説明

スイッチングレギュレータの制御回路、スイッチングレギュレータおよび電子機器、スイッチング電源装置、テレビ

【課題】搭載されるセットごとに効率とEMIのバランスを最適化可能なスイッチングレギュレータを提供する。
【解決手段】ハイサイド可変電流源22およびハイサイドトランジスタM2は、制御回路100の電源端子PVDDとスイッチングトランジスタM1のゲートとの間に直列に設けられる。ローサイド可変電流源24およびローサイドトランジスタM3は、スイッチングトランジスタM1のゲートと接地端子の間に直列に設けられる。スルーレート制御部30は、設定端子ADJの状態に応じて、ハイサイド可変電流源22およびローサイド可変電流源24の少なくとも一方の電流値を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチングレギュレータの制御回路に関する。また、本発明は、スイッチング電源装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
<第1の背景技術>
スイッチングレギュレータ、モータドライバ、その他さまざまな電子回路において、パワートランジスタが利用される。図1は、パワートランジスタを有する昇圧型スイッチングレギュレータの構成例を示す回路図である。
【0003】
スイッチングレギュレータ2rは、制御回路100rと、インダクタL1、整流用のダイオードD1、出力キャパシタC1を含む。
【0004】
制御回路100rは、パワートランジスタであるスイッチングトランジスタM1と、パルス信号生成部10、ドライバ回路20rを備える。スイッチングレギュレータ2rの出力電圧VOUTは、抵抗R1、R2によって分圧される。パルス信号生成部10は、スイッチングレギュレータ2rの出力電圧VOUTに応じたフィードバック電圧VFBを受け、当該フィードバック電圧VFBが目標レベルに近づくようにデューティ比が調節されるパルス信号SPWMを生成する。ドライバ回路20rは、パルス信号SPWMにもとづきスイッチングトランジスタM1をスイッチングする。
【0005】
スイッチングトランジスタM1のオン、オフを切りかえるためには、その制御端子(ゲート)の電圧(ゲート信号VG)のレベルをハイレベル(電源電圧)とローレベル(接地電圧)の2値で切りかえる必要がある。
【0006】
<第2の背景技術>
従来より、重負荷領域ではPWM[pulse width modulation]方式のスイッチング制御を行い、軽負荷領域ではPFM[pulse frequency modulation]方式のスイッチング制御を行うスイッチング電源装置が開示・提案されている。
【0007】
なお、上記に関連する従来技術の一例としては、特許文献1を挙げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−92712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
<第1の課題>
ドライバ回路20rは、ハイサイドトランジスタM2とローサイドトランジスタM3を有するインバータ形式で構成される。この構成では、ゲート信号VGがローレベルからハイレベルに立ち上がるときの遷移時間(ライズタイムTR)は、ハイサイドトランジスタM2の電流能力、すなわちサイズに依存し、ゲート信号VGがハイレベルからローレベルに立ち下がるときの遷移時間(フォールタイムTF)は、ローサイドトランジスタM3の電流能力に依存して決まる。
【0010】
スイッチングレギュレータ2rの効率は、遷移時間TR、TFが短いほど高くなる。一方、遷移時間TR、TFが短くなると、高周波の電磁波ノイズ(EMI:Electro-Magnetic Interference)が問題となる。すなわち、効率と電磁波ノイズはトレードオフの関係にある。
【0011】
一般的に電磁波ノイズは、スイッチングレギュレータ2rをセットに実装した状態でなければ測定できない。そして測定した結果、EMIの規定を満たさない場合、EMI対策として、セットの設計者は、制御回路100r、インダクタL1や周辺のプリント基板を修正するなど、多大な労力を払う必要がある。
【0012】
図1の制御回路100rでは、ゲート信号VGの遷移時間TR、TFは、トランジスタM2、M3の能力によって決まってしまう。EMI対策には多大な労力が要求される一方、制御回路100rには、いかなるセットに搭載されても問題なく動作する汎用性が求められる。したがって従来の制御回路100rは、電磁波ノイズが発生しないように、遷移時間TR、TFを長くして設計されるため、効率を犠牲にする必要があった。
【0013】
本発明は、係る課題に鑑みてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、搭載されるセットごとに効率とEMIのバランスを最適化可能なスイッチングレギュレータの提供にある。
【0014】
<第2の課題>
上記第2の背景技術によれば、重負荷領域から軽負荷領域に至る幅広い負荷領域でスイッチング電源装置の効率を高めることができる(図11を参照)。
【0015】
しかしながら、PFM方式のスイッチング制御では、スイッチング周波数が変動するので、スイッチング周波数が音声信号や無線信号の周波数帯域と重なった場合には、音声出力や無線通信に支障を生じるなど、スイッチング電源装置を搭載したアプリケーションの性能を損なうおそれがあった。
【0016】
また、スイッチング電源装置を用いて入力電圧から所望の出力電圧を生成する過程で得られる矩形波状のスイッチ電圧を後段回路(例えばチャージポンプ回路)で利用しているアプリケーションでは、スイッチング周波数の変化に伴って後段回路の動作が不安定となるおそれがあり、効率向上のために軽負荷領域でPFM方式のスイッチング制御を行う従来技術は採用しにくかった。
【0017】
本発明は、本願の発明者らにより見出された上記の問題点に鑑み、スイッチング周波数の変動を招くことなく、重負荷領域から軽負荷領域に至る幅広い負荷領域で高い効率を実現することのできるスイッチング電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明のある態様は、スイッチングレギュレータの制御回路に関する。制御回路は、スイッチングトランジスタと、スイッチングレギュレータの出力電圧に応じたフィードバック電圧が所定の基準電圧と一致するようにデューティ比が調節されるパルス信号を生成するパルス信号生成部と、パルス信号に応じてスイッチングトランジスタを駆動するドライバ回路と、スイッチングトランジスタのゲート信号の遷移時間を設定するための設定端子と、を備える。ドライバ回路は、制御回路の電源端子とスイッチングトランジスタのゲートとの間に設けられたハイサイドトランジスタと、スイッチングトランジスタのゲートと接地端子の間に設けられたローサイドトランジスタと、電源端子とゲートの間にハイサイドトランジスタと直列に設けられたハイサイド可変電流源、および、ゲートと接地端子の間にローサイドトランジスタと直列に設けられたローサイド可変電流源の少なくとも一方と、設定端子に対する指示に応じて、ハイサイド可変電流源およびローサイド可変電流源の少なくとも一方の電流値を制御するスルーレート制御部と、を含む。制御回路は、ひとつの半導体基板に集積化される。
【0019】
ハイサイドトランジスタまたはローサイドトランジスタに流れる電流は、ハイサイド可変電流源またはローサイド可変電流源が生成する電流によって規定される。そして、ゲート信号のライズタイム、フォールタイムはそれぞれ、ハイサイドトランジスタ、ローサイドトランジスタに流れる電流によって変化する。この態様の制御回路によれば、スイッチングレギュレータをセットに搭載した状態で、ゲート信号の遷移時間を変更できるため、セットごとに、EMIの仕様を満たす範囲で最大の効率を実現できる。
【0020】
スルーレート制御部は、設定端子に接続される回路部品に応じた基準電流を生成する基準電流源を含んでもよい。ハイサイド可変電流源およびローサイド可変電流源の少なくとも一方は、基準電流に比例した電流を生成可能に構成されてもよい。
【0021】
スルーレート制御部は、基準電流に応じた電流の経路上に設けられた入力トランジスタを含んでもよい。ハイサイド可変電流源およびローサイド可変電流源の少なくとも一方は、入力トランジスタとカレントミラー回路を形成するように接続された出力トランジスタを含んでもよい。
【0022】
設定端子には、調節用抵抗が外付け可能であってもよい。基準電流源は、そのエミッタが設定端子に接続されたNPN型の第1バイポーラトランジスタと、そのエミッタが第1バイポーラトランジスタのベースに接続され、そのベースに所定の基準電圧が入力されたPNP型の第2バイポーラトランジスタと、を含み、第1バイポーラトランジスタに流れる電流を、基準電流として出力してもよい。
【0023】
設定端子には、スイッチングトランジスタのゲート信号の遷移時間を指示する制御信号が入力可能であり、基準電流源は、制御信号に応じた基準電流を生成してもよい。
【0024】
本発明の別の態様は、スイッチングレギュレータである。このスイッチングレギュレータは、上述の制御回路を備える。
【0025】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや本発明の構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【0026】
また、本発明のある態様に係るスイッチング電源装置は、互いに並列に接続された複数の出力トランジスタと、入力電圧から所望の出力電圧を生成して負荷に供給するように所定の周波数で前記複数の出力トランジスタのオン/オフ制御信号を生成する制御部と、を有し、前記制御部は、前記負荷の重さに基づいて駆動対象の出力トランジスタを決定する構成(第1の構成)とされている。
【0027】
なお、上記第1の構成から成るスイッチング電源装置において、前記制御部は、前記負荷が重いほどトランジスタのサイズを大きくし、前記負荷が軽いほどトランジスタのサイズを小さくするように前記駆動対象の出力トランジスタを決定する構成(第2の構成)にするとよい。
【0028】
なお、上記第1または第2の構成から成るスイッチング電源装置において、前記複数の出力トランジスタは互いに異なるサイズに設計された構成(第3の構成)にするとよい。
【0029】
