説明

スイッチモジュール

【課題】導光部材の外周又は外周近傍に接着層が設けられているスイッチモジュールにおいて、接着層と照光エリアとの間隔を狭めつつ、接着層近傍にあるキー部が他のキー部と比較して光り過ぎることを抑制可能なスイッチモジュールを提供する。
【解決手段】表面にメタルドームシート4が形成された回路基板6、キー基板8と回路基板6との間に設けられている導光シート3、光を射出するLED2、及び導光シート3の端部から導光シート3内に光を入射させるリフレクター9、を備え、導光シート3内からキー部7を照明可能であるスイッチモジュール1において、導光シート3は、その外周又は外周近傍において接着層10を介してメタルドームシート4上に接着されており、さらに、導光シート3をキー基板8の法線方向から見た場合において、接着層10には所定の位置に切り欠き部10aが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話、ノートPC等の電子機器のキー基板に対向して設けられるスイッチモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話、ノートPC等の電子機器には、キー部を有するキー基板が設けられており、さらにキートップの接触、非接触によって電気的接続のON、OFFを切り替えるスイッチモジュールがキー基板に対向配置されている。図5に、キー部70を有するキー基板80に対向配置されている従来のスイッチモジュール100の概略断面図を示す。
【0003】
図5に示すように、スイッチモジュール100には、電極55を内包するメタルドーム50、回路基板60、導光部材30、及び発光素子としてのLED(Light Emitting Diode)20が設けられている。メタルドーム50は、メタルドームシート40によって回路基板60上に一体に保持されており、導光部材30は、接着層35によって、所定の間隔を空けてメタルドームシート40に取り付けられている。また、導光部材30の下面には、白色インクがドット状に印刷される印刷加工、又はプリズム加工等の光散乱加工部30aが設けられており、導光部材30とLED20との間には、LED20から射出された光を効率的に導光部材30の端部から導光部材30内に導くためのリフレクター(反射部材)25が設けられている。
【0004】
かかる構成によると、キー部70が下方に押圧されてメタルドーム50が変形することによる、メタルドーム50と電極55との電気的な接触、非接触によって、スイッチのON、OFFを切り替えることが可能になると共に、キー基板80の裏面、即ち、キー基板80とメタルドームシート40との間に導光部材30が設けられているので、LED20から射出されて導光部材30内に入射した光を光散乱加工部30aで散乱させることにより、導光部材30内から各々のキー部70を照明することが可能になる。なお、関連する技術が特許文献1〜6に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−246821号公報
【特許文献2】特開2008−152951号公報
【特許文献3】特開2009−140871号公報
【特許文献4】特開2009−187855号公報
【特許文献5】特開2004−139983号公報
【特許文献6】特開2008−226844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の構成には以下の課題がある。
【0007】
図5(b)に、導光部材30内における光の進行方向を模式的に示す。LED20から射出され、リフレクター25によって導光部材30の端部から導光部材30内に入射した光は、例えば図中L1に示す光のように、導光部材30の上面及び下面における反射を繰り返しながら導光部材30内を進んでいく。また、図中L2に示す光のように、導光部材30の上面からキー部70の方向へ抜け出すように、光散乱加工部30aで散乱される光もある(このように散乱された光によってキー部70が照明される)。
【0008】
しかしながら、導光部材30内に入射される光には、図中L3に示す光のように、その光路上に接着層35があると、接着層35からキー基板80の方向へ漏れ出す光が存在する。より詳しくは、導光部材30内から接着層35を透過してメタルドームシート40内に光が入射し、メタルドーム50の表面等における反射によって再び接着層35を透過した光がキー基板80の方向へ漏れ出すことになる。その結果、キー基板80を上面から(キー基板80、導光部材30の法線方向から)見た場合に、L3の光が漏れ出す部分、即ち、接着層35が設けられている部分が他の領域と比較すると極端に光り過ぎるといった現象が見られる。
