョブ履歴管理サーバ4のCPU30は、ジョブ履歴管理サーバ4が画像形成装置3からのジョブ履歴データの保存期間の変更指示を受信すると、当該ジョブ履歴データの保存期間を変更する。
【0117】
ジョブ履歴データの保存期間のデフォルト値を変更する場合、画像形成装置3のユーザは、操作部19を介して、不揮発メモリ17に格納されるジョブ履歴データの保存期間のデフォルト値を表示部18に一覧表示するように、画像形成装置3に指示する。
【0118】
画像形成装置3は、不揮発メモリ17に格納されるデフォルト値を読み出し、ジョブの属性とその属性に対応するデフォルト値を表示部18に表示する。このとき、表示部18は、図5のように、ユーザ等がジョブの属性に応じて決定するすべてのデフォルト値を表示する。
【0119】
ユーザは、表示部18に表示されたデフォルト値から、操作部19を使って、変更すべきデフォルト値を選択し、当該デフォルト値の変更を指示する。
【0120】
操作部19が上記デフォルト値の変更指示を受け付けると、画像形成装置3のCPU10は、不揮発メモリ17に格納される当該デフォルト値を変更する。
【0121】
ジョブの属性項目の属性値の判定基準を変更する場合、画像形成装置3のユーザは、操作部19を介して、不揮発メモリ17に格納されるジョブの属性項目の属性値の判定基準を表示部18に表示するように、画像形成装置3に指示する。
【0122】
たとえば、ジョブの設定難易度の属性値の判定基準を変更する場合、画像形成装置3は、不揮発メモリ17に格納されるジョブの設定難易度の属性値の判定基準を読み出し、当該判定基準を表示部18に表示する。ジョブの設定難易度は、ユーザがジョブを操作部19に対する操作に基づき入力するのに要した時間が所定時間以内か否かで判断され、ジョブの設定難易度の属性値の判定基準が上記所定時間である場合、表示部18は、この所定時間を表示する。
【0123】
図6は、ジョブの属性別の属性値の判定基準の例を示す表である。図6の例では、ジョブの設定難易度の属性値の判定基準、すなわち、上記所定時間は「15秒」である。
【0124】
ユーザは、操作部19を使って、上記所定時間の変更を指示する。
【0125】
操作部19が上記所定時間の変更指示を受け付けると、画像形成装置3のCPU10は、不揮発メモリ17に格納される判定基準である上記所定時間を変更する。
【0126】
同様に、ジョブの設定難易度は、ユーザがジョブを操作部19に対する操作に基づき入力するのに要した操作部19への操作回数が所定回数以下か否かで判断され、ジョブの設定難易度の属性値の判定基準が上記所定回数である場合には、表示部18は、この所定回数を表示する。
【0127】
ユーザは、操作部19を使って、上記所定回数の変更を指示する。
【0128】
操作部19が上記所定回数の変更指示を受け付けると、画像形成装置3のCPU10は、不揮発メモリ17に格納される判定基準である上記所定回数を変更する。
【0129】
画像データの印刷部数の属性値の判定基準を変更する場合、画像形成装置3のユーザは、操作部19を介して、不揮発メモリ17に格納される画像データの印刷部数の属性値の判定基準を表示部18に表示するように、画像形成装置3に指示する。
【0130】
画像形成装置3は、不揮発メモリ17に格納される画像データの印刷部数の属性値の判定基準を読み出し、当該判定基準を表示部18に表示する。この場合、画像データの印刷部数の属性値の判定基準は上記所定部数であるので、表示部18はこの所定部数を表示する。図6の例では、画像データの印刷部数の属性値の判定基準、すなわち、上記所定部数は「10」である。
【0131】
ユーザは、操作部19を使って、上記所定部数の変更を指示する。
【0132】
操作部19が上記所定部数の変更指示を受け付けると、画像形成装置3のCPU10は、不揮発メモリ17に格納される判定基準である上記所定部数を変更する。
【0133】
同様に、画像データ送信のあて先数の属性値の判定基準を変更する場合、画像形成装置3のユーザは、操作部19を介して、不揮発メモリ17に格納される画像データ送信のあて先数の属性値の判定基準を表示部18に表示するように、画像形成装置3に指示する。
【0134】
画像形成装置3は、不揮発メモリ17に格納される画像データ送信のあて先数の属性値の判定基準を読み出し、当該判定基準を表示部18に表示する。この場合、画像データ送信のあて先数の属性値の判定基準は上記所定数であるので、表示部18はこの所定数を表示する。図6の例では、画像データ送信のあて先数の属性値の判定基準、すなわち、上記所定数は「10」である。
【0135】
ユーザは、操作部19を使って、上記所定数の変更を指示する。
【0136】
操作部19が上記所定数の変更指示を受け付けると、画像形成装置3のCPU10は、不揮発メモリ17に格納される判定基準である上記所定数を変更する。
【0137】
また、その他の判定基準についても、上記と同様に、ユーザは判定基準を変更することができる。