また、上記第1〜第3いずれかの構成から成るスイッチング電源装置において、前記制御部は、前記駆動対象の出力トランジスタをオン/オフ制御することにより発生する矩形波状のスイッチ電圧を監視し、前記駆動対象の出力トランジスタがオンされているときに検出された前記スイッチ電圧と所定の閾値電圧との比較結果に基づいて、前記駆動対象の出力トランジスタを決定する構成(第4の構成)にするとよい。
【0030】
また、上記第4の構成から成るスイッチング電源装置において、前記制御部は、前記スイッチ電圧と第1閾値電圧とを比較して第1比較信号を生成する第1比較器と、前記スイッチ電圧と前記第1閾値電圧よりも低い第2閾値電圧とを比較して第2比較信号を生成する第2比較器と、前記駆動対象の出力トランジスタがオンされているときに前記第1比較信号をラッチする第1ラッチと、前記駆動対象の出力トランジスタがオンされているときに前記第2比較信号をラッチする第2ラッチと、前記第1ラッチでラッチされた前記第1比較信号と前記第2ラッチでラッチされた前記第2比較信号に基づいて前記駆動対象の出力トランジスタを決定する判定部と、を含む構成(第5の構成)にするとよい。
【0031】
また、上記第5の構成から成るスイッチング電源装置にて、前記判定部は、前記スイッチ電圧が前記第1閾値電圧よりも高いときにはトランジスタのサイズを現状よりも1段階大きくするように、前記スイッチ電圧が前記第1閾値電圧よりも低く前記第2閾値電圧よりも高いときにはトランジスタのサイズを現状に維持するように、前記スイッチ電圧が前記第2閾値電圧よりも低いときにはトランジスタのサイズを現状よりも1段階小さくするように、前記駆動対象の出力トランジスタを決定する構成(第6の構成)にするとよい。
【0032】
また、上記第6の構成から成るスイッチング電源装置において、前記制御部は、前記出力電圧に応じた帰還電圧と所定の基準電圧との差分を増幅して誤差信号を生成する誤差増幅器と、前記所定の周波数でクロック信号とスロープ信号を生成する発振器と、前記誤差信号と前記スロープ信号を比較して比較信号を生成する比較器と、前記比較信号と前記クロック信号の入力を受けて前記オン/オフ制御信号を生成するSRフリップフロップと、前記判定部の出力を受けて前記駆動対象の出力トランジスタにのみ前記オン/オフ制御信号を供給する信号ゲート部と、をさらに含む構成(第7の構成)にするとよい。
【0033】
また、上記第1〜第7いずれかの構成から成るスイッチング電源装置は、前記駆動対象の出力トランジスタをオン/オフ制御することにより発生する矩形波状のスイッチ電圧を用いて前記出力電圧を昇圧するチャージポンプ回路をさらに有する構成(第8の構成)にするとよい。
【0034】
また、上記第1〜第8いずれかの構成から成るスイッチング電源装置は、前記オン/オフ制御信号の電流能力を高めて前記複数の出力トランジスタに供給する複数のドライバをさらに有する構成(第9の構成)にするとよい。
【0035】
また、上記第9の構成から成るスイッチング電源装置において、前記複数のドライバはそれぞれ、対応する出力トランジスタの制御端に対して並列に接続されて個別に動作可否が制御される複数の単位ドライバを含む構成(第10の構成)にするとよい。
【0036】
また、上記第10の構成から成るスイッチング電源装置において、前記複数の単位ドライバは、それぞれ、同一サイズのトランジスタによって形成された構成(第11の構成)にするとよい。
【0037】
また、上記第10または第11の構成から成るスイッチング電源装置は、スルーレート調整信号に応じて前記複数の単位ドライバ毎のイネーブル信号を生成するイネーブルロジック部をさらに有する構成(第12の構成)にするとよい。
【0038】
また、上記第9の構成から成るスイッチング電源装置において、前記複数の出力トランジスタは、半導体装置に外付けされたメイントランジスタと、前記半導体装置に内蔵されたサブトランジスタと、を含み、前記メイントランジスタは前記サブトランジスタよりもオン抵抗値が小さく、前記サブトランジスタは前記メイントランジスタよりもゲート容量値が小さい構成(第13の構成)にするとよい。
【0039】
また、上記第13の構成から成るスイッチング電源装置において、前記制御部は、重負荷領域では前記メイントランジスタを駆動対象とし、軽負荷領域では前記サブトランジスタを駆動対象とする構成(第14の構成)にするとよい。
【0040】
また、本発明のある態様に係るテレビは、受信信号から所望チャンネルの放送信号を選局するチューナ部と、前記チューナで選局された放送信号から映像信号と音声信号を生成するデコーダ部と、前記映像信号を映像として出力する表示部と、前記音声信号を音声として出力するスピーカ部と、ユーザ操作を受け付ける操作部と、外部入力信号を受け付けるインタフェイス部と、上記各部の動作を統括的に制御する制御部と、上記各部に電力供給を行う電源部と、を有し、前記電源部は、上記のスイッチングレギュレータ、または、上記第1〜第14いずれかの構成から成るスイッチング電源装置を含む構成(第15の構成)にするとよい。
【発明の効果】
【0041】
本発明のある態様によれば、セット毎に効率とEMIのバランスを最適化可能となる。
【0042】
また、本発明のある態様によれば、スイッチング周波数の変動を招くことなく、重負荷領域から軽負荷領域に至る幅広い負荷領域で高い効率を実現することのできるスイッチング電源装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】パワートランジスタを有する昇圧型スイッチングレギュレータの構成例を示す回路図である。
【図2】実施の形態に係るスイッチングレギュレータを搭載する電子機器の構成を示す回路図である。
【図3】図3(a)、(b)は、ドライバ回路の構成例を示す回路図である。
【図4】変形例に係る制御回路の構成を示す回路図である。
【図5】スイッチング電源装置の第1実施形態を示す図
【図6】出力トランジスタ切替制御の一例を示す図
【図7】制御部13の一構成例を示す図
【図8】信号S1〜S3の相互関係を示す図
【図9】スイッチ電圧Vswと出力トランジスタ切替制御との関係を示す図
【図10】スイッチング電源装置の第2実施形態を示す図
【図11】PWM/PFM切替制御の一例を示す図
【図12】出力トランジスタのスルーレートを説明するための図
【図13】スイッチング電源装置の第3実施形態を示す図
【図14】スルーレートの一調整例を示す図
【図15】ドライバ12k(ただしk=x、y、z)の一構成例を示す図
【図16】サイズの異なるドライバ間で貫通電流が生じる様子を示す図
【図17】スイッチング電源装置の第4実施形態を示す図
【図18】メイン/サブ切替制御の一例を示す図
【図19】スイッチングレギュレータを搭載したテレビの一構成例を示すブロック図
【図20A】スイッチングレギュレータを搭載したテレビの正面図
【図20B】スイッチングレギュレータを搭載したテレビの側面図
【図20C】スイッチングレギュレータを搭載したテレビの背面図
【発明を実施するための形態】
【0044】
<スルーレート可変制御>
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であり、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0045】
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合のほか、部材Aと部材Bが、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に設けられた状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0046】
図2は、実施の形態に係るスイッチングレギュレータ2を搭載する電子機器1の構成を示す回路図である。
【0047】
電子機器1は、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイなどの表示装置、DVDやブルーレイディスク、ハードディスクを有する録画機あるいは再生機など、商用交流電源で動作する機器、もしくは、ノートPC、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、携帯電話端末、PDA(Personal Digital Assistant)などの電池駆動型の機器であり、高い電源電圧を必要とする回路ブロックを備える。こうした回路ブロックとしては、液晶ドライバやLED(Light Emitting Diode)などが例示され、図1において負荷3として示されている。
【0048】
電子機器1は、負荷3に電源電圧を供給するための昇圧型のスイッチングレギュレータ2を備える。スイッチングレギュレータ2の入力ラインP1には、入力電圧VINが入力される。スイッチングレギュレータ2は入力電圧VINを昇圧して、出力ラインP2に出力電圧VOUTを出力する。
【0049】
スイッチングレギュレータ2は昇圧型のDC/DCコンバータであり、制御IC100および出力回路102を備える。出力回路102は、インダクタL1、整流ダイオードD1、出力キャパシタC1を含む。出力回路102のトポロジーは一般的であるため、説明を省略する。
【0050】
制御回路100は、スイッチングトランジスタM1、パルス信号生成部10およびドライバ回路20を備え、一つの半導体基板に一体集積化されている。「一体集積化」とは、回路の構成要素のすべてが半導体基板上に形成される場合や、回路の主要構成要素が一体集積化される場合が含まれ、回路定数の調節用に一部の抵抗やキャパシタなどが半導体基板の外部に設けられていてもよい。
【0051】
制御回路100のスイッチング端子(SW端子)は、インダクタL1と接続される。スイッチングトランジスタM1は、SW端子と接地端子の間に設けられる。スイッチングレギュレータ2の出力電圧VOUTは第1抵抗R1及び第2抵抗R2によって分圧され、フィードバック電圧VFBが生成される。制御回路100のフィードバック端子(FB端子)には、出力電圧VOUTに比例したフィードバック電圧VFBが入力される。
【0052】
パルス信号生成部10は、フィードバック電圧VFBが、所定の基準電圧VREFと一致するようにデューティ比が調節されるパルス信号SPWMを生成する。パルス信号生成部10は、公知のパルス幅変調器、パルス周波数変調器などを用いて構成すればよく、特に限定されない。
【0053】