【0009】
図6(a)に、従来のスイッチモジュール100の上面図を示す。図示するように、接着層35は導光部材30の外周近傍に設けられている。また、図中の矢印は、LED20から射出される光の光路、及び進行方向を示している。しかし、かかる構成では、上述したように接着層35が設けられている部分で光が漏れ出すことになり、特に、キー基板80の上面からスイッチモジュール100を見た場合に、LED20から射出される光の光路と接着層35とが重なる部分、及びLED20から射出される光の光路近傍にある部分では、より多くの光が導光部材30内から漏れ出すことになる。
【0010】
ここで図6(b)に、図6(a)に示すスイッチモジュール100の構成において接着層35からの光の漏れが特に顕著な部分を斜線部で表し、それぞれの領域をA、B、Cとする。領域Aでは、LED20から射出された直後の光が漏れ出すことになり、顕著な光の漏れを確認できる。また、領域Bでは、導光部材30の端部から入射して他端に到達した光が漏れ出すことになり、光が減衰しているので領域Aと比較すると漏れ量は少ないものの、光の漏れを確認できる。また、領域Cでは、導光部材3の角部にあるので光の漏れが多く、特にLED20に近い領域(図中上側の領域C)では、顕著な光の漏れを確認できる。
【0011】
一方、図中点線で示すように、導光部材30には予め照光エリアが設定されている。この照光エリアとは、キー基板80に設けられているそれぞれのキー部70に対応するエリアであって、このエリアから光を意図的にキー部70の方向へ散乱させることで、対応するキー部70を好適に照明することが可能となる。しかし上述したように、LED20から導光部材30内に射出された光は接着層35が設けられている部分で漏れ出し、特に図示した領域A、B、Cではその漏れ量が顕著である。
【0012】
よって、接着層35からの光が漏れ出す領域と照光エリアとが重なる、または両エリアが接近した位置では、照光エリアから透過する光のみならず、接着層35から漏れ出す光によってもキー部70を照明することになり、そのようなキー部70は他のキー部70と比較すると顕著に光り過ぎてしまうといった問題がある。また、この問題を回避するためには、例えば図示した領域A、B、Cから照光エリアを遠ざける方法が考えられるが、その場合は、キー部配置の設計上、デザイン上の制約が生じるといった新たな問題がある。
【0013】
即ち、従来の構成では、導光部材30の外周又は外周近傍に接着層35が設けられているスイッチモジュール100において、接着層35と照光エリアとの間隔を狭めた場合に、接着層35近傍にあるキー部70が光り過ぎることを抑制できない。
【0014】
そこで本発明は、導光部材の外周又は外周近傍に接着層が設けられているスイッチモジュールにおいて、接着層と照光エリアとの間隔を狭めつつ、接着層近傍にあるキー部が他のキー部と比較して光り過ぎることを抑制可能なスイッチモジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために本発明にあっては、
キー部を有するキー基板に対向して設けられるスイッチモジュールであって、
前記キー基板に対向する表面に電極層が形成された回路基板と、
前記キー基板と前記回路基板との間に設けられている導光部材と、
光を射出する光源素子と、
前記光源素子から射出された光を前記導光部材の端部から前記導光部材内に入射させる反射部材と、
を備え、
前記電極層に対して前記キー部が移動することで、スイッチのON、OFFが切り換えられると共に、前記導光部材内に入射した光によって前記導光部材内から前記キー部を照明可能であるスイッチモジュールにおいて、
前記導光部材は、その外周又は外周近傍において接着層を介して前記電極層上に接着されており、さらに、前記導光部材を前記キー基板の法線方向から見た場合において、前記接着層には所定の位置に切り欠き部が形成されていることを特徴とするスイッチモジュール。
【0016】