【0138】
以上、本実施形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は実施形態に示したものに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0139】
本実施形態では、画像形成装置3がジョブ履歴データの保存期間を設定し、ジョブ履歴管理サーバ4が、ジョブ履歴データを保存し、上記保存期間を経過したジョブ履歴データを削除したが、本発明はこれに限らない。たとえば、画像形成装置3が、ジョブ履歴データの保存期間の設定、ジョブ履歴データの保存及び削除等をすべて行ってもよい。同様に、ジョブ履歴管理サーバ4が、ジョブ履歴データの保存期間の設定、ジョブ履歴データの保存及び削除等をすべて行ってもよい。この場合、画像形成装置3は、少なくとも、ジョブの設定内容とジョブの属性をジョブ履歴管理サーバ4に送信する。また、画像形成装置3は、ジョブ履歴管理サーバ4に、ジョブ実行時に使用される画像データを併せて送信してもよい。
【0140】
また、本実施形態では、画像形成装置3は、ジョブの種類、ジョブ履歴データのセキュリティ度、ジョブの設定難易度など、すべてのジョブの属性に応じて、ジョブ履歴データの保存期間を設定したが、画像形成装置3等は、これらの属性のうち少なくとも1種類以上の属性に応じて、ジョブ履歴データの保存期間を設定してもよい。
【0141】
また、ジョブの属性項目の属性値の判定基準は、1種類の属性項目に対して2以上あってもよい。この場合、ジョブの設定難易度等のジョブの属性項目の属性値は、3段階以上に分けて判断される。
【0142】
また、画像形成装置3のCPU10等は、ジョブの属性を判定するための各要因を数値化し、これら数値化された各要因から所定の演算式を使って、ジョブ履歴データの保存期間を導出してもよい。
【0143】
また、本実施形態では、ジョブ履歴データは、ジョブの設定内容と、ジョブ実行時に使用される画像データと、画像形成装置3が設定した保存期間を含むが、ジョブ履歴データは、少なくともジョブの設定内容と、上記保存期間を含んでいればよい。
【符号の説明】
【0144】
1…ジョブ履歴管理システム
2…個人用PC
3…画像形成装置(MFP)
4…ジョブ履歴管理サーバ
10…CPU
11…バス
12…ROM
13…RAM
14…画像読取部
15…プリンタ部
16…画像処理部
17…不揮発メモリ
18…表示部
19…操作部
20…ネットワークI/F部
21…ハードディスク装置
30…CPU
31…バス
32…ROM
33…RAM
34…ネットワークI/F部
35…記憶装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実行されたジョブの属性に応じて、そのジョブの設定内容を含むジョブ履歴データの保存期間を設定するジョブ保存期間設定部を有する
ことを特徴とするジョブ履歴管理装置。
【請求項2】
前記ジョブ保存期間設定部は、実行されたジョブの種類に応じて、前記ジョブ履歴データの保存期間を設定する
ことを特徴とする請求項1に記載のジョブ履歴管理装置。
【請求項3】
前記ジョブ保存期間設定部は、前記ジョブ履歴データのセキュリティ度、ジョブの設定難易度、ジョブの実行結果、ジョブ実行時に画像データの印刷を伴う場合には、その印刷における前記画像データの印刷部数およびジョブ実行時に画像データの送信を伴う場合には、画像データ送信のあて先数のうち少なくとも1種類以上の属性項目の属性値に応じて、前記ジョブ履歴データの保存期間を設定する
ことを特徴とする請求項1または2に記載のジョブ履歴管理装置。
【請求項4】
さらに、前記ジョブ保存期間設定部によって設定されたジョブ履歴データの保存期間の変更を受け付けるジョブ保存期間変更受付部を有し、
前記ジョブ保存期間設定部は、前記ジョブ保存期間変更受付部が前記保存期間の変更を受け付けた場合、この保存期間の変更に基づいて、前記保存期間を再度設定する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のジョブ履歴管理装置。
【請求項5】
さらに、ジョブ履歴データを保存するための記憶装置に空き容量が不足しているか否かを判断するジョブ記憶容量判断部と、
前記保存期間が経過したジョブ履歴データの削除を指示するジョブ削除指示部と、
を有し、
前記ジョブ削除指示部は、前記ジョブ記憶容量判断部が前記記憶装置に空き容量が不足していると判断した場合、残りの保存期間が短い順にジョブ履歴データを削除するように前記記憶装置に指示する
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のジョブ履歴管理装置。
【請求項6】
さらに、ジョブ履歴データを保存するための記憶装置に空き容量が不足しているか否かを判断するジョブ記憶容量判断部と、