ドライバ回路20は、パルス信号SPWMに応じてスイッチングトランジスタM1を駆動する。制御回路100の設定端子ADJは、スイッチングトランジスタM1のゲート信号VGの遷移時間を設定するために設けられる。図2の制御回路100は、ゲート信号VGのライズタイムTR、フォールタイムTFの両方が、外部から設定可能となっている。
【0054】
ドライバ回路20は、ハイサイドトランジスタM2、ローサイドトランジスタM3、ハイサイド可変電流源22、ローサイド可変電流源24、及び、スルーレート制御部30を備える。
【0055】
ハイサイドトランジスタM2は、制御回路100の電源電圧VDDが供給される電源端子PVDDと、スイッチングトランジスタM1のゲートの間に設けられる。ローサイドトランジスタM3は、スイッチングトランジスタM1のゲートと接地端子の間に設けられる。
【0056】
ハイサイド可変電流源22は、電源端子PVDDとスイッチングトランジスタM1のゲートの間に、ハイサイドトランジスタM2と直列に設けられる。ローサイド可変電流源24は、スイッチングトランジスタM1のゲートと接地端子の間に、ローサイドトランジスタM3と直列に設けられる。ハイサイドトランジスタM2およびローサイドトランジスタM3のゲートには、パルス信号SPWMが入力される。ハイサイドトランジスタM2およびローサイドトランジスタM3は、パルス信号SPWMに応じて相補的にオン、オフが切りかえられる。
【0057】
スルーレート制御部30は、設定端子ADJの電気的状態に応じて、ハイサイド可変電流源22の電流量IHおよびローサイド可変電流源24の電流量ILを制御する。
【0058】
図3(a)、(b)は、ドライバ回路20の構成例を示す回路図である。図3(a)のスルーレート制御部30は、基準電流源32、トランジスタM11〜M13を含む。
【0059】
基準電流源32は、設定端子ADJの状態に応じた基準電流IREFを生成する。設定端子ADJには、調節用抵抗RADJが外付け可能となっている。基準電流源32は、第1バイポーラトランジスタQ1、第2バイポーラトランジスタQ2、バンドギャップリファレンス回路34、抵抗R11、R12を含む。バンドギャップリファレンス回路34は、所定の基準電圧VBGRを生成する。基準電圧VBGRは、抵抗R11、R12によって分圧される。
【0060】
NPN型の第1バイポーラトランジスタQ1のエミッタは、設定端子ADJと接続される。PNP型の第2バイポーラトランジスタQ2のエミッタは、第1バイポーラトランジスタQ1のベースと接続される。第2バイポーラトランジスタQ2のベースには分圧された基準電圧VBGR’が入力される。第2バイポーラトランジスタQ2のエミッタには、第2バイポーラトランジスタQ2のエミッタ電流および第1バイポーラトランジスタQ1のベース電流を供給するための回路が接続されるが、その構成は特に限定されないため図示を省略している。
【0061】
第1バイポーラトランジスタQ1および第2バイポーラトランジスタQ2のベースエミッタ間電圧Vbeが等しいと仮定すると、設定端子ADJの電圧は、基準電圧VBGR’と等しくなる。したがって、調節用抵抗RADJには、第1バイポーラトランジスタQ1を経由して以下の式(1)で与えられる基準電流IREFが流れる。
REF=VBGR’/RADJ …(1)
基準電流源32は、第1バイポーラトランジスタQ1に流れる電流を、基準電流IREFとして出力する。
【0062】
ハイサイド可変電流源22は、基準電流IREFに比例した電流IHを生成する。スルーレート制御部30のトランジスタM11は、第1バイポーラトランジスタQ1のコレクタ側の基準電流IREFの経路上に設けられる。ハイサイド可変電流源22は、入力トランジスタM11とともにカレントミラー回路を構成するトランジスタM14を含む。これにより、トランジスタM14には、基準電流IREFに比例した電流IHが流れる。
【0063】
同様にローサイド可変電流源24は、基準電流IREFに比例した電流ILを生成する。トランジスタM12は、トランジスタM11とともにカレントミラー回路を構成し、基準電流IREFに応じた電流IREF’を生成する。トランジスタM13は、電流IREF’の経路上に設けられる。ローサイド可変電流源24は、トランジスタM13とともにカレントミラー回路を形成するように接続されたトランジスタM15を含む。これによりトランジスタM15には、基準電流IREF’(延いては基準電流IREF)に比例した電流ILが流れる。
【0064】
図3(b)には、基準電流源32の別の構成例が示される。基準電流源32は、第3トランジスタQ3および演算増幅器36を含む。第3トランジスタQ3は、調節用抵抗RADJの経路上に設けられ、その制御端子(ベース)は、演算増幅器36の出力端子と接続される。演算増幅器36の一方の入力端子(非反転入力端子)には、基準電圧VBGR’が入力され、その他方の入力端子(反転入力端子)には、第3トランジスタQ3と抵抗RADJの接続点の電位がフィードバックされる。この構成によっても、式(1)の基準電流IREFが生成される。
【0065】
以上が制御回路100の構成である。続いてその動作を説明する。
【0066】
スイッチングトランジスタM1は、ゲート信号VGがローレベル(接地電圧)のときオフ、ハイレベル(電源電圧VDD)のときオンする。ドライバ回路20は、スイッチングトランジスタM1をオフからオンに切りかえるときに、ローサイドトランジスタM3をオフ、ハイサイドトランジスタM2をオンとし、スイッチングトランジスタM1のゲートを充電し、ゲート信号VGを上昇させる。このときの上昇速度(スルーレート)は、ハイサイド可変電流源22の電流値IHが大きいほど速くなり、遷移時間TRは短くなる。
【0067】
反対にドライバ回路20は、スイッチングトランジスタM1をオンからオフに切りかえるとき、ローサイドトランジスタM3をオン、ハイサイドトランジスタM2をオフとし、スイッチングトランジスタM1のゲートを放電し、ゲート信号VGを低下させる。このときの低下速度(スルーレート)は、ローサイド可変電流源24の電流値ILが大きいほど速くなり、遷移時間TFは短くなる。
【0068】
上述のように、ハイサイド可変電流源22およびローサイド可変電流源24の電流値IH、ILは、設定端子ADJの電気的状態に応じて変更可能となっている。したがって、図2、図3の制御回路100によれば、ゲート信号VGの遷移時間TR、TFを変化させることができる。
【0069】
スイッチングレギュレータ2を搭載する電子機器1の設計者は、ある値の調節用抵抗RADJを設定端子ADJに接続し、スイッチングレギュレータ2を動作させる。このときにEMIの仕様を満たせば、調節用抵抗RADJをさらに小さい抵抗値のものと交換し、ゲート信号VGの遷移時間TR、TFを短くして効率を高めることができる。反対に、ある抵抗値においてEMIの仕様が満たされなければ、調整用抵抗RADJを大きいものと交換し、ゲート信号VGの遷移時間TR、TFを長くしてEMIを低減できる。
【0070】
このようにして、制御回路100によれば、制御回路100を製造した後においても、ゲート信号VGの遷移時間TR、TFを変更できるため、セットごとに、EMIの仕様を満たす範囲で最大の効率を実現できる。
【0071】
以上、本発明について、実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下、こうした変形例について説明する。
【0072】
図4は、変形例に係る制御回路100aの構成を示す回路図である。制御回路100aは、インタフェース回路40、メモリ42、スルーレート制御部30aを備える。設定端子ADJには、たとえばマイコン4から、スイッチングトランジスタM1のゲート信号VGの遷移時間TR、TFを指示する制御信号SADJが入力可能となっている。インタフェース回路40は、受信した制御信号SADJをレジスタや不揮発性メモリなどのメモリ42に書き込む。スルーレート制御部30aは、制御信号SADJに応じて、ハイサイド可変電流源22、ローサイド可変電流源24の電流量IH、ILを設定する。
【0073】
たとえばスルーレート制御部30aは、制御信号SADJに応じた基準電流IREFを生成する基準電流源32aを含む。基準電流源32aの構成は特に限定されない。スルーレート制御部30aの、基準電流源32a以外の構成は、図3(a)と同様であってもよい。
【0074】
図4の変形例でも、図3(a)の制御回路100と同様の効果を得ることができる。
【0075】
設定端子ADJには外部から電流量IH、ILを指示する制御電圧を入力してもよい。この場合、スルーレート制御部は、制御電圧に比例した基準電流を生成すればよい。具体的には、図3(a)、(b)のスルーレート制御部において調節用抵抗RADJを制御回路100に内蔵し、代わりに基準電圧VBGRあるいはVBGR’を、設定端子ADJに外部から入力するようにすればよい。
【0076】
実施の形態では、ライズタイムTRとフォールタイムTFを、共通の単一の設定端子ADJに対する指示に応じて制御する場合を説明したが、これらを独立に設定可能としてもよい。図3(a)の制御回路100においては、設定端子ADJおよび基準電流源32のペアを2個設け、一方を用いてハイサイド可変電流源22の電流値IHを設定し、他方を用いてローサイド可変電流源24の電流値ILを設定すればよい。
【0077】
図4の制御回路100aにおいては、制御信号SADJに、ライズタイムTRを指定する第1データおよびフォールタイムTFを指定する第2データを含め、基準電流源32aを2個設ければよい。そして第1の基準電流源32aによって、第1データに応じた基準電流を生成し、ハイサイド可変電流源22の電流値IHを設定し、第2の基準電流源32aによって、第2データに応じた基準電流を生成し、ローサイド可変電流源24の電流値ILを設定してもよい。
【0078】
実施の形態では、ライズタイムTRとフォールタイムTFの両方を変更可能とする場合を説明したが、いずれか一方のみを変更可能としてもよい。ライズタイムTRのみを変更可能とする場合、ローサイド可変電流源24を省略し、あるいはローサイド可変電流源24が生成する電流値ILを固定すればよい。反対に、フォールタイムTFのみを変更可能とする場合、ハイサイド可変電流源22を省略し、あるいはハイサイド可変電流源22が生成する電流値IHを固定すればよい。
【0079】
実施の形態で示す回路図において、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)とバイポーラトランジスタは、適宜置換可能である。また、NPN型とPNP型、NチャンネルとPチャンネルを置換し、天地を反転した構成もまた有効である。