かかる構成によると、導光部材をキー基板の法線方向から見た場合において、接着層には所定の位置に切り欠き部が形成されているので、切り欠き部が形成されている部分において、接着層からの光の漏れを低減することができる。よって、接着層と照光エリアとの間隔を狭めても、接着層近傍にあるキー部が他のキー部と比較して光り過ぎることを抑制することが可能になる。
【0017】
また、上記目的を達成するために本発明にあっては、
キー部を有するキー基板に対向して設けられるスイッチモジュールであって、
前記キー基板に対向する表面に電極層が形成された回路基板と、
前記キー基板と前記回路基板との間に設けられている導光部材と、
光を射出する光源素子と、
前記光源素子から射出された光を前記導光部材の端部から前記導光部材内に入射させる反射部材と、
を備え、
前記電極層に対して前記キー部が移動することで、スイッチのON、OFFが切り換えられると共に、前記導光部材内に入射した光によって前記導光部材内から前記キー部を照明可能であるスイッチモジュールにおいて、
前記導光部材は、その外周又は外周近傍において接着層を介して前記電極層上に接着されており、さらに、前記導光部材を前記キー基板の法線方向から見た場合において、前記接着層には所定の位置に前記接着層の幅が狭くなる部分が設けられていることを特徴とする。
【0018】
かかる構成によると、導光部材をキー基板の法線方向から見た場合において、接着層には所定の位置に接着層の幅が狭くなる部分が設けられているので、接着層の幅が狭くなる部分において、接着層からの光の漏れを低減することができる。よって、接着層と照光エリアとの間隔を狭めても、接着層近傍にあるキー部が他のキー部と比較して光り過ぎることを抑制することが可能になる。
【0019】
また、上記目的を達成するために本発明にあっては、
キー部を有するキー基板に対向して設けられるスイッチモジュールであって、
前記キー基板に対向する表面に電極層が形成された回路基板と、
前記キー基板と前記回路基板との間に設けられている導光部材と、
光を射出する光源素子と、
前記光源素子から射出された光を前記導光部材の端部から前記導光部材内に入射させる反射部材と、
を備え、
前記電極層に対して前記キー部が移動することで、スイッチのON、OFFが切り換えられると共に、前記導光部材内に入射した光によって前記導光部材内から前記キー部を照明可能であるスイッチモジュールにおいて、
前記導光部材は、その外周又は外周近傍において接着層を介して前記電極層上に接着されており、さらに、前記導光部材を前記キー基板の法線方向から見た場合において、前記接着層には所定の位置に、切り欠き部及び前記接着層の幅が狭くなる部分が設けられていることを特徴とする。
【0020】
かかる構成によると、導光部材をキー基板の法線方向から見た場合において、接着層の所定の位置に、切り欠き部、及び接着層の幅が狭くなる部分が設けられているので、これらの部分における接着層からの光の漏れを低減することができる。よって、接着層と照光エリアとの間隔を狭めても、接着層近傍にあるキー部が他のキー部と比較して光り過ぎることを抑制することが可能になる。
【0021】
また、前記所定の位置とは、
前記導光部材を前記キー基板の法線方向から見た場合において、
前記導光部材内を進む光の光路と前記接着層とが重なる位置、又は前記導光部材内を進む光の光路近傍の位置のうちの少なくとも一方であると好適である。
【0022】
かかる構成によると、導光部材をキー基板の法線方向から見た場合において、導光部材内を進む光の光路と接着層とが重なる位置、又は導光部材内を進む光の光路近傍の位置のうちの少なくとも一方において、切り欠き部、接着層の幅が狭くなる部分が設けられているので、これらの部分における接着層からの光の漏れをより効果的に低減することが可能になる。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、本発明によれば、導光部材の外周又は外周近傍に接着層が設けられているスイッチモジュールにおいて、接着層と照光エリアとの間隔を狭めつつ、接着層近傍にあるキー部が他のキー部と比較して光り過ぎることを抑制可能なスイッチモジュールを提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態に係るスイッチモジュールの概略断面図。
【図2】本発明の実施形態に係るスイッチモジュールの上面図。
【図3】本発明の実施形態に係るスイッチモジュールの上面図。