前記保存期間が経過したジョブ履歴データの削除を指示するジョブ削除指示部と、
を有し、
前記ジョブ削除指示部は、前記ジョブ記憶容量判断部が前記記憶装置に空き容量が不足していると判断した場合、前記ジョブ保存期間設定部が設定した保存期間が短い順にジョブ履歴データを削除するように前記記憶装置に指示する
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のジョブ履歴管理装置。
【請求項7】
さらに、実行されたジョブの属性に応じて決定されるジョブ履歴データの保存期間のデフォルト値を予め記憶したデフォルト値記憶部を有し、
前記ジョブ保存期間設定部は、前記デフォルト値に基づいて前記ジョブ履歴データの保存期間を設定する
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のジョブ履歴管理装置。
【請求項8】
さらに、前記デフォルト値の変更を受け付けるデフォルト値変更受付部と、
前記デフォルト値変更受付部が前記デフォルト値の変更を受け付けた場合、前記デフォルト値記憶部に記憶される前記デフォルト値を変更するデフォルト値変更部と、
を有する
ことを特徴とする請求項7に記載のジョブ履歴管理装置。
【請求項9】
前記デフォルト値記憶部は、前記ジョブ履歴データのセキュリティ度、ジョブの設定難易度、ジョブの実行結果、ジョブ実行時に画像データの印刷を伴う場合には、その印刷における前記画像データの印刷部数およびジョブ実行時に画像データの送信を伴う場合には、画像データ送信のあて先数のうち少なくとも1種類の属性項目の各属性値と、ジョブの種類との組み合わせ毎に、ジョブ履歴データの保存期間のデフォルト値を予め記憶する
ことを特徴とする請求項7または8に記載のジョブ履歴管理装置。
【請求項10】
さらに、前記少なくとも1種類以上の属性項目の属性値を判定するための判定基準を記憶する判定基準記憶部と、
前記判定基準の変更を受け付ける判定基準変更受付部と、
前記判定基準変更受付部が前記判定基準の変更を受け付けた場合、前記判定基準を変更する判定基準変更部と、
を有する
ことを特徴とする請求項3に記載のジョブ履歴管理装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか1項に記載のジョブ履歴管理装置と、
前記ジョブ履歴管理装置によって管理されたジョブ履歴データに基づいて、ジョブを実行するジョブ実行部と、
を有する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
実行されたジョブの属性に応じて、そのジョブの設定内容を含むジョブ履歴データの保存期間を設定する工程を有する
ことを特徴とするジョブ履歴管理方法。
【請求項13】
前記工程では、実行されたジョブの種類に応じて、前記ジョブ履歴データの保存期間が設定される
ことを特徴とする請求項12に記載のジョブ履歴管理方法。
【請求項14】
前記工程では、前記ジョブ履歴データのセキュリティ度、ジョブの設定難易度、ジョブの実行結果、ジョブ実行時に画像データの印刷を伴う場合には、その印刷における前記画像データの印刷部数およびジョブ実行時に画像データの送信を伴う場合には、画像データ送信のあて先数のうち少なくとも1種類以上の属性項目の属性値に応じて、前記ジョブ履歴データの保存期間が設定される
ことを特徴とする請求項12または13に記載のジョブ履歴管理方法。
【請求項15】
ジョブ履歴管理装置を、
実行されたジョブの属性に応じて、そのジョブの設定内容を含むジョブ履歴データの保存期間を設定する
ように動作させる
ことを特徴とするジョブ履歴管理プログラム。
【請求項16】
前記ジョブ履歴管理装置を、
実行されたジョブの種類に応じて、前記ジョブ履歴データの保存期間を設定する
ように動作させる
ことを特徴とする請求項15に記載のジョブ履歴管理プログラム。
【請求項17】
前記ジョブ履歴管理装置を、
前記ジョブ履歴データのセキュリティ度、ジョブの設定難易度、ジョブの実行結果、ジョブ実行時に画像データの印刷を伴う場合には、その印刷における前記画像データの印刷部数およびジョブ実行時に画像データの送信を伴う場合には、画像データ送信のあて先数のうち少なくとも1種類以上の属性項目の属性値に応じて、前記ジョブ履歴データの保存期間を設定する
ように動作させる
ことを特徴とする請求項15または16に記載のジョブ履歴管理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−55605(P2013−55605A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−194092(P2011−194092)
【出願日】平成23年9月6日(2011.9.6)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】