【0080】
実施の形態では、昇圧型のスイッチングレギュレータを例に説明したが、降圧型、あるいは昇降圧型にも本発明は適用可能であり、それらも本発明の範囲に含まれる。
【0081】
実施の形態にもとづき、具体的な用語を用いて本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用を示しているにすぎず、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が認められる。
【0082】
<スイッチング電源装置>
[第1実施形態]
図5は、スイッチング電源装置の第1実施形態を示す図である。第1実施形態のスイッチング電源装置101は、半導体集積回路装置110のほか、これに接続されるディスクリート素子として、コイルL1と、ショットキーバリアダイオードD1と、キャパシタC1と、抵抗R1及びR2と、を有する昇圧型スイッチングレギュレータである。
【0083】
半導体集積回路装置110の外部において、コイルL1の第1端は、入力電圧Vinの印加端に接続されている。コイルL1の第2端は、半導体集積回路装置110のスイッチ端子T1(スイッチ電圧Vswの印加端)に接続される一方、ショットキーバリアダイオードD1のアノードにも接続されている。ショットキーバリアダイオードD1のカソードは、出力電圧Voutの印加端に接続されている。キャパシタC1は、出力電圧Voutの印加端と接地端との間に接続されている。抵抗R1及びR2は、出力電圧Voutの印加端と接地端との間に直列に接続されている。抵抗R1と抵抗R2との接続ノードは、半導体集積回路装置110の帰還端子T1(帰還電圧Vfbの印加端)に接続されている。負荷Zは、出力電圧Voutの印加端と接地端との間に接続されている。
【0084】
半導体集積回路装置110は、いわゆるスイッチング電源ICであり、出力トランジスタ11a〜11cと、ドライバ12a〜12cと、制御部13と、を含む。なお、半導体集積回路装置110には、上記した回路ブロックのほか、保護回路ブロックなどを適宜組み込んでも構わない。
【0085】
出力トランジスタ11a〜11cは、いずれもNチャネル型MOS[metal oxide semiconductor]電界効果トランジスタである。出力トランジスタ11a〜11cのドレインは、いずれもスイッチ端子T1に接続されている。出力トランジスタ11a〜11cのソースは、いずれも接地端に接続されている。出力トランジスタ11a〜11cのゲートはそれぞれドライバ12a〜12cの出力端に接続されている。このように、出力トランジスタ11a〜11cは、互いに並列に接続されている。
【0086】
また、出力トランジスタ11a〜11cは、互いに異なるサイズ(半導体チップ上の占有面積)に設計されている。より具体的に述べると、出力トランジスタ11aのサイズを「×1」として定義した場合、出力トランジスタ11bのサイズは「×2」であり、出力トランジスタ11cのサイズは「×4」である。このような構成であれば、出力トランジスタ11a〜11cのうち、いずれを駆動対象(オン/オフ制御対象)とするかを切り替えることにより、出力トランジスタ11a〜11cを一つの出力トランジスタとして見た場合、そのサイズを7通りに切り替えることが可能となる。
【0087】
出力トランジスタ11a〜11cのいずれか一つをオンとし、その他をオフとすれば、全体としてサイズ「×1」、「×2」、及び、「×4」の出力トランジスタを実現することができる。出力トランジスタ11a及び11bを同時にオンとし、出力トランジスタ11cをオフとすれば、全体としてサイズ「×3」の出力トランジスタを実現することができる。出力トランジスタ11a及び11cを同時にオンとし、出力トランジスタ11bをオフとすれば、全体としてサイズ「×5」の出力トランジスタを実現することができる。出力トランジスタ11b及び11cを同時にオンとし、出力トランジスタ11aをオフとすれば、全体としてサイズ「×6」の出力トランジスタを実現することができる。出力トランジスタ11a〜11cを全て同時にオンとすれば、全体としてサイズ「×7」の出力トランジスタを実現することができる。ただし、出力トランジスタ11a〜11cのサイズは上記に限定されるものではなく、互いに同一のサイズに設計しても構わない。
【0088】
ドライバ12a〜12cは、それぞれ、制御部13から入力されるオン/オフ制御信号Sa〜Scの電流能力を高めたゲート信号Ga〜Gcを生成し、これを出力トランジスタ11a〜11cに各々供給する。
【0089】
制御部13は、入力電圧Vinから所望の出力電圧Voutを生成して負荷Zに供給するように所定のスイッチング周波数で出力トランジスタ11a〜11cのオン/オフ制御信号Sa〜Scを生成する。また、制御部13は、負荷Zの重さに基づいて駆動対象の出力トランジスタを決定する機能を備えている。なお、制御部13は、負荷Zの重さを知るために、負荷Zに流れる出力電流Iout若しくはこれと等価の電流または電圧(スイッチ端子T1に現れるスイッチ電流Iswやスイッチ電圧Vsw)を監視する構成とすればよい。或いは、制御部13は、負荷Zの重さを知るために、スイッチング電源装置101が搭載されるアプリケーションのメインコントローラ(不図示)から負荷Zの重さに関する情報信号を受け付ける構成としてもよい。
【0090】
まず、上記の構成から成るスイッチング電源装置101の基本動作(直流/直流変換動作)について説明する。なお、以下では便宜上、出力トランジスタ11aのみを駆動対象とした場合を例示して説明を行うが、駆動対象とされた出力トランジスタの組み合わせに応じて文中の符号を「11b」、「11c」、「11a及び11b」、「11a及び11c」、「11b及び11c」、或いは、「11a〜11c」と読み替えることができる。
【0091】
出力トランジスタ11aがオン状態にされると、コイルL1には出力トランジスタ11aを介して接地端に向けたスイッチ電流Iswが流れ、その電気エネルギが蓄えられる。なお、トランジスタ11aのオン期間において既にキャパシタC1に電荷が蓄積されていた場合、負荷ZにはキャパシタC1から出力電流Ioutが流れることになる。このときスイッチ端子T1の電位はトランジスタ11aを介してほぼ接地電位まで低下するので、ショットキーバリアダイオードD1は逆バイアス状態となり、キャパシタC1からトランジスタ11aに向けて電流が流れ込むことはない。一方、トランジスタ11aがオフ状態にされると、コイルL1に生じた逆起電圧によって、そこに蓄積されていた電気エネルギが放出される。このとき、ショットキーバリアダイオードD1は順バイアス状態となるため、ショットキーバリアダイオードD1を介して流れる電流は、出力電流Ioutとして負荷Zに流れ込むとともに、キャパシタC1を介して接地端にも流れ込み、キャパシタC1を充電することになる。上記の動作が繰り返されることにより、負荷Zには、入力電圧Vinを昇圧した出力電圧Voutが供給される。
【0092】
このように、半導体集積回路装置110は、トランジスタ11a〜11cのオン/オフ制御によってエネルギ貯蔵素子であるコイルL1を駆動することにより、入力電圧Vinを昇圧して出力電圧Voutを生成する昇圧型スイッチングレギュレータの一構成要素として機能する。
【0093】
次に、制御部13の出力トランジスタ切替制御について説明する。スイッチ電流Iswが小さくなる軽負荷領域では、出力トランジスタのオン抵抗Ronに起因する損失(=Isw2×Ron)よりも、出力トランジスタのゲート・ソース間に付随する寄生容量Cgsの充放電に伴う損失(=f×Cgs×Vgs2)の方が支配的となる(fはスイッチング周波数、Vgsは出力トランジスタのゲート・ソース間電圧)。従って、軽負荷領域では、寄生容量Cgsの小さい小型サイズの出力トランジスタを用いることが望ましい。一方、スイッチ電流Iswが大きくなる重負荷領域では、出力トランジスタのオン抵抗Ronに起因する損失の方が支配的となるので、オン抵抗Ronの小さい大型サイズの出力トランジスタを用いることが望ましい。
【0094】
上記の知見に鑑み、制御部13は、負荷Zが重い(スイッチ電流Iswが大きい)ほどトランジスタのサイズを大きくし、負荷Zが軽い(スイッチ電流Iswが小さい)ほどトランジスタのサイズを小さくするように、駆動対象の出力トランジスタを決定する。
【0095】
図6は、出力トランジスタ切替制御の一例を示す図である。図6の横軸はスイッチ電流Isw(出力電流Ioutと等価)を示しており、縦軸はスイッチング電源装置1の効率ηを示している。なお、第1閾値電流I1〜第6閾値電流I6は、I1<I2<I3<I4<I5<I6となるように設定されている。
【0096】
図6で示したように、スイッチ電流Iswが第1閾値電流I1よりも小さいときには、出力トランジスタ11aのみが駆動対象とされて、サイズ「×1」の出力トランジスタが実現される。スイッチ電流Iswが第1閾値電流I1よりも大きく第2閾値電流I2よりも小さいときには、出力トランジスタ11bのみが駆動対象とされて、サイズ「×2」の出力トランジスタが実現される。スイッチ電流Iswが第2閾値電流I2よりも大きく第3閾値電流I3よりも小さいときには、出力トランジスタ11a及び11bが駆動対象とされて、サイズ「×3」の出力トランジスタが実現される。スイッチ電流Iswが第3閾値電流I3よりも大きく第4閾値電流I4よりも小さいときには、出力トランジスタ11cのみが駆動対象とされて、サイズ「×4」の出力トランジスタが実現される。スイッチ電流Iswが第4閾値電流I4よりも大きく第5閾値電流I5よりも小さいときには、出力トランジスタ11a及び11cが駆動対象とされて、サイズ「×5」の出力トランジスタが実現される。スイッチ電流Iswが第5閾値電流I5よりも大きく第6閾値電流I6よりも小さいときには、出力トランジスタ11b及び11cが駆動対象とされて、サイズ「×6」の出力トランジスタが実現される。スイッチ電流Iswが第6閾値電流I6よりも大きいときには、出力トランジスタ11a〜11cがいずれも駆動対象とされて、サイズ「×7」の出力トランジスタが実現される。
【0097】
このように、負荷Zの重さに応じて出力トランジスタのサイズを切り替える構成であれば、スイッチング周波数の変動を招くことなく、重負荷領域から軽負荷領域に至る幅広い負荷領域で高い効率を実現することが可能となる。
【0098】