【図4】本発明の実施形態に係るスイッチモジュールの上面図。
【図5】従来のスイッチモジュールの概略断面図。
【図6】従来のスイッチモジュールの上面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0026】
[実施形態]
<1:スイッチモジュールの全体構成について>
図1(a)を参照して、本発明を適用可能な実施形態に係るスイッチモジュール1の全体構成について説明する。図1(a)は、本実施形態に係るスイッチモジュール1の概略断面図である。
【0027】
本実施形態に係るスイッチモジュール1は、キー部7を有するキー基板8に対向配置されており、例えば、携帯電話、ノートPC等の電子機器における10キー基板、QWERTYキー基板に用いることが可能である。また、タッチパネル等にも用いることが可能である。
【0028】
図1(a)に示すように、スイッチモジュール1は、発光素子としてのLED2、電極11を有する回路基板6(FPC基板(Flexible Printed Circuit)を適用可能)、それぞれの電極11を覆うメタルドーム5を有するメタルドームシート4(電極層)、及びメタルドームシート4上に接着層10によって取り付けられる導光シート3(導光部材)を備えている。接着層10は、シート状の接着材を貼り合わせて形成してもよいし、ディスペンサー又はスクリーン印刷等で形成してもよい。また、LED2と導光シート3との間には、LED2から射出された光をLED2の端部から効率的に導光シート3内に入射させるリフレクター9(反射部材)が設けられており、導光シート3端部の上面を覆う位置までリフレクター9の端部が延びている。
【0029】
かかる構成によると、キートップ7aが図中下方に移動してメタルドームシート4を押圧し、これによってメタルドーム5が変形してメタルドーム5と電極11とが接触することにより、メタルドーム5と電極11とが電気的に接続された状態となり、即ち、スイッチがOFFからONの状態に切り換えられる。なお、一般的にスイッチモジュールには、操作性の観点から、キー部を押したときにユーザに十分なクリック感が伝わることが望ましいとされているが、本実施形態によれば、一定の強度を有するメタルドーム5の変形によってスイッチのON、OFFが切り換わるようにしているので、ユーザに対して十分なクリック感を伝えることができる。
【0030】
なお、それぞれのメタルドーム5はメタルドームシート4に対して一体に接着されており、製造過程では、メタルドーム5が実装済みのメタルドームシート4を回路基板6に取り付けることで、複数の電極11に対してメタルドーム5を精度良く、かつ簡易な工程で取り付けることが可能になる。本実施形態では、メタルドームシート4として、厚さ50μmの透明粘着シートを用いている。
【0031】
<2:導光シートについて>
本実施形態に用いられている導光シート3について説明する。本実施形態では、厚さ125μm、ショア硬度97の光透過性を有するウレタンゴムシート(熱硬化性)を用いているが、導光シート3として適用可能な材料はこれに限られるものではなく、ポリカーボネートフィルム、シリコンゴムシート等の透明シートを用いてもよい。また、導光シート3の厚さは特に限定されるものではないが、厚さ100μm以上300μm以下であるとより好適であるといえる。なお、ここでいう「透明シート」とは、必ずしも無色透明を意味するものではなく、LED2から射出された光が透過可能なものであれば、導光シート3は「無色透明」に限られるものではない。
【0032】
本実施形態では、このように厚さの薄い導光シート3を用いているので、スイッチモジュール1の小型化を達成できる他、さらに、上述したクリック感の感度を向上させることが可能になる。なお、以下では、導光シート3の表面において、キー基板8と対向する側の面(図中上面)を「第1の面3b」、回路基板6と対向する側の面(図中下面)を「第2の面3c」として説明する。
【0033】
導光シート3には、第2の面3cに、導光シート3に入射した光を散乱させ、散乱した光によって導光シート3内からキー部7を照明可能な光散乱加工が施されている。ここでは光散乱加工として、白色インク(光散乱性を有するインク)によるドット印刷(印刷加工)をインクジェットプリンタによって施し、これにより、第2の面3cに白色ドット3aを印刷している。より具体的には、白色UV硬化インクA(主剤:光重合組成物70〜90質量%、顔料:二酸化チタン10〜20質量%、その他:重合開始剤5質量%以下)を、インクジェットヘッドとしてピエゾ式(360dpi、液滴量:14pl)を採用し、UV硬化装置としてSubzero(Integration社製)を用いて印刷加工を行った。なお、本実施形態では白色インクを採用しているが、光散乱性を有していれば白色以外のインクを用いてもよい。
【0034】
白色ドット3aは、キー部7に対応する位置にそれぞれ印刷されており、これにより、LED2から導光シート3内に入射した光を白色ドット3aで散乱させ、散乱された光によって、導光シート3内からキー部7を照明することが可能になる。なお、白色ドット3aのドット密度、形状等は特に限定されるものではないが、例えば、LED2から離れた領域(光が減衰して伝わる領域)で白色ドット3aのドット数を多くすることにより、LED2から離れた領域に配置されるキー部7であっても十分な光量で照明することが可能になる。
【0035】
また、光散乱加工の形態はこれに限られるものではなく、金型加工、レーザ加工等による3次元形状加工を所定の位置に施し、導光シート3に凹凸形状、プリズム形状を形成する形態であってもよい。この場合も、白色ドット3aと同様に、3次元形状加工が施された部分によって光を散乱させることで、キー部7を好適に照明することが可能になる。なお、印刷加工(白色ドット3a)は第2の面3cに施されるものであるが、3次元形状加工は、導光シート3の第1の面3bに施されてもよい。この場合も、第1の面3bに施された3次元形状加工において光が散乱することで、光を第1の面3bからキー部7の方向に透過させ、キー部7を好適に照明することが可能になる。
【0036】
<3:リフレクターについて>
本実施形態では、LED2から射出された光を導光シート3の端部から導光シート3内に効率的に入射させるためのリフレクター9が設けられている。本実施形態のように厚さの薄い導光シート3を用いる場合は、LED2の光射出領域幅よりも導光シート3の厚さの方が薄くなっていることが多く、このような場合は、LED2から射出された光を効率的に導光シート3内に入射させるためにも、LED2と導光シート3との間にリフレクター9を設けることが有効である。本実施形態では、より効率的に光を入射させるべく、導光シート3の端部において、リフレクター9が第1の面3bを覆うように設けられているが、リフレクター9の形状は特に限定されるものではない。また、図示するように、リフレクター9と第1の面3bとの間に所定の間隔を設けてもよいし、間隔を設けずにリフレクター9と第1の面3bとを密着させてもよい。
【0037】
<4:光の進み方>
図1(b)に、導光シート3内における光の進行パターンを模式的に示す。LED2から射出された光は、リフレクター9によって導光シート3の端部から導光シート3内に入射される(リフレクター9を介さずに直接導光シート3内に入射する光もある)。本実施形態では、導光シート3の第1の面3b、第2の面3cが、共に空気層と接しており、屈折率の違い(空気層の屈折率を1.0とすると、導光シート3の屈折率は約1.45である)から、導光シート3内を進む光は、第1の面3b、及び第2の面3cにおける反射を繰り返しながら、導光シート3の他方の端部に向かって進むことになる(図中L1)。また、その光路上に白色ドット3aがある場合は、白色ドット3aにおいて光が散乱し、導光シート3内からキー部7の方向に光が抜け出すことになる(図中L2)。
【0038】
<5:光の漏れを低減する構成について>
図1(b)を参照して、従来の課題として挙げられている「接着層が設けられている部分からの光の漏れ」を低減する構成について説明する。
【0039】
上述したように、従来の構成では、LEDから射出された光が接着層で散乱・屈折する。導光シート内を通過した光は、メタルドームの表面等で反射されて再び接着層で散乱・屈折することによって、キー部の「光り過ぎ」の課題が生じていた。そこで本実施形態ではこの課題を解決すべく、図1(b)に示すように、接着層10の所定の位置に切り欠き部10aを設けることで接着層10からの光の漏れを低減し、キー部7の「光り過ぎ」を抑制している点を特徴とする。なお、切り欠き部10aを設けることで、導光シート3とメタルドームシート4との接着力の低下が懸念されるが、切り欠き部10aを設けたとしても、導光シート3とメタルドームシート4との接着力は十分に許容レベルが維持されているものとする。