なお、上記では、スイッチ電流Iswを監視して出力トランジスタの切替制御を行う構成を例に挙げて説明を行ったが、制御部13では、スイッチ電流Iswではなく、スイッチ電圧Vswを監視対象とすることも可能である。以下では、スイッチ電圧Vswを監視して出力トランジスタの切替制御を行う構成について説明する。
【0099】
図7は、スイッチ電圧Vswを監視して出力トランジスタの切替制御を行う制御部13の一構成例を示す図である。本構成例の制御部13は、誤差増幅器130と、発振器131と、比較器132と、RSフリップフロップ133と、比較器134及び135と、Dフリップフロップ136及び137と、判定部138と、信号ゲート部139とを含む。
【0100】
誤差増幅器130は、反転入力端(−)に印加される帰還電圧Vfb(出力電圧Voutの分圧電圧)と非反転入力端(+)に印加される所定の基準電圧Vref(出力電圧Voutの目標設定値に相当)との差分を増幅して誤差信号ERRを生成する。誤差信号ERRの電圧値は、帰還電圧Vfbが基準電圧Vrefよりも低いほど大きくなる。
【0101】
発振器131は、所定のスイッチング周波数fで矩形波状のクロック信号CLKと鋸波状(或いは三角波状)のスロープ信号SLPを生成する。
【0102】
比較器132は、反転入力端(−)に印加される誤差信号ERRと非反転入力端(+)に印加されるスロープ信号SLPとを比較して比較信号PWM(比較結果に応じたデューティのパルス幅変調信号)を生成する。比較信号PWMは、誤差信号ERRがスロープ信号SLPよりも高ければローレベルとなり、低ければハイレベルとなる。従って、比較信号PWMのオンデューティ(スイッチング周期に対して出力トランジスタのオン期間が占める割合)は、誤差信号ERRの電圧値に応じて変動する。
【0103】
RSフリップフロップ133は、リセット入力端(R)に入力される比較信号PWMとセット入力端(S)に入力されるクロック信号CLKに基づいて出力端(Q)からオン/オフ制御信号SWを出力する。オン/オフ制御信号SWは、クロック信号CLKの立ち上がりエッジでハイレベルにセットされ、比較信号PWMの立ち上がりエッジでローレベルにリセットされる。
【0104】
比較器134は、非反転入力端(+)に印加されるスイッチ電圧Vswと、反転入力端(−)に印加される第1閾値電圧Vth1とを比較して第1比較信号S1を生成する。第1比較信号S1は、スイッチ電圧Vswが第1閾値電圧Vth1よりも高ければハイレベルとなり、低ければローレベルとなる。
【0105】
比較器135は、非反転入力端(+)に印加されるスイッチ電圧Vswと、反転入力端(−)に印加される第2閾値電圧Vth2(ただしVth2<Vth1)とを比較して第2比較信号S2を生成する。第2比較信号S2は、スイッチ電圧Vswが第2閾値電圧Vth2よりも高ければハイレベルとなり、低ければローレベルとなる。
【0106】
Dフリップフロップ136は、クロック信号CLK(またはその遅延信号)の立ち上がりエッジでデータ入力端(D)に印加される第1比較信号S1をラッチする。すなわち、Dフリップフロップ136は、駆動対象の出力トランジスタがオンされているときに第1比較信号S1をラッチする第1ラッチとして機能する。すなわち、Dフリップフロップ136でラッチされた第1比較信号S1は、スイッチ電圧Vswのローレベル(=Ron×Isw)と第1閾値電圧Vth1との比較結果に相当する。
【0107】
Dフリップフロップ137は、クロック信号CLK(またはその遅延信号)の立ち上がりエッジでデータ入力端(D)に印加される第2比較信号S2をラッチする。すなわち、Dフリップフロップ137は、駆動対象の出力トランジスタがオンされているときに第2比較信号S2をラッチする第2ラッチとして機能する。すなわち、Dフリップフロップ137でラッチされた第2比較信号S2は、スイッチ電圧Vswのローレベル(=Ron×Isw)と第2閾値電圧Vth2との比較結果に相当する。
【0108】
判定部138は、Dフリップフロップ136でラッチされた第1比較信号S1と、Dフリップフロップ137でラッチされた第2比較信号S2に基づいて、駆動対象の出力トランジスタを決定するための切替信号S3を生成して信号ゲート部139に出力する。
【0109】
具体的に述べると、スイッチ電圧Vswのローレベルが第1閾値電圧Vth1よりも高いとき、すなわち、第1比較信号S1及び第2比較信号S2がいずれもハイレベルであるときには、トランジスタのサイズを現状よりも1段階大きくするように、UP指示の切替信号S3が生成される(図8の上段、ないしは、図9のタイミング(1)及び(2)を参照)。また、スイッチ電圧Vswのローレベルが第1閾値電圧Vth1よりも低く第2閾値電圧Vth2よりも高いとき、すなわち、第1比較信号S1がローレベルであって第2比較信号S2がハイレベルであるときには、トランジスタのサイズを現状に維持するように、KEEP指示の切替信号S3を生成する(図8の中段、ないしは、図9のタイミング(3)及び(4)を参照)。また、スイッチ電圧Vswのローレベルが第2閾値電圧Vth2よりも低いとき、すなわち、第1比較信号S1及び第2比較信号S2がいずれもローレベルであるときには、トランジスタのサイズを現状よりも1段階小さくするように、DOWN指示の切替信号S3を生成する(図8の下段、ないしは、図9のタイミング(5)及び(6)を参照)。
【0110】
信号ゲート部139は、判定部138から入力される切替信号S3に応じてオン/オフ制御信号SWの供給先を切り替える。例えば、サイズ「×3」の出力トランジスタが実現されているときにUP指示の切替信号S3が入力された場合には、サイズ「×4」の出力トランジスタを実現するようにオン/オフ制御信号SWの供給先が変更される。一方、サイズ「×3」の出力トランジスタが実現されているときにDOWN指示の切替信号S3が入力された場合には、サイズ「×2」の出力トランジスタを実現するようにオン/オフ制御信号SWの供給先が変更される。また、サイズ「×3」の出力トランジスタが実現されているときにKEEP指示の切替信号S3が入力された場合には、オン/オフ制御信号SWの供給先が変更されることなく維持される。
【0111】
他のサイズの出力トランジスタが実現されているときに、UP指示、DOWN指示、または、KEEP指示の切替信号S3が入力された場合についても、基本的には上記と同様の考え方に基づいてオン/オフ制御信号SWの供給先が決定される。ただし、サイズ「×7」の出力トランジスタが実現されているときにUP指示の切替信号S3が入力された場合には、これ以上のサイズアップができないので、オン/オフ制御信号SWの供給先が変更されることなく維持される。同様に、サイズ「×1」の出力トランジスタが実現されているときにDOWN指示の切替信号S3が入力された場合には、これ以上のサイズダウンができないので、オン/オフ制御信号SWの供給先が変更されることなく維持される。
【0112】
なお、出力トランジスタ11aのみが駆動対象とされて、サイズ「×1」の出力トランジスタが実現されるときには、オン/オフ制御信号Saとしてオン/オフ制御信号SWが出力され、オン/オフ制御信号Sb及びScがローレベルに固定される。出力トランジスタ11bのみが駆動対象とされて、サイズ「×2」の出力トランジスタが実現されるときには、オン/オフ制御信号Sbとしてオン/オフ制御信号SWが出力され、オン/オフ制御信号Sa及びScがローレベルに固定される。出力トランジスタ11a及び11bが駆動対象とされて、サイズ「×3」の出力トランジスタが実現されるときには、オン/オフ制御信号Sa及びSbとしてオン/オフ制御信号SWが出力され、オン/オフ制御信号Scがローレベルに固定される。出力トランジスタ11cのみが駆動対象とされて、サイズ「×4」の出力トランジスタが実現されるときには、オン/オフ制御信号Scとしてオン/オフ制御信号SWが出力され、オン/オフ制御信号Sa及びSbがローレベルに固定される。出力トランジスタ11a及び11cが駆動対象とされて、サイズ「×5」の出力トランジスタが実現されるときには、オン/オフ制御信号Sa及びScとしてオン/オフ制御信号SWが出力され、オン/オフ制御信号Sbがローレベルに固定される。出力トランジスタ11b及び11cが駆動対象とされて、サイズ「×6」の出力トランジスタが実現されるときには、オン/オフ制御信号Sb及びScとしてオン/オフ制御信号SWが出力され、オン/オフ制御信号Saがローレベルに固定される。出力トランジスタ11a〜11cがいずれも駆動対象とされて、サイズ「×7」の出力トランジスタが実現されるときには、オン/オフ制御信号Sa〜Scとしてオン/オフ制御信号SWが出力される。
【0113】
上記したように、本構成例の制御部13は、駆動対象の出力トランジスタをオン/オフ制御することにより発生する矩形波状のスイッチ電圧Vswを監視し、駆動対象の出力トランジスタがオンされているときに検出されたスイッチ電圧Vsw(すなわちスイッチ電圧Vswのローレベル)と、所定の閾値電圧Vth1及びVth2との比較結果に基づいて、駆動対象の出力トランジスタを決定する。このような構成とすることにより、非常に簡易な回路構成でありながら、負荷Zの重さに応じて適切に出力トランジスタのサイズを切り替えることが可能となる。
【0114】
[第2実施形態]
図10は、スイッチング電源装置の第2実施形態を示す図である。第2実施形態のスイッチング電源装置101は、第1実施形態とほぼ同様の構成であり、チャージポンプ回路120をさらに有する点に特徴を有している。そこで、第1実施形態と同様の構成要素については図5と同一の符号を付すことで重複した説明を割愛し、以下では、第2実施形態の特徴部分について重点的な説明を行う。
【0115】
チャージポンプ回路120は、スイッチ電圧Vswを用いて出力電圧Voutを昇圧することにより、第2出力電圧Vout2を生成する回路ブロックであり、キャパシタ121及び122と、ダイオード123及び124と、を含む。
【0116】
キャパシタ121の第1端は、スイッチ電圧Vswの印加端に接続されている。キャパシタ121の第2端は、ダイオード123のカソードとダイオード124のアノードに接続されている。ダイオード123のアノードは、出力電圧Voutの印加端に接続されている。ダイオード124のカソードは、第2出力電圧Vout2の印加端に接続されている。キャパシタ122は、第2出力電圧Vout2の印加端と接地端との間に接続されている。
【0117】