【0040】
<6:切り欠き部が設けられる位置について>
本実施形態では、導光シート3の外周近傍に接着層10が設けられている(導光シート3の外周に接着層10を設けてもよい)。上述した切り欠き部10aを設ける位置は特に限定されるものではなく、どのような位置であっても、切り欠き部10a近傍にあるキー部7の「光り過ぎ」を抑制することは可能である。
【0041】
しかしながら、「光り過ぎ」が顕著なキー部7近傍(図6(b)の場合では、領域A、領域B、領域C近傍)に切り欠き部10aを設けると、より効果的である。例えば、導光シート3をキー基板8の上面から見た場合(キー基板8、導光シート3の法線方向から見た場合)において、導光シート3内を進む光の光路と接着層10とが重なる位置、又は導光シート3内を進む光の光路近傍の位置のうちの少なくとも一方に切り欠き部10aが設けられていると、より効果的にキー部7の「光り過ぎ」を抑制でき、キー基板8に設けられている複数のキー部7をほぼ均一に照明することが可能になる。以下、特に効果的にキー部7の「光り過ぎ」を抑制できる形態を(実施例1)〜(実施例6)で説明する。
【0042】
(実施例1)
図2(a)を参照して、実施例1に係るスイッチモジュールについて説明する。実施例1では、図中斜線で示す照光エリアのサイドに切り欠き部10aを設けている。図6(b)の領域Cで示すように、接着層の角部では特に光の漏れ量が多くなり、この領域に位置するキー部は、他のキー部と比較して極端に光り過ぎるといった問題がある。これに対して、図2(a)に示す位置に切り欠き部10aを設けることで、少なくとも図中斜線で示す照光エリア(及びその周囲に位置する照光エリア)に対応するキー部7の「光り過ぎ」を効果的に抑制することができる。
【0043】
(実施例2)
図2(b)を参照して、実施例2に係るスイッチモジュールについて説明する。実施例2では、図中斜線で示す照光エリアのサイドに加え、前側(LED2側)にも切り欠き部10aを設けている。この構成によっても、(実施例1)と同様に、少なくとも図中斜線で示す照光エリア(及びその周囲に位置する照光エリア)に対応するキー部7の「光り過ぎ」を効果的に抑制することができる。なお、(実施例1)と(実施例2)とでは、キー部7の光り過ぎ抑制効果にほとんど違いは見られなかった。即ち、本実施形態におけるキー部7、LED2等の配列では、キー部7の光り過ぎ抑制効果は、サイドに切り欠き部10aを設ける方がより効果的であるといえ(光の光路とサイドにある接着層10とがほぼ重なっているので、サイドにおける光の漏れがキー部の「光り過ぎ」に大きく影響する)、キー部7の「光り過ぎ」を抑制しつつ、導光シート3の粘着力を維持するといった観点
では(実施例1)方が好ましいといえる。
【0044】
(実施例3)
図3(a)を参照して、実施例3に係るスイッチモジュールについて説明する。実施例3では、図中斜線で示す照光エリアのサイドに切り欠き部10aを設けている。図6(b)の領域Cで示すように、接着層の角部では特に光の漏れ量が多くなり、この領域に位置するキー部は、他のキー部と比較して極端に光り過ぎるといった問題がある。これに対して、図3(a)に示す位置に切り欠き部10aを設けることで、少なくとも図中斜線で示す照光エリア(及びその周囲に位置する照光エリア)に対応するキー部7の「光り過ぎ」を効果的に抑制することができる。
【0045】
(実施例4)
図3(b)を参照して、実施例4に係るスイッチモジュールについて説明する。実施例4では、図中斜線で示す照光エリアのサイドに切り欠き部10aを設けている。図6(b)では特に示していないが、接着層のサイド近傍にあるキー部は、LEDから射出される光の光路近傍に位置するため、キー部の「光り過ぎ」が見られる場合がある。これに対して、図3(b)に示す位置に切り欠き部10aを設けることで、少なくとも図中斜線で示す照光エリア(及びその周囲に位置する照光エリア)に対応するキー部7の「光り過ぎ」を効果的に抑制することができる。
【0046】
(実施例5)
図4(a)を参照して、実施例5に係るスイッチモジュールについて説明する。実施例5では、図中斜線で示す照光エリアの前側(LED2側)に切り欠き部10aを設けている。図6(b)の領域Aで示すように、接着層において、LEDから射出される光の光路上にある領域では、キー部の「光り過ぎ」が見られる。これに対して、図4(a)に示す位置に切り欠き部10aを設けることで、少なくとも図中斜線で示す照光エリア(及びその周囲に位置する照光エリア)に対応するキー部7の「光り過ぎ」を効果的に抑制することができる。