スイッチ電圧Vswのローレベル期間には、出力電圧Voutの印加端からダイオード123とキャパシタ121を介してスイッチ電圧Vswの印加端に向けた充電電流が流れる。このとき、キャパシタ121の両端間電圧はほぼ出力電圧Voutとなる。その後、スイッチ電圧Vswのハイレベル期間において、キャパシタ121の第1端が入力電圧Vinの近傍まで引き上げられると、キャパシタ121の電荷保存則により、キャパシタ121の第2端も(Vout+Vin)まで引き上げられ、ダイオード124を介してキャパシタ122が充電される。上記の動作が繰り返されることにより、出力電圧Voutをさらに昇圧した第2出力電圧Vout2が生成される。
【0118】
第2実施形態のスイッチング電源装置101であれば、幅広い負荷領域での高効率化に際して、スイッチング周波数を一定に維持することができるので、スイッチ電圧Vswを利用するチャージポンプ回路120を安定して動作させることが可能となる。
【0119】
[第3実施形態]
次に、スイッチング電源装置の効率に関連する回路特性として、出力トランジスタのスルーレートに着目する。図12は、出力トランジスタのスルーレートを説明するための図である。スイッチング電源装置の効率を高めるためには、出力トランジスタのスルーレートを大きく設定して、スイッチ電圧Vswの立上がり時間tr及び立下り時間tfを短縮する必要がある。ただし、出力トランジスタのスルーレートを大きく設定すると、電磁波ノイズ(EMI[electro-magnetic interference]ノイズ)の発生量が増大する。そのため、スイッチング電源装置の効率と電磁波ノイズの発生量とのトレードオフを考慮して出力トランジスタのスルーレートを最適値に調整することが重要である。
【0120】
図13は、スイッチング電源装置の第3実施形態を示す図である。第3実施形態のスイッチング電源装置101は、半導体集積回路装置110のほか、これに接続されるディスクリート素子として、コイルL1と、ショットキーバリアダイオードD1と、キャパシタC1と、抵抗R1及びR2と、を有する昇圧型スイッチングレギュレータである。なお、ディスクリート素子の接続関係については、第1実施形態や第2実施形態と同様であるため、重複した説明は割愛する。
【0121】
半導体集積回路装置110は、いわゆるスイッチング電源ICであり、出力トランジスタ11と、ドライバ12と、制御部13と、イネーブルロジック部14とを含む。なお、半導体集積回路装置110には、上記した回路ブロックのほか、保護回路ブロックなどを適宜組み込んでも構わない。
【0122】
出力トランジスタ11は、Nチャネル型MOS電界効果トランジスタである。出力トランジスタ11のドレインは、スイッチ端子T1に接続されている。出力トランジスタ11のソースは、接地端に接続されている。出力トランジスタ11のゲートはドライバ12の出力端に接続されている。
【0123】
ドライバ12は、制御部13から入力されるオン/オフ制御信号Sの電流能力を高めたゲート信号Gを生成し、これを出力トランジスタ11に供給する。ドライバ12は、単位ドライバ12x〜12zを含む。単位ドライバ12x〜12zは、制御部13の信号出力端と出力トランジスタ11のゲートに対してそれぞれ並列に接続されている。単位ドライバ12x〜12zは、イネーブルロジック部14から入力されるイネーブル信号ENx〜Enzに応じて個別に動作可否が制御される。単位ドライバ12x〜12zは、それぞれ同一サイズのトランジスタによって形成されている。このような構成であれば、単位ドライバ12x〜12zのうち、いずれを動作させるかを切り替えることにより、ドライバ12の電流能力(延いては出力トランジスタ11のスルーレート)を3通り(×1、×2、×3)に切り替えることが可能となる(図14を参照)。
【0124】
制御部13は、入力電圧Vinから所望の出力電圧Voutを生成して負荷Zに供給するように所定のスイッチング周波数で出力トランジスタ11のオン/オフ制御信号Sを生成する。
【0125】
イネーブルロジック部14は、半導体集積回路装置110の外部から入力されるスルーレート調整信号ADJに応じて単位ドライバ12x〜12z毎のイネーブル信号ENx〜ENzを生成する。イネーブル信号ENx〜ENzは、それぞれ、ドライバ12x〜12zの動作を許可する際にハイレベルとされ、ドライバ12x〜12zの動作を禁止する際にローレベルとされる。
【0126】
第3実施形態のスイッチング電源装置101であれば、スルーレート調整信号ADJに応じてドライバ12の電流能力(ドライブ能力)を可変制御することができるので、ドライバ12の設計変更(延いては半導体集積回路装置110の作り直し)を行うことなく、スイッチング電源装置101の効率と電磁波ノイズの発生量とのトレードオフを考慮して出力トランジスタ11のスルーレートを最適値に調整することが可能となる。
【0127】
図15は、ドライバ12k(ただしk=x、y、z)の一構成例を示す図である。本構成例のドライバ12kは、Pチャネル型MOS電界効果トランジスタK1と、Nチャネル型MOS電界効果トランジスタK2と、ORゲートK3と、ANDゲートK4と、NOTゲートK5及びK6と、を含む。
【0128】
トランジスタK1のソースは、電源電圧の印加端に接続されている。トランジスタK1及びK2のドレインは、いずれもゲート信号Gの印加端に接続されている。トランジスタK2のソースは、接地端に接続されている。トランジスタK1のゲートは、ORゲートK3の出力端に接続されている。トランジスタK2のゲートは、ANDゲートK4の出力端に接続されている。ORゲートK3の第1入力端とANDゲートK4の第1入力端は、いずれもNOTゲートK5の出力端に接続されている。NOTゲートK5の入力端は、オン/オフ制御信号Sの印加端に接続されている。ORゲートK3の第2入力端は、NOTゲートK6の出力端に接続されている。ANDゲートK4の第2入力端とNOTゲートK6の入力端は、いずれもイネーブル信号ENkの印加端に接続されている。
【0129】
ドライバ12kに入力されるイネーブル信号ENkがハイレベル(動作許可時の論理レベル)である場合、ORゲートK3とANDゲートK4は、いずれもNOTゲートK5で論理反転されたオン/オフ制御信号Sをスルー出力する状態となる。従って、オン/オフ制御信号Sがハイレベルであれば、トランジスタK1がオンとなってトランジスタK2がオフとなるので、ゲート信号Gがハイレベルとなる。一方、オン/オフ制御信号Sがローレベルであれば、トランジスタK1がオフとなってトランジスタK2がオンとなるので、ゲート信号Gがローレベルとなる。
【0130】
これに対して、ドライバ12kに入力されるイネーブル信号ENkがローレベル(動作禁止時の論理レベル)である場合、オン/オフ制御信号Sに依らず、ORゲートK3はハイレベルを出力し、ANDゲートK4はローレベルを出力する。従って、トランジスタK1及びK2がいずれもオフとなるので、ゲート信号Gがハイインピーダンス状態となる。
【0131】
このように、本構成例のドライバ12kであれば、簡易な回路構成でイネーブル制御を実現することが可能となる。
【0132】
次に、単位ドライバ12x〜12zを各々形成するトランジスタのサイズを同一とした理由について説明する。図16は、サイズの異なるドライバ間で貫通電流が生じる様子を示す図である。なお、単位ドライバ12mを形成するトランジスタM11及びM12は、単位ドライバ12nを形成するトランジスタN11及びN12よりもサイズが小さく、オン/オフ制御信号Sに応じてより早くオン/オフ状態が切り替わるものとする。また、単位ドライバ12m及び12nは、いずれも動作許可状態であるものとする。
【0133】
例えば、オン/オフ制御信号Sがハイレベルからローレベルに切り替わった場合、単位ドライバ12mを形成するトランジスタM11及びM12は、それぞれ遅滞なく、オフ状態からオン状態及びオン状態からオフ状態に切り替わる。一方、単位ドライバ12nを形成するトランジスタN11及びN12は、それぞれトランジスタM11及びM12よりも遅れて、オフ状態からオン状態及びオン状態からオフ状態に切り替わる。このようなオン/オフ切替タイミングのずれにより、トランジスタM11とトランジスタN12の同時オン期間が生じてしまうと、電源電圧の印加端からトランジスタM11及びN12を介して接地端に至る経路で過大な貫通電流が流れてしまい、素子の破壊や発煙・発火などを招くおそれがある。
【0134】
これに対して、第3実施形態のスイッチング電源装置101であれば、単位ドライバ12x〜12zを各々形成するトランジスタのサイズが同一とされているので、上記のオン/オフ切替タイミングのずれは生じず、貫通電流の発生を未然に回避することができる。
【0135】
なお、第3実施形態では、出力トランジスタ11とドライバ12を一つずつ有する構成を例に挙げたが、先出の第1実施形態(または第2実施形態)と第3実施形態とを組み合わせて適用する場合には、図5に倣って出力トランジスタとドライバを各々複数組並列に設けた上で、複数のドライバは、それぞれ、対応する出力トランジスタの制御端に対して並列に接続されて個別に動作可否が制御される複数の単位ドライバを含む構成(すなわち複数のドライバ各々について第3実施形態を適用した構成)とすればよい。
【0136】
[第4実施形態]
図17は、スイッチング電源装置の第4実施形態を示す図である。第4実施形態のスイッチング電源装置201は、半導体集積回路装置210のほか、これに外付けされるディスクリート素子として、Nチャネル型MOS電界効果トランジスタTr1及びTr2(以下メイントランジスタTr1及びTr2と呼ぶ)と、コイルL2と、キャパシタC2と、抵抗R3及びR4と、を有する降圧型スイッチングレギュレータである。
【0137】
半導体修正回路装置210には、外部との電気的な接続を確立するために、外部端子T11〜T16が設けられている。半導体集積回路装置210の外部において、外部端子T11は、入力電圧Vinの印加端とメイントランジスタTr1のドレインに接続されている。外部端子T12は、メイントランジスタTr1のゲートに接続されている。外部端子T13(スイッチ電圧Vswの印加端)は、メイントランジスタTr1のソースと、メイントランジスタTr2のドレインと、コイルL2の第1端に接続されている。外部端子T14は、メイントランジスタTr2のゲートに接続されている。外部端子T15は、メイントランジスタTr2のソースと接地端に接続されている。コイルL2の第2端は、出力電圧Voutの印加端に接続されている。キャパシタC2は、出力電圧Voutの印加端と接地端との間に接続されている。抵抗R3及びR4は、出力電圧Voutの印加端と接地端との間に直列に接続されている。抵抗R3と抵抗R4との接続ノードは、半導体集積回路装置210の外部端子T16(帰還電圧Vfbの印加端)に接続されている。負荷Zは、出力電圧Voutの印加端と接地端との間に接続されている。