【0047】
(実施例6)
図4(b)を参照して、実施例6に係るスイッチモジュールについて説明する。実施例6では、図中斜線で示す照光エリアの後側(LED2とは反対側)に切り欠き部10aを設けている。図6(b)の領域Bで示すように、接着層において、LEDから射出される光の光路上にある領域では、キー部の「光り過ぎ」が見られる。これに対して、図4(b)に示す位置に切り欠き部10aを設けることで、少なくとも図中斜線で示す照光エリア(及びその周囲に位置する照光エリア)に対応するキー部7の「光り過ぎ」を効果的に抑制することができる。
【0048】
(その他の実施例)
切り欠き部10aを設ける位置は、上記(実施例1)〜(実施例6)に限定されるものではない。照光エリア、LED等の配置に応じて、切り欠き部10aを設ける位置を適宜変更するとよい。また、(実施例1)〜(実施例6)で説明した構成を組み合わせることも可能である。なお、(実施例1)〜(実施例6)では、各々の照光エリアの間にLED2から射出された光の光路があるが、各々の照光エリアとLED2との配置関係はこれに限られるものではなく、どのような配置関係にあったとしても、接着層10に切り欠き部10aを設けることで、上述と同様の効果を得ることは可能である。
【0049】
また、切り欠き部10aの長さは、適宜変更することが可能である。例えば、(実施例5)と(実施例6)とを組み合わせた構成の場合は、上側(LED2に近い側)に設けられている切り欠き部10aの長さよりも、下側(LED2から遠い側)に設けられている
切り欠き部10bの長さの方を短くするとよい。即ち、LED2から近い場所に位置するキー部7では「光り過ぎ」が顕著に現れるが、それと比較すると、LED2から遠い場所に位置するキー部7では、光が減衰するので、前者のキー部7よりも「光り過ぎ」のレベルは低い。よって、切り欠き部10aの長さを調整することで、接着層10からの光の漏れ量、及びキー部7の光り具合を調整するとよい。
【0050】
<7:切り欠き部以外の構成について>
本実施形態では、接着層10に切り欠き部10aを設けることで、キー部7の「光り過ぎ」を抑制する構成について説明したが、キー部7の「光り過ぎ」を抑制する構成はこれに限られるものではない。例えば、切り欠き部10aを設けず、接着層10の幅(キー基板8、導光シート3の上面から見たときの幅)を狭くする構成であってもよい。なお、接着層10の幅を狭くする位置は、(実施例1)〜(実施例6)、(その他の実施例)で説明した「切り欠き部10aを設ける位置」と同じであればよい。
【0051】
かかる構成によれば、接着層10の幅が狭くなっている部分では、他の部分と比較して接着層10から漏れ出る光の量を低減することができるので、キー部7の「光り過ぎ」を効果的に抑制することができる。また、切り欠き部10aを設ける構成と比較すると、導光シート3とメタルドームシート4との接着力を維持しやすくなるといった効果もある。なお、接着層10に対して、切り欠き部10a、及び幅が狭くなる部分の両方を設ける構成であってもよい。
【0052】
また、接着層10をドット状に印刷する場合に、ドット密度の高低を制御して、接着層10における光の漏れを調整する構成であってもよい。この場合であっても上述と同様の効果を得ることができる。
【0053】
<8:本実施形態の効果について>
本実施形態に係るスイッチモジュール1によれば、従来の構成では得ることができなかった以下の効果を得ることが可能になる。
【0054】
(キー部配置の設計上、デザイン上の制約について)
本実施形態に係るスイッチモジュール1によれば、上述の構成によって接着層10からの光の漏れ量を低減できるので、接着層10と照光エリアとの間隔を狭めても、接着層10近傍にあるキー部7の「光り過ぎ」を抑制できる。よって、従来の構成では、接着層近傍にあるキー部に「光り過ぎ」の課題が生じてしまっていたが、本実施形態によると、キー部7の照光エリアと接着層10との間隔を狭めてもキー部7の「光り過ぎ」を抑制できるので、キー基板8に設けられている複数のキー部7をほぼ均一に照明しつつ、キー部7配置の設計上、デザイン上の自由度を上げることができる(導光シート3のエッジ近傍に対応する位置までキー部7を配置できる)。
【0055】
以上より、本実施形態によれば、導光部材の外周又は外周近傍に接着層が設けられているスイッチモジュールにおいて、接着層と照光エリアとの間隔を狭めつつ、接着層近傍にあるキー部が他のキー部と比較して光り過ぎることを抑制可能なスイッチモジュールを提供することが可能になる。
【符号の説明】
【0056】
1…スイッチモジュール 2…LED 3…導光シート 3a…白色ドット 3b…第1の面 3c…第2の面 4…メタルドームシート 5…メタルドーム 6…回路基板 7…キー部 8…キー基板 9…リフレクター 10…接着層 10a…切り欠き部 11…電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キー部を有するキー基板に対向して設けられるスイッチモジュールであって、
前記キー基板に対向する表面に電極層が形成された回路基板と、
前記キー基板と前記回路基板との間に設けられている導光部材と、
光を射出する光源素子と、
前記光源素子から射出された光を前記導光部材の端部から前記導光部材内に入射させる反射部材と、
を備え、
前記電極層に対して前記キー部が移動することで、スイッチのON、OFFが切り換えられると共に、前記導光部材内に入射した光によって前記導光部材内から前記キー部を照明可能であるスイッチモジュールにおいて、
前記導光部材は、その外周又は外周近傍において接着層を介して前記電極層上に接着されており、さらに、前記導光部材を前記キー基板の法線方向から見た場合において、前記接着層には所定の位置に切り欠き部が形成されていることを特徴とするスイッチモジュール。
【請求項2】
キー部を有するキー基板に対向して設けられるスイッチモジュールであって、
前記キー基板に対向する表面に電極層が形成された回路基板と、
前記キー基板と前記回路基板との間に設けられている導光部材と、
光を射出する光源素子と、
前記光源素子から射出された光を前記導光部材の端部から前記導光部材内に入射させる反射部材と、
を備え、
前記電極層に対して前記キー部が移動することで、スイッチのON、OFFが切り換えられると共に、前記導光部材内に入射した光によって前記導光部材内から前記キー部を照明可能であるスイッチモジュールにおいて、
前記導光部材は、その外周又は外周近傍において接着層を介して前記電極層上に接着されており、さらに、前記導光部材を前記キー基板の法線方向から見た場合において、前記接着層には所定の位置に前記接着層の幅が狭くなる部分が設けられていることを特徴とするスイッチモジュール。
【請求項3】
キー部を有するキー基板に対向して設けられるスイッチモジュールであって、
前記キー基板に対向する表面に電極層が形成された回路基板と、
前記キー基板と前記回路基板との間に設けられている導光部材と、
光を射出する光源素子と、
前記光源素子から射出された光を前記導光部材の端部から前記導光部材内に入射させる反射部材と、
を備え、
前記電極層に対して前記キー部が移動することで、スイッチのON、OFFが切り換えられると共に、前記導光部材内に入射した光によって前記導光部材内から前記キー部を照明可能であるスイッチモジュールにおいて、
前記導光部材は、その外周又は外周近傍において接着層を介して前記電極層上に接着されており、さらに、前記導光部材を前記キー基板の法線方向から見た場合において、前記接着層には所定の位置に、切り欠き部及び前記接着層の幅が狭くなる部分が設けられていることを特徴とするスイッチモジュール。
【請求項4】
前記所定の位置とは、
前記導光部材を前記キー基板の法線方向から見た場合において、
前記導光部材内を進む光の光路と前記接着層とが重なる位置、又は前記導光部材内を進
む光の光路近傍の位置のうちの少なくとも一方であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のスイッチモジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−171064(P2011−171064A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−32623(P2010−32623)
【出願日】平成22年2月17日(2010.2.17)
【出願人】(000230249)日本メクトロン株式会社 (216)
【Fターム(参考)】