【0138】
半導体集積回路装置210は、いわゆるスイッチング電源ICであり、Nチャネル型MOS電界効果トランジスタ211及び212(以下、サブトランジスタ211及び212と呼ぶ)と、メインドライバ213及び214と、サブドライバ215及び216と、メインコントローラ217と、サブコントローラ218と、負荷検出部219と、を含む。なお、半導体集積回路装置210には、上記した回路ブロックのほか、保護回路ブロックなどを適宜組み込んでも構わない。
【0139】
サブトランジスタ211のドレインは、外部端子T11に接続されている。サブトランジスタ211のソースは、外部端子T13に接続されている。すなわち、メイントランジスタTr1とサブトランジスタ211は、互いに並列に接続されている。
【0140】
サブトランジスタ212のドレインは、外部端子T13に接続されている。サブトランジスタ212のソースは、外部端子T15に接続されている。すなわち、メイントランジスタTr2とサブトランジスタ212は、互いに並列に接続されている。
【0141】
なお、メイントランジスタTr1及びTr2は、サブトランジスタ211及び212よりもオン抵抗値が小さく、サブトランジスタ211及び212は、メイントランジスタTr1及びTr2よりもゲート容量値が小さいものとする。
【0142】
メインドライバ213及び214は、それぞれ、メインコントローラ217から入力されるメイン制御信号に応じたメインゲート信号を生成してメイントランジスタTr1及びTr2に供給する。
【0143】
サブドライバ215及び216は、それぞれ、サブコントローラ218から入力されるサブ制御信号に応じたサブゲート信号を生成してサブトランジスタ211及び212に供給する。なお、サブドライバ215及び216は、メインドライバ213及び214と比べて駆動能力の小さい小型サイズとされている。
【0144】
メインコントローラ217は、重負荷モード時にメイントランジスタTr1及びTr2を駆動するように所定のスイッチング周波数でメイン制御信号を生成する。
【0145】
サブコントローラ218は、軽負荷モード時にサブトランジスタ211及び212を駆動するように所定のスイッチング周波数でサブ制御信号を生成する。
【0146】
負荷検出部219は、負荷Zの重さを検出して重負荷モードと軽負荷モードを切り替えるようにメインコントローラ217及びサブコントローラ218を制御する。なお、負荷検出部219は、負荷Zの重さを知るために、負荷Zに流れる出力電流Iout若しくはこれと等価の電流または電圧(スイッチ端子T1に現れるスイッチ電流Iswやスイッチ電圧Vsw)を監視する構成とすればよい。或いは、負荷検出部219は、負荷Zの重さを知るために、スイッチング電源装置201が搭載されるアプリケーションのメインコントローラ(不図示)から負荷Zの重さに関する情報信号を受け付ける構成としてもよい。
【0147】
なお、上記のメインコントローラ217、サブコントローラ218、及び、負荷検出部219は、先出の図5や図13で示したように、単一の制御部として形成してもよい。
【0148】
上記構成から成るスイッチング電源装置201において、メイントランジスタTr1及びTr2、若しくは、サブトランジスタ211及び212が相補的(排他的)にオン/オフされると、外部端子T13に矩形波状のパルス電圧Vswが生成される。このパルス電圧Vswを平滑化することにより、負荷Zには、入力電圧Vinを降圧した出力電圧Voutが供給される。なお、本明細書中で用いられている「相補的(排他的)」という文言は、メイントランジスタTr1及びTr2、若しくは、サブトランジスタ211及び212のオン/オフ状態が完全に逆転している場合のほか、貫通電流防止の観点から両トランジスタのオン/オフ遷移タイミングに所定の遅延が与えられている場合(両トランジスタの同時オン防止期間が設けられている場合)も含む。
【0149】
このように、半導体集積回路装置210は、メイントランジスタTr1及びTr2、若しくは、サブトランジスタ211及び212のオン/オフ制御によってエネルギ貯蔵素子であるコイルL2を駆動することにより、入力電圧Vinを降圧して出力電圧Voutを生成する降圧型スイッチングレギュレータの一構成要素として機能する。
【0150】
次に、負荷検出部219の動作モード切替制御(メイン/サブ切替制御)について説明する。先にも述べたように、軽負荷領域では、ゲート容量の小さい小型サイズの出力トランジスタを用いることが望ましく、逆に、重負荷領域では、オン抵抗値の小さい大型サイズの出力トランジスタを用いることが望ましい。
【0151】
上記の知見に鑑み、負荷検出部219は、重負荷領域ではメイントランジスタTr1及びTr2を駆動対象とし、軽負荷領域ではサブトランジスタ211及び212を駆動対象とする。
【0152】
図18は、メイン/サブ切替制御の一例を示す図であり、上から順に、システムの負荷状態と動作モード(メイン/サブ)が描写されている。
【0153】
図18で示したように、重負荷領域(時刻t1〜t2)では、サブトランジスタ211及び212よりもオン抵抗値の小さいメイントランジスタTr1及びTr2が駆動対象とされる一方、軽負荷領域(時刻t1以前、及び、時刻t2以後)では、メイントランジスタTr1及びTr2よりもゲート容量の小さいサブトランジスタ211及び212が駆動対象とされる。
【0154】
このように、負荷Zの重さに応じて出力トランジスタを切り替える構成であれば、先述の第1実施形態(図5)と同様に、スイッチング周波数の変動を招くことなく、重負荷領域から軽負荷領域に至る幅広い負荷領域で高い効率を実現することが可能となる。
【0155】
<テレビへの適用>
図19はスイッチング電源装置を搭載したテレビの一構成例を示すブロック図である。また、図20A〜図20Cは、それぞれ、スイッチング電源装置を搭載したテレビの正面図、側面図、及び、背面図である。本構成例のテレビXは、チューナ部X1と、デコーダ部X2と、表示部X3と、スピーカ部X4と、操作部X5と、インタフェイス部X6と、制御部X7と、電源部X8と、を有する。
【0156】
チューナ部X1は、テレビXに外部接続されるアンテナX0で受信された受信信号から所望チャンネルの放送信号を選局する。
【0157】
デコーダ部X2は、チューナX1で選局された放送信号から映像信号と音声信号を生成する。また、デコーダ部X2は、インタフェイス部X6からの外部入力信号に基づいて、映像信号と音声信号を生成する機能も備えている。
【0158】
表示部X3は、デコーダ部X2で生成された映像信号を映像として出力する。
【0159】
スピーカ部X4は、デコーダ部で生成された音声信号を音声として出力する。
【0160】
操作部X5は、ユーザ操作を受け付けるヒューマンインタフェイスの一つである。操作部X5としては、ボタン、スイッチ、リモートコントローラなどを用いることができる。
【0161】
インタフェイス部X6は、外部デバイス(光ディスクプレーヤやハードディスクドライブなど)から外部入力信号を受け付けるフロントエンドである。
【0162】
制御部X7は、上記各部X1〜X6の動作を統括的に制御する。制御部X7としては、CPU[central processing unit]などを用いることができる。
【0163】
電源部X8は、上記各部X1〜X7に電力供給を行う。電源部X8としては、先述のスイッチングレギュレータ2やスイッチング電源装置101及び201を好適に用いることができる。
【0164】
<その他の変形例>
上記の実施形態では、昇圧型や降圧型のスイッチング電源装置を例に挙げて説明を行ったが、本発明の適用対象は何らこれに限定されるものではなく、昇降圧型のスイッチング電源装置にも広く適用することが可能である。
【0165】
また、本明細書中に開示された種々の技術的特徴については、上記実施形態のほか、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。例えば、バイポーラトランジスタとMOS電界効果トランジスタとの相互置換や、各種信号の論理レベル反転は任意である。すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0166】
本明細書中に開示されているスイッチング電源装置は、LCD−TV、PDP−TV、DVDレコーダ、BDレコーダなど、様々なアプリケーションの電源として利用することが可能である。
【符号の説明】
【0167】
1…電子機器、Q1…第1バイポーラトランジスタ、M1…スイッチングトランジスタ、2…スイッチングレギュレータ、Q2…第2バイポーラトランジスタ、M2…ハイサイドトランジスタ、3…負荷、M3…ローサイドトランジスタ、10…パルス信号生成部、20…ドライバ回路、22…ハイサイド可変電流源、24…ローサイド可変電流源、30…スルーレート制御部、32…基準電流源、100…制御回路。
【0168】
101、201 スイッチング電源装置
110、210 半導体集積回路装置(スイッチング電源IC)
11、11a、11b、11c 出力トランジスタ(NMOSFET)
12、12a、12b、12c ドライバ
12x、12y、12z、12k 単位ドライバ
13 制御部
130 誤差増幅器
131 比較器
132 発振器
133 RSフリップフロップ
134、135 比較器
136、137 Dフリップフロップ
138 判定部
139 信号ゲート部
14 イネーブルロジック部
120 チャージポンプ回路
121、122 キャパシタ
123、124 ダイオード
211、212 Nチャネル型MOS電界効果トランジスタ(サブ)
213、214 メインドライバ(上側/下側)
215、216 サブドライバ(上側/下側)
217 メインコントローラ
218 サブコントローラ
219 負荷検出部
L1、L2 コイル
C1、C2 キャパシタ
R1、R2、R3、R4 抵抗
D1 ショットキーバリアダイオード
Tr1、Tr2 Nチャネル型MOS電界効果トランジスタ(メイン)
Z 負荷
T1 スイッチ端子
T2 帰還端子
T3 スルーレート調整端子
T11〜T16 外部端子
K1、M11、N11 Pチャネル型MOS電界効果トランジスタ
K2、M12、N12 Nチャネル型MOS電界効果トランジスタ
K3 ORゲート
K4 ANDゲート
K5、K6 NOTゲート
X テレビ
X0 アンテナ
X1 チューナ部
X2 デコーダ部
X3 表示部
X4 スピーカ部
X5 操作部
X6 インタフェイス部
X7 制御部
X8 電源部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチングレギュレータの制御回路であって、
スイッチングトランジスタと、
前記スイッチングレギュレータの出力電圧に応じたフィードバック電圧が、所定の基準電圧と一致するようにデューティ比が調節されるパルス信号を生成するパルス信号生成部と、
前記パルス信号に応じて前記スイッチングトランジスタを駆動するドライバ回路と、
前記スイッチングトランジスタのゲート信号の遷移時間を設定するための設定端子と、
を備え、
前記ドライバ回路は、
前記制御回路の電源端子と前記スイッチングトランジスタのゲートとの間に設けられたハイサイドトランジスタと、
前記スイッチングトランジスタのゲートと接地端子の間に設けられたローサイドトランジスタと、
前記電源端子と前記ゲートの間に前記ハイサイドトランジスタと直列に設けられたハイサイド可変電流源、および、前記ゲートと前記接地端子の間に前記ローサイドトランジスタと直列に設けられたローサイド可変電流源の少なくとも一方と、
前記設定端子に対する指示に応じて、前記ハイサイド可変電流源および前記ローサイド可変電流源の少なくとも一方の電流値を制御するスルーレート制御部と、
を含み、
ひとつの半導体基板に集積化されたことを特徴とする制御回路。
【請求項2】
前記スルーレート制御部は、前記設定端子に接続される回路部品に応じた基準電流を生成する基準電流源を含み、
前記ハイサイド可変電流源および前記ローサイド可変電流源の少なくとも一方は、前記基準電流に比例した電流を生成可能に構成されることを特徴とする請求項1に記載の制御回路。
【請求項3】
前記スルーレート制御部は、前記基準電流に応じた電流の経路上に設けられた入力トランジスタを含み、
前記ハイサイド可変電流源および前記ローサイド可変電流源の少なくとも一方は、前記入力トランジスタとカレントミラー回路を形成するように接続された出力トランジスタを含むことを特徴とする請求項2に記載の制御回路。
【請求項4】
前記設定端子には、調節用抵抗が外付け可能であり、
前記基準電流源は、
そのエミッタが前記設定端子に接続されたNPN型の第1バイポーラトランジスタと、
そのエミッタが前記第1バイポーラトランジスタのベースに接続され、そのベースに所定の基準電圧が入力されたPNP型の第2バイポーラトランジスタと、
を含み、前記第1バイポーラトランジスタに流れる電流を、前記基準電流として出力することを特徴とする請求項2に記載の制御回路。
【請求項5】
前記設定端子には、前記スイッチングトランジスタのゲート信号の遷移時間を指示する制御信号が入力可能であり、
前記スルーレート制御部は、前記制御信号に応じて、前記ハイサイド可変電流源および前記ローサイド可変電流源の少なくとも一方の電流値を制御することを特徴とする請求項1に記載の制御回路。
【請求項6】
前記スルーレート制御部は、前記制御信号に応じた基準電流を生成する基準電流源を含み、
前記ハイサイド可変電流源および前記ローサイド可変電流源の少なくとも一方は、前記基準電流に比例した電流を生成可能に構成されることを特徴とする請求項5に記載の制御回路。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の制御回路を備えることを特徴とするスイッチングレギュレータ。
【請求項8】
請求項7に係るスイッチングレギュレータを備えることを特徴とする電子機器。
【請求項9】
互いに並列に接続された複数の出力トランジスタと、
入力電圧から所望の出力電圧を生成して負荷に供給するように所定の周波数で前記複数の出力トランジスタのオン/オフ制御信号を生成する制御部と、
を有し、
前記制御部は、前記負荷の重さに基づいて駆動対象の出力トランジスタを決定することを特徴とするスイッチング電源装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記負荷が重いほどトランジスタのサイズを大きくし、前記負荷が軽いほどトランジスタのサイズを小さくするように、前記駆動対象の出力トランジスタを決定することを特徴とする請求項9に記載のスイッチング電源装置。
【請求項11】
前記複数の出力トランジスタは、互いに異なるサイズに設計されていることを特徴とする請求項10に記載のスイッチング電源装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記駆動対象の出力トランジスタをオン/オフ制御することにより発生する矩形波状のスイッチ電圧を監視し、前記駆動対象の出力トランジスタがオンされているときに検出された前記スイッチ電圧と所定の閾値電圧との比較結果に基づいて、前記駆動対象の出力トランジスタを決定することを特徴とする請求項9〜請求項11のいずれか一項に記載のスイッチング電源装置。
【請求項13】
前記制御部は、
前記スイッチ電圧と第1閾値電圧とを比較して第1比較信号を生成する第1比較器と、
前記スイッチ電圧と前記第1閾値電圧よりも低い第2閾値電圧とを比較して第2比較信号を生成する第2比較器と、
前記駆動対象の出力トランジスタがオンされているときに前記第1比較信号をラッチする第1ラッチと、
前記駆動対象の出力トランジスタがオンされているときに前記第2比較信号をラッチする第2ラッチと、
前記第1ラッチでラッチされた前記第1比較信号と前記第2ラッチでラッチされた前記第2比較信号に基づいて前記駆動対象の出力トランジスタを決定する判定部と、
を含むことを特徴とする請求項12に記載のスイッチング電源装置。
【請求項14】
前記判定部は、
前記スイッチ電圧が前記第1閾値電圧よりも高いときにはトランジスタのサイズを現状よりも1段階大きくするように、
前記スイッチ電圧が前記第1閾値電圧よりも低く前記第2閾値電圧よりも高いときにはトランジスタのサイズを現状に維持するように、
前記スイッチ電圧が前記第2閾値電圧よりも低いときにはトランジスタのサイズを現状よりも1段階小さくするように、
前記駆動対象の出力トランジスタを決定することを特徴とする請求項13に記載のスイッチング電源装置。
【請求項15】
前記制御部は、
前記出力電圧に応じた帰還電圧と所定の基準電圧との差分を増幅して誤差信号を生成する誤差増幅器と、
前記所定の周波数でクロック信号とスロープ信号を生成する発振器と、
前記誤差信号と前記スロープ信号とを比較して比較信号を生成する比較器と、
前記比較信号と前記クロック信号の入力を受けて前記オン/オフ制御信号を生成するSRフリップフロップと、
前記判定部の出力を受けて前記駆動対象の出力トランジスタにのみ前記オン/オフ制御信号を供給する信号ゲート部と、
をさらに含むことを特徴とする請求項14に記載のスイッチング電源装置。
【請求項16】
前記駆動対象の出力トランジスタをオン/オフ制御することにより発生する矩形波状のスイッチ電圧を用いて前記出力電圧を昇圧するチャージポンプ回路をさらに有することを特徴とする請求項9〜請求項15のいずれか一項に記載のスイッチング電源装置。
【請求項17】
前記オン/オフ制御信号の電流能力を高めて前記複数の出力トランジスタに供給する複数のドライバをさらに有することを特徴とする請求項9〜請求項16のいずれか一項に記載のスイッチング電源装置。
【請求項18】
前記複数のドライバは、それぞれ、対応する出力トランジスタの制御端に対して並列に接続されて個別に動作可否が制御される複数の単位ドライバを含むことを特徴とする請求項17に記載のスイッチング電源装置。
【請求項19】
前記複数の単位ドライバは、それぞれ、同一サイズのトランジスタによって形成されていることを特徴とする請求項18に記載のスイッチング電源装置。
【請求項20】
スルーレート調整信号に応じて前記複数の単位ドライバ毎のイネーブル信号を生成するイネーブルロジック部をさらに有することを特徴とする請求項18または請求項19に記載のスイッチング電源装置。
【請求項21】
前記複数の出力トランジスタは、半導体装置に外付けされたメイントランジスタと、前記半導体装置に内蔵されたサブトランジスタと、を含み、
前記メイントランジスタは前記サブトランジスタよりもオン抵抗値が小さく、前記サブトランジスタは前記メイントランジスタよりもゲート容量値が小さいことを特徴とする請求項9に記載のスイッチング電源装置。
【請求項22】
前記制御部は、重負荷領域では前記メイントランジスタを駆動対象とし、軽負荷領域では前記サブトランジスタを駆動対象とすることを特徴とする請求項21に記載のスイッチング電源装置。
【請求項23】
受信信号から所望チャンネルの放送信号を選局するチューナ部と、
前記チューナで選局された放送信号から映像信号と音声信号を生成するデコーダ部と、
前記映像信号を映像として出力する表示部と、
前記音声信号を音声として出力するスピーカ部と、
ユーザ操作を受け付ける操作部と、
外部入力信号を受け付けるインタフェイス部と、
上記各部の動作を統括的に制御する制御部と、
上記各部に電力供給を行う電源部と、
を有し、
前記電源部は、請求項7に係るスイッチングレギュレータ、または、請求項9〜請求項22のいずれか一項に記載のスイッチング電源装置を含むことを特徴とするテレビ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20A】
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【図20B】
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【図20C】
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【公開番号】特開2013−31357(P2013−31357A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−99956(P2012−99956)
【出願日】平成24年4月25日(2012.4.25)